(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】化合物、有機薄膜、薄膜トランジスタ及び電子素子
(51)【国際特許分類】
C07D 517/22 20060101AFI20241023BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20241023BHJP
H10K 10/40 20230101ALI20241023BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241023BHJP
【FI】
C07D517/22 CSP
H01L29/78 618B
H10K10/40
H10K85/60
(21)【出願番号】P 2019208794
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0147721
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 恩 慶
(72)【発明者】
【氏名】李 敦 旭
(72)【発明者】
【氏名】朴 正 一
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03228622(EP,A2)
【文献】国際公開第2016/009890(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1A又は1Bで表されることを特徴とする化合物。
【化1A-1B】
前記化学式1A又は1B中、
X
1とX
2とは、互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、Se、又はTeから選択され、
Ar
1は、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちの1つであり、
R
1とR
2とは互いに異なるか、R
3とR
4とは互いに異なり、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択され、
ただし、R
3とR
4はハロゲンではなく、
n
1は、1であり、
[グループ1]
【化G1】
前記グループ1中、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、前記化学式1A又は1Bにおいて隣接する
6員環との連結地点である。
【請求項2】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar
1は、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化学式1A又は1B中、X
1及びX
2のうちの少なくとも1つは、前記グループ1のY
1及びY
2とそれぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O又はSであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数4~30の分枝鎖アルキニル基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数4~30の分枝鎖アルキニル基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1乃至
13のいずれか一項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機薄膜。
【請求項15】
ゲート電極と、
前記ゲート電極に重畳する有機半導体と、
前記有機半導体に電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、を備え、
前記有機半導体は、下記化学式1A又は1Bで表される化合物を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【化1A-1B】
前記化学式1A又は1B中、
X
1とX
2とは、互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、Se、又はTeから選択され、
Ar
1は、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちの1つであり、
R
1とR
2とは互いに異なるか、R
3とR
4とは互いに異なり、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択され、
ただし、R
3とR
4はハロゲンではなく、
n
1は、1であり、
[グループ1]
【化G1】
前記グループ1中、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、前記化学式1A又は1Bにおいて隣接する
6員環との連結地点である。
【請求項16】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項17】
Ar
1は、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項18】
前記化学式1A又は1B中、X
1及びX
2のうちの少なくとも1つは、前記グループ1のY
1及びY
2とそれぞれ異なることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項19】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O又はSであることを特徴とする請求項
18に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項20】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項21】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数4~30の分枝鎖アルキニル基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項22】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項23】
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項24】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、及びシアノ基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項25】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分枝鎖アルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数4~30の分枝鎖アルキニル基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項26】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、及び置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項27】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基の中から選択され、
R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基の中から選択されることを特徴とする請求項
15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項28】
請求項
14に記載の有機薄膜を含むことを特徴とする電子素子。
【請求項29】
請求項
15乃至
27のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタを含むことを特徴とする電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、有機薄膜、薄膜トランジスタ及び電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置又は有機発光表示装置のような平板表示装置は、スイッチング素子として三端子素子である薄膜トランジスタを含む。このような薄膜トランジスタのうち、ケイ素(Si)のような無機半導体の代わりに、低分子又は高分子のような有機半導体(organic semiconductor)を含む有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor:OTFT)に対する研究が活発に行われている。
【0003】
有機薄膜トランジスタは、有機物質の特性上、繊維(fiber)又は薄膜(film)のような形態で作られ、可撓性表示装置(flexible display device)の核心素子として注目されている。また、有機薄膜トランジスタは、インクジェット印刷のような溶液工程(solution process)により製作することができるため、蒸着工程だけでは限界がある大面積の平板表示装置にも容易に適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、化合物、これを含む有機薄膜、薄膜トランジスタ、及びこれを含む電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による化合物は、下記化学式1A又は1Bで表される。
【化1A-1B】
前記化学式1A又は1B中、
X
1とX
2とは、互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、又はNR
aから選択され、
Ar
1は、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はそれらの中から選択される2つ以上が縮合した縮合環であり、
R
1とR
2とは互いに異なり、R
3とR
4とは互いに異なり、
R
1~R
4、及びR
aは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n
1は、0又は1である。
【0007】
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり得る。
Ar
1は、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含み得る。
Ar
1は、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちの1つであり得る。
[グループ1]
【化G1】
前記グループ1中、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、前記化学式1A又は1Bとの連結地点である。
前記化学式1A又は1B中、X
1及びX
2のうちの少なくとも1つは、前記グループ1中のY
1及びY
2とそれぞれ異なり得る。
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、O又はSであり得る。
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり得る。
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり得る。
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり得る。
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり得る。
R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、下記化学式2A~2Cのうちのいずれか1つで表される基を含み得る。
【化2A-2C】
前記化学式2A、2B、又は2C中、
Z
1~Z
3は、それぞれN又はCR
bであり、
Z
1~Z
3のうちのいずれか1つは、Nであり、
X
3は、O、S、Se、Te、NR
c、CR
dR
e、又はSiR
fR
gであり、
m1は、0~5の整数であり、
m2は、0~3の整数であり、
R
5~R
9、及びR
b~R
gは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであるか、前記化学式1A又は1Bとの連結地点であり、
R
5が2つ以上であるとき、各R
5は互いに同一又は異なり、隣接する2つのR
5は独立して存在するか、又は互いに結合して環を形成し、
R
9が2つ以上であるとき、各R
9は互いに同一又は異なり、隣接する2つのR
9は独立して存在するか、又は互いに結合して環を形成する。
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、水素であり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり得る。
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり得る。
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり得る。
X
1及びX
2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、R
1及びR
2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R
1及びR
2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機薄膜は、前記化合物を含む。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による薄膜トランジスタは、ゲート電極と、前記ゲート電極に重畳する有機半導体と、前記有機半導体に電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、を備え、前記有機半導体は、上記化学式1A又は1Bで表される化合物を含む。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態による電子素子は、前記有機薄膜又は前記薄膜トランジスタを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、化合物の電荷移動度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による薄膜トランジスタを示す断面図である。
【
図2】製造例1による有機薄膜のXRDグラフである。
【
図3】比較製造例1-1による有機薄膜のXRDグラフである。
【
図4】比較製造例1-2による有機薄膜のXRDグラフである。
【
図5】製造例2による有機薄膜のXRDグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0014】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0015】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという場合、これは他の部分の“直上”にある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるという場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0016】
本明細書で別途の定義がない限り、‘薄膜’は、約1Å~1000μm厚さの膜又は層を示す。
【0017】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸又はその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロアリール基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0018】
また、本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロ’とは、N、O、S、Se、Te、Si、及びPから選択されるヘテロ原子を1~4個含有したものを意味する。
【0019】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキル基’は、直鎖又は分枝鎖、飽和、1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基など)を意味する。
【0020】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルケニル基’は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分枝鎖、飽和、1価の炭化水素基(例えばエテニル基)を意味する。
【0021】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキニル基’は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分枝鎖、飽和、1価の炭化水素基(例えばエチニル基)を意味する。
【0022】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルコキシ基’は、酸素を通して連結されたアルキル基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、及びsec-ブチルオキシ基を意味する。
【0023】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリール基’は、アレーン(arene)の1つ以上の環に存在する水素原子の除去により形成される1価の官能基を意味し、例えばフェニル又はナフチルが挙げられる。アレーンは、芳香族環を有する炭化水素基であって、単一環及び複数環炭化水素基を含み、複数環炭化水素基の付加的な環は、芳香族環又は非芳香族環である。
【0024】
本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロアリール基’は、ヘテロアレーンの1つ以上の環に存在する水素原子の除去により形成される1価の官能基を意味する。
【0025】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールアルキル基’は、アルキル基で少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換されたことを意味する。
【0026】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキルアリール基’は、アリール基で少なくとも1つの水素原子がアルキル基で置換されたことを意味する。
【0027】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールオキシ基’は、酸素を通して連結されたアリール基を意味し、アリール基は上述の通りである。
【0028】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールアルキル基’は、アリール基で水素原子中の一部が低級アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンなどで置換されたことを意味する。例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などがある。
【0029】
本明細書で別途の定義がない限り、‘シクロアルキル基’は、全てのメンバーが炭素である1つ以上の飽和環を有する1価の官能基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基‘)を意味する。
【0030】
本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロアルキル基’は、上記で定義されたアルキル基のメチレン(-(CH)2-)が-O-、-S-、-S(=O)2-、-Se-、又は-NR-(ここでRは、互いに独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基である)で置換されたことを意味する。
【0031】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールヘテロアルキル基’は、上記で定義されたヘテロアルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアリール基で置換されたことを意味する。
【0032】
本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロアリールアルキル基’は、上記で定義されたアルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがヘテロアリール基で置換されたことを意味する。
【0033】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキルヘテロアリール基’は、上記で定義されたヘテロアリール基の水素原子のうちの少なくとも1つがアルキル基で置換されたことを意味する。
【0034】
本明細書で別途の定義がない限り、‘芳香族環’は、環形態の官能基の全ての元素がp-オービタルを有し、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成する官能基を意味する。例えば、芳香族環は、炭素数6~20のアリール基である。
【0035】
以下、本発明の一実施形態による化合物を説明する。
【0036】
本発明の一実施形態による化合物は、下記化学式1A又は1Bで表される。
【0037】
【0038】
上記化学式1A又は1B中、
X1とX2とは、互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、又はNRaから選択され、
Ar1は、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はそれらの中から選択される2つ以上が縮合した縮合環であり、
R1とR2とは互いに異なり、R3とR4とは互いに異なり、
R1~R4、及びRaは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n1は、0又は1である。
【0039】
上記化合物は、互いに異なるヘテロ元素を有する縮合多環芳香族環をコア構造として含む縮合多環芳香族化合物である。コア構造は、両末端に五員ヘテロ環とベンゼン縮合環のベンゾ-ヘテロ環をそれぞれ有し、このとき、五員ヘテロ環は互いに異なる。即ち、上記化合物は、両末端に互いに異なるヘテロ環を有する非対称コア構造を有する。このように非対称コア構造を有する縮合多環芳香族化合物は、対称コア構造を有する縮合多環芳香族化合物と比べて高い結晶性を有し、電荷移動度を改善することができる。
【0040】
一例として、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Se又はTeである。
【0041】
一例として、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Seであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Te、又はNRaである。一例として、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Seであり、X1及びX2のうちの他の1つは、S又はTeである。
【0042】
一例として、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Teであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Se、又はNRaである。一例として、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Teであり、X1及びX2のうちの他の1つは、S又はSeである。
【0043】
一例として、Ar1は、置換又は非置換のベンゼン;置換又は非置換のフラン;置換又は非置換のチオフェン;置換又は非置換のセレノフェン;置換又は非置換のテルロフェン;置換又は非置換のナフタレン;置換又は非置換のアントラセン;置換又は非置換のテトラセン;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼンと少なくとも1つの置換又は非置換のフランの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼンと少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼンと少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼンと少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの縮合環;少なくとも2つの置換又は非置換のフランの縮合環;少なくとも2つの置換又は非置換のチオフェンの縮合環;少なくとも2つの置換又は非置換のセレノフェンの縮合環;少なくとも2つの置換又は非置換のテルロフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフランと少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフランと少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフランと少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンと少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンと少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの縮合環;少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンと少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの縮合環であるが、これに限定されるものではない。
【0044】
一例として、n1は0であり、これによって化合物は、4個の環が縮合した縮合多環芳香族環をコア構造として含む縮合多環芳香族化合物である。
【0045】
一例として、n1は1であり、これによって化合物は、5個以上の環が縮合した縮合多環芳香族環をコア構造として含む縮合多環芳香族化合物である。例えば化合物は、5個~12個の環が縮合した縮合多環芳香族環をコア構造として含む縮合多環芳香族化合物であり、このような範囲内で、例えば、6個~10個の環が縮合した縮合多環芳香族環をコア構造として含む縮合多環芳香族化合物である。
【0046】
一例として、Ar1は、1個~8個の環を含み、例えば1個~6個の環を含む。
【0047】
一例として、Ar1は、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちの1つである。
【0048】
【0049】
上記グループ1中、
Y1及びY2は、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、上記化学式1A又は1Bとの連結地点である。
【0050】
一例として、上記グループ1の各環で、Y1とY2とは互いに同一である。
【0051】
例えば、Y1及びY2は、それぞれOである。
【0052】
例えば、Y1及びY2は、それぞれSである。
【0053】
例えば、Y1及びY2は、それぞれSeである。
【0054】
例えば、Y1及びY2は、それぞれTeである。
【0055】
一例として、上記グループ1の環で、Y1とY2とは、互いに異なる。
【0056】
例えば、Y1及びY2のうちのいずれか1つは、Sであり、Y1及びY2のうちの他の1つは、Oである。
【0057】
例えば、Y1及びY2のうちのいずれか1つは、O又はSであり、Y1及びY2のうちの他の1つは、Se又はTeである。
【0058】
例えば、Y1及びY2のうちのいずれか1つは、Seであり、Y1及びY2のうちの他の1つは、Teである。
【0059】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、上記グループ1のY1及びY2とそれぞれ異なる。
【0060】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Se又はTeであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、O又はSである。
【0061】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Seであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Te、又はNRaであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、O又はSである。例えば、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Seであり、X1及びX2のうちの他の1つは、S又はTeであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、Sである。
【0062】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Teであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Se、又はNRaであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、O又はSである。例えば、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Teであり、X1及びX2のうちの他の1つは、S又はSeであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、Sである。
【0063】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Seであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Te、又はNRaであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、Se又はTeである。
【0064】
一例として、上記化学式1A又は1B中、X1及びX2のうちのいずれか1つは、Teであり、X1及びX2のうちの他の1つは、O、S、Se、又はNRaであり、上記グループ1のY1及びY2は、それぞれ独立して、Se又はTeである。
【0065】
化合物は、上述した非対称コア構造に非対称に位置する置換基を有する縮合多環芳香族化合物であり得る。
【0066】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R1とR2とは、互いに異なる。
【0067】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R3とR4とは、互いに異なる。
【0068】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R1とR2とは互いに異なり、R3とR4とは同一である。
【0069】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R3とR4とは互いに異なり、R1とR2とは互いに同一である。
【0070】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R1とR2とは互いに異なり、R3とR4とは互いに異なる。
【0071】
このように非対称に位置する置換基を有する縮合多環芳香族化合物は、所定の温度区間で液晶性を示すため、熱処理時の分子の整列度を高めることができ、これによって化合物を含む有機薄膜の電荷移動度を改善することができる。ここで液晶性は、例えばスメクチック液晶性であり、例えばスメクチック液晶性及びネマチック液晶性である。このような液晶性は比較的低い温度区間で示すため、工程の温度を下げることができる。例えば、化合物が液晶性を示す温度は約400度以下であり、例えば約150度~350度、例えば約180度~300度、例えば約200度~280度である。また、所定温度での追加のアニーリングを通じて分子の整列度を更に高めることができ、これによって化合物を含む有機薄膜の電荷移動度を更に改善することができる。
【0072】
一例として、化合物は、縮合多環芳香族環の一側にのみ置換基を有する。
【0073】
例えば、R1及びR2のうちのいずれか1つは水素であり、R1及びR2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0074】
例えば、R3及びR4のうちのいずれか1つは水素であり、R3及びR4のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0075】
一例として、化合物は、縮合多環芳香族環の一側に線状置換基を有し、他の一側に非線状置換基を有する。
【0076】
例えば、R1及びR2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R1及びR2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0077】
例えば、R3及びR4のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R3及びR4のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数1~30の分枝鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の分枝鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0078】
一例として、化合物は、縮合多環芳香族環の一側に非環状置換基を有し、他の一側に環状置換基を有する。
【0079】
例えば、R1及びR2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R1及びR2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0080】
例えば、R3及びR4のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R3及びR4のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0081】
一例として、化合物は、縮合多環芳香族環の一側に環状置換基を有し、他の一側にヘテロ環状置換基を有する。
【0082】
例えば、R1及びR2のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R1及びR2のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0083】
例えば、R3及びR4のうちのいずれか1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R3及びR4のうちの他の1つは、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0084】
一例として、R1及びR2のうちの少なくとも1つは、環状置換基又はヘテロ環状置換基を含み、例えばR1及びR2のうちのいずれか1つは、下記化学式2A~2Cのうちのいずれか1つで表される基を含む。
【0085】
【0086】
上記化学式2A、2B、又は2C中、
Z1~Z3は、それぞれN又はCRbであり、
Z1~Z3のうちのいずれか1つは、Nであり、
X3は、O、S、Se、Te、NRc、CRdRe、又はSiRfRgであり、
m1は、0~5の整数であり、
m2は、0~3の整数であり、
R5~R9、及びRb~Rgは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであるか、上記化学式1A又は1Bとの連結地点であり、
R5が2つ以上であるとき、各R5は互いに同一又は異なり、隣接する2つのR5は独立して存在するか、又は互いに結合して環を形成し、
R9が2つ以上であるとき、各R9は互いに同一又は異なり、隣接する2つのR9は独立して存在するか、又は互いに結合して環を形成する。
【0087】
一例として、上記化学式2Aで表される基は、非置換のフェニル基又は炭素数1~30のアルキル基で置換されたフェニル基である。
【0088】
一例として、上記化学式2Bで表される基は、置換又は非置換のピリジニル基、置換又は非置換のピリミジニル基、又は置換又は非置換のトリアジニル基である。
【0089】
一例として、上記化学式2Cで表される基は、置換又は非置換のフラニル基、置換又は非置換のチオフェニル基、置換又は非置換のセレノフェニル基、置換又は非置換のテルロフェニル基、置換又は非置換のピロリル基、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基、置換又は非置換のシラシクロペンタジエニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0090】
一例として、R3及びR4のうちの少なくとも1つは、環状置換基又はヘテロ環状置換基を含み、例えば、R3及びR4のうちのいずれか1つは、上記化学式2A~2Cのうちのいずれか1つで表される基を含む。
【0091】
一例として、R3及びR4は、それぞれ水素であり、化合物は、例えば下記化学式1A-1又は1B-1で表される。
【0092】
【0093】
上記化学式1A-1又は1B-1中、
X1、X2、Ar1及びn1は上述の通りであり、
R1とR2とは互いに異なり、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0094】
化合物は、例えば、下記グループ2に列記された化合物のうちの1つであるが、これに限定されるものではない。
【0095】
【0096】
上記グループ2中、R1及びR2は上述の通りである。
【0097】
化合物は、例えば、下記グループ3に列記された化合物のうちの1つであるが、これに限定されるものではない。
【0098】
[グループ3]
【化G3-1】
【化G3-2】
【化G3-3】
【0099】
上述した化合物は有機薄膜で具現される。有機薄膜は、蒸着により形成された蒸着薄膜又は溶液工程により形成されたコーティング薄膜である。
【0100】
有機薄膜は、有機半導体を含む多様な素子に適用される。例えば、化合物は、薄膜トランジスタに適用され、太陽電池、有機発光表示装置、及び有機センサーのような電子素子で電荷輸送層及び/又は活性層として適用される。
【0101】
以下、上述した化合物を含む薄膜トランジスタの一例について、図面を参照して説明する。
【0102】
図面において複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体に亘って類似の部分については同一の参照符号を付与する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという場合、これは他の部分の“直上”にある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるという場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0103】
図1は、本発明の一実施形態による薄膜トランジスタを示す断面図である。
【0104】
透明なガラス、シリコン、又はプラスチックなどで作られた基板110の上にゲート電極124が形成される。ゲート電極124は、ゲート信号を伝達するゲート線(図示せず)に連結される。ゲート電極124は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせで作られる。
【0105】
ゲート電極124の上にはゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140は有機物質及び/又は無機物質で作られ、有機物質の例としては、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)系化合物、ポリイミド(polyimide)系化合物、ポリアクリール(polyacryl)系化合物、ポリスチレン(polystyrene)系化合物、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene:BCB)などの溶解性化合物が挙げられ、無機物質の例としては、窒化ケイ素(SiNx)及び酸化ケイ素(SiO2)が挙げられる。
【0106】
ゲート絶縁膜140の上には有機半導体154が形成される。有機半導体154は、上述した化合物を含む。有機半導体154は、上述した化合物を溶液形態で準備して、例えばスピンコーティング、スリットコーティング、又はインクジェット印刷のような溶液工程で形成される。有機半導体154は、上述した化合物を真空蒸着又は熱蒸着して形成される。
【0107】
有機半導体154の上にはソース電極173及びドレイン電極175が形成される。ソース電極173及びドレイン電極175は、ゲート電極124を中心に対向する。ソース電極173は、データ信号を伝達するデータ線(図示せず)に連結される。ソース電極173及びドレイン電極175は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせで作られる。
【0108】
ここでは、薄膜トランジスタの一例としてボトムゲート構造の薄膜トランジスタを説明したが、薄膜トランジスタは、これに限定されず、トップゲート構造の薄膜トランジスタなど、全ての構造の薄膜トランジスタに同様に適用される。
【0109】
薄膜トランジスタは、多様な電子素子に、スイッチング素子及び/又は駆動素子として適用され、電子素子は、例えば液晶表示装置、有機発光表示装置、電気泳動表示装置、有機光電素子、及び有機センサーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0110】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0111】
≪化合物の合成≫
【0112】
【0113】
【0114】
<合成例1>
【0115】
【0116】
<化合物1bの合成>
【0117】
2-(5-ブロモセレノフェン-2-イル)-5-ドデシルチオフェン((2-(5-bromoselenophen-2-yl)-5-dodecylthiophene))(15g、32.58mmol)をテトラヒドロフラン(THF)500mlに溶かした後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(24.43ml、48.87mmol)を加えて、2時間攪拌する。次に、そこに化合物1a(6.58g、39.1mmol)を入れた後、常温まで徐々に引き上げて12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド(Ammonium chloride)飽和溶液30mLを加えた後、酢酸エチル(ethyl acetate)で抽出して水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1bを得た。収率は95%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.35(d、1H)、7.28(s、1H)、7.21(s、1H)、6.91(d、1H)、6.66(d、1H)、6.34(d、1H)、2.73(t、2H)、2.75(s、1H)、1.65(t、2H)、1.28(m、18H)、0.88(t、3H)
【0118】
<化合物1cの合成>
【0119】
化合物1b(19g、30.23mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、15.44g、48.36mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、13.3g、211.58mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。次に、12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド(Ammonium chloride)飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥しろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1cを得た。収率は99%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.32(d、1H)、7.19(d、1H)、7.12(s、1H)、7.08(s、1H)、6.84(d、1H)、6.63(d、1H)、4.36(s、2H)、2.75(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、)、0.88(t、3H)
【0120】
<化合物1dの合成>
【0121】
1,2-ジメチルホルムアミド(1,2-dichloroethane、72.4ml、935.34mmol)を1Lフラスコに入れた後、0℃で冷却する。次に、そこに塩化ホスホリル(phosphoryl chloride、43.7ml、31.18mmol)を徐々に添加した後、2時間攪拌する。次に、そこに化合物1cを1,2-ジクロロエタン(1,2-dichloroethane、1000ml)に溶かして入れた後、100℃で加熱する。次に、そこに2時間後、1N水酸化ナトリウム溶液(1N NaOH solution)を入れて塩基化した後、クロロホルム(chloroform)で抽出する。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1dを得た。収率は42%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm9.94(s、1H)、7.86(s、1H)、7.18(s、1H)、7.09(s、1H)、6.87(d、1H)、6.63(d、1H)、4.40(s、2H)、2.76(t、2H)、1.55(t、2H)、1.26(m、18H)、0.87(t、3H)
【0122】
<化合物1eの合成>
【0123】
2,3-ジブロモチオフェン(2,3-dibromothiophene、1.17ml、10.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF、100ml)に入れた後、-78℃で冷却する。次に、そこにイソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウム錯体(isopropylmagnesium chloride lithium chloride complex、5.15ml、10.3mmol)を入れて徐々に常温に上げた後、再び-78℃で冷却する。そこに化合物1d(3.3g、5.15mmol)をテトラヒドロフラン(THF、20ml)に溶かして入れた後、1時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド(Ammonium chloride)飽和溶液30mLを加えた後、酢酸エチル(ethyl acetate)で抽出し、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1eを得た。収率は95%である。
【0124】
<化合物1fの合成>
【0125】
化合物1e(4.44g、5.52mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。次に、そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、2.82g、8.84mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sodium cyanoborohydride、2.43g、28.67mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド(ammonium chloride)飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1fを得た。収率は87%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.18(d、1H)、7.06(s、1H)、7.03(s、1H)、7.00(s、1H)、6.94(d、1H)、6.83(d、1H)、6.63(d、1H)、4.33(s、2H)、4.32(s、2H)、2.74(t、2H)、1.64(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0126】
<化合物1gの合成>
【0127】
化合物1f(4.6g、5.8mmol)をN-メチルピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidinone、69ml)に入れた後、シアン化銅(CuCN、2.1g、23.36mmol)を入れた。上記混合物をマイクロウェーブ装置に入れて、180℃で2時間反応させた。次に、反応溶液を1N塩酸溶液(1N HCl solution)に入れて30分間攪拌した後、クロロホルム(chloroform)で抽出する。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1gを得た。収率は64%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.24(d、1H)、7.19(s、1H)、7.16(d、1H)、7.10(s、1H)、7.08(s、1H)、6.87(d、1H)、6.65(d、1H)、4.55(s、4H)、4.32(s、2H)、2.76(t、2H)、1.56(t、2H)、1.27(m、18H)、0.87(t、3H)
【0128】
<化合物1hの合成>
【0129】
化合物1g(2.52g、3.7mmol)をメチレンジクロライド200mlに溶かした後、0℃で冷却する。次に、そこに水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutylaluminium hydride、1M solution in cyclohexane、8.9ml、8.89mmol)を加えた後、徐々に温度を引き上げた。3時間後、そこに5%クエン酸溶液(5% citric acid solution)を入れて反応を終了した後、クロロホルム(chloroform)で抽出する。次に、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)で乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1hを得た。収率は42%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm10.08(s、1H)、9.99(s、1H)、7.53(s、1H)、7.42(d、1H)、7.17(d、1H)、7.07(s、1H)、7.03(s、1H)、6.85(d、1H)、6.65(d、1H)、4.78(s、2H)、4.76(s、2H)、2.76(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0130】
<化合物1の合成>
【0131】
化合物1h 1.0gをベンゼン50mlに入れた後、そこにアンバーリスト15(Amberlyst15)4gを入れて、dean-stark装置を連結した後、24時間還流する。生成された固体をろ過し、酢酸エチル及びメチレンジクロライドで洗浄した後、乾燥して、化合物1を得た。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)650.400(M+)
【0132】
≪比較合成例1≫
【0133】
【0134】
<化合物C-2bの合成>
【0135】
5-ブロモ-5’-ドデシル-2,2’-ビチオフェン(5-bromo-5’-dodecyl-2,2’-bithiophene)(10g、24.18mmol)をテトラヒドロフラン(THF)500mlに溶かした後、-78℃で冷却する。次に、そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(16ml、31mmol)を加えて、2時間攪拌した後、化合物C-2a(4.07g、24.18mmol)を入れて常温に徐々に上げ、12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、酢酸エチルで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2bを得た。収率は96%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.36(d、1H)、7.22(d、1H)、6.96(d、1H)、6.93(s、1H)、6.67(d、1H)、6.39(d、1H)、2.77(t、2H)、1.66(t、2H)、1.28(m、18H)、0.88(t、3H)
【0136】
<化合物C-2cの合成>
【0137】
化合物C-2b(13.5g、23.2mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。次に、ヨウ化亜鉛(ZnI2、11.8g、37.13mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、10.21g、162.4mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2cを得た。収率は92%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.30(d、1H)、7.18(d、1H)、7.09(s、1H)、6.92(s、1H)、6.90(d、1H)、6.64(d、1H)、4.32(s、2H)、2.76(t、2H)、2.70(s、1H)、1.64(t、2H)、1.29(m、18H)、)、0.87(t、3H)
【0138】
<化合物C-2dの合成>
【0139】
化合物C-2c(12.1g、21.39mmol)をテトラヒドロフラン(THF、500ml)に入れた後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、16ml、32.08mmol)を入れて、2時間攪拌する。次に、そこに3-ブロモチオフェン-2-カルバルデヒド(3-bromothiophene-2-carbaldehyde)(4.9g、25.67mmol)をテトラヒドロフラン(THF、20ml)に溶かして入れた後、1時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加えた後、酢酸エチルで抽出し、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2dを得た。収率は68%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.30(s、1H)、7.13(s、1H)、7.05(s、1H)、6.95(d、1H)、6.91(s、1H)、6.90(d、1H)、6.64(d、1H)、6.39(d、1H)、4.30(s、2H)、2.75(t、2H)、2.65(s、1H)、1.64(t、2H)、1.28(m、18H)、0.87(t、3H)
【0140】
<化合物C-2eの合成>
【0141】
化合物C-2d(11.0g、14.54mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。次に、そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、7.4g、23.26mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sodium cyanoborohydride、6.4g、101.75mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2eを得た。収率は74%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.17(s、1H)、7.00(s、1H)、6.98(s、1H)、6.93(d、1H)、6.91(s、1H)、6.89(d、1H)、6.64(d、1H)、4.33(s、2H)、4.29(s、2H)、2.76(t、2H)、1.64(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0142】
<化合物C-2fの合成>
【0143】
化合物C-2e(7.95g、10.73mmol)をN-メチル-2-ピロリドン69mlに入れた後、そこにシアン化銅(CuCN、3.84g、42.93mmol)を入れた。上記混合物をマイクロウェーブ装置に入れて、180℃で2時間反応させた。次に、反応溶液を1N塩酸溶液(1N HCl solution)に入れて30分間攪拌した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2fを得た。収率は74%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.23(d、1H)、7.15(d、1H)、7.09(s、1H)、7.08(s、1H)、7.05(s、1H)、6.93(d、1H)、6.66(d、1H)、4.55(s、2H)、4.50(s、2H)、2.77(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0144】
<化合物C-2gの合成>
【0145】
化合物C-2f(5.0g、7.9mmol)をメチレンジクロライド500mlに溶かした後、0℃で冷却する。次に、そこに水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutylaluminium hydride、1M solution in cyclohexane、19ml、18.96mmol)を加えた後、徐々に温度を引き上げた。次に、3時間後、そこに5%クエン酸溶液(5% citric acid solution)を入れて反応を終了した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-2gを得た。収率は67%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm10.08(s、1H)、10.02(s、1H)、7.41(d、1H)、7.34(s、1H)、7.16(d、1H)、7.04(s、1H)、7.02(s、1H)、6.93(d、1H)、6.66(d、1H)、4.75(s、2H)、4.72(s、2H)、2.77(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0146】
<化合物C-2の合成>
【0147】
化合物C-2g 3.4gをベンゼン300mlに入れた後、そこにアンバーリスト15(Amberlyst 15)12.8gを入れて、dean-stark装置を連結した後、24時間還流する。生成された固体をろ過し、酢酸エチル及びメチレンジクロライドで洗浄した後、乾燥して、化合物C-2を得た。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)602.289(M+)
【0148】
≪比較合成例2≫
【0149】
【0150】
<化合物C-3bの合成>
【0151】
(5-ブロモセレノフェン-2-イル)(t-ブチル)ジメチルシラン((5-bromoselenophen-2-yl)(tert-butyl)dimethylsilane)(5g、15.4mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mlに溶かした後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(11.57ml、23.13mmol)を加えて、2時間攪拌した後、化合物C-3a(2.16g、12.85mmol)を入れた後、常温に徐々に上げ、12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加えた後、酢酸エチルで抽出し、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3bを得た。収率は71%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.35(d、1H)、7.26(d、1H)、7.22(d、1H)、6.36(s、1H)、2.8(s、1H)、0.92(s、9H)、0.27(s、6H)
【0152】
<化合物C-3cの合成>
【0153】
化合物C-3b(5.4g、10.97mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、5.6g、17.55mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、4.8g、76.76mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3cを得た。収率は82%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.33(s、1H)、7.31(d、1H)、7.19(d、1H)、7.11(s、1H)、4.39(s、2H)、0.91(s、9H)、0.24(s、6H)
【0154】
<化合物C-3dの合成>
【0155】
1,2-ジメチルホルムアミド(16.25ml、209.9mmol)を1Lフラスコに入れた後、0℃で冷却する。そこに塩化ホスホリル(Phosphoryl chloride、9.81ml、104.94mmol)を徐々に添加した後、2時間攪拌する。そこに化合物C-3cを1,2-ジクロロエタン(1,2-Dichloroethane、250ml)に溶かして入れた後、100℃で加熱する。2時間後、そこに1N水酸化ナトリウム溶液(1N NaOH solution)を入れて塩基化した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3dを得た。収率は49%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm9.93(s、1H)、7.86(s、1H)、7.36(s、1H)、7.16(s、1H)、4.44(s、2H)、0.91(s、9H)、0.25(s、6H)
【0156】
<化合物C-3eの合成>
【0157】
(2-(5-ブロモセレノフェン-2-イル)-5-ドデシルチオフェン((2-(5-bromoselenophen-2-yl)-5-dodecylthiophene))(4.65g、0.4mmol)をテトラヒドロフラン(THF)300mlに溶かした後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(7.6ml、15.15mmol)を加え、2時間攪拌して化合物C-3d(5.1g、0.4mmol)を入れた後、常温まで徐々に引き上げて、12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、酢酸エチルで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3eを得た。収率は73%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.34(s、1H)、7.21(s、1H)、7.07(s、1H)、7.06(s、1H)、6.91(d、1H)、6.66(d、1H)、6.32(d、1H)、4.36(s、2H)、2.75(t、2H)、1.65(t、2H)、1.28(m、18H)、0.90(m、12H)、0.25(s、6H)
【0158】
<化合物C-3fの合成>
【0159】
化合物C-3e(7.1g、7.36mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、3.76g、11.77mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、3.24g、51.51mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3fを得た。収率は97%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.34(s、1H)、7.15(s、1H)、7.07(s、1H)、7.04(s、1H)、6.84(d、1H)、6.62(d、1H)、4.36(s、2H)、4.33(s、2H)、2.75(t、2H)、1.65(t、2H)、1.28(m、18H)、0.89(m、12H)、0.25(s、6H)
【0160】
<化合物C-3gの合成>
【0161】
化合物C-3f(6.65g、6.98mmol)をN-メチル-2-ピロリドン69mlに入れた後、そこにシアン化銅(CuCN、2.53g、28.06mmol)を入れた。次に、上記混合物をマイクロウェーブ装置に入れて、180℃で2時間反応させた。次に、反応溶液を1N塩酸溶液(1N HCl solution)に入れて30分間攪拌した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3gを得た。収率は40%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.91(d、1H)、7.37(d、1H)、7.19(s、1H)、7.11(s、1H)、7.10(s、1H)、6.87(d、1H)、6.65(d、1H)、4.60(s、2H)、4.56(s、2H)、2.76(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0162】
<化合物C-3hの合成>
【0163】
化合物C-3g(3.0g、4.1mmol)をメチレンジクロライド500mlに溶かした後、0℃で冷却する。そこに水素化ジイソブチルアルミニウム(Diisobutylaluminium hydride、1M solution in cyclohexane、9.9ml、9.9mmol)を加えた後、徐々に温度を引き上げた。3時間後、そこに5%クエン酸溶液(5% citric acid solution)を入れて反応を終了した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C-3hを得た。収率は33%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm10.04(s、1H)、10.00(s、1H)、7.83(d、1H)、7.68(d、1H)、7.53(s、1H)、7.06(d、1H)、7.02(s、1H)、6.85(d、1H)、6.66(d、1H)、4.83(s、2H)、4.79(s、2H)、2.76(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.87(t、3H)
【0164】
<化合物C-3の合成>
【0165】
化合物C-3h 1.1gをベンゼン100mlに入れた後、アンバーリスト15(Amberlyst 15)4.4gを入れて、dean-stark装置を連結した後、24時間還流する。生成された固体をろ過した後、酢酸エチル及びメチレンジクロライドで洗浄し、乾燥して、化合物C-3を得た。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)698.197(M+)
【0166】
≪合成例2≫
【0167】
【0168】
<化合物5bの合成>
【0169】
(5-ブロモセレノフェン-2-イル)(t-ブチル)ジメチルシラン(5-bromoselenophen-2-yl)(tert-butyl)dimethylsilane)(5g、15.4mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mlに溶かした後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(11.57ml、23.13mmol)を加えて、2時間攪拌した後、化合物5a(2.16g、12.85mmol)を入れた後、常温まで徐々に引き上げて、12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、酢酸エチルで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5bを得た。収率は71%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.35(d、1H)、7.26(d、1H)、7.22(d、1H)、6.36(s、1H)、2.8(s、1H)、0.92(s、9H)、0.23(s、6H)
【0170】
<化合物5cの合成>
【0171】
化合物5b(5.4g、10.97mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。そこにヨウ化亜鉛(ZnI2、5.6g、17.55mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、4.8g、76.76mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。次に、12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5cを得た。収率は82%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.33(s、1H)、7.31(d、1H)、7.19(d、1H)、7.11(s、1H)、4.39(s、2H)、0.91(s、9H)、)、0.24(s、6H)
【0172】
<化合物5dの合成>
【0173】
1,2-ジメチルホルムアミド(16.25ml、209.9mmol)を1Lフラスコに入れた後、0℃で冷却する。そこに塩化ホスホリル(phosphoryl chloride、9.81ml、104.94mmol)を徐々に添加した後、2時間攪拌する。そこに化合物5cを1,2-ジクロロエタン(1,2-dichloroethane、250ml)に溶かして入れた後、100℃で加熱する。2時間後、そこに1N水酸化ナトリウム溶液(1N NaOH solution)を入れて塩基化した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5dを得た。収率は49%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm9.93(s、1H)、7.86(s、1H)、7.36(s、1H)、7.16(s、1H)、4.44(s、2H)、0.91(s、9H)、)、0.25(s、6H)
【0174】
<化合物5eの合成>
【0175】
2-(5-ブロモチオフェン-2-イル)-5-ドデシルベンゼン((2-(5-bromothiophen-2-yl)-5-dodecylbenzene))(5.25g、12.9mmol)をテトラヒドロフラン(THF)700mlに溶かした後、-78℃で冷却する。そこにリチウムジイソプロピルアミド(LDA、2.0M solution in THF)(9.7ml、19.3mmol)を加え、2時間攪拌した後、化合物5d(6.5g、12.9mmol)を入れた後、常温まで徐々に引き上げて、12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、酢酸エチルで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5eを得た。収率は34%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.45(d、2H)、7.34(s、1H)、7.19(s、1H)、7.17(d、2H)、7.09(s、1H)、7.07(s、1H)、6.39(s、1H)、4.37(s、2H)、2.75(t、2H)、2.73(s、1H)、1.65(t、2H)、1.25(m、18H)、0.90(s、9H)、0.88(t、3H)、0.23(s、6H)
【0176】
<化合物5fの合成>
【0177】
化合物5e(4.0g、4.4mmol)をメチレンジクロライドに溶かした後、0℃で冷却する。次に、ヨウ化亜鉛(ZnI2、2.2g、7.0mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、1.9g、30.8mmol)を入れて、常温まで徐々に引き上げた。12時間攪拌後、そこにアンモニウムクロリド飽和溶液30mLを加え、メチレンジクロライドで抽出した後、水で数回洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5eを得た。収率は43%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.40(d、2H)、7.33(s、1H)、7.15(d、2H)、7.09(s、1H)、7.03(s、1H)、7.02(s、1H)、4.35(s、2H)、4.33(s、2H)、2.76(t、2H)、1.64(t、2H)、1.25(m、18H)、0.90(s、9H)、0.87(t、3H)、0.23(s、6H)
【0178】
<化合物5gの合成>
【0179】
化合物5f(1.7g、1.90mmol)をN-メチル-2-ピロリドン30mlに入れた後、そこにシアン化銅(CuCN、0.66g、7.59mmol)を入れた。上記混合物をマイクロウェーブ装置に入れて、180℃で2時間反応させた。次に、反応溶液を1N塩酸溶液(1N HCl solution)に入れて、30分間攪拌した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5gを得た。収率は74%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.51(s、1H)、7.39(d、2H)、7.24(s、1H)、7.18(d、2H)、7.11(s、1H)、7.09(s、1H)、4.59(s、2H)、4.54(s、2H)、2.77(t、2H)、1.65(t、2H)、1.29(m、18H)、0.90(s、9H)、0.87(t、3H)、0.24(s、6H)
【0180】
<化合物5hの合成>
【0181】
化合物5g(1.0g、1.2mmol)をメチレンジクロライド150mlに溶かした後、0℃で冷却する。そこに水素化ジイソブチルアルミニウム(Diisobutylaluminium hydride、1M solution in cyclohexane、3.8ml、3.8mmol)を加えた後、徐々に温度を引き上げた。3時間後、そこに5%クエン酸溶液(5% citric acid solution)を入れて反応を終了した後、クロロホルムで抽出する。次に、硫酸マグネシウムで乾燥してろ過した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5hを得た。収率は80%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm10.08(s、1H)、10.07(s、1H)、7.85(s、1H)、7.54(s、1H)、7.43(d、2H)、7.18(d、2H)、7.07(s、1H)、7.06(s、1H)、4.81(s、2H)、4.76(s、2H)、2.77(t、2H)、1.65(t、2H)、1.25(m、18H)、0.90(s、9H)、0.87(t、3H)、0.25(s、6H)
【0182】
<化合物5の合成>
【0183】
化合物5h 0.86gをベンゼン60mlに入れた後、そこにアンバーリスト15(Amberlyst 15)1.8gを入れて、dean-stark装置を連結した後、24時間還流する。生成された固体をろ過し、酢酸エチル及びメチレンジクロライドで洗浄した後、乾燥して、化合物5を得た。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)644.256(M+)
【0184】
≪有機薄膜の形成≫
【0185】
<製造例1>
【0186】
SiO2が3000Åで覆われたシリコンウェハの上に合成例1で得られた化合物を基板温度170℃で真空気相蒸着により500Å厚さの有機薄膜を製造する。
【0187】
<比較製造例1-1>
【0188】
合成例1で得られた化合物の代わりに、比較合成例1で得られた化合物を使用して製造例1と同様の方法で、有機薄膜を製造する。
【0189】
<比較製造例1-2>
【0190】
合成例1で得られた化合物の代わりに、比較合成例2で得られた化合物を使用して製造例1と同様の方法で、有機薄膜を製造する。
【0191】
<製造例2>
【0192】
SiO2が3000Åで覆われたシリコンウェハの上に合成例2で得られた化合物を基板温度135℃で真空気相蒸着により500Å厚さの有機薄膜を製造する。
【0193】
<評価I>
【0194】
製造例と比較製造例による有機薄膜の結晶性を確認する。
【0195】
有機薄膜の結晶性は、BRUKER社製のD8 ADVANCE装置で測定して得られたXRDスペクトルピークの半値幅(full width at half maximum、FWHM)を比較することで確認する。
【0196】
図2は、製造例1による有機薄膜のXRDグラフであり、
図3は、比較製造例1-1による有機薄膜のXRDグラフであり、
図4は、比較製造例1-2による有機薄膜のXRDグラフであり、
図5は、製造例2による有機薄膜のXRDグラフである。
【0197】
図2~
図4を比べると、製造例1による有機薄膜は、比較製造例1-1、1-2による有機薄膜と比べて、結晶性が高いことを確認することができた。同様に、
図5を参照すると、製造例2による有機薄膜は、高い結晶性を示すことを確認することができた。このことから、非対称コア構造を有する縮合多環芳香族化合物は、対称コア構造を有する縮合多環芳香族化合物と比べて結晶性が高いことを確認することができた。
【0198】
<評価II>
【0199】
製造例1、2で得られた有機薄膜の熱特性を確認する。
【0200】
有機薄膜の熱特性は、TA Instruments Discovery Differential Scanning Calorimetry(Discovery DSC)で確認する。
【0201】
その結果は表1の通りである。
【0202】
【0203】
表1を参照すると、製造例1、2で得られた有機薄膜は、所定温度で液晶相として存在する区間を確認することができ、このことから、熱処理によって液晶相区間で分子の配列性を向上させることができることを予測することができる。
【0204】
≪薄膜トランジスタの製造≫
【0205】
<実施例1-1>
【0206】
先ず、洗浄されたSiO2が3000Åで覆われたシリコンウェハ基板をO2プラズマに露出させた後、ヘキサン4mM濃度に希釈させたオクタデシルトリクロロシラン溶液に浸して、表面を疎水性に変化させる。次に、合成例1で得られた化合物を基板温度170℃で真空気相蒸着により500Å厚さに蒸着して、有機半導体を形成する。次に、有機半導体の上にシャドーマスクを使用して、金(Au)でソース及びドレイン電極を1000Å厚さに蒸着して、薄膜トランジスタを製作する。
【0207】
<実施例1-2>
【0208】
有機半導体を形成する段階で蒸着された有機半導体を窒素グローブボックスの中のホットプレート上で、120℃で2時間追加アニーリングを行ったことを除いて、実施例1-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製造する。
【0209】
<比較例1-1>
【0210】
合成例1で得られた化合物の代わりに、比較合成例1で得られた化合物を使用したことを除いて、実施例1-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製造する。
【0211】
<比較例1-2>
【0212】
有機半導体を形成する段階で蒸着された有機半導体を窒素グローブボックスの中のホットプレート上で、135℃で2時間追加アニーリングを行ったことを除いて、比較例1-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製造する。
【0213】
<比較例2-1>
【0214】
合成例1で得られた化合物の代わりに、比較合成例2で得られた化合物を使用したことを除いて、実施例1-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製造する。
【0215】
<実施例2-1>
【0216】
合成例1で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物を使用したことを除いて、実施例1-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製作する。
【0217】
<実施例2-2>
【0218】
有機半導体を形成する段階で蒸着された有機半導体を窒素グローブボックスの中のホットプレート上で、120℃で2時間追加アニーリングを行ったことを除いて、実施例2-1と同様の方法で、薄膜トランジスタを製造する。
【0219】
<評価III>
【0220】
実施例及び比較例による薄膜トランジスタの電荷移動度を計算する。
【0221】
薄膜トランジスタの電荷移動度は、飽和領域(saturation region)での電流式から(ISD)1/2及びVGを変数としたグラフを得て、その傾きから求める。
【0222】
【0223】
上記の式から、ISDはソース-ドレイン電流であり、μ又はμFETは電荷移動度であり、C0はゲート絶縁膜の静電容量であり、Wはチャンネル幅であり、Lはチャンネル長さであり、VGはゲート電圧であり、VTはしきい値電圧である。
【0224】
遮断漏れ電流(Ioff)は、オフ状態のときに流れる電流であって、電流比からオフ状態で最小電流を求めた。電流点滅比(Ion/Ioff)は、オン状態の最大電流値とオフ状態の最小電流値の比から求めた。
【0225】
その結果は表2及び表3の通りである。
【0226】
【0227】
【0228】
表2及び表3を参照すると、実施例による薄膜トランジスタは、良好な電荷移動度及び電流点滅比を示すことを確認することができた。また、実施例による薄膜トランジスタは、追加アニーリングによって電荷移動度が更に改善されることを確認することができた。このことから、非対称コア構造及び非対称置換基構造を有する縮合多環芳香族化合物は、良好な電気的特性を示すことを確認することができた。
【0229】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0230】
110 基板
124 ゲート電極
140 ゲート絶縁膜
154 有機半導体
173 ソース電極
175 ドレイン電極