(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/30 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B65B43/30 A
(21)【出願番号】P 2020192921
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】段 良雄
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-108289(JP,A)
【文献】実開昭61-166906(JP,U)
【文献】特公昭48-021672(JP,B1)
【文献】特開平08-217021(JP,A)
【文献】特開2000-128127(JP,A)
【文献】特開2007-320630(JP,A)
【文献】特開2020-059523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を多数貯留するマガジンから袋を取り出して供給する供給ユニットと、この供給ユニットから供給された袋を開口する開口ユニットと、この開口ユニットにより開口された袋へ所望部品を案内する投入ユニットと、投入ユニットにより所望部品が投入された袋の開口部を封止する封止ユニットとを具備し、
前記開口ユニットは、前記袋に当接し、これに吸着する一対の吸着部と、この吸着部をそれぞれ接近、離反する方向に往復旋回移動させることにより、袋の開口部を開閉する旋回駆動部とを有し、
前記旋回駆動部は、往復直線駆動源と、この往復直線駆動源と前記吸着部とを揺動自在に連結する連結軸と、前記吸着部を案内する案内部材とから構成され、
前記案内部材には、前記袋を中心とした円弧状の長穴が2本形成されているとともに、前記吸着部には、前記案内部材の2本の長穴にそれぞれに沿って摺動可能な連結ピンが2本固定されており、
前記封止ユニットは、互いに接近した前記吸着部によって閉じられた袋の開口部を封止するよう構成されていることを特徴とする包装機。
【請求項2】
前記吸着部は、旋回駆動部の駆動により、前記袋の底部を中心とした円弧状に往復旋回移動することを特徴とする請求項1に記載の包装機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された袋を開口して、所望部品を投入後、当該袋を封止する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装機は、特許文献1に開示されており、袋を多数貯留するマガジンから1枚ずつ袋を取り出し、供給する供給ユニットと、この供給ユニットから供給された袋の両端を把持する把持ユニットと、この把持ユニットに把持された袋を吸着して開口する開口ユニットと、この開口ユニットに開口された袋内へ所望部品を案内する投入ユニットと、前記部品の袋への投入完了を経て開口した袋を封止する封止ユニットとを備えている。このような包装機の開口ユニットは、
図6の(a)に示すように示すように一対の吸着部100,100が袋Hの上部表裏面をそれぞれ吸着し、これらが互いに離反する方向に水平移動することで当該袋を開口するように構成されていた。なお、この開口時、袋Hは、その底部から所定の距離が側面視略くさび状に変形しており、吸着部100,100は、当該変形箇所より上側の略円筒形状部分に吸着するよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装機は、上述のように吸着部100が水平移動するものであったため、
図6の(b)に示すように縦幅が短く、吸着部100との接触箇所も傾斜する袋H′を開口する際、袋H′の傾斜角度と鉛直の吸着部100との角度差が大きくなる。これにより、当該袋H′と吸着部100との間に空気が通過可能な隙間H1が発生して吸着部100が袋H′から外れることがあった。このため、従来の包装機は、縦幅が短い袋H′を大きく開口させることができず、部品の供給効率が悪化する等の問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としており、吸着部が外れにくく、袋を大きく開口させることが可能な包装機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、袋を多数貯留するマガジンから袋を取り出して供給する供給ユニットと、この供給ユニットから供給された袋を開口する開口ユニットと、この開口ユニットにより開口された袋へ所望部品を案内する投入ユニットとを具備し、前記開口ユニットは、前記袋と当接し、これに吸着する一対の吸着部と、この吸着部をそれぞれ接近、離反する方向に往復旋回移動させる旋回駆動部とを有することを特徴とする。これにより、吸着部は、袋が開口するに従い徐々に傾斜する。なお、前記吸着部は、旋回駆動部の駆動により、前記袋の底部を中心とした円弧状に往復旋回移動することが好ましい。また、前記旋回駆動部は、往復直線駆動源と、この往復直線駆動源と前記吸着部を揺動自在に連結する連結軸と、前記吸着部を案内する案内部材とから構成され、前記案内部材には、円弧状に延びる長穴が形成されており、前記吸着部材には、前記長穴に沿って摺動可能な連結ピンが固定されていることが好ましい。これにより、比較的制御が容易な往復直線駆動源の駆動により吸着部が旋回可能となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吸着部が袋の開口に従い傾斜するため、吸着部と袋との間に隙間が生じ難く、吸着部が袋から外れにくく成る等の利点がある。特に、吸着部が袋の底部を中心とした円弧状に旋回する際、袋の表裏面の傾きと吸着部の傾斜角度が一致するため、より外れ難く成る。これらにより、袋を比較的大きく開口させることが可能となり、部品の供給効率が向上する等の利点がある。また、往復直線駆動源を適用可能であるため、比較的安価に製造可能となる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る包装機の構造を示す一部断面側面図である。
【
図2】本発明に係る包装機の供給ユニット、保持ユニットおよび開口ユニットの構造を示す要部拡大平面図である。
【
図3】本発明に係る包装機の供給ユニットの構造を示す要部拡大斜視図である。
【
図4】
図3の状態から次の状態に移行する動作を示す要部拡大斜視図である。
【
図5】本発明に係る包装機の開口ユニットの構造および開閉動作を示す要部拡大側面図であり、(a)は、開口ユニットが袋を閉じている状態の側面図であり、(b)は、開口ユニットが袋を開いている状態の側面図である。
【
図6】従来の包装機の開口ユニットにより袋の開口動作を示す要部拡大概略図であり、(a)は、縦幅の長い袋を開口している状態の側面図であり、(b)は、縦幅の短い袋を開口している上雷の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし
図5において1は、袋Bに部品を投入する包装機である。この包装機1は、
図1に示すように袋Bを供給する供給ユニット10と、この供給ユニット10から供給された袋Bを把持する把持ユニット20と、この把持ユニット20に把持された袋Bを開口させる開口ユニット30と、この開口ユニット30により開口された袋Bに部品を案内する投入ユニット40と、部品が投入された後に袋Bを封止する封止ユニット50とから構成されており、これらユニットを制御する制御ユニットが接続されている。
【0009】
前記袋Bは、その一辺を開口可能にした長方形形状に構成されており、所望部品の一例であるねじを複数個その内部に貯留可能な容量に設定されている。この袋Bは、熱可塑性樹脂の一例であるポリプロピレンからなり、加熱されることで溶着され、当該加熱箇所が封止可能に構成されている。なお、本実施形態において袋Bは、縦横ともに60mmに寸法設定されている。
【0010】
前記供給ユニット10は、前記袋Bを収納可能なマガジン11を備えている。このマガジン11は、上側に開口した箱形状に構成されており、その内部には、水平姿勢の袋Bが複数枚重ねられている。このマガジン11の上方には、
図3および
図4に示すように保持ブロック12が設けられており、この保持ブロック12の先端には、吸着保持部13が設けられている。この吸着保持部13には、第一吸気手段(図示せず)が連続しており、この第一吸気手段が作動することにより、吸着保持部13に袋Bを吸着保持できる。また、前記保持ブロック12は、供給駆動部14に支持されている。この供給駆動部14は、前記保持ブロック12を前記マガジン11の上方で昇降させ、なおかつ、水平方向に延びる旋回軸15を支軸として保持ブロック12を前記投入ユニット40直下に向けて90度旋回させるように構成されている。なお、袋Bは、旋回時に水平姿勢から90度向きを変えた鉛直姿勢となるため、前記マガジン11内では、鉛直姿勢になった際、開口箇所が上方に向くよう揃えられている。
【0011】
前記把持ユニット20は、
図2に示すように鉛直姿勢の袋Bの両側縁部を挟持する一対の把持チャック21,21と、この把持チャック21,21を袋Bの横幅方向に移動させる弛緩駆動部22とから構成されている。把持チャック21,21は、常時所定の寸法開いて待機しており、前記供給ユニット10の旋回過程において、袋Bと接触しないよう構成されている。また、弛緩駆動部22は、前記開口ユニット30によって袋Bが開口するにつれて、徐々に把持チャック21,21を袋Bの中心側に移動させる。これにより、袋Bは、開口箇所が緩み、容易に開口可能となる。
【0012】
前記開口ユニット30は、前記把持ユニット20とほぼ同じ高さに設けられており、前記把持チャック21,21に把持された袋Bの表裏面それぞれに当接する一対の吸着部31,31およびこの吸着部31,31を往復旋回させる旋回駆動部32,32を備える。吸着部31には、第二吸気手段(図示せず)が連続しており、この第二吸気手段が作動することにより、吸着部31は、その先端部に袋Bを吸着可能となる。一方、前記旋回駆動部32は、往復直線駆動源の一例であるエアシリンダ33を有している。このエアシリンダ33は、そのシリンダロッド33aが袋Bと直交する方向に往復移動するよう配置されており、シリンダロッド33aには、連結部材34が連続している。この連結部材34は、その両端にベアリングが装着されており、この両端のベアリングにより、前記吸着部31を前記シリンダロッド33aに対して平行な鉛直面内で揺動自在に連結する。また、前記旋回駆動部32は、前記吸着部31を挟むように設置された案内部材35,35を有しており、この案内部材35には、前記袋Bの底部B1を中心とした円弧状の長穴36,36′が貫通形成されている。この長穴36,36′には、これに沿って摺動可能に構成された摺動ピン37,37が挿通されており、この摺動ピン37,37は、前記吸着部31に固定されている。さらに前記長穴36、36′は、吸着部31が袋Bと当接する時に前記摺動ピン37,37がその上端部に位置するよう設定されている。これらにより、吸着部31は、
図5の(a)および(b)に示すように袋Bに直交する鉛直面内で当該袋Bの底部B1を中心とした側面視円弧状の往復旋回移動が可能となる。
【0013】
なお、前記エアシリンダ33は、前記シリンダロッド33aが前後方向ともに突出する両ロッド型のものであり、その後方には、シリンダロッド33aが所定の位置まで後退すると当接するブレーキブロック38が設置されている。このため、ブレーキブロック38の位置を調節することで、シリンダロッド33aが後退した際の停止位置を調整することができ、結果、シリンダロッド33aに連動する吸着部31の旋回角度を調整可能となる。さらに、前記供給ユニット10の吸着保持部13と対向する一方の吸着部31には、袋Bに対して傾斜して姿勢保持板39が装着されており、この姿勢保持板39により、前記供給ユニット10による旋回過程において、袋Bの上部が倒れることを防止されている。
【0014】
前記投入ユニット40は、前記供給位置の上方に設置された投入シュート41と、この投入シュート41を昇降させる昇降駆動部42とから構成されている。この投入シュート41の上側には、外部の部品供給装置(図示せず)から部品を案内する案内筒43が連続しており、この案内筒43には、投入される部品の個数を計測するカウンタ(図示せず)を備えられている。このため、投入ユニット40は、部品供給装置から供給された部品を任意の個数ずつ袋B内に供給可能となる。また、投入ユニット40および前記把持ユニット20の間には、前記封止ユニット50が配置されている。この封止ユニット50は、袋Bの開口箇所付近を挟持するよう配置された一対のヒータ部材51と、このヒータ部材51を開閉させる封止駆動部52とから構成されている。このヒータ部材51は、常時袋Bを溶着可能な温度にまで加熱されている。
【0015】
次に、上記のように構成された包装機1の作用を説明する。
制御ユニットが供給ユニット10に駆動信号を出力すると、前記第一吸気手段が駆動して、前記マガジン11内の袋Bを前記吸着保持部13が吸着する。袋Bが吸着保持されると前記供給駆動部14が駆動して、吸着保持部13を上昇、旋回させて袋Bを所定の供給位置まで搬送する。袋Bが供給位置に達すると、前記把持チャック21,21が起動して、袋Bの両側縁部を把持する。把持チャックが袋Bを把持すると、前記エアシリンダ33,33が駆動して、吸着部31,31を袋Bに向けて前進させる。
図5の(a)に示すように吸着部31,31が袋Bに当接すると、前記第二吸気手段が作動し、袋Bの表裏面を吸着部31,31が吸着するとともにエアシリンダ33,33が逆駆動して吸着部31,31を後退させる。このように袋Bの表裏面を吸着する吸着部31,31が後退することで袋Bが開口する。この時、袋Bは、
図5の(b)に示すようにその表裏面が傾斜して底部B1を頂点とした側面視略くさび状に変形していく一方、前記吸着部31は、前記案内部材35の長穴36に沿い、旋回しながら後退する。このため、吸着部31の傾斜角度は、従来の包装機の吸着部100より、袋Bの傾斜角度に近くなる。このため、吸着部31は、袋Bの表裏面との間に隙間が生じ難く、袋Bから外れ難くなる。このように吸着部31を旋回しながら後退することは、縦幅が比較的短く、開口により表裏面の傾斜角度が急となる袋の開口動作に有効である。特に吸着部31が袋Bの底部B1を中心とした円弧状に旋回する際、袋Bの表裏面の傾斜角度と吸着部31の傾斜角度が一致し、吸着部31と袋Bとの間に隙間が生じない。これらにより、袋Bを大きく開口させることが可能となり、部品の供給効率が向上する。
【0016】
また、上述の袋Bの開口において、前記弛緩駆動部22は、袋Bが開口するに従って、前記把持チャック21,21を接近させる。これにより、把持チャック21,21に把持されている袋Bの両側縁部が袋Bの中心方向に寄るため、前記開口箇所が弛み、袋Bは弱い力でも容易に開口可能となる。このように、袋Bが開口すると、前記投入ユニット40の昇降駆動部42が駆動し、投入シュート41の下部を袋Bに挿入して、袋B内に部品を投入する。この部品の投入後、昇降駆動部42が逆駆動して、投入シュート41を袋Bから抜くとともに、前記エアシリンダ33が吸着部31を袋Bの中心に向けて前進させて、袋Bの開口箇所を閉じる。袋Bが閉じた後、前記封止駆動部52が駆動してヒータ部材51を袋Bの開口箇所付近に圧接させる。この圧接させられたヒータ部材51の熱により、袋Bの開口箇所付近が加熱されて溶着、封止される。その後、制御ユニットがヒータ部材51、把持チャック21,21を当初位置まで拡開させる。これにより、袋Bは、把持チャック21,21から放たれて、所定の排出箇所に排出される。
【0017】
なお、本発明の包装機1は、前記吸着部31が案内部材35の長穴36に沿って移動するため、エアシリンダ33等比較的制御が容易な、往復直線駆動源の駆動のみで吸着部31を旋回移動させることが可能となる。また、比較的安価なエアシリンダ33を用いることで装置の低コスト化が可能となる等の利点がある。さらに、エアシリンダ33のシリンダロッド33aの停止位置が前記ブレーキブロック38によって調節可能に構成されているため、前記袋Bの開口幅を容易に調節可能となる。これにより、制御ユニットが単純な構成で良く、より低コスト化が可能になる。
【0018】
なお、本発明に係る包装機1は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、エアシリンダ33、連結部材34および案内部材35は、前記吸着部31を旋回させるための旋回駆動部32の一例であり、クランク機構等の他の機構や回転駆動源を用いた構造であっても何ら問題ない。また、本実施形態の包装機1は、袋Bの両側の吸着部31,31が旋回駆動していたが、一方の吸着部31が固定されており、他方の吸着部31のみが旋回駆動する構成であっても良い。さらに、供給ユニット10は、当初から鉛直姿勢の袋Bを所定の位置に供給する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 … 包装機
10 … 供給ユニット
20 … 把持ユニット
21 … 把持チャック
30 … 開口ユニット
31 … 吸着部
32 … 旋回駆動部
33 … シリンダ
34 … 連結部材
35 … 案内部材
36,36′ … 長穴
40 … 投入ユニット
50 … 封止ユニット