(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】通路情報システム、通路情報管理方法、通路情報管理装置、表示装置、取得装置、通路情報管理プログラム及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0226 20230101AFI20241023BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241023BHJP
【FI】
G06Q30/0226
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022009618
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-196626(JP,A)
【文献】特開2013-168078(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187290(WO,A1)
【文献】グーグルの新しいストリートビューは、機械学習によって現実世界を「インデックス化」する[online],2017年09月11日,[令和6年6月28日検索], インターネット<URL : https://wired.jp/2017/09/11/googles-new-street-view-cameras-will-help-algorithms-index-the-real-world/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00、
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路に関する通路情報を管理する通路情報システムであって、
通路情報を記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶すべき通路情報を取得する、移動使用可能な取得装置と
、
前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じた表示方法で、それぞれの通路を表示する表示装置と
を備え、
前記取得装置が取得した通路情報に応じてインセンティブを付与するインセンティブ付与手段を備える
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通路情報システムであって、
前記通路情報は、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能である
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の通路情報システムであって、
前記通路情報は、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを点群データとして含む
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項4】
請求項1乃至
請求項3のいずれか1項に記載の通路情報システムであって、
前記取得装置は、
自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
自装置の周辺の通路情報を取得する通路情報取得部と、
取得した位置情報及び通路情報を出力する通信部と
を備える
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項5】
請求項4に記載の通路情報システムであって、
前記取得装置は、
通路を移動する移動体に取付可能な取付部と、
前記取付部に取り付けられ、姿勢を安定化させる安定化部と
を備え、
前記位置情報取得部及び前記通路情報取得部は、前記安定化部を介して前記取付部に取り付け可能である
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項6】
請求項1乃至
請求項5のいずれか1項に記載の通路情報システムであって、
前記データベースにアクセス可能な通路情報管理装置を更に備え、
前記通路情報管理装置は、前記インセンティブ付与手段を備える
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項7】
請求項1乃至
請求項6のいずれか1項に記載の通路情報システムであって、
前記取得装置が取得した通路情報について、前記データベースにおける記憶の有無及び品質の少なくとも一方を含む記憶状況を判定する手段を備え、
前記インセンティブ付与手段は、判定した記憶状況に基づいて、付与するインセンティブを決定する
ことを特徴とする通路情報システム。
【請求項8】
通路に関する通路情報を管理する通路情報システムであって、
道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースと、
前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び記憶されている通路情報の品質の少なくとも一方に応じ
た表示方法で、それぞれの通路を表示する表示装置と
を備えることを特徴とする通路情報システム。
【請求項9】
通路に関する通路情報を取得する取得装置を用いた通路情報管理方法であって、
前記取得装置が、通路情報を取得するステップと、
通路情報の取得の有無及び通路情報の品質の少なくとも一方に応じた表示方法で、それぞれの通路を表示装置に表示するステップと、
前記取得装置が取得した通路情報に応じて、インセンティブを付与するステップと
を実行することを特徴とする通路情報管理方法。
【請求項10】
通路に関する通路情報を表示する表示装置を用いた通路情報管理方法であって、
前記表示装置は、
道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じ
た表示方法で、それぞれの通路を表示するステップ
を実行することを特徴とする通路情報管理方法。
【請求項11】
通路に関する通路情報を管理する通路情報管理装置であって、
通路情報を、通路毎に記憶するデータベースにアクセスする手段と、
前記データベースに記憶すべき通路情報を取得する取得装置から、取得した通路情報の入力を受け付ける手段と、
前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じた表示方法で、それぞれの通路を表示装置に表示させる手段と、
前記取得装置が取得した通路情報に応じて、インセンティブを付与する手段と
を備えることを特徴とする通路情報管理装置。
【請求項12】
通路に関する通路情報を表示する表示装置であって、
道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一方を含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じ
た表示方法で、それぞれの通路を表示する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
表示部を備えるコンピュータに、通路に関する通路情報を表示部に表示させる表示プログラムであって、
コンピュータに、
道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じ
た表示方法で、それぞれの通路を表示部に表示するステップを実行させることを特徴とする表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路に関する通路情報を管理する通路情報システム、そのようなシステムにて実行される通路情報管理方法、そのようなシステムにて用いられる通路情報管理装置、表示装置及び取得装置、並びにそのような装置を実現する通路情報管理プログラム及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Google LLCは、インターネットを介して通路及び通路の周辺の画像を提供するストリートビューと称するサービスを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】Google LLC提供資料"ストリートビューについて"[online]、[2021年12月25日検索]、インターネット<URL:http://www.google.co.jp/intl/ja/maps/about/behind-the-scenes/streetview/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に例示するような通路に関するサービスを提供するためには、通路に関する情報について、様々な管理が必要となる。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、通路に関する情報の管理に用いられる通路情報システムの提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明に係る通路情報システムにて実行される通路情報管理方法の提供を他の目的とする。
【0007】
また、本発明は、本発明に係る通路情報システムにて用いられる通路情報管理装置、表示装置及び取得装置の提供を更に他の目的とする。
【0008】
また、本発明は、本発明に係る通路情報管理装置を実現するための通路情報管理プログラムの提供を更に他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、本発明に係る表示装置を実現するための表示プログラムの提供を更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願開示の通路情報システムは、通路に関する通路情報を管理する通路情報システムであって、通路情報を記憶するデータベースと、前記データベースに記憶すべき通路情報を取得する、移動使用可能な取得装置とを備え、前記取得装置が取得した通路情報に応じてインセンティブを付与するインセンティブ付与手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示する表示装置を更に備えることを特徴とする。
【0012】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記通路情報は、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記通路情報は、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを点群データとして含むことを特徴とする。
【0014】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記取得装置は、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、自装置の周辺の通路情報を取得する通路情報取得部と、取得した位置情報及び通路情報を出力する通信部とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記取得装置は、通路を移動する移動体に取付可能な取付部と、前記取付部に取り付けられ、姿勢を安定化させる安定化部とを備え、前記位置情報取得部及び前記通路情報取得部は、前記安定化部を介して前記取付部に取り付け可能であることを特徴とする。
【0016】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記データベースにアクセス可能な通路情報管理装置を更に備え、前記通路情報管理装置は、前記インセンティブ付与手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記取得装置が取得した通路情報について、前記データベースにおける記憶の有無及び品質の少なくとも一方を含む記憶状況を判定する手段を備え、前記インセンティブ付与手段は、判定した記憶状況に基づいて、付与するインセンティブを決定することを特徴とする。
【0018】
また、本願開示の通路情報システムにおいて、前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び記憶されている通路情報の品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示する表示装置を更に備えることを特徴とする。
【0019】
更に、本願開示の通路情報システムは、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースと、前記データベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び記憶されている通路情報の品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示する表示装置とを備えることを特徴とする。
【0020】
更に、本願開示の通路情報管理方法は、通路に関する通路情報を取得する取得装置を用いた通路情報管理方法であって、前記取得装置が、通路情報を取得するステップと、前記取得装置が取得した通路情報に応じて、インセンティブを付与するステップとを実行することを特徴とする。
【0021】
更に、本願開示の通路情報管理方法は、通路に関する通路情報を表示する表示装置を用いた通路情報管理方法であって、前記表示装置は、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示するステップを実行することを特徴とする。
【0022】
更に、本願開示の通路情報管理装置は、通路に関する通路情報を管理する通路情報管理装置であって、通路情報を、通路毎に記憶するデータベースにアクセスする手段と、前記データベースに記憶すべき通路情報を取得する取得装置から、取得した通路情報の入力を受け付ける手段と、前記取得装置が取得した通路情報に応じて、インセンティブを付与する手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
更に、本願開示の表示装置は、通路に関する通路情報を表示する表示装置であって、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一方を含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示することを特徴とする。
【0024】
更に、本願開示の取得装置は、通路に関する通路情報を取得する、移動使用可能な取得装置であって、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、自装置の周辺の通路情報を取得する通路情報取得部と、取得した位置情報及び通路情報を取得する通信部と、通路を移動する移動体に取付可能な取付部と、前記取付部に取り付けられ、姿勢を安定化させる安定化部とを備え、前記位置情報取得部及び前記通路情報取得部は、前記安定化部を介して前記取付部に取り付け可能であることを特徴とする。
【0025】
更に、本願開示の通路情報管理プログラムは、通路情報を、通路毎に記憶するデータベースにアクセス可能なコンピュータに、通路に関する通路情報を管理させる通路情報管理プログラムであって、コンピュータに、前記データベースに記憶すべき通路情報を取得する取得装置から、取得した通路情報の入力を受け付けた場合に、前記取得装置が取得した通路情報に応じて、インセンティブを付与するステップを実行させることを特徴とする。
【0026】
更に、本願開示の表示プログラムは、表示部を備えるコンピュータに、表示部を備えるコンピュータに、通路に関する通路情報を表示部に表示させる表示プログラムであって、コンピュータに、道路及び道路の周辺並びに水路及び水路の周辺の少なくとも一つを含む画像として処理可能な通路情報を記憶するデータベースの記憶内容に基づいて、通路情報の記憶の有無及び品質の少なくとも一方に応じて異なる表示方法で通路を表示部に表示するステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る通路情報システム等は、通路に関する情報を管理することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願開示の通路情報システムの実施形態の一例を概念的に示す説明図である。
【
図2】本願開示の通路情報システムにて用いられる通路情報管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本願開示の通路情報システムにて用いられる通路情報データベースの記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。
【
図4】本願開示の通路情報システムにて用いられる使用者データベースの記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。
【
図5】本願開示の通路情報システムにて用いられる取得装置及び表示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】本願開示の通路情報システムが備える通路情報管理装置の道路地図提供処理及び表示装置による道路地図表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本願開示の通路情報システムが備える表示装置の表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
【
図8】本願開示の通路情報システムが備える取得装置の通路情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本願開示の通路情報システムが備える表示装置の品質情報等表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本願開示の通路情報システムが備える表示装置の表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
【
図11】本願開示の通路情報システムが備える表示装置の表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
【
図12】本願開示の通路情報システムが備える通路情報管理装置の通路情報等記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<概要>
本願開示の通路情報システムは、通路に関する通路情報、例えば、道路及び道路の周辺、又は水路及び水路周辺から取得した点群データ、画像情報等の通路情報の管理に用いられる。以下では、道路及び道路の周辺から取得した点群データ等の情報を通路情報とした形態について、通路情報を取得するシステム、取得の協力を促すシステム、取得状況を把握するシステム等の一連のシステムを、通路情報システムとして説明する。
【0030】
<システム構成>
図1は、本願開示の通路情報システムの実施形態の一例を概念的に示す説明図である。通路情報システムでは、システム全体を管理する通路情報管理装置1、通路に関する通路情報を取得する、移動使用可能な取得装置2、通路情報の取得状況を表示する表示装置3等の様々な装置が用いられる。通路情報管理装置1は、インターネット、WAN(Wide Area Network )等の各種通信網NWに接続されたウェブサーバコンピュータ等のコンピュータであり、通信網NWを介して情報の収集及び提供を行う。取得装置2は、移動しながら通路情報を取得するための装置であり、各種自転車、各種バイク、各種自動車、各種船舶等の移動体に取付可能な装置、更には人体に装着又は所持可能な装置として実現される。通路情報として示される通路とは、自転車等の陸上の移動体が通過する道路、船舶等の水上の移動体が通過する水路等の通路である。道路には、一般道路、高速道路、歩道等の様々な通路が含まれる。水路には、河川、運河、湖沼、海等の様々な水路が含まれる。
図1では、使用者が使用する自転車に取り付けられた取得装置2を例示している。
図1に例示する取得装置2は、取付部2A及び安定化部2Bを備え、取付部2A及び安定化部2Bを介して自転車に取り付けられている。取付部2Aは、自転車に取り付け可能な棒状体であり、長手方向が上下方向になるように配置して、下端近傍が自転車側に取り付けられている。取付部2Aの上端側には、姿勢を安定化させる三軸ジンバル、スタビライザ等の安定化部2Bが取り付けられており、安定化部2Bには、取得装置2の本体が取り付けられている。取得装置2の本体は、後述する
図5等に記載しているように、制御部20、記憶部21、位置情報取得部22、通路情報取得部23、近距離通信部24(通信部)、遠距離通信部25(通信部)等の制御に関する各種機構を備えている。制御に関する各種機構の詳細については後述する。
【0031】
表示装置3は、画像を表示可能なタブレット型コンピュータ、高機能携帯電話(所謂スマートフォン)、ナビゲーションシステム用装置、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて実現される。
図1では、自転車に取り付けられたタブレット型コンピュータを表示装置3として使用者が使用する形態を例示している。取得装置2及び表示装置3は、無線又は有線にて通信可能に構成されているが、一台の装置として構成してもよい。
【0032】
本願で例示する
図1に示す実施形態では、タブレット型コンピュータを用いた表示装置3を使用する使用者が、取得装置2が取り付けられた自転車を使用し、通路情報を取得する形態について説明する。使用者は、表示装置3に表示される画像を視認して、通路情報の取得の対象となる道路を決定する。使用者は、決定した道路を走行し、走行した道路に係る通路情報を取得装置2にて取得する。
【0033】
<各種装置構成>
図2は、本願開示の通路情報システムにて用いられる通路情報管理装置1の構成例を示すブロック図である。ウェブサーバコンピュータ等のコンピュータを用いた通路情報管理装置1は、制御部10、記憶部11、通信部12等の各種構成を備えている。
【0034】
制御部10は、装置全体を制御する処理を実行するCPU(Central Processing Unit )等のプロセッサであり、情報処理回路、計時回路、レジスタ回路等の各種回路を備えている。
【0035】
記憶部11は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive )、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks )、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、及び各種RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等の記憶媒体を用いた記憶用ユニットである。記憶部11には、基本プログラム(OS:Operating System)、基本プログラム上で動作する応用プログラム(アプリケーションプログラム)等のプログラムが記憶されている。応用プログラムとして、記憶部11は、道路に関する通路情報を管理させる通路情報プログラム110、通路情報を表示装置3に表示させる表示プログラム111等の各種プログラムを記憶している。
【0036】
記憶部11の記憶領域の一部は、通路情報を記憶する通路情報データベース112(データベース)、通路情報の収集に伴うインセンティブを受ける使用者に関する情報を記憶する使用者データベース113、地図データベース114等の各種データベースとして用いられている。なお、通路情報データベース112、使用者データベース113、地図データベース114等の各種データベースは、通路情報管理装置1の記憶部11を用いて実現するのではなく、通信網NWに接続するデータベースサーバコンピュータ等の記憶装置が備える記憶領域を用いて実現するようにしてもよい。更に、各種データベースは、通路情報管理装置1に接続された他の記憶媒体の記憶領域を用いて実現するようにしてもよい。このように、通路情報管理装置1が備える制御部10がアクセス可能であれば、各種データベースは、自装置の記憶部11、通信網NWを介して接続する記憶装置の記憶領域、他の記憶媒体の記憶領域等、様々な記憶領域を用いて実現することが可能である。
【0037】
通信部12は、LANポート等の通信用ユニットであり、通信網NWに接続し、通信網NWを介して取得装置2、表示装置3等の各種装置と通信を行う。
【0038】
図3は、本願開示の通路情報システムにて用いられる通路情報データベース112の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。通路情報データベース112には、通路を特定する通路IDに対応付けて、通路情報と、位置を示す位置情報、通路情報の記憶の有無、記憶されている通路情報の品質等の各種情報とが記憶されている。
【0039】
本願では、通路情報として、道路及び道路周辺の点群データ、画像データ等のデータが記憶されている例について説明する。記憶されている点群データは、主として移動しながらの走査(スキャン)、撮影等の取得処理により取得された情報が用いられる。点群データの形式は、適宜設定することが可能であるが、例えば、後述するように、位置情報と組み合わせることで、仮想的な3次元画像として処理可能な点群データとして記憶される。通路情報は、点群データに限らず位置情報に対応付けられた3次元の画像情報等の様々な情報が用いられる。
【0040】
位置情報は、例えば、緯度、経度、楕円体高(高度)等の座標情報にて示される情報である。通路情報を点群データ以外のデータを用いて構成する場合、位置情報としては、道路の路線番号、道路の名称、始点及び終点並びに経路を示す住所等の情報にて示すようにしてもよい。
【0041】
通路情報の品質は、走査の際の移動速度(速すぎ、遅すぎ)、停止間隔等の撮像条件、更には、人、車が多い等の画像の内容に基づいて決定される。また、通路情報として、画像を用いる場合、通路情報の品質は、画像としての評価となる視野角、解像度、鮮明度、ピント等の画像に関する一般的な事項でも決定される。
【0042】
なお、同じ区間の通路情報であっても、季節、時間帯毎に異なるレコードとして記憶するようにしてもよい。
【0043】
図4は、本願開示の通路情報システムにて用いられる使用者データベース113の記憶内容の一例を概念的に示す説明図である。使用者データベース113は、使用者に関する情報を、使用者を特定する使用者IDに対応付けて記憶するデータベースである。使用者データベース113に記憶される情報は、例えば、使用者に関する氏名、連絡先等の個人情報、使用者が使用する取得装置2を特定する取得装置ID、使用者に付与するインセンティブを示すインセンティブ情報等の各種情報である。インセンティブ情報は、使用者が取得する通路情報に応じて付与される内容を示す情報であり、例えば、報酬となる金額を示す金額情報、金銭的価値を有するポイント等の使用者の利益となる各種情報である。インセンティブ情報としては、例えば、アルバイト料、外注費用、給与又は賞与に反映される評価ポイント等の金銭に換算可能な情報を例示することができる。
【0044】
地図データベース114は、道路地図を表示するための地図情報を記憶しているデータベースである。地図データベース114は、緯度及び経度等の位置情報に対応付けて、道路地図を記憶している。通路情報管理装置1は、通信網NWを介して他の事業体が提供する地図データベース114にアクセスし、地図情報を取得して、提供するようにしてもよい。
【0045】
以上のように構成されたウェブサーバコンピュータ等のコンピュータは、記憶媒体となる記憶部11に記憶された通路情報プログラム110、表示プログラム111等の各種プログラムに含まれる各種ステップを、制御部10の制御にて実行することにより、通路情報管理装置1として機能する。
【0046】
図5は、本願開示の通路情報システムにて用いられる取得装置2及び表示装置3の構成例を示すブロック図である。取得装置2は、制御部20、記憶部21、位置情報取得部22、通路情報取得部23、近距離通信部24、遠距離通信部25等の各種構成を備えている。制御部20は、装置全体を制御するプロセッサである。記憶部21は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等の記憶媒体を用いて構成される記憶用ユニットである。
【0047】
位置情報取得部22は、自装置の位置及び姿勢を取得するユニットであり、アンテナ及び制御回路を用いて構成される。例えば、位置情報取得部22は、位置情報を取得するGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)と、姿勢を取得するIMU(Inertial Measurement Unit )、INS(Inertial Navigation System)、ジャイロセンサ、加速度センサ等の装置又はセンサとを用いて構成される。GNSSとしては、GPS:Global Positioning System(米国)、GLONASS:GLObal'naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema(ロシア)、ガリレオ:Galileo(欧州)、コンパス:Compass(中国)、QZSS:Quasi-Zenith Satellite System(日本)等のシステムを例示することができる。また、位置情報取得部22は、GNSS衛星から受信した電波に重畳された日付、時刻、緯度、経度、楕円体高等の位置情報を含む情報を取得することができる。
【0048】
通路情報取得部23は、回転しながら周囲を走査(スキャン)するレーザスキャナ等のユニットである。通路情報取得部23は、取付部2Aの周方向に回転し、例えば、水平方向360°及び鉛直方向±90での走査を行う。通路情報取得部23は、撮像により、道路及び道路の周辺の画像を通路情報として取得する。レーザスキャナを用いた通路情報取得部23により取得される通路情報は、GNSS、IMU等の位置情報取得部22が取得した位置及び姿勢を含む位置情報と組み合わせることにより、画像として処理可能な3次元の点群データとして処理される。通路情報取得部23としては、撮像により画像情報を取得するカメラ等のユニットを用いることも可能である。
【0049】
近距離通信部24は、表示装置3と通信する通信用ユニットであり、通信線による有線通信又はblue tooth(登録商標)等の通信規格に基づく無線通信により、表示装置3と接続し、通信処理を行う。遠距離通信部25は、通信網NWに接続する通信ユニットである。遠距離通信部25は、LTE(Long Term Evolution )、第5世代移動通信システム、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN(所謂、Wi-Fi)等の規格に則した通信により、通信網NWに接続する。なお、取得装置2は、遠距離通信部25により、通信網NWを介して、表示装置3と通信するように構成することも可能であり、近距離通信部24により、表示装置3を介して通信網NWに接続するように構成することも可能である。
【0050】
表示装置3は、制御部30、記憶部31、位置情報取得部32、入力部33、表示部34、近距離通信部35、遠距離通信部36等の各種構成を備えている。制御部30は、装置全体を制御するプロセッサである。
【0051】
記憶部31は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等の記憶媒体を用いて構成される記憶用ユニットである。記憶部31には、基本プログラム、応用プログラム等の各種プログラムが記憶されている。応用プログラムとして、記憶部31は、通路に関する通路情報を表示させる表示プログラム310等の各種プログラムを記憶することが可能である。表示装置3は、表示プログラム310を、例えば、通路情報管理装置1からダウンロードすることにより、記憶部31に記憶する。
【0052】
位置情報取得部32は、自装置の位置を取得するユニットである。
【0053】
入力部33は、使用者の操作を受け付けるタッチパネル等のユニットである。表示部34は、画像を表示する液晶ディスプレイ等のユニットである。ここでは、入力部33及び表示部34として、薄板状をなすタッチパネル及び液晶ディスプレイを積層して一体化した液晶タッチパネルを用いた例について説明する。なお、入力部33としては、命令を音声として受け付けるマイク等のユニットを用いることも可能である。
【0054】
近距離通信部35は、取得装置2と通信する通信ユニットである。遠距離通信部36は、通信網NWに接続する通信ユニットである。なお、表示装置3は、遠距離通信部36により、通信網NWを介して取得装置2と通信するように構成することも可能であり、近距離通信部35により、取得装置2を介して通信網NWに接続するように構成することも可能である。
【0055】
以上のように構成されたタブレット型コンピュータ等のコンピュータは、通路情報管理装置1にアクセスし、通路情報管理装置1にて実行される表示プログラム111によるサービスを享受することにより、表示装置3として機能する。タブレット型コンピュータ等のコンピュータは、記憶媒体となる記憶部31に記憶された表示プログラム310等の各種プログラムに含まれる各種ステップを、制御部30の制御にて実行することにより、表示装置3として機能するように構成することも可能である。また、通路情報管理装置1及び表示装置3の双方にそれぞれの装置で実行されるステップを含む表示プログラム111,310を記憶しておき、それぞれの装置が連携して表示プログラム111,310を実行するように構成することも可能である。
【0056】
<各種装置による各種処理>
以上のように構成された各種装置の処理について説明する。
図6は、本願開示の通路情報システムが備える通路情報管理装置1の道路地図提供処理及び表示装置3による道路地図表示処理の一例を示すフローチャートである。通路情報管理装置1が備える制御部10は、通路情報プログラム110を実行することにより、道路地図提供処理を実行する。また、表示装置3が備える制御部30は、表示プログラム310を実行することにより、道路地図表示処理を実行する。使用者は、表示装置3を操作し、入力部33から、通路情報の取得の候補となる地域の地図を要求する入力を行う。例えば、表示装置3が、通路情報管理装置1が提供するウェブページを表示し、使用者は、表示されている地図情報の取得等のアイコンを指示する入力を行うことにより、地図を要求する入力が行われる。ここでは、使用者は、取得の候補となる地域として、自装置が位置する周辺の地域の地図を要求する入力をしたものとする。
【0057】
表示装置3の制御部30は、入力部33から周辺地域の地図を要求する入力を入力部33から受け付ける(S101)。制御部30は、位置情報取得部32にて自装置の位置を取得し、取得した位置を示す位置情報を含み、地図情報の取得を要求する地図情報取得命令を、遠距離通信部36から通信網NWを介して通路情報管理装置1へ送信する(S102)。ステップS102において、自装置の位置以外の地図情報の取得を要求する場合、使用者は、任意の位置を示す位置情報の入力を行い、表示装置3は、入力された位置情報を含む地図情報取得命令を送信する。
【0058】
通信部12にて地図情報取得命令を受信した通路情報管理装置1の制御部10は、地図情報取得命令に含まれている位置情報に基づいて、地図データベース114から、位置情報にて示される位置の周辺の地図情報を取得する(S103)。更に、制御部10は、通路情報データベース112から、位置情報に基づく地図情報に含まれる通路に関する通路情報を取得する(S104)。そして、制御部10は、取得した地図情報及び通路情報に基づいて、表示装置3に表示させる地図を示す表示地図情報を生成し(S105)、生成した表示地図情報を通信部12から表示装置3へ送信する(S106)。
【0059】
遠距離通信部36にて、表示地図情報を受信した表示装置3の制御部30は、表示地図情報に基づく地図を、表示部34に表示する(S107)。
【0060】
図7は、本願開示の通路情報システムが備える表示装置3の表示部34に表示される画像の一例を示す説明図である。
図7は、ステップS107において、表示装置3の表示部34に表示される表示地図情報に基づく地図を含む画像を示している。ステップS107にて表示装置3に表示される
図7に例示した画像において、画面中央から下方にかけて、地図が示されている。表示装置3に表示された地図は、地図情報に基づく地図に、通路情報に基づく各種情報を重畳して生成された表示地図情報に基づいている。表示装置3に表示された地図は、通路情報データベース112の記憶内容に基づき、通路情報の記憶の有無及び品質に応じて異なる表示方法で各道路を表示している。例えば、表示装置3は、通路情報が記憶されていない道路を赤線で表示し、通路情報が記憶されている道路を青線で表示する。また、表示装置3は、記憶されている通路情報の品質が高いほど、濃い青色で表示する。更に、表示装置3は、通路情報を管理している事業体が、取得を所望する道路、例えば、経済、経営、都市工学、行政、インフラ、政治等の事由により、通路情報の取得を優先する必要がある道路を、必要性に応じた色で表示する。なお、
図7では、便宜上、通路情報が記憶されていない道路を破線で示し、低品質の通路情報が記憶されている道路を細線で示し、高品質の通路情報が記憶されている道路を太線(塗りつぶし線)で示している。また、幹線道路、中央分離帯が設置されている道路等の幅員が広い道路については、上り方向及び下り方向で異なる道路として示している。使用者は、表示装置3に表示された画像を視認することにより、道路毎に、通路情報の記憶の有無及び品質を容易に理解することができる。
【0061】
図7に例示した画像には、地図以外にも様々な情報が表示されている。画面上部には、左側に衛星補足数が表示されており、右側にインセンティブを示すポイントが表示されている。
図7は、通路情報取得前の状態を示しているため、インセンティブは、0となっている。衛星補足数及びポイントの下方には、クオリティが表示されている。
図7に表示されたクオリティとは、取得した通路情報の品質である。クオリティと地図との間には、自転車を模したシンボルが示されており、シンボルの横方向の位置により移動速度を示している。例えば、移動速度が速すぎる場合は、取得する通路情報の品質が低下するため、使用者は、シンボルの位置を確認しながら、移動速度を認識し、調整することができる。地図の下方には、計測距離、計測時間、ストレージ残量等の情報が表示される。計測距離は、使用者が通路情報を取得した距離であり、計測時間は、使用者が通路情報を取得し続けた時間である。
図7は、通路情報取得前の状態を示しているため、計測距離及び計測時間は、いずれも0となっている。
【0062】
以上のようにして、通路情報管理装置1の道路地図提供処理及び表示装置3の道路地図表示処理が実行される。
【0063】
図8は、本願開示の通路情報システムが備える取得装置2の通路情報取得処理の一例を示すフローチャートである。表示装置3の道路地図表示処理にて表示された道路地図を視認した使用者は、通路情報を取得すべき道路を決定し、決定した道路を通行し、取得装置2による通路情報取得処理を行い、通行の過程で周辺の通路情報を取得する。使用者は、通路情報の取得に際し、通路情報取得処理を開始させる操作を行う。通路情報取得処理を開始させる操作は、例えば、表示装置3の入力部33を操作し、操作に基づく命令を表示装置3の近距離通信部35から取得装置2の近距離通信部24へ送信することにより行われる。
【0064】
取得装置2が備える制御部20は、近距離通信部24により、通路情報の取得を開始する入力を受け付け(S201)、位置情報取得部22により姿勢情報及び位置情報の初期化処理を行う(S202)。ステップS202の初期化処理とは、基準水平面及び位置を検出するアライメント等の処理である。
【0065】
初期化処理後、取得装置2は、通路情報の取得処理を開始する。取得処理として、制御部20は、通路情報を取得し(S203)、取得した通路情報及び位置情報を対応付けて記憶部21に記憶し(S204)、記憶した通路情報の品質を検出し(S205)、インセンティブの概算を算出し(S206)、検出した品質を示す品質情報、算出したインセンティブの概算を示すインセンティブ情報等の各種情報を出力する(S207)。
【0066】
ステップS203の通路情報の取得は、通路情報取得部23が回転しながら道路及び道路周辺を走査及び/又は撮像し、走査結果及び/又は撮像結果に基づき道路及び道路の周辺の点群データ、RAWデータ等のデータを通路情報として取得する処理である。ステップS204の通路情報及び位置情報の記憶は、通路情報取得部23が取得した通路情報と、位置情報取得部32が取得した位置情報とを対応付けて記憶部21に記憶する処理である。ステップS205において、通路情報の品質は、GNSSの精度、INSの精度、SLAMの精度、走行速度等の各種要因に基づいて検出される。なお、通路情報の品質が所定の閾値より低い場合、制御部20は、自動又は手動操作により、ステップS202の初期化処理を再実行する。ステップS206のインセンティブの概算は、通路情報を取得した道路に関し、通路情報データベース112における通路情報の記憶の有無及び記憶されている通路情報の品質並びに走行距離に基づいて算出される。ステップS207の出力処理は、取得装置2の近距離通信部24から表示装置3の近距離通信部35へ各種情報を送信する処理である。ステップS203~S207の処理は、通路情報の取得処理として繰り返し実行される。
【0067】
図9は、本願開示の通路情報システムが備える表示装置3の品質情報等表示処理の一例を示すフローチャートである。表示装置3の制御部30は、近距離通信部35にて、取得装置2から送信された品質情報、概算情報等の各種情報の入力を受け付け(S301)、受け付けた品質情報、概算情報等の各種情報を表示部34に表示する(S303)。表示装置3は、ステップS301~S302の品質情報等表示処理を繰り返し実行し、取得装置2から送信された各種情報の入力を受け付ける都度、表示部34に表示している画像を更新する。
【0068】
図10は、本願開示の通路情報システムが備える表示装置3の表示部34に表示される画像の一例を示す説明図である。
図10は、ステップS302において、表示装置3の表示部34に表示される画像の例を示している。
図10は、
図7にて例示した画面と同様の画面構成にて表示された画像の例を示している。
図10に例示するように、表示装置3は、表示部34に、衛星捕捉数、ポイント(インセンティブの概算)、クオリティ(通路情報の品質)、移動速度、地図並びに通路情報の記憶状況及び新たに通路情報を取得した道路、計測距離、計測時間、ストレージ残量等の情報が表示されている。
図10は、取得した通路情報の品質が高く(GOOD)、適正な速度で、通路情報の取得が継続されている状態を示している。
【0069】
図11は、本願開示の通路情報システムが備える表示装置3の表示部34に表示される画像の一例を示す説明図である。
図11は、ステップS302において、取得装置2から送信された各種情報を受信した表示装置3の表示部34に表示される画像の例を示している。
図10は、取得した通路情報の品質が低い場合の例を示しており、速度が遅すぎるため、取得した通路情報の品質が低く(BAD)なっている状態である。
【0070】
使用者は、通路情報の取得を終了させる場合、例えば、表示装置3の入力部33を操作する。表示装置3は、操作に基づく命令を表示装置3の近距離通信部35から取得装置2の近距離通信部24へ送信する。
【0071】
図8に示すフローチャートに戻り、取得装置2が備える制御部20は、近距離通信部24により、通路情報の取得を終了する入力を受け付ける(S208)。制御部20は、記憶部21に対応付けて記憶した通路情報及び位置情報等の各種情報を、遠距離通信部25から通信網NWを介して通路情報管理装置1へ送信する(S209)。ステップS208の通路情報の取得を終了する入力の受け付けは、繰り返し実行されるステップS203~S207の処理に対する割込処理として実行される。取得装置2は、割込処理が発生すると、ステップS207の処理の後、ステップS208~S209の処理を実行する。
【0072】
以上のようにして、取得装置2の通路情報取得処理及び表示装置3の品質情報等表示処理が実行される。
【0073】
図12は、本願開示の通路情報システムが備える通路情報管理装置1の通路情報等記憶処理の一例を示すフローチャートである。通路情報管理装置1が備える制御部10は、通路情報プログラム110を実行することにより、通路情報等記憶処理を実行する。
【0074】
通路情報管理装置1の制御部10は、取得装置2から通信網NWを介して送信された通路情報及び位置情報等の各種情報を、通信部12にて受信する(S401)。制御部10は、受信した通路情報及び位置情報に基づいて、例えば、予め設定されている道路の区間毎に、通路情報の品質を判断する(S402)。ステップS402において、通路情報の品質は、走査の際の移動速度(速すぎ、遅すぎ)、停止間隔等の撮像条件、更には、人、車が多い等の画像の内容に基づいて決定される。また、通路情報として、画像が含まれる場合、通路情報の品質は、画像としての評価となる視野角、解像度、鮮明度、ピント等の画像に関する一般的な事項でも決定される。ステップS402では、これらの様々な要件に基づいて総合的に判断される。また、通路情報の品質は、位置情報にて示される位置の精度等の各種情報の精度についても加味して判断される。
【0075】
制御部10は、取得した通路情報及び位置情報並びに判断した品質、更には通路情報の必要性に基づいて、インセンティブを算出する(S403)。ステップS403のインセンティブの算出は、例えば、予め設定されている道路の区間毎に、通路情報として取得した道路の距離並びに通路情報について判断した品質及び記憶の有無に基づく品質係数の積を、区間インセンティブとして算出し、全ての区間について算出した区間インセンティブを合計することにより算出される。品質係数は、当該区間における通路情報が、通路情報データベース112に記憶されていない場合に高い値となるように設定される。また、品質情報は、当該区間における通路情報が記憶されている場合であっても、より高い品質であると判断された場合、判断した品質に応じて高い値となるように設定される。インセンティブの算出は、道路の重要性、取得した時間帯、季節等の要因に応じて係数を追加設定するようにしてもよい。更に、インセンティブの算出は、通路情報の必要性を加味するようにしてもよい。
【0076】
制御部10は、取得した通路情報等の各種情報を通路情報データベース112に記憶する(S404)。ステップS404は、取得した通路情報、判断した通路情報の品質等の各種情報に基づいて、通路情報データベース112の記憶内容を更新する処理である。なお、新たに取得した通路情報が、既に記憶されている通路情報より、品質が劣る場合、当該区間についての通路情報の更新は行われない。
【0077】
制御部10は、算出したインセンティブを、使用者IDに対応付けて、使用者データベース113に記憶する(S405)。インセンティブを記憶することにより、使用者は、報酬を得ることができる。
【0078】
以上のようにして、通路情報管理装置1は、通路情報等記憶処理を実行する。
【0079】
対応付けられた通路情報及び位置情報等の各種情報は、MMS(Mobile Mapping System )等の測位移動体測量方式により、最適軌跡解析、レーザ点群3次元構造化処理、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping )等の各種処理により、例えば、位置情報を含む点群データ、画像情報等の情報として出力される。SLAMに係る処理としては、収集した通路情報の種類及び位置情報の状態に応じて、Lidar SLAM、Visual SLAM等の技術を適用した処理が実行される。画像として処理可能な点群データの生成に係る処理は、通路情報管理装置1にて実行してもよく、通路情報及び位置情報にアクセス可能な他の装置にて実行するようにしてもよい。出力された点群データ等の情報は、例えば、インターネットを介して道路及び道路の周辺の画像を提供するサービスに用いられる。
【0080】
以上のように本願開示の通路情報システムは、既に記憶されている通路情報の有無及び/又は品質に応じて、地図上の道路の表示を変更する。これにより、通路情報を取得する使用者又は通路情報の取得を依頼する管理者は、通路情報の取得が必要な区間を容易に認識することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0081】
また、本願開示の通路情報システムは、取得した通路情報に応じて、使用者にインセンティブを付与する。これにより、使用者に、通路情報を取得する意欲を向上させることが可能であり、管理者側は、品質の高い通路情報を広く収集することが期待できる等、優れた効果を奏する。
【0082】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0083】
例えば、前記実施形態では、通路情報として、道路及び道路の周辺を走査及び/又は撮像した点群データ及び/又は画像情報を取得する例を示したが、通路に関する様々な情報を通路情報とすることが可能である。例えば、本願開示の通路情報システムは、道路の渋滞状況、通行の可否、気温、湿度、二酸化炭素濃度、放射線量等の様々な情報を、通路情報として扱うことが可能である。また、通路情報として、水路及び水路周辺に係る情報を用いる場合、通路情報として、水面高さ、水流、波高等の様々な情報を、通路情報として扱うことが可能である。
【0084】
更に、前記実施形態では、表示装置3に表示させる表示地図情報を、通路情報管理装置1にて生成する例を示したが、当該処理を表示装置3にて生成する等、様々な形態に展開することが可能である。本願開示の通路情報システムは、表示地図情報を生成する処理に限らず、前記実施形態で例示した様々な処理を実施する装置は、適宜、設定することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 通路情報管理装置
10 制御部
11 記憶部
110 通路情報プログラム
111 表示プログラム
112 通路情報データベース(データベース)
113 使用者データベース
114 地図データベース
12 通信部
2 取得装置
2A 取付部
2B 安定化部
20 制御部
21 記憶部
22 位置情報取得部
23 通路情報取得部
24 近距離通信部(通信部)
25 遠距離通信部(通信部)
3 表示装置
30 制御部
31 記憶部
310 表示プログラム
32 位置情報取得部
33 入力部
34 表示部
35 近距離通信部
36 遠距離通信部
NW 通信網