(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】組立式屋内高所作業用足場
(51)【国際特許分類】
E04G 1/17 20060101AFI20241023BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20241023BHJP
E04G 5/02 20060101ALI20241023BHJP
E04G 5/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
E04G1/17
E04G1/24 301Z
E04G5/02 Z
E04G5/08 Z
(21)【出願番号】P 2023068832
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】523141884
【氏名又は名称】株式会社光陽
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【氏名又は名称】横井 宏理
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂二
(72)【発明者】
【氏名】福井 徹也
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5411786(US,A)
【文献】特開平8-4283(JP,A)
【文献】米国特許第5603258(US,A)
【文献】米国特許第5366790(US,A)
【文献】実公昭47-1251(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G1/00-7/34、27/00
21/14-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の脚部(2)と、該脚部(2,2)間上方に床板部(3)とを備えた段ボール製の組立式屋内高所作業用足場(1)であって、
該脚部(2)には、
上平面にガイド突起(5)を備えた基底板(4)と、並置された複数個の箱枠体(6)があり、
該基底板(4)上に該箱枠体(6)は1段または複数段積層されており、
該箱枠体(6)は、環状に連接された4面の立壁用段ボール片(7)で矩形に構成された折畳み自在な箱枠体(6)であって、該立壁用段ボール片(7)を立壁(8)として、立壁(8)の下端をガイド突起(5)と当接するように嵌め合わされて該基底板(4)上に載置されており、
該床板部(3)は、該脚部(2,2)間に渡しこむように載置する橋渡用床板部(9)と、該脚部(2)上に載置する左右の延伸床板部(10,10)が連結されたものであって、
橋渡用床板部(9)と該延伸床板部(10)は、いずれも上部平面(11)と、該上部平面(11)の下方内部に左右の端部(16)を開口とした長手方向の貫通空洞(13)を備えた立体補強部(12)からなり、
橋渡用床板部(9)と該延伸床板部(10)とは、連結用柱状材(14)を該貫通空洞(13)に挿通することで連結されていること、
を特徴とする、組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項2】
前記箱枠体(6)の複数個の並置は、1つの箱枠体(6)を構成する4面の立壁用段ボール片(7)のうち矩形の長辺(20)側の対向する立壁用段ボール片(7)を、隣接する箱枠体(6)の矩形の長辺(20)の立壁用段ボール片(7)同士を当接させ、かつ、複数個の箱枠体(6)の短辺(21)の立壁用段ボール片(7)が短辺方向(22)に順次直線的に配されていること、を特徴とする、請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項3】
前記箱枠体(6)の短辺の立壁用段ボール片(7)は、その一方の垂直側辺部(17)を矩形の外表面よりも突出させた爪部(18)と、他方の垂直側辺部を外表面よりも凹ませた切欠き部(19)を有しており、箱枠体(6)の爪部(18)を隣接する箱枠体の切欠き部(19)と噛み合わせるようにしながら、複数個の箱枠体(6)が短辺方向(22)に順次並置されていること、を特徴とする、請求項2に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項4】
前記箱枠体(6)の矩形の短辺(21)側の立壁用段ボール片(7)は、複数枚の段ボールを重ね合わせた強化耐力壁(23)であること、を特徴とする、請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項5】
前記立体補強部(12)は貫通空洞(13)の周囲断面形状が台形の台形コルゲート状であること、を特徴とする請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項6】
さらに前記床板部(3)の前記上部平面(11)の上に被覆用補充板(15)を載置固定していること、を特徴とする、請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項7】
前記箱枠体(6)の複数段の積層では、箱枠体(6)同士の間に連結水平板(24)が挟持されており、
連結水平板(24)の上平面及び下平面には、それぞれ立壁用段ボール片(7)と当接する箇所にガイド突起(5)が配されていること、を特徴とする請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【請求項8】
段ボールが、複両面段ボールもしくは複々両面段ボールであること、を特徴とする、請求項1に記載の組立式屋内高所作業用足場(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の、組み立て容易で軽量で可搬性に優れた、屋内における高所作業に適した作業用足場に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が手を上方に伸ばしても、2m以上の高さになれば容易に届かないこととなる。そこで、屋内における高所への作業においても、作業効率のために仮設の足場を設けて、作業者が足場の上で作業に従事することが好ましい場面も多い。
【0003】
この点、屋外であれば、作業性と安全性の観点から、枠組足場、単管足場、くさび緊結式足場などの鋼管製の仮設足場が用いられている。たとえば、くさび緊結式足場を例にとると、この足場は、緊結部を備えた鋼管を縦支柱(建地)とし、これらの縦支柱を間隔を置いて立設し、緊結部付きの水平材、斜材等を縦支柱の緊結部にくさびで緊結し、作業床(床付き布枠)を適宜取り付けて作業者が歩行可能な足場としたものである。
【0004】
建築足場は、現場にあわせて建造物の外周に立設できる組立性と可搬性を備えているが、鋼管製で重量があり、丈夫な半面、解体作業時などには周囲を傷つけないように慎重に取回す必要がある。加えて、作業の安全性の確保のために、一定高さを超える現場では足場の組立て等作業主任者を要するなど、解体又は変更の作業には専門の作業者が必要となる。
【0005】
さて、屋内工事においては、側壁や床のみならず、天井を含めた屋内空間全体が作業の対象となるので、作業面積は広範に及ぶことも多いので、室内天井を順次作業していく場面などでは、脚立のみで対応することは簡単ではなく、都度の昇降、移動の繰り返しは作業効率が悪く煩雑であるばかりか、脚立の上で無理をしてしまっては、安全性が十分とはいえないこととなる。
【0006】
そこで、屋内工事においても、室内全体を順次作業していくことに適した足場が要請される場面がある。屋内であれば足場自体に求められる高さは低い場面が多いが、作業範囲が広い室内では、屋外と同様の鋼管製足場を用いることが望ましいとはいえない。鋼管製足場は手慣れた作業者が作業しなければ組立、分解、変更には危険を伴うが、室内作業の職人はそうした工事に明るいわけではない。すると、内装工事の業者に加えて、内装工事のたびに足場の職人を別途に手配する必要が生じるので、コストも人手も余計にかかることとなる。
【0007】
また、内装工事業者が鋼製の足場を自前で搬送しようにも、工事作業用の車に積載している資材や工具に加えて、鋼製の足場まで積載することは困難であるから、足場の設置を担当する業者の設備、備品を借り受けて搬送から設置組み立て、解体までを任せる必要がある。
【0008】
加えて、鋼製の部材を用いるとなれば、使用前の設置、搬送時に室内の壁や設備を傷つけてしまわないように、これらの屋内までの経路を保護養生しなければならず、足場の設置も屋外よりも慎重に作業しなければならない。また、重量物であればエレベーターで階上に搬入することとなるが、エレベータの籠のサイズには限りがあるため、長尺物や大型の資材を屋内に搬入することは容易ではない。
【0009】
さらに、新築のビルなどの入居前の屋内工事とは異なり、改装工事や修繕工事である場合には、既に室内には机や家具などの什器備品が配置されており、これらを移動せず、また、傷つけずに手早く短期間で足場設置解体作業を含む工事作業が求められており、簡易に搬送して組み立て、解体ができる足場であることが望まれている。
【0010】
そこで、これまでにも、建物の室内に設置された障害物の上方の天井部の工事に用いられる足場として、障害物を間に挟んで設置され、各々が軽量材からなる複数のブロック状又は箱状の部材を組み合わせてなる複数の支持部材と、該複数の支持部材の上部間に前記障害物を跨いだ状態で架け渡される床部材とからなることを特徴とする足場が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1のようにブロックないし箱を積み重ねて脚部を構成しようとするとき、具体的には脚部のブロックとして発泡スチロールが実施例として用いられているが、これらのブロックは折り畳むことができないため、搬送時にはこのサイズのままに嵩張ることとなる。また、発泡スチロールのブロックは人が乗る荷重に耐える強度が必要であるから中身が詰まっており、1個が900mm×1800mm×450mmのサイズで重量が約20kgの中実の直方体状とあるから、ブロックの重量は重く一人では抱えづらいサイズとなっている。
【0013】
特許文献1には具体的例示はないが、ブロックに代えて箱に置き換えるとなると、1個が900mm×1800mm×450mmのサイズの箱は、強度面において十分とはいえない。おそらく箱であれば、より潰れにくい小さな箱を用いざるを得ないであろうが、箱を上下左右に並べるとなると、箱を並べて静置するだけでは、人が作業する荷重移動や揺れに耐えることができない。並べても人が乗れば箱が崩れてバラバラになってしまうので足場としての実用性が得られないからである。
【0014】
そして、箱同士の並置や積み上げをする場合には、互いを強固に固定する必要が生じるが、箱同士を上下左右に連節する手段を別途に用意しなければならず、手間を要するが、いかにして実現できるかが具体的に示されていない。脚のブロックの上に載せ置く床材と梁材(繊維強化プラスチック製パイプ)とは固定ねじで分離可能に固定するとあり、脚と床材とは掛け渡しただけの状態とするか、バンドで固定するとしているが、ブロックは20kgの重量で重ね置くことしか想定していない。しかし、実際に作業で人が上に乗って歩いて移動しながら作業すると、揺れ、振動が発生することから、固定しないで掛け渡しただけといった着想を前提として許容する程度の構想であるから、実用上の考慮が十分とはいえなかった。
【0015】
また、脚部のブロックや箱は、サイズが大きく嵩張る。ブロックに代えて上底と下底を備える6面の箱としようとすると、箱の長さも高さも人が乗る関係で大きくしづらく、上下左右に積み上げる箱の数を増やす必要が生じてしまうとなれば作業個数が増えてしまう。もし箱を折畳むことができるようにすれば、箱の組み立てと分解の手数と手順が複雑になるので煩雑となってしまい、足場構築の工数が増え、さらに時間がかかることとなってしまう。室内の改装工事の現場で使用するのであれば、深夜などの就業時間外に工事をする関係で、足場の構築はできるだけ短時間であることが必要となるので、たとえば10~15分程度で組み立てることが必要となる。個数が増える箱を、分解可能として組み立てたり折り畳んだりすることは、時間の関係で現実的ではなく、実質的には導入困難といえるものであった。
【0016】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、屋内での高所作業に好適な作業用足場であって、軽量で可搬性に富み、エレベータにも積載可能なコンパクトに収納できる構造であって、組立て・解体が容易で迅速に設置・移設ができ、室内を過度に養生せずとも周囲を傷つけにくい素材であって、作業者の作業活動による振動にも耐える実質的な強度と耐荷重を備える構造の、組立式屋内高所作業用足場を提供することである。そして、廃棄の際の廃棄コスト負担が軽減されている足場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明者らは、鋭意検討の結果、屋内への搬入時に周囲を傷つけにくい軽量の素材として段ボール、とりわけ複両面段ボールもしくは複々両面段ボールを用いた組立式屋内高所作業用足場を、嵌め合わせたり、噛み合わせたり、連結部材を挿通したりするといった、ねじによらない簡便な固定手段で解体容易に組み上げることによって、実用的な耐荷重を十分に確保しながら、嵩張らずに収納できる足場を提供することに想到した。
【0018】
そこで、本発明の課題を解決する第1の手段は、左右の脚部と、該脚部間上方に床板部とを備えた段ボール製の組立式屋内高所作業用足場であって、
該脚部には、上平面にガイド突起を備えた基底板と、並置された複数個の箱枠体があり、
該基底板上に該箱枠体は1段または複数段積層されており、
該箱枠体は、環状に連接された4面の立壁用段ボール片で矩形に構成された折畳み自在な箱枠体であって、該立壁用段ボール片を立壁として、立壁の下端をガイド突起と当接するように嵌め合わされて該基底板上に載置されており、
該床板部は、該脚部間に渡しこむように載置する橋渡用床板部と、該脚部上に載置する左右の延伸床板部が連結されたものであって、橋渡用床板部と該延伸床板部は、いずれも上部平面と、該上部平面の下方内部に左右の端部を開口とした長手方向の貫通空洞を備えた立体補強部からなり、橋渡用床板部と該延伸床板部とは、連結用柱状材を該貫通空洞に挿通することで連結されていること、を特徴とする、組立式屋内高所作業用足場である。
【0019】
すなわち、環状に連接された4面の立壁用段ボール片で矩形に構成された折畳み自在な複数個の並置され箱枠体が上平面にガイド突起を備えた基底板上にガイド突起と当接するように嵌め合わされて1段または複数段積層された左右の脚部と、
脚部間に渡しこむように載置する橋渡用床板部と脚部上に載置する左右の延伸床板部が連結されたものであって上部平面とその下方内部に左右の端部を開口とした長手方向の貫通空洞を備えた立体補強部からなり、橋渡用床板部と延伸床板部は連結用柱状材を貫通空洞に挿通することで連結されている床板部と
を備えた段ボール製の組立式屋内高所作業用足場である。
【0020】
その第2の手段は、前記箱枠体の複数個の並置は、1つの箱枠体を構成する4面の立壁用段ボール片のうち矩形の長辺側の対向する立壁用段ボール片を、隣接する箱枠体の矩形の長辺の立壁用段ボール片同士を当接させ、かつ、複数個の箱枠体の短辺の立壁用段ボール片が短辺方向に順次直線的に配されていること、を特徴とする、第1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0021】
その第3の手段は、前記箱枠体の短辺の立壁用段ボール片は、その一方の垂直側辺部を矩形の外表面よりも突出させた爪部と、他方の垂直側辺部を外表面よりも凹ませた切欠き部を有しており、箱枠体の爪部を隣接する箱枠体の切欠き部と噛み合わせるようにしながら、複数個の箱枠体が短辺方向に順次並置されていること、を特徴とする、第2の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0022】
その第4の手段は、前記箱枠体の矩形の短辺側の立壁用段ボール片は、複数枚の段ボールを重ね合わせた強化耐力壁であること、を特徴とする、第1から第3のいずれか1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0023】
その第5の手段は、前記立体補強部は貫通空洞の周囲断面形状が台形の台形コルゲート状であること、を特徴とする第1から第4のいずれか1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0024】
さらに前記床板部の前記上部平面の上に被覆用補充板を載置固定していること、を特徴とする、第1から第5のいずれか1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0025】
前記箱枠体の複数段の積層では、箱枠体同士の間に連結水平板が挟持されており、連結水平板の上平面及び下平面には、それぞれ立壁用段ボール片と当接する箇所にガイド突起が配されていること、を特徴とする第1から第6のいずれか1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【0026】
段ボールが、複両面段ボールもしくは複々両面段ボールであること、を特徴とする、第1から第7のいずれか1の手段に記載の組立式屋内高所作業用足場である。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、屋内での高所作業に好適な作業用足場である。すなわち、素材が段ボール製であるから、波板の芯材とライナーにより強度が確保されつつも、中空で軽量であるので、可搬性に優れている。
紙製で鋼管に比して過度に養生せずとも周囲を傷つけにくい素材であるから、室内に運び込む際に室内や備品の養生が省力化しやすく、短時間でスムーズに搬入できる。
また、エレベータにも積載可能なサイズに収納でき、業務用バンの荷台スペースに積載収納することができるので、内装業者自身が脚立のように持参することが可能となる。
【0028】
また、簡便な構造であるから、組み立て、解体に専門知識や高い専門的技量を要すことなく、過度の熟練を要することなく、設置、解体が容易に作業できる。嵌め合わせつつ並置・積み上げ、支柱の挿通といった作業を手順に沿って進めることで、ねじや工具を用いずとも、誰でも直感的に足場の設置、解体作業をすることができるので、短時間で設置と解体ができるため、作業時間が限られやすい内装工事にも好適に適用しうる。
【0029】
そして、段ボールの箱枠体同士が爪部と切り欠き部が嵌め合わさるように高さ方向に長く接触することから、摩擦により互いの動きが十分に規制されることとなる。そこで、静置するとき1800mmのスパンに250kg以上の耐荷重を提供しうる床板強度であることに加えて、床板上での人の動きによる振動にも耐えることができるので、単にブロックや箱を並べて積み上げた場合に比して、揺れに強く実用性に優れた実施的な強度を備えている。
【0030】
また、足場が軽量であるから、左右の脚部の基底板から滑らすように同時に引っ張ることで足場全体をそのまま平行にスライド移動させることができる。解体せずとも足場全体を滑らせて移動ささることができることから、作業を中断せずにスムーズに進めていくこととなるので、限られた時間内で工事に割ける時間が増えるため、作業効率が高いものとなる。
【0031】
また、本発明は段ボール製であることから、耐用期間を終えて廃棄処分をする際に、古紙として回収することができるので、環境負荷が小さい。他方、複合素材であれば分別しなければリサイクルに回せず、また、プラスチックなどが含まれれば産業廃棄物となるので、廃棄コストが嵩み、無視できなくなる。段ボールのみで足場の強度を確保していることで、リサイクルが容易となっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は本発明の実施例の足場の全体図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例の足場を組み上げた概略図であり、被覆用補充板を載せ置く様子を示す。
【
図4】
図4は脚部の基底板上のガイド突起に嵌め合わせて、短辺方向に箱枠体を並置する様子を示した図である。
【
図5】
図5は箱枠体同士が爪部と切欠き部を噛み合わさってズレ動きにく並置される様子を示した図である。
【
図6】
図5の爪部と切欠き部が噛み合う様子の拡大説明図である。図(a)が噛み合わさって前後左右とも揺れ動きにくくなっていることを示す図である。図(b)は噛み合わさる前の様子である。
【
図7】
図7は(a)箱枠体が折り畳まれる様子と、(b)箱枠体の外観を示した説明図である。
【
図8】
図8(a)は箱枠体と箱枠体を連結する連結水平板を示した説明図である。
図8(b)は、箱枠体を積層した説明図である。
図8(c)は、連結水平板を用いなかった場合に、箱枠体が揺れ動いて傾倒しやすいことを示す図である。
【
図10】
図9の橋渡用床板部の下方の立体補強部を示しており、(a)は端部断面であり、(b)は中間部のB-B断面である。
【
図12】
図12は、床板部の連結の様子を示した説明図で、中央の橋渡用床板部の両サイドに延伸床板部を配し、立体補強部の貫通空洞から連結用柱状材が挿通される様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、適宜図面を参照しつつ、左右の脚部(2,2)間上方に床板部(3)を備えた段ボール製の組立式屋内高所作業用足場(1)の例として、左右の脚部(2,2)を基底板(4)の上に箱枠体(6)4ユニットを短辺方向(22)に並置し、連結水平板(24)を介して箱枠体(6)を2段に積層した場合を説明する。一般的に足場は1800mmのスパンに250kg以上の耐荷重があることが求められているので、本発明の足場(1)も同様のスパンと耐荷重を提供しうる構成を例に説明する。以下の例では、スパン(地面を跨いでいる距離)は1800mm、地上高18000mmである。また、足場全体のサイズは、幅1200mm(脚部箱枠体の短辺幅300mm×4ユニット)、長さ3000mm、高さ1800mm(箱枠体の1段の高さが800mm、床板部の厚みが200mm)である
なお、実施例はあくまで例示であるから、本発明をこの実施例のみに限定されるものではないことを付言する。
【0034】
(段ボールについて)
段ボールは、波板状に成型された中芯の板紙(ボール紙)の両面に表ライナーと裏ライナーの板紙を貼り合わせたものであり、この段ボールの厚みとる条溝をフルートという。フルートはその幅により、A(5mm)、C(4mm)、B(3mm)といった記号で表記されており、フルートが二重のものが複両面段ボールであり、AA、BA、BC、といったタイプがある。またフルートが三重のものが複々両面段ボールであり、AAAタイプがある。本発明には、AAやAAAのタイプの段ボールを好適に用いることができ、1800mmのスパンに耐荷重250kgを実現しうる。
【0035】
(A:基底板について)
基底板(4)は、600mm×1200mmのサイズで、基底板(4)の上に、短辺(21)が300mm、長辺(20)が600mmの箱枠体(6)が4ユニット並置される。そこで、基底板(4)の上平面には、幅10mm長さ250mm、もしくは500mmのガイド突起(5)が箱枠体(6)の矩形の内周の立壁(8)の下端部に当接しうるように、適宜配されている。そこで、基底板(4)の上に、箱枠体(6)が突き立てるように載せ置くだけでガイド突起(5)によって基底板(4)と脱着自在に一体化する。
【0036】
基底板(4)上に、箱枠体(6)が4ユニット並置されるので、隣接するユニットの立壁(8,8)と当接するガイド突起(5,5)は、2列に並んで基底板(4)上面に配されることとなる。すると、2本のガイド突起(5,5)に立壁(8,8)の下端が挟持されるように嵌まりこむこととなるので、立壁同士はあたかも強化耐力壁のようにぴたっと面接触することとなる。
【0037】
基底板(6)を左右の脚部の位置の床に直で置くこともできるが、床がカーペットなど摩擦が高い素材であると、足場のスライド移動がしづらくなるので、基底板(6)と床の間に、平滑性のよいシートや薄いプラスチック板を敷いてから敷設するようにしてもよい。足場全体の移動は、基底板(6)の下に敷いたシートやプラスチック薄板ごと引っ張ることで、摩擦を低減しつつ解体せずにスライドできる。
【0038】
(B:箱枠体について)
箱枠体(6)は、たとえば、短辺(21)300mm、長辺(20)600mm、高さ800mmのサイズである。高さは、800mm以外にも500mmを用いることもできる。800mm×2段に積載すれば、床板部200mmと合わせて1800mmの高さが実現できる。また、800mm+500mmを用いれば足場の高さを1500mmとすることができる。
【0039】
箱枠体(6)は、4面の立壁用段ボール片(7)を環状に連接したものであり、平たく折り畳めば、場所を取らずに搬送することができ、矩形に拡げて箱枠体とすれば、立壁(8)を備えた四角柱状となり、これらを複数ユニット並置し、複数段積層することで強度と幅を確保した脚部(2)とすることができる。
【0040】
なお、立壁用段ボール片(7)は、芯材の波板断面を上下方向に露出させる向きで用いることで、芯材は縦方向の荷重を上から下に座屈せずに伝えることができる。芯材の波板断面が左右方向の端部に露出するようにすると、波板の空隙に沿って段ボールが座屈しやすくなってしまうので、段ボールの芯材の波板断面を上下方向とした立壁(8)とすることが好ましい。
【0041】
なお、箱枠体(6)の4面の立壁用段ボール片(7)のうち、矩形の短辺(21)側の立壁用段ボール片(7)のいずれか一方が、橋渡用床板部(9)の両端の下部の台形コルゲート状の立体補強部(12)の台形下底部と当接される。そこで、橋渡用床板部(9)の1800mmのスパンの荷重は、橋渡用床板部(9)の両端の直下にある短辺(21)側の立壁用段ボール片(7)が主として下支えすることとなる。そして、箱枠体(6)を300mmの幅で4ユニット並べることで、短辺(21)側の立壁用段ボール片(7)と直交する長辺(20)の立壁用段ボール片(7)が隣接する箱枠体(6)との面接触により一体化し、簡易な配置で隣り合わせるだけでいわば二重の立壁(8)として強化耐力壁かのように機能させることができる。そして、長辺(20)の立壁(8)は300mm間隔で対向配置されることとなるので、脚部(2)の内部骨格として、十分に機能することができる。
【0042】
箱枠体(6)の短辺(21)側の立壁用段ボール片(7)には、橋渡用床板部(9)の両端からの荷重を直に受け止める面となることから、段ボール片を二重に重ねて貼り合わせて、強化耐力壁(23)としてもよい。強化耐力壁(23)とすることで脚部(2)の立壁(8)が座屈せず、耐荷重を万全に確保することができる。
【0043】
短辺方向(22)に連続的に4つ配される箱枠体(6)は、四隅が完全な矩形ではなく、一部に短辺の端に切欠き(19)と突出する爪部(18)を備えていることが好ましい。すなわち、短辺(21)の立壁用段ボール片(7)の立壁(8)の側端の一方を切欠き(19)、他方の側端を矩形よりも突き出した爪部(18)となっている。すると、切欠き(19)に隣接する箱枠体(6)の爪部(18)が嵌め合わさることとなる。この嵌め合い部分に大きな摩擦が発生するので、箱枠体(6)同士の揺れが規制されて動きにくくなる。そこで、脚部(2)が足場(1)の幅方向(短手方向、すなわち短辺方向)へ揺れ動きづらくなる。脚部(2)の揺れがこの嵌め合いにより大きく抑制されるので、足場の上にあがった作業者が歩いたりしても、揺れにくく安定したものとなる。
【0044】
他方、もし、箱を並べて2段に積み上げたりしただけであれば、静置状態であればともかく、作業者が歩きながら作業する関係で、揺れや振動の発生に追従できないため、揺れに弱いものとなる。箱やブロックの固定を考慮しなければ揺れが大きすぎて使い物にならなくなる。また、隣接ブロック同士の立壁同士を、上スリットと下スリットで十字に重ね合わせたりすることもできるが、強固な噛み合わせのようでも、しばらく使用していくうちに揺れに伴い、クロスしている箇所に負荷が集中するので、紙が段々緩んでしまい、上下にスリットを開口して嵌め合わせるようなものでは、長期的な使用に十分とはいえない。そこで、短辺の側端を切り欠いて側端全体にわたって嵌め合わせることで接触面を増してその摩擦で抑制するほうが、クロスして集中させた位置に負荷がかかる場合よりも長期的に負荷に強い仕様となる。
【0045】
なお、切欠き部と爪部の噛み合わせのために、箱枠体(6)の並べる向きは自ずと定まることとなるので、直感的に組み上げることができる。そして、
図6に示すように、噛み合わさると、複雑に重なっているので、前後左右へのいずれの動きにも面接触が影響されることとなるので、前後左右いずれにも揺れ動きにくくなっている
【0046】
さて、複両面段ボールや複々両面段ボールは、中芯の波板の位置がフルート毎に製造上揃えられておらず、波の向きがバラバラであることが多い。すると、中芯の波板に沿って折曲しようとするときには、波の隙間を利用して折れ曲がる関係で、5mmのフルートであれば、中芯の波の位置によって、折り曲げ箇所に数ミリ程度の誤差が生じることとなる。
【0047】
そこで、フルートの波に沿って折り曲げることもできるが、箱枠体(6)のサイズに数mm単位の誤差が生じることとなる。基底板(4)の上平面やや連結水平板(24)の上下面に設けたガイド突起(4)と箱枠体(6)の立壁(8)の上端や下端が当接するようにして嵌め合う構造であること、箱枠体(6)を複数、短辺方向(22)に並置していくこと、などから、5mm程度の誤差があると、嵌め合わせ時に、現場合わせが必要となるので、組み立てしづらいこととなる。もちろん、隣接させる箱枠体の向きや位置をすべて番号や記号で予め指示することで、組み合わせ方を指示して組み上げやすくすることはできるが、順番や向きがシビアになる分だけ組み立てが煩雑になってしまう。
【0048】
そこで、箱枠体(6)を形成するために、4面の立壁用段ボール片(7)を環状に連接して矩形とする際には、折曲を癖付けして折り曲げ可能とする以外に、ライナーの板紙を連接部に貼付して屈曲可能とするとよい。段ボールと同じ板紙(ボール紙)を用いて貼付することで、廃棄の際の分別を避けて古紙回収することができる。なお、段ボールの厚みのうち、表ライナーのみを残して切断しないように浅めの深さでハーフカットした段ボールを、切断部で屈曲可能とし、環状に連接して矩形とすることもできる。
【0049】
(C 連結水平板について)
箱枠体(6)の高さは800mmもしくは500mmであるから、これを多段に積載することで所望の高さを得ることができる。4ユニット並置された箱枠体(6)の上にさらに4ユニットの箱枠体(6)を載せ置くだけだと、振動でずれてしまうため、ジョイントとして、下段と上段の箱枠体(6)の間に、水平連結板(24)を配する。水平連結板には、基底板(4)のガイド突起(5)と同様の突起が、水平連結板(24)の上面と下面にそれぞれ配されている。箱枠体(6)の立壁(8)の上端や下端にガイド突起(5)が当接して、適宜に挟持するようにして、箱枠体(6)同士を一体化したかのようにして保持することとなる。連結水平板(24)や基底板(4)のガイド突起(5)に当接させて、箱枠体の端部を嵌め込むことと、こうした嵌め合わせだけで、工具もなしに、複数の箱枠体(6)同士が一体化することができ、あたかも全体が剛体のようになって一体的になり、全体形状を保持することができるので、脚部(2)の揺れが低減され、安定しやすくなる。
【0050】
(D 橋渡用床板部について)
橋渡用床板部(9)は、床板部(3)の中央のパーツであり、左右の延伸床板部(10)と連結用柱状材(14)の挿通により一体化される。床板部(3)は作業者が歩行するための上部平面(11)(さらに上部平面の上に被覆用補充板(15)を配してもよい。)と、上部平面(11)の下方に立体補強部(12)を備えており、橋渡用床板部(9)は長さ2000mm、幅600mmのサイズである。脚と脚のスパンは1800mmであり、耐荷重は250kg以上有している。スパンを1800mmとしたとき、橋渡用床板部(9)の両端100mmがそれぞれの脚部(2,2)の上に載せ置かれる。台形コルゲート状の立体補強部(12)の台形の下底部分(及びその直下の底面板)が脚部(2)の上に載置される。
【0051】
台形コルゲート状の立体補強部(12)は、スパンを横断する方向の端部が台形波状に開口した折板屋根形状の補強部材を、橋渡用床板部(9)の下方全域を支承するように端から端まで配している。この立体補強部の部材は、複両面段ボールもしくは複々両面段ボールで形成されている。さらに立体補強部(12)の両端部には、台形の下方にさらに底面板(25)を設けることでさらに補強してもよい。
【0052】
台形コルゲート状とすると、250kg以上の耐荷重を十分確保しつつも、過度に重量がアップすることもない。また、局所的に荷重が集中し過ぎて破損・分解するといったこともなく、適度に荷重を分散して受けとめることができるので、好適である。もちろん、立体補強部(12)は、立体構造とすることで、上部平面(11)が荷重に負けて折れ曲がることがないように下方から補強して支えることができるものであればよく、端部形状が台形波状であることが必然的ではない。リブのようなものであれば、形状に限定はなく、態様は台形コルゲート状に限られない。
【0053】
立体補強部(12)の下方は、荷重により中央部が撓むので、立体補強部(12)の下方全域に底面板(25)を取り付けるだけであると、台形の下端と底面板(25)の接続箇所が変形により破損しやすくなる。そこで、立体補強部(12)の両端部の四隅には、底面板(25)と上部平面(11)間を補強するための垂直壁端部(26)を設け、さらに垂直壁を複数枚の段ボールを重ね合わせた耐力壁として、十分に補強することが望ましい。
【0054】
(E 延伸床板部について)
延伸床板部(10)は、長さ500mm、幅600mmのサイズで、上部平面(11)の下方に立体補強部(12)を備えており、台形の下に底面板(25)を補強材として備え、底面板と上部平面(11)間に、垂直壁端部(26)が設けられてる。台形(逆台形)の内部は貫通空洞(13)であり、この貫通空洞(13)から、橋渡用床板部(9)の貫通空洞(13)に向かって、段ボール製の連結用柱状材(14)が挿通される。これにより床板部(3)は一体化されるので、揺れづらく、安定して歩行しうることとなる。
【0055】
(F 連結用柱状材について)
人が歩行すると、床板部(3)は揺れて振動する。そこで、床板部に、段ボ―ルを肉厚に重ね合わせた角柱(全長600mm)を貫通空洞に挿通する。角柱の高さは、台形の貫通空洞の高さに略等しいものとする。すると、結合により強化されて、上部の床板部の剛性が向上し、揺れが低減される。横揺れが加わった場合も、この連結用柱状材(14)で一体かされた床板部(3)は、外れて崩落することが回避されるので、安全性が確保しやすくなる。
【0056】
すなわち、橋渡用床板部(9)と延伸床板部(10)は、脚部に載せ置き、連結用柱状材(14)の挿通で一体化するだけで脱落しないので、組み立てと解体が容易となる。
【0057】
(G 被覆用補充板)
床板部(3)の上部平面(11)は、600mm幅、すなわち、箱枠体(6)を2個分並置する幅である。そこで、箱枠体4個を並置している場合、床板部(3)は2枚が並置されている状態である。そして、床板部の幅にあわせて、箱枠体の並置は、2個単位で増やしていくことができる。幅1200であれば4個、1800であれば6個、2400であれば、8個の箱枠体を短辺方向に並置し、その上に床板部が2枚,3枚,あるいは4枚と並置される。この床板部の上部平面(11)の上に、さらに被覆用補充板(15)を載せ置いてもよい。このようにすると、被覆用補充板(15)は、段ボールの表面に作業者の足跡が無数につくなどして損耗してくるので、適宜のタイミングで交換することができる。被覆用補充板は、上部平面(11)に脱着自在に貼り付け係止することができる。被覆用補充板には強いせん断力はかからないので、係止手段は特段制限がなく、作業性に鑑みて広く選択しうる。
【0058】
(組み立て)
さて、上記のA~Gのパーツを用いて、足場(1)を所望の幅や高さで組み上げることができる。解体は、組み立ての逆の作業手順で実施できる。段ボール製であるから、嵌め合わせたり、載せ置いたり、挿通したりのみで組み立てることができ、作業者は特段工具を必要とせず、熟練が必要な高度な複雑さはなく、簡便に取り扱える。そこで、内装業者が自身の車に積載しておき、作業時に自らエレベータを用いて搬入し、次のような手順で組み上げることができる。
【0059】
ア.脚部(2)を設置したい位置のフロアの床上に、
図3に示す基底板(4)を置く。
イ.
図4、
図7に示すように、基底板(4)の上に、折り畳まれた箱枠体(6)を矩形に拡げ、ガイド突起(5)に沿わせて嵌め込み並置する。
図5、
図6に示すように、箱枠体(6)は隣接する箱枠体(6)の爪部(18)や切欠き部(19)と噛み合わせる。
ウ.並置した箱枠体(6)の上にガイド突起(5)に沿わせて連結水平板(24)を嵌め込み一体化し、さらに2段目の箱枠体(6)をガイド突起(5)に沿わせて嵌め込むことで、脚部(2)を立設する。
図8(b)に示すように、上下2段×4列の箱枠体(6)は、爪部(18)や切欠き部(19)と噛み合わせと、基底板(4)及び連結水平板(24)に嵌め込まれて一体的な脚部(2)となる。
エ.左右の脚部(2)の間に、橋渡用床板部(9)2枚をその端部(16)を載せて並べ置き、突起(27)を脚部上方に刺し込んで箱枠体に嵌め込む。
オ.左右の脚部(2)に、延伸床板部(10)を2枚ずつ載せて並べ置き、突起(27)を脚部上方に刺し込んで箱枠体に嵌め込む。
カ.
図12に示すように、左右の延伸床板部(10)の台形(逆台形)の貫通空洞(13)から、橋渡用床板部(9)の貫通空洞(13)に向かって、連結用柱状材(14)4本を順次挿通することで、床板部(3)を一体化する。
キ.床板部(3)の上部平面(11)の上に、被覆用補充板(15)3枚を載せ置き、脱着可能な程度に貼付するなどして上部平面(11)に係止する。
【0060】
使用後は、ア~キの逆の手順で分解し、箱枠体を折り畳み、台車に積んで、エレベータで搬出し、作業者の車に搬入することができる。この足場(1)は、使い捨てではなく、何度も繰り返し使用でき、いくつもの現場で組立、解体して使用することができる。さらに、次に説明するように、現場に応じて、高さや幅を変更する組み合わせが可能であることから、様々な現場に対応できる自由度を備えている。
【0061】
組み合わせの基本形は箱枠体が4列である。基本形から、箱枠体を2列ずつ、6,8,10と偶数個追加することで、脚の幅を広くして、作業スペースの面積を増やしていくことができる。並列していくだけなので、強度には影響はなく、幅だけのバリエーションである。
高さについては、箱枠体を1段で使用するか、水平連結板を介して多段に積層するかで変えることができる。また箱枠体の高さにバリエーションを設けておき、所望の高さを組み合わせで実現可能とすることもできるので、箱枠体の高さが800mmと500mmを用意すると、足場の高さを700,1000,1500,1800mmといった高さが実現できる。
机の高さが一般的に700mmであるから、1000mmの高さであれば、机を避けることができる。机の上の備品も込みで避けるのであれば、1800mmとすれば、床板部の下端高さを1600確保できるので、机の移動をせずとも内装工事を進めることができる。
【0062】
(耐荷重について)
耐荷重の試験として、組み上げた足場(1)の橋渡用床板部(9)の中央付近に、鋼製の重りを少しずつ追加しながら静置していき、30分程度経過させた後の足場の状態を確認した。橋渡用床板部(9)のスパン間中央部に、一般的な耐荷重とされる250kg以上を満足していることを確認する試験である。250kg、400kgの負荷をかけても、橋渡用床板部(9)は、10mm前後の撓んだものの、座屈したり屈曲することはなく、また脚部(2)の箱枠体(6)の立壁(8)も座屈せず形状を保つことが確認された。さらに、目標耐荷重とされる250kgの倍以上となる530kgの負荷に対しても、橋渡用床板部(9)は中央が下方に撓んで立体補強部の台形のリブが歪んだものの、30分以上保持しうることが確認された。
【0063】
また実施例に示した足場上にて作業者が歩行し、作業に従事しても、揺れが抑制されており、安全に作業を進めることができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は内装業者自身が室内空間における高所作業に用いる足場を迅速に組み立て設置、解体でき、内装業者の自家用車に積載して搬送することができるので、特に足場専業の業者ではなくとも、利用することができる足場である。
【符号の説明】
【0065】
1 組立式屋内高所作業用足場
2 脚部
3 床板部
4 基底板
5 ガイド突起
6 箱枠体
7 立壁用段ボール片
8 立壁
9 橋渡用床板部
10 延伸床板部
11 上部平面
12 立体補強部
13 貫通空洞
14 連結用柱状材
15 被覆用補充板
16 端部
17 垂直側辺部
18 爪部(噛合せ部)
19 切欠き部
20 長辺
21 短辺
22 短辺方向(短手方向)
23 強化耐力壁
24 連結水平板
25 底面板
26 垂直壁端部
27 突起
28 台形コルゲート
【要約】
【課題】屋内高所作業に好適な組立式の足場の提供
【解決手段】環状に連接された4面の立壁用段ボール片で矩形に構成された折畳み自在な複数個の並置され箱枠体が上平面にガイド突起を備えた基底板上にガイド突起と当接するように嵌め合わされて1段または複数段積層された左右の脚部と、脚部間に渡しこむように載置する橋渡用床板部と脚部上に載置する左右の延伸床板部が連結されたものであって上部平面とその下方内部に左右の端部を開口とした長手方向の貫通空洞を備えた立体補強部からなり、橋渡用床板部と延伸床板部は連結用柱状材を貫通空洞に挿通することで連結されている床板部とを備えた段ボール製の組立式屋内高所作業用足場。
【選択図】
図1