IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーションの特許一覧

<>
  • 特許-物体監視システム 図1
  • 特許-物体監視システム 図2
  • 特許-物体監視システム 図3
  • 特許-物体監視システム 図4
  • 特許-物体監視システム 図5
  • 特許-物体監視システム 図6
  • 特許-物体監視システム 図7
  • 特許-物体監視システム 図8
  • 特許-物体監視システム 図9
  • 特許-物体監視システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】物体監視システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241023BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020545347
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 AU2019050142
(87)【国際公開番号】W WO2019165495
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】2018900664
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジュアン バレンシア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アレクサンダー ヒーニー
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-249751(JP,A)
【文献】特開2009-294226(JP,A)
【文献】特開2002-358591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体監視システムであって、
a)複数の場所ビーコンであって、それぞれの場所ビーコンは、ビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されている、複数の場所ビーコンと、
b)使用の際に第1物体と関連付けられる第1タグであって、
i)物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、
ii)メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、
iii)タグ処理装置であって、
(1)(a)別のタグからのブロードキャストメッセージであって、少なくとも前記別のタグの物体タイプ識別子、および
(i)前記別のタグのタグ場所、
(ii)計測されたパラメータ、及び、
(iii)コンテキストデータ、
のうちの少なくとも1つを示すブロードキャストメッセージを含む受け取られたメッセージを使用して、
(b)(i)複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つから前記タグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従って第1タグ場所を判定すること、及び
(ii)保存されたコンテキストデータを使用すること、
のうちの少なくとも1つにより、第1タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、
(2)第2物体と関連付けられた第2タグによって送信された第2ブロードキャストメッセージを使用して第2タグコンテキストを判定し、
(3)前記第2タグコンテキスト及び第1タグコンテキストを使用して相互コンテキストを判定し、且つ、
(4)前記相互コンテキストが前記相互コンテキストの制限に違反する場合に、トリガイベントを識別するべく前記物体規則及び前記相互コンテキストを使用し、前記物体規則は、複数の実行可能なバイトコードスニペットとして前記タグメモリ内において保存されており、前記各スニペットは個々の物体規則に対応し、当該タグ処理装置はトリガイベントが発生したかどうかを識別するべく前記複数のスニペットを実行するように構成されており、
(5)前記トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、
(6)前記アクションが実行されるようにする、
ように構成されたタグ処理装置、
を含む、タグと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記システムは、
a)複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリと、
b)前記タグ及び前記リポジトリと通信するクライアント装置と、
を含み、且つ、
使用の際に、物体規則は、前記第1物体の物体タイプに基づいて前記クライアント装置を使用して前記リポジトリから前記タグにアップロードされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
a)前記物体規則は、前記複数の場所ビーコンのうちの1つ又は複数を介して前記タグにアップロードされる、
b)タグメッセージは場所ビーコンを介してクライアント装置に転送される、及び、
c)クライアント装置メッセージは場所ビーコンを介してタグに転送される、
のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
a)前記クライアント装置は、
i)1つ又は複数のコンピュータシステム、
ii)1つ又は複数のスマートフォン、
iii)1つ又は複数のタブレット、及び、
iV)1つ又は複数のモバイル演算装置、
のうちの少なくとも1つを含む、及び、
b)前記第1タグは、
i)出力装置であって、
(1)オーディオ出力、
(2)光源、及び、
(3)信号生成器、
のうちの少なくとも1つを含む出力装置、
ii)電源、
iii)出力装置、及び、
iV)少なくとも1つのセンサ、
のうちの少なくとも1つを含む、
のうちの少なくとも1つである、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記タグ処理装置は、
a)クライアント装置からのクライアント装置メッセージを含む受け取られたメッセージ、
b)少なくとも1つのセンサからのセンサデータ、及び、
c)ユーザー入力コマンド、
のうちの少なくとも1つを使用して前記コンテキストデータを判定するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記タグメモリは、保存されたコンテキストデータを保存するように構成されており、且つ、
a)前記保存されたデータは、
i)物体履歴、
ii)アクション履歴、
iii)トリガ履歴、
iV)タグ運動、
V)1つ又は複数の計測されたパラメータ、及び、
Vi)経過した期間、
のうちの少なくとも1つを示し、
b)前記タグ処理装置は、
i)識別されたトリガ、
ii)実行されたアクション、及び、
iii)ユーザー入力コマンド、
のうちの少なくとも1つに従って、保存されたコンテキストデータを更新するように構成されている、
のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1タグは、前記関連付けられたオブジェクトの物体タイプを少なくとも示す物体識別子を含み、
前記物体識別子は、
a)物体カテゴリを示す第1識別子と、
b)物体サブカテゴリを示す第2識別子と、
を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ブロードキャストメッセージは、
a)前記物体タイプ識別子を含むパケットヘッダ、及び、
b)前記第1タグ場所を含むペイロード、
を含むデータパケットを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1タグは、
a)前記第1タグ場所を前記第1物体用の前記物体規則内において定義された場所制限と比較し、且つ、
b)前記第1タグ場所が前記場所制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1タグは、
a)i)前記第2タグの場所を示す第2タグ場所を判定するべく、前記第2物体と関連付けられた前記第2タグから受け取られたブロードキャストメッセージを使用し、且つ、
ii)前記第2タグ場所及び前記第1タグ場所を使用して前記第2物体の近接性を判定することによって、
第2物体と関連付けられた前記第2タグによって送信されたブロードキャストメッセージを使用して前記第2物体の近接性を判定し、
b)前記近接性を前記第1物体用の前記物体規則内において定義された前記第1及び第2物体用の近接性制限と比較し、且つ、
c)前記近接性が前記近接性制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
クライアント装置は、
a)ユーザー入力コマンドに従って選択された物体タイプを判定し、且つ、
b)前記選択された物体タイプの物体識別子を有するタグブロードキャストメッセージが受け取られた場合に、前記タグ場所を示す通知を生成する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1タグは、
a)計測されたパラメータ値を判定するべく、少なくとも1つのセンサからのセンサデータを使用し、且つ、
b)前記計測されたパラメータがパラメータ値制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記アクションは、
a)i)機器を少なくとも部分的に制御すること、
ii)前記第1物体を少なくとも部分的に制御すること、及び
iii)通知を生成すること、
のうちの少なくとも1つのためにタグ出力装置を使用すること、及び、
b)アクションメッセージをクライアント装置に転送することであって、前記クライアント装置は、前記アクションメッセージに応答して、
i)通知を生成すること、
ii)アクションを実行すること、
iii)前記アクションメッセージを規定された宛先に転送すること、及び、
iv)イベントログが更新されるようにすること、
のうちの少なくとも1つを実行すること、
c)規則違反についてユーザーに警告すること、
d)必要とされる維持管理についてユーザーに通知すること、
e)前記第1物体を無効化すること、及び、
f)トランザクションが実行されるようにすること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
a)前記第1タグは、
i)送信インターバルによって分離されたブロードキャストメッセージを反復的に送信し、且つ、
ii)前記送信インターバルよりも大きな聴取インターバルにわたってメッセージについて反復的に聴取する、及び、
b)前記第1タグは、
i)スリープモードからウェイクアップし、
ii)トリガイベントが発生したかどうかを判定し、且つ、
iii)トリガイベントが発生していない場合に、前記スリープモードに戻り、前記タグは、
(1)運動センサを使用することにより、運動の検知に応答して、及び、
(2)周期的に、
のうちの少なくとも1つにおいて、スリープモードからウェイクアップするように構成されている、
のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
物体監視システムにおいて使用される方法であって、前記物体監視システムは、
a)複数の場所ビーコンであって、それぞれの場所ビーコンは、ビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されている、複数の場所ビーコンと、
b)使用の際に第1物体と関連付けられる第1タグであって、前記第1タグは、
i)物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、
ii)メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、及び、
iii)タグ処理装置、
を含み、前記方法は、前記タグ処理装置において、
(1)(a)別のタグからのブロードキャストメッセージであって、少なくとも前記別のタグの物体タイプ識別子、および
(i)前記別のタグのタグ場所、
(ii)計測されたパラメータ、及び、
(iii)コンテキストデータ、
のうちの少なくとも1つを示すブロードキャストメッセージを含む受け取られたメッセージを使用して、
(b)(i)複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つから前記タグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従って第1タグ場所を判定すること、及び、
(ii)保存されたコンテキストデータを使用すること、
のうちの少なくとも1つにより、タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定するステップと、
(2)第2物体と関連付けられた第2タグによって送信された第2ブロードキャストメッセージを使用して第2タグコンテキストを判定し、
(3)前記第2タグコンテキスト及び第1タグコンテキストを使用して相互コンテキストを判定し、且つ、
(4)前記相互コンテキストが前記相互コンテキストの制限に違反する場合に、トリガイベントを識別するべく、前記物体規則及び前記相互コンテキストを使用するステップであって、前記物体規則は、複数の実行可能なバイトコードスニペットとして前記タグメモリ内において保存されており、前記各スニペットは個々の物体規則に対応し、当該タグ処理装置はトリガイベントが発生したかどうかを識別するべく前記複数のスニペットを実行するように構成されている、ステップと、
(5)前記トリガイベントと関連するアクションを判定するステップと、
(6)前記アクションが実行されるようにするステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を監視するシステム及び方法に関し、特定の一例においては、関連する規則への準拠を保証するべく物体コンテキストに基づいて物体を監視するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の従来の刊行物(或いは、これから導出された情報)に対する、或いは、既知である任意の事物に対する、本明細書における参照は、その従来の刊行物(或いは、これから導出された情報)又は既知の事物が、本明細書が関係する試みの分野における一般的な常識の一部分を形成することの承認若しくは是認又は任意の形態の示唆として解釈されるものではなく、且つ、されるべきものでもない。
【0003】
具体的には、職業上の健康及び安全性の文脈において、物体が動作するべき、取り扱われるべき、使用されるべき、又は、維持されるべき方法に関する、多数の規則が存在する。例えば、多くの状況においては、閉鎖型の建物の内部において、人々の近傍において、又は、これらに類似した場所において、などの特定の環境において使用されることを不可能にする、ガスのボトル又はロボットなどの危険な物体の運動に関する制限が存在する。更には、正しい方式で動作することを保証するべく、機器を定期的に検査する要件もしばしば存在する。
【0004】
多くのケースにおいては、異なる物体を支配する多数の異なる規則が存在しており、それらが、物体を使用する、取り扱う、又は、そうでなければ当該物体と情報をやり取りする場合に、準拠していることをユーザーが保証することが困難になっている。更には、このような規則には、ある程度の統一性が存在してはいるものの、例えば、異なる組織がその独自の内部規則を実装するなどのような大きな違いも存在しており、その結果、これは訪問者又は日雇い労働者が準拠を保証することが極めて困難でありうることを意味しうる。
【0005】
この事実にも拘らず、準拠は労働者の安全性を保証するべく重要であり、且つ、準拠を保証しない場合には事故及び深刻な不都合がもたらされる可能性があり、従って、これには最大限の商業的重要性が付与されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
準拠の監視に対する現時点の方式は、通常、監督者による労働者の活動の定期的な監視などの、監督との関連において使用されている教育及び訓練プログラムを伴っている。但し、これらの方式は、常に成功するわけではない。
【0007】
米国特許出願公開第2017/046945号明細書は、BLE(Bluetooth Low Energy)コミュニケータを有するガス検出器(102)について記述している。BLEコミュニケータを有するオーディタ装置が提供されている。ガス検出器が、予め定義された標準に準拠していない際には、通告パケットがガス検出器によってブロードキャストされ、この場合に、通告パケットは非準拠情報を有する。ガス検出器からの通告パケットはオーディタ装置によって受け取られ、且つ、準拠していないガス検出器がオーディタ装置によって通知される。通告パケットの非準拠情報が、オーディタ装置によって表示される。
【0008】
従って、これは、ガス検出器の準拠の監視に適したシステムについて記述しているが、1つの非常に特定のシナリオにおいてしか動作しない、という点において、限られた価値しか有していない。
【0009】
米国特許第9,824,571号明細書は、物品の間の距離に基づいて警告する装置について記述している。装置は、物品上のIoT(Internet of Things)タグと通信する無線装置を含む。ロケータモジュールが2つ以上の物品の間の距離を判定し、アラータモジュールが近接性規則の違反についてユーザーに警告する。
【0010】
従って、これは、近接性監視の能力を有するシステムについて記述しているが、このシステムは、近接性監視に制限されており、従って、1つの特定のシナリオにおいてしか動作可能ではない。
【0011】
また、規則への準拠を保証することに加えて、物体の監視は様々なその他のシナリオのためにも使用することができる。但し、この場合にも、物体監視用の好適な技法は通常、限られており、且つ、しばしば過度に複雑であり、且つ、費用を所要する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視システムの提供を追求しており、物体監視システムは、複数の場所ビーコンであって、それぞれの場所ビーコンはビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されている、複数の場所ビーコンと、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグであって、タグは、物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つからタグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従ってタグ場所を判定すること及び保存されたコンテキストデータを使用することのうちの少なくとも1つにより、タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにする、ように構成されたタグ処理装置を含む、タグと、を含む。
【0013】
一実施形態においては、システムは、複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリと、タグ及びリポジトリと通信するクライアント装置と、を含み、且つ、この場合に、使用の際に、物体規則は、個々の物体の物体タイプに基づいてクライアント装置を使用して、リポジトリからタグにアップロードされる。
【0014】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視システムを提供することを追求しており、物体監視システムは、複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリと、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグであって、タグは、物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、及びタグ処理装置を含む、タグと、タグ及びリポジトリと通信するクライアント装置と、を含み、且つ、この場合に、使用の際に、物体規則は、個々の物体の物体タイプに基づいてクライアント装置を使用してリポジトリからタグにアップロードされ、且つ、タグ処理装置は、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにする、ように構成されている。
【0015】
一実施形態においては、システムは、複数の場所ビーコンを含み、それぞれの場所ビーコンは、ビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されており、且つ、タグ処理装置は、複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つからタグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従ってコンテキストデータを判定するように構成されている。
【0016】
一実施形態においては、物体規則は、複数の場所ビーコンのうちの1つ又は複数を介してタグにアップロードされる。
【0017】
一実施形態においては、クライアント装置は、1つ又は複数のコンピュータシステム、1つ又は複数のスマートフォン、1つ又は複数のタブレット、及び1つ又は複数のモバイル演算装置のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
一実施形態においては、タグ処理装置は、別のタグからのブロードキャストメッセージ、クライアント装置からのクライアント装置メッセージ、少なくとも1つのセンサからのセンサデータ、ユーザー入力コマンド、のうちの少なくとも1つを含む、受け取られたメッセージと、保存されたコンテキストデータと、のうちの少なくとも1つを使用することにより、コンテキストデータを判定するように構成されている。
【0019】
一実施形態においては、タグメモリは、保存されたコンテキストデータを保存するように構成されている。
【0020】
一実施形態においては、保存されたコンテキストデータは、物体履歴、アクション履歴、トリガ履歴、タグ移動、1つ又は複数の計測されたパラメータ、及び経過期間のうちの少なくとも1つを示す。
【0021】
一実施形態においては、タグ処理装置は、識別されたトリガ、実行されたアクション、及びユーザー入力コマンドのうちの少なくとも1つに従って、保存されたコンテキストデータを更新するように構成されている。
【0022】
一実施形態においては、物体規則はコードとしてタグメモリ内において保存されており、且つ、この場合に、タグ処理装置は、トリガイベントが発生したかどうかを識別するべくコードを実行するように構成されている。
【0023】
一実施形態においては、コードは複数のコードスニペットを含み、それぞれのスニペットは、個々の物体規則に対応する。
【0024】
一実施形態においては、タグ処理装置は、複数のコードスニペットを反復的に実行するように構成されている。
【0025】
一実施形態においては、タグは、関連する物体の少なくとも1つの物体タイプを示す物体識別子を含む。
【0026】
一実施形態においては、物体識別子は、物体カテゴリを示す第1識別子と、物体サブカテゴリを示す第2識別子と、を含む。
【0027】
一実施形態においては、タグは、物体タイプ識別子、タグ場所、計測されたパラメータ、及びコンテキストデータのうちの少なくとも1つを示すブロードキャストメッセージを周期的に送信する。
【0028】
一実施形態においては、タグブロードキャストメッセージは、物体タイプ識別子を含むパケットヘッダと、タグ場所を含むペイロードと、を含むデータパケットを含む。
【0029】
一実施形態においては、タグは、タグ場所を個々の物体用の物体規則内において定義されている場所制限と比較し、且つ、タグ場所が場所制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する。
【0030】
一実施形態においては、第1タグは、第2物体と関連する第2タグによって送信されたブロードキャストメッセージを使用して第2物体の近接性を判定し、近接性を第1物体用の物体規則内において定義されている第1及び第2物体用の近接性制限と比較し、且つ、近接性が近接性制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する。
【0031】
一実施形態においては、第1タグは、第2タグの場所を示す第2タグ場所を判定するべく第2物体と関連する第2タグから受け取られたブロードキャストメッセージを使用し、且つ、第2タグ場所及び第1タグ場所を使用して第2物体の近接性を判定する。
【0032】
一実施形態においては、第1タグは、第2物体と関連する第2タグによって送信されたブロードキャストメッセージを使用して第2タグコンテキストを判定し、第2タグコンテキスト及び第1タグコンテキストを使用して相互コンテキストを判定し、且つ、相互コンテキストが相互コンテキストの制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する。
【0033】
一実施形態においては、クライアント装置は、ユーザー入力コマンドに従って、選択された物体タイプを判定し、且つ、選択された物体タイプの物体識別子を有するタグブロードキャストメッセージが受け取られた際に、タグ場所を示す通知を生成する。
【0034】
一実施形態においては、ブロードキャストメッセージは、物体規則バージョンを示しており、この場合に、タグ処理装置は、受け取られたブロードキャストメッセージからの物体規則バージョンをアップロードされた物体規則の物体規則バージョンと比較し、比較の結果に応じて、トリガイベントを識別する。
【0035】
一実施形態においては、タグは、計測されたパラメータ値を判定するべく少なくとも1つのセンサからのセンサデータを使用し、且つ、計測されたパラメータ値がパラメータ値制限に違反する場合に、トリガイベントを識別する。
【0036】
一実施形態においては、少なくとも1つのセンサは、温度センサ、圧力センサ、湿度センサ、及び放射センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
一実施形態においては、タグメッセージが場所ビーコンを介してクライアント装置に転送される、及び、クライアント装置メッセージが場所ビーコンを介してタグに転送される、のうちの少なくとも1つである。
【0038】
一実施形態においては、タグ処理装置は、場所ビーコンと関連する通信スロットを選択し、且つ、選択された通信スロットを介して場所ビーコンにアクションメッセージを送信する、ように構成されている。
【0039】
一実施形態においては、タグ処理装置は、通信スロットの選択を通告する通告ブロードキャストメッセージを送信し、他のタグによって送信された通告ブロードキャストメッセージを受信し、衝突が存在するかどうかを判定するべく、受け取られた通告ブロードキャストメッセージを使用し、且つ、衝突が存在していない場合に、選択された通信スロットを介してアクションメッセージを場所ビーコンに送信する、ように構成されている。
【0040】
一実施形態においては、アクションは、タグ出力装置を使用して、少なくとも部分的に機器を制御する、少なくとも部分的に物体を制御する、及び、通知を生成する、のうちの少なくとも1つを実行すること、並びに、アクションメッセージをクライアント装置に転送すること、のうちの少なくとも1つを含み、クライアント装置は、アクションメッセージに応答して、通知を生成する、アクションを実行する、規定された宛先にアクションメッセージを転送する、及び、イベントログが更新されるようにする、のうちの少なくとも1つを実行する。
【0041】
一実施形態においては、クライアント装置は、アクションメッセージをアクション設定と比較し、アクション設定に従ってアクションを選択的に実行する。
【0042】
一実施形態においては、クライアント装置は、アクションメッセージからタグ識別子を判定し、確認メッセージを生成し、且つ、タグ識別子に従って確認メッセージをタグに転送し、この場合に、タグは、確認メッセージに応答してコンテキストデータを更新する。
【0043】
一実施形態においては、タグは、オーディオ出力、光源、及び信号生成器のうちの少なくとも1つを含む出力装置を含む。
【0044】
一実施形態においては、アクションは、規則違反についてユーザーに警告する、必要とされている維持管理についてユーザーに通知する、物体を無効化する、及び、トランザクションが実行されるようにする、ことのうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
一実施形態においては、タグは、送信インターバルによって分離されたブロードキャストメッセージを反復的に送信し、送信インターバルよりも大きな聴取インターバルにわたって、メッセージについて反復的に聴取する。
【0046】
一実施形態においては、タグは、スリープモードからウェイクアップし、トリガイベントが発生したかどうかを判定し、トリガイベントが発生していない場合には、スリープモードに戻る。
【0047】
一実施形態においては、タグは、運動センサを使用した運動の検知に応答して、及び、周期的に、のうちの少なくとも1つにおいて、スリープモードからウェイクアップするように構成されている。
【0048】
一実施形態においては、タグは、電源、出力装置、及び少なくとも1つのセンサ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0049】
一実施形態においては、クライアント装置は、タグと関連するタグ識別子を判定し、ユーザー入力コマンドに従って物体タイプを判定し、規則リポジトリから個々の物体タイプ用の物体規則を取得し、タグ識別子に従って物体規則をタグにアップロードすることにより、物体規則をタグにアップロードする。
【0050】
一実施形態においては、クライアント装置は、物体規則から取得された物体タイプのリストを表示し、物体タイプのリストのうちの1つのものの選択を判定する。
【0051】
一実施形態においては、クライアント装置は、ユーザー入力コマンドに従って、タグから受け取られたブロードキャストメッセージから、及び、タグ上において表示されたコード化されたデータをスキャンすることにより、のうちの少なくとも1つにより、タグ識別子を判定する。
【0052】
一実施形態においては、システムは、規則エンジンを含み、この場合に、規則エンジンは、規則文書を受け取り、論理式及び物体タイプを識別するべく自然言語処理を使用して規則文書を解析し、それぞれの物体タイプごとに物体識別子を判定し、論理式を使用してそれぞれの物体ごとに物体規則を生成する。
【0053】
一実施形態においては、規則エンジンは、物体の物体タイプに基づいて物体用の物体識別子を取得する、及び、物体識別子を生成する、ことのうちの少なくとも1つを実行する。
【0054】
一実施形態においては、規則エンジンは、論理式をトリガイベント及びアクションに変換することにより、規則を生成する。
【0055】
一実施形態においては、規則エンジンは、テンプレートリポジトリから規則テンプレートを取得し、物体規則を生成するべく規則テンプレートに入力する。物体監視システムにおいて使用されるタグであって、タグは、使用の際に個々の物体と関連付けられており、且つ、物体規則を保存するように構成されたタグメモリと、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバと、複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つからタグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従ってタグ場所を判定する、及び、保存されているコンテキストデータを使用する、ことのうちの少なくとも1つにより、タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、アクションが実行されるようにする、ように構成されたタグ処理装置と、を含む。
【0056】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視システムにおいて使用される方法を提供することを追求しており、物体監視システムは、複数の場所ビーコンであって、それぞれの場所ビーコンはビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されている、複数の場所ビーコンと、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグであって、タグは、物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、及びタグ処理装置を含む、タグと、を含み、方法は、タグ処理装置内において、複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つからタグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従ってタグ場所を判定する、及び、保存されているコンテキストデータを使用する、ことのうちの少なくとも1つにより、タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定するステップと、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用するステップと、トリガイベントと関連するアクションを判定するステップと、アクションが実行されるようにするステップと、を含む。
【0057】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視システム内において使用されるコンピュータプログラムプロダクトを提供することを追求しており、物体監視システムは、複数の場所ビーコンであって、それぞれの場所ビーコンはビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを生成するように構成されている、複数の場所ビーコンと、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグであって、タグは、物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、及びタグ処理装置を含む、タグと、を含み、コンピュータプログラムプロダクトは、タグ処理装置によって実行された場合に、タグ処理装置が、複数の場所ビーコンのうちの少なくとも1つからタグトランシーバを介して受け取られた少なくとも1つの場所ブロードキャストメッセージに従ってタグ場所を判定する、及び、保存されているコンテキストデータを使用する、ことのうちの少なくとも1つにより、タグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、且つ、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにする、ようにするコンピュータ実行可能コードを含む。
【0058】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視方法を提供することを追求しており、物体監視方法は、複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリを提供するステップと、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグを提供するステップと、個々の物体の物体タイプに基づいてクライアント装置を使用してリポジトリからタグに物体規則をアップロードするべくタグ及びリポジトリと通信するクライアント装置を使用するステップと、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにするべく、タグを使用するステップと、を含む。
【0059】
広範な一形態において、本発明の一態様は、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグを含む物体監視システムを提供することを追求しており、この場合に、タグは、クライアント装置を使用してリポジトリからタグにアップロードされた物体規則を受け取り、物体規則は、個々の物体の物体タイプに基づいており、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにする。
【0060】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視方法を提供することを追求しており、物体監視方法は、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグ内において、クライアント装置を使用してリポジトリからタグにアップロードされた物体規則を受け取るステップであって、物体規則は、個々の物体の物体タイプに基づいているステップと、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定するステップと、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用するステップと、トリガイベントと関連するアクションを判定するステップと、アクションが実行されるようにするステップと、を含む。
【0061】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視システムを提供することを追求しており、物体監視システムは、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグと通信するクライアント装置と、複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリと、を含み、この場合に、使用の際に、クライアント装置は、個々の物体の物体タイプに基づいてリポジトリからタグに物体規則をアップロードするように、メモリ内において保存されているソフトウェア命令に従って動作し、且つ、この場合に、タグは応答して、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定し、且つ、アクションが実行されるようにする。
【0062】
広範な一形態において、本発明の一態様は、物体監視方法を提供することを追求しており、物体監視方法は、使用の際に個々の物体と関連付けられるタグ及び複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリと通信するクライアント装置内において、クライアント装置がメモリ内において保存されているソフトウェア命令に従って動作し、方法は、個々の物体の物体タイプに基づいてリポジトリからタグに物体規則をアップロードするステップであって、この場合に、タグは応答して、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定し、トリガイベントを識別するべく物体規則及びコンテキストデータを使用し、トリガイベントと関連するアクションを判定する、ステップと、アクションが実行されるようにするステップと、を含む。
【0063】
本発明及びその個々の特徴の広範な形態は、関連した状態において、且つ/又は、独立した方式で、使用することが可能であり、且つ、別個の広範な形態に対する参照は、限定を意図したものではないことを理解されたい。更には、方法の特徴はシステム又は装置を使用して実行することが可能であり、且つ、システム又は装置の特徴は方法を使用することにより実装することができることを理解されたい。
【0064】
以下、次の添付図面を参照し、本発明の様々な例及び実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】物体監視システムの一例の概略図である。
図2】物体監視プロセスの一例のフローチャートである。
図3】物体監視システムの特定の一例の概略図である。
図4】処理システムの一例の概略図である。
図5】クライアント装置の一例の概略図である。
図6】タグの一例の概略図である。
図7】物体規則を生成するプロセスの一例のフローチャートである。
図8】物体規則をタグにアップロードするプロセスの一例のフローチャートである。
図9】トリガを識別するプロセスの一例のフローチャートである。
図10】アクションを実行するプロセスの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、図1を参照し、物体監視システムの一例について説明する。
【0067】
この例においては、システムは、1つ又は複数のタグ110を含み、これらのそれぞれは、使用の際に、個々の物体101と関連付けられている。タグ110は、Bluetooth、BLE(Bluetooth Low Energy)、又はこれらに類似したものなどの、近距離無線通信プロトコルを利用して通信する能力を有する電子タグ110である。タグ110は、通常、タグ110及び物体101の物理的なフォームファクタに応じて、なんらかの方式により、タグ110を物体101に装着させる、又はこの内部に統合させることにより、物体101と関連付けられている。これは、タグ110が、一般に、物体と同一の環境内において提供され、且つ、同一の物理的場所などの、物体と類似したコンテキストを有し、且つ、任意に、温度、湿度、又はこれらに類似したもののレベルなどの、類似の状態に晒されるように、実行されている。
【0068】
タグは、任意の形態を有しうるが、通常、タグは、物体規則を保存するように構成されたタグメモリ、メッセージを送受信するように構成されたタグトランシーバ、及び任意の必要とされる動作を実行するように構成されたタグ処理装置などの、コンポーネントを含む。コンポーネントは、任意の適切な形態を有することが可能であり、且つ、揮発性及び/又は非揮発性のメモリと、Bluetoothトランシーバなどの近距離無線トランシーバと、を含みうるであろう。処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、ロジックゲート構成、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのロジックの実装と任意に関連するファームウェア、或いは、任意のその他の電子装置、システム、又は構成などの、任意の電子処理装置でありうるであろう。図示の容易性を目的として、残りの説明においては、処理装置を参照することになるが、処理が必要に応じて処理装置の間において分散される状態において、複数の処理装置を使用することが可能であり、且つ、単数形の参照は、複数の構成を包含しており、且つ、逆もまた真である、ことを理解されたい。
【0069】
1つ又は複数の場所ビーコン160を提供することが可能であり、これらは、一例においては、ビーコン場所を示す場所ブロードキャストメッセージを周期的に生成するように構成されており、場所ブロードキャストメッセージは、Bluetooth、BLE(Bluetooth Low Energy)、又はこれらに類似したものなどの、近距離無線通信プロトコルを介して送信される。場所ブロードキャストメッセージは、タグ110などの装置によって受け取られ、これにより、タグは、場所を判定することができる。場所ビーコンは、任意の適切な形態であることが可能であり、且つ、iBeacons(登録商標)又はその他の類似の装置を含みうるであろう。このようなビーコンの構成については、当技術分野において既知であり、従って、更に詳細な説明は省略するが、一例においては、これらは、タグ110に類似した構成を有することが可能であり、これらについては、更に詳細に後述されることに留意されたい。
【0070】
タグ110及び複数の異なるタイプの物体用の物体規則を保存するリポジトリ130と通信する、1つ又は複数のクライアント装置120が、通常、提供されている。クライアント装置120は、更に詳細に後述するように、近距離無線通信プロトコルを使用して直接的に、或いは、場所ビーコンなどの中間ネットワーク又は装置を介して、タグ110と通信するように適合させることができる。また、クライアント装置120は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、或いは、これらに類似したものなどの、1つ又は複数の通信ネットワークを介して、リポジトリと通信することもできる。従って、クライアント装置120は任意の適切な形態を有することが可能であり、且つ、特定の一例においては、処理システム、コンピュータシステム、スマートフォン、タブレット、モバイル演算装置、又はこれらに類似したもののうちの1つ又は複数を含みうるであろう。異なるタイプのクライアント装置を提供することができると共に、一例においては、クライアント装置は、携帯電話機などの携帯型通信装置の組合せのみならず、サーバー又はこれに類似したものなどの、クラウドに基づいた又はその他のネットワークに基づいたコンピュータシステムを含みうる。また、クライアント装置は、可聴及び/又は視覚アラート或いはこれらに類似したものなどの通知を提供するように特別に構成された、カスタムハードウェア装置を含みうるであろう。また、リポジトリは、任意の適切な形態を有することが可能であり、且つ、任意に、リポジトリへの前方接続性(onward connectivity)を提供する、コンピュータシステム、サーバー、又はこれらに類似したものなどの処理システムに結合された、データベース又はその他の類似のデータストアを含みうるであろう。
【0071】
以下、図2を参照し、上述のシステムを使用した物体監視用のプロセスの例について説明する。
【0072】
一例においては、ステップ200において、クライアント装置120は、リポジトリ130からタグ110に物体規則をアップロードするべく使用されている。これは、タグ110に個々の物体101に適した物体規則が入力されるように、タグ110が関連付けられた個々の物体101の物体タイプに基づいて実行されている。従って、タグ110にアップロードされる規則は、例えば、水素ガスボトルと関連するタグにアップロードされる規則が酸素ガスボトルと関連するタグにアップロードされるものと異なりうるように、異なる方式で処理されるべき物体101について、異なることになる。また、規則は、例えば、異なる規則が、異なる施設ごとの規則の違いに応じて、異なる施設において適用されうるように、特定のコンテキストに固有のものでありうることにも留意されたい。
【0073】
従って、この例においては、クライアント装置120は、物体規則をタグにアップロードするべく使用することができる。この観点において、物体規則のアップロードは通常、タグ110が最初に個々の物体と関連付けられる際に、1回限りのプロセスとして実行されており、この場合に、規則は、例えば準拠要件の変化の場合に、任意に必要に応じてアップロードされることを理解されたい。但し、この代わりに、タグにその他の方式により物体規則を入力することも可能であろう。例えば、特定の物体に固有である物体規則が予め入力された、予め定義されたタグ110を提供することが可能であり、この場合に、ユーザーは、次いで、特定のタグ110にアップロードされた物体101のタイプ及び物体規則に応じて、タグ110を物体101に装着するべく選択することになろう。
【0074】
使用の際に、ステップ210において、タグ110は、現時点のタグコンテキストを少なくとも部分的に示すコンテキストデータを判定する。コンテキストデータは、様々な異なる形態を有することが可能であり、且つ、いくつかの異なる供給源から取得することができる。例えば、コンテキストデータは、温度、湿度、圧力、又はこれらに類似したものなどの、1つ又は複数の検知されたパラメータに対応しうるであろう。但し、一例においては、コンテキストデータは、1つ又は複数の外部装置からタグ110によって受け取られたメッセージに、且つ、特に、場所ビーコン110によってブロードキャストされた場所メッセージに、少なくとも部分的に基づいており、この結果、タグ処理装置はタグ場所を判定することができる。
【0075】
これに加えて、且つ/又はこの代わりに、コンテキストデータは保存されているコンテキストデータに基づくことも可能であり、コンテキストデータは、一例においてはタグメモリ内において保存されている。保存されているコンテキストデータは、以前のセンサ読取り、識別された以前のトリガイベント、実行された以前のアクション、受け取られた以前の入力コマンド、又はこれらに類似したもの、などの、任意の形態のコンテキストデータを保存するべく、使用することができる。これに加えて、且つ/又は、この代わりに、保存されているコンテキストデータは、例えば計測された値が比較される閾値を定義するべく、物体規則の解釈において使用されうる、定義されたパラメータ又はこれに類似したものに対応することもできる。
【0076】
また、更なる代替肢においては、コンテキストデータは、更に詳細に後述するように、他のタグ110から受け取られたタグメッセージ、或いは、クライアント装置120から受け取られたメッセージに基づくこともできる。
【0077】
ステップ220において、物体規則及びコンテキストデータは、トリガイベントを識別するべく、タグ110によって使用されている。トリガイベントは通常、物体規則内において規定されている特定の状態又はその他の基準が、規則の特性に応じて充足された又はされない場合に生じることになる。例えば、物体101は、許容された使用エリアを有していてもよく、この場合に、タグ110は、現時点のタグ場所を許容された使用エリアと比較することが可能であり、且つ、タグ110が許容された使用エリア外である場合には、トリガイベントを識別することができる。同様に、規則は排除ゾーンを定義することも可能であり、この場合に、トリガイベントは、タグ110が排除ゾーン内に配置されている場合に発生することになろう。従って、この例においては、イベントが発生する時点を判定するべく、任意のその他のタグとは独立的に、物体の、従って、タグの絶対位置が使用されることを理解されたい。
【0078】
或いは、この代わりに、保存されたコンテキストデータを含むコンテキストデータのケースにおいては、これは、イベントが発生する時点を判定するべく、予め計測されたセンサ読取り又は実行されたアクションなどの、予め保存されているコンテキスト情報の検査を含むことが可能であり、この場合にも、任意のその他のタグとは独立的に実行される能力を有する。例として、保存されたコンテキストデータは、装置が維持管理又は準拠チェックを最後に経験した時点の通知を含むことが可能であり、この場合に、これは、スケジュールフォローアップ維持管理又は準拠チェックが必要とされている場合に、イベントを識別するべく使用されている。
【0079】
任意のイベントにおいて、トリガイベントが発生したかどうかを識別するべく、物体規則に対するコンテキストデータの比較が使用されていることを理解されたい。様々な異なるトリガイベントを定義することが可能であり、この場合に、これらの範囲は、主には、タグ110に利用可能であるコンテキストデータの特性によってのみ、制限されていることをこれから理解されたい。いくつかの更なる例示用のトリガイベントについては、更に詳細に後述する。
【0080】
ステップ230において、タグ110は、物体規則を使用してトリガイベントと関連するアクションを判定し、これにより、アクションがステップ240において実装されることを許容するべく、タグ110が動作する。アクションは、通常、物体規則の一部分として規定されており、且つ、識別された特定のトリガイベントに依存することになる。従って、物体規則は、通常、それぞれのトリガイベントごとの関連するアクションと共に、いくつかの異なるトリガイベントを定義することになることを理解されたい。
【0081】
アクション及びこれが実装される方式の特性は、特定の状況及び好適な実装形態に応じて変化することになる。例えば、アクションは、出力装置又はこれに類似したものを使用してタグ上においてローカルにアラート又は通知を生成することを含みうるであろう。或いは、この代わりに、アクションは、直接的に又は場所ビーコンを介して、アクションメッセージをクライアント装置又は1つ若しくは複数のその他の処理システムなどの第三者装置に転送することにより、リモートで実行され、これらにアクションが実行されるようにすることを許容することもできよう。準拠監視の文脈においては、アクションは、通常、ユーザー、監督者、又はその他の個人用の通知を生成すること、トリガイベントを記録又はロギングすること、並びに、機器のシャットダウンなどの、安全性オーバーライドを任意に開始すること、を含むことになろう。但し、この又はその他の環境においては、更に詳細に後述するように、トランザクションの実行をもたらすこと又はこれに類似したものなどの、様々な異なるアクションを実装することができよう。
【0082】
従って、広範な一形態において、上述のシステム及びプロセスは、複数の物体タイプ用の物体規則を保存するリポジトリを利用しており、この場合に、物体規則は、タグ110が関連付けられている個々の物体101の物体タイプに基づいてタグ110上にアップロードされている。
【0083】
別の広い形態においては、物体規則がタグ110上において保存されたら、タグ110は、トリガイベントを識別するべく、物体規則と共に、この情報を利用することにより、タグ110のコンテキストを判定するべく、コンテキストデータを監視することができる。トリガイベントが識別されたら、そのトリガイベントと関連するアクションを開始することができる。
【0084】
特定の一構成においては、上述のシステムは、準拠監視を実行し、これにより、物体101との間のやり取り、或いは、物体101の使用が適切な方式によって発生することを保証するべく、利用されている。この特定の例は、制限が違反されていないことを保証するべく、その他の物体との関係における場所を含む、物体の場所を監視すること、のみならず、物体101が曝露されている環境状態を監視すること、をも含む。但し、これは制限を意図したものではなく、且つ、技法は、例えば、物体追跡を実行するべく、或いは、これに類似したことを実行するべく、様々な状況において適用することができる。
【0085】
トリガが識別されたら、アラート又はその他の通知を生成すること、ユーザーが、準拠規則が違反されたか又はまさに違反されようとしていることを理解できるようにすること、及び、物体を移動させることなどにより彼らが軽減アクションを実行することを許容すること、並びに、記録を目的として違反又は潜在的な違反が記録されることを許容すること、などのアクションを開始することができる。アクションは、ユーザー又はその他の個人に提供された通知に応答して、手動で実行することも可能であり、或いは、例えば、人々を含むエリアに進入した場合にロボット又は車両をタグに無効化させるなどのように、自動化することもできよう。
【0086】
以下、いくつかの更なる特徴について説明する。
【0087】
上述のように、コンテキストデータは、任意の適切な形態を有することが可能であり、且つ、好適な実装形態に応じて、いくつかの方式のうちの任意のものによって判定することができる。一例においては、コンテキストデータは、別のタグから受け取られたブロードキャストメッセージ、場所ビーコンから受け取られた場所ブロードキャストメッセージ、或いは、クライアント装置120から受け取られたクライアント装置メッセージ、でありうる、受け取られたメッセージを使用することにより、判定されている。別のタグ110から受け取られたブロードキャストメッセージは、タグ110が、別のタグの近接性又は移動を、従って、2つの物体の相対的な近接性又は移動を判定することを許容するべく使用することが可能であるが、例えば、タグが場所ビーコンの設定された距離内にあるかどうかを判定するべく、場所ブロードキャストメッセージを使用することにより、環境内の絶対的又は相対的な場所を判定することができる。
【0088】
また、コンテキストデータは、オンボード状態において配置された、又は、タグ110との通信状態にある、1つ若しくは複数のセンサから取得されたセンサデータを使用することにより、判定することもできよう。センサデータは、通常、温度センサによって検知された温度、湿度センサによって検知された湿度、圧力センサによって検知された圧力、或いは、放射センサによって検知された、可視又は非可視電磁放射などの、放射などの、1つ又は複数の検知されたパラメータに関係する。但し、その他のセンサを提供することが可能であり、且つ、列挙されたセンサは例示を目的としたものに過ぎず、且つ、その他のセンサの使用を排除することを意図したものではないことを理解されたい。
【0089】
また、コンテキストデータは、物体の以前の場所又は移動、以前のその他の物体に対する近接性、物体の使用の詳細、アクションが実行された以降の経過時間、維持管理アクションの詳細、又はこれらに類似したものなどの、物体履歴を含む、履歴イベントを示すことができよう。また、履歴イベントは、アクション履歴、トリガ履歴、又はこれらに類似したものを含みうるであろう。これは、トリガが、タグ110の直近のコンテキストのみならず、履歴又は累積効果に基づくことを許容することを理解されたい。最後に、コンテキストデータは、クライアント装置から受け取られたメッセージに基づいて判定することが可能であり、これにより、例えば、コンテキストデータをユーザー入力コマンドに基づいて判定することが可能であり、これにより、タグとの間のユーザーのやり取りが可能になる。コンテキストデータの異なるタイプの組合せを使用することにより、様々な複雑な監視の実行を可能にすることができると共に、この例については、更に詳細に後述する。
【0090】
一例においては、トリガイベントは、タグ110の場所に関係する。タグ110の場所は、GPS又はこれに類似したものなどの、オンボード型の場所システムを利用することにより、判定することができるが、通常、これは、エネルギー集約的であり、且つ、従って、好適な構成は、前述のように、場所ビーコンの利用である。この例においては、タグ110は、少なくとも1つの場所ビーコンから場所ブロードキャストメッセージを受け取り、且つ、タグ場所を判定するべく場所ブロードキャストメッセージを使用する。タグ場所は、例えば、タグ110がビーコンの特定の距離内に存在することを規定するなどのように、ビーコンとの関係において定義しうるであろう。但し、更に一般的には、タグ110は、複数のビーコンから場所ブロードキャストメッセージを受け取るべく動作しており、これにより、検出されうるビーコンに基づいて環境内においてその位置を三角測量することを許容する。この例においては、タグ場所は、ビーコンに対する相対的な位置に基づいて定義することも可能であり、或いは、環境内の絶対場所の判定を許容するべく、物体規則の一部分を形成する場所ビーコンマップを使用することにより、タグ110上において解釈することもできよう。或いは、この代わりに、場所ブロードキャストメッセージは、任意に、ビーコン構成プロセスにおいて定義された、それぞれの場所ビーコンの座標を含み、これにより、タグ110がこれらの座標に基づいて場所を判定することを許容することもできよう。物体規則は、組織の施設又はサイトなどの、ローカルな場所について定義されうることから、これは、場所が、好適な実装形態に応じて、その場所に固有の座標系を使用することにより、或いは、緯度及び経度などの、グローバルな座標系を使用することにより、定義されることを許容しうることを理解されたい。
【0091】
タグがその場所を判定することを許容するべく場所ビーコンが使用されることに加えて、場所ビーコンは、その他の装置に対する通信パスウェイを提供するべく、活用することができる。この観点において、一例においては、場所ビーコンは、ネットワーク対応型であり、これにより、自身が、Wi-Fiネットワーク又はこれに類似したものなどの、1つ又は複数の通信ネットワークに結合されることを許容する。この結果、この例においては、場所ビーコンは、タグとの間において通信をルーティングするべく、利用することができる。例えば、これは、コンピュータシステム、スマートフォン、タブレット、又はこれらに類似したものなどの、リモートクライアント装置が、例えば、物体規則をタグにアップロードするべく、或いは、タグから、アクションメッセージなどのメッセージを受け取るべく、メッセージをタグに転送することを許容する。
【0092】
この例においては、通信は、任意の適切な方式により、実現することができよう。例えば、物体規則を特定のタグにアップロードする必要がある場合に、特定のタグのタグ識別子と共に、物体規則を場所ビーコンの1つ又は複数に転送することができる。次いで、場所ビーコンは、タグ識別子を使用することにより、通信要求をブロードキャストすることが可能であり、且つ、次いで、応答を待つことができる。応答は、ビーコンのうちの1つ又は複数により受け取られてもよく、この場合に、ビーコンはビーコンのうちの選択されたものに通信することが可能であり、次いで、このビーコンが物体規則をタグに転送する。或いは、この代わりに、物体規則は、場所ビーコンのそれぞれによりブロードキャストすることもできよう。
【0093】
通信は、タグ固有の識別子に基づいて、特定のタグとの間において実行することができるが、この代わりに、これは、物体タイプ識別子を使用することにより、特定のタイプの物体と関連するタグとの間において、実行することも可能であることを理解されたい。この観点において、一例においては、タグは、関連する物体の少なくとも物体タイプを示す物体識別子を含む。これは、タグと関連する物体の物体タイプが容易に識別されることを許容し、これにより、例えば、メッセージが、特定のタイプの物体と関連するすべてのタグに転送されることを許容する。
【0094】
好適な一例においては、物体識別子は、物体カテゴリを示す第1識別子と、物体サブカテゴリを示す第2識別子と、を含み、これにより、様々な物体タイプが、最少数のバイトを使用することにより定義されることを許容する。そして、これは、物体識別子が、メッセージパケットヘッダの一部分としてブロードキャストされることを許容し、これにより、パケットペイロードの分析を必要とすることなしに、物体タイプがパケットヘッダから識別されることを許容する。これは演算要件を低減し、これにより、タグ及びその他のハードウェアが、関連するデータパケットのコンテンツのみを分析することを許容し、且つ、装置がBluetoothペア化を経験することを必要とすることなしに、情報の転送が実現されることをも可能にする。
【0095】
一例においては、タグを構成するべく必要とされるデータを極小化するべく、物体規則は、コードとしてタグメモリ内において保存されており、この場合に、タグ処理装置は、トリガイベントが発生したかどうかを識別するべく、コードを実行するように構成されている。特定の一例においては、コードは、複数のコードスニペットを含み、それぞれのスニペットは、個々の物体規則に対応する。従って、それぞれの物体規則は、実行可能なコードの個々のスニペットとして具体化されており、これは通常、物体規則が最少数のバイトを使用して表現されることを許容する。そしてこれは、物体規則が、最小限の量を有する、パケット化されたコードとしてアップロードされることを許容しており、これにより、帯域幅及び結果として生じるメモリ要件が極小化される。これに加えて、これは、タグ処理装置が、複数のコードスニペットを反復的に実行し、且つ、これにより、トリガイベントを識別するべくコンテキストデータを効率的に処理するように構成されることを許容する。
【0096】
上述のように、一例においては、クライアント装置メッセージ又は物体規則を含むメッセージなどのメッセージは、場所ビーコンを介してタグに転送することができる。同様に、アクションメッセージ又はこれに類似したものなどのタグメッセージも、場所ビーコンを介してクライアント装置に転送することができる。この例においては、場所ビーコンは、通常、例えば、場所ビーコンがタグから応答を受け取ることを許容するべく、正常な通信プロトコルの一部分として、場所ブロードキャストメッセージの送信後の設定された時間量において、既定の通信スロット内において、送信を受け取るように構成されている。この例においては、タグは、メッセージが、必要に応じて、その他の装置に後からルーティングされうるように、これらのスロットにおいて、メッセージを場所ビーコンに送信することができる。これを実現するべく、タグ処理装置は、場所ビーコンと関連する通信スロットを選択することになり、且つ、次いで、選択された通信スロットを介して、メッセージを場所ビーコンに送信することになる。
【0097】
一例においては、それぞれのビーコンが利用可能である通信スロットの数は、限られており、これは、この結果、複数のタグが同時に通信するべく試みた場合に、衝突が生じうることを意味する。衝突を回避するべく、それぞれのタグ処理装置は、通信スロットのタグ処理装置の選択を通告する通告ブロードキャストメッセージを送信するように構成されている。同時に、タグ処理装置は、他のタグによって送信された通告ブロードキャストメッセージを受け取り、且つ、衝突が存在するかどうかを判定するために、受け取られた通告ブロードキャストメッセージを使用するべく、動作する。衝突が存在していない場合には、送信は、選択された通信スロットを介して発生しうる。さもなければ、通常、例えば、それぞれの通告ブロードキャストメッセージにランダム数を付与することにより、衝突解決策が実行され、この場合に、最大数を有するタグが通信し、且つ、その他のタグが後のサイクルにおいて通信することになる。
【0098】
従って、上述の構成は、場所ビーコンが、タグとの間において双方向通信チャネルを提供するべく動作することを許容することを理解されたい。これは、装置がタグと直接的に通信することを必要とすることなしに、コンピュータシステム又はこれに類似したものなどの、リモート装置との通信を可能にする。これは、タグにローカルなクライアント装置を必要とすることなしに、システムが使用されることを許容することから、これは、特に有用である。例えば、これは、リモートコンピュータシステムが、更なるローカルインフラストラクチャを必要とすることなしに、且つ、タグにネットワークアクセスが提供されることを必要とすることなしに、場所ビーコンによって提供されたバックエンドチャネルを介してタグと通信することを許容する。
【0099】
場所を判定した際に、タグ処理装置は、タグ場所を個々の物体用の物体規則内において定義された場所制限と比較し、且つ、次いで、タグ場所が、場所制限に違反する、或いは、違反する可能性が高い場合に、トリガイベントを識別する、ように構成されている。従って、例えば、物体規則は、物体101が許容される場所を定義することが可能であり、この場合に、トリガイベントは、タグ場所が、許容されたタグ場所のリストの外側に位置する、或いは、許容された場所の境界に接近する場合に、識別されることになろう。逆に、場所制限は、物体101が許容されていない場所を定義することも可能であり、この場合に、トリガイベントは、タグ場所が、許容されていない場所に移動する、或いは、タグが許容されていない場所に接近する場合に、識別されることになろう。タグの移動を判定するべく、履歴場所情報を使用する類似の方式を使用することが可能であり、この場合に、これは、速度などの物体運動が、許容された又は制限された範囲内に含まれているかどうかを判定するべく、使用されることになろう。
【0100】
通常、それぞれのタグ110は、関連する物体の少なくとも物体タイプ識別子を示すブロードキャストメッセージを周期的に送信する。これは、近傍のタグ110が、その近傍のその他の物体101を識別することを許容する。具体的には、第1タグ110は、第2物体と関連する第2タグ110によって送信されたブロードキャストメッセージを使用して第2物体101の近接性を判定することができる。この例においては、第1タグ110は、近接性を第1物体用の物体規則内において第1及び第2物体101用に定義された近接性制限と比較し、これにより、近接性が近接性制限に違反する場合にトリガイベントを識別することができる。従って、例えば、水素ガスボトルと酸素ガスボトルは、互いに、10メートルなどの設定された距離内における保存を許容することができない。この例においては、水素ガスボトル上の第1タグ110が、酸素ガスボトルと関連する第2タグ110を検出した場合に、水素ガスボトルは、近接性を判定することになり、且つ、これが物体規則内において規定されている設定された距離内であるかどうかを判定することになり、そうである場合には、これにより、可聴及び/又は視覚アラートを生成するなどのアクションをトリガする。従って、第1タグ用の物体規則には、他の物体までの設定された近接性を定義する規則を入力することが可能であり、且つ、他の物体のタグは、第1物体との関係において定義された類似の物体規則を有することになることを理解されたい。従って、両方のタグ110がブロードキャストメッセージを送信することから、第2タグ110も、第2タグ110の近傍の第1タグ110の存在を判定することになり、且つ、類似のプロセスを実行することになり、これにより、この場合にも、アクションをトリガする。近接性は、設定された距離の観点において定義することが可能であり、且つ、バッファゾーンに到達した際に、アラートが生成され、これにより、近接性に違反する間際にあることについて、ユーザーにアラートしうるように、近接性に加えて、バッファゾーンを含むこともできよう。
【0101】
近接性は、ブロードキャストメッセージが受け取られた場合に、これが、物体が、定義された近接性制限内に存在することを示すように、タグの送信範囲にのみ基づいて、判定することができよう。但し、一般的に、タグ110の送信範囲は、障害物の存在又はこれに類似したものなどの、環境要因に応じて変化することになることから、これは、限られた精度しか有していない。従って、より一般的には、ブロードキャストメッセージは、タグ場所を示しており、このケースにおいては、第1タグ110は、第2タグ場所を判定するべく、第2タグ110から受け取られたブロードキャストメッセージを使用し、これにより、第2タグ場所及び第1タグ場所を使用して第2物体101の近接性を判定する。
【0102】
また、ブロードキャストメッセージは、相互コンテキストを確立するべく類似の方式がより広範に使用されることを許容するべく、その他のコンテキストデータを含んでいてもよく、この場合に、これは、相互コンテキストが相互コンテキスト規則に違反するかどうかを判定するべく使用される。例えば、2つの物体が衝突することになるかどうかを識別するべく2つの物体の相対的な運動を使用し、これにより、これが発生する場合に、アクションが判定されることを許容することができよう。
【0103】
特定の一例においては、タグは、物体タイプ識別子、タグ場所、並びに、任意に、1つ又は複数の計測されたパラメータ及び/又はその他のコンテキストデータを示すブロードキャストメッセージを周期的に送信する。この例においては、ブロードキャストメッセージは、物体タイプ識別子を含むパケットヘッダ及びタグ場所を含むペイロード、並びに、任意に、パラメータ及び/又はその他のコンテキストデータなどの、その他の情報を含む、データパケットを含むことができる。
【0104】
類似の方式により、クライアント装置120は、クライアント装置120がタグブロードキャストメッセージを受け取るようにすることにより、クライアント装置120の近傍のタグ110の存在を検出するべく、使用されうることを理解されたい。これは、ユーザーに物体を見出させるプロセスを促進することができる。例えば、ユーザーが、ガスボトルなどの、特定のタイプの物体を見出す必要がある場合には、ユーザーは、クライアント装置120上において提示されたユーザーインターフェイスを使用することにより、物体タイプを選択することができる。この結果、クライアント装置120は、選択された物体のタイプに対応する物体識別子を含むタグブロードキャストメッセージについて監視することが可能であり、且つ、これが受け取られたら、通知を生成することができる。これは、ユーザーが、エリアを調査することを許容しており、この場合には、関連する物体がクライアント装置120の送信範囲内に位置したら、通知が生成される。これに加えて、タグブロードキャストメッセージは、通常、タグ場所をも含んでいることから、これは、物体の場所の通知をユーザーに表示するべく使用することができる。
【0105】
上述の例においては、タグが必要とするものは、依然として非常に複雑な監視動作の実行を許容しつつ、物体識別子及び場所を含むブロードキャストメッセージを送信し、且つ、他のタグからブロードキャストメッセージを受け取る、のみならず、場所ビーコンから場所メッセージを受け取る、能力のみであることを理解されたい。具体的には、これは、なんらの更なる検知モードをも必要とすることなしに、絶対及び相対場所又は運動の監視、のみならず、近接性の監視、が実行されることを許容する。このような動作は、低電力要件を使用して実行されうることから、これは、特に有益であり、この結果、タグは、長い寿命を維持しつつ、小さなフットプリントを維持することができる。これは、タグが、物体の外観又は機能に不当な影響を及ぼすことなしに様々な物体に装着されること、並びに、注意を必要とすることなしに、数か月又は数年などの長い期間にわたって定位置において留まることを可能にする。
【0106】
上述の構成の更なる利益は、メッセージ内において含まれる必要があるデータが最小限のものになりうる、という点にある。例えば、物体規則内において定義されている物体の数に応じて、物体識別子は、長さが数ビットでありうる一方で、ローカル環境において使用されている特定の座標系に応じて、場所も、相対的に小さなビット数を使用することにより、規定することができよう。これは、物体識別子及び場所が、ブロードキャストメッセージのフィールド内において含まれることを許容し、これにより、タグ110の、或いは、タグ110とクライアント装置120のペア化を必要とすることなしに、この情報が交換されることを許容する。
【0107】
タグ動作の寿命が課題をもたらしうることを理解されたい。特に、準拠監視のケースにおいては通常、準拠規則と、従って物体規則は、タグの寿命よりも短い時間フレームにおいて変化する。タグ物体規則は、クライアント装置が能動的に使用されない限り、必ずしも更新されることにならないことから、これは、タグが物体規則の異なるバージョンに従って動作することを意味しうるであろう。これに対処するべく、ブロードキャストメッセージは、物体規則バージョンを示すこともできる。この例においては、タグ110は、受け取られたブロードキャストメッセージからの物体規則バージョンを現時点においてアップロードされている物体規則バージョンと比較し、これにより、現時点の規則が古い場合に、トリガ結果を識別することができる。これは、タグ110上の物体規則の更新を要求するべく、使用することができる。
【0108】
また、上述のように、タグの場所に基づいてのみ監視を実行することに加えて、タグ110は、計測されたパラメータ値を判定するべく、少なくとも1つのセンサからのセンサデータを利用することもできる。この結果、これは、例えば、計測された値がパラメータ値制限に違反する場合に、トリガイベントを判定するべく、使用することができる。従って、例えば、温度が設定された温度閾値を超過する環境において、ガスボトルを保存するのは準拠違反となりうる。この例においては、タグ110は、現時点の環境温度を判定するべく、温度センサから受け取られた温度データを使用することができる。タグ110は、これを物体規則内において定義されている温度閾値と比較し、これにより、温度が閾値を超過した場合にアラートが生成されるようにすることができる。これに加えて、且つ/又は、この代わりに、温度閾値は、保存されているコンテキストデータの一部分を形成しうることを理解されたい。この例においては、温度は、特定の温度変化が検出された場合にアラートが生成されうるように、予め記録された温度でありうるであろう。
【0109】
一例においては、タグ110は、保存されたコンテキストデータを取得し、保存されているコンテキストデータに応じてトリガを判定する。保存されているコンテキストデータは、以前のセンサ読取り、識別された以前のトリガイベント、実行された以前のアクション、受け取られた以前の入力コマンド、或いは、これらに類似したものなどの、任意の形態のコンテキストデータを保存するべく、使用することができる。これは、タグ110が履歴レコードを維持することを可能にし、この結果、より複雑な振る舞いの実装を許容することができる。例えば、これは、温度が閾値超であった、時間の長さを判定し、これにより、温度又はその他のパラメータが、設定された期間にわたって閾値を超過する場合に、アラートがトリガされることを許容するべく、使用することができよう。また、これは、イオン化放射に対する累積曝露などの累積閾値を監視するべく、使用することもできよう。
【0110】
これに加えて、コンテキストデータは、クライアント装置メッセージを使用することにより、クライアント装置120から受け取られたユーザー入力コマンドに従って更新することもできよう。これは、例えば、物体101上において実行される維持管理の詳細が記録されることを許容するべく、実行することができよう。従って、これは、維持管理アクションの間の期間を監視して維持管理スケジュールが充足されることを保証するべく、保存されているコンテキストデータとの関連において使用することができることを理解されたい。
【0111】
様々な異なるアクションが、システムを使用して実装されうるが、好適な一例においては、アクションは、タグに基づいた又はタグに基づいていないアクションのうちの一方又は両方を含む。タグに基づいたアクションの例は、1つ又は複数のサウンド又は発話されたフレーズを生成するべく、スピーカなどの、オーディオ出力装置を使用すること、或いは、可視通知を生成するべく光源を使用することなどの、通知を生成するべくタグ110出力装置を使用することを含む。これに加えて、出力装置は、例えば、機器又は物体の適切な制御信号入力に適用されうる制御信号を生成するべく信号生成器を使用するなどのように、機器又は物体を部分的に制御するように、適合することもできよう。
【0112】
タグに基づいていないアクションは、アクションメッセージをクライアント装置120などのリモート装置に転送することにより、トリガすることができる。この例においては、クライアント装置120は、アクションメッセージに応答して、可聴又は視覚通知などの、通知を生成することが可能であり、電子メールアドレス、SMSアドレス、又は第三者処理システムなどの、規定された宛先にアクションメッセージを転送する、或いは、イベントログが更新されるようにする、などの、アクションを実行することができる。更なる外部装置へのメッセージの伝達を通じて、これは、例えば、何人かの維持管理スタッフに、維持管理が特定の装置において実行される必要があることを指示することなどの、任意の形態の、自動化された又は手動的なプロセスをトリガするべく、使用することができることを理解されたい。この観点において、クライアント装置120がメッセージを任意の処理システムに転送することができる場合には、メッセージは、維持管理スタッフが、タグ110の近傍に位置するかどうか、且つ/又は、クライアント装置120に自身でアクセスできるかどうかとは無関係に、維持管理スタッフにルーティングすることができる。
【0113】
一例においては、クライアント装置120は、アクションメッセージをアクション設定と比較し、且つ、次いで、アクション設定に従ってアクションを選択的に実行する、ように適合されている。この観点においては、多数のタグ110が存在する環境においては、人々は、すべての通知への応答を所望しない場合があり、或いは、これを必要としない場合があることを理解されたい。この例においては、それらのクライアント装置120は、特定のタイプのメッセージ又はアクションの遮断、或いは、特定の物体タイプと関連するアクション又はメッセージの遮断、を含む、ローカル設定に基づいて、通知を遮断するように構成することができる。但し、依然として、クライアント装置120が、必要に応じて、アクションメッセージを規定された宛先に転送し、これにより、アクションが実行されることを保証するが、クライアント装置120のユーザーを不必要に妨げることを回避することを許容するべく、適切な構成を使用することができよう。
【0114】
これに加えて、タグ110は、例えば、保存されているコンテキストデータを更新するべく、アクションが完了した時点を理解するべく、且つ、複数のクライアント装置120によるアクションの重複を防止するべく、必要とされうる。この例においては、アクションを実行するクライアント装置120は、通常、受け取られたアクションメッセージからタグ識別子を判定し、確認メッセージを生成し、且つ、タグ識別子に従って確認メッセージをタグ110に転送し、これにより、例えば、アクションが、実行された、開始された、又は処理中であることを反映するように、タグ110がコンテキストデータを更新することを許容する。
【0115】
このことから、それぞれのタグ110は、個々のタグ110に固有である、個々の識別子を有しており、これにより、メッセージがタグに送信されることを許容しうることを理解されたい。この例においては、確認メッセージは、通常、クライアント装置120の近傍の全てのタグ110にブロードキャストされることになり、この場合に、タグ110は、異なるタグ110に対応するタグ識別子を含むメッセージを無視する。これは、Bluetoothペア化プロセスの実行を必要とすることなしに、双方向通信がクライアント装置120とタグ110の間において確立されることを許容する。これは、ユーザーが、システムが動作するように、複数のタグとそのクライアント装置120をペア化するニーズを回避する。
【0116】
以上のことから、様々な異なるアクションを実行することが可能であり、且つ、その結果、アクションを様々な用途のために使用することができる、ことを理解されたい。例えば、準拠監視の文脈においては、通常のアクションは、規則違反についてユーザーに警告すること、ロギングを目的として規則違反の詳細を記録すること、必要とされる維持管理又はこれに類似したものなどの、物体と関連する必要とされるアクションについてユーザーに通知すること、物体101又は機器の無効化などの、安全性オーバーライドを実装すること、或いは、これらに類似したものを含む。
【0117】
但し、これは必須ではなく、且つ、システムは、様々なその他の用途において使用することができよう。例えば、アクションは、トランザクションが実行されるようにすることを含みうるであろう。この一例は、規定された宛先への物体の供給の文脈におけるものである。この例においては、物体に装着されたタグ110は、タグの場所に基づいて、或いは、宛先タグへの近接性に基づいて、宛先場所に到達する時点を識別するべく、適切な物体規則を使用することにより、事前プログラミングすることができよう。この例においては、宛先場所に到達したら、アクションは、宛先に到達したと装置に通知することと、任意に、配送依頼の完了、配送に対する支払、配送契約の完了、又はこれに類似したものなどの、トランザクションをトリガすることと、を含みうるであろう。
【0118】
上述のプロセスは、タグ110が他のタグ110およびクライアント装置120と通信することができることに、少なくともある程度、依存する。従って、通信が、エネルギー集約的なものになる可能性があり、好適な一例においては、タグ110は、送信インターバルによって分離されたブロードキャストメッセージを反復的に送信する。このような送信は、通常、エネルギー使用の観点においては些細なものであり、且つ、従って、これは、1秒ごとなどの、相対的に高頻度で、常に反復することができよう。対照的に、場所、タグ、又はクライアント装置メッセージなどのメッセージの聴取と、必要に応じて、その後のこれらの処理は、通常、よりエネルギー集約的なものになる。
【0119】
従って、システムは、通常、送信インターバルよりも大きな聴取インターバルにわたってメッセージを反復的に聴取するように構成されており、この場合に、これには、タグが聴取が発生しない低電力スリープモードにある期間が差し挟まれている。聴取インターバルが送信インターバルよりも長くなるようにシステムを構成することにより、他のタグからのタグメッセージが、タグがウェイクアップするたびに受け取られることを保証する。例えば、タグ110が、1秒などの、定義された送信インターバルによって送信する場合に、2秒の聴取インターバルにおいてメッセージを聴取することにより、範囲内にある任意の他のタグ110によって送信される少なくとも1つのブロードキャストメッセージが受け取られることが保証されることになる。
【0120】
この例においては、タグ110は、通常、関連する設定に応じて、1分ごと、2分ごと、10分ごと、又は15分ごと、或いは、これらに類似したもの、などのように、周期的に、或いは、例えば、加速度計などの、運動センサからの信号に基づいて、などのように、運動の検出に応答して、スリープモードからウェイクアップする。この観点においては、場所制限は、通常、主に物体が運動する場合に、生じることになることから、運動によるウェイクアップが、特に有益である。ウェイクアップした際に、タグ処理装置は、メッセージについて聴取し、トリガイベントが発生したかどうかを判定し、且つ、次いで、これが発生していない場合にはスリープモードに戻り、これにより電力を節約する。
【0121】
物体規則をタグにアップロードするべく、クライアント装置は、通常、タグと関連するタグ識別子を判定する必要がある。これは、ユーザーがタグ識別子を選択することを許容するべくクライアント装置の範囲内のタグからタグ識別子を取得する、例えば、ユーザーがタグ識別子を手動で入力するようにさせることによるユーザー入力コマンドに基づいて、或いは、タグ上において表示されたQRコード(登録商標)又はこれに類似したものなどの、コード化されたデータをスキャニングすることによる、などの、いくつかの方法のうちの任意のものにより、実現することができる。タグ識別子を判定したら、クライアント装置は、次いで、例えば、物体規則から得られた物体タイプのリストを表示し、且つ、次いで、列挙されている物体タイプのうちの1つ又は複数の選択を判定することにより、ユーザー入力コマンドに従って利用可能な物体タイプを判定することになる。物体タイプが判定されたら、規則は、規則リポジトリから、個々の物体タイプごとに、取得することが可能であり、この場合に、これらは、次いで、タグ識別子に従ってタグにアップロードされる。
【0122】
物体規則は、任意の適切な方式により生成することができる。一例においては、これは、タスクを少なくとも部分的に自動化するべく規則エンジンを使用することを含む。規則エンジンは、通常、論理式及び物体タイプを識別するべく、規則文書を受け取り、且つ、自然言語処理を使用して解析することにより、動作する。次いで、必要に応じて、物体の物体タイプに基づいてこれらを取得することにより、或いは、これらを生成することにより、物体識別子が、それぞれの物体タイプごとに判定される。次いで、論理式をトリガイベント及びアクションに変換することにより、物体規則を生成するべく、論理式が使用され、その後、これらは、タグにアップロードされる。例えば、論理式は、しばしば、「もし~である場合に、~する(If...then...)」文の観点において規則テキスト内において規定されており、これらは、トリガ及びアクションに変換することができる。これは、例えば、規則が標準的な方式によって生成され、これにより、これらがタグによって一貫性を有する方式で解釈されることを許容するように、「もし~である場合に、~する」文からのテキストを使用してテンプレートに入力することにより、テンプレートを使用して実行することができる。
【0123】
以下、図3図6を参照し、物体監視システムの特定の一例について更に詳細に説明する。
【0124】
この例においては、追跡システムは、複数のタグ310を含み、これらは、使用の際に、物体(図示されてはいない)に装着される。いくつかのクライアント装置320が提供されており、これらのうちのいくつかは、タグ310と通信状態にある。1つ又は複数のサーバーなどの、処理システム330は、1つ又は複数の通信ネットワーク340を介して、クライアント装置320との通信状態において提供されている。
【0125】
ネットワーク340の構成は、例示を目的としたものに過ぎず、実際には、クライアント装置320及び処理システム330は、限定を伴うことなしに、モバイルネットワーク、802.11ネットワークなどのプライベートネットワーク、インターネット、LAN、WAN、又はこれらに類似したものを含む、有線又は無線接続などの、任意の適切なメカニズムを介して、のみならず、Bluetooth又はこれに類似したものなどの、直接又はポイントツーポイント接続を介して、通信することができることを理解されたい。通常、クライアント装置320は、BLE又はこれに類似したものなどの近距離通信プロトコルを使用することにより、タグ310と通信するように構成されている。
【0126】
また、いくつかの場所ビーコン360が、通常、タグ310が使用される場所の全体を通じて分散された状態において、提供されており、この場合に、場所ビーコンは、同一の近距離通信プロトコルを介して、場所メッセージを送信するように適合されている。
【0127】
処理システム330は、単一のエンティティとして示されているが、実際には、処理システム330は、例えば、クラウドに基づいた環境の一部分として、などのように、いくつかの地理的に別個の場所にわたって分散させることができることを理解されたい。但し、上述の構成は、必須ではなく、且つ、その他の適切な構成が使用されうるであろう。
【0128】
図4には、適切な処理システム330の一例が示されている。この例においては、処理システム330は、図示のように、バス404を介して相互接続された、少なくとも1つのマイクロプロセッサ400、メモリ401、キーボード及び/又はディスプレイなどの任意の入出力装置402、及び外部インターフェイス403を含む。この例においては、外部インターフェイス403は、通信ネットワーク340、データベース、その他のストレージ装置、又はこれらに類似したものなどの、周辺装置に処理システム330を接続するべく、使用することができる。単一の外部インターフェイス403が示されているが、これは、例示を目的としたものに過ぎず、実際には、様々な方法(例えば、Ethernet、シリアル、USB、無線、又はこれらに類似したもの)を使用する複数のインターフェイスを提供することができる。
【0129】
使用の際に、マイクロプロセッサ400は、必要とされるプロセスが実行されることを許容するべく、メモリ401内において保存されたアプリケーションソフトウェアの形態の命令を実行する。アプリケーションソフトウェアは、1つ又は複数のソフトウェアモジュールを含むことができると共に、オペレーティングシステム環境又はこれに類似したものなどの、適切な実行環境において実行することができる。
【0130】
従って、処理システム330は、適切にプログラミングされたクライアント装置、PC、ウェブサーバー、ネットワークサーバー、又はこれに類似したものなどの、任意の適切な処理システムから、形成されうることを理解されたい。特定の一例においては、処理システム330は、不揮発性(例えば、ハードディスク)ストレージ上において保存されたソフトウェアアプリケーションを実行する、Intelアーキテクチャに基づいた処理システムなどの、標準的な処理システムであるが、これは、必須ではない。但し、処理システムは、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、ロジックゲート構成、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのロジックの実装と任意に関連するファームウェア、或いは、任意のその他の電子装置、システム、又は構成などの、任意の電子処理装置であってもよいことを理解されたい。
【0131】
図5に示されているように、一例においては、クライアント装置320は、図示のように、バス504を介して相互接続された、少なくとも1つのマイクロプロセッサ500、メモリ501、キーボード及び/又はディスプレイなどの入出力装置502、並びに、外部インターフェイス503を含む。この例においては、外部インターフェイス503は、タグ310、通信ネットワーク340、データベース、その他のストレージ装置、又はこれらに類似したものなどの、周辺装置にクライアント装置320を接続するべく、使用することができる。単一の外部インターフェイス503が示されているが、これは、例示を目的としたものに過ぎず、実際には、様々な方法(例えば、Ethernet、シリアル、USB、無線、又はこれらに類似したもの)を使用する複数のインターフェイスを提供することができる。
【0132】
使用の際には、マイクロプロセッサ500は、タグ310、処理システム330との通信を許容するべく、のみならず、例えば、適切なユーザーインターフェイスを通じたユーザーのやり取りを許容するべく、メモリ501内において保存されたアプリケーションソフトウェアの形態の命令を実行する。
【0133】
従って、クライアント装置320は、適切にプログラミングされたPC、インターネット端末、ラップトップ、又はハンドヘルド型PCなどの、任意の適切な処理システムから形成することができると共に、好適な一例においては、タブレット、又はスマートフォン、或いは、これらに類似したものであることを理解されたい。従って、一例においては、クライアント装置320は、不揮発性(例えば、ハードディスク)ストレージ上において保存されたソフトウェアアプリケーションを実行する、Intelアーキテクチャに基づいた処理システムなどの、標準的な処理システムであるが、これは、必須ではない。但し、クライアント装置320は、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、ロジックゲート構成、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのロジックの実装と任意に関連するファームウェア、或いは、任意のその他の電子装置、システム、又は構成などの、任意の電子処理装置であってよいことも理解されたい。
【0134】
以下の例を目的として、1つ又は複数の処理システム330は、利用可能な特定のネットワークインフラストラクチャに応じて、通信ネットワーク又はこれに類似したものを介してクライアント装置320と通信するサーバーであるものと仮定されている。サーバー330は、通常、データの保存、サーチ、及び処理を含む、必要とされるタスクを実行するためのアプリケーションソフトウェアを実行し、この場合に、サーバー330によって実行されるアクションは、メモリ401内においてアプリケーションソフトウェアとして保存された命令及び/又は入出力装置402を介してユーザーから受け取られた入力コマンド、或いは、クライアント装置320から受け取られたコマンドに従って、プロセッサ400によって実行されている。
【0135】
また、ユーザーは、クライアント装置320のディスプレイ上において提示された、GUI(Graphical User Interface)又はこれに類似したものを介して、且つ、特定の一例においては、ウェブページを表示するブラウザアプリケーションを介して、或いは、関連する情報を表示するAppを介して、クライアント装置320とやり取りするものと仮定されることになる。クライアント装置320によって実行されるアクションは、メモリ501内においてアプリケーションソフトウェアとして保存された命令及び/又は入出力装置502を介してユーザーから受け取られた入力コマンドに従って、プロセッサ500により、実行される。
【0136】
但し、以下の例を目的として仮定されている上述の構成は、必須ではなく、且つ、多数のその他の構成を使用することができることを理解されたい。また、クライアント装置320とサーバー330の間の機能のパーティション化も、特定の実装形態に応じて、変化しうることを理解されたい。
【0137】
以下、図6を参照し、タグの一例について更に詳細に説明する。
【0138】
この例においては、タグ310は、電源606、物体規則を保存するタグメモリ602、アンテナ604を介してメッセージを送受信するタグトランシーバ603、及びトリガイベントを識別し、且つ、アクションが実行されるようにする、タグ処理装置601を含む。
【0139】
タグの、且つ、特に、タグの物理的なフォームファクタの、のみならず、使用されるコンポーネントの、特性は、好適な実装形態に応じて、変化しうる。例えば、タグ310が、BLEなどの近距離無線通信プロトコルを利用する場合には、処理装置601及びトランシーバ603は、統合されたアンテナ604及びメモリ602などのその他の任意のコンポーネントに結合された、或いは、これらを含む、Bluetoothシステムオンチップ(SOC)などの、カスタム集積回路から形成することができる。
【0140】
一例においては、処理装置601は、アプリケーションソフトウェアを実行し、これにより、望ましいプロセスが実行されることを許容する。一例においては、これは、ウェイクアップモードとスリープモードの間の切り替えなどの、タグによって実装される活動を制御するべく、スケジューラの実装、メッセージの生成、或いは、これに類似したもの、を含みうる一方で、タグ用の個々の物体規則を実施する物体規則コードを実行するべく、仮想機械を使用することもできる。
【0141】
電源606は、通常、トランシーバ603及び処理装置601に電力を提供し、これにより、タグ310がクライアント装置320及び他のタグ310と通信することを許容するように適合されている。任意の適切な電源が使用されうるが、一例においては、電源は、最小限の容積フォームファクタを有する「AAA」又はボタンセル電池の形態を有し、これにより、タグが小さな物理的寸法を有するように製造されることを許容する。これは、タグ310が、容易に、且つ、控えめに、物体に装着される、或いは、その他の方法で物体と物理的に関連付けられる、ことを可能にする。また、いくつかの状況においては、電源は、ソーラーパネル又はこれに類似したものなどの、電力生成コンポーネントを含みうることをも理解されたい。
【0142】
また、タグ310は、通常、スピーカ611、LED612、及び信号生成器613などの、1つ又は複数の出力装置を含みうるが、OLEDディスプレイ、eインクディスプレイ、又はこれらに類似したものなどの、その他のディスプレイを提供することもできよう。同様に、温度センサ621、湿度センサ622、圧力センサ623、光センサ624、運動センサ625、又はこれらに類似したものなどの、1つ又は複数のセンサを提供することもできる。
【0143】
システムが動作するには、システムは、物体規則を生成可能である必要がある。これは、手動的に実装されうるが、これは、面倒なタスクとなることから、好適な一例においては、物体規則生成プロセスを支援するべく、規則エンジンが使用されており、従って、以下、図7を参照し、この例について説明する。
【0144】
この例を目的として、規則エンジンは、サーバー330によって実装されるものと仮定されているが、これは、必須ではなく、この代わりに、規則エンジンは、任意の適切なハードウェア装置を利用して実装されうることを理解されたい。
【0145】
この例においては、ステップ700において、規則エンジンが規則文書を受け取っている。規則文書及びこれが受け取られる方式の特性は、好適な実装形態に応じて、変化することになる。一例においては、規則文書は、テキスト文書の形態であり、これは、対象の物体に関連する要件を説明する。これは、準拠文書、法律文、又はこれらに類似したもの、の形態であることが可能であり、且つ、正確な特性は、この例を目的とした場合に、重要ではない。文書は、データストアから取得することが可能であり、クライアント装置などの、別の処理システムから受け取ることが可能であり、手動的に入力することが可能であり、或いは、これらに類似したものも可能である。
【0146】
ステップ705において、規則エンジンが、規則文書を解析し、且つ、自然言語処理を使用して、ステップ710において論理式を識別し、且つ、ステップ715において物体タイプを識別する。これは、既知の技法を使用して文書の構文を分析することにより、実行することが可能であり、これらの例は、同時係属中の(2016年10月26日付けで出願された豪州特許出願第2016904359号明細書の優先権を主張する)国際特許出願第PCT/AU2017/051175号明細書及び(2016年12月8日付けで出願された豪州特許出願第2016905070号明細書の優先権を主張する)国際特許出願第PCT/AU2017/051315号明細書において記述されており、これらの特許文献の内容は、相互参照により、本明細書において包含されることを理解されたい。
【0147】
例えば、論理式は、通常、物体に適用される規則を示しており、且つ、「~である場合に、~する」タイプの文の存在を通じて、識別することができる。同様に、物体も、主語-動詞-目的語の構造を識別するべく、文書を検査することにより、識別することができる。
【0148】
ステップ720において、規則エンジンは、それぞれの物体タイプごとに物体識別子を判定しており、この場合に、これは、論理式を使用して物体規則を生成するべく使用される。物体識別子は、必要に応じて、物体101の物体タイプに基づいてこれらを取得することにより、或いは、これらを生成することにより、判定することができる。
【0149】
ステップ725において、規則エンジンが、論理式をトリガイベント及びアクションに変換することにより、規則を生成する。この観点において、論理式が「もし~である場合に、~する」文の観点において規定されていると仮定することにより、「もし~である場合に(If)」節は、トリガイベントを定義するべく、使用することが可能であり、この場合に、「~する(then)」節は、アクションを識別するべく使用される。例えば、これは、以下の形態の規則をもたらしうる。
IF DISTANCE(GasBottle-H2,GasBottle-O2)<5m THEN ANNOUNCE(水素ガスボトルと酸素ガスボトルは、互いに5メートル以内において保存してはならない)
【0150】
特定の一例においては、規則エンジンは、テンプレートリポジトリから規則テンプレートを取得し、且つ、次いで、物体規則を生成するべく、論理式に基づいて、これに入力する。規則テンプレートは、規則が一貫性を有する方式によって定義されることを保証するべく、且つ、出力装置611、612、613のうちの選択されたものを起動するなどの、標準的なアクションを定義するべく、使用することができる。従って、この例においては、設定されたテンプレートは、可聴又は視覚アラート又はこれらに類似したものと関連付けることが可能であり、この場合に、規則エンジンは、実行されるべきアクションの特性に応じて、個々のテンプレートを選択することになろう。また、トリガと関連する条件も、類似の方式により、定義することができよう。例えば、論理式が2つの物体用の近接性境界を定義する場合には、近接性が違反される前に警告が生成されるように、更なるバッファゾーンを生成するべく、テンプレートを使用することができよう。
【0151】
また、規則エンジンは、タグ処理装置601によって実行され、これにより、タグ処理装置601が物体規則を実装することを許容しうる、バイトコードのスニペットの形態の、物体規則コードを生成するように、且つ、具体的には、トリガイベントが発生したかどうかを、且つ、そうである場合には、何のアクションが必要とされているのかを、評価するように、構成することができることを理解されたい。
【0152】
上述のプロセスが稼働するには、特に、物体規則をタグ310にアップロードすることを目的として、但し、更なるその他の目的のためにも、クライアント装置320がタグ310と通信可能であることが好ましい。以下、図8を参照し、このプロセスの一例について説明する。
【0153】
タグ310と通信可能となるには、クライアント装置320は、それぞれのタグ310に割り当てられる一意の識別子であるタグ識別子を判定可能である必要ある。これは、好適な実装形態に応じて、いくつかの異なる方法により、実現することができる。それぞれのケースにおいて、これは、通常、ユーザーが、タグとやり取りするべく使用されるアプリケーションを起動するようにさせることを伴っている。
【0154】
これに後続し、ステップ800において、クライアント装置320は、クライアント装置320の近傍に配置されたいくつかの異なるタグからブロードキャストメッセージを受け取るように動作する。これは、クライアント装置320が、Bluetooth装置をペア化する際に使用される発見動作に類似した方式により、設定された期間にわたって聴取モードにおいて動作するようにさせることにより、簡単に実現することができることを理解されたい。次いで、クライアント装置320は、タグが関連付けられている物体の物体タイプの通知などの、任意のその他の利用可能な情報と共に、受け取られたタグメッセージと関連するタグ識別子の通知を表示することができる。これは、ユーザーが、タグ310との通信を開始するべく、タグ識別子を選択することを許容する。
【0155】
一代替方式においては、タグ310は、タグを識別するべく使用されうる、視覚的又は非視覚的なマーキングを表示しうる。例えば、タグは、例えば、カメラ又はその他の適切なメカニズムを使用することにより、ステップ815においてクライアント装置320によってスキャンされ、これにより、クライアント装置320がステップ820においてタグ識別子を判定することを許容しうる、QRコード(登録商標)又はこれに類似したものなどの、コード化されたデータを含みうるであろう。更なる一代替肢は、例えば、識別子がタグ310上において表示される場合に、ステップ825において、ユーザーがタグ識別子を手動で入力する、というものとなろう。
【0156】
タグ識別子が判定されたら、正しいタグ310が識別されたことを保証するべく、ステップ830において、任意のチェックを実行することができる。一例においては、これは、クライアント装置320が、タグ識別子を使用することにより、メッセージをタグ310に転送するようにさせることにより、実現することが可能であり、この場合に、メッセージは、可聴トーンの生成又はLEDなどの視覚的インジケータの起動などの、タグ310が識別可能な応答を生成するようにするためのトリガとして機能する。誤ったタグが識別された場合には、このプロセスは、必要に応じて、反復することができる。
【0157】
タグ310を正しく識別したら、次いで、必要に応じて、タグ310との間において通信を実行することができる。例えば、これは、例えば、スケジューリングされた維持管理の完了又はこれに類似したものなどの、特定のアクションが、物体との関係において実行された場合に、タグコンテキストを更新するべく、メッセージをタグに送信することを含みうるであろう。
【0158】
従って、一例においては、これは、Bluetoothペア化プロセス又はこれに類似したものの一部分として実行されうるが、これは、必須ではなく、且つ、後続の通信の特性に依存することになることを理解されたい。例えば、規則のアップロードのケースにおいては、大量のデータの転送が必要である場合があり、このケースにおいては、ペア化には、価値がありうる。但し、単一のメッセージが転送される他のシナリオにおいて、これは、不要となりうるであろう。
【0159】
物体規則をタグにアップロードするケースにおいては、ステップ835において、クライアント装置320は、通常、リポジトリ内において保存されている物体規則と関連する物体タイプのリストを取得及び表示することになる。これは、ユーザーが、タグ310が関連付けられるべき、物体のタイプに対応する物体タイプを選択することを許容し、これにより、クライアント装置320が、ステップ840において、選択された物体タイプを判定することを可能にする。次いで、物体タイプは、例えば、サーバー330からこれらを要求することにより、規則が、ステップ845において、規則リポジトリから取得されることを許容するべく、物体タイプを使用することが可能であり、この場合に、これらは、ステップ850において、例えば、クライアント装置が、タグ識別子に従ってタグ310に転送される、1つ又は複数のメッセージを生成するようにさせることにより、クライアント装置320により、タグ310にアップロードされる。一例においては、このような通信は、直接的に実行することができる。或いは、この代わりに、メッセージは、場所ビーコン360のうちの1つ又は複数に転送することが可能であり、且つ、次いで、個々のタグ識別子に従って、関連するタグに転送することができる。
【0160】
以下、図9を参照し、トリガイベントを識別するプロセスの一例について説明する。
【0161】
この例においては、ステップ900において、タグ310が、定義されたスケジュールに従って、或いは、運動センサ625による運動の検出の際に、スリープからウェイクアップする。同時プロセスにおいて、タグ310は、通常、ステップ905においてセンサデータを取得することになり、ステップ915においてコンテキストデータを取得することになり、且つ、ステップ920においてメッセージについて聴取することになる。この観点において、ステップ905において取得されたセンサデータは、ステップ910において、現時点の温度、湿度、空気圧力、又はこれらに類似したものなどの、計測されたパラメータを判定するべく、使用される。メッセージが、ステップ920において受け取られた場合に、これらは、通常、場所ブロードキャストメッセージを含んでおり、この場合には、プロセスは、ステップ925において場所ブロードキャストメッセージからビーコンアイデンティティ及び場所を判定するステップを伴っており、この場合に、これは、ステップ930において、タグ場所を判定するべく使用される。メッセージが別のタグからのブロードキャストメッセージである場合には、これは、ステップ935において、第2タグ310のアイデンティティ及び場所又はその他のコンテキストを判定するべく、使用される。
【0162】
ステップ940において、計測されたパラメータ、取得されたコンテキストデータ、現時点のタグ場所及び物体識別子、並びに、他のタグのコンテキストを含む、以上において判定されたコンテキストデータのそれぞれが、物体規則と比較され、これにより、1つ又は複数のトリガが、ステップ945において識別されることを許容する。この観点において、タグ処理装置611によって実装された仮想機械が、コンテキストデータを変数として使用することにより、タグ用の物体規則に対応するコードスニペットのそれぞれを実行し、これにより、物体規則が、イベントを通知するかどうかを判定することになる。
【0163】
この観点において、範囲の異なるタイプのコンテキストデータを同時に分析することにより、複雑なトリガイベントの識別が許容されることを理解されたい。例えば、これは、物体が、設定されたエリア内に配置され、且つ、別の物体に向かって運動する、且つ、温度などの環境パラメータが、定義された期間にわたって、定義された閾値超である状況が識別されることを許容しうるであろう。そして、これは、複雑な準拠又はその他の物体監視プロセスが実行されることを許容する。
【0164】
ステップ945において、トリガが識別された場合に、プロセスは、アクションが実行されるようにするべく、ステップ950に進んでおり、この場合に、アクションプロセスの一例については、図10を参照して後述する。
【0165】
これに後続して、或いは、その他の方式により、コンテキストデータは、通常、タグ310がステップ960においてスリープモードに戻る前に、例えば、計測されたパラメータの詳細、他のタグの近接性又は当該タグに対する移動、現時点のタグ場所、任意の識別されたトリガイベントの詳細、又は実行されたアクションを記録するべく、ステップ955において、更新されている。次いで、ステップ900~960のプロセスは、タグのエネルギー要件に基づいて設定されうる、既定の時間遅延の後に、反復されることになろう。
【0166】
以下、図10を参照し、アクションを実行するプロセスの一例について説明する。
【0167】
この例においては、ステップ1000において、タグ310は、アクションが、タグにより、且つ/又は、クライアント装置320などの別の装置により、実行される必要があるかどうかを判定する。アクションがタグ310によって実行される場合には、タグ310は、通常、例えば、可聴及び/又は視覚的通知を生成するべく、或いは、定義されたアクションによって必要とされる、物体又は他の機器に送信される制御信号を生成するべく、出力装置611、612、613のうちの1つ又は複数を起動する。
【0168】
これに加えて、且つ/又は、この代わりに、アクションは、別の装置を伴うことも可能であり、このケースにおいては、タグ310は、ステップ1010において、アクションメッセージを生成及びブロードキャストする。アクションメッセージのフォーマット及び内容は、通常、物体規則内において定義されることになり、且つ、これは、例えば、アクションメッセージのフォーマット及び内容の定義、メッセージの宛先、又はこれに類したものを定義するステップを含みうるであろう。アクションメッセージは、クライアント装置に直接的に転送することも可能であり、或いは、この代わりに、場所ビーコン360を介してクライアント装置に転送することもできよう。
【0169】
この後者のケースにおいては、タグ処理装置611は、送信スロットを選択することになり、且つ、選択されたスロットを示す通告ブロードキャストメッセージをブロードキャストすることになる。タグ処理装置611は、その他のタグによって送信された任意の通告ブロードキャストメッセージを受け取ることになり、且つ、選択されたスロットが送信のために利用可能であるかどうかを判定するべく、これを使用することになる。このように仮定することにより、タグ処理装置611は、場所ブロードキャストメッセージが場所ビーコンによって送信されるのを待ち、次いで、個々の通信スロット内にアクションメッセージを搬送する。さもなければ、タグ処理装置611は、異なるスロットを選択し、且つ、スロットが利用可能となる時点まで、プロセスを反復する。アクションメッセージを受け取った際に、ビーコンは、意図された宛先を判定することになり、且つ、相応してアクションメッセージを転送することになる。
【0170】
アクションメッセージがクライアント装置320によって受け取られると仮定すると、ステップ1015において、クライアント装置320は、メッセージがアクション可能であるかどうかを確認することになろう。具体的には、このステップは、例えば、ユーザーが通知又はこれに類似したものを遮断するように、そのクライアント装置320を構成する、などの場合に、メッセージのアクションを不可能にする、任意の設定が存在するかどうかをチェックするステップを伴っている。
【0171】
これに後続して、ステップ1020において、アクションがクライアント装置320により、且つ/又は、サーバー330などの別の装置により、実行する必要があるかどうかが判定されている。例えば、ステップ1030において、クライアント装置は、ユーザーに提示されうる、視覚的及び/又は可聴アラートなどの、通知を生成することができる。これに加えて、且つ/又は、この代わりに、ステップ1025において、クライアント装置320は、サーバー330などの別の処理システムに、アクションメッセージを転送してもよく、次いで、この別の処理システムが、必要に応じて、アクションを実行する。
【0172】
いずれの場合にも、確認メッセージは、クライアント装置320により、ステップ1035において生成され、これは、必要とされるアクションメッセージ内において含まれているタグ識別子に基づいて、タグに提供され、これにより、タグ310がステップ1040においてコンテキストデータを更新することを許容し、これにより、アクションが開始及び/又は完了されたことを反映することができる。
【0173】
従って、上述のシステムは、タグ310が、物体を監視するべく使用されることを許容するべく、メカニズムを提供し、これにより、トリガイベントが、タグのコンテキストに基づいて識別されるようにしており、これにより、アクションが、必要に応じて、実行される。
【0174】
具体的には、システムは、一例においては、絶対的に、概略的に、或いは、その他の物体との関係において、それ自体の場所を特定する能力を有する、且つ、場所、定義された物体用の排除ゾーン、特定のタイプの物体に対する近接性、物体に不適当な環境条件、時刻、又はこれらに類似したものを含む、ローカルに導出されたコンテキストにおいて評価される装着された物体に関連する1つ又は複数の準拠規則を有する物体に装着されうるタグを提供する。一例においては、これは、準拠又はその他の物体規則が違反されたかどうかを判定し、次いで、例えば、外部パーティによってアクションされるべき違反について詳述する音声メッセージなどの通知を通じて違反を通知するために応答を実行するべく、或いは、タグが物体を制御するようにさせる、ロボット又は車両又はこれらに類似したものへの電力をシャットオフするなどのように、物体の更なる運動を無効化するなどのように、物体に影響を及ぼすことによって違反自体を解決するように試みるべく、使用することができる。
【0175】
一例においては、タグは、それが関連付けられた物体のタイプを認知しており、且つ、任意に、場所、範囲、又はこれらに類似したものなどの、更なる情報と共に、これの情報を通告することができる。次いで、関連する物体の特性は、複雑な法的な又はその他の準拠文書及びフレームワークを具現化する物体規則にアクセスするべく使用され、これは、通常は、トリガ及び関連するアクションを定義する条件付き文の形態を有する、プログラムによって表された物体規則の組に変換することができる。この結果、タグが、1つ又は複数の規則の違反を検出するべく、且つ、従って、違反されている規則に固有の1つ又は複数の関連するアクションを実行するべく、ローカルに導出されたコンテキスト情報を使用することにより、物体規則を実質的に連続的に評価可能となるようにすることができる。
【0176】
これは、複雑な振る舞いが規則内において実施されることを許容することが可能であり、この場合に、トリガが、物体及び環境内のその他の物体に関係するコンテキスト情報に基づいて識別されている。例えば、タグが、Hガスボトルに割り当てられている場合には、タグが、それ自身の場所及び任意の近傍のOガスボトルの場所を評価するようにする規則を定義することができる。規則が、評価され、且つ、近接性制限が違反されている場合には、規則は、この物体が規則に違反しており、且つ、アクションが実行される必要があるという、発話の文章又は事前に記録された発話を使用したアナウンス、或いは、視覚的インジケータの表示などの、対応するアクションをトリガすることになる。
【0177】
このシステムは、ロボットアプリケーションに適用することが可能であり、この一例は、それ自体をローカライズすることができる、且つ、その他のタグ及び/又は場所に対する近接性に基づいて準拠の違反に関係する1つ又は複数の規則を有することができる能力を、テレプレゼンスに付与する。タグは、場所、その他の物体との関係における状態、排除ゾーン、フロアマップなどのような準拠をプログラムによって表す規則のコンポーネント及び規則との関連において、マップデータを使用しうるであろう。これらの規則及び準拠は、タグとの直接的なピアツーピア通信により事前に読み込まれてもよく、動的に読み込まれてもよく、或いは、ほぼリアルタイムで提供されてもよい。これらは、ロボットが、許容されていないエリア内に自身が存在しうることを理解するための、且つ、ロボットが、だれかが来てそのエリアから外に出されるまでそこに留まるようにロボットの電力を停止するなどのような、その状況を取り扱うための適切なアクションを実行するための、固有の能力をロボットに付与する。
【0178】
別の例においては、車両、ツール、又はこれらに類似したものなどの機器は、機器に関連する動作要件に関する規則を定義したタグを装備しうるであろう。動作要件は、機器の周りの排除ゾーン、認可された操作者に関する情報、又はこれらに類似したものを定義しうるであろう。この例においては、認可された操作者には、ユーザーが機械を使用するための許可を提供するタグを提供することができよう。認可されていないユーザーが、機器の定義された近接性内において検出された場合には、アラーム又は通知を生成することができよう。
【0179】
従って、上述のシステムは、低電力の場所特定エンジンを利用し、且つ、物体に固有に設定された準拠規則によってこれを強化することにより、リアルタイムの原位置準拠チェック及びアクションを実行するべく、低電力の安価なタグの使用を可能にする。タグは、装着されている物体をタグが認知しており、且つ、従って、物体に対応する準拠規則のサブセットを使用しうる、という点において、基本的に自己認知型である。これに加えて、装置は、その他の物体と関連するタグが、物体との関係においてその規則を評価しうるように、自身が装着された物体のプロパティを通告する。
【0180】
システムは、制限されたエリア内に存在する、或いは、物体の別の特定のタイプとの関係における人々に加えて、ポリシー文書に基づいた多くのその他の変動を含む、物体などの準拠ポリシーの違反が発生した時点を通知しうる、という点において、調節技術用途のために広範に使用することができる。但し、病院内の免疫不全患者が過度に近接して存在している時、制限エリア(即ち、指定されたパドックの外側)内に家畜が進入した場合の通知の提供、進入が許されていないエリアに進入した場合、スタッフが特定の機器の使用又は特定の部屋へのアクセスのための資格を有していない場合、の場所に基づいたセンサ/キルスイッチなどの、一般的な状態チェックの多数の用途が存在する。
【0181】
本明細書及び添付の請求項の全体を通じて、文脈が、そうではない旨を必要としていない限り、「有する(comprise)」という単語、並びに、「有する(comprises)」又は「有する(comprising)」などの変形は、記述されている完全体(integer)又は完全体若しくはステップのグループの包含を意味し、且つ、任意のその他の完全体若しくは完全体のグループの排除を意味するものではないことを理解されたい。
【0182】
当業者は、多数の変形及び変更が明らかとなることを理解するであろう。このような、当業者には明らかとなるすべての変動及び変更は、以上において広範に表現されている本発明の精神及び範囲に含まれるものと見なされたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0183】
【文献】米国特許出願公開第2017/046945号明細書
【文献】米国特許第9,824,571号明細書
【文献】国際特許出願第PCT/AU2017/051175号明細書
【文献】国際特許出願第PCT/AU2017/051315号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10