(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】芝刈機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/71 20060101AFI20241023BHJP
A01D 34/78 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A01D34/71
A01D34/78
(21)【出願番号】P 2020204003
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沓名 知之
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-127118(JP,U)
【文献】特開2019-208477(JP,A)
【文献】特開2006-055117(JP,A)
【文献】特開2019-205384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/412-34/90
A01D 43/06-43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝刈機であって、
芝を刈る刈刃と、
前記刈刃に刈られた前記芝を収集する集草ユニットと、
前記刈刃に刈られた前記芝を前記集草ユニットに向けて送る空気の流れを発生させるファンと、を備えており、
前記芝は、前記刈刃により長く刈られた重い芝と、短く刈られた軽い芝と、を含んでおり、
前記集草ユニットは、前記集草ユニットの内部に流入した前記重い芝と前記軽い芝のうち、前記重い芝を収集し、前記軽い芝を前記集草ユニットの外部に排出するように構成されて
おり、
前記集草ユニットは、
収集口と排出口とを有しており、芝を取集する集草部と、
前記集草部の内部に配置されており、前記収集口から前記集草部の内部に流入した空気の流れを調整する調整機構と、を備えており、
前記調整機構が前記収集口から前記集草部の内部に流入した空気の流れを調整することにより、前記重い芝が前記集草部の内部に収集され、前記軽い芝が前記排出口から前記集草部の外部に排出される、芝刈機。
【請求項2】
前記調整機構は、速度調整部材を備えており、
前記速度調整部材は、前記排出口の開口面積を調整することにより、前記収集口から前記排出口に向かう空気の流速を調整可能である、請求項
1に記載の芝刈機。
【請求項3】
前記速度調整部材は、前記集草部に回動可能に支持されており、
前記速度調整部材の回動角度の変化に伴い、前記排出口の前記開口面積が変化する、請求項
2に記載の芝刈機。
【請求項4】
前記速度調整部材は、前記集草部にスライド可能に支持されており、
前記速度調整部材のスライド量の変化に伴い、前記排出口の前記開口面積が変化する、請求項
2または
3に記載の芝刈機。
【請求項5】
前記調整機構は、向き調整部材を備えており、
前記向き調整部材は、前記収集口と前記排出口との間に配置されており、前記収集口から前記排出口に向かう空気の流れを遮ることにより、前記収集口から前記排出口に向かう空気の流れの向きを調整可能である、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の芝刈機。
【請求項6】
前記向き調整部材は、前記集草部に回動可能に支持されており、
前記向き調整部材の回動角度の変化に伴い、前記収集口から前記排出口に向かう前記空気の流れの向きが変化する、請求項
5に記載の芝刈機。
【請求項7】
前記向き調整部材は、前記集草部に、前記収集口から前記排出口に向かう方向に関して位置を調整可能に支持されており、
前記向き調整部材の位置の変化に伴い、前記収集口から前記排出口に向かう前記空気の流れの向きが変化する、請求項
5または
6に記載の芝刈機。
【請求項8】
前記刈刃と前記ファンとを回転させる原動機をさらに備えている、請求項1から
7のいずれか一項に記載の芝刈機。
【請求項9】
前記刈刃の駆動軸は、前記ファンの駆動軸と同一である、請求項
8に記載の芝刈機。
【請求項10】
前記刈刃と前記ファンとは、一体的に形成されている、請求項
9に記載の芝刈機。
【請求項11】
前記原動機は、電動モータである、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の芝刈機。
【請求項12】
前記原動機に電力を供給するバッテリパックをさらに備えている、請求項
11に記載の芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、芝刈機が開示されている。芝刈機は、芝を刈る刈刃と、刈刃に刈られた芝を収集する集草ユニットと、刈刃に刈られた芝が集草ユニットに向かって流れるダクトと、ダクトの通路開口の開口面積を調整可能なシャッタと、を備えている。シャッタがダクトの通路開口の開口面積を調整することにより、刈刃に刈られた芝の一部は、ダクトの通路開口を通過して集草ユニットに収集され、残りの芝は、シャッタに衝突して、地面に散布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈刃により刈られた芝は、長く刈られた重い芝と、短く刈られた軽い芝と、を含んでいる。重い芝と軽い芝とのすべてを集草ユニットで収集した場合、作業者は、集草ユニットに収集された芝を捨てる作業を頻繁に行う必要があり、芝刈作業の作業性が悪い。重い芝のみを集草ユニット収集し、軽い芝を地面に排出することができれば、集草ユニットに収集された芝を捨てる作業の頻度を減らすことができる。特許文献1の芝刈機では、シャッタは、ダクトの通路開口の開口面積を調整するに過ぎないため、重い芝と軽い芝とを分けることができない。本明細書では、長く刈られた重い芝と短く刈られた軽い芝とを分けて収集および排出することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、芝刈機を開示する。芝刈機は、芝を刈る刈刃と、刈刃に刈られた芝を収集する集草ユニットと、刈刃に刈られた芝を集草ユニットに向けて送る空気の流れを発生させるファンと、を備えている。芝は、刈刃により長く刈られた重い芝と、短く刈られた軽い芝と、を含んでいる。集草ユニットは、集草ユニットの内部に流入した重い芝と軽い芝のうち、重い芝を収集し、軽い芝を集草ユニットの外部に排出するように構成されている。
【0006】
上記の構成では、まず、刈刃により刈られた重い芝と軽い芝との両方が集草ユニットに流入する。その後、重い芝のみが、集草ユニットに収集され、軽い芝は、集草ユニットの内部を流れた後、集草ユニットの外部に排出される。これにより、重い芝と軽い芝とを分けて収集および排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例の芝刈機2の外観を示す斜視図である。
【
図2】第1実施例の芝刈機2の刈刃16の近傍の縦断面図である。
【
図3】第1実施例の芝刈機2において、集草ユニット6を取り外した状態で本体ユニット4のダクト20近傍を後方右側から見た斜視図である。
【
図4】第1実施例の芝刈機2の集草ユニット6の外観を示す斜視図である。
【
図5】第1実施例の芝刈機2において、速度調整部材72が回動していない状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図6】第1実施例の芝刈機2において、向き調整部材70が前側に位置しており、速度調整部材72が回動した状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図7】第1実施例の芝刈機2において、向き調整部材70が後側に位置しており、速度調整部材72が回動した状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図8】第2実施例の芝刈機2の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図9】第3実施例の芝刈機2において、向き調整部材280が回動していない状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図10】第3実施例の芝刈機2において、向き調整部材280が回動した状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【
図11】第4実施例の芝刈機2において、速度調整部材72が回動した状態の集草ユニット6の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された芝刈機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集草ユニットは、収集口と排出口とを有しており、芝を取集する集草部と、集草部の内部に配置されており、収集口から集草部の内部に流入した空気の流れを調整する調整機構と、を備えていてもよい。調整機構が収集口から集草部の内部に流入した空気の流れを調整することにより、重い芝が集草部の内部に収集され、軽い芝が排出口から集草部の外部に排出されてもよい。
【0012】
上記の構成では、調整機構を用いて空気の流れを調整することにより、軽い芝と重い芝との重量の差を利用して、重い芝を集草部の内部に収集し、軽い芝を排出口から集草部の外部に排出することができる。これにより、重い芝と軽い芝とを分けて収集および排出することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、調整機構は、速度調整部材を備えていてもよい。速度調整部材は、排出口の開口面積を調整することにより、収集口から排出口に向かう空気の流速を調整可能であってもよい。
【0014】
集草部の内部において、収集口から排出口に向かう空気の流速を小さくした場合、軽い芝は、空気の流れに従って排出口まで流れるものの、重い芝は、空気の流れから脱落して、集草部の内部に収集され易くなる。上記の構成では、速度調整部材を用いて排出口の開口面積を調整することにより、収集口から排出口に向かう空気の流速を調整することができる。これにより、重い芝と軽い芝とを分けて収集および排出することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、速度調整部材は、集草部に回動可能に支持されていてもよい。速度調整部材の回動角度の変化に伴い、排出口の開口面積が変化してもよい。
【0016】
上記の構成では、簡素な構成により、排出口の開口面積を調整することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、速度調整部材は、集草部にスライド可能に支持されていてもよい。速度調整部材のスライド量の変化に伴い、排出口の開口面積が変化してもよい。
【0018】
上記の構成では、簡素な構成により、排出口の開口面積を調整することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、調整機構は、向き調整部材を備えていてもよい。向き調整部材は、収集口と排出口との間に配置されており、収集口から排出口に向かう空気の流れを遮ることにより、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きを調整可能であってもよい。
【0020】
集草部の内部において、収集口から排出口に向かう空気の流れを蛇行させた場合、軽い芝は、空気の流れに従って排出口まで流れるものの、重い芝は、空気の流れから脱落して、集草部の内部に収集され易くなる。上記の構成では、向き調整部材を用いて収集口から排出口に向かう空気の流れを遮ることにより、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きを調整することができる。これにより、重い芝と軽い芝とを分けて収集および排出することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、向き調整部材は、集草部に回動可能に支持されていてもよい。向き調整部材の回動角度の変化に伴い、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きが変化してもよい。
【0022】
上記の構成では、簡素な構成により、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きを調整することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、向き調整部材は、集草部に、収集口から排出口に向かう方向に関して位置を調整可能に支持されていてもよい。向き調整部材の位置の変化に伴い、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きが変化してもよい。
【0024】
上記の構成では、簡素な構成により、収集口から排出口に向かう空気の流れの向きを調整することができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、芝刈機は、刈刃とファンとを回転させる原動機をさらに備えていてもよい。
【0026】
上記の構成では、刈刃とファンとが共通の原動機により回転する、刈刃を回転させる原動機とファンを回転させる原動機とを別個に設ける場合と比較して、芝刈機を小型化することができる。
【0027】
1つまたはそれ以上の実施形態において、刈刃の駆動軸は、ファンの駆動軸と同一であってもよい。
【0028】
上記の構成では、刈刃の駆動軸がファンの駆動軸と同一であるため、刈刃の駆動軸とファンの駆動軸とを別個に設ける場合と比較して、芝刈機を小型化することができる。
【0029】
1つまたはそれ以上の実施形態において、刈刃とファンとは、一体的に形成されていてもよい。
【0030】
上記の構成では、芝刈機を構成する部品の点数を減らすことができる。
【0031】
1つまたはそれ以上の実施形態において、原動機は、電動モータであってもよい。
【0032】
上記の構成では、原動機がエンジンである場合と比較して、芝刈機を使用する際に発生する振動や騒音を小さくすることができる。
【0033】
1つまたはそれ以上の実施形態において、芝刈機は、原動機に電力を供給するバッテリパックをさらに備えていてもよい。
【0034】
芝刈機が外部電源から電源コードを介して原動機に電力を供給する構成である場合、電源コードが芝刈作業の邪魔になることがある。上記の構成では、芝刈機を使用する際の作業性を向上させることができる。
【0035】
(第1実施例)
図1から
図7を参照して、第1実施例の芝刈機2を説明する。
図1に示すように、芝刈機2は、本体ユニット4と、集草ユニット6と、ハンドルユニット8と、を備えている。本体ユニット4は、地面に接地する4つの車輪10を備えている。集草ユニット6は、本体ユニット4の後端部に着脱可能に取り付けられている。ハンドルユニット8は、本体ユニット4の後側上部に接続されている。作業者が芝刈機2の後側に立ち、ハンドルユニット8の上部を両手で把持して前側に押し出すことにより、車輪10が回転して本体ユニット4が地面に沿って前側に移動する。以下では、車輪10が回転して本体ユニット4が地面に沿って移動する方向を前後方向と呼び、地面に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0036】
図2に示すように、本体ユニット4は、デッキ12と、駆動軸14と、刈刃16と、ファン18と、ダクト20(
図3参照)と、カウル22と、カバー24と、刈刃用モータ26と、バッテリパックBと、ECU(図示省略)と、を備えている。デッキ12の下面は、地面に向けて略円筒状に開口している。デッキ12の上面には、略円形状の開口12aが形成されている。デッキ12の内側の空間は、本体ユニット4の後側に向かって開口するダクト20に連通している。集草ユニット6(
図1参照)がデッキ12の後端部に取り付けられると、デッキ12の内部の空間は、ダクト20を介して集草ユニット6の内部の空間と連通する。駆動軸14は、略鉛直方向に沿って延びている。刈刃16と、ファン18とは、デッキ12の内部の空間に配置されている。刈刃16は、駆動軸14の下端部に固定されている。刈刃16は、駆動軸14から略水平方向に延びている。ファン18は、刈刃16よりも上側で駆動軸14に固定されている。ファン18は、刈刃16と一体的に形成されている。駆動軸14が回転すると、刈刃16が回転して、地面の芝が刈られる。また、駆動軸14が回転すると、ファン18が回転して、デッキ12の内部の空間に、デッキ12の下面の開口からダクト20に向かう空気の流れが発生する。これにより、刈刃16により刈られた芝は、ファン18により吸い上げられて、ダクト20を介して集草ユニット6に送られる。
【0037】
カウル22は、略円形状に下側に向かって突出するスカート部22aを備えている。カウル22は、スカート部22aがデッキ12の開口12aを貫通するように、デッキ12の上面側に固定されている。カウル22の上側には、開閉可能なカバー24が取り付けられている。カウル22は、刈刃用モータ26と、バッテリパックBと、ECU(図示省略)と、を搭載している。刈刃用モータ26は、例えば、ブラシレスモータである。刈刃用モータ26は、駆動軸14を回転させる。バッテリパックBは、カウル22のバッテリ取付部22bに着脱可能に取り付けられている。バッテリパックBは、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池を含んでいる。バッテリパックBは、カウル22とカバー24とにより画定される空間に配置されている。ECUは、例えば、複数のスイッチング素子(図示省略)を備えているインバータ回路(図示省略)と、複数のスイッチング素子の動作を制御する制御回路(図示省略)と、を備えている。ECUは、バッテリパックBから刈刃用モータ26に供給される電力を制御することにより、刈刃用モータ26の動作を制御し、また、後側の車輪10を回転させる走行用モータ(図示省略)の動作を制御する。
【0038】
図1に示すように、ハンドルユニット8は、下側フレーム28と、上側フレーム30と、右側保持部34と、左側保持部36と、スイッチレバー38と、自走レバー40と、を備えている。下側フレーム28は、デッキ12の後側上部に連結されている。下側フレーム28は、後方上側に向かって延びた後、屈曲して左右方向に延びる略U字形状を有する。上側フレーム30は、下側フレーム28の後側上部に連結されている。上側フレーム30は、後方上側に向かって延びた後、屈曲して前方上側に向かって延び、さらに屈曲して左右方向に延びる略U字形状を有する。以下では、上側フレーム30の左右方向に延びる部分を、グリップ32と呼ぶ。グリップ32は、作業者により把持される。右側保持部34は、グリップ32よりも下方右側で上側フレーム30に固定されている。左側保持部36は、グリップ32よりも下方左側で上側フレーム30に固定されている。スイッチレバー38は、グリップ32よりも前方下側に配置されており、自走レバー40は、グリップ32よりも後側に配置されている。スイッチレバー38と自走レバー40とのそれぞれは、左右方向に延びる回動軸の周りに回動可能に、右側保持部34と左側保持部36とに支持されている。スイッチレバー38と自走レバー40とのそれぞれは、バネ(図示省略)により、グリップ32から離れる方向に付勢されている。作業者は、グリップ32を把持した状態で、グリップ32を把持した手の指でスイッチレバー38を引くことができ、スイッチレバー38を引く手の指と異なる指で自走レバー40を引くことができる。スイッチレバー38が引かれると、ECUは、刈刃用モータ26を回転させる。スイッチレバー38が初期の位置に戻ると、ECUは、刈刃用モータ26の回転を停止させる。自走レバー40が引かれると、ECUは、走行用モータを回転させる。これにより、後側の車輪10が回転し、作業者は、グリップ32を前側に押し出すことなく、芝刈機2を移動させることができる。自走レバー40が初期の位置に戻ると、ECUは、走行用モータの回転を停止させる。
【0039】
図4に示すように、集草ユニット6は、集草ボックス44を備えている。集草ボックス44は、集草ユニット6が本体ユニット4に取り付けられた場合に、ダクト20に連通する開口46と、本体ユニット4のダクトカバー12b(
図1参照)により覆われる開口48と、開口50(
図5参照)と、を有する。開口46と開口48とは、連続している。開口46は、前側を向いており、開口48は、前方上側を向いている。本体ユニット4からダクト20を介して送られる芝は、開口46を介して集草ボックス44の内部に流入する。
図1に示すように、ダクトカバー12bは、デッキ12に回動可能に支持されている。ダクトカバー12bは、集草ユニット6が本体ユニット4から取り外された場合に、デッキ12に対して回動してダクト20を後側から覆うように構成されている。
図5に示すように、開口50は、集草ボックス44の下壁44aの後端部に形成されている。開口50は、集草ボックス44の後壁44bの前側に配置されている。図示省略しているが、開口50は、集草ボックス44の右壁44cから左壁44dまで左右方向に延びている。
【0040】
集草ユニット6は、内壁54と、調整機構56と、レバー82と、をさらに備えている。内壁54は、集草ボックス44と一体的に形成されている。図示省略しているが、内壁54は、右壁44cから左側に向かって延びており、左壁44dに接続している。内壁54は、開口50の前側に配置されている。即ち、内壁54は、後壁44bよりも前側に離れて配置されている。内壁54は、下壁44aから集草ボックス44の上壁44eに向かって延びている。内壁54の上端部は、上壁44eと離れている。
【0041】
内壁54は、集草ボックス44を、集草部59と、排出部61と、に分ける。集草部59は、内部に集草空間60を有する。集草空間60は、内壁54と、下壁44aと、右壁44cと、左壁44dと、上壁44eとにより画定されている。集草空間60は、開口46、48を介して、集草ボックス44の外部と連通している。排出部61は、集草部59の後側に配置されている。排出部61は、内部に排出空間62を有する。排出空間62は、内壁54と、後壁44bと、右壁44cと、左壁44dと、上壁44eとにより画定されている。排出空間62は、集草空間60よりも後側に配置されている。排出空間62は、集草空間60と連通しており、開口50を介して、集草ボックス44の外部と連通している。
【0042】
調整機構56は、向き調整部材70と、速度調整部材72と、を備えている。向き調整部材70は、集草空間60の内部に配置されている。向き調整部材70は、ねじ74を用いて、上壁44eに固定されている。ねじ74は、上壁44eに形成されている孔76に挿入される。孔76は、前後方向に間隔を有して並んでいる。ねじ74を挿入する孔76を変更することにより、向き調整部材70の前後方向に関する位置が調整される。向き調整部材70が上壁44eに固定されている状態では、向き調整部材70は、上壁44eに沿って略前側に向かって延びた後、屈曲して下壁44aに向かって延びている。向き調整部材70の下端部は、内壁54の上端部よりも下壁44a側に配置されている。図示省略しているが、向き調整部材70は、左右方向に延びている。
【0043】
速度調整部材72は、集草空間60の内部に配置されている。速度調整部材72は、集草部59の後側上部に配置されている。速度調整部材72は、向き調整部材70よりも内壁54側に配置されている。速度調整部材72は、左右方向に延びる回動軸の周りを回動可能に、上壁44eに支持されている。速度調整部材72が回動していない状態では、速度調整部材72は、上壁44eから後方下側に向かって延びた後、屈曲して、内壁54の上端部まで延びている。速度調整部材72が回動していない状態では、速度調整部材72は、内壁54の上端部近傍に前側から当接する。これにより、速度調整部材72が回動していない状態では、集草空間60と排出空間62とは、連通していない。速度調整部材72は、回動していない状態から前側に向かって回動すると、速度調整部材72が上壁44eに向かって近づき、内壁54から離れる。これにより、速度調整部材72と内壁54との間に、開口58が形成される。また、集草空間60と排出空間62とは、連通する。速度調整部材72が前側に向かって回動するにつれて、開口58の開口面積が大きくなる。
【0044】
図4に示すように、レバー82は、上壁44eの後方右側に配置されている。
図5に示すように、レバー82は、上壁44eに回動可能に支持されている。レバー82は、作業者により操作される。レバー82が回動すると、速度調整部材72が連動して回動する。例えば、速度調整部材72が回動していない状態で、レバー82が作業者により後側に向かって操作されると、速度調整部材72は、前側に向かって回動し、内壁54から離れる。レバー82は、所望の位置に固定可能である。これにより、速度調整部材72が所望の回動角度に固定されて、開口58の開口面積を所望の大きさに調整することができる。
【0045】
次に、芝刈機2を使用した芝刈りの一連の流れについて説明する。
図2に示す刈刃用モータ26が駆動すると、駆動軸14の回転に伴い、刈刃16とファン18とが回転する。刈刃16が回転すると、地面の芝が刈られる。刈刃16により刈られた芝は、長く刈られた重い芝L1(
図6参照)と、短く刈られた軽い芝L2(
図6参照)と、を含んでいる。また、ファン18が回転すると、デッキ12の内側の空間に、デッキ12の下面の開口からダクト20(
図3参照)に向かう空気の流れが発生する。これにより、重い芝L1と軽い芝L2とは、ファン18により吸い上げられて、ダクト20を通過して、集草ユニット6に送られる。
【0046】
図6に示すように、重い芝L1と軽い芝L2とは、ファン18の回転により発生した空気の流れに従って、開口46から集草ボックス44の内部に流入する。その後、重い芝L1と軽い芝L2とは、集草ボックス44の内部を空気の流れF1に従って流れる。
図6では、集草ボックス44の内部を流れる空気の流れF1が実線により図示されている。まず、空気の流れF1について説明する。開口46から集草空間60に流入した空気は、後方上側に向かって、向き調整部材70まで流れる。その後、空気は、向き調整部材70を迂回するように蛇行して、開口58に向かって流れる。具体的には、開口58に向かう空気が向き調整部材70に遮られることにより、空気は、向き調整部材70に衝突し、向き調整部材70に沿って、向き調整部材70の下端部に向かって流れる。向き調整部材70の下端部まで流れた空気は、向き調整部材70を超えた後に流れの向きを変え、開口58に向かって流れる。その後、空気は、速度調整部材72と内壁54との間の開口58を通過して、集草空間60から排出空間62に流入する。流入した空気は、排出空間62を開口50に向かって流れ、開口50から、集草ボックス44の外部に流出する。
【0047】
次に、重い芝L1と軽い芝L2との流れを説明する。まず、開口46から集草空間60に流入した重い芝L1と軽い芝L2とは、空気の流れF1に従って、向き調整部材70まで流れる。この場合、重い芝L1は、軽い芝L2と比較して高重量であるため、重い芝L1は、向き調整部材70の近傍に到達する前に、空気の流れF1から脱落して、集草ボックス44の下壁44aに向かって自重で落下する。これにより、重い芝L1は、集草空間60に収集される。また、上述したように、向き調整部材70の近傍において、空気の流れF1は、向き調整部材70を迂回するように蛇行している。この場合、重い芝L1は、蛇行した空気の流れF1から脱落して、集草空間60に収集される。また、重い芝L1は、向き調整部材70に衝突することにより、蛇行した空気の流れF1から脱落して、集草空間60に収集される。一方、軽い芝L2は、空気の流れF1が向き調整部材70の近傍において蛇行している場合であっても、蛇行する空気の流れF1に従って、向き調整部材70に沿って流れることができ、向き調整部材70の下端部を超えて、開口58まで流れる。その後、軽い芝L2は、開口58を通過して、集草空間60から排出空間62に流入する。流入した軽い芝L2は、開口50から、集草ボックス44の外部に流出する。これにより、軽い芝L2が地面に散布される。これらの結果、刈刃16により刈られた重い芝L1と軽い芝L2のうち、重い芝L1が集草空間60に収集されるため、集草ボックス44に収集された芝を捨てる作業の頻度を減らすことができる。
【0048】
本実施例では、空気の流れF1は、開口46から開口58に向かう方向に関して、向き調整部材70の位置を調整することにより変化する。向き調整部材70が
図6に示す開口46に最も近い位置から
図7に示す開口46から最も離れた位置(即ち、開口58に最も近い位置)に向かうにつれて、空気は、向き調整部材70を迂回し、大きく蛇行する。具体的には、向き調整部材70に沿って流れる空気が向き調整部材70の下端部を超えて開口58に向かって流れるとき、空気の流れF1の向きの変化が急激になる。空気の流れF1の向きの変化が急激になると、重い芝L1は、蛇行した空気の流れF1から脱落し易くなるため、下壁44aに向かって自重により落下し易くなり、集草空間60に収集され易くなる。一方、軽い芝L2は、空気の流れF1の向きの変化が急激になる場合であっても、蛇行した空気の流れF1に従って流れることができるため、軽い芝L2は、開口58まで流れることができ、開口50から集草ボックス44の外部に流出する。
【0049】
また、空気の流れF1は、速度調整部材72の回動角度を調整することにより変化する。速度調整部材72が、
図6に示す速度調整部材72が回動している状態から
図5に示す速度調整部材72が回動していない状態まで回動するにつれて、開口58の開口面積が小さくなる。これにより、開口58に向かう空気の流速が小さくなる。開口58に向かう空気の流速が小さくなるにつれて、重い芝L1は、流速が小さくなった空気の流れF1から脱落し易くなるため、下壁44aに向かって自重により落下し易くなり、集草空間60に収集され易くなる。一方、軽い芝L2は、開口58に向かう空気の流速が小さくなる場合であっても、流速が小さくなった空気の流れF1に従って流れることができるため、軽い芝L2は、開口58まで流れることができ、開口50から集草ボックス44の外部に流出する。
【0050】
(効果)
本実施例の芝刈機2は、芝を刈る刈刃16と、刈刃16に刈られた芝を収集する集草ユニット6と、刈刃16に刈られた芝を集草ユニット6に向けて送る空気の流れを発生させるファン18と、を備えている。芝は、刈刃16により長く刈られた重い芝L1と、短く刈られた軽い芝L2と、を含んでいる。集草ユニット6は、集草ユニット6の内部に流入した重い芝L1と軽い芝L2のうち、重い芝L1を収集し、軽い芝L2を集草ユニット6の外部に排出するように構成されている。上記の構成では、まず、刈刃16により刈られた重い芝L1と軽い芝L2との両方が集草ユニット6に流入する。その後、重い芝L1のみが、集草ユニット6に収集され、軽い芝L2は、集草ユニット6の内部を流れた後、集草ユニット6の外部に排出される。これにより、重い芝L1と軽い芝L2とを分けて収集および排出することができる。
【0051】
また、
図6に示すように、集草ユニット6は、開口46と開口58とを有しており、芝を収集する集草部59と、集草部59の内部に配置されており、開口46から集草部59の内部に流入した空気の流れF1を調整する調整機構56と、を備えている。調整機構56が開口46から集草部59の内部に流入した空気の流れF1を調整することにより、重い芝L1が集草部59の内部に収集され、軽い芝L2が開口58から集草部59の外部に排出される。上記の構成では、調整機構56を用いて空気の流れF1を調整することにより、重い芝L1と軽い芝L2との重量の差を利用して、重い芝L1を集草部59の内部に収集し、軽い芝L2を開口58から集草部59の外部に排出することができる。これにより、重い芝L1と軽い芝L2とを分けて収集および排出することができる。
【0052】
また、調整機構56は、速度調整部材72を備えている。速度調整部材72は、開口58の開口面積を調整することにより、開口46から開口58に向かう空気の流速を調整可能である。集草部59の内部(即ち、集草空間60)において、開口46から開口58に向かう空気の流速を小さくした場合、軽い芝L2は、空気の流れF1に従って開口58まで流れるものの、重い芝L1は、空気の流れF1から脱落して、集草空間60に収集され易くなる。上記の構成では、速度調整部材72を用いて開口58の開口面積を調整することにより、開口46から開口58に向かう空気の流速を調整することができる。これにより、重い芝L1と軽い芝L2とを分けて収集および排出することができる。
【0053】
また、速度調整部材72は、集草部59に回動可能に支持されている。速度調整部材72の回動角度の変化に伴い、開口58の開口面積が変化する。上記の構成では、簡素な構成により、開口58の開口面積を調整することができる。
【0054】
また、調整機構56は、向き調整部材70を備えている。向き調整部材70は、開口46と開口58との間に配置されており、開口46から開口58に向かう空気の流れF1を遮ることにより、開口46から開口58に向かう空気の流れF1の向きを調整可能である。集草部59の内部(即ち、集草空間60)において、開口46から開口58に向かう空気の流れF1を蛇行させた場合、軽い芝L2は、空気の流れF1に従って開口58まで流れるものの、重い芝L1は、空気の流れF1から脱落して、集草空間60に収集され易くなる。上記の構成では、向き調整部材70を用いて開口46から開口58に向かう空気の流れを遮ることにより、開口46から開口58に向かう空気の流れF1の向きを調整することができる。これにより、重い芝L1と軽い芝L2とを分けて収集および排出することができる。
【0055】
また、向き調整部材70は、集草部59に、開口46から開口58に向かう方向に関して位置を調整可能に支持されている。向き調整部材70の位置の変化に伴い、開口46から開口58に向かう空気の流れF1の向きが変化する。上記の構成では、簡素な構成により、開口46から開口58に向かう空気の流れF1の向きを調整することができる。
【0056】
また、芝刈機2は、刈刃16とファン18とを回転させる刈刃用モータ26をさらに備えている。上記の構成では、刈刃16とファン18とが共通の刈刃用モータ26により回転するので、刈刃16を回転させるモータとファン18を回転させるモータを別個に設ける場合と比較して、芝刈機2を小型化することができる。
【0057】
また、刈刃16の駆動軸14は、ファン18の駆動軸14と同一である。刈刃16の駆動軸14がファン18の駆動軸14と同一であるため、刈刃16の駆動軸とファン18の駆動軸とを別個に設ける場合と比較して、芝刈機2を小型化することができる。
【0058】
また、刈刃16とファン18とは、一体的に形成されている。上記の構成では、芝刈機2を構成する部品の点数を減らすことができる。
【0059】
また、刈刃用モータ26は、原動機として機能する。上記の構成では、原動機がエンジンである場合と比較して、芝刈機2を使用する際に発生する振動や騒音を小さくすることができる。
【0060】
また、芝刈機2は、刈刃用モータ26に電力を供給するバッテリパックBをさらに備えている。芝刈機2が外部電源から電源コードを介して刈刃用モータ26に電力を供給する構成である場合、電源コードが芝刈作業の邪魔になることがある。上記の構成では、芝刈機2を使用する際の作業性を向上させることができる。
【0061】
(対応関係)
開口46は、「収集口」の一例であり、開口58は、「排出口」の一例であり、刈刃用モータ26は、「原動機」の一例である。
【0062】
(第2実施例)
図8を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第2実施例では、速度調整部材180の構成が、第1実施例の速度調整部材72の構成と異なる。速度調整部材180は、排出空間62の内部に配置されている。速度調整部材180は、集草ボックス44の右壁44cと左壁44dとに、スライド可能に支持されている。速度調整部材180は、上壁44eに直交する方向にスライドする。速度調整部材180は、内壁54の後側に隣接して配置されている。速度調整部材180がスライドしていない状態では、速度調整部材180の上端部は、上壁44eに当接する。これにより、速度調整部材180がスライドしていない状態では、集草空間60と排出空間62とは、連通していない。速度調整部材180は、スライドしていない状態から略下側に向かってスライドすると、上壁44eから離れる。これにより、速度調整部材180の上端部と上壁44eとの間に開口58が形成される。また、集草空間60と排出空間62とは、連通する。速度調整部材180が略下側に向かってスライドするにつれて、開口58の開口面積が大きくなる。なお、速度調整部材180は、右壁44cと左壁44dとに配置されているレバー(図示省略)が操作されることにより、スライドする。
【0063】
速度調整部材180が、上壁44eに向かってスライドするにつれて、開口58の開口面積が小さくなる。これにより、開口58に向かう空気の流速が小さくなる。開口58に向かう空気の流速が小さくなるにつれて、重い芝L1は、流速が小さくなった空気の流れF1から脱落し易くなるため、下壁44aに向かって自重により落下し易くなり、集草空間60に収集され易くなる。一方、軽い芝L2は、開口58に向かう空気の流速が小さくなる場合であっても、流速が小さくなった空気の流れF1に従って流れることができるため、軽い芝L2は、開口58まで流れることができ、開口50から集草ボックス44の外部に流出する。
【0064】
(効果)
本実施例の芝刈機2では、速度調整部材180は、集草部59にスライド可能に支持されている。速度調整部材180のスライド量の変化に伴い、開口58の開口面積が変化する。上記の構成では、簡素な構成により、開口58の開口面積を調整することができる。
【0065】
(第3実施例)
図9および
図10を参照して、第3実施例を説明する。第3実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第3実施例では、向き調整部材280の構成が、第1実施例の向き調整部材70の構成と異なる。向き調整部材280は、左右方向に延びる回動軸の周りを回動可能に、上壁44eに支持されている。向き調整部材280は、速度調整部材72に向かう方向に回動可能である。
図9に示すように、向き調整部材280が回動していない状態では、向き調整部材280は、上壁44eから前方下側に向かって延びた後、屈曲して、上壁44eに直交する方向に、下壁44aに向かって延びている。向き調整部材280が回動していない状態から速度調整部材72に向かう方向に回動するにつれて、向き調整部材280は、上壁44eに対して傾斜する。
【0066】
集草ユニット6は、レバー282をさらに備えている。レバー282は、上壁44eに回動可能に支持されている。レバー282は、レバー82よりも前側に配置されている。レバー282は、作業者により操作される。レバー282が回動すると。向き調整部材280が連動して回転する。例えば、向き調整部材280が回動していない状態で、レバー282が作業者により前側に向かって操作されると、向き調整部材280は、速度調整部材72に向かう方向に回動する。
【0067】
次に、空気の流れF1について説明する。向き調整部材280が、
図10に示す向き調整部材280が回動している状態から
図9に示す向き調整部材280が回動していない状態まで回動するにつれて、空気は、向き調整部材280を迂回し、大きく蛇行する。具体的には、向き調整部材280に沿って流れる空気が向き調整部材280の下端部を超えて開口58に向かって流れるとき、空気の流れF1の向きの変化が急激になる。空気の流れF1の向きの変化が急激になると、重い芝L1は、蛇行した空気の流れF1から脱落し易くなるため、下壁44aに向かって自重により落下し易くなり、集草空間60に収集され易くなる。一方、軽い芝L2は、空気の流れF1の向きの変化が急激になる場合であっても、蛇行した空気の流れF1に従って流れることができるため、軽い芝L2は、開口58まで流れることができ、開口50から集草ボックス44の外部に流出する。
【0068】
(効果)
本実施例の芝刈機2では、向き調整部材280は、集草部59に回動可能に支持されている。向き調整部材280の回動角度の変化に伴い、開口46から開口58に向かう空気の流れの向きが変化してもよい。上記の構成では、簡素な構成により、開口46から開口58に向かう空気の流れF1の向きを調整することができる。
【0069】
図11を参照して、第4実施例を説明する。第4実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第4実施例では、調整機構56は、第1実施例の向き調整部材70を備えておらず、速度調整部材72のみを備えている。調整機構56が向き調整部材70を備えていないので、集草空間60を流れる空気の流れF1の向きが、急激に変化することなく、空気は、開口58に向かって流れる。この場合、重い芝L1は、軽い芝L2と比較して高重量であるため、空気の流れF1から脱落して、集草ボックス44の下壁44aに向かって自重で落下する。これにより、重い芝L1は、集草空間60に収集される。開口58に向かって流れる空気は、速度調整部材72と内壁54との間の開口58を通過して、集草空間60から排出空間62に流入する。流入した空気は、排出空間62を開口50に向かって流れ、開口50から、集草ボックス44の外部に流出する。軽い芝L2は、空気とともに、開口50から、集草ボックス44の外部に流出する。
【0070】
一実施形態に係る調整機構56は、向き調整部材70、280のみを備えていてもよい。
【0071】
一実施形態に係る芝刈機2は、刈刃用モータ26に替えて、刈刃16とファン18とを回転させるエンジンを備えていてもよい。
【0072】
一実施形態に係る芝刈機2は、バッテリパックBに替えて、外部電源から刈刃用モータ26に電力を供給するための電源コードを備えていてもよい。
【0073】
一実施形態に係る向き調整部材70は、上壁44eに、開口46から開口58に向かう方向に関してスライド可能に支持されていてもよい。
【0074】
一実施形態に係る刈刃16とファン18とは、別体であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
2 :芝刈機
4 :本体ユニット
6 :集草ユニット
8 :ハンドルユニット
14 :駆動軸
16 :刈刃
18 :ファン
20 :ダクト
26 :刈刃用モータ
32 :グリップ
38 :スイッチレバー
40 :自走レバー
44 :集草ボックス
44a :下壁
44b :後壁
44c :右壁
44d :左壁
44e :上壁
46、48、50、58:開口
54 :内壁
56 :調整機構
59 :集草部
60 :集草空間
61 :排出部
62 :排出空間
70、280:向き調整部材
72、180:速度調整部材
82、282:レバー
B :バッテリパック
L1 :重い芝
L2 :軽い芝