(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】回路基板及び電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25F5/00 A
(21)【出願番号】P 2021045755
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 直生
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 博俊
(72)【発明者】
【氏名】無類井 格
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213618(JP,A)
【文献】特開2018-015875(JP,A)
【文献】特開平11-103550(JP,A)
【文献】特開2003-346579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具のハウジング内に収容される回路基板であって、
表面に回路が形成された基板部と、
前記基板部に電気的に接続される複数のリード線と、
前記基板部の少なくとも前記表面を覆うように形成された防水層と、を備え
前記防水層の近傍で前記複数のリード線を束ねる結束部を更に備
え、
前記結束部の一部は、前記防水層に埋まっている、
ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記基板部は、互いに間隔をおいて位置し、前記複数のリード線が接続される複数の接続部を有し、
前記結束部は、前記複数の接続部の間隔と略同一の間隔で前記複数のリード線を束ねている、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記複数の接続部は、一列に並んでおり、
前記結束部は、前記複数のリード線を一列に並ぶように束ねている、
ことを特徴とする請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記防水層は、ポッティング材で形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記結束部は、マスキングテープで形成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項6】
電動工具のハウジング内に収容される回路基板であって、
表面に回路が形成された基板部と、
前記基板部に電気的に接続される複数のリード線と、
前記基板部の少なくとも前記表面を覆うように形成された防水層と、を備え
前記防水層の近傍で前記複数のリード線を束ねる結束部を更に備え、
前記結束部は、マスキングテープで形成されている、
ことを特徴とす
る回路基板。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板と、
前記回路基板を収容するハウジングと、
前記ハウジングに収容されるモーターと、を備えることを特徴とする、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板及び電動工具に関し、より詳しくは、表面に防水層を備える回路基板及びこの回路基板を備えた電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポッティング材が充填されて表面に防水加工が施された制御回路基板を備える電動工具が記載されている。
【0003】
電動工具は、先端工具を往復動させることにより打撃を生じさせるハンマドリルである。この電動工具では、制御回路基板には複数の電線が間隔をおいて接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の制御回路基板は、激しい振動を伴って駆動する電動工具に内蔵されているため、複数の電線も振動する場合がある。このとき、各電線の振動方向の違いにより、隣接する二本の電線が互いに離れる方向に動こうとすると、この二本の電線の間にあるポッティング材(つまり防水層)が電線から剥がれて、ポッティング材に亀裂が入るおそれがある。また、配線のために、隣接する二本の電線を互いに離れる方向に動かした場合も、ポッティング材に亀裂が入るおそれがある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、防水層に亀裂が入ることを抑制することができる回路基板及び電動工具を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本開示の一態様に係る回路基板は、電動工具のハウジング内に収容される回路基板である。この回路基板は、表面に回路が形成された基板部と、前記基板部に電気的に接続される複数のリード線と、前記基板部の少なくとも前記表面を覆うように形成された防水層と、を備える。この回路基板は、前記防水層の近傍で前記複数のリード線を束ねる結束部を更に備える。
【0008】
また、上記課題を解決するために本開示の一態様に係る電動工具は、前記回路基板と、前記回路基板を収容するハウジングと、前記ハウジングに収容されるモーターと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る回路基板及び電動工具では、防水層に亀裂が入ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る回路基板を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の回路基板の要部を示す正面断面図である。
【
図4】
図4は、同上の回路基板の変形例の要部を示す正面断面図である。
【
図5】
図5は、同上の回路基板を備える電動工具の一例を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
1.概要
図1に示す一実施形態の回路基板1は、電動工具10のハウジング11内に収容される回路基板1である。回路基板1は、表面20に回路が形成された基板部2と、基板部2に電気的に接続される複数のリード線3と、基板部2の少なくとも表面20を覆うように形成された防水層4と、を備える。回路基板1は、防水層4の近傍で複数のリード線3を束ねる結束部5を更に備える。
【0012】
また、一実施形態の電動工具10は、前記の回路基板1と、回路基板1を収容するハウジング11と、ハウジング11に収容されるモーター12と、を備える。
【0013】
上記構成を備える一実施形態の回路基板1及び電動工具10では、複数のリード線3のうち防水層4の近傍の部分を結束部5で束ねているため、電動工具10の振動時にこの部分から防水層4に加えられる力の向きを統一しやすい。そのため、電動工具10の振動時に、防水層4の近傍において、複数のリード線3のうち隣接する二本のリード線3が互いに離れる方向に動くことを抑制できて、二本のリード線3の間の防水層4がリード線3から剥がれにくい。したがって、一実施形態の回路基板1及び電動工具10では、防水層4に亀裂が入ることを抑制することができる。
【0014】
2.詳細
続いて、一実施形態の回路基板1及び電動工具10について、図面を参照しながら更に詳しく説明する。
【0015】
2-1.電動工具
図5には、本実施形態の回路基板1を備える電動工具10の一例が示されている。電動工具10は、回路基板1と、回路基板1を収容するハウジング11と、ハウジング11内に収容されるモーター12、とを備える。
【0016】
本実施形態では、電動工具10は、ドライバ、ソケット又はドリル等の先端工具13が着脱可能に取り付けられるインパクトドライバーである。
【0017】
電動工具10は更に、電源14と、駆動伝達部15と、出力部16と、チャック17と、トリガボリューム18とを備えている。電動工具10は、先端工具13をモーター12の駆動力で駆動する工具である。
【0018】
モーター12は、先端工具13を駆動する駆動源である。モーター12は、例えばブラシレスモータである。電源14は、モーター12を駆動する電流を供給する直流電源である。電源14は、例えば、1又は複数の2次電池を含む。電源14は、複数の電線19a,19b,19c,19d及び回路基板1を介して、モーター12に電気的に接続されている。
【0019】
駆動伝達部15は、モーター12の出力(駆動力)を調整して出力部16に出力する。出力部16は、駆動伝達部15から出力された駆動力で駆動(例えば回転)される。チャック17は、出力部16に固定されており、チャック17には先端工具13が着脱自在に取り付けられる。各種の先端工具13のうち用途に応じた先端工具13が、チャック17に取り付けられる。
【0020】
トリガボリューム18は、モーター12の回転を制御するための操作を受け付ける操作部である。トリガボリューム18を引く操作により、モーター12のオンオフが切替可能である。また、トリガボリューム18を引き込む操作の操作量で、出力部16の回転速度、つまりモーター12の回転速度が調整可能である。
【0021】
回路基板1は、トリガボリューム18に入力された操作に応じて、モーター12を回転又は停止させ、また、モーター12の回転速度を制御する。トリガボリューム18への操作によってモーター12の回転速度が制御されることで、先端工具13の回転速度が制御される。
【0022】
回路基板1は、電線19a,19bを介してモーター12に接続され、他の電線19c,19dを介して電源14に接続されている。
【0023】
2-2.回路基板
図1から
図3に示すように、回路基板1は、表面20に回路が形成された基板部2と、基板部2に電気的に接続される複数のリード線3と、基板部2の少なくとも表面20を覆うように形成された防水層4と、を備える。回路基板1は、防水層4の近傍で複数のリード線3を束ねる結束部5を更に備える。本実施形態の回路基板1は、基板部2に電気的に接続されるフラットケーブル6を更に備える。
【0024】
以下では、
図1に示す状態を基準として、基板部2の表面20が向く方向を上方とし、その反対側を下方とし、複数のリード線3が並ぶ方向を左右方向とし、この上下方向及び左右方向に対して直交する方向を前後方向として、各構成について説明する。ここで規定する上下方向、左右方向及び前後方向は、回路基板1の使用状態を限定するものではない。回路基板1は、基板部2の表面20が下方に向く状態で使用することも可能であるし、基板部2の表面20が水平方向を向く状態で使用することも可能である。
【0025】
2-2-1.基板部
基板部2は、表面20に複数の電子部品21が実装されて、表面20に回路が形成されている。基板部2は、複数のリード線3が接続される複数の接続部22(ランド)を有する。
【0026】
本実施形態では、複数の接続部22は、一列に所定の間隔で並んでいる。複数の接続部22のそれぞれには、複数のリード線3が一対一ではんだ付けされている。
【0027】
基板部2は、基板ケース7に収容されている。基板ケース7は、上面が開口した矩形の箱状である。基板ケース7は、底壁70と、底壁70の周縁部から上方に突出した周壁71と、を有する。基板ケース7の周壁71の上端面は、基板部2の表面20よりも上方に位置している。
【0028】
2-2-2.リード線
複数のリード線3のそれぞれは、導体を絶縁体で覆った絶縁電線である。複数のリード線3のそれぞれは、基板部2に接続される側の端部において、導体が露出している。本実施形態では、複数のリード線3の数は、6本である。複数のリード線3は、
図5に示す電線19aを構成している。
【0029】
複数のリード線3のそれぞれは、長手方向の一端部が基板部2の対応する接続部22に接続されている。複数のリード線3のそれぞれの長手方向の他端部は、一つのコネクタに接続されており、このコネクタを介してモーター12に直接接続されている。
【0030】
複数のリード線3は、基板部2に接続される側の端部が、結束部5によって束ねられている。本実施形態では、複数のリード線3は、その先端からおよそ3mmの部分から先の部分が、結束部5によって束ねられている。
【0031】
複数のリード線3は、その長手方向の中央部が、束ね部8によって束ねられている。ここでいう中央部とは、長手方向の両端部を除いた残りの部分のうちの少なくとも一部を意味する。束ね部8は、例えば熱収縮チューブである。束ね部8は、複数のリード線3の長手方向の中央部を互いに密着する状態で束ねている。
【0032】
2-2-3.防水層
防水層4は、基板部2の表面20の全体を覆っており、表面20を防水している。本実施形態では、防水層4は、ポッティング材で形成されている。ポッティング材の材料は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等である。
【0033】
防水層4は、基板ケース7内に収容した基板部2の表面20に、ポッティング材を充填することで、基板部2の表面20の全体に積層される。防水層4の表面(上面)は、基板ケース7の周壁71の上端面よりも下方に位置している。
【0034】
2-2-4.結束部
結束部5は、防水層4の近傍で複数のリード線3を束ねる部材である。
【0035】
本実施形態では、結束部5は、マスキングテープで形成されている。マスキングテープの幅(上下長さ)は、例えば、9mm程度である。
【0036】
結束部5は、基板部2の複数の接続部22の間隔と略同一の間隔で複数のリード線3を束ねている。ここでいう略同一の間隔とは、複数の接続部22に対して複数のリード線3を接続可能な範囲でのおよそ同一な間隔を意味する。本実施形態では、結束部5は、複数のリード線3を一列に並ぶように束ねている。
【0037】
結束部5は、隣接する二本のリード線3の間隔が例えば、1.5mmとなるように、複数のリード線3を束ねている。そのため、結束部5によって束ねられた部分では、複数のリード線3の隣接する二本のリード線3の間には、所定幅の隙間S1が形成されている。
【0038】
結束部5は、例えば、マスキングテープの粘着面に、複数のリード線3を等間隔に並べて粘着させた後、マスキングテープを複数のリード線3に巻き付けることで、形成される。
【0039】
本実施形態では、結束部5は、その一部(下部)が防水層4に埋まっている。
【0040】
2-2-5.フラットケーブル
フラットケーブル6は、複数の被覆線を一列に並べて互いに融着させたシート状の線材である。
【0041】
フラットケーブル6は、モーター12に取り付けられた基板ケース120に収容された他の回路基板(図示せず)に、長手方向の一端部が接続され、長手方向の他端部が回路基板1に接続されている。なお、フラットケーブル6は、結束部5で束ねられていない。
【0042】
2-2-6.回路基板の製造方法
続いて、
図1に示す回路基板1の製造方法の一例について説明する。
【0043】
まず、複数のリード線3のうち、基板部2に接続される側の端部を、結束部5で束ねる。このとき、複数のリード線3が所定の間隔をおいて一列に並ぶように、結束部5によって複数のリード線3を束ねる。ここで、複数のリード線3としては、長手方向の中央部が束ね部8によって束ねられたものを用いる。
【0044】
次いで、基板部2の表面20の複数の接続部22に、結束部5によって束ねられた複数のリード線3のそれぞれを、一対一にはんだ付けする。このとき、複数の接続部22と、複数のリード線3とは、略同じ間隔で並んでいるため、接続が容易に行える。
【0045】
次いで、フラットケーブル6の一端部を、基板部2の他の部分に接続する。なお、フラットケーブル6の接続は、複数のリード線3の接続の後に行ってもよい。
【0046】
次いで、基板部2を基板ケース7内に嵌め込み、基板部2の表面20に、ポッティング材を注入し、表面20を防水層4で覆う。このとき、ポッティング材の注入は、結束部5の一部(下部)が防水層4に埋まるように、注入量を調整する。
【0047】
次いで、複数のリード線3の他端部をモーター12に接続し、フラットケーブル6の他端部を、モーター12に取り付けられた基板ケース120内の他の回路基板に接続する。なお、複数のリード線3とフラットケーブル6の、モーター12及び他の回路基板への接続は、回路基板1への接続の前に行ってもよい。
【0048】
以上のようにすることで、
図1に示す回路基板1が形成される。
【0049】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3のうち防水層4の近傍の部分を結束部5で束ねているため、電動工具10の振動時にこの部分から防水層4に加えられる力の向きを統一しやすい。そのため、電動工具10の振動時に、防水層4の近傍において、複数のリード線3のうち隣接する二本のリード線3が互いに離れる方向に動くことを抑制できて、二本のリード線3の間の防水層4がリード線3から剥がれにくい。また、本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3を電動工具10のハウジング11内で配線する際に、防水層4の近傍において、複数のリード線3が互いに異なる方向に移動されることも抑制できる。
【0050】
したがって、本実施形態の回路基板1では、防水層4のうち、隣接する二本のリード線3の間の部分がリード線3から剥がれて、防水層4に亀裂が入ることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3を束ねる結束部5の一部が防水層4に埋まっている。そのため、本実施形態の回路基板1では、結束部5と防水層4の間において複数のリード線3が露出せず、各リード線3から防水層4に互いに異なる方向に力が加えられることがないため、防水層4に亀裂が入ることを更に抑制しやすい。
【0052】
また、本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3を結束部5で束ねて、複数のリード線3の間隔を、基板部2の複数の接続部22の間隔と合わせているため、基板部2への複数のリード線3の接続が簡単に行える。
【0053】
また、本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3を結束部5で束ねることで、複数のリード線3の先端部をまとめるコネクタを省略することができる。
【0054】
また、本実施形態の回路基板1では、結束部5がマスキングテープであるため、複数のリード線3を所望の間隔に束ねやすい。また、結束部5の長さを調整して、結束の強度を高めることも容易に行える。
【0055】
また、本実施形形態の回路基板1では、マスキングテープの内側の隣接する二本のリード線3間に防水層4が入り込むため、結束の強度を高めやすい。
【0056】
また、本実施形態の回路基板1では、複数のリード線3はモーター12に直接つながっており、モーター12の振動が伝わりやすいため、結束部5によって防水層4の亀裂を抑制する効果が、特に有効である。
【0057】
また、本実施形態の電動工具10では、内部に備える回路基板1の防水性が確保しやすいため、電動工具10に不具合が生じにくい。
【0058】
4.変形例
続いて、上述した回路基板1及び電動工具10の変形例について説明する。以下に説明する各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0059】
回路基板1は、結束部5の一部が防水層4に埋まらなくてもよい。
図4には、本実施形態の回路基板1の変形例の要部を示している。変形例の回路基板1では、結束部5の一部が防水層4に埋まっておらず、結束部5と防水層4との間に隙間が生じている。この隙間の長さ(上下長さ)は、例えば、6mm~8mmである。なお、この隙間の長さは、リード線3の硬さ等に応じて、適宜設定可能である。
【0060】
変形例の回路基板1では、複数のリード線3のうち、防水層4と結束部5との間で露出する部分の長さを、結束部5によって極力短くすることができる。そのため、変形例の回路基板1では、複数のリード線3から防水層4に互いに異なる方向に力が加えられることを抑制できる。したがって、変形例の回路基板1においても、防水層4に亀裂が入りにくい。
【0061】
複数のリード線3のうち結束部5によって束ねられた部分の間隔と、基板部2の複数の接続部22の間隔とは、略同一に限らず、異なってもよい。
【0062】
結束部5は、複数のリード線3を一列に束ねなくてもよく、複数のリード線3を、複数列、環状等のその他の配列で束ねてもよい。この場合、基板部2は、複数のリード線3と同じ配列で複数の接続部22を有することが好ましい。
【0063】
防水層4は、ポッティング材で形成されることに限定されず、その他の、防水性を有する材料で形成されてもよい。
【0064】
結束部5は、マスキングテープに限らず、他の材質のテープで形成されてもよいし、複数のリード線3を通す複数の孔を有する専用の固定具で形成されてもよいし、ボンド等の接着剤やグリスで形成されてもよい。専用の固定具は、例えば樹脂成型品であるが、樹脂製に限らず、その他の材料で形成されてもよい。また、結束部5は、複数のリード線3同士を溶着により束ねるものであってもよい。
【0065】
回路基板1は、結束部5による複数のリード線3の結束を補助する補助結束部を更に備えてもよい。補助結束部は、結束部5とは異なる部材であり、例えば、ボンド等の接着剤やグリスで形成される。
図4に示す変形例の回路基板1では、複数のリード線3のうち、結束部5と防水層4と間の部分を、補助結束部によって結束してもよい。
【0066】
回路基板1は、結束部5と複数のリード線3との固定や、結束部5と防水層4との固定に用いる固定部を更に備えてもよい。固定部は、例えばボンド等の接着剤で形成される。例えば、結束部5の内側に固定部材を注入することで、複数のリード線3の間の隙間を固定部材で埋めることができて、複数のリード線3と結束部5との結束強度を高めることができる。
【0067】
複数のリード線3は、基板部2の表面20ではなく、基板部2を表面20側から貫通して基板部2の裏面にはんだ付けされてもよい。
【0068】
複数のリード線3は、モーター12に接続されなくてもよく、電動工具10内のモーター12以外の他の電気機器に接続されてもよい。
【0069】
電動工具10は、回路基板1、ハウジング11、及びモーター12を備えるものであればよく、インパクトドライバーに限らず、他の振動を伴って駆動する電動工具であってもよい。
【0070】
5.まとめ
以上説明した実施形態及びその変形例のように、第一態様の回路基板(1)は、下記の構成を備える。
【0071】
すなわち、第一態様の回路基板(1)は、電動工具(10)のハウジング(11)内に収容される回路基板(1)である。回路基板(1)は、表面(20)に回路が形成された基板部(2)と、基板部(2)に電気的に接続される複数のリード線(3)と、基板部(2)の少なくとも表面(20)を覆うように形成された防水層(4)と、を備える。回路基板(1)は、防水層(4)の近傍で複数のリード線(3)を束ねる結束部(5)を更に備える。
【0072】
上記構成を備える第一態様の回路基板(1)では、複数のリード線(3)のうち防水層(4)の近傍の部分を結束部(5)で束ねているため、電動工具(10)の振動時にこの部分から防水層(4)に加えられる力の向きを統一しやすい。そのため、電動工具(10)の振動時に、防水層(4)の近傍において、複数のリード線(3)のうち隣接する二本のリード線(3)が互いに離れる方向に動くことを抑制できて、二本のリード線(3)の間の防水層(4)がリード線(3)から剥がれにくい。したがって、第一態様の回路基板(1)では、防水層(4)に亀裂が入ることを抑制することができる。
【0073】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第二態様の回路基板(1)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0074】
すなわち、第二態様の回路基板(1)では、結束部(5)の一部は、防水層(4)に埋まっている。
【0075】
上記構成を備える第二態様の回路基板(1)では、結束部(5)が防水層(4)に固定されるため、各リード線(3)から防水層(4)に直接力が加えられることがなく、防水層(4)に亀裂が入ることを更に抑制することができる。
【0076】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第三態様の回路基板(1)は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0077】
すなわち、第三態様の回路基板(1)では、基板部(2)は、互いに間隔をおいて位置し、複数のリード線(3)が接続される複数の接続部(22)を有する。結束部(5)は、複数の接続部(22)の間隔と略同一の間隔で複数のリード線(3)を束ねている。
【0078】
上記構成を備える第三態様の回路基板(1)では、結束部(5)が複数のリード線(3)を基板部(2)の複数の接続部(22)と略同じ間隔で束ねているため、複数の接続部(22)に対して複数のリード線(3)を接続する作業が、簡単に行える。
【0079】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第四態様の回路基板(1)は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0080】
すなわち、第四態様の回路基板(1)では、複数の接続部(22)は、一列に並んでおり、結束部(5)は、複数のリード線(3)を一列に並ぶように束ねている。
【0081】
上記構成を備えることで、第四態様の回路基板(1)では、基板部(2)の複数の接続部(22)に対して複数のリード線(3)を接続する作業が、より一層簡単に行える。
【0082】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第五態様の回路基板(1)は、第一から第四のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0083】
すなわち、第五態様の回路基板(1)では、防水層(4)は、ポッティング材で形成されている。
【0084】
上記構成を備えることで第五態様の回路基板(1)では、ポッティング材で形成されている防水層(4)において亀裂の発生を抑制することができる。
【0085】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第六態様の回路基板(1)は、第一から第五のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0086】
すなわち、第六態様の回路基板(1)では、結束部(5)は、マスキングテープで形成されている。
【0087】
上記構成を備えることで第六態様の回路基板(1)では、複数のリード線(3)を所望の間隔で束ねたり、結束部(5)の長さを変えて結束強度を高めたりしやすくて、複数のリード線(3)を所望の状態で束ねやすい。
【0088】
また、上述した実施形態及びその変形例のように、第七態様の電動工具(10)は、第一から第六のいずれか一つの態様の回路基板(1)と、回路基板(1)を収容するハウジング(11)と、ハウジング(11)に収容されるモーター(12)と、を備える。
【0089】
上記構成を備える第七態様の電動工具(10)では、モーター(12)によって駆動する電動工具(10)の振動が激しくても、回路基板(1)の基板部(2)の表面(20)を覆う防水層(4)に亀裂が入り難いため、電動工具(10)に不具合が生じにくい。
【0090】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 回路基板
2 基板部
20 表面
22 接続部
3 リード線
4 防水層
5 結束部
10 電動工具
11 ハウジング
12 モーター