(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】生産計画作成装置及び生産計画作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241023BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241023BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2024129014
(22)【出願日】2024-08-05
【審査請求日】2024-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524292178
【氏名又は名称】大和鋼業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】竹原 克典
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-73149(JP,A)
【文献】特開平6-75970(JP,A)
【文献】特開2003-186523(JP,A)
【文献】特開2008-21182(JP,A)
【文献】特開2010-170368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画を作成する生産計画作成装置であって、
受注が確定した第1対象の、前記バッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報を記憶する第1記憶手段と、
受注が未確定の第2対象の前記バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報を記憶する第2記憶手段と、
前記第1期限と前記第2期限との相違の有無によらず、前記第1対象と前記第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、前記第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定部と、
前記処理方針決定部によって決定された前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する生産計画作成部と、を備える、
生産計画作成装置。
【請求項2】
前記第1記憶手段は、前記第1対象の仕様である第1仕様情報をさらに記憶し、
前記第2記憶手段は、前記第2対象の仕様である第2仕様情報をさらに記憶し、
前記単位処理対象において、前記第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第1判断部と、
前記第1対象のみを処理することによって前記所定の歩留まりを満たさない場合に、前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とに基づいて、前記単位処理対象における前記第1対象と前記第2対象との処理方法を決定する処理方法決定部と、
前記処理方法決定部によって決定された該処理方法によって、前記所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第2判断部と、をさらに備え、
前記第2判断部において前記所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、前記生産計画作成部が、前記処理方針決定部によって決定された前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する、
請求項1に記載の生産計画作成装置。
【請求項3】
前記第1記憶手段が、1種の、又は複数種の前記第1対象が、複数の異なる前記第1期限を含む場合に、前記処理方針決定部が、最も早い前記第1期限に合わせて処理する方針を決定し、前記生産計画作成部が、最も早い前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する、
請求項1又は請求項2に記載の生産計画作成装置。
【請求項4】
前記生産計画作成部は、前記第1期限と前記第2期限との相違が、168時間以下の場合のみに、前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する、
請求項1又は請求項2に記載の生産計画作成装置。
【請求項5】
さらに、前記生産計画に基づいて、前記バッチ処理工程を含む前記生産工程の納期予定を出力する出力部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の生産計画作成装置。
【請求項6】
前記第1記憶手段と、第2記憶手段とが1つの記録媒体である、
請求項1又は請求項2に記載の生産計画作成装置。
【請求項7】
バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画を作成する生産計画作成プログラムであって、
第1記憶手段に記憶された、受注が確定した第1対象の、前記バッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報と、第2記憶手段に記憶された、受注が未確定の第2対象の前記バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報と、に基づき、前記第1期限と前記第2期限との相違の有無によらず、前記第1対象と前記第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、前記第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定ステップと、
前記処理方針決定ステップによって決定された前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する生産計画作成ステップと、を、コンピューターに実行させる命令を含む、
生産計画作成プログラム。
【請求項8】
前記第1対象の仕様である第1仕様情報が、前記第1記憶手段にさらに記憶され、
前記第2対象の仕様である第2仕様情報が、前記第2記憶手段にさらに記憶され、
前記単位処理対象において、前記第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第1判断ステップと、
前記第1対象のみを処理することによって前記所定の歩留まりを満たさない場合に、前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とに基づいて、前記単位処理対象における前記第1対象と前記第2対象との処理方法を決定する処理方法決定ステップと、
前記処理方法決定ステップによって決定された該処理方法によって、前記所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第2判断ステップと、をさらに備え、
前記第2判断ステップにおいて前記所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、前記生産計画作成ステップが、前記処理方針決定ステップによって決定された前記第1期限に基づく前記生産計画を作成する、
請求項7に記載の生産計画作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画作成装置及び生産計画作成プログラム、特に、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画作成装置及び生産計画作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多種の製品を生産又は製造(以下、本願においては、総称して「生産」という。)する企業や事業者にとって、顧客視点に立つとともに可能な限り無理や無駄のない生産計画を立てることは、顧客からの信頼獲得の確度を高めるとともに生産コスト及び管理負担の低減という課題を克服するために欠かすことができない。営業活動によって得られる各製品の受注とそれらの生産計画とを経営視点で適切に調和させるために、企業や事業者(以下、本願においては、総称して「企業等」という。)によって従来から様々な工夫が施されてきた。
【0003】
従来技術として、引合い情報(構成未確定部分)から生産に必要な部品の発注情報(材料費の発生状況)と、加工費の発生状況を、営業に対して警告情報として出力して、引合い情報(構成未確定部分)の確定支援を図ることにより、生産計画の調整を行う技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある製品又は商品(以下、本願においては、総称して「製品」という。)について、発注するかどうかは未確定であるが、仮に当該製品を発注したときの納期を知りたい、という顧客又は潜在的顧客(以下、本願においては、総称して「顧客等」ともいう。)からの要求が出されることは、通常の経済活動においてよく見られる。
【0006】
しかしながら、受注が確定したもののみならず、未確定の受注品(以下、「未確定受注品」ともいう。)をも生産計画に組み込んだうえで、その未確定受注品に対する確度の高い納期予測を立てることは、必ずしも容易ではない。特に、当該製品を生産するための生産工程又は製造工程(以下、本願においては、総称して「生産工程」と呼ぶ。)の中に、いわゆる「バッチ処理工程」と呼ばれる工程が含まれる場合は、さらに前述の課題の解決が困難となる。
【0007】
具体的に説明すると、バッチ処理工程は、連続的な処理工程とは異なり、ある1つのまとまった時間、又は単位処理ごとに区切って、通常は複数の処理対象物に対して1つの処理条件に基づく様々な処理が施される工程である。そして、前述のような処理の性質上、一旦、バッチ処理工程を開始すると、当該処理が完全に終了するまでは、通常、止めることもやり直すこともできない状況となる。そのため、バッチ処理工程は、最終製品を生産するための全ての生産工程の中で、当該処理を開始するタイミングの管理又は調整が、無理や無駄のない生産計画を実現するための最も大きな課題となり得る工程といえる。
【0008】
加えて、上述のとおり、経済活動において未確定受注品に対する精度の高い納期予測を顧客等に与えることが求められている中で、バッチ処理工程を含む生産工程の管理及び/又は調整が、未確定受注品を考慮したうえで確度高く実現されることの意義は非常に大きい。確定受注品のみならず未確定受注品をも含む生産計画において、如何に、確度高い両者の納期予測を行うかが、特に多種の製品を取り扱う製造業者によって重要な課題である。
【0009】
しかしながら、特許文献1は、上述の課題を解決し、バッチ処理工程を含む生産工程であっても、未確定受注品を考慮したうえで確度高く納期予測を実現し得る生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムについて開示も示唆もしていない。また、本願発明者が知る限り、未確定受注品を考慮したうえで確度高く納期予測を実現し得る、バッチ処理工程を含む生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムは、従来技術において見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の各課題の少なくとも一部を解決し、受注が確定した製品(以下、「確定受注品」ともいう。)のみならず未確定受注品を考慮したうえで確度高く納期予測を実現し得る、バッチ処理工程を含む生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムの実現に大きく貢献し得るものである。
【0011】
本願発明者は、バッチ処理工程を含む生産計画作成においては、精度の高い納期予測を顧客等に与えるためには、確定受注品のみの生産計画を立てることが、通常行われていることに着目した。しかしながら、上述のとおり、現実の営業活動の中では、むしろ未確定の受注品に対する納期予測の要求が多くなっていることを踏まえ、本願発明者は、確定受注品のみならずその未確定受注品を含む、バッチ処理工程を含む生産計画の作成の実現について検討と分析を重ねた。
【0012】
その結果、未確定受注品の存在が最も影響を及ぼすと考えられる最終的な製品の歩留まりの多寡を考慮するか否か、を区別したうえで、本願発明者は、次に示すそれぞれの場合に応じた解決策を施すことにより、バッチ処理工程を含む生産工程において、仮に未確定受注品を含む場合であっても、該未確定受注品の納期予測の精度を高め得ることが可能となることを、本願発明者は見出した。
(1)歩留まりの多寡を考慮しない場合(換言すれば、バッチ処理工程における歩留まりに左右されない場合)
その未確定受注品が確定受注品と同じバッチ処理工程によって処理され得る限り、確定受注品の該バッチ処理工程の終了時期に基づく全体の生産計画を作成する。
(2)歩留まりの多寡を考慮する場合(換言すれば、できる限りバッチ処理工程における歩留まりを高くしたい場合)
該バッチ処理工程において確定受注品のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断したうえで、該所定の歩留まりを満たさない場合であって、且つ、未確定受注品を該バッチ処理工程によって処理したときに該所定の歩留まりを満たす場合に、確定受注品の該バッチ処理工程の終了時期に基づく全体の生産計画を作成する。
【0013】
本発明は、上述の知見と創意工夫に基づいて創出された。
【0014】
本発明の1つの生産計画作成装置は、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画を作成する生産計画作成装置である。具体的には、この生産計画作成装置は、受注が確定した第1対象の、前述のバッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報を記憶する第1記憶手段と、受注が未確定の第2対象の該バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報を記憶する第2記憶手段と、該第1期限と該第2期限との相違の有無によらず、前述の第1対象と前述の第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定部と、該処理方針決定部によって決定された該第1期限に基づく前述の生産計画を作成する生産計画作成部と、を備える。
【0015】
この生産計画作成装置によれば、未確定の受注品である第2対象に対する確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示することを実現し得る。具体的には、該生産計画作成装置によれば、該第2対象についての納期(例えば、顧客等から要求される納期)を考慮することなく、既に受注が確定し、実際に生産することが予定されている該第1対象の該第1期限に基づく生産計画の中に未確定の受注品である該第2対象を云わば仮想的に含ませた生産計画が作成されることになる。その結果、確定した受注品である第1対象のみならず、未確定の受注品である第2対象についても、納期予測の確度を非常に高めることが可能となる。
【0016】
なお、上述の生産計画作成装置において、上述の第1記憶手段が、上述の第1対象の仕様である第1仕様情報をさらに記憶し、上述の第2記憶手段が、上述の第2対象の仕様である第2仕様情報をさらに記憶することに加えて、該生産計画作成装置が、上述の単位処理対象において、該第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第1判断部と、該第1対象のみを処理することによって前述の所定の歩留まりを満たさない場合に、該第1仕様情報と該第2仕様情報とに基づいて、上述の単位処理対象における該第1対象と該第2対象との処理方法を決定する処理方法決定部と、該処理方法決定部によって決定された該処理方法によって、前述の所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第2判断部と、をさらに備え、且つ、該第2判断部において前述の所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、上述の生産計画作成部が、該処理方針決定部によって決定された該第1期限に基づく該生産計画を作成することは、歩留りの観点(製造コスト及び生産効率の観点を含み得る)も考慮した上での生産計画であることから、第2対象に対するより確度の高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示することを実現し得るため、好適な一態様である。
【0017】
また、本発明の1つの生産計画作成プログラムは、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画を作成する生産計画作成装置のコンピューターに実行させる生産計画作成プログラムである。具体的には、この生産計画作成プログラムは、第1記憶手段に記憶された、受注が確定した第1対象の、前述のバッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報と、第2記憶手段に記憶された、受注が未確定の第2対象の該バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報と、に基づき、該第1期限と該第2期限との相違の有無によらず、該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定ステップと、該処理方針決定部によって決定された前述の第1期限に基づく該生産計画を作成する生産計画作成ステップと、を含む。
【0018】
この生産計画作成プログラムによれば、未確定の受注品である第2対象に対する確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示することを実現し得る。具体的には、該生産計画作成プログラムによれば、該第2対象についての納期(例えば、顧客等から要求される納期)を考慮することなく、既に受注が確定し、実際に生産することが予定されている第1対象の該第1期限に基づく生産計画の中に未確定の受注品である該第2対象を云わば仮想的に含ませた生産計画が作成されることになる。その結果、確定した受注品である第1対象のみならず、未確定の受注品である第2対象についても、納期予測の確度を非常に高めることが可能となる。
【0019】
なお、上述の生産計画作成プログラムにおいて、上述の第1対象の仕様である第1仕様情報が、上述の第1記憶手段にさらに記憶され、上述の第2対象の仕様である第2仕様情報が、上述の第2記憶手段にさらに記憶されたことに加えて、該生産計画作成プログラムが、上述の単位処理対象において、該第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第1判断ステップと、該第1対象のみを処理することによって前述の所定の歩留まりを満たさない場合に、該第1仕様情報と該第2仕様情報とに基づいて、該単位処理対象における該第1対象と該第2対象との処理方法を決定する処理方法決定ステップと、該処理方法決定ステップによって決定された該処理方法によって、前述の所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第2判断ステップと、をさらに備え、該第2判断ステップにおいて前述の所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、上述の生産計画作成ステップが、該処理方針決定ステップによって決定された該第1期限に基づく該生産計画を作成することは、歩留りの観点(製造コスト及び生産効率の観点を含み得る)も考慮した上での生産計画であることから、第2対象に対するより確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示することを実現し得る。
【0020】
なお、本願において「バッチ処理工程」とは、通常、複数の処理対象物(材料及び加工品を含む)に対して、ある1つのまとまった時間、又は単位処理ごとに区切って、一つの処理条件に基づいて処理(熱処理、化学処理、光化学処理、成膜/塗膜処理、浸漬処理、及び機械加工処理を含む)を行う工程をいう。
【発明の効果】
【0021】
本発明の1つの生産計画作成装置又は本発明の1つの生産計画作成プログラムによれば、バッチ処理工程を含む生産工程において、確定した受注品のみならず未確定の受注品をも考慮した生産計画により、該未確定の受注品に対する納期予測の確度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態における生産計画作成装置の概要構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態における生産計画作成装置を使用するときの各工程の一例を説明するフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態における確定受注品(第1対象)又は未確定受注品(第2対象)に関して、顧客等から、全ての生産工程を完了することを要求される期限(以下、「顧客要求期限」ともいう。)に基づいて、該全ての生産工程のうちの「バッチ処理工程」の終了要求期限を算出する一例を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態の生産計画における生産対象として、1種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、第1対象の第1期限と第2対象の第2期限とが異なる場合に、第1対象と第2対象とを共にバッチ処理工程によって処理する際の、処理方針決定部32によるバッチ処理工程の終了要求期限の調整方法の一例を示す説明図である。
【
図5】第1の実施形態の生産計画における生産対象として、2種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、該第1対象のそれぞれの第1期限と該第2対象の第2期限とが全て異なる場合の、
図4に相当する説明図である。
【
図6】
図5に示す例とは異なる例の
図4に相当する説明図である。
【
図7】第2の実施形態における生産計画作成装置の概要構成を示す図である。
【
図8】第2の実施形態における生産計画作成装置を使用するときの各工程の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態におけるバッチ処理工程(切断処理工程)によって処理する際に、(a)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の単位処理対象(金属板)Sと該第1対象Xの配置図(平面視)の例である。(b)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ第1対象Xと第2対象Yとを処理することによって所定の歩留まりを満たさない場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。(c)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ第1対象Xと第2対象Yとを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。
【
図10】第2の実施形態におけるバッチ処理工程(切断処理工程)によって処理する際に、複数種の第1対象X,Zのみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ該複数種の第1対象X,Zと第2対象Yとを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。
【
図11】その他の実施形態における生産計画作成装置の概要構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態における、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画作成装置100の概要構成を示す図である。また、
図2は、本実施形態における生産計画作成装置100を使用するときの各工程の一例を説明するフローチャートである。
【0025】
また、
図3は、本実施形態における確定受注品(第1対象)又は未確定受注品(第2対象)に関して、顧客等から、全ての生産工程を完了することを要求される期限(以下、「顧客要求期限」という。)に基づいて、該全ての生産工程のうちの「バッチ処理工程」の終了要求期限(第1期限)を算出する一例を示す説明図である。
【0026】
また、
図4は、本実施形態における、1種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、第1対象の第1期限と第2対象の第2期限とが異なる場合の、第1対象と第2対象とを共にバッチ処理工程によって処理する際の、処理方針決定部32によるバッチ処理工程の終了要求期限の調整方法の一例を示す説明図である。
また、
図5は、本実施形態における、2種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、該第1対象のそれぞれの第1期限と該第2対象の第2期限とが全て異なる場合の、
図4に相当する説明図である。加えて、
図6は、
図5に示す例とは異なる例の
図4に相当する説明図である。
【0027】
以下に、本実施形態の生産計画作成装置100の構成について説明する。
【0028】
本実施形態の生産計画作成装置100は、
図1に示すように、少なくとも次の(a1)~(d1)構成を備えている。
(a1)確定受注品(第1対象)の、バッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報を記憶する第1記憶手段10
(b1)未確定受注品(第2対象)のバッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報を記憶する第2記憶手段20
(c1)該第1期限と該第2期限との相違の有無によらず、該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定部32
(d1)処理方針決定部32によって決定された該第1期限に基づく生産計画を作成する生産計画作成部60
【0029】
本実施形態の生産計画作成装置100は、完成品(譲渡又は貸渡し対象となり得る中間品を含む)となる対象(第1対象及び第2対象)を生産するための全ての生産工程の中の少なくとも一部がバッチ処理工程である生産工程のための生産計画を作成する。以下に、上述の(a1)~(d1)の各構成について詳述する。
【0030】
本実施形態の第1記憶手段10は、受注が確定した確定受注品、すなわち第1対象を生産する工程の一部であるバッチ処理工程の、終了要求期限(例えば、顧客からの終了要求期限)である第1期限を含む第1期限情報を記憶する。従って、第1記憶手段10が記憶する第1期限情報は、前述の第1期限のみであってもよいが、該第1期限に加えて、例えば、第1対象の製品情報、加工条件、加工数量、顧客の名前、連絡先及び/又はその第1対象を受注した営業担当者の情報を含むことができる。なお、
図1に示すように、各種入力操作を受け付けるための公知の入力手段(例えば、タッチパネル、マウス、キーボード、マイク等)である入力部70を利用して、第1期限情報が、生産計画作成装置100の第1記憶手段10によって記憶され得る。
【0031】
本実施形態の第2記憶手段20は、受注が未確定の未確定受注品、すなわち第2対象を生産する工程の一部であるバッチ処理工程の、終了要求期限(例えば、潜在的な顧客からの終了要求期限)である第2期限を含む第2期限情報を記憶する。従って、第1記憶手段10と同様に、第2記憶手段20が記憶する第2期限情報は、前述の第2期限のみであってもよいが、該第2期限に加えて、例えば、その潜在的な第2対象の製品情報、加工条件、加工数量、顧客の名前、連絡先及び/又は営業活動によってその第2対象の受注の可能性を獲得した営業担当者の情報を含むことができる。なお、第1期限情報と同様に、入力部70を利用して、第2期限情報が、生産計画作成装置100の第2記憶手段20によって記憶され得る。
【0032】
本実施形態の処理方針決定部32は、例えば、バッチ処理工程の制御を担う第1制御部30の一部である。本実施形態の処理方針決定部32は、第1記憶手段10に記憶されている第1期限と、第2記憶手段20に記憶されている第2期限との相違の有無によらず、確定受注品である第1対象と未確定受注品である第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、第1期限に合わせて処理する方針を決定する。なお、本実施形態においては、第1制御部30が処理方針決定部32を含むが、本実施形態はこの態様に限定されない。例えば、処理方針決定部32が第1制御部30の役割を兼ねることも、採用し得る他の一態様である。
【0033】
なお、本実施形態における「1つの単位処理対象」とは、例えば、金属加工品の生産工程におけるバッチ処理工程が、1枚の金属素材(例えば、金属板)から複数の金属片(第1対象又は第1対象の原材料、及び第2対象又は第2対象の原材料)を得るために切断する切断処理工程であった場合の該金属素材が該当し得る。
【0034】
また、前述の例においては、「1つの単位処理対象」が1枚の金属素材(例えば、金属板)であるが、「1つの単位処理対象」の例は、該金属素材に限定されない。例えば、バッチ処理工程がめっき加工品の表面にめっき加工処理を施すめっき処理工程である場合の該めっき加工品の生産工程においては、「1つの単位処理対象」が、一度にめっき浴に浸漬処理可能な数のめっき加工対象物(第1対象及び第2対象)が該当し得る。また、バッチ処理工程が半導体製品の元となるシリコンウェハーの洗浄処理工程である場合の該半導体製品の生産工程においては、「1つの単位処理対象」が、一度に洗浄液中に浸漬処理可能な数の該シリコンウェハー(第1対象及び第2対象)が該当し得る。また、バッチ処理工程が鉄鋼製品の元となる鋼材の熱処理工程である場合の該鉄鋼製品の生産工程においては、「1つの単位処理対象」が一度に加熱炉内で加熱処理可能な数の処理加工対象物(第1対象及び第2対象)が該当し得る。
【0035】
ここで、本実施形態におけるバッチ処理工程の第1期限(より正確には、第1期限の予定)及び第2期限(より正確には、第2期限の予定)は、第1制御部30における処理方針決定部32によって、それぞれ次のように算出される。
【0036】
図3は、本実施形態における確定受注品(第1対象)に関して、顧客等から、顧客要求期限(
図3の「Z」)に基づいて、該全ての生産工程のうちの「バッチ処理工程」の終了要求期限(第1期限)を算出する一例を示す説明図である。なお、
図3の例は、製品Aを生産する生産日程表(生産予定表)の例を示している。また、「日付」は、
図3の説明の便宜のために設けられた、ある月の一部の日付のリストである。
【0037】
代表的な一例を説明すると、バッチ処理工程が上述の切断処理工程であった場合、該バッチ処理工程の第1期限(
図3の「Pa1」)は、顧客要求期限(
図3の「Z」)を基準として、該顧客要求期限から遡って(換言すれば、逆算して)、全ての生産工程を終えて出荷待ちのための待機期間(
図3の「Pa3」から「Z」までの期間)と、「溶接工程」の終了時(又は終了日)(
図3の「Pa3」)と、「プレス工程」の終了時(又は終了日)(
図3の「Pa2」)とを考慮して導き出される。換言すれば、顧客要求期限(
図3の「Z」)から、該待機期間(
図3の「Pa3」から「Z」までの期間)と、該溶接工程に要する時間(又は日数)(
図3の「Pa2」から「Pa3」までの期間)と、該プレス工程に要する時間(又は日数)(
図3の「Pa1」から「Pa2」までの期間)とに基づいて、「バッチ処理工程」の終了要求期限(第1期限)が算出され得る。
【0038】
従って、後述する
図4乃至
図6にも当て嵌まるが、本実施形態の生産計画作成装置100においては、第1期限が第1記憶手段10に記憶される前に、顧客要求期限(
図3においては「Z」)が第1記憶手段10に記憶されるとともに、該顧客要求期限を基準として、該顧客要求期限から「バッチ処理工程」後の1つ又は複数の工程に要する期間を遡って(換言すれば、逆算して)、「バッチ処理工程」の終了要求期限(第1期限)が算出されることも、採用し得る他の一態様である。
【0039】
なお、上述の例においては、「待機期間」は、例えば、該「バッチ処理工程」、該「溶接工程」及び/又は該「プレス工程」が何らかの事情によって、想定以上に時間を要した場合の「予備時間(又は予備日)」として、第1期限を算出することもできる。また、別の例においては、該「待機期間」は、該「溶接工程」後の「徐冷工程/室温下における放置工程」として、第1期限を算出することもできる。
【0040】
上述の確定受注品である第1対象の第1期限の例は、未確定受注品である第2対象の第2期限にも適用され得る。従って、第2期限が第2記憶手段20に記憶される前に、第2対象の顧客要求期限(
図3においては「Z」)が第2記憶手段20に記憶されるとともに、該顧客要求期限を基準として、該顧客要求期限から「バッチ処理工程」後の1つ又は複数の工程に要する期間を遡って(換言すれば、逆算して)、「バッチ処理工程」の終了要求期限(第2期限)が算出されることも、採用し得る他の一態様である。
【0041】
本実施形態の生産計画作成部60は、処理方針決定部32によって決定された第1期限に基づく生産計画を作成する。
【0042】
具体的には、生産計画作成部60は、処理方針決定部32を含む第1制御部30と、第2制御部90とを備える。第2制御部90は、例えば、本実施形態の生産工程における、該バッチ処理工程以外の全ての(1つ又は複数の)処理工程の制御(例えば、該処理工程に関する情報提供と該処理工程に関する処理計画の調整を含む)を担う。なお、本実施形態の第2制御部90は、公知の制御システム(例えば、株式会社ティーピクス研究所製「TPiCS(登録商標)-X-5.1」、株式会社フレクシェ製「FLEXSCHE(登録商標) GP」、又は株式会社テクノア製「Seiryu(登録商標)」)を採用し得る。
【0043】
第2制御部90から提供される、該バッチ処理工程以外の全ての処理工程に関する調整された処理計画(「処理スケジュール」とも呼ぶことができる)と、処理方針決定部32によって決定された第1期限との情報に基づき、生産計画作成部60は、本実施形態における確定受注品である第1対象及び未確定受注品である第2対象に関する生産計画を作成する。なお、本実施形態の生産計画作成部60は、公知の生産計画システム、例えば、株式会社ティーピクス研究所製「TPiCS(登録商標)-X-5.1」、株式会社フレクシェ製「FLEXSCHE(登録商標) GP」、又は株式会社テクノア製「Seiryu(登録商標)」)を採用し得る。
【0044】
また、本実施形態においては、上述の生産計画作成部60によって作成される生産計画を、必要に応じて、出力部80(例えば、表示装置、音声出力装置、USB端子、プリンター、通信装置)によって出力させることができる。例えば、出力部80は、バッチ処理工程を含む生産工程の納期予定を出力し得る。
【0045】
次に、主に
図1、
図2、
図4及び
図5に基づいて、1つの単位処理対象において、確定受注品である第1対象と、未確定受注品である第2対象とを処理する場合の2つの例を説明する。
【0046】
本実施形態の生産計画作成工程は、
図2に示す各工程を含む。
【0047】
まず、入力部70を利用して、確定受注品の第1対象の諸情報(少なくとも第1期限を含む第1期限情報)と、未確定受注品の第2対象の諸情報(少なくとも第2期限を含む第2期限情報)とが入力される(ステップSa1)。その結果、本実施形態の一例においては、第1記憶手段10が少なくとも第1期限情報を記憶することができ、第2記憶手段20が少なくとも第2期限情報を記憶することができる。
【0048】
その後、第1記憶手段10に記憶されている第1期限と、第2記憶手段20に記憶されている第2期限との相違の有無によらず、確定受注品である第1対象と未確定受注品である第2対象とを処理する1つの単位処理対象(例えば、1枚の金属板)を、第1期限に合わせて処理する方針が決定される(ステップSa2)。本実施形態の一例においては、この方針の決定が処理方針決定部32によって行われ得る。
【0049】
その後、ステップSa2において決定された第1期限に基づく生産計画が作成される(ステップSa3)。本実施形態の一例においては、該生産計画の作成が生産計画作成部60によって行われる。例えば、本実施形態の生産工程における、該バッチ処理工程以外の全ての(1つ又は複数の)処理工程の制御を担う第2制御部90から提供される処理計画と、処理方針決定部32によって決定された第1期限との情報に基づき、本実施形態における第1対象及び第2対象に関する生産計画が作成され得る。
【0050】
図4は、本実施形態の生産計画における生産対象として、1種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、第1対象の第1期限と第2対象の第2期限とが異なる場合に、第1対象と第2対象とを共にバッチ処理工程によって処理する際の、処理方針決定部32によるバッチ処理工程の終了要求期限の調整方法の一例を示す説明図である。
【0051】
なお、
図4の例においては、製品Aは確定受注品の第1対象であり、製品Bは未確定受注品の第2対象である。また、Pa1、Pa2及びPa3は、いずれも
図3において説明した内容と同じである。また、
図4(a)は、上述のステップSa1の段階の例であり、
図4(b)は、上述のステップSa2又はステップSa3の段階である。より詳しく説明すれば、
図4(b)において、Pa1の第1期限と第2期限とを点線の枠内(
図4では9日)に収まるように揃える、換言すれば、第2期限を第1期限に合わせて処理する方針を決定することがステップSa2の段階を示す。また、その第1期限に基づいて生産計画作成部60が製品A及び製品Bの各納期(
図4(b)のZ)を定めた生産計画(納期予測)を作成することがステップSa3の段階を示す。
【0052】
図4(a)に示すように、ステップSa1の段階、換言すれば、処理方針決定部32によってバッチ処理工程の終了要求期限の方針が決定されるよりも前の段階においては、製品A(第1対象)の納期(より正確には、納期予測)(Z)から逆算して算出される第1期限(
図4では9日)よりも、製品B(第2対象)の納期(より正確には、納期予測)(Z)から逆算して算出される第2期限(
図4では7日)の方が、早いことが分かる。
【0053】
その後、本実施形態においては、
図4(b)に示すように、処理方針決定部32が、1つの単位処理対象(例えば、金属板)を用いたバッチ処理工程(例えば、レーザー切断工程)による処理を、第1期限に合わせて処理することを決定する。従って、この例においては、処理方針決定部32が、第1記憶手段10が記憶する第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60が、該第1期限に基づく生産計画を作成する。
【0054】
なお、
図4の例は、仮に、製品A(第1対象)の第1期限の方が製品B(第2対象)の第2期限よりも早い期限である場合にも当て嵌まる。すなわち、第1対象の第1期限の方が第2対象の第2期限よりも早い期限である場合は、処理方針決定部32は、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する。
【0055】
したがって、
図4の例においては、生産対象として第1対象及び第2対象が含まれる場合であっても、該第2対象についての納期を考慮することなく、生産工程のうち最も処理の終了時期を定め難いバッチ処理工程について、処理方針決定部32が決定した該バッチ処理工程に関する第1期限を利用することにより、該第2対象を云わば仮想的に含ませた生産計画が作成される。
【0056】
また、
図5は、本実施形態の生産計画における生産対象として、2種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、該第1対象のそれぞれの第1期限と該第2対象の第2期限とが全て異なる場合の一例を示している。
【0057】
なお、
図5の例においては、製品A及び製品Cは確定受注品の第1対象であり、製品Bは未確定受注品の第2対象である。また、Pa1、Pa2及びPa3は、いずれも
図3において説明した内容と同じである。また、Pa4は、例えば「組立工程」が該当し得る。加えて、
図5(a)は、上述のステップSa1の段階の例であり、
図5(b)は、
図4(b)の説明と同様に、上述のステップSa2又はステップSa3の段階である。
【0058】
図5(a)に示すように、ステップSa1の段階、換言すれば、処理方針決定部32によってバッチ処理工程の終了要求期限の方針が決定されるよりも前の段階においては、2種の第1対象(製品A及び製品C)と1種の第2対象(製品B)のそれぞれについて、全ての生産工程のうちの「バッチ処理工程」の終了要求期限を該第1対象と該第2対象についてそれぞれ算出した結果、最も早いバッチ処理工程の終了要求期限が、該第1期限のうちの1つ(
図5では7日)であることが分かる。
【0059】
その後、本実施形態においては、
図5(b)に示すように、処理方針決定部32が、1つの単位処理対象(例えば、金属板)を用いたバッチ処理工程(例えば、レーザー切断工程)による処理を、その最も早い第1期限に合わせて処理することを決定する。従って、この例においては、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む第1期限情報を含む場合に、処理方針決定部32が、最も早い該第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60が、その最も早い第1期限に基づく生産計画を作成する。
【0060】
一方、
図6は、2種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、該第1対象のそれぞれの第1期限と該第2対象の第2期限とが全て異なる場合の他の一例を示している。
【0061】
なお、
図6の例においても、
図5に示す例と同様に、製品A及び製品Cは確定受注品の第1対象であり、製品Bは未確定受注品の第2対象である。また、Pa1、Pa2、Pa3及びPa4は、いずれも
図5において説明した内容と同じである。また、
図6(a)は、上述のステップSa1の段階の例であり、
図6(b)は、
図4(b)の説明と同様に、上述のステップSa2又はステップSa3の段階である。
【0062】
図6(a)に示すように、2種の第1対象(製品A及び製品C)と1種の第2対象(製品B)のそれぞれについて、全ての生産工程のうちの「バッチ処理工程」の終了要求期限を該第1対象と該第2対象についてそれぞれ算出した結果、最も早いバッチ処理工程の終了要求期限が、該第2期限(
図6では7日)であることが分かる。
【0063】
しかしながら、
図6に示す例においては、処理方針決定部32は、1つの単位処理対象(例えば、金属板)を用いたバッチ処理工程(例えば、レーザー切断工程)による処理を、第2期限ではなく、最も早い第1期限に合わせて処理することを決定する。
【0064】
従って、この例においても、
図5に示す例と同様に、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む場合に、処理方針決定部32が、最も早い該第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60が、その最も早い第1期限に基づく生産計画を作成する。視点を変えると、第2記憶手段20がたとえ該第1期限よりも早い第2期限を含む第2期限情報を記憶する場合であっても、処理方針決定部32は、最も早い該第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60は、その最も早い第1期限に基づく生産計画を作成する。
【0065】
また、当業者であれば、前述の各例を読めば、該切断処理工程以外のバッチ処理工程についても、個別の説明を行うことなく前述の例を当て嵌めることが可能であろう。
【0066】
上述のとおり、本実施形態においては、第1期限と第2期限との相違の有無によらず、処理方針決定部32によって、第1対象と第2対象とを処理する1つの単位処理対象が第1期限に合わせて処理される方針が決定される。その結果、第1対象と第2対象とを処理対象とするバッチ処理工程を含む生産工程であっても、納期予測の確度を非常に高めることが可能となる。
【0067】
以下に、本実施形態の生産計画作成プログラムについて説明する。
【0068】
上述の生産計画作成装置100における、
図2に示すフローチャートの各工程の説明は、コンピューターに実行させる本実施形態の生産計画作成プログラムにおける各ステップの説明に読み替えることができる。従って、上述の処理方針決定部32による処理方針決定工程は、処理方針決定ステップに読み替えることができ、上述の生産計画作成部60による生産計画作成工程は、生産計画作成ステップに読み替えることができる。従って、該生産計画作成プログラムは、各ステップをコンピューターに実行させる命令を含み得る。
【0069】
本実施形態の該生産計画作成プログラムは、生産計画作成装置100とともに、又は生産計画作成装置100から離れて用いることができる。例えば、CPU(中央処理装置)を備えるサーバーが、
図2に示す各工程を実行するためのプログラムにより、
図2に示す各処理を監視し、又は統合的に制御する。なお、本実施形態では、該プログラムがサーバーの記憶手段(例えば、公知のハードディスクドライブ)、又はサーバーに設けられた光ディスクドライブ等に挿入される光ディスク等の公知の記録媒体に記憶され得るが、該プログラムの記憶先はこれに限定されない。例えば、該プログラムの一部又は全部は、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して
図2に示す各工程を監視し、又は制御することもできる。
【0070】
加えて、上述の生産計画作成装置100又は生産計画作成プログラムは、ある1つの製品の生産工程が、2つ以上のバッチ処理工程を含んでいる場合であっても適用され得る。すなわち、該バッチ処理工程において、第1対象の第1期限と第2対象の該第2期限との相違の有無によらず、該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理するとともに、全体の生産計画を該第1期限に基づいて作成する、という生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムを、本明細書に接した当業者であれば、実施することができる。
【0071】
また、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む場合においては、本実施形態の生産計画作成プログラムにより、処理方針決定ステップにおいて最も早い該第1期限に合わせて処理する方針が決定され、且つ生産計画作成ステップにおいてその最も早い第1期限に基づく生産計画が作成される。
【0072】
<第2の実施形態>
次に、本実施形態を、
図7乃至
図10に基づいて詳細に述べる。なお、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0073】
図7は、本実施形態における、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画作成装置200の概要構成を示す図である。また、
図8は、本実施形態における生産計画作成装置200を使用するときの各工程の一例を説明するフローチャートである。
【0074】
また、
図9は、本実施形態におけるバッチ処理工程(切断処理工程)によって処理する際に、(a)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の単位処理対象(金属板)Sと該第1対象Xの配置図(平面視)の例である。(b)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ第1対象Xと第2対象Yとを処理することによって所定の歩留まりを満たさない場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。(c)第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ第1対象Xと第2対象Yとを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。
【0075】
以下に、本実施形態の生産計画作成装置200の構成について説明する。
【0076】
本実施形態の生産計画作成装置200は、
図7に示すように、少なくとも次の(a2)~(g2)構成を備えている。
(a2)確定受注品(第1対象)の、バッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報と、該第1対象の仕様である第1仕様情報とを記憶する第1記憶手段10
(b2)未確定受注品(第2対象)の、バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報と、該第2対象の仕様である第2仕様情報とを記憶する第2記憶手段20
(c2)該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象において、該第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第1判断部34
(d2)該第1対象のみを処理することによって該所定の歩留まりを満たさない場合に、該第1仕様情報と該第2仕様情報とに基づいて、該単位処理対象における該第1対象と該第2対象との処理方法を決定する処理方法決定部36
(e2)処理方法決定部36によって決定された該処理方法によって、該所定の歩留まりを満たすか否かを判断する第2判断部38
(f2)第2判断部38において該所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、該第1期限と該第2期限との相違の有無によらず、該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定部32
(g2)第2判断部38において該所定の歩留まりを満たすと判断した場合に、処理方針決定部32によって決定された該第1期限に基づく生産計画を作成する生産計画作成部60
【0077】
本実施形態の生産計画作成装置200は、第1の実施形態の生産計画作成装置100と同様に、完成品(譲渡又は貸渡し対象となり得る中間品を含む)となる対象(第1対象及び第2対象)を生産するための全ての生産工程の中の少なくとも一部がバッチ処理工程である生産工程のための生産計画を作成する。以下に、上述の(a2)~(g2)の各構成について詳述する。
【0078】
本実施形態の第1記憶手段10は、受注が確定した確定受注品、すなわち第1対象を生産する工程の一部であるバッチ処理工程の、終了要求期限(例えば、顧客からの終了要求期限)である第1期限を含む第1期限情報と、該第1対象の仕様である第1仕様情報とを少なくとも記憶する。なお、本実施形態における「仕様」とは、例えば、該バッチ処理工程がレーザー切断工程であり、該レーザー切断工程の切断対象となる1つの単位処理対象が金属板である場合に、該金属板における「金属の種類(該金属が合金の場合は該合金の組成)」、「金属の厚み」、及び/又は「切断後に得られる金属片の形状」など、第1対象又は第1対象の原材料に対する要求事項を意味する。また、第1記憶手段10は、第1の実施形態と同様に、上述の第1期限情報及び第1仕様情報以外の情報を記憶し得る。
【0079】
本実施形態の第2記憶手段20は、受注が未確定の未確定受注品、すなわち第2対象を生産する工程の一部であるバッチ処理工程の、終了要求期限(例えば、顧客からの終了要求期限)である第2期限を含む第2期限情報と、該第2対象の仕様である第2仕様情報とを少なくとも記憶する。また、第2記憶手段20も、第1の実施形態と同様に、上述の第2期限情報及び第2仕様情報以外の情報を記憶し得る。
【0080】
図8のフローチャートを用いて説明すれば、本実施形態においては、入力部70を利用して、第1対象の諸情報(少なくとも、第1期限情報及び第1仕様情報)と、未確定受注品の第2対象の諸情報(少なくとも、第2期限情報及び第2仕様情報)とが入力される(ステップSb1)。その結果、上述のとおり、本実施形態の一例においては、第1記憶手段10が少なくとも第1期限情報及び第1仕様情報を記憶することができ、第2記憶手段20が少なくとも第2期限情報及び第2仕様情報を記憶することができる。
【0081】
本実施形態の第1判断部34、処理方法決定部36、第2判断部38及び処理方針決定部32は、例えば、バッチ処理工程の制御を担う第1制御部230の一部として機能し得る。
【0082】
本実施形態の第1判断部34は、入力部70から入力された上述の第1対象の諸情報及び第2対象の諸情報に基づいて、該第1対象と該第2対象とを1つの単位処理対象において処理する場合に、該第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たすか否かを判断する(第1判断工程,ステップSb2)。
【0083】
生産計画作成装置200において、例えば、「1つの単位処理対象」が金属板であって、該金属板の平面視における質量又は重量、あるいは面積の40%以上を、切断後に得られる金属片の面積とすることができるときに「所定の歩留まり」を「満たす」と予め設定されている場合に、第1判断部34は、第1対象と第2対象とを処理する該金属板において、該第1対象のみを処理することによって、該金属片の面積が40%以上であるか否かを判断する。
【0084】
上述の例を採用した
図9(a)の場合、金属板Sの平面視における全面積のうち、切断後に得られる金属片(平面視において六角形状の金属片)である第1対象Xが占める面積の割合は、40%以上である。
図8のフローチャートを用いて説明すれば、ステップSb2に示すように、第1判断部34は、
図9(a)の場合、該第1対象のみを処理することによって、該金属片の面積が40%以上であるため、該「1つの単位処理対象」においては、第1対象のみを処理することに基づいて生産計画を作成する、換言すれば、納期予測(この例においては、該第1対象のみの納期予測)を顧客等に提示することになる。
【0085】
一方、第1判断部34が、第1対象Xのみを処理することによって所定の歩留まり(例えば、40%以上)を満さないと判断した場合は、処理方法決定部36が、該第1対象の第1仕様情報と該第2対象の第2仕様情報とに基づいて、該1つの単位処理対象における該第1対象と該第2対象との処理方法を決定する(処理方法決定工程,ステップSb3)。
【0086】
例えば、上述の例を採用した
図9(b)又は(c)の場合、第1対象Xのみを処理することによって、切断後に得られる該六角形状の金属片の面積は、所定の歩留まり(例えば、40%以上)を満たす。従って、これらの場合は、
図8のステップSb2及びSb3に示すように、処理方法決定部36が、第1対象Xと第2対象Yとの両方を、該1つの単位処理対象において処理する処理方法を決定する。
【0087】
上述の「処理方法」の一例は、上述の
図9(b)又は(c)の場合、1つの単位処理対象(金属板S)に対して、切断後に得られる金属片の該第1対象X及び該第2対象Yを、理想的には平面視における最密充填となるように配置することである。
【0088】
その後、ステップSb3によって上述の処理方法が決定されると、本実施形態の第2判断部38は、その処理方法によって、上述の「所定の歩留まり」を満たすか否かを判断する(第2判断工程,ステップSb4)。
【0089】
ここで、上述の例を採用した
図9(b)においては、切断後に得られる金属片の該第1対象X(平面視において六角形状の金属片)と該第2対象Y(平面視において五角形状の金属片)との両方が金属板Sに配置されたとしても、切断後に得られる金属片である第1対象X及び第2対象Yが占める質量又は重量、あるいは面積の合計の割合は、40%未満となる。従って、
図9(b)の例においては、第2判断部38の判断の結果、例えば新たな第1対象及び/又は第2対象の受注の可能性を探る段階(すなわち、ステップSb1)に戻ることになる。
【0090】
また、上述の例を採用した
図9(c)においては、切断後に得られる金属片の該第1対象Xと該第2対象Yとの両方が金属板Sに配置されることによって、切断後に得られる金属片である第1対象X及び第2対象Yが占める面積の合計の割合は、40%以上となる。従って、
図9(c)の例においては、第2判断部38の判断の結果、第1記憶手段10に記憶されている第1期限と、第2記憶手段20に記憶されている第2期限との相違の有無によらず、確定受注品である第1対象と未確定受注品である第2対象とを処理する1つの単位処理対象(この例では、1枚の金属板)を、第1期限に合わせて処理する方針が決定される(処理方針決定工程,ステップSb5)。本実施形態の一例においては、この方針の決定が処理方針決定部32によって行われ得る。
【0091】
本実施形態においては、処理方針決定部32によって処理する方針が決定されると、第1の実施形態と同様に、処理方針決定部32を含む第1制御部230と、第2制御部90とを用いて、該第1期限に基づく生産計画が作成される(生産計画作成工程,ステップSb6)。本実施形態の一例においては、この生産計画の作成が生産計画作成部260によって行われ得る。
【0092】
上述のとおり、本実施形態においては、第1期限と第2期限との相違の有無によらず、処理方針決定部32によって、第1対象と第2対象とを処理する1つの単位処理対象が第1期限に合わせて処理される方針が決定される。加えて、第1判断部34と第2判断部38とを備える生産計画作成装置200は、歩留りの観点(製造コスト及び生産効率の観点を含み得る)も考慮した上での生産計画を作成する。その結果、第1対象と第2対象とを処理対象とするバッチ処理工程を含む生産工程であっても、歩留りの考慮した上での、特に第2対象に対するより確度の高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示することを実現し得る。
【0093】
以下に、本実施形態の生産計画作成プログラムについて説明する。
【0094】
上述の生産計画作成装置200における、
図8に示すフローチャートの各工程の説明は、コンピューターに実行させる本実施形態の生産計画作成プログラムにおける各ステップの説明に読み替えることができる。従って、上述の第1判断部34による第1判断工程は、第1判断ステップに読み替えることができ、上述の処理方法決定部36による処理方法決定工程は、処理方法決定ステップに読み替えることができる。また、上述の第2判断部38による第2判断工程は、第2判断ステップに読み替えることができ、上述の処理方針決定部32による処理方針決定工程は、処理方法決定ステップに読み替えることができる。従って、該生産計画作成プログラムは、各ステップをコンピューターに実行させる命令を含み得る。
【0095】
なお、該生産計画作成プログラムは、生産計画作成装置200とともに、又は生産計画作成装置200から独立して用いることができる。例えば、CPU(中央処理装置)を備えるサーバーが、
図8に示す各工程を実行するためのプログラムにより、
図8に示す各処理を監視し、又は統合的に制御する。なお、本実施形態では、該プログラムがサーバーの記憶手段(例えば、公知のハードディスクドライブ)、又はサーバーに設けられた光ディスクドライブ等に挿入される光ディスク等の公知の記録媒体に記憶され得るが、該プログラムの記憶先はこれに限定されない。例えば、該プログラムの一部又は全部は、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して
図2に示すプロセスを監視し、又は制御することもできる。
【0096】
加えて、上述の生産計画作成装置200又は生産計画作成プログラムは、ある1つの製品の生産工程が、2つ以上のバッチ処理工程を含んでいる場合であっても適用され得る。すなわち、該バッチ処理工程において、第1対象のみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ処理方法決定部又は処理方法決定ステップによって決定された該処理方法によって第1対象と第2対象とを処理した場合に該所定の歩留まりを満たせば、全体の生産計画を第1期限に基づいて作成する、という生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムを、本明細書に接した当業者であれば、実施することができる。
【0097】
<第2の実施形態の変形例>
本変形例においては、生産計画における生産対象として、2種の第1対象と1種の第2対象とが共に存在するとともに、該第1対象のそれぞれの第1期限と該第2対象の第2期限とが全て異なる点を除いて、第2の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態又は第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0098】
本変形例の説明の便宜のため、該第1対象及び該第2対象を生産する工程の一部であるバッチ処理工程がレーザー切断工程であり、該レーザー切断工程の切断対象となる1つの単位処理対象が金属板である場合を例にとって説明する。
【0099】
図10は、本変形例におけるバッチ処理工程(切断処理工程)によって処理する際に、複数種の第1対象X(平面視において六角形状の金属片),Z(平面視において菱形状の金属片)のみを処理することによって所定の歩留まりを満たさず、且つ該複数種の第1対象X,Zと第2対象Y(平面視において五角形状の金属片)とを処理することによって所定の歩留まりを満たす場合の、単位処理対象(金属板)Sと該第1対象X及び第2対象Yの配置図(平面視)の例である。
【0100】
例えば、上述の例を採用した
図10の場合、第1対象Xと第2対象Yとの両方を該1つの単位処理対象において処理する処理方法が、処理方法決定部36により決定されている(ステップSb3)。従って、その後、第2判断部38は、該複数種の第1対象X,Zと第2対象Yとを処理することによって、切断後に得られる各金属片の面積の合計は、所定の歩留まり(例えば、40%以上)を満たすことを判断する(ステップSb4)。
【0101】
第2判断部38による判断が行われた結果、第1記憶手段10に記憶されている第1期限と、第2記憶手段20に記憶されている第2期限との相違の有無によらず、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む場合においては、本変形例の生産計画作成装置200により、処理方針決定ステップにおいて最も早い該第1期限に合わせて処理する方針が決定される。
【0102】
従って、この変形例においては、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む場合に、処理方針決定部32が、最も早い該第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60が、その最も早い第1期限に基づく生産計画を作成する。視点を変えると、第2記憶手段20がたとえ該第1期限よりも早い第2期限を含む第2期限情報を記憶する場合であっても、処理方針決定部32は、最も早い該第1期限に合わせて処理する方針を決定し、生産計画作成部60は、その最も早い第1期限に基づく生産計画を作成する。
【0103】
なお、本変形例の生産計画作成プログラムについて説明すると、第1記憶手段10が複数の異なる第1期限を含む場合においては、本変形例の生産計画作成プログラムにより、処理方針決定ステップにおいて最も早い該第1期限に合わせて処理する方針が決定され、且つ生産計画作成ステップにおいてその最も早い第1期限に基づく生産計画が作成される。
【0104】
<その他の実施形態>
ところで、上述の各実施形態及び変形例においては、第1記憶手段10と第2記憶手段20とが別々の記録媒体として設けられているが、上述の各実施形態及び変形例は、そのような態様に限定されない。
図11は、他の実施形態としての生産計画作成装置300の概要構成を示す図である。
図11に示すように、第1記憶手段10の役割を担う第1記憶手段312と、第2記憶手段20の役割を担う第2記憶手段314とが1つの記録媒体310として構成されることも、採用し得る一態様である。換言すれば、1つの記録媒体310が、例えば第1の実施形態の第1記憶手段10と第2記憶手段20との両方の役割を兼ねることも、採用し得る一態様である。
【0105】
また、上述の第1の実施形態においては、
図5及び
図6の例のように、2種の第1対象と1種の第2対象とを処理する1つの単位処理対象について説明しているが、上述の第1の実施形態及び他の実施形態並びに変形例は、そのような態様に限定されない。例えば、複数種の第1対象と複数種の第2対象とを処理する1つの単位処理対象についても、上述の各実施形態及び変形例は適用され得る。
【0106】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、処理方針決定部32、処理方針決定工程、又は処理方針決定ステップにおいて、第1期限と第2期限との相違があった場合であっても、第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針が決定されるが、第1期限と第2期限との相違が大きすぎることは、未確定の受注品である第2対象に対する確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示する観点からは好適であっても、可能な限り早期の納期予測を提示する観点からは好ましくない場合が生じ得る。
【0107】
従って、上述の各実施形態及び変形例において、例えば、第1期限と第2期限との相違が、168時間以下(7日以下)(より好適には120時間以下(5日以下)、更に好適には72時間以下(3日以下))の場合のみに、該第1期限に基づく生産計画を作成することは、未確定の受注品である該第2対象に対する確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示し得るとともに、可能な限り早期の納期予測を提示する観点から、より好適な一態様である。
【0108】
上述の各実施形態等の開示は、該実施形態等の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、上述の各実施形態等における他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の生産計画作成装置及び生産計画作成プログラムは、確定受注品のみならず未確定受注品を考慮した、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画作成装置又は生産計画作成プログラムとして広く利用され得る。
【符号の説明】
【0110】
10,312 第1記憶手段
20,314 第2記憶手段
30,230 第1制御部
32 処理方針決定部
34 第1判断部
36 処理方法決定部
38 第2判断部
60,260 生産計画作成部
70 入力部
80 出力部
90 第2制御部
100,200,300 生産計画作成装置
310 記録媒体
【要約】
【課題】未確定の受注品に対する確度高い生産計画(より具体的には、納期予測)を顧客等に提示する。
【解決手段】
本発明の1つの生産計画作成装置100は、バッチ処理工程を含む生産工程のための生産計画を作成する生産計画作成装置である。具体的には、生産計画作成装置100は、受注が確定した第1対象の、該バッチ処理工程の終了要求期限である第1期限を含む第1期限情報を記憶する第1記憶手段10と、受注が未確定の第2対象の該バッチ処理工程の終了要求期限である第2期限を含む第2期限情報を記憶する第2記憶手段20と、該第1期限と該第2期限との相違の有無によらず、該第1対象と該第2対象とを処理する1つの単位処理対象を、該第1期限に合わせて処理する方針を決定する処理方針決定部32と、処理方針決定部32によって決定された該第1期限に基づく前述の生産計画を作成する生産計画作成部60と、を備える。
【選択図】
図1