(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】起立装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/248 20060101AFI20241023BHJP
B65G 47/252 20060101ALI20241023BHJP
B65H 15/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B65G47/248 F
B65G47/252
B65H15/02 B
(21)【出願番号】P 2021059526
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】二川 孝寿
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-100420(JP,U)
【文献】特開平06-156683(JP,A)
【文献】実開平03-057410(JP,U)
【文献】実開昭53-121687(JP,U)
【文献】特開2021-031294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
B65G 47/252
B65G 47/14
B65G 7/08
B65H 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを起立させる起立装置であって、
前記ワークを搬送する上流搬送部と、前記上流搬送部の下流側に隣接し、前記ワークを搬送する下流搬送部と、を有する起立部
と、
前記起立部から排出された前記ワークをストックするストック搬送部と、
を備え、
前記上流搬送部は、前記下流搬送部と隣接する端部側に配置された、搬送方向と垂直な第1方向に延びる軸周りに、旋回して起立するように構成され、
前記下流搬送部は、前記上流搬送部と隣接する端部側に配置された、前記第1方向に延びる軸周りに、旋回して起立するように構成され、
前記起立部は、前記上流搬送部及び前記下流搬送部のなす角を維持したまま、前記上流搬送部及び前記下流搬送部を、前記第1方向に延びる軸周りに旋回するように構成されて
おり、
前記ストック搬送部は、
上流ストック部と、前記上流ストック部の下流側に隣接する下流ストック部と、を備えている、起立装置。
【請求項2】
前記ストック搬送部に、前記起立部から搬送される複数の前記ワークは、第1ワークと第2ワークとを備え、前記第1ワーク及び前記第2ワークがこの順で搬送される場合、
前記上流ストック部は、前記第1ワークを前記下流ストック部へ搬送し、
前記下流ストック部は、前記第2ワークが前記上流ストック部へ搬送されるまで、前記第1ワークを保持するように構成されている、請求項
1に記載の起立装置。
【請求項3】
前記ワークは、第1面と、これと対向する第2面とを有し、前記起立部は、前記第1面または前記第2面のいずれかが前記搬送方向の下流側を向くように、前記ワークを起立させ、
前記起立部から前記ストック搬送部に順に搬送される複数の前記ワークは、前記第1面及び前記第2面が、交互に前記搬送方向の下流側を向くように、前記起立部によって起立するように構成され、
前記ストック搬送部において、前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第1面及び前記第2面のうちの同じ面同士が対向するようにストックされる、請求項
2に記載の起立装置。
【請求項4】
前記第1ワーク及び前記第2ワークがこの順で搬送される場合、
前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第1面が下方を向いた状態で前記起立部に搬入され、
前記ストック搬送部において、前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第2面同士が対向するようにストックされる、請求項
3に記載の起立装置。
【請求項5】
前記ワークは、複数の折丁を積層し、当該複数の折丁を束ねている積層体である、請求項1から4のいずれかに記載の起立装置。
【請求項6】
前記起立部の下流に、当該起立部と同じ構成を有する第2起立部をさらに備え、
前記第2起立部は、前記起立部において起立させた前記ワークを倒し、前記ワークの上下の向きを反転させるように構成されている、請求項1から
5のいずれかに記載の起立装置。
【請求項7】
ワークを起立させる起立装置であって、
前記ワークを搬送する上流搬送部と、前記上流搬送部の下流側に隣接し、前記ワークを搬送する下流搬送部と、を有する起立部を備え、
前記
上流搬送部は、水平方向に延びる第1状態において、前記
上流搬送部に載る前記ワークを、前記
上流搬送部が駆動することで搬送するように構成され、
前記
下流搬送部は、水平方向に延びる第1状態において、前記
下流搬送部に載る前記ワークを、前記
下流搬送部が駆動することで搬送するように構成され、
前記上流搬送部は、前記下流搬送部と隣接する端部側に配置された、搬送方向と垂直な第1方向に延びる軸周りに、前記第1状態から旋回して起立するように構成され、
前記下流搬送部は、前記上流搬送部と隣接する端部側に配置された、前記第1方向に延びる軸周りに、前記第1状態から旋回して起立するように構成され、
前記起立部は、前記上流搬送部及び前記下流搬送部のなす角を維持したまま、前記上流搬送部及び前記下流搬送部を、前記第1方向に延びる軸周りに旋回するように構成されている、起立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを起立させる起立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアによって搬送されるワークを起立、反転させるための種々の方法が提案されている。例えば、上流側及び下流側に配置される2つのコンベア間に反転装置が設けられ、この反転装置によってワークの両面を把持し、そのまま上昇反転させて、下流側コンベアに移す方法が開示されている。このほか、ワークの一部を回転アームや昇降アーム等で持ち上げ、起立・回転させる方法が提案されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークの両面を把持し、上昇・回転/反転させる方法は、装置が大がかりになり、設置スペースや導入コストなどの課題がある。また、ワークの一部を回転アームや昇降アームで持ち上げる方法では、ワークを一方向に起立させることはできるが、ワークの前後の向きを変えて起こすことには適さない。また、ワークの形態が崩れやすい場合、ワークの一部を支持して起こす方法では、ワークの形態を安定させて起立させることは難しい。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ワークを所望の向きに向けて安定的に起立させることができる、起立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワークを起立させる起立装置であって、前記ワークを搬送する上流搬送部と、前記上流搬送部の下流側に隣接し、前記ワークを搬送する下流搬送部と、を有する起立部を備え、前記上流搬送部は、前記下流搬送部と隣接する端部側に配置された、搬送方向と垂直な第1方向に延びる軸周りに、旋回して起立するように構成され、前記下流搬送部は、前記上流搬送部と隣接する端部側に配置された、前記第1方向に延びる軸周りに、旋回して起立するように構成され、前記起立部は、前記上流搬送部及び前記下流搬送部のなす角を維持したまま、前記上流搬送部及び前記下流搬送部を、前記第1方向に延びる軸周りに旋回するように構成されている。
【0007】
上記起立装置においては、前記起立部から排出された前記ワークをストックするストック搬送部をさらに備えることができ、前記ストック搬送部は、上流ストック部と、前記上流ストック部の下流側に隣接する下流ストック部と、を備えることができる。
【0008】
上記起立装置においては、前記ストック搬送部に、前記起立部から搬送される複数の前記ワークは、第1ワークと第2ワークとを備えることができ、前記第1ワーク及び前記第2ワークがこの順で搬送される場合、前記上流ストック部は、前記第1ワークを前記下流ストック部へ搬送し、前記下流ストック部は、前記第2ワークが前記上流ストック部へ搬送されるまで、前記第1ワークを保持するように構成することができる。
【0009】
上記起立装置において、前記ワークは、第1面と、これと対向する第2面とを有し、前記起立部は、前記第1面または前記第2面のいずれかが前記搬送方向の下流側を向くように、前記ワークを起立させ、前記起立部から前記ストック搬送部に順に搬送される複数の前記ワークは、前記第1面及び前記第2面が、交互に前記搬送方向の下流側を向くように、前記起立部によって起立するように構成され、前記ストック搬送部において、前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第1面及び前記第2面のうちの同じ面同士が対向するようにストックされるように構成することができる。
【0010】
上記起立装置において、前記第1ワーク及び前記第2ワークがこの順で搬送される場合、前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第1面が下方を向いた状態で前記起立部に搬入され、前記ストック搬送部において、前記第1ワーク及び前記第2ワークは、前記第2面同士が対向するようにストックすることができる。
【0011】
上記起立装置において、前記ワークは、複数の折丁を積層し、当該複数の折丁を束ねている積層体とすることができる。
【0012】
上記起立装置において、前記起立部の下流に、当該起立部と同じ構成を有する第2起立部をさらに備えることができ、前記第2起立部は、前記起立部において起立させた前記ワークを倒し、前記ワークの上下の向きを反転させる用に厚生委することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る起立装置によれば、ワークを所望の向きに向けて安定的に起立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る起立装置で起立されるワークの例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る搬送システムの概略構成を示す平面図である。
【
図10】ストック搬送部でストックされるワークの例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る起立装置を含む、ワークの搬送システムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<1.ワークの概要>
まず、本実施形態の搬送システムで搬送するワーク1について説明する。このワーク1は、矩形状の複数の折丁10を積層して束ねたものであり、全体として直方体状に形成されている。ここでは、説明の便宜上、ワーク1の6つの面を第1~第6面101~106と称することとする。第1面101は折丁10の袋11側が並ぶ面であり、第2面102は第1面101とは反対側の面である。また、第3面103及び第4面104は、折丁10の各面と対応し、互いに対向する面である。そして、第5面105及び第6面106は、残りの対向する面である。こうして、積層された折丁10は、複数のバンド12によって結束されている。各バンド12は、第1~第4面101~104に亘ってワークに巻き付けられている。
【0017】
<2.搬送システムの概要>
図2は、搬送システムの概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態の搬送システムは、上記ワーク1を1列で搬送するメイン搬送装置2と、このメイン搬送装置2の下流側に配置され、ワークの起立及びストックを行う起立装置3と、を備えている。起立装置3は、ワーク1を起立させる起立部4と、この起立部4の下流側に配置され、ワーク1をストックするストック搬送部5と、を備えている。また、ストック搬送部5にストックされるワーク1は、図示を省略するロボットアームによって把持され、待機領域などに搬送される。以下、各部位について、詳細に説明する。また、以下では,説明の便宜上、ワーク1の搬送方向と直交し、且つ水平方向に延びる方向を直交方向(第1方向)と称することとする。
【0018】
<3.メイン搬送装置>
図3は、メイン搬送装置の側面図である。
図3に示すように、メイン搬送装置2は、公知のローラコンベア21を上流側から下流側に向かって複数台並べたものである。このメイン搬送装置2では、ワーク1は、第3面103を下流側、第4面104を上流側に向けて搬送される。また、ワーク1の第1面101は下側を向いてローラコンベア21に接しており、第2面102が上方を向くように設置されている。したがって、ワーク1の第5面105及び第6面106は、それぞれ直交方向を向いている。
【0019】
<4.起立部>
図4は、起立部の側面図である。起立部4は、上流搬送部41と、この上流搬送部41の下流側に隣接する下流搬送部42と、これら上流搬送部41及び下流搬送部42の間に配置される回転部材44と、を備えている。回転部材44は、直交方向に延びており、特に限定されないが、モータ(図示省略)によって軸周りに回転可能に支持されている。
【0020】
上流搬送部41は、搬送方向に並ぶ複数のローラ411と、複数のローラ411を挟むように配置される一対のフレーム412と、を備えている。各ローラ411は、モータ(図示省略)によって駆動するように構成されており、複数のローラ411は各ローラ411単位で別個に駆動するように構成されている。但し、複数のローラ411を連動して駆動(各ローラ411を同一速度で駆動)するように構成されてもよく、特に限定されない。各ローラ411の軸方向の各端部が、それぞれフレーム412に固定されている。各フレーム412は、回転部材44に連結されており、回転部材44が回転すると、上流搬送部41全体が、回転部材44周りに旋回するように構成されている。また、各フレーム412と回転部材44との連結状態は解除可能に構成されている。
【0021】
以上の構成により、上流搬送部41は、水平方向に延びる第1状態と、この第1状態から回転部材44周りに旋回し、約90度の角度で起立する第2状態とを取り得るようになっている。
【0022】
下流搬送部42も上流搬送部41と概ね同様に構成されており、水平方向に延びる第1状態と、この第1状態から回転部材44周りに旋回し、約90度の角度で起立する第2状態とを取り得るようになっている。具体的には以下の通りである。
【0023】
下流搬送部42は、搬送方向に並ぶ複数のローラ421と、複数のローラ421を挟むように配置される一対のフレーム422とを備えている。各ローラ421は、モータ(図示省略)によって駆動するように構成されており、複数のローラ421は各ローラ421単位で別個に駆動するように構成されている。但し、複数のローラ421を連動して駆動(各ローラ421を同一速度で駆動)するよう構成されてもよく、特に限定されない。各ローラ421の軸方向の各端部が、それぞれフレーム422に固定されている。各フレーム422は、回転部材44に連結されており、回転部材44が回転すると、下流搬送部42全体が、回転部材44周りに旋回するように構成されている。また、各フレーム422と回転部材44との連結状態は解除可能に構成されている。したがって、下流搬送部42が旋回するときには、上流搬送部41のフレーム412と回転部材44と連結状態は解除されるようになっている。同様に、上流搬送部41が旋回するときには、下流搬送部42のフレーム422と回転部材44と連結状態は解除されるようになっている。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、一方の搬送部41,42が旋回しているときには、他方の搬送部41,42のフレームと回転部材44との連結が解除されていることとする。
【0024】
また、両搬送部41,42のフレーム412,422と回転部材44とが連結状態にあるときには、回転部材44が回転したときに、両搬送部41,42がともに旋回するようになっている。例えば、
図5に示すように、上流搬送部41が第2状態、下流搬送部42が第1状態にあるときに、回転部材44を反時計回りに回転させると、
図6に示すように、この状態を維持したまま、回転部材44は、上流搬送部41及び下流搬送部42とともに旋回するように構成されている。なお、回転部材44の回転が完了し、上流搬送部41が水平状態(第1状態)となったときには、上流搬送部41はメイン搬送装置2のローラコンベア21と同じ高さに位置するようになっている。同様に、例えば、上流搬送部41が第1状態、下流搬送部42が第2状態にあるときに、回転部材44を時計回りに回転させると、
図7に示すように、下流搬送部42が水平状態(第1状態)となったときには、下流搬送部42はストック搬送部5のローラコンベアと同じ高さに位置するようになっている。
【0025】
<5.ストック搬送部>
図8は、ストック搬送部の側面図である。
図8に示すように、ストック搬送部5は、上流ストック部51と、この上流ストック部51の下流側に隣接する下流ストック部52と、を備えている。これら上流ストック部51及び下流ストック部52は、それぞれ、ローラ511,521を有する公知のローラコンベアで構成されており、これらは別個に駆動可能となっている。したがって、上流ストック部51と下流ストック部52の少なくとも一方が、ワーク1を下流側に搬送するために駆動可能となっている。
【0026】
このように、上流ストック部51と下流ストック52は、各ストック部単位で別個に駆動しているが、例えば、各ストック部51,52を構成する複数のローラ511,ローラ521を個別に駆動させる場合は、各ストック部51,52は1台のコンベアで構成することが可能となり、その場合、1台のコンベアの上流側が上流ストック部、下流側が下流ストック部となる。
【0027】
<6.搬送システムの動作方法>
次に、上記のように構成された搬送システムの動作方法について説明する。以下の説明では、メイン搬送装置2から起立部に向かって、2つのワーク1が順に搬送されるときの処理について説明する。但し、説明の便宜上、先に搬送されるワークを第1ワーク1A、その次に搬送されるワークを第2ワーク1Bと称することとする。
【0028】
図9Aに示すように、第1ワーク1Aが起立部4に搬送されると、第1ワーク1Aが下流搬送部42上に配置されたときに、両搬送部41,42のローラ411,421の駆動を停止する。次に、
図9Bに示すように、上流搬送部41を旋回し、起立させる。これにより、上流搬送部41と下流搬送部42とのなす角が約90度になる。このとき、第1ワーク1Aの第4面104は、上流搬送部41のローラ411に接している。続いて、
図9Cに示すように、両搬送部41,42のフレーム412,422と回転部材44とを連結した上で、回転部材44を回転させる。これにより、両搬送部41,42が90度のなす角を維持したまま第1ワーク1Aとともに旋回し、第1ワーク1Aは第3面103が上方を向くように起立する。これに続いて、
図9Dに示すように、下流搬送部42を旋回し、水平状態にする。これにより、第1ワーク1Aは、第1面101が下流側を向いた状態で起立する。この状態から、
図9Eに示すように、各搬送部41,42、上流ストック部51、及び下流ストック部52を駆動し、第1ワーク1Aを下流ストック部52の上流側の端部まで移動させる。このとき、第2ワーク1Bは、メイン搬送装置2から起立部4に供給されている。
【0029】
次に、第2ワーク1Bが上流搬送部41上に配置されたときに、両搬送部41,42のローラ411,421の駆動を停止する。続いて、
図9Fに示すように、下流搬送部42を旋回し、起立させる。これにより、上流搬送部41と下流搬送部42とのなす角が約90度になる。このとき、第2ワーク1Bの第3面103は、下流搬送部42のローラ421に接している。続いて、
図9Gに示すように、両搬送部41,42のフレーム412,422と回転部材44とを連結した上で、回転部材44を回転させる。これにより、両搬送部41,42が90度のなす角を維持したまま第2ワーク1Bとともに旋回し、第2ワーク1Bは第4面104が上方を向くように起立する。これに続いて、
図9Hに示すように、上流搬送部41を旋回し、水平状態にする。この状態から、
図9Iに示すように、各搬送部41,42又は下流搬送部42、上流ストック部51を駆動し、第2ワーク1Bを上流ストック部51の下流側の端部まで移動させる。
【0030】
この状態で、第1ワーク1Aの第2面102と第2ワーク1Bの第2面102とが対向する。一方、各ワーク1A,1Bの第1面101は、外側に向いている。上述したように、第1面101は折丁10の袋11側が並んでいるため、その反対側よりも厚みが大きくなっている。そのため、極端に図示すると、
図10に示すように、第1面101の方が第2面102よりも、
図10における上下方向の長さが長くなっている。そのため、各ワーク1A,1Bは、第2面102側に倒れやすくなっている。したがって、2つのワーク1A,1Bの第2面102同士を対向させると、2つのワーク1A,1Bが互いに支え合うように接するため、各ワーク1A,1Bが倒れるのを防止することができる。
【0031】
その後、ロボットアームなどで、対向配置された2つのワーク1A,1Bを挟み、待機位置まで搬送する。以上の工程を繰り返すことで、待機位置にワーク1を配置することができる。
【0032】
なお、各ワーク1A,1Bが倒れるのを防止することを目的とする以外の配置も可能である。すなわち、上述の搬送システムの動作方法の説明は、各ストック搬送部でワーク1A,1Bの第2面102同士を対向させる動作について説明したが、ワーク1A,1Bの第1面101同士を対向させてもよく、その場合は、第1ワーク1Aが起立部4に搬送された時に、上流搬送部41で停止させ、上述した様に第1ワーク1Aを起立させ、下流ストック部52の上流側の端部まで移動させる。すなわち、
図9E~
図9Hのような動作を行う。次に、第2ワーク1Bが起立部4に搬送された時に下流搬送部42で停止させ、同様に第2ワーク1Bを起立させ、上流ストック部51の下流端部まで移動させる。すなわち、
図9A~
図9Dのような動作を行う。こうして、ワーク1A,1Bは、ストック搬送部5において、第1面101同士が対向する。また、第1面101と第2面102を対向させてもよく、ワーク1の形状、上流から搬送されてくる状態、後工程に合わせて、ワーク1のどの面を同士を対向させるかは適宜決めたら良く、限定されない。
【0033】
<7.特徴>
以上のように本実施形態によれば、起立部4において、2つの搬送部41,42をそれぞれ旋回可能に構成するとともに、2つ搬送部41,42を90度のなす角を維持したまま旋回するように構成している。そのため、ワーク1の搬送とともに、ワーク1を第1面101又は第2面102のいずれかが下流側を向くように起立させることができる。したがって、所望の向きでワーク1をストック搬送部5にストックすることができ、上記のように、2つのワーク1A,1Bが倒れないように、第2面102同士が向き合うように配置することができる。
【0034】
また、
図9B等に示すように、2つ搬送部41,42のなす角が約90度であるため、ワーク1を起立させるとき、ワーク1の直交する2つの面101,104を両搬送部41,42でそれぞれ支持するため、ワーク1が複数の折丁の積層体のように厚みが異なる場合でも安定的に起立させることができる。
【0035】
<8.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0036】
<8-1>
上記実施形態においては、メイン搬送装置2と起立装置3とを一直線上に配置しているが、メイン搬送装置2と起立装置3とを並列に配置することができる。この場合、メイン搬送装置2にあるワーク1を、プッシャーなどで直交方向に押圧し、起立部4の上流搬送部41に載せ替えるようにすることができる。
【0037】
<8-2>
起立部4の構成は特には限定されず、少なくとも、上流搬送部41が下流搬送部42側の端部で旋回するとともに、下流搬送部42が上流搬送部41側の端部で旋回し、さらに両搬送部41,42が一体的に旋回できるように構成されていればよい。したがって、この構成を達成できる限り、各搬送部41,42の旋回、及び両搬送部41,42を一体的に旋回するための構成は適宜変更することができる。
【0038】
例えば、次のように構成することができる。
図11Aに示すように、上流搬送部41の最も下流側のローラ411に軸部材45を設け、上流搬送部41がこの軸部材45周りに旋回するようにする。また、下流搬送部42の最も上流側のローラ421に軸部材46を設け、下流搬送部42がこの軸部材46周りに旋回するようにする。そして、下流搬送部42上にワーク1が配置された状態で、
図11Bに示すように、上流搬送部41を旋回し起立させる。これにより、上流搬送部41と下流搬送部42とのなす角が約90度になる。これに続いて、
図11Cに示すように、上流搬送部41と下流搬送部42の両方を、90度のなす角を維持しながら上流側に旋回させると、ワーク1を起立させることができる。
【0039】
<8-3>
上記メイン搬送装置2、起立部4、及びストック搬送部5においては、ローラコンベアを採用したが、これに限定されるものではなく、ワークを搬送できるように構成されていれば、ローラコンベア以外でもよく、ベルトコンベアなども採用することができる。また、ローラコンベアに代わる搬送手段として、摺動性の高い搬送面上にワークを載せ、プッシャーなど別のアクチュエータによりワークを移動させて搬送することも可能である。
【0040】
<8-4>
上記実施形態では、起立装置3にストック搬送部5を設けているが、ストック搬送部5は必須ではなく、起立部4のみで起立装置3を構成することもできる。したがって、起立部4において、ワーク1を任意の向きに起立させた後、これをストック搬送部5以外の待機領域等に搬送することもできる。
【0041】
<8-5>
図12Aに示すように、起立部4の下流側に、この起立部4と同一構成の第2起立部7を設けることもできる。このように構成すると、次のような動作を行うことができる。例えば、
図12Aに示すように、起立部4においてワーク1を第1面101が下流側を向くように起立させた後、これを第2起立部7の下流搬送部72に搬送し、上流搬送部71を起立させる。続いて、
図12Bに示すように、上流搬送部71及び下流搬送部72をともに反時計回りに旋回すると、ワーク1は上流搬送部71上で第1面が下方を向くように配置される。したがって、ワークの上下の向きを、
図3に示すようなメイン搬送装置2で搬送された向きとは反対にすることができる。
【0042】
<8-6>
ワーク1の種類は特には限定されず、上記実施形態で示したもの以外であってもよい。したがって、折丁を束ねた積層体以外でもよく、例えば、直方体状の容器、塊など、種々のものを対象とすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ワーク
3 起立装置
4 起立部
41 上流搬送部
42 下流搬送部
5 ストック搬送部
51 上流ストック部
52 下流ストック部