(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/23 20200101AFI20241023BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20241023BHJP
G06F 30/398 20200101ALI20241023BHJP
G06F 119/10 20200101ALN20241023BHJP
【FI】
G06F30/23
G01R29/08 Z
G06F30/398
G06F119:10
(21)【出願番号】P 2021015321
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】奥田 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】倉石 栄一
(72)【発明者】
【氏名】柳 健司
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-012047(JP,A)
【文献】特開2008-171385(JP,A)
【文献】特開2002-222230(JP,A)
【文献】特開2011-081597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G01R 29/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段にわたる電磁界解析を実行する情報処理装置であって、
解析対象を順次選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記解析対象に含まれる
複数の構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、前記解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記解析領域の電磁界解析を実行する解析部と、
を備え
、
前記複数の構造体のうちの第1の構造体に前記第1の構造体とは異なる第2の構造体が接続されている場合、前記1又は複数の解析領域の少なくとも1つは、前記第1の構造体の全体と前記第2の構造体の一部分とを含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記パラメータには、前記
複数の構造体が発する信号の周波数、前記構造体の消費電力、前記
第1の構造体と
前記第2の構造体との距離、前記構造体の材質、前記構造体の共振周波数のうちの少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記パラメータには、さらに、信号源となる
前記複数の構造体のグランドの大きさを示すグランド条件が含まれる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記パラメータに基づいて、前記解析領域の大きさ、前記解析領域の境界部の状態を示す境界条件、及び前記解析領域のメッシュの細かさを含むメッシュ条件を決定する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記解析部が実行した電磁界解析の解析結果を出力する出力制御部をさらに備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記決定部が決定した前記解析領域の大きさを表す情報を表示装置に表示させる制御を行う、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記解析領域の大きさと併せて、前記決定部が決定した前記境界条件を表す情報を表示装置に表示させる制御を行う、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記解析領域の大きさと併せて、前記決定部が決定した前記メッシュ条件を表す情報を表示装置に表示させる制御を行う、
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記1又は複数の解析領域の少なくとも他の1つは、前記第2の構造体の残りの一部分である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記1又は複数の解析領域の前記少なくとも1つは、
前記第2の構造体が接続される境界は、周期境界壁が設定され、
前記第2の構造体および前記複数の構造体のうち他の構造体が接続されていない境界は、自由空間壁が設定される、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数段にわたる電磁界解析を実行する情報処理装置による情報処理方法であって、
解析対象を順次選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択した前記解析対象に含まれる
複数の構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、前記解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定した前記解析領域の電磁界解析を実行する解析ステップと、
を含
み、
前記複数の構造体のうちの第1の構造体に前記第1の構造体とは異なる第2の構造体が接続されている場合、
前記1又は複数の解析領域の少なくとも1つは、前記第1の構造体の全体と前記第2の構造体の一部分とを含む、
情報処理方法。
【請求項12】
複数段にわたる電磁界解析を実行する情報処理装置のコンピュータに、
解析対象を順次選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択した前記解析対象に含まれる
複数の構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、前記解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定した前記解析領域の電磁界解析を実行する解析ステップと、
を実行させるプログラム
であって、
前記複数の構造体のうちの第1の構造体に前記第1の構造体とは異なる第2の構造体が接続されている場合、
前記1又は複数の解析領域の少なくとも1つは、前記第1の構造体の全体と前記第2の構造体の一部分とを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ECU(Electronic Control Unit)を備え、ECUによって駆動する駆動システムが知られている。近年、ECUの機能集約が進んだことにより、取り扱うデータ量の増加が増加し、構造も高密度化した。これにより、発生するノイズ量が増加することになった。したがって、ECUのEMC(Electro-Magnetic Compatibility)対策の重要性がより高まっている。
【0003】
EMC対策のため、ECUの設計段階で電磁界解析(シミュレーション)が行われているが、解析空間全体について詳細な解析を行うと必要な計算リソースも大きくなり、解析時間も非常に長くなってしまうことが知られている。
【0004】
そこで、波源及び微細な構造物を取り囲むような部分領域でのみ詳細なメッシュを用いた解析を行い、その後、当該部分領域を含む解析空間全体を粗いメッシュを用いて解析を行なうという2段階の解析を実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、複数の部分領域が存在する場合、部分領域間における相互影響を解析できない場合があった。
【0007】
本開示が解決しようとする課題は、解析領域間における相互影響を考慮した電磁界解析を実行することができる、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の情報処理装置は、複数段にわたる電磁界解析を行う情報処理装置であって、選択部と、決定部と、解析部と、を備える。選択部は、解析対象を順次選択する。決定部は、前記選択部が選択した前記解析対象に含まれる複数の構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、前記解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する。解析部は、前記決定部が決定した前記解析領域の電磁界解析を実行する。前記複数の構造体のうちの第1の構造体に前記第1の構造体とは異なる第2の構造体が接続されている場合、前記1又は複数の解析領域の少なくとも1つは、前記第1の構造体の全体と前記第2の構造体の一部分とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムによれば、解析領域間における相互影響を考慮した電磁界解析を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る全体モデルデータの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る解析対象となる空間が選択された全体モデルデータの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る解析対象となる空間が選択された全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る解析領域の大きさを決定した全体モデルデータの一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る解析領域の大きさを決定した全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る解析領域を表示した全体モデルデータの一例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る解析領域を表示した全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムの実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態では、車両に搭載されるECUの設計段階において、複数段にわたる電磁界解析(電磁界シミュレーション)を行う情報処理装置について説明するものとする。
【0012】
(情報処理装置のハードウェア構成)
まず、本実施の形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、及びI/F11Dを備える。情報処理装置10の各構成要素は、バス11Eにより相互に接続されている。
【0014】
CPU11Aは、本実施の形態の情報処理装置10を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる各種処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる各種処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0015】
本実施の形態の情報処理装置10で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施の形態の情報処理装置10で実行されるプログラムは、情報処理装置10にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
【0016】
(情報処理装置の機能構成)
次に、本実施の形態に係る情報処理装置10の機能構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
情報処理装置10は、取得部101、指定部102、生成部103、入力部104、選択部105、決定部106、表示制御部107、及び解析部108を機能部として備える。
【0018】
取得部101は、解析対象全体を表すモデルデータ(以下、全体モデルデータとも言う)を取得する。取得部101は、例えば、解析対象全体を表すCADデータを全体モデルデータとして取得する。
【0019】
具体的には、取得部101は、ユーザの操作入力に従い、情報処理装置10が備える、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置に記憶された、電磁界解析の対象となる車両全体を表すCADデータ等を全体モデルデータとして取得する。
【0020】
なお、全体モデルデータは、解析対象全体を表現するデータであればよく、車両全体を表すCADデータに限定されるものではない。また、取得部101は、情報処理装置10と通信ネットワークで接続されたサーバ装置等の外部装置から全体モデルデータを取得してもよい。
【0021】
指定部102は、電磁界解析の解析段数を指定する。指定部102は、例えば、ユーザの操作入力に従い、電磁界解析の解析段数を指定する。なお、指定部102は、予め設定されている数値を解析段数として指定してもよい。また、指定部102は、取得部101が取得した全体モデルデータの大きさ等に応じて自動的に解析段数を指定してもよい。
【0022】
生成部103は、解析対象に含まれる構造体の性質に基づいて、解析対象に含まれる構造体間の相互結合に関するパラメータ(入力パラメータ)を生成する。
【0023】
具体的には、生成部103は、解析対象に含まれる部材(構造体の一例)が発する信号の周波数、当該部材の消費電力、当該部材と他の部材との距離、他の部材の材質、他の部材の共振周波数等の理論値を1段目の入力パラメータとして生成する。
【0024】
また、生成部103は、1段目の入力パラメータ及び後述する解析部108による電磁界解析の解析結果を基に次段の電磁界解析のための入力パラメータを生成する。なお、生成部103は、1段目の入力パラメータをそのまま2段目以降の入力パラメータとしてもよい。また、生成部103は、解析部108による電磁界解析の解析結果のみを基に2段目以降の入力パラメータを生成してもよい。
【0025】
入力部104は、全体モデルデータに対して生成部103が生成した入力パラメータを入力する。具体的には、入力部104は、1段階目の電磁界解析では、生成部103が生成した1段階目の入力パラメータを、取得部101が取得した全体モデルデータに対して入力する。
【0026】
また、例えば、入力部104は、2段階目の電磁界解析では、生成部103が、1段目の入力パラメータ及び1段階目の電磁界解析の解析結果を基に生成した2段階目の入力パラメータを、全体モデルデータに対して入力する。
【0027】
なお、入力部104は、生成部103が生成した1段目の入力パラメータを、2段目の入力パラメータとして、全体モデルデータに対して入力してもよい。また、入力部104は、生成部103が、1段階目の電磁界解析の解析結果のみを基に生成した2段目の入力パラメータを、全体モデルデータに対して入力してもよい。
【0028】
選択部105は、解析対象を順次選択する。具体的には、選択部105は、指定部102が指定した解析段数と、これから実行予定の解析の段数と、に基づいて、全体モデルデータの中から、解析対象とする空間を選択する。
【0029】
ここで、選択部105が選択する解析対象となる空間は、解析段数が増加するにつれ、大きくなっていく。そして、実行予定の電磁界解析の解析段数が、指定部102が指定した解析段数に達した場合、選択部105は、全体モデルデータ全域を解析対象となる空間として選択する。
【0030】
決定部106は、選択部105が選択した解析対象に含まれる構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する。
【0031】
具体的には、決定部106は、1段階目の電磁界解析では、生成部103が1段目の入力パラメータとして生成した、信号源となる部材が発する信号の周波数、消費電力、他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、1段階目の電磁界解析の解析対象となる空間について、解析領域の大きさを決定する。
【0032】
なお、決定部106は、信号源となる部材が発する信号の周波数、消費電力、他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波のいずれか1つに基づいて、解析対象の大きさを決定してもよいし、これらを任意に組み合わせた情報に基づいて、解析対象の大きさを決定してもよい。
【0033】
また、決定部106は、1段階目の電磁界解析では、生成部103が1段目の入力パラメータとして生成した、信号源となる部材と他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、1段階目の電磁界解析の解析対象となる空間について、解析領域の境界条件を決定する。
【0034】
なお、決定部106は、信号源となる部材と他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波のいずれか1つに基づいて、境界条件を決定してもよいし、これらを任意に組み合わせた情報に基づいて、境界条件を決定してもよい。
【0035】
ここで、境界条件とは、境界部の電界や磁界等の状態を示すものである。境界条件としては、例えば、自由空間壁、周期境界壁、電気壁、磁気壁等が挙げられる。
【0036】
なお、自由空間壁とは、境界部分が、一切の物質が存在しない仮想的な空間であることを示すものである。また、周期境界壁とは、周期的に繰り返す形状を1部分だけモデル化して解析する際に、境界面に決定する条件を示すものである。
【0037】
また、電気壁とは、境界部分が完全導体であることを示すものである。電磁界解析が実行される際、電気壁では、境界における電界の接線成分が0として扱われることになる。また、磁気壁とは、境界部分が完全磁気導体であることを示すものである。電磁界解析が実行される際、磁気壁では、境界における磁界の接線成分が0として扱われることになる。
【0038】
また、決定部106は、1段階目の電磁界解析では、生成部103が1段目の入力パラメータとして生成した、信号源となる部材が発する信号の周波数、消費電力、他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、1段階目の電磁界解析の解析対象となる空間について、解析領域のメッシュ条件を決定する。
【0039】
なお、決定部106は、信号源となる部材が発する信号の周波数、消費電力、他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波のいずれか1つに基づいて、メッシュ条件を決定してもよいし、これらを任意に組み合わせた情報に基づいて、メッシュ条件を決定してもよい。
【0040】
ここで、メッシュ条件とは、解析領域の電磁界解析に用いるメッシュの細かさ等を示すものである。なお、決定部106が決定する条件は、解析領域の大きさ、境界条件、メッシュ条件に限定されるものではない。解析領域に関する条件であれば、他の条件も併せて決定してもよい。
【0041】
また、例えば、決定部106は、2段目の電磁界解析では、生成部103が、1段目の入力パラメータ及び1段階目の電磁界解析の解析結果を基に生成した2段階目の入力パラメータに基づいて、2段階目の電磁界解析の解析対象となる空間について、解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件を決定する。
【0042】
なお、決定部106は、生成部103が生成した1段目の入力パラメータに基づいて、2段階目の電磁界解析の解析対象となる空間について、解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件を決定してもよい。また、決定部106は、生成部103が、1段階目の電磁界解析の解析結果のみを基に生成した2段目の入力パラメータに基づいて、解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件を決定してもよい。
【0043】
表示制御部107は、情報処理装置10の処理に関する表示を表示装置に表示する制御を行う。表示装置としては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイ等が使用可能である。
【0044】
例えば、表示制御部107は、取得部101が取得した全体モデルデータを表示装置に表示する制御を行う。また、例えば、表示制御部107は、決定部106が決定した解析領域の大きさ及び境界条件を表示装置に表示する制御を行う。
【0045】
なお、表示制御部107、決定部106が決定した解析領域の大きさのみを表示装置に表示させてもよい。また、表示制御部107は、解析領域の大きさ及びメッシュ条件を表示装置に表示させてもよい。また、表示制御部107は、解析領域の大きさ、境界条件及びメッシュ条件を表示装置に表示させてもよい。
【0046】
また、例えば、表示制御部107は、解析部108が実行した電磁界解析の解析結果を表示装置に表示する制御を行う。なお、表示は出力の一形態であり、表示制御部107は出力制御部の一例である。情報処理装置10は、電磁界解析の解析結果を表示装置に表示する代わりに、例えば、ノートPCやタブレットPC等の端末装置に電磁界解析の解析結果を送信(出力)してもよい。
【0047】
また、表示制御部107は、1段階の解析が終わる毎に解析結果を表示装置に表示する制御を行うものとする。これにより、ユーザは、各段階における解析結果を確認できるため、段階毎に解析の妥当性を検討することができる。
【0048】
また、情報処理装置10を、解析結果が妥当でない場合に、次段階以降の解析を中止できるように構成してもよい。例えば、表示制御部107は、解析結果を表示してから、所定時間が経過するまで、解析を中止するか否かを問うメッセージを表示し、ユーザから解析中止の入力を受付けられるようにする。このように構成することで、ユーザは、無駄なく効率的に電磁界解析を実行することができる。
【0049】
解析部108は、解析領域の電磁界解析を実行する。また、解析部108は、指定部102が指定した段数の電磁界解析を実行する。なお、解析部108による電磁界解析手法は公知の方法を用いることができる。電磁界解析手法としては、例えば、モーメント法、有限要素法、FDTD(Finite Difference Time Domain)法等が挙げられる。
【0050】
ここで、
図3乃至
図10を用いて、解析段数の指定、解析対象の選択、解析領域の決定について詳しく説明する。
【0051】
まず、取得部101は、ユーザの操作入力(指定)に従い、全体モデルデータを取得する。表示制御部107は、取得部101が取得した全体モデルデータを表示装置に表示する制御を行う。ここで、
図3は、全体モデルデータの一例を示す斜視図である。また、
図4は、全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【0052】
図3、4において、車両モデルデータM(全体モデルデータの一例)は、ユニットAモデルU1、ハーネスモデルU2、ユニットBモデルU3、車両ボディモデルCから構成されている。このように、全体モデルデータが表示装置に表示されることで、ユーザは、自らが指定した全体モデルデータが正しいか否かを確認することができる。
【0053】
次に、ユーザは解析段数を指定する入力を行う。例えば、ユーザが解析段数として「2」を入力した場合、指定部102は、「2」を解析段数として指定する。
【0054】
生成部103は、例えば、車両に含まれるユニットAの消費電力、ユニットAが発する信号の周波数、ユニットAとハーネスとの距離、ハーネスの材質、ハーネスの共振周波数、ユニットBの消費電力、ユニットBが発する信号の周波数、ユニットBとハーネスとの距離の理論値を入力パラメータとして生成する。
【0055】
入力部104は、生成部103が生成したユニットAが発する信号の周波数等の入力パラメータを車両モデルデータMに対して入力する。
【0056】
次に、選択部105は、指定部102が指定した解析段数に応じて車両モデルデータMの中から解析対象となる空間を選択する。ここで、
図5は、解析対象となる空間が選択された全体モデルデータの一例を示す斜視図である。また、
図6は、解析対象となる空間が選択された全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【0057】
この例では、指定部102が「2」を解析段数として指定しているため、2段目の解析対象となる空間が車両モデルデータM全域となるように、選択部105は、車両モデルデータMの中から1段目の解析対象となる解析空間Tを選択する。
【0058】
決定部106は、例えば、ユニットAが発する信号の周波数等に応じて、解析領域の大きさを決定する。ここで、
図7は、解析領域の大きさを決定した全体モデルデータの一例を示す斜視図である。また、
図8は、解析領域の大きさを決定した全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【0059】
この例では、決定部106は、ユニットAが発する信号の周波数等に応じて、解析空間Tについて、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3の3つの解析領域を決定する。このとき、決定部106は、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3の夫々の大きさを決定する。
【0060】
なお、ユニットAが発する信号の周波数が低くなれば第1領域A1のサイズは大きくなる。これは、周波数が低いほど波長が長くなり、周囲に与える影響も大きくなるためである。同様にユニットAの消費電力が大きくなれば第1領域A1のサイズは大きくなる。これは、消費電力が大きくなるほど、周囲に与える影響も大きくなるからである。
【0061】
同様にユニットAと他の部材との距離が近くなれば原則として第1領域A1のサイズは大きくなる。これは、他の部材との距離が近くなるほど、ユニットAが他の部材に与える影響も大きくなるからである。
【0062】
ただし、他の部材が非金属の場合は、他の部材に与える影響が小さいため、解析領域のサイズを大きくする必要はない。したがって、他の部材との距離は、他の部材の材質と併せて、解析領域の大きさを決定するための要素とすることが好ましい。
【0063】
また、ユニットAの近傍に存在する他の部材の共振周波数は、解析の対象となる周波数と一致している場合に、第1領域A1のサイズが大きくなる。これは、解析の対象となる周波数と他の部材の共振周波数が一致している場合は、他の部材がユニットAから発せられる信号の影響を受けやすくなるからである。
【0064】
また、決定部106は、例えば、ユニットAと他の部材との距離、他の部材の材質等に応じて、境界条件を決定する。具体的には、決定部106は、第1領域A1について、第1領域A1の外側の構造(状態)に応じて、第1領域A1の各境界部分について境界条件(自由空間壁、電気壁、磁気壁、周期境界壁等)を決定する。また、決定部106は、第2領域A2、第3領域A3についても同様の処理を行う。
【0065】
なお、決定部106は、例えば、第1領域A1にユニットA全体が含まれ、他の部材の構造が含まれていないような場合、第1領域A1の各面の境界条件を自由空間壁に決定する。また、決定部106は、例えば、第1領域A1にユニットA以外の部材の構造(例えば、ハーネス等)が含まれている場合、他の部材の構造を含んでいる面の境界条件を周期境界壁に決定する。また、決定部106は、他の部材の材質によっては、境界条件を電気壁又は磁気壁に決定する場合もある。
【0066】
また、決定部106は、例えば、ユニットAが発する信号の周波数等に応じて、メッシュ条件(メッシュの細かさ等)を決定する。具体的には、決定部106は、ユニットAが発する信号の周波数等に応じて、第1領域A1を解析するためのメッシュの細かさ等を決定する。
【0067】
なお、ユニットAが発する信号の周波数が高くなれば第1領域A1を解析するためのメッシュは細かくなる。これは、周波数が高くなるほど発生する現象が複雑になり、より詳細な解析が必要になるためである。同様にユニットAの消費電力が大きくなれば第1領域A1を解析するためのメッシュは細かくなる。これは、消費電力が大きくなるほど発生する現象が複雑になり、より詳細な解析が必要になるためである。
【0068】
同様にユニットAと他の部材との距離が近くなれば原則として第1領域A1を解析するためのメッシュは細かくなる。これは、他の部材との距離が近くなるほど、発生する現象が複雑になり、より詳細な解析が必要になるためである。
【0069】
ただし、他の部材が非金属の場合は、他の部材に与える影響が小さいため、メッシュを細かくする必要はない。したがって、他の部材との距離は、他の部材の材質と併せて、メッシュ条件を決定するための要素とすることが好ましい。
【0070】
また、ユニットAの近傍に存在する他の部材の共振周波数は、解析の対象となる周波数と一致している場合に、第1領域A1を解析するためのメッシュは細かくなる。これは、解析の対象となる周波数と他の部材の共振周波数が一致している場合は、他の部材がユニットAから発せられる信号の影響を受けやすくなり、より詳細な解析が必要になるからである。
【0071】
表示制御部107は、決定部106が決定した解析領域を表示装置に表示する制御を行う。ここで、
図9は、解析領域を表示した全体モデルデータの一例を示す斜視図である。
図10は、解析領域を表示した全体モデルデータの一例を示す正面図である。
【0072】
この例では、決定部106は、第1領域A1の前面、背面、上面、左側面の境界条件を自由空間壁B1に、右側面の境界条件を周期境界壁B2に、底面の境界条件を電気壁B3に夫々決定している。
【0073】
また、決定部106は、第2領域A2の前面、背面、上面の境界条件を自由空間壁B1に、右側面の境界条件を周期境界壁B2に、底面の境界条件を電気壁B3に夫々決定している。さらに、決定部106は、第3領域A3の前面、背面、上面、右側面の境界条件を自由空間壁B1に、底面の境界条件を電気壁B3に夫々決定している。
【0074】
表示制御部107は、決定部106が決定した第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3の大きさを表示装置に表示させる制御を行う。また、表示制御部107は、上記解析領域の大きさと併せて決定部106が決定した上記境界条件を表示させる制御を行う。このように、解析領域を表示することにより、ユーザは、自動的に行われた解析領域の決定が妥当か否かの検証が可能になる。
【0075】
そして、解析領域の決定が妥当でない場合、ユーザは各々を修正する入力が可能である。このような構成により、本実施の形態に係る情報処理装置10は、解析領域の大きさの決定及び境界条件の決定等を全てユーザが手動で行う場合と比較して効率的に解析を実行することができる。
【0076】
また、表示制御部107により、解析領域がわかりやすい形で表示装置に表示されるため、ユーザは、決定された解析領域の大きさや境界条件等の妥当性の判断がしやすくなる。さらに、ユーザが、自動的に決定された解析領域が妥当でないと判断した場合は、解析領域の大きさや境界条件等の修正が可能であるため、本実施の形態に係る情報処理装置10は、精度を低下させることなく解析を実行することが可能である。
【0077】
(情報処理装置の処理)
次に、情報処理装置10が実行する処理について説明する。
図11は、情報処理装置10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、取得部101は、ユーザの指定に従い、全体モデルデータを取得する(ステップS1)。
【0079】
表示制御部107は、取得部101が取得した全体モデルデータを表示装置に表示する制御を行う(ステップS2)。
【0080】
次に、指定部102は、ユーザの入力に従い、電磁界解析の解析段数を指定する(ステップS3)。なお、この例では、指定部102は、ユーザの入力に従って、電磁界解析の段数を指定しているが、ステップS3において、指定部102は、取得部101が取得した全体モデルデータの大きさ等に応じて自動的に解析段数を指定してもよい。
【0081】
生成部103は、全体モデルデータに含まれる部材が発する信号の周波数、当該部材の消費電力、当該部材と他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数を1段目の入力パラメータとして生成する(ステップS4)。
【0082】
入力部104は、全体モデルデータに、生成部103が生成した入力パラメータを入力する(ステップS5)。
【0083】
選択部105は、指定部102が指定した解析段数に応じて、全体モデルデータの中から、1段目の電磁界解析の解析対象となる空間を選択する(ステップS6)。なお、選択部105は、1段目の電磁界解析以降は、指定部102が指定した解析段数とこれから実行する予定の電磁界解析が何段目であるかと、に応じて、全体モデルデータの中から、電磁界解析の解析対象となる空間を選択する。
【0084】
決定部106は、入力部104が入力した、全体モデルデータに含まれる部材と他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、選択部105が選択した解析対象となる空間について、解析領域の大きさを決定する(ステップS7)。
【0085】
決定部106は、入力部104が入力した、全体モデルデータに含まれる部材が発する信号の周波数、当該部材の消費電力、当該部材と他の部材との距離、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、解析領域の境界条件を決定する(ステップS8)。
【0086】
決定部106は、入力部104が入力した、全体モデルデータに含まれる部材が発する信号の周波数、当該部材の消費電力、当該部材と他の部材との距離、他の部材のサイズ、他の部材の材質、及び他の部材の共振周波数に基づいて、解析領域のメッシュ条件を決定する(ステップS9)。
【0087】
表示制御部107は、決定部106により決定された解析領域(解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件)を表示装置に表示させる制御を行う(ステップS10)。
【0088】
解析部108は、ユーザから、解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件の調整入力又は確定入力を受け付ける(ステップS11)。ユーザから解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件の調整入力を受け付けた場合(ステップS11:Yes)、解析部108は、ユーザにより調整された解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件で電磁界解析を実行する(ステップS12)。
【0089】
一方、ユーザから解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件の確定入力を受け付けた場合(ステップS11:No)、解析部108は、決定部106が決定した解析領域の大きさ、境界条件、及びメッシュ条件で電磁界解析を実行する(ステップS13)。
【0090】
表示制御部107は、解析部108が実行した電磁界解析の解析結果を表示装置に表示させる制御を行う(ステップS14)。そして、解析部108は、所定時間経過する前に、ユーザから解析中止の入力を受付けたか否かを確認する(ステップS15)。解析中止の入力を受付けた場合(ステップS15:Yes)、解析部108は、電磁界解析を中止し、本処理を終了する。
【0091】
一方、解析中止の入力を受付けなかった場合(ステップS15:No)、解析部108は、指定部102が指定した段数の電磁界解析が終了したか否かを確認する(ステップS16)。指定段数の電磁界解析が終了していない場合(ステップS16:No)、生成部103は、1段目の入力パラメータ及び解析部108が実行した電磁界解析の解析結果に基づいて、次段の電磁界解析の入力パラメータを生成し、ステップS5の処理に移行する(ステップS17)。
【0092】
一方、指定段数の電磁界解析が終了した場合(ステップS16:Yes)、表示制御部107は、解析部108が実行した電磁界解析の最終的な解析結果を表示装置に表示させる制御を行い、本処理を終了する(ステップS18)。
【0093】
(情報処理装置の効果)
本実施の形態に係る情報処理装置10の効果について説明する。本実施の形態に係る情報処理装置10は、複数段にわたる電磁界解析を行う情報処理装置であって、解析対象を順次選択する選択部105と、解析対象に含まれる構造体間の相互結合に関するパラメータに基づいて、解析対象中の1又は複数の解析領域を決定する決定部106と、決定部106が決定した解析領域の電磁界解析を実行する解析部108と、を備える。
【0094】
決定部106は、解析対象に含まれる構造体間の相互結合に関するパラメータに応じて、解析領域の大きさを決定するため、解析領域間の相互結合の影響を考慮して、解析領域の大きさを決定することができる。このため、本実施の形態に係る情報処理装置10は、解析領域の大きさを部材の大きさと同じ大きさにした場合と比較して、精度の高い多段階の電磁界解析を実行することができる。
【0095】
また、パラメータには、構造体が発する信号の周波数、構造体の消費電力、構造体と他の構造体との距離、構造体の材質、構造体の共振周波数のうち少なくとも1つが含まれる。
【0096】
上記の部材が発する信号の周波数等の変化は、いずれも当該部材の周囲の電界や磁界に影響を及ぼす要素となり得る。したがって、これらは、解析対象に含まれる構造体間の相互結合の強さを示す要素と言うことができる。つまり、これらのうち、少なくとも1つを、解析領域の大きさを決定するための判定パラメータとすることにより、決定部106は、解析領域間の相互結合の影響を考慮して、解析領域の大きさを決定することができる。
【0097】
また、同様に、これらのうち、少なくとも1つを、解析領域の境界条件を決定するための判定パラメータとすることにより、決定部106は、精度の高い電磁界解析を実行するための境界条件を決定することができる。
【0098】
また、同様に、これらのうち、少なくとも1つを、解析領域のメッシュ条件を決定するための判定パラメータとすることにより、決定部106は、精度の高い電磁界解析を実行するためのメッシュ条件を決定することができる。
【0099】
また、情報処理装置10は、解析部108が実行した電磁界解析の解析結果を表示する表示制御部107を備える。これにより、情報処理装置10は、解析部108による電磁界解析の解析結果をユーザに伝えることができる。
【0100】
また、表示制御部107は、決定部106が決定した解析領域の大きさを表示装置に表示させる制御を行う。これにより、ユーザは、決定部106が決定した解析領域の大きさを視覚として捉えることができるため、自動的に決定された解析領域の大きさの妥当性を直感的に判断することができるようになると考えられる。
【0101】
また、表示制御部107は、解析領域の大きさと併せて、決定部106が決定した境界条件を表示装置に表示させる制御を行う。これにより、ユーザは、決定部106が決定した境界条件を視覚として捉えることができるため、自動的に決定された境界条件の妥当性を直感的に判断することができるようになると考えられる。
【0102】
また、表示制御部107は、解析領域の大きさと併せて、決定部106が決定したメッシュ条件を表示装置に表示させる制御を行う。これにより、ユーザは、決定部106が決定したメッシュ条件を視覚として捉えることができるため、自動的に決定されたメッシュ条件の妥当性を直感的に判断することができるようになると考えられる。
【0103】
なお、上述した実施の形態における、上記情報処理を実行するためのプログラムは、上記各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから情報処理プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。
【0104】
なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0105】
なお、上述した実施の形態は、情報処理装置10が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施の形態に係るいくつかの変形例を他の実施の形態として説明する。なお、以下では、上述した実施の形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0106】
(変形例1)
上述した実施の形態では、入力パラメータの一部に、部材が発する信号の周波数、部材の消費電力が含まれる形態について説明したが、部材が発する信号の周波数、部材の消費電力に代えて部材が発する信号の信号波形を入力パラメータに含めてもよい。この場合、信号波形から部材が発する信号の周波数、部材の消費電力が計算されることになる。
【0107】
(変形例2)
上述した実施の形態では、入力パラメータとして、部材が発する信号の周波数、部材の消費電力、部材と他の部材との距離、他の部材の材質、他の部材の共振周波数を用いる形態について説明したが、入力パラメータに含まれる情報はこれに限定されない。例えば、信号源のグランド条件を入力パラメータとして用いてもよい。
【0108】
この場合、決定部106は、信号源のグランドとして、どの程度のサイズが確保されているかに応じて、解析領域の大きさを決定する。より具体的には、決定部106は、信号源のグランドのサイズが小さくなると、輻射ノイズが増加し、周囲に及ぼす影響が大きくなるため、信号源のグランドのサイズが小さくなるほど解析領域の大きさが大きくなるように、解析領域の大きさを決定する。
【0109】
また、同様の理由で、決定部106は、信号源のグランドのサイズが小さくなるほど解析に用いるメッシュが細かくなるように、メッシュ条件を決定する。本変形例の情報処理装置10は、信号源のグランド条件に応じて解析領域を決定することにより、精度の高い電磁界解析を実行することができる。
【0110】
なお、上記には、実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態は、発明の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10 情報処理装置
11A CPU
11B ROM
11C RAM
11D I/F
11E バス
101 取得部
102 指定部
103 生成部
104 入力部
105 選択部
106 決定部
107 表示制御部
108 解析部