(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための方法、そのような建設材料を調製するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B28C 7/02 20060101AFI20241023BHJP
G01N 33/24 20060101ALI20241023BHJP
G01N 33/38 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B28C7/02
G01N33/24 A
G01N33/38
G01N33/24 B
(21)【出願番号】P 2021552732
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 FR2020050469
(87)【国際公開番号】W WO2020178538
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-19
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521287234
【氏名又は名称】マタラップ
【氏名又は名称原語表記】MATERR’UP
【住所又は居所原語表記】50 Allee Ceres Technopole Domolandes Parc Atlantisud,40230 Saint-Geours-de-Maremne,FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ヌーヴィル
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル・メルセ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-031769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D
B28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生の掘削された粘土質土から建設材料を調製するための
調製方法(300)であって、
-前記
生の掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップ(310)と、
-
前記生の掘削された粘土質土を含む
前記建設材料の組成
の選択(100)であって、前記建設材料の組成は前記生の掘削された粘土質土に適合された解膠剤及び活性化剤の量を含み、前記選択(100)は計算モジュールを含むコンピュータ装置によって実施され、前記選択(100)は、
-生の掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を前記計算モジュールから受け取るステップ(130)であって、前記少なくとも1つの物理化学的特性は、前記生の掘削された粘土質土中の粘土の含有量、前記粘土の性質、粒子サイズ、不純物の含有量、非粘土鉱物画分の含有量、汚染物質の含有量、元素分析、金属酸化物の含有量、塩分、pH及び前記生の掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択される、ステップ(130)と、
-前記1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、前記生の掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性化剤の量を前記計算モジュールによって選択するステップ(170)であって、前記参照値は、粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値と、建設材料を形成するために前記生の掘削された粘土質土に適合された解膠剤及び活性化剤の量との間の相関関係を含み、
前記解膠剤は、前記建設材料の少なくとも0.1重量%を占め、
前記解膠剤は、
非イオン性界面活性剤、又は
アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩、カルボン酸、リグノスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、リン酸塩、若しくはポリリン酸塩から選択されるアニオン剤、又は
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノ-,ジ-,若しくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミン
から選択される、
ステップ(170)と
を含み、
-前記選択された組成に従って、前記
生の掘削された粘土質土、解膠剤及び活性剤を混合するステップ(340)と
を含む、
調製方法
(300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの物理化学的特性は、前処理された生の掘削された粘土質土で測定され、前記前処理は、前記生の掘削された粘土質土の破砕、選別、ふるい分け及び/又は乾燥から選択される、
請求項1に記載の調製方法(300)。
【請求項3】
前記建設材料の所望の機械的特性値を受け取ること(140)を最初に備え、
前記解膠剤及び活性化剤の量を選択するステップ(170)は、前記建設材料が前記所望の機械的特性値を発揮することを可能にしない前記解膠剤及び活性化剤の量を除外すること(171)をさらに含む、
請求項1又は2に記載の調製方法(300)。
【請求項4】
前記生の掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性化剤の量を前記計算モジュールによって選択するステップ(170)は、事前に較正された計算アルゴリズムを実施することを含む、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の調製方法(300)。
【請求項5】
前記事前に較正された計算アルゴリズムは、統計的教師あり学習法を実施することによって得られている、
請求項4に記載の調製方法(300)。
【請求項6】
直径が20mmを超える骨材を除去するために前記生の掘削された粘土質土をスクリーニングするステップ(330)を含む、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の調製方法(300)。
【請求項7】
-前記混合するステップ中に、前記形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性を測定するステップ(350)と、
-前記測定値を、前記形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と比較するステップ(360)と、
-前記測定値が、前記形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と異なるとき(360-n)、少なくとも1つの補完的な成分を添加するステップ(370)と
をさらに含む、請求項
1から6までのいずれか1項に記載の調
製方法
(300)。
【請求項8】
生の掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステム(400)であって、
-土破砕機と、
-
生の掘削された粘土質土を含む少なくとも1つの容器(410)と、
-
前記建設材料の少なくとも0.1重量%を占める解膠剤を含む少なくとも1つの容器(420)
であって、前記解膠剤は、
非イオン性界面活性剤、又は
アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩、カルボン酸、リグノスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、リン酸塩、若しくはポリリン酸塩から選択されるアニオン剤、又は
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノ-,ジ-,若しくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミン
から選択される、
少なくとも1つの容器(420)と、
-活性化剤を含む少なくとも1つの容器(430)と、
-前記容器(410,420,430)と混合装置(450)との間の自動輸送手段を有する混合装置(450)と、
-決定された量の前記解膠剤及び前記活性化剤を前記混合装置(450)に輸送するために、前記自動輸送手段によって使用される出力信号を生成するように構成された制御モジュール(480)と
を備える、システム
(400)。
【請求項9】
前記
生の掘削された粘土質土に適合された、決定された解膠剤の量及び決定された活性化剤の量に関するデータを受信するように構成された通信手段を含み、
前記制御モジュール(480)は、前記決定された量の解膠剤及び活性化剤を前記混合装置(450)に輸送するために、前記自動輸送手段によって使用される出力信号を生成するように構成されている、
請求項
8に記載の建設材料を調製するためのシステム(400)。
【請求項10】
-前記
生の掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するための手段(460)と、
-計算手段(470)と
を備え、
前記計算手段(470)は、
-前記
生の掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を取得するステップと、
-前記1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、前記
生の掘削された粘土質土に適した解膠剤の量及び活性剤の量を決定するステップと
を実行するように構成されたコンピュータプログラムを実施するように適合されている、
請求項
8又は9に記載の建設材料を調製するためのシステム(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設材料の分野、より具体的には、建設バインダー又はコンクリート等の建設に使用できる材料の分野に関する。本発明は、掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための方法に関する。本発明はまた、掘削された粘土質土を含む現場建設材料の組成を決定するための計算アルゴリズムを較正するための方法、掘削された粘土質土から形成された建設材料、及び掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セメントは、世界で2番目に消費されている資源であり、世界中で毎年40億トンを超える材料が生産されており、この消費量は住宅とインフラストラクチャの需要の高まりによって絶えず増加している。
【0003】
セメントはバインダーであり、通常は水硬性であり、水と混合されると硬化して固まる。硬化後、水に曝されても、セメントはその強度と安定性を維持する。世界中で使用されているセメントは多種多様である。また、セメント調製方法はますます高度になり、様々なタイプのコンクリートを調製するための自動化システムが開発されている(下記の特許文献1,2)。
【0004】
それにもかかわらず、すべての従来のセメントは、一部の高炉セメントの5%から、今日世界で最も広く使用されているセメントであるポルトランドセメントの最低95%まで変化する割合でクリンカーを含んでいる。クリンカーは、約80%の石灰石と20%のアルミノケイ酸塩(粘土等)で構成される混合物を焼成した結果である。この焼成(クリンカーリゼーション)は1200℃以上の温度で行われるため、このようなセメント調製方法は高いエネルギー消費を意味する。さらに、石灰石から石灰への化学的変換も二酸化炭素を放出する。その結果、セメント業界は世界のCO2排出量の約8%を生み出している。この課題に応えて、業界及び研究者は、セメント業界からの二酸化炭素排出の影響を減らす方法を模索している。
【0005】
これらの炭素排出に加えて、掘削された土の管理も大規模な都市開発プロジェクトの文脈で問題になる。この掘削された土は、通常、採石場の埋め立てや公園開発のために保管又は使用されるが、潜在的な使用量は利用可能な量よりもはるかに少ない。さらに、この掘削された土を建設材料の生産に使用することが提案されているが、このアプリケーションは、原土の構造物の機械的強度が不十分であるという問題と、一方では、メタカオリンを使用した場合のカーボンフットプリントが最適でないという問題とに直面する。
【0006】
実際、下記の特許文献3に記載されているように、原土に基づく提案されたセメントは、機械的強度の向上、毛細管吸収の低下、若しくは液体の透過性の低下等、物理的特性が弱すぎるか、又は許容できる機械的特性を得るためにポルトランドセメントの一部を追加する必要がある。
【0007】
メタカオリンベースのセメントの場合、セメントの水和中に石灰又は水酸化ナトリウムとメタカオリンとが混合することで、ポゾラン反応が誘発される。この反応により、メタカオリンセメントの結合特性が向上する。これらの特性のために、下記の特許文献4に記載されているように、特に水酸化ナトリウムに関連するフラッシュメタカオリンを含む、メタカオリンベースの建築材料が提案されてきた。それにもかかわらず、メタカオリンの形成は、カオリナイト結晶構造の脱ヒドロキシル化をもたらすためにカオリナイト粘土の熱処理を必要とする。これは、特に掘削された土の熱ユニットへの輸送を考慮に入れると、好ましくない炭素バランスを誘発する。
【0008】
従って、温室効果ガス排出量の削減と、建設業界で一般的に使用されているセメントの機械的特性と少なくとも同等であるか又はそれ以上の機械的特性を持ちながら、カーボンフットプリントが低い例えば建設バインダー又は現場コンクリート等の建設材料の調製とを有利に可能とすることができる、掘削された粘土質土の新しい用途が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】仏国特許出願公開第2751911号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2296854号明細書
【文献】仏国特許出願公開第3016376号明細書
【文献】仏国特許出願公開第3034094号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、先行技術の不利な点を克服することを目的としている。特に、本発明は、掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択する方法を提供することを目的としており、この方法により、一方では、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出を削減しながら、それと同時に建設業界での使用に適した機械的特性を付与するための建設バインダー等の建設材料を形成することができ、他方では、そのようなバインダーを含み、ポルトランドセメントから形成されたコンクリートと比較して、住民の快適性を向上させることができる現場コンクリートを提案することができる。
【0011】
本発明はまた、掘削された粘土質土を再生利用する方法を構成しながら、建設産業での使用に適した機械的特性を有する掘削された粘土質土から形成された建設材料を提案することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、ポルトランドセメントタイプの従来の建設材料と比較して、温室効果ガスの排出を低減するために、掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するための方法及びシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための方法であって、建設材料の組成は掘削された粘土質土に適合された解膠剤及び活性化剤の量を含み、方法は、計算モジュールを含むコンピュータ装置によって実施され、
-掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を計算モジュールから受け取るステップと、
-1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性化剤の量を計算モジュールにより選択するステップであって、参照値は、粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値と建設材料を形成するために粘土質土に適合された解膠剤及び活性化剤の量との間の相関関係を含む、ステップと
を含む、方法に関する。
【0014】
そのような選択方法は、掘削された粘土質土に基づく建設材料の構成要素の少なくとも一部を選択して、クリンカーを使用する従来の建設材料の機械的特性と同等の機械的特性を有する建設バインダー又は現場コンクリート等の建設材料を形成することができるという利点を有する。実際、従来技術の方法では、掘削された土から得られた建設材料は、一般に、機械的な観点から幅広い使用を可能にするのに十分に効率的ではない。
【0015】
さらに、選択方法によって選択された構成要素(すなわち、掘削された粘土質土、解膠剤及び活性剤)は、エネルギー消費がより少ない調製方法における建設材料の形成を可能にする。
【0016】
最後に、建設材料は掘削された粘土質土を含み、好ましくは燃焼ステージを経ていないので、湿熱特性を有利に保持し、ポルトランドセメントから形成されたコンクリートと比較して住民の快適さを改善することを可能にする。
【0017】
選択方法の他の選択的な特徴事項によると:
-少なくとも1つの物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、粘土の性質、粒子サイズ、不純物の含有量、非粘土鉱物画分の含有量、汚染物質の含有量、元素分析、金属酸化物の含有量、塩分、pH及び掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択される。好ましくは、少なくとも1つの物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、粘土の性質、粒子サイズ、非粘土鉱物画分の含有量、元素分析、金属酸化物の含有量、塩分、pH及び掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択される。より好ましくは、少なくとも1つの物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、粘土の性質、粒子サイズ、非粘土鉱物画分の含有量、金属酸化物の含有量、及び掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択される。そのような物理化学的特性は、検討される掘削された粘土質土に適合された解膠剤及び活性剤の値を提供する可能性が最も高い。
-少なくとも1つの物理化学的特性は、前処理された掘削された粘土質土で測定され、前処理は、掘削された粘土質土の破砕、選別、ふるい分け及び/又は乾燥から選択される。これにより、行われる測定の誤差を最小限に有利に抑えることができる。好ましくは、前処理は、例えばふるい分け又は沈降等による、少なくとも1つの分別を含み、より好ましくは50μmでの分別、及び例えば20μmでの分別を含む。
-建設材料の所望の機械的特性値を受け取ることを事前に備え、解膠剤及び活性化剤の量を選択するステップは、建設材料が所望の機械的特性値を発揮することを可能にしない解膠剤及び活性化剤の量を除外することをさらに含む。従って、オペレーターは、構成が期待される建設材料の客観的な性能基準を簡単に設定できる。これは時間を節約し、建設用途のために掘削された土を再生利用するプロセスでパフォーマンスが向上する。
-掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性剤の量を計算モジュールによって選択するステップは、事前に較正された計算アルゴリズムを実施することを含む。
-事前に較正された計算アルゴリズムは、統計的教師あり学習法を実施することによって得られている。
【0018】
別の態様によれば、本発明はさらに、例えば学習モジュールを含むデジタル装置によって実施される、建設バインダー又は現場コンクリート等の建設材料の組成を決定するための計算アルゴリズムを較正するための方法であって、
-掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を学習モジュールから受け取る第1ステップと、
-掘削された粘土質土に添加されると建設材料を形成することができる解膠剤の量の値及び活性剤の量の値を学習モジュールから受け取る第2ステップと、
-掘削された粘土質土から形成された建設材料の少なくとも1つの機械的特性の測定値、第1受け取りステップでの間に受け取った少なくとも1つの物理化学的特性の値、及び第2受け取りステップの間に受け取った解膠剤及び活性化剤の量を学習モジュールから受け取る第3ステップと、
-計算アルゴリズムを較正するために、受け取った測定値の間に相関関係を学習モジュールによって作成するステップと
を含む、方法に関する。
【0019】
掘削された粘土質土、解膠剤及び活性化剤の組み合わせにより、かなりの機械的特性を備えた建設材料を製造することができ、本発明による選択方法により、適切な量の値を選択することができる。しかしながら、掘削された粘土質土の物理化学的特性の複雑さと変動性を考慮して、本発明者らは、この複雑さを克服することを可能にする計算アルゴリズムを較正する方法を開発した。このような較正方法により、掘削された粘土質土に高度に適合された解膠剤及び活性剤の量の値を提案することができる。受け取り順序は、重要ではなく、方法の説明を明確にすることができることに注意する必要がある。
【0020】
別の態様によれば、本発明はさらに、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための方法であって、
-掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップと、
-掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための本発明による方法に従う選択するステップと、
-選択された組成に従って、掘削した粘土質土、解膠剤及び活性剤を混合するステップと
を含む方法に関する。
【0021】
そのような単純で迅速な方法は、ポルトランドセメントタイプの従来の建設材料を調製するための方法の実施と比較して、その実施中の温室効果ガスの排出を低減できる。
【0022】
調製方法の他の選択的な特徴事項によると、調製方法は、
・混合するステップ中に、形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性を測定するステップと、
・測定値を、形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と比較するステップと、
・測定値が、形成される建築材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と異なるとき、少なくとも1つの補完的な成分を添加するステップと
をさらに含む。
【0023】
従って、形成される建設材料の特性の検証は、品質管理がオンラインで実行され、すなわち好ましくはリアルタイムで実行され、形成される建設材料が、期待される機械的特性に可能な限り近い機械的特性を有することを保証することを可能にする。実際、偏差は、混合時に識別され、建設材料が使用される前はもちろん建設材料が完成される前に修正されてよい。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、本発明による選択方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム製品に関する。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、本発明による較正方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム製品に関する。
【0026】
別の態様によれば、本発明はさらに、掘削された粘土質土から形成された建設材料であって、解膠剤及び掘削された粘土質土を含む建設材料に関する。好ましくは、本発明はさらに、掘削された粘土質土から形成された建設材料であって、掘削された粘土質土、活性化剤及び解膠剤を含み、解膠剤は、建設材料の少なくとも0.1重量%、好ましくは建設材料の少なくとも0.25重量%を占める、建設材料に関する。
【0027】
活性化剤は、掘削された粘土質土の構成要素と反応して変形する可能性があるため、建設バインダー又は現場コンクリートにおいて体系的に見られない。それにもかかわらず、場合によっては、掘削された粘土質土から形成された本発明による建設材料は、活性化剤をさらに含んでいてよい。
【0028】
掘削された粘土質土から形成されたそのような建設材料は、掘削された粘土質土を再生利用する方法を構成しながら、建設産業での使用に適した機械的特性を有する。
【0029】
本発明による建設材料の他の選択的な特徴事項によれば、建設材料は異なるタイプの粘土の混合物を含む。
【0030】
さらに、建設材料は、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%、より好ましくは少なくとも6重量%のシルト粒子を含んでいてよい。シルト粒子は、特に直径が2μmから50μmまでの間の粒子である。
【0031】
本発明による建設材料は、建設材料の少なくとも2重量%の含有量で金属酸化物を含んでいてよい。
【0032】
本発明による建設材料は、高炉スラグをさらに含んでいてよい。
【0033】
本発明による建設材料は、30%から80重量%の掘削された粘土質土と、0.1%から10重量%の解膠剤と、5から10重量%の高炉スラグを含んでいてよい。この場合、建築材料は、好ましくは建設バインダーに対応する。
【0034】
本発明による建設材料は、
-5から20重量%までの間の掘削された粘土質土からの生粘土と、
-0.1から3重量%までの間の解膠剤と、
-3から15重量%までの間の活性化剤と、
-25から45重量%までの間の砂と、
-35から55重量%までの間の骨材と
を含んでいてよく、
従って、建設材料は、好ましくは現場コンクリートに対応する。
【0035】
実施例に示されるように、本発明による建設材料は、改善された機械的性能を有する。
【0036】
さらに、掘削された粘土質土は有利に前処理されていてもよく、前処理は、掘削された粘土質土の破砕、選別、ふるい分け及び/又は乾燥から選択される。前処理は、例えば分別を含んでいてもよい。
【0037】
別の態様によれば、本発明は、掘削された粘土質土から本発明による建設材料を調製するための方法であって、
-粘土質土を掘削するステップと、
-必要に応じて、2cmのスクリーニングによって保持された石が掘削された粘土質土に含まれるとき、掘削された粘土質土をスクリーニングするステップと、
-掘削された粘土質土、好ましくは50μm未満の画分、解膠剤及び活性剤を混合するステップと
を含む、方法に関する。
【0038】
別の態様によれば、本発明はさらに、掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステムであって、
-掘削された粘土質土を含む少なくとも1つの容器と、
-解膠剤を含む少なくとも1つの容器と、
-活性化剤を含む少なくとも1つの容器と、
-容器と混合装置との間の自動輸送手段を有する混合装置と、
-決定された量の解膠剤及び活性化剤を混合装置に輸送するために、自動輸送手段によって使用される出力信号を生成するように構成された制御モジュールと
を備える、システムに関する。
【0039】
有利には、本発明による建設材料を調製するためのシステムは、掘削された粘土質土に適合された、決定された解膠剤の量及び決定された活性化剤の量に関するデータを受信するように構成された通信手段を含み、制御モジュールは、決定された量の解膠剤及び活性化剤を混合装置に輸送するために、自動輸送手段によって使用される出力信号を生成するように構成されている。
【0040】
好ましくは、本発明による建築材料を調製するためのシステムは、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するための手段と、計算手段とを備え、計算手段は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を取得するステップと、1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性剤の量を決定するステップとを実行するように構成されたコンピュータプログラムを実施することができる。
【0041】
特に、本発明はさらに、掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステムであって、
-掘削された粘土質土を含む少なくとも1つの容器と、
-解膠剤を含む少なくとも1つの容器と、
-活性化剤を含む少なくとも1つの容器と、
-容器と混合装置との間の自動輸送手段を有する混合装置と、
-掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するための手段と、
-計算手段であって、
・掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を取得するステップと、
・1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、掘削された粘土質土に適した解膠剤の量及び活性剤の量を決定するステップと
を実行するように構成されたコンピュータプログラムを実施するように適合された計算手段と、
-決定された量の解膠剤及び活性化剤を混合装置に輸送するために、自動輸送手段によって使用されるための出力信号を生成するように構成された制御モジュールと
を備える、システムに関する。
【0042】
このようなシステムにより、掘削された粘土質土から建設バインダー又は場合によっては現場コンクリート(フィラーを追加)を自動的に形成でき、これらの建設材料は、カーボンフットプリントがはるかに大きい従来の資材と同等の機械的特性を備える。
【0043】
本発明の他の利点及び特徴は、添付の図を参照して、例示的かつ非限定的な例として与えられた以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための方法のステップを表す。点線のステップはオプションである。
【
図2】
図2は、現場建設材料の組成を決定するための計算アルゴリズムを較正するための方法のステップを表す。点線のステップはオプションである。
【
図3】
図3は、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための方法のステップを表す。点線のステップはオプションである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による建設材料を調製するための方法を表す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による建設材料を調製するための方法を表す。点線のステップはオプションである。
【
図6】
図6は、本発明による掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステムの機能的構造を示す図を表す。実線の矢印は輸送手段を表し、点線の矢印は、特に輸送手段への、データ転送又は命令を表す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明されなければならない。図において、フローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能及び動作を示している。
【0046】
この点で、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、1つ又は複数の指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を備えるシステム、装置、モジュール又はコードを表すことができる。幾つかの実施では、ブロックに関連付けられた関数が、図に示されている順序とは異なる順序で表示される場合がある。例えば、連続して表示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行される場合があるか、又は関連する機能に応じてそれらのブロックが逆の順序で実行される場合がある。フロー図及び/又はフローチャート内の各ブロック、並びにフロー図及び/又はフローチャート内のブロックの組み合わせは、特定の機能若しくは動作を実行するか、又は特別なハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する特別なハードウェアシステムによって実施されてよい。
【0047】
発明の説明
説明の残りの部分では、「粘土質土」という表現は、粘土に由来する土(粘土を含む土)、又はより一般的には微細な粒子サイズの緩い地層に由来し、従ってラメラ構造の水和ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩に基づく1つ又は複数の岩石材料を含む土に対応するものとして理解されなければならない。特に、粘土質土は、砂質粘土質シルト土、粘土質シルト質土、粘土質砂質土、粘土質土等の土に対応することができる。好ましくは、粘土質土は、少なくとも25重量%の粘土、好ましくは少なくとも30重量%の粘土、より好ましくは少なくとも40重量%の粘土を含む。重量による粘土の含有量は、NF X31-107規格に記載されている粒子サイズ法等の従来技術の標準的な方法によって決定することができる。さらに、好ましくは、本発明の枠組みにおける粘土質土は、最大で95重量%の粘土、好ましくは最大で90重量%の粘土、より好ましくは少なくとも80重量%の粘土を含む。
【0048】
「掘削された粘土質土」という表現は、本発明の意味において、建設、建築又は埋め戻しを目的として、例えば、整地及び/又は土工作業中に土を掘り起こしたステップの後に得られた粘土質土に対応するものである。特に、本発明の意味の範囲内で、掘削された粘土質土は、生産現場から移動されてもよいし、されなくてもよい。好ましくは、本発明の利点によれば、掘削された土は、生産現場で又は200km未満の距離で使用される。さらに、有利には、本発明の枠組み内で掘削された粘土質土は、生の掘削された粘土質土であり、すなわち、それはか焼ステップを経ていない。特に、それは熱前処理を受けていない。例えば、これは、300℃を超える、好ましくは200℃を超える、より好ましくは150℃を超える温度の上昇を経ていない粘土質土に対応する。実際、生の粘土は、一般に実質的に150℃に等しい温度上昇を必要とする加熱ステップを受けることができるが、か焼ステップはない。従来使用されていた粘土は、2μm未満のサイズの比較的一定の粒子サイズプロファイルを有している。掘削された粘土質土は、異なる粒子サイズプロファイルを有している可能性がある。本発明の枠組みにおいて、掘削された粘土質土は、例えばASTM D422-63規格に従って決定されるように、2μmを超える、好ましくは20μmを超える、より好ましくは50μmを超える、75μmを超えるサイズの粒子を含んでいてよい。好ましくは、掘削された粘土質土は、NF EN 933-1規格に従って決定されるように、2cmを超える骨材を含まない。
【0049】
掘削された粘土質土、組成物、バインダー又は現場コンクリートに関連する「重量%」という用語は、組成物、バインダー又は現場コンクリートの乾燥重量に比例するものとして理解されなければならない。乾燥重量は、例えば建設材料を形成するために必要な水を加える前の重量に対応する。
【0050】
本発明の意味の範囲内での「建設材料」という表現は、建設バインダー又は現場コンクリートに対応する。現場コンクリートには、特に骨材及び/又は砂等のフィラーが含まれる。
【0051】
「解膠剤」とは、水性の懸濁液中で、骨材及びコロイドを解離する任意の化合物を意味する。解膠剤は、例えば、粘土をより流動的にし、抽出又は掘削を容易にするために、石油掘削又は抽出の文脈で使用されてきた。
【0052】
「活性化剤」とは、溶解度の低い安定な水和物の形成及びこれらの水和物とのコンパクトな構造の形成を促進し、それによってそのような活性化組成物を組み込む材料の機械的強度を向上させる、アルミノケイ酸塩源の分散を促進する機能を有する任意の組成物を意味する。
【0053】
本発明の意味における「粒子サイズ」という用語は、それらのサイズによって識別されるとともに土の鉱物骨格を構成する異なるクラスの粒子の重量による相対的比率による粘土質土の要素及び粒子の分布に対応する。5つの粒子サイズクラスが存在する:-粘土(0~2マイクロメートル)-細かいシルト(2~20マイクロメートル)-粗いシルト(20~50マイクロメートル)-細かい砂(50~200マイクロメートル)-粗い砂(200~2000マイクロメートル)。
【0054】
「粘土の性質」という表現は、本発明の意味の範囲内で、粘土の化学的及び/又は鉱物学的特性に対応する。これは、特に粘土の化学組成に対応するが、粘土の鉱物学及び物理的特性(比表面、多孔性、形態等)にも対応する。例えば、これは、その一般名(例えば、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト及びバーミキュライト)による粘土の識別に対応し得る。
【0055】
「金属微量元素」という表現は、本発明の意味において、金属化学元素に対応し、特に、それらは、本発明の意味において、鉄、鉛、水銀、ウラン、クロム、銅、カドミウム、銀、金、亜鉛、ニッケル又はチタンから選択される金属に対応する。
【0056】
本発明の意味の範囲内での「実質的に等しい」という用語は、比較値に対して20%未満、好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満変動する値に対応する。
【0057】
「モデル」又は「規則」又は「計算アルゴリズム」とは、本発明の意味の範囲内で、解膠剤及び活性剤の量の値を選択することを可能にする、すなわち、例えば、一方では解膠剤D及び活性化剤Aの量と、掘削された粘土質土Eの物理化学的特性の1つ又は複数の値との相関の関数として、スコア又はカテゴリーに関連する事前に定義されたグループYを形成することを可能にする、操作又は命令の有限のシーケンスと理解される。この操作の有限シーケンスの実施により、例えば、特性D0、A0、E0のセットによって記述される観測値にラベルY0を割り当てることができる。これは、例えば、観測されたD、A及びEを有するYを再現できる関数fの実施のおかげである。
Y=f(D,A,E)+e
ここで、eはノイズ又は測定誤差を表する。
ここで、Yは、例えば、建築材料を形成する能力(はい/いいえ)であり得る。
【0058】
有利なことに、計算アルゴリズムは、事前に定義されたグループを確立し、これらの量から形成することができる建設材料の機械的特性Mの値等の他の値を関連付けることができる。従って、式「M=f(D,A,E)+e」を使用すると、所定の機械的特性を有する建設材料を形成するための量の値を選択することができる。
【0059】
「教師あり学習法」とは、本発明の意味の範囲内で、n個のラベル付けされた観測値(X1…n,Y1…n,D1…n,,A1…n,,E1…n)に基づいて関数fを定義する方法を意味する。ここで、例えば、Y=f(D,A,E)+e又はM=f(D,A,E)+eである。
【0060】
「処理する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」、「抽出する」、「比較する」、又はより広義には「実行可能な操作」とは、本発明の意味の範囲内で、文脈で別段の指示がない限り、装置又はプロセッサによって実行される動作を意味する。この点で、操作は、情報を保存、送信又は表示するためコンピュータシステム又は他の装置のメモリ内の物理的(電子)量として表されるデータを操作及び変換する、コンピュータシステム又は電子コンピューティング装置等のデータ処理システムにおける動作及び/又は処理を指す。特に、計算操作は装置のプロセッサによって実行され、生成されたデータはデータメモリ内の対応するフィールドに書き込まれ、このフィールド又はこれらのフィールドは、例えば、非限定的な例として、接続されたオブジェクトの画面のような適合されたヒューマン・マシン・インターフェースを介して、そのようなデータをフォーマットして、ユーザーに返されることができる。これらの操作は、アプリケーション又はソフトウェアに基づいている場合がある。
【0061】
「アプリケーション」、「ソフトウェア」、「プログラムコード」及び「実行可能なコード」という用語又は表現は、(例えば別のコードへの変換操作の後に)直接的又は間接的に特定の機能をデータ処理に実行させることを目的とした命令のセットの任意の表現、コード又は表記法を意味する。例示的なプログラムコードは、限定はされないが、サブプログラム、関数、実行可能なアプリケーション、ソースコード、オブジェクトコード、ライブラリ及び/又はコンピュータシステム上で実行されるように設計された任意の他の命令シーケンスを含んでいてよい。
【0062】
「プロセッサ」とは、本発明の意味の範囲内で、コードに含まれる命令に従って操作を実行するように構成された少なくとも1つのハードウェア回路を意味する。ハードウェア回路は集積回路であってもよい。プロセッサの例には、限定はされないが、中央処理装置、グラフィックプロセッサ、特定用途向け集積回路(アングロサクソンの用語による「ASIC」)及びプログラム可能な論理回路が含まれる。単一のプロセッサ又は他のいくつかのユニットを使用して、本発明を実施することができる。
【0063】
「結合された」とは、本発明の意味の範囲内で、直接的又は間接的に、1つ又は複数の中間要素と接続されていることを意味する。2つの要素は、機械的、電気的に結合され得るか、又は通信チャンネルによってリンクされ得る。
【0064】
本発明の意味における「ヒューマン・マシン・インターフェース」という表現は、人間がコンピュータと通信することを可能にする任意の要素に対応し、特に及びそのリストが網羅的でなくても、キーボード、及びキーボードで入力されたコマンドに応じ、画面表示を行い、オプションとしてマウス又はタッチパッドで画面に表示されているアイテムを選択することができる手段に対応する。別の実施形態は、指又は物体によって触れられた要素を画面上で直接選択するためのものであるとともに、オプションとして仮想キーボードを表示する可能性があるタッチスクリーンである。
【0065】
特許請求の範囲において、「備える(comprise)」又は「含む(include)」という用語は、他の要素又は他の工程を除外するものではない。
【0066】
以下の説明では、同じ参照を使用して同じ要素を指定する。参照記号は、本発明の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。さらに、提示及び/又はクレームされる異なる特徴は、有利に組み合わせることができる。明細書又は異なる従属クレームにおけるそれらの存在は、この可能性を排除するものではない。
【0067】
前述のように、現状では、掘削された土が大量にあり、それらが廃棄物と見なされることが多いため、用地を開発する際に開発者とっての追加の負担を構成する。このような管理、特にこれらの掘削された土の輸送によって生成される可能性のある汚染が、従来のセメント(例えば、ポルトランド)の調製によって生成される汚染に追加される。
【0068】
この観察に直面して、本発明者らは、掘削された粘土質土を使用して建設材料の組成を選択し、従来のセメント(例えば、ポルトランド)と同様の機械的特性を有する建設バインダーを得ることができる方法を特定した。この方法を使用すると、実施例に示すように、限定はされないが、ポルトランドセメント、石灰、又はCSAの代替品として有利に使用できる建設バインダーを生成することができる。従って、解膠剤及び活性化剤と特定の割合で組み合わされた廃棄物(すなわち、掘削された粘土)は、建設方法の原料になることができる。
【0069】
さらに、一方ではその調製方法、及び掘削された粘土質土の使用を考えると、本発明による建設材料は、今日世界で最も使用されているほとんどの建設材料又は水硬性バインダー(すなわちポルトランドセメント)よりも少なくとも2倍低いカーボンフットプリントを有するという利点を有する。実際、本発明による建設材料は、主に粘土質土でできており、クリンカー含有量がゼロ又は同等の製品よりも少なく、同等の機械的特性によりCO2排出量及び製造コストを削減することができる。さらに、好ましくは、粘土質土は、温室効果ガス、より具体的には二酸化炭素の放出も生成するエネルギー消費ステップであるか焼ステップを経ていない。
【0070】
最後に、有利には、実施例に示されるように、本発明による建設バインダーは、ポルトランドセメントと少なくとも同等であるとともに、上記のような「低炭素」材料よりもはるかに優れた機械的特性を有する建設材料を製造することを可能にする。
【0071】
従って、第1態様によれば、本発明は、掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択するための方法100に関する。建設バインダーは、その後、例えばフィラーの添加に続いて、現場コンクリートを形成するために使用することができるので、選択方法100は、現場コンクリートの組成を選択するための方法100に代替的に対応することができる。
【0072】
特に、掘削された粘土質土からの建設材料の調製を可能にするために、建設材料の組成は、掘削された粘土質土に適合された量の解膠剤及び活性化剤を含まなければならない。
【0073】
この目的のために、好ましくは計算モジュールを含むコンピュータ装置によって実施される本発明による方法は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を計算モジュールから受け取るステップ130と、掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性剤の量を計算モジュールにより選択するステップ170とを含んでいてよい。
【0074】
さらに、本発明による方法は、以下のようなステップを含んでいてよい:掘削された粘土質土を事前に処理するステップ110、掘削された粘土質土の物理化学的特性を測定するステップ120、建設材料の所望の機械的特性値を受け取るステップ140、解膠剤及び活性化剤の量の値の複数の組み合わせを生成するステップ150、建設材料の所望の機械的特性値を決定するステップ160か、又は形成される建設材料の少なくとも1つの物理化学的又は機械的特性値を決定するステップ。
【0075】
図1に示すように、本発明による選択方法は、掘削された粘土質土を事前に処理するステップ110を含んでいてよい。従って、有利には、掘削された粘土質土の前処理ステップ110を経た掘削された粘土質土のサンプルから1つ又は複数の測定値が得られる。
【0076】
この前処理ステップは、例えば、掘削された粘土質土の分別、破砕、(例えば色による)選別、ふるい分け及び/又は乾燥を含み得るか、又はそれらからなり得る。
【0077】
特に、本発明の枠組みでは、粘土質土は掘削された土であるため、方法の第1ステージで有利に除去されるであろう粗い要素又は高次元の画分を含んでいてよい。従って、特に、本発明による方法は、1cm(センチメートル)を超える少なくとも1つの寸法を有する要素を除去すること、好ましくは、0.2cmを超える少なくとも1つの寸法を有する要素を除去することを含んでいてよい。好ましくは、本発明による方法は、ASTM D422-63規格に従って決定されるように、少なくとも1cmを超える、好ましくは475μm(マイクロメートル)を超える、より好ましくは75μmを超えるサイズを有する要素を除去することを含んでいてよい。
【0078】
さらに、本発明による方法は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップ120を含んでいてよい。このステップは、掘削された粘土質土のサンプルで実行することが好ましく、現場又は専門の実験室で実行できる。実際、測定された1つ又は複数の物理化学的特性に応じて、可搬型の機器を有することができるか又は有することができない。
【0079】
測定ステップ120は、例えば、
-例えばNF X31-107規格に記載されているような粒子サイズ法によって測定される、掘削された粘土質土中の粘土の含有量;
-例えばX線回折法によって得られる、粘土の性質;
-例えばICP-MS装置を使用した元素分析によって得られる、不純物の含有量、特に金属微量元素の含有量;
-粘土質土洗浄水の導電率を測定する導電率計による塩分;
-粘土質土洗浄水のpHを測定するpHメーターを使用したpH;及び
-例えばNF EN 933-9+A1規格に従う所謂メチレンブルー法によって測定される、掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量
を測定するステップを含んでいてよい。
【0080】
従って、測定ステップ120は、例えば、pHメーター、X線回折計、導電率メーター、電子顕微鏡、水銀ポロシメーター、分光蛍光計、ICP-MS(英語:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)、HPLC-MS(質量分析と組み合わせた液体クロマトグラフィー:liquid chromatography coupled to mass spectrometry)、GC-MS(質量分析と組み合わせたガスクロマトグラフィー:gas chromatography coupled to mass spectrometry)、BET法による比表面の測定(Brunauer-Emmett-Tellerの比表面測定)、粒度計又はTGA(熱重量分析用: for thermogravimetric analysis)レオメーターを使用することを含んでいてよい。
【0081】
本発明による方法は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を受け取るステップ130を含む。特に、このステップは、デジタル装置の計算モジュールによって実施されることができる。
【0082】
測定値が受け取られる掘削された土の物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、粘土の性質、粒子サイズ、不純物の含有量、汚染物質の存在、流動性限界、可塑性限界、金属酸化物の含有量、塩分、pH及び掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択することができる。例えば、測定値が受け取られる掘削された土の物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、粘土の性質、粒子サイズ、不純物の含有量、金属酸化物の含有量、塩分、pH及び掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量から選択されてよい。好ましくは、測定値が受け取られる掘削された土の物理化学的特性は、例えば、掘削された粘土質土中の粘土の含有量、流動性限界及び可塑性限界から選択することができる。より好ましくは、測定値が受け取られる掘削された土の物理化学的特性は、掘削された粘土質土中の粘土の含有量を含む。
【0083】
特に、不純物の含有量は、金属の含有量に対応していてよく、そして有利には、酸化鉄又は酸化アルミニウム等の金属酸化物の含有量に対応していてよい。
【0084】
好ましくは、掘削された粘土質土の少なくとも2つの物理化学的特性の測定値が受け取られ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの測定値が受け取られる。実際、考慮される物理化学的特性の数に応じて、選択方法の結果はより良い品質になる可能性がある。
【0085】
1つ又は複数の物理化学的特性は、pH、粒子サイズ、粘土の含有量等、広く研究されている土の物理化学的特性である。
【0086】
特に、本発明による方法は、
-掘削された粘土質土中の粘土の含有量及び粘土の性質;
-掘削された粘土質土中の粘土の含有量及び粘土の総交換容量;
-粘土の含有量及び汚染物質の量;
-掘削された粘土質土のpH及び粘土の含有量;又は
-掘削された粘土質土中の粘土の総交換容量及び粒子サイズ
から選択される測定値の組み合わせを受け取ること130を含む。
【0087】
さらに、
図1に示されるように、本発明による方法は、建設材料の所望の機械的特性値を受け取ること140を含むことができる。
【0088】
実際、建設材料の組成を選択することに加えて、本発明による方法は、有利には、機械的特性を与える建設材料の調製を可能にする建設材料の組成を選択することを可能にすることができる。これにより、ユーザーは自分のニーズに合った建設材料を入手するために最適な量を選択することができる。
【0089】
建設材料の所望の機械的特性は、例えば、圧縮強度、乾燥収縮、硬化時間、曲げ強度、引張強度、ヤング率、ポアソン比から選択することができる。
【0090】
例えば、本発明による方法は、建設材料に関して所望の圧縮強度値を受け取ることを含んでいてよい。この値は、例えば、下限(例えば20MPa(メガパスカル)又は30MPa)又は固定値(例えば40MPa)で構成できる。
【0091】
好ましくは、本発明による方法が、建設材料の所望の機械的特性値を受け取ること140を含むとき、解膠剤及び活性化剤の量を選択するステップ170は、建築材料が所望の機械的特性値を発揮することを可能にしない解膠剤及び活性化剤の量を除外すること171をさらに含む。例えば、これは、Eの測定値から、M=40MPaの値を生成できる、A及びDのすべての値の計算アルゴリズムによる選択に対応する場合がある。代替的に、計算アルゴリズムがない場合、これは、Mの値が30MPa未満のデータベースからすべての値を除外することを含む場合がある。
【0092】
掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を受け取るステップ130の後に、一方では解膠剤の量の値と、他方では活性化剤の量の値との複数の組み合わせを生成するステップ150が続く場合がある。この複数の値の生成に続いて、計算モジュールは、以下に説明するように、値選択ステップ170を実施することができる。
【0093】
さらに、本発明による方法は、建設材料に期待される少なくとも1つの物理化学的特性又は機械的特性値を決定するステップ160を含んでいてよい。このステップは、例えば計算モジュールによって実施される。
【0094】
掘削された粘土質土の物理化学的性質の測定値と、生成された解膠剤及び活性化剤の量の値から、掘削された土と検討される解膠剤及び活性化剤の量とから形成された建設材料の機械的性質の値を決定することが可能である。
【0095】
本発明による方法は、掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性剤の量を選択するステップ170を含む。このステップは、例えば、計算モジュールによって実施することができる。
【0096】
解膠剤及び活性化剤の量は、体積、質量又は比率に対応し得る。好ましくは、その量は、建設材料の組成物に添加される掘削された粘土質土の量に対する比率に対応する。代替的に、量が体積又は質量に対応する場合、それは、建設材料の組成物に添加される掘削された粘土質土の量に関連付けられる。
【0097】
さらに、解膠剤の量及び活性化剤の量を選択すること170は、添加される解膠剤及び/又は活性化剤の性質を決定することを含んでいてよい。例えば、これらの薬剤の性質は、化学分子のファミリー又は特定の化学分子又は分子の組み合わせに対応していてよい。
【0098】
実際、解膠剤は分子の組み合わせである可能性があり、解膠剤の量の選択は解膠剤を構成する各分子の量の選択に対応し得る。同じことが、1つの分子又は複数の分子である場合がある活性化剤にも当てはまる。
【0099】
有利なことに、選択は、掘削された粘土質土の物理化学的特性の1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて行われる。特に、参照値は、粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値と、建設材料を形成するためにその粘土質土に適合された解膠剤及び活性化剤の量との間の相関関係を含む。
【0100】
解膠剤
多くの化合物は解膠剤として作用することができ、多くは一般に当業者に知られている。
【0101】
本発明の枠組みにおいて、解膠剤は、特に、ポリオキシエチレンエーテル等の非イオン性界面活性剤である。ポリオキシエチレンエーテルは、例えば、ポリ(オキシエチレン)ラウリールエーテルから選択されてよい。
【0102】
解膠剤はまた、アニオン界面活性剤等のアニオン剤であり得る。特に、アニオン剤は、アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩(例えばフミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、リン酸塩、又はヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物から選択することができる。
【0103】
解膠剤はまた、ポリアクリル酸塩であり得る。従って、それは、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウムから選択されてよい。
【0104】
解膠剤はまた、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノ-,ジ-,又はトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン)及びN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミンであり得る。
【0105】
解膠剤はまた、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム又は三ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩であり得る。
【0106】
代替的に、上記のように、解膠剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン剤、ポリアクリル酸塩、アミン、及び有機リン化合物から選択される少なくとも2つの化合物を含む混合物等の化合物の混合物であり得る。
【0107】
特に、解膠剤は、ケイ酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの混合物であり得る。
【0108】
好ましくは、解膠剤は、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、フミン酸塩及びそれらの混合物から選択される。
【0109】
解膠剤は、好ましくは塩の形態である。
【0110】
しかしながら、本発明は、上記の解膠剤に限定されず、上記の解膠剤の代わりに、当業者に知られている任意のタイプの解膠剤を使用することができる。
【0111】
活性化剤
掘削された粘土質土及び解膠剤と合わせて、建設材料に目的の機械的特性を与えるのは、活性化剤である。
【0112】
セオリーによって制限されることなく、活性化剤は、本発明による建設材料にその機械的特性を与える粘土シート間のネットワークの構成を可能にすることができる。
【0113】
特に、活性化剤は、金属酸化物を含んでいてよく、及び/又はアルカリ性活性化組成物であり得る。
【0114】
好ましくは、金属酸化物は遷移金属酸化物である。より好ましくは、金属酸化物は、FeO、Fe3O4、Fe2O3、Fe2O3等の酸化鉄、アルミナAl2O3、マンガン(II)酸化物MnO、チタン(IV)酸化物TiO2及びそれらの混合物から選択されてよい。
【0115】
金属酸化物は、好ましくは、例えば、鉄鉱石からの銑鉄の製造中に形成される高炉スラグの組成物に由来し得る。
【0116】
金属酸化物は、建設材料の少なくとも2重量%、好ましくは建設材料の少なくとも5重量%、より好ましくは建設材料の少なくとも10重量%の含有量で存在する。
【0117】
活性化剤がアルカリ性活性化組成物であるとき。アルカリ性組成物は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらにより好ましくは実質的に14に等しいpKaを有する化合物を含んでいてよい。
【0118】
アルカリ性組成物は、例えば、頭字語NaTPPで示されるトリポリリン酸ナトリウム等の有機リン化合物を含んでいてよい。
【0119】
特に、活性化剤は、水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムの混合物を含んでいてよい。
【0120】
有利には、活性化剤は、金属酸化物をさらに含むアルカリ性活性化組成物であり得る。実施例に示されるように、そのような活性化剤から調製された建設バインダーは、良好な機械的特性を有する。従って、好ましくは、活性化剤は、金属酸化物及び10以上のpKaを有する少なくとも1つの化合物を含んでいてよい。
【0121】
さらに、選択ステップ170は、建設材料の組成に組み込まれる添加剤の量を決定すること172を含むことができる。実際、本発明による選択方法は、決定された濃度のいくつかの添加剤を含む建設材料の組成をもたらすことができる。これらの添加剤により、最終的な建設材料の化学的及び/又は機械的特性を変更することができる。
【0122】
添加剤は、例えば、流動化剤、合成又は天然のレオロジー保持剤、収縮防止剤、保水剤、空気連行剤、合成樹脂、顔料及びそれらの混合物から選択される。
【0123】
流動化剤は、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、又はポリホスホン酸塩であり得る。
【0124】
さらに、選択ステップ170は、現場コンクリートを形成するために混合物に組み込まれるフィラーの量を決定すること173を含むことができる。これらのフィラーにより、最終的な建設材料の機械的特性を変更できる。
【0125】
フィラーは、例えば、再生又は非再生の骨材、粉末、砂、砂利、砕いたコンクリート及び/又は繊維から選択されてよい。
【0126】
繊維は、例えば、綿、亜麻、麻、セルロース、竹、ミスカンサス繊維等の植物繊維、金属、ガラス、炭素、ポリプロピレン繊維等の合成繊維、及びそれらの混合物から選択されてよい。繊維の存在は、改善された機械的及び絶縁特性を備えた建築材料の形成を可能にすることができる。
【0127】
有利なことに、そして前述のように、掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性剤の量を決定するステップ170は、事前に較正された計算アルゴリズムを実施することを含む。
【0128】
この計算アルゴリズムは、様々な学習モデル、特にパーティショニング、教師あり又は教師なしモデルから構築されている可能性がある。
【0129】
教師なし統計学習モデルは、例えば、教師なしガウス混合モデル、階層的ボトムアップ分類(アングロサクソン用語での凝集型階層的クラスタリング(Hierarchical clustering Agglomerative))、階層的トップダウン分類(アングロサクソン用語で分割型階層的クラスタリング(hierarchical clustering divisive))から選択されてよい。
【0130】
統計的教師あり学習モデルは、例えばバージェス、1998(データマイニングと知識発見、パターン認識のためのサポートベクターマシンに関するチュートリアル)で説明されているカーネルメソッド(サポートベクターマシンSVM、カーネルリッジ回帰等)、例えばブレイマン、2001(機械学習、ランダムフォレスト)等で説明されているセットメソッド(例えばバギング、ブースティング、ディシジョンツリー、ランダムフォレスト等)、又は例えばローゼンブラット、1958(パーセプトロン:脳内における情報の保存と組織化のための確率モデル)等で説明されているニューラルネットワークの中から選択されてよい。
【0131】
好ましくは、事前に較正された計算アルゴリズムは、統計的教師あり学習方法を実施することによって得られている。
【0132】
従って、別の態様によれば、本発明は、計算アルゴリズムを較正するための方法200に関する。この計算アルゴリズムは、特に建設材料の組成の決定に専念されている。発明による較正方法は、特に、学習モジュールを含むデジタル装置によって実施することができる。
【0133】
図2に示されるように、本発明によるそのような較正方法は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を受け取るステップ230を含む。
【0134】
好ましくは、掘削された粘土質土のいくつかの測定値、特に少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの物理化学的特性の値が受け取られる。実際、考慮される物理化学的特性の数に応じて、較正方法はより良い品質になる。
【0135】
本発明による較正方法はまた、解膠剤の量の値及び活性化剤の量の値を受け取るステップ240を含む。これらの値は、掘削された粘土質土に添加されると、建設材料を形成することを可能にする薬剤の量に対応する。
【0136】
解膠剤及び活性化剤の量は、体積、質量又は比率に対応し得る。好ましくは、その量は、建設材料の組成に添加される掘削された粘土質土の量に対する比率に対応する。代替的に、量が体積又は質量に対応する場合、それは、建設材料の組成に添加される掘削された粘土質土の量に関連付けられる。
【0137】
さらに、解膠剤及び活性化剤の量の値を受け取ること240は、解膠剤及び/又は活性化剤の性質を受け取ることを含んでいてよい。例えば、これらの薬剤の性質は、化学分子のファミリー又は特定の化学分子又は分子の組み合わせに対応していてよい。
【0138】
これらの値は、実施例のセクションで説明するテストを通じて取得された可能性がある。建築材料の形成を可能にする薬剤の量だけが較正方法に含まれる。
【0139】
実際、較正方法は、受け取った値に従って建設材料を形成するステップ250を含んでいてよい。代替的に、好ましくは、較正方法への入力データとして使用することができるデータベースを形成するために、複数の掘削された粘土について、薬剤の量の値の複数の組み合わせが試験されている。
【0140】
次に、この方法は、計算アルゴリズムを較正するために、受け取った測定値の間の相関関係を作成するステップ270を含む。測定値に基づくこの相関ステップにより、統計学習モデルから計算アルゴリズムを構築できる。従って、計算アルゴリズムは、次のタイプの方程式の関数fの形式をとることができる。
Y=f(E,A,D)
【0141】
好ましくは、
図2に示されるように、作成ステップ270の前に、本発明による較正方法は、形成された建設材料の少なくとも1つの機械的特性の測定値を受け取るステップ260をさらに含んでいてよい。実際、掘削された粘土質土の薬剤の量の値及び物理化学的特性の1つ又は複数の値を使用することに加えて、本発明による較正方法は、結果として得られた建設材料の1つ又は複数の測定値を使用することができる。従って、計算アルゴリズムは、次のタイプの方程式の関数fの形式をとることができる:
M=f(E,A,D)
【0142】
好ましくは、いくつかの測定値、特に建設材料の少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの物理化学的特性の値が受け取られる260。
【0143】
さらに、
図2に示されるように、本発明による較正方法は、粘土質土のサンプルを前処理するステップ210を含んでいてよい。ステップ210は、粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップ220の前に来ることができる。さらに、相関関係が確立されると、RAMや不揮発性メモリ等の記憶媒体に相関関係を保存すること280ができる。
【0144】
有利には、本発明による較正方法は、上述するとともに少なくとも以下の先行するステップを繰り返すことによって、計算アルゴリズムを更新するステップ290を含んでいてよい:掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を受け取ること230、掘削された粘土質土に添加されたときに建設材料を形成する解膠剤の量及び活性化剤の量を受け取ること240、計算アルゴリズムを較正するために、受け取った測定値の間の相関関係を作成すること270。
【0145】
別の態様によれば、本発明は、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための方法300に関する。
【0146】
図3に示される本発明によるそのような方法は、いわゆる低炭素法、すなわち、建設バインダーを調製するための既知の方法の温室効果ガス排出量と比較して、温室効果ガス排出(特に二酸化炭素排出等)が低減される方法であるという利点を有する。温室効果ガス排出量のこのような削減は、特にエネルギー集約的なか焼ステージがないことに関連している。
【0147】
さらに、本発明による建設バインダーの調製は、建設現場からの原材料から少なくとも部分的に作られた現場コンクリートの調製を可能にし得る。このような特性により、製造されるコンクリートの環境フットプリントがさらに削減される。掘削された粘土質土に適合された解膠剤の量及び活性化剤の量が選択されると、従来の方法によれば、掘削された粘土質土からの建設材料の調製を進めることが可能である。
【0148】
本発明による調製方法は、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップ310を含んでいてよい。
【0149】
このようなステップは、混合ステップ340のかなり前に実施することができる。これは、例えば、予備調査が実施され、掘削された土を迅速に使用する必要がない場合に当てはまる。代替的に、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するステップ310は、本発明による方法100を実施するステップに対応する建設材料の組成を選択するステップ100、及び混合340の直前に実行されてよい。これは、例えば、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための自動化された方法の場合である。そこでは、掘削された粘土質土は、可搬式測定装置に沿って分析され、次いで、選択された薬剤量と連続的に混合されて、非常に短時間で建設材料を形成する。
【0150】
好ましくは、掘削された粘土質土のいくつかの測定値、特に少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つの物理化学的特性の値が受け取られる。
【0151】
さらに、
図3及び
図4に示されるように、本発明による調製方法は、本発明による掘削された粘土質土を含む建設材料の組成を選択すること100を含んでいてよい。
【0152】
さらに、それは、選択された組成に従って、掘削された粘土質土、解膠剤及び活性化剤を混合するステップ340を含んでいてよい。
【0153】
混合ステップにおいて、建設材料の質量に対する水の質量の比が1未満、例えば0.4から0.8までの間になるように水を添加することができる。さらに、掘削された粘土質土及び解膠剤が乾式混合された後に、水を有利に添加することができる。
【0154】
従って、好ましくは、本発明による方法は、分散又は解膠された掘削された粘土質土の懸濁液を得るための混合ステップを含んでいてよい。混合するとき、好ましくは、解膠剤を活性化剤の前に添加して、分散又は解膠された掘削された粘土質土と活性化剤が混合されるようにする。
【0155】
粘土懸濁液のこの混合ステップ340は、有利に、しかし限定的にではなく、ミキサー及びトラックミキサー又はより一般的には粘土質土を混合するように適合された任意の装置から選択される装置内で実行されることができる。
【0156】
好ましくは、調製方法は、掘削された粘土質土をスクリーニングするステップ330を含んでいてよい。このスクリーニングステップは、混合ステップ340の前、及び測定ステップ310の前又は後に行われる。特に、直径が20mm(ミリメートル)を超える骨材を除去するように行われる。
【0157】
より広い意味で、調製方法は、掘削された粘土質土を調製するステップを含んでいてよく、ここで、この調製は、例えば乾燥、粉砕、ふるい分け、貯蔵を含んでいてよい。
【0158】
好ましくは、前処理又はスクリーニングステップは、ふるい分け等の少なくとも1つの分別、より好ましくは50μmのふるい分け等の分別を含む。有利には、限定的ではないが、このようにふるいにかけられた要素又は粒子(例えば砂及び/又は骨材画分等)は、建設材料、特に現場コンクリートの配合に再利用することができる。建設材料の調製で最も興味深い画分は、ふるいによって保持されない画分である。従って、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための本発明による方法300は、有利には、任意にふるいにかけられた掘削された粘土質土を分別するステップ335を含み、その分別は、好ましくは50μmで実施される。
【0159】
代替的に、掘削された粘土質土を前処理せず、すべての粘土質土を使用して建設材料を得ることもできる。この場合、この方法により、現場コンクリートを製造することができる。
【0160】
これは、特に、掘削された粘土質土に関連する物理化学的特性が、所望の機械的特性を有する建設材料を得るのに十分である場合に、すべての掘削された粘土質土を再生利用することを有利に可能にする。このようにして、粘土を分離して処理し、材料を配合する必要なしに、すべての土を最初から再生利用することができる。
【0161】
図5に示されるように、掘削された粘土質土から建設材料を調製するための本発明による方法300は、
-粘土質土を掘削するステップ320、
-掘削された粘土質土が2cmのスクリーニングによって保持された石を含む場合、掘削された粘土質土をスクリーニングするステップ330、
-掘削された粘土質土、好ましくは50μm未満の画分、解膠剤及び活性剤を混合するステップ340
を有利に含むであろう。
【0162】
さらに、調製方法は、汚染物質を処理するステップを有利に含むことができる。このような汚染物質処理ステップでは、掘削された粘土質土中の、例えば微量の金属元素、炭化水素(例えば多環芳香族炭化水素、C10~C40等)、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)、TOC(全有機炭素)等の汚染物質の濃度を低減することができる。
【0163】
さらに、従来、活性化組成物の添加前、添加に付随して、又は添加後に、本発明による方法は、最終建設材料の機械的特性を改変するための添加剤又はフィラーを添加することを含んでいてよい。
【0164】
有利なことに、調製方法は、混合ステップ中(すなわち、建設材料が形成されている間)に、建設材料の物理化学的又は機械的特性の1つ又は複数の値を測定すること350、形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と測定値を比較すること360を含んでいてよい。
【0165】
これにより、形成される建設材料の品質管理を行うことができる。
【0166】
さらに、測定値が、形成される建設材料の物理化学的又は機械的特性の所定の値と異なるとき、調製方法は、少なくとも1つの補完的な成分を添加するステップ370を含んでいてよい。
【0167】
本明細書において、補完的な成分は、例えば、所定の組成を改変するために、解膠剤、活性化剤及び掘削された粘土質土から選択されてよい。補完的な成分はまた、上記のような添加剤又はフィラーから選択されてよい。
【0168】
これにより、形成される建設材料が、期待される機械的特性に可能な限り近い機械的特性を持つことが保証される。実際、偏差は混合時に識別され、材料が使用される前に修正される。
【0169】
さらに、
図4に示すように、この方法は、形成された建設材料を回収するステップ380によって完了される。
【0170】
別の態様によれば、本発明は、掘削された粘土質土を含む建設材料を調製するためのシステム400に関する。代替的に、議論されるように、本発明は、掘削された粘土質土を含む現場コンクリートを調製するためのシステム400に関する。
【0171】
図5に示される、本発明によるそのような方法は、建設材料の様々な構成要素のための容器410,420,430を含んでいてよい。例えば、それは、掘削された粘土質土のための少なくとも1つの容器410、解膠剤のための少なくとも1つの容器420、及び活性化剤のための少なくとも1つの容器430を含んでいてよい。さらに、それは、フィラー及び/又は添加剤のための少なくとも1つの容器440を含んでいてよい。さらに、システムは、洗浄液を保持するための洗浄容器を含んでいてよい。
【0172】
特に掘削された粘土質土の場合、容器410は物体ではなく、掘削された粘土質土が保管される場所にすぎない可能性がある。容器は、タンク、容器、ビン、サイロから選択することもできる。
【0173】
さらに、本発明によるシステムは、混合装置450を含む。特に、そのような装置は、建設バインダーの前駆体成分を均質化及び/又は攪拌することができる。
【0174】
この混合装置450は、特に、容器410,420,430と混合装置450との間に配置された自動輸送手段(それぞれ、容器410,420,430,440と混合装置450との間の矢印によって表される)に結合される。これらの輸送手段は、例えば、可撓性又は非可撓性のパイプ、ベルト、コンベヤー又はオーガーであり得る。さらに、輸送手段と組み合わせて、システムは、ポンプ、弁、電磁弁及び流量制限器を含んでいてよい。特に、流量制限器は、混合装置450に送達される各成分の量を独立して調節するために、輸送手段のそれぞれと機能的に切り替わるように配置されてよい。
【0175】
さらに、本発明によるシステムは、掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性を測定するための手段460を含んでいてよい。そのような測定手段460は、例えば、pHメーター、X線回折計、導電率メーター、電子顕微鏡、水銀ポロシメーター、分光蛍光計、ICP-MS、HPLC-MS、GC-MS、BET法による比表面積の測定、粒度計又はレオメーターであり得る。
【0176】
さらに、本発明によるシステムは、
-掘削された粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値を取得するステップと、
-1つ又は複数の測定値と参照値との比較に基づいて、掘削された粘土質土に適した解膠剤の量及び活性剤の量を決定するステップと
を実行するように構成されたコンピュータプログラムを実施するように適合された、好ましくは構成された計算手段470を含んでいてよい。
【0177】
さらに、本発明によるシステムは、自動輸送手段によって使用される出力信号を生成するように構成された制御モジュール480を含む。そのような出力信号は、決定された解膠剤及び活性化剤の量をシステムが混合装置450に輸送することを可能にするであろう。さらに、それらは、所定量の掘削された粘土質土を混合装置450に輸送することを可能にし得る。
【0178】
好ましくは、本発明による建設材料を調製するためのシステムは、スクリーン(好ましくはコンパクトなもの)、土破砕機、遊星ミキサーをさらに含んでいてよい。
【0179】
より好ましくは、それは土破砕機を含むことができる。特に、土破砕機は、建設バインダーや現場コンクリートの品質に影響を与える可能性のある凝集粒子の存在を排除することを可能にする。さらに、粉末化した粘土質土は、現場コンクリートに均一な外観を提供するであろう。
【0180】
さらにより好ましくは、本発明による建設材料を調製するためのシステムは、直径が10cmを超える、好ましくは2cmを超える小石を隔離するためのふるいを含む。建設材料を調製するためのシステムはまた、例えば、ふるいタイプの、直径50μm未満の粒子、好ましくは直径20μm未満の粒子を隔離するための選別手段を含んでいてよい。有利には、限定はされないが、このように分離された要素又は粒子、例えば砂及び/又は骨材画分は、建設材料、特に現場コンクリートの配合に再利用することができる。
【0181】
代替的に、掘削された粘土質土を前処理しなくてもよく、建設材料を得るためにすべての粘土質土が使用される。この場合、この方法により、現場コンクリートを製造することができる。
【0182】
また、掘削された土を使用前に処理するための汚染防止装置を含んでいてよい。
【0183】
従って、別の態様によれば、本発明は、掘削された粘土質土から形成された建設材料に関する。特に、この建設材料は、上記の本発明による調製方法により調製されてよい。例えば、この建設材料は、上記の本発明による調製方法に従って直接調製される。
【0184】
本発明による建設材料は、解膠剤及び掘削された粘土質土を含むことを特徴とする。建築材料の調製が、活性化剤を添加することを含むことに留意されたい。しかし、この活性化剤は掘削された粘土質土と反応する可能性があるため、建設材料において体系的に見られない。それにもかかわらず、時折、本発明による建設材料は、解膠剤、活性化剤及び掘削された粘土質土を含んでいてよい。
【0185】
フィラーの可能な添加を考えると、本発明はまた、解膠剤及び掘削された粘土質土を含むことを特徴とする現場コンクリートに関する。
【0186】
代替的に、フィラーが添加されていない場合、本発明はまた、解膠剤及び掘削された粘土質土を含むことを特徴とする建設バインダーに関する。
【0187】
有利には、本発明による建設材料は、異なるタイプの粘土の混合物を含む。特に、
-イライト及びカオリナイト、
-イライト及びカオリナイト及びベントナイト、
-イライト及びベントナイト、
-カオリナイト及びベントナイト、
-イライト及びモンモリロナイト、又は
-カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、モンモリロナイト、マスコバイト、ハローサイト、セピオライト、アタパルジャイト及びバーミキュライトの組み合わせ、
から選択される粘土の組み合わせを含んでいてよい。
【0188】
さらに、有利なことに、建設材料は、2μmより大きい粒子を最大80重量%、好ましくは2μmより大きい粒子を最大60重量%含むことを特徴とする掘削された粘土質土から形成される。2μmより大きい粒子の含有量は、例えばNF X31-107規格に従って測定できる。従って、掘削された土は、好ましくは前処理ステップを経て、サイズ直径が50μm以下、好ましくは20μm以下の画分を中心とする粒子サイズをもたらす。
【0189】
好ましくは、本発明による建設材料は、少なくとも50重量%の掘削された粘土質土、少なくとも60重量%の掘削された粘土質土、少なくとも70重量%の掘削された粘土質土、少なくとも80重量%の掘削された粘土質土、最も好ましくは少なくとも90重量%の掘削された粘土質土を備える。これは、建設材料が建設バインダーである場合に有利である。
【0190】
実際、解膠剤及び活性剤の量を選択することは、結果として得られる建設材料の機械的特性を変えることなく、大量の掘削された粘土質土で建設バインダーを形成することができるという利点を提供する。建設材料が現場コンクリートの場合、少なくとも10重量%の掘削された粘土質土、少なくとも15重量%の掘削された粘土質土、少なくとも20重量%の掘削された粘土質土、少なくとも30重量%の掘削された粘土質土、少なくとも40重量%の掘削された粘土質土、少なくとも50重量%の掘削された粘土質土を含んでいてよい。
【0191】
解膠剤は、建設材料の少なくとも0.1重量%、建設材料の少なくとも0.20重量%、建設材料の少なくとも0.25重量%、好ましくは建設材料の少なくとも0.5重量%、より好ましくは建設材料の少なくとも1重量%、さらにより好ましくは建設材料の少なくとも1.5重量%、及び例えば建設材料の少なくとも2重量%を占めていてよい。これは、建設材料が現場コンクリートである場合に有利である。
【0192】
解膠剤は、建設材料の少なくとも0.30重量%、建設材料の少なくとも0.5重量%、好ましくは建設材料の少なくとも1重量%、より好ましくは建設材料の少なくとも1.5重量%、さらにより好ましくは建設材料の少なくとも2重量%、及び例えば建設材料の少なくとも2.5重量%を占めていてよい。これは、建設材料が建設バインダーである場合に有利である。
【0193】
さらに、解膠剤は、建設材料の最大20重量%、好ましくは建設材料の最大15重量%、より好ましくは建設材料の最大10重量%を占めていてよい。
【0194】
特に、解膠剤は、建設材料の0.25から10重量%までの間、好ましくは建設材料の0.5から10重量%までの間、より好ましくは建設材料の1から10重量%までの間、さらにより好ましくは2から8重量%までの間、及び例えば建設バインダーの2から5重量%までの間を占めていてよい。従って、解膠剤は、好ましくは、建設材料の0.1から5重量%までの間を占めていてよい。
【0195】
特に、解膠剤は、掘削された粘土質土の少なくとも0.5重量%、好ましくは掘削された粘土質土の少なくとも1重量%、より好ましくは掘削された粘土質土の少なくとも2重量%、さらにより好ましくは少なくとも3重量%、及び例えば掘削された粘土質土の少なくとも4重量%を占める。実際、そのような解膠剤濃度で、本発明によるバインダー配合物は、次に活性化組成物と組み合わせて使用されて、有利な機械的特性を有する材料を形成することができる。
【0196】
さらに、解膠剤は、掘削された粘土質土の最大20重量%、好ましくは掘削された粘土質土の最大10重量%を占める。実際、有利な機械的特性を備えた材料を形成するために、高すぎる濃度は必要ではない。
【0197】
特に、解膠剤は、掘削された粘土質土の0.5から20重量%までの間、好ましくは掘削された粘土質土の1から10重量%までの間、より好ましくは掘削された粘土質土の3から10重量%までの間、さらにより好ましくは掘削された粘土質土の4から10重量%までの間を占める。
【0198】
活性化剤は、例えば、建設材料の少なくとも5重量%、好ましくは建設材料の少なくとも7重量%、より好ましくは建設材料の少なくとも8重量%の含有量で存在する。これは、建設材料が現場コンクリートである場合に有利である。
【0199】
活性化剤は、建設材料の少なくとも10重量%、好ましくは建設材料の少なくとも15重量%、より好ましくは建設材料の少なくとも20重量%、さらにより好ましくは建設バインダーの少なくとも25重量%、及び例えば建設バインダーの少なくとも30重量%の含有量で存在していてよい。
【0200】
さらに、活性化剤は、建設材料の最大50重量%、好ましくは建設材料の最大45重量%、及びより好ましくは建設材料の最大40重量%を占めていてよい。これは、建設材料が建設バインダーである場合に有利である。
【0201】
活性化剤はまた、建設材料の最大15重量%、好ましくは建設材料の最大12重量%、及びより好ましくは建設材料の最大10重量%を占めていてよい。これは、建設材料が現場コンクリートである場合に有利である。
【0202】
特に、活性化剤は、建設材料の3から12重量%までの間、好ましくは建設材料の4から10重量%までの間、より好ましくは建設材料の5から10重量%までの間を占めていてよい。これは、建設材料が現場コンクリートである場合に有利である。
【0203】
特に、活性化剤は、建設材料の10から80重量%までの間、好ましくは建設材料の15から80重量%までの間、より好ましくは建設材料の20から80重量%までの間、さらにより好ましくは建設材料の30から80重量%までの間、及び例えば建設材料の40から60重量%までの間を占めていてよい。これは、建設材料が建設バインダーである場合に有利である。
【0204】
1つの特定の実施形態では、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-30%から80重量%の掘削された粘土質土と、
-1%から10重量%の解膠剤と、
-10%から50重量%の活性化剤と
を備える。
【0205】
好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-50%から75重量%の掘削された粘土質土と、
-1%から10重量%の解膠剤と、
-15%から50重量%の活性化剤と
を備える。
【0206】
より好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-50%から70重量%の掘削された粘土質土と、
-2%から5重量%の解膠剤と、
-15%から45重量%の活性化剤と
を備える。
【0207】
より好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-50%から60重量%の掘削された粘土質土と、
-2%から5重量%の解膠剤と、
-25%から45重量%の金属酸化物と
を備える。
【0208】
さらにより好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-30%から80重量%の掘削された粘土質土と、
-1%から10重量%の解膠剤と、
-10%から40重量%の金属酸化物と、
-2%から15重量%の強塩基と
を備える。
【0209】
さらにより好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-30%から80重量%の掘削された粘土質土と、
-0.1%から10重量%の解膠剤と、
-15%から50重量%の高炉スラグと
を備える。
【0210】
さらにより好ましくは、本発明による建設材料、好ましくは建設バインダーは、
-30%から80重量%の掘削された粘土質土と、
-0.1%から10重量%の解膠剤と、
-10%から45重量%の高炉スラグと、
-5%から20重量%の三リン酸塩等のアルカリ性組成物と
を備える。
【0211】
好ましくは、本発明による建設材料は、
-5から45重量%までの間、好ましくは5から30重量%までの間、より好ましくは10から20重量%までの間の本発明による建設バインダーと、
-25から45重量%までの間、好ましくは30から40重量%までの間の、例えば現場土からの、好ましくは掘削された粘土質土からの砂と、
-35から55重量%までの間、好ましくは40から50重量%までの間の、例えば現場土からの、好ましくは掘削された粘土質土からの骨材と、
-好ましくは2から10重量%の水と
を備える現場コンクリートである。
【0212】
より好ましくは、本発明による建設材料は、
-5から20重量%までの間の掘削された粘土質土からの生粘土、好ましくは5から15重量%までの間の掘削された粘土質土からの生粘土と、
-0.1から3重量%までの間の解膠剤と、
-3から15重量%までの間、好ましくは5から12重量%までの活性化剤、例えば5%から10重量%までの間の高炉スラグと、
-25から45重量%までの間、好ましくは30から40重量%までの間の、例えば現場土からの、好ましくは掘削された粘土質土からの砂と、
-35から55重量%までの間、好ましくは40から50重量%までの間の、例えば現場土からの、好ましくは掘削された粘土質土からの骨材と、
-好ましくは2から10重量%までの間の水と
を備える現場コンクリートである。
【0213】
砂や骨材は採石場から入手されてよい。さらに、バインダーは、掘削された粘土質土からの粘土を補うために、採石場粘土を含んでいてよい。
【0214】
さらに、現場コンクリートは、流動化剤、高性能流動化剤、レオロジー保持剤、又は空気連行剤等の混和剤を含んでいてよい。
【0215】
さらに、建設バインダーの水対乾物重量比は、有利に制御され、好ましくは1未満であり、より好ましくは実質的に0.6に等しい。
【0216】
さらに、別の態様によれば、本発明は、本発明による建設バインダーから形成された建設材料に関する。
【0217】
さらに、本発明は、本発明による調製方法から得られる建設材料に関する。本発明は、本発明による調製方法から得られる建設材料に関する。
【0218】
本発明は、特に、以下の製造を可能にする:
-断熱建築材料:「植物性又は多孔性」タイプの軽い骨材を添加した、本発明による建設バインダーから;
-軽量コンクリート:アルミニウム粉末タイプの発泡剤を添加した、本発明による建設バインダーから。これにより、材料に空気が閉じ込められ、絶縁特性が向上するであろう;
-プレハブ要素:本発明による建設バインダーから工場でコンクリートブロック又はスラブを製造;及び
-分離モジュール。
【0219】
以下の実施例によって示されるように、本発明は、生の粘土マトリックス、解膠剤及び活性化組成物の混合物に基づく溶液を提供し、カーボンフットプリントを低減しながら、標準と同様の機械的特性を有する建設材料を提供する。
【実施例】
【0220】
粘土質土の物理化学的性質を測定するための方法論:
粘土質土は、直径が20μmを超えるすべての要素又は粒子を除去するために事前にふるいにかけられる。そのような前処理された粘土質土は、本発明による建設バインダーを形成するのに特に適している。
【0221】
pHは、100mLの蒸留水と混合された20gの前処理された粘土質土を使用して測定される。150rpm(アングロサクソンの用語での「1分あたりの回転数(revolutions per minute)」)で20分間撹拌した後、懸濁液をろ過し、ろ過した溶液のpHを測定する。
【0222】
粘土の含有量は、NF X31-107規格に記載されている粒度分布法によって従来の方法で測定される。
【0223】
粘土の性質は、X線回折法によって慣習的に測定される。
【0224】
類似値の生成
先に示したように、値は、粘土質土の少なくとも1つの物理化学的特性の測定値と解膠剤及び活性剤の量の値との間の相関関係を含む。
【0225】
これらの参照値は、以下に説明する建設バインダーを調製するための方法において、様々な解膠剤及び活性化剤の量と組み合わせた複数の粘土質土サンプルから生成される。
【0226】
参照値の生成は、例えばシンプレックス計画、スクリーニング計画、因子計画、応答曲面計画、混合計画、タグチ計画等の実験計画を実施してよい。
【0227】
以下の表1は異なった掘削された土サンプルの物理化学的特性を示し、表2は参照値を生成するための実験計画の例を示している。
【0228】
【0229】
【0230】
建設バインダーの調製:
建設バインダーは、特に参照値を生成する場合、同一のプロトコルに従って調製される。すなわち、例えば実験計画に従って、粘土質土と解膠剤との間で所定の量の予備混合物が作成され、次に水が添加され、低速で、すなわち実質的に毎分600回転で30秒間、懸濁液が混合される。次に、活性化剤が予備混合物に添加され、次に高速で、すなわち毎分約1500回転で3分間、予備混合物が混合される。
【0231】
組成物(建設バインダーとも呼ばれる)の乾物に対する水の重量比は、1未満の値、より好ましくは実質的に0.6に等しい値に調整される。
【0232】
次に、このように形成された建設バインダーを型に注ぎ、室温、すなわち摂氏約20度で28日間放置して硬化させる。
【0233】
次に、建設バインダーの機械的特性が評価される。
【0234】
建設バインダーの機械的特性を測定するための方法論:
硬化が完了した後、建設バインダーが型から取り外されて、機械的強度が測定される。建設バインダーの機械的強度とは、その圧縮強度を意味し、そのような圧縮はNF EN 196-1規格に従って測定される。
【0235】
表2に記載されている実験で実施された測定結果を以下の表3に示する。
【0236】
【0237】
これらの結果は、使用される活性化剤及び解膠剤の量に応じて、形成されるバインダーの性能、特にその機械的強度が異なることを示している。
【0238】
さらに、それらは、解膠剤の存在により、30MPaを超える機械的強度を得ることができることを示している。
【0239】
建設バインダーの組成の選択:
参照値及び必要に応じて計算アルゴリズムを準備した後、与えられた掘削された粘土質土に適切な解膠剤及び活性剤の量を選択する方法を実施することができる。
【0240】
まず、掘削された粘土質土のサンプルがふるいにかけられて、直径が20μmを超えるすべての要素又は粒子が除去される。
【0241】
次に、前処理された掘削された粘土質土サンプルの物理化学的特性が上記のように分析される。
【0242】
次に、得られた値が、本発明による方法を実施するように構成されたコンピュータ装置に送信される。
【0243】
次に、後者は、所定の量の掘削された土と結合されると建設バインダーを形成する解膠剤及び活性剤の量の値を生成する。
【0244】
本発明による建設バインダーの形成
次に、掘削された粘土質土がふるいにかけられて、直径が2cmを超える任意の要素又は粒子が除去され、次に、所定量の前処理された掘削された粘土質土が、選択された解膠剤及び活性化の量の値と同時に又は連続して混合される。
【0245】
本発明に従って形成された建設バインダー又は現場コンクリートは、ポルトランドセメントで形成されたコンクリートで得られる圧縮強度と同等の圧縮強度を有する。従って、本発明は、適切な組成物を選択することを可能にし、それは、掘削された粘土質土から、セクタのニーズの大部分を満たす建設材料にするのに十分な機械的特性を有する低炭素の建設バインダーを形成することを可能にする。