(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】細胞に基づく治療または処置のためのアッセイ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20241023BHJP
A61K 35/30 20150101ALI20241023BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241023BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20241023BHJP
【FI】
C12Q1/06
A61K35/30
A61P27/02
C12N5/071
(21)【出願番号】P 2021517203
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019053511
(87)【国際公開番号】W WO2020069352
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジン
(72)【発明者】
【氏名】シャン, チンフイ ジーナ
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン, ヘンリー
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/125941(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076002(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0298102(US,A1)
【文献】国際公開第2017/038784(WO,A1)
【文献】Sci Rep,2015年06月09日,vol. 5,article no. 11235 (pp. 1-17)
【文献】Kobe J Med Sci,2007年,vol. 53, no. 5,pp. 265-273
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12N 1/00- 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞に基づく治療または処置の効力の指標として第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を得る方法であって、前記細胞に基づく治療または処置が、網膜前駆細胞(RPC)を含み、前記方法が:
第1の複数の網膜芽細胞腫(RB)細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記馴化培地が、
RPCを培養する
ことによって馴化される培地を含む、ステップと、
少なくとも第2の複数のRB細胞を、前記毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップであって、前記対照培地が、標準培地を含む、ステップと、
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
を含み、
ここで、前記細胞に基づく治療または処置の効力が、前記第1の複数のRB細胞の生存度を前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度と比較することに基づく、方法。
【請求項2】
細胞に基づく治療または処置の効力の指標として第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値を得る方法であって、前記細胞に基づく治療または処置が、網膜前駆細胞(RPC)を含み、前記方法が:
第1の複数のRB細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記馴化培地が、
RPCを培養する
ことによって馴化される培地を含む、ステップと、
少なくとも第2の複数のRB細胞を、前記毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップであって、前記対照培地が、標準培地を含む、ステップと、
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記第1の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、前記第1の複数のRB細胞の生存度の、前記第1の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度の、前記少なくとも第2の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、を含み、
ここで、前記細胞に基づく治療または処置の効力が、前記第1の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値に対する比に基づく、方法。
【請求項3】
前記細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップ
をさらに含み、前記所定のカットオフ値よりも大きい前記効力は、
(a)前記細胞に基づく治療または処置が、対象への投与に関して十分強力であると確認されること;ならびに/あるいは
(b)前記細胞治療または処置の少なくとも1つの治療有効用量が、それを必要とする対象に投与されるべきであること
を示す、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記所定のカットオフ値が約2である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞が、少なくとも約1,000個のRB細胞~少なくとも約250,000個のRB細胞を、少なくとも約10μl~少なくとも約40μlの培地中に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞が、それぞれ少なくとも約50μl~少なくとも約100μlの馴化培地および対照培地と共にインキュベートされ、前記対照培地が、標準培地を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記毒性化合物がアポトーシスを誘導する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記毒性化合物が酪酸ナトリウムである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記酪酸ナトリウムが、
(a)約2mM~約32mM;または
(b)約16mM
の濃度で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞が、
(a)少なくとも約1時間~少なくとも約72時間;または
(b)少なくとも約46時間
の期間にわたりインキュベートされる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度を決定することが、前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の代謝能を測定することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の生存度を決定することが、前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の代謝能を、蛍光に基づくアッセイを使用して測定することを含み、ここで
前記蛍光に基づくアッセイが、
-CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存度アッセイであるか;あるいは
-前記蛍光に基づくアッセイが、前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞を、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)と共に、少なくとも約1時間の間インキュベートすることと、
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記蛍光を測定することと
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性が、発光に基づくアッセイを使用して測定され、前記発光に基づくアッセイが、
(a)Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイシステム;あるいは
(b)前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞を、発光性カスパーゼ-3/7基質と共に、少なくとも約1時間にわたりインキュベートすることと、
前記第1の複数のRB細胞および前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記発光を測定することと
を含む、請求項2から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも第3の複数のRB細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記不活性馴化培地が、
皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを培養する
ことによって馴化される培地を含
み、前記不活性馴化培地が、前記毒性化合物の有害作用から前記第3の複数のRB細胞を保護しない、ステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、前記効力が、前記少なくとも第3の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値に対する比である、ステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい、前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力は、前記方法が妥当であることを示す、ステップと
をさらに含み、前記不活性細胞に基づく治療または処置が、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項2から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも第3の複数のRB細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記不活性馴化培地が、
皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを培養する
ことによって馴化される培地を含
み、前記不活性馴化培地が、前記毒性化合物の有害作用から前記第3の複数のRB細胞を保護しない、ステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
前記第3の複数のRB細胞の生存度を、前記第2の複数のRB細胞の生存度と比較し、それによって、前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい、前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力は、前記方法が妥当であることを示す、ステップと
をさらに含み、前記不活性細胞に基づく治療または処置が、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1
、および請求項2に直接的にも間接的にも従属しない請求項3から1
3のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも第3の複数のRB細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記活性馴化培地が、
網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを培養する
ことによって馴化される培地を含
み、前記活性馴化培地が、前記毒性化合物の有害作用から前記第3の複数のRB細胞を保護する、ステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、前記効力が、前記少なくとも第3の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数のRB細胞の前記倍数変化保護値に対する比である、ステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記所定のカットオフ値よりも大きい、前記活性細胞に基づく治療または処置の効力は、前記方法が妥当であることを示す、ステップと
をさらに含む、請求項2から1
3のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
少なくとも第3の複数のRB細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記活性馴化培地が、
網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを培養する
ことによって馴化される培地を含
み、前記活性馴化培地が、前記毒性化合物の有害作用から前記第3の複数のRB細胞を保護する、ステップと、
前記少なくとも第3の複数のRB細胞の生存度を決定するステップと、
前記第3の複数のRB細胞の生存度を、前記第2の複数のRB細胞の生存度と比較し、それによって、前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記所定のカットオフ値よりも大きい、前記活性細胞に基づく治療または処置の効力は、前記方法が妥当であることを示す、ステップと
をさらに含む、請求項1
、および請求項2に直接的にも間接的にも従属しない請求項3から1
3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記活性細胞に基づく治療または処置が、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
網膜疾患または
網膜の状態の、細胞に基づく治療または処置のための組成物であって、前記組成物が網膜前駆細胞(RPC)を含み、前記細胞治療または処置が、請求項1または請求項2に記載の方法に従って、対象への投与に関して十分強力であると確認されており、前記効力が、約2の所定のカットオフ値よりも大きい、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2018年9月27日に出願された米国仮出願第62/737,359号の優先権および利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は一般に、細胞に基づくアッセイおよび治療に関する。代替の実施形態では、網膜変性の処置に使用されるものを含む、細胞に基づく治療または処置の効力を決定するための、製造製品およびキットを含む組成物、ならびに定量的in vitroアッセイを含む(またはその使用を含む)方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
網膜変性は、網膜における光受容細胞の進行性および不可逆的減少および死によって引き起こされる悪化または変性を指す。光受容細胞の死は、失明をもたらし得る。幹細胞および他の多能性細胞は、網膜変性の患者を処置する際の使用が企図されており、胚性組織、成熟脳、遺伝子操作された皮膚線維芽細胞、およびさらに網膜も含むいくつかの供給源から単離することができる。しかしながら、これらの細胞に基づく治療および処置、より一般的にはがんおよび自己免疫状態を含む広く様々な疾患に向けられた細胞に基づく治療および処置を試験することは、ヒトまたはモデル生物でのin vivoアッセイに費用がかかり、時間もかかり、しばしば定量結果が不十分であるので、困難なままである。したがって、網膜変性の処置に使用されるものを含む、細胞に基づく治療または処置の効力を決定するための、堅牢で費用効果のある時間効率の良い定量的なin vitroアッセイが、当技術分野で必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、第1の複数の細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、馴化培地が、細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞を、毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞の生存度を第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップとを含む、方法を提供する。効力は、第1の複数の細胞の生存度の、第2の複数の細胞の生存度との比であり得る。
【0005】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、第1の複数の細胞を毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、馴化培地が、細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞を、毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、第1の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、第1の複数の細胞の生存度の、第1の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、少なくとも第2の複数の細胞の生存度の、少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、第1の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップとを含む、方法を提供する。
【0006】
先行する方法は、細胞に基づく治療または処置の効力を所定のカットオフ値と比較するステップをさらに含み得、効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合には、細胞に基づく治療または処置が、対象への投与に十分強力であると確認される。
【0007】
先行する方法は、細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップと、効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合、細胞治療または処置の少なくとも1つの治療有効用量を、それを必要とする対象に投与するステップとをさらに含み得る。
【0008】
所定カットオフ値は、約2であり得る。
【0009】
細胞に基づく治療または処置は、網膜前駆細胞(RPC)、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。細胞に基づく治療または処置は、RPCを含む。
【0010】
第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、網膜芽細胞腫(RB)細胞、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、ミュラー細胞由来細胞、MIO-M1細胞、ニューロン細胞、グリア細胞、線維芽細胞、非眼細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、RB細胞を含み得る。第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、少なくとも約1,000個のRB細胞~少なくとも約250,000個のRB細胞を、少なくとも約10μl~少なくとも約40μlの培地中に含み得る。第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、少なくとも約25,000個のRB細胞を、少なくとも約25μlの培地中に含み得る。
【0011】
第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、それぞれ少なくとも約50μl~少なくとも約100μlの馴化培地および対照培地と共にインキュベートすることができる。第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、それぞれ少なくとも約75μlの馴化培地および対照培地と共にインキュベートすることができる。
【0012】
毒性化合物は、アポトーシスを誘導することができる。毒性化合物は、酪酸ナトリウムであり得る。酪酸ナトリウムは、約2mM~約32mMの濃度で存在し得る。酪酸ナトリウムは、約16mMの濃度で存在し得る。
【0013】
第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、少なくとも約1時間~少なくとも約72時間の期間にわたりインキュベートすることができる。第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞は、少なくとも約46時間の期間にわたりインキュベートすることができる。
【0014】
第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定することは、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の代謝能を測定することを含み得る。代謝能は、蛍光に基づくアッセイを使用して測定することができる。
【0015】
蛍光に基づくアッセイは、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞を、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)と共に、少なくとも約1時間の間インキュベートすることと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の蛍光を測定することとを含み得る。蛍光に基づくアッセイは、CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存度アッセイであり得る。少なくとも約20μlの、1:4希釈CellTiter-Blue(登録商標)試薬を、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞に添加することができる。
【0016】
第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性は、発光に基づくアッセイを使用して測定することができる。発光に基づくアッセイは、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞を、発光性カスパーゼ-3/7(luminogenic caspase-3/7)基質と共に、少なくとも約1時間にわたりインキュベートすることと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の発光を測定することとを含み得る。発光性カスパーゼ-3/7基質は、カスパーゼ-3またはカスパーゼ-7により切断されるテトラペプチド配列DEVDを含み得、それによってルシフェラーゼ基質を生成する。発光に基づくアッセイは、Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイシステムであり得る。少なくとも約120μlのCaspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ試薬は、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞に添加することができる。
【0017】
先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、不活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。
【0018】
先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第3の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、不活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。
【0019】
不活性細胞に基づく治療または処置は、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0020】
先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。
【0021】
先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第3の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって、活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。
【0022】
活性細胞に基づく治療は、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0023】
対照培地は、標準培地を含み得る。細胞に基づく治療または処置は、網膜疾患または状態を処置するためのものである。
【0024】
細胞に基づく治療または処置の効力または有効性を測定するための方法であって、1)第1の複数の細胞を、候補化合物および細胞に基づく治療または処置と共にインキュベートするステップと、2)第2の複数の細胞を、候補化合物と共にインキュベートするステップと、3)第1の複数の細胞の生存度および/または代謝活性を決定するステップと、4)第2の複数の細胞の生存度および/または代謝活性を決定するステップと、5)第1の複数の細胞の生存度および/または代謝活性を、第2の複数の細胞の生存度および/または代謝活性と比較し、それによって処置の効力を決定するステップとを含む方法が提供される。一部の態様では、第1の複数の細胞は、第2の複数の細胞と実質的に同じである。
【0025】
第1の複数の細胞および第2の複数の細胞は、同じ細胞型を含み得る。非限定的な例として、細胞型は、ヒト網膜芽細胞腫細胞であり得る。
【0026】
第1の複数の細胞および第2の複数の細胞は、それぞれ、約1,000個~約250,000個の間の細胞(例えば、約1,000;25,000;50,000;75,000;100,000;125,000;150,000;175,000;200,000;225,000;または250,000個)を含み得る。一部の非限定的な例では、第1の複数の細胞および第2の複数の細胞は、それぞれ、約25,000個の細胞を含み得る。
【0027】
細胞に基づく治療または処置は、馴化培地を含み得る。馴化培地は、第3の複数の細胞を培養するのに使用される培地を収集することによって、生成することができる。第3の複数の細胞は、哺乳動物網膜前駆細胞を含み得る。哺乳動物網膜前駆細胞は、ヒト網膜前駆細胞であり得る。第3の複数の細胞は、0.1×106~1×107個の間のヒト網膜前駆細胞(例えば、0.1×106、0.2×106、0.3×106、0.4×106、0.5×106、0.6×106、0.7×106、0.8×106、0.9×106、1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、または1×107個の細胞)を含み得る。一部の非限定的な例では、第3の複数の細胞は、約9×106個のヒト網膜前駆細胞を含み得る。
【0028】
他の実施形態では、第3の複数の細胞は、ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)を含む(例えば、
図8参照)。
【0029】
本明細書で使用される場合、「候補化合物」という用語は、毒性化合物、または半毒性化合などを指すことができる。非限定的な例として、毒性化合物は、アポトーシスを誘導することができる。毒性化合物は、酪酸ナトリウムであり得る。酪酸ナトリウムは、約0mM~約26mMの量(例えば、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26mM)で存在し得る。一部の非限定的な例では、酪酸ナトリウムは、約8mMの量で存在し得る。
【0030】
第1の複数の細胞および第2の複数の細胞は、少なくとも1時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも48時間、または少なくとも72時間、またはそれよりも長い時間の期間、インキュベートすることができる。第1の複数の細胞および第2の複数の細胞は、約2時間、インキュベートすることができる。
【0031】
第1の複数のおよび第2の複数の細胞の生存度を決定することは、第1の複数の細胞および第2の複数の細胞の代謝能を測定することを含み得る。第1の複数の細胞および第2の複数の細胞の代謝能は、蛍光に基づくアッセイを使用して測定することができる。
【0032】
蛍光に基づくアッセイは、1)第1の複数の細胞および第2の複数の細胞を、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)と共に、少なくとも1時間の間インキュベートすることと、2)第1の複数の細胞および第2の複数の細胞の蛍光を測定することと、3)測定された蛍光を比較し、それによって第1の複数の細胞および第2の複数の細胞の生存度を決定することとを含み得る。
【0033】
上記態様のいずれかは、任意の他の態様と組み合わせることができる。
【0034】
本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態の詳細を、添付図面および以下の記述で述べる。本発明の他の特色、目的、および利点は、記述および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【0035】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、参照により全ての目的で本明細書に明示的に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、
第1の複数の細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記馴化培地が、前記細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
少なくとも第2の複数の細胞を、前記毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記第1の複数の細胞の生存度を前記第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって前記細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記効力が、前記第1の複数の細胞の生存度の、前記第2の複数の細胞の生存度との比である、項目1に記載の方法。
(項目3)
細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、
第1の複数の細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記馴化培地が、前記細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
少なくとも第2の複数の細胞を、前記毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記第1の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、前記第1の複数の細胞の生存度の、前記第1の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、前記少なくとも第2の複数の細胞の生存度の、前記少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、前記効力が、前記第1の複数の細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数の細胞の前記倍数変化保護値に対する比である、ステップと
を含む方法。
(項目4)
前記細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップ
をさらに含み、前記効力が前記所定のカットオフ値よりも大きい場合には、前記細胞に基づく治療または処置が、対象への投与に関して十分強力であると確認される、項目1から3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップと、
前記効力が前記所定のカットオフ値よりも大きい場合、前記細胞治療または処置の少なくとも1つの治療有効用量を、それを必要とする対象に投与するステップと
をさらに含む、項目1から3のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記所定のカットオフ値が約2である、項目2または3に記載の方法。
(項目7)
前記細胞に基づく治療または処置が、網膜前駆細胞(RPC)、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、項目1から6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記細胞に基づく治療または処置が、網膜前駆細胞(RPC)、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せから選択される細胞に由来するエクソソームを含む、項目1から6のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記細胞に基づく治療または処置が、RPCを含む、項目1から8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、網膜芽細胞腫(RB)細胞、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、ミュラー細胞由来細胞、MIO-M1細胞、ニューロン細胞、グリア細胞、線維芽細胞、非眼細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、項目1から9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、RB細胞を含む、項目1から10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、少なくとも約1,000個のRB細胞~少なくとも約250,000個のRB細胞を、少なくとも約10μl~少なくとも約40μlの培地中に含む、項目1から11のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、少なくとも約25,000個のRB細胞を、少なくとも約25μlの培地中に含む、項目1から12のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、それぞれ少なくとも約50μl~少なくとも約100μlの馴化培地および対照培地と共にインキュベートされる、項目1から13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、それぞれ少なくとも約75μlの馴化培地および対照培地と共にインキュベートされる、項目1から14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記毒性化合物がアポトーシスを誘導する、項目1から15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記毒性化合物が酪酸ナトリウムである、項目1から16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記酪酸ナトリウムが、約2mM~約32mMの濃度で存在する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記酪酸ナトリウムが、約16mMの濃度で存在する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、少なくとも約1時間~少なくとも約72時間の期間にわたりインキュベートされる、項目1から19のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞が、少なくとも約46時間の期間にわたりインキュベートされる、項目1から20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定することが、前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の代謝能を測定することを含む、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記代謝能が、蛍光に基づくアッセイを使用して測定される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記蛍光に基づくアッセイが、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞を、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)と共に、少なくとも約1時間の間インキュベートすることと、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の前記蛍光を測定することと
を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記蛍光に基づくアッセイが、CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存度アッセイである、項目23に記載の方法。
(項目26)
少なくとも約20μlの、1:4希釈CellTiter-Blue(登録商標)試薬が、前記第1の複数の細胞に、および前記少なくとも第2の複数の細胞に添加される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性が、発光に基づくアッセイを使用して測定される、項目3から26のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記発光に基づくアッセイが、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞を、発光性カスパーゼ-3/7基質と共に、少なくとも約1時間にわたりインキュベートすることと、
前記第1の複数の細胞および前記少なくとも第2の複数の細胞の前記発光を測定することと
を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記発光性カスパーゼ-3/7基質が、カスパーゼ-3またはカスパーゼ-7により切断されるテトラペプチド配列DEVDを含み、それによってルシフェラーゼ基質を生成する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記発光に基づくアッセイが、Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイシステムである、項目27に記載の方法。
(項目31)
少なくとも約120μlのCaspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ試薬が、前記第1の複数の細胞に、および前記少なくとも第2の複数の細胞に添加される、項目30に記載の方法。
(項目32)
少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、前記効力が、前記少なくとも第3の複数の細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数の細胞の前記倍数変化保護値に対する比である、ステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記不活性細胞に基づく治療の効力が前記所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい場合には、前記方法が妥当であると確認される、ステップと
をさらに含む、項目3から31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記第3の複数の細胞の生存度を、前記第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって、前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、
前記不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記不活性細胞に基づく治療の効力が前記所定のカットオフ値よりも低いまたはそれに等しい場合には、前記方法が妥当であると確認される、ステップと
をさらに含む、項目1、2、および4から31のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記不活性細胞に基づく治療または処置が、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、項目32または33に記載の方法。
(項目35)
少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、前記倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、前記効力が、前記少なくとも第3の複数の細胞の前記倍数変化保護値の、前記少なくとも第2の複数の細胞の前記倍数変化保護値に対する比である、ステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記活性細胞に基づく治療の効力が前記所定のカットオフ値よりも大きい場合には、前記方法が妥当であると確認される、ステップと
をさらに含む、項目3から32および34のいずれかに記載の方法。
(項目36)
少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、前記活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、
前記少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、
前記第3の複数の細胞の生存度を、前記第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって、前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、
前記活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、前記活性細胞に基づく治療の効力が前記所定のカットオフ値よりも大きい場合には、前記方法が妥当であると確認される、ステップと
をさらに含む、項目1、2、4から31、および33から34のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記活性細胞に基づく治療が、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
前記対照培地が標準培地を含む、項目1から37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
前記細胞に基づく治療または処置が、網膜疾患または状態を処置するためのものである、項目1から38のいずれかに記載の方法。
【0036】
上記およびさらなる特色は、添付図面と併用すると以下の詳細な記述から、より明らかに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本開示の方法で使用される、蛍光に基づく細胞生存度アッセイの結果を示す、一連のチャートを示す。
【0038】
【
図2】
図2は、本開示の方法を使用して測定された、酪酸ナトリウムの様々な濃度でのヒト網膜前駆細胞馴化培地(hRPC CM)の効力を示す一連の棒グラフを、図式的に示す。各群の青または第1の棒は、標準培地(SM)でインキュベートした細胞に該当し、各群の橙または第2の棒は、hRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。
【0039】
【
図3】
図3は、本開示の方法を使用して測定された、酪酸ナトリウムの様々な濃度でのhRPC CMの効力を示す一連の棒グラフを、図式的に示す。各群の青または第1の棒は、SMでインキュベートした細胞に該当し、各群の橙または第2の棒は、hRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。
【0040】
【
図4】
図4は、本開示の方法を使用して測定された、様々な希釈度のhRPC CMの効力を示す棒グラフを、図式的に示す。各群のシアンまたは第1の棒は、SMでインキュベートした細胞に該当する。各群のグレーまたは第2の棒は、希釈されていないhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。各群の黄色または第3の棒は、2倍に希釈されたhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。各群の暗青色または第4の棒は、4倍に希釈されたhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。各群の緑または第5の棒は、8倍に希釈されたhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。
【0041】
【
図5】
図5は、本開示の方法を使用して測定された、種々の量のヒト網膜前駆細胞(hRPC)を使用して生成したhRPC CMの効力を示す棒グラフを、図式的に示す。各群のシアンまたは第1の棒は、SMでインキュベートした細胞に該当する。各群の橙または第2の棒は、9.0×10
6hRPCを使用して生成したhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。各群のグレーまたは第3の棒は、6.0×10
6hRPCを使用して生成したhRPC CMでインキュベートした細胞に該当する。
【0042】
【
図6】
図6は、本開示の方法を使用して測定された、hRPCの種々の集団から生成したhRPC CMの効力を示す一連の棒グラフを、図式的に示す。左のパネルでは、各群のシアンまたは第1の棒は、SMと共にインキュベートした細胞に該当し;橙または第2の棒は、ロットG1からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞であり;グレーまたは第3の棒は、ロットG2からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の黄色または第4の棒は、ロットG3からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の暗青色または第5の棒は、ロットG5からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当する。右のパネルでは、各群のシアンまたは第1の棒は、SMと共にインキュベートした細胞に該当し;橙または第2の棒は、ロットG1からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞であり;グレーまたは第3の棒は、ロットG2からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の黄色または第4の棒は、ロットG3からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の暗青色または第5の棒は、ロットG5からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当する。
【0043】
【
図7】
図7は、本開示の方法を使用して測定された、hRPCの種々の集団から生成したhRPC CMの効力を示す棒グラフを、図式的に示す。各群のシアンまたは第1の棒は、SMと共にインキュベートした細胞に該当し;橙または第2の棒は、ロットG1からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞であり;グレーまたは第3の棒は、ロットG2からのhRPCから生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の黄色または第4の棒は、ロットG3からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の暗青色または第5の棒は、ロットG4からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の緑または第6の棒は、ロットG5からのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群の薄青色または第7の棒は、ロットL-SBからのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当し;各群のピンクまたは第8の棒は、ロットL-PBからのhRPCを使用して生成したhRPC CMと共にインキュベートした細胞に該当する。
【0044】
【
図8】
図8は、本開示の方法を使用して測定された、様々な細胞型を使用して生成した馴化培地の効力を示す一連の棒グラフを、図式的に示す。左のパネルでは、各群の青または第1の棒は、SMでインキュベートした細胞に該当し;各群の橙または第2の棒は、hRPC CMでインキュベートした細胞に該当し;各群の黄色または第3の棒は、ヒト網膜芽細胞腫細胞を使用して生成した馴化培地でインキュベートした細胞に該当する。右のパネルでは、各群のシアンまたは第1の棒は、SMでインキュベートした細胞に該当し、各群の緑または第2の棒は、ヒト網膜色素上皮細胞を使用して生成した馴化培地でインキュベートした細胞に該当する。
【0045】
【
図9】
図9は、hRPCに関する候補神経栄養因子として選択される、選択されたサイトカインに関する遺伝子発現データを示す。データは、(左から右へ)hRPC、hRB、hRPE、およびhFBを含む多数の細胞型から、qPCRを介して得た。網膜細胞型は、線維芽細胞とは別にグループ分けされる。hRB系は腫瘍に由来し、他の全ての細胞型は、胎児組織に由来するものであった。推定栄養因子OPNの発現は、hRPCに関して最も高くなることがわかる。
【0046】
【
図10】
図10は、本開示の多重化効力アッセイからの結果を示す一連のグラフを、図式的に示す。左上のパネルは、測定された細胞生存度を示す。右上のパネルは、測定されたアポトーシス活性を示す。下のパネルは、上の2つのパネルで示したデータを使用して計算された効力値を示す。
【0047】
【
図11】
図11は、濾過されていないおよび濾過された馴化培地を試験する、本開示の多重化効力アッセイの結果を図式的に示す。
【0048】
【
図12】
図12は、陰性対照馴化培地および陽性対照馴化培地を試験する、本開示の多重化効力アッセイの結果を図式的に示す。
【0049】
【
図13】
図13は、様々なロットのhRPCに由来する馴化培地を試験する、本開示の多重化効力アッセイの結果を、図式的に示す。
【0050】
【
図14】
図14は、種々の播種密度を有するhRPC培養物に由来する馴化培地を試験する、本開示の多重化効力アッセイの結果を図式的に示す。
【0051】
【
図15】
図15は、多重化効力アッセイが線形性の応答を示す、様々な希釈度の馴化培地を試験する本開示の多重化効力アッセイの結果を、図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
遺伝性網膜疾患(ジストロフィー)の最も一般的なタイプは網膜色素変性(RP)であり、最も一般的な変性疾患は加齢黄斑変性(AMD)である。潜在的な治療には、RPの処置におけるヒト網膜前駆細胞(hRPC)の使用、およびAMDの処置における幹細胞由来ヒト色素上皮(RPE)細胞生成物の使用が含まれる。RPの処置におけるhRPCの試験は、処置が、複数のサイトカインのカクテルからもたらされる可能性がある神経栄養効果に依拠することを示していた。これらのサイトカインの役割は、現在のところ部分的にしか描かれていない。製造されたhRPC細胞生成物の効力はバッチごとに様々であることが予想され得るので、in vivo試験および関連する基盤および人員要件を必要とすることなく、患者で使用する前に所与のロットの製造された細胞生成物の栄養有効性を前向きに測定することが可能な、単純で便利なin vitro効力アッセイを有することが助けになり得る。
【0053】
hRPC処置効力を評価する現行の方法は、常染色体劣性RPの十分特徴付けられたモデルである、英国王立外科医師会(RCS)ラットでのin vivo試験である。これらの試験を行うには、その全てにこれらの領域の特殊専門技術を有する関連ある人員を配置しなければならない手術室、電気生理学室、および眼組織学研究室と共に、RCSコロニーを有する動物施設が必要とされる。したがって現行のin vivo試験法は煩雑であり、熟練技術を要し、多くの労力を要し、非常に時間を要し、かつ多くの資源を要する。
【0054】
hRPC処置の神経栄養効果により、in vitroシステムで再現するのを困難になっている。例えば、in vivoで観察された処置の栄養効果は、in vitroで維持しようと試みる細胞である、光受容体のレベルで生じるようである。一態様では、本開示の方法は、動物での試験を必要とすることなく、ヒトでの使用の前に、製造された細胞生成物の効力を測定する手段を提供する。本開示の方法は、細胞培養設備、適度で様々な機器、加えて1日の過程にわたり1名の熟練技術者の労力の使用のみが必要であり得る。容易に入手可能な不死細胞系またはヒト腫瘍細胞系、およびいくつかの他の容易に入手可能な試薬も必要とされる。試験物は、特定の治療細胞型の生きている培養物から以前に採取した細胞培養培地の小試料である。試験設備は、繊細な細胞型の処理を取り扱う必要がないことに、留意されたい。したがって本開示の方法は、既存のin vivoアッセイと比較して、費用が安く、最小限の労力を必要とし、時間的に有効である。本開示の方法は、以前は専門チームを必要とした何カ月にもわたるin vivoプロセスであったものを、1日の1名の技術者によるin vitroプロセスに低減する。
【0055】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定する方法を提供する。方法は、細胞に基づく治療または処置がどの程度強力に細胞の集団の生存度を増加させるのかを決定するのに使用することができる、定量的in vitro効力アッセイを提供する。したがってアッセイは、細胞に基づく治療または処置の、栄養効果の効力を定量する方法を提供する。一態様では、本開示の方法は、毒性化合物を使用して、細胞の集団に代謝傷害をもたらして、細胞に基づく治療または処置の栄養効果の効力をより良く検出する。1つの非限定的な例では、本開示の方法は、特に宿主錐体を含む宿主網膜に対する、ドナー胎児網膜細胞(網膜前駆細胞)の栄養効果の効力を試験するのに使用することができる。ドナー胎児網膜細胞は、改善された視覚機能により決定されるように、神経保護的であるだけでなく、残留宿主網膜細胞に対して急速な再活性化効果も有する、栄養効果を有することが示されている。ドナー細胞は、網膜に統合することが可能であり、細胞分化を介して光受容体の代わりになる(限られた数であり得る)。全体的な効果は、網膜における臨床的に有意な程度の視覚機能を急速にかつ持続的に回復し保存することであり、そうでなければ完全に視覚機能不全となり患者を完全に失明させる。
【0056】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するためのin vitro方法であって、第1の複数の細胞を、毒性化合物および細胞に基づく治療または処置と共にインキュベートするステップと、第2の複数の細胞を、毒性化合物と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって処置の効力を決定するステップとを含む方法を提供する。
【0057】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、第1の複数の細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、馴化培地が、細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞を、毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップとを含む方法も提供する。
【0058】
先行する方法の一部の態様では、効力は、第1の複数の細胞の生存度の、第2の複数の細胞の生存度との比である。
【0059】
一部の態様では、先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第3の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、不活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも低いまたはそれと等しい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。理論に拘泥するものではないが、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む不活性馴化培地は、不活性であることが公知であり、第3の複数の細胞を毒性化合物(例えば、酪酸ナトリウム)の有害作用から保護せず、したがってある特定の所定の値よりも高い効力値を有するべきではない馴化培地である。したがって、不活性馴化培地は陰性対照として働き、特定のアッセイの結果が、不活性馴化培地が低い効力を有するかまたは全く有さないことを示す場合、アッセイの結果はより正確であるとみなすことができる。しかしながら、特定のアッセイの結果が、不活性馴化培地が効力を有することを示す場合には、アッセイの結果は損なわれ、試験される細胞に基づく処置または治療の実際の効力を反映していない場合がある。不活性細胞に基づく治療または処置は、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0060】
一部の態様では、先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第3の複数の細胞の生存度を、第2の複数の細胞の生存度と比較し、それによって、活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、活性細胞に基づく治療の効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。理論に拘泥するものではないが、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む活性馴化培地は、活性であることが公知であり、第3の複数の細胞を毒性化合物(例えば、酪酸ナトリウム)の有害作用から保護し、したがってある特定の所定の値よりも高い効力値を有するべきである馴化培地である。したがって、活性馴化培地は陽性対照として働き、特定のアッセイの結果が、活性馴化培地の効力が低いか全くないことを示す場合には、アッセイの結果は損なわれ、試験される細胞に基づく処置または治療の実際の効力を反映しない場合がある。しかしながら、特定のアッセイの結果が、活性馴化培地が効力を有することを示す場合には、結果は正確であるとみなすことができる。活性細胞に基づく治療または処置は、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0061】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、第1の複数の細胞を、毒性化合物および細胞に基づく治療または処置と共にインキュベートするステップと、少なくとも第2の複数の細胞を、毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、第1の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、第1の複数の細胞の生存度の、第1の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、少なくとも第2の複数の細胞の生存度の、少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、第1の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップとを含む方法も提供する。本明細書で使用される場合、この方法は「多重化効力アッセイ」と呼ばれる。
【0062】
本開示は、細胞に基づく治療または処置の効力を測定するための方法であって、第1の複数の細胞を、毒性化合物および馴化培地と共にインキュベートするステップであって、馴化培地が、細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞を、毒性化合物および対照培地と共にインキュベートするステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞の生存度を決定するステップと、第1の複数の細胞および少なくとも第2の複数の細胞のアポトーシス活性を決定するステップと、第1の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、第1の複数の細胞の生存度の、第1の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、少なくとも第2の複数の細胞の生存度の、少なくとも第2の複数の細胞におけるアポトーシス活性に対する比である、ステップと、細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、第1の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップとを含む方法も提供する。本明細書で使用される場合、この方法は、「多重化効力アッセイ」とも呼ばれる。
【0063】
先行する方法は、細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合には、細胞に基づく治療または処置が、対象への投与に関して十分強力であると確認される、ステップをさらに含み得る。
【0064】
先行する方法は、細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップと、効力が所定のカットオフ値よりも大きい場合、細胞治療または処置の少なくとも1つの治療有効用量を、それを必要とする対象に投与するステップとをさらに含み得る。
【0065】
先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および不活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、不活性馴化培地が、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞におけるアポトーシス活性を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップと、不活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、不活性細胞に基づく治療の効力が、所定のカットオフ値よりも低いまたはそれと等しい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとをさらに含み得る。理論に拘泥するものではないが、不活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む不活性馴化培地は、不活性であることが公知であり、第3の複数の細胞を毒性化合物(例えば、酪酸ナトリウム)の有害作用から保護せず、したがってある特定の所定の値よりも高い効力値を有するべきではない馴化培地である。したがって、不活性馴化培地は陰性対照として働き、特定のアッセイの結果が、不活性馴化培地の効力が低いか全くないことを示す場合、アッセイの結果は、より正確であるとみなすことができる。しかしながら、特定のアッセイの結果が、不活性馴化培地が効力を有することを示す場合には、アッセイの結果は損なわれ、試験される細胞に基づく処置または治療の実際の効力を反映しない場合がある。不活性細胞に基づく治療または処置は、皮膚Tリンパ球、HuT78細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0066】
一部の態様では、先行する方法は、少なくとも第3の複数の細胞を、毒性化合物および活性馴化培地と共にインキュベートするステップであって、活性馴化培地が、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む、ステップと、少なくとも第3の複数の細胞の生存度を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞のアポトーシス活性を決定するステップと、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値を決定するステップであって、倍数変化保護値が、生存度の、アポトーシス活性に対する比である、ステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を決定するステップであって、効力が、少なくとも第3の複数の細胞の倍数変化保護値の、少なくとも第2の複数の細胞の倍数変化保護値に対する比である、ステップと、活性細胞に基づく治療または処置の効力を、所定のカットオフ値と比較するステップであって、活性細胞に基づく治療の効力が、所定のカットオフ値よりも大きい場合には、方法が妥当であると確認される、ステップとを含み得る。理論に拘泥するものではないが、活性細胞に基づく治療または処置を培養するのに使用される培地を含む活性馴化培地は、活性であることが公知であり、第3の複数の細胞を毒性化合物(例えば、酪酸ナトリウム)の有害作用から保護し、したがってある特定の所定の値よりも高い効力値を有するべきである馴化培地である。したがって、活性馴化培地は陽性対照として働き、特定のアッセイの結果が、活性馴化培地の効力が低いか全くないことを示す場合には、アッセイの結果は、損なわれ、試験される細胞に基づく処置または治療の実際の効力を反映しない場合がある。しかしながら、特定のアッセイの結果が、活性馴化培地が効力を有することを示す場合には、結果は正確であるとみなすことができる。活性細胞に基づく治療または処置は、網膜色素上皮細胞(RPE)、ARPE-19細胞、線維芽細胞、CCD-1112Sk細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0067】
一部の態様では、所定のカットオフ値は、約0.5、または約1.0、または約1.5、または約2.0、または約3.0、または約3.5、または約4.0、または約4.5、または約5.0、または約5.5、または約6.0、または約6.5、または約7.0、または約7.5、または約8.0、または約8.5、または約9.0、または約9.5、または約10、または約15、または約20、または約25、または約30、または約35、または約40、または約45、または約50、または約60、または約70、または約80、または約90、または約100であり得る。
【0068】
本開示の方法の一部の態様では、細胞に基づく治療または処置は、馴化培地を含む。「馴化培地」は、標準培地、基本培地、または基礎培地と比較して変更した培地を指す。培地の馴化は、栄養素および/または成長因子などの分子を、基本培地に見出される当初のレベルに追加しまたは当初のレベルから枯渇させ得る。一部の態様では、培地は、ある特定の型の細胞を、ある特定の条件下の培地中である特定の期間にわたり成長させるまたは維持することによって、馴化される。本開示の一部の態様では、馴化培地は、第3の複数の細胞を培養するのに使用される培地を収集することによって生成される。非限定的な例では、第3の複数の細胞は、哺乳動物網膜前駆細胞(RPC)、ヒト網膜前駆細胞(hRPC)、哺乳動物網膜色素上皮細胞(RPE)、ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せを含み得る。哺乳動物網膜前駆細胞は、ヒト網膜前駆細胞(hRPC)であり得る。第3の複数の細胞は、hRPCを含み得る。一部の態様では、培地は、網膜前駆細胞を、定められた組成の培地中で、定められた温度で定められた時間数にわたり増やす、分化させる、または維持させることによって馴化することができる。当業者に理解されるように、細胞、培地のタイプ、持続時間、および環境条件の数多くの組合せを使用して、ほぼ無限で様々な馴化培地を生成することができる。
【0069】
本明細書で提供される方法の一部の態様では、馴化培地は、1×106~1×107個の間のヒト網膜前駆細胞を含む第3の複数の細胞を培養する、増やす、分化させる、または維持するのに使用される培地を収集することによって、生成することができる。他の態様では、第3の複数の細胞は、約9×106個のヒト網膜前駆細胞を含み得る。一部の態様では、第3の複数の細胞は、約8×106個のヒト網膜前駆細胞を含み得る。一部の態様では、第3の複数の細胞は、約6×106個のヒト網膜前駆細胞を含み得る。一部の態様では、第3の複数の細胞は、約4×106個のヒト網膜前駆細胞を含み得る。ヒト網膜前駆細胞から馴化培地を培養および生成する方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2012/158910に記載されている。一部の態様では、馴化培地は、少なくとも約1×106個の細胞、または少なくとも約2×106個の細胞、または少なくとも約3×106個の細胞、または少なくとも約4×106個の細胞、または少なくとも約5×106個の細胞、または少なくとも約6×106個の細胞、または少なくとも約7×106個の細胞、または少なくとも約8×106個の細胞、または少なくとも約9×106個の細胞、または少なくとも約10×106個の細胞の密度で播種された第3の複数の細胞を培養する、増やす、分化させる、または維持するのに使用される培地を収集することによって生成することができる。一部の態様では、馴化培地は、播種後、少なくとも約4時間、または少なくとも約8時間、または少なくとも約12時間、または少なくとも約16時間、または少なくとも約20時間、または少なくとも約24時間、または少なくとも約36時間、または少なくとも約48時間、または少なくとも約60時間、または少なくとも約72時間培養された第3の複数の細胞を培養する、増やす、分化させる、または維持するのに使用される培地を収集することによって生成することができる。
【0070】
本開示の方法の一部の態様では、馴化培地は、本開示のアッセイで使用する前に濾過することができる。一部の態様では、馴化培地は、濃縮器またはフィルターデバイスを遠心分離と組み合わせて使用して、濾過することができる。一部の態様では、馴化培地は、MWCOが少なくとも約3kDa、または少なくとも約10kDa、または少なくとも約30kDa、または少なくとも約50kDa、または少なくとも約100kDaのフィルターに通して濾過することができる。一部の態様では、馴化培地を濾過した後、「保持液」または「上層」画分を、本開示の方法での使用のために単離することができる。一部の態様では、馴化培地を濾過した後、「濾液」または「下層」画分のいずれかを、本開示の方法での使用のために単離することができる。
【0071】
本明細書で提供される方法の一部の態様では、細胞に基づく治療または処置は、哺乳動物網膜前駆細胞(RPC)、ヒト網膜前駆細胞(hRPC)、哺乳動物網膜色素上皮細胞(RPE)、ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せを含む。哺乳動物網膜前駆細胞は、ヒト網膜前駆細胞(hRPC)であり得る。細胞に基づく治療または処置は、hRPCを含み得る。細胞は、遺伝子改変された細胞であってもよい。非限定的な例では、遺伝子改変された細胞には、少なくとも1種のポリペプチドを発現するように、遺伝子をトランスフェクトしておくことができる。非限定的な例では、遺伝子改変された細胞は、少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む少なくとも1種のウイルス粒子に細胞を接触させることにより、感染させておくことができる。
【0072】
本明細書で提供される方法の一部の態様では、細胞に基づく治療または処置または馴化培地は、エクソソームおよび/または微小小胞を含み得る。細胞に基づく治療または処置または馴化培地は、エクソソームおよび/または微小小胞に富む画分を含み得る。エクソソームおよび/または微小小胞は、哺乳動物網膜前駆細胞(RPC)、ヒト網膜前駆細胞(hRPC)、哺乳動物網膜色素上皮細胞(RPE)、ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)、ARPE-19細胞、神経幹/前駆細胞、間葉幹細胞、CD34+細胞、幹/前駆細胞、白血球、線維芽細胞、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない任意の細胞型に由来し得る。細胞は、遺伝子改変された細胞であってもよい。非限定的な例では、遺伝子改変された細胞は、1種のポリペプチドを発現するように、少なくとも1つの遺伝子でトランスフェクトしておくことができる。非限定的な例では、遺伝子改変された細胞は、少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む少なくとも1種のウイルス粒子と細胞を接触させることにより感染させておくことができる。エクソソームおよび/もしくは微小小胞、またはエクソソームおよび/もしくは微小小胞に富む画分は、遠心分離、超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトフラフィー、または当技術分野で標準的な任意の他の技法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で標準的なエクソソーム/微小小胞技法を使用して精製することができる。
【0073】
本開示の方法の一部の態様では、対照培地は標準培地を含む。
【0074】
本開示の方法の一部の態様では、細胞に基づく治療または処置は、それを必要とする対象の網膜疾患または状態を処置するためのものであり得る。網膜疾患または状態は、アッシャー病、網膜色素変性(RP)、変性網膜疾患、加齢黄斑変性(AMD)、滲出型AMDもしくは萎縮型AMD、地図状萎縮、網膜光受容体疾患、糖尿病性網膜症、嚢胞様黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜剥離、網膜損傷、黄斑円孔、黄斑部毛細血管拡張症、外傷性もしくは医原性網膜損傷、神経節細胞もしくは視神経細胞疾患、緑内障もしくは視神経症、虚血性網膜疾患、例えば未熟児網膜症、網膜血管閉塞症、もしくは虚血性視神経症;または明順応(昼間)視力の改善;または矯正視力の改善、または黄斑機能の改善、または視野の改善、または暗順応(夜間)視力の改善を含み得るがこれらに限定されない。
【0075】
先行する方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、同じ細胞型を含み得るか、または異なる細胞型であり得る。第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、種々の細胞型の混合集団を含み得る。細胞型は、生体試料から単離された任意の初代細胞および/または不死ではない細胞型の細胞(即ち、多能性/幹細胞集団からの分化した細胞)であり得る。細胞型は、自発的に不死化された細胞を含むがこれらに限定されない任意の不死化細胞系であり得る。細胞型は、哺乳動物網膜芽細胞腫細胞(RB)、哺乳動物網膜色素上皮細胞(RPE)、哺乳動物網膜前駆細胞(RPC)、ARPE-19細胞、ミュラー細胞由来細胞、MIO-M1細胞、ニューロン細胞、グリア細胞、線維芽細胞、非眼細胞、またはそれらの任意の組合せであり得る。細胞型は、ヒト網膜芽細胞腫細胞(hRB)、ヒト網膜色素上皮細胞、またはヒト網膜前駆細胞であり得る。第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、細胞培養中に懸濁液中で成長させることができる。第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、接着細胞培養法を使用して成長させることができる。
【0076】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞および第2の複数の細胞はそれぞれ、約1,000~約250,000個の間の細胞を含み得る。非限定的な例として、第1の複数の細胞および第2の複数の細胞はそれぞれ、約25,000個の細胞を含み得る。本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せにおける細胞の数は、アッセイで使用されているマイクロタイタープレートのサイズに従い規模を定めることができる。非限定的な例では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、本開示の方法が96ウェルプレートで行われる場合、少なくとも約25,000個の細胞を含み得る。6ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約400,000個の細胞を含み得る。12ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約200,000個の細胞を含み得る。24ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約100,000個の細胞を含み得る。48ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約50,000個の細胞を含み得る。384ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約6,250個の細胞を含み得る。1536ウェルプレートが使用される場合、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約1,562個の細胞を含み得る。
【0077】
本開示の方法の一部の態様では、毒性化合物ならびに馴化および/または標準培地の添加前に、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せを、少なくとも約25μlの標準培地中に懸濁することができる。使用することができる標準培地の量は、アッセイに使用されているマイクロタイタープレートのサイズに基づき調整することができる。非限定的な例では、6ウェルプレートが使用される場合、約400μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、12ウェルプレートが使用される場合、約200μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、24ウェルプレートが使用される場合、約100μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、48ウェルプレートが使用される場合、約50μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、96ウェルプレートが使用される場合、約25μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、384ウェルプレートが使用される場合、約6.25μlの標準培地を使用することができる。非限定的な例では、1536ウェルプレートが使用される場合、約1.56μlの標準培地を使用することができる。
【0078】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約50μl~少なくとも約100μlの馴化培地または対照培地と共にインキュベートすることができる。一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約75μlの馴化培地または対照培地と共にインキュベートすることができる。馴化培地または対照培地の量は、アッセイに使用されているマイクロタイタープレートのサイズに基づき調整することができる。非限定的な例では、6ウェルプレートが使用される場合、約1200μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、12ウェルプレートが使用される場合、約600μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、24ウェルプレートが使用される場合、約300μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、48ウェルプレートが使用される場合、約150μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、96ウェルプレートが使用される場合、約75μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、384ウェルプレートが使用される場合、約18.75μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。非限定的な例では、1536ウェルプレートが使用される場合、約4.68μlの馴化培地または対照培地を使用することができる。
【0079】
本明細書で提供される方法の一部の態様では、毒性化合物はアポトーシスを誘導することができる。一部の態様では、毒性化合物は、アポトーシス、オートファジー、I型細胞死、II型細胞死、壊死、ネクロプトーシス、マクロオートファジー、アノイキス、角質化、興奮毒性、フェロトーシス、活性化誘導細胞死、虚血性細胞死、オンコーシス、ピロトーシス、またそれらの任意の組合せを誘導することができる。
【0080】
毒性化合物は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、化学療法剤、アルカロイド、タキサン、抗微小管剤、毒素、膜透過剤、酵素阻害剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、DNA-修復酵素阻害剤、DNA-損傷剤、UV放射線、ガンマ放射線、ブスルファン、サイトシン、エトポシド、ブレオマイシン、l-アスパラギナーゼ、カルムスチン、アラビノシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ヒドロキシ尿素、クロラムブシル、フロクスウリジン、ビンブラスチン、ダウノルビシン、プロカルバジン、シスプラチン、フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、メルカプトプリン、ビンデシン、マイトマイシン-c、イフォスファミド、メトトレキセート、タキソイド、ミトキサントロン、メルファラン、ゲムシタビン、プリカマイシン、ペメトレキセド アントラサイクリン(pemetrexed anthracyclines)、および/またはエポチロンを含み得るがそれらに限定されない。
【0081】
本開示の方法の一部の態様では、毒性化合物は酪酸ナトリウムである。酪酸ナトリウムは、約1mM~約26mMの間の濃度で存在し得る。酪酸ナトリウムは、約2mM~約24mMの間の濃度で存在し得る。酪酸ナトリウムは、約0mM~約32mMの間の濃度で存在し得る。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約0mMの濃度で存在し、即ち酪酸ナトリウムは添加されない。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約2mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約4mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約6mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約8mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約10mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約12mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約14mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは約16mMの濃度で存在する。本開示の方法の一部の態様では、酪酸ナトリウムは、約18mM、または約20mM、または約22mM、または約24mM、または約26mM、または約28mM、または約30mM、または約32mM、または約34mM、または約36mM、または約38mM、または約40mMの濃度で存在する。
【0082】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも1時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも46時間、または少なくとも48時間、または少なくとも72時間、またはそれよりも長い期間、細胞の生存度を決定する前にインキュベートされる。一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、約1時間、または約2時間、または約72時間、またはそれよりも長くインキュベートされる。一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、細胞の生存度を決定する前に、少なくとも46時間インキュベートされる。
【0083】
本明細書で提供される方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの生存度を決定することは、当技術分野で公知の任意の細胞生存度アッセイを使用することを含み得る。これらには、ATP試験アッセイ、カルセインAMアッセイ、クローン原性アッセイ、エチジウムホモダイマーアッセイ、エバンスブルーアッセイ、フルオレセインジアセテート加水分解/ヨウ化プロピジウム染色アッセイ、フローサイトメトリーアッセイ、ホルマザンに基づくアッセイ、MTTアッセイ、XTTアッセイ、緑色蛍光タンパク質アッセイ、乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ、メチルバイオレットアッセイ、ヨウ化プロピジウムアッセイ、レサズリンアッセイ、トリパンブルーアッセイ、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイ、またはそれらの組合せが含まれるがそれらに限定されない。
【0084】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの生存度を決定することは、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの増殖を決定することを含み得る。本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの生存度を決定することは、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの代謝能を測定することを含む。
【0085】
第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの代謝能は、蛍光に基づくアッセイを使用して測定することができる。蛍光に基づくアッセイは、1)第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せを、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)と共に、少なくとも1時間の間インキュベートすること、2)第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの蛍光を測定することを含み得る。蛍光に基づくアッセイは、3)測定された蛍光を比較し、それによって第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの生存度を決定することをさらに含み得る。一部の態様では、細胞は、レサズリンと共に少なくとも約1時間、または少なくとも約1.5時間、または少なくとも約2.0時間、または少なくとも約2.5時間、または少なくとも約3.0時間、または少なくとも約3.5時間、または少なくとも約4.0時間、または少なくとも約4.5時間、または少なくとも約5.0時間、または少なくとも約5.5時間、または少なくとも約6.0時間、または少なくとも約6.5時間、または少なくとも約7.0時間、または少なくとも約7.5時間、または少なくとも約8.0時間、または少なくとも約8.5時間、または少なくとも約9.0時間、または少なくとも約9.5時間、または少なくとも約10時間、または少なくとも約15時間、または少なくとも約20時間の期間にわたりインキュベートされる。第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの代謝能は、CellTiter-Blue(登録商標)細胞生存度アッセイを使用して測定することができる。一部の態様では、CellTiter-Blue(登録商標)試薬を1:4に希釈することができる。一部の態様では、CellTiter-Blue(登録商標)試薬を、DulbeccoのPBS中に1:4に希釈することができる。一部の態様では、CellTiter-Blue(登録商標)試薬は希釈されない。一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約20μlの希釈されていないまたは希釈されたCellTiter-Blue(登録商標)試薬と共にインキュベートすることができる。一部の態様では、使用される、希釈されていないまたは希釈されたCellTiter-Blue(登録商標)試薬の量は、アッセイに使用されているマイクロタイタープレートに基づき調整することができる。
【0086】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せにおけるアポトーシス活性を決定することは、発光に基づくアッセイを含み得る。発光に基づくアッセイは、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せを、発光性カスパーゼ-3/7基質と共に少なくとも約1時間インキュベートすることと、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せの発光を測定することとを含み得る。発光性カスパーゼ-3/7基質とのインキュベーションは、少なくとも約1時間、または少なくとも約1.5時間、または少なくとも約2.0時間、または少なくとも約2.5時間、または少なくとも約3.0時間、または少なくとも約3.5時間、または少なくとも約4.0時間、または少なくとも約4.5時間、または少なくとも約5.0時間、または少なくとも約5.5時間、または少なくとも約6.0時間、または少なくとも約6.5時間、または少なくとも約7.0時間、または少なくとも約7.5時間、または少なくとも約8.0時間、または少なくとも約8.5時間、または少なくとも約9.0時間、または少なくとも約9.5時間、または少なくとも約10時間、または少なくとも約15時間、または少なくとも約20時間の期間にわたり得る。一部の態様では、発光性カスパーゼ-3/7基質は、カスパーゼ-3またはカスパーゼ-7によって切断されるテトラペプチド配列DEVDを含み、それによって、ルシフェラーゼ基質を生成する。一部の態様では、発光に基づくアッセイは、Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイシステムである。一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも約120μlのCaspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ試薬と共にインキュベートすることができる。Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ試薬の量は、アッセイに使用されているマイクロタイタープレートに基づいて調整することができる。非限定的な例では、96ウェルマイクロタイタープレートが使用される場合、約120μlのCaspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ試薬を使用することができる。
【0087】
本開示の方法の一部の態様では、第1の複数の細胞、第2の複数の細胞、第3の複数の細胞、またはそれらの任意の組合せは、標準アッセイプレートでインキュベートすることができる。これには、6、12、14、48、96、384、または1536試料ウェルを備えたマイクロタイター、マイクロプレート、またはマイクロウェルプレートが含まれるがそれらに限定されない。アッセイプレートの表面は、アッセイプレート上への細胞の付着が容易になるように、分子でコーティングすることができる。例示的なコーティングには、ポリ-D-リシンまたはヒトフィブロネクチンが含まれるがそれらに限定されない。アッセイプレートは、コーティングされないままにすることができる。
【0088】
上記態様および実施形態のいずれかは、本明細書に開示される課題を解決するための手段および/または発明を実施するための形態の、任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0089】
本明細書および添付される特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段に明示しない限り、複数指示対象を含む。
【0090】
文脈から具体的に述べられるかまたは明らかではない限り、本明細書で使用される場合、「または」という用語は包括的であると理解され、「または」および「および」の両方を包含する。
【0091】
文脈から具体的に述べられるかまたは明らかではない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野での通常の許容量の範囲内、例えば平均の2標準偏差内と理解される。約は、記述される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。文脈から別段明らかにされない限り、本明細書で提供される全ての数値は、「約」という用語によって修飾される。
【0092】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が関係する当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似したまたは等しい他のプローブ、組成物、方法、およびキットが、本開示の実施に際して使用することができ、例示的な材料および方法を本明細書に記載する。本明細書で使用される用語は、単に特定の態様について記載することを目的とし、限定しようとするものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0093】
下記の実施例では、ヒト網膜芽細胞腫(hRB)Y79(ATCC(登録商標)HTB-18(商標))細胞を、20%ウシ胎児血清を補充したATCC(登録商標)-処方RPMI-1640培地中で培養することによって、使用のために増やし維持した。細胞は、ATCC(登録商標)の推奨に従い維持した。ヒト網膜前駆細胞(hRPC)およびヒト網膜色素上皮細胞(hRPE細胞)を、18~20週齢のヒト胎児から単離し、Advanced DMEM/F12と共に1×N-2栄養補助剤、1×GlutaMax-1、20ng/mlヒトFGF-塩基性タンパク質、および20ng/mlヒトEGFタンパク質を含む標準培地(SM)中で増殖させた。
【0094】
下記の実験では、馴化培地(CM)を、SM中で48時間成長させた(24時間後にSMの交換を伴う)hRPC、hRB細胞、またはhRPEから収集した。細胞を回収し、各CM収集後にカウントした。
【0095】
(実施例1)
コーティングされたおよびコーティングされていない基材
種々のコーティング試薬を試験して、本開示の方法での使用に適切な基材を決定した。
【0096】
不透明な96ウェルアッセイプレートを、コーティングしないままにするか、ポリ-D-リシンでコーティングするか、またはヒトフィブロネクチンでコーティングした。プレートを、室温で5分~2時間、各ウェル内で25μl~50μlの200μg/mlポリ-D-リシン溶液をインキュベートすることにより、ポリ-D-リシンでコーティングした。あるいは、250μlの200μg/mlポリ-D-リシン溶液を、室温で1時間、各ウェル内でインキュベートした。インキュベーション後、プレートをddH2Oですすぎ、次いで2時間、空気乾燥させた。プレートを、300μlの20μg/mlヒトフィブロネクチン溶液を37℃で一晩インキュベートすることにより、ヒトフィブロネクチンでコーティングした。一晩のインキュベーション後、プレートをAdvanced DMEM/F12ですすいだ。
【0097】
次いでヒト網膜芽細胞腫(hRB)Y79(ATCC(登録商標)HTB-18(商標))細胞を、3つの異なるアッセイプレートに添加した。ヒトフィブロネクチンプレートの場合、hRB細胞がコロニーをつくるのが観察された。逆に、ポリ-D-リシンプレートでは、hRB細胞が均等に分布するのが観察された。細胞を、ヒト網膜前駆細胞標準培地中で、コーティングされていないプレートに添加した場合、細胞は、コーティングの欠如にも関わらずプレートに付着した。したがってコーティングされていないプレートも、本開示の方法で使用することができる。
【0098】
(実施例2)
蛍光に基づく細胞生存度アッセイ
細胞生存度を測定する、蛍光に基づくアッセイを、本開示の方法での使用のために試験した。
【0099】
最初に、12.5×103、2.5×104、5.0×104、1.0×105、および2.0×105個のヒト網膜芽細胞腫(hRB)Y79(ATCC(登録商標)HTB-18(商標))細胞を、96ウェルアッセイプレートの5つの個別のウェルに播き、50μlのSM中でインキュベートした。細胞を30分~2時間沈降させた後、次いで細胞を、完全に混合した後、250μlのヒト網膜前駆細胞馴化培地と共にインキュベートした。次いで200μlの培地を吸引し、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドナトリウム塩)を含む20μlの希釈されたCellTiter-Blue(登録商標)試薬(DPBS中1:4)を、37℃で1、2、3、または4時間、細胞に添加した。レサズリンは、生存細胞により内在化されたときに、レソルフィンとして公知の化合物に還元される化合物である。レソルフィンは蛍光性が高く、このことは、生成した蛍光シグナルを使用して、レサズリンと共にインキュベートした細胞の生存度を決定することができることを意味する。代謝能に欠ける非生存細胞は、レサズリンからレソルフィンに還元せず、したがって蛍光シグナルが発生しない。
【0100】
各ウェルの蛍光を、レサズリンとのインキュベーション後に測定した。蛍光シグナルを、520nmの励起波長および580~640nmの放射波長で読み取った。各処置を、三連または四連で行った。
図1に示されるように、全ての細胞量にわたり、1、2、または3時間のインキュベーション時間に関して線形応答(R
2=0.99)があった。これらの結果は、細胞当たりの最大処置効果を実現し、実験の持続時間および試料内のばらつきを最小限に抑えるために、本開示の方法が2.5×10
4細胞/ウェルおよび2時間のレサズリンインキュベーション時間を使用することができることを示す。
【0101】
(実施例3)
ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力の決定
本開示の方法を使用して、ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力を試験した。
【0102】
最初に、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、ヒト網膜前駆細胞馴化培地(hRPC CM)または標準培地(SM:ヒト網膜前駆細胞に曝露されていない標準ヒト網膜前駆細胞培地)のいずれかと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないか、2mMの酪酸ナトリウム、4mMの酪酸ナトリウム、または8mMの酪酸ナトリウムを補充した。新たに作製された200mMの酪酸ナトリウムを、250μlの培地に添加して、様々な酪酸ナトリウム濃度を生成した。hRPC CMを、9.0×106個のヒト網膜前駆細胞を使用して生成した。
【0103】
hRB細胞を、300μlの様々な培地中で、1時間または72時間のいずれかでインキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。簡単に言うと、200μlの細胞培養物を、20μlの希釈されたCellTiter-Blue(登録商標)試薬と混合し、1~2時間インキュベートした。次いで各試料の蛍光を測定した。
図2に示されるように、細胞増殖に起因して、1時間のインキュベーション(左パネル)と比較してより強力な蛍光シグナルが、72時間のインキュベーション(右パネル)後に観察された。しかしながら、より高い濃度の酪酸ナトリウムが蛍光シグナルの減少をもたらしたように、有意な用量依存的な酪酸ナトリウムで誘導されたアポトーシスが、72時間インキュベートした試料中で観察され、このことから、細胞増殖および生存度の減少が示された。
【0104】
hRPC CMと共にインキュベートした細胞は、1時間および72時間の両方のインキュベーショに関し、SMと共にインキュベーションされた細胞と比較して増加した蛍光シグナルを示した。これらの結果は、hRPC CMが、アポトーシス誘導性酪酸ナトリウムの存在下であっても、hRB細胞の生存度を強力に増加させたことを示す。最高hRPC CM効力は、8mMの酪酸ナトリウムと共にインキュベートした細胞で観察され、hRPC CMは、1時間および72時間の両方の時点で、SMと比較して増加した細胞生存度において、約2倍の効力を示した。これらの予備的結果は、8mMの酪酸ナトリウムが最大の検出可能なシグナルを提供することを示した。
【0105】
別の実験では、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、hRPC CMまたはSMのいずれかと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないか、8mMの酪酸ナトリウム、16mMの酪酸ナトリウム、または24mMの酪酸ナトリウムを補充した。hRPC CMを、9.0×106ヒト網膜前駆細胞を使用して生成した。
【0106】
hRB細胞を、1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図3に示されるように、hRPC CMと共にインキュベートしたhRB細胞は、SMと共にインキュベートしたhRB細胞と比較して、増加した蛍光シグナルを示した。この傾向は、4つ全ての酪酸ナトリウム濃度にわたって一貫していた。これらの結果は、高濃度のアポトーシス誘導性酪酸ナトリウムの存在下であっても、hRPC CMが、hRB細胞の生存度を強力に増加させたことを示す。
【0107】
(実施例4)
種々の用量でのヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力の決定
本開示の方法を使用して、ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力が用量依存的であるかどうかを試験した。
【0108】
最初に、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、hRPC CM、SM、SMで2倍希釈したhRPC CM(0.5×hRPC CM)、SMで4倍希釈したhRPC CM(0.25×hRPC CM)、またはSMで8倍希釈したhRPC CM(0.125×hRPC CM)と共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないか、または8mMの酪酸ナトリウムを補充した。hRPC CMを、9.0×106ヒト網膜前駆細胞を使用して生成した。
【0109】
hRB細胞を、1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図4に示されるように、さらに濃縮されたhRPC CMと共にインキュベートした細胞は、さらに希釈されたhRPC CMと共にインキュベートした細胞およびSMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光シグナルを示した。これらの結果は、hRPC CMが、用量依存的な方法でhRB細胞の生存度を強力に増加させたことを示す。
【0110】
別の実験では、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、9.0×106ヒト網膜前駆細胞(hRPC CM 9M)を使用して生成したhRPC CM、6.0×106ヒト網膜前駆細胞(hRPC CM 6M)を使用して生成したhRPC CM、またはSMと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないか、または8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0111】
hRB細胞を1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図5に示されるように、hRPC CM 9Mと共にインキュベートした細胞は、両方の酪酸ナトリウム濃度で、hRPC CM 6Mと共にインキュベートした細胞およびSMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光値を示した。この結果は、hRPC CM処置の効力が、馴化培地を生成するのに使用されたhRPCの数に依存することを示す。
【0112】
これらの結果は、本明細書で提供された方法を使用して、網膜色素変性の処置に関して、hRPCに基づく治療の効力を決定できることを示す。
【0113】
(実施例5)
ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力が、種々のhRPC集団を使用して再現可能であるかの決定
本開示の方法を使用して、馴化培地が種々の生成物ロットからの別々の集団のhRPCを使用して生成した場合、ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力が再現可能であるかどうかを試験した。
【0114】
最初に、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、G1と指定されたロットからの5.4×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G1 5.4)、G2と指定されたロットからの3.7×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G2 3.7)、G3と指定されたロットからの4.5×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G3 4.5)、G5と指定されたロットからの5.0×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G5 5.0)、またはSMと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないかまたは8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0115】
hRB細胞を、2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図6の左パネルに示されるように、hRPC CMでと共にインキュベートした細胞は、両方の酪酸ナトリウム濃度で、SMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光値を示した。この増加は、馴化培地を生成するのに使用したhRPCのロットとは無関係に観察された。
【0116】
別の実験では、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、G1と指定されたロットからの3.7×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G1 3.7)、G2と指定されたロットからの2.9×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G2 2.9)、G3と指定されたロットからの3.35×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G4 3.35)、G5と指定されたロットからの3.25×106/10ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G5 3.25)、またはSMと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないかまたは8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0117】
hRB細胞を2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図6の右パネルに示されるように、hRPC CMと共にインキュベートした細胞は、両方の酪酸ナトリウム濃度で、SMと共にインキュベートした細胞と比較して増加した蛍光値を示した。この増加は、馴化培地を生成するのに使用したhRPCの供給源とは無関係に、観察された。
【0118】
別の実験では、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、G1と指定されたロットからの2.038×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G1 2.038)、G2と指定されたロットからの1.774×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G2 1.774)、G3と指定されたロットからの1.543×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G3 1.543)、G4と指定されたロットからの1.542×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G4 1.542)、G5と指定されたロットからの1.318×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM G5 1.318)、L-SBと指定されたCMO Seed Bank試料からの1.977×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM L-SB)、L-PBと指定されたL Product Bank試料からの1.162×106/4ml hRPCを使用して生成したhRPC CM(hRPC CM L-PB)、またはSMと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないかまたは8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0119】
hRB細胞を2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図7に示されるように、hRPC CMと共にインキュベートした細胞は、両方の酪酸ナトリウム濃度で、SMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光値を示した。この増加は、馴化培地を生成するのに使用したhRPCの供給源とは無関係に観察された。
【0120】
この実施例の結果は、強力な馴化培地を生成するのに、hRPCの種々の集団を使用することができることを示す。種々のhRPCロットからの馴化培地の効力は、SMに対し、一貫して高い代謝活性を示した。ロット間の効力にはいくらかの相違があったが、このことは馴化培地収集時の標準化の欠如に起因する可能性が最も高い。
【0121】
(実施例6)
ヒト網膜前駆細胞馴化培地の効力が特異的であるかの決定
本開示の方法を使用して、hRPC CMの効力が、他の細胞型を使用して生成した馴化培地に対してhRPCを使用して生成した馴化培地に特異的であるかどうかを試験した。
【0122】
最初に、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、9.0×106個のヒト網膜前駆細胞を使用して生成したhRPC CM(hRPC CM 9M)、12.2×106個のhRB細胞を使用して生成したhRB馴化培地(hRB CM 12.2M)、またはSMと共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないかまたは8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0123】
hRB細胞を、1または2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図8の左パネルに示されるように、hRPC馴化培地と共にインキュベートした細胞は、hRB馴化培地およびSMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光シグナルを示した。この傾向は、酪酸ナトリウム濃度の全体にわたって一貫していた。
【0124】
別の実験では、hRB細胞を、2.5×104細胞/ウェルの密度でアッセイプレート上に播いた。次いで細胞を、7.0×106ヒト網膜色素上皮細胞を使用して生成したヒト網膜色素上皮細胞馴化培地(hRPE CM 7M)または標準培地(SM;ヒト網膜前駆細胞に曝露されていない標準ヒト網膜前駆細胞培地)と共にインキュベートした。培地に、酪酸ナトリウムを補充しないかまたは8mMの酪酸ナトリウムを補充した。
【0125】
hRB細胞を、1または2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞生存度を、上述のようにCellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用して測定した。
図8に示されるように、hRPE馴化培地と共にインキュベートした細胞は、SMと共にインキュベートした細胞と比較して、増加した蛍光シグナルを示した。この傾向は、酪酸ナトリウム濃度の全体にわたって一貫していた。
【0126】
(実施例1~6のまとめ)
先行する実施例で使用した標的細胞の型(hRB系)は、予測されるin vivo細胞標的(即ち、患者の網膜)とは実質的に異なるが、本開示の方法は、それにも関わらず、治療細胞からの拡散性栄養活性の種々のレベルを検出および区別する能力を実証する。アッセイでの使用のための非常に異常な標的細胞の選択は、本開示の方法を、様々な異なる疾患状況、特にin vitro実験では手に負えない標的細胞型を有し得るものに対し、高度に適応可能にする。
【0127】
(実施例7)
馴化培地の収集
下記の実施例は、本開示の方法での使用のための馴化培地の生成および収集について記載する。より詳細には、この実施例は、hRPCを成長させるのに使用される馴化培地の収集について記載する。
【0128】
最初に、hRPC細胞を含有するバイアルを液体窒素から取り出し、それらのキャップを細胞培養フード内で緩めて、圧力を解放した。次いでキャップを再び締めた。次いでhRPC細胞を、氷の結晶が消失するまで37℃の水浴に2~3分間バイアルを入れることにより、解凍した。次いで全細胞懸濁液(約1ml/バイアル)を、1mlのピペットチップを使用して15mlの円錐底管に移した。バイアルを新鮮な冷標準培地(SM)で1~2回すすぎ、すすぐのに使用されたSMを、細胞懸濁液に滴下添加した。次いで細胞混合物全体を穏やかに振盪させた。
【0129】
10~14mlの冷やした新鮮なSMを、15mlの円錐底管中の細胞懸濁液に添加し、混合物を穏やかに振盪させた。次いで細胞を、管を300×gで5分間遠心分離することによってペレット化した。次いで上澄みを吸引し、廃棄した。次いで新鮮な冷SMを使用して、細胞ペレットを、1mlのピペットチップを使用して再懸濁して、細胞ペレットを6~8回上下させて穏やかにピペッティングした。次いで細胞生存度および細胞数を、血球計算盤またはCountessカウンターを使用して測定した。測定された細胞数に基づいて、800万個の解離した生細胞を、10mlの新鮮なSM中のフィブロネクチンで予めコーティングした新しいT75フラスコ内に播種した。次いで細胞培養物を即座に穏やかに揺動させた。
【0130】
播種した後、細胞を、倒立型顕微鏡で検査して、細胞培養フラスコ内に細胞が均等に分布したことを確実にした。不均等な分布が観察された場合、均等な分布が実現されるまで細胞を穏やかにさらに揺動させた。次いで細胞を、37℃および5%CO2でインキュベートした。
【0131】
翌日、細胞を、倒立型顕微鏡下でチェックし、それらの状態を記録した。観察後、細胞培養培地全体を、hRPC培養フラスコから吸引し、廃棄した。次いで10mlの、予め温めた(37℃)SMを各T75フラスコに添加した。次いで細胞を、37℃および5%CO2でインキュベートした。
【0132】
次に、細胞の状態を、倒立型顕微鏡下で再びチェックした。次いで馴化培地を吸引し、hRPC培養フラスコから収集した。次いで培地を、475×gで5分間遠心分離した。次いで遠心分離した馴化培地を、冷やしたブロック上に置いた。次いで馴化培地を、死細胞および細胞残滓を含有する管底部のペレットの吸引が回避されるよう注意を払いながら、1.5mlの管に採った。次いで一定分量採取された馴化培地を、本開示の方法での使用のための長期保存に向けて即座に-80℃に移した。
【0133】
その後、5mlの予め温めた37℃のSM培地を、hRPC細胞を含有するT75培養フラスコに添加した。次いでフラスコを穏やかに揺動させ、培地を吸引し、廃棄した。次いで4mlのTrypLE Select作業溶液を、各T75フラスコに添加し、次いでフラスコを穏やかに揺動させて、TrypLE Select作業溶液で細胞が成長している表面を完全に覆った。細胞を、TrypLE Select作業溶液中で5分間、37℃および5%CO2でインキュベートした。
【0134】
インキュベーション後、細胞を、倒立型顕微鏡下で検査して、細胞の少なくとも95%が細胞培養物表面から離脱するのを確実にした。さらなる離脱が必要な場合、培養フラスコをさらに撹拌した。
【0135】
細胞の酵素解離を停止させるため、5mlのSMをT75フラスコに添加した。次いで培地を徐々に漸増して、滅菌血清ピペットを使用してフラスコの表面から細胞を洗い落とした。次いで細胞懸濁液を、滅菌した15mlの管に移した。次いで管を、冷やしたブロックに置いた。次いでT75フラスコを、追加の5mlの新鮮なSMを使用して再びすすぎ、次いでこれを滅菌した15mlの管に移した。次いで細胞を含有する15mlの円錐管を、卓上遠心分離機で、300×gで5分間、4℃で遠心分離した。遠心分離後、上澄みを吸引し、廃棄した。次いで冷(4℃)BSS Plus溶液を、ペレット化細胞に添加した。次いでペレットを、1mlのピペットチップを使用して再懸濁して、BSS Plus溶液を6~10回上下させて穏やかにピペッティングした。懸濁液を、冷やしたまま保持し続けた。最後に、細胞生存度および細胞数を、血球計算盤またはCountessカウンターを使用して測定した。
【0136】
(実施例8)
本開示の多重化効力アッセイ
この実施例は、本開示の多重化効力アッセイ、および細胞に基づく治療または処置の効力を決定する際のその使用を含む、様々な実験について記載する。
【0137】
多重化効力アッセイの非限定的な例では、RB細胞を96ウェルプレートに播いた。各ウェルには、25,000個のRB細胞を25μlのSMに播いた。次いで各ウェルを、75μlの馴化培地(場合によっては、実験に応じて希釈された馴化培地)または75μlの対照培地(標準培地、陽性対照馴化培地、陰性対照馴化培地)のいずれかで処置した。次いで酪酸ナトリウムを各ウェルに添加して、16mMの最終濃度にした。一部の実験では、酪酸ナトリウムを添加して8mM、16mM、もしくは32mMの最終濃度にするか、または酪酸ナトリウムを全く添加せずに、アッセイのアウトプットに対する酪酸ナトリウム濃度の効果を決定した。次いで細胞を、37℃で46時間インキュベートした。
【0138】
46時間のインキュベーション後、20μlのCellTiter-Blue(登録商標)試薬(DulbeccoのPBSで1:4に希釈した)を各ウェルに添加した。次いで細胞を37℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞の生存度を、(530Ex/590Em)で各ウェルの蛍光を記録することにより測定した。
【0139】
細胞生存度の測定後、等体積(120μl)のCaspase-Glo(登録商標)3/7試薬を各ウェルに添加した。次いで細胞を、室温で1.5時間インキュベートして、定常状態のルシフェラーゼアウトプットを実現した。インキュベーション後、各ウェルの発光を測定して、各ウェルにおけるアポトーシス活性を決定した。次いで各ウェルに対する倍数変化保護値を、上述のように計算した。次いで各ウェルに対する効力値を、各ウェルの倍数変化保護値の比を取り、対照培地、より具体的には標準培地を使用してウェルに関して計算された倍数変化保護値に対して正規化することによって計算した。
【0140】
図10は、様々な量の酪酸ナトリウム、ならびに標準培地、hRPCの1つの集団からの馴化培地、またはhRPCの異なる集団からの馴化培地を含む条件を用いた、先行する多重化法を使用した実験からの結果を示す。
図10の左上パネルは、CellTiter-Blue(登録商標)試薬を使用した各条件について測定された生存度を示す。
図10の右上パネルは、Caspase-Glo(登録商標)3/7試薬を使用して各条件について測定されたアポトーシス活性を示す。
図10の下パネルは、上述のように計算された効力値を示す。これらの結果は、hRPCの両方の集団からの馴化培地が、酪酸ナトリウムの有害作用からRB細胞を保護することを示す。さらに、結果は、16mMの酪酸ナトリウムの使用が、本開示の多重化効力アッセイを使用して最大効力シグナルをもたらすことを示す。
【0141】
図11は、16mMの酪酸ナトリウム、および濾過されていないまたは濾過された馴化培地を使用した、先行する多重化法を使用した実験からの結果を示す。簡単に言うと、10mlのhRPCからの馴化培地を、Amicon(登録商標)Ultra 3Kフィルターデバイス(Millipore UFC900324)に添加した。スイングバケットローターを使用して、馴化培地を含むデバイスを、4,000×gで約10~15分間遠心分離した。「上層」または「保持液」画分は、フィルターデバイスにピペットを挿入し、左右の掃引運動により試料を取り出すことによって、全回収を確実にした。「底部」または「濾液」画分は、フィルターデバイスを除去し、フィルターを通過した試料の部分を収集することによって、回収した。
図11に示されるように、濾過されていない馴化培地は、酪酸ナトリウムの有害作用からRB細胞を保護した。対照的に、「底部」、または「濾液」画分は、同程度にRB細胞を保護しなかった。
【0142】
図12は、16mMの酪酸ナトリウム、ならびに標準培地、HuT78細胞からの馴化培地、およびARPE-19細胞からの馴化培地を使用した、先行する多重化法を使用した実験からの結果を示す。HuT78細胞からの馴化培地は、この馴化培地がRB細胞を酪酸ナトリウムの有害作用から保護しないことが予想されるので、陰性対照馴化培地である。ARPE-19細胞からの(form)馴化培地は、この馴化培地がRB細胞を酪酸ナトリウムの有害作用から保護することが予想されるので、陽性対照馴化培地である。
図12に示されるように、予想されるようにARPE-19馴化培地はRB細胞を保護したが、HuT78馴化培地は保護しなかった。したがって本開示の方法は、行われるアッセイの完全性を確実にするために、陽性および陰性対照馴化培地の使用を含み得る。
【0143】
図13は、16mM酪酸ナトリウム、ならびに標準培地、hRPCの3つの異なる「ロット」(異なる集団、G1、G2、およびG5)からの馴化培地、およびCCD-1112Sk細胞からの馴化培地を使用した、先行する多重化法を使用した実験からの結果を示す。CCD-1112Sk細胞からの馴化培地は、この馴化培地がRB細胞を酪酸ナトリウムの有害作用から保護することが予想されるので、陽性対照馴化培地である。
図13に示されるように、hRPCの3つ全てのロットからの馴化培地およびCCD-1112Sk細胞からの陽性対照馴化培地は全て、酪酸ナトリウムの有害作用からRB細胞を保護した。したがってこれらの結果は、本開示の方法が、種々の細胞に基づく処置または治療の、独立した「ロット」を試験するのに使用することができ、かつ測定された効力値が堅固であることを示す。
【0144】
図14は、16mMの酪酸ナトリウムならびに標準培地および様々な播種密度のhRPC培養物からの馴化培地を使用した、先行する多重化法を使用した実験からの結果を示す。馴化培地を、400万、600万、または900万個の細胞の播種密度を使用したこと以外、実施例7の方法に類似した方法を使用して、収集した。
図14に示されるように、より高い播種密度を有するhRPC培養物に由来する馴化培地は、酪酸ナトリウムの有害作用からのRB細胞のさらなる保護を提供する。したがって、本開示の方法の、測定された効力値は、用量依存性を示すことができる。
【0145】
(実施例9)
本開示の方法は線形性を示す
この実施例は、希釈系列の馴化培地(CM)が使用された場合、測定された効力における線形性を本開示の方法が示すことを、実証する実験について記載する。
【0146】
最初に、RB細胞を96ウェルプレートに播いた。各ウェルについて、25,000個のRB細胞を25μlのSMに播いた。次いで希釈系列の馴化培地(例えば、実施例7の方法を使用して生成した)を下記の通り調製した:
i. 100%CM:CMのみ
ii. 75%CM:75%CM+25%SM
iii. 50%CM:50%CM+50%SM
iv. 25%CM:25%CM+75%SM
v. 12.5%CM:12.5%CM+87.5%SM
vi. 0%CM:100%SM
【0147】
75μlの馴化培地(a~f)のそれぞれを、96ウェルプレートの別々のウェルに添加した。次いで酪酸ナトリウムを、16mM酪酸ナトリウムの最終濃度に向けて各ウェルに添加した。次いで細胞を46時間、37℃でインキュベートした。
【0148】
インキュベーションの46時間後、20μlのCellTiter-Blue(登録商標)試薬(DulbeccoのPBSで1:4に希釈した)を各ウェルに添加した。次いで細胞を37℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞の生存度を、(530Ex/590Em)で各ウェルの蛍光を記録することにより測定した。
【0149】
細胞生存度を測定した後、等体積(120μl)のCaspase-Glo(登録商標)3/7試薬を各ウェルに添加した。次いで細胞を、室温で1.5時間インキュベートして、定常状態のルシフェラーゼアウトプットを実現した。インキュベーション後、各ウェルの発光を測定して、各ウェルのアポトーシスを決定した。
【0150】
次いで各ウェルに対する倍数変化保護値を、上述のように計算した。次いで各ウェルに対する効力値を、各ウェルの倍数変化保護値の比を取り、0%CM(100%SM)を含むウェルに関して計算された倍数変化保護値に対して正規化することによって計算した。
図15に示されるように、方法のアウトプットは線形性を示す。100%CMを含む条件は、約4.61の測定された効力値を有していた。75%CMを含む条件は、約3.54の測定された効力値を有し、これは100%CMの条件の効力値の0.75×とほぼ同じである(0.75×4.61)。同様に、50%CMを含む条件は約2.38の測定された効力値を有し、これは100%CMの条件の効力値の0.5×とほぼ同じである(0.5×4.61)。したがって本開示の方法は、線形の効力アウトプットを提供する。
【0151】
均等物
本明細書で提供される1つまたは複数の実施形態の詳細は、上に添付された記載で述べる。本明細書で記載されるものに類似のまたは均等な任意の方法および材料は、本発明の実施または試験の際に使用することができるが、例示的な方法および材料について次に記載する。
【0152】
前述の記載は例示の目的でのみ提示しており、開示される厳密な形に本発明を限定するものではなく、本明細書に添付される特許請求の範囲によるものである。
【0153】
修正は、本発明の基本的な態様から逸脱することなく、前述のものに行ってもよい。本発明について、1つまたは複数の具体的な実施形態を参照しながら実質的な詳細において記載してきたが、当業者なら、本出願で具体的に開示された実施形態に変更を行ってもよく、それでもこれらの修正形態および改善形態は、本発明の範囲および精神の範囲内にあることが、理解される。本明細書に適切に、例示的に記載される本発明は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(複数可)の非存在下で、実施されてもよい。したがって例えば、本明細書の各場合において、「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、および「からなる(consisting of)」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置き換えられてもよい。したがって、用いられてきた用語および表現は、記載の用語として使用され、限定のものではなく、示され記載される特色の均等物またはそれらの部分は排除されず、様々な修正形態が本発明の範囲内で可能であることが理解される。本発明の実施形態は、下の特許請求の範囲に記述される。