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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】可動間仕切装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/00 20060101AFI20241023BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
E05D15/00 A
E05D15/00 B
E05D15/00 F
E06B3/48
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017235031
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019100142
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成29年9月24日、ヤフー株式会社 大阪オフィスに納品 (2)平成29年12月1日、公益財団法人 日本生産性本部に納品
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】日下 篤
(72)【発明者】
【氏名】播磨 修二
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】▲高▼橋 祐介
【審判官】澤田 真治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-12816(JP,A)
【文献】特公平3-34556(JP,B2)
【文献】特開2004-238845(JP,A)
【文献】特開2007-146527(JP,A)
【文献】特開2015-37530(JP,A)
【文献】特開2016-33291(JP,A)
【文献】特開平9-144168(JP,A)
【文献】「プランナーウォールSHIFT|商品を探す|コクヨ ファニチャー」、[online]、平成29年8月20日、[令和6年3月18日検索]、インターネット<URL:https://web.archives.org/web/20170820135630/http://www.kokuyo-furniture.co.jp/products/office/shift/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00 - 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配されたレールと、
このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネルと、
前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る支柱とを具備し、
前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得ることを特徴とする可動間仕切装置。
【請求項2】
前記レールが、少なくとも一部に有する屈曲形状により前記部屋を仕切り得るものであり、
前記支柱が、前記レールが屈曲又は交差する屈曲部分に位置決めされる請求項1記載の可動間仕切装置。
【請求項3】
前記支柱が平面視矩形状をなすものであり、
当該矩形状をなす四面の少なくとも二面に前記パネルを接続し得るものである請求項1又は2記載の可動間仕切装置。
【請求項4】
前記パネルが、矩形状をなす前記支柱の前記四面全てに接続し得る請求項3記載の可動間仕切装置。
【請求項5】
前記レールが平面視T字状をなすように前記天井に設けられたものであり、
前記支柱が、前記レールが交差する前記屈曲部分に位置決めされる請求項1~4の何れかに記載の可動間仕切装置。
【請求項6】
前記複数のパネルが、平面視L字状をなすように配列される請求項5記載の可動間仕切装置。
【請求項7】
前記レールが、前記屈曲部分を複数有するものであり、
前記支柱が、それぞれの前記屈曲部分に位置決めされるよう複数設けられている請求項2記載の可動間仕切装置。
【請求項8】
前記支柱が、前記レールに沿った所定位置において前記部屋の前記天井側及び床面側に位置決めされるための位置決め機構を有するものである請求項1~7の何れかに記載の可動間仕切装置。
【請求項9】
前記位置決め機構が、操作レバーと、操作レバーの動作により動作可能であり前記床面側及び前記天井側に係合し得る係合部と、前記操作レバーの動作寸法よりも大きな作動寸法で前記係合部を動作させる動作寸法増幅部とを有している請求項8記載の可動間仕切装置。
【請求項10】
前記位置決め機構が、前記係合部が前記天井側及び床面側に位置決めされた後の当該係合部の余剰動作を吸収する緩衝機構を有している請求項8又は9記載の可動間仕切装置。
【請求項11】
前記パネルが、平面視所定の寸法を有するパネル本体と、このパネル本体から平面視突出することにより前記支柱へ係合し得る突出部とを有している請求項1~10の何れかに記載の可動間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオフィスや会議室といった部屋を所定の面積及び形状に区切るために設けられた可動間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばオフィスや会議室といった部屋の天井に取り付けられたレールと、このレールに移動可能に懸吊支持された複数枚のパネルとを有し、これら各パネルの端面同士を付き合わせた状態で部屋を平面視レールに沿った空間毎に間仕切ることができる可動間仕切装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このような可動間仕切装置は、スライディングウォールとも称されるもので、部屋を直線状に間仕切る態様のみならず、パネル同士を直交する方向に配置することにより平面視T字形や平面視十字形(+:プラス形状)といった形状に間仕切ることも可能である(例えば、特許文献2参照)。その結果、部屋の面積を更に有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-193599号公報
【文献】特開2015-031041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで上述の通り、部屋を平面視T字形や平面視十字形(+:プラス形状)といった形状に間仕切るのであれば、上記特許文献2に記されているようなパネルの保持装置を別途用いることなく部屋を間仕切ることができる。これは各パネルの端部を他のパネル又は部屋の壁面に隙間無く当接させた状態で互いのパネル同士が補強し合うからである。
【0005】
しかしながら、部屋の天井に沿って設けられたレールに沿って平面視L字状となるように配置しようとする場合、上記特許文献2に記載されているようなパネルの保持装置を用いなければ並べた各パネル同士の接続強度を十分に保持できないのが現状である。
【0006】
加えて特許文献2に記載のパネルの保持装置を所望の時のみ適用することも考えられるが、パネルの配置変更毎に当該パネルの保持装置を準備、撤収する手間をパネルの移動とは別異に行わなければならず、部屋のレイアウトの手間が多くなってしまうという不具合がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題のうち、部屋の天井に設けられたレールの配置を有効に利用して種々なパネルの配置を安定して実現し得る可動間仕切装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、斯かる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る可動間仕切装置は、部屋を平面視複数の空間に仕切り得るように平面視T字状又は十字状をなすように天井に交差する屈曲部分を含んで配されたレールと、このレールに沿って移動可能であり前記部屋を間仕切るための複数のパネルと、前記レールに支持され当該レールの延伸方向に沿って前記パネルと独立して移動可能に構成され前記パネルを三面又は四面すべてに接続可能であり、且つ前記レールに沿って前記交差する屈曲部分に位置決め機構を介して位置決めされ得る支柱とを具備し、前記レールに沿って、前記交差する屈曲部分に位置決めされた支柱と、前記パネルが前記レールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されるレールの始端側との間でそれぞれパネルを移動させることで、間仕切りの態様を変更し得ることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、支柱とパネルとを別途準備し、且つ撤収するという煩わしい手間を有効に省くことができる。換言すれば、レールに沿ってパネルを移動させ当該パネルの配置を行う作業に併せて支柱の配置をも行うことができる。その結果本発明によれば、部屋の天井に設けられたレールの配置を有効に利用して種々なパネルの配置を安定して実現し得る可動間仕切装置を提供することができる。
【0011】
パネル同士が接続し得ない配置において有効に支柱を利用し部屋を仕切る作業をより速やかに行い得るようにするためには、レールが、少なくとも一部に有する屈曲形状により部屋を仕切り得るものであり、支柱を、レールが屈曲又は交差する屈曲部分に位置決めされるように構成することが望ましい。
【0012】
支柱の汎用性を高くしつつ、種々のレールの配置に適合し易くするためには、支柱を平面視矩形状をなすものとし、当該矩形状をなす四面の少なくとも二面にパネルを接続し得るものとすることが望ましい。
【0013】
そして、より汎用性の高い支柱をし、部屋を仕切るバリエーションを多彩なものとするためには、パネルが、矩形状をなす支柱の四面全てに接続し得るように支柱を構成することが望ましい。
【0014】
レールの配置をより有効に使い得る構成として、レールを平面視T字状をなすように天井に設け、支柱を、レールが交差する屈曲部分に位置決めされるようにすることが望ましい。
【0015】
また、使用者にとって部屋の間仕切りの自由度をより向上するようにするためには、複数のパネルを、平面視L字状をなすように配列されるようにすることが好ましい。
【0016】
更に、部屋の間仕切りのバリエーションをより多彩なものとするためには、レールを、屈曲部分を複数有するものとし、支柱を、それぞれの屈曲部分に位置決めされるよう複数設けることが望ましい。
【0017】
複数のパネルの位置決めをより確実なものとするためには、支柱に、レールに沿った所定位置において部屋の天井側及び床面側に位置決めされるための位置決め機構を設けることが望ましい。
【0018】
また、使用者にとって位置決め機構の動作をより簡便且つ確実に行い得るようにするためには、位置決め機構を、操作レバーと、操作レバーの動作により動作可能であり床面側及び天井側に係合し得る係合部と、操作レバーの動作寸法よりも大きな作動寸法で係合部を動作させる動作寸法増幅部とを有する構成とすることが望ましい。
【0019】
そして、部屋における天井面及び床面との間の寸法の誤差が生じる場合があっても支柱が確実に位置決めされるようにするための構成として、位置決め機構が、係合部が天井側及び床面側に位置決めされた後の当該係合部の余剰動作を吸収する緩衝機構を有している構成とすることが望ましい。
【0020】
また、部屋の大きさや部屋を間仕切るための寸法の設定により、複数のパネルを連結させた端部の位置と支柱が位置決めされる位置とが離間する場合があるが、斯かる場合であってもパネルが支柱とともに部屋を好適に間仕切るようにする構成として、パネルが、平面視所定の寸法を有するパネル本体と、このパネル本体から平面視突出することにより支柱へ係合し得る突出部とを有している構成を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明した構成であるから、部屋の天井に設けられたレールの配置を有効に利用して種々なパネルの配置を安定して実現し得る可動間仕切装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
図2】同実施形態に係る模式的な平面図。
図3】同実施形態に係る支柱の構成説明図。
図4図3に係る動作説明図。
図5】同実施形態に係る支柱の動作を説明するための模式的な原理図。
図6図5に係る動作説明図。
図7】同支柱の上端部分の構成説明図。
図8図7に係る動作説明図。
図9】同実施形態に係る支柱の下端部分の説明図。
図10】同実施形態に係る要部の平面図。
図11図2に係る作用説明図。
図12】同上。
図13】同実施形態の変形例に係る模式的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図1図12を参照して説明する。
【0024】
本実施形態の可動間仕切装置は、例えば、オフィスの執務空間や会議室を構成している部屋Rを平面視複数の空間に仕切り得るように構成されたものである。この可動間仕切装置は、部屋Rの天井に配されたレール1と、このレール1に沿って移動可能であり部屋Rを間仕切るための複数のパネル2と、レール1に支持され当該レール1の延伸方向に沿って移動可能に構成されパネル2を少なくとも二方向から接続可能であり、且つレール1に沿った所定位置に位置決めされ得る支柱3とを具備するものである。
【0025】
以下、可動間仕切装置の具体的な構成について説明する。
【0026】
レール1は、本実施形態では、部屋Rの天井に当該部屋Rを間仕切るために平面視T字状に設けられている。このレール1は、上述の通り平面視T字状に設けられることにより、少なくとも一部に部屋Rを屈曲形状により間仕切り得る屈曲部分15が存在する。
【0027】
当該レール1は、図3図4図7及び図8に示すように、例えば金属素材によって形成されるレール本体11と、このレール本体11の上半分に形成される上側レール12と、この上側レール12の下側に構成される下側レール13とを有している。これら上側レール12及び下側レール13により、パネル2及び支柱3を移動可能に支持している。
【0028】
また本実施形態では、このレール1の下端面において、少なくとも支柱3を位置決めするっためのピン挿入孔14が形成されている。なお当該ピン挿入孔14は、上記支柱3を位置決めする箇所以外に上記パネル2を位置決めするために設けられているが、当該ピン挿入孔14の具体的な配置については、レール1自体の配置やパネル2の具体的な寸法に応じて適宜変更し得るものであるため、具体的な説明を省略する。
【0029】
レール本体11は、上述の通り例えば金属素材の押し出しによって形成されるものである。上側レール12は、レール本体11の最上部分の箇所に設けられた上ローラ32を一側方から添設可能に構成されるとともに、この上ローラ32の下面側を支持し得るように設けられている。これにより、上側レール12に支持された上ローラ32は平面視スムーズに移動し得る。下側レール13は、レール本体11に設けられた下ローラ33を他側方から添設可能に構成されるとともに、この下ローラ33の下面側を支持し得るように設けられている。これにより、下側レール13に支持された下ローラ33は平面視スムーズに移動し得る。
【0030】
ピン挿入孔14は、本実施形態では上記下側レール13の下面側に設けられた開口である。当該ピン挿入孔14は、レール本体11における所定の位置に支柱3やパネル2を位置決めし得るよう、レール本体11における任意の複数箇所に設けられている。屈曲部分15は、レール本体11が平面視T字状、十字形形状、或いはL字形形状をなす部分においてレール本体11が任意の角度をなして屈曲している部分である。この屈曲部分15は、本実施形態では複数のピン挿入孔14が設けられることにより、支柱3を確実に位置決めし得るように構成されている。
【0031】
なお本実施形態では、上記レール1に設けられたピン挿入口14と平面視同じ位置における床面4にも同様のピン挿入孔44が設けられている。これにより支柱3を上下両端から確実に位置決めすることができる。
【0032】
パネル2は、上記レール1に少なくとも上側を支持されながら適宜移動することにより、平面視矩形状をなす支柱3の四面全てに接続し得るように構成されるものである。このパネル2は天井及び床面4に亘り略遮蔽し得る上下寸法を有し、平面視所定の寸法を有するように構成された板状をなすパネル本体21を主体とするものである。またこのパネル2は、パネル2同士並びに支柱3に対しレール1に沿った方向に接続し得るよう適宜の接続機構を有している。当該接続機構については既存の構成を種々適用し得るため、具体的な説明を省略する。そして本実施形態に係るパネル2の内、一部のパネル2は図10に示すように、上記パネル本体21に加え、このパネル本体から平面視突出することにより支柱へ係合し得る突出部22を有したものが配置されている。当該突出部22を有したパネル2が配置されることにより、パネル本体21の寸法又は当該寸法の和から支柱2までの距離が若干離間することがあっても、当該突出部22を突出させることにより部屋Rを好適に間仕切ることが可能である。
【0033】
支柱3は、上端部分を上記レール1に沿って移動可能に設けられたものである。この支柱3は、レール1が屈曲又は交差する屈曲部分15に位置決めされる。支柱3は平面視矩形状をなす支柱本体31を主体とするものであり、矩形状をなす四面の少なくとも二面、本実施形態では四面にパネル2を接続し得るよう構成されるパネル接続面35を有している。このパネル接続面35の具体的な構成は、パネル2同士を互いに接続する構成に準じるものであるため、具体的な説明は省略する。この支柱3は、レール1が交差する屈曲部分15に位置決めされるべく、レール1に沿った所定位置において部屋Rの天井側及び床面4側に位置決めされるための位置決め機構5を有する。
【0034】
位置決め機構5は、図3~10に示すように、操作レバー51と、操作レバー51の動作により突出する突出部52と、操作レバー51の動作により動作可能であり床面4側及び天井側に係合し得る係合部55と、操作レバー51の動作寸法よりも大きな作動寸法で係合部55を動作させる動作寸法増幅部53と、増幅された動作を係合部55に伝えるための動作伝達部54と、係合部55が天井側及び床面4側に位置決めされた後の当該係合部55の余剰動作を吸収する緩衝機構56とを有している。
【0035】
操作レバー51は、図3~6に模式的に示すように、使用者に主に操作され得る操作端51aと、回転中心である回転軸51bと、本実施形態では操作端51aから回転軸51bを挟んだ位置にある上作用端51cと、この上作用端51cから回転軸51bを挟んだ操作端51a近傍に位置付けられた下作用端51dとを有している。
【0036】
突出部52は、操作レバー51への下方向の操作により上方向に突出する上突出部52aと、下方向に突出する下突出部52bとを有している。
【0037】
動作寸法増幅部53は、上突出部52aの上端及び下突出部52bの下端にそれぞれ設けられ支柱本体31に回動可能に位置付けられたものである。この動作寸法増幅部53は、支柱本体31に回転可能且つ位置変更不能に設けられた固定軸部53aと、上突出部52a又は下突出部52bからの作用力を受ける入力端53bと、この入力端53bに対し固定軸部53aから大きい寸法を隔てて設けられた出力端53cとを有している。この出力端53cは、固定軸部53aとの間の寸法が、入力端53bと固定軸部53aとの間の寸法の略倍に設定されている。これにより、入力端53bにより入力された操作レバー51側の動作により、出力端53cでは略倍の寸法となって動作させることとなる。
【0038】
動作伝達部54は、出力端53cからそれぞれ上下に支柱本体31の上下端近傍まで延出する上延出部及び下延出部とを有している。これら上延出部及び下延出部は、それぞれ緩衝機構56を介して係合部55に接続されている。
【0039】
係合部55は、支柱本体31の上下端に上下動作可能に嵌入された動作ブロック55aと、この動作ブロック55aの端部に設けられ上記レール1並びに床面4のピン挿入孔14、44に挿入されることで位置決めされ得る挿入ピン55bとを有している。
【0040】
緩衝機構56は、動作伝達部54に接続されたコイルバネ56aと、このコイルバネ56aの中央に配置されたバネ軸56bとを有している。
【0041】
そして、本実施形態に係る可動間仕切装置を構成する支柱3は、レール1に沿って移動し得る状態では操作レバー51が略鉛直上向きに配されている。そして、この操作レバー51を下方向へ略180°回動させることにより、支柱本体31の上下に設けられた係合部55が当該支柱本体31より突出し、レール1並びに床面4に設けられたピン挿入孔14、44に挿入ピン55bが挿入され、上下から共に強固に位置決めされる。このとき、挿入ピン55bが上下にそれぞれ突出し得る寸法は操作レバー51による入力寸法よりも大きく変換された動作伝達部54が上下動し得る寸法である。ここで、本実施形態では動作伝達部54の上下動し得る寸法の途中で上下の挿入ピン55bはそれぞれピン挿入孔14、44に到達してしまうため、操作レバー51の動作途中で動作が完了してしまうこととなる。しかしながら本実施形態では動作伝達部54は上述の緩衝機構56を介して係合部55に接続しているため、動作伝達部54の余剰の動作を緩衝機構56に適宜吸収させることにより、挿入ピン55bのピン挿入孔14、44への挿入を好適に実現している。加えて、挿入ピン55bがピン挿入孔14、44へ挿入されている状態においてはコイルバネ56aが挿入方向へ挿入ピン55bを動作ブロック55aを介して常に弾性付勢しているので、位置決めされた支柱3のがたつきを有効に防止している。さらに、部屋Rの経年的な使用等によって、もしも天井側のレール1から床面4までの距離に誤差が生じたとしても、当該緩衝機構56により、支柱3のがたつきのない好適な位置決めが実現され得る。
【0042】
しかる後、レール1に沿ってパネル2を動作させれば、図1及び図2に示すように、複数のパネル2はそれぞれ隣接するパネル2同士接続されながら支柱3のパネル接続面35へ接続され、本実施形態では平面視T字状に部屋Rを間仕切ることができる。
【0043】
また図10に示すように、本実施形態では部屋Rを所定の寸法にて間仕切るため、パネル2を連結した際の寸法と支柱3の位置とが合致しない場合もあり得る。このとき本実施形態では、同図に示すように任意の位置に配されるパネル2に対し、パネル本体21から適宜突出する突出部22を設けている。これにより、部屋Rの寸法に拘わらず、所定の規格に応じた複数のパネル2を用いて部屋Rを好適に間仕切ることができる。
【0044】
このように本実施形態では上述した図8図9等に示すように、レール1に設けられた屈曲部分15において位置決め機構5の作用により支柱3が天井側であるレール1のピン挿入孔14及び床面4に設けられたピン挿入孔44にそれぞれ上下の挿入ピン55bが挿入され、強固に位置決めされる。また、図2図11等に示されるように、交差する屈曲部分15に集合する各レール1の始端側のそれぞれにパネル2がレールの延伸方向に対して垂直方向を向いて重なった状態で退避されることが破線で示されており、レール1に沿って、当該レール1の始端側と、レール1が交差する屈曲部分15に位置決めされた支柱3との間でパネル2が移動可能とされている。その結果、図1及び図2に示すような部屋Rを平面視T字状に間仕切る態様から、図11(a)、図11(b)に示すように平面視直線状に間仕切る態様や平面視L字状に間仕切る態様へと容易に変更することができる。また本実施形態に係る支柱3は上述の通り矩形状をなす四面全てがパネル2に接続し得ることから、レール1の配置によっては図12に示すように部屋Rを平面視十字すなわち+形状である四つに間仕切ることも可能である。
【0045】
さらに、本実施形態の変形例として、図13に示す態様を挙げることができる。以下、本実施形態の変形例について説明する。以下の変形例において上記実施形態における構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0046】
同図に示す態様は、レール1が、屈曲部分15を複数である二つ有することにより一つの部屋Rを都合六つに間仕切るためのものである。この場合であっても、レール1に支持されている支柱3が、それぞれの屈曲部分15に位置決めされるよう複数つまり二つ設けられているので、これら二つの支柱3にそれぞれパネル2を接続すれば、部屋Rを六つに間仕切る態様、またレール1の形状に沿って適宜の平面視形状に間仕切ることが可能である。このとき、パネル本体21から突出する突出部22を有するパネル2を適用すれば、部屋Rの寸法に好適に適応させつつ部屋Rを間仕切ることが可能となる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る可動間仕切装置は、部屋Rを平面視複数の空間に仕切り得るように天井に配されたレール1と、このレール1に沿って移動可能であり部屋Rを間仕切るための複数のパネル2と、レール1に支持され当該レール1の延伸方向に沿って移動可能に構成されパネル2を少なくとも二方向から接続可能であり、且つレール1に沿った所定位置に位置決めされ得る支柱3とを具備することを特徴とする。
【0048】
斯かる構成により、支柱3とパネル2とを別途準備し、且つ撤収するという煩わしい手間を有効に省かれている。換言すれば、レール1に沿ってパネル2を移動させ当該パネル2の配置を行う作業に併せて支柱3の配置をも行うことが実現されている。その結果本実施形態によれば、部屋Rの天井に設けられたレール1の配置を有効に利用して種々なパネル2の配置を安定して実現し得る可動間仕切装置が実現されている。
【0049】
パネル2同士が接続し得ない配置において有効に支柱3を利用し部屋Rを間仕切る作業をより速やかに行い得るようにするために本実施形態では、レール1が、少なくとも一部に有する屈曲形状により部屋Rを仕切り得るものであり、支柱を、レール1が屈曲又は交差する屈曲部分15に位置決めされるように構成している。
【0050】
支柱3の汎用性を高くしつつ、種々のレール1の配置に適合し易くするために本実施形態では、支柱3を平面視矩形状をなすものとし、当該矩形状をなす四面の少なくとも二面にパネル2を接続し得るものとしている。
【0051】
そして、より汎用性の高い支柱3を実現すべく、部屋Rを仕切るバリエーションを多彩なものとするために本実施形態では、パネル2が、矩形状をなす支柱3の四面全てに接続し得るように支柱3を構成するようにしている。
【0052】
レール1の配置をより有効に使い得る構成として本実施形態では、レール1を平面視T字状をなすように天井に設け、支柱3を、レール1が交差する屈曲部分15に位置決めされるようにする態様を挙げている。
【0053】
また、使用者にとって部屋Rの間仕切りの自由度をより向上するようにするために本実施形態では、複数のパネル2を、平面視T字状から平面視L字状をなすように配列されるように変更できるようになっている。これにより、部屋Rを間仕切るバリエーションを容易に適宜変更することができる。
【0054】
更に、部屋Rの間仕切りのバリエーションをより多彩なものとするために本実施形態の変形例として、レール1を、屈曲部分15を複数有するものとし、支柱3を、それぞれの屈曲部分15に位置決めされるよう複数設ける態様を挙げている。
【0055】
複数のパネル2の位置決めをより確実なものとするために本実施形態では、支柱3に、レール1に沿った所定位置において部屋Rの天井側及び床面4側に位置決めされるための位置決め機構5を設けている。
【0056】
また、使用者にとって位置決め機構5の動作をより簡便且つ確実に行い得るようにするために本実施形態では、位置決め機構5を、操作レバー51と、操作レバー51の動作により動作可能であり床面4側及び天井側に係合し得る係合部55と、操作レバー51の動作寸法よりも大きな作動寸法で係合部55を動作させる動作寸法増幅部53とを有する構成を適用している。
【0057】
そして、部屋Rにおける天井面及び床面4との間の寸法の誤差が生じる場合があっても支柱3が確実に位置決めされるようにするための構成として本実施形態では、位置決め機構5が、係合部55が天井側及び床面4側に位置決めされた後の当該係合部55の余剰動作を吸収する緩衝機構56を有している構成を採用している。
【0058】
また、部屋Rの大きさや部屋Rを間仕切るための寸法の設定により、複数のパネル2を連結させた端部の位置と支柱3が位置決めされる位置とが離間する場合があるが、斯かる場合であってもパネル2が支柱3とともに部屋Rを好適に間仕切るようにする構成として本実施形態では、パネル2が、平面視所定の寸法を有するパネル本体21と、このパネル本体21から平面視突出することにより支柱3へ係合し得る突出部22とを有している構成を挙げている。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では支柱を一の部屋に対し一本又は二本用いながらパネルにより部屋を間仕切る態様を開示したが勿論、一の部屋に対する支柱を設ける本数は三本以上である態様を否定するものではない。換言すれば、部屋を間仕切りしようとするレイアウトに応じて適宜支柱の本数を変更することが可能である。また上記実施形態では支柱の形状を平面視矩形状とし四面全てにパネルを接続し得る態様を開示したが勿論、支柱の平面視形状やパネルを接続し得る箇所は、部屋を間仕切るレイアウトや支柱そのもののデザインに応じて適宜変更することが可能である。
【0061】
また、パネルやレールといった支柱以外の部分の具体的な形状や仕様といったその他の詳細な構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1・・・レール
15・・・屈曲部分
2・・・パネル
21・・・パネル本体
22・・・突出部
3・・・支柱
5・・・位置決め機構
51・・・操作レバー
53・・・動作寸法増幅部
55・・・係合部
56・・・緩衝機構
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