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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】街区の見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241023BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20241023BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20241023BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241023BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241023BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241023BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B25/00 510M
G08B31/00 B
G08B21/00 U
G08G1/16 A
G08G1/00 A
G01C21/34
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021058977
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155646
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】守谷 一希
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-108106(JP,A)
【文献】特開2020-144591(JP,A)
【文献】米国特許第10304316(US,B2)
【文献】特開2004-054536(JP,A)
【文献】特開2011-100224(JP,A)
【文献】特開2019-215785(JP,A)
【文献】特開2020-042553(JP,A)
【文献】特開2014-149620(JP,A)
【文献】特開2020-201544(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G05D 1/00- 1/87
G08B19/00-31/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
街区に建つ建物に備えられ、前記街区を撮影可能なカメラによる撮影で得られた前記街区の画像を解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づいて、前記街区内を移動する移動体である自動車の移動に関する制御を行う制御手段と、を備え、
前記解析手段は、前記街区における子供が多くいる地区を特定し、
前記制御手段は、前記自動車に、子供が多くいる地区の迂回、前記地区内の徐行、又は運転者へ対する注意喚起を行わせることを特徴とする街区の見守りシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の街区の見守りシステムにおいて、
前記解析手段は、前記カメラによる撮影で得られた前記街区の画像、及び前記街区内を移動する移動体が備え前記街区を撮影可能な第二カメラによる撮影で得られた前記街区の画像をそれぞれ解析することを特徴とする街区の見守りシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の街区の見守りシステムにおいて、
前記街区内で外出している人を検出可能なセンサを備え、
前記解析手段は、前記街区の画像、及び前記センサによる検出結果をそれぞれ解析することを特徴とする街区の見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街区の見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
街区における各種情報を収集し、それを街区の防犯等に役立てる技術が従来提案されている。
例えば特許文献1には、街頭に分散して配置された複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信ネットワークを介して通信可能に接続されたサーバと、から構成され、クライアントは、街頭情報を収集する街頭情報収集部と、収集された街頭情報をサーバへ送信する第1の送信部と、を備え、サーバは、送信された街頭情報を分析する分析部と、分析部による分析結果に基づいて決定された情報を1つ以上のクライアントに送信する第2の送信部と、を備えた街頭情報処理システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-060164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたような従来のシステムは、多数のクライアントを街中に配置することになるため、利用するために多額のコストがかかってしまう。
また、従来のシステムは、分析結果に基づいて決定された情報をクライアントに表示させる(見た者にある程度の注意喚起を促す)だけである。
このため、街区内で、事故や犯罪が実際に発生してしまうのをより確実に防ぐ手段が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもコストをかけることなく街区の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、街区Bの見守りシステム100において、例えば図1~5に示すように、
街区Bに建つ建物Hに備えられ、前記街区Bを撮影可能なカメラによる撮影で得られた前記街区Bの画像を解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づいて、前記街区B内を移動する移動体3である自動車の移動に関する制御を行う制御手段と、を備え
前記解析手段は、前記街区Bにおける子供が多くいる地区を特定し、
前記制御手段は、前記自動車3に、子供が多くいる地区の迂回、前記地区内の徐行、又は運転者へ対する注意喚起を行わせることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明は、建物Hに備えられているカメラを利用して撮影するため、街区Bにカメラを新規に設置する必要が無い。
また、請求項1に記載の発明は、解析結果に基づいて移動体3の移動に関する制御を行うため、移動体3が実際に移動して街区Bの安全性向上に寄与する。
このため、請求項1に記載の発明によれば、従来よりもコストをかけることなく街区Bの安全性を向上させることができる。
また、移動体3は、自動車であることから、特定の場所を迂回させる、特定の場所へ向かわせる、特定の走行をさせる等の制御が可能となる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、自動車3による子供の交通事故を低減させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の街区Bの見守りシステム100において、例えば図1,2,5に示すように、
前記解析手段は、前記カメラ1による撮影で得られた前記街区Bの画像、及び前記街区B内を移動する移動体3が備え前記街区Bを撮影可能な第二カメラ4による撮影で得られた前記街区Bの画像をそれぞれ解析することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、カメラ1の死角となる箇所を第二カメラ4が撮影するため、より正確な解析を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は請求項2に記載の街区Bの見守りシステム100において、
前記街区B内で外出している人を検出可能なセンサを備え、
前記解析手段は、前記街区Bの画像、及び前記センサによる検出結果をそれぞれ解析することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、例えば霧の発生時、夜間等、カメラ1,4による撮影が困難な場合であっても、人の存在を検出し、移動体3の制御に反映させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来よりもコストをかけることなく街区Bの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る街区の見守りシステムが見守る対象とする街区の一例を示す平面図である。
図2】同実施形態に係る街区の見守りシステムを示すブロック図である。
図3図1の街区の建物が備えるカメラの一例を示す正面図である。
図4図2の街区の見守りシステムが備えるサーバを示すブロック図である。
図5図2の街区の見守りシステム各部の動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0029】
<1.街区の見守りシステム>
はじめに、本実施形態に係る街区の見守りシステム(以下、システム100)の概要について説明する。
図1はシステム100が見守る対象とする街区Bの一例を示す平面図、図2はシステム100を示すブロック図、図3は街区Bの建物Hが備えるカメラ1の一例を示す正面図である。
【0030】
[1-1.街区について]
システム100が見守る対象とする街区Bには、例えば図1に示すように、複数の建物Hが建てられている。
また、街区Bには、自動車3が走行可能な道路Rが敷設されている。
本実施形態に係る街区Bには、子供が多く集まりやすい地区(例えば公園)が設けられている。
【0031】
[1-2.概略構成]
システム100は、例えば図2に示すように、カメラ1と、サーバ2と、移動体3と、を備えている。
本実施形態に係るシステム100は、第二カメラ4を更に備えている。
各装置1~4は、例えば通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して互いに通信可能となっている。
【0032】
〔1-2-1.カメラ〕
カメラ1は、街区Bに建つ建物Hに備えられ、街区Bを撮影可能なものである。
建物Hには、住宅が含まれる。
なお、建物Hには、商業施設、公共施設等が含まれていてもよい。
本実施形態に係るカメラ1には、例えば図3に示すような、建物Hの門柱Pや玄関に設置されるインターホン子機Iに付属するカメラ、建物Hの屋根や壁面に取り付けられた防犯カメラ等が含まれる。
ここでのインターホン子機Iは、サーバ2からの制御に基づいて必要なタイミングで(チャイムIaが操作されたとき以外にも)撮影を行う、又は常時撮影を行うようになっているのが好ましい。
カメラ1は、撮影により得られた街区Bの画像の画像データを、サーバ2からの制御に基づいて、又は自動でサーバ2へ送信する。
【0033】
なお、カメラ1は、首振り機能を有するものであってもよい。このようにすれば、カメラ1の死角を低減することができる。
また、カメラ1は、動画撮影をするのではなく、静止画撮影するものであってもよい。このようにすれば、システム100のランニングコストを低減したり、サーバ2の処理を簡素にしたりすることができる。
【0034】
〔1-2-2.サーバ〕
サーバ2は、PC、専用の装置等で構成されている。
そして、サーバ2は、カメラ1から画像データを取得し、移動体3等の制御を行う。
このサーバ2の詳細については後述する。
【0035】
〔1-2-3.移動体〕
移動体3は、街区B内を移動するものである。
本実施形態に係る移動体3は、自動車3及びロボット3のうちの少なくともいずれかである。
【0036】
自動車3は、街区Bの道路R上を走行する不特定多数のもののうち、サーバ2と通信可能に構成されたものである。
自動車3は、人が運転するものであってもよいし、自動運転機能を有するものであってもよい。
【0037】
ロボット3には、道路R上を移動する地上型ロボット、街区Bの上空を飛行する飛行型ロボット(ドローン)等が含まれる。
また、ロボット3は、サーバ2からの制御に基づいて、街区B内を巡回する。こうすることで、街区B内で犯罪を計画している者に対し心理的な圧迫感を与え、街区Bにおける犯罪の発生を抑制することができる。
ロボット3は、内蔵バッテリーの充電期間を除いて、街区B内の巡回を常時行うようになっていることが好ましい。
【0038】
なお、街区Bに海や河川が存在する場合、ロボット3は、水上を航行する無人船舶等であってもよい。
また、ロボット3は、一の街区Bに複数配備されていてもよい。
この場合、各ロボット3は、人が多い場所を重点的に巡回するものと、人が少ない場所を重点的に巡回するものと、に役割が分けられていてもよい。このようにすれば、防犯性や交通安全性を効果的に向上させることができる。
【0039】
〔1-2-4.第二カメラ〕
第二カメラ4は、移動体3が備え、街区Bを撮影可能なものである。
本実施形態に係る第二カメラ4には、自動車3が備える車載カメラ、ロボット3が搭載するカメラ等が含まれる。
すなわち、第二カメラ4は、移動しながら(位置、向き等を変えながら)街区Bの撮影を行う。
こうすることで、カメラ1の死角となる箇所を第二カメラ4が撮影するため、後述する解析処理において、制御部21がより正確な解析を行うことができる。
【0040】
[1-3.その他]
なお、システム100は、警察や警備会社のシステムと連携するようになっていてもよいし、他の街区Bのシステム100と連携するようになっていてもよい。
また、図2には、画像データをサーバへ送信する入力側の建物H及び移動体3と、サーバの制御を受ける出力側の建物H及び移動体3と、を分けて示したが、入力側の建物H及び移動体3のうちの少なくともいずれかは、出力側のものと同一であってもよい。
また、システム100は、カメラ1,4とは別に、街区B内で外出している人を検出可能なセンサ(例えば3D-LiDARセンサ等)を備えていてもよい。
【0041】
<2.サーバの詳細>
次に、上記システム100が備えるサーバ2の詳細について説明する。
図4はサーバ2を表すブロック図である。
【0042】
[2-1.サーバの具体的構成]
サーバ2は、図4に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えている。
各部21~23は、バス等で電気的に接続されている。
なお、サーバ2は、表示部及び操作部のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。
【0043】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
そして、CPUは、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、サーバ2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0044】
記憶部22は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部22は、制御部21が実行する各種プログラム、各種データ等を記憶している。
記憶部22が記憶するプログラムには、撮影プログラムP1、解析プログラムP2、行動予測プログラムP3、制御プログラムP4、シーン演出プログラムP5、事故後プログラムP6等が含まれる。
解析プログラムP2には、人判断プログラムP21、エリア特定プログラムP22、不審者検出プログラムP23、事故検出プログラムP24等が含まれる。
制御プログラムP4には、ルート制御プログラムP41、徐行運転プログラムP42、追跡プログラムP43等が含まれる。
【0045】
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。
そして、通信部23は、通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して有線又は無線で接続された他の装置(カメラ1、移動体3、他の街区Bのサーバ2等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0046】
[2-2.サーバの動作]
上記のように構成されたサーバ2の制御部21は、以下のように動作する。
【0047】
〔2-2-1.取得〕
例えば、制御部21は、撮影プログラムP1に基づく取得処理を実行する。
この取得処理において、制御部21は、カメラ1及び第二カメラ4による撮影で得られた街区Bの画像の画像データを取得する。
本実施形態に係る取得処理において、制御部21は、通信部23を介して画像データを受信する。
また、カメラ1及び第二カメラ4の少なくとも一方が、所定制御に基づいて撮影を開始するように構成されている(常時撮影するものでない)場合、本実施形態に係る取得処理において、制御部21は、画像データを取得する前に、カメラ1及び第二カメラ4の少なくとも一方に撮影開始を指示する。
【0048】
〔2-2-2.解析〕
画像データを取得した後、制御部21は、解析プログラムP2に基づく解析処理を実行する。
この解析処理において、制御部21は、カメラ1による撮影で得られた街区Bの画像を解析する。
本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、カメラ1による撮影で得られた街区Bの画像、及び第二カメラ4による撮影で得られた街区Bの画像をそれぞれ解析する。
本実施形態に係る解析処理において、制御部21は、人判断プログラムP21に基づく人判断の他、エリア特定プログラムP22に基づくエリア特定、不審者検出プログラムP23に基づく不審者検出、及び事故検出プログラムP24に基づく事故検出のうちの少なくともいずれかの解析を行う。
【0049】
(人判断)
人判断では、制御部21は、街区B内に居る人を判断する。
具体的には、制御部21は、画像データに基づく画像から、外出している人を検出する。そして、検出した人の外見的特徴に基づいて、検出した人の性別、年齢等を判断する。
【0050】
(エリア特定)
エリア特定では、制御部21は、街区Bにおける子供が多くいる地区を特定する。
具体的には、制御部21は、上記人判断において子供であると判断した人の数を、予め分けておいた街区B内の複数の地区毎にカウントする。そして、最も子供が多い地区、又は子供が相対的に多い複数の地区を子供が多くいる地区とする。
なお、エリア特定プログラムP22は、街区Bにおける、子供以外の人(例えば、老人)の多い地区、人が少ない地区等を特定するものとなっていてもよい。
【0051】
(不審者検出)
不審者検出では、制御部21は、街区Bにいる不審者を検出する。
具体的には、制御部21は、上記人判断において検出した人の行動パターンを抽出し、抽出した行動パターンが特定の行動パターン(例えば、同じ場所をうろついている、ある場所と他の場所との間を何度も行き来する等)と合致するか否かを判断する。そして、特定の行動パターンと合致すると判断した場合に、検出した人を不審者であると判断とする。
なお、不審者検出プログラムP23は、歩き回る不審者だけでなく、自動車に乗った不審者を検出するものとなっていてもよい。
また、不審者検出プログラムP23は、街区Bにおける、不審者以外の人(例えば、保護を必要とする人(夜間に一人で外出している子供、女性等))を検出するものとなっていてもよい。
【0052】
(事故検出)
事故検出では、制御部21は、自動車3による交通事故を検出する。
具体的には、画像データに基づく画像から、外出している人と自動車3との接触を検出する。
なお、事故検出プログラムP24は、街区Bに設置されたマイクIb(例えば、インターホン子機)が拾った衝突音によって交通事故を検出するものとなっていてもよい。
【0053】
また、街区Bにセンサが設置されている場合には、解析プログラムP2は、街区Bの画像、及びセンサによる検出結果をそれぞれ解析するものとなっていてもよい。このようにすれば、例えば霧の発生時、夜間等、カメラ1,4による撮影が困難な場合であっても、人の存在を検出し、移動体3の制御に反映させることができる。
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきた解析処理を実行することにより解析手段をなす。
【0054】
〔2-2-3.行動予測〕
上記解析処理において不審者を検出した場合、制御部21は、行動予測プログラムP3に基づく予測処理を実行する。
この予測処理において、制御部21は、不審者であると判断した人の今後の行動を予測する。
具体的には、例えば、不審者であると判断した人が今後進む方向を、相対的に人が少ない方向、暗い方向、遮蔽物が多い方向等と予測する。
なお、上記解析処理において自動車3に乗った不審者を検出するようになっている場合、行動予測プログラムP3は、不審者が乗った自動車の今後の行先を予測するものとなっていてもよい。
また、上記解析処理において不審者以外の人を検出するようになっている場合、行動予測プログラムP3は、不審者以外の行動を予測するものとなっていてもよい。
【0055】
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきた予測処理を実行することにより予測手段をなす。
【0056】
〔2-2-4.制御〕
街区Bの画像を解析した後、制御部21は、制御プログラムP4に基づく制御処理を実行する。
この制御処理において、制御部21は、解析結果に基づいて、街区B内を移動する移動体3の移動に関する制御を行う。
本実施形態に係る制御処理において、制御部21は、ルート制御プログラムP41や徐行運転プログラムP42に基づく運転制御、及び追跡プログラムP43に基づく追跡制御のうちの少なくともいずれかの制御を行う。
【0057】
(運転制御)
運転制御は、上記解析処理においてエリア特定を行った場合に行われる制御である。
この運転制御では、制御部21は、迂回制御、徐行制御、又は注意喚起制御を行う。
迂回制御では、制御部21は、自動運転機能を有する自動車3に、図1に示したように、子供が多くいる地区を迂回させる。
徐行制御では、制御部21は、自動運転機能を有する自動車3に、子供が多くいる地区内を徐行させる。
注意喚起制御では、制御部21は、自動車3に、当該自動車3の運転者へ対する注意喚起を行わせる。
注意喚起には、カーナビゲーションシステムのルート変更、カーナビゲーションシステムの表示部への通知等が含まれる。
【0058】
このように、自動車3に対する運転制御を行うことで、特定の場所を迂回させる、特定の場所へ向かわせる、特定の走行をさせる等の制御が可能となり、自動車3による子供の交通事故を低減させることができる。
なお、ルート制御プログラムP41(徐行運転プログラムP42)は、例えば街区Bの地図情報等を参照し、これから通ろうとする道路Rの先に子供が多い場所と予測される場所(公園の出入口近く等)が存在する場合には、解析結果に関係なく自動車3を迂回(徐行)させるものとなっていてもよい。
また、ルート制御プログラムP41は、自動運転機能を有していない自動車3の運転者に対する進行方向に子供がいる旨の通知を、自動車3に音声又は映像で行わせるものとなっていてもよい。映像による通知は、例えば、壁の向こうにいる子供が透けて見えるAR表示等であってもよい。
また、ルート制御プログラムP41(徐行運転プログラムP42)は、上記運転制御を行う際に、自動車3が進む先に居る人に対する自動車3接近の通知を、ロボット3、インターホン子機等に行わせるものとなっていてもよい。
【0059】
(追跡制御)
追跡制御は、上記解析処理において不審者検出を行った場合に行われる制御である。
この追跡制御では、制御部21は、ロボット3に、不審者を追跡させる。
本実施形態に係る追跡制御では、制御部21は、ロボット3に不審者の撮影も行わせる。そして、得られた不審者の画像を記憶部22に記憶させる。
なお、追跡プログラムP43は、保護を必要とする人、又は事故の加害者を追跡するものとなっていてもよい。
また、追跡プログラムP43は、自動運転機能を有する自動車3、又はロボット3と自動車3の両方に不審者を追跡させるものとなっていてもよい。
【0060】
このように、ロボット3に対する追跡制御を行うことで、特定の人を追跡させる、特定の場所へ向かわせる等の制御が可能となり、不審者による街区B内の犯罪を低減させることができる。
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきた制御処理を実行することにより制御手段をなす。
【0061】
〔2-2-5.シーン演出〕
上記解析処理において不審者を検出した場合、制御部21は、シーン演出プログラムP5に基づくシーン演出処理を実行する。
このシーン演出処理において、制御部21は、防犯に関する制御を行う。
具体的には、制御部21は、照明点灯、音声出力、及び開放、のうちの少なくともいずれかの制御を行う。
照明点灯では、制御部21は、街区B内の照明Lを点灯させる。
照明Lは、建物Hに備えられたものであってもよいし、街路灯であってもよい。
音声出力では、制御部21は、街区B内のスピーカSから音声(警戒音等)を出力させる。
スピーカSは、建物Hのインターホン子機のものであってもよいし、自治体の防災行政無線のものであってもよい。
開放では、制御部21は、街区B内の建物Hが備えるシャッター又はカーテンのうち、居住者の承諾を得られているものを開かせる。
【0062】
この第二処理を実行することにより、不審者は人の目の存在を意識することになるため、不審者による街区B内の犯罪をより一層低減させることができる。
なお、シーン演出プログラムP5は、予測した不審者の行動に基づいて、シーン演出処理を行うものとなっていてもよい。具体的には、不審者が通ると予測した道路Rに近接する照明Lの点灯、不審者が通ると予測した道路Rに近接するスピーカSの出力、不審者が通ると予測した道路Rに面する建物Hが備えるシャッターやカーテンの開放等を行わせるものとなっていてもよい。このようにすれば、防犯に関する制御を、不審者が現れる可能性の高い場所に絞って効率的に行うことができる。
また、シーン演出プログラムP5は、不審者を追跡するロボット3の位置情報に基づいて、シーン演出処理を行うものとなっていてもよい。具体的には、ロボット3の進行方向に位置する照明Lの点灯、ロボット3の進行方向に位置するスピーカSの出力、ロボット3の進行方向に位置する建物Hが備えるシャッターやカーテンの開放等を行わせるものとなっていてもよい。このようにすれば、防犯に関する制御を、不審者が実際に居る場所に絞ってより効率的に行うことができる。
また、シーン演出プログラムP5は、上記シーン演出処理を実行する際に、不審者が向かおうとしている先に居る人に対する不審者接近の通知を、ロボット3、インターホン子機等に行わせるものとなっていてもよい。
本実施形態に係る制御部21は、以上説明してきたシーン演出処理を実行することによりシーン演出手段をなす。
【0063】
〔2-2-6.事故後処理〕
上記解析処理において事故検出を行った場合、制御部21は、事故後プログラムP6に基づく事故後処理を実行する。
この事故後処理において、制御部21は、監視制御、確認制御、及び通報制御のうちの少なくともいずれかの制御を行う。
監視制御では、制御部21は、加害者又は加害者が乗る自動車3を監視する。
具体的には、制御部21は、ロボット3を加害者の所へ移動させて待機する旨の指示を出力させる。
確認制御では、制御部21は、被害者の意識確認を行う。
具体的には、制御部21は、ロボット3を被害者の所へ移動させて音声を出力させ、又は被害者の近くにあるインターホン子機に音声を出力させ、音声に対する被害者の反応の有無を確認する。
通報制御では、制御部21は、通信部23を介して、事故が発生した旨を関係者(被害者の家族、警察等)へ通報する。
【0064】
〔2-2-7.その他〕
なお、上記解析処理において、制御部21は、外出している人の属性、人数等を検出するとともに、検出した人へ接近している自動車3の速度、車幅等を検出するようになっていてもよい。
そして、上記制御処理において、制御部21は、自動車3が進む先の道路R上への、検出した結果に応じた幅の歩道、車道、及びこれらの境界線のうちの少なくともいずれかの表示を、道路Rに予め設けておいた装置、又は建物Hに設けられたプロジェクター等に行わせるものとなっていてもよい。
このようにすれば、歩行者と自動車との接触をより一層低減することができるし、災害時の誘導路としても活用することができる。
【0065】
また、記憶部22には、街区B内の建物Hの居住者の顔写真、家族情報、連絡先等が記憶されていてもよい。
そして、解析処理において、制御部21は、画像から検出した人と記憶部22に記憶された顔写真とを照合し、街区Bに居住する子供であると判断した場合に、当該子供の保護者に、当該子供の居場所、子供の近くにいる人の数等を通知する(保護者等が所持する携帯端末、建物Hに備えられたインターホン親機等に情報を送信する)ようになっていてもよい。
【0066】
<3.街区の見守りの流れ>
次に、上記システム100を用いた街区Bの見守りの流れについて説明する。
図5は、システム100各部の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0067】
まず、建物Hが備えるカメラ1が街区Bの撮影を行い、画像データをサーバ2へ送信する(ステップS1)。
また、カメラ1が撮影を行うのと並行して、第二カメラ4が街区Bの撮影を行い、画像データをサーバ2へ送信する(ステップS2)。
【0068】
サーバ2は、画像データを受信すると、画像データに基づいて、人判断を行い(ステップS3)、次いでエリア特定を行う(ステップS4)。
サーバ2が地区を特定すると、自動車3は、サーバ2からの制御に基づいて、特定した地区を迂回する又は当該地区内を徐行運転する(ステップS5)。
このとき、ロボット3は、サーバ2からの制御に基づいて、特定した地区へ移動することもある(ステップS6)。
【0069】
また、サーバ2は、画像データに基づいて、不審者検出を行う(ステップS7)。
サーバ2が不審者を検出すると、建物Hは、サーバ2からの制御に基づいて、シーン演出(照明Lの点灯、音声の出力、シャッターやカーテンの開放等)を行う(ステップS8)。
このとき、自動車3は、サーバ2からの制御に基づいて、不審者がいる地区を通るようにルート変更することもある(ステップS9)。
一方、ロボット3は、サーバ2からの制御に基づいて、不審者がいる地区へ移動し、不審者を追跡する(ステップS10)。
【0070】
また、サーバ2は、不審者を検出すると、不審者の行動を予測する(ステップS11)。
サーバ2が不審者の行動を予測すると、建物Hは、サーバ2からの制御に基づいて、照明Lの点灯、音声の出力、シャッターやカーテンの開放等を引き続き行う(ステップS12)。
一方、ロボット3は、サーバ2からの制御に基づいて、不審者を引き続き追跡する(ステップS13)。
隣接する街区Bもシステム100を導入していて、システム100同士の連携が取れている場合は、不審者が隣接する街区Bへ移動した後も、隣接する街区Bの建物Hがシーン制御を行ったり、追跡を行っていたロボット3が街区Bを跨いで、又は隣接する街区Bのロボット3が移動して引き続き不審者を追跡したりする。
【0071】
<4.効果>
以上説明してきたように、システム100は、街区Bに建つ建物Hに備えられ、街区Bを撮影可能なカメラ1による撮影で得られた街区Bの画像を解析(エリア特定、不審者検出、事故検出)し、解析結果に基づいて、街区B内を移動する移動体3(自動車、ロボット)の移動に関する制御(運転制御、追跡制御)を行う制御部21(解析手段、制御手段)を備える。
システム100は、建物Hに備えられているカメラ1を利用して撮影するため、街区Bにカメラ1を新規に設置する必要が無い。
また、システム100は、解析結果に基づいて移動体3の移動に関する制御を行うため、移動体3が実際に移動して街区Bの安全性向上に寄与する。
このため、システム100によれば、従来よりもコストをかけることなく街区Bの安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
100 街区の見守りシステム
1 カメラ
2 サーバ
21 制御部(解析手段、制御手段)
22 記憶部
1 撮影プログラム
2 解析プログラム
21 人判断プログラム
22 エリア特定プログラム
23 不審者検出プログラム
24 事故検出プログラム
3 行動予測プログラム
4 制御プログラム
41 ルート制御プログラム
42 徐行運転プログラム
43 追跡プログラム
5 シーン演出プログラム
6 事故後プログラム
23 通信部
3 移動体(自動車、ロボット)
4 第二カメラ
B 街区
H 建物
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5