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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】顔認証システムおよび顔認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20241023BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241023BHJP
   G06V 40/16 20220101ALI20241023BHJP
   G07C 9/37 20200101ALI20241023BHJP
【FI】
G06T7/60 180D
G06T7/00 510F
G06T7/00 660B
G06V40/16
G07C9/37
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021027458
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128965
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】青木 真路
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
G07C 9/37
G06V 40/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから複数の顔領域を検出する顔検出部と、
前記複数の顔領域の重なりを判定する顔重なり判定部と、
前記画像データから前記複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出する体検出部と、
前記複数の体領域の重なりを判定する体重なり判定部と、
前記体重なり判定部により最前と判定された前記体領域に対応する前記顔領域を用いて顔認証を行う顔認証部と、を含む、顔認証システム。
【請求項2】
前記顔重なり判定部により前記複数の顔領域が重ならないと判定されたとき、前記体検出部によって前記複数の顔領域のそれぞれに対応する前記複数の体領域が検出される、請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記複数の体領域には、頭部、胴部、腕部、または脚部が含まれ、
前記体重なり判定部は、前記頭部、前記胴部、前記腕部、または前記部の重なりを判定する、請求項1または請求項2に記載の顔認証システム。
【請求項4】
画像データから複数の顔領域を検出し、
前記複数の顔領域の重なりを判定し、
前記画像データから前記複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出し、
前記複数の体領域の重なりを判定し、
前記複数の体領域の重なりの判定により最前と判定された前記体領域に対応する前記顔領域を用いて顔認証を行う、顔認証方法。
【請求項5】
前記複数の顔領域が重ならないと判定されたとき、前記複数の顔領域のそれぞれに対応する前記複数の体領域が検出される、請求項4に記載の顔認証方法。
【請求項6】
前記複数の体領域には、頭部、胴部、腕部、または脚部が含まれ、
前記頭部、前記胴部、前記腕部、または前記部の重なりが判定される、請求項または請求項5に記載の顔認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、顔認証システムおよび顔認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行中の人物を撮影し、その人物の顔認証を行う、いわゆるウォークスルー型の顔認証システムを利用して、入場者に対して入場管理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ウォークスルー型の顔認証システムは、歩行中の人物(入場者)が入場ゲートに到達するまでに認証処理を完了し、入場者に対して入場許可判定を行うことができる。そのため、ウォークスルー型の顔認証システムは、入場者への負担が少なく、利便性が高いと言える。
【0003】
また、近年、インフルエンザウイルスまたはコロナウイルスなどの感染症の拡大を防止するため、人物の温度測定(体温測定)を行い、入場を管理する機会が増えている。例えば、特許文献2には、入場者の個人認証および温度測定を行う認証装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-1790号公報
【文献】特開2012-219539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウォークスルー型の顔認証システムでは、入場時または退場時に複数の人が列になって並ぶ場合があり、この場合、撮影された映像には、複数の人物が映り込む。映像に含まれる複数の顔を検出し、それぞれに対して顔認証を行うこともできるが、顔認証を行う人数が増えることで演算量が増え、演算コストが増大する。顔の大きさを用いて優先順位をつけ、演算量を削減する方法もあるが、例えば、前に子供、後ろに大人の顔があった場合、検出された人の顔の大きさが似たような場合において、優先順位を正しく判定することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度が向上した顔認証システムを提供することを目的の一つとする。また、顔の大きさが似たような場合においても優先順位を正しく判定することができる顔認証システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る顔認証システムは、画像データから複数の顔領域を検出する顔検出部と、複数の顔領域の重なりを判定する顔重なり判定部と、画像データから複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出する体検出部と、複数の体領域の重なりを判定する体重なり判定部と、体重なり判定部により最前と判定された体領域に対応する顔領域を用いて顔認証を行う顔認証部と、を含む。
【0008】
顔重なり判定部により複数の顔領域が重なると判定されたとき、体検出部によって複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域が検出されてもよい。
【0009】
複数の体領域には、頭部、胴部、腕部、または脚部が含まれ、体重なり判定部は、頭部、胴部、腕部、または腕部の重なりを判定してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る顔認証方法は、画像データから複数の顔領域を検出し、複数の顔領域の重なりを判定し、画像データから複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出し、複数の体領域の重なりを判定し、複数の体領域の重なりの判定により最前と判定された体領域に対応する顔領域を用いて顔認証を行う。
【0011】
複数の顔領域が重なると判定されたとき、複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域が検出されてもよい。
【0012】
複数の体領域には、頭部、胴部、腕部、または脚部が含まれ、頭部、胴部、腕部、または腕部の重なりが判定されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態に係る顔認証システムは、画像データから最前の人物を特定し、特定された人物に対してのみ顔認証が行われる。そのため、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る顔認証システムの構成を説明する模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る顔認証システムの撮像装置によって撮影された映像を説明する模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る顔認証システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る顔認証システムで実行される顔認証処理のフローチャート図である。
図5】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの配置図である。
図6】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
図8】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
図9】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける退場処理のフローチャート図である。
図10】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの外観を示す模式的な斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの内部構成を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物が設置される場合、構造物が通常設置される設置面側を「下」または「下方」とする。
【0017】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0018】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、小文字または大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0019】
本明細書において、「映像」とは、静止画像だけでなく、動画像を含む場合がある。
【0020】
本明細書において、「対象者」とは、入場および退場が管理される者であって、例えば、建設現場の作業者またはイベント施設もしくはイベント会場の利用者などである。
【0021】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0022】
<第1実施形態>
図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る顔認証システム10について説明する。
【0023】
[1.顔認証システム10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る顔認証システム10の構成を説明する模式図である。
【0024】
図1に示すように、顔認証システム10は、情報処理装置11、撮像装置12、および黒体炉13を含む。情報処理装置11は、撮像装置12の近傍に配置されているが、情報処理装置11の配置はこれに限られない。情報処理装置11は、撮像装置12と有線または無線によって通信接続されていればよく、撮像装置12が配置されている場所とは異なる場所に配置することもできる。撮像装置12は、天井面に配置され、通行する1人または複数人の人物を撮像することができる。以下では、撮像装置12が複数の人物A~Eを撮影しているとして説明する場合がある。なお、撮像装置12の配置はこれに限られない。撮像装置12は、壁面に配置されていてもよい。黒体炉13は、撮像装置12から一定の距離を有し、撮像装置12と対向する位置の天井面に配置されている。但し、黒体炉13の配置は、これに限られない。黒体炉13は、壁面または天井面などに配置されていてもよい。なお、黒体炉13は、撮像装置12によって、複数の人物A~Eとともに撮影される。
【0025】
情報処理装置11は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。情報処理装置11は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、例えば、演算手段として中央演算処理装置(Central Proceessing Unit:CPU)および記憶手段として記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、ランダムアクセスメモリ(Ramdom Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、またはハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)などである。
【0026】
撮像装置12は、複数の人物A~Eおよび黒体炉13を撮影し、可視光領域の画像データを生成することができる。撮像装置12は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの固体撮像素子を含むカメラである。撮像装置12は、可視光領域の画像データだけでなく、赤外光領域の温度分布データを生成することができる。すなわち、撮像装置12は、可視光領域の画像データの映像に対応する温度分布データを取得することができる。撮像装置12は、1つのカメラで可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを生成してもよく、2つのカメラを備え、一方のカメラが可視光領域の画像データを生成し、他方のカメラが赤外光領域の温度分布データを生成してもよい。
【0027】
黒体炉13は、熱放射により設定された温度に応じた赤外波長域のスペクトルの電磁波を発している。すなわち、所定の温度(基準温度)に対応する赤外光を放射することができる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る顔認証システム10の撮像装置12によって撮影された映像を説明する模式図である。
【0029】
図1に示すように、人物A~Eは、この順に撮像装置12から離れているが、撮像装置12が複数の人物A~Eを撮影すると、図2に示すように、人物A~Eが重なった映像が取得される。すなわち、人物A~Eが重なった画像データが生成される。具体的に説明すると、人物Aは、顔の一部のみが画像データに含まれている。人物Bの体(腕部、および胴部)は、人物Aの体(頭部、胴部、および腕部)と重なっている。人物Cの体(腕部)は、人物Bの体(腕部)と重なっている。人物Dの体(頭部、腕部、胴部、および脚部)は、人物Cの体(頭部、腕部、胴部、および脚部)と重なっている。人物Eの体(腕部)は、人物Dの体(腕部)と重なっている。本実施形態にに係る顔認証システム10では、映像の中に重なった複数の人物が含まれる場合、最前の人物を判定し、その最前の人物について顔認証を行うことができる。そのため、顔認証システム10は、映像(画像データ)に含まれる全ての人物に対して顔認証を行うのではなく、最前の人物を対象として顔認証を行うことができるため、顔認証における演算量を減らすことができる。
【0030】
図3は、本発明の一実施例に係る顔認証システム10の構成を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、顔認証システム10の情報処理装置11は、顔検出部11a、顔重なり判定部11b、体検出部11c、体重なり判定部11d、顔認証部11e、温度情報取得部11f、および記憶部11gを含む。なお、顔検出部11a、顔重なり判定部11b、体検出部11c、体重なり判定部11d、および顔認証部11eは、プログラムに基づいて所定の処理を実行することができる。
【0032】
顔検出部11aは、画像データから1つまたは複数の顔領域を検出することができる。顔検出部11aは、画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの特徴点および特徴点の数を抽出し、これらの特徴点の相対的位置から人物の顔を含む顔領域を検出することができる。また、顔検出部11aは、画像データに対してエッジ処理を実行し、人物の頭部の輪郭と近似した楕円形のエッジ分布を抽出し、エッジ分布に囲まれた領域を顔領域として検出することもできる。また、顔検出部11aは、予め登録された顔形状モデルと照合させて類似度を算出し、所定の類似度以上の領域を顔領域として検出することもできる。
【0033】
例えば、図2に示すような画像データである場合、人物B~人物Eの顔領域が検出される。人物Aは、顔領域を生成しようとすると、顔領域の輪郭が画角からはみ出すことになるため、人物Aの顔領域は検出されない。
【0034】
また、顔検出部11aは、検出した顔領域の数をカウントすることができる。
【0035】
顔重なり判定部11bは、複数の顔領域の重なりを判定することができる。顔重なり判定部11bは、複数の顔領域の中から任意の2つの顔領域を選択し、それらが重なっているかどうかを判定することができる。また、顔重なり判定部11bは、顔領域の重なりがある場合、顔領域に含まれる特徴点の数または大きさなど比較し、特徴点の数が多い顔領域または特徴点の大きさが大きい顔領域を最前の顔領域であると判定することができる。
【0036】
例えば、図2に示すような画像データである場合、人物Bの顔領域と人物C~Eの顔領域とは重なっていない。これに対して、人物Cの顔領域と人物Dの顔領域とは重なっている。この場合、複数の顔領域が検出された画像データの中に、少なくとも1つの重ならない顔領域が含まれているため、顔領域のみでは最前の顔領域を特定することができない。そのため、顔重なり判定部11bは、最前の顔領域が特定されないと判定する。画像データの中に、人物Cの顔領域と重なる人物Dの顔領域が検出される。顔重なり判定部11bは、人物Cの顔領域の特徴点の数と人物Dの顔領域の特徴点との数を比較し、人物Dの特徴点数が人物Cの特徴点数より少ないことを検出すると、人物Cと人物Dとが重なっていると判定し、人物Dは顔認証の対象とされない。
【0037】
体検出部11cは、画像データから複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出することができる。体検出部11cは、例えば、画像データの中から体を構成する部位である頭部、胴部、腕部、または脚部などの特徴点を抽出し、これらの特徴点の相対的位置から人物の体を含む体領域を検出することができる。また、体検出部11cは、検出された頭部の位置と顔領域との位置とを比較し、複数の顔領域のそれぞれに検出された複数の体領域を対応させる(または紐付ける)ことができる。
【0038】
体重なり判定部11dは、複数の体領域の重なりを判定することができる。体重なり判定部11dは、複数の体領域の中から任意の2つの体領域を選択し、それぞれの体領域に含まれる頭部、胴部、腕部、または脚部などを比較し、2つの体領域が重なっているかどうかを判定することができる。また、体重なり判定部11dは、複数の体領域の重なりの判定を繰り返し、最前の体領域を特定することができる。最前の体領域が特定された場合、体重なり判定部11dは、最前の体領域に対応する顔領域が最前の顔領域であると判定することができる。
【0039】
例えば、図2に示すような画像データである場合、体重なり判定部11dは、人物Eの腕部が人物Dの腕部と重なっていると判定し、その重なりから人物Dが人物Eの前であると判定する。また、体重なり判定部11dは、人物Dの頭部、腕部、胴部、および脚部が人物Cの頭部、腕部、胴部、および脚部と重なっていると判定し、その重なりから人物Cが人物Dの前であると判定する。また、体重なり判定部11dは、人物Cの腕部が人物Bの腕部と重なっていると判定し、その重なりから人物Bが人物Cの前であると判定する。人物Bの腕部および胴部は、人物Aの頭部、胴部、および腕部と重なっている。人物Aは、体領域に対応する顔領域がないと判断され、人物Aと人物Bとでは体領域の重なり判定が行われない。以上の情報を基に、体重なり判定部11dは、人物Bの体領域が最前の体領域と特定し、最前の体領域に対応する人物Bの顔領域が最前の顔領域であると判定する。すなわち、人物Bが顔認証の対象者であることが特定される。
【0040】
顔認証部11eは、最前の顔領域に含まれる顔画像データを抽出し、記憶部11gの登録顔画像データと照合し、人物を特定することができる。顔認証部11eは、顔画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの大きさ、方向、または相対的位置などの特徴点を検出することができる。また、顔認証部11eは、顔の輪郭を特徴点として検出することもできる。顔認証部11eは、検出された特徴点を、記憶部11gに格納された登録情報の登録顔画像データの特徴点と比較し、類似度を算出する。顔認証部11eは、類似度の最も高い登録情報の登録者が人物であると特定することができる。
【0041】
なお、顔認証システム10が建設現場で利用されるとき、人物がヘルメットおよびマスクを着用している場合がある。特に、人物がマスクを着用している場合には、鼻および口がマスクで覆われるため、検出される特徴点が少なくなる。そのため、顔認証部11eは、顔画像データに対してマスクの着用の判定処理を行い、マスクが着用されていると判定された場合には、特徴点として目の優先順位を高くするような重み付けを行い、類似度を算出することもできる。
【0042】
温度情報取得部11fは、温度分布データから最前の顔領域の位置に対応する温度を温度情報として取得することができる。取得された温度情報は、特定された人物の体温に相当する。
【0043】
記憶部11gは、顔認証において照合される登録者の登録情報を格納することができる。登録情報は、顔画像データと照合するための登録顔画像データを含み、データベースであってもよい。記憶部11gは、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)またはハードディスクドライブ(HDD)などのメモリまたはストレージである。
【0044】
本実施形態に係る顔認証システム10は、上述の構成に限られない。顔認証システム10は、上述した構成以外の構成を含んでいてもよい。例えば、情報処理装置11と撮像装置12とが無線で通信接続を行う場合には、情報処理装置11および撮像装置12の各々に、データまたは情報を送受信するための通信部が含まれていてもよい。
【0045】
[2.顔認証システム10の顔認証処理(ステップS100)]
図4は、本発明の一実施形態に係る顔認証システム10で実行される顔認証処理(ステップS100)のフローチャート図である。
【0046】
顔認証処理(ステップS100)は、ステップS110の実行により開始する。
【0047】
ステップS110では、撮像装置12が、画像データおよび温度分布データを生成する。生成された画像データおよび温度分布データは、撮像装置12から情報処理装置11に送信される。なお、以下では、画像データに、図2に示す複数の人物A~Eの情報が含まれているとして説明する。
【0048】
ステップS120では、顔検出部11aが、画像データから1つまたは複数の顔領域を検出する。
【0049】
ステップS130では、顔検出部11aが、検出した顔領域の数をカウントする。顔領域の数が1つである場合(ステップS130:NO)、ステップS170が実行される。顔領域の数が複数である場合(ステップS130:YES)、ステップS140が実行される。
【0050】
ステップS140では、顔重なり判定部11bが、複数の顔領域の重なりを判定する。複数の顔領域の重なりから最前の顔領域が特定された場合(ステップS140:YES)、ステップS170が実行される。複数の顔領域の少なくとも1つが重ならない場合、または複数の顔領域の重なりから最前の顔領域が特定されない場合(ステップS140:NO)、ステップS150が実行される。
【0051】
ステップS150では、体検出部11cが、画像データから複数の顔領域のそれぞれに対応する複数の体領域を検出する。
【0052】
ステップS160では、体重なり判定部11dが、複数の体領域の重なりを判定する。複数の体領域の重なりから最前の体領域が特定された場合(ステップS160:YES)、最前の体領域に対応する顔領域が最前の顔領域と判定され、ステップS170が実行される。複数の体領域の重なりから最前の体領域が特定されない場合(ステップS160:NO)、ステップS165が実行される。
【0053】
ステップS165では、顔認証部11eが、全ての顔領域に含まれる顔画像データを、記憶部11gの登録顔画像データと照合する。これにより、画像データに含まれる全ての人物が特定される。
【0054】
ステップS170では、顔認証部11eが、最前の顔領域に含まれる顔画像データを、記憶部11gの登録顔画像データと照合する。これにより、画像データに含まれる最前の人物が特定される。なお、顔画像データの数を検出できない場合には、顔認証部11eによる照合処理が行われない。
【0055】
ステップS180では、温度情報取得部11fが、温度分布データから最前の顔領域の位置に対応する温度情報を取得する。これにより、特定された人物の体温が検出される。
【0056】
顔認証処理(ステップS100)は、ステップS180の実行により、終了する。
【0057】
以上、説明したように、顔認証システム10は、画像データから最前の人物を特定し、特定された人物に対してのみ顔認証が行われる。そのため、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度を向上させることができる。
【0058】
<第2実施形態>
図5図9を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20について説明する。以下では、一例として、入退場管理システム20が建設現場に設置されているものとし、入退場管理システム20を利用した建設現場の作業者(対象者)の入退場管理について説明する。
【0059】
[1.入退場管理システム20の構成]
図5は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の配置図である。入退場管理システム20は、第1のゲート100と第1のゲート100に対向する第2のゲート110とを接続する通路120内に設置されて利用される。建設現場は第2のゲート110の先にあり、対象者は、第2のゲート110を通り抜け、建設現場に入場することができる。すなわち、入退場管理システム20は、建設現場の出入口に設置することができる。図5(A)および図5(B)は、入退場管理システム20の配置は同一であるが、それぞれ、対象者の入場時および退場時を示している。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1のゲート100から進入し、入退場管理システム20を利用した入場処理が行われ、第2のゲート110から退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2のゲート110から進入し、入退場管理システム20を利用した退場処理が行われ、第1のゲート100から退出する。したがって、対象者は、建設現場への入場だけでなく退場においても、入退場管理システム20を用いて入退場管理(入場処理および退場処理)が行われる。
【0060】
なお、図5では、第1のゲート100および第2のゲート110が示されているが、第1のゲート100および第2のゲート110は明確に設置されていなくてもよい。例えば、通路120の途中に入退場管理システム20が設置され、入退場管理システム20が設けられた通路120の一方の端が第1のゲート100となり、他方の端が第2のゲート110となる場合がある。この場合であっても、対象者が通路120を通る際に入退場管理システム20を利用するため、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0061】
図5(A)および図5(B)に示すように、入退場管理システム20は、第1の情報処理装置200、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、警告装置230、黒体炉240、第2の情報処理装置300、第2の撮像装置310、第2の表示装置320、および第3の情報処理装置400を含む。第1の情報処理装置200、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、警告装置230、および黒体炉240は、対象者の入場処理において利用される。第2の情報処理装置300、第2の撮像装置310、および第2の表示装置320は、対象者の退場処理において利用される。第3の情報処理装置400は、対象者の入退場管理処理において利用される。
【0062】
詳細は図示しないが、第1の撮像装置210、第1の表示装置220、および警告装置230は、第1の情報処理装置200と接続されている。また、第2の撮像装置310および第2の表示装置320は、第2の情報処理装置300と接続されている。さらに、第1の情報処理装置200および第2の情報処理装置300は、第3の情報処理装置400と接続されている。なお、これらの接続は、有線による接続であってもよく、無線による接続であってもよい。
【0063】
第1の撮像装置210、第1の表示装置220、および警告装置230は、第2のゲート110の近傍に配置されている。第1の撮像装置210は、例えば、通路120の天井面または壁面に配置されている。第1の撮像装置210は、第1のゲート100から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。第1の撮像装置210は、歩行している対象者および黒体炉240を撮影することができ、対象者は、必ずしも第1の撮像装置210の前で停止する必要はない。黒体炉240は、第1の撮像装置210の画角内であって、第1の撮像装置210から適切な距離に設置されている。第1の情報処理装置200は、撮影した対象者を照合し、または対象者の体温を取得することができる。第1の情報処理装置200は、通路120内に設置されていてもよく、通路120外に配置されていてもよい。第1の表示装置220は、対象者の照合結果を表示することができる。対象者は、第1の表示装置220の画面に表示された照合結果を確認し、第2のゲート110から退出することができる。警告装置230は、対象者の体温がしきい値を超える場合に作動し、体温の異常が認められることを対象者に通知する。
【0064】
同様に、第2の撮像装置310および第2の表示装置320は、第1のゲート100の近傍に配置されている。通路120の天井面または壁面に配置された第2の撮像装置310は、第2のゲート110から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。通路120内または通路120外に配置された第2の情報処理装置300は、撮影した対象者を照合することができる。対象者は、第2の表示装置320の画面に表示された照合結果を確認し、第1のゲート100から退出することができる。
【0065】
入退場管理システム20では、対象者が建設現場に入場するときには対象者の体温を検出するが、対象者が建設現場から退場するときには対象者の体温を検出していない。但し、入退場管理システム20は、対象者が退場するときに対象者の体温を検出してもよい。その場合、入退場管理システム20は、対象者の入場時と退場時の体温を比較し、所定の温度差であったときに、警告装置を作動させて体温の異常が認められることを対象者に通知することができる。
【0066】
なお、上述した装置の配置は一例であって、本実施形態に係る入退場管理システム20の装置の配置はこれに限られない。
【0067】
以下では、入退場管理システム20の各装置の構成について説明する。なお、以下では、入退場管理システム20が顔認証システム10と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0068】
第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400の各々は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400は、1つのコンピュータであってもよく、それぞれが処理可能な複数のコンピュータであってもよい。
【0069】
第1の撮像装置210は、顔認証システム10の撮像装置12と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。第2の撮像装置310は、少なくとも可視光領域の映像を撮像することができればよく、第1の撮像装置210と同様のカメラであってもよい。
【0070】
第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、情報を映像信号に変換し、情報に関する映像を画面に表示することができる。第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、例えば、液晶表示装置またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置である。また、第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、入力装置を備えていることが好ましく、例えば、画面上の表示に触れて操作することができるタッチパネルを含んでいてもよい。この場合、第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々が入力装置を備える場合、第1の表示装置220および第2の表示装置320の各々は、入力装置による入力操作が行われたことを示す操作情報を生成することができる。
【0071】
警告装置230は、異常が発生したことを対象者に知らせることができる装置であり、例えば、警告灯または警告音を発するスピーカーなどである。また、警告装置230は、電光掲示板であってもよい。警告装置230は、第1の情報処理装置200からの制御信号を受信し、作動することができる。
【0072】
黒体炉240は、顔認証システム10の黒体炉13と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
以下では、図6を参照して、入退場管理システム20の各装置の構成について、さらに詳細に説明する。
【0074】
図6は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の構成を示すブロック図である。
【0075】
図6に示すように、入退場管理システム20の第1の情報処理装置200は、第1の顔検出部1010、第1の顔重なり判定部1020、第1の体検出部1030、第1の体重なり判定部1040、第1の顔認証部1050、温度情報取得部1060、入場者情報処理部1070、および第1の記憶部1080を含む。また、第2の情報処理装置300は、第2の顔検出部1110、第2の顔重なり判定部1120、第2の体検出部1130、第2の体重なり判定部1140、第2の顔認証部1150、退場者情報処理部1170、および第1の記憶部1080を含む。また、第3の情報処理装置400は、入退場管理情報処理部1210および入退場管理情報記憶部1220を含む。
【0076】
なお、各装置の構成は、図6に示すものに限られない。例えば、第1の撮像装置210が、第1の顔検出部1010などを含んでいてもよい。
【0077】
第1の顔検出部1010および第2の顔検出部1110は、顔認証システム10の顔検出部11aと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0078】
第1の顔重なり判定部1020および第2の顔重なり判定部1120は、顔認証システム10の顔重なり判定部11bと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0079】
第1の体検出部1030および第2の体検出部1130は、顔認証システム10の体検出部11cと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0080】
第1の体重なり判定部1040および第2の体重なり判定部1140は、顔認証システム10の体重なり判定部11dと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0081】
第1の顔認証部1050および第2の顔認証部1150は、顔認証システム10の顔認証部11eと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
温度情報取得部1060は、顔認証システム10の温度情報取得部11fと同様の構成である。さらに、温度情報取得部1060は、温度情報に基づいて、対象者の体温の正常または異常を判定することができる。例えば、温度情報取得部1060は、温度情報の温度がしきい値以上である場合、対象者の体温が異常であると判定することができる。
【0083】
第1の記憶部1080および第2の記憶部1180は、顔認証システム10の記憶部11gと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
入場者情報処理部1070は、特定された対象者の体温が異常と判定された場合に制御信号を生成することができる。生成された制御信号は、警告装置230に送信される。また、入場者情報処理部1070は、特定された登録者の登録者情報、顔画像データ、温度情報、および入場日時情報が紐付けられた入場者情報を生成することができる。
【0085】
また、入場者情報処理部1070は、第1の表示装置220からの操作情報を受信したか否かを判定することができる。操作情報が受信されなかった場合、入場者情報が第3の情報処理装置400に送信される。
【0086】
退場者情報処理部1170は、特定された登録者の登録者情報、顔画像データ、および退場日時情報が紐付けられた退場者情報を生成することができる。また、退場者情報処理部1170は、第2の表示装置320からの操作情報を受信したか否かを判定することができる。操作情報が受信されなかった場合、退場者情報が第3の情報処理装置400に送信される。
【0087】
入退場管理情報処理部1210は、入場者情報および退場者情報を受信し、これらが紐付けられた入退場管理情報を生成または更新することができる。入退場管理情報はデータベースであってもよい。例えば、入退場管理情報処理部1210は、入場者情報および退場者情報に含まれる情報を項目とたデータベースを生成または更新することができる。入退場管理情報は、例えば、入場日時、退場日時、入場時の顔画像データ、退場時の顔画像データ、温度情報、所属、または氏名などの情報を含む。
【0088】
入退場管理情報記憶部1220は、入退場管理情報処理部1210によって生成または更新された入退場管理情報を格納することができる。
【0089】
本実施形態に係る入退場管理システム20の構成は、上述の構成に限られない。入退場管理システム20は、上述した構成以外の構成を含んでいてもよい。例えば、第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400の各々が無線で通信接続を行う場合には、第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400の各々に、データまたは情報を送受信するための通信部が含まれていてもよい。
【0090】
また、入退場管理システム20の利用は、建設現場における入退場管理に限られない。例えば、イベント施設またはイベント会場の出入口に入退場管理システム20を設置し、利用者の入退場管理を行うこともできる。イベント施設への入退場管理システム20の設置の一例としては、利用者の顔画像データを登録させてチケットを販売する場合が挙げられる。この場合、利用者はウォークスルーでイベント施設へ入退場できるとともに、後に、利用者の中にインフルエンザウイルスまたはコロナウイルスの感染者がいたことが判明した場合であっても、入退場管理システム20を用いて利用者がイベント施設への入場の抑制することができる。もし利用者が入退場していた場合であっても、入退場管理システム20を用いて後から入場者の状況を確認することができる。
【0091】
[2.入退場管理システム20の入場処理(ステップS1000)]
図7および図8は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の入場処理(ステップS1000)を示すフローチャート図である。具体的には、図7は、第1の情報処理装置200および第3の情報処理装置400で実行される処理を示し、図8(A)は、警告装置230において処理される例を示し、図8(B)は、第1の表示装置220において処理される例を示している。
【0092】
入場処理(ステップS1000)のステップS1010~ステップS1080の処理は、それぞれ、顔認証システム10の顔認証処理(ステップS100)のステップS110~ステップS180の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0093】
ステップS1090では、入場者情報処理部1070が、入場者情報を生成する。生成された入場者情報は、第1の表示装置220に送信される。ステップS1090の後は、表示処理(ステップS1100)が実行される。
【0094】
表示処理(ステップS1100)の詳細は後述するが、ステップS1100では操作情報が生成される場合がある。なお、ステップS1100の後は、ステップS1110が実行される。
【0095】
ステップS1110では、入場者情報処理部1070が、操作情報を受信したかを判定する。操作情報を受信したと判定するには、例えば、第1の情報処理装置200が、一定の時間内に操作情報を受信することを条件とすることができる。第1の情報処理装置200が操作情報を受信した場合(ステップS1110:YES)、ステップS1010が実行される。第1の情報処理装置200が操作情報を受信しなかった場合(ステップS1110:NO)、入場者情報が第3の情報処理装置400に送信され、ステップS1120が実行される。
【0096】
ステップS1120では、温度情報取得部1060が、温度情報に基づいて、対象者の体温の正常または異常を判定する。体温が正常である場合(ステップS1120:YES)、ステップS1150が実行される。体温が異常である場合(ステップS1120:NO)、ステップS1130が実行される。
【0097】
ステップS1130では、入場者情報処理部1070が、制御信号を生成する。生成された制御信号は、警告装置230に送信される。ステップS1130の後は、警告処理(ステップS1140)が実行される。
【0098】
警告処理(ステップS1140)の詳細は後述するが、ステップS1140の後は、ステップS1150が実行される。
【0099】
ステップS1150では、入退場管理情報処理部1210が、入場者情報をデータベース化した入退場管理情報を生成し、または更新する。入退場管理情報は、入退場管理情報記憶部1220に格納される。
【0100】
生成または更新された入退場管理情報が入退場管理情報記憶部1220に格納されると、入場処理(ステップS1000)は終了する。
【0101】
ここで、図8(A)を参照して、警告処理(ステップS1140)について説明する。
【0102】
ステップS1141では、警告装置230が、制御信号を受信する。
【0103】
ステップS1142では、警告装置230が、制御信号に基づいて作動する。対象者は、警告装置230の作動により、自分自身の体温が高いことを認識することができる。警告装置230が作動すると、警告処理(ステップS1140)は終了する。
【0104】
また、図8(B)を参照して、表示処理(ステップS1100)について説明する。
【0105】
ステップS1101では、第1の表示装置220が、入場者情報を受信する。
【0106】
ステップS1102では、第1の表示装置220が、入場者情報を映像信号に変換し、第1の表示装置220の画面に入場者情報に関する映像を表示する。このとき、第1の表示装置220の画面には、対象者の顔認証結果が表示されている。そのため、対象者は、第1の表示装置220の画面を見て、顔認証結果が正しいか否かを確認することができる。
【0107】
ステップS1103では、第1の表示装置220が、画面に表示されている顔認証結果が正しいか否かを判定する。具体的には、顔認証結果の確度に基づき第1の表示装置220に検出対象者を表示することができる。なお、顔認証結果の確度に対して閾値を設け顔認証結果が判定されてもよい。第1の表示装置220は、対象者によって正しいか否かを判定し、誤検出の場合は対象者に誤検出であると操作ボタン等で入力してもらうことができる。誤検出に対する入力操作が行われた場合(ステップS1103:YES)、ステップS1134が実行される。誤検出に対する入力操作が行われなかった場合(ステップS1103:NO)、表示処理(ステップS1100)は終了する。
【0108】
ステップS1104では、第1の表示装置220が、誤検出の入力操作が行われたことを示す操作情報を生成する。生成された操作情報は、第1の情報処理装置200に送信され、教師データとして再学習時に利用される。操作情報が生成されると、表示処理(ステップS1100)は終了する。
【0109】
なお、上記では、顔認証処理が行われた後で、表示処理(ステップS1100)および警告処理(ステップS1140)が順に行われる例を示したが、表示処理(ステップS1100)と警告処理(ステップS1140)との順序は逆であってもよい。
【0110】
[3.入退場管理システム20の退場処理(ステップS2000)]
図9は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の退場処理(ステップS2000)を示すフローチャート図である。具体的には、図9は、第2の情報処理装置300および第3の情報処理装置400で実行される処理を示している。
【0111】
退場処理(ステップS2000)は、対象者の体温に関する処理(例えば、温度分布データの取得処理、温度情報の取得処理、または警告処理など)が行われないが、入場処理(ステップS1000)とほぼ同様の処理が行われる。退場処理(ステップS2000)のステップS2010~ステップS2070、およびステップS2090~ステップS2110の処理は、それぞれ、入場処理(ステップS1000)のステップS1010~ステップS1070、ステップS1100、およびステップS1090~ステップS1110の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS2110の後は、ステップS2150が実行される。
【0112】
ステップS2150では、入退場管理情報処理部1210が、退場者情報を入場者情報と紐付けた入退場管理情報を生成し、または更新する。入退場管理情報は、入退場管理情報記憶部1220に格納される。
【0113】
生成または更新された入退場管理情報が入退場管理情報記憶部1220に格納されると、退場処理(ステップS2000)は終了する。
【0114】
以上、説明したように、入退場管理システム20は、対象者の入場だけでなく、退場も管理することができる。そのため、入退場管理情報を利用することにより、対象者の滞在時間などを容易に把握することができる。また、入退場管理システム20では、特定された対象者に対してのみ顔認証が行われる。そのため、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度を向上させることができる。
【0115】
<第3実施形態>
図10および図11を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットパネル30について説明する。ユニットパネル30に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0116】
図10および図11は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットパネル30の模式的な斜視図および模式的な平面図である。ユニットパネル30は、パネル材500Aを含み、パネル材500Aには、入退場管理システムの構成の全部または一部が設けられている。パネル材500Aに設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200A、第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、警告装置230A、第2の情報処理装置300A、第2の撮像装置310A、または第2の表示装置320Aなどである。したがって、建設現場の出入口にユニットパネル30を設置すれば、ユニットパネル30に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。なお、黒体炉240Aは、第1の撮像装置210Aの画角内に入る位置に配置されている。
【0117】
パネル材500Aの材質は、特に限定されない。パネル材500Aとして、例えば、木材または樹脂材などを用いることができる。パネル材500Aの代わりに金属のフレームなどを用いることができる。また、パネル材500Aには、対象者が通り抜けるための開口部510Aが設けられている。
【0118】
パネル材500Aの第1の面501Aの一方の側に、第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、および警告装置230Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第2の面502Aの一方の側に、第1の情報処理装置200Aが設けられている。第1の撮像装置210A、第1の表示装置220A、および警告装置230Aは、第1の情報処理装置200Aと接続されている。なお、第1の情報処理装置200Aが無線で接続される場合、第1の情報処理装置200Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0119】
パネル材500Aの第2の面502Aの他方の側に、第2の撮像装置310Aおよび第2の表示装置320Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第1の面501Aの他方の側に、第2の情報処理装置300Aが設けられている。第2の撮像装置310Aおよび第2の表示装置320Aは、第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第2の情報処理装置300Aが無線で接続される場合、第2の情報処理装置300Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0120】
図11(A)および図11(B)では、第3の情報処理装置400Aがパネル材500Aから離れて設置されているが、第3の情報処理装置400Aも、パネル材500Aに設けられていてもよい。第3の情報処理装置400Aは、第1の情報処理装置200Aおよび第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第3の情報処理装置400Aが無線で接続される場合、第3の情報処理装置400Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0121】
開口部510Aは、第1のゲートまたは第2のゲートに対応する。ユニットパネル30は、パネル材500Aの第2の面502Aが建設現場の出入口に接続されるように設置される。図7(A)に示すように、入場時には、対象者は、パネル材500Aの第1の面501A側において入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、開口部510Aを通過して第2の面502A側へ向かう。図7(B)に示すように、退場時には、対象者は、パネル材500Aの第2の面502A側において入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、開口部510Aを通過して第1の面501A側へ向かう。
【0122】
以上、説明したように、ユニットパネル30は、あらゆる場所に簡便に設置し、または簡便に撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットパネル30を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。また、ユニットパネル30の入退場管理システムでは、特定された対象者に対してのみ顔認証が行われる。そのため、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度を向上させることができる。
【0123】
<第4実施形態>
図12および図13を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットハウス40について説明する。ユニットハウス40に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0124】
図12および図13は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットハウス40の外観を示す模式的な斜視図および内部構成を示す模式的な平面図である。ユニットハウス40は、4つの側壁面、4つの側壁面で囲まれた空間の上方を覆う天井面、および4つの側壁面で囲まれた空間の下方を覆う床面からなる箱状体600Bを含み、箱状体600B内には、入退場管理システムの構成全部または一部が設けられている。箱状体600B内に設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200B、第1の撮像装置210B、第1の表示装置220B、警告装置230B、黒体炉240B、第2の情報処理装置300B、第2の撮像装置310B、第2の表示装置320B、または第3の情報処理装置400Bなどである。したがって、建設現場の出入口にユニットハウス40を設置すれば、ユニットハウス40に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。
【0125】
箱状体600Bの側壁面、天井面、および床面の各々は、1つの部材で構成されていてもよく、複数の部材で構成されていてもよい。また、箱状体600Bは、柱材または梁材を用いて枠体を構成し、枠体にパネル材が固定されて構成されていてもよい。箱状体600Bは、いわゆるコンテナ、プレハブハウス、またはトランクルームであってもよく、住宅、事務所、倉庫、または店舗などに用いられる簡易的な建築物であってもよい。
【0126】
なお、ユニットハウス40は、そのまま移動して建設現場に設置することができてもよく、またはいくつかの構成部材に分割され、建設現場で組み立てることによって設置することができてもよい。
【0127】
箱状体600Bの4つの側壁面のうち、対向する2つの側壁面には第1の扉610Bおよび第2の扉620Bが設けられている。第1の扉610Bおよび第2の扉620Bは、それぞれ、第1のゲートおよび第2のゲートに対応し、ユニットハウス40は、第2の扉620Bが建設現場の出入口に接続するように設置される。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1の扉610Bから進入し、入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、第2の扉620Bから退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2の扉620Bから進入し、入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、第1の扉610Bから退出する。
【0128】
箱状体600Bの側壁面、第1の扉610B、または第2の扉620Bに窓が設けられている場合、窓を通じてユニットハウス40内に入射する光を遮光するために、窓にカーテン、ブラインド、またはスモークフィルムなどの遮光部材が設けられていることが好ましい。窓からの光を遮光することによって、箱状体600B内の照度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ照度条件で対象者を撮影することができ、対象者の照合処理の精度が向上する。
【0129】
箱状体600Bの側壁面には、室内機651B、室外機652B、および配管653Bを含む空調機650Bが設けられている。ユニットハウス40は、空調機650Bが設けられていることにより、箱状体600B内の温度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ温度条件で対象者を撮影することができ、対象者の体温測定の精度が向上する。また、箱状体600B内の空気を循環させるため、側壁面に換気口または換気扇などが設けられていてもよい。なお、室内機651B、換気口、および換気扇は、側壁面だけでなく、天井面に設置してもよい。
【0130】
また、ユニットハウス40は、充電可能なバッテリー部660Bを備えていることが好ましい。ユニットハウス40がバッテリー部660Bを備えることで、建設現場において外部からの電源の供給が困難である場合であっても、バッテリー部660Bからユニットハウス40の各装置に電源を供給することができる。なお、ユニットハウス40は、発電装置(例えば、天井面または壁面に設けられた太陽光発電装置、風力発電装置、または床下などに設けられた自己発電装置など)を備えていてもよい。
【0131】
さらに、ユニットハウス40は、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bの開閉を検出するセンサを備えていてもよい。ユニットハウス40がセンサを備えることで、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bが開けられたときに、例えば、ユニットハウス40の入退場管理システムの電源をオンにすることができる。
【0132】
以上、説明したように、ユニットハウス40は、箱状体600Bを移動させ、いくつかの構成を取り付けることによって設置することができるため、あらゆる場所に簡便に設置し、または撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットハウス40を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。また、ユニットハウス40の入退場管理システムでは、特定された対象者に対してのみ顔認証が行われる。そのため、顔認証における演算量を減らし、顔認証の処理速度を向上させることができる。
【0133】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0134】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0135】
10:顔認証システム、 11:情報処理装置、 11a:顔検出部、 11b:顔重なり判定部、 11c:体検出部、 11d:体重なり判定部、 11e:顔認証部、 11f:温度情報取得部、 11g:記憶部、 12:撮像装置、 13:黒体炉、 20:入退場管理システム、 30:ユニットパネル、 40:ユニットハウス、 100:第1のゲート、 110:第2のゲート、 120:通路、 200、200A、200B:第1の情報処理装置、 210、210A、210B:第1の撮像装置、 220、220A、220B:第1の表示装置、 230、230A、230B:警告装置、 240、240A、240B:黒体炉、 300、300A、300B:第2の情報処理装置、 310、310A、310B:第2の撮像装置、 320、320A、320B:第2の表示装置、 400、400A、400B:第3の情報処理装置、 500A:パネル材、 501A:第1の面、 502A:第2の面、 510A:開口部、 600B:箱状体、 610B:第1の扉、 620B:第2の扉、 650B:空調機、 651B:室内機、 652B:室外機、 653B:配管、 660B:バッテリー部、 1010:第1の顔検出部、 1020:第1の顔重なり判定部、 1030:第1の体検出部、 1040:第1の体重なり判定部、 1050:第1の顔認証部、 1060:温度情報取得部、 1070:入場者情報処理部、 1080:第1の記憶部、 1110:第2の顔検出部、 1120:第2の顔重なり判定部、 1130:第2の体検出部、 1140:第2の体重なり判定部、 1150:第2の顔認証部、 1170:退場者情報処理部、 1180:第2の記憶部、 1210:入退場管理情報処理部、 1220:入退場管理情報記憶部
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