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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20241023BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20241023BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20241023BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
A47L15/46 Z
F24H15/196
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021103865
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2022022110
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2020125416
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小幡 恭士
(72)【発明者】
【氏名】藤原 克博
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 誠
(72)【発明者】
【氏名】浜岡 益生
(72)【発明者】
【氏名】堀部 洋平
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118671(JP,A)
【文献】特表2008-527220(JP,A)
【文献】特開2019-58224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 15/196
A47L 15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路の途中に設けられ湯水通路から供給される湯水を貯留可能な湯水貯留部と、この湯水貯留部の湯水を洗浄ノズルに送給可能なポンプを備えた浴槽洗浄装置において、
前記湯水貯留部に湯水を供給する湯水通路に、複数の分岐通路と、複数の電磁開閉弁と、定流量弁を設け、
前記湯水貯留部に前記ポンプの吐水量よりも多い第1流量で湯水を供給する第1モードと、前記吐水量よりも少ない第2流量で湯水を供給する第2モードとに切換え可能に構成したことを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記複数の分岐通路の少なくとも1つには前記電磁開閉弁が設けられ、前記複数の分岐通路の少なくとも1つには前記定流量弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記湯水貯留部は、前記複数の分岐通路に夫々接続され且つ前記湯水貯留部に湯水を供給するための複数の給水口を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項4】
前記複数の分岐通路は、前記定流量弁と前記給水口を接続するパイプ材で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項5】
前記複数の分岐通路の下流端部が合流通路に接続され、その合流通路から湯水貯留部に湯水が供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項6】
前記湯水貯留部は、少なくとも高水位と低水位を検出可能な水位検知手段を備えており、
ポンプ運転中には、高水位が検知されたときには前記第2流量で湯水を供給し且つ低水位が検知されたときには第1流量で湯水を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項7】
運転開始時には、高水位が検知されるまで第2流量で湯水が供給された後に、ポンプ運転が開始されることを特徴とする請求項6に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置に関し、特に湯水を貯留する湯水貯留部に供給する湯水流量を2段階に切換えることで湯水貯留部のオーバーフローや渇水を防止可能な浴槽洗浄装置に関する。
【0002】
浴槽洗浄装置としては、上水源からの水道水を貯留タンクに貯留し、この貯留部タンクの水をポンプで加圧して洗剤とともに浴槽側の噴射ノズルから浴槽の内面へ噴射することで浴槽の内面を洗浄する方式のものが従来は採用されて来た。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の浴槽洗浄装置においては、上水源からの水道水を大気開放タンクに貯留し、この大気開放タンクの水をポンプで加圧して洗剤とともに浴槽側の噴射ノズルから浴槽の内面へ噴射することで浴槽の内面を洗浄する。
【0004】
特許文献2に記載の浴槽の自動洗浄装置においては、水道に接続された水タンクから洗浄ノズルに上水を供給する給水管を接続し、洗剤供給タンクから延びる洗剤供給管を給水管に接続し、上水と洗剤の混合液を洗浄ノズルから噴出して浴槽の内面を自動的に洗浄可能に構成している。
【0005】
しかし、最近では、水道水で直接洗浄するのではなく、給湯装置から供給される湯水と洗剤用いて洗浄する浴槽洗浄装置も広く採用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平4-406632号公報
【文献】特開平10-272071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近の浴槽洗浄装置においては、湯水を貯留可能な湯水貯留部と、湯水貯留部からの湯水を加圧して洗浄ノズルへ送給する加圧ポンプを設け、湯水供給部には定流量弁と電磁開閉弁等が設けられている。また、湯水貯留部には液面レベルセンサが設けられている。
前記加圧ポンプの最大吐水量が湯水貯留部への湯水流入量に対して余裕が少ない場合には、湯水貯留部の液面制御を液面レベルセンサで検知される液面レベルにのみに基づいて行う場合には、オーバーフローや渇水を予防するのは非常に難しくなってくる。
【0008】
上記の課題に対して、例えば複数の対策が考えられる。
第1の対策では、湯水貯留部への湯水の流入量が、ポンプによる吐水量と等しくなるように流量調整弁等により精密に制御する。
第2の対策では、ポンプの最大吐水量に十分な余裕を持たせ、湯水貯留部への湯水の流入量と等量だけ吐水させる。
第3の対策では、湯水貯留部への流入量が不明な環境であっても、液面レベルセンサの検出信号に基づいてオーバーフローや渇水の予兆を検知し、応答性に優れる流量調整弁等により流入量を制御する。
【0009】
上記の第1~第3の対策では、流量を可変制御可能な流量調整弁とその制御手段が必要になったり、大型のポンプが必要になったりする。
本発明の目的は、湯水貯留部への流入量を大小2段階に切換えるという簡単な構成で、ポンプを大型化したり流量調整弁を用いたりすることなく、オーバーフローや渇水を防止可能な浴槽洗浄装置を提供することである。
【0010】
請求項1の浴槽洗浄装置は、洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路の途中に設けられ湯水通路から供給される湯水を貯留可能な湯水貯留部と、この湯水貯留部の湯水を洗浄ノズルに送給可能なポンプを備えた浴槽洗浄装置において、前記湯水貯留部に湯水を供給する湯水通路に、複数の分岐通路と、複数の電磁開閉弁と、定流量弁を設け、前記湯水貯留部に前記ポンプの吐水量よりも多い第1流量で湯水を供給する第1モードと、前記吐水量よりも少ない第2流量で湯水を供給する第2モードとに切換え可能に構成したことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、湯水貯留部の液面が低水位まで低下した場合には第1モードに切換え、湯水貯留部の液面が高水位まで上昇した場合には第2モードに切換えることで、オーバーフローと渇水を防止することができる。複数の電磁開閉弁の開閉を介して湯水を流す定流量弁の数を切換えることで、第1流量と第2流量を実現することができる。
【0012】
請求項2の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記複数の分岐通路の少なくとも1つには前記電磁開閉弁が設けられ、前記複数の分岐通路の少なくとも1つには前記定流量弁が設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1流量のときは複数の分岐通路の全部から湯水を供給し、第2流量のときは複数の分岐通路の一部から湯水を供給する。
【0013】
請求項3の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記湯水貯留部は、前記複数の分岐通路に夫々接続され且つ前記湯水貯留部に湯水を供給するための複数の給水口を備えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、複数の分岐通路を流れた湯水をその分岐通路に接続された給水口から湯水貯留部に供給できるため、1つの給水口から給水される湯水の流量が少なくなるから、湯水貯留部内に発生する気泡を少なくし、ポンプのエア噛みを抑制できる。
【0014】
請求項4の浴槽洗浄装置は、請求項3の発明において、前記複数の分岐通路は、前記定流量弁と前記給水口を接続するパイプ材で構成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、分岐通路をパイプ材で構成するため、分岐通路の構成を簡単化し、組立てを簡単化し、製作費を低減することができる。また、分岐通路を湯水貯留部に接続する構造が簡単化し、シール性を確保する上で有利である。
【0015】
請求項5の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記複数の分岐通路の下流端部が合流通路に接続され、その合流通路から湯水貯留部に湯水が供給されることを特徴としている。
上記の構成によれば、複数の分岐通路を設ける領域を最小限化することが可能になり、設計上の自由度が大きくなる。
【0016】
請求項6の浴槽洗浄装置は、請求項1~5の何れか1項の発明において、前記湯水貯留部は、少なくとも高水位と低水位を検出可能な水位検知手段を備えており、ポンプ運転中には、高水位が検知されたときには前記第2流量で湯水を供給し且つ低水位が検知されたときには第1流量で湯水を供給するように構成されていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、高水位のとき第2流量にするため、それ以上の水位の上昇を確実に防止し、オーバーフローを防止することができる。同様に、低水位のときは第1流量にするため、それ以上の水位の低下を確実に防止し、渇水を防止することができる。
【0018】
請求項7の浴槽洗浄装置は、請求項6の発明において、運転開始時には、高水位が検知されるまで少ない方の第2流量で湯水が供給された後に、ポンプ運転が開始されることを特徴としている。上記の構成によれば、運転開始時におけるポンプのエア吸い込みを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のような種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る給湯装置と浴槽と浴槽洗浄装置等の構成図である。
図2】浴槽洗浄装置の洗浄ユニットの構成図である。
図3】洗浄ユニット内の電磁開閉弁に対する電磁弁開閉制御の動作説明図である。
図4】実施例2に係る図3相当図である。
図5】実施例3に係る湯水流量を切換える第1の切換え機構の構成図である。
図6】実施例3に係る第2の切換え機構の構成図である。
図7】実施例3に係る第3の切換え機構の構成図である。
図8】実施例3に係る第4の切換え機構の構成図である。
図9】実施例3に係る第5の切換え機構の構成図である。
図10】実施例4に係る洗浄ユニットの正面側から視た構成図である。
図11図10の洗浄ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1図2に示すように、浴槽1には、浴槽1の湯張りや追焚きのための給湯装置2が湯張り追焚き配管3を介して接続されている。また、浴槽1の底部には、湯水を自動排水するための排水栓4と、洗剤と湯水を散布して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。浴槽1には蓋1aが被せられている。
【0023】
浴槽1の近傍には、洗浄ノズル5に洗剤と湯水を供給する洗浄ユニット6と、洗剤をためておく洗剤タンク7が配設されている。浴槽洗浄装置10は、洗浄ユニット6と洗剤タンク7と洗浄ノズル5を有し、複数の配管類によってこれらを接続して構成されている。
【0024】
洗浄ユニット6には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤配管7aと、給湯装置2から湯水を供給するための給湯配管2aが接続されている。洗剤タンク7にはレベルセンサが設けられ、その検出信号は信号線7bにより電源通信ユニット8へ供給される。また、例えば浴室の天井に配設された電源通信ユニット8と洗浄ユニット6は、電力供給用の電源コードと通信用コードとを束ねたコード8aによって接続されている。
【0025】
給湯装置2は、例えば燃料の燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式給湯装置であるが、ヒートポンプ式熱源機を有する給湯装置等であってもよい。給湯装置2には、湯張り運転や追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11、台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が給湯装置2に接続されている。
【0026】
給湯装置2と電源通信ユニット8は、電力供給用の電源コードと通信用コードとを束ねたコード8bによって接続され、洗浄リモコン13は、給湯装置2と電源通信ユニット8を介して浴槽洗浄装置10と通信可能である。また、台所リモコン12及び浴室リモコン11も、浴槽洗浄装置10と通信可能である。台所リモコン12は、タッチ操作可能な表示部12aと音声出力部12bを有する。洗浄リモコン13は、2桁の数字の表示部13aと音声出力部13bを有する。
【0027】
台所リモコン12と洗浄リモコン13は、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作を行うための操作端末である。尚、浴室リモコン11からも浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作を行うことができる。
【0028】
図2に示すように、浴槽洗浄装置10の洗浄ユニット6は、洗浄運転に関連する機器を制御する制御部21と、湯水を貯める貯留タンク22(湯水貯留部)と、給湯配管2aに接続され且つ貯留タンク22に湯水を供給する湯水供給管23(湯水通路の一部に相当する)であって、2本の分岐通路23a,23bとこれら分岐通路23aが合流した合流通路23c(下流端が貯留タンク22に接続されている)を有する湯水供給管23と、この湯水供給管23に介装されたフィルタ24と、一方の分岐通路23aに上流側から順に介装された電磁開閉弁25a及び定流量弁26aと、他方の分岐通路23bに上流側から順に介装された電磁開閉弁25b及び定流量弁26bを有する。
【0029】
貯留タンク22には、低水位と高水位を検出可能なフロート式の水位検知計22aが設けられ、その検出信号は制御部21に供給される。また、貯留タンク22からのびるオーバーフロー管22b(図1参照)も設けられている。
【0030】
更に、洗浄ユニット6は、貯留タンク22から洗浄ノブル5まで延びる吐出配管27(湯水通路の一部に相当する)と、この吐出配管27に上流側から順に介装されたポンプ28と2つの逆止弁30と流量センサ31とサーミスタ29と洗剤供給管7aが接続されたオリフィス32等を有する。洗剤タンク7から延びる洗剤供給管7aには電磁開閉弁7cが介装されている。
【0031】
制御部21は、例えば演算部と記憶部と入出力部と時計回路を備えたマイクロコンピュータであり、記憶部に格納された制御プログラム等に基づいて洗浄運転に関連する機器や排水栓4を制御する。この制御部21は、洗浄運転では、排水栓4を開け、湯水供給管23や洗剤供給管7aの電磁開閉弁25a,25b,7c等の開閉やポンプ28の駆動等を制御すると共に、洗浄運転の開始時刻又は終了時刻、洗浄コース、洗浄運転の回数(自動洗浄回数)等を含む洗浄運転履歴を記憶する。
【0032】
洗浄運転について説明する。
台所リモコン12等の操作端末の操作によって浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作が行われると、制御部21は貯留タンク22に湯水を貯めながら、ポンプ28を駆動して洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を混合し、洗浄ノズル5から洗剤と湯水を散布する。一定時間洗剤と湯水の散布を実行後、濯ぎ洗浄として洗浄ノズル5から湯水を散布して洗剤と汚れを洗い流す。この洗剤及び湯水の散布と湯水の散布を所定の回数だけ繰り返すと洗浄運転が終了する。
【0033】
次に、洗浄を実行するときに、水位検知センサ22aで検出する水位に基づいて、電磁開閉弁25a,25bと定流量弁26a,26bを介して貯留タンク22へ供給される湯水の流量を制御する電磁弁開閉制御について図3(a)~(h)に基づいて説明する。
定流量弁26a,26bは、夫々流量を5L/minに制限する定流量弁であり、ポンプ28の吐水量は6.5L/min(一定)である。
【0034】
この電磁弁開閉制御では、貯留タンク22にポンプ28の吐水量よりも多い第1流量(10L/min)で湯水を供給する第1モードと、前記吐水量よりも少ない第2流量(5L/min)で湯水を供給する第2モードとに切換え可能になっている。
【0035】
図3(a)は洗浄運転開始直後の状態を示し、洗剤を供給する電磁開閉弁7bは開弁され、貯留タンク22はほぼ空であり、水位は下限状態になっている。この状態では1つの電磁開閉弁25aだけ開弁され、ポンプ28は待機状態にされ、貯留タンク22へ定流量弁26aを介して湯水が5L/minで供給され、図3(b)に示すように、高水位になって水位検知計22aにより検知されると、図3(c)に示すように水位がオーバーフローしないように電磁開閉弁25aも閉弁され、ポンプ28の作動が開始され、その直後には図3(d)に示すように、1つの電磁開閉弁25bだけ開弁され、定流量弁26bを介して湯水が5L/minで供給される。
【0036】
すると、貯留タンク22への湯水の供給量が5L/minであるのに対して、ポンプ28 の吐水量が6.5L/minであるため、貯留タンク22の水位が徐々に低下していき、図3(e)に示すように貯留タンク22の水位が低水位になって水位検知計22aにより検知されると、水位を上昇させるため、電磁開閉弁25bに加えて、もう1つの電磁開閉弁25aも開弁され、定流量弁26a,26bを介して10L/minにて湯水が貯留タンク22へ供給され水位が上昇していく。
【0037】
湯水の供給量が10L/minであるのに対してポンプ28の吐水量が6.5L/minであるため、水位が徐々に上昇していき、図3(d)に示すように高水位になって水位検知計22aにより検知されると、電磁開閉弁25aが閉弁されて電磁開閉弁25bだけが開弁状態にされる。
【0038】
すると、貯留タンク22への湯水の供給量が5L/minであるのに対して、ポンプ28 の吐水量が6.5L/minであるため、貯留タンク22の水位が徐々に低下していき、図3(e)に示すように貯留タンク22の水位が低水位になって水位検知計22aにより検知されると、水位を上昇させるため、2つの電磁開閉弁25a,25bが開弁されて10L/minにて湯水が貯留タンク22へ供給されて水位が上昇していく。
【0039】
洗浄中は、上記のように図3(d)→図3(e)→図3(d)→図3(e)・・のように繰り返していく。そのため、水位は高水位と低水位の間を下降と上昇を繰り返す。
【0040】
所定時間の間湯水と洗剤による洗浄を行ってから、設定時間の間濯ぎ洗浄を上記と同様に行う。但し、この場合は、電磁開閉弁7cを閉弁し、洗剤の供給を遮断した状態で洗浄する。洗剤と湯水による洗浄と湯水による濯ぎ洗浄を所定の回数だけ繰り返してから、洗浄運転を終了する際には、次のように行う。
【0041】
図3(f)の状態から洗浄運転を終了する際には、或いは図3(e)の状態から洗浄運転を終了する際には、図3(g)に示すように、電磁開閉弁25a,25bを両方とも閉弁状態に切換え、低水位になった時点から所定短時間の間ポンプ28による吐水を継続し、図3(h)のように貯留タンク22をほぼ空の状態にしてポンプ28を停止させる。
【0042】
次に、以上説明した電磁弁開閉制御の作用、効果について説明する。
貯留タンク22の液面が低水位まで低下した場合には吐水量よりも多い第1流量で湯水を供給する第1モードに切換え、貯留タンク22の液面が高水位まで上昇した場合には吐水量よりも少ない第2流量で湯水を供給する第2モードに切換えることで、貯留タンク22のオーバーフローと渇水を防止することができる。2つの電磁開閉弁25a,25bの開閉を介して2つの定流量弁のうちの湯水を流す定流量弁の数(つまり流量)を切換えることで、第1流量と第2流量を実現することができる。
【0043】
2つの分岐通路23a,23bのうち、一方の分岐通路23aには電磁開閉弁25aと定流量弁26aが設けられ、他方の分岐通路23bには定流量弁26bと定流量弁26bが設けられている。そのため、第1流量のときは2つの分岐供給路23a,23bの全部から湯水を供給し、第2流量のときは片方の分岐供給路23a又は23bから湯水を供給する。
【0044】
2つの分岐通路23a,23bの下流端部が合流通路23cに接続され、その合流通路23cから貯留タンク22に湯水が供給されるため、2つの分岐通路23a,23bを設ける領域を最小限化することが可能になり、設計上の自由度が大きくなる。
【0045】
貯留タンク22は、少なくとも高水位と低水位を検出可能な水位検知計22aを備えており、ポンプ運転中には、高水位が検知されたときには吐水量よりも少ない第2流量で湯水を供給し且つ低水位が検知されたときには吐水量よりも多い第1流量で湯水を供給する。
【0046】
高水位のとき第2流量にするため、それ以上の水位の上昇を確実に防止し、オーバーフローを防止することができる。同様に、低水位のときは第1流量にするため、それ以上の水位の低下を確実に防止し、渇水を防止することができる。
【0047】
洗浄運転開始時には、高水位が検知されるまで少ない方の第2流量で湯水が供給された後に、ポンプ運転が開始されるため、運転開始時におけるポンプのエア吸い込みを防止することができる。尚、ポンプ28の吐水量を一定に保持するため、簡単な構成のポンプを採用可能で、ポンプ28の回転数を制御する必要がないからポンプ28に対する制御負荷が低くなる。
【0048】
この電磁弁開閉制御においては、電磁開閉弁25a,25bを同時に開弁状態から閉弁状態に切換えると、ウォータハンマー現象が悪化するため電磁開閉弁25a,25bを同時に開弁状態から閉弁状態に切換えることはせずに、電磁開閉弁25a,25bを1つずつ開弁状態から閉弁状態に切換えるようにしている。
【実施例2】
【0049】
本実施例の洗浄ユニット6の貯留タンク22には、図4に示すように、高水位と低水位を検知可能なフロート式の水位検知計22aの他に、高水位よりも上の水位であってオーバーフロー直前の上限水位を検知可能な電極式水位検知計(図示略)が設けられている。
【0050】
この上限水位を検知可能にしたのは、次の理由による。
貯留タンク22の容量が約500ccで非常に小容量である関係上、洗浄運転開始時に図4(b)に示すように、水位を高める際にオーバーフローし易いことに鑑み、そのオーバーフローを防止するために、上限水位を検知可能にしてある。
洗浄運転開始時に図4(b)に示すように、上限水位になるまで水位を上昇させ、その後の図4(c)~(h)の制御は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0051】
前記洗浄ユニット6の湯水供給管23に設ける分岐通路と定流量弁と電磁開閉弁を介して湯水流量を切換える切換え機構の種々の形態について説明する。尚、洗浄ユニット6のポンプ28の吐水量は6.5L/minであるとし、洗浄ユニット6のその他の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0052】
(a)図5に示す第1の切換え機構のように、湯水供給管23は分岐通路23a,23bと合流通路23cを有し、分岐通路23a,23bより上流において湯水供給管23には電磁開閉弁36が介装されている。分岐通路23a,23bと、電磁開閉弁25a,25bと、定流量弁26a,26bについては実施例1と同様である。
【0053】
(b)図6に示す第2の切換え機構のように、図5の構成のうちの分岐通路23aに設けた電磁開閉弁25aが省略されている。電磁開閉弁36を開弁し、電磁開閉弁25bを閉弁すると、5L/minにて湯水を供給でき、電磁開閉弁25bも開弁すると、10L/minにて湯水を供給することができる。
【0054】
(c)図7に示す第3の切換え機構のように、分岐通路23a,23bよりも上流において湯水供給管23には定流量弁37(流量は8L/min)と電磁開閉弁36が介装されている。一方の分岐通路23aには定流量弁26c(流量は2L/min)が介装され、他方の分岐通路23bには電磁開閉弁25bが介装されている。
電磁開閉弁36を開弁し、電磁開閉弁25bを閉弁すると2L/minにて湯水を供給することができ、電磁開閉弁33,25bを開弁すると8L/minにて湯水を供給することができる。
【0055】
図8に示す第4の切換え機構のように、分岐通路23a,23bより上流において、湯水供給管23に定流量弁38(流量は10L/min)が介装され、一方の分岐通路23aには電磁開閉弁25aと定流量弁26aが介装され、他方の分岐通路23bには電磁開閉弁25bが介装されている。
電磁開閉弁25bを閉弁し、電磁開閉弁25aを開弁すると、5L/minにて湯水を供給することができ、電磁開閉弁25aを閉弁し、電磁開閉弁25bを開弁すると10L/minにて湯水を供給することができる。
【0056】
図9に示す第5の切換え機構のように、湯水供給管23には、3つの分岐通路23a,23b,23dが設けられ、分岐通路23aには電磁開閉弁25aと定流量弁26a(流量は5L/min)が介装され、分岐通路23bには電磁開閉弁25bと定流量弁26c(流量は2L/min)が介装され、分岐通路23dには電磁開閉弁25cと定流量弁26d(流量は2L/min)が介装されている。
この構成によれば、供給する湯水の流量を2L/min、4L/min、5L/min、7L/min、9L/minの5段階に切換えることができる。
【実施例4】
【0057】
次に、変更形態に係る洗浄ユニット6について説明する。但し、実施例1と同じ構成要素に同じ符号を付して説明を省略する。
図10図11に示すように、洗浄ユニット6のケーシング33の内部の上部には、湯水供給管23の2つの分岐通路23a,23bに夫々介装された電磁開閉弁25a,25b及び定流量弁26a,26bが装着されている。尚、ケース33の中段部の内面には2本の補強リブ40が形成されている。
【0058】
ケーシング33の上部の右側には貯留タンク22が配設され、この貯留タンク22の蓋部材22cには、2つの分岐通路23a,23bに夫々接続され且つ貯留タンク22に湯水を供給するための給水口42a,42bが設けられている。
分岐通路23a,23bの下流部分がパイプ材41a,41bで構成され、パイプ材41a,41bの下流端が給水口42a,42bに夫々外嵌状に接続されている。
【0059】
パイプ材41a,41bの上流端が左右に配置されており、給水口42a,42bが右左に配置されているため、パイプ材41aはパイプ材41bの約2倍の長さに形成されている。パイプ材41a,41bの長さを異ならせるのは、組立て時におけるパイプ材41a,41bの混同を防止するためである。尚、パイプ材41a,41bは、極力コンパクト化するため合成樹脂の一体成形品で構成されている。
【0060】
貯留タンク22の底板の中央部には吐出口(図示略)が形成され、この吐出口にポンプ28が接続され、このポンプ28の吐出部から吐出配管27が延びている。このポンプ28は吐出口から吸入した湯水を吐出配管27を介して洗浄ノズル5に吐出する。
【0061】
この吐出配管27には2つの逆止弁30と、流量センサ31と、サーミスタ29と、オリフィス32が介装されている。オリフィス32は合成樹脂ブロック39に形成され、この合成樹脂ブロック39には洗剤供給管7aが接続される洗剤通路が形成され、この洗剤通路はオリフィス32に小径通路により接続されている。また、合成樹脂ブロック39には洗剤通路を開閉可能な電磁開閉弁7cが装着されている。洗浄ノズル5へ延びる吐出配管27(湯水通路の一部に相当する)の途中部にはオリフィス32が接続されている。尚、ケース33内の機器から延びるハーネスはネジ込み式の筒状金具35を通って外部へ導設されている。
【0062】
次に、貯留タンク22について説明する。
貯留タンク22は、タンク本体の上端にボルトやビスで固定される蓋部材22c(天板)を有する。貯留タンク22は、パイプ材41a,41bからの湯水が流入する給水口42a,42bと、ポンプ28へ湯水を吐出する吐出口と、留部タンク22内の空間を湯水通過可能に仕切る仕切り板44a,44bを備えている。
【0063】
仕切り板44a,44bは、平面視にて給水口42a,42bと吐出口の間において貯留タンク22の底面から鉛直上方へ延びるように形成されている。貯留タンク22には、前記オーバーフロー口22bが設けられ、仕切り板44a,44bの上端はオーバーフロー口22bの下端よりも距離a(例えば、約10~15mm)だけ上方に位置している。
【0064】
吐出口は貯留タンク22の底板の中央付近に設けられ、給水口42a,42bは貯留タンク22の蓋部材22c(天板)のうち平面視にて吐出口の両側に離隔した位置に2つ設けられ、仕切り板44a,44bは各給水口42a,42bと吐出口の間に夫々設けられている。
【0065】
貯留タンク22はその内部に貯留する湯水の水位を検知する水位検知計34を備え、 水位検知計34の取付板34aが蓋部材22cに固定され、この取付板34aから筒体34bが下方へ延び、その筒体34bの下端から筒体34bよりも小径の筒体34cが下方へ延び、この筒体34cに環状のフロート34dが昇降可能に装着されている。
【0066】
以上の洗浄ユニット6の作用、効果について説明する。
2つの分岐通路23a,23bを流れた湯水をその分岐通路23a,23bに接続された給水口42a,42bから貯留タンク22に供給できるため、1つの給水口42a,42bから給水される湯水の流量が少なくなるから、貯留タンク22内に発生する気泡を少なくし、ポンプ28のエア噛みを抑制できる。
【0067】
2つ分岐通路23a,23bは、定流量弁26a,26bと給水口42a,42bを接続するパイプ材で構成されているため、分岐通路23a,23bの構成を簡単化し、組立てを簡単化し、製作費を低減することができる。また、分岐通路23a,23bを貯留タンク22に接続する構造が簡単化し、シール性を確保する上で有利である。
【0068】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)前記ポンプの吐水量は6.5L/minに限定される訳ではなく、その前後の種々の吐水量に設定することができる。
定流量弁の流量も、2L/min、5L/min、8L/min等に限定される訳ではなく、
ポンプの吐水量よりも多い第1流量と、吐水量よりも少ない第2流量を選択的に実現できる限り適宜の流量に設定することができる。
【0069】
(2)ポンプの吐水量よりも少ない第2流量を吐水量に近い値に設定することで、高水位から低水位まで水位が下降する時の下降速度を遅くし、電磁開閉弁の切換え頻度を少なくすることができる。
(3)定流量弁に代えて安定した流量特性を持つオリフィスを採用することも可能である。
(4)洗浄運転開始時に、高水位が検知されてからポンプ運転が開始されることに代えて、低水位が検知されてから所定時間経過後にポンプ運転を開始することもできる。
【0070】
(5)前記実施例の浴槽洗浄装置10は、給湯装置2から供給される湯水を用いて洗浄を行う場合を例にして説明したが、上水源から供給される水を用いて洗浄を行う構成とすることもできる。その場合、マンションの高層階など水道の水圧が低い場合にも所期の流量を発揮可能な定流量弁が必要となる。仮に1つの定流量弁のみを組み込む場合、流量の多い定流量弁を採用することになるため必要最低水圧が0.15MPa程度と高くなる。
しかし、本発明では比較的小流量の2つの定流量弁26a,26bを採用しているため、0.15MPa程度よりも格段に低い最低水圧でも作動可能になる。
【0071】
(6)その他、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0072】
1 浴槽
2 給湯装置
5 洗浄ノズル
6 洗浄ユニット
7 洗剤タンク
10 浴槽洗浄装置
11 浴室リモコン
13 洗浄リモコン
22 貯留タンク(湯水貯留部)
23 湯水供給管(湯水通路)
23a,23b,23d 分岐通路
23c 合流通路
25a,25b,36 電磁開閉弁
26a,26b,26c,26d 定流量弁
27 吐水配管(湯水通路)
28 ポンプ
41a,41b パイプ材
42a,42b 給水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11