(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】演算装置
(51)【国際特許分類】
B41F 35/00 20060101AFI20241023BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B41F35/00 C
B41F15/08 303E
(21)【出願番号】P 2021063224
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】山下 親大
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/217510(WO,A1)
【文献】特開2002-200736(JP,A)
【文献】特開2015-123718(JP,A)
【文献】特開2007-150073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00
B41F 35/00
B41F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴の形成されたマスクの上面を摺動することで基板に粘性体を印刷するスキージの印刷速度を演算する演算装置において、
N枚の基板に粘性体を印刷する毎に前記マスクのクリーニングを行うクリーニング間隔に応じた前記印刷速度を、基板への粘性体の印刷のサイクルタイムに基づいて、異なるN値の複数の前記クリーニング間隔の各々に応じて演算する演算装置。
【請求項2】
前記複数のクリーニング間隔の各々に応じて演算された前記印刷速度に基づいて、前記スキージの印圧を、当該印刷速度が速いほど圧力が高くなるように演算する請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記スキージを用いて基板に粘性体を印刷する印刷装置で許容される当該スキージの最高印刷速度を、許容限界速度と定義した場合に、
前記複数のクリーニング間隔の各々に応じて演算された前記印刷速度のうちの、前記許容限界速度以下の印刷速度であって、最も小さいN値に応じた印刷速度を抽出する請求項1または請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
前記スキージを用いて基板に粘性体を印刷する印刷装置で許容される当該スキージの最高印刷速度を、許容限界速度と定義した場合に、
前記複数のクリーニング間隔の各々に応じて演算された前記印刷速度のうちの、前記許容限界速度以下の印刷速度であって、予め設定された設定値以下の最も大きいN値に応じた印刷速度を抽出する請求項1または請求項2に記載の演算装置。
【請求項5】
前記設定値が、前記スキージのスキージ角度毎に設定されている請求項4に記載の演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通穴の形成されたマスクの上面を摺動することで基板に粘性体を印刷するスキージの印刷速度を演算する演算装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貫通穴の形成されたマスクの上面をスキージが摺動することで基板に粘性体を印刷する印刷機が、下記特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、基板に粘性体が印刷される際のスキージの印刷速度を適切に演算することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、貫通穴の形成されたマスクの上面を摺動することで基板に粘性体を印刷するスキージの印刷速度を演算する演算装置において、N枚の基板に粘性体を印刷する毎に前記マスクのクリーニングを行うクリーニング間隔に応じた前記印刷速度を、基板への粘性体の印刷のサイクルタイムに基づいて、異なるN値の複数の前記クリーニング間隔の各々に応じて演算する演算装置を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示では、N枚の基板に粘性体を印刷する毎にマスクのクリーニングを行うクリーニング間隔に応じた印刷速度が、基板への粘性体の印刷のサイクルタイムに基づいて、異なるN値の複数のクリーニング間隔の各々に応じて演算される。これにより、基板に粘性体が印刷される際のスキージの印刷速度を適切に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】印刷速度と印刷品質との関係を示すグラフである。
【
図7】印圧と印刷品質との関係を示すグラフである。
【
図8】印刷速度と印圧との関係を示すグラフである。
【
図9】スキージ角度と印刷品質との関係を示すグラフである。
【
図10】版離れ速度と印刷品質との関係を示すグラフである。
【
図11】印刷速度演算時のフローチャートを示す図である。
【
図12】クリーニング動作時のクリーニング機構の移動距離を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1及び
図2に印刷機10を示す。印刷機10は、回路基板にクリームはんだを印刷するための作業機である。印刷機10は、搬送装置20と、マスク保持装置22と、クリーニング装置23と、スキージ装置24と、はんだ供給装置26と、制御装置(
図5参照)28とを備えている。なお、
図1は、印刷機10を側方からの視点において示す図であり、
図2は、印刷機10を上方からの視点において示す図である。
【0010】
搬送装置20は、コンベア装置30と、基板昇降装置32とを有している。コンベア装置30は、1対のコンベアベルト34と、コンベアベルト34を周回させる電磁モータ(
図5参照)36とを有している。なお、コンベアベルト34の延びる方向をX方向、そのX方向に水平に直交する方向をY方向、X方向及びY方向の両方に直交する方向をZ方向と称する。そして、回路基板38が、それら1対のコンベアベルト34によって支持され、電磁モータ36が駆動することで、X方向に搬送される。また、基板昇降装置32は、1対のコンベアベルト34の間に配設されており、それら1対のコンベアベルト34により支持された回路基板38を、支持ピン40を介して、回路基板38の下面から支持し、所定の位置において昇降させる。
【0011】
マスク保持装置22は、マスク50を固定的に保持するためのものであり、マスク50は、金属製、例えばステンレス製のシートからなり、複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。マスク保持装置22は、搬送装置20の上方に配設されたマスク支持台52と、そのマスク支持台52の上面に配設されたマスク保持機構54とを有している。マスク支持台52の中央部には、マスク50の外縁より小さな開口部(図示省略)が形成されており、その開口部を覆うように、マスク50がマスク支持台52の上に載置される。そして、マスク支持台52の上に載置されたマスク50が、マスク保持機構54によって固定的に保持される。なお、マスク保持機構54は、保持したマスク50の位置をX方向及びY方向に調整するとともに、マスクの中心を軸心とする鉛直線回りの回転角度を調整するための調整装置56を有している。
【0012】
また、マスク支持台52に形成されている開口部は、回路基板38より大きくされている。そして、搬送装置20により所定の位置に搬送された回路基板38が、基板昇降装置32によって上昇することで、マスク保持装置22に保持されたマスク50の下面に密着する。また、マスク50の下面に密着している回路基板38が、基板昇降装置32によって下降することで、マスク50の下面から離間する。
【0013】
また、クリーニング装置23は、スライド装置60と、クリーニング機構62とを有している。スライド装置60は、1対のスライドレール66と、スライダ68とを含む。1対のスライドレール66は、上下方向において搬送装置20とマスク保持装置22との間で、互いに平行かつ、Y方向に延びるように配設されている。スライダ68は、1対のスライドレール66によってスライド可能に保持されており、電磁モータ(
図5参照)70の作動により、Y方向にスライドする。なお、スライドレール66は、搬送装置20の基板昇降装置32と上下方向において重なっておらず、スライダ68が、基板昇降装置32の上方から移動することで、回路基板38は、クリーニング装置23と当接することなく、基板昇降装置32により上昇する。
【0014】
また、クリーニング機構62は、
図3及び
図4に示すように、ケーシング70と、1対の巻取軸71,72と、クリーニングヘッド73と、吸引装置(
図5参照)74と、噴霧装置(
図5参照)76とを有している。ケーシング70は、概して箱形状であり、X方向に延びる姿勢で、スライダ68の上面に固定されている。なお、ケーシング70のX方向の長さ寸法は、回路基板38のX方向の長さ寸法より長くされている。また、1対の巻取軸71,72は、X方向に延びるとともに、Y方向において互いに対向する姿勢でケーシング70の内部に配設されており、ケーシング70により、軸線回りに回転可能に保持されている。そして、1対の巻取軸71,72の一方の巻取軸71に、クリーニングシート77が巻回されており、その巻取軸71に巻回されているクリーニングシート77の縁が、1対の巻取軸71,72の他方の巻取軸72に巻き取られている。これにより、1対の巻取軸71,72の間にクリーニングシート77が架け渡される。また、1対の巻取軸71,72の他方の巻取軸72が電磁モータ78の作動により軸線回りに回転する。これにより、巻取軸71に巻回されているクリーニングシート77が電磁モータ78の作動により、巻取軸72に巻き取られる。なお、クリーニングシート77のX方向の長さ寸法は、回路基板38のX方向の長さ寸法と略同じである。
【0015】
また、クリーニングヘッド73は、概して直方体の棒形状であり、1対の巻取軸71,72の間においてX方向に延びる姿勢で配設されている。なお、クリーニングヘッド73のX方向の長さ寸法はクリーニングシート77のX方向の長さ寸法より僅かに大きい。また、クリーニングヘッド73は、昇降装置79の作動により、待機位置(
図4での実線)とクリーニング位置(
図4での点線)との間で昇降する。これにより、クリーニングヘッド73がクリーニング位置に上昇することで、1対の巻取軸71,72の間に架け渡されているクリーニングシート77がクリーニングヘッド73によってケーシング70の上端より上方に持ち上げられる。一方、クリーニングヘッド73が待機位置に下降することで、1対の巻取軸71,72の間に架け渡されているクリーニングシート77はケーシング70の上端の位置まで下がる。また、吸引装置74は、クリーニングヘッド73に内蔵されており、クリーニングヘッド73の上面からエアを吸引する。また、噴霧装置76は、1対の巻取軸71,72の間に架け渡されたクリーニングシート77に溶剤を噴霧する装置である。
【0016】
また、スキージ装置24は、
図1及び
図2に示すように、スキージ移動装置80と、1対のスキージ82,84と、スキージ昇降装置86とを有している。スキージ移動装置80は、1対のスライドレール88とスライダ90とを含む。1対のスライドレール88は、マスク保持装置22の上方において、互いに平行かつ、Y方向に延びるように配設されている。スライダ90は、1対のスライドレール88にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(
図5参照)92の作動により、Y方向にスライドする。また、1対のスキージ82,84の各々は、概して板状をなし、可撓性を有する素材により形成されている。1対のスキージ82,84は、互いに向かい合うとともに、X方向に延びるように配設され、スライダ90の下方において、スキージ昇降装置86によって保持されている。そのスキージ昇降装置86は、1対のスキージ82,84を個別に昇降させる。
【0017】
また、はんだ供給装置26は、クリームはんだを供給する装置であり、クリームはんだを吐出する吐出口96が、はんだ供給装置26の下面に形成されている。そして、はんだ供給装置26は、スライダ90のY方向における側面の略中央部に固定されている。これにより、はんだ供給装置26は、スキージ移動装置80の作動によりY方向の任意の位置に移動する。
【0018】
制御装置28は、
図5に示すように、コントローラ100と、複数の駆動回路102とを備えている。複数の駆動回路102は、上記電磁モータ36,70,78,92、基板昇降装置32、調整装置56、吸引装置74、噴霧装置76、スキージ昇降装置86、はんだ供給装置26に接続されている。コントローラ100は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路102に接続されている。これにより、搬送装置20、スキージ装置24等の作動が、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100には、情報処理装置110が接続されている。情報処理装置110は、後に詳しく説明するが、スキージ82,84の移動速度、つまり、印刷速度を演算する際に用いられる。
【0019】
印刷機10では、上述した構成によって、回路基板38が所定の位置まで搬送され、基板昇降装置32によって上昇されることで、マスク保持装置22に保持されているマスク50の下面に密着する。なお、マスク50には、回路基板38のパッド等のパターンに合わせて貫通孔(図示省略)が形成されている。そして、マスク50にクリームはんだが塗布されることで、マスク50の貫通穴を介して、クリームはんだが回路基板38に印刷される。
【0020】
具体的には、回路基板38がコンベア装置30により印刷機10に搬入されて、所定の位置まで搬送される。この際、クリーニング装置23のスライダ68は基板昇降装置32の上方から退避している。そして、回路基板38が基板昇降装置32の作動により上昇する。これにより、回路基板38がマスク50の下面に密着する。次に、はんだ供給装置26によって、マスク50の上面にクリームはんだが供給される。続いて、1対のスキージ82,84の一方が、スキージ昇降装置86によって下降し、その下降したスキージの先端がマスク50の上面に接触する。そして、そのスキージが、スキージ移動装置80によってY方向に移動することで、クリームはんだが、スキージによって、掻き取られる。この際、クリームはんだが、マスク50の貫通孔の内部に充填され、回路基板38に印刷される。続いて、回路基板38にクリームはんだが印刷されると、回路基板38が基板昇降装置32の作動により下降する。これにより、クリームはんだが印刷された回路基板38がマスク50から離れる。つまり、所謂、回路基板38の版離れ作業が実行される。そして、回路基板38が下降して、コンベア装置30のコンベアベルト34の上に載置されると、コンベア装置30の作動により、印刷機10から搬出される。これにより、1枚の回路基板38への印刷作業が完了する。
【0021】
また、印刷機10では、所定の枚数の回路基板38にクリームはんだが印刷される毎に、マスク50のクリーニングが行われる。詳しくは、所定の枚数の回路基板38へのクリームはんだの印刷作業が完了すると、クリーニング装置23のスライダ68がマスク支持台52の開口部の下方に移動する。そして、クリーニング装置23のクリーニング機構62においてクリーニングヘッド73がクリーニング位置まで上昇する。これにより、1対の巻取軸71,72の間に架け渡されているクリーニングシート77がクリーニングヘッド73によって持ち上げられることで、マスク支持台52の開口部に入り込み、マスク50の下面に密着する。そして、クリーニング装置23のスライダ68がY方向にスライドすることで、マスク50の下面が、その下面に密着しているクリーニングシート77により拭き取られる。これにより、マスク50の下面がクリーニングされる。
【0022】
なお、マスク50のクリーニングには、乾拭きクリーニングと、溶剤を用いたクリーニング(以下、「ウェットクリーニング」と記載する)と、吸引装置74を用いたクリーニング(以下、「吸引クリーニング」と記載する)とがあり、それら複数種類のクリーニングのうちの任意のクリーニングを行うことができる。詳しくは、乾拭きクリーニングは、上述した手順で実行されるクリーニングであり、乾いた状態のクリーニングシート77によりマスク50の下面が拭き取られる。また、ウェットクリーニングでは、クリーニングヘッド73が上昇する前に、噴霧装置76により溶剤がクリーニングシート77に噴霧される。そして、クリーニングヘッド73が上昇することで、溶剤の浸み込んだクリーニングシート77がマスク50の下面に密着し、スライダ68がスライドすることで、マスク50の下面が、溶剤の浸み込んだクリーニングシート77により拭き取られる。また、吸引クリーニングでは、クリーニングヘッド73が上昇する前、若しくは、クリーニングヘッド73が上昇し、マスク50の下面に密着した後に、吸引装置74が作動する。そして、スライダ68がスライドすることで、マスク50の下面がクリーニングシート77により拭き取られる。この際、クリーニングヘッド73の上面からエアが吸引されるため、マスク50の下面に密着しているクリーニングシート77を介して、マスク50の下面からエアが吸引される。これにより、マスク50の下面を吸引しながら、クリーニングシート77によりマスクの下面が拭き取られる。なお、吸引クリーニングでは、クリーニングシート77に溶剤は噴霧されずに、乾いた状態のクリーニングシート77によりマスク50の下面が拭き取られる。
【0023】
このように、印刷機10では、スキージ82,84により回路基板にクリームはんだが印刷され、所定の枚数の回路基板38にクリームはんだが印刷される毎に、マスク50のクリーニングが行われる。このため、クリームはんだの印刷条件及び、マスクのクリーニング条件を設定する必要がある。ここで、クリームはんだの印刷条件は、スキージの移動速度、スキージの角度、スキージの印圧、クリームはんだ印刷後に回路基板をマスクから離す速度(版離れ速度)等の複数の条件であるが、それら複数の条件は互いに独立しておらず、関連している。つまり、例えば、印刷速度を変更した場合には印圧も変更しなければ、マスク上にクリームはんだの掻き取り残しが発生し、回路基板へのクリームはんだの印刷品質が悪化する虞がある。このため、従来の手法では、クリームはんだの転写量,転写形状,クリームはんだの印刷状態の検査結果等に基づいて熟練者が印刷条件を設定していた。この際、上述したように、印刷速度,印圧等の複数の条件は関連しているため、熟練者が、印刷速度,印圧等の複数の複数の条件をクリームはんだの転写量,転写形状,クリームはんだの印刷状態の検査結果等に基づいて相対的に調整していた。しかしながら、このように熟練者により調整された印刷条件を確認するべく、その印刷条件に従って回路基板へのクリームはんだの印刷が下準備として実行されるが、その印刷条件が適切でなく、印刷品質が悪ければ、その回路基板は廃棄されるため、生産コストが増大する。また、熟練者でなければ、印刷速度,印圧等の複数の複数の条件を相対的に調整できないため、熟練者の確保,育成といった問題がある。
【0024】
このため、例えば、印刷結果を統計的に分析して印刷条件を推定する方法が考えられるが、分析に必要な印刷結果を得るためには膨大な時間がかかる。また、例えば、複数の印刷条件に従って複数の回路基板にクリームはんだを印刷し、その検査結果から最適な印刷条件を推定する方法も考えられる。ただし、実際に回路基板にクリームはんだを印刷する必要があるため、多くの回路基板が無駄になる。また、例えば、印刷速度を低速,標準,高速の3種類に限定し、印圧を低圧,標準,高圧の3種類に限定して、それらの印刷条件を組み合わせて回路基板への印刷処理を実行すれば、印刷結果の分析に然程、時間はかからず、浪費する回路基板の数も少なくすることができる。ただし、そのように印刷速度等の設定条件を3種類程度に限定すると、最終的には、設定条件の微調整に熟練者が必要となる。このようなことに鑑みて、サイクルタイムと回路基板のサイズとスキージ角度とスキージの種類とマスクのクリーニング設定とを情報処理装置110に入力するだけで、情報処理装置110において、最適な印刷速度,印圧等の印刷条件が演算される。
【0025】
詳しくは、印刷速度が遅いほど、マスク50の貫通穴にクリームはんだを好適に充填できるため、
図6に示すように、印刷速度が遅いほど回路基板へのクリームはんだの印刷品質は向上する。このため、印刷品質を考慮すると、印刷速度は遅いことが好ましい。しかしながら、サイクルタイムを考慮すると、印刷速度は速いことが好ましい。そこで、サイクルタイムが予め設定されている場合には、その設定されているサイクルタイムを満たす範囲で最も遅い印刷速度を設定することが好ましい。また、印圧が高いほどクリームはんだを綺麗に掻き取ることができるため、
図7に示すように、印圧が高いほど回路基板へのクリームはんだの印刷品質は向上する。このため、印刷品質を考慮すると、印圧は高いことが好ましい。しかしながら、高い印圧でクリームはんだの印刷処理が実行されると、マスク50への負荷が大きくなり、マスク50が損傷し易いため、このことを考慮すると、印圧は低いことが好ましい。そこで、クリームはんだを掻き取り可能な最も低い印圧を設定することが好ましい。つまり、クリームはんだを掻き取り可能な最も低い印圧を設定することで、印刷品質をある程度妥協する一方で、サイクルタイムを満たす範囲で最も遅い印刷速度を設定することで、印刷品質を向上させて、印刷品質を担保する。このため、クリームはんだを掻き取り可能な最も低い印圧と、印刷速度とは、
図8に示すように、比例する。つまり、クリームはんだを掻き取り可能な最も低い印圧Fと、印刷速度vとの関係は、下記の一次式となる。
F=αv+β
【0026】
また、スキージ角度は小さいほどクリームはんだを下方に押し付けることができるため、
図9に示すように、スキージ角度が小さいほど回路基板へのクリームはんだの印刷品質は向上する。ただし、スキージ角度は印刷機によって固定の値とされており、一般的に60度前後が良いとされている。ただし、スキージ角度は、上述した印圧Fと印刷速度vとの関係を示す一次式での傾き(α)及び切片(β)に影響を及ぼす。このため、所定のスキージ角度に応じた傾き(α)及び切片(β)を予め実験で設定しておく。なお、傾き(α)及び切片(β)は、スキージ角度だけでなく、スキージの種類、例えば、メタル製のスキージ,ウレタン製のスキージに応じて変化するため、傾き(α)及び切片(β)を、スキージ角度だけでなく、スキージの種類に応じて実験により予め設定しておく。これにより、スキージ角度及びスキージの種類に応じて、印圧Fと印刷速度vとを設定することができる。
【0027】
また、版離れ速度は速いほど、回路基板に印刷されたクリームはんだの型崩れを防止しながら回路基板をマスクから離すことができるため、
図10に示すように、版離れ速度が速いほど印刷品質は向上する。このため、印刷品質を考慮すると、版離れ速度は速いことが好ましい。また、サイクルタイムを考慮しても、版離れ速度は速いことが好ましい。このため、回路基板をマスクから離す際に作動する基板昇降装置32の作動可能な範囲のうちの最速に近い値に版離れ速度は設定される。
【0028】
このようなことを前提として、情報処理装置110において最適な印刷速度,印圧等の印刷条件が演算される。以下に、
図11に示すフローチャートを用いて、情報処理装置110において最適な印刷速度,印圧等の印刷条件が演算される際の処理を詳しく説明する。まず、サイクルタイムTと回路基板のサイズyとスキージ角度θとスキージの種類とマスクのクリーニング設定とが情報処理装置110に入力される(S10)。なお、サイクルタイムTは、1枚の回路基板に対してクリームはんだの印刷処理を行うために必要な時間であり、回路基板が印刷機に搬入されてから、印刷機から搬出されるまでの時間である。また、回路基板のサイズyは、回路基板のY方向の長さ寸法である。また、スキージ角度θは、50°,55°,60°,65°のうちの何れかが選択され、スキージの種類は、メタルとウレタンとの何れかが選択される。また、クリーニング設定として、吸引の有無と、溶剤の有無と、クリーニングペーパーの節約を行うか否かの設定が行われる。
【0029】
そして、サイクルタイムTと回路基板のサイズyとスキージ角度θとスキージの種類とマスクのクリーニング設定との入力が完了すると、クリーニング時間tcがクリーニング設定等に基づいて演算される(S12)。詳しくは、クリーニング設定において、吸引無し及び、溶剤無しが設定されている場合には、乾拭きクリーニングが回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行される。つまり、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において一方の方向に移動する。なお、クリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62がY方向に移動する際には、
図12に示すように、回路基板38のサイズyに、クリーニング機構62のY方向の寸法Aに相当する距離を加算した距離y’を移動する必要がある。このため、回路基板のサイズyに応じた距離y’は、下記式に従って演算される。
y’=y+A
【0030】
このように、回路基板のサイズyに応じた距離y’が演算されると、吸引無し及び、溶剤無しが設定されている場合のクリーニング時間tcが下記式に従って演算される
tc=(y’/vc)+クリーニング付随時間
なお、クリーニング機構62の移動速度、つまり、クリーニング速度vcは予め設定されている。また、クリーニング付随時間とは,例えば,クリーニング機構62をクリーニング開始位置へ移動させる時間,クリーニング終了後にクリーニング機構62を退避位置へ移動させる時間,クリーニングヘッド73を上昇させたり下降させたりする時間,溶剤を塗布する時間,クリーニングシート77を巻き取る時間など、クリーニングするために必要な動作の合計時間である。
【0031】
また、クリーニング設定において、吸引無し及び、溶剤有りが設定されている場合には、乾拭きクリーニングが往路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行された後に、ウェットクリーニングが復路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行される。つまり、まず、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において一方の方向に移動する。そして、その後に、溶剤が浸み込んだ状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において他方の方向に移動する。このため、クリーニング設定において、吸引無し及び、溶剤有りが設定されている場合には、クリーニング機構62が回路基板のサイズyに応じた距離y’を往復移動する。また、クリーニング設定において、吸引有り及び、溶剤無しが設定されている場合には、吸引クリーニングが往路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行された後に、乾拭きクリーニングが復路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行される。つまり、まず、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触し、吸引装置74が作動した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において一方の方向に移動する。そして、その後に、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において他方の方向に移動する。このため、クリーニング設定において、吸引有り及び、溶剤無しが設定されている場合も、クリーニング機構62が回路基板のサイズyに応じた距離y’を往復移動する。このため、吸引無し及び、溶剤有りが設定されている場合と、吸引有り及び、溶剤無しが設定されている場合には、下記式に従ってクリーニング時間tcが演算される。
tc=(2y’/vc)+クリーニング付随時間
【0032】
また、クリーニング設定において、吸引有り及び、溶剤有りが設定されている場合には、吸引クリーニングが往路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行され、ウェットクリーニングが復路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行された後に、乾拭きクリーニングが往路において回路基板のサイズyに応じた距離y’、実行される。つまり、まず、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触し、吸引装置74が作動した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において一方の方向に移動する。そして、その後に、溶剤が浸み込んだ状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において他方の方向に移動する。さらに、その後に、乾いた状態のクリーニングシート77がマスクの下面に接触した状態でクリーニング機構62が、回路基板のサイズyに応じた距離y’、Y方向において一方の方向に移動する。このため、クリーニング設定において、吸引有り及び、溶剤有りが設定されている場合は、クリーニング機構62が回路基板のサイズyに応じた距離y’を1往復半移動する。このため、吸引有り及び、溶剤有りが設定されている場合には、下記式に従ってクリーニング時間tcが演算される。
tc=(3y’/vc)+クリーニング付随時間
【0033】
続いて、クリーニング時間tcが演算されると、スキージによりクリームはんだを回路基板に印刷する際に要する時間(以下、「スキージング時間」と記載する)tが下記式に従って演算される(S14)。
t=T-(tc/N)-th-ts
ここで、サイクルタイムTは、S10において入力されており、クリーニング時間tcは、S12において演算されている。また、thは、版離れ作業に要する時間(以下、「版離れ時間」と記載する)、つまり、回路基板をマスクから離す際に要する時間である。そして、版離れ速度は、上述したように、回路基板をマスクから離す際に作動する基板昇降装置32の作動可能な範囲のうちの最速に近い値に設定されている。また、版離れ作業時に回路基板が下降する距離(以下、「版離れ距離」と記載する)及び、回路基板が下降する際の加速度(以下、「版離れ加速度」と記載する)も予め設定されている。このため、版離れ時間は、版離れ速度と版離れ距離と版離れ加速度とに基づいて演算される。また、tsは、回路基板を印刷機10の内部に搬入して作業位置まで搬送し、作業位置から印刷機10の外部に搬出するために要する時間,回路基板を上昇させるために要する時間,クリームはんだをマスクの上面に吐出するために要する時間などを加算した時間である。そして、それらの時間は予め測定若しくは推定することができるため、それらを加算した時間tsは、予め設定されている。また、Nは、マスクのクリーニングを行う間隔、つまり、N枚の基板に粘性体を印刷する毎に前記マスクのクリーニングを行うクリーニング間隔であり、このクリーニング間隔Nが定まれば、上記式に従ってスキージング時間tを演算することができる。そこで、クリーニング間隔Nは、1~10の10個の自然数に設定されており、それら10個のクリーニング間隔Nの各々に応じてスキージング時間tが上記式に従って演算される。つまり、クリーニング間隔Nが1である場合のスキージング時間t(N=1),クリーニング間隔Nが2である場合のスキージング時間t(N=2)・・・クリーニング間隔Nが9である場合のスキージング時間t(N=9),クリーニング間隔Nが10である場合のスキージング時間t(N=10)の10個のスキージング時間tが演算される。
【0034】
このように、1~10の10個のクリーニング間隔Nの各々に応じてスキージング時間tが演算されると、各々のスキージング時間tに基づいて、印刷速度vが下記式に従って演算される(S16)。
v=[(t/2)-{(t4/4)-(s/a)}1/2]a
ここで、スキージング時間tは、S14において10個のクリーニング間隔Nの各々に応じて演算されている。また、sは、スキージにより回路基板にクリームはんだが印刷される際の距離、つまり、印刷ストロークであり、回路基板のサイズyに助走距離αを加算した値である。なお、助走距離αは予め設定されている。また、aは、スキージにより回路基板にクリームはんだが印刷される際のスキージの加速度であり、予め設定されている。このため、10個のクリーニング間隔Nの各々に応じて演算されたスキージング時間tに応じて、10個の印刷速度vが演算される。つまり、クリーニング間隔Nが1である場合の印刷速度v(N=1),クリーニング間隔Nが2である場合の印刷速度v(N=2)・・・クリーニング間隔Nが9である場合の印刷速度v(N=9),クリーニング間隔Nが10である場合の印刷速度v(N=10)の10個の印刷速度vが演算される。
【0035】
続いて、1~10の10個のクリーニング間隔Nの各々に応じて印刷速度vが演算されると、各々の印刷速度vに基づいて、印圧Fが下記式に従って演算される(S18)。
F=αv+β
ここで、傾き(α)及び切片(β)は、上述したように、スキージ角度θ及びスキージの種類に応じて予め設定されている。このため、S10で入力されているスキージ角度θ及びスキージの種類に基づいて、傾き(α)及び切片(β)が特定される。そして、特定された傾き(α)及び切片(β)の上記式に従って、1~10の10個のクリーニング間隔Nの各々に応じた印圧Fが演算される。つまり、クリーニング間隔Nが1である場合の印圧F(N=1),クリーニング間隔Nが2である場合の印圧F(N=2)・・・クリーニング間隔Nが9である場合の印圧F(N=9),クリーニング間隔Nが10である場合の印圧F(N=10)の10個の印圧Fが演算される。
【0036】
次に、1~10の10個のクリーニング間隔Nの各々に応じて印圧Fが演算されると、S10で入力されたクリーニング設定におけるクリーニングペーパーの節約の有無が判定される(S20)。そして、クリーニングペーパーの節約を行わない旨のクリーニング設定が入力されている場合に(S20:NO)、印刷機10で動作可能な印刷速度のうちの最もクリーニング間隔Nが小さい印刷速度vが選択される(S22)。ここで、印刷機10でのスキージの最速印刷速度vMAXは予め設定されている。このため、S16で演算された10個の印刷速度vから最速印刷速度vMAX以下の印刷速度が特定される。これにより、印刷機10で動作可能な印刷速度が特定される。そして、特定された印刷速度のうちの最もクリーニング間隔Nが小さい印刷速度vが選択される。具体的には、例えば、動作可能な印刷速度として、印刷速度v(N=3),印刷速度v(N=4)・・・印刷速度v(N=9),印刷速度v(N=10)が特定された場合には、それらの印刷速度のうちの最もクリーニング間隔Nが小さい印刷速度、つまり、印刷速度v(N=3)が選択される。
【0037】
また、クリーニングペーパーの節約を行う旨のクリーニング設定が入力されている場合に(S20:YES)、印刷機10で動作可能な印刷速度のうちの設定制限値以下で最もクリーニング間隔Nが大きい印刷速度vが選択される(S24)。ここで、設定制限値は、スキージ角度θ毎に設定されている。具体的には、例えば、スキージ角度θ(50°)に対して設定制限値が2に設定されており、スキージ角度θ(55°)に対しても設定制限値が2に設定されている。また、スキージ角度θ(60°)に対して設定制限値が4に設定されており、スキージ角度θ(65°)に対して設定制限値が6に設定されている。そして、S16で演算された10個の印刷速度vから最速印刷速度vMAX以下の印刷速度が特定される。これにより、印刷機10で動作可能な印刷速度が特定される。そして、印刷機10で動作可能な印刷速度のうちの設定制限値以下で最もクリーニング間隔Nが大きい印刷速度vが選択される。具体的には、例えば、動作可能な印刷速度として、印刷速度v(N=3),印刷速度v(N=4)・・・印刷速度v(N=9),印刷速度v(N=10)が特定され、スキージ角度θが60°である場合には、設定制限値4以下のクリーニング間隔Nは3若しくは4であるため、印刷速度v(N=4)が選択される。また、例えば、動作可能な印刷速度として、印刷速度v(N=3),印刷速度v(N=4)・・・印刷速度v(N=9),印刷速度v(N=10)が特定され、スキージ角度θが50°である場合には、設定制限値2以下のクリーニング間隔Nはない。このような場合には、表示装置(図示省略)にエラー画面が表示される。これは、S10で入力されたサイクルタイムTが短すぎるために、そのサイクルタイムTに応じて演算された印刷速度が速すぎて、動作可能な印刷速度に応じたクリーニング間隔が設定制限値を超えるためである。このため、エラー画面に、入力されたサイクルタイムTが短いため、入力されたサイクルタイムTより長いサイクルタイムTを再入力する旨のコメントが表示される。そして、エラー画面が表示されると、S10に戻り、作業者が、サイクルタイムT等を再入力する。これにより、S10以降の処理が再実行される。
【0038】
そして、S22若しくはS24において、印刷速度vが選択されると、選択された印刷速度v,その印刷速度vに応じたクリーニング間隔N,その印刷速度vに応じた印圧F,版離れ設定,クリーニング動作が、情報処理装置110からコントローラ100に出力される。なお、版離れ設定は、S14で版離れ時間thの演算時に用いられた版離れ速度,版離れ距離,版離れ加速度である。また、クリーニング動作は、S10で入力されたクリーニング設定に応じて乾拭きクリーニングとウェットクリーニングと吸引クリーニングとの何れを実行するかを示す情報である。そして、コントローラ100は、印刷速度v,クリーニング間隔N,印圧F,版離れ設定,クリーニング動作を受け付けると、受け付けた印刷速度v,クリーニング間隔N,印圧F,版離れ設定,クリーニング動作に基づいて、クリームはんだの印刷処理及びマスクのクリーニングを実行する。
【0039】
このように、情報処理装置110において、サイクルタイムT,基板サイズy,スキージ角度θ,スキージの種類,クリーニング設定を入力するだけで、最適な印刷速度,印圧等の印刷条件及び、クリーニングペーパーの節約の有無に応じたクリーニング間隔が自動で演算される。これにより、熟練者の確保,育成、生産コストの増大といった上記問題を解決することができる。
【0040】
なお、上記実施例において、回路基板38は、基板の一例である。マスク50は、マスクの一例である。スキージ82,84は、スキージの一例である。情報処理装置110は、演算装置の一例である。クリームはんだは、粘性体の一例である。最速印刷速度vMAXは、許容限界速度の一例である。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、版離れ速度が基板昇降装置32の作動可能な範囲のうちの最速に近い値に設定されているが、粘性体の種類等により、版離れ速度が速すぎると品質が低下する場合もあるため、粘性体の種類等に応じて任意の値に設定することが可能である。
【0042】
また、上記実施例では、情報処理装置110に入力されるサイクルタイムTが短すぎる場合に、エラー画面が表示されて、サイクルタイムTの再入力が促されるが、サイクルタイムTの入力画面において入力可能なサイクルタイムの範囲が設定されていてもよい。これにより、極端に短いサイクルタイムTの入力を抑制することができる。
【0043】
また、上記実施例では、例えば、クリーニング機構62が乾拭きクリーニング及びウェットクリーニングを実行する際に、往路において乾拭きクリーニングが実行された後に、復路においてウェットクリーニングが実行される。一方、クリーニング機構62がクリーニング動作を行いながら移動するのは往路のみで、復路はクリーニング動作を伴わない単なる移動でもよい。つまり、例えば、クリーニング機構62が乾拭きクリーニングしながら印刷機10の手前から奥へ移動する(往路)。次に、クリーニング機構62がマスクから離れて印刷機10の奥から手前へ移動する(復路)(クリーニング動作を伴わない移動)。続いて、クリーニング機構62がウェットクリーニングしながら印刷機10の手前から奥へ移動する(往路)。その際のクリーニング時間tcは、下記式に従って演算される。
tc=(2y’/vc)+(y’/vi)+クリーニング付随時間
なお、viは、クリーニング動作を伴わない移動のみのクリーニング機構62の移動速度、つまり、復路のクリーニング機構62の移動速度である。
【0044】
また、上記実施例では、情報処理装置110において印刷速度v,印圧Fなどが演算されているが、コントローラ100において印刷速度v,印圧Fなどが演算されてもよい。つまり、コントローラ100が本発明の演算装置として機能してもよい。
【0045】
また、上記実施例では、粘性体としてクリームはんだが採用されているが、スキージにより回路基板に印刷されるものであれば、種々の粘性体を採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
38:回路基板(基板) 50:マスク 82:スキージ 84:スキージ 110:情報処理装置(演算装置)