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特許7575893建物、建物の空調方法および建物の空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】建物、建物の空調方法および建物の空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241023BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20241023BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241023BHJP
   F24F 11/76 20180101ALI20241023BHJP
【FI】
F24F7/007 B
E04B1/76 100C
E04B1/76 200D
F24F7/06
F24F11/76
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020133930
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030142
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正明
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-002645(JP,A)
【文献】特開2004-245495(JP,A)
【文献】特開2009-052765(JP,A)
【文献】特開2018-084381(JP,A)
【文献】特開昭57-031742(JP,A)
【文献】特開2015-169395(JP,A)
【文献】米国特許第04915294(US,A)
【文献】特開昭63-065236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
E04B 1/76
F24F 7/06
F24F 11/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象となる第1エリアと、
前記第1エリアと異なる第2エリアと、
前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、
前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて前記熱移送部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する建物。
【請求項2】
前記第2エリアは、前記第1エリアよりも取得可能な日射量が多い高日射取得エリアである請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記第2エリアは、空調機が設けられている請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記熱移送部は、前記第2エリアの空気を前記第1エリアに送風可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物。
【請求項5】
前記熱移送部は、
前記第1エリアと前記第2エリアとを連通させるダクトと、
前記ダクトを介して前記第2エリアの空気を前記第1エリアに送風する送風機と、を有する請求項4に記載の建物。
【請求項6】
前記熱移送部は、前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出す上側吹き出し口および下側吹き出し口を有し、
前記上側吹き出し口は、前記下側吹き出し口よりも上方に設けられ、
前記第2エリアの温度が前記第1エリアの温度よりも高い場合は、前記下側吹き出し口から前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出し、
前記第2エリアの温度が前記第1エリアの温度よりも低い場合は、前記上側吹き出し口から前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出す請求項4または5に記載の建物。
【請求項7】
前記熱移送部は、前記第2エリアの熱を蓄熱可能であるとともに蓄熱した熱を前記第1エリアに放熱可能な潜熱蓄熱材を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物。
【請求項8】
前記第1エリアの温度を測定する第1温度センサと、
前記第2エリアの温度を測定する第2温度センサと、を有し、
前記第1エリアの温度情報は、前記第1温度センサが測定した前記第1エリアの温度であり、前記第2エリアの温度情報は、前記第2温度センサが測定した前記第2エリアの温度である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物。
【請求項9】
前記第1エリアは、断熱部材に覆われている請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物。
【請求項10】
建物内の空調対象となる第1エリアと、
前記建物内の前記第1エリアと異なる第2エリアと、
前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、を有する建物の空調方法であって、
前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて前記熱移送部の駆動を制御し、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する建物の空調方法。
【請求項11】
建物内の空調対象となる第1エリアに前記建物内の前記第1エリアと異なる第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、
前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて、前記熱移送部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、
前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する建物の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、建物の空調方法および建物の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の空調対象となる第1エリアと、第1エリアと異なる第2エリアとをダクトでつなぎ、ダクトを介して第2エリアの空気を第1エリアに送風する空調方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された空調方法では、そのときの季節を判定し、その季節に応じて第2エリアから第1エリアに送風する送風量を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-84381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、季節のみを考慮して空調する方法では、日間の寒暖差を反映することができないため、快適な温度に空調できず、空調効率が悪くなる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、空調対象となるエリアを効率よく空調することができる建物、建物の空調方法および建物の空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物は、空調対象となる第1エリアと、前記第1エリアと異なる第2エリアと、前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて前記熱移送部の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する。
【0007】
また、本発明に係る建物の空調方法は、建物内の空調対象となる第1エリアと、前記建物内の前記第1エリアと異なる第2エリアと、前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、を有する建物の空調方法であって、前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて前記熱移送部の駆動を制御し、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する。
【0008】
また、本発明に係る建物の空調システムは、建物内の空調対象となる第1エリアに前記建物内の前記第1エリアと異なる第2エリアの熱を移送可能な熱移送部と、前記第1エリアの温度情報および前記第2エリアの温度情報に基づいて、前記熱移送部の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを暖房し、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアの温度が前記第2エリアの温度に達するまで前記第2エリアの空気を前記第1エリアに供給して前記第1エリアを冷房する。
【0009】
本発明では、第2エリアの熱を利用して第1エリアを空調する際に、第1エリアの温度情報および第2エリアの温度情報に基づいて熱移送部を制御するため、第1エリアを効率よく所望の温度とすることができ、第1エリアを快適な温度に維持することができる。
本発明では、第1エリアよりも第2エリアが高温の場合に、熱移送部が第1エリアに第2エリアの熱(温熱)を移送して第1エリアを暖房するケースだけでなく、第1エリアよりも第2エリアが低温の場合に、熱移送部が第1エリアに第2エリアの熱(冷熱)を移送して第1エリアを冷却するケースも含まれる。
【0010】
また、本発明に係る建物では、前記第2エリアは、第1エリアよりも取得可能な日射量が多い高日射取得エリアであってもよい。
このような構成とすることにより、日中は前記第2エリアが第1エリアよりも高温となることが多いため、第2エリアの熱を移送して第1エリアの温度を上昇させる場合に、第1エリアの温度を上昇させやすい。
高日射取得エリアとは、例えば、南側、東側、西側、南東、南西のいずれかを向き、日光が射し込む開口部(窓)を有し、この開口部が設けられた外部に面する壁部(外壁)に対する開口部の面積率が30%以上であるエリアを示す。
【0011】
また、本発明に係る建物では、前記第2エリアは、空調機が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、空調機で快適な温度・湿度となった第2エリアの空気を第1エリアに移送することができるため、第1エリアの温度を快適な温度・湿度とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る建物では、前記熱移送部は、前記第2エリアの空気を前記第1エリアに送風可能に構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、第2エリアの空気(暖気・冷気)を第1エリアに送風することで、第2エリアの熱を第1エリアに容易に移送させることができる。
【0013】
また、本発明に係る建物では、前記熱移送部は、前記第1エリアと前記第2エリアとを連通させるダクトと、前記ダクトを介して前記第2エリアの空気を前記第1エリアに送風する送風機と、を有していてもよい。
このような構成とすることにより、第2エリアの空気(暖気・冷気)を第1エリアに容易に送風することができる。また、第1エリアに空調機が設置できない場合でも、ダクトの吹き出し口を設けるだけで第1エリアを空調することができる。
【0014】
また、本発明に係る建物では、前記熱移送部は、前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出す上側吹き出し口および下側吹き出し口を有し、前記上側吹き出し口は、前記下側吹き出し口よりも上方に設けられ、前記第2エリアの温度が前記第1エリアの温度よりも高い場合は、前記下側吹き出し口から前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出し、前記第2エリアの温度が前記第1エリアの温度よりも低い場合は、前記上側吹き出し口から前記第2エリアの空気を前記第1エリアに吹き出すようにしてもよい。
このような構成とすることにより、第1エリアに供給された第2エリアの空気(暖気・冷気)を、温度差を利用して第1エリアの空気と効率よく混合させることができる。
【0015】
また、本発明に係る建物では、前記熱移送部は、前記第2エリアの熱を蓄熱可能であるとともに蓄熱した熱を前記第1エリアに放熱可能な潜熱蓄熱材を有していてもよい。
このような構成とすることにより、蓄熱を行う時間帯と放熱を行う時間帯とをずらすことができる。例えば、日中の日射により高温となった第2エリアの熱を潜熱蓄熱材に蓄熱し、潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を夜間に第1エリアに放熱することができる。
【0016】
また、本発明に係る建物では、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記制御部は、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアを暖房するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る建物の空調方法では、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が前記第1エリアの温度情報による温度よりも高い場合に、前記熱移送部が前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送して、前記第1エリアを暖房するようにしてもよい。
【0018】
このような構成とすることにより、第2エリアの熱を利用して第1エリアを効率よくかつ無駄なく暖房することができる。
【0019】
また、本発明に係る建物の空調方法では、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記制御部は、前記熱移送部を駆動して、前記第1エリアを冷房するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明に係る建物の空調方法では、前記第1エリアの温度情報による温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記第2エリアの温度情報による温度が、前記第1エリアの温度情報による温度より低い場合に、前記熱移送部が前記第1エリアに前記第2エリアの熱を移送して、前記第1エリアを冷房するようにしてもよい。
【0021】
このような構成とすることにより、第2エリアの熱を利用して第1エリアを効率よくかつ無駄なく冷房することができる。
【0022】
また、本発明に係る建物では、前記第1エリアの温度を測定する第1温度センサと、前記第2エリアの温度を測定する第2温度センサと、を有し、前記第1エリアの温度情報は、前記第1温度センサが測定した前記第1エリアの温度であり、前記第2エリアの温度情報は、前記第2温度センサが測定した前記第2エリアの温度であってもよい。
このような構成とすることにより、第1エリアおよび第2エリアの温度を確実に判別することができため、熱移送部の駆動を適切に行うことができるとともに、第1エリアの温度を最適に維持することができる。
【0023】
また、本発明に係る建物では、前記第1エリアは、断熱部材に覆われていてもよい。
このような構成とすることにより、第1エリアを快適な温度に維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、空調対象となるエリアを効率よく空調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態による建物、建物の空調方法および建物の空調システムの一例を示す図である。
図2】空調システムを説明する模式図である。
図3】脱衣室を暖房する場合の建物の空調方法のフローチャートである。
図4】脱衣室を冷房する場合の建物の空調方法のフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態による建物、建物の空調方法および建物の空調システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2について、図1図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による建物1は、2階建ての住宅で本実施形態による空調システム2が設けられている。建物1は、1階にLDK11(第2エリア)、浴室12、脱衣室13(第1エリア)が設けられ、2階に3つの居室14-16が設けられている。玄関やトイレ、洗面所、階段室など上記以外の部屋やスペースは、必要に応じて適宜設けられている。
【0027】
LDK11は、1部屋で構成され、リビング、ダイニング、キッチンが1つの空間に配置されている。LDK11は、エアコンなどの空調機3が設置されていて、所定の温度・湿度に空調可能な空間である。なお、空調機3は、LDK11の空気の温度および湿度のいずれかのみの空調が可能であってもよいし、温度と湿度の両方の空調が可能であってもよい。
脱衣室13は、浴室12と隣接している。脱衣室13は、空調機が設置されていない。脱衣室13は、断熱材などの断熱部材18で覆われている。脱衣室13は、洗面所と脱衣所とを兼用する洗面脱衣室であってもよい。
LDK11と脱衣室13との間には廊下17が設けられ、LDK11と脱衣室13との往来は廊下17を通って行われる。
【0028】
2階の3つの居室14-16は、それぞれ壁で仕切られていて、寝室や子供部屋として使用される。3つの居室14-16は、それぞれ南側に窓が設けられ、日中は日差しが射し込むように設計されている。3つの居室14-16を第1居室14、第2居室15、第3居室16とする。本実施形態では、第1居室14および第3居室16は常時使用され、第2居室15は常時使用されない空き部屋となっている。
【0029】
本実施形態による建物の空調システム2では、脱衣室13(第1エリア)へLDK11(第2エリア)の熱を移送し、脱衣室13を所定の温度に空調するように構成されている。
図1および図2に示すように、空調システム2は、脱衣室13にLDK11の熱を移送可能な熱移送部21と、脱衣室13の温度を測定する第1温度センサ22と、LDK11の温度を測定する第2温度センサ23と、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度、および第2温度センサ23が測定したLDK11の温度に応じて、熱移送部21を制御する制御部24(図2参照)と、を有している。
【0030】
熱移送部21は、脱衣室13とLDK11とを連通させるダクト25(図1参照)と、ダクト25内にLDK11側から脱衣室13側に向かう空気の流れを形成するファン26(送風機、図1参照)と、制御部24からの情報を受信する受信部27(図2参照)と、ファン26を駆動させる駆動部28(図2参照)と、を有している。
図1に示すように、ダクト25の一端25aは、LDK11の天井に設けられた吸込み口11aに接続されている。ダクト25の他端25bは、脱衣室13の壁部に設けられた上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの両方に接続されている。
ファン26は、吸込み口11aに設けられ、LDK11の空気を吸い上げてダクト25に流入させるように構成されている。
上側吹き出し口13aは、脱衣室13の壁部における上端部近傍に形成され、下側吹き出し口13bは、脱衣室13の壁部における下端部近傍に形成されている。
ダクト25は、1階の天井裏と、脱衣室13と廊下17との間に設けられた壁部やダクトスペースなどに設けられ、居室や脱衣室13、廊下17など室内に露出しないように構成されている。
【0031】
上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bは、それぞれ開閉可能に構成されている。熱移送部21は、上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの両方を開放して上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの両方から脱衣室13にLDK11の空気を吹き出すケース、下側吹き出し口13bのみを開放して下側吹き出し口13bのみから脱衣室13にLDK11の空気を吹き出すケース、上側吹き出し口13aのみを開放して上側吹き出し口13aのみから脱衣室13にLDK11の空気を吹き出すケースの3つのケースに切り替え可能に構成されている。
【0032】
熱移送部21は、受信部27が制御部24から受信した情報(ファン26の回転数、駆動時間、上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの開閉情報)に基づいて駆動部28が駆動する。これにより、上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bのいずれかまたは両方が開放され、ファン26が駆動する。
【0033】
図2に示すように、第1温度センサ22は、脱衣室13(図1参照)の温度を検知する第1温度検知部221と、第1温度検知部221が検知した脱衣室13の温度を制御部24に送信する第1情報送信部222と、を有している。第1温度センサ22は、脱衣室13に設けられたコンセントから電源が供給され、第1情報送信部222が無線で制御部24に情報(脱衣室13の温度)を送信するように構成されていてもよいし、USBなどの有線で制御部24に情報を送信するように構成されていてもよい。
【0034】
第2温度センサ23は、LDK11の温度を検知する第2温度検知部231と、第2温度検知部231が検知したLDK11の温度を制御部24に送信する第2情報送信部232と、を有している。第2温度センサ23は、LDK11に設置された空調機3の温度センサであってもよいし、空調機3の温度センサとは別に設けられていてもよい。第2温度センサ23は、空調機3の温度センサとは別に設けられる場合は、LDK11に設けられたコンセントから電源が供給され、第2情報送信部232が無線で制御部24に情報(LDK11の温度)を送信するように構成されていてもよいし、USBなどの有線で制御部24に情報を送信するように構成されていてもよい。
【0035】
制御部24は、第1温度センサ22および第2温度センサ23からの情報を受信するとともに、熱移送部21に情報を送信する送受信部241と、熱移送部21の駆動を演算する演算部242と、を有する。演算部242には、脱衣室13の設定温度(例えば、使用者が快適と感じる所望の温度)が入力される。演算部242は、脱衣室13を設定温度とするために、LDK11から脱衣室13に送風する送風量を算出し、ファン26の回転数や駆動時間を算出する。また、演算部242は、上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bのどちらかまたは両方を開放するかを決定する。演算部242が算出したファン26の回転数や駆動時間、上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの開閉情報は、送受信部241から熱移送部21の受信部27に送信される。
【0036】
次に、本実施形態による建物の空調方法について説明する。
脱衣室13の温度がLDK11の温度よりも低く、脱衣室13を暖房する場合には、熱移送部21のファン26を駆動して脱衣室13の空気よりも高温のLDK11の空気を脱衣室13に供給する。これにより、脱衣室13が暖房される。脱衣室13を暖房する際には、脱衣室13に下側吹き出し口13bからLDK11の空気を供給することが好ましい。
【0037】
脱衣室13を設定温度に暖房する場合の暖房制御について図3に示すフローチャートを元に説明する。
まず、暖房制御を開始し(S1-1)、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度(T1)が予め設定された設定温度よりも低いかどうか判断する(S1-2)。第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度(T1)が予め設定された設定温度よりも低い場合は、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度(T2)よりも低いかどうか判断する(S1-3)。
第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度(T2)よりも低い場合は、熱移送部21を駆動し、LDK11の空気を脱衣室13に供給する(S1-4)。第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度(T2)以上の場合は、スタート(S1-1)へ戻る(S1-8)。
LDK11の空気を脱衣室13に供給したら、脱衣室13の温度(T1)がLDK11の温度(T2)に達した(設定温度まで上がった)かどうかを判断する(S1-5)。脱衣室13の温度(T1)がLDK11の温度(T2)に達した場合は、熱移送部21の駆動を停止し(S1-6)、終了(S1-7)となる。脱衣室13の温度(T1)がLDK11の温度(T2)に達していない場合は、脱衣室13の温度が設定温度に達するまで、LDK11の空気を脱衣室13に供給する。
【0038】
脱衣室13の温度がLDK11の温度よりも高く、脱衣室13を冷房する場合には、熱移送部21のファン26を駆動して脱衣室13の空気よりも低温のLDK11の空気を脱衣室13に供給する。これにより、脱衣室13が冷房される。脱衣室13を冷却する際には、脱衣室13に上側吹き出し口13aからLDK11の空気を供給することが好ましい。
【0039】
脱衣室13を設定温度に暖房する場合の冷房制御について図4に示すフローチャートを元に説明する。
まず、冷房制御を開始し(S2-1)、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が予め設定された設定温度よりも高いかどうか判断する(S2-2)。第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合は、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度よりも高いかどうか判断する(S2-3)。
第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度よりも高い場合は、熱移送部21を駆動し(S2-4)、LDK11の空気を脱衣室13に供給する。第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が第2温度センサ23が測定したLDK11の温度以上の場合は、スタートへ戻る(S2-8)。
LDK11の空気を脱衣室13に供給したら、脱衣室13の温度が設定温度に達した(設定温度まで下がった)かどうかを判断する(S2-5)。脱衣室13の温度が設定温度に達した場合は、熱移送部21の駆動を停止し(S2-6)、終了となる(S2-7)。
脱衣室13の温度が設定温度に達していない場合は、脱衣室13の温度が設定温度に達するまで、LDK11の空気を脱衣室13に供給する。
【0040】
次に、上述した本発明の実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2では、LDK11(第2エリア)の熱を利用して脱衣室13(第1エリア)を空調する際に、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度および第2温度センサ23が測定したLDK11の温度に基づいて熱移送部21を制御するため、脱衣室13の温度を所望の温度とすることができる。脱衣室13を効率よく空調することができ脱衣室13を快適な温度に維持することができる。
また、LDK11から脱衣室13へ送風する送風量を精度よく算出することができ、LDK11の熱を利用して脱衣室13を効率よくかつ無駄なく空調することができる。
【0041】
また、本実施形態による建物1では、LDK11には、空調機3が設けられている。
これにより、空調機3で快適な温度・湿度となったLDK11の空気を脱衣室13に移送することができるため、脱衣室13の温度を快適な温度・湿度とすることができる。
【0042】
また、本実施形態による建物1では、熱移送部21は、脱衣室13とLDK11とを連通させるダクト25と、ダクト25を介してLDK11の空気を脱衣室13に送風するファン26と、を有している。
これにより、LDK11の空気を脱衣室13に容易に送風することができる。また、脱衣室13に空調機が設置できない場合でも、ダクト25の吹き出し口を設けるだけで脱衣室13を空調することができる。
【0043】
また、本実施形態による建物1では、熱移送部21は、脱衣室13にLDK11の空気を吹き出す上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bを有し、上側吹き出し口13aは下側吹き出し口13bよりも上方に設けられ、LDK11の温度が脱衣室13の温度よりも高い場合は、下側吹き出し口13bから脱衣室13にLDK11の空気を吹き出し、LDK11の温度が脱衣室13の温度よりも低い場合は、上側吹き出し口13aから脱衣室13にLDK11の空気を吹き出すようにしている。
これにより、温度差を利用してLDK11の空気を脱衣室13の空気に混合させることができる。
【0044】
また、本実施形態による建物1では、制御部24は、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、第2温度センサ23が測定したLDK11の温度が第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度よりも高い場合に、熱移送部21が脱衣室13にLDK11の熱を移送して、脱衣室13を暖房する制御を行っている。
また、本実施形態による建物1では、制御部24は、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、第2温度センサ23が測定したLDK11の温度が、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度より低い場合に、制御部24は、熱移送部21が脱衣室13にLDK11の熱を移送して、脱衣室13を冷房する制御を行っている。
これにより、LDK11の熱を利用して脱衣室13を効率よくかつ無駄なく暖房・冷房することができる。
【0045】
また、本実施形態による建物1では、脱衣室13は、断熱部材18に覆われている。
これにより、脱衣室13を快適な温度に維持することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図5に示すように、第2実施形態による建物1B、建物の空調方法および建物の空調システム2Bは、第1実施形態の建物の空調システム2と異なる空調システムを有している。
第2実施形態による建物の空調システム2Bでは、熱移送部21Bが、脱衣室13(第1エリア)へLDK11ではなく2階の第2居室15(第2エリア)の熱をダクト25Bを介して移送して脱衣室13を所定の温度に空調するように構成されている。
第2実施形態による空調システム2では、第2温度センサ23Bが第2居室15に設けられている。ダクト25Bの一端25aは、第2居室15の天井に設けられた吸込み口15aに接続されている。ダクト25Bの他端25bは、第1実施形態と同様に、脱衣室13の壁に設けられた上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bの両方に接続されている。ファン26Bは、第2居室15の天井に設けられた吸込み口15aに設けられている。
【0047】
第2実施形態による空調システム2および空調方法では、LDK11の熱に代わって第2居室15の熱を利用して脱衣室13を空調するように構成されている。制御部24は、第1実施形態と同様の制御を行う。
【0048】
第2居室15が窓から取得可能な日射量は、脱衣室13が窓から取得可能な日射量よりも多い。なお、脱衣室13に窓が無い場合には、脱衣室13の日射量は0となる。
第2居室15は、取得可能な日射量が多い高日射取得エリアである。脱衣室13は、取得可能な日射量が少ない低日射取得エリアである。
高日射取得エリアと低日射取得エリアの判定は、南側、東側、西側、南東、南西のいずれかを向き、日光が射し込む開口部(窓)の該当する壁面に対する面積率の相対値による。即ち、高日射取得エリアの方が、低日射取得エリアよりも上記の日光が射し込む開口部(窓)の該当する壁面に対する面積率が高い。より、具体的には、高日射取得エリアとは、南側、東側、西側、南東、南西のいずれかを向き、日光が射し込む開口部(窓)を有し、この開口部が設けられた外部に面する壁部(外壁)に対する開口部の面積率が30%以上であるエリアを示す。望ましくは、略南向きの開口部を有する2階以上にあるエリア(部屋、空間)である。
低日射取得エリアとは、南側、東側、西側、南東、南西を向く開口部(窓)が無い、又は、東側、西側のいずれか一方を向く開口部のみが設けられ、この開口部が設けられた外部に面する壁部(外壁)に対する開口部の面積率が30%未満であるエリア(部屋、空間を示す。
【0049】
第2実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2実施形態では、高日射取得エリアとなる第2居室15は、脱衣室13よりも高温であると想定されるため、冬場など、脱衣室13を暖房する際には、効率よく暖房を行うことができる。
【0050】
以上、本発明による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、空調対象となる第1エリアが脱衣室13であり、その空調対象となる部屋に熱を送る側の第2エリアがLDK11や第2居室15であるが、第1エリアおよび第2エリアは、上記以外の部屋や空間であってもよい。例えば、第1エリアは、廊下やトイレなどであってもよい。また、第2エリアは、建物1の小屋裏など居室以外のエリアであってもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、熱移送部21は、脱衣室13とLDK11とを連通させるダクト25と、ダクト25内にLDK11側から脱衣室13側に向かう空気の流れを形成するファン26(送風機)と、制御部24からの情報を受信する受信部27と、ファン26を駆動させる駆動部28と、を有し、送風によってLDK11(第2エリア)から脱衣室13(第1エリア)に熱を移送している。これに対し、第1エリアと第2エリアとを接続するように、水、湯、冷媒などを送液可能な管などを設け、水、湯、冷媒などを介して第2エリアの熱を第1エリアに移送するようにしてもよい。また、第1エリアと第2エリアとを接続するように、ヒートパイプや、金属棒、金属配管などを設け、これらを介して第2エリアの熱を第1エリアに移送するようにしてもよい。また、建物に設けられている鉄骨梁や柱、金属部材などを介して第2エリアの熱を第1エリアに移送するようにしてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、熱移送部21は、第1エリアに第2エリアの空気を吹き出す上側吹き出し口13aおよび下側吹き出し口13bを有し、上側吹き出し口13aは下側吹き出し口13bよりも上方に設けられ、第2エリアの温度が第1エリアの温度よりも高い場合は、下側吹き出し口13bから第1エリアにLDK11の空気を吹き出し、第2エリアの温度が第1エリアの温度よりも低い場合は、上側吹き出し口13aから第1エリアに第2エリアの空気を吹き出すようにしている。これに対し、第1エリアに第2エリアの空気を吹き出す吹き出し口は、所望の1つの高さ(例えば、天井近傍の高さのみ)または複数の高さ(例えば、天井近傍の高さ、床近傍の高さ、天井と床との中間となる高さ)に設けられていてもよい。
また、第1エリアに第2エリアの空気を吹き出す吹き出し口が、第1エリアの上部側のみ、または第1エリアの下部側のみに設けられている場合であっても、風量や風向き等を調整することによって第1エリアの温度の均一化を図ることも可能である。
【0053】
また、上記の実施形態において、熱移送部21は、第2エリアの熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材を有し、潜熱蓄熱材に蓄熱した第2エリアの熱を第1エリアに所望の時間帯に放熱可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、蓄熱を行う時間帯と放熱を行う時間帯とが異なることも可能となる。例えば、日中の日射により高温となった第2エリアの熱を潜熱蓄熱材に蓄熱し、潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を夜間に第1エリアに放熱することができる。また、空調機3を稼働させて所定の温度に空調された第2エリアの熱を潜熱蓄熱材に蓄熱し、潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を所望の時間帯(例えば第1エリアの空調機3が稼働していない時間帯など)に第1エリアに放熱することができる。
【0054】
また、上記の実施形態では、第1エリアの温度情報を判定するために第1エリアの温度を測定する第1温度センサ22が設けられ、第2エリアの温度情報を判定するために第2エリアの温度を測定する第2温度センサ23が設けられている。これに対し、天気予報などの情報から第1エリアおよび第2エリアの温度を判定するように構成されていてもよい。また、天気予報などの情報から第1エリアおよび第2エリアの温度を判定するように構成されている場合でも、第1エリアおよび第2エリアの少なくとも一方に温度を測定するセンサが設けられて、センサで測定された温度も考慮して第1エリアおよび第2エリアの温度を判定するように構成されていてもよい。なお、第1エリアおよび第2エリアのいずれかの温度をセンサで実測して用いる場合には、第1エリア側を実測する方が、実感のある快適環境を提供しやすく望ましい。
また、上記の実施形態では、脱衣室13(第1エリア)は、断熱部材18に覆われているが、断熱部材18に覆われていなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1B 建物
2,2B 空調システム
3 空調機
11 LDK(第2エリア)
11a 吸込み口
13 脱衣室(第1エリア)
13a 上側吹き出し口
13b 下側吹き出し口
15 第2居室(第2エリア)
15a 吸込み口
18 断熱部材
21 熱移送部
22 第1温度センサ
23,23B 第2温度センサ
24 制御部
25 ダクト
図1
図2
図3
図4
図5