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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】補正装置及び補正方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20241023BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S7/497
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024114423
(22)【出願日】2024-07-18
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518389602
【氏名又は名称】株式会社FUTU-RE
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】早川 剛史
(72)【発明者】
【氏名】戒田 一仁
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195477(WO,A1)
【文献】特開2016-053846(JP,A)
【文献】特開2021-105584(JP,A)
【文献】特開2011-198279(JP,A)
【文献】特開2016-206026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0113603(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111279215(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/64
G01S 13/00-17/95
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正装置であって、
前記検出装置から前記現在検出情報を受信し、前記現在検出情報及び過去の前記現在検出情報である過去検出情報を記憶する受信情報記憶部と、
前記現在検出情報及び複数の前記過去検出情報から前記過去と現在とを比較し相対距離を算出し、前記現在検出情報に、算出された前記相対距離に応じて間引いた前記過去検出情報を追加して、前記現在検出情報を補正検出情報に補正する補正部と、を備える、
補正装置。
【請求項2】
前記過去検出情報は、前記現在検出情報を基準とした正規分布において所定の範囲に収まる、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正装置であって、
前記検出装置から前記現在検出情報を受信し、前記現在検出情報及び過去の前記現在検出情報である過去検出情報を記憶する受信情報記憶部と、
前記現在検出情報及び複数の前記過去検出情報から前記過去と現在とを比較し相対距離を算出し、算出された前記相対距離を用いて、前記現在検出情報を補正検出情報に補正する補正部と、を備え、
補正装置はさらに計測装置から車両における現在計測情報を取得し、前記憶部は現在計測情報及び過去の前記現在計測情報である過去計測情報を記憶し、
補正装置はさらに補正補助部を備え、前記補正補助部は、前記現在検出情報と、現在検出情報の検出時刻と一番計測時刻が近い前記現在計測情報又は前記過去計測情報とを関連付け、前記現在検出情報を、関連付けられた前記現在計測情報又は前記過去計測情報のうちの計測時刻が前記現在検出情報の検出時刻に近い前記現在計測情報又は前記過去計測情報に基づいて、前記補正検出情報に補正する、
正装置。
【請求項4】
前記補正部は、少なくとも2以上の前記検出対象から検出した前記現在検出情報をそれぞれ前記補正検出情報に補正する、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項5】
前記現在検出情報によって検出された前記検出対象及び前記補正検出情報によって検出された前記検出対象が提示される情報を提示装置に送信する、
請求項1又は請求項3に記載の補正装置。
【請求項6】
検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正方法であって、
前記検出装置から前記現在検出情報を受信し、前記現在検出情報及び過去の前記現在検出情報である過去検出情報を記憶する第1のステップと、
前記現在検出情報及び複数の前記過去検出情報から前記過去と現在とを比較し相対距離を算出し、前記現在検出情報に、算出された前記相対距離に応じて間引いた前記過去検出情報を追加して、前記現在検出情報を補正検出情報に補正する第2のステップと、を備える、
補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正置及び補正方法に関する。
【0002】
例えば特許文献1には、検出装置(以下、これをセンサと呼んでもよい)を備える自立走行車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-15490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載されたような従来の手法では、使用する検出装置や検出する状況によっては車両が安全に走行する上で必要となる検出対象の位置の誤差が少ない高い精度の検出情報を車両が検出装置から取得できない場合がある。
【0005】
本発明の実施の形態の一態様は、検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を、車両が安全に走行する上で必要な高い精度となるように、補正検出情報に補正する補正装置を提供することを目的とする。
【0006】
検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正装置であって、検出装置から現在検出情報を受信し、現在検出情報及び過去の現在検出情報である過去検出情報を記憶する受信情報記憶部と、現在検出情報及び複数の過去検出情報から過去と現在とを比較し相対距離を算出し、前記現在検出情報に、算出された相対距離に応じて間引いた前記過去検出情報を追加して、現在検出情報を補正検出情報に補正する補正部と、を備える、補正装置を提供する。
【0007】
検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正方法であって、検出装置から現在検出情報を受信し、現在検出情報及び過去の現在検出情報である過去検出情報を記憶する第1のステップと、現在検出情報及び複数の過去検出情報から過去と現在とを比較し相対距離を算出し、前記現在検出情報に、算出された相対距離に応じて間引いた前記過去検出情報を追加して、現在検出情報を補正検出情報に補正する第2のステップと、を備える、補正方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば車両が安全に走行する上で必要な高い精度で検出対象を検出可能とするように現在検出情報を、現在検出情報では検出しない検出対象が検出可能となる補正検出情報に補正する補正装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施の形態による補正システムの概要を示す概略図である。
図2図2は、本実施の形態による補正システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態による補正の様子を示す概略図である。
図4図4は、本実施の形態による補正装置で使用する処理の説明に供する図である。
図5図5は、本実施の形態による検出装置による検出の様子を示す概念図である。
図6図6は、提示装置に提示される補正検出情報を示す図である。
図7図7は、補正機能についての説明に供するシーケンス図である。
図8図8は、受信情報記憶部に記憶されている情報を示す図である。
図9図9は、補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本実施の形態)
図1に示す概略図を用いて補正システム1の概要を説明する。図1に示すように本実施の形態における補正システム1は、検出対象2を検出し現在検出情報を生成する検出装置3と検出装置3による現在検出情報を補正し補正検出情報に補正する補正装置4とを備える。現在検出情報は、検出装置3によって検出された検出対象2の現在の検出情報とする。
【0011】
例えば検出対象2は人や動物や障害物とし、補正装置4はデスクトップ型やノート型のパソコン(PC:Personal Computer)や汎用計算機とし、検出装置3はライダー(LiDAR:Light Detection And Ranging)装置とする。
【0012】
補正システム1は例えば検出対象2が存在する路5を進行方向6に進む車両7に設置される。補正システム1は、図2において破線で示すように、さらに車両7の並進運動や回転運動を計測する計測装置8を備えていてもよい。計測装置8は例えば慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)とする。
【0013】
補正システム1は、図2において破線で示すように、さらに現在検出情報によって検出される検出対象2及び後述の補正検出情報によって検出される検出対象を提示する提示装置15を備えていてもよい。提示装置15は例えばディスプレイやスマートフォンやタブレット端末などとする。
【0014】
図1においては過去の時刻である過去時刻tpから現在の時刻である現在時刻tまでの期間に、車両7がA地点からB地点に進行し、検出対象2がC地点からD地点に移動する。なお過去時刻tpから現在時刻tまでの期間に検出対象2と車両7とは任意の距離路幅方向に移動してもよい。
【0015】
例えば過去時刻tpから現在時刻tまでの期間は数秒程度とし、路幅は路5の幅とする。現在検出情報は現在時刻tにおいて検出装置3によって検出された検出対象2の現在の検出情報であって、過去検出情報の1つは、過去時刻tpにおいて検出装置3によって検出された検出対象2の過去時刻tpでの現在検出情報である。
【0016】
過去時刻tpにおいては、検出装置3から送出される走査線9は検出対象2に当たり、検出装置3は過去検出情報によって検出対象2を検出するが、現在時刻tにおいては検出装置3から送出される走査線10は検出対象2に当たらず検出装置3は現在検出情報によって検出対象2を検出しない。
【0017】
補正装置4を使用しない従来の技術においては、車両7は現在時刻tからさらに進行方向6に進行した場合、検出対象2が存在しているにもかかわらず現在時刻tにおいて検出装置3が検出対象2を検出しない。このため、補正装置4を使用しない従来の技術においては、車両7は検出対象2を避ける挙動を行うことができない。
【0018】
図2に示すブロック図を用いて本実施の形態による補正システム1の構成を説明する。図2に示すように検出装置3は現在検出情報を取得する検出情報取得部20と現在検出情報を補正装置4に送信する検出情報送信部21とを備える。
【0019】
補正装置4は中央演算装置22と主記憶装置23と補助記憶装置24と通信装置25とを備える。中央演算装置22は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、主記憶装置23に記憶されたプログラムを読み出すことで処理を実行する。
【0020】
主記憶装置23は、例えばRAM(Random Access Memory)であって、制御部26及び記憶部27を備える。制御部26はプログラムであってプログラムである補正部28を備える。制御部26は、図2において破線で示すように、プログラムである補正補助部29と提示情報制御部30とを備えていてもよい。
【0021】
記憶部27は、検出装置3から受信する現在検出情報を記憶する受信情報記憶部31を備える。記憶部27は、図2において破線で示すように、オフセット情報を記憶するオフセット情報記憶部32を備えていてもよい。
【0022】
受信情報記憶部31に記憶された現在検出情報で時間が経ったものは過去検出情報となる。また受信情報記憶部31は、計測装置8から受信する現在計測情報を記憶してもよい。計測装置8は、現在計測情報を取得する計測情報取得部36と現在計測情報を補正装置4に送信する計測情報送信部37とを備える。受信情報記憶部31に記憶された現在計測情報で時間が経ったものは過去計測情報となる。
【0023】
補助記憶装置24は、例えばROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)やMicroSDカードなどの不揮発性の記憶装置であって、例えばプログラムである制御部26を補正装置4が通電されていない際にも記憶しておく。
【0024】
通信装置25は、例えば有線又は無線のLAN(Local Area Network)モジュールやBluetoothモジュールやUSB(Unibersal Serial Bus)3.0モジュールなどのようなネットワークカードなどとする。
【0025】
通信装置25は、例えば接続標準規格に対応したグラフィックボードなどでもよいものとする。通信装置25は、検出情報受信部33を備える。通信装置25は、図2において破線で示すように、計測情報受信部34と提示情報送信部35とを備えていてもよい。
【0026】
補正部28は、現在検出情報と複数の過去検出情報のうちの少なくとも1とから過去と現在とを比較し相対速度及び相対距離11を算出する。補正部28は、算出された相対距離11を用いて、現在検出情報を補正検出情報に補正する。補正検出情報への補正は例えば、現在検出情報に、相対距離11に応じて間引いた過去検出情報を追加したものなどとする。
【0027】
例えば現在時刻tと過去時刻tpとの車両7の相対速度は現在時刻tの車両7の現在速度vと過去時刻tpの車両7の過去速度vpの差分から計算することができる。車両7の速度は例えば車両7に搭載されている図示せぬ速度計などの車載器から取得する。
【0028】
例えば簡易的には相対距離11は、現在速度vと過去速度Vpとの平均速度vaと、現在時刻tと過去時刻tpから現在時刻tまでの経過時間teと、の積から算出することができる。
【0029】
補正補助部29は、現在検出情報と、現在検出情報の検出時刻と一番計測時刻が近い現在計測情報又は過去計測情報とを関連付け、現在検出情報を、関連付けられた現在計測情報又は過去計測情報のうちの計測時刻が現在検出情報の検出時刻に近い現在計測情報又は過去計測情報に基づいて、補正検出情報に補正してもよい。
【0030】
提示情報制御部30は、提示装置15に提示する情報である提示情報を生成し制御する。例えば提示情報には、過去時刻tp及び現在時刻tにおける検出装置3の位置の情報や現在時刻tにおける検出対象2の位置の情報や相対距離11の情報などが含まれる。提示装置15は、提示情報を受信する提示情報受信部38と、提示情報を提示する提示部39とを備える。
【0031】
図3に示す概略図を用いて本実施の形態による補正の様子を説明する。図3の側面の様子に示すように補正装置4は補正補助部29による補正によってブレ12についても補正してもよい。
【0032】
なお図3において、現在時刻tにおける検出対象2、検出装置3、車両7及び走査線10を実線で記載し、過去時刻tpにおける検出対象2、検出装置3、車両7及び走査線9を破線で記載している。
【0033】
補正装置4は、相対距離11のような車両7の前後方向の補正だけではなく、ブレ12のような車両7の上下方向の補正も可能となる。なおブレ12は提示情報に含まれていてもよいものとする。例えば車両7の前後方向とは水平方向を指し、車両7の上下方向とは垂直方向を指すものとする。
【0034】
また図3の上面の様子に示すように補正装置4は、補正補助部29による補正によってズレ13のような車両7の回転方向の補正も可能となる。例えば車両7の回転方向とは路5の路幅方向の移動に関係するものとする。なおズレ13は提示情報に含まれていてもよいものとする。
【0035】
なおブレ12に関して車両7が坂道などの傾斜がある箇所を通過する場合は別途傾斜に関しての情報の補正装置4への入力が正確な補正をする上では必要となる。またズレ13に関しては車両7が2車線以上ある路5を通行する場合は車線に関しての情報の補正装置4への入力が正確な補正をする上では必要となる。
【0036】
図4を用いて本実施の形態による補正装置で使用する処理について説明する。過去検出情報を、現在検出情報を基準とした正規分布70を参照し所定の範囲71に収まるようにする場合、補正装置4は、現在検出情報から離れた値となる可能性が高い過去検出情報を参照せずに済む。
【0037】
正規分布70は車両7が時間に応じて検出対象2を検出できる確率の分布を示すものである。例えば正規分70に基づき6割程度の確率で検出対象2を検出できる時間teの範囲とする。
【0038】
オフセット情報記憶部32に存在確立の所定の範囲を決めるための例えば走行場所や走行時間帯や天気などの走行環境ごとや検出対象2の種別ごとの時間teを保存し、時間teよりも時間が空いている範囲の過去検出情報や過去計測情報を使用しないようにしてもよい。
【0039】
オフセット情報記憶部32に存在確立の所定の範囲を決めるための例えば走行場所や走行時間帯や天気などの走行環境ごとや検出対象2の種別ごとの時間teを保存し、走行環境や検出対象2の種別に沿った時間teを使用するようにしてもよい。
【0040】
またオフセット情報記憶部32には学習済みモデルが記憶されていてもよく、時間teはオフセット情報記憶部32に記憶された学習済みモデルによって決定してもよい。例えば学習済みモデルは走行場所や走行時間帯や天気などの走行環境ごとや検出対象2の種別を入力とし、時間teを出力とする。
【0041】
例えば走行環境には一般道や高速道路が挙げられ、走行時間帯は昼や夜が挙げられ、天気は雨天や晴天などが挙げられ、それぞれの走行環境に応じて6割程度の確率で存在する時間teは変化する。
【0042】
図5に示す概念図を用いて本実施の形態による検出装置3による検出の様子を説明する。図5では検出対象2が動かない場合を例としている。図5に示すように検出装置3は、例えば現在時刻tにおいて検索箇所51、52、53、54を探索し、過去時刻tpにおいて検索箇所55、56、57、58を探索する。
【0043】
例えば検索箇所51、52、53、54の位置では検出対象2が検出されるため、すべて現在検出情報となり、検索箇所55、56、57、58の位置では検索箇所58の位置でのみ検出対象2が検出されるため、検索箇所58のみが過去検出情報となる。
【0044】
補正部28は、少なくとも2以上の検出対象2から検出した現在検出情報をそれぞれ補正検出情報に補正してもよい。これにより、補正装置4は、検出対象2が複雑な形状の場合などにも、検出対象2をより正確に検出することが可能となる補正検出情報に現在検出情報を補正することができる。例えば2以上の検出対象2から検出した現在検出情報とは検索箇所51、52、53、54で検出された現在検出情報を指す。
【0045】
例えば検索箇所51のみで検出対象2を検出した場合は検出対象2が丸形なのか三角形50なのか人形なのかの判断がつかない。検索箇所51、52、53、54で検出した場合、検出対象2が少なくとも三角形50か人形なのかまでは絞ることが可能となる。
【0046】
また検出装置3は、計測装置8からの情報による補正で検索箇所59、60、61、62を探索してもよい。検索箇所59、60、61、62の位置では検索箇所62の位置でのみ検出対象2が検出されるため、検索箇所62が補正検出情報として追加される。
【0047】
例えば検索箇所58が過去検出情報として補正検出情報として追加された場合、検出対象2は三角形よりも複雑だと判断される。また同様に検索箇所62が補正検出情報として追加された場合、検出対象2は三角形よりも複雑だと判断される。
【0048】
図6を用いて提示装置15に提示される補正検出情報について説明する。図6に示すように提示装置15には提示情報である過去時刻tp及び現在時刻tにおける検出装置3の位置の情報や現在時刻tにおける検出対象2の位置の情報や相対距離11の情報などが提示される。提示装置15には、提示情報に含まれるブレ12やズレ13を提示してもよい。
【0049】
補正装置4は、現在検出情報によって検出された検出対象2及び補正検出情報によって検出された検出対象2が提示される情報を提示装置15に送信する。これにより補正装置4の使用者は提示装置15に提示される情報を参照し、より適切な補正の設定をすることが可能となる。
【0050】
図6に示すように、走査線10では検出対象2が検出されないが、相対距離11を考慮した補正による走査線9では検出対象2が検出される。またブレ12を考慮したような補正による走査線9’でも検出対象2は検出される。相対距離11及びブレ12と同様にズレ13を考慮することでも検出対象2が検出されるようになる。
【0051】
例えば、補正装置4の使用者は補正用画面75の相対距離補正画面76とブレ補正画面77とを比較して、相対距離補正画面76と比較してブレ補正画面77において検出対象2がより検出されていると判断し、ブレ補正を選択して適切な補正の設定をする。
【0052】
なお図6においては走査線9及び走査線9’は破線、走査線10は実線で表示しているが、実際の提示においては走査線9を赤、走査線9’を青色、走査線10を黒色などと色を変えて提示してもよい。
【0053】
図7に示すシーケンス図を用いて、補正機能について説明する。図7に示すように補正装置4は、電源ONとなり起動状態になると、後述の通信情報制御処理S10を実行し、電源ONとなり起動状態となった検出装置3から検出情報を受信する(S1,S3,S5)。
【0054】
また補正装置4は、電源ONとなり起動状態になると、電源ONとなり起動状態となった計測装置8から現在計測情報を受信する(S2,S4,S6)。例えば補正装置4は、非同期で受信するタイムスタンプの異なる現在検出情報を2以上受信した際に後述の補正処理S20を開始する。なお補正装置4は、現在検出情報に加え現在計測情報を受信した際に補正処理S20を開始してもよい。
【0055】
図8を用いて、受信情報記憶部31に記憶されている情報について説明する。受信情報記憶部31には検出情報テーブルTB1が記憶される。受信情報記憶部31には計測情報テーブルTB2が記憶されてもよい。
【0056】
検出情報テーブルTB1には、例えば年月日及び時分秒でのタイムスタンプと検出装置3を基準とした車両7の前後方向であるx方向、車両7の上下方向であるy方向、車両7の回転方向であるz方向のxyz座標の位置情報とが記憶される。
【0057】
なお例えば検出情報テーブルTB1のタイムスタンプは100ミリ秒単位とし記憶される現在検出情報及び過去検出情報の時間精度は100ミリ秒単位とする。検出情報テーブルTB1に記憶される位置情報は、検出情報として検出された検索箇所51の位置情報であってp1x、p1y、p1zといった位置情報として記憶される。
【0058】
計測情報テーブルTB2には、例えば年月日及び時分秒でのタイムスタンプと加速度及び角速度とが記録される。なお例えば計測情報テーブルTB2のタイムスタンプは10ミリ秒単位とし記憶される現在計測情報及び過去計測情報の時間精度は10ミリ秒単位とする。
【0059】
例えば加速度はx方向、y方向、z方向のそれぞれの加速度であるax、ay、azといった情報であり、角速度はx方向回り、y方向回り、z方向回りのそれぞれの角速度であるrx、ry、rzといった情報である。
【0060】
図9に示すフローチャートを用いて、補正処理S20の処理手順について説明する。図9に示すように補正装置4は補正処理S20の前に通信情報制御処理S10を行う。通信情報制御処理S10では補正部28は、初期化を行い(S11)、タイムスタンプの異なる現在検出情報を2以上受信したか否かを判断する(S12)。
【0061】
タイムスタンプの異なる現在検出情報を2以上受信した場合、受信情報記憶部31は現在検出情報及び過去検出情報を記憶し、補正処理S20へと処理が進む(S12:YES)。
【0062】
タイムスタンプの異なる現在検出情報を2以上受信していない場合、ステップS12が再び行われタイムスタンプの異なる現在検出情報を2以上受信するまで後続の処理は待機となる(S12:NO)。
【0063】
なお初期化とは例えばオフセット情報記憶部32に記憶されている情報を設定することを指す。また通信情報制御処理S10において、図9において破線で示すように、さらに補正補助部29が現在検出情報に加え現在計測情報を受信したか否かを判断してもよい(S13)。
【0064】
現在検出情報に加え現在計測情報を受信した場合、受信情報記憶部31は現在計測情報を記憶し、補正処理S20へと処理が進む(S13:YES)。現在検出情報に加え現在計測情報を受信していない場合、後続の処理は待機となる(S13:NO)。なお受信情報記憶部31は現在計測情報だけではなく過去計測情報を記憶してもよいものとする。
【0065】
補正処理S20では補正部28は、現在検出情報及び過去検出情報を取得し(S21)、点群情報を補正し(S24)、未補正の点群情報が無いか否かを判断する(S25)。なおステップS21は検出から一定時間以上経過した過去検出情報が削除されたうえで処理されてもよい。
【0066】
未補正の点群情報が無い場合(S25:YES)、点群情報を出力する(S26)。未補正の点群情報が無い場合(S25:YES)、未補正の点群情報が無くなるまでステップS24を繰り返して点群情報を補正する。
【0067】
なお図9において破線で示すように、補正補助部29が現在検出情報及び過去検出情報を取得し(S22)、現在検出情報と、現在検出情報の検出時刻と一番計測時刻が近い現在計測情報又は過去計測情報とを関連付けてもよい(S23)。
【0068】
なおステップS22は計測から一定時間以上経過した過去検出情報が削除されたうえで処理されてもよい。ステップS23の処理は具体的には例えば、検出情報の100ミリ秒単位の時間精度に計測情報の10ミリ秒単位の時間精度を丸めてそろえる処理となる。
【0069】
検出装置3から取得する検出対象2の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正方法は、検出装置3から現在検出情報を受信し、現在検出情報及び過去の現在検出情報である過去検出情報を記憶する第1のステップ(S12)と、現在検出情報及び複数の過去検出情報から過去と現在とを比較し相対速度及び相対距離を算出し、算出された相対距離を用いて、現在検出情報を補正検出情報に補正する第2のステップ(S24)と、を備える。
【0070】
以上のように本実施の形態における補正装置4は、検出装置3から取得する検出対象2の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正装置4であって、検出装置3から現在検出情報を受信し、現在検出情報及び過去の現在検出情報である過去検出情報を記憶する受信情報記憶部31と、現在検出情報及び複数の過去検出情報から過去と現在とを比較し相対速度及び相対距離11を算出し、算出された相対距離11を用いて、現在検出情報を補正検出情報に補正する補正部28と、を備える。
【0071】
これにより、車両7が安全に走行する上で必要な高い精度で検出対象2を検出可能とするように現在検出情報を、現在検出情報では検出しない検出対象2が検出可能となる補正検出情報に補正する補正装置4を実現できる。
【0072】
過去検出情報を、現在検出情報を基準とした正規分布70を参照し所定の範囲71に収まるようにする場合、補正装置4は、現在検出情報から離れた値となる可能性が高い過去検出情報を参照せずに済む。これにより、正規分布70を参照しない場合と比べより高い精度で検出対象2を検出可能となる補正検出情報に補正する補正装置4を実現できる。
【0073】
補正装置4は、さらに計測装置8から車両7における現在計測情報を取得し、記憶部27は現在計測情報及び過去の現在計測情報である過去計測情報を記憶し、補正装置4はさらに補正補助部29を備える。
【0074】
補正補助部29は、現在検出情報と、現在検出情報の検出時刻と一番計測時刻が近い現在計測情報又は過去計測情報とを関連付ける。補正補助部29は、現在検出情報を、関連付けられた現在計測情報又は過去計測情報のうちの計測時刻が現在検出情報の検出時刻に近い現在計測情報又は過去計測情報に基づいて、補正検出情報に補正する。
【0075】
これにより、現在検出情報又は相対距離11を用いた補正検出情報では検出しない検出対象2が検出可能となる補正検出情報に補正する補正装置4を実現できる。またこれにより、例えば、正規分70に基づき6割程度の確率で検出対象2を検出できる範囲を時間teよりも長くする(より過去の情報まで用いる)こともできる。
【0076】
なお上述の実施の形態では、非同期となっている現在検出情報と現在計測情報又は過去計測情報とをタイムスタンプを用いて時間的に同期する場合について述べたが本発明はこれに限らない。
【0077】
例えば、検出装置3と計測装置8との双方において取得可能なGNSS(Global Navigation Satelite System)などによる位置情報を用いて現在検出情報と現在計測情報又は過去計測情報とを位置的に同期してもよい。
【0078】
現在検出情報と現在計測情報又は過去計測情報とを位置的に同期する場合、正規分布70は車両7が位置に応じて検出対象2を検出できる確率の分布を示すものとなり、横軸は時間情報ではなく、距離情報となる。
【符号の説明】
【0079】
1……補正システム、2……検出対象、3……検出装置、4……補正装置、5……路、6……進行方向、7……車両、8……計測装置、9,10……走査線、11……相対距離、12……ブレ、13……ズレ、15……提示装置、20……検出情報取得部、21……検出情報送信部、22……中央演算装置、23……主記憶装置、24……補助記憶装置、25……通信装置、26……制御部、27……記憶部、28……補正部、29……補正補助部、30……提示情報制御部、31……受信情報記憶部、32……オフセット情報記憶部、33……検出情報受信部、34……計測情報受信部、35……提示情報送信部、36……計測情報取得部、37……計測情報送信部、38……提示情報受信部、39……提示部。

【要約】
【課題】検出装置から取得する検出対象の現在検出情報を、車両が安全に走行する上で必要な高い精度となるように、補正検出情報に補正する補正装置を提供することを目的とする。
【解決手段】検出装置から取得する検出対象の現在の検出情報である現在検出情報を補正する補正装置であって、検出装置から現在検出情報を受信し、現在検出情報及び過去の現在検出情報である過去検出情報を記憶する受信情報記憶部と、現在検出情報及び複数の過去検出情報から過去と現在とを比較し相対速度及び相対距離を算出し、算出された相対距離を用いて、現在検出情報を補正検出情報に補正する補正部と、を備える、補正装置を提供する。
【選択図】図2
図1
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