(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】校正装置および校正方法
(51)【国際特許分類】
G01C 3/00 20060101AFI20241023BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241023BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G01C3/00 120
E02F9/24 B
E02F9/20 C
(21)【出願番号】P 2020106401
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】奥脇 立太
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003497(WO,A1)
【文献】特開2012-202061(JP,A)
【文献】特開2020-051029(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111243029(CN,A)
【文献】特開2019-143995(JP,A)
【文献】特開2020-045687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00- 3/32
E02F 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に備えられた車載距離センサを校正する校正装置であって、
前記車載距離センサによって計測された、前記作業機械の外部の任意の位置に設置された第1基準物が存在する範囲の距離データである第1距離データを取得する距離取得部と、
前記第1距離データに基づいて所定の座標系における前記第1基準物の位置を計算する位置計算部と、
前記第1基準物と、前記座標系における位置が既知である第2基準物との位置関係を取得する関係取得部と、
前記第1距離データと
、前記第1基準物と前記第2基準物との前記位置関係とに基づいて、前記車載距離センサの距離データから前記座標系における位置を計測するために用いられるパラメータを校正する校正部と
を備える校正装置。
【請求項2】
前記第2基準物は、前記作業機械が備える作業機であって、
前記関係取得部は、前記作業機の一部を前記第1基準物に接触させたときの前記作業機の位置を取得する
請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記第2基準物は、前記作業機械が備える作業機であって、
前記関係取得部は、前記作業機械の外部に設けられた外部距離センサによって計測された、前記作業機および前記第1基準物とが存在する範囲の距離データである第2距離データを取得する
請求項1に記載の校正装置。
【請求項4】
前記車載距離センサは前記作業機械に着脱可能に設けられ、
前記外部距離センサは、前記作業機械から取り外された前記車載距離センサである
請求項3に記載の校正装置。
【請求項5】
前記第2基準物は、前記作業機械の外部に設けられた測位機能を有する外部距離センサであって、
前記関係取得部は、前記外部距離センサによって計測された、前記第1基準物が存在する範囲の距離データを取得する
請求項1に記載の校正装置。
【請求項6】
前記第1距離データは、前記外部距離センサおよび前記第1基準物が存在する範囲の距離データである
請求項5に記載の校正装置。
【請求項7】
前記車載距離センサは、前記車載距離センサの計測範囲に前記第2基準物が干渉しない位置に設けられる
請求項1に記載の校正装置。
【請求項8】
作業機械に備えられた車載距離センサの校正方法であって、
前記車載距離センサによって前記作業機械の外部の任意の位置に設置された第1基準物が存在する範囲を計測して第1距離データを取得するステップと、
前記第1基準物と、位置が既知である第2基準物との位置関係を取得するステップと、
前記第1距離データと
、前記第1基準物と前記第2基準物との前記位置関係とに基づいて、前記車載距離センサの距離データから
所定の座標系における位置を計測するために用いられるパラメータを校正するステップと
を備える校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に備えられる車載距離センサを校正する校正装置および校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機と撮像装置とを有する作業機械における距離センサの校正を行う技術が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の校正システムは、距離センサが作業機に設けられたターゲットの距離を計測し、画像から距離センサとターゲットとの位置関係を求め、作業機の姿勢と距離データから求めた位置関係とに基づいて、距離センサの校正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業機械が備える距離センサは、必ずしも作業機械の正面を向けて設けられるとは限らない。例えば、距離センサは作業機械の側面に設けられることがある。この場合、距離センサの計測範囲内に作業機が存在しないため、特許文献1に開示された校正方法を実行することができない。また、すべての作業機械が作業機を備えるとは限らない。この場合にも、特許文献1に開示された校正方法を実行することができない。
本開示の目的は、距離センサの計測範囲に作業機が写るか否かに関わらず距離センサを校正することができる校正装置および校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、校正装置は、作業機械に備えられた車載距離センサを校正する校正装置であって、前記車載距離センサによって計測された、前記作業機械の外部の任意の位置に設置された第1基準物が存在する範囲の距離データである第1距離データを取得する距離取得部と、前記第1距離データに基づいて所定の座標系における前記第1基準物の位置を計算する位置計算部と、前記第1基準物と、前記座標系における位置が既知である第2基準物との位置関係を取得する関係取得部と、前記第1距離データと前記位置関係とに基づいて、前記車載距離センサの距離データから前記座標系における位置を計測するために用いられるパラメータを校正する校正部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、校正装置は、距離センサの計測範囲に作業機が写るか否かに関わらず距離センサを校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1の実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法の概略を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法の概略を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法の概略を示す図である。
【
図10】第3の実施形態に係る作業機械の距離センサの校正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈座標系〉
図1は、作業機械100の姿勢の例を示す図である。
以下の説明においては、三次元の現場座標系(Xg、Yg、Zg)、三次元の車体座標系(Xm、Ym、Zm)、および三次元のセンサ座標系(Xs、Ys、Zs)を規定して、これらに基づいて位置関係を説明する。
【0009】
現場座標系は、施工現場に設けられたGNSS(Global Navigation Satellite System)基準局の位置を基準点として南北に伸びるXg軸、東西に伸びるYg軸、鉛直方向に伸びるZg軸から構成される座標系である。GNSSの例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。なお、他の実施形態においては、現場座標系に代えて緯度および経度などで表されるグローバル座標系を用いてもよい。
車体座標系は、作業機械100の旋回体130に規定された代表点Oを基準として、後述する運転室170内のオペレータの着座位置から見て前後に伸びるXm軸、左右に伸びるYm軸、上下に伸びるZm軸から構成される座標系である。旋回体130の代表点Oを基準として前方を+Xm方向、後方を-Xm方向、左方を+Ym方向、右方を-Ym方向、上方向を+Zm方向、下方向を-Zm方向とよぶ。
現場座標系と車体座標系とは、現場座標系における作業機械100の位置および傾きを特定することで、互いに変換することができる。
【0010】
センサ座標系は、作業機械100が備える距離センサの位置を基準として、距離センサの計測方向に伸びるXs軸、左右に伸びるYs軸、上下に伸びるZs軸から構成される座標系である。
距離センサは車体に固定されるため、車体における距離センサの設置位置が分かれば、センサ車体座標系とセンサ座標系とは互いに変換することができる。
【0011】
〈第1の実施形態〉
《作業機械100の構成》
図2は、第1の実施形態に係る作業機械100の構成を示す概略図である。
作業機械100は、施工現場にて稼働し、土砂などの掘削対象を施工する。第1の実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベルである。
作業機械100は、走行体110、旋回体130、作業機150、運転室170を備える。
走行体110は、作業機械100を走行可能に支持する。走行体110は、例えば左右1対の無限軌道である。旋回体130は、走行体110に旋回中心回りに旋回可能に支持される。作業機150は、油圧により駆動する。作業機150は、旋回体130の前部に上下方向に駆動可能に支持される。運転室170は、オペレータが搭乗し、作業機械100の操作を行うためのスペースである。運転室170は、旋回体130の前部に設けられる。
【0012】
《旋回体130の構成》
図2に示すように、旋回体130は、位置方位検出器131、傾斜検出器132、および距離センサ133を備える。
【0013】
位置方位検出器131は、旋回体130の現場座標系における位置および旋回体130が向く方位を演算する。位置方位検出器131は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つのアンテナを備える。2つのアンテナは、それぞれ旋回体130の異なる位置に設置される。例えば2つのアンテナは、旋回体130のカウンターウェイト部に設けられる。位置方位検出器131は、2つのアンテナの少なくとも一方が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体130の代表点Oの位置を検出する。位置方位検出器131は、2つのアンテナのそれぞれが受信した測位信号を用いて、現場座標系において旋回体130が向く方位を検出する。
【0014】
傾斜検出器132は、旋回体130の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体130の傾き(例えば、Xm軸に対する回転を表すロール、およびYm軸に対する回転を表すピッチ)を検出する。傾斜検出器132は、例えば運転室170の下方に設置される。傾斜検出器132の例としては、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)が挙げられる。
【0015】
距離センサ133は、旋回体130に設けられ、計測範囲における対象物との距離を検出する。距離センサ133は、旋回体130の両側面に設けられ、旋回体130の幅方向に伸びる軸(Xs軸)を中心とする計測範囲において、施工対象を含む周囲の距離を検出する。これにより、作業機械100が作業機150によって土砂を掘削しているときに、距離センサ133は、作業機械100の側方に停車する土砂の積込対象の運搬車両(図示せず)の距離を検出することができる。また、作業機械100が土砂を運搬車両に積み込んでいるときに、距離センサ133は、施工対象の距離を検出することができる。
距離センサ133は、その計測範囲に作業機150が干渉しない位置に設けられる。つまり、距離センサ133は、作業機150が写らない範囲の距離を計測する。距離センサ133の例としては、例えば、LiDAR装置、レーダ装置、ステレオカメラなどが挙げられる。距離センサ133は、その計測範囲に作業機150が干渉しない位置であれば、旋回体130の側面以外の箇所に設けられてもよい。例えば、距離センサ133は、旋回体130の上部かつ車体の側方の距離を検出できる箇所に設けられてもよい。また、距離センサ133は、旋回体130の一側面にのみ設けられるものであってもよい。
距離センサ133は、旋回体130に対して着脱可能に設けられる。距離センサ133は、車載距離センサの一例である。
【0016】
《作業機150の構成》
図2に示すように、作業機150は、ブーム151、アーム152、およびバケット155を備える。
【0017】
ブーム151の基端部は、旋回体130にブームピンP1を介して取り付けられる。
アーム152は、ブーム151とバケット155とを連結する。アーム152の基端部は、ブーム151の先端部にアームピンP2を介して取り付けられる。
バケット155は、土砂などを掘削するための刃先と掘削した土砂を収容するための収容部とを備える。バケット155の基端部は、アーム152の先端部にバケットピンP5を介して取り付けられる。
【0018】
作業機150は、動力を発生させるアクチュエータである複数の油圧シリンダを備える。具体的には、作業機150は、ブームシリンダ156、アームシリンダ157、およびバケットシリンダ158を備える。
ブームシリンダ156は、ブーム151を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ156の基端部は、旋回体130に取り付けられる。ブームシリンダ156の先端部は、ブーム151に取り付けられる。ブームシリンダ156には、ブームシリンダ156のストローク量を検出するブームシリンダストロークセンサ1561が設けられる。
アームシリンダ157は、アーム152を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ157の基端部は、ブーム151に取り付けられる。アームシリンダ157の先端部は、アーム152に取り付けられる。アームシリンダ157には、アームシリンダ157のストローク量を検出するアームシリンダストロークセンサ1571が設けられる。
バケットシリンダ158は、バケット155を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ158の基端部は、アーム152に取り付けられる。バケットシリンダ158の先端部は、バケット155に取り付けられる。バケットシリンダ158には、バケットシリンダ158のストローク量を検出するバケットシリンダストロークセンサ1581が設けられる。
【0019】
《運転室170の構成》
図3は、第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す図である。
図3に示すように、運転室170内には、運転席171、操作装置172および制御装置173が設けられる。
【0020】
操作装置172は、オペレータの手動操作によって走行体110、旋回体130および作業機150を駆動させるためのインタフェースである。操作装置172は、左操作レバー1721、右操作レバー1722、左フットペダル1723、右フットペダル1724、左走行レバー1725、右走行レバー1726を備える。
【0021】
左操作レバー1721は、運転席171の左側に設けられる。右操作レバー1722は、運転席171の右側に設けられる。
【0022】
左操作レバー1721は、旋回体130の旋回動作、ならびに、アーム152の引き動作および押し動作を行うための操作機構である。具体的には、オペレータが左操作レバー1721を前方に倒すと、アームシリンダ157が駆動し、アーム152が押し動作する。また、オペレータが左操作レバー1721を後方に倒すと、アームシリンダ157が駆動し、アーム152が引き動作する。また、オペレータが左操作レバー1721を右方向に倒すと、旋回体130が右旋回する。また、オペレータが左操作レバー1721を左方向に倒すと、旋回体130が左旋回する。
【0023】
右操作レバー1722は、バケット155の掘削動作およびダンプ動作、ならびに、ブーム151の上げ動作および下げ動作を行うための操作機構である。具体的には、オペレータが右操作レバー1722を前方に倒すと、ブームシリンダ156が駆動し、ブーム151の下げ動作が実行される。また、オペレータが右操作レバー1722を後方に倒すと、ブームシリンダ156が駆動し、ブーム151の上げ動作が実行される。また、オペレータが右操作レバー1722を右方向に倒すと、バケットシリンダ158が駆動し、バケット155のダンプ動作が行われる。また、オペレータが右操作レバー1722を左方向に倒すと、バケットシリンダ158が駆動し、バケット155の掘削動作が行われる。
なお、左操作レバー1721および右操作レバー1722の操作方向と、作業機150の動作方向および旋回体130の旋回方向の関係は、上述の関係でなくてもよい。
【0024】
左フットペダル1723は、運転席171の前方の床面の左側に配置される。右フットペダル1724は、運転席171の前方の床面の右側に配置される。左走行レバー1725は、左フットペダル1723に軸支され、左走行レバー1725の傾斜と左フットペダル1723の押し下げが連動するように構成される。右走行レバー1726は、右フットペダル1724に軸支され、右走行レバー1726の傾斜と右フットペダル1724の押し下げが連動するように構成される。
【0025】
左フットペダル1723および左走行レバー1725は、走行体110の左側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、走行体110の駆動輪が後方にある場合、オペレータが左フットペダル1723または左走行レバー1725を前方に倒すと、左側履帯は前進方向に回転する。また、オペレータが左フットペダル1723または左走行レバー1725を後方に倒すと、左側履帯は後進方向に回転する。
【0026】
右フットペダル1724および右走行レバー1726は、走行体110の右側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、走行体110の駆動輪が後方にある場合、オペレータが右フットペダル1724または右走行レバー1726を前方に倒すと、右側履帯は前進方向に回転する。また、オペレータが右フットペダル1724または右走行レバー1726を後方に倒すと、右側履帯は後進方向に回転する。
【0027】
制御装置173は、オペレータの操作に基づいて、走行体110、旋回体130、および作業機150を制御する。制御装置173は、入出力装置であり、作業機械100が有する複数の機能に係る情報を表示するディスプレイ1731を備える。制御装置173は、校正装置の一例である。第1の実施形態に係る制御装置173の入力手段は、ハードキーである。なお、他の実施形態においては、タッチパネル、マウス、またはキーボード等を入力手段として用いてもよい。また、第1の実施形態に係る制御装置173は、ディスプレイ1731と一体に設けられるが、他の実施形態においては、ディスプレイ1731が制御装置173と別個に設けられていてもよい。
【0028】
《制御装置173の構成》
図4は、第1の実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
制御装置173は、プロセッサ210、メインメモリ230、ストレージ250、インタフェース270を備えるコンピュータである。
【0029】
ディスプレイ1731は、インタフェース270を介してプロセッサ210に接続される。
ストレージ250は、一時的でない有形の記憶媒体である。ストレージ250の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ250は、制御装置173のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース270または通信回線を介して制御装置173に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ250は、距離センサ133を校正するための校正プログラムを記憶する。
【0030】
校正プログラムは、制御装置173に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、校正プログラムは、ストレージ250に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、制御装置173は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ210によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0031】
プロセッサ210は、校正プログラムを実行することで、表示制御部211、取得部212、位置計算部213、姿勢特定部214、校正部215、座標変換部216、パラメータ記憶部217として機能する。
【0032】
表示制御部211は、ディスプレイ1731に表示させる画面データを生成し、画面データをディスプレイ1731に出力する。
【0033】
取得部212は、各種センサから計測データを取得する。具体的には、取得部212は、位置方位検出器131、傾斜検出器132、距離センサ133、ブームシリンダストロークセンサ1561、アームシリンダストロークセンサ1571、およびバケットシリンダストロークセンサ1581の計測データを取得する。
【0034】
位置計算部213は、取得部212が取得した距離センサ133の計測データ(以下、距離データという)に基づいて、距離センサ133の校正に用いるマーカMのセンサ座標系における位置を計算する。マーカMとしては、所定の反射率を有する反射材を用いることができる。これにより、位置計算部213は、距離センサ133の計測データのうち、所定の反射率に係る部分を探索することで、マーカMの位置を特定することができる。
【0035】
姿勢特定部214は、取得部212が取得したブームシリンダストロークセンサ1561、アームシリンダストロークセンサ1571、およびバケットシリンダストロークセンサ1581の計測データに基づいて、車体座標系におけるバケット155の刃先の位置を特定する。以下、
図1を参照しながら姿勢特定部214によるバケット155の刃先の位置の特定方法について説明する。まず姿勢特定部214は、ブームシリンダストロークセンサ1561の計測データからブーム151の傾斜角αを算出する。姿勢特定部214は、算出した傾斜角αと既知のブームピンP1の車体座標系の位置と既知のブーム151の長さL1とに基づいて、車体座標系におけるアームピンP2の位置を特定する。姿勢特定部214は、アームシリンダストロークセンサ1571の計測データからアーム152の傾斜角βを算出する。姿勢特定部214は、算出した傾斜角βとアームピンP2の車体座標系の位置と既知のアーム152の長さL2とに基づいて、車体座標系におけるバケットピンP5の位置を特定する。姿勢特定部214は、バケットシリンダストロークセンサ1581の計測データからバケット155の傾斜角γを算出する。姿勢特定部214は、算出した傾斜角γとバケットピンP5の車体座標系の位置と既知のバケット155の長さL3とに基づいて、車体座標系におけるバケット155の刃先の位置を特定する。
【0036】
校正部215は、マーカMの位置とバケット155の刃先の位置とに基づいて、センサ座標系の位置と車体座標系における位置とを相互に変換するために用いるパラメータを算出する。校正部215は、算出したパラメータをパラメータ記憶部217に記憶させる。パラメータの例としては、例えば作業機械100における距離センサ133の位置および傾き(外部パラメータ)が挙げられる。
【0037】
座標変換部216は、取得部212が取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データに基づいて、車体座標系の位置と現場座標系の位置とを相互に変換する。また、座標変換部216は、パラメータ記憶部217が記憶するパラメータに基づいて、センサ座標系の位置と車体座標系における位置とを相互に変換する。
【0038】
《距離センサの校正方法》
図5は、第1の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法の概略を示す図である。
第1の実施形態では、作業機械100に取り付けられた距離センサ133の計測範囲R内に複数のマーカMを設置してマーカMの位置を計測した後に、オペレータが作業機械100を操作して各マーカMにバケット155の刃先を合わせる。これにより、作業機械100の制御装置173は、距離センサ133が計測したマーカMの位置とバケット155の刃先位置から計算されるマーカMの位置とが一致するように、距離センサ133のパラメータを校正することができる。なお、他の実施形態においては、制御装置173は、複数のマーカMではなく、1つのマーカMを用いて距離センサ133のパラメータを校正してもよい。ただし、パラメータの校正には複数のマーカMを用いることが好ましい。複数のマーカMの位置を用いることで、車体の傾きが生じる場合においても精度よくパラメータを校正することができる。
【0039】
図6は、第1の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法を示すフローチャートである。
オペレータが制御装置173を操作し、距離センサ133の校正機能を起動させると、制御装置173は、
図6に示す校正処理を開始する。
【0040】
まず、表示制御部211は、距離センサ133の計測範囲R内に複数のマーカMの設置を促す設置指示画面をディスプレイ1731に出力する(ステップS1)。設置指示画面は、例えば「距離センサの計測範囲内にマーカを4つ設置してください。」などの案内文を含む。また設置指示画面には、距離センサ133の計測データに基づいて生成された計測範囲Rの形状を示す三次元データが含まれているとよい。これによりオペレータは、設置指示画面を視認して、マーカMが計測範囲R内に設置されているか否かを判断することができる。
【0041】
オペレータは、マーカMの設置を完了すると、制御装置173を操作し、処理を進める。次に、取得部212は、各種センサから計測データを取得する(ステップS2)。位置計算部213は、ステップS2で取得した計測データに基づいて、センサ座標系におけるマーカMの位置を特定する(ステップS3)。
【0042】
次に、表示制御部211は、複数のマーカMの1つにバケット155の刃先が合うように作業機械100の操作を促す操作指示画面をディスプレイ1731に出力する(ステップS4)。操作指示画面は、例えば「マーカに刃先を合わせてください。」などの案内文を含む。また操作指示画面には、ステップS2で取得した計測データに基づいて生成された計測範囲Rの形状を示す三次元データが含まれているとよい。
オペレータは、操作装置172を操作し、旋回体130を旋回させ、作業機150を駆動させて、バケット155の刃先を複数のマーカMの1つに当てる。オペレータは、刃先を複数のマーカMの1つに当てると、制御装置173を操作し、バケット155の移動完了を制御装置173に入力する(ステップS5)。例えば、オペレータは、操作指示画面に含まれる三次元データに含まれる複数のマーカMのうち、バケット155の刃先を当てたマーカMが写る部分をタッチすることで、バケット155の移動完了を入力しつつ、複数のマーカMのうちバケット155を当てたマーカMを制御装置173に入力することができる。
【0043】
次に、取得部212は、各種センサから計測データを取得する(ステップS6)。姿勢特定部214は、ステップS6で取得したブームシリンダストロークセンサ1561、アームシリンダストロークセンサ1571、およびバケットシリンダストロークセンサ1581の計測データに基づいて、車体座標系におけるバケット155の刃先の位置を特定する(ステップS7)。このときのバケット155の刃先の位置は、マーカMの位置と略一致する。つまり、姿勢特定部214は、マーカMとバケット155の刃先との位置関係を取得する関係取得部の一例である。
【0044】
座標変換部216は、ステップS2で取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データと、ステップS6で取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データに基づいて、ステップS7で算出したバケット155の刃先の位置を、ステップS2時点の現場座標系の位置に変換する(ステップS8)。つまり、座標変換部216は、ステップS2で取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データと、ステップS7で取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データとの差分を取ることで、位置、旋回角、および傾きの変化量を算出する。そして、座標変換部216は、ステップS7で算出した位置を、算出した位置、旋回角、および傾きの変化量に基づいて変形することで、ステップS2の時点における現場座標系の位置を得ることができる。
【0045】
校正部215は、複数のマーカMすべてについて、バケット155の刃先を当てたか否かを判定する(ステップS9)。例えば、校正部215は、ステップS5による移動完了の入力がステップS1で指定したマーカMの数だけなされたか否かを判定する。バケット155の刃先を当てていないマーカMが存在する場合(ステップS9:NO)、制御装置173は、処理をステップS4に戻し、操作指示画面をディスプレイ1731に出力する。
【0046】
他方、複数のマーカMすべてについて、バケット155の刃先を当てた場合(ステップS9:YES)、校正部215は、ステップS3で算出したセンサ座標系におけるマーカの位置と、ステップS8で取得した各マーカMに応じたバケット155の刃先の位置とに基づいて、距離センサ133のパラメータを算出する(ステップS10)。すなわち、ステップS8で取得したバケット155の刃先の位置は、ステップS2の時点における車体座標系におけるマーカMの位置を示す。そのため、校正部215は、ステップS8で取得した複数のバケット155の刃先の位置にステップS3で算出した複数のマーカMの位置を一度の座標変換で全ての位置が重なるような行列を求めることなどにより当てはめることで、作業機械100における距離センサ133の位置および傾きを特定することができる。
校正部215は、ステップS10で算出したパラメータをパラメータ記憶部217に記憶させる(ステップS11)。
【0047】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る制御装置173は、以下のように距離センサのパラメータを校正する。
取得部212は、距離センサ133によって計測された、作業機械100の外部の任意の位置に設置されたマーカMが存在する範囲の距離データを取得する。位置計算部213は、距離データに基づいてマーカMの位置を計算する。姿勢特定部214は、マーカMと、車体座標系および現場座標系における位置が既知であるバケット155の刃先との位置関係として、バケット155の刃先をマーカMに接触させたときの刃先の位置を取得する。校正部215は、バケット155の刃先をマーカMに接触させたときの刃先の位置と距離センサ133で計測したマーカMの位置に基づいて、車体座標系における距離センサ133の位置および傾きを特定するパラメータを校正する。
これにより、第1の実施形態に係る制御装置173は、作業機150が写らない範囲の距離を計測する距離センサ133を校正することができる。
【0048】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る制御装置173は、距離センサ133の校正のために作業機械100を旋回させ、また作業機150を駆動させる必要がある。これに対し、第2の実施形態に係る制御装置173は、作業機械100を操作することなしに、距離センサ133を校正する。
【0049】
図7は、第2の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法の概略を示す図である。
第2の実施形態では、作業機械100から取り外された距離センサ133を用いて複数のマーカMとバケット155の刃先の位置を計測した後に、当該距離センサ133を作業機械100に設置して、再度各マーカMの位置を計測する。これにより、作業機械100の制御装置173は、取り外された距離センサ133が計測したマーカMとバケット155の刃先の位置関係と、取り付けられた距離センサ133が計測したマーカMの位置およびシリンダストロークセンサによって計測されるバケット155の刃先の位置の関係とが一致するように、距離センサ133のパラメータを構成することができる。
【0050】
《距離センサの校正方法》
図8は、第2の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法を示すフローチャートである。
オペレータが制御装置173を操作し、距離センサ133の校正機能を起動させると、制御装置173は、
図8に示す校正処理を開始する。
【0051】
まず、表示制御部211は、距離センサ133の計測範囲R内に複数のマーカMの設置を促す設置指示画面をディスプレイ1731に出力する(ステップS31)。設置指示画面は、例えば「距離センサの計測範囲内にマーカを4つ設置してください。」などの案内文を含む。また設置指示画面には、距離センサ133の計測データに基づいて生成された計測範囲Rの形状を示す三次元データが含まれているとよい。これによりオペレータは、設置指示画面を視認して、マーカMが計測範囲R内に設置されているか否かを判断することができる。
【0052】
オペレータは、マーカMの設置を完了すると、制御装置173を操作し、処理を進める。
次に、取得部212は、各種センサから計測データを取得する(ステップS32)。姿勢特定部214は、ステップS32で取得したブームシリンダストロークセンサ1561、アームシリンダストロークセンサ1571、およびバケットシリンダストロークセンサ1581の計測データに基づいて、車体座標系におけるバケット155の刃先の位置を特定する(ステップS33)。
【0053】
次に、表示制御部211は、距離センサ133を作業機械100から取り外し、距離センサ133によって複数のマーカMとバケット155の刃先とを含む範囲を計測することを促す計測指示画面をディスプレイ1731に出力する(ステップS34)。計測指示画面は、例えば「距離センサを取り外し、マーカとバケットの刃先の距離を計測した後に、距離センサを再度取り付けてください。」などの案内文を含む。
オペレータは、距離センサ133を作業機械100から取り外し、バケット155の刃先と複数のマーカMとを含む範囲を計測する。距離センサ133は、例えば、計測ボタンを有しており、オペレータが当該計測ボタンを押下することにより、距離センサ133による手動の計測がなされてよい。
【0054】
オペレータによって距離センサ133が作業機械100に取り付けられると、取得部212は、距離センサ133が取り外されている間に計測された距離データを取得する(ステップS35)。距離センサ133が取り外されたときに計測された距離データは、バケット155の刃先およびマーカMとが存在する範囲の距離データである。つまり、取得部212は、マーカMとバケット155の刃先との位置関係を取得する関係取得部の一例である。位置計算部213は、ステップS35で取得した計測データに基づいて、距離センサ取り外し時のセンサ座標系におけるバケット155の刃先およびマーカMの位置を特定する(ステップS36)。
【0055】
次に、取得部212は、距離センサ133から取り付け後に計測された距離データを取得する(ステップS37)。位置計算部213は、ステップS36で取得した計測データに基づいて、距離センサ取り付け後のセンサ座標系におけるマーカMの位置を特定する(ステップS38)。
【0056】
次に、校正部215は、ステップS33で取得したバケット155の刃先の位置と、ステップS36で計算した距離センサ取り外し時のセンサ座標系におけるバケット155の刃先およびマーカMの位置とに基づいて、各マーカMの車体座標系における位置を特定する(ステップS39)。校正部215は、ステップS36で得られたバケット155の刃先およびマーカMの位置に、車体座標系における刃先の位置を車体座標系に当てはめることで、車体座標系におけるマーカMの位置を特定することができる。
【0057】
次に、校正部215は、ステップS38で特定した距離センサ取り付け後のセンサ座標系におけるマーカMの位置と、ステップS39で特定したマーカMの車体座標系における位置とに基づいて、作業機械100における距離センサ133の設置位置および傾きを示すパラメータを算出する(ステップS40)。校正部215は、ステップS38で算出したパラメータをパラメータ記憶部217に記憶させる(ステップS41)。
【0058】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態に係る制御装置173は、以下のように距離センサのパラメータを校正する。
取得部212は、作業機械100に取り付けられた距離センサ133によって計測された、作業機械100の外部の任意の位置に設置されたマーカMが存在する範囲の第1距離データを取得する。また取得部212は、マーカMと、車体座標系および現場座標系における位置が既知であるバケット155の刃先との位置関係として、作業機械100から取り外された距離センサ133によって計測された、バケット155の刃先とマーカMとが写る範囲の第2距離データを取得する。校正部215は、第1距離データと第2距離データとに基づいて、距離センサ133の距離データから車体座標系における位置を計測するために用いられるパラメータを校正する。
これにより、第2の実施形態に係る制御装置173は、作業機150が写らない範囲の距離を計測する距離センサ133を校正することができる。
【0059】
なお、第2の実施形態によれば、第2距離データとして作業機械100から取り外された距離センサ133によって計測された距離データを用いるが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態によれば、第2距離データとして距離センサ133とは別に用意された外部の距離センサによって計測された距離データを用いてもよい。
【0060】
〈第3の実施形態〉
第1の実施形態に係る制御装置173は、距離センサ133の校正のために作業機械100を旋回させ、また作業機150を駆動させる必要がある。これに対し、第3の実施形態に係る制御装置173は、作業機械100を操作することなしに、距離センサ133を校正する。第3の実施形態に係る制御装置173は、外部に設けられる外部距離センサ300の計測データを用いて、距離センサ133を校正する。外部距離センサ300は、自身の現場座標系における位置を測位する測位機能を有する。制御装置173は、外部距離センサ300と無線または有線で通信可能に接続される。制御装置173は、リムーバブルメディア等を介して外部距離センサ300からデータを取得可能に構成されるものであってもよい。
【0061】
図9は、第3の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法の概略を示す図である。
第3の実施形態では、距離センサ133の計測範囲R内に、複数のマーカMと外部距離センサ300を設置し、当該外部距離センサ300を用いて複数のマーカMの位置を計測する。これにより、作業機械100の制御装置173は、距離センサ133が計測したマーカMの位置と外部距離センサ300が計測したマーカMの位置とを合わせたときの車体座標系における外部距離センサの位置と、既知の外部距離センサの現場座標系の位置とに基づいて、距離センサ133のパラメータを構成することができる。
【0062】
《距離センサの校正方法》
図10は、第3の実施形態に係る作業機械100の距離センサ133の校正方法を示すフローチャートである。
オペレータが制御装置173を操作し、距離センサ133の校正機能を起動させると、制御装置173は、
図10に示す校正処理を開始する。
【0063】
まず、表示制御部211は、距離センサ133の計測範囲R内に複数のマーカMと外部計測装置の設置を促す設置指示画面をディスプレイ1731に出力する(ステップS51)。設置指示画面は、例えば「距離センサの計測範囲内にマーカを4つ設置し、さらに当該計測範囲内に、4つのマーカが写るように外部距離センサを設置してください。」などの案内文を含む。また設置指示画面には、距離センサ133の計測データに基づいて生成された計測範囲Rの形状を示す三次元データが含まれているとよい。これによりオペレータは、設置指示画面を視認して、マーカMおよび外部距離センサ300が計測範囲R内に設置されているか否かを判断することができる。
【0064】
オペレータは、マーカMおよび外部距離センサ300の設置を完了すると、制御装置173を操作し、処理を進める。取得部212は、各種センサから計測データを取得する(ステップS52)。位置計算部213は、ステップS52で取得した距離データに基づいて、センサ座標系におけるマーカMおよび外部距離センサ300の位置を特定する(ステップS53)。座標変換部216は、パラメータ記憶部217が記憶するパラメータとステップS52で取得した位置方位検出器131および傾斜検出器132の計測データに基づいて、ステップS53で特定したマーカMおよび外部距離センサ300の位置を現場座標系の位置に変換する(ステップS54)。
また、取得部212は、外部距離センサ300から、外部距離センサ300の現場座標系における位置を示す位置データと計測データとを取得する(ステップS55)。
【0065】
校正部215は、ステップS55で取得した外部距離センサ300の位置データおよび計測データから、各マーカMの現場座標系における位置を特定する(ステップS56)。次に、校正部215は、ステップS54で特定したマーカMおよび外部距離センサ300の位置を現場座標系の位置と、ステップS55で取得した外部距離センサ300の位置データおよびステップS56で特定したマーカMの現場座標系における位置との差が最小となるように、作業機械100における距離センサ133の位置および傾きであるパラメータを特定する(ステップS57)。
校正部215は、ステップS57で算出したパラメータをパラメータ記憶部217に記憶させる(ステップS58)。
【0066】
《作用・効果》
このように、第3の実施形態に係る制御装置173は、以下のように距離センサのパラメータを校正する。
取得部212は、作業機械100に取り付けられた距離センサ133によって計測された、作業機械100の外部の任意の位置に設置されたマーカMおよび外部距離センサ300が存在する範囲の第1距離データを取得する。また取得部212は、マーカMと、車体座標系および現場座標系における位置が既知である外部距離センサ300との位置関係として、外部距離センサ300によって計測された、マーカMが写る範囲の第2距離データを取得する。校正部215は、第1距離データと第2距離データとに基づいて、距離センサ133の距離データから車体座標系における位置を計測するために用いられるパラメータを校正する。
これにより、第3の実施形態に係る制御装置173は、作業機150が写らない範囲の距離を計測する距離センサ133を校正することができる。
【0067】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0068】
例えば、他の実施形態においては、GNSS-RTK(Real Time Kinematic)ローバを用いて、複数のマーカMの現場座標系における位置を特定し、当該現場座標系の位置に基づいて距離センサ133を校正してもよい。
具体的には、他の実施形態に係る制御装置173は、以下の手順で距離センサ133を校正してよい。制御装置173は、GNSS-RTKローバを用いて計測された3つ以上のマーカMそれぞれの現場座標系における位置の入力を受け付ける。制御装置173は、位置方位検出器131および傾斜検出器132から得られる計測データに基づいて、距離センサ133によって計測されたマーカMの位置を現場座標系に変換する。制御装置173は、変換された複数のマーカMの位置とGNSS-RTKローバによって特定された複数のマーカMの位置とが一致するように、距離センサ133のパラメータを校正する。
また、他の実施形態に係る制御装置173は、以下の手順で距離センサ133を校正してもよい。制御装置173は、GNSS-RTKローバを用いて計測された1つのマーカMの現場座標系における位置の入力を受け付ける。オペレータは、作業機械100を操作し、マーカMが距離センサ133の計測範囲R内に位置する3つ以上の異なる地点において、距離センサ133によってマーカMの位置を計測する。制御装置173は、位置方位検出器131および傾斜検出器132から得られる計測データに基づいて、異なる位置から計測されたマーカMの位置を現場座標系に変換する。制御装置173は、変換された複数のマーカMの位置とGNSS-RTKローバによって特定されたマーカMの位置とが一致するように、距離センサ133のパラメータを校正する。
【0069】
上述した実施形態に係る制御装置173は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、制御装置173の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで制御装置173として機能するものであってもよい。このとき、制御装置173を構成する一部のコンピュータが作業機械100の内部に搭載され、他のコンピュータが作業機械100の外部に設けられてもよい。
【0070】
上述の実施形態によれば、作業機150の姿勢をシリンダストロークセンサの計測データに基づいて求めるが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態においては、シリンダストロークセンサに代えて、ブーム151、アーム152、およびバケット155のそれぞれに取り付けられたIMUや、各ピンの回転量を計測するエンコーダなどに基づいて作業機150の姿勢が特定されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
100…作業機械 133…距離センサ 150…作業機 212…取得部 213…位置計算部 214…姿勢特定部 215…校正部