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特許7575808生態学的な捨て石防波堤の建設方法、誘引型セメントベース塗料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】生態学的な捨て石防波堤の建設方法、誘引型セメントベース塗料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/54 20170101AFI20241023BHJP
   A01K 61/77 20170101ALI20241023BHJP
   C09D 1/06 20060101ALI20241023BHJP
   C09D 1/08 20060101ALI20241023BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20241023BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20241023BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241023BHJP
   E02B 3/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A01K61/54
A01K61/77
C09D1/06
C09D1/08
C09D5/16
C09D7/61
C09D7/63
E02B3/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022533424
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020133082
(87)【国際公開番号】W WO2021109983
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】201911210502.6
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911210521.9
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】呂 建福
(72)【発明者】
【氏名】郭 軼宏
(72)【発明者】
【氏名】許 飛
(72)【発明者】
【氏名】胡 新宇
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-41525(JP,A)
【文献】特開2018-130081(JP,A)
【文献】特開2003-265039(JP,A)
【文献】特開2011-93723(JP,A)
【文献】特開平7-206501(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107372242(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104938384(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107805037(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104529286(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109467354(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/50
A01K 61/54
A01K 61/70
A01K 61/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生態学的な捨て石防波堤の建設方法であって、
(1)生態プロジェクトが建設される海区を調査するステップであって、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ該海区の異なる季節の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+及びを調査し、更に、過去の台風発生数及びその強度調査するステップと、
(2)コンクリート付着基盤を製造するステップであって、形状が板状の付着基盤、波形の付着基盤、円筒形の付着基盤のうち1つで、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造するステップと、
(3)カキ幼生を定量的に収獲及び養殖するステップであって、地元の海域のカキ浮遊幼生が集中して付着して変態する期間に、付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が15~25個/100cm付着基盤に対して、採苗を停止し、次に、カキ幼生の付着量が15~25個/100cm 付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖するステップと、
(4)石塊表面を処理するステップであって、岩石表面を洗浄し、飽和した表面が乾燥する場合、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料をスプレー又は塗布するステップと、
(5)石塊を置くステップであって、2年目に、カキの浮遊幼生は、地元の海域で集中して付着して変態する期間に、分散して置き、そして体積が1立方メートルを超える石塊を個別に置き、縄で作られたかごで各石塊を被覆し、また、縄で作られたかごは、体積が1立方メートル未満の複数の石塊を被覆することで、体積が1~5立方メートルの石の山を形成し、その内部空隙率が40%~60%であり、縄岩石又は石の山を接続するステップと、
(6)カキ付着基盤を現場に配置するステップであって、()における性腺発達の成熟段階にあるカキが付着する基盤を防波堤の建設海区に輸送し、石塊又は石の山ごとに表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を置き、且つ縄で石塊又は石の山を固定するテップと、
(7)幼生の付着を監視及び管理するステップであって、カキ幼生がコンクリート表面での付着情況を監視し、カキの付着量が30~40個/100cm着基盤を取り外し、且つ防波堤の生態状態を長期的に監視するステップとを含むことを特徴とする、建設方法。
【請求項2】
前記カキ付着基盤は、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤で構成され、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤の重量百分率は順次、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%、0.6~3.0%、0.4%~2.0%、0.4%~2.0%、0.2%~1.8%、0.15%~1.5%及び0.03%~0.18%であり、
前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、又はカキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、及びサンゴ粉末のうちの1つ以上の組み合わせであり、
前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項3】
前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、前記濃色顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用し、
記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム及びリンであり、それについては、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリート性能への悪影響を低減又は解消するように改質することができ、しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択せず、
記セメント質材料は、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つであり、ここで、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、及びフライアッシュのうちの1つ以上の組み合わせを含み、
前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、及び軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、
前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmであり、
前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維のうち1つ以上の無機繊維であ、ことを特徴とする、請求項2に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項4】
前記セメントベース塗料は、セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤で構成され、前記セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:(0.35~0.7):(0.20~0.60):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.01~0.08):(0.04~0.12):(0.05~0.15):(0.001~0.010)であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項5】
前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、また、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用し、
前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、又はカキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度が100メッシュ~1000メッシュであり、
前記バイオカルシウム粉末の改質方法は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することであり、
前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超え、
前記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム及びリンであり、それについては、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリート性能への悪影響を低減又は解消するように改質することができ、しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択せず、
前記砂は、川砂、機械製砂又は淡水化海砂のうち1つ以上であり
前記超可塑剤は、ルボン酸、ナフタリン系のうち1つであり、
セメントベース塗料の製造方法は、
セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤を量るステップS1と、
セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素を材料混合機に入れ、回転数1000~1500周り/分間で、2~5分間均一に混合するステップS2と、
次に、砂、木材繊維素、分散性ゴム粉末をミキサーに入れ、回転数500~1000周り/分間で、5~10分間混合するステップS3と、
粉末状の超可塑剤を水に十分に溶解し、次にそれと混合材料を一緒に高速ミキサー中に入れ、回転数1000~1500周り/分間で、5~10分間撹拌するステップS4とを含み、
それにより、誘引効果に優れた、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメント塗料を製造し得ることを特徴とする、請求項に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項6】
前記カキ幼生が集中して付着して変態する期間は、5~8月又は4~10月であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項7】
前記カキ付着基盤において、成形時に直径3~5mmの丸穴を作り出すことを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項8】
前記縄は、シュロ縄、ガラス繊維ロープ、玄武岩繊維ロープのうち1つであることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項9】
前記カキ付着基盤は、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤を含み、ここで、前記濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項10】
前記カキ付着基盤は、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤を含み、ここで、前記炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%和0.03%~0.18%であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項11】
前記カキ付着基盤は、牛骨粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤を含み、ここで、前記牛骨粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%であることを特徴とする、請求項1に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【請求項12】
前記カキ付着基盤は、改質した濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤を含み、ここで、前記改質した濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%であることを特徴とする、請求項3に記載の生態学的な捨て石防波堤の建設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210502.6号の「生態学的な捨て石防波堤の建設方法」の優先権の利益を主張し、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210521.9号の「海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料及びその製造方法」の優先権の利益を主張し、それらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、生態学的な防波堤技術に関し、特に生態学的な捨て石防波堤の建設方法、誘引型セメントベース塗料及びその製造方法に関するものであり、それは、海洋生態工学の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
ここ数十年、中国沿海地域の経済が急速に発展するが、環境保護に気を遣ったことがないため、中国沿海地域の生態系の大規模な破壊が引き起こされ、それは中国沿海地域の生態系と経済に深刻な影響を与える。現在、関連する一連の国家政策の実行により、中国の海洋プロジェクト建設もピーク期間の到来を告げると同時に、海洋プロジェクトの大規模建設及びその周りの海域の安定化を確保する防波堤は、すでに脆弱な海洋の生態系を更に破壊する。生態環境の適切な保護が取られない場合、それは中国沿海地域の生態系をより深刻に破壊する。同時に、中国沿海地域のほとんどのインフラストラクチャは解体できず、その海域の生態系を回復する必要があるため、人々は、多くのインフラストラクチャに生態学的技術を適用することで、海域の生態系を効果的に改善又は回復できることに徐々に気づく。従って、生態学的効果の高い防波堤を建設すること、又は既存の防波堤を生態化することは、中国沿海地域の生態環境の改善にとって非常に重要、緊急なことである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、現在の防波堤の拡張と修復が沿海地域の生態系を破壊し、既存の防波堤の耐用年数が短いという問題を解決するために、耐久性に優れた生態学的な捨て石防波堤の建設方法を提供することであり、そのため、防波堤はまた、消波機能に優れ、耐用年数が長く、そして環境効率に優れた。
【0005】
本発明は、カキが暗い基質及び同種の貝殻の表面に付着することを好み、より高いアルカリ度がカキの付着及び変態に影響を与えることに基づいて、同時に混ぜ込んだ外部添加物がセメントベース塗料及びコンクリート性能への影響を考慮すると、カキが付着するように誘引するための塗料並びにコンクリートの設計、成形及び養生の方法を確定する。具体的な技術的解決手段は以下のとおりである。
【0006】
(1)生態プロジェクトが建設される海区を調査するについて、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ該海区の異なる季節の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、Kなどを調査し、更に、過去の台風発生数及びその強度などを調査する。
【0007】
(2)コンクリート付着基盤を製造するについて、形状が板状の付着基盤、波形の付着基盤、及び円筒形の付着基盤のうち1つを製造する。
【0008】
(3)カキ幼生を定量的に収獲及び養殖するについて、地元の海域のカキ浮遊幼生が集中して付着して変態する期間に、付着基盤を近くの海域の採苗区に配置し、カキ幼生の付着量が15~25個/100cmの場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖する。
【0009】
(4)石塊表面を処理するについて、岩石表面を洗浄し、飽和した表面が乾燥する場合、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料をスプレー又は塗布する。
【0010】
(5)石塊を置くについて、2年目に、カキの浮遊幼生は、地元の海域で集中して付着して変態する期間に、分散して置き、そして体積が1立方メートルを超える石塊を個別に置き、縄で作られたかごで各石塊を被覆し、また、縄で作られたかごは、体積が1立方メートル未満の複数の石塊を被覆することで、体積が1~5立方メートルの石の山を形成し、その内部空隙率が40%~60%であり、縄などで岩石又は石の山を接続する。
【0011】
(6)カキ付着基盤を現場に配置するについて、(2)における性腺発達の成熟段階にあるカキが付着する基盤を防波堤の建設海区に輸送し、石塊又は石の山ごとに表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を置き、且つ縄で石塊又は石の山を固定し、また、地元の海域の浮遊生物情況に基づき、必要に応じて給餌し、又は餌の栄養塩を入れる。
【0012】
(7)幼生の付着を監視及び管理するについて、カキ幼生がコンクリート表面での付着情況を監視し、30~40個/100cmの場合、カキ付着基盤を取り外し、且つ防波堤の生態状態を長期的に監視し、実際の情況に応じた改善策を講じる。
【0013】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤について、その材料の成分は、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維、及び超可塑剤であり、その重量百分率は順次、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%、0.6~3.0%、0.4%~2.0%、0.4%~2.0%、0.2%~1.8%、0.15%~1.5%及び0.03%~0.18%である。
【0014】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0015】
好ましくは、前記濃色顔料は、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0016】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、又はカキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度が100メッシュ~1000メッシュである。(ここで、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、及びサンゴ粉末は、バイオ炭酸カルシウム粉末を称する。
【0017】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものである。
【0018】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超える。
【0019】
好ましくは、前記微量元素の亜鉛、鉄、カリウム及びリンは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリート性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0020】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0021】
好ましくは、前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維のうち1つ以上を含む無機繊維(長さ12~20mm)である。
【0022】
好ましくは、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。
【0023】
好ましくは、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmである。
【0024】
表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法は、
粗い表面に付着するというカキ幼生の好みの特性に応じて、異なる粗さを設計し、次に、粗さが異なる成形型枠を製造するステップS1と、
セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤を量るステップS2と、
まず、軽量粗骨材、軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えて更に1~2分間撹拌し、その後、短繊維、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させるステップS3と、
型抜きしたコンクリート供試体を情況に応じて高濃度COの養生箱に置いて0.5~5時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生するステップS4とを含む。
【0025】
それにより、誘引効果に優れた、表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤を製造し得る。
【0026】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤について、その材料の成分は、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%である。
【0027】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤について、その材料の成分は、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%である。
【0028】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤について、その材料の成分は、牛骨粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、牛骨粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%和0.03%~0.18%である。
【0029】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤について、その材料の成分は、改質した濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、改質した濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、0.4~2.35%、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%及び0.03%~0.18%である。
【0030】
(2)における具体的な対策に記載のセメントベース生物付着基盤において、成形時、直径3~5mmの丸穴を作り出す。
【0031】
(3)における具体的な対策に記載のカキ幼生の集中付着変態期間について、一般的に、中国華北地方は5~8月、中国華南地方は4~10月である。
【0032】
(4)における具体的な対策に記載の海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料について、具体的な技術的解決手段は以下のとおりである。
【0033】
その材料の成分は、セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤であり、その重量比は順次、1:(0.35~0.7):(0.20~0.60):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.01~0.08):(0.04~0.12):(0.05~0.15):(0.001~0.010)である。
【0034】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0035】
好ましくは、前記濃色顔料は、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0036】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、又はカキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度が100メッシュ~1000メッシュである。
【0037】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものである。
【0038】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超える。
【0039】
好ましくは、前記微量元素の亜鉛、鉄、カリウム及びリンは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリート性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0040】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0041】
好ましくは、前記砂は、粒径が0.16mm~2.36mmの川砂、機械製砂(母材は石灰石、玄武岩又は花崗岩)、及び海砂のうち1つ以上である。
【0042】
好ましくは、前記超可塑剤は、例えば、カルボン酸、ナフタリン系のうち1つである。
【0043】
海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料及びその製造方法は、
セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤を量るステップS1と、
セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素を材料混合機に入れ、回転数1000~1500周り/分間で、2~5分間均一に混合するステップS2と、
次に、砂、木材繊維素、分散性ゴム粉末をミキサーに入れ、回転数500~1000周り/分間で、5~10分間混合するステップS3と、
粉末状の超可塑剤を水に十分に溶解し、次にそれと混合材料を一緒に高速ミキサー中に入れ、回転数1000~1500周り/分間で、5~10分間撹拌するステップS4とを含む。
【0044】
それにより、誘引効果に優れた、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメント塗料を製造し得る。
【0045】
(5)における具体的な対策に記載の縄はシュロ縄、ガラス繊維ロープ、玄武岩繊維ロープのうち1つである。
【0046】
本発明の目的は、湿気のある環境で直接塗布及び硬化することができる塗料を発明することであり、それは、コンクリート表面に固着生物を迅速で高密度に付着させ、カキの固着特性を利用して生物学的防食効果を果たし、大量の固着生物も水域の浄化、生態系の回復の役割を果たす。海洋コンクリートプロジェクトの潮差領域及び水中地域における防食対策の効果が限られ、耐用年数が短く、コストが高く、及び生態系の劣化によって海洋の生態系を早急に回復しなければならないという問題を解決する。
【0047】
本発明の実現方法は以下のとおりである。本発明では、低アルカリ度のセメント質材料、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤を使用し、塗料に改質した濃色顔料、改質したバイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えることにより、製造されたセメントベース塗料は、カキ幼生の付着と変態を効果的に誘引する機能を有し、カキが高密度で均一に付着する効果を果たし、カキの固着特性を利用してコンクリート構造物の耐久性を向上させ、且つ海洋環境を汚染しない。
【0048】
本発明は以下の構造的特徴を更に有する。
【0049】
その材料の成分は、セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤であり、その重量比は順次、1:(0.35~0.7):(0.20~0.60):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.02~0.10):(0.01~0.08):(0.04~0.12):(0.05~0.15):(0.001~0.010)である。
【0050】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0051】
好ましくは、前記濃色顔料は、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0052】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、又はカキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度が100メッシュ~1000メッシュである。
【0053】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものである。
【0054】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超える。
【0055】
好ましくは、前記微量元素の亜鉛、鉄、カリウム及びリンは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリート性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0056】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0057】
好ましくは、前記砂は、粒径が0.16mm~2.36mmの川砂、機械製砂(母材は石灰石、玄武岩又は花崗岩)、及び海砂のうち1つ以上である。
【0058】
好ましくは、前記超可塑剤は、カルボン酸、ナフタリン系のうち1つである。
【0059】
海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料及びその製造方法は、
セメント質材料、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤を正確に量るステップS1と、
セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素を材料混合機に入れ、回転数1000~1500周り/分間で、2~5分間均一に混合するステップS2と、
次に、砂、木材繊維素、分散性ゴム粉末をミキサーに入れ、回転数500~1000周り/分間で、5~10分間混合するステップS3と、
粉末状の超可塑剤を水に十分に溶解し、次にそれと混合材料を一緒に高速ミキサー中に入れ、回転数200~500周り/分間で、5~10分間撹拌するステップS4とを含むことを特徴とする。
【0060】
それにより、誘引効果に優れた、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料を製造し得る。
【0061】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0062】
本発明では、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料を天然石塊表面に塗布し、且つ表面が粗いコンクリートカキ付着基盤を石の山に置き、それにより、カキ幼生が石塊に迅速で高密度に付着し、且つカキが付着、変態、発達の過程において十分な栄養素を取ることができる。そして、合理的な空間レイアウトを使用し、海流の負荷が大きい場合、各石の山(石塊)が効果的に消波し、平素、防波堤の両側の水体をスムーズに交換することができる。各石の山(石塊)に付着したカキが大量に繁殖した後、該生態学的な防波堤は水体を浄化し、周辺海域の生態環境を改善することもできる。このように、従来の防波堤は、両側の水体の交換を妨害し、地元の海域のpH値を変更し、更に生態環境を破壊するという問題を完全に解決し、且つ該海域の生態環境を回復するために使用され得る。
【0063】
現在、海洋コンクリートの耐久性も、海洋コンクリートプロジェクトの生態化も、環境に優しい経済的な方法がない。カキは、海洋の「生態学的技術者」として、コンクリート構造物の表面を緻密化し、生態環境を改善する機能を持っている。本発明によって提供される固着生物を誘引するためのセメントベースの塗料は、固着生物が付着し、変態し、そして長期の成長を促進することを迅速に誘引するという特徴を有するだけでなく、施工しやすく及び塗布しやすい特徴も有する。それは、新しい海洋プロジェクト、特に海洋の大量の使用中プロジェクトに適用できる。それは、鉄筋コンクリート構造の耐久性を向上させるだけでなく、海洋生態環境の回復を容易且つ経済的に実現することができる。それは、使用中の鉄筋コンクリート構造への海洋固着生物の防食用途を大幅に拡大するだけでなく、海洋生態環境の回復プロジェクトにも広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】10%の牛骨粉末を混ぜ込んだ、配合比が異なるコンクリート表面にカビが生える情況である。
図2】粉末度が200メッシュ、10%の改質した牛骨粉末を混ぜ込む場合の異なる配合比である。
図3】実際の海の付着実験の210日間の概略図である。
図4】実際の海の付着実験の300日間概略図である。
図5】コンクリートカキ付着基盤の概略図である。
図6】コンクリートカキ付着基盤の概略図である。
図7】コンクリートカキ付着基盤の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下では、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明し、これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0066】
プロジェクト計画の具体的な技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0067】
(実施例1)
(1)防波堤を建設する海区を調査するについて、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ四半期ごとに15回試験し、該海区の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、Kイオンを記録し、更に、過去の台風発生数、その強度を調査し、長年にわたった海域の気象及び水文データを調べ、生態学的な捨て石防波堤の建設のための実行可能方法及び解決策を分析し、
【0068】
(2)コンクリート付着基盤の製造では、エココンクリートを使用し、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造し、付着基盤のサイズは10cm×10cm×2cmであり、型抜きした後、直ちに10気圧で1時間のCO養生を行い、その後、28日間標準養生する。
【0069】
(3)カキ幼生の定時に定量的に収獲及び養殖するについて、7月に、粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が20個/100cmの場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖する。
【0070】
(4)石塊表面を処理するについて、岩石表面を検査し、不純物及び化学汚染物質がある岩石表面を洗浄し、飽和した表面が乾燥する場合、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料を塗布し、
【0071】
(5)石塊を置くについて、2年目の6月に、分散して置き、そして体積が1立方メートルを超える石塊を個別に置き、縄で作られたかごで各石塊を被覆し、また、縄で作られたかごは、体積が1立方メートル未満の複数の石塊を被覆することで、体積が1~5立方メートルの石の山を形成し、その内部空隙率が50%であり、縄などで岩石又は石の山を接続し、且つ各石塊(石の山)間の距離を4メートルに維持する。
【0072】
(6)カキ付着基盤を現場に配置するについて、コンクリート表面にカキ(腺発達の成熟段階にある)がよく付着する基盤を防波堤の建設海区に輸送し、石塊(石の山)ごとにカキ付着基盤を置き、且つ縄で石塊又は石の山を固定し、
【0073】
(7)幼生の付着を管理及び監視するについて、カキ幼生がコンクリート表面での付着密度が35個/100cmに達する場合、カキ付着基盤を取り外し、同時に該海域の浮遊生物の種類及びその数に基づき、給餌するかどうかを決定する。
【0074】
(実施例2)
(1)防波堤を建設する海区を調査するについて、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、四半期ごとに15回試験し、該海区の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、Kイオンを記録し、更に、過去の台風発生数、その強度を調査し、長年にわたった海域の気象及び水文データを調べ、生態学的な捨て石防波堤の建設のための実行可能方法及び解決策を分析し、
【0075】
(2)コンクリート付着基盤の製造では、エココンクリートを使用し、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造し、付着基盤のサイズは10cm×10cm×3cmであり、型抜きした後、直ちに10気圧で1.5時間のCO養生を行い、その後、28日間標準養生する。
【0076】
(3)カキ幼生の定時に定量的に収獲及び養殖するについて、8月に、粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が25個/100cmの場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖する。
【0077】
(4)石塊表面を処理するについて、岩石表面を検査し、不純物及び化学汚染物質がある岩石表面を洗浄し、飽和した表面が乾燥する場合、海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料を塗布し、
【0078】
(5)石塊を置くについて、2年目の7月に、分散して置き、そして体積が1立方メートルを超える石塊を個別に置き、縄で作られたかごで各石塊を被覆し、また、縄で作られたかごは、体積が1立方メートル未満の複数の石塊を被覆することで、体積が1~5立方メートルの石の山を形成し、その内部空隙率が60%であり、縄などで岩石又は石の山を接続し、且つ各石塊(石の山)間の距離を5メートルに維持する。
【0079】
(6)カキ付着基盤を現場に配置するについて、コンクリート表面にカキ(腺発達の成熟段階にある)がよく付着する基盤を防波堤の建設海区に輸送し、石塊(石の山)ごとにカキ付着基盤を置き、且つ縄で石塊又は石の山を固定する。
【0080】
(7)幼生の付着を管理及び監視するについて、カキ幼生がコンクリート表面での付着密度が40個/100cmに達する場合、カキ付着基盤を取り外し、同時に該海域の浮遊生物の種類及びその数に基づき、給餌するかどうかを決定する。
【0081】
実施例1及び実施例2に記載のカキ付着基盤及びセメントベース塗料の配合比は以下のとおりであり、コンクリートカキ付着基盤の形状設計は具体的に図5~7を参照し、
【0082】
表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤(1~25)のコンクリート配合比、及び海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料(26~35)の配合比は以下のとおりであり、
【0083】
1、通常のポルトランドセメントのコンクリート配合比について、通常のポルトランドセメント、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、29.37%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0084】
そのうち、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmであり、且つ格付が高い。前記水は、コンクリート用水の品質基準(JGJ63-2006)を満たす必要があり、Cl含有量<1000mg/Lであり、PH値>4.5であり、セメントの初期硬化時間差及び最終硬化時間、強度、浸透性にほとんど影響を与えない。また、1~25で選択された上記材料は同じである。
【0085】
2、基準コンクリートの配合比について、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、17.62%、1.47%、10.28%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0086】
3、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0087】
4、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.28%、8.99%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0088】
5、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0089】
6、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0090】
7、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.28%、8.99%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0091】
8、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0092】
そのうち、改質した濃色顔料は、196透明樹脂であり、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕するだけで済む。
【0093】
9、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0094】
10、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.28%、8.99%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0095】
11、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である
【0096】
12、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、0.87%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0097】
13、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、1.47%、17.62%、1.10%、7.71%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0098】
14、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、2.35%、17.62%、0.99%、6.94%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0099】
15、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0100】
16、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.28%、8.99%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0101】
17、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0102】
18、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0103】
19、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.28%、8.99%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0104】
20、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.18%、8.23%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0105】
牛骨粉末の改質方法は以下のとおりである。100メッシュの牛骨粉末を濃度2%のリン酸溶液に加え、両者の重量比は1:3であり、温度は20~30℃であり、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、3000~5000周り/分間の遠心分離機で3分間遠心分離し、上澄み液を捨て、且つ遠心分離した固形物を水で2~3回洗浄し、洗浄水は酸性を示せず、遠心分離した固形物を40℃で真空乾燥し、乾燥した牛骨粉末とスラグ粉末を1:4に応じて混合し、粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕し、使用に備える。
【0106】
21、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、0.5%、1.47%、17.62%、0.93%、6.50%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0107】
22、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、1.2%、1.47%、17.62%、0.84%、5.89%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0108】
23、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.5%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.93%、6.50%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0109】
24、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.6%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.84%、5.89%、33.57%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0110】
硫酸亜鉛の改質方法は以下のとおりである。SiO含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、60°Cのミキサーで150gの水を加え、次に、100gの硫酸亜鉛を加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を60°Cに加熱し、溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで10分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、改質した硫酸亜鉛が得られる。
【0111】
25、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、短繊維及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.5%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.93%、6.50%、33.07%、24.18%、12.59%、0.8%、0.03%である。
【0112】
26、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は、1:0.5:0.4:0.03:0.03:0.03:0.02:0.06:0.06:0.005である。
【0113】
27、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.05:0.05:0.05:0.02:0.06:0.06:0.005である。
【0114】
28、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.05:0.05:0.05:0.04:0.08:0.09:0.005である。
【0115】
29、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.08:0.08:0.08:0.04:0.08:0.09:0.005である。
【0116】
30、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.08:0.08:0.08:0.06:0.10:0.12:0.005である。
【0117】
31、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は、1:0.5:0.4:0.03:0.03:0.03:0.04:0.06:0.06:0.005である。
【0118】
32、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.05:0.05:0.05:0.04:0.06:0.06:0.005である。
【0119】
33、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.05:0.05:0.05:0.02:0.08:0.09:0.005である。
【0120】
34、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.08:0.08:0.08:0.06:0.08:0.09:0.005である。
【0121】
35、セメント質材料、砂、水、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、木材繊維素、分散性ゴム粉末及び超可塑剤の重量比は順次、1:0.5:0.4:0.03:0.03:0.03:0.06:0.10:0.12:0.005である。
【0122】
改質した濃色顔料の改質方法以下のとおりである。196透明樹脂を用い、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕するだけで済む。
【0123】
牛骨粉末の改質方法は以下のとおりである。100メッシュの牛骨粉末を濃度2%のリン酸溶液に加え、両者の重量比は1:3であり、温度は20~30℃であり、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、3000~5000周り/分間の遠心分離機で3分間遠心分離し、上澄み液を捨て、且つ遠心分離した固形物を水で2~3回洗浄し、洗浄水は酸性を示せず、遠心分離した固形物を40℃で真空乾燥し、乾燥した牛骨粉末とスラグ粉末を1:4に応じて混合し、粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕し、使用に備える。
【0124】
硫酸亜鉛の改質方法は以下のとおりである。SiO含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、60°Cのミキサーで150gの水を加え、次に、100gの硫酸亜鉛を加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を60°Cに加熱し、溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで10分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、改質した硫酸亜鉛が得られる。
【0125】
参考文献1、生きている防波堤_ニューヨーク沿岸のグリーンインフラストラクチャ_孫一鶴
【0126】
参考文献1において、「生きている」防波堤の建設を行い、マクロデザイン、表面テクスチャ、低アルカリセメントで製造されたコンクリート部材により、海洋生物の数を増加させ、増加した海洋生物は、海洋植物及び海洋の固着生物で、主に海洋植物である。本発明において、セメントの低アルカリ化に加えて、コンクリート中に濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素などを混ぜ込み、カキ幼生を誘引し、その誘引は、迅速、緻密などの特徴を有し、効果に優れ、海域の生態環境を大幅に改善できる。
【0127】
参照文献2の生物模倣コンクリート人工魚礁及びその製造方法2015 CN104938384 Aに比べて、その違いは以下のとおりである。
【0128】
(1)本発明の目的は参照文献2と異なり、参照文献2において、コンクリート表面に粉砕されたカキ殻を混合するセメントモルタルを塗布するが、その目的は、表面の生物模倣によって魚、微生物、藻類を集め、微生物の数を増加させることによって水体環境を改善することであり、カキが言及されない。本発明のセメントベース塗料の目的は、カキが付着するように誘引することである。
【0129】
(2)参考文献2によると、セメントモルタルにおいて、セメントの投与量の10%未満のバイオ炭酸カルシウム粉末(150~200メッシュ)は、誘引による付着に対して無効であることを示す。しかし、本発明の研究過程において、改質した牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を混合するセメントベース塗料(粉末度が100~1000メッシュ)を用い、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末の最適な投与量はセメント質材料の10%以下であることが分かる。
【0130】
(3)牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を改質することは、具体的には、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸などのうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理すること、及び希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0131】
(4)参考文献において、コンクリート表面にカキ殻を嵌め込むことは難しく、全てのプロジェクトの表面はこのような方法を用いるわけでなく、実行可能性は低い。本発明は、コンクリート表面にセメントベース塗料層を塗布することによって固着生物を誘引するという優れた効果を果たすことができ、カキ殻を嵌め込む必要がなく、施工しやすいだけでなく、カキ付着量を大幅に向上させることができる。
【0132】
(5)海洋環境下で、近年、人工魚礁の深刻な腐食が多く発生し、深刻な腐食は主に、嫌気性微生物であるチオバチルス菌が分泌した生物学的硫酸と他の細菌が分泌した酸性物質などの複合作用によって引き起こされる。しかし、炭酸カルシウムの酸腐食耐性は非常に弱いため、粉末度が大きな炭酸カルシウムの含有量が高すぎると、深刻な酸腐食を引き起こすことができる。
【0133】
参考文献3の范瑞良.基盤種類がカキの付着、成長、個体群の確立及び礁本体の発達への影響[D])に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0134】
(1)参考文献3において、80メッシュの牛骨粉末、カルシウム粉末、石膏粉末を取り、それぞれコンクリート中に独立して混ぜ込む。本発明における全てのカルシウム質材料の粉末度は、100メッシュを超え、参考文献3における材料の粉末度よりも大きい。同様に、牛骨粉末を混ぜ込むため改質し、塗料とコンクリート粒子の格付及びその誘引能力を考慮する。
【0135】
(2)常温条件で、振動ミルで牛骨粉末を粉砕し、粉末度が80メッシュを超えた後、牛骨粉末に大量のコラーゲンが含まれるため、塊になり、粉砕を続けることができない。本発明において、希酸改質技術を用い、且つ他の物質と共に粉砕されると、粒径が小さな牛骨粉末、粉末度>200メッシュの改質したバイオカルシウム粉末が得られる。得られたバイオカルシウム粉末は、バイオカルシウムの元の物質を残し、カキ幼生が付着するように誘引するための物質の放出速度を向上させ、且つバイオカルシウム粉末の投与量を低下させるため、塗料及びコンクリート性能への影響を低下させる。
【0136】
(3)牛骨粉末は、大量のコラーゲンなどの有機物質を含み、大量のこれらの物質を混ぜ込むと、塗料及びコンクリートの強度及び浸透防止性の低下をもたらし、特に5%を超えた後、投与量を向上させると、塗料及びコンクリートの強度は急速に低下し、浸透防止性は顕著に低くなり、また、標準養生条件下で塗料及びコンクリート表面にカビが生える。図1は、コンクリート表面にカビが生える情況である。図2は、改質したコンクリートの表面情況である。
【0137】
図1から分かるように、コンクリート表面のカビは白くて綿状であり、コンクリート表面のほぼ全体を覆い、牛骨粉末、齢期、養生条件が同じである場合、図2におけるコンクリート表面にカビがない。
【0138】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、塗料及びコンクリートの強度及び浸透性にほとんど影響を与えず、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つ塗料及びコンクリートにカビが生えるという問題を解決し、また、誘引剤を混ぜ込まないコンクリートと比較し、誘引剤を混ぜ込んだコンクリートに付着したカキ幼生の数は大幅に増加し、具体的には、図3を参照する。
【0139】
参考文献及び調べられた資料から分かるように、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの試験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を混ぜ込むと、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメント塗料及びセメントコンクリートには大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、コンクリート細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、カキが付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したイオン濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、セメント塗料及びコンクリート中のCa(OH)を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、塗料及びコンクリート中に炭酸カルシウム質材料を混ぜ込んでカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。カキの早期付着、変態はHCO に関連し、変態の場合、Ca2+と共に炭酸カルシウムの二次殻を形成する。炭酸カルシウムを混ぜ込んだ後、炭酸カルシウムはCOや水と反応するため、Ca(HCOを生成した後に付着に関与し、カキ幼生の付着を促進する基本的なメカニズムである。
【0140】
セメントベース材料に最適な量の炭酸カルシウムがあり、それは以下の3つの側面から説明できる。
【0141】
1)同量の代替セメントでは、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、塗料及びコンクリート中のアルカリを希釈し、総アルカリ度が低下し、しかし、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、塗料及びコンクリート中の炭酸カルシウムの溶解確率が向上し、その溶液中のHCO 含有量が向上するため、カキの付着と変態を促進し、しかし、投与量が大きすぎる場合、塗料及びコンクリートの浸透性が急に高まり、塗料及びコンクリート中のアルカリ及び炭酸塩が急速に浸出し、アルカリの悪影響が顕著になり、炭酸塩の臨界効果又は悪影響が現れ始めるため、付着量が低下し、
【0142】
2)同量の代替骨材では、投与量の増加に伴い、塗料及びコンクリートの浸透性が低下し、カルシウムイオンとOHの浸出が低下し、しかし、炭酸イオンの浸透率は徐々に向上し、一定の値に達すると、カキの付着が最大値に達し、投与量が増加し続けると伴い、カルシウムイオンが大幅に減少し、炭酸塩も減少する可能性があり、カルシウムイオン濃度はカキ幼生の付着を制限し、それは付着量の低下として現れ、
【0143】
3)同量の代替鉱物混和剤では、投与量の増加に伴い、浸透性も向上し、且つ炭酸カルシウムの増加により、カキの付着に必要なHCO 濃度が適切な範囲に達し、それはカキ幼生の付着量の向上として現れ、鉱物混和剤の投与量が増加し続けると伴い、鉱物混和剤の投与量が低下し、浸出したアルカリと炭酸塩の量が増加するが、アルカリとHCO イオンが多すぎるとカキ幼生の付着を阻害する。
【0144】
参考文献4(李真真、公丕海、関長涛、etal.様々なセメント種類のコンクリート人工魚礁の生物付着効果[J].漁業科学進展、2017,38(5):57-63.)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0145】
参考文献4において、複合ポルトランドセメント、スラグポルトランドセメント、ポゾラン質のポルトランドセメント、フライアッシュ質のポルトランドセメント及びアルミナセメントを使用し、本発明において、通常のポルトランドセメントと鉱物混和剤を複合して混ぜ込むことによって低アルカリ度のセグメントを実現し、ここで、シリカフュームは、鉱物混和剤のうち1つであり、それは、活性が高く、適切な投与量が海洋環境における鉄筋コンクリートの耐久性の向上に明らかな効果があり、最適化設計及び試験により、強度と耐久性に優れた低アルカリ度セメントを得ることができる。同時に、シリカフュームコンクリートの浸透防止性が高い特徴により、コンクリート内部のアルカリ度が高くても、大量のカキ幼生が付着、変態、成長する。また、低アルカリ度のスルホアルミネートセメントの複合により、セメントコンクリートのアルカリ度を調整し、カキ幼生の付着のために適切なpH値を提供する。また、海洋植物とカキやフジツボなどの固着生物の耐アルカリ性は異なり、付着期と後期で必要な環境は異なり、例えば、フジツボ及びカキの付着、変態及び後期の成長は大量のカルシウムイオンを必要とする。
【0146】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のコンクリートは同じように見えるが、実際にはまったく異なる。図4及び図5はそれぞれ、参考文献3における約210日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況と本発明における300日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況との比較である。
【0147】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のコンクリートは同じように見えるが、実際にはまったく異なる。
【0148】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献3により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0149】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。
【0150】
濃色顔料
【0151】
カキの眼点幼生の走光性を利用し、濃色顔料(鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つ)をコンクリート中に混ぜ込み、コンクリートの色を変更し、コンクリートの色は濃くなり、カキ幼生にそれが暗い環境であると思わせ、カキ幼生が自分で濃色のコンクリート表面に到達するように誘引し、カキ幼生とコンクリート表面との接触確率を向上させ、カキ幼生が付着するように誘引する確率を向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0152】
(海洋生物学の研究者は、望ましくない個体群を養殖及び増殖又は排除するために、異なる色の基質を使用した海洋の固着生物の付着への研究を検討し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、濃色の塗料及びコンクリートを使用してカキ幼生が付着するように誘引する。本発明は、濃色顔料を加え、塗料及びコンクリートの色を濃くし、カキ幼生の付着を促進する。塗料及びコンクリート中に他の材料を混ぜ込むため、それらの性能に影響を与える。本発明は、異なるセメントのコンクリートが異なる表面色を有することを考慮する。従って、セメント種類及び投与量に基づいて濃色物質の投与量を決定する。濃色顔料も塗料及びコンクリート性能に影響を与える。最も重要なことは、濃色顔料を混ぜ込むと同時に、塗料及びコンクリート中のアルカリとCa2+の浸透率を制御しない場合、放出されたアルカリは固着生物幼生の付着、変態及び成長に影響を与え、投与量が所定の値を超える場合、幼生の付着量が低下することである。本発明において、コンクリートの浸透防止性を設計及び制御し、主な対策は、濃色顔料の種類の選択、投与量の制御及び改質である。濃色物質の投与量の増加に伴い、幼生の付着量は高くなり、投与量はセメント質材料の0.5%~6%である場合、幼生の付着量は最高であるが、その後わずかに増加し、又は変化しない。
【0153】
微量元素
【0154】
カキ体内は大量の亜鉛を含み、それが生息する海水よりもはるかに高く、同時に、カキ体内は多くのFe鉄、P、K元素を含む。同時に、溶液中の適切なZn2+及びK濃度は、カキ幼生の早期付着と変態を促進し得る。従って、リン酸亜鉛、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸鉄、リン酸カルシウムを微量元素として使用してコンクリートに混ぜ込み、
【0155】
これらの物質の改質により、コンクリートの強度と浸透防止性は基本的に変化せず、カキ幼生の付着誘引率を大幅に向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0156】
海洋生物学の研究者は、カキの付着メカニズム及び養殖と増殖の目的を明らかにするために、異なるイオンが海洋の固着生物の付着と変態への影響を研究し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、塗料及びコンクリート中に対応する物質を加え、カキ幼生がクリート表面に付着するように誘引することが分かる。可溶性塩は、初期の作業性、硬化時間、及び後期の強度と浸透防止性などのコンクリート性能に大きな影響を与えるため、本発明は、珪藻土を担体として使用することにより、これらの無機塩を珪藻土の内部に固定し、可溶性塩が塗料及びコンクリート性能への影響を低減すると同時に、珪藻土が塗料及びコンクリート性能を向上させる効果を利用し、これらの誘引物質を加えても、塗料及びコンクリートの優れた性能を維持できることを実現する。また、珪藻土は担体として持続放出効果があるため、可溶性塩の放出は比較的遅く、特に海水に所定の時間以上浸した後、その放出速度は非常に低いレベルに保たれる。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、微量元素を塗料及びコンクリートに混ぜ込み、塗料及びコンクリート表面の微量元素のイオン含有量を変更し、及びコンクリートの浸透性を制御することは、カキ幼生が付着するように誘引する能力に優れた塗料及びコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0157】
塗料及びコンクリートの浸透性
【0158】
塗料及びコンクリートの強度及び浸透性は塗料及びコンクリートの2つの最も重要な性能である。塗料及びコンクリート中に異なる誘引剤を混ぜ込むと、塗料及びコンクリート性能に影響を与え、そのため、異なる物質を混ぜ込んでカキ幼生の付着、変態及び後機の成長を促進する場合、まず、塗料及びコンクリートの強度や浸透性に大きな影響を与えないように、全体として制御する必要があり、次に、各種の原料の適合性に応じて原料を選択し、原料の性能が実際の要件を満たせない場合、原料を加える前に改質することで、望ましい機能を達成できる。しかし、実は、前述の関連研究では、カルシウム含有量がカキ幼生の付着への影響を考慮するが、コンクリート自体の性能を考慮せず、水セメント比、カルシウム含有量及び養生などを考慮せず、塗料及びコンクリートの浸透性の変化により、塗料及びコンクリート内部のアルカリやイオンの浸透率が変化し、塗料及びコンクリートの浸透防止性が低ければ低いほど、その内部のアルカリとイオンの浸透率が高くなり、指数関数的に増加する可能性がある。従って、これらの放出されたアルカリとイオンは幼生に大きな影響を与え、付着を促進することから付着を阻害することまで変化し、特にセメント投与量が多い場合、この情況はより深刻になる可能性がある。従って、塗料及びコンクリート中に誘引剤を混ぜ込み、塗料及びコンクリートの浸透防止性の変化は、制御可能な範囲内にあることを確保しなければならず、例えば、変化は10%を超えない。このように、これらの誘引効果を比較することができ、そうでなければ、誘引剤を独立して混ぜ込み又は誘引剤を複合して混ぜ込むことがカキ幼生の誘引効果への影響を評価することができない。
【0159】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つ塗料及びコンクリートの浸透防止性から出発して塗料及びコンクリートを設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによって塗料及びコンクリートの浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、塗料及びコンクリートの浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0160】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献2~3により、本発明において、コンクリート中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、牛骨粉末の改質、粉砕技術及び塗料とコンクリートの浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有する塗料及びコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0161】
以下では、実施例A1~10を参照しながら本発明を詳細に説明し、これらの実施例A1~10の具体的な実施方法は、前述の海洋プロジェクト表面に固着生物を誘引するためのセメントベース塗料(26~35)の実施方法と同じである。
【0162】
参照文献2(生物模倣コンクリート人工魚礁及びその製造方法2015 CN104938384 A)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0163】
(1)本発明の目的は参照文献2と異なり、参照文献2において、コンクリート表面に粉砕されたカキ殻を混合するセメントモルタルを塗布するが、その目的は、表面の生物模倣によって魚、微生物、藻類を集め、微生物の数を増加させることによって水体環境を改善することであり、カキが言及されない。本発明のセメントベース塗料の目的は、カキが付着するように誘引することであり、それは主にカキであるが、潮差領域の鉄筋コンクリートは防食効果がある場合、フジツボの付着を考慮する。
【0164】
(2)参考文献2によると、セメントモルタルにおいて、セメントの投与量の10%未満のバイオ炭酸カルシウム粉末(150~200メッシュ)は、誘引による付着に対して無効であることを示す。しかし、本発明の研究過程において、改質した牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を混合するセメントベース塗料(粉末度が100~1000メッシュ)を用い、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末の最適な投与量はセメント質材料の10%以下であることが分かる。
【0165】
(3)牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を改質することは、具体的には、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸などのうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理すること、及び希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0166】
(4)参考文献において、コンクリート表面にカキ殻を嵌め込むことは難しく、全てのプロジェクトの表面はこのような方法を用いるわけでなく、実行可能性は低い。本発明は、コンクリート表面にセメントベース塗料層を塗布することによって固着生物を誘引するという優れた効果を果たすことができ、カキ殻を嵌め込む必要がなく、施工しやすいだけでなく、カキ付着量を大幅に向上させることができる。
【0167】
(5)海洋環境下で、近年、人工魚礁の深刻な腐食が多く発生し、深刻な腐食は主に、嫌気性微生物であるチオバチルス菌が分泌した生物学的硫酸と他の細菌が分泌した酸性物質などの複合作用によって引き起こされる。しかし、炭酸カルシウムの酸腐食耐性は非常に弱いため、粉末度が大きな炭酸カルシウムの含有量が高すぎると、深刻な酸腐食を引き起こすことができる。
【0168】
参考文献3の范瑞良.基盤種類がカキの付着、成長、個体群の確立及び礁本体の発達への影響[D])に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0169】
(1)参考文献3において、80メッシュの牛骨粉末、カルシウム粉末、石膏粉末を取り、それぞれコンクリート中に独立して混ぜ込む。本発明における全てのカルシウム質材料の粉末度は、100メッシュを超え、参考文献3における材料の粉末度よりも大きい。また、改質した牛骨粉末を混ぜ込み、塗料の粒子の格付及びその誘引能力を考慮する。
【0170】
(2)常温条件で、振動ミルで牛骨粉末を粉砕し、粉末度が80メッシュを超えた後、牛骨粉末に大量のコラーゲンが含まれるため、塊になり、粉砕を続けることができない。本発明において、希酸改質技術を用い、且つ他の物質と共に粉砕されると、粒径が小さな牛骨粉末、粉末度>200メッシュの改質したバイオカルシウム粉末が得られる。得られたバイオカルシウム粉末は、バイオカルシウムの元の物質を残し、カキ幼生が付着するように誘引するための物質の放出速度を向上させ、且つバイオカルシウム粉末の投与量を低下させるため、塗料性能への影響を低下させる。
【0171】
(3)牛骨粉末は、大量のコラーゲンなどの有機物質を含み、大量のこれらの物質を混ぜ込むと、塗料の強度及び浸透防止性の低下をもたらし、特に5%を超えた後、投与量を向上させると、塗料の強度は急速に低下し、浸透防止性は顕著に低くなり、また、標準養生条件下で塗料にカビが生える。
【0172】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、塗料の性能にほとんど影響を与えず、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つ塗料を塗布した後にカビが生えるという問題を解決する。誘引剤を混ぜ込まない塗料よりも、誘引剤を混ぜ込んだ塗料を塗布したコンクリートのカキ幼生の付着量は顕著に増加する。
【0173】
参考文献及び調べられた資料から分かるように、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの試験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を混ぜ込むと、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメントベース塗料には大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、その細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、カキが付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したイオン濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、塗料中のCa(OH)を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、塗料中に炭酸カルシウム質材料を混ぜ込んでカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。カキの早期付着、変態はHCO に関連し、変態の場合、Ca2+と共に炭酸カルシウムの二次殻を形成する。炭酸カルシウムを混ぜ込んだ後、炭酸カルシウムはCOや水と反応するため、Ca(HCOを生成した後に付着に関与し、カキ幼生の付着を促進する基本的なメカニズムである。
【0174】
セメントベース材料に最適な量の炭酸カルシウムがあり、それは以下の3つの側面から説明できる。
【0175】
1)同量の代替セメントでは、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、セメントベース材料中のアルカリを希釈し、総アルカリ度が低下し、しかし、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、セメントベース材料中の炭酸カルシウムの溶解確率が向上し、その溶液中のHCO 含有量が向上するため、カキの付着と変態を促進し、しかし、投与量が大きすぎる場合、セメントベース材料の浸透性が急に高まり、そのうちのアルカリ及び炭酸塩が急速に浸出し、アルカリの悪影響が顕著になり、炭酸塩の臨界効果又は悪影響が現れ始めるため、付着量が低下し、
【0176】
2)同量の代替骨材では、投与量の増加に伴い、セメントベース材料の浸透性が低下し、カルシウムイオンとOHの浸出が低下し、しかし、炭酸イオンの浸透率は徐々に向上し、一定の値に達すると、カキの付着が最大値に達し、投与量が増加し続けると伴い、カルシウムイオンが大幅に減少し、炭酸塩も減少する可能性があり、カルシウムイオン濃度はカキ幼生の付着を制限し、それは付着量の低下として現れ、
【0177】
3)同量の代替鉱物混和剤では、投与量の増加に伴い、浸透性も向上し、且つ炭酸カルシウムの増加により、カキの付着に必要なHCO 濃度が適切な範囲に達し、それはカキ幼生の付着量の向上として現れ、鉱物混和剤の投与量が増加し続けると伴い、鉱物混和剤の投与量が低下し、浸出したアルカリと炭酸塩の量が増加するが、アルカリとHCO イオンが多すぎるとカキ幼生の付着を阻害する。
【0178】
参考文献4(李真真、公丕海、関長涛、etal.様々なセメント種類のコンクリート人工魚礁の生物付着効果[J].漁業科学進展、2017,38(5):57-63.)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0179】
参考文献4において、複合ポルトランドセメント、スラグポルトランドセメント、ポゾラン質のポルトランドセメント、フライアッシュ質のポルトランドセメント及びアルミナセメントを使用し、本発明において、通常のポルトランドセメントと鉱物混和剤を複合して混ぜ込むことによって低アルカリ度のセグメントを実現し、ここで、シリカフュームは、鉱物混和剤のうち1つであり、それは、活性が高く、適切な投与量が海洋環境における鉄筋コンクリートの耐久性の向上に明らかな効果があり、最適化設計及び試験により、強度と耐久性に優れた低アルカリ度セメントを得ることができる。同時に、シリカフュームコンクリートの浸透防止性が高い特徴により、コンクリート内部のアルカリ度が高くても、大量のカキ幼生が付着、変態、成長する。また、低アルカリ度のスルホアルミネートセメントの複合により、セメントベース塗料のアルカリ度を調整し、カキ幼生の付着のために適切なpH値を提供する。また、海洋植物とカキやフジツボなどの固着生物の耐アルカリ性は異なり、付着期と後期で必要な環境は異なり、例えば、フジツボ及びカキの付着、変態及び後期の成長は大量のカルシウムイオンを必要とする。
【0180】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のセメントベース材料は同じように見えるが、実際にはまったく異なる。
【0181】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。
【0182】
濃色顔料
【0183】
カキの眼点幼生の走光性を利用し、濃色顔料(鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つ)を塗料中に混ぜ込み、塗料の色を変更し、塗料の色は濃くなり、カキ幼生にそれが暗い環境であると思わせ、カキ幼生が自分で濃色のコンクリート表面に到達するように誘引し、カキ幼生とコンクリート表面との接触確率を向上させ、カキ幼生が付着するように誘引する確率を向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0184】
海洋生物学の研究者は、望ましくない個体群を養殖及び増殖又は排除するために、異なる色の基質を使用した海洋の固着生物の付着への研究を検討し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、濃色の塗料を使用してカキ幼生が付着するように誘引する。本発明は、濃色顔料を加え、塗料の色を濃くし、カキ幼生の付着を促進する。塗料中に他の材料を混ぜ込むため、その性能に影響を与える。本発明は、異なるセメントの塗料が異なる表面色を有することを考慮する。従って、セメント種類及び投与量に基づいて濃色物質の投与量を決定する。濃色顔料も塗料の性能に影響を与える。最も重要なことは、濃色顔料を混ぜ込むと同時に、塗料中のアルカリとCa2+の浸透率を制御しない場合、放出されたアルカリは固着生物幼生の付着、変態及び成長に影響を与え、投与量が所定の値を超える場合、幼生の付着量が低下することである。本発明において、セメントベース塗料の浸透防止性を設計及び制御し、主な対策は、濃色顔料の種類の選択、投与量の制御及び改質である。濃色物質の投与量の増加に伴い、幼生の付着量は高くなり、投与量はセメント質材料の0.5%~6%である場合、幼生の付着量は最高であるが、その後わずかに増加し、又は変化しない。
【0185】
微量元素
【0186】
カキ体内は大量の亜鉛を含み、それが生息する海水よりもはるかに高く、同時に、カキ体内は多くのFe鉄、P、K元素を含む。同時に、溶液中の適切なZn2+及びK濃度は、カキ幼生の早期付着と変態を促進し得る。従って、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、リン酸亜鉛、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄、リン酸カルシウムを微量元素として使用して塗料に混ぜ込み、これらの物質の改質により、塗料の強度と浸透防止性は基本的に変化せず、カキ幼生の付着誘引率を大幅に向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0187】
海洋生物学の研究者は、カキの付着メカニズム及び養殖と増殖の目的を明らかにするために、異なるイオンが海洋の固着生物の付着と変態への影響を研究し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、塗料中に対応する物質を加え、カキ幼生がクリート表面に付着するように誘引することが分かる。可溶性塩は、初期の作業性、硬化時間、及び後期の強度と浸透防止性などの塗料の性能に大きな影響を与えるため、本発明は、珪藻土を担体として使用することにより、これらの無機塩を珪藻土の内部に固定し、可溶性塩が塗料の性能への影響を低減すると同時に、珪藻土がセメントベース塗料の性能を向上させる効果を利用し、これらの誘引物質を加えても、セメントベース塗料の優れた性能を維持できることを実現する。また、珪藻土は担体として持続放出効果があるため、可溶性塩の放出は比較的遅く、特に海水に所定の時間以上浸した後、その放出速度は非常に低いレベルに保たれる。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、微量元素をコンクリートに混ぜ込み、塗料表面の微量元素のイオン含有量を変更し、及び塗料の浸透性を制御することは、カキ幼生が付着するように誘引する能力に優れた塗料に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0188】
コンクリートの浸透性
【0189】
塗料の強度及び浸透性は最も重要である。セメントベース塗料中に異なる誘引剤を混ぜ込むと、塗料の性能に影響を与え、そのため、異なる物質を混ぜ込んでカキ幼生の付着、変態及び後機の成長を促進する場合、まず、塗料の性能に大きな影響を与えないように、全体として制御する必要があり、次に、各種の原料の適合性に応じて原料を選択し、原料の性能が実際の要件を満たせない場合、原料を加える前に改質することで、望ましい機能を達成できる。しかし、実は、前述の関連研究では、カルシウム含有量がカキ幼生の付着への影響を考慮するが、塗料自体の性能を考慮せず、水セメント比、カルシウム含有量及び養生などを考慮せず、塗料の浸透性の変化により、その内部のアルカリやイオンの浸透率が変化し、塗料の浸透防止性が低ければ低いほど、その内部のアルカリとイオンの浸透率が高くなり、指数関数的に増加する可能性がある。従って、これらの放出されたアルカリとイオンは幼生に大きな影響を与え、付着を促進することから付着を阻害することまで変化し、特にセメント投与量が多い場合、この情況はより深刻になる可能性がある。従って、塗料中に誘引剤を混ぜ込み、塗料の性能の変化は、制御可能な範囲内にあることを確保しなければならず、例えば、その変化は10%を超えない。このように、これらの誘引効果を比較することができ、そうでなければ、誘引剤を独立して混ぜ込み又は誘引剤を複合して混ぜ込むことがカキ幼生の誘引効果への影響を評価することができない。
【0190】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つ塗料の浸透防止性から出発して塗料を設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによって塗料の浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、塗料の浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0191】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献2~3により、本発明において、塗料中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、牛骨粉末の改質、粉砕技術及び塗料の浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有する塗料に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、塗料のアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0192】
本発明の実施例を示して説明するが、当業者にとって、本発明の原理及び精神から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は、請求の範囲及びそれらの同等物によって限定されることが理解され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7