(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】自動プログラム生成機能におけるアイディアの独自性の流出防止方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/30 20180101AFI20241023BHJP
【FI】
G06F8/30
(21)【出願番号】P 2024063360
(22)【出願日】2024-04-10
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】716000938
【氏名又は名称】株式会社Personal AI
(72)【発明者】
【氏名】森 昌也
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218540(JP,A)
【文献】特開昭63-206832(JP,A)
【文献】特開2019-091450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初に入力された内容の文または文節の組み合わせに対して、二番目以降に同等な内容の文または文節の組み合わせが入力されたときにプログラム生成を停止する生成AIまたは自動プログラム生成機能を備えるシステム
【請求項2】
請求項1に記載されたシステムであって、最初の入力者が二番目以降に入力する他者に対してプログラム自動生成の停止または実行の許可を設定することができる生成AIまたは自動プログラム生成機能を備えるシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウエアを自動的に作成する自動プログラム生成機能、所謂自動プログラミングに関し、複数の自動プログラミングを実行する環境つまり自動プログラム生成機能に適用して有効な技術に関する
【背景技術】
【0002】
生成AIが一般的に活用されるようになり、人のプログラミングを必要としない自動プログラム生成機能、所謂自動プログラミングが主流になると、自然言語処理を使用した人工知能によってプログラムが生成され、人によるプログラミングが減少していくと考えられている。自動プログラミングは、現状、人によって作成された自然言語とコードを関連付けたものを利用してプログラムの生成を行っており、自動プログラム生成機能に関連付けたデータベース内に、または自動プログラム生成機能を持ったプログラム内に自然言語に対するプログラミングコードを関連付けている。新たな言葉や文章に対して相当するコードを追加していく。 このコードの挿入先は、自動プログラム生成機能を持ったプログラム内または共通に使用するデータベース内となっている。そのことにより使用者毎に入力した自然言語に関わらず、結果として共通に学習成長し、利用する全てのユーザーがその学習したコードと自然言語との関係を利用することができるようになる。このデータベース内に自然言語対応コードを持つ構造は、複数のデータベースにあっても逐次同期を行い、同一のデータベースを利用する形をとっている。また自動プログラム生成機能内に自然言語対応コードを持つ構造は、全ての自動プログラム生成機能に学習した結果を追加し、再コンパイルして逐次同期を行うことで、同一の自動プログラム生成機を維持できる。 それによって全てのユーザーが学習した結果を同様に享受できる。
【0003】
一方、この同一環境である自動プログラム生成機能のデメリットとして、同じ自然言語文のシナリオを使用すると、同一のプログラムが生成可能となってしまうことにある。独自性のあるアイディアを実現し、付加価値を持ったアプリケーションソフトの開発を行っても、同様な自然言語文章を与えることによって同様の類似アプリケーションソフトが開発可能となり。競争力喪失という問題を生み出すことになる。さらに生成AIの様に自動プログラム生成機能が学習機能を持つことによって1つの自動プログラム生成機能に与えられた自然言語文から作成されたプログラムが、全ての自動プログラム生成機能に共有することで、アイディアの独自性の喪失や流出が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-073306 プログラム作成の為の入力方法をより自然言語(数種類提唱する)に近づけ、プログラム入力に関連の深いデータベースの入力方法
【文献】特開平06-214776 自然言語で書かれたソフトウェア仕様を入力として、対象とするプログラムソースを自動的に生成するもの
【文献】特許7064680 特開平06-214776に自然言語処理の方法を付加し、対応するプログラムコードをデータベースに格納したもの
【文献】特許6958884 特開平06-21477と内容がおなじじあって会話の受付を付加したもの
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生成AIをはじめ自動プログラム生成機能をもつシステムやプログラムにおいて、同じ自動プログラム生成機能を使用する場合、異なる使用環境において任意の同様の自然言語文を入力することによって、同様のプログラムコードが生成されてしまう。入力する自然言語文における独自のアイディアが、生成される同様のプログラムコードを介して流出することを意味している。例えば既存のアプリケーションの機能から機能を記述することで同様な機能をもつプログラムを簡単に生成されることであったり、暗号技術などのプログラムが同様に作成され、そこから暗号解読されてしまうという問題を起こす可能性があることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
自動プログラム生成機能を持つシステムやプログラム生成機能自体が入力された文章、あるいは文節を記憶し、2番目以降に同様な文章あるいは文節が入力された場合、プログラム生成機能を停止することで、同様な文章入力あるいは文節入力に対するプログラム生成ができなくすることで、流出を防止する
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】生成AIをはじめ、プログラム自動生成機能、所謂自動プログラミングの自然言語処理によって与えられた内容を分割し、内容に応じたコードをデータベースから取り出すという一般的な人工知能フロー例と生成AI化した場合のコード取り出し例
【
図2】入力文章または文節の内容を持ち、オプションとして内容が同等であった場合にプログラム生成を許可するか否かを設定するフラグをもつプログラム生成機能例
【
図3】他者が自身の入力以降に同様な入力をした場合にプログラムの自動作成またはそのプログラムを使用して任意のデータを作成することを許可するフラグ設定する例
【
図4】文章入力からプログラム生成までの同等プログラム生成許可フロー例
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ番号を付するものとする。
【0009】
以下の実施の形態では、主に方法またはシステムについて説明するが、当業者であれば明らかなとおり、本発明はコンピュータで使用可能なプログラムとしても実施できる。したがって、本発明は、ハードウェアとしての実施形態、ソフトウェアとしての実施形態またはソフトウェアとハードウェアとの組合せの実施形態をとることができる。プログラムは、ハードディスク、DVD-ROM、光記憶装置または磁気記憶装置、半導体記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。
【0010】
また以下の実施の形態では、一般的なコンピュータシステム等を用いることができる。実施の形態で用いることができるコンピュータシステムやネットワークシステム、人工知能向けシステムは、中央演算処理装置(CPU)、主記憶装置(メインメモリ:RAM)、不揮発性記憶装置(ROM)、コプロセッサ、画像アクセラレータ(GPU)、キャッシュメモリ、入出力制御装置(I/O)、人工知能機能用半導体、フラッシュメモリ等、一般的にコンピュータシステムやネットワークシステム、人工知能向けシステムに備えられるハードウェア資源を備える。また、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等の外部記憶装置、インターネット等のネットワークに接続可能な通信手段を備えることができる。コンピュータシステムには、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、サーバー等各種のコンピュータやクラウド化されたネットワーク接続されたコンピュータやタブレットコンピュータ、スマートフォン等各種携帯情報端末、人工知能を構成するシステムが含まれる。
【0011】
本発明は、自動プログラム生成機能、所謂自動プログラミングにおいて、自動プログラム生成機能によって生成されたプログラムコードを自動プログラム生成機能に追加することで、学習成長する生成AIや自動プログラム生成機能が、成長した結果、同様な自然言語文の入力によって、同様なプログラミングコードを出力できるようになることで、独自性の高い入力内容であっても同様なプログラムコードが出力されてしまうことを防止する事、つまり秘匿性阻害の防止、独自性の流出防止を目的とするものである。
【0012】
生成AIをはじめ、自動プログラミング機能をもつものは、
図1の様に一般的に入力文章を文節単位に分割し、その文節に応じたプログラム要素をデータベールなどから取り出し、任意または岳種によってルール化された手順によって組み合わせることで、プログラム生成生成を行い、その結果を更に組み合わせることで、目的に準じたプログラムを生成する。
【0013】
本発明は、
図2のように自動プログラム生成機能に、入力文章又は入力文章から分割した文節を保持する機能と、保持以降に、これらの入力文章または文節と同等な入力があった場合にその入力文章または文節に相当するプログラム生成を許可するかどうかを設定するユーザーIDに関連付けた許可フラグからなる機能によって構成される。
【0014】
図3は、任意のタイミングでユーザーが、自身の入力文章、あるいは分割された文節でかつその文節が独立して内容として独立して存在する文節または、その文節の組み合わせが自身の入力文よりも後に入力があった場合にプログラム自動生成を許可するかどうかを設定するフロー例である。 許可設定する場合は、他者が同等な入力を行った場合でも、その他者がプログラム自動生成することが可能になる。反対に不許可に設定する場合は、既に同等な内容が保存されている場合は、他者が同等な入力を行った場合でも、その他者がプログラム自動生成することが不可能になる。
【0015】
図4は、プログラム生成防止機能を簡略化したフローの一例である。プログラム自動生成にあたり、期待する機能を記述する文章を入力する。生成AIや自動プログラミングでは、一般的に入力文章は、自然言語処理され、例えば単位機能を構成する文章あるいは文節に分割され、内容別に分割される。この入力文章内容またはその分割された文節内容に対して、この入力以前に保存されたデータベースなどのデータ保存装置に同等な内容をもつ文または分割された文節が存在するかどうかを確認する。つまり保存済内容との比較を実施する。保存済み内容に同等な内容を持つ文または分割された文節が存在しない場合は、この内容を新規な内容として入力者のユーザーIDとともに保存する。更に入力内容に基づいてプログラム自動生成機能に対してプログラム生成を許可する。結果プログラムが生成される。保存済内容との比較によって保存済みデータ内に既に同等な内容が存在する場合は、保存済みデータを最初に入力したユーザーIDに関連付けられた生成許可フラグを確認する。生成許可フラグが許可の場合は、入力内容に基づいてプログラム自動生成機能に対してプログラム生成を許可する。結果プログラム自動生成機能により、プログラムが生成される。生成許可フラグが不許可の場合は、プログラム自動生成機能に対してプログラム生成を許可しない。結果プログラム自動生成機能は、プログラムが生成されない。その結果同等な入力があっても同等なプログラムの生成を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
個々人や会社ごとに他者への流出を避けた独自のアプリケーションソフトウエアを構築する生成AIへの応用が可能
【0017】
また独自に生成したプログラムコードを課金販売するサイトなどに使用可能であり、登録済みユーザーのみ作成済み機能のコードを提供する生成AIに応用することで独自のノウハウを特定のユーザーだけに使用許可を与えることが可能になる。
【要約】
【課題】生成AIや人のコーディング不要の自動プログラミングが主流になると、同様な自然言語の入力によってプログラム自動生成機能で作成されたコードは、同等なコードとなり、他者によって模倣されやすくなる。独自性を担保する自動プログラミングを実現する
【解決手段】自動プログラム生成機能に入力された文章または文節を記録し、以降同等な文章又は文節の入力があった場合に、後者の入力に対して、プログラム生成を停止することで同等な文章、文節入力によって生成されるプログラムの生成を防止する
【選択図】
図3