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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
F16K27/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023098188
(22)【出願日】2023-06-15
(62)【分割の表示】P 2022042153の分割
【原出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2023116702
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2018228363
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特許第4576440(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F16K 31/00-31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体が配置された弁室、流入出口及び前記弁室と前記流入出口とを連通する連通孔を有する弁本体と、
前記弁本体の外部に設けられ、湾曲した形状を有するパイプと、
前記弁本体と別体をなす継手取付部と、
を備え、
前記パイプは、前記連通孔と連通し、かつ、前記弁本体と接続した端部とは反対側で継手取付部と接続し、
前記継手取付部は、前記弁本体に固定されていることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記パイプは、前記弁本体および前記継手取付部とろう付けにより接続されていることを特徴とすると請求項に記載の弁装置。
【請求項3】
前記パイプの材質と前記弁本体の材質は同一であることを特徴すると請求項1又は2に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折した流路を備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁装置は、例えば、アルミ合金からなるブロック状の弁本体を備え、弁本体の内部に配置された弁体を弁座に接離させることで、流路の切り換えを行っている。即ち、弁本体の内部には、流体が流れる流路が形成されている。そして、この流路は、ブロック状の弁本体を切削加工することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-89732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切削加工は、ブロック状の弁本体をドリルなどにより直線に切削する。そのため、複数の流路を形成する場合、弁本体の異なる位置を基端として切削し、互いの流路を弁本体の内部で合流させる必要がある。
【0005】
直線上に切削しているため、互いの流路が合流する場所は、屈折した流路になるため、流体を押し出す圧力を損失させるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、圧力損失を低減することができる弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の弁装置は、弁体が配置された弁室、流入出口及び前記弁室と前記流入出口とを連通する連通孔を有する弁本体と、前記弁本体の外部に設けられ、湾曲した形状を有するパイプと、前記弁本体と別体をなす継手取付部と、を備え、前記パイプは、前記連通孔と連通し、かつ、前記弁本体と接続した端部とは反対側で継手取付部と接続し、前記継手取付部は、前記弁本体に固定されていることを特徴とする。
【0009】
前記パイプは、前記弁本体および前記継手取付部とろう付けにより接続されていてもよい。
【0010】
前記パイプの材質と前記弁本体の材質は同一であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧力損失を低減することができる弁装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。
図2】第1に実施形態に係る弁装置の側面断面図である。
図3】第1の実施形態に係る整流部材の(a)斜視図、(b)断面図である。
図4】第2の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。
図5】整流部材の内周を流れる流体の模式図である。
図6】整流部材の(a)斜視図、(b)平面図、(c)底面図、(d)右側面図、(e)左側面図である。
図7】回り止め部材の(a)斜視図、(b)断面図である。
図8】第3の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。
図9】他の実施形態の整流部材の内周形状の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る弁装置について図面を参照しつつ説明する。図1は、第1の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。図2は、第1の実施形態に係る弁装置の側面断面図である。なお、本明細書における上下方向を表す記述は、図面を見た際の上下方向のことを指すものであり、実際に弁装置を配置した際の方向を指すものではない。図1図2に示すように、弁装置1は、キャン2、ステータ部材3及び弁本体4を有する。
【0014】
キャン2は、一端面が半球状に閉じたカップ型形状である有底円筒形状を有する。キャン2は、後述する弁軸41を軸X方向に移動させる駆動機構を収容する容器である。キャン2の内部には、ロータ部材が収容されている。キャン2は、駆動機構を固定するホルダとしてのネジ62に溶接により固着されている。ネジ62は、キャン2との固着部の下側に雄ねじ部が形成され、固着部と雄ねじの間にシール用のシール部材が配置されている。弁本体4の上面にある開口の内側には、ネジ62の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されており、ネジ62を弁本体4の上面の開口にねじ込むことで、ネジ62が弁本体に固定されている。
【0015】
ステータ部材3は、キャン2の外周に嵌着される。ステータ部材3は、コイルを有する。このコイルは、リード線を介して給電を受ける。ステータ部材3は、キャン2の内部に収容されたロータ部材とともに、ステッピングモータを構成する。このステッピングモータが、弁軸41を移動させる駆動源となる。
【0016】
弁本体4は、アルミ合金等の材料からなるブロック形状である。弁本体4は、弁軸41、弁体42、弁室43、流入口44A、第1の流出口44B、第2の流出口44C、連通孔45A、45B、45C及び整流部材5を有する。なお、連通孔45A、45B、45Cを区別しない場合は、連通孔45と称する。
【0017】
弁軸41は、棒形状を有する。弁軸41は、キャン2の中心軸Xと共通軸に配置される。弁軸41は、軸X方向に移動可能に弁本体4の内部空間に配置される。弁軸41の一方端部は、キャン2内部に収容された駆動機構と接続している。弁軸41は、弁体42を軸X方向に移動させる。
【0018】
弁本体4の内部空間には、連通孔45Aに接続された弁室43が設けられている。弁室43は、弁体42が配置される空間である。弁室43は、第1の弁座431及び第2の弁座432を有する。第1の弁座431は、弁室43の軸X方向上端面(キャン2側の上面)に配置され、第2の弁座432は、弁室43の軸X方向下端面に配置される。第1の弁座431の軸X方向上側(キャン2側)には直線部49bを介して連通孔45Bが、第2の弁座432の軸X方向下側には屈折部46bを介して連通孔45Cがそれぞれ接続されている。よって、弁室43は、連通孔45B及び連通孔45Cと連通している。
【0019】
弁体42は、弁軸41の外周に圧入され、固定される。つまり、弁体42は弁軸41とともに軸X方向の上方又は下方に移動する。弁体42が軸X方向の上方又は下方に移動することで、第1の弁座431及び第2の弁座432と接離する。弁体42が第1の弁座431に着座している時、連通孔45Bは遮断され、流体は連通孔45Cに流れる。一方、弁体42が第2の弁座432に着座している時、連通孔45Cは遮断され、流体は連通孔45Bに流れる。
【0020】
弁本体4の側面には、流入口44Aが設けられている。流入口44Aは、弁本体4内に流体が流入する開口である。連通孔45Aの一方端部は流入口44Aであり、他方端部は弁室43と接続する。連通孔45Aによって、弁室43と流入口44Aは連通する。即ち、流入口44Aから流入した流体は、連通孔45Aを通って、弁室43に流れる。
【0021】
第1の流出口44B及び第2の流出口44Cは、流体が流出する開口である。第1の流出口44B及び第2の流出口44Cは、弁本体4の側面に軸Xと垂直方向に開口の軸線を向け、軸X方向に横並びに設けられる。連通孔45Bの一方の端部は、第1の流出口44Bである。連通孔45Bのうち第1の流入口44Bに接続される部分(直線部49a)は、第1の流出口44Bから弁軸41に向けて軸X方向と直交して延びている。また、連通孔45Bの他方の端部は、弁座431である。連通孔45Bのうち、弁室43に接続された部分(直線部49b)は、中心線が軸Xと共通軸となるよう配置されている。そして、直線部49aと直線部49bが交わる部分には屈折部46aが形成されている。即ち、連通孔45Bは、直線上に延びる直線部49a、49bを有し、2つの直線部49a、49bは弁本体4内部に形成された屈折部46aで接続されている。後述するが、屈折部46aには内部に冷媒が流れる通路53が形成された整流部材5が配置されている。整流部材5の弁室43側には直線部49bを形成する管状の筒状シート61が配置されている。
【0022】
連通孔45Cの一方の端部は、第2の流出口44Cである。連通孔45Cのうち第2の流入口44Cの部分は、第2の流出口44Cから弁軸41に向けて軸X方向と直交して延びている。連通孔45Cの他方の端部は弁座432である。連通孔45Cのうち弁室43側の部分は、中心線が軸Xと共通軸となるように構成されている。そして、連通孔45Cの両側の直線部が交わる部分には屈折部46bが形成されている。即ち、第2の流出口44Cと弁室43は、連通孔45Cを介して連通している。
【0023】
整流部材5は、直線部分の流れ方向の向きが変わる部分に配置される部材である。本実施形態では、整流部材5は、連通孔45Bの屈折部46aに配置され、直線部49aと直線部49bを接続する通路53を有している。整流部材5の材質は、金属又は樹脂を用いることができる。本実施形態では、整流部材5の材質として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を用いている。整流部材5の材質をPPSとすることで、加工がしやすく生産性が向上するとともに、弁装置1の軽量化を図ることができる。
【0024】
整流部材5は、筒状シート61とネジ62の間に配置される。キャン2と固着する端面の弁本体4の上面の開口から筒状シート61を挿入し、その後、整流部材5を挿入し、最後にネジ62を弁本体4の上面の開口に締結する。整流部材5は、ネジ62と筒状シート61に挟み込まれることで、屈折部46a内に固定される。換言すれば、整流部材5は、筒状シート61の抜け止めとして機能し、ネジ62は整流部材5の抜け止めとして機能している。
【0025】
筒状シート61は、下端部に弁座431が形成され、上端部にフランジ部61aが形成された略円筒状の部材である。フランジ部61aの下面が弁本体4にシール部材61bを介して当接して係止されるとともに、フランジ部61aの上面が整流部材5に当接している。Oリング等のシール部材61bによって、弁座431を通過しない流体が第1の流出口44B側に流れないようにしている。筒状シート61の内部には、整流部材5の通路53と弁室43とを連結する直線部49bが形成されている。なお、弁本体4に弁座431を切削により形成し、筒状シート61は用いないようにしてもよい。
【0026】
図3の(a)は、整流部材5の斜視図、(b)は、整流部材5の断面図である。図3(a)に示すように、整流部材5は、直線部49aに対応する部分が切り欠かれた円筒形状を有する。整流部材5の中心軸は、軸Xと共通軸となるように、屈折部46aに配置される。整流部材5の内周面には、流体が流れる通路53が形成されている。連通孔45Bの直線部49a、49b及び整流部材5の通路53によって、流体が流れる流路が形成される。図3(b)に示すように、整流部材5は、屈折部46の角度より大きく屈折又は湾曲した内周面からなる角部52及び直線状の内周面(湾曲していない内周面)からなる非湾曲部54を有する。つまり、角部52及び非湾曲部54によって整流部材の通路53の外周面が形成されている。ここでいう屈折部の角度とは、屈折部を形成する互いの連通孔の中心線によってなす角度を指す。例えば、連通孔45Bの屈折部46aの角度は、軸X方向と平行に延びる直線部49bの中心線と軸X方向と直交して延びる直線部49aの中心線によってなす角度なので、直角(90度)となる。なお、本実施形態の整流部材5においては、角部52の両側(流れ方向の両側)に非湾曲部54を有しているが、非湾曲部54は上流側と下流側の一方に形成してもよいし、非湾曲部54をいずれにも形成しないように角部52の寸法や通路53の寸法を設定してもよい。
【0027】
図1に示すように、角部52の内周面52aは、屈折部46aの内周面の壁面がなす角度より大きく湾曲又は屈折している。角部の内周面が屈折部の内周面より大きく湾曲しているとは、流路の中心軸に沿った断面の形状(図1に示した断面)において、屈折部の内部空間の流れ方向に沿った2面の角を形成する内周面よりも整流部材5の角部の内周面の曲率半径が大きいことを指す。また、整流部材5の内周面が屈折部の内周面の角度より大きく屈折しているとは、屈折部の屈折する角度よりも、整流部材5の角部の中心線の曲率半径が大きいことを指す。
【0028】
本実施形態においては、図3(b)に示すように、流路が流れ方向を変える位置において、整流部材5の通路53の中心線(図3(b)中の符号A)は、内部空間の流れ方向の中心線(図3(b)中の符号B)よりも曲率半径が大きくなるように構成されている。即ち、本実施形態においては、整流部材5の角部52の内周面52aは、軸X及び直線部49aの中心線に沿った断面の形状が、角がない緩やかに丸まった形状となっている。なお、本実施形態においては、屈折部46aの内部空間の流れ方向の中心線(図3(b)中の符号B)が屈折する角度は90度であり、直線部49bと直線部49aの中心線によってなす角度と同じである。また、角部52の内周面52aは、凹凸がなく滑らかな形状である。凹凸がないとは、段差を有しないことを指す。
【0029】
なお、本実施形態では、整流部材5は、連通孔45Bの屈折部46aにのみ設けたが、連通孔45Cの屈折部46bに設けてもよい。つまり、整流部材5は、連通孔45が有する一部の屈折部(46a又は46b)にのみ設けてもよいし、全ての屈折部(46a及び46b)に設けてもよい。
【0030】
次に、作用について説明する。弁体42が第2の弁座432に着座している時、連通孔45Aから弁室43に流入した流体は、連通孔45Bに流れる。
【0031】
本実施形態では、流体が流れる通路53を有する整流部材5を備え、整流部材5は、連通孔45Bの屈折部46aに配置される。即ち、流体は、連通孔45Bの屈折部46ではなく、整流部材5の通路53を流れる。そして、整流部材5の通路53は、屈折部46aの壁面の角より大きい曲率半径を有した内周面52a(角部52の内周面52a)を有する。そのため、流体は、整流部材5を有さない屈折部46aを通過するよりもスムーズに流れることができ、圧力損失を低減できる。
【0032】
また、冷媒の通路(流路)の壁面に凹凸があり、即ち、段差がある場合、流体は、段差により渦を巻き、圧力損失につながるおそれがある。本実施形態では、整流部材5の通路53は、凹凸がなく滑らかな形状である。そのため、整流部材5の通路53を流れる流体が渦を巻くこと等を抑制でき、圧力損失を低減させることができる。
【0033】
(効果)
本実施形態の弁装置1は、弁体42が配置された弁室43、流入出口44及び弁室43と流入出口44とを連通する連通孔45を有する弁本体4と、連通孔45内に設けられた整流部材5と、を備える。連通孔45は、連通孔45の中心線が屈折した屈折部46aを有し、整流部材5は、屈折部46aに配置されるとともに、屈折部46aの角度より大きく屈折又は湾曲した内周面52aを備える角部52を有する。
【0034】
これにより、流体は、連通孔45が有する屈折部46aではなく整流部材5の通路53を流れる。そして、整流部材5の通路53は、凹凸のない滑らかな形状であるので、整流部材5の通路53内を流体はスムーズに流れる。したがって、圧力損失の低減を図ることができる。
【0035】
特に、連通孔45が有する屈折部46aは直角(屈折する角度が90度)に屈折している。このような場合であっても、本実施形態の整流部材5の角部52は、屈折部46の角部よりも大きい曲率半径を有するので、流体は、屈折部46aを流れた場合と比べて、スムーズに流れることができる。したがって、圧力損失の低減を図ることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る弁装置について図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成及び同一の機能については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。図4は、第2の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。図4に示すように、第2の実施形態に係る弁装置は、第1の実施形態とは連通孔45B、45Cの形状が異なる。なお、連通孔45Aの形状は、第1の実施形態と同様である。
【0037】
第1の流出口44D及び第2の流出口44Eは、弁本体4がキャン2と固着している端面と反対側の端面に配置される。第1の流出口44D及び第2の流出口44Eは、軸Xを挟んで配置される。
【0038】
連通孔45Dは、直線部49c、49dを有する。直線部49cは、第1の流出口44Dから軸X方向と平行に延び、第1の流出口44Dと反対側の弁本体4の端面に未達である。直線部49dは、軸Xに直交する方向に直線上に延びている。直線部49dの一方の端部は、直線部49cの端部と接続されている。なお、直線部49dの他方の端部は、弁本体4の開口となっており、後述するとおり、この開口は、プラグ63により封止されている。また、直線部49dは、筒状シート61の内部に形成された直線部49bに接続されている。このように、第1の流出口44Dは、直線部49c、直線部49d及び直線部49bを介して弁室43と連通している。
【0039】
連通孔45Eは、直線部49e、49f、49gを有する。直線部49eは、第2の流出口44Eから軸X方向と平行に延びている。直線部49fは、中心線が軸Xと共通軸となるように配置されている。直線部49fの一方端部は、弁室43と接続している。直線部49gは、軸Xと直交する方向に延びており、直線部49e及び直線部49fと交わっている。直線部49gと直線部49eが交わる部分、屈折部46cが形成されている。また、直線部49gと直線部49fが交わる部分に屈折部46dが形成されている。即ち、連通孔45Eには、2つの屈折部46c、46dが形成されている。
【0040】
この屈折部46c及び屈折部46dは、近接した位置に連続して設けられる。近接した位置とは、例えば、連通孔45Cの直径の2倍以下程度の範囲を指す。連通孔45Cは、この2つの屈折部46によって、概略クランク状の形状を有する。クランク状とは、2つのL字の一方を点対称となるように反転させ、L字の短辺端部を繋ぎ合わせた形状をいう。
【0041】
なお、弁本体4の側面には、プラグ63、64が2つ設けられている。プラグ63は、弁本体4を切削して直線部49dを形成する際にできた開口を封鎖する部材であり、プラグ64は、直線部49gを形成する際にできた開口を封鎖する部材である。プラグ63、64は、それぞれの開口に挿入される。よって、開口がプラグ63、64によって塞がれ、開口から流体が流出することを防止する。
【0042】
整流部材5は、連通孔45Eに形成された2つの屈折部46c、46dに亘って設けられている。2つの屈折部46に亘ってとは、2つの屈折部46に流体が流れないように整流部材5を配置することを指す。
【0043】
図5は、第2の実施形態の整流部材内を流れる流体の模式図である。図5に示すように、整流部材5には、軸X方向の上下に位置している直線部49fと直線部49eを接続するため、軸Xに対して斜めに切り欠かれた通路53が形成されている。そのため、流体は、図5の矢印に示すように流れる。つまり、直線部49fを流れてきた流体は、クランク状に直角に屈折した屈折部46c、46dではなく、整流部材5の通路53内を流れる。そして、軸Xに対して斜めに切り欠かれた通路53によって、直角よりも大きい角度に屈折させる。本実施形態では、図5に示す角度θが略135度となるように通路53が形成されている。
【0044】
具体的には、弁室43から直線部49fを流れてきた流体は、整流部材5の通路53に流入する際、屈折部46dより大きく略135度屈折して、通路53内に流入する。そして、整流部材5の通路53を流れた流体が、通路53内から流出する際に、屈折部46cよりも大きく略135度屈折して、直線部49eに流入する。このように、整流部材5によって、流体は、2つの各屈折部46c、46dの角度よりも大きい角度でそれぞれ屈折している。
【0045】
図6は、整流部材の(a)斜視図、(b)平面図(上方から見た図)、(c)底面図、(d)左側面図(図4に示す軸Y方向プラグ64側から見た図)、(e)右側面図である。整流部材5は、弁本体4とは別体構造である。図6(d)及び(e)に示すように、整流部材5は、軸Y方向から見ると、円形状を有する。整流部材5は、後述する回り止め部材47が嵌め込まれる嵌合部51を有する。
【0046】
図7は、回り止め部材47の(a)斜視図、(b)断面図である。回り止め部材47は、整流部材5が回転(軸Yを軸線とする回転)しないように固定する部材である。回り止め部材47は、概略円筒形状を有する。より詳細には、回り止め部材47は、ガイド穴47a、大径部47b及び小径部47cを有する。ガイド穴47aには、弁軸41が摺動可能に挿入される。大径部47bは、小径部47cより外径が大きく、嵌合部51に嵌め込まれる。小径部47cは、弁本体4が有する凹部48に挿入される。
【0047】
整流部材5を屈折部46c、46dに組み付ける際には、弁本体4の側面の開口(プラグ64によって封鎖されている開口)から屈折部46c、46dに向けて挿入する。整流部材5の挿入後、回り止め部材47は、大径部47bを整流部材5の嵌合部51に嵌め込むとともに、小径部47cを弁本体4の凹部48に圧入する。これによって、整流部材5が回転(軸Yを軸線とする回転)できないように固定される。
【0048】
また、回り止め部材47に形成されたガイド穴47aには弁軸41の下側が摺動可能に挿入される。即ち、弁軸41は、回り止め部材47のガイド穴47aの内周面にガイドされ、上下動する。さらに、本実施形態では、プラグ64は、整流部材5に押し付けた状態で開口を塞いでいる。換言すれば、整流部材5は、プラグ64によっても固定されている。よって、整流部材5が軸X方向もしくは軸Y方向に振動しないようにより強固に固定される。ただし、整流部材5を回り止め部材47だけで固定し、プラグ64を整流部材5に押し付けない構造を採用してもよい。
【0049】
以上のとおり、本実施形態の弁装置1は、連通孔45Eは、屈折部46c、46dを2つ有し、2つの屈折部46c、46dは、近接した位置に連続して設けられ、整流部材5は、2つの屈折部46c、46dに亘って配置されている。これにより、1つの整流部材5で2つの屈折部46c、46dにおける圧力損失を低減することができ、効率良く圧力損失の低減を図ることができる。
【0050】
弁本体4は、凹部48を有し、整流部材5は、嵌合部51を有し、嵌合部51に嵌め込むとともに、凹部48に挿入される回り止め部材47を更に備える。これにより、整流部材5は、嵌合部51に回り止め部材47を嵌合させることで、整流部材5が回転しないように固定させることができる。よって、整流部材5の固定を簡便に行うことができ、弁装置1の生産性が向上する。
【0051】
本実施形態では、連通孔45Dに形成された2つの屈折部には、整流部材5を設けなかったが、連通孔45Dの屈折部にも整流部材5を設けてもよい。整流部材5を設けることで、連通孔45Dにおいても、圧力損失の低減を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、連通孔45Eの2つの屈折部46c、46dに亘って1つの整流部材5を設けたが、整流部材5を2つ有し、各屈折部46c、46dそれぞれに1つずつ整流部材5を設けてもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る弁装置1について図面を参照しつつ説明する。図8は、第3の実施形態に係る弁装置の正面断面図である。図8に示すように、本実施形態では、パイプ7及び継手取付部8を備える点が第2の実施形態と異なる。
【0054】
パイプ7は、流体が流れる管である。パイプ7は、金属製の部材からなる。パイプ7は、弁本体4と同一の部材からなることが好ましい。本実施形態では、弁本体4と同一の材料であるアルミ合金からなる。パイプ7の内周面は、凹凸のない滑らかな形状となっている。パイプ7は、弁本体4の外部に設けられる。パイプ7の一方端部は、弁本体4とろう付けにより接続している。具体的には、パイプ7の一方端部は、弁本体4内に設けられた第1の流出口44Fとパイプ7の開口が重なるように弁本体4と接続している。
【0055】
第1の流出口44Fに接続されたパイプ7は、軸Xと直交する方向に延び、鋭角に湾曲して、継手取付部8に向けてやや斜行して延びている。換言すれば、パイプ7は、屈折していない。このように、パイプ7は概略L字型の直角に曲がる部分が丸く湾曲した形状を有する。なお、本実施形態では、パイプ7は斜行して継手取付部8に向けて延びていたが、斜行せず軸Xと平行に延びていてもよい。
【0056】
継手取付部8は、弁本体4とは別体をなす。継手取付部8の底面(パイプ7と接続する反対側の端面)は、弁本体4の底面(弁本体4がキャン2と対向する反対側の端面)とが面一になるように配置される。継手取付部8は、流体が流れる開口を有する。この開口とパイプ7の他方端部の開口が重なるように、パイプ7と継手取付部8はろう付けにより接続している。このように、連通孔45Fと継手取付部8は、パイプ7を介して連通している。また、継手取付部8は、弁本体4にろう付けにより固定されている。なお、継手取付部8を弁本体4に固定する手段は、これに限定されず、例えば、溶接による固定やボルトによる締結など種々の手段を用いることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態の弁装置1は、弁本体4の外部に設けられ、湾曲した形状を有するパイプ7を更に備え、パイプ7は連通孔45Fと連通している。これにより、ブロック状の弁本体4の大きさを小型化できるので、弁装置1の軽量化を図ることができる。また、パイプ7は湾曲した形状を有するので、パイプ7の内部を流れる流体の圧力損失の低減を図ることができる。
【0058】
さらに、パイプ7によって流路を形成することで、弁本体4を切削加工する必要がある部分を減少できるので、弁本体4を切削加工する時間を短縮できる。そして、弁本体4の切削加工作業と並行して、パイプ7の加工作業やパイプ7と継手取付部8の接続作業を行うことができるので、弁装置1の生産性が向上する。さらに加えて、弁本体4を切削する部分が減少したことで、弁本体4に形成される開口も削減され、開口を封鎖するプラグの数も削減できるので、部品点数の削減及びコスト削減を図ることができる。
【0059】
パイプ7は弁本体4と、継手取付部8と、ろう付けされ、各々に接続している。これにより、ろう材を所望の箇所にセットし、加熱することでパイプ7と弁本体4及び継手取付部8とを接続させることができるので、パイプ7の接続作業を簡略化することができ、弁装置1の生産性が向上する。
【0060】
弁本体4と別体をなす継手取付部8を更に備え、パイプ7は、弁本体4と接続した端部とは反対側で継手取付部8と接続し、継手取付部8は、弁本体4に固定されている。流体が流れることで、弁装置1には振動が生じる。しかし、継手取付部8を弁本体4に固定することで、パイプ7に生じる振動を緩和させることができる。よって、パイプ7と弁本体4及び継手取付部8との接合箇所が振動により劣化することを防止することができ、弁装置1の耐久性が向上する。
【0061】
パイプ7の材質と弁本体4の材質は同一である。このように、パイプ7と弁本体4の材質を同一とすることで、各部材の電位差によって腐食することを防止することができ、耐久性の向上した弁装置1を得ることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、パイプ7と弁本体4及び継手取付部8は、ろう付けにより接合させたが、これに限定されず、シール部材により接合させてもよい。また、パイプ7は、概略L字型形状を有していたが、パイプ7の形状は、湾曲した形状を有していればよく、例えば、S字型形状などであってもよい。
【0063】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0064】
本実施形態では、三方弁の弁装置1を用いたが、これに限定されるものではなく、連通孔45が屈折しているものであれば、二方弁でもあっても、四方弁以上であってもよい。
【0065】
第1の実施形態では、整流部材5は、筒状シート61とネジ62によって固定させたが、第2の実施形態のように、整流部材5を回り止め部材47に嵌め込む形で固定させてもよい。また、本実施形態では、回り止め部材47は、弁本体4とは別体構造としたが、これに限定されず、弁本体4を切削して回り止め部材47を形成させ、弁本体4を一体に構成してもよい。この場合、プラグ64に封鎖された開口から整流部材5を挿入し、整流部材5の嵌合部51を回り止め部材47の大径部47bに嵌め込み、その後、弁軸41をガイド穴47aに挿入してもよい。
【0066】
第2の実施形態では、整流部材5の通路53は軸Xに対して斜めに切り欠いた屈折した形状であったが、図9に示すように、通路53は、2つの屈折部46に対してそれぞれ角部52を有し、各角部52は湾曲した形状であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 弁装置
2 キャン
3 ステータ部材
4 弁本体
41 弁軸
42 弁体
43 弁室
431 第1の弁座
432 第2の弁座
44A 流入口
44B、44D、44F 第1の流出口
44C、44E 第2の流出口
45、45A、45B、45C、45D、45E、45F 連通孔
46、46a、46b、46c、46d 屈折部
47 回り止め部材
47a ガイド穴
47b 大径部
47c 小径部
48 凹部
49a、49b、49c、49d、49e、49f、49g 直線部
5 整流部材
51 嵌合部
52 角部
52a 内周面
53 通路
54 非湾曲部
61 筒状シート
61a フランジ部
61b シール部材
62 ネジ
63、64 プラグ
7 パイプ
8 継手取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9