(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/463 20210101AFI20241023BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20241023BHJP
【FI】
H01M50/463 B
H01M50/417
H01M50/414
H01M50/489
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2020547049
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019021259
(87)【国際公開番号】W WO2019173661
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー,ケビン,ジェイ.
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-168557(JP,A)
【文献】特開平07-105929(JP,A)
【文献】特開2001-093500(JP,A)
【文献】特表2017-534150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0104199(US,A1)
【文献】実開平05-002369(JP,U)
【文献】特開2000-268797(JP,A)
【文献】米国特許第05894055(US,A)
【文献】特表2017-515284(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0004166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0186126(US,A1)
【文献】国際公開第2019/087681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池であって、前記鉛蓄電池は:
第一電極及び第二電極と;
セパレータであって、前記セパレータの少なくとも一部が前記第一電極及び第二電極間に配置されている、セパレータと、
を備え、
前記セパレータは多孔質ポリオレフィン及び/又はポリビニル及び/又はゴム膜バックウェブを備え、前記バックウェブはこれから延在するリブの第一アレイを有する第一面を備え、前記第一面は前記第一電極に面しており;並びに
前記リブの第一アレイは前記第一電極と接触している少なくとも20のリブを備え、前記少なくとも20のリブの各々は500μm以下の第一リブ上部幅を備え、
前記セパレータは導電性の核形成添加剤を更に含み、
前記バックウェブの厚みは50μm~1.0mmであり、前記セパレータの全体の厚みは250μm~1.0mmであり、
前記少なくとも20リブの各々は、最も近くの隣接するリブから2.5mm~6.0mm離れている、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記セパレータは、少なくとも120mmの幅を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記リブの第一アレイは、前記第一電極と接触している少なくとも50のリブを備える、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
前記第一リブ上部幅は、200μm以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
前記核形成添加剤は、炭素及び硫酸バリウム(BaSO
4)の少なくとも1つであり;
前記核形成添加剤は導電性であり、炭素、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン
、炭素繊維、カーボンフィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡カーボンフォーム、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、カーボン水性懸濁液、りん状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組合せから成る群から選択され;
前記核形成添加剤は導電性であり、少なくとも1,250m
2/g~1,750m
2/gの比表面積を有し;
前記核形成添加剤は導電性であり、少なくとも1,750m
2/gの比表面積を有し;
前記核形成添加剤は、前記セパレータ内に存在し;又は
前記核形成添加剤は、前記セパレータ面上に存在する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記リブの第一アレイの各々は、一連の非連続的ピークを備え;各非連続的ピークは前記第一電極の複数の支持部分を含む前記第一電極の非連続的支持領域、及び前記第一電極の無支持領域を成す前記第一電極と完全接触しており;前記第一電極の前記複数の支持部分の隣接する支持部分間の距離は3.0mm以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
前記第一電極は正極であり、前記第二電極は負極である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記第一電極は負極であり、前記第二電極は正極である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項9】
前記バックウェブは、これから延在するリブの第二アレイを備える、前記第二電極に面する第二面を備える、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項10】
前記リブの第一アレイは第一高さを有し、前記リブの第二アレイは第二高さを有し;前記第一高さは、前記第二高さの300%未満である、請求項9に記載の鉛蓄電池。
【請求項11】
前記バックウェブは、前記第一面及び前記第二面間の距離として定義されるバックウェブ厚さを有し;
前記リブの第一アレイは第一高さを有し、前記リブの第二アレイは第二高さを有し;
前記セパレータは、前記バックウェブ厚さ、前記第一高さ及び前記第二高さの合計に等しい全体的厚さを有し;並びに前記全体的厚さは、1.5mm未満である、請求項9に記載の鉛蓄電池。
【請求項12】
前記リブの第二アレイは、200μm以下である第二リブ上部幅を備える、請求項9に記載の鉛蓄電池。
【請求項13】
前記リブの第一アレイは、ソリッドリブ、分離した断続リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、多孔質膜の縦方向に延在する縦リブ、多孔質膜の幅方向に延在する横リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横断リブ、多孔質膜の幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない若しくは断続的ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せから成る群から選択され、
前記リブの第二アレイは、ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、多孔質膜の縦方向に延在する縦リブ、多孔質膜の幅方向に延在する横リブ、多孔質膜の幅方向に延在する横断リブ、多孔質膜の幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない若しくは断続的ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せから成る群から選択され;
前記鉛蓄電池は、平板バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ディープサイクルバッテリー、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、管状バッテリー、インバータバッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、エネルギー貯蔵システム用バッテリー、充電式バッテリー、及びe-バイク用バッテリーから成る群から選択される1つであり;
前記鉛蓄電池は、平板バッテリー、管状バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、吸収ガラスマットバッテリー、ディープサイクルバッテリー、NAM及び/又はPAM膨張する傾向があるバッテリー、並びに部分充電状態で動作するバッテリーの1つであり;又は
前記鉛蓄電池は、据置型バッテリー及び移動型バッテリーの1つである、請求項9に記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術
本願は、2018年3月9日に出願された米国特許仮出願第62/640,767号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
少なくとも選択された実施形態では、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、特に強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池並びにVRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーなどの様々な他の鉛蓄電池用の新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、レジリエント(resilient)セパレータ、バランス(balanced)セパレータ、EFBセパレータ、セパレータ膜、バッテリー、セル、システム、これを含む方法、これを使用する乗り物若しくはデバイス、これの製造方法、これの使用、及びこれらの組合せを対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー寿命を向上及びバッテリー電極酸欠乏の低減によるバッテリー故障を減少するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。
【0003】
少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたバッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組合せを対象とする。
【0004】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレータに加えて、かかるセパレータを様々な応用で使用してもよく、又は有用であり得る。かかる例示的応用としては:ディープサイクル及び/又は部分充電状態(「PSoC」)用途;フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、e-リキシャ、e-バイク、e-トライク、及び/又は同様のものなどの電動機用途;内燃エンジン自動車用に使用されるものなど、始動・照明・点火(「SLI」)バッテリーなどの自動車用途;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)自動車用途;ハイブリッド自動車用途;ハイブリッド-電気自動車用途;交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリー用;インバーター;並びに太陽及び風力集電システムなどの代替エネルギーシステム;いずれもの移動型バッテリー;いずれもの据置バッテリー;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0005】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレータ及び応用に加えて、かかるセパレータ及び応用を様々な性能を達成するのに使用してもよく、又は有用であり得る。かかる例示的性能としては:バッテリー寿命の増加、増強、又は改良;正極及び負極の両方への酸供給能の増大、増強、又は改良;酸欠乏の低減又は軽減;成層化の低減又は軽減;電荷受容性の増大、増強、又は改良;酸化の影響の低減又は軽減;水損失の低減又は軽減;湿潤性の増大、増強、又は改良;酸拡散の改良、増強、又は改良;デンドライト成長の低減又は軽減;電気抵抗低下;コールドクランキングアンペアの増加、向上、又は改良;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0006】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレー、応用、及び性能に加えて、かかるセパレータ、応用、及び性能を様々な方法、及び/又はシステムにおいて使用してもよく、又は有用であり得る。かかる方法及び/又はシステムとしては:バッテリー寿命の増加、増強、又は改良;正極及び負極の両方への酸供給能の増大、増強、又は改良;酸欠乏の低減又は軽減;成層化の低減又は軽減;電荷受容性の増大、増強、又は改良;酸化の影響の低減又は軽減;水損失の低減又は軽減;湿潤性の増大、増強、又は改良;酸拡散の改良、増強、又は改良;デンドライト成長の低減又は軽減;電気抵抗低下;コールドクランキングアンペアの増加、向上、又は改良;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0007】
少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、改良された新規なリブ設計、及び改良されたセパレータレジリエンスを備え得る改良されたバッテリーセパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式鉛蓄電池用の改良されたセパレータであって、該セパレータは性能向上添加剤若しくはコーティング、炭素添加剤、核形成添加剤、増加された耐酸化性、最適化された空隙率、増加された空隙容量、非晶質シリカ、高吸油シリカ、高シラノール基シリカ、21:100~35:100のSiに対するOHの比を有するシリカ、シシ・ケバブ構造又は組織、伸びきり鎖結晶(シシ構造形成)並びに折りたたみ鎖結晶(ケバブ構造形成)及び1nm~150nmのケバブ構造形成の平均反復周期を有するシシ・ケバブ構造形成を有する超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)など膜及びポリマーの40重量%以上の量で粒子状フィラーを含むポリオレフィン微多孔膜、減少されたシート厚さ、最適化されたねじれ、減少された厚さ、減少されたオイル含有率、増大された湿潤性、増大された酸拡散並びに/又は同様のもの、並びにこれらの組合せを含む、改良されたセパレータを対象とする。
【背景技術】
【0008】
例示的鉛蓄電池は、正端子及び負端子を有する。バッテリー内に、各電極間に差込まれているセパレータと共に交互に配置された正極及び負極がある。正極は正端子と電気的に導通しており、負極は負端子と接触している。正極は、正極活物質(「PAM」)で通常ドープされた二酸化鉛(PbO2)のグリッドを有する。負極は、負極活物質(「NAM」)で通常ドープされた鉛(Pb)のグリッドを有する。PAM及びNAMの両方は、電極の機能性の増大に寄与する。正極側及び負極側グリッドは、アンチモン、カルシウム、スズ、セレン、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組合せの少なくとも1つを含む合金として提供され得る。
【0009】
正極、負極、及びセパレータは、電解質水溶液内に実質的に浸されている。電解液は、例えば、硫酸(H2SO4)及び水(H2O)の溶液であり得る。電解液は、例えば、約1.215~1.300の範囲で、約1.28の比重を有し得る。
【0010】
二酸化鉛(PbO2)正(+)極における反応(「正極側半反応」)が電子を供与して正極となる。二酸化鉛(PbO2)正(+)極における放電中のこの正極側半反応は、硫酸鉛(PbSO4)及び水(H2O)を生成し、下式1に示す:
【0011】
【0012】
式中:
・PbO2は、固体二酸化鉛正(+)極であり;
・SO4
-2は水性であり;
・4H+は水性であり;
・2e-は、固体二酸化鉛(PbO2)正(+)極であり;
・PbSO4は、水性電解液内の固体沈殿物であり;及び
・H2Oは、液体である。
正極側半反応は、バッテリー充電時可逆的である。
【0013】
鉛(Pb)負(-)極における負極側半反応(「負極半反応」)は正イオンを供与し、負極となる。放電中の負極側半反応は、硫酸鉛(PbSO4)及び負イオン(e-)を生成し、下式2に示す:
【0014】
【0015】
式中:
・Pbは、固体鉛負(-)極であり;
・SO4
-2は水性であり;
・PbSO4は、水性電解液内の固体沈殿物であり;及び
・2e-は、鉛負(-)極であり;
負極側半反応は、バッテリー充電時可逆的である。
【0016】
同時に、これらの半反応は、下式3に示されているように、鉛蓄電池の全体的化学反応となる。
【0017】
【0018】
式中:
・Pbは、固体負(-)極であり;
・PbO2は、固体正(+)極であり;
・H2SO4は、水性電解液内の液体であり;
・PbSO4は、水性電解液内の固体沈殿物であり;及び
・H2Oは、水性電解液内の液体である。
【0019】
全体的化学反応は、バッテリー充電時可逆的である。上記反応のそれぞれについて、放電は左から右への移動を起こし、充電は右から左への移動を起こす。なお、上記反応の効率を増大するために、アンチモン(Sb)又は炭素(C)など、他の元素を電極板に又はペースト材料(PAM又はNAM)中に添加してよい。
【0020】
全体的反応から分かるように、酸(H2SO4)は、電気化学反応だけでなく、イオンが電極間を流動する媒体も提供する必要がある。したがって、電極がいつでも酸と接触していることが不可避であるが、さもなければ電極は酸欠乏となり、バッテリーは容量、性能、及び寿命に関して問題となろう。
【0021】
式2で分かるように、放電反応は、NAM中に存在し得る鉛(Pb)の一部及び酸(H2SO4)を、より大きな分子である硫酸鉛(PbSO4)へ転換する。硫酸鉛はより大きな分子であるほど、より大きな体積を占有し、以下に述べるように、鉛はNAM膨張の一因であると考えられる。硫酸鉛は放電中に生成されるので、部分充電状態(すなわち、少なくとも部分的に放電)で動作するバッテリーはNAM膨張の影響をより受けやすい。
【0022】
鉛蓄電池を放電する場合、負極中の鉛(Pb)は、より体積の大きい分子である硫酸鉛(PbSO4)に転換される。再充電時、グリッドに結合し、グリッドに対するコンダクタンスの電子経路を有する硫酸鉛粒子は還元されて、鉛となる。頻繁に放電されるバッテリーでは、鉛から硫酸鉛へのこの転換及び再びその逆は、数千回反復される。硫酸鉛粒子がグリッドとの接触を失う場合、還元されないが、電気化学的エネルギー貯蔵可能性に関して不活性となる。不活性又は転換されないままであるこれらの硫酸鉛結晶は、単純に潜伏状態を継続しないが、オストワルド熱成のために成長をし続け、それにより、小さな結晶は溶解し、より大きな結晶に再析出するだろう。したがって、硫酸鉛粒子が鉛に還元されて戻るように、電子コンダクタンスの経路と直接的に接触している硫酸鉛粒子を保持することは、本発明の目的である。
【0023】
強化型液式バッテリー(「EFB」)などの自動車用バッテリーでは、平板間隔は非常に狭く(例えば、約0.60mm~約1.00mm)、これらの硫酸鉛結晶の膨張した不活性粒子は成長して電極間の空隙を実質的に塞ぎ得る。この硫酸鉛結晶の成長は、酸が、グリッドとなお適切に接触している活性鉛粒子に到達するのを防止することができる。したがって、硫酸鉛結晶がグリッドとの接触を失う可能性若しくは機会を防止若しくは軽減するために、グリッドとの接触を保持するようにNAM及び/又はPAMの充分な支持を維持することによって、サイクルバッテリーの寿命を延ばすことは、本発明の別の目的である。
【0024】
AGMセパレータを使用するようなVRLAバッテリーは、活物質の一様な圧縮を有し、これは部分充電状態用途における長寿命をもたらす。活物質の唯一の支持距離は基本的に細孔の幅であり、約5μm~約25μmであり得る。細孔は蛇行状であり、胆樹に真っ直ぐなチャネルではないので、活物質は、繊維の次の層、セパレータの表面下の1層から2層による支持を見つけるだろう。このシナリオでは、AGMセパレータを備えるバッテリーは、浅い放電深度において非常に長時間サイクルすることができる。
【0025】
比較すると、液式鉛畜電池は、AGMバッテリーの約50%~約85%しかサイクル動作しない。したがって、本発明の1つの特定の目的は、AGMバッテリーと同様にサイクル動作し、グリッドと接触している活物質を保持し得る活物質に対して可能な限り多くの支持を提供するように、自動車用途などのPSoCで動作するバッテリーのための鉛蓄電池セパレータを改質することである。
【0026】
酸欠乏は、NAM膨張及び更にPAM膨張の存在下で起こることが証明されている。NAMが膨張するとき、セパレータの負極側面を圧迫し、正極の方に向かって正極側面を押す。深刻な場合、この膨張はセパレータの部分を強引に偏向させ、正極及び/又はPAMと接触する可能性がある。これは、次に、電解液又は酸をこの体積から押し出すか又はスクイーズし、セパレータ及び正極間の容積を通常占有するだろう。本明細書でより詳細に述べるように、本発明は、酸欠乏に対処する。
【0027】
酸欠乏は、水より高密度の酸がバッテリーケースの底部に沈降し、電解液中の水がケース上部に上昇する場合に起こる成層化の状態の間に起こる。本明細書でより詳細に述べるように、本発明は、成層化に対処する。
【0028】
ゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、フォークリフト、e-リキシャ、e-バイク、電動乗り物、ハイブリッド乗り物、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物、及び同様のもの、並びに太陽及び風力集電で使用されるものなどの静置用途で使用されるものなど、ディープサイクルバッテリーは、部分充電状態でほとんど常に動作する。ISSバッテリーを可能性のある例外として、かかるバッテリーを、充電する前に放電しながら8~12時間以上使用する。更に、これらのバッテリーの使用者は、これらのバッテリーをサービスに戻す前にバッテリーを過充電できない。ISSバッテリーは、放電サイクル及び短い断続的充電サイクルを経験し、概して、満充電に達する、又は過充電になるのは希である。それらを連続的に使用及び放電するために、これらのバッテリーが使用中にその満充電に達することを可能とすることは必須である。電極が酸欠乏する場合、これは可能でない。
【0029】
場合によっては、ゲル化された電解液及び/又は吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーセパレータシステムのいずれかによって酸を固定化するバルブレギュレイティッドリードアシッド(「VRLA」)技術を使用して、酸欠乏を少なくとも部分的に回避することができる。液式鉛畜電池内の自由流動性電解液と対照的に、VRLA及び/又はAGMバッテリーでは、電解液は、繊維マット、ポリマー繊維マット、ゲル化電解液などの繊維又は繊維材料に吸収される。しかしながら、VRLAバッテリー及び/又はAGMバッテリーシステムは、液式バッテリーシステムより実質的により製造コストが高い。場合によっては、VRLAバッテリー及び/又はAGM技術は過充電により敏感であり得、高熱において乾ききり、容量が徐々に低下し得、より低い比エネルギーを有し得る。同様に、場合によっては、ゲルVRLA技術はより高内部抵抗を有し得、電荷受容性を低下し得る。
【0030】
電動乗り物、ハイブリッド電動乗り物、ISS乗り物並びに再生及び代替エネルギー集積を、CO2及び他の汚染物質の排出に対抗するために使用することが多くなってきていることを考えれば、強化型液式鉛蓄電池は益々普及することが期待される。したがって、酸欠乏に対抗するバッテリー及びセパレータは非常に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
少なくともある特定の用途又はバッテリーに関して、改良されたサイクル寿命、低減された故障、部分充電状態における改良された性能、及び/又は低減された酸欠乏を提供する改良されたセパレータは依然として必要とされている。さらに詳細には、例えば、バッテリー寿命向上、バッテリー故障低減、酸化安定性改良、フロート電流の改良、維持、及び/又は低下、充電終止(「EOC」)電流の改良、ディープサイクルバッテリーの充電及び/又は完全充電に必要な電流及び/又は電圧の減少、内部電気抵抗増加の最小化、電気抵抗低下、アンチモン中毒の低減、成層化低減、酸欠乏低減、酸拡散向上、及び/又は鉛蓄電池における均一性の改良を提供する、改良されたセパレータを利用する部分充電状態で動作するものなどの改良されたセパレータ、及び改良されたバッテリーが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0032】
1つ以上の実施形態の詳細を以下明細書に記載する。他の特徴、目的、及び利点は本明細書、図面及びクレームから明らかになろう。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、上記課題、問題又は必要性に対処することができる。少なくとも特定の実施形態、態様、又は目的によれば、本開示又は本発明は、改良されたセパレータ及び/又は前述の問題を克服する前記セパレータを利用するバッテリーを提供してよい。例えば、バッテリー寿命の増加、増強、又は改良;正極及び負極の両方への酸供給能の増大、増強、又は改良;酸欠乏の低減又は軽減;成層化の低減又は軽減;電荷受容性の増大、増強、又は改良;酸化の影響の低減又は軽減;水損失の低減又は軽減;湿潤性の増大、増強、又は改良;酸拡散の改良、増強、又は改良;デンドライト成長の低減又は軽減;電気抵抗低下;コールドクランキングアンペアの増加、向上、又は改良する;及び/又は同様のこと;並びにこれらの組合せをするバッテリーを提供することによる。
【0033】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、上記課題若しくはニーズを対象としてよく及び/又は新規若しくは改良されたセパレータ及び/若しくは強化型液式バッテリーを提供してよい。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、セル及び/若しくはバッテリーの製造方法及び/若しくは使用を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたバッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、若しくは強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、自動車用途、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)バッテリー、交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリーのためのセパレータ、並びに/又はかかる改良されたセパレータ、セル、バッテリー、システム、及び/若しくは同様のものの改良された製造方法及び/若しくは使用方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式バッテリー、VRLAバッテリー、ゲルバッテリー、AGMバッテリー用の改良されたセパレータ及び/又はかかる改良されたセパレータを備えるかかるバッテリーの改良された使用方法を対象とする。加えて、バッテリー性能及び寿命の強化、成層化の減少、内部電気抵抗の低減、コールドクランキングアンペアの増大、及び/又は少なくとも強化型液式バッテリー内の均一性の改良のための方法、システム及びバッテリーセパレータを本明細書に開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式バッテリー、VRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び/又はAGMセパレータ用の改良されたセパレータであって、セパレータは、低下された電気抵抗、性能向上添加剤若しくはコーティング、改良されたフィラー、増加された空隙率、最適化されたねじれ、減少された厚さ、減少されたオイル含有率、増大された湿潤性、増大された酸拡散、及び/又は同様のものを含む、セパレータを対象とする。
【0034】
少なくとも選択された実施形態では、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、特に強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池並びにVRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーなどの様々な他の鉛蓄電池用の新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、EFBセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、これを含むバッテリー、セル、システム、方法、これを使用する乗り物、これの製造方法、これの使用、及びこれらの組合せを対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー寿命を向上及びバッテリー電極酸欠乏の低減によるバッテリー故障を減少するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。
【0035】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、セル、バッテリー、システムの製造方法及び/若しくは使用並びに/又はこれを使用する方法及び/若しくは乗り物を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたバッテリーセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、又はAGMバッテリーセパレータ、例えば、ディープサイクル及び/若しくは部分充電状態(「PSoC」)用途に有用なものなどを対象とする。かかる応用としては:フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、e-リキシャ、e-バイク、e-トライク、及び/若しくは同様のものなどの電動機用途;内燃エンジン乗り物用に使用されるものなど、始動・照明・点火(「SLI」)バッテリーなどの自動車用途;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物バッテリー用途;ハイブリッド乗り物用途;ハイブリッド-電動乗り物用途;交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリー用途;インバーター;並びに太陽及び風力集電システムなどの再生可能及び/若しくは代替エネルギーシステムにおいて見られるものなどエネルギー貯蔵システムを挙げることができる。
【0036】
特定の選択された実施形態の少なくとも第一態様によれば、鉛蓄電池セパレータは、ポリマー及びシラーを含む多孔質膜を備える。多孔質膜は、第一面から延在する少なくとも第一複数のリブを備える少なくとも第一面を備える。第一複数のリブは、第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を備え、第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の各々は、セパレータに対してレジリエンスを提供するように互いに近接している。かかるレジリエンスは、NAM膨張、更にはPAM膨張を原因とする圧下の偏向に耐えるセパレータの能力を表し得る。かかる近接は、1つの歯、ピーク、又は突起物から別のものまで少なくとも約1.5mmであり得る。セパレータは、ベース部分から延在する第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を有する連続的ベース突起物を更に備えてよい。
【0037】
特定の実施形態では、セパレータは、ベース部分から延在する第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を有する連続的ベース突起物を備えてよい。ベース部分は、歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の幅より広くあってよい。加えて、ベース部分は、歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の各々の間に連続的に延在してよい。
【0038】
特定の選択された実施形態では、鉛蓄電池セパレータは、第一面、第二面を備えるバックウェブを備え、第一面及び第二面間の距離として定義されるバックウェブ厚さを有する多孔質膜を備える。第一面から延在するリブの第一アレイを提供してよく、第二面から延在するリブの第二アレイを提供してよい。リブの第一アレイは第一高さを有し、リブの第二アレイは第二高さを有し、これにより、第一高さは第二高さの約300%以下、第二高さの約200%以下、及び/又は第二高さの約100%以下、及び同様な比である。更に、特定の太陽では、全セパレータ厚さは、約1.5mm以下である。
【0039】
本発明の特定の態様では、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、及び/又は同様の大きさのトップリブ幅を備える鉛蓄電池セパレータは、リブの第一アレイ、リブの第二アレイ、又はリブの第一アレイ及びリブの第二アレイの両方のいずれかを備えてよい。
【0040】
本発明の特定の選択された態様では、リブの第一アレイのいずれか又は両方は、ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横(lateral)リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横断(transverse)リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない(solid)若しくは断続的(broken)ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0041】
本発明の少なくとも選択された実施形態によれば、鉛蓄電池は、第一電極及び第二電極を備える。セパレータの少なくとも部分を、第一電極及び第二電極間に配置する。セパレータは、多孔質膜バックウェブを備え、バックウェブは、これから延在するリブの第一アレイを有する第一面を備え、第一面は第一電極に面している。セパレータは、第一電極と接触している少なくとも20のリブを備えてよく、これにより、20のリブの各々は、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、及び/又は同様の大きさの第一リブ上部幅を備える。特定の態様では、リブの第一アレイは、約120mm、約160mmなどのセパレータ幅に、少なくとも約20のリブ、少なくとも約30のリブ、少なくとも約40のリブ、及び/又はそれ以上のリブ、及び/又は同様の量を備えてよい。第一電極は、正極又は負極であり得る。
【0042】
選択された可能性のある好ましい実施形態、目的又は態様では、リブの第一アレイは、第一電極と完全接触している各非連続的ピークを含む一連の非連続的ピークを備え、したがって、第一電極の複数の支持部分、及び第一電極の無支持部分を包含する第一電極の非連続的支持領域を作ってよ;第一電極の複数の支持部分の隣接する支持部分間の距離は約6.0mm以下、約5.0mm以下、約4.0mm以下、約3.0mm以下、約2.0mm以下、及び/又は約1.0mm以下、及び/又は同様の大きさである。
【0043】
選択された可能性のある好ましい実施形態、目的又は態様では、鉛蓄電池は、第二電極に面し、これから延在するリブの第二アレイを備える第二面を備える。リブの第一アレイは、リブの第二アレイの高さの約300%、又は200%、又は100%、及び/又はそれ未満である高さを有する。それによって、リブの第一アレイは正極側リブであり、リブの第二アレイは負極側リブである。加えて、全体的セパレータ厚さは、約1.5mm以下であってよい。
【0044】
特定のおそらく好ましい実施形態、目的又は態様では、リブの第二アレイは、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下である第二リブ上部幅を備える。
【0045】
特定の選択された例示的おそらく好ましい実施形態、目的又は態様では、本発明のセパレータは、核形成添加剤を備えてよい。核形成添加剤は導電性であってよく、カーボン又は硫酸バリウム(BaSO4)のいずれかの1つであってよい。例示的カーボン添加剤は、炭素、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック(keitjen black)、炭素繊維、カーボンフィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡カーボンフォーム、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、カーボン水性懸濁液、りん状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組合せであってよい。導電要素又は核形成添加剤は、少なくとも約1,250m2/g~約1,750m2/g以上の比表面積を有してよい。核形成添加剤又は導電要素は、セパレータ内の添加剤、又はセパレータ面上の添加剤であってよい。導電要素又は核形成添加剤は、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出、前記表面を炭化する制御燃焼、プラズマ照射による前記表面を炭化する制御燃焼、UV照射による前記表面を炭化する制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィー印刷、平版印刷、スラリーコーティング、カーボン水性懸濁液の噴霧、含浸、及びこれらの組合せから成る群から選択される方法によって、セパレータ、スクリム、及び/又はマットの面に適用してよい。
【0046】
選択された実施形態では、鉛蓄電池は、ソリッドリブ、分離した断続リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横断リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない若しくは断続的ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せであってよい正極側リブ及び/又は負極側リブを備えるセパレータを備えてよい。
【0047】
選択された実施形態では、鉛蓄電池は提供され、平板バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ディープサイクルバッテリー、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、管状バッテリー、インバータバッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、エネルギー貯蔵システム用バッテリー、充電式バッテリー、及びe-バイク用バッテリーの1つであってよい。
【0048】
本発明の特定の選択された実施形態では、乗り物用バッテリーは、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、及びe-バイク用バッテリーの1つとして提供される。
【0049】
本発明の特定の選択された実施形態では、乗り物は、自動車、トラック、自動二輪車、オール・テライン・ビークル、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)、電動乗り物、軽量電動乗り物、e-リキシャ、e-スクーター、e-トライク、及びe-バイクの1つとして提供される。
【0050】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、セパレータは、以下:ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、非連続的ピーク、非連続的突起、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横断リブ、分離したリブ、歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁若しくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組合せの1つ以上であるリブを備えてよい。
【0051】
第一複数のリブの少なくとも部分を、セパレータの端部に対して平行でも直交でもない角度によって画定してよい。更に、角度は多孔質膜の縦方向に対する角度と定義してよく、角度は以下の1つであってよい:ゼロ度(0°)より大きく180度(180°)未満、及び180度(180°)より大きく360度(360°)未満である。開示された実施形態の特定の態様では、角度は、複数のリブ全体を通して異なってよい。
【0052】
本発明の特定の選択された態様では、第一複数のリブは、約1.5mm~約10mmの幅方向間隔ピッチを有してよく、複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物は、約1.5mm~約10mmの縦方向間隔ピッチを有してよい。
【0053】
特定の選択された態様では、セパレータは、多孔質膜の第二面から延在する第二複数のリブを備えてよい。第二複数のリブは、以下:ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、非連続的ピーク、非連続的突起、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横断リブ、分離したリブ、歯、歯状リブ、狭間胸壁若しくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組合せの1つ以上であってよい。
【0054】
第二複数のリブの少なくとも部分を、セパレータの端部に対して平行でも直交でもない角度によって画定してよい。更に、角度は多孔質膜の縦方向に対する角度と定義してよく、角度は以下の1つであってよい:ゼロ度(0°)より大きく180度(180°)未満、及び180度(180°)より大きく360度(360°)未満である。開示された実施形態の特定の態様では、角度は、複数のリブ全体を通して異なってよい。
【0055】
第二複数のリブは、約1.5mm~約10mmの幅方向又は縦方向間隔ピッチを有する。
【0056】
第一面は、鉛蓄電池セパレータの端部と隣接して配置された第一複数のリブと異なる高さである1つ以上のリブを備えてよい。同様に、第二面は、鉛蓄電池セパレータの端部と隣接して配置された第二複数のリブと異なる高さである1つ以上のリブを備えてよい。
【0057】
選択された実施形態では、ポリマーは以下のもの:ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ゴム、合成木材パルプ(「SWP」)、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース繊維、及びこれらの組合せの1つであってよい。
【0058】
繊維マットを提供してよい。マットは、次のもの:ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組合せの1つ以上であってよく、不織布、織布、メッシュ、フリース、ネット、及びこれらの組合せであってよい。
【0059】
加えて、セパレータは、カットピース、リーフ、ポケット、スリーブ、ラップ、エンベロープ、及びハイブリッドエンベロープであってよい。
【0060】
少なくとも特定の選択された例示的実施形態によれば、セパレータは、セパレータの偏向を軽減する弾力的手段を備えてよい。
【0061】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、鉛蓄電池は、正極活物質又はPAMを含む正極及び負極活物質又はNAMを含む負極を備える。バッテリーは、NAM及び/又はPAM膨張する傾向になり得る。セパレータは、正極及び負極間に配置されるセパレータの少なくとも部分を備える。正極の少なくとも部分、負極の少なくとも部分、及びセパレータの少なくとも部分を実質的に浸す電解液を提供する。少なくとも特定の選択された実施形態では、セパレータは、少なくともポリマー及びフィラーから成る多孔質膜を備えてよい。第一複数のリブは、多孔質膜の面から延在してよい。リブを、NAM及び/又はPAM膨張の存在下酸欠乏を防止するように配置してよい。鉛蓄電池は、次の条件:移動、静置して、バックアップ電力印加中、サイクル用途で、部分充電状態又はPSoCで、及びこれらのいずれかの組合せのいずれか1つ以上で動作してよい。
【0062】
リブは、複数の歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物を備えてよい。各歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物は、複数の非連続的ピークの別のものから少なくとも約1.5mmであってよい。連続的ベース部分は、これから延在する複数の歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物を備えてよい。
【0063】
第一複数のリブを、特にバッテリーの動作中、バッテリー内における酸混合を促進するように更に提供してよい。セパレータを、バッテリーの開始及び停止動作と平行に配置してよい。セパレータは、正極、負極、又はセパレータと隣接するマットを備えてよい。マットは、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらのいずれかの組合せから少なくとも部分的に成り得る。マットは、不織布、織布、メッシュ、フリース、ネット、及びこれらの組合せであってよい。
【0064】
本発明の少なくとも特定の選択された実施形態では、鉛蓄電池は、平板バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ディープサイクルバッテリー、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、管状バッテリー、インバータバッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、若しくはe-バイク用バッテリー、又はこれらのいずれかの組合せであってよい。
【0065】
特定の実施形態では、バッテリーは、約1%~約99%の放電深度で動作し得る。
【0066】
少なくとも1つの実施形態によれば、最適化されたねじれを有する微多孔質セパレータを提供する。ねじれは、細孔がその長さを占有する湾曲/曲線の程度を表す。したがって、最適なねじれを有する微多孔質セパレータは、イオンがセパレータを通過して移動し、それにより電気的短絡に至らず電気抵抗を低下するより短い経路を提供するだろう。かかる実施形態による微多孔質セパレータは、減少された厚さ、増大された細孔径、より多くの通気細孔、及び/又はより多くの開放細孔を有することができる。
【0067】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、増大された空隙率を有する微多孔質セパレータ、又はその空隙率が公知のセパレータとあまり異ならない異なる細孔構造、及び/若しくは減少された厚さを有するセパレータを提供する。イオンは、最適化された空隙率、増加された空隙容量、最適化されたねじれ、及び/又は減少された厚さを有する微多孔質セパレータを通過してより迅速に移動し、それにより、電気抵抗を低下させるだろう。かかる減少された厚さは、バッテリーセパレータの全体的重量低減をもたらし、次に、セパレータを使用する強化型液式バッテリーの重量を減少し、次に、強化型液式バッテリーを使用する乗り物全体の重量を減少させ得る。あるいは、かかる減少された厚さは、セパレータを使用する強化型液式バッテリーにおける正極活物質(「PAM」)又は負極活物質(「NAM」)のための増加された空間をもたらし得る。
【0068】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、増大された湿潤性(水又はオイル中)を有する微多孔質セパレータを提供する。増大された湿潤性を有するセパレータは、電解液イオン性化学種により接近しやすく、したがって、セパレータを横切った移動を促進し、電気抵抗を低下させるだろう。
【0069】
少なくとも1つの実施形態によれば、最終オイル含有率の小さい微多孔質セパレータを提供する。かかる微多孔質セパレータは、強化型液式バッテリー又はシステムにおいてER(電気抵抗)低下も促進するだろう。
【0070】
セパレータは、脆砕性増大する改良されたフィラーを含有し得、空隙率、細孔径、内部最高表面積、湿潤性、及び/又はセパレータの表面積を増大し得る。いくつかの実施形態では、改良されたフィラーは、高次構造組織及び/又は低減された粒径及び/又は既知のフィラーと異なるシラノール基量及び/又は既知のフィラーより多いヒドロキシル化を有する。改良されたフィラーは、より吸油し得及び/又は押出後に油を除去する場合に同時に収縮又は圧縮することなく、セパレータ形成中より大量のプロセスオイルの取込みを可能とし得る。フィラーは、膜を横切ってこれらの輸送促進し、これにより、強化型液式バッテリー又はシステムなどのバッテリーの電気抵抗又はER全体を再度低下させる、電解液イオンのいわゆる水和層をさらに低減させ得る。
【0071】
フィラー(単数)又はフィラー(複数)は、イオン拡散を増大し、セパレータを横切る電解液及びイオンの流動を促進する様々な化学種(金属などの極性化学種など)を含んでもよい。かかるセパレータは、強化型液式バッテリーなどの液式バッテリーにおいて使用されるので、電気抵抗全体を低下させる。
【0072】
多孔質セパレータは、かかるセパレータをかかる液式鉛畜電池に使用する場合に、セパレータが液式鉛畜電池における電気抵抗を著しく低下させるのに寄与するように、新規で改良された細孔組織及び/又は新規で改良された原繊維組織を更に有する。かかる改良された細孔組織及び/又は原繊維組織は、細孔及び/又は原繊維がシシ・ケバブ(又はシシ・ケボブ)構造組織に近似するセパレータをもたらし得る。新規で改良された細孔形状及び構造を記載する別の方法は、シリカ結合点又はシリカの結合点がバッテリーセパレータ内のポリマー原繊維(原繊維はシシと呼ばれることがある)上のケバブ構造形成で存在するテクスチャー原繊維組織である。加えて、特定の実施形態では、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊髄構造と説明してよいが、ポリマーの原繊維に沿ったポリマーのケバブ構造上のシリカ結合点は椎骨又はディスク(「ケバブ」)のように見え、脊柱様形状(「シシ」)に近似する細長い中央脊椎又は原繊維(伸びきり鎖ポリマー結晶)と実質的に垂直に配向することもたまにある。
【0073】
場合によっては、改良された細孔組織及び/又は原繊維組織を有する改良されたセパレータを備える改良されたバッテリーは、20%低い、いくつかの実施形態では、25%低い、いくつかの実施形態では、30%低い電気抵抗を示し得、場合によっては、電気抵抗(「ER」)において30%を超えさえし、かかるセパレータは鉛蓄電池セパレータの他の主要な所望の機械特性のバランスを保持し維持する。さらに、特定の実施形態では、本明細書に記載されているセパレータは、公知のセパレータと比較して、より電解液が細孔及び/若しくは空隙を通過して流動するか又は満たすように、新規及び/若しくは改良された細孔形状を有する。
【0074】
加えて、本開示は、強化型液式バッテリー用の1つ以上の改良されたバッテリーセパレータであって、成層化減少、電圧降下の低下(又は電圧降下耐性の増大)、及びCCA増加、場合によっては8%超、又は9%超、場合によっては10%超、又は15%超のCCA増加の望ましい特徴をバッテリーに対して組み合わせるセパレータ、を備える改良された強化型液式鉛蓄電池を提供する。かかる改良されたセパレータは、その性能は、AGMバッテリーの性能と一致するか、又は越えさえする強化型液式バッテリーをもたらし得る。かかる低電気抵抗セパレータを、水損失を低減した強化型液式鉛蓄電池を得られるように処理してもよい。
【0075】
セパレータは、他の添加剤又は薬剤、残存オイル、及びフィラーと共に、界面活性剤などの1つ以上の性能向上添加剤を含んでよい。かかる性能向上添加剤は、セパレータ酸化を低減し、及び/又は本明細書に記載されている強化型液式バッテリー用の全体的電気抵抗低下の一因となる膜を横切るイオンの移動をなお更に促進することができる。
【0076】
本明細書に記載されている鉛蓄電池用セパレータは:ポリオレフィン微多孔膜が:超高分子量ポリエチレンといったポリエチレンなどのポリオレフィンポリマー、粒子状フィラー、及び加工用可塑剤(必要に応じて、1つ以上の追加の添加剤又は薬剤)を含む、ポリオレフィン微多孔膜を備えてよい。ポリオレフィン微多孔膜は、膜の40重量%以上の量で粒子状フィラーを含んでよい。そして、超高分子量ポリエチレンは、複数の伸びきり鎖結晶(シシ構造形成)及び複数の折りたたみ鎖結晶(ケバブ構造形成)を含むシシ・ケバブ構造形成におけるポリマーを含んでよく、ケバブ構造形成の平均反復又は周期は、1nm~150nm、好ましくは10nm~120nm、より好ましくは20nm~100nmである(少なくとも、セパレータのリブ側の部分)。
ケバブ構造形成の平均反復又は周期性は、以下の定義に従って算出される:
・ポリオレフィン微多孔膜の面を、金属蒸着に付した後、走査電子顕微鏡(「SEM」)を使用して観察し、次いで、面の画像を、1.0kV加速電圧において、例えば、30,000倍又は50,000倍に拡大して撮影する。
・SEM画像の同じ視野領域において、シシ・ケバブ構造形成が少なくとも0.5μm以上の長さにおいて連続的に延在する少なくとも3つの領域を指定する。それから、各指定領域のケバブ構造周期を算出する。
・ケバブ構造周期を、各指定領域におけるシシ・ケバブ構造形成のシシ構造形成を垂直方向に突出することにより得られる濃度プロファイル(コントラストプロファイル)のフーリエ変換によって特徴付け、反復期間の平均を算出する。
・一般的分析ツール、例えば、MATLAB(登録商標)(R2013a)を使用して、画像を解析する。
・フーリエ変換後に得られたスペクトルプロファイルの中で、短波長領域において検出されたスペクトルはノイズと見做す。かかるノイズは、コントラストプロファイルの歪みに主に起因する。本発明によるセパレータに対して得られたコントラストプロファイルは、矩形状波(正弦波でなく)を生成するように思われる。更に、コントラストプロファイルが矩形状波である場合、フーリエ変換後のプロファイルは、正弦関数となり、したがって、真のケバブ構造周期性を示す主ピーク以外の短波長領域における複数のピークを生成する。短波長領域におけるかかるピークを、ノイズとして検出することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている鉛蓄電池用セパレータは、シリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及び沈降非晶質シリカからなる群から選択されたフィラーを有し;29Si-NMRにより測定される前記フィラー内のSi基に対するOH基のモル比は、21:100~35:100の範囲内であり、いくつかの実施形態では、23:100~31:100、いくつかの実施形態では、25:100~29:100、特定の好ましい実施形態では27:100以上の範囲内である。
【0078】
Si-Oの比較的硬い共有結合ネットワークは部分的に消失するので、シラノール基は、シリカ構造を結晶構造からアモルファス構造へ変化させる。Si(-O-Si)2(-OH)2及びSi(-O-Si)3(-OH)などのアモルファス様シリカは、多くの歪みを有し、これは、様々なオイル吸収点として機能し得る。したがって、オイル吸収性は、シラノール基(Si-OH)の量がシリカに対して増加する場合に高くなる。加えて、本明細書に記載されているセパレータは親水性増大を示し得、並びに/又はより高い空隙容量を有し得、並びに/又は公知の鉛蓄電池セパレータで使用されるシリカより高い量のシラノール基及び/若しくは水酸基を含むシリカを含む場合に大きな空隙により囲まれた特定のアグリゲートを含み得る。
【0079】
多孔質セパレータは、かかるセパレータをかかる液式鉛畜電池に使用する場合に、セパレータが液式鉛畜電池における電気抵抗を著しく低下させるのに寄与するように、新規で改良された細孔組織及び/又は新規で改良された原繊維組織を更に有する。かかる改良された細孔組織及び/又は原繊維組織は、細孔及び/又は原繊維がシシ・ケバブ(又はシシ・ケボブ)構造組織に近似するセパレータをもたらし得る。新規で改良された細孔形状及び構造を記載する別の方法は、シリカ結合点又はシリカの結合点がバッテリーセパレータ内のポリマー原繊維(原繊維はシシと呼ばれることがある)上のケバブ構造形成で存在するテクスチャー原繊維組織である。加えて、特定の実施形態では、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊髄構造と説明してよいが、ポリマーの原繊維に沿ったポリマーのケバブ構造上のシリカ結合点は椎骨又はディスク(「ケバブ」)のように見え、脊柱様形状(「シシ」)に近似する細長い中央脊椎又は原繊維(伸びきり鎖ポリマー結晶)と実質的に垂直に配向することもたまにある。
【0080】
特定の選択された実施形態では、乗り物は、本明細書に概して記載されている鉛蓄電池を備えてよい。バッテリーは、本明細書に記載されているセパレータを更に備えてよい。乗り物は、自動車、トラック、自動二輪車、オール・テライン・ビークル、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド電動乗り物バッテリー、電動乗り物、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物、e-リキシャ、e-バイクバッテリー、及びこれらの組合せであってよい。
【0081】
特定の好ましい実施形態では、本開示又は本発明は、そのコンポーネント及び物理的属性及び特徴が、意外な方法で、ディープサイクルバッテリー中の以前に満たされていないニーズに取り組むために、多くのディープサイクルバッテリー用途において現在使用されている以前に公知の柔軟性の性能を満足する、特定の実施形態では、越える改良されたバッテリーセパレータ(ポリエチレンなどのポリマー、+特定量の性能向上添加剤の多孔質膜を備えるセパレータ並びにリブ)と相乗的に組み合わせるフレキシブルバッテリーセパレータを提供する。特に、本明細書に記載されている本発明のセパレータは、ディープサイクルバッテリーで従来使用されているセパレータよりロバストであり、脆弱でなく、脆くなく、経時安(分解しにくい)である。本発明の性能向上添加剤含有及びリブ加工セパレータは、ポリエチレン系セパレータの所望のロバストな物理的及び機械的特性と、これを使用するバッテリーシステムの性能も向上させながら、従来のセパレータの能力とを組み合わせる。
【0082】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、上記問題点又は必要性に対処することができる。少なくとも特定の目的によれば、本開示又は本発明は、例えば、酸欠乏を減らし、成層化を減らし、デンドライト成長を減らし、内部電気抵抗を低下し、コールドクランキングアンペアを増加する強化型液式バッテリーを提供することによって、前述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又はバッテリーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】交互配置された正極及び負極、並びにその間に交互配置されたセパレータのアレイを備える典型的な鉛蓄電池を例証する。
【
図2】左図に、縦方向において長軸方向に配置されたリブ、及び右図に、幅方向において幅方向に配置されたリブを備えた例示的セパレータの2つの面を図示する。
【
図3A】
図3Aは、本発明の特定の例示的セパレータを物理的に画定する多くの変数及び寸法を示す例示的バッテリーセパレータを例証する。
図3Aは、例示的リブの詳細図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の特定の例示的セパレータを物理的に画定する多くの変数及び寸法を示す例示的バッテリーセパレータを例証する。
図3Bは、セパレータの縦方向に沿って見たときの例示的セパレータの上面図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の特定の例示的セパレータを物理的に画定する多くの変数及び寸法を示す例示的バッテリーセパレータを例証する。
図3Cは、セパレータの幅方向に沿って見たときの例示的セパレータの側面図である。
【
図4A】
図4Aは、典型的鉛蓄電池で見られ得るとき、正極及び負極間に位置する例示的バッテリーセパレータを図示する。
図4Aは、典型的バッテリーセパレータの場合の充電状態を例証する。
【
図4B】
図4Bは、典型的鉛蓄電池で見られ得るとき、正極及び負極間に位置する例示的バッテリーセパレータを図示する。
図4Bは、典型的バッテリーセパレータの場合の放電状態を例証する。
【
図4C】
図4Cは、典型的鉛蓄電池で見られ得るとき、正極及び負極間に位置する例示的バッテリーセパレータを図示する。
図4Cは、本発明のバッテリーセパレータの選択された実施形態の場合の放電状態を例証する。
【
図4D】
図4Dは、典型的鉛蓄電池で見られ得るとき、正極及び負極間に位置する例示的バッテリーセパレータを図示する。
図4Dは、本発明のバッテリーセパレータの選択された実施形態の場合の放電状態を例証する。
【
図5A】
図5Aは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5B】
図5Bは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5C】
図5Cは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5D】
図5Dは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5E】
図5Eは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5F】
図5Fは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5G】
図5Gは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図5H】
図5Hは、本発明の選択された例示的実施形態を例証する。
【
図6A】
図6Aは、本発明のセパレータの例示的実施形態についてのリブプロファイルの例示的実施形態を示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明のセパレータの例示的実施形態についてのリブプロファイルの例示的実施形態を示す。
【
図6C】
図6Cは、本発明のセパレータの例示的実施形態についてのリブプロファイルの例示的実施形態を示す。
【
図6D】
図6Dは、本発明のセパレータの例示的実施形態についてのリブプロファイルの例示的実施形態を示す。
【
図6E】
図6Eは、本発明のセパレータの例示的実施形態についてのリブプロファイルの例示的実施形態を示す。
【
図7A】
図7Aは、本発明の例示的セパレータ実施形態に関する支持/接触領域及び無支持領域を有する電極面の概略図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の例示的セパレータ実施形態に関する支持/接触領域及び無支持領域を有する電極面の概略図である。
【
図8】NAM膨張を模倣してセパレータのレジリエンスを評価するための試験セットアップを例証する。
【
図9】NAM膨張を模倣してセパレータのレジリエンスを評価するための試験セットアップを例証する。
【
図10】セパレータのレジリエンスのための写真評価である。
【
図11】セパレータ酸混合のための写真評価である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
少なくとも選択された実施形態、目的、又は態様によれば、本開示又は本発明は、上記課題、問題又は必要性に対処することができる。少なくとも特定の目的、態様、又は実施形態によれば、本開示又は本発明は、例えば、酸欠乏を減少し及び/又は酸欠乏の影響を軽減するセパレータを備えたバッテリーを提供することによって、前述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又はバッテリーを提供し得る。
【0085】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、セル、バッテリー、システム、並びに/又はかかる新規セパレータ、セル、及び/若しくはバッテリーの製造方法及び/若しくは使用を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良された平板バッテリー、管状バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、ディープサイクルバッテリー、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、インバータバッテリー、太陽・風力電力、若しくは他の再生可能エネルギー若しくは一般的なエネルギー貯蔵バッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、e-バイク用バッテリー用の新規若しくは改良されたセパレータ、及び/又はかかる改良されたセパレータ、セル、バッテリー、システム、及び/若しくは同様のものの製造方法及び/又は使用方法を対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー性能及び寿命を増加、増強、若しくは改良、正極及び負極における酸利用能を増加、増強、若しくは改良、バッテリー故障を低減若しくは軽減、成層化を低減若しくは軽減、デンドライト形成を低減若しくは軽減、酸化安定性を増大、向上、若しくは改良、フロート電流を改良、維持、及び/若しくは低下、充電終止電流を改良、ディープサイクルバッテリーの充電及び/若しくは完全充電に要する電流及び/若しくは電圧を低下、内部電気抵抗を低下、アンチモン中毒を低減、湿潤性を増大、酸拡散を向上、鉛蓄電池内の均一性を向上、並びに/又はサイクル性能を改良するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、改良されたセパレータであって、該新規セパレータは新規及び/若しくは改良されたリブ設計、性能向上添加剤若しくはコーティング、改良されたフィラー、ネガティブクロスリブ、並びに/又は同様のものを備える、セパレータを対象とする。
【0086】
式2で分かるように、放電反応は、NAM中に存在し得る鉛(Pb)の一部及び酸(H2SO4)を、より大きな分子である硫酸鉛(PbSO4)へ転換する。硫酸鉛はより大きな分子であるほど、より大きな体積を占有し、以下に述べるように、鉛はNAM膨張の一因であると考えられる。硫酸鉛は放電中に生成されるので、部分充電状態(すなわち、少なくとも部分的に放電)で動作するバッテリーはNAM膨張の影響をより受けやすい。かかるバッテリーとしては:ハイブリッド乗り物;ハイブリッド電動乗り物;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物;フォークリフト、ゴルフカート、e-リキシャ、e-三輪車、及びe-バイクなどの電動乗り物;インバーター;並びに太陽エネルギーシステム及び風力エネルギーシステムなどの再生可能及び/若しくは代替エネルギーシステムで動作するものが挙げられる。これらの用途におけるバッテリーは、おそらく、ディープサイクルバッテリーであり得、及び/又は部分充電状態において動作し得、並びに電極において負極活物質膨張及び酸欠乏になり得る。
【0087】
バッテリー
ここで
図1を参照して、例示的鉛蓄電池50は、交互に配置された正極52及び負極54を備えた電極/セパレータアレイ50a、並びに各正極52及び負極54間に配置され差込まれているセパレータ100を備える。電極/セパレータアレイ50aをリーフセパレータ100と共に示すが、これらは正極エンベロープ、負極エンベロープ、ハイブリッドエンベロープ、ポケット、スリーブ、ラップ、及び/又は同様のものとして代わりに形成してよい。
【0088】
電極52、54及びセパレータ100を、硫酸(H2SO4)電解液56に実質的に浸漬する。正極52は、正端子51と電気的に導通しており、負極54は負端子53と電気的に導通している。
【0089】
バッテリー50は、正極52と電気的に導通している正端子51及び負極54と電気的に導通している負端子53を更に備える。端子51、53を、バッテリー上部に配置する。バッテリーの上部及び底部は、
図1に示している。
図1は、縦方向md矢印及び幅方向cmd矢印を更に示しており、セパレータ100の縦方向及び幅方向に対応する。縦方向mdは、バッテリー50の上部から底部へ延び、幅方向cmd縦方向mdに対して実質的に直角であり、セパレータ100と実質的に平行である。
【0090】
セパレータ
ここで
図2~6Eを参照して、例示的セパレータ100は、2つの主要な反対面102p、102n(
図2に示さず)を有するフラットウェブである多孔質膜バックウェブ102を備えてよい。例示的多孔質膜は、約5μm未満、好ましくは約1μm未満の細孔を有する微多孔膜、メソポーラス膜、又は約1μm超の細孔を有するマクロポーラス膜であってよい。多孔質膜は、好ましくは、100μm以下のサブミクロン、特定の実施形態では、約0.1μm~約10μmである細孔径を有してよい。特定の実施形態では、本明細書に記載されている多孔質膜の空隙率は、約50%超から約60%まで、更に約65%以下であってよい。特定の選択された実施形態では、多孔質膜は、平坦であってもよく、その1つ以上の面102p、102nから延在するリブを有してもよい。
【0091】
図2を参照して、左図は、多孔質膜バックウェブ102及びそれから延在し、セパレータ100の縦方向(mdとして垂直矢印線で示されている)に実質的に整列された長軸方向に実質的に整列されているリブアレイ104と共に示されている例示的セパレータ100を図示している。
図2の右図では、例示的セパレータ100は、多孔質膜バックウェブ102及びそれから延在し、セパレータ100の幅方向(cmdとして水平矢印線で示されている)に実質的に整列された実質的に横方向に横断的に整列されているリブアレイ106と共に示されている。
図1を参照して、縦方向mdは、バッテリー50の上部から底部へ実質的に一直線となり、セパレータ100の主要面と実質的に平行であり、一方、幅方向cmdは、縦方向に対して実質的に直角に実質的に一直線となり、水平であり、セパレータ100の主要面に対して実質的に平行である。
図1に示されているように、縦方向を、mdと標識された矢印線として示し、幅方向を、cmdと標識された矢印線として示している。
【0092】
ここで
図3A~3Cを参照して、非限定的例示的セパレータ100の物理的特徴を規定するいくつかの寸法を例証する。Daramic(登録商標)により製造・販売されているいくつかのものなど典型的市販バッテリーセパレータ100は、正極側の面102p、及び負極側の面102nを有する多孔質膜バックウェブ102を備えてよい。正極側の面102pは、典型的な鉛蓄電池中に配置される場合、正極に通常直面しており、一方、負極側の面102nは、典型的な鉛蓄電池中に配置される場合、負極に通常直面している。一連の正極側リブ、正極側リブのアレイ、又は正極側リブセット104は正極側の面102pから延在してよく、一方、一連の負極側リブ、負極側リブのアレイ、又は負極側リブセット106は負極側の面102nから延在してよい。正極側リブ104は、通常負極側リブ106より大きいとき、主要リブと呼ばれることがあり、一方、負極側リブ106は副リブと呼ばれることがある。
【0093】
図3Aは、それから延在する主要リブを有する多孔質膜バックウェブ102を備える典型的セパレータ100の小断面図を図示する。
図3Aは、1つのリブの長軸方向に沿って見た図であり、特定の例示的リブの寸法及び多孔質膜バックウェブ102との関係を詳細に示している。したがって、
図3Aは、その1つの面だけから延在する1つのリブを有する多孔質膜102を示しているだけであって、例を限定する目的ではない。図示しているように、セパレータ100は、バックウェブ厚さ「バックウェブ」を有する多孔質膜バックウェブを備える。リブ上部へ延在するバックウェブ面から測定されるとき、高さ「高さ」;リブの長さに対して実質的に垂直な寸法のリブベースの幅で測定される、ベース幅「ベースW」;リブの長さに対して実質的に垂直な寸法のリブ上部の幅で測定される、上部幅「上部W」;並びに垂直基準からオフセットされたリブ側部角度として測定される抜き勾配αを有するリブはそれから延在する。
【0094】
ここで
図3Bを参照して、セパレータ100の例示的実施形態を、セパレータ100の縦方向に沿って見た図を示す。セパレータ100は、それから延在し、セパレータ100の縦方向と実質的に平行に配置された正極側リブ104を有する正極対向面102p、及びそれから延在し、セパレータ100の幅方向と実質的に平行に配置された固体負極側リブ106を有する負極対向面102nを備える多孔質膜バックウェブ102を備える。縦方向に実質的に延在する4つの正極側リブ104があり、この数は単に例示的であり非限定的である。実際には、例示的セパレータは、おそらくずっと多くの正極側リブ104を備えるだろうが、特徴を明瞭にする目的のために少数のみ示している。例えば、セパレータは、幅方向幅を横切って約20、30、40、又はそれ以上のリブを有してよい。例として、かかる幅方向幅は特定のバッテリーでは約120mmであってよく、他の特定のバッテリーでは約160mmであってよい。
図3Bは、典型的セパレータの様々な寸法を更に例証する。正極側リブ104を、幅方向に沿って、リブの長さに対して実質的に垂直に測定される、正極ベース幅「ベースW
正」;幅方向に沿って、リブの長さに対して実質的に垂直に測定される、上部幅「上部W
正」;及び正極対向面102pから正極側リブ104の上部まで測定される、リブ高さ「高さ
負」によって規定してよい。正極側リブ104を、リブスペーシング「スペーシング
正」により、幅方向のセパレータ幅を横切って配置する。
図3Bにより提供される図に示されているように、負極側リブ106を、負極対向面102nから負極側リブ106の上部までを測定される、リブ高さ「高さ
負」によって規定する。セパレータ100を、正極対向面102pと負極対向面102nとの距離で測定されるバックウェブ厚さ「バックウェブ」;及び正極側リブ高さ「高さ
正」と、バックウェブ厚さ「バックウェブ」と、負極側リブ高さ「高さ
負」との合計である全体厚さ「全体」によって規定する。
【0095】
図3Cは、
図3Bに示されているのと実質的に同じであるが、セパレータ100の幅方向に沿って見たセパレータ100の例示的実施形態を例証している。図から分かるように、正極側リブ104は、鋸歯104sに破断されている。しかしながら、正極側リブは、以下に記載されるように、ソリッド、断続、傾斜、又は湾曲であってよい。各正極側リブ鋸歯104sは、セパレータの縦方向に実質的に沿って、リブ104の長さに実質的に沿ったベースの長さで測定されるベース長さ「ベースL
正」;及びセパレータの縦方向に実質的に沿って、リブ104の長さに実質的に沿った上部の長さで測定される上部長さ「上部L
正」を備える。加えて、正極側リブ鋸歯104sは、リブ104の長さに実質的に沿って、セパレータ100の縦方向に実質的に沿って、ピッチ「ピッチ
正」の間隔で離して配置する。図に示されているように、正極側リブ鋸歯104sは、隣接するリブ104の鋸歯からオフセットしているが、鋸歯104sを、隣接する鋸歯104sと協調して交互に整列してよい。正極側リブ104と同様に、負極側リブ106は、セパレータ100の縦方向に実質的に沿って、負極側リブ106の長さに実質的に垂直に測定されるベース幅「ベースW
負」;セパレータ100の縦方向に実質的に沿って、負極側リブ106の長さに実質的に垂直に測定される上部幅「上部W
負」を備え;及びセパレータ100の縦方向に実質的に沿って、負極側リブ106の長さに実質的に垂直なリブスペーシング「スペーシング
負」により更に規定される。
図3A~3Cに示されていないが、負極側リブ106は、負極側リブ鋸歯106s(
図5D~5Gに示す)に破断し、負極側リブ鋸歯のピッチ「ピッチ
負」(
図5D~5Gに示す)で間隔を置いて配置してよい。
【0096】
ここで
図4A及び4Bを参照して、典型的市販セパレータ100は、典型的液式鉛畜電池中に配置されるとき、2つの典型的電極52、54間に配置されていることを示す。加えて、両図は、セパレータの縦方向に沿って見て、バッテリー及び/又はアセンブリの上部から見たものである。
図4Aは、充電状態におけるアセンブリを示す、
図4Bは、放電状態におけるアセンブリを示す。
図4A及び4Bは、正極52及び負極54、これらの間に配置された典型的市販セパレータ100を、全アセンブリを浸漬する硫酸(H
2SO
4)電解液56と共に模式的に図示する。電極は、活物質を有する典型的鉛蓄電池電極であり、正極はPAMと共に提供され、負極はNAMと共に提供されると理解されたい。セパレータ100は、正極対向面102p及びその上の負極側の面102nを備える微多孔質バックウェブ102を備える。正極側リブ104は、正極対向面102pから延在して提供される。いくつかだが全部ではなく、市販セパレータは、負極側リブを備えており、負極側リブは明瞭化の目的のために
図4A又は4Bに示していない。
図4Aは、正極52、負極54、及びセパレータ100の充電状態を図示し、概して平坦であり、全ての面は実質的に平面であることを示す。
【0097】
図4Bは、膨張状態におけるPAM及びNAMの放電状態を図示する。いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、PAM及び/又はNAMの膨張は、セパレータのバックウェブに圧を及ぼす程度起こり得る。したがって、正極及び負極52、54の両方は、電解液56を欠乏する(すなわち、酸欠乏)。図から分かるように、正極52及びPAMは正極対向面102pに向かって延在するが、負極54及びNAMは正極52に向かって多孔質膜バックウェブ102に延在し、偏向させる。このPAM及びNAM膨張及び膜の偏向は、電解液をスクイーズして電極から離し、バッテリーの電気化学的反応を邪魔する。これは、バッテリーの性能及び寿命に悪影響を及ぼす。バックウェブは正極と接触することが示されるが、バッテリーの性能に悪影響を及ぼすために、必ずしもバックウェブが正極と接触する必要はない。
【0098】
本明細書で述べられているように、液式鉛畜電池、特に部分充電状態で動作又は動作する目的のある液式鉛畜電池において市販、販売、及び使用される現行のセパレータは、酸の上記スクイーズ及び変位を示し、最終的に動作不可能なバッテリーに至る。したがって、液式鉛畜電池、特に、部分充電状態において電極における酸利用能を改良された部分充電状態で動作又は動作する目的のある液式鉛畜電池(例えば、始動/停止乗り物、電動乗り物、ハイブリッド乗り物、集電インバーター、及び/又は同様のもの)用の改良されたセパレータに対するニーズがある。
【0099】
ここで
図4C及び4Dを参照して、典型的液式鉛畜電池内に配置されるとき、本発明の選択された実施形態を、正極52及び負極54間に模式的に図示し、各電極は活物質(例えば、PAM及びNAM)と共に提供される。更に、両図は、放電状態の描写であり、セパレータ100の縦方向に沿って見て、バッテリー及び/又はアセンブリの上部から見たものである。
図4Cを参照して、セパレータ100は、正極対向面102p及びその上の負極側の面102nを備える微多孔質バックウェブ102を備える。正極側リブ104は、正極対向面102pから延在して提供される。いくつかだが全部ではなく、市販セパレータは、負極側リブを備えており、負極側リブは明瞭化の目的のために
図4Cに示していない。
図4A及び4Bの正極側リブ100と比較するとき、
図4C及び4Dの正極側リブ100は、より近接したリブスペーシング「スペーシング
正」及びより狭いリブ上部幅「上部W
正」(本明細書及び
図3A~3Cに定義された通り)を備える。
図4Cで示されているように、正極52のPAMは更に膨張し膨れて正極対向面102pの方に膨張し、負極54のNAMは更に膨張し膨れて、多孔質膜バックウェブ102を偏向させる。しかしながら、活物質は、より密集したリブによってより良く支持され、
図4Bに示されているのと同じくらいの量の電解液56をスクイーズするのに充分に膨張することができない。
【0100】
ここで
図4Dを参照して、本発明の例示的実施形態は、典型的バッテリーセパレータと比較して、正極側リブ104により密接に対応する大きさを有する高さを有する負極側リブ104を提供することによる更なる改良を提供する。図から分かるように、前述同様に放電状態においてもなおPAMは膨張しているが、密集した正極側リブ104のせいでバックウェブ102と接触することを防止する。加えて、NAMは、負極側リブ104の高さ及びスペーシングのせいでバックウェブ102を偏向させることを防止する。電極間のスペースを犠牲にしないでこれを行うために、セパレータを製造することは適切でない全体的厚さを有し、正極側リブ104の高さは、全体的厚さが典型的セパレータと比較して増加しないように、負極側リブ106の高さの約100%~300%になるように拡大される。
【0101】
図4A~4Dは、尺度通りに描写されておらず、互いにスケーラブルと見做すべきでないことを理解されたい。更に、負極側リブ106を幅方向cmdに配置してよく、明瞭化のために単に縦方向においてのみ示していると理解されたい。
【0102】
本発明のセパレータの様々な選択された実施形態は、
図5A~5Hに図示する。
図5A~5Cは、各種負極側リブ高さ「高さ
負」、及び負極側リブに対する各種正極側リブ高さの比を有する縦方向に沿って実質的に整列された正極側リブ104及び負極側リブ106の両方を示す縦方向に沿って見られる例示的セパレータ100を図示する。
図5A及び5Bは、実質的に同じリブスペーシング「スペーシング
正」、「スペーシング
負」を有する正極側リブ104及び負極側リブ106の両方を備える例示的セパレータ100を図示する。
図5Cは、正極側リブスペーシング「スペーシング
正」より密接なリブスペーシング「スペーシング
負」を有する負極側リブ106を備える例示的セパレータ100を図示する。
図5D~5Fは、各種負極側リブ高さ「高さ
負」、及び負極側リブに対する各種正極側リブ高さの比を有する幅方向に沿って見られる例示的セパレータ100を図示する。
図5D及び5Eは正極側リブ鋸歯104sを備える例示的セパレータ100を図示し、負極側リブ鋸歯106sを実質的に同様なピッチ「ピッチ
正」、「ピッチ
負」で配置する。
図5Fは、正極側リブ鋸歯のピッチ「ピッチ
正」より密接なピッチ「ピッチ
負」を有する負極側リブ鋸歯106sを備える例示的セパレータ100を図示する。
図5G及び5Hは、縦方向mdに実質的に整列して配置された正極側リブ104及び幅方向cmdに実質的に整列して配置された負極側リブ106を図示する。
図5Gは、セパレータ100の縦方向に沿った図である。
図5Hは、
図5Gと実質的に同様であるが、幅方向に沿って見られるセパレータ100を図示する。図から分かるように、正極側リブ及び負極側リブの両方104、106は、鋸歯104s、106sに破断している。
【0103】
ここで
図6A~6Eを参照して、選択された例示的セパレータ100は、多孔質膜バックウェブ102の正極対向面102pから延在する正極側リブベース104a、及びそれから延在する複数正極側リブ歯104bを備える正極側リブ104を備える。
図6Aにおいて分かるように、セパレータ100は、セパレータ高さ「高さ
セパレータ」及びセパレータ幅「幅
セパレータ」を有する。典型的な自動車用鉛蓄電池は、電極及び約160mm幅の幅を有するセパレータを備える。
図6B及び6Cは、本発明の特定の実施形態によるリブを備えた例示的セパレータ100を図示する。リブは、それから延在する歯状リブを備える多孔質膜バックウェブを備える。リブは、多孔質膜バックウェブから延在するリブベース及びリブベースから延在する歯を備える。上記本明細書に開示されているように、セパレータは、バックウェブ厚さ「バックウェブ」、及びリブ高さ「高さ
リブ」の合計である全体的厚さ「全体的」を有する。リブ高さ「高さ
リブ」は、歯高さ「高さ
歯」及びリブベース高さ「高さ
リブベース」の合計と等しい。リブは、リブベース幅「幅
リブベース」、歯ベース幅「ベースW
歯」、歯上部幅「上部W
歯」、及び抜き勾配αを有する。リブは、幅方向cmdを横切るリブスペーシング(
図6A及び6Dに示す、「スペーシング
正」及び「スペーシング
負」)を更に備える。例示的セパレータは、縦方向mdの歯スペーシングピッチ「ピッチ
歯」、歯ベース長さ「ベースL
歯」、及び歯上部長さ「上部L
歯」を更に有する。
図6D及び6Eは、縦方向mdに実質的に整列された正極側リブ104及び負極側リブ106を備える例示的セパレータを更に詳細に説明する。負極側リブ106をソリッド直線的リブとして更に示すが、負極側リブ106を正極側リブ104と同様に鋸歯状又は歯状にしてもよい。
【0104】
自動車用途に使用される典型的鉛蓄電池セパレータは、900μmの例示的前提的厚さを有し、正極及び負極の両方と接触している約11から18以下のリブを有する。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、接触面積(電極の総面積と比較した接触面積のパーセンテージにより測定されるとき)がより大きいほど、活物質はより支持され、グリッドからあまり離脱しそうにないことを発見した。したがって、接触面積は、支持面積に等しくなり得、表1参照。支持面積の増大に加えて、本発明者らは、この支持面積を適切に分布することは有益であることを見出した。したがって、本発明の1つの特定の目的は、隣接する支持面積間の距離を最小にしながら、電極の接触/支持面積を改良することである。
【0105】
この目的を達成するために、例示的セパレータは、例示的160cm幅の電極と接触する約20~約40以上のリブを有してよい。例えば、セパレータは、約25以上のリブ、約30以上のリブ、約35以上のリブ、約40以上のリブなどを有してよい。これは、いずれもの典型的な自動車用鉛蓄電池セパレータよりずっと多い。
【0106】
しかしながら、リブ数の増加はセパレータの質量も増加し、電極間から酸性電解液を必然的に置換し、エネルギー貯蔵反応の程度を限定しイオンコンダクタンス電位を低下させるだろう。この増加された質量を補償するために、例示的セパレータは、鉛蓄電池セパレータにおいて典型的であるずっと薄いリブ(より小さな幅及びベース幅)を備えてよい。
【0107】
自動車用鉛蓄電池で使用される典型的ポリエチレンセパレータを、カレンダーロールにおいて形成される概して大形状のリブを用いて製造する。台形は、第一に、約530μmのリブ上部幅を有することで規定される。このリブを有し、カレンダーロールから剥離させるために、約7°の抜き勾配(
図3A及び6Bのα)がある。したがって、従来のセパレータは、リブがより高いほどリブベースはより広いという概念で通常製造される。カレンダーロールからのスムースな剥離を促進するために、角は通常丸い。
【0108】
リブ数の増加に伴う付加的質量を減少するために、例示的セパレータは、約450μm以下、約400μm以下、約350μm以下、約300μm以下、約250μm以下の上部幅を有するリブを備え、なお約7°の抜き勾配を有してよい。したがって、本発明の例示的セパレータは、従来のセパレータの2倍多いリブを有し、従来のセパレータと同じ質量を維持することができる。この方法では、質量は従来のセパレータと同じであり、無支持領域間の距離も減少する。これによって、液式鉛畜電池は、PSoC条件におけるAGMバッテリーの性能により近くなる。
【0109】
質量低減するための付加的増強は、
図3A~6E及びその関連文に概して示されている及び記載されている鋸歯又は歯にリブを分割又は破断することである。次いで、リブの分割において失う余分な質量はより多くのリブを用いて戻して、したがって、支持部分を更に密集させることができる。これは、ずっと少ないソリッドリブを備えるセパレータと比較して、同じ質量を効果的に低減又は保持するだろう。
【0110】
ここで
図7A及び7Bを参照して、電極面は無支持表面積又は部分、及び非連続的支持される表面積又は部分(クロスハッチ部分)を備えることを示されている。
図7Aのより詳細な部分を、
図7Bに図示する。ポイントAを支持部分の端部の中央点上の点として示し、ポイントBを支持セクションの端部上の点として示す。これらのそれぞれの周囲を取り囲む円は、1つの支持部分から隣接する支持部分までの無支持距離を画定する。
図7Aおよび7Bは原寸に比例して図示されていないと理解されたい。
【0111】
160cmの標準的電極幅を有して、通常、セパレータの幅方向に沿って均一に間隔を置いた11~18のリブがあり得、これにより、隣接する支持部分間の典型的な無支持距離がそれぞれ約13mm~8mmとなる。ソリッドリブを有する典型的なセパレータと同じリブ質量を保持しながらリブを狭くし、分割することによって、160cmの広い電極上のリブ数を、約20~約40以上のリブに増加することができる。これは、リブ間の無支持距離を約3mm~約4mm以下にすることを可能とする。例えば、無支持距離は、鋸歯又は歯のピッチ及びリブのスペーシングに応じて約1.5mmになるほど近接してよい。
【0112】
下表1は、3つのセパレータについて、様々なリブ及びセパレータの寸法を詳述する。コントロール#1は11のリブを有し、コントロール#2は19のリブを有し、例示的実施形態は39のリブを備える。しかしながら、リブ上部幅はコントロールセパレータの半分より狭いので、リブ上部幅はコントロール#2のリブの2倍超を有し、最も短い無支持距離を有しながら同じ無支持面積を維持することができる。
【0113】
【0114】
典型的な自動車用バッテリーセパレータは、概して、エンジンを始動する電力の高破裂を提供して、それから、完全充電状態で動作するように第一に最適化される。これに関して、セパレータは、イオン抵抗性を増大し、電力のバッテリーを奪うだろうリブの余剰数を最小にしながら、プレートスペーシングを維持するために最小量のリブを備える。完全充電又は過充電状態では、自動車用バッテリーは、正極において酸化性化学種を生成し、負極において還元化学種を生成する。セパレータの多孔質膜バックウェブがこれらの酸化性化学種と接触する場合、酸化による劣化の機会は経時と共に増大する。工業では、これはセパレータ分裂又は亀裂と呼ばれることが多く、したがって、正極及び負極間の物理的接触をもはや引き離すように機能しない。セパレータ分裂又は亀裂の機会を最小にするため、バックウェブは負極と隣接し、リブは正極に面する。
【0115】
特定のバッテリー設計では、プレートスペーシング合計又はセパレータ全体的厚さは1.2mmを超過し、負極側リブに面する面上にも小さなリブをしばしば必要とし得る。負極側リブ高さに対する正極側リブ高さの比は、通常、約3~約5以上である。言い換えれば、正極側リブは、負極側リブより約300%~約500%以上高い。送電する場合、電極中の鉛及び硫酸間の反応時間は、ほんの約30秒未満である。電極が多孔質であるとき、これらの反応で消費される酸は既に細孔内で利用可能であると考えられる。バッテリーが、PSoC条件など、よりエネルギーを提供しなければならない場合、電極面においてより多くの酸を利用できなければならないか、又は律速因子になり得る。現在利用可能な典型的自動車用セパレータが正極に面するリブを有しないか又は非常に小さいリブを有するので、本発明者らは、負極における酸利用能は送電に関する律速になるだろうと仮定する。
【0116】
したがって、本発明の例示的実施形態は、正極及び負極の両方に対する硫酸電解液のより同等なバランスを提供する。多孔質膜の正極対向面及び多孔質膜の負極対向面の両方上に同等なリブを配置することによって、これを達成してよい。更に、この目的を達成するために約1.0mm未満の全体的厚さを有する必要があるセパレータでこれを行うことができ、例示的実施形態は、負極側リブ高さの約100%、約200%、又は約300%以下でさえあるリブ高さを有する正極側リブを備えてよい。言い換えれば、負極側リブ高さに対する正極側リブ高さの比は、約1以下~約3であってよい。図に示され,本明細書中に記載されているように、負極側リブを、縦方向又は幅方向に実質的に整列してよい。
【0117】
正極側リブの高さが低減するとき、セパレータバックウェブ厚さは正極とより近接するという可能性ある概念がある。正極は酸化性化学種を生成することができる状態を推測することができる。したがって、活物質膨張のせいでセパレータバックウェブが偏向し、正極と実際に振れることを防止するため、本発明者らは、有用なセパレータ構成として本明細書に記載されているリブの余剰数を理解する。
【0118】
注目に値し、ユニバーサル及びパネルプロファイルとして知られているものの差異を含むもう1つのポイントがある。典型的セパレータを含むバッテリープレートのエンベロープを改良するため、工業界は、リブが正極に面するリブより小さい場合のシーリング領域を開発した。正極に面する主要なリブは約450μm~約1200μmの高さを有してよいが、シーリング領域のリブは典型的にはほんの250μm以下であり良好な機械的シーリングを保証する。
【0119】
正極側リブ高さを減少し、負極側リブ高さを増加することによって、例示的セパレータを、明確にパネルプロファイルと対照的にユニバーサルプロファイルとして提供してよい。定義により、ユニバーサルプロファイルは、全セパレータ/電極幅を横切ったリブの均一なアレイを有する。この場合、リブは、電極の末端に対する支持を提供することができる。これは、2つの別の利点を有するだろう。第一に、電極の末端に付加されたリブは活物質を支持し、サイクル用途における脱落を防ぐだろう。第二に、これらの付加されたリブは、正極がセパレータバックウェブ及び基材と振れることを防止することができる。
【0120】
穿孔加工などグリッドの新規製造方法を用いて、典型的グリッド厚さは、約1.0mmから約0.8mm又は0.6mmであるほど薄くまでとなる。グリッドがより薄いほど、サイクル用途においてグリッドがより大きく反る又は湾曲する傾向がある。グリッドが反るとき、バックウェブのセパレータ基材と、より多く接触する機会があり得る。密着リブスペーシングがユニバーサルプロファイルを有することは、酸化短絡に対する付加的保護を提供し得る。
【0121】
下表2は、典型的市販セパレータである2つのコントロールセパレータ及び本発明の10の実施形態を含む本明細書に述べられている様々なセパレータ寸法を詳述する。
【0122】
【0123】
リブ
本発明の特定の目的は、酸混合を最大化して成層化の影響を低減するためにバッテリーを付し得る運転を利用しながら、NAM膨張の影響(例えば、酸欠乏)を最小化することを含む。これら両方は、部分充電状態において動作するバッテリーにより示される問題である。
【0124】
本発明者は、NAM膨張の影響を最小化する1つの方法は、NAMが多孔質バックウェブをPAMへ偏向させるだろう可能性を低減するなど、セパレータのレジリエンスを最大化することであることを見出した。セパレータレジリエンスを増大する特定の方法は、多孔質膜バックウェブ厚さを増加することである。しかしながら、これは、バッテリー性能に悪影響を及ぼすセパレータの電気抵抗(1つ挙げれば、より厚いバックウェブの不利益)も増加させる。本発明者らは、セパレータ及び正極間の接触点を増加することは、接触点間のバックウェブを補強する働きをする。この目的を達成するためにリブ数を増加することは、セパレータ及び正極間の接触領域の量も増加する。接触面積を最小化することは、セパレータの電気抵抗を低下させ、並びにバッテリーの機能性を提供する電気化学反応のための電解液に対して電極の表面積をより多く開放することと考えられる。更に、接触面積の減少は、デンドライトがセパレータを通過して形成され、短絡の原因となる機会を低減すると考えられる。デンドライト形成の課題は、以下で述べる。更なる目的は、成層化の影響を最小化するために、運転において使用されるバッテリーのための電解液又は酸の混合を最大化することである。更に、ソリッドリブは、成層化を低減するための酸混合の目的を促進しない。
【0125】
本発明者は、セパレータは、選択された例示的好ましい実施形態のとき、セパレータ及び隣接する電極間の接触領域を同時に最小化しながら、接触点数を最大化することによって、酸欠乏をもたらすNAM膨張により及ぼされる力及び圧下におけるバックウェブ偏向を耐える又は軽減するレジリエント手段を備える可能性があることを見出した。本発明者らは、別の選択された例示的実施形態は、セパレータ及び隣接する電極間の別々の接触点数を最大化することによって、成層化の影響を低減、軽減、又は逆転するための酸混合手段を備えるセパレータを提供する可能性があることを見出した。別の選択された例示的実施形態は、セパレータに、硫酸鉛(PbSO4)デンドライト成長を低減又は軽減するデンドライト軽減手段を提供し得る。本発明者は、かかるレジリエント手段、酸混合手段、及びデンドライト軽減手段を、リブ構造の設計によって対処、達成、又は少なくとも部分的に対処及び/若しくは達成し得ることを見出した。したがって、本明細書に記載されている選択された実施形態は、所望の目的を達成、レジリエント手段、酸混合手段、及びデンドライト軽減手段を提供するこれらのパラメータのバランスを取る、並びに/又はこれらのパラメータ及び/若しくは所望のレジリエント手段、酸混合手段、及び/若しくはデンドライト軽減手段のバランスを少なくとも部分的に対処及び/若しくは達成するために、リブ構造に依存する。
【0126】
リブ104、106は、一様な組、交互な組、又は途切れていない、分離した断続リブ、連続式、非連続式、傾斜、直線的、セパレータの実質的に縦方向(「MD」)(すなわち、バッテリー中のセパレータの上部から底部へ向かう)に延在する縦方向のリブ、セパレータの幅方向(「CMD」)(すなわち、バッテリー中のセパレータの横方向、MDに対して直角)に実質的に延在する横断リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯のある若しくは歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁(battlements)若しくは、途切れていない若しくは断続的なジグザグ状に配置された湾曲状若しくは折曲状の狭間胸壁状(battlemented)リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質ミニリブ若しくはクロスミニリブ、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組合せであってよい。さらに、いずれかの組のリブ104、106は、正側、負側、若しくは両側から、又は正側、負側、若しくは両側に延在してもよい。
【0127】
図6Aを参照して、例示的セパレータは、例示的バッテリー中の正極と接触するように意図されたセパレータの実質的に縦方向(「MD」)に配列された正極側リブ104を備える。セパレータは、該セパレータの実質的に縦方向に配列され、正極側リブと実質的に平行である正極側リブ106を備える。負極側リブは、例示的バッテリーにおいて負極と接触するように意図されている。この図示された実施例における負極側リブは実質的にセパレータの縦方向に配列されているが、あるいは、これらは幅方向に配列されていてもよく、通常、負極側クロスリブとして知られている。
【0128】
続けて
図6Aを参照して、本発明のセパレータの選択された実施形態は、正極側リブのアレイを備える。正極側リブは、縦方向にセパレータ長を延ばし得るベース部分104aを備える。それから、間隔を空けた歯状断続的ピーク、又は他の突起物104bは、歯104bが多孔質膜バックウェブの支持構造表面より上側にあるように、ベース部分の表面から伸びていてよい。さらに、ベース部分は、歯それ自体より広くてもよい。正極側リブは、約2.5mm~約6.0mmの典型的間隔をもって実質的に互いに平行にならび、典型的間隔は約3.5mmである。多孔質膜バックウェブの表面から測定したとき正極側リブの高さ(歯及びベース部分を加えて)は、約10μm~約2.0mmであってよく、典型的高さは約0.5mmである。隣接するリブの例示的リブ歯は、実質的に互いに一列になっていてよい。しかしながら、
図35に図示されているように、例示的歯は、1つのリブから隣接するリブへ互いに対してオフセットしていてよく、隣接するリブの位相から完全又は部分的に外れているかのいずれかである。図のように、歯は、1つのリブから隣接するリブへの位相から完全に外れている。正極側リブ歯は、約3.0mm~約6.0mmのセパレータの縦方向のピッチで間隔を空けていてよく、典型的な間隔は約4.5mmである。
【0129】
図6Aで示されているように、負極側リブは、セパレータの縦方向と実質的に平行であると示されている。しかしながら、これらは、代わりに、幅方向と実質的に平行であってもよい。示されている例示的負極側リブは、中空ではなく、実質的に真っ直ぐであると分かる。しかしながら、代わりに、これらは、
図6Aに示されている正極側リブと概して同様な方法で歯をつけてよい。負極側リブを、約10μm~約10.0mmのピッチ、好ましくは約700μm~約800μm、より好ましくは通常約740μmのピッチで間隔を空けてもよい。バックウェブの表面から測定するときの負極側リブの高さは、約10μm~約2.0mmであってよい。
【0130】
なお、正極側リブを、代わりに、これらが負極と接触するように例示的バッテリー中に配置してよい。同様に、負極側リブを、これらが正極と接触するように例示的バッテリー中に配置してよい。
【0131】
下表3は、162mm×162mm(262cm2)である4つのセパレータ(1つの例示的本発明のセパレータ及び3つのコントロールセパレータ)のリブ数及び表面接触面積のパーセンテージを詳細に説明している。図のように、例示的本発明のセパレータは、幅方向にセパレータ幅を横切って一様に間隔を空けて配置された43個の歯状リブを備える。例示的本発明のセパレータの正極側リブの歯は、正極の262cm2の3.8%と接触する。コントロールセパレータの詳細を、表3中にさらに詳細に示す。コントロールセパレータ#1、#2、及び#3は、一般的に現在市場で入手可能な液式鉛畜電池で現在使用される市販されているセパレータの典型的なものであると理解されたい。
【0132】
【表3】
前述のように、本発明者は、接触面積を同時に最小限にしながら接触点数を最大のすることにより、制御中の電気抵抗を維持しながらセパレータレジリエンスの増強目標を達成することができることを見出した。さらに、歯のあるデザインは、バッテリーが受けるかもしれない運動を利用することにより酸混合を容易にする助けとなる。セパレータリブの歯は、最も近くの隣接する歯から約2.5mm~約6.0mm離れていてよい。本発明者は、好ましい非限定的距離は、隣接する歯間で約4.2mmであることを見出した。加えて、位相から完全に外れている隣接する行からオフセットしている歯は、酸混合を容易にする助けとなる。本発明者は、ベース部分がNAMの膨潤に対するレジリエンスを提供するのに充分なバックウェブを強化する助けとなることも見出した。
【0133】
例示的本発明のリブが示され正極側リブであると説明されるが、にもかかわらずこれらはセパレータの負極側に提供されてもよく、例証され説明された負極側リブはセパレータの正極側に提供されてもよいと理解されたい。
【0134】
加えて、正極側又は負極側リブは、ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横断リブ、分離したリブ、歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁若しくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組合せであるいずれかの形態又は組合せであってよい。
【0135】
加えて、正極側又は負極側リブは、セパレータの端部に対して平行でも直角でもない角度により規定されるいずれかの形態又は組合せであってよい。さらに、この角度は、リブの歯又は行全体にわたって変わり得る。傾斜リブパターンは、特定のバッテリー中の成層化を低減又は排除する助けとなることができる場合により好ましいDaramic(登録商標)RipTide(商標)酸混合リブであってよい。さらに、角度は多孔質膜の縦方向に対するものであり、おおよそゼロ度(0°)より大きくおおよそ180度(180°)未満、及びおおよそ180度(180°)より大きくおおよそ360度(360°)未満であると定義され得る。
【0136】
リブは、横端部から横端部までセパレータの幅を横切って一様に延在してよい。これは、ユニバーサルプロファイルとして公知である。あるいは、セパレータは、側面パネルに配置されたマイナーリブを有する横端部と隣接する側面パネルを備えてもよい。これらのマイナーリブは、一次リブより密接に配置され、より小さくてよい。例えば、マイナーリブは、一次リブの高さの25%~50%であってよい。側面パネルは代わりに平坦であってよい。側面パネルは、本明細書中下記に議論されるセパレータをエンベロープする場合に行うように、セパレータの端部をセパレータのもう1つの端部にシーリングする補助を行い得る。
【0137】
選択された例示的実施形態では、負極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、正極側リブの高さの約5%~約100%の高さを有してもよい。いくつかの例示的実施形態では、負極側リブ高さは、正極側リブ高さと比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%、又は100%であってよい。他の例示的実施形態では、負極側リブ高さは、正極側リブ高さと比較して、約100%以下、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%であってよい。
【0138】
いくつかの選択された実施形態では、多孔質膜の少なくとも一部は、縦若しくは横断リブ又はクロスリブである負極側リブを備えてよい。負極側リブはセパレータの上端部と平行であってもよく、該上端部に対して角度をもって配置されてもよい。例えば、負極側リブは、上端部に対して、約0°、5°、15°、25°、30°、45°、60°、70°、80°、又は90°に配向してよい。クロスリブは、上端部に対して、約0°~約30°、約30°~約45°、約45°~約60°、約30°~約60°、約30°~約90°、又は約60°~約90°に配向してよい。
【0139】
特定の例示的実施形態は、ベース部分を有してよい。存在する場合、約5μm~約200μmの平均ベース高さを有してよい。例えば、平均ベース高さは、約5μm以上、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、又は200μmであってよい。さらに、存在する場合、歯幅より約0.0μm~約50μm広い平均ベース幅を有してよい。例えば、平均ベース幅は、歯幅より約0.0μm以上、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、又は50μm広くてよい。
【0140】
特定の例示的実施形態は、歯又は歯状リブを有してよい。存在する場合、これらは、約50μm~約1.0mmの平均先端長さを有してよい。例えば、平均先端長さは、約50μm以上、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mmであってよい。あるいは、これらは、1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は50μmであってよい。
【0141】
歯又は歯状リブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均歯ベース長さを有してよい。例えば、平均歯ベース長さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は50μmであってよい。
【0142】
歯又は歯状リブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均高さ(ベース部分高さ及び歯高さを合わせて)を有してよい。例えば、平均高さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は50μmであってよい。
【0143】
歯又は歯状リブの少なくとも一部は、約100μm~約50mmの縦方向の列内の平均中心間ピッチを有してよい。例えば、平均中心間ピッチは、約50μm以上、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mm、及び50mm以下を同様に増やした値であってよい。あるいは、これらは、約50μm以下、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mm、及び50mm以下を同様に増やした値であってよい。加えて、歯又は歯状リブの隣接する列を、縦方向の同じ位置又はオフセットする位置に同様に配置してよい。オフセット構成では、隣接する歯又は歯状リブを、縦方向の異なる位置に配置する。
【0144】
歯又は歯状リブの少なくとも一部は、約0.1:1.0~約500:1.0のベース幅に対する平均高さ比を有してよい。例えば、ベース幅に対する平均高さ比は、約0.1:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1、450:1.0、又は500:1.0であってよい。あるいは、ベース幅に対する平均高さ比は、約500:1.0以下、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、又は0.1:1.0であってよい。
【0145】
歯又は歯状リブの少なくとも一部は、約1,000:1.0~約0.1:1.0の先端幅に対する平均ベース幅比を有することができる。例えば、先端幅に対する平均ベース幅比は、約0.1:1.0、1.0:1.0、2:1.0、3:1.0、4:1.0、5:1.0、6:1.0、7:1.0、8:1.0、9:1.0、10:1.0、15:1.0、20:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1.0、450:1.0、500:1.0、550:1.0、600:1.0、650:1.0、700:1.0、750:1.0、800:1.0、850:1.0、900:1.0、950:1.0、又は1,000:1.0であってよい。あるいは、先端幅に対する平均ベース幅比は、約1,000:1.0以下、950:1.0、900:1.0、850:1.0、800:1.0、750:1.0、700:1.0、650:1.0、600:1.0、550:1.0、500:1.0、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、20:1.0、15:1.0、10:1.0、9:1.0、8:1.0、7:1.0、6:1.0、5:1.0、4:1.0、3:1.0、2:1.0、1.0:1.0、又は0.1:1.0であってよい。
【0146】
セパレータの試験
ここで
図8及び9を参照して、試験装置をクランプで固定することは、セパレータレジリエンスを評価するためにNAM膨張を推定するための圧縮試験のために示される。図のように、構造は以下の成分から形成される:1)NAM膨張又は拡大を推定するための固体バッキングを含むフォームバッキング;2)フォームバッキングと接触している負極側リブを備えるセパレータ;及び3)正極側リブと接触し、赤塗料で被覆された固体プラスチック板。圧縮試験を次のように行った:
1)セパレータ、2つの固体プラスチック板、及びフォームバッキングを全て切断するか、さもなければ、5インチ(12.7cm)×5インチ(12.7cm)四角形片に形成し;
2)塗料アプリケーターを以下のように形成し:
a)フェルトシートをプラスチックの四角形片に貼り付ける;
b)3mL点眼びんを使用して、長方形皿に9mLの赤色塗料及び3mLの水;及び
c)塗料アプリケーターを、フェルト側を下にして皿に入れ、塗布まで放置する;
3)同順序、同方向に全パーツを加えることを保証するために全セクションに矢印をマークし、スタックセルを、底部から上部までの順で提供する:
a)第一固体プラスチック板(塗料をここで塗布するだろう)、
b)セパレータ(第一固体プラスチック板と接触している正極側リブを備える)、
c)約7.6mm厚のフォームバッキング、及び
d)第二固体プラスチック板;
4)約11kPa、約16.5kPa、約22kPa、及び約27.5kPaの試験圧として、フォームバッキング上に所望の圧をスタックに印加するとき、適切な空気圧を印加してNAM膨張を推定し;
5)表向きの固体の丈夫な面上に第一固体片のプラスチックを配置することにより第一固体片のプラスチックに塗料を塗布し;塗料から塗料アプリケーターを取り出し;皿の上部でこれを引きずり寄せて塗料の一部を除去し;プラスチックの固体片の上面上に塗料アプリケーターを配置して第一方向にプラスチックを横切ってプラスチックの第一固体片の面に平行に移動し、次いで、第一方向と垂直な第二方向に塗料アプリケーターを移動し;一方、塗料のコーティングが均一で、かつ、可能な限り気泡を含まないように保証し;
6)塗布された面と接触する正極側リブを備えるセパレータ及び上記順の片の残りを付加し、塗布前の加圧装置内の場所は実質的に乾燥する機会を有し;
7)クランプ装置を使用して所望の圧でスタックをクランプで固定し、クランプ固定されたスタックを1分間保持し;
8)圧縮を開放し、スタックを装置から取り出し;第一固体プラスチック片からセパレータを取り出し、離して設置して乾燥し;
9)第一プラスチック片からいずれもの残りの塗料を、次の試験のために、水及びペーパータオルを用いて浄化し;
10)フォームバッキングの完全性がなお無傷であることを保証するために、各試験後フォームバッキングの厚さを測定し;反復使用後に元の厚さに戻っていない場合、フォームを置き換える。
【0147】
図9で示されているように、スタック上に圧を等しく印加した。詳細には、所与のセパレータサンプルの種々の試験で、11kPa、16.5kPa、22kPa、及び27.5kPaの圧を印加した。この試験では、セパレータのリブは、構造中の赤色塗料を含む固体板と接触している(いずれかの圧を構造に印加する前)ので、リブの上部に必然的に赤色塗料があるだろう。しかしながら、セパレータのバックウェブへの赤色塗料の移動は、赤色塗料で被覆された固体板に向かうバックウェブの変形を示す。この圧縮試験の結果は、表4に詳細に示し、写真を
図10に示す。セパレータの代表的部分の写真であり、全セパレータではないことを理解されたい。
【0148】
下表4を参照して、NAM膨張の存在下の性能(すなわち、酸利用能)を、1つの例示的本発明のセパレータのサンプル及び3つのコントロールセパレータのサンプルについて示す。セパレータサンプルは、表3に前に示されているのと同じである。新規セパレータサンプルを、様々な圧における各試験に対して使用したと理解されたい。全セパレータを、ポリエチレン、シリカ、及び残未抽出オイルを用いて製造する。全セパレータは、約250μmの平均バックウェブ厚さ、及び約800μm~約1.0mmの総厚さを更に備える。
【0149】
【0150】
図10に示されている写真の結果は、全印加圧において、赤色塗料を本発明のセパレータサンプルのバックウェブ面の0%に転移し、塗料をリブの先端部にのみ転移した。11kPaの印加圧において、赤色塗料を、コントロールセパレータ#1のバックウェブ面の0%;コントロールセパレータ#2のバックウェブ面の約20%;及びコントロールセパレータ#3のバックウェブ面の50%に転移した。
【0151】
これらの試験結果は、本発明によるセパレータを使用する場合、圧縮下の酸利用能は影響を受けない。低圧下、コントロールセパレータ#1について同じことが示される。しかしながら、コントロールセパレータ#2及び#3を使用する場合、圧縮下の酸利用能は影響を受ける。コントロールセパレータサンプルは、概して、部分充電状態で動作する、又は動作することを目的とする液式鉛畜電池の市場で現在及び商業的に入手可能である典型的セパレータの代表である。
【0152】
成層化の影響を最小化するための有効性を決定するため、本発明のセパレータを移動試験に付した。この試験のため、フォームバッキングのいずれかの側面に形成されたセパレータを備えるフォームバッキングを有する構造物をアセンブルする。フォームを、セパレータの両方の負極側(リブの反対側)に配置して負極活物質膨張を推定する。それから、構造物を移動デバイス内に配置した。硫酸及び水をデバイスに添加した。メチルオレンジを硫酸に添加して、酸を赤色に、及び上部の透明な水にして、成層化されたセルを創成した。酸は、1.28の比重を有した。それから、構造物を0、30及び60回の動作に付して、始動/停止車の動作をシミュレートした。
図11は、本発明のセパレータサンプル及びコントロールセパレータ#3についてのこの動作試験の証拠の写真を示す。図のように、これらの動作全体にわたって、いくらか混合して本発明のセパレータについては、酸は利用可能なままであった。コントロールセパレータ#3については、ほとんどの酸は置換され、リブ間からスクイーズされ、酸の混合は観察されなかった。
【0153】
バックウェブ厚さ
いくつかの実施形態では、多孔質セパレータ膜は、約50μm~約1.0mmのバックウェブ厚さを有することができ、例えば、バックウェブ厚さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mmであってよい。他の例示的実施形態では、バックウェブ厚さTバックは、約1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は50μmであってよい。けれども特定の実施形態では、50μm以下の非常に薄い平らなバックウェブ厚さを、例えば、約10μm~約50μm厚で提供する。
【0154】
例示的セパレータの総厚さ(バックウェブ厚さ並びに正極側及び負極側リブの高さ)は、典型的には、約250μm~約4.0mmの範囲である。自動車用始動/停止バッテリーで使用されるセパレータの総厚さは、典型的には、約250μm~約1.0mmである。工業牽引型始動/停止バッテリーで使用されるセパレータの総厚さは、典型的には、約1.0mm~約4.0mmである。
【0155】
フォーム/エンベロープ
セパレータ100は、平坦なシート、リーフ(単数)若しくはリーフ(複数)、ラップ、スリーブ、又はエンベロープ若しくはポケットセパレータとして提供してよい。例示的エンベロープセパレータは、セパレータが正極に面する2つの内面及び隣接する負極に面する2つの外面を有するように、正極をエンベロープしてよい(「正極エンベロープセパレータ」)。あるいは、別の例示的エンベロープセパレータは、セパレータが負極に面する2つの内面及び隣接する正極に面する2つの外面を有するように、負極をエンベロープしてよい(「負極エンベロープセパレータ」)。かかるエンベロープされたセパレータでは、底端部103は、折り畳まれた又はシールされた折り目端部であってよい。更に、外側端部105a、105bは、連続的又は断続的にシールされた継ぎ目端部であってよい。端部は、接着剤、熱、超音波溶接、及び/又は同様のもの、又はこれらのいずれかの組合せによって結合又はシールしてよい。
【0156】
特定の例示的セパレータを処理して、ハイブリッドエンベロープを形成してよい。セパレータシートを半分に折り、エンベロープを形成するように該セパレータシートの端部を結合する前、結合する間、又は結合した後に、1つ以上のスリット又は開口部を形成することによりハイブリッドエンベロープを提供してよい。開口部の長さは、全端部の長さの少なくとも1/50、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3であってよい。開口部の長さは、全端部の長さの1/50~1/3、1/25~1/3、1/20~1/3、1/20~1/4、1/15~1/4、1/15~1/5、又は1/10~1/5であってよい。ハイブリッドエンベロープは、1~5、1~4、2~4、2~3又は2つの開口部を有し得、底端部の長さに沿って等しく配置されていてもよく、等しく配置されていなくてもよい。エンベロープの隅部に開口部がないのが好ましい。セパレータを折り、シールしてエンベロープを得た後にスリットをカットしてもよく、エンベロープに多孔質膜を形づくる前にスリットを形成してもよい。
【0157】
セパレータアセンブリ構造のいくつかの他の例示的実施形態としては:正極に面するリブ104;負極に面するリブ104;負極又は正極エンベロープ;負極又は正極スリーブ;負極又は正極ハイブリッドエンベロープ;両電極は、エンベロープ化又はスリーブ化してよい、及びこれらのいずれかの組合せが挙げられる。
【0158】
組成物
特定の実施形態では、改良されたセパレータとしては:天然若しくは合成ベース材料;加工用可塑剤;フィラー;天然若しくは合成ゴム又はラテックス、並びに1つ以上の他の添加剤及び/若しくはコーティング、1つ以上の関連マット、1つ以上の関連AGMから成り得る1つ以上の多孔質膜を挙げることができ、片、スリーブ、ポケット、エンベロープ(負極及び/又は正極エンベロープ)、及び/又は同様のものであってよい。
【0159】
基剤
特定の実施形態では、例示的天然又は合成ベース材料としては:ポリマー;熱可塑性ポリマー;フェノール樹脂;天然又は合成ゴム;合成木材パルプ;リグニン;ガラス繊維;合成繊維;セルロース繊維;及びこれらのいずれかの組合せを挙げることができる。特定の好ましい実施形態では、例示的セパレータは、熱可塑性ポリマーから成る多孔質膜であってよい。例示的熱可塑性ポリマーとしては、基本的には、鉛蓄電池の用途に適した全ての酸耐性熱可塑性材料を挙げることができる。特定の好ましい実施形態では、例示的熱可塑性ポリマーとしては、ポリビニル及びポリオレフィンを挙げることができる。特定の実施形態では、ポリビニルとしては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)を挙げることができる。特定の好ましい実施形態では、ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、及びこれらのいずれかの組合せを挙げることができるが、好ましくはポリエチレンである。特定の実施形態では、例示的天然又は合成ゴムとしては、例えば、ラテックス、非架橋若しくは架橋ゴム、クラムラバー若しくは粉砕ゴム、及びこれらのいずれかの組合せを挙げることができる。
【0160】
加えて、アンチモン(Sb)がNAM及び/又は負極中に存在する場合、NAM膨潤は低減することが観察された。したがって、セパレータ上のアンチモンコーティング又はセパレータ組成物中のアンチモン添加剤があってよい。
【0161】
ポリオレフィン
特定の実施形態では、多孔質膜層は、好ましくは、ポリオレフィン、特にポリエチレンを含む。好ましくは、ポリエチレンは、高分子量ポリエチレン(「HMWPE」)、(例えば、少なくとも600,000の分子量を有するポリエチレン)である。更により好ましくは、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)である。例示的UHMWPEは、粘度により測定し、マーゴリーの式により算出するとき、少なくとも1,000,000、特に4,000,000超、最も好ましくは5,000,000~8,000,000の分子量を有してよい。更に、例示的UHMWPEは、2,160gの標準負荷をしようしてASTM D1238(条件E)に規格されているように測定したとき、実質的にゼロ(0)の標準的負荷メルトインデックスを有してよい。更に、例示的UHMWPEは、130℃において100gのデカリン中0.02gのポリオレフィンの溶液中で測定されるとき、600ml/g以上、好ましくは1,000ml/g以上、より好ましくは2,000ml/g以上、最も好ましくは3,000ml/g以上の粘度数を有してよい。
【0162】
ゴム
本明細書に開示されている新規セパレータは、ラテックス及び/又はゴムを含有してよい。本明細書で使用されるとき、ゴムは記載しなければならず、ゴム、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、架橋若しくは非架橋ゴム、硬化若しくは未硬化ゴム、クラムゴム若しくは粉砕ゴム、又はこれらの混合物である。例示的天然ゴムとしては、様々な供給元から購入することができるポリイソプレンの1つ以上の配合物が挙げられる。例示的合成ゴムとしては、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロペン(chloropene)ゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ノルボルネンゴム、アクリレートゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴム並びにスチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM及びEPDM)及びエチレン・酢酸ビニルゴムなどの共重合体ゴムが挙げられる。ゴムは、架橋ゴムであってもよく、非架橋ゴムであってもよく、特定の好ましい実施形態では、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態では、ゴムは架橋ゴム及び非架橋ゴムの配合物であってもよい。
【0163】
可塑剤
特定の実施形態では、例示的加工用可塑剤としては、プロセスオイル、石油、パラフィン系鉱油、鉱油、及びこれらのいずれかの組合せを挙げることができる。
【0164】
フィラー
セパレータは、高次構造組織を有するフィラーを含むことができる。例示的フィラーとしては:シリカ、ドライ微粉シリカ;沈降シリカ;アモルファスシリカ;脆いシリカ;非常に脆いシリカ;アルミナ;タルク;魚粉;魚骨粉;カーボン;カーボンブラック;及び同様のもの、並びにこれらの組合せを挙げることができる。特定の好ましい実施形態では、フィラーは、1つ以上のシリカである。高次構造組織は、増大された表面積を表す。フィラーは、例えば、100m2/g超、110m2/g、120m2/g、130m2/g、140m2/g、150m2/g、160m2/g、170m2/g、180m2/g、190m2/g、200m2/g、210m2/g、220m2/g、230m2/g、240m2/g、又は250m2/gの高表面積を有することができる。いくつかの実施形態では、フィラー(例えば、シリカ)は、100~300m2/g、125~275m2/g、150~250m2/g、又は好ましくは170~220m2/gの表面積を有することができる。表面積を、多点法BET窒素表面積用TriStar3000TMを使用して評価することができる。高次構造組織は、フィラーが製造過程中より多くのオイルを保持することを可能とする。例えば、高次構造組織を有するフィラーは、例えば、約150ml/100g超、175ml/100g、200ml/100g、225ml/100g、250ml/100g、275ml/100g、300ml/100g、325ml/100g、又は350ml/100gの高レベルのオイル吸収を有する。いくつかの実施形態では、フィラー(例えば、シリカ)は、200~500ml/100g、200~400ml/100g、225~375ml/100g、225~350ml/100g、225~325ml/100g、好ましくは250~300ml/100gのオイル吸収を有することができる。いくつかの例では、266ml/100gのオイル吸収を有するシリカフィラーを使用する。かかるシリカフィラーは、5.1%の含水率、178m2/gのBET表面積、23μmの平均粒度、0.1%の230メッシュ値篩い残留分及び135g/Lの嵩密度を有する。
【0165】
比較的高レベルの吸油性及び比較的高レベルの可塑剤(例えば、鉱油)との親和性を有するシリカは、本明細書に示されている例示的鉛蓄電池セパレータを製造する場合、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)及び可塑剤の混合物中に望ましく分散可能になる。これまで、いくつかのセパレータは、大量のシリカを使用してかかるセパレータ又は膜を製造する場合、シリカアグリゲーションが原因である分散不良の不利益を経験した。本明細書に示され、記載されている本発明のセパレータの少なくとも特定のものでは、溶融ポリオレフィンを冷却する時間にポリオレフィンの分子運動を阻害するシリカアグリゲーション又はアグロメレートがほとんどないので、ポリエチレンなどのポリオレフィンはシシ・ケバブ構造形成を形成する。この全ては、得られたセパレータ膜を通過する改良されたイオン透過性に寄与し、シシ・ケバブ構造又は組織の形成は、より低い全体的ERセパレータを製造する間、機械的強度が維持され、又は向上さえすることを意味する。
【0166】
いくつかの選択された実施形態では、フィラー(例えば、シリカ)は、25μm以下、場合によっては、22μm以下、20μm、18μm、15μm、又は10μmの平均粒度を有する。場合によっては、フィラー粒子の平均粒度は、約15μm~約25μmである。シリカフィラーの粒度及び/又はシリカフィラーの表面積は、シリカフィラーのオイル吸収に寄与する。最終製品又はセパレータ中のシリカ粒子は、上記サイズ内にあり得る。しかしながら、原料として使用される最初のシリカは1つ以上のアグロメレート及び/又はアグリゲートとして入手され、約200μm以上のサイズを有し得る。
【0167】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明のセパレータの製造に使用されるシリカは、鉛蓄電池セパレータの製造に従来使用されたシリカフィラーと比較して、表面シラノール基(表面ヒドロキシル基)数量を増加する。例えば、本明細書中の特定の好ましい実施形態で使用してよいシリカフィラーは、鉛蓄電池セパレータの製造に使用される公知のシリカフィラーと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、又は少なくとも35%多いシラノール及び/又はヒドロキシル表面基を有するシリカフィラーであってよい。
【0168】
元素シリコン(Si)に対するシラノール基(Si-OH)の比(Si-OH/Si)は、例えば、次のように測定することができる。
【0169】
1.ポリオレフィン多孔質膜を凍結粉砕(特定の本発明の膜は本発明による特定の様々なオイル吸収シリカを含む)し、固体核磁気共鳴分光法(29Si-NMR)のための粉体状サンプルを調製する。
【0170】
2.粉体状サンプルに対して29Si-NMRを行い、水酸基との直接結合であるSiスペクトル強度(スペクトル:Q2及びQ3)及び酸素原子との直接結合のみであるSiスペクトル強度(スペクトル:Q4)を含むスペクトルを観察し、各NMRピークスペクトルの分子構造を次の通り図解(delineated)することができる:
・Q2:(SiO)2-Si*-(OH)2:2つの水酸基を有する
・Q3:(SiO)3-Si*-(OH):1つの水酸基を有する
・Q4:(SiO)4-Si*:全Si結合はSiOである
Si*は、NMR観察により提供される元素。
【0171】
3.観察用使用される29Si-NMRのための条件は次の通りである:
・装置:Bruker BioSpin Avance 500
・共鳴周波数:99.36MHz
・サンプル量:250mg
・NMRチューブ:7mφ
・観察法:DD/MAS
・パルス幅:45°
・繰り返し時間:100秒
・スキャン:800
・マジック角回転:5,000Hz
・化学シフト基準:シリコーンゴム -22.43ppm
【0172】
4.数値的に、スペクトルピークを分離し、Q2、Q3、及びQ4に属する各ピークの面積比を算出する。この後、比に基づいて、Siと直接結合している水酸基(-OH)のモル比を算出する。数値的ピーク分離の条件を次のように行う:
・フィッティング領域:-80~-130ppm
・初期ピーク頂点:それぞれ、Q2では-93ppm、Q3では-101ppm、Q4では-111ppm。
・初期全幅半値:それぞれ、Q2では400Hz、Q3では350Hz、Q4では450Hz。
・ガウス関数比:初期80%及びフィッティング中70~100%。
【0173】
5.Q2、Q3、及びQ4のピーク面積比(合計は100)をフィッティングにより得られた各ピークに基づいて算出する。各シリケート結合構造の分子数に対応するNMRピーク面積(したがって、Q4NMRでは、4つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在し;Q3NMRでは、3つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在すると同時に1つのSi-OHが存在し;Q2では2つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在すると同時に2つのSi-OHが存在する)。したがって、Q2、Q3、及びQ4の水酸基(-OH)の各数は、それぞれ、2(2)、1(1)、及びゼロ(0)を掛ける。これらの3つの結果を合計する。合計値は、Siと直接結合している水酸基(-OH)のモル比を示す。
【0174】
特定の実施形態では、シリカは、29Si-NMRにより測定されるSi基に対するOH基の分子比を有し得、約21:100~35:100の範囲内であり得、いくつかの好ましい実施形態では、約23:100~約31:100、特定の好ましい実施形態では、約25:100~約29:100、他の好ましい実施形態では、少なくとも約27:100以上であり得る。
【0175】
いくつかの選択された実施形態では、上記フィラーの使用は、押出工程中においてプロセスオイルをより大きな比率で使用することを可能とする。押出後、オイルの部分的除去によるセパレータ中の多孔質構造を形成するとき、オイルのより高い初期吸収量は、より高い空隙率又はより高い空隙容量をもたらす。プロセスオイルは押出工程の不可欠な構成要素であるが、オイルは、セパレータの導電性構成要素ではない。セパレータ中の残オイルは、正極と接触する場合の酸化からセパレータを保護する。プロセス工程におけるオイルの正確な量を、従来のセパレータの製造において制御してよい。概して言えば、従来のセパレータは、50~70重量%のプロセスオイル、いくつかの実施形態では、55~65重量%、いくつかの実施形態では、60~65重量%、いくつかの実施形態では、約62重量%のプロセスオイルを使用して製造される。約59%未満にオイルを減少することは、押出機構成要素に対する摩擦を増大させることによる焼け(burning)の原因となることが分かっている。しかしながら、所定量よりずっと多くオイルを増加すると、乾燥段階で収縮の原因となり、寸法不安定をもたらす。オイル含有率を増加する前の企てはオイル除去中の細孔収縮又は凝縮をもたらしたが、本明細書に開示されているように製造されたセパレータは、もしあるとすれば、オイル除去中、最小限の細孔収縮又は凝縮しか示さない。したがって、細孔径及び寸法安定性を損なわず空隙率を増大させることができ、それにより電気抵抗を低下させる。
【0176】
特定の選択された実施形態では、上記フィラーの使用は、最終セパレータにおいて最終オイル濃度を減少することを可能とする。オイルは非導電体であるので、オイル含有率を減少することは、セパレータのイオン伝導率を増大させ、セパレータのER低下を助ける。このように、減少された最終オイル含有率を有するセパレータは、効率を増大させることができる。特定の選択された実施形態では、20%未満、例えば、約14%~20%、いくつかの特定の実施形態では、19%未満、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、又は5%の最終プロセスオイル含有率(重量基準)を有するセパレータを提供する。
【0177】
フィラーは、膜を横切ってこれらの輸送促進し、これにより、強化型液式バッテリー又はシステムなどのバッテリーの電気抵抗又はER全体を再度低下させる、電解液イオンのいわゆる水和層をさらに低減させ得る。
【0178】
フィラー(単数)又はフィラー(複数)は、セパレータを横切る電解液及びイオンの流動を促進する様々な化学種(例えば、金属などの極性化学種)を含んでもよい。かかるセパレータは、強化型液式バッテリーなどの液式バッテリーにおいて使用されるので、電気抵抗全体を低下させる。
【0179】
特定の実施形態では、セパレータは、導体素子又は核形成添加剤及び/又はコーティングの形態で性能向上添加剤を含有してよい。セパレータは、導体素子又は核形成添加剤は、好ましくは、バッテリー電解液中で安定であり得、電解液内に更に分散され得る。
【0180】
導電要素の例示的形態及び/又はコーティングは、炭素、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンフィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡カーボンフォーム、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、カーボン水性懸濁液、りん状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組合せであるか又は含んでよい。カーボンのこれらの多くの形態に加えて、核形成添加剤及び/又はコーティングは、単独又はカーボンとの組合せのいずれかで硫酸バリウム(BaSO4)を含む又は含有してもよい。カーボンの1つの例示的形態は、米国マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationにより製造されているPBX(登録商標)-135である。カーボンの1つの例示的好ましい形態は、米国マサチューセッツ州ボストンのCabot Corporationにより製造されているPBX(登録商標)-51である。本発明者らは、カーボンの表面積が大きいほど、バッテリー中の動的電荷受容性は大きくなると理論化している。例えば、PBX(登録商標)-51は、少なくとも約1,300m2/g~約1,500m2/gの比表面積を有し、ケッチェンブラックは、少なくとも約1,250m2/gの表面積を有する。
【0181】
核形成コーティングを、スラリー塗布、スロットダイ塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又は真空蒸着若しくは化学気相蒸着(「CVD」)のような手段によって、最終セパレータに塗布してよい。加えて、添加剤及び/又はコーティングを、カーボン紙、織布又は不織布のいずれかとして提供し、セパレータ及び電極間並びにセパレータ及び電極と密接に配置してよい。
【0182】
核形成添加剤及び/若しくはコーティングは、セパレータ内、又はセパレータの電極対向面の1つの面若しくは両面上に存在してよい。通常、核形成添加剤のコーティング又は層は、負極対向面上にのみ存在してよい。しかしながら、該コーティング又は層は、正極対向面上、又は両面上に存在してよい。
【0183】
特定の実施形態では、核形成添加剤を、ベース材料の押出混合物に添加し、セパレータと共に押出、又はセパレータ上の層として共押出してよい。押出混合物に含まれる場合、核形成添加剤は、5重量%~75重量%ほど、シリカフィラーの一部を置き換えてよい。例えば、核形成添加剤を、約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、又は約75重量%であってよい。他の例示的実施形態では、核形成添加剤を、約75重量%以下、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、又は約5重量%であってよい。
【0184】
脆砕性
特定の選択された実施形態では、フィラーは、アルミナ、タルク、シリカ、又はこれらの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、フィラーは、沈降シリカであり得、いくつかの実施形態では、沈降シリカはアモルファスシリカである。いくつかの実施形態では、セパレータ全体にわたってフィラーの微細分散を可能とするシリカのアグリゲート及び/又はアグロメレートを使用して、それにより、ねじれ及び電気抵抗を減少することが好ましい。特定の好ましい実施形態では、フィラー(例えば、シリカ)は、高レベルの脆砕性を特徴とする。良好な脆砕性は、多孔質膜の押出中のポリマー全体にわたるフィラーの分散を促進して、空隙率を増大し、したがって、セパレータを通じるイオン伝導性全体を向上させる。
【0185】
上記特徴の1つ以上を有するフィラーの使用は、より高い最終空隙率を有するセパレータの製造を可能とする。本明細書に開示されているセパレータは、60%超、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%の最終空隙率を有することができる。空隙率を、ガス吸着法を使用して測定してよい。空隙率を、BS-TE-2060によって測定することができる。
【0186】
いくつかの選択された実施形態では、多孔質セパレータは、約1μm以下、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm、0.5μm、又は0.1μmの平均細孔径を維持しながら、より大きい細孔のより大きい比率を有することができる。
【0187】
少なくとも1つの実施形態によれば、セパレータは、プロセスオイル及びフィラー並びにいずれかの所望の添加剤と共に混合された超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)などのポリエチレンから製造する。少なくとも1つの実施形態によれば、セパレータは、プロセスオイルおよびタルクと混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から製造する。少なくとも1つの他の実施形態によれば、セパレータは、プロセスオイルおよびシリカ、例えば、沈降シリカ、例えば、アモルファス沈降シリカと混合されたUHMWPEから製造する。それから、上記技術の1つ以上により、添加剤をセパレータに適用することができる。
【0188】
電気抵抗の低下及びコールドクランキングアンペアの減少に加えて、好ましいセパレータを、他の利益をもたらすように設計する。アセンブリに関して、セパレータを、加工装置をより容易に通過し、したがって、より効率的に製造する。
高速アセンブリおよび寿命の後期における短絡を防止するため、標準的PEセパレータと比較した場合、セパレータは優れた穿刺強度および耐酸化性を有する。低下された電気抵抗及び増加されたコールドクランキングアンペアと組み合わせて、バッテリー製造者は、これらの新規セパレータを備えるこれらのバッテリーの改良及び持続性の電気性能を見出す可能性が高い。
【0189】
添加剤/界面活性剤
特定の実施形態では、例示的セパレータは、セパレータ又は多孔質膜に添加された1つ以上の性能向上添加剤を含有してよい。性能向上添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色料、静電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤、及び/又は同様のもの、並びにこれらのいずれかの組合せであってよい。特定の実施形態では、添加剤界面活性剤は、イオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤であってよい。
【0190】
本明細書に記載されている特定の実施形態では、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の減少量を本発明の多孔質膜又はセパレータに添加する。より少量の界面活性剤のために、所望の特徴としては、全有機炭素(「TOC」)低下及び/又は揮発性有機化合物(「VOC」)低下を挙げることができる。
【0191】
特定の適切な界面活性剤は非イオン性であるが、他の適切な界面活性剤はアニオン性である。添加剤は、単一の界面活性剤又は2つ以上の界面活性剤の混合物、例えば、2つ以上のアニオン性界面活性剤、2つ以上の非イオン性界面活性剤、又は少なくとも1つのイオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤であってよい。特定の適切な界面活性剤は、6未満、好ましくは3未満のHLB値を有してよい。本明細書に記載されている本発明のセパレータと共にこれらの特定の適切な界面活性剤を使用することによりなおさらに改良されたセパレータを得ることができ、鉛蓄電池で使用される場合、鉛蓄電池に関して水損失低減、アンチモン中毒低減、改良されたサイクル、フロート電流低減、フロート電位低下、及び/若しくは同様のもの、又はこれらのいずれかの組合せをもたらす。適切な界面活性剤としては、硫酸アルキルの塩;アルキルアリールスルホン酸塩;アルキルフェノール・酸化アルキレン付加生成物;石鹸;アルキルナフタレンスルホン酸塩などの界面活性剤;アニオン性スルホサクシネート;スルホコハク酸塩のジアルキルエステルなどの1つ以上のスルホサクシネート;アミノ化合物(第一級、第二級、第三級、又は第四級アミン);酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体;様々な酸化ポリエチレン;並びにモノ及びジアルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。添加剤としては、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシ化エステル、ポリエトキシ化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、アルキルポリグリコシド及びその配合物などのアルキルポリサッカライド、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、有機シリコーン系界面活性剤、エチレン酢酸ビニル三元重合体、エトキシ化アルキルアリールリン酸エステル並びに脂肪酸のショ糖エステルを挙げることができる。
特定の実施形態では、添加剤は、式(I)の化合物により表してよい。
【0192】
【0193】
式中:
・Rは、酸素原子が割り込んでもよい10~4200個、好ましくは13~4200個の炭素原子を有する直鎖又は非芳香族炭化水素ラジカルであり;
【0194】
【0195】
好ましくは、Hであり、式中、k=1又は2;
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+又はNH4
+であり、全ての変数Mが同時にH+の意味を有するとは限らず;
・n=0又は1;
・m=0又は10~1400の整数;並びに
・x=1又は2。
【0196】
式(I)による化合物における炭素原子に対する酸素原子の比は、1:1.5~1:30の範囲であり、m及びnは同時に0にはなれない。しかしながら、好ましくは、変数n及びmのうち1つのみは0と異なる。
【0197】
非芳香族炭化水素ラジカルは、芳香族基を含まず、それ自体も芳香族でないラジカルを意味する。炭化水素ラジカルは、酸素が割り込んでよい(すなわち、1つ以上のエーテル基を含む)。
【0198】
Rは、好ましくは酸素原子により割り込んでよい直鎖又は分岐鎖脂肪族炭化水素ラジカルである。飽和、非架橋炭化水素ラジカルは非常に特に好ましい。しかしながら、上記のように、特定の実施形態では、Rは、芳香族環を含有してよい。
【0199】
バッテリーセパレータの製造のための式(I)の化合物の使用により、これらは酸化分解に対して効果的に保護してよい。
【0200】
以下である式(I)による化合物を含むバッテリーセパレータが好ましい。
・Rは、10~180個、好ましくは12~75個、非常に特に好ましくは14~40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、該炭化水素ラジカルは1~60個、好ましくは1~20個、非常に特に好ましくは1~8個の酸素原子により割り込まれてもよく、特に好ましくは、式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-の炭化水素ラジカルであり、式中:
oR2は、10~30個の炭素原子、好ましくは12~25個、特に好ましくは14~20個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、R2は直鎖又は芳香族環を含むなどの非直鎖であり得;
oPは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり;及び
oqは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり;
op及びqの合計が0~10、特に0~4である化合物が特に好ましく;
on=1;及び
om=0
である。
【0201】
式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-は、角括弧内の基の順序が示されたものと異なる化合物も含むと理解されるべきである。例えば、本発明によれば、括弧内のラジカルが交互の(OC2H4)基及び(OC3H6)基により生成される化合物が適している。
【0202】
R2が10~20個、好ましくは14~18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルラジカルである添加剤は、特に有利であることが分かった。OC2H4は、好ましくはOCH2CH2であり、OC3H6は、OCH(CH3)2及び/又はOCH2CH2CH3である。
【0203】
好ましい添加剤として、特にアルコール(p=q=0;m=0)を挙げることができ、一級アルコールは特に好ましく、脂肪アルコールエトキシレート(p=1~4、q=0)、脂肪アルコールプロポキシレート(p=0;q=1~4)及び脂肪アルコールアルコキシレート(p=1~2;q=1~4)一級アルコールのエトキシレートは好ましい。脂肪アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールと酸化エチレン又は酸化プロピレンとの反応により得られる。
【0204】
水及び硫酸に可溶でない、又はただ難溶である、m=0の種類の添加剤は、特に有利であると分かった。
【0205】
・Rは、20~4200個、好ましくは50~750個、非常に特に好ましくは80~225個の炭素原子を有するアルカンラジカルである。
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+であり、特にLi+、Na+及びK+又はH+などのアルカリ金属イオンであり、全ての変数Mが同時にH+の意味を有するとは限らず;
・n=0;
・mは、10~1400の整数であり;及び
・x=1又は2
である式(I)による化合物を含む添加剤も好ましい。
【0206】
塩添加剤
特定の実施形態では、適切な添加剤としては、特にその酸基が、好ましくは40%、特に好ましくは80%など少なくとも部分的に中和されている、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体を挙げることができる。パーセンテージは酸基の数を表す。非常に特に好ましいのは、完全に塩形態で存在するポリ(メタ)アクリル酸である。適切な塩としては、Li、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Zn、及びアンモニウム(Rが水素又は炭素官能基のいずれかであるNR4)が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル酸としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸・メタクリル酸共重合体を挙げることができる。ポリ(メタ)アクリル酸は好ましく、特に、1,000~100,000g/モル、特に好ましくは1,000~15,000g/モル、非常に特に好ましくは1,000~4,000g/モルの平均モル質量Mwを有するポリアクリル酸である。ポリ(メタ)アクリル酸重合体及び共重合体の分子量を、水酸化ナトリウム溶液で中和したポリマーの1%水溶液の粘度の測定により(フィッケンチャー(Fikentscher)定数)確認する。
【0207】
(メタ)アクリル酸の共重合体、特に、(メタ)アクリル酸に加えて、コモノマーとして、エチレン、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸エチルヘキシルを含有する共重合体も適している。少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも80重量%の(メタ)アクリル酸モノマーを含有する共重合体が好ましく、パーセンテージは、モノマー又は重合体の酸形態に対するものである。
【0208】
ポリアクリル酸重合体及び共重合体を中和するために、水酸化カリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムは特に適している。加えて、セパレータを増強するためのコーティング及び/又は添加剤としては、例えば、ほんの一例として(限定するものではない)、Zn、Na、又はAlであってよい金属アルコキシド、例として、ナトリウムエトキシドを挙げることができる。
【0209】
いくつかの実施形態では、多孔質ポリオレフィン多孔質膜は、このような層の片側面又は両側面上のコーティングを備えてもよい。かかるコーティングは、界面活性剤又は他の材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、例えば、米国特許出願公開第2012/0094183号(参照することにより本明細書に組み入れられる)に記載されている1つ以上の材料を含んでもよい。かかるコーティングは、例えば、バッテリーシステムの過充電電圧を低下させ、これにより、格子腐食が少なく、ドライアウト及び/又は水損失を防止してバッテリー寿命を延長し得る。
【0210】
比
特定の選択された実施形態では、約5~15重量%のポリマー、場合によっては、約10重量%のポリマー(例えば、ポリエチレン)、約10~75重量%のフィラー(例えば、シリカ)、場合によっては、約30重量%のフィラー、及び約10~85重量%のプロセスオイル、場合によっては、約60重量%のプロセスオイルを配合することにより、膜を製造してよい。他の実施形態では、フィラー含有率を減らし、オイル含有率をより高くする、例えば、約61重量%超、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%又は70重量%である。フィラー:ポリマー比(重量基準)は、およそであり得る(又はおよそこれらの指定範囲間であり得る)、例えば、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1又は6:1である。フィラー:ポリマー比(重量基準)は、約1.5:1~約6:1、場合によっては、2:1~6:1、約2:1~5:1、約2:1~4:1、場合によっては、約2:1~約3:1であり得る。フィラー、オイル、及びポリマーの量は、操業性(runnability)並びに電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、耐酸化性、空隙率、物理的強度、ねじれ、及び同様のものなどの所望のセパレータ特性について全バランスが取れている。
【0211】
少なくとも1つの実施形態によれば、多孔質膜は、プロセスオイル及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。少なくとも1つの実施形態によれば、多孔質膜は、プロセスオイル、添加剤及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。混合物は、微量のセパレータ技術分野において一般的な他の添加剤又は試剤(例えば、界面活性剤、湿潤剤、着色料、帯電防止剤、酸化防止剤、及び/又は同様のもの、並びにこれらのいずれかの組合せ)を含み得る。場合によっては、多孔質ポリマー層は、8~100体積%のポリオレフィン、0~40体積%の可塑剤及び0~92体積%の不活性フィラー材の均一な混合物であり得る。好ましい可塑剤は石油である。可塑剤は溶媒抽出及び乾燥により最も容易にポリマー・フィラー・可塑剤組成物から取り除かれる成分であるので、バッテリーセパレータへ空隙率を付与するのに有用である。
【0212】
特定の実施形態では、本明細書に開示されている多孔質膜は、ラテックス及び/又は天然ゴム、合成ゴム、若しくはこれらの混合物であり得るゴムを含有し得る。天然ゴムとしては、様々な供給元から購入することができるポリイソプレンの1つ以上の配合物が挙げられる。例示的合成ゴムとしては、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロペン(chloropene)ゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ノルボルネンゴム、アクリレートゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴム並びにスチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM及びEPDM)及びエチレン・酢酸ビニルゴムなどの共重合体ゴムが挙げられる。ゴムは、架橋ゴムであってもよく、非架橋ゴムであってもよく、特定の好ましい実施形態では、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態では、ゴムは架橋ゴム及び非架橋ゴムの配合物であってもよい。ゴムは、最終セパレータ重量(ポリオレフィンセパレータシート又はゴム及び/又はラテックスを含有する層の重量)に対して、少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は10重量%である量でセパレータ中に存在してよい。特定の実施形態では、ゴムは、約1~6重量%、約3~6重量%、約3重量%、及び約6重量%の量で存在してよい。多孔質膜は、約2.6:1.0のポリマー及びゴムに対するフィラー(フィラー:ポリマー及びゴム)重量比を有してよい。ゴム、フィラー、オイル、及びポリマーの量は、操業性)並びに電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、耐酸化性、空隙率、物理的強度、ねじれ、及び同様のものなどの所望のセパレータ特性について全バランスが取れている。
【0213】
本発明により製造された多孔質膜は、ポリエチレン及びフィラー(例えば、シリカ)を備え、典型的には、残オイル含有物を有し;いくつかの実施形態では、かかる残オイル含有物はセパレータ膜の総重量のうち約0.5%~約40%(いくつかの実施形態では、セパレータ膜の総重量のうち約10~40%、場合によっては、総量のうち約20~40%)である。本明細書中特定の選択された実施形態では、セパレータ中の残オイル含有物の一部~全てを、6未満の親水性油性バランス(「HLB」)を有する界面活性剤など、又は非イオン性界面活性剤などの界面活性剤などのより多くの、性能向上添加剤の添加により置換してもよい。例えば、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤などの性能向上添加剤は、多孔質セパレータ膜の総重量のうち0.5%以下の量から全量までの様々に残オイル含有物(例えば、20%又は30%又はなお40%まで)を有し、これによりセパレータ膜中の残オイルを部分的又は完全に置換してもよい。
【0214】
製造
いくつかの実施形態では、例示的多孔質膜を、押出機中で構成成分を混合することによって製造してよい。例えば、約10重量%のUHMWPEと共に約30重量%のフィラー、及び約60%のプロセスオイルを、押出機中で混合してよい。例示的多孔質膜を、構成成分を加熱された押出機を通過させ、押出機により生成された押出物をダイ及び2つの加熱されたプレス又はカレンダー若しくはロールによって形成されたニップ中に通過させて連続ウェブを製造してよい。ウェブからの相当量のプロセスオイルを溶媒の使用により抽出し、それにより、次に乾燥によって溶媒を除去してよい。それから、ウェブを所定幅のレーンに裁断してからロールに巻き取ってよい。加えて、プレス又はカレンダーロールを、様々な溝パターンで刻み、実質的に本明細書に記載されているリブ、溝、テクスチャード加工部分、エンボス及び/又は同様のものを付与してよい。
【0215】
ゴムを用いた製造
いくつかの実施形態では、例示的多孔質膜を、押出機中で構成成分を混合することによって製造してよい。例えば、約5~15重量%のポリマー(例えば、ポリエチレン)、約10~75重量%のフィラー(例えば、シリカ)、約1~50重量%のゴム及び/又はラテックス、並びに約10~85%のプロセスオイルを押出機中で混合してよい。例示的多孔質膜を、構成成分を加熱された押出機を通過させ、押出機により生成された押出物をダイ及び2つの加熱されたプレス又はカレンダー若しくはロールによって形成されたニップ中に通過させて連続ウェブを製造してよい。ウェブからの相当量のプロセスオイルを溶媒の使用により抽出してよい。それから、ウェブを乾燥し、所定幅のレーンにスリットしてからロールに巻き取ってよい。加えて、プレス又はカレンダーロールを、様々な溝パターンで刻み、実質的に本明細書に記載されているリブ、溝、テクスチャード加工部分、エンボス及び/又は同様のものを付与してよい。ゴム、フィラー、オイル、及びポリマーの量は、操業性並びに電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、耐酸化性、空隙率、物理的強度、ねじれ、及び同様のものなどの所望のセパレータ特性について全バランスが取れている。
【0216】
押出機の構成成分への添加することに加えて、特定の実施形態は、押出後、多孔質膜にゴムを結合する。例えば、ゴムを、片面又は両面、好ましくは負極に面している面に、ゴム及び/又はラテックス、必要に応じてシリカ、及び水で被覆し、次いで、この材料の薄膜が例示的多孔質膜の表面上に形成されるように乾燥してよい。この層のより良好な湿潤性のため、公知の湿潤剤を鉛蓄電池に使用するためのスラリーへ添加してよい。特定の実施形態では、スラリーは、本明細書に記載されている1つ以上の性能向上添加剤を含むこともできる。乾燥後、多孔質層及び/又は薄膜はセパレータ表面に形成し、多孔質膜に非常によく接着し、そうであるとしても僅かに電気抵抗を増大させるだけである。ゴムを添加した後、プレス機械又はカレンダー若しくはロールのいずれかを使用して更に加圧してよい。ゴム及び/又はラテックスを塗布する他の可能性ある方法は、セパレータの1つ以上の面を浸漬塗布、ローラー塗布、噴霧塗布、若しくはカーテン塗布、又はこれらのいずれかの組合せによるゴム及び/又はラテックススラリーを塗布することである。これらの方法は、プロセスオイルを抽出する前若しくは後、又はレーンにスリットする前若しくは後で行ってよい。
【0217】
本発明のさらなる実施形態は、含浸及び乾燥により膜上にゴムを成膜することに関する。
【0218】
性能向上添加剤を用いた製造
特定の実施形態では、性能向上添加剤又は性能向上剤(例えば、界面活性剤、湿潤剤、着色料、帯電防止剤、酸化防止剤、及び/又は同様のもの、並びにこれらのいずれかの組合せ)を、押出機内で他の構成成分と共に混合してもよい。それから、本開示による多孔質膜をシート又はウェブの形状に押出して、上記と実質的に同じ方法で仕上げ加工してよい。
【0219】
特定の実施形態では、及び押出機への添加に加えて又は添加の代わりに、添加剤(単数)又は添加剤(複数)を、例えば、仕上げ加工する場合(例えば、大部分のプロセスオイルの抽出後、及びゴムの導入前又は後)、セパレータ多孔質膜に塗布してよい。特定の好ましい実施形態によれば、添加剤又は添加剤溶液(例えば、水溶液)を、セパレータの1つ以上の面に塗布する。特に、熱に安定でない添加剤及びプロセスオイルの抽出に使用される溶媒に可溶である添加剤の塗布にはこの変法は適している。本発明による添加剤のための溶媒として特に適しているのは、メタノール及びエタノール、並びにこれらのアルコール類と水との混合物などの低分子量アルコール類である。セパレータの負極と対面する側面、正極と対面する側面又は両側面に塗布を行うことができる。溶媒浴中にある間に細孔形成剤(例えば、プロセスオイル)の抽出中に塗布を行ってもよい。特定の選択された実施形態では、界面活性剤コーティングなどの性能向上添加剤の一部分又はセパレータを製造する前に押出機へ添加された性能向上添加剤(又は両方)はバッテリーシステム中のアンチモンと結合し得、これを不活化し、及び/又はこれと化合物を生成し、及び/又はこれをバッテリーのマッドレスト(mud rest)に落とし、及び/又はこれを負極上に成膜するのを防止し得る。界面活性剤又は添加剤を、電解液、ガラスマット、バッテリーケース、ペースト紙、ペーストマット、及び/若しくは同様のもの、又はこれらの組合せに添加してもよい。
【0220】
特定の実施形態では、添加剤(例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物)は、少なくとも0.5g/m2、1.0g/m2、1.5g/m2、2.0g/m2、2.5g/m2、3.0g/m2、3.5g/m2、4.0g/m2、4.5g/m2、5.0g/m2、5.5g/m2、6.0g/m2、6.5g/m2、7.0g/m2、7.5g/m2、8.0g/m2、8.5g/m2、9.0g/m2、9.5g/m2若しくは10.0g/m2又はさらに約25.0g/m2以下の密度又は含浸量レベルで存在してよい。添加剤は、0.5~15g/m2、0.5~10g/m2、1.0~10.0g/m2、1.5~10.0g/m2、2.0~10.0g/m2、2.5~10.0g/m2、3.0~10.0g/m2、3.5~10.0g/m2、4.0~10.0g/m2、4.5~10.0g/m2、5.0~10.0g/m2、5.5~10.0g/m2、6.0~10.0g/m2、6.5~10.0g/m2、7.0~10.0g/m2、7.5~10.0g/m2、4.5~7.5g/m2、5.0~10.5g/m2、5.0~11.0g/m2、5.0~12.0g/m2、5.0~15.0g/m2、5.0~16.0g/m2、5.0~17.0g/m2、5.0~18.0g/m2、5.0~19.0g/m2、5.0~20.0g/m2、5.0~21.0g/m2、5.0~22.0g/m2、5.0~23.0g/m2、5.0~24.0g/m2、又は5.0~25.0g/m2の密度又は含浸量レベルでセパレータ上に存在してよい。
【0221】
添加剤又は添加剤溶液(溶媒浴添加)にバッテリーセパレータを浸漬し、必要ならば、例えば、乾燥により溶媒を除去することにより塗布を行ってもよい。この方法では、添加剤の塗布を、例えば、膜製造中にしばしば適用される抽出と組み合わせてよい。他の好ましい方法は、添加剤を表面に噴霧する、セパレータ表面に1つ以上の添加剤を浸漬塗布、ローラー塗布、又はカーテン塗布することである。
【0222】
本明細書に記載されている特定の実施形態では、イオン性、カチオン性、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の減少量を本発明のセパレータに添加する。そのような場合、所望の特徴としては低い全有機体炭素量を含んでよく、及び/又は低い揮発性有機化合物(より低い界面活性剤量が理由で)は、このような実施形態による所望の本発明のセパレータを製造してよい。
【0223】
繊維状マットと結合
本発明の特定の実施形態は、スクリム及び積層物を使用する。負極又は正極のいずれかにおいて間隔を得るために、代わりにスクリム又は積層物を使用することができる。したがって、1つの実施形態は、正極及び負極の両方と面する2つの層と結合した平らなシートPEセパレータであり得る。
【0224】
特定の実施形態では、本開示による例示的セパレータを、増強されたウイッキング特性及び/又は電解液の向上された湿潤性又は保持性を有する繊維層又は繊維マットなど、別の層(積層又は他)と組み合わせてよい。繊維マットは、織布、不織布、フリース、メッシュ、ネット、ガラス繊維、若しくは合成繊維から成る単層、多層(各層は他の層と同じ、同様、又は異なる特性を有してよい)、合成繊維若しくはガラス繊維と合成繊維の混合物から成るフリース若しくは織物、又は紙、又はこれらのいずれかの組合せであってよい。
【0225】
特定の実施形態では、繊維マット(積層又は他)を、追加の材料のための担体として使用してよい。追加の材料としては、例えば、ゴム及び/若しくはラテックス、必要に応じて、シリカ、水、及び/又は本明細書に記載されている様々な添加剤など1つ以上の性能向上添加剤、又はこれらのいずれかの組合せを挙げることができる。例として、追加の材料を、繊維マットの1つ以上の面に被覆して薄膜を形成するか、浸漬及び繊維マット中に含浸してよいスラリーの形態で供給してよい。
【0226】
繊維層が存在する場合、多孔質膜は、繊維層より大きな表面積を有することが好ましい。したがって、多孔質膜及び繊維層を組み合わせる場合、繊維層は多孔質層を完全に被覆しない。膜層の少なくとも2つの対向する端部領域は被覆されていないままであり、ポケット又はエンベロープ及び/又は同様のものの必要に応じて形成を促進する熱シーリングのための端部を提供する。かかる繊維マットは、少なくとも100μm、いくつかの実施形態では、少なくとも約200μm、少なくとも約250μm、少なくとも約300μm、少なくとも約400μm、少なくとも約500μm、少なくとも約600μm、少なくとも約700μm、少なくとも約800μm、少なくとも約900μm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mmなどの厚さを有してよい。次に積層されたセパレータをばらばらに切断してもよい。特定の実施形態では、繊維マットを、多孔質膜多孔質膜のリブを付与された面に積層する。特定の実施形態では、ロール及び/又は切断片の携帯で供給し得るので、取扱い及び/又はアセンブリの利点を、本明細書に記載されている改良されたセパレータを含むバッテリー製造者に提供される。前述のように、改良されたセパレータは、1つ以上の繊維マット又は同様のものを付加していない独立型のセパレータシート又は層であってよい。
【0227】
繊維マットを多孔質膜に積層する場合、接着剤、熱、超音波溶接、加圧、及び/若しくは同様のもの、又はこれらのいずれかの組合せによってこれらを結合してよい。繊維マットは、PAM又はNAM保持マットであってよい。
【0228】
結論
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、セパレータ、特に、液式鉛畜電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のもの用のセパレータであって、セパレータは、電極における酸利用能を向上、酸欠乏を低減若しくは軽減;成層化を低減若しくは軽減;デンドライト成長を低減若しくは軽減;及び電気抵抗を低減することができ、並びに/又はコールドクランキングアンペアを増加することができる、セパレータを対象とする。加えて、本明細書において、少なくとも強化型液式鉛蓄電池における、バッテリー寿命を増強;電極における酸利用能を向上;酸欠乏を低減若しくは軽減;成層化を低減若しくは軽減;デンドライト成長を低減若しくは軽減;酸化の影響を低減;水損失を低減;内部抵抗を低減;湿潤性を低減;酸拡散を向上;コールドクランキングアンペアを向上;均一性を向上;及びこれらのいずれかの組合せのための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のもの用の改良されたセパレータであって、セパレータは、改良された新規なリブ及び改良されたセパレータレジリエンスを備える、セパレータを対象とする。
【0229】
少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のもの用の改良されたセパレータであって、セパレータは、性能向上添加剤若しくはコーティング、増大された耐酸化性、最適化された空隙率、増加された空隙容量、カーボン、硫酸バリウム、非晶質シリカ、高吸油シリカ、高シラノール基シリカ、21:100~35:100のSiに対するOHの比を有するシリカ、シシ・ケバブ構造又は組織、伸びきり鎖結晶(シシ構造形成)並びに折りたたみ鎖結晶(ケバブ構造形成)及び1nm~150nmのケバブ構造形成の平均反復周期を有するシシ・ケバブ構造形成を有する超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)など膜及びポリマーの40重量%以上の量で粒子状フィラーを含むポリオレフィン微多孔膜、減少されたシート厚さ、最適化されたねじれ、減少された厚さ、減少されたオイル含有率、増大された湿潤性、増大された酸拡散並びに/又は同様のもの、並びにこれらのいずれかの組合せを含む、セパレータを対象とする。
【0230】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、上記課題若しくはニーズを対象としてよく及び/又は新規若しくは改良されたセパレータ及び/若しくは強化型液式バッテリーを提供してよい。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、セル及び/若しくはバッテリーの製造方法及び/若しくは使用を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたバッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、若しくは強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、自動車用途、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)バッテリー、交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリーのためのセパレータ、並びに/又はかかる改良されたセパレータ、セル、バッテリー、システム、及び/若しくは同様のものの改良された製造方法及び/若しくは使用方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式バッテリー、VRLAバッテリー、ゲルバッテリー、AGMバッテリー用の改良されたセパレータ及び/又はかかる改良されたセパレータを備えるかかるバッテリーの改良された使用方法を対象とする。加えて、バッテリー性能及び寿命の強化、成層化の減少、内部電気抵抗の低減、コールドクランキングアンペアの増大、及び/又は少なくとも強化型液式バッテリー内の均一性の改良のための方法、システム及びバッテリーセパレータを本明細書に開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式バッテリー、VRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び/又はAGMセパレータ用の改良されたセパレータであって、セパレータは、低下された電気抵抗、性能向上添加剤若しくはコーティング、改良されたフィラー、増加された空隙率、最適化されたねじれ、減少された厚さ、減少されたオイル含有率、増大された湿潤性、増大された酸拡散、及び/又は同様のものを含む、セパレータを対象とする。
【0231】
少なくとも選択された実施形態では、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、特に強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池並びにVRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーなどの様々な他の鉛蓄電池用の新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、EFBセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、これを含むバッテリー、セル、システム、方法、これを使用する乗り物、これの製造方法、これの使用、及びこれらの組合せを対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー寿命を向上及びバッテリー電極酸欠乏の低減によるバッテリー故障を減少するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。
【0232】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、セル、バッテリー、システムの製造方法及び/若しくは使用並びに/又はこれを使用する方法及び/若しくは乗り物を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたバッテリーセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、又はAGMバッテリーセパレータ、例えば、ディープサイクル及び/若しくは部分充電状態(「PSoC」)用途に有用なものなどを対象とする。かかる応用としては:フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、e-リキシャ、e-バイク、e-トライク、及び/若しくは同様のものなどの電動機用途;内燃エンジン乗り物用に使用されるものなど、始動・照明・点火(「SLI」)バッテリーなどの自動車用途;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物バッテリー用途;ハイブリッド乗り物用途;ハイブリッド-電動乗り物用途;交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリー用途;インバーター;並びに太陽及び風力集電システムなどの再生可能及び/若しくは代替エネルギーシステムにおいて見られるものなどエネルギー貯蔵システムを挙げることができる。
【0233】
特定の選択された実施形態の少なくとも第一態様によれば、鉛蓄電池セパレータは、ポリマー及びシラーを含む多孔質膜を備える。多孔質膜は、第一面から延在する少なくとも第一複数のリブを備える少なくとも第一面を備える。第一複数のリブは、第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を備え、第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の各々は、セパレータに対してレジリエンスを提供するように互いに近接している。かかるレジリエンスは、NAM膨張、更にはPAM膨張を原因とする圧下の偏向に耐えるセパレータの能力を表し得る。かかる近接は、1つの歯、ピーク、又は突起物から別のものまで少なくとも約1.5mmであり得る。セパレータは、ベース部分から延在する第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を有する連続的ベース突起物を更に備えてよい。
【0234】
特定の実施形態では、セパレータは、ベース部分から延在する第一複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物を有する連続的ベース突起物を備えてよい。ベース部分は、歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の幅より広くあってよい。加えて、ベース部分は、歯又は非連続的ピーク若しくは突起物の各々の間に連続的に延在してよい。
【0235】
特定の選択された実施形態では、鉛蓄電池セパレータは、第一面、第二面を備えるバックウェブを備え、第一面及び第二面間の距離として定義されるバックウェブ厚さを有する多孔質膜を備える。第一面から延在するリブの第一アレイを提供してよく、第二面から延在するリブの第二アレイを提供してよい。リブの第一アレイは第一高さを有し、リブの第二アレイは第二高さを有し、これにより、第一高さは第二高さの約300%以下、第二高さの約200%以下、及び/又は第二高さの約100%以下、及び同様な比である。更に、特定の太陽では、全セパレータ厚さは、約1.5mm以下である。
【0236】
本発明の特定の態様では、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、及び/又は同様の大きさのトップリブ幅を備える鉛蓄電池セパレータは、リブの第一アレイ、リブの第二アレイ、又はリブの第一アレイ及びリブの第二アレイの両方のいずれかを備えてよい。
【0237】
本発明の特定の選択された態様では、リブの第一アレイのいずれか又は両方は、ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横断リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない若しくは断続的(broken)ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0238】
本発明の少なくとも選択された実施形態によれば、鉛蓄電池は、第一電極及び第二電極を備える。セパレータの少なくとも部分を、第一電極及び第二電極間に配置する。セパレータは、多孔質膜バックウェブを備え、バックウェブは、これから延在するリブの第一アレイを有する第一面を備え、第一面は第一電極に面している。セパレータは、第一電極と接触している少なくとも20のリブを備えてよく、これにより、20のリブの各々は、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、及び/又は同様の大きさの第一リブ上部幅を備える。特定の態様では、リブの第一アレイは、約120mm、約160mmなどのセパレータ幅に、少なくとも約20のリブ、少なくとも約30のリブ、少なくとも約40のリブ、及び/又はそれ以上のリブ、及び/又は同様の量を備えてよい。第一電極は、正極又は負極であり得る。
【0239】
選択された態様では、リブの第一アレイは、第一電極と完全接触している各非連続的ピークを含む一連の非連続的ピークを備え、したがって、第一電極の複数の支持部分、及び第一電極の無支持部分を包含する第一電極の非連続的支持領域を作ってよく;第一電極の複数の支持部分の隣接する支持部分間の距離は約6.0mm以下、約5.0mm以下、約4.0mm以下、約3.0mm以下、約2.0mm以下、及び/又は約1.0mm以下、及び/又は同様の大きさである。
【0240】
選択された態様では、鉛蓄電池は、第二電極に面し、これから延在するリブの第二アレイを備える第二面を備える。リブの第一アレイは、リブの第二アレイの高さの約300%、又は200%、又は100%、及び/又はそれ未満である高さを有する。それによって、リブの第一アレイは正極側リブであり、リブの第二アレイは負極側リブである。加えて、全体的セパレータ厚さは、約1.5mm以下であってよい。
【0241】
特定の態様では、リブの第二アレイは、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下である第二リブ上部幅を備える。
【0242】
特定の選択された例示的態様では、本発明のセパレータは、核形成添加剤を備えてよい。核形成添加剤は導電性であってよく、カーボン又は硫酸バリウム(BaSO4)のいずれかの1つであってよい。例示的カーボン添加剤は、炭素、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンフィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡カーボンフォーム、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、カーボン水性懸濁液、りん状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組合せであってよい。導電要素又は核形成添加剤は、少なくとも約1,250m2/g~約1,750m2/g以上の比表面積を有してよい。核形成添加剤又は導電要素は、セパレータ内の添加剤、又はセパレータ面上の添加剤であってよい。導電要素又は核形成添加剤は、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出、前記表面を炭化する制御燃焼、プラズマ照射による前記表面を炭化する制御燃焼、UV照射による前記表面を炭化する制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィー印刷、平版印刷、スラリーコーティング、カーボン水性懸濁液の噴霧、含浸、及びこれらの組合せから成る群から選択される方法によって、セパレータ、スクリム、及び/又はマットの面に適用してよい。
【0243】
選択された実施形態では、鉛蓄電池は、ソリッドリブ、分離した断続リブ、非連続的リブ、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横断リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在するクロスリブ、分離した歯状リブ又は歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、途切れていない若しくは断続的(broken)ジグザグ鋸歯状に配置された湾曲状リブ又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組合せであってよい正極側リブ及び/又は負極側リブを備えるセパレータを備えてよい。
【0244】
選択された実施形態では、鉛蓄電池は提供され、平板バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ディープサイクルバッテリー、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、管状バッテリー、インバータバッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、エネルギー貯蔵システム用バッテリー、充電式バッテリー、及びe-バイク用バッテリーの1つであってよい。
【0245】
本発明の特定の選択された実施形態では、乗り物用バッテリーは、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、及びe-バイク用バッテリーの1つとして提供される。
【0246】
本発明の特定の選択された実施形態では、乗り物は、自動車、トラック、自動二輪車、オール・テライン・ビークル、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド電動乗り物(「HEV」)、電動乗り物、軽量電動乗り物、e-リキシャ、e-スクーター、e-トライク、及びe-バイクの1つとして提供される。
【0247】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、セパレータは、以下:ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、非連続的ピーク、非連続的突起、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横断リブ、分離したリブ、歯状リブ、鋸歯、鋸歯状リブ、狭間胸壁若しくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組合せの1つ以上であるリブを備えてよい。
【0248】
第一複数のリブの少なくとも部分を、セパレータの端部に対して平行でも直交でもない角度によって画定してよい。更に、角度は多孔質膜の縦方向に対する角度と定義してよく、角度は以下の1つであってよい:ゼロ度(0°)より大きく180度(180°)未満、及び180度(180°)より大きく360度(360°)未満である。開示された実施形態の特定の態様では、角度は、複数のリブ全体を通して異なってよい。
【0249】
本発明の特定の選択された態様では、第一複数のリブは、約1.5mm~約10mmの幅方向間隔ピッチを有してよく、複数の歯又は非連続的ピーク若しくは突起物は、約1.5mm~約10mmの縦方向間隔ピッチを有してよい。
【0250】
特定の選択された態様では、セパレータは、多孔質膜の第二面から延在する第二複数のリブを備えてよい。第二複数のリブは、以下:ソリッドリブ、分離した断続リブ、連続的リブ、非連続的リブ、非連続的ピーク、非連続的突起、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横断リブ、分離したリブ、歯、歯状リブ、狭間胸壁若しくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組合せの1つ以上であってよい。
【0251】
第二複数のリブの少なくとも部分を、セパレータの端部に対して平行でも直交でもない角度によって画定してよい。更に、角度は多孔質膜の縦方向に対する角度と定義してよく、角度は以下の1つであってよい:ゼロ度(0°)より大きく180度(180°)未満、及び180度(180°)より大きく360度(360°)未満である。開示された実施形態の特定の態様では、角度は、複数のリブ全体を通して異なってよい。
【0252】
第二複数のリブは、約1.5mm~約10mmの幅方向又は縦方向間隔ピッチを有する。
【0253】
第一面は、鉛蓄電池セパレータの端部と隣接して配置された第一複数のリブと異なる高さである1つ以上のリブを備えてよい。同様に、第二面は、鉛蓄電池セパレータの端部と隣接して配置された第二複数のリブと異なる高さである1つ以上のリブを備えてよい。
【0254】
選択された実施形態では、ポリマーは以下のもの:ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ゴム、合成木材パルプ(「SWP」)、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース繊維、及びこれらの組合せの1つであってよい。
【0255】
繊維マットを提供してよい。マットは、次のもの:ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組合せの1つであってよく、不織布、織布、メッシュ、フリース、ネット、紙、ペースト紙、AGM、及び/又は同様のもの及びこれらの組合せであってよい。
【0256】
加えて、セパレータは、カットピース、リーフ、ポケット、スリーブ、ラップ、Zラップ、エンベロープ、及びハイブリッドエンベロープであってよい。
【0257】
少なくとも特定の選択された例示的実施形態によれば、セパレータは、セパレータの偏向を軽減する弾力的手段を備えてよい。
【0258】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、鉛蓄電池は、正極、及び膨張した負極活物質を含む負極を備える。セパレータは、正極及び負極間に配置されるセパレータの少なくとも部分を備える。正極の少なくとも部分、負極の少なくとも部分、及びセパレータの少なくとも部分を実質的に浸す電解液を提供する。少なくとも特定の選択された実施形態では、セパレータは、少なくともポリマー及びフィラーから成る多孔質膜を備えてよい。第一複数のリブは、多孔質膜の面から延在してよい。リブを、NAM又はPAM膨張の存在下酸欠乏を防止するように配置してよい。鉛蓄電池は、次の条件:移動、静置して、バックアップ電力印加中、サイクル用途で、部分充電状態で、及びこれらのいずれかの組合せのいずれか1つ以上で動作してよい。
【0259】
リブは、複数の歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物を備えてよい。各歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物は、複数の非連続的ピークの別のものから少なくとも約1.5mmであってよい。連続的ベース部分は、これから延在する複数の歯、又は非連続的ピーク若しくは突起物を備えてよい。
【0260】
第一複数のリブを、特にバッテリーの動作中、バッテリー内における酸混合を促進するように更に提供してよい。セパレータを、バッテリーの開始及び停止動作と平行に配置してよい。セパレータは、正極、負極、又はセパレータと隣接するマットを備えてよい。マットは、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能向上添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらのいずれかの組合せから少なくとも部分的に成り得る。マットは、不織布、織布、メッシュ、フリース、ネット、及びこれらの組合せであってよい。
【0261】
本発明の少なくとも特定の選択された実施形態では、鉛蓄電池は、平板バッテリー、液式鉛蓄電池、強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)、密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)、ディープサイクルバッテリー、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリー、管状バッテリー、インバータバッテリー、乗り物用バッテリー、始動・照明・点火(「SLI」)乗り物用バッテリー、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物用バッテリー、自動車用バッテリー、トラック用バッテリー、自動二輪車用バッテリー、オール・テライン・ビークル用バッテリー、フォークリフト用バッテリー、ゴルフカート用バッテリー、ハイブリッド電動乗り物用バッテリー、電動乗り物用バッテリー、e-リキシャ用バッテリー、若しくはe-バイク用バッテリー、又はこれらのいずれかの組合せであってよい。
【0262】
特定の実施形態では、バッテリーは、約1%~約99%の放電深度で動作し得る。
【0263】
少なくとも1つの実施形態によれば、最適化されたねじれを有する微多孔質セパレータを提供する。ねじれは、細孔がその長さを占有する湾曲/曲線の程度を表す。したがって、最適なねじれを有する微多孔質セパレータは、イオンがセパレータを通過して移動し、それにより電気的短絡に至らず電気抵抗を低下するより短い経路を提供するだろう。かかる実施形態による微多孔質セパレータは、減少された厚さ、増大された細孔径、より多くの通気細孔、及び/又はより多くの開放細孔を有することができる。
【0264】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、増大された空隙率を有する微多孔質セパレータ、又はその空隙率が公知のセパレータとあまり異ならない異なる細孔構造、及び/若しくは減少された厚さを有するセパレータを提供する。イオンは、最適化された空隙率、増加された空隙容量、最適化されたねじれ、及び/又は減少された厚さを有する微多孔質セパレータを通過してより迅速に移動し、それにより、電気抵抗を低下させるだろう。かかる減少された厚さは、バッテリーセパレータの全体的重量低減をもたらし、次に、セパレータを使用する強化型液式バッテリーの重量を減少し、次に、強化型液式バッテリーを使用する乗り物全体の重量を減少させ得る。あるいは、かかる減少された厚さは、セパレータを使用する強化型液式バッテリーにおける正極活物質(「PAM」)又は負極活物質(「NAM」)のための増加された空間をもたらし得る。
【0265】
少なくとも特定の選択された実施形態によれば、増大された湿潤性(水又はオイル中)を有する微多孔質セパレータを提供する。増大された湿潤性を有するセパレータは、電解液イオン性化学種により接近しやすく、したがって、セパレータを横切った移動を促進し、電気抵抗を低下させるだろう。
【0266】
少なくとも1つの実施形態によれば、最終オイル含有率の小さい微多孔質セパレータを提供する。かかる微多孔質セパレータは、強化型液式バッテリー又はシステムにおいてER(電気抵抗)低下も促進するだろう。
【0267】
セパレータは、脆砕性増大する改良されたフィラーを含有し得、空隙率、細孔径、内部最高表面積、湿潤性、及び/又はセパレータの表面積を増大し得る。いくつかの実施形態では、改良されたフィラーは、高次構造組織及び/又は低減された粒径及び/又は既知のフィラーと異なるシラノール基量及び/又は既知のフィラーより多いヒドロキシル化を有する。改良されたフィラーは、より吸油し得及び/又は押出後に油を除去する場合に同時に収縮又は圧縮することなく、セパレータ形成中より大量のプロセスオイルの取込みを可能とし得る。フィラーは、膜を横切ってこれらの輸送促進し、これにより、強化型液式バッテリー又はシステムなどのバッテリーの電気抵抗又はER全体を再度低下させる、電解液イオンのいわゆる水和層をさらに低減させ得る。
【0268】
フィラー(単数)又はフィラー(複数)は、イオン拡散を増大し、セパレータを横切る電解液及びイオンの流動を促進する様々な化学種(金属などの極性化学種など)を含んでもよい。かかるセパレータは、強化型液式バッテリーなどの液式バッテリーにおいて使用されるので、電気抵抗全体を低下させる。
【0269】
多孔質セパレータは、かかるセパレータをかかる液式鉛畜電池に使用する場合に、セパレータが液式鉛畜電池における電気抵抗を著しく低下させるのに寄与するように、新規で改良された細孔組織及び/又は新規で改良された原繊維組織を更に有する。かかる改良された細孔組織及び/又は原繊維組織は、細孔及び/又は原繊維がシシ・ケバブ(又はシシ・ケボブ)構造組織に近似するセパレータをもたらし得る。新規で改良された細孔形状及び構造を記載する別の方法は、シリカ結合点又はシリカの結合点がバッテリーセパレータ内のポリマー原繊維(原繊維はシシと呼ばれることがある)上のケバブ構造形成で存在するテクスチャー原繊維組織である。加えて、特定の実施形態では、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊髄構造と説明してよいが、ポリマーの原繊維に沿ったポリマーのケバブ構造上のシリカ結合点は椎骨又はディスク(「ケバブ」)のように見え、脊柱様形状(「シシ」)に近似する細長い中央脊椎又は原繊維(伸びきり鎖ポリマー結晶)と実質的に垂直に配向することもたまにある。
【0270】
場合によっては、改良された細孔組織及び/又は原繊維組織を有する改良されたセパレータを備える改良されたバッテリーは、20%低い、いくつかの実施形態では、25%低い、いくつかの実施形態では、30%低い電気抵抗を示し得、場合によっては、電気抵抗(「ER」)において30%を超えさえし、かかるセパレータは鉛蓄電池セパレータの他の主要な所望の機械特性のバランスを保持し維持する。更に、特定の実施形態では、本明細書に記載されているセパレータは、公知のセパレータと比較して、より電解液が細孔及び/若しくは空隙を通過して流動するか又は満たすように、新規及び/若しくは改良された細孔形状を有する。
【0271】
加えて、本開示は、強化型液式バッテリー用の1つ以上の改良されたバッテリーセパレータであって、成層化減少、電圧降下の低下(又は電圧降下耐性の増大)、及びCCA増加、場合によっては8%超、又は9%超、場合によっては10%超、又は15%超のCCA増加の望ましい特徴をバッテリーに対して組み合わせるセパレータ、を備える改良された強化型液式鉛蓄電池を提供する。かかる改良されたセパレータは、その性能は、AGMバッテリーの性能と一致するか、又は越えさえする強化型液式バッテリーをもたらし得る。かかる低電気抵抗セパレータを、水損失を低減した強化型液式鉛蓄電池を得られるように処理してもよい。
【0272】
セパレータは、他の添加剤又は薬剤、残存オイル、及びフィラーと共に、界面活性剤などの1つ以上の性能向上添加剤を含んでよい。かかる性能向上添加剤は、セパレータ酸化を低減し、及び/又は本明細書に記載されている強化型液式バッテリー用の全体的電気抵抗低下の一因となる膜を横切るイオンの移動をなお更に促進することができる。
【0273】
本明細書に記載されている鉛蓄電池用セパレータは:ポリオレフィン微多孔膜が:超高分子量ポリエチレンといったポリエチレンなどのポリオレフィンポリマー、粒子状フィラー、及び加工用可塑剤(必要に応じて、1つ以上の追加の添加剤又は薬剤)を含む、ポリオレフィン微多孔膜を備えてよい。ポリオレフィン微多孔膜は、膜の40重量%以上の量で粒子状フィラーを含んでよい。そして、超高分子量ポリエチレンは、複数の伸びきり鎖結晶(シシ構造形成)及び複数の折りたたみ鎖結晶(ケバブ構造形成)を含むシシ・ケバブ構造形成におけるポリマーを含んでよく、ケバブ構造形成の平均反復又は周期は、1nm~150nm、好ましくは10nm~120nm、より好ましくは20nm~100nmである(少なくとも、セパレータのリブ側の部分)。
【0274】
ケバブ構造形成の平均反復又は周期性は、以下の定義に従って算出される:
・ポリオレフィン微多孔膜の面を、金属蒸着に付した後、走査電子顕微鏡(「SEM」)を使用して観察し、次いで、面の画像を、1.0kV加速電圧において、例えば、30,000倍又は50,000倍に拡大して撮影する。
・SEM画像の同じ視野領域において、シシ・ケバブ構造形成が少なくとも0.5μm以上の長さにおいて連続的に延在する少なくとも3つの領域を指定する。それから、各指定領域のケバブ構造周期を算出する。
・ケバブ構造周期を、各指定領域におけるシシ・ケバブ構造形成のシシ構造形成を垂直方向に突出することにより得られる濃度プロファイル(コントラストプロファイル)のフーリエ変換によって特徴付け、反復期間の平均を算出する。
・一般的分析ツール、例えば、MATLAB(R2013a)を使用して、画像を解析する。
・フーリエ変換後に得られたスペクトルプロファイルの中で、短波長領域において検出されたスペクトルはノイズと見做す。かかるノイズは、コントラストプロファイルの歪みに主に起因する。本発明によるセパレータに対して得られたコントラストプロファイルは、矩形状波(正弦波でなく)を生成するように思われる。更に、コントラストプロファイルが矩形状波である場合、フーリエ変換後のプロファイルは、正弦関数となり、したがって、真のケバブ構造周期性を示す主ピーク以外の短波長領域における複数のピークを生成する。短波長領域におけるかかるピークを、ノイズとして検出することができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている鉛蓄電池用セパレータは、シリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及び沈降非晶質シリカからなる群から選択されたフィラーを有し;29Si-NMRにより測定される前記フィラー内のSi基に対するOH基のモル比は、21:100~35:100の範囲内であり、いくつかの実施形態では、23:100~31:100、いくつかの実施形態では、25:100~29:100、特定の好ましい実施形態では27:100以上の範囲内である。
【0276】
Si-Oの比較的硬い共有結合ネットワークは部分的に消失するので、シラノール基は、シリカ構造を結晶構造からアモルファス構造へ変化させる。Si(-O-Si)2(-OH)2及びSi(-O-Si)3(-OH)などのアモルファス様シリカは、多くの歪みを有し、これは、様々なオイル吸収点として機能し得る。したがって、オイル吸収性は、シラノール基(Si-OH)の量がシリカに対して増加する場合に高くなる。加えて、本明細書に記載されているセパレータは親水性増大を示し得、並びに/又はより高い空隙容量を有し得、並びに/又は公知の鉛蓄電池セパレータで使用されるシリカより高い量のシラノール基及び/若しくは水酸基を含むシリカを含む場合に大きな空隙により囲まれた特定のアグリゲートを含み得る。
【0277】
多孔質セパレータは、かかるセパレータをかかる液式鉛畜電池に使用する場合に、セパレータが液式鉛畜電池における電気抵抗を著しく低下させるのに寄与するように、新規で改良された細孔組織及び/又は新規で改良された原繊維組織を更に有する。かかる改良された細孔組織及び/又は原繊維組織は、細孔及び/又は原繊維がシシ・ケバブ(又はシシ・ケボブ)構造組織に近似するセパレータをもたらし得る。新規で改良された細孔形状及び構造を記載する別の方法は、シリカ結合点又はシリカの結合点がバッテリーセパレータ内のポリマー原繊維(原繊維はシシと呼ばれることがある)上のケバブ構造形成で存在するテクスチャー原繊維組織である。加えて、特定の実施形態では、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊髄構造と説明してよいが、ポリマーの原繊維に沿ったポリマーのケバブ構造上のシリカ結合点は椎骨又はディスク(「ケバブ」)のように見え、脊柱様形状(「シシ」)に近似する細長い中央脊椎又は原繊維(伸びきり鎖ポリマー結晶)と実質的に垂直に配向することもたまにある。
【0278】
特定の選択された実施形態では、乗り物は、本明細書に概して記載されている鉛蓄電池を備えてよい。バッテリーは、本明細書に記載されているセパレータを更に備えてよい。乗り物は、自動車、トラック、自動二輪車、オール・テライン・ビークル、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド電動乗り物バッテリー、電動乗り物、アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物、e-リキシャ、e-バイクバッテリー、及びこれらの組合せであってよい。
【0279】
特定の好ましい実施形態では、本開示又は本発明は、そのコンポーネント及び物理的属性及び特徴が、意外な方法で、ディープサイクルバッテリー中の以前に満たされていないニーズに取り組むために、多くのディープサイクルバッテリー用途において現在使用されている以前に公知の柔軟性の性能を満足する、特定の実施形態では、越える改良されたバッテリーセパレータ(ポリエチレンなどのポリマー、+特定量の性能向上添加剤の多孔質膜を備えるセパレータ並びにリブ)と相乗的に組み合わせるフレキシブルバッテリーセパレータを提供する。特に、本明細書に記載されている本発明のセパレータは、ディープサイクルバッテリーで従来使用されているセパレータよりロバストであり、脆弱でなく、脆くなく、経時安(分解しにくい)である。本発明の性能向上添加剤含有及びリブ加工セパレータは、ポリエチレン系セパレータの所望のロバストな物理的及び機械的特性と、これを使用するバッテリーシステムの性能も向上させながら、従来のセパレータの能力とを組み合わせる。
【0280】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、セル及び/若しくはバッテリーの製造方法及び/若しくは使用を本明細書に開示又は提供する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、液式バッテリー、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のもの用の新規又は改良されたバッテリーセパレータを対象とする。加えて、本明細書において、向上された電極における酸利用能、低減又は軽減された酸欠乏、低下されたER、向上された穿刺強度、向上されたセパレータCMD剛性、向上された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらのいずれかの組合せを有する方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、液式バッテリー、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のもの用の改良されたセパレータであって、セパレータは、向上された電極における酸利用能、低減又は軽減された酸欠乏、低下されたER、向上された穿刺強度、向上されたセパレータCMD剛性、向上された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、又はこれらのいずれかの組合せを有する、セパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、向上された酸利用能、低減又は軽減された酸欠乏、低下されたER、向上された穿刺強度、向上されたセパレータCMD剛性、向上された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらのいずれかの組合せを含むセパレータを提供する。少なくとも特定の実施形態によれば、セパレータを、平板バッテリー、管状バッテリー、乗り物用SLI、及びHEV用ISS用途、ディープサイクル用途、ゴルフカー又はゴルフカート及びe-リキシャ用バッテリー、部分充電状態(「PSOC」)で動作するバッテリー、インバータバッテリー;及び再生可能エネルギー源用貯蔵バッテリー、並びにこれらのいずれかの組合せのためのバッテリー用途で提供する。
【0281】
少なくとも選択された実施形態では、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、特に強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池並びにゲルバッテリー、VRLAバッテリー、及び吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーなどの様々な他の鉛蓄電池用の新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、EFBセパレータ、バッテリー、セル、システム、これを含む方法、これを使用する乗り物、これの製造方法、これの使用、及びこれらの組合せを対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー寿命を向上及びバッテリー電極酸欠乏の低減によるバッテリー故障を減少するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。
【0282】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規若しくは改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、バッテリー、セル、並びに/又はかかるセパレータ、バッテリーセパレータ、強化型液式バッテリーセパレータ、セル、バッテリー、システムの製造方法及び/若しくは使用並びに/又はこれを使用する方法及び/若しくは乗り物を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、ディープサイクル及び/若しくは部分充電状態(「PSoC」)用途に有用なものなど、新規若しくは改良されたバッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、又は強化型液式鉛蓄電池セパレータを対象とする。かかる応用としては:フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、e-リキシャ、e-バイク、e-トライク、及び/若しくは同様のものなどの電動機用途;内燃エンジン乗り物用に使用されるものなど、始動・照明・点火(「SLI」)バッテリーなどの自動車用途;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)乗り物バッテリー用途;ハイブリッド乗り物用途;ハイブリッド-電動乗り物用途;交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリー用途;インバーター;並びに太陽及び風力集電システムなどの再生可能及び/若しくは代替エネルギーシステムにおいて見られるものなどエネルギー貯蔵システムを挙げることができる。
【0283】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、酸欠乏を低減若しくは軽減;成層化を低減若しくは軽減;デンドライト成長を低減若しくは軽減;及び電気抵抗を低減することができ、並びに/又はコールドクランキングアンペアを増加することができる、セパレータ、特に、液式鉛畜電池用のセパレータを対象とする。加えて、本明細書において、少なくとも強化型液式鉛蓄電池における、バッテリー寿命を増強;電極における酸利用能を向上;酸欠乏を低減若しくは軽減;成層化を低減若しくは軽減;デンドライト成長を低減若しくは軽減;酸化の影響を低減;水損失を低減;内部抵抗を低減;湿潤性を低減;酸拡散を向上;コールドクランキングアンペアを向上;均一性を向上;及びこれらのいずれかの組合せのための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式鉛蓄電池用の改良されたセパレータであって、セパレータは改良された新規なリブ設計、及び改良されたセパレータレジリエンスを備える、セパレータを対象とする。
【0284】
少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、電極における酸利用能を向上、酸欠乏を低減若しくは軽減;成層化を低減若しくは軽減;デンドライト成長を低減若しくは軽減;及び電気抵抗を低減することができ、並びに/又はコールドクランキングアンペアを増加することができ;電気抵抗を低下及び/若しくはネガティブクロスリブ;低い水損失、低下された電気抵抗及び/若しくはネガティブクロスリブを有し;デンドライトブロッキング若しくは防止性能、特性及び/若しくは構造物を有し;酸混合防止性能、特性及び/若しくは構造物を有し;強化されたネガティブクロスリブを有し;PE膜、片、スリーブ、フォールド、ポケット、エンベロープ、及び/若しくは同様のものの正極側及び/若しくは負極側にガラスマットを有し;PE膜に積層されたガラスマットを有し;並びに/又はこれらの組合せ若しくはサブコンビネーションである、液式鉛畜電池、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、VRLAバッテリー、AGMバッテリー、及び/又は同様のものを対象とする。
【0285】
少なくとも選択された実施形態では、本開示又は本発明は、液式鉛畜電池、特に強化型液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池並びにVRLAバッテリー、ゲルバッテリー、及び吸収ガラスマット(「AGM」)バッテリーなどの様々な他の鉛蓄電池用の新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたセパレータ、バッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、EFBセパレータ、セパレータ膜、バッテリー、セル、システム、これを含む方法、これを使用する乗り物若しくはデバイス、これの製造方法、これの使用、及びこれらの組合せを対象とする。加えて、本明細書において、バッテリー寿命を向上及びバッテリー電極酸欠乏の低減によるバッテリー故障を減少するための方法、システム、及びバッテリーセパレータを開示する。
【0286】
少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、新規又は改良されたバッテリーセパレータ、レジリエントセパレータ、バランスセパレータ、液式鉛畜電池セパレータ、強化型液式鉛蓄電池セパレータ、ゲルバッテリーセパレータ、AGMバッテリーセパレータ、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組合せを対象とする。
【0287】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレータに加えて、かかるセパレータを様々な応用で使用してもよく、又は有用であり得る。かかる例示的応用としては:ディープサイクル及び/又は部分充電状態(「PSoC」)用途;フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと呼ぶこともある)、e-リキシャ、e-バイク、e-トライク、及び/又は同様のものなどの電動機用途;内燃エンジン自動車用に使用されるものなど、始動・照明・点火(「SLI」)バッテリーなどの自動車用途;アイドルスタート/ストップ(「ISS」)自動車用途;ハイブリッド自動車用途;ハイブリッド-電気自動車用途;交流無停電電源装置(「UPS」)、又は密閉形鉛蓄電池(「VRLA」)などの高所要電力を有するバッテリー、及び/又は高CCA要件を有するバッテリー用;インバーター;並びに太陽及び風力集電システムなどの代替エネルギーシステム;いずれもの移動型バッテリー;いずれもの据置バッテリー;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0288】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレータ及び応用に加えて、かかるセパレータ及び応用を様々な性能を達成するのに使用してもよく、又は有用であり得る。かかる例示的性能としては:バッテリー寿命の増加、増強、又は改良;正極及び負極の両方への酸供給能の増大、増強、又は改良;酸欠乏の低減又は軽減;成層化の低減又は軽減;電荷受容性の増大、増強、又は改良;酸化の影響の低減又は軽減;水損失の低減又は軽減;湿潤性の増大、増強、又は改良;酸拡散の改良、増強、又は改良;デンドライト成長の低減又は軽減;電気抵抗低下;コールドクランキングアンペアの増加、向上、又は改良;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0289】
少なくとも特定の実施形態によれば、上述された例示的セパレー、応用、及び性能に加えて、かかるセパレータ、応用、及び性能を様々な方法、及び/又はシステムにおいて使用してもよく、又は有用であり得る。かかる方法及び/又はシステムとしては:バッテリー寿命の増加、増強、又は改良;正極及び負極の両方への酸供給能の増大、増強、又は改良;酸欠乏の低減又は軽減;成層化の低減又は軽減;電荷受容性の増大、増強、又は改良;酸化の影響の低減又は軽減;水損失の低減又は軽減;湿潤性の増大、増強、又は改良;酸拡散の改良、増強、又は改良;デンドライト成長の低減又は軽減;電気抵抗低下;コールドクランキングアンペアの増加、向上、又は改良;及び/又は同様のもの;並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0290】
少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、改良された新規なリブ設計、及び改良されたセパレータレジリエンスを備え得る改良されたバッテリーセパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は本発明は、強化型液式鉛蓄電池用の改良されたセパレータであって、該セパレータは性能向上添加剤若しくはコーティング、炭素添加剤、核形成添加剤、増加された耐酸化性、最適化された空隙率、増加された空隙容量、非晶質シリカ、高吸油シリカ、高シラノール基シリカ、21:100~35:100のSiに対するOHの比を有するシリカ、シシ・ケバブ構造又は組織、伸びきり鎖結晶(シシ構造形成)並びに折りたたみ鎖結晶(ケバブ構造形成)及び1nm~150nmのケバブ構造形成の平均反復周期を有するシシ・ケバブ構造形成を有する超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)など膜及びポリマーの40重量%以上の量で粒子状フィラーを含むポリオレフィン微多孔膜、減少されたシート厚さ、最適化されたねじれ、減少された厚さ、減少されたオイル含有率、増大された湿潤性、増大された酸拡散並びに/又は同様のもの、並びにこれらの組合せを含む、改良されたセパレータを対象とする。
【0291】
本明細書において、鉛蓄電池用の改良されたセパレータ、改良されたセパレータを組み込んでいる改良された鉛蓄電池、及びこれ(並びに関連する製造方法、使用など)を組み込んでいる乗り物、デバイス、又はシステムの例示的実施形態、目的又は態様を開示する、示す、提供する、又はクレームする。鉛蓄電池セパレータは、その表面から延在する複数のリブを備える多孔質膜を備える。複数のリブは、好ましくは、同様な高さを有する正極側リブ及び負極側リブの両方を含む。活物質膨張により及ぼされる力に抵抗し、したがって、かかる膨張に関連する酸欠乏の影響を軽減し、電極における酸供給能を増大するために、リブは、好ましくは、レジリエンス支持を多孔質膜に提供するように配置された複数の非連続的ピークを備える。提供される又は好ましいセパレータを組み込んでいる鉛蓄電池を更に提供する。かかる鉛蓄電池は、液式鉛畜電池、強化型液式鉛蓄電池、ゲルバッテリー、AGMバッテリーであり得、部分充電状態で動作するように動作し得又は提供され得る。乗り物、デバイス又は太陽エネルギー若しくは風力エネルギー集積、スマートグリッド、若しくは同様のものに関連するなどの他のエネルギー貯蔵システムなど、かかる鉛蓄電池を組み込んでいるシステムも提供する。他の例示的実施形態、態様又は目的は、以下のもの:増大又は改良された酸供給能、低減又は軽減された酸欠乏、及び他の改良のいずれか1つ以上を有するように提供される。
【0292】
記載されている新規、改良された、又は好ましい構造物、使用、デバイス、及び/又は同様のものは、例えば、これらに限定されないが、バッテリー寿命低下、PSoCにおける動作、低酸利用能、酸欠乏、成層化、酸化、電荷受容性、水損失、湿潤性、フィルタイム、酸拡散、デンドライト成長、デンドライトショート、セパレータレジリエンス、プレート若しくはグリッド破壊、NAM膨張、PAM膨張、NAM損失、PAM損失、電気抵抗低下、コールドクランキングアンペア、圧縮セル、及び/又は同様のものに関する従来の課題、問題、又はニーズに対する解決法を提供する。
【0293】
付属の特許請求の範囲の組成物及び方法は、本明細書に記載されている特定の組成物及び方法による範囲に限定されず、特許請求の範囲の少数の態様の例証とする意図であり、機能的に均等であるいずれもの組成物及び方法は特許請求の範囲内にあるものとする。示されたもの及び本明細書に記載されているものに加えて組成物及び方法の様々な変更は、付属の特許請求の範囲内にあるものとする。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的組成物及び方法ステップのみが明確に記載されているが、組成物及び方法ステップの他の組合せも、たとえ具体的に記載されていなくても、付属の特許請求の範囲内にあるものとする。したがって、ステップ、成分、又は構成成分の組合せは明示的に本明細書中で述べられていてもよく、述べられていなくてもよいが、たとえ明示的に指定されなくても、ステップ、成分、及び構成成分の他の組合せは含まれる。本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」及びその変化形は、用語「含む(including)」及びその変形と同義で使用され、オープンエンド、非限定的である。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は様々な実施形態を説明するために本明細書において使用され、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用してよく、本発明のより特定の実施形態を提供し、開示もされる。実施例以外、又は別段に注記された場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分量を表す全ての数字、反応条件などは、最低限でも、及び特許請求の範囲に対する均等の原則の適用を限定する試行としてではなく理解されるべきであり、有効桁の数及び通常の丸め手法(rounding approaches)に照らして解釈されるべきである。
【0294】
本発明は、その要旨及び不可欠な属性から逸脱していない他の形態で具体化してよく、したがって、先の明細でなく本発明の範囲を示している付属の特許請求の範囲を参照すべきである。開示されているのは、開示された方法及びシステムを行うために使用してよい成分である。これら及び他の成分は本明細書に開示されており、これらの成分の組合せ、部分集合、相互作用、群、その他が開示される場合、各様々な個体及び集団的組合せの具体的参照並びにこれらの順列は明示的開示されていなくてもよく、全方法及びシステムに関して各々は具体的に企図され本明細書に記載されていると理解される。これは、限定されないが、開示された方法におけるステップを含む本願の全態様に当てはまる。したがって、実施し得る様々な追加のステップがある場合、これらの追加のステップのそれぞれをいずれかの特定の実施形態又は開示された方法の実施形態の組合せで実施してよいと理解される。
【0295】
構造及び方法の先の記載された説明は、例証の目的のみのために示している。実施例を使用して最良の様式を含む例示的実施形態を開示しており、いずれもの当業者が、いずれものデバイス又はシステムの製造及び使用並びにいずれもの組み入れられた方法の実施を含み本発明を実施することを可能としている。これらの実施例は、開示されたステップ及び/又は形態を実践するために本発明を網羅するものでもなく限定するものでもなく、上記教示に照らして多くの変更及び変化形は可能である。本明細書に記載されている特徴は、いずれの組合せでも組み合わし得る。本明細書に記載されている方法のステップを、物理的に可能であるいずれの順序でも実施してよい。本発明の特許範囲は付属の特許請求の範囲により規定され、当業者が気がつく他の実施例を含み得る。かかる他の実施例は、これらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又はこれらが特許請求の範囲の文言とごく僅かした異ならない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【0296】
付属の特許請求の範囲の組成物及び方法は、本明細書に記載されている特定の組成物及び方法による範囲に限定されず、特許請求の範囲の少数の態様の例証とする意図である。機能的に均等であるいずれの組成物及び方法も特許請求の範囲内にあるものとする。示されたもの及び本明細書に記載されているものに加えて組成物及び方法の様々な変更は、付属の特許請求の範囲内にあるものとする。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的組成物及び方法ステップのみが明確に記載されているが、組成物及び方法ステップの他の組合せも、たとえ具体的に記載されていなくても、付属の特許請求の範囲内にあるものとする。したがって、ステップ、成分、又は構成成分の組合せは明示的に本明細書中で述べられていてもよく、述べられていなくてもよいが、たとえ明示的に指定されなくても、ステップ、成分、及び構成成分の他の組合せは含まれる。
【0297】
本明細書及び付属の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段に指示されない限り、複数を含む。範囲は、「約(about)」又は「約(approximately)」1つの特定の値から、及び/又は「約(about)」又は「約(approximately)」もう1つの特定の値へとして本明細書に表され得る。かかる範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用して値を近似で表す場合、特定の値は別の実施形態を形成すると理解されるだろう。他の端点と関連して、及び他の端点と無関係の両方で範囲の各々の端点は有意であるとさらに理解されよう。「必要に応じた」又は「必要に応じて」は、その後に記載されるイベント又は環境は起こってもよく、起こらなくてもよく、本明細書は前記イベント又は環境が起こる場合及び前記イベント又は環境が起こらない場合を含むことを意味する。
【0298】
本明細書及び本明細書の特許請求の範囲全体にわたって、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」などの用語の変化形は、「含むが限定されない」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数、又はステップなどを排除するものではない。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用してよく、本発明のより特定の実施形態を提供し、開示もされる。「例示的(exemplary)」又は「例えば(for example)」は、「の例(an example of)」を意味し、好ましい又は理想的実施形態の表示を伝えるものではない。同様に「など(such as)」はそれぞれの意味で使用されないが、説明的又は例示的目的のために使用される。
【0299】
注記された場合以外、本明細書及び特許請求の範囲で使用される幾何学、寸法などを表す全ての数は、最低限でも、及び特許請求の範囲に対する均等の原則の適用を限定する試行としてではなく理解されるべきであり、有効桁の数及び通常の丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0300】
別段に指定されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、開示された本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用された文献及びこれらが引用される材料は参照により特に組み入れられる。
【0301】
加えて、本明細書で例証として適切に開示された本発明を、本明細書で具体的に開示されていないいずれもの要素の非存在下実施してもよい。