(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫システム
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20241023BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241023BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
F25D21/08 A
F25D11/00 101B
F25D23/00 301K
(21)【出願番号】P 2020211109
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】竹内 慎
(72)【発明者】
【氏名】中野 太陽
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-072622(JP,A)
【文献】国際公開第2011/016551(WO,A1)
【文献】特開2009-036483(JP,A)
【文献】特開2007-225155(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111363(WO,A1)
【文献】特開平06-273033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/00-21/12
F25D 17/04-17/08
F25D 23/00
F25B 47/02
F24F 11/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器を備える冷蔵庫本体と、
前回除霜を行った以降の各時刻における庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つを入力情報とし、前記入力情報に対応する冷却器に付着した氷の色を出力情報とする学習モデルを学習するための複数の学習用情報により学習した学習後の学習モデルに基づいて、前記冷却器に着霜している氷の色を予測する予測部と、
前記予測部が前記氷の色が透明であると予測した場合、前記氷の色が白色であると予測した場合に比べて除霜能力を高めるよう、前記冷却器に対する除霜動作を制御する制御部と、
を備える冷蔵庫システム。
【請求項2】
前記冷却器に対する除霜動作を行う前記冷却器への風量を変化させるファンまたは前記冷却器の周辺温度を変化させるヒータと、
前記予測部により予測された前記氷の色に基づき、前記ファンまたは前記ヒータによる除霜動作の内容を決定する決定部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記決定部により決定された前記除霜動作の内容に基づき、前記ファンまたは前記ヒータを制御する、
請求項
1に記載の冷蔵庫システム。
【請求項3】
前記冷却器または前記冷蔵庫本体の状態を検出する検出部と、
前記学習後の学習モデルを追加学習させる学習部と、
をさらに備え、
前記予測部は、
前記学習後の学習モデルを用いて前記氷の色を予測し、
前記学習部は、
前記予測部により予測された前記氷の色に基づき決定された前記制御部による前記除霜動作の内容と、前記除霜動作に応じて前記検出部により検出された検出結果とに基づき前記学習後の学習モデルを追加学習させる、
請求項1
または請求項2に記載の冷蔵庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室や冷凍室などで食品を低温で保存するために、冷蔵庫では冷媒を用いて熱交換が行われる。この場合、冷却器に霜が着き、冷却性能を低下させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-191497号公報
【文献】特開平06-273033号公報
【文献】特開2007-225155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷蔵庫の冷却器に付着した霜を取り除く適切な除霜制御を行うことができる冷蔵庫システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫システムは、冷却器を備える冷蔵庫本体と、前回除霜を行った以降の各時刻における庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つを入力情報とし、前記入力情報に対応する冷却器に付着した氷の色を出力情報とする学習モデルを学習するための複数の学習用情報により学習した学習後の学習モデルに基づいて、前記冷却器に着霜している氷の色を予測する予測部と、前記予測部が前記氷の色が透明であると予測した場合、前記氷の色が白色であると予測した場合に比べて除霜能力を高めるよう、前記冷却器に対する除霜動作を制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態の冷蔵庫システムの構成の一例を示す図。
【
図2】一実施形態の冷蔵庫本体の構成の一例を示す図。
【
図3】一実施形態の冷蔵庫本体の
図2におけるF2-F2線に沿う断面図。
【
図4】一実施形態の実施形態の冷凍サイクル装置の構成の一例を示す図。
【
図5】一実施形態の冷蔵庫本体の制御に関する構成の一部を示すブロック図。
【
図6】一実施形態の制御装置の構成の一例を示す図。
【
図8】一実施形態の冷蔵庫システムの処理フローを示す図。
【
図9】一実施形態の第6の変形例の制御装置の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義し、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義する。
【0008】
「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
<実施形態>
(冷蔵庫システムの構成)
図1は、一実施形態の冷蔵庫システム200の構成の一例を示す図である。冷蔵庫システム200は、冷蔵庫本体1と、制御装置2と、を備える。制御装置2は、例えば、冷蔵庫本体1とネットワークで接続されるサーバである。冷蔵庫システム200は、制御装置2により冷蔵庫本体1を制御することにより、冷蔵庫本体1の冷却器に付着した霜を取り除く適切な除霜制御を行うことができるシステムである。
【0010】
(冷蔵庫本体の構成)
図2から
図8を参照して、一実施形態の冷蔵庫本体1について説明する。
図2は、冷蔵庫本体1を示す正面図である。
図3は、
図2に示す冷蔵庫本体1のF2-F2線に沿う断面図である。
図2および
図3に示すように、冷蔵庫本体1は、例えば、筐体10、複数の扉20、操作パネル30、流路形成部品40、冷却部50、制御部100を備える。
【0011】
筐体10は、上壁11、下壁12、左右の側壁13,14、および後壁15を有する。上壁11および下壁12は、略水平に広がっている。左右の側壁13,14は、下壁12の左右の端部から上方に起立し、上壁11の左右の端部に繋がっている。後壁15は、下壁12の後端部から上方に起立し、上壁11の後端部に繋がっている。
【0012】
筐体10は、
図3に示すように、例えば、内箱10a、外箱10b、および断熱部10cを有する。内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材である。外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。内箱10aと外箱10bとの間には、例えば発泡ウレタンなどの発泡断熱材を含む断熱部10cが設けられている。
【0013】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室17が設けられている。複数の貯蔵室17は、例えば、冷蔵室17A、チルド室17B、野菜室17C、製氷室17D、小冷凍室17E、および主冷凍室17Fを含む。例えば、最上部に冷蔵室17Aが配置され、冷蔵室17Aの下方に野菜室17Cが配置され、野菜室17Cの下方に製氷室17Dおよび小冷凍室17Eが配置され、製氷室17Dおよび小冷凍室17Eの下方に主冷凍室17Fが配置される。ただし、貯蔵室17の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室17の前面側に、各貯蔵室17に対して食品の出し入れを可能にする開口を有する。
【0014】
チルド室17Bは、冷蔵室17Aの一部の下方に設けられている。チルド室17Bは、例えば、棚や壁などにより少なくとも部分的に冷蔵室17Aに対して区画されている。チルド室17Bは、冷蔵室17Aよりも下方に位置して冷たい冷気が流入しやすいことや、冷蔵室17Aと比べて冷蔵用冷却器61(後述)(冷却器の一例)の近くに位置することで、冷蔵室17Aよりも低い温度に冷却される。
【0015】
筐体10は、第1仕切壁18および第2仕切壁19を有する。第1仕切壁18および第2仕切壁19は、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切壁18は、冷蔵室17A(チルド室17B)と野菜室17Cとの間に位置し、冷蔵室17A(チルド室17B)と野菜室17Cとの間を仕切っている。一方で、第2仕切壁19は、野菜室17Cと、製氷室17Dおよび小冷凍室17Eとの間に位置し、野菜室17Cと、製氷室17Dおよび小冷凍室17Eとの間を仕切っている。第2仕切壁19は、例えば発泡断熱材を含み、断熱性を有する。第1仕切壁18は、例えば合成樹脂などで形成されており、第2仕切壁19よりも断熱性が低い。
【0016】
複数の貯蔵室17の開口は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室17Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa、20Ab、チルド室17Bの開口を閉じるチルド室扉20B、野菜室17Cの開口を閉じる野菜室扉20C、製氷室17Dの開口を閉じる製氷室扉20D、小冷凍室17Eの開口を閉じる小冷凍室扉20E、および主冷凍室17Fの開口を閉じる主冷凍室扉20Fを含む。チルド室扉20Bは、冷蔵室扉20Aa,20Abよりも冷蔵室17Aの内部に設けられている(
図3参照)。チルド室扉20Bは、例えば、チルド室容器36B(後述)と一体に設けられてチルド室容器36Bと一体に前方に引き出されるタイプでもよいし、チルド室17Bに隣接して設けられたヒンジを中心に回転することで開かれるタイプでもよい。
【0017】
操作パネル30は、
図2に示すように、例えば、扉20(左冷蔵室扉20Aa)に設けられる。操作パネル30は、冷蔵庫本体1の設定温度帯の変更や運転モードの変更に関連するユーザの入力操作などを受け付ける。操作パネル30は、例えば、後述する「急速チルド」または「解凍」の制御モードの開始および停止を受け付けるボタン31と、「特別チルド」の制御モードの開始および停止を受け付けるボタン32などを含む。「急速チルド」の制御モードでは、通常設定のチルドの制御モードと比べてチルド室17Bの空気温度を速く低下させる制御モードである。「特別チルド」の制御モードでは、チルド室17Bが低温温度帯で冷却される時間と、チルド室17Bが高温温度帯で冷却される時間とが順に繰り返される。ただし、これら各種制御モードの開始や停止を選択する操作は、操作パネル30に代えて、ネットワークを介してユーザの携帯端末やスマートスピーカから入力されてもよい。
【0018】
図3に示すように、複数の棚35は、冷蔵室17Aに設けられている。複数の容器36は、チルド室17Bに設けられたチルド室容器36B、野菜室17Cに設けられた第1および第2の野菜室容器36Ca、36Cb、製氷室17Dに設けられた製氷室容器(不図示)、小冷凍室17Eに設けられた小冷凍室容器36E、および主冷凍室17Fに設けられた第1および第2の主冷凍室容器36Fa、36Fbを含む。ここで「容器」とは、トレイのような底が浅い部材も含む。
【0019】
流路形成部品40は、筐体10内に配置されている。流路形成部品40は、第1ダクト部品41と、第2ダクト部品42とを含む。
【0020】
第1ダクト部品41は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品41は、例えば、野菜室17Cの下端部の後方から冷蔵室17Aの上端部の後方まで延びている。第1ダクト部品41と筐体10の後壁15との間には、冷気(空気)が流れる通路である第1ダクト空間D1が形成されている。第1ダクト部品41は、複数の冷蔵室冷気吹出口41aと、チルド室冷気吹出口41bと、冷気戻り口41cとを有する。複数の冷蔵室冷気吹出口41aは、チルド室17Bよりも上方において複数の高さ位置に分かれて設けられている。複数の冷蔵室冷気吹出口41aは、冷蔵室17Aに開口している。第1ダクト空間D1を流れる冷気は、冷蔵室冷気吹出口41aから冷蔵室17Aに吹き出される。チルド室冷気吹出口41bは、チルド室17Bに開口している。第1ダクト空間D1を流れる冷気は、チルド室冷気吹出口41bからチルド室17Bに吹き出される。冷気戻り口41cは、野菜室17Cに開口している。野菜室17Cを通った冷気は、冷気戻り口41cから第1ダクト空間D1に戻る。
【0021】
第2ダクト部品42は、筐体10の後壁15に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品42は、例えば、主冷凍室17Fの後方から製氷室17Dおよび小冷凍室17Eの上端部の後方まで延びている。第2ダクト部品42と筐体10の後壁15との間には、冷気(空気)が流れる通路である第2ダクト空間D2が形成されている。第2ダクト部品42は、冷気吹出口42aと、冷気戻り口42bとを有する。冷気吹出口42aは、製氷室17Dおよび小冷凍室17Eに開口している。第2ダクト空間D2を流れる冷気は、冷気吹出口42aから製氷室17Dおよび小冷凍室17Eに吹き出される。冷気戻り口42bは、主冷凍室17Fに開口している。主冷凍室17Fを通った冷気は、冷気戻り口42bから第2ダクト空間D2に戻る。
【0022】
冷却部(冷却ユニット)50は、複数の貯蔵室17(冷蔵室17A、チルド室17B、野菜室17C、製氷室17D、小冷凍室17E、および主冷凍室17F)を冷却する。冷却部50は、例えば、第1冷却モジュール60と、第2冷却モジュール70と、圧縮機80と、冷凍サイクル装置90(
図4)とを含む。ここで「冷却する」とは、各貯蔵室17に対応する冷却器(後述する冷蔵用冷却器61(冷却器の一例)または冷凍用冷却器71(冷却器の一例))に圧縮機80から冷媒が供給されている状態を意味する。ただし、「冷却する」とは、後述する冷蔵用ファン62や冷凍用ファン72が駆動される場合に限定されない。例えば、「冷却する」とは、冷蔵用ファン62の駆動が停止された状態で圧縮機80から冷蔵用冷却器61に冷媒が送られ、冷蔵用冷却器61とチルド室17Bとの間の伝熱によりチルド室17Bの温度が低下する場合なども含む。
【0023】
第1冷却モジュール60は、例えば、冷蔵用冷却器61と、冷蔵用ファン62とを含む。冷蔵用冷却器61は、第1ダクト空間D1に配置されている。冷蔵用冷却器61は、圧縮機80により圧縮された冷媒が供給され、第1ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。冷蔵用冷却器61は、例えば、チルド室17Bに対応する高さに配置されている。
【0024】
冷蔵用ファン62は、例えば、第1ダクト部品41の冷気戻り口41cに設けられている。冷蔵用ファン62が駆動されると、野菜室17Cの空気が冷気戻り口41cから第1ダクト空間D1内に流入する。第1ダクト空間D1内に流入した空気は、第1ダクト空間D1内を上方に向けて流れ、冷蔵用冷却器61によって冷却される。冷蔵用冷却器61によって冷却された冷気は、複数の冷蔵室冷気吹出口41aから冷蔵室17Aに吹き出され、チルド室冷気吹出口41bからチルド室17Bに吹き出される。冷蔵室17Aおよびチルド室17Bに吹き出された冷気は、冷蔵室17Aおよびチルド室17Bをそれぞれ流れた後、例えば野菜室17Cを経由して、再び冷気戻り口41cに戻る。これにより、冷蔵室17A、チルド室17B、および野菜室17Cを流れる冷気が冷蔵庫本体1内で循環され、冷蔵室17A、チルド室17B、および野菜室17Cの冷却が行われる。
【0025】
一方で、第2冷却モジュール70は、例えば、冷凍用冷却器71と、冷凍用ファン72とを含む。冷凍用冷却器71は、第2ダクト空間D2に配置されている。冷凍用冷却器71は、圧縮機80により圧縮された冷媒が供給され、第2ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。
【0026】
冷凍用ファン72は、例えば、第2ダクト部品42の冷気戻り口42bに設けられている。冷凍用ファン72が駆動されると、主冷凍室17Fの空気が冷気戻り口42bから第2ダクト空間D2内に流入する。第2ダクト空間D2内に流入した空気は、第2ダクト空間D2内を上方に向けて流れ、冷凍用冷却器71によって冷却される。冷凍用冷却器71によって冷却された冷気は、冷気吹出口42aから製氷室17D、小冷凍室17E、および主冷凍室17Fに流入する。製氷室17Dおよび小冷凍室17Eに流入した冷気は、製氷室17Dおよび小冷凍室17Eをそれぞれ流れた後、主冷凍室17Fを経由して、再び冷気戻り口42bに戻る。これにより、製氷室17D、小冷凍室17E、および主冷凍室17Fを流れる冷気が冷蔵庫本体1内で循環され、製氷室17D、小冷凍室17E、および主冷凍室17Fの冷却が行われる。
【0027】
圧縮機80は、例えば、冷蔵庫本体1の底部の機械室に設けられている。圧縮機80は、貯蔵室17の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機80により圧縮された冷媒ガスは、凝縮器91などを経由して、冷蔵用冷却器61および冷凍用冷却器71に送られる。
【0028】
(冷凍サイクル装置)
図4は、冷凍サイクル装置90の構成を示す図である。冷凍サイクル装置90は、冷媒の流れ順に、凝縮器91と、ドライヤ92と、三方弁93と、キャピラリーチューブ94、95とを含む。詳しく述べると、圧縮機80の高圧吐出口には、凝縮器91とドライヤ92とが順に接続パイプ96を介して接続されている。ドライヤ92の吐出側には、三方弁93が接続されている。三方弁93は、ドライヤ92が接続される1つの入口と、2つの出口とを有している。
【0029】
三方弁93の2つの出口のうち一方の出口には、冷蔵側のキャピラリーチューブ94と冷蔵用冷却器61とが順に接続されている。冷蔵用冷却器61は、接続配管である冷蔵側サクションパイプ97を介して圧縮機80に接続されている。三方弁93の2つの出口のうち他方の出口には、冷凍側のキャピラリーチューブ95と冷凍用冷却器71とが順に接続されている。冷凍用冷却器71は、接続配管である冷凍側サクションパイプ98を介して圧縮機80に接続されている。冷凍用冷却器71と圧縮機80の間には、冷蔵用冷却器61からの冷媒が冷凍用冷却器71側に逆流しないための逆止弁99が設けられている。
【0030】
冷凍サイクル装置90を循環する冷媒は、圧縮機80により圧縮されて、高温、高圧のガス状冷媒となり、流路Aを流れる。このガス状冷媒は、凝縮器91により放熱されて、中温、高圧の液状冷媒となる。その後、ドライヤ92を通ることで汚れや水分などの不純物が取り除かれた液状冷媒は、三方弁93により絞り制御されながら、キャピラリーチューブ94(またはキャピラリーチューブ95)に入る。このとき、キャピラリーチューブ94(またはキャピラリーチューブ95)内の中温、高圧の液状冷媒は、冷蔵側サクションパイプ97(または冷凍側サクションパイプ98)内の冷媒と熱交換されながら減圧される。そして、減圧された冷媒は、冷蔵用冷却器61(または冷凍用冷却器71)を通過しながら蒸発することで、冷蔵用冷却器61(または冷凍用冷却器71)が冷却される。
【0031】
その後、低温、低圧のガス状となった冷媒は、冷蔵側サクションパイプ97(または冷凍側サクションパイプ98)に流入する。冷蔵側サクションパイプ97(または冷凍側サクションパイプ98)に流入した直後の冷媒ガスの温度は、-10℃前後と低温である。この冷媒ガスは、冷蔵側サクションパイプ97(または冷凍側サクションパイプ98)を通る間に、キャピラリーチューブ94(またはキャピラリーチューブ95)内の冷媒と熱交換されて、最終的には室温程度にまで昇温される。そして、この冷媒ガスが、圧縮機80に再び吸入されて、冷媒の循環が完了する。
【0032】
図5は、冷蔵庫本体1の制御に関する構成の一部を示すブロック図である。制御部100は、マイコンや時間計測などを行うタイマ(不図示)などを含むコンピュータで構成されるものであってもよい。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような1つ以上のハードウェアプロセッサによってコンピュータプログラムが実行されることで実現されるソフトウェア機能部でもよく、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。なお、制御部100の全部または一部は、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。上記の冷凍サイクル装置90において、三方弁93は、制御部100(
図5参照)によって制御され、流路Bおよび流路Cのうち例えば一方を選択する。流路Bは、冷媒を冷蔵用冷却器61に供給する流路である。流路Cは、冷媒を冷凍用冷却器71に供給する流路である。これら2つの流路B、Cは、合流点Dにおいて合流する。冷媒は、合流点Dから矢印Eの方向に流れて圧縮機80へと戻る。
【0033】
制御部100は、冷蔵庫本体1の全体を制御する。制御部100には、冷蔵用ファン62、冷凍用ファン72、圧縮機80、三方弁93、操作パネル30、外気温センサ111、冷蔵室温度センサ112、チルド室温度センサ113、冷蔵室扉スイッチ114、チルド室扉スイッチ115、庫内カメラ116、および記憶部117が接続されている。冷蔵用ファン62、冷凍用ファン72、圧縮機80、三方弁93、操作パネル30、外気温センサ111、冷蔵室温度センサ112、チルド室温度センサ113、冷蔵室扉スイッチ114、チルド室扉スイッチ115、および庫内カメラ116のそれぞれは、検出部の一例であり、冷却器または冷蔵庫本体1の状態を検出する。
【0034】
外気温センサ111は、例えば冷蔵庫本体1の表面に露出し、冷蔵庫本体1の外部の気温を検出する。冷蔵室温度センサ112は、例えば冷蔵室17Aに露出し、冷蔵室17Aの空気温度を検出する。
【0035】
チルド室温度センサ113は、チルド室17Bに露出し、チルド室17Bに関する温度を検出する。「チルド室に関する温度」とは、例えば、チルド室17Bに収容された食品温度(例えば食品の表面温度)、チルド室17Bの空気温度、またはチルド室17Bに収容された部材(例えばチルド室容器36B)の温度などのうち1つ以上である。例えば、チルド室温度センサ113は、チルド室17Bに収容された食品温度を検出する接触型温度センサである。ただし、チルド室温度センサ113が設けられることに代えて、例えば、制御部101aは、冷蔵室温度センサ112の検出結果と、事前に求められた冷蔵室17Aの空気温度とチルド室17Bの空気温度との対応関係とに基づき、チルド室17Bの空気温度を推定してもよい。以下では便宜上、冷蔵室17Aの空気温度を「冷蔵室温度」、チルド室17Bの空気温度を「チルド室温度」、主冷凍室17Fの空気温度を「冷凍室温度」と称する。
【0036】
冷蔵室扉スイッチ114は、例えば筐体10と冷蔵室扉20Aa、20Abとの間に設けられ、冷蔵室扉20Aa、20Abの開閉を検知する。チルド室扉スイッチ115は、例えばチルド室扉20Bに隣接して設けられ、チルド室扉20Bの開閉を検知する。
【0037】
庫内カメラ116は、例えば冷蔵室17Aに設けられ、冷蔵室17Aまたはチルド室17Bに対する食品の入庫および出庫を検知する。
【0038】
記憶部117は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(read-only memory)、またはRAM(random access memory)などにより実現される。記憶部117は、「急速チルド」、「解凍」、「特別チルド」などの各制御モードの実施に必要な情報(例えば実施時間や待機時間の設定情報など)を記憶している。
【0039】
上記説明したように、制御部100は、三方弁93を制御することにより、冷媒の流路を流路Bと流路Cとを交互に切り替える。流路Bに冷媒が流れている時には、冷蔵温度帯の貯蔵室17(冷蔵室17A、チルド室17B、野菜室17C)が冷却される。流路Cに冷媒が流れている時には、冷凍温度帯の貯蔵室17(製氷室17D、小冷凍室17E、主冷凍室17F)が冷却される。制御部100は、例えば、20分の間、流路Bに冷媒を流して、冷蔵温度帯の貯蔵室17の冷却(いわゆる冷蔵運転)を行い、40分の間、流路Cに冷媒を流して、冷凍温度帯の貯蔵室17の冷却(いわゆる冷凍運転)を行う。
【0040】
制御部100は、冷蔵庫本体1の基本運転として「冷蔵運転」および「冷凍運転」を実行する。「冷蔵運転」とは、三方弁93が切り替えられて圧縮機80から冷蔵用冷却器61に液体冷媒が供給される運転を意味する。一方で、「冷凍運転」は、三方弁93が切り替えられて圧縮機80から冷凍用冷却器71に液体冷媒が供給される運転を意味する。
【0041】
制御部100は、例えば、冷蔵運転と冷凍運転とを交互に行うことにより、冷蔵温度帯の貯蔵室17(冷蔵室17A、チルド室17B、野菜室17C)と、冷凍温度帯の貯蔵室17(製氷室17D、小冷凍室17E、主冷凍室17F)とがそれぞれの設定温度帯に保たれるように、冷却部50を制御する。例えば、制御部100は、所定時間(例えば20分)に亘り冷蔵温度帯の貯蔵室17を冷却し、別の所定時間(例えば40分)に亘り冷凍温度帯の貯蔵室17を冷却することを交互に繰り返す。
【0042】
制御部100は、冷蔵運転中に、冷蔵室温度が冷蔵室17Aの設定温度帯の下限値に達した場合(または、チルド室温度がチルド室17Bの設定温度帯の下限値に達した場合)や、冷凍室温度が主冷凍室17Fの設定温度帯の上限値に達した場合などに、上記所定時間の途中であっても冷蔵運転を終了して冷凍運転を開始してもよい。制御部100は、冷凍運転中に、冷凍室温度が主冷凍室17Fの設定温度帯の下限値に達した場合や、冷蔵室温度が冷蔵室17Aの設定温度帯の上限値に達した場合(または、チルド室温度がチルド室17Bの設定温度帯の上限値に達した場合)などに、上記所定時間の途中であっても冷凍凍転を終了して冷蔵運転を開始してもよい。
【0043】
ここで、冷蔵運転が行われる間は、冷蔵温度帯の貯蔵室17の空気温度は低下するが、冷凍温度帯の貯蔵室17の空気温度は上昇する。一方で、冷凍運転が行われる間は、冷凍温度帯の貯蔵室17の空気温度は低下するが、冷蔵温度帯の貯蔵室17の空気温度は上昇する。このため、冷蔵温度帯の貯蔵室17の空気温度と、冷凍温度帯の貯蔵室17の空気温度は、それぞれ鋸歯状に上下することを繰り返す。冷凍サイクル装置90における冷蔵運転および冷凍運転は、交互に繰り返される。
【0044】
また、制御部100は、以下で説明する制御装置2の制御部101aによる制御の下、冷却器の除霜動作を実行する。
【0045】
(制御装置)
図6は、制御装置2の構成の一例を示す図である。制御装置2は、マイコンや時間計測などを行うタイマ101a1などを含むコンピュータで構成される制御部101a、予測部101b、および決定部101c、記憶部101dを備える。制御部101a、予測部101b、および決定部101cのそれぞれは、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような1つ以上のハードウェアプロセッサによってコンピュータプログラムが実行されることで実現されるソフトウェア機能部でもよく、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。制御部101a、予測部101b、および決定部101cの全部または一部は、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
予測部101bは、庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つに基づいて、冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方(冷却器の一例)の着霜に関する着霜状態を予測する。外気温度の例としては、冷蔵庫本体1の周囲温度センサが検出する温度などが挙げられる。外気湿度の例としては、冷蔵庫本体1の周囲湿度センサが検出する湿度などが挙げられる。庫内温度の例としては、冷蔵室温度センサ、野菜室温度センサ、冷凍室温度センサ、製氷室温度センサ、冷凍室湿度センサ、野菜室湿度センサなどが挙げられる。例えば、予測部101bは、前回除霜を行った時刻t0から時刻tまでの庫内の食材を示す食材情報、前回除霜を行った時刻t0から時刻tまでの庫内温度、前回除霜を行った時刻t0から時刻tまでの扉の開閉履歴、前回除霜を行った時刻t0から時刻tまでの外気温度、または前回除霜を行った時刻t0から時刻tまでの外気湿度の少なくとも1つに基づいて、冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方の着霜に関する着霜状態を予測する。着霜状態の例としては、冷蔵用冷却器61の着霜量、冷凍用冷却器71の着霜量、冷蔵用冷却器61に付着した氷の種類に関する状態、冷凍用冷却器71に付着した氷の種類に関する状態、冷蔵用冷却器61に付着した氷の分布に関する状態、冷凍用冷却器71に付着した氷の分布に関する状態などが挙げられる。
【0047】
なお、予測部101bは、予測した着霜状態が所定状態に達していない場合、着霜状態が所定状態に達する時間を予測するものであってもよい。例えば、予測部101bは、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つに基づいて、冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方の着霜に関する着霜状態を予測し、その予測した着霜状態が所定状態に達していない場合、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つに基づいて、着霜状態が所定状態に達する時間を予測するものであってもよい。なお、予測部101bによる初回の着霜状態の予測は、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つの代わりに、例えば、冷蔵庫システム200を起動した時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つを用いるものであってもよい。
【0048】
例えば、時間tを1週間に相当する168時間とした場合、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つとは、前回除霜を行った時刻にタイマーをゼロにして時間経過の計測を開始し、その計測を開始してから168時間が経過するまでの間の庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つであればよい。また、例えば、時間tを1週間に相当する168時間とした場合、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つとは、前回除霜を行った時刻が例えば12月14日午前8時であれば、その時刻から168時間経過した12月21日午前8時までの間の庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つであればよい。なお、着霜状態が所定状態に達したと予測された場合にユーザに除霜を促す報知を行うのであれば、着霜状態の所定状態とは、例えば、ユーザが予め決定した、冷蔵庫システム200に除霜をさせる必要がある着霜状態よりも時間的に前の着霜状態のことである。また、着霜状態が所定状態に達したと予測された場合にユーザに除霜を促す報知を行わず、その予測をもって冷蔵庫システム200が除霜を行うのであれば、着霜状態の所定状態とは、例えば、ユーザが予め決定した、冷蔵庫システム200に除霜をさせる必要がある着霜状態のことである。
【0049】
上述の予測部101bによる冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方の着霜に関する着霜状態の予測は、例えば、学習済みモデルを用いて行われるものであってもよい。着霜状態を特定する学習済みモデルのパラメータは、例えば、次のように決定される。なお、ここでは、冷凍用冷却器71の着霜に関する着霜状態を予測するための学習済みモデルのパラメータの決定について説明する。
【0050】
着霜状態を特定する学習済みモデルのパラメータは、パラメータが決定されていない学習モデルに教師データを適用することによって決定される。着霜状態を特定する学習モデルのパラメータの決定に用いられる教師データは、入力データと、その入力データに対応する出力データとを含む。
【0051】
図7は、予測部101bが、冷凍用冷却器71の着霜状態を予測するために用いる学習モデルのパラメータを特定するための教師データの一例を示す図である。例えば、記憶部101dがこの教師データを記憶する。教師データは、冷凍用冷却器71についての過去の着霜状態を示す実績データである。教師データは、冷凍用冷却器71について、着霜状態を予測する場合には、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの各時刻における庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つ(
図7に示す教師データでは庫内温度)を入力データとし、その入力データに対応する冷凍用冷却器71の着霜状態(
図7に示す教師データでは着霜量)を出力データとし、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータを複数含む。
図7に示す例では、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータは10000組のデータである。
【0052】
例えば、
図7に示す10000組のデータから成る教師データを用いて冷凍用冷却器71についての学習モデルにおけるパラメータを決定する場合を考える。この場合、教師データは、例えば、訓練データと、評価データと、テストデータとに分けられる。訓練データと、評価データと、テストデータとの割合の例としては、70%、15%、15%や95%、2.5%、2.5%などが挙げられる。例えば、データ#1~#10000の教師データが、訓練データとしてデータ#1~#7000、評価データとしてデータ#7001~#8500、テストデータ15%としてデータ#8501~#10000に分けられたとする。この場合、訓練データであるデータ#1を学習モデルであるニューラルネットワークに入力する。訓練データの入力データがニューラルネットワークに入力され、冷凍用冷却器71の着霜状態がニューラルネットワークから出力される度に(この場合、データ#1~#7000のそれぞれのデータがニューラルネットワークに入力される度に)、その出力に応じて例えばバックプロパゲーションを行うことにより、ノード間のデータの結合の重み付けを示すパラメータを変更する(すなわち、ニューラルネットワークのモデルを変更する)。このように、訓練データをニューラルネットワークに入力してパラメータを調整する。
【0053】
次に、訓練データによってパラメータが変更されたニューラルネットワークに、評価データの入力データ(データ#7001~#8500)を順に入力する。ニューラルネットワークは、入力された評価データに応じた冷凍用冷却器71の着霜状態を出力する。ここで、ニューラルネットワークが出力するデータが、
図7において入力データに関連付けられている出力データと異なる場合、ニューラルネットワークの出力が
図7において入力データに関連付けられている出力データとなるようにパラメータを変更する。このように、パラメータが決定されたニューラルネットワーク(すなわち、学習モデル)が、冷凍用冷却器71の着霜状態を予測するための学習済みモデル(以下、第1学習済みモデルと記載)である。
【0054】
次に、最終確認として、第1学習済みモデルのニューラルネットワークに、テストデータ(データ#8501~#10000)の入力データを順に入力する。第1学習済みモデルのニューラルネットワークは、入力されたテストデータに応じた冷凍用冷却器71の着霜状態を出力する。すべてのテストデータに対して、第1学習済みモデルのニューラルネットワークが出力する冷凍用冷却器71の着霜状態が、
図7において入力データに関連付けられている冷凍用冷却器71の着霜状態と一致する場合、第1学習済みモデルのニューラルネットワークが所望のモデルである。また、テストデータのうちの1つでも、第1学習済みモデルのニューラルネットワークが出力する冷凍用冷却器71の着霜状態が、
図7において入力データに関連付けられている冷凍用冷却器71の着霜状態と一致しない場合、新たな教師データを用いて学習モデルのパラメータを決定する。上述の学習モデルのパラメータの決定は、所望のパラメータを有する第1学習済みモデルが得られるまで繰り返される。所望のパラメータを有する第1学習済みモデルが得られた場合、その第1学習済みモデルが、例えば、記憶部101dに記録される。
【0055】
制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜状態に基づいて、冷却器(冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方)に対する除霜動作を制御する。除霜動作の例としては、冷却器に空気を送り込むファン(冷蔵用冷却器61の場合には冷蔵用ファン62、冷凍用冷却器71の場合には冷凍用ファン72)を回転させること、そのファンの回転数を上昇させること、冷却器を暖めるヒータを動作させること、そのヒータの温度を上昇させることなどが挙げられる。例えば、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜量に基づき、制御部100を介して、除霜動作を制御する。具体的には、決定部101cは、予測部101bにより予測された着霜状態に基づき、ファンまたはヒータによる除霜動作の内容を決定する。より具体的には、決定部101cは、予測部101bにより予測された着霜量が増加するにつれて、冷却器が温まり易くすることを決定する。制御部101aは、決定部101cにより決定された除霜動作の内容に基づき、ファンまたはヒータを制御する。つまり、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜量が増加するにつれて、冷却器が温まり易くなる制御指令を制御部100に送信する。すなわち、制御部101aは、着霜量が増加するにつれて、ファンの回転数を増加させる制御指令、ファンの回転時間を長くする制御指令、ヒータの温度を上昇させる制御指令、または、ヒータの動作時間を長くする制御指令の少なくとも1つを、制御部100に送信する。そして、制御部100が制御部101aが送信した制御指令にしたがってファンやヒータを制御する。ただし、制御部101aは、冷却器がしきい値を超えて温まらないように、すなわち庫内温度が所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令を制御部100に送信する。
【0056】
(冷蔵庫システムが行う処理)
次に、一実施形態の冷蔵庫システム200が行う処理について説明する。
図8は、一実施形態の冷蔵庫システム200の処理フローの一例を示す図である。ここでは、
図8に示す冷蔵庫システム200の処理フローについて説明する。なお、過去の実績などのデータを用いて用意した教師データを用いて、パラメータが決定された第1学習済みモデルが冷却器の着霜に関する着霜状態を予測する前に既に用意されているものとする。また、冷却器は冷凍用冷却器71であり、冷却器の着霜に関する着霜状態は着霜量であるものとする。また、前回の着霜状態の予測時からセンサにより冷凍庫の庫内温度が計測されており、時刻と共に庫内温度が記憶部101dに記録されているものとする。
【0057】
予測部101bは、庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つに基づいて、冷蔵用冷却器61または冷凍用冷却器71の少なくとも一方(冷却器の一例)の着霜に関する着霜状態を予測する(ステップS1)。例えば、予測部101bは、記憶部101dが記憶する庫内温度を、前回の着霜状態の予測時からの経過時間と共に、第1学習済みモデルに入力する。第1学習済みモデルは、経過時間が示す時刻における冷凍用冷却器71の着霜量を出力する。
【0058】
制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜状態に基づいて、冷却器に対する除霜動作を制御する(ステップS2)。例えば、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜量に基づき、制御部100を介して、除霜動作を制御する。具体的には、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜量が増加するにつれて、冷却器が温まり易くなる制御指令を制御部100に送信する。すなわち、制御部101aは、着霜量が増加するにつれて、ファンの回転数を増加させる制御指令、ファンの回転時間を長くする制御指令、ヒータの温度を上昇させる制御指令、または、ヒータの動作時間を長くする制御指令の少なくとも1つを、制御部100に送信する。そして、制御部100が制御部101aが送信した制御指令にしたがってファンやヒータを制御する。ただし、制御部101aは、冷却器がしきい値を超えて温まらないように、すなわち庫内温度が所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令を制御部100に送信する。制御部101aが所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令は、例えば、制御部101aが制御中に庫内温度を示す情報をセンサから取得し、庫内温度がしきい値に達した場合に制御指令の送信を一旦停止する。そして、庫内温度が所定の温度まで低下した場合に制御部101aが再度制御指令を制御部100に送信すればよい。
【0059】
なお、上記説明における具体例としては冷凍用冷却器71の除霜について説明したが、上述したように除霜の対象となる冷却器は冷蔵用冷却器61であってもよいし、冷凍用冷却器71と冷蔵用冷却器61の両方であってもよい。
【0060】
(利点)
以上、一実施形態の冷蔵庫システム200について説明した。冷蔵庫システム200において、予測部101bは、庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つに基づいて、冷却器の着霜に関する着霜状態を予測する。制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜状態に基づいて、冷却器に対する除霜動作を制御する。この冷蔵庫システム200により、冷蔵庫本体1の冷却器を適切に除霜することができる。
【0061】
以下、いくつかの変形例について説明する。なお、各変形例において以下に説明する以外の構成は、上記実施形態と同様である。
【0062】
<実施形態の第1の変形例>
実施形態の第1の変形例では、制御部101aは、予測部101bにより予測された氷の種類に関する状態に基づき、除霜動作を制御するものであってもよい。例えば、冷却器において着霜が始まると冷却器には白い密度の低い氷が付着するが、その霜が一旦解けて再度凍ると、冷却器には密度の高い透明な氷が付着する。つまり、密度の高い氷は密度の低い氷に比べて溶けにくいため、決定部101cは、予測部101bが、氷の種類が例えば透明であると予測した場合、氷が白色である場合に比べて、ファンの回転数を増加させる、ファンの回転時間を長くする、ヒータの温度を上昇させる、または、ヒータの動作時間を長くする制御の少なくとも1つを含む制御を行うと決定する。制御部101aは、決定部101cによる決定に基づいて、氷の種類が例えば透明である場合、白色である場合に比べて、ファンの回転数を増加させる制御指令、ファンの回転時間を長くする制御指令、ヒータの温度を上昇させる制御指令、または、ヒータの動作時間を長くする制御指令の少なくとも1つを、制御部100に送信するものであってもよい。なお、氷の色の判別は、第1学習済みモデルのパラメータを決定する場合と同様に、教師データを用いてパラメータを決定した学習済みモデルを用いて、例えば、予測部101bが予測すればよい。なお、この場合の教師データの一例としては、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの各時刻における庫内の食材を示す食材情報、庫内温度、扉の開閉履歴、外気温度、または外気湿度の少なくとも1つを入力データとし、その入力データに対応する冷却器に付着した氷の色を出力データとし、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータを複数含むものなどが挙げられる。ただし、制御部101aは、冷却器がしきい値を超えて温まらないように、すなわち庫内温度が所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令を制御部100に送信する。制御部101aが所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令は、例えば、制御部101aが制御中に庫内温度を示す情報をセンサから取得し、庫内温度がしきい値に達した場合に制御指令の送信を一旦停止する。そして、庫内温度が所定の温度まで低下した場合に制御部101aが再度制御指令を制御部100に送信すればよい。
【0063】
(利点)
以上、実施形態の第1の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、溶けやすい氷の場合に必要以上に冷却器の温度を上昇させることを防止することができる。すなわち、この冷蔵庫システム200により、庫内温度を必要以上に上昇させることを防止することができる。
【0064】
<実施形態の第2の変形例>
実施形態の第2の変形例では、予測部101bは、少なくとも庫内の食材を示す食材情報に基づいて、冷凍用冷却器71の着霜に関する着霜状態を予測するものであってもよい。例えば、予測部101bは、少なくとも庫内の食材を示す食材情報に含まれる食材の種類、または食材が属する食材分類を示す情報に基づき、着霜状態を予測するものであってもよい。食材の種類または食材が属する食材分類を示す情報は、庫内カメラが撮影した画像を、例えば、予測部101bが解析することにより得るものであってもよい。具体的には、予測部101bは、食材が相対的に水分量の多い食材である場合に冷却器の着霜量が多いと予測し、食材が相対的に水分量の少ない食材である場合に冷却器の着霜量が少ないと予測するものであってもよい。この予測は、水分の多い食材が庫内に入っている場合、湿度が上昇し、着霜し易いという考えに基づくものである。なお、この予測は、第1学習済みモデルのパラメータを決定する場合と同様に、教師データを用いてパラメータを決定した学習済みモデルを用いて、例えば、予測部101bが予測すればよい。この場合の教師データの一例としては、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの各時刻における庫内の食材を示す食材情報に含まれる食材の種類、または食材が属する食材分類を示す情報を少なくとも含む情報を入力データとし、その入力データに対応する冷却器の着霜状態を出力データとし、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータを複数含むものなどが挙げられる。
【0065】
(利点)
以上、実施形態の第2の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、庫内の食材を示す食材情報を用いない場合に比べて、予測部101bによる冷却器の着霜状態の予測の精度を向上させることができる。
【0066】
<実施形態の第3の変形例>
実施形態の第3の変形例では、予測部101bは、冷却器の着霜状態として、少なくとも冷却器に付着した氷の分布に関する状態を予測するものであってもよい。冷却器に付着した氷の分布に関する状態の例としては、冷却器の上下前後左右の6方向から見た、見た目の氷の付着の割合や、冷却器における氷の付着箇所などが挙げられる。なお、この予測は、第1学習済みモデルのパラメータを決定する場合と同様に、教師データを用いてパラメータを決定した学習済みモデルを用いて、例えば、予測部101bが予測すればよい。この場合の教師データの一例としては、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの各時刻における庫内の食材を示す食材情報に含まれる食材の種類、または食材が属する食材分類を示す情報を少なくとも含む情報を入力データとし、その入力データに対応する冷却器に付着した氷の分布に関する状態を出力データとし、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータを複数含むものなどが挙げられる。また、決定部101cは、予測部101bによる予測結果に応じた制御を行うことを決定する。例えば、予測部101bが、冷却器の上下前後左右の6方向から見た、見た目の氷の付着の割合が増加するにつれ、また冷却器における氷の溶け難い箇所への付着が予測される場合に、決定部101cは、より氷を溶けやすくする制御を行うことに決定する。具体的には、例えば、決定部101cは、予測部101bが冷却器の右側に着霜していると予測した場合、冷却器の右側のファンを回転させることに決定するものであってもよい。そして、制御部101aは、予測部101bにより予測された氷の分布に関する状態に基づき決定部101cが決定した、除霜動作を制御するものであってもよい。ただし、制御部101aは、冷却器がしきい値を超えて温まらないように、すなわち庫内温度が所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令を制御部100に送信する。制御部101aが所定の温度を超えて温まらないようにファンやヒータを制御する制御指令は、例えば、制御部101aが制御中に庫内温度を示す情報をセンサから取得し、庫内温度がしきい値に達した場合に制御指令の送信を一旦停止する。そして、庫内温度が所定の温度まで低下した場合に制御部101aが再度制御指令を制御部100に送信すればよい。
【0067】
(利点)
以上、実施形態の第2の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、庫内の食材を示す食材情報を用いない場合に比べて、予測部101bによる冷却器の着霜状態の予測の精度を向上させることができる。また、制御部101aは、必要以上に庫内温度を上昇させず、かつ効率的に冷却器の除霜を行うことができる。
【0068】
<実施形態の第4の変形例>
実施形態の第4の変形例では、予測部101bは、予測部101bにより予測された着霜状態が所定状態に達していない場合、着霜状態が所定状態に達する時間を予測ものであってもよい。なお、この予測は、第1学習済みモデルのパラメータを決定する場合と同様に、教師データを用いてパラメータを決定した学習済みモデルを用いて、例えば、予測部101bが予測すればよい。この場合の教師データの一例としては、前回除霜を行った時刻から時間tだけ経過した時刻までの各時刻における庫内の食材を示す食材情報に含まれる食材の種類、または食材が属する食材分類を示す情報を少なくとも含む情報を入力データとし、その入力データに対応する冷却器の着床状態が所定状態になる経過時間を出力データとし、入力データとその入力データに対応する出力データとが関連付けられたデータを複数含むものなどが挙げられる。そして、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜状態が所定状態に達する時間に応じて、冷却器に対する除霜動作の内容またはタイミングを変更するものであってもよい。例えば、予測部101bにより予測された着霜状態が所定状態に達する時間に応じて、決定部101cが冷却器に対する除霜動作の内容またはタイミングを決定する。そして、制御部101aは、決定部101cが決定した結果にしたがって制御指令を生成し、生成した制御指令を制御部100に送信すればよい。
【0069】
(利点)
以上、実施形態の第4の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、着霜状態が所定状態に達するタイミングがわかり、無駄な着霜動作を実施することを防止することができる。
【0070】
<実施形態の第5の変形例>
実施形態の第5の変形例では、制御部101aは、予測部101bにより予測された着霜状態が所定状態に達する時間が特別時間帯である場合、冷却器に対する除霜動作のタイミングを特別時間帯の前または後に変更するものであってもよい。なお、特別時間帯の例としては、例えば、冷蔵庫本体1の扉の開閉の頻度が高いなど庫内温度が上昇する可能性が高い時間帯、庫内温度が安定していない時間帯などが挙げられる。具体的には、朝食や昼食、夕食の時間帯などの扉が多く開閉される時間帯、または急速冷凍や高温の食品を冷凍室に入れる時間帯、特別チルドが設定されるなど、冷却器を低温状態に維持しないといけない時間帯などである。なお、特別時間帯は、例えば、毎日の扉の開閉履歴や、冷蔵庫の制御履歴(ユーザによる運転モードの操作の履歴)から得ることができる。
【0071】
(利点)
以上、実施形態の第5の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、庫内温度が所定以上の温度に上昇することを防止することができる。
【0072】
<実施形態の第6の変形例>
実施形態の第6の変形例では、制御装置2は、
図9に示すように、学習済みモデル(学習モデルの一例)を追加学習させる学習部101eを備えるものであってもよい。例えば、検出部(すなわち、冷蔵用ファン62、冷凍用ファン72、圧縮機80、三方弁93、操作パネル30、外気温センサ111、冷蔵室温度センサ112、チルド室温度センサ113、冷蔵室扉スイッチ114、チルド室扉スイッチ115、庫内カメラ116など)は、冷蔵庫本体1の動作中に、冷却器または冷蔵庫本体1の状態を検出する。記憶部101dは、検出部が検出した検出結果を記憶する。そして、学習部101eは、記憶部101dが記憶する冷蔵庫本体1の動作中に検出部が検出した検出結果を新たな教師データとして、学習済みモデルのパラメータを更新するものであってもよい。つまり、学習部101eは、予測部101bにより予測された着霜状態に基づき決定された制御部101aによる除霜動作の内容と、除霜動作に応じて検出部(すなわち、冷蔵用ファン62、冷凍用ファン72、圧縮機80、三方弁93、操作パネル30、外気温センサ111、冷蔵室温度センサ112、チルド室温度センサ113、冷蔵室扉スイッチ114、チルド室扉スイッチ115、庫内カメラ116など)により検出された検出結果とに基づき学習モデルを追加学習させるものであってもよい。
【0073】
<実施形態の第7の変形例>
実施形態の第7の変形例では、教師データの入力データとして、上述した入力データに加えて、または、上述した入力データに代えて、赤外線センサ、光センサ、においセンサ(ガスセンサ)、扉やドアポケットに取り付けられた圧力センサ、電流検出部などの各種センサに関連する情報、ダンパなどの電気部品に関連する情報、設置場所などアプリケーションプログラムを管理するサーバから得られる情報の少なくとも1つを含むものであってもよい。なお、赤外線距離センサ、光センサ、圧力センサは、庫内にどれくらいの食材が入っているかを検出するものであり、庫内の食材の量に関連する情報を入力データに加えることができるものである。例えば、庫内の空気を循環させて、冷却器の除霜を行う際に、食材の量が多い場合には庫内の空気が流れ難くなり、空気の循環が悪くなる。その結果、冷却器の除霜を行う時間が長くなってしまう可能性がある。つまり、赤外線距離センサ、光センサ、圧力センサが検出した情報は、冷却器の除霜に影響するものであり、それらの検出結果を入力データとすることにより、冷蔵庫システム200は、より精度よく着霜状態を予測することができる。具体的には、例えば、空気の循環が悪くなると、庫内と冷却器の温度差が広がるため、冷却器につく霜が増加するという考えに基づいて、赤外線距離センサ、光センサ、圧力センサによる検出結果を、冷却器の着霜量の予測に使用することができる。また、例えば、高温の食材を冷蔵庫に入れると、庫内温度が上昇し、冷却器と庫内との温度差が広がり、着霜量が増加する。赤外線熱センサは、庫内の食材の温度を測定することが可能であるため、この場合も、赤外線熱センサの検出結果を入力データに追加することにより、冷蔵庫システム200は、より精度よく着霜状態を予測することができる。また、においセンサは、においを検知することによって食材の種類を判断することが可能である。例えば、においセンサの検出結果により、葉菜類と根菜類とを判別することが可能である。葉菜類と根菜類とでは食材に含まれる水分量が異なるため、食材を庫内に入れた場合に、食材から庫内に出る水分量も異なる。同じ体積で比べると葉菜類の方が根菜類よりも庫内に出る水分量が多い。そのため、庫内における食材として葉菜類の方が根菜類よりも多い場合、冷却器の着霜量が増加する可能性がある。よって、この場合も、においセンサの検出結果を入力データに追加することにより、冷蔵庫システム200は、より精度よく着霜状態を予測することができる。
【0074】
(利点)
以上、実施形態の第7の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、学習済みモデルが出力する出力データに関連する情報である入力情報をより増やすことができ、その結果、予測部101bによる予測がより高精度になることが期待できる。
【0075】
<実施形態の第8の変形例>
実施形態の第8の変形例では、冷蔵庫本体1が備える制御部100が、制御装置2が行う処理の一部または、すべての処理を、制御装置2に代わって行うものであってもよい。
【0076】
(利点)
以上、実施形態の第8の変形例の冷蔵庫システム200について説明した。この冷蔵庫システム200により、冷蔵庫システム200が、別の構成、例えば、冷蔵庫本体1のみで実現できる可能性がある。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…冷蔵庫本体、2…制御装置、10…筐体、20…複数の扉、30…操作パネル、40…流路形成部品、50…冷却部、62…冷蔵用ファン、72…冷凍用ファン、80…圧縮機、93…三方弁、100…制御部、101a…制御部、101a1…タイマ、101b…予測部、101c…決定部、101d…記憶部、101e…学習部、111…外気温センサ、112…冷蔵室温度センサ、113…チルド室温度センサ、114…冷蔵室扉スイッチ、115…チルド室扉スイッチ、116…庫内カメラ、117…記憶部。