(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ロッド伸縮装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/28 20140101AFI20241023BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20241023BHJP
F16H 25/12 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
E05B83/28
B60K15/05 B
F16H25/12 A
(21)【出願番号】P 2021063927
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮前 仁志
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 敦士
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/213523(WO,A1)
【文献】特開2010-106439(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107009889(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
F16H 25/12
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
該ケース内に配置され、同ケースに対して出没移動可能に保持されると共に、外周に被係合部を有するロッドと、
前記ケース内に配置され、駆動軸部を有するモーターと、
前記駆動軸部の先端側に位置するギヤと、
前記被係合部に係脱するロック部及び前記ギヤに歯合する歯合部を有するロックリテーナとを有しており、
前記ロックリテーナは、前記駆動軸部の駆動により前記ロッドに対して離反したときに、前記ロック部が前記被係合部から離脱し、前記ロッドに対して近接方向に移動したときに、前記ロック部が前記被係合部に係合するように前記ケース内に配置されており、
ロッド軸方向から見たときに、前記駆動軸部は、前記モーターと前記ギヤとの間の部分が、前記ロッドに最も近接するように構成されていることを特徴とするロッド伸縮装置。
【請求項2】
前記駆動軸部の、前記モーターと前記ギヤとの間の部分には、前記ギヤの外周よりも縮径した縮径部が形成されており、この縮径部が前記ロッドに最も近接するように配置されている請求項1記載のロッド伸縮装置。
【請求項3】
前記ケース内であって、同ケース内面と前記ロックリテーナとの間には、前記ロックリテーナを、前記モーターに近接する方向に付勢する付勢手段が配置されている請求項1又は2記載のロッド伸縮装置。
【請求項4】
前記ケースは、第1本体部と、該第1本体部に装着される第2本体部とを有しており、
前記第1本体部及び前記第2本体部の外表面には、前記モーターと前記ギヤとの間の部分に対応する位置に、凹部がそれぞれ形成されており、
前記第1本体部又は前記第2本体部の一方の、前記凹部には、嵌合部が設けられており、
前記第1本体部又は前記第2本体部の他方の、前記凹部には、前記嵌合部が嵌合する被嵌合部が設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載のロッド伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ロッドの伸縮動作によって、自動車のフューエルリッド等の開閉体を押し込んだり、押し上げたりする、ロッド伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のフューエルリッド等の開閉体には、開口部に対して開閉体を閉じた状態で、開閉体を受け止めて支持すると共に、開口部から所定高さ押上げるための、ロッドが配置されている。このロッドは、開閉体の押し込み動作によって伸縮する構造とされている。
【0003】
このような構造を有する装置として、下記特許文献1には、第1本体部及び第2本体部からなり筒状部を有する本体部材と、筒状部内に配置され回転可能に且つ軸方向移動可能に保持される移動部材(ロッド)と、ロッドを筒状部一端から突出する方向に付勢するバネ部材と、移動部材外周に形成されたカム突部と、筒状部に形成されたカム溝とを有する、回転式伸縮装置が記載されている。なお、駆動装置はモーターであり、その駆動軸にはウォームギヤが装着されている。また、ロッドとモーターとの間に、ロックリテーナのロック突部が配置されたレイアウトとなっている(特許文献1の
図11参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の回転式伸縮装置の場合、上述したように、ロッドとモーターとの間に、ロックリテーナのロック突部が配置されているので、ロックリテーナをロッドに近づけにくく、装置を小さくしにくい。
【0006】
したがって、本発明の目的は、コンパクトなロッド伸縮装置を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るロッド伸縮装置は、ケースと、該ケース内に配置され、同ケースに対して出没移動可能に保持されると共に、外周に被係合部を有するロッドと、前記ケース内に配置され、駆動軸部を有するモーターと、前記駆動軸部の先端側に位置するギヤと、前記被係合部に係脱するロック部及び前記ギヤに歯合する歯合部を有するロックリテーナとを有しており、前記ロックリテーナは、前記駆動軸部の駆動により前記ロッドに対して離反したときに、前記ロック部が前記被係合部から離脱し、前記ロッドに対して近接方向に移動したときに、前記ロック部が前記被係合部に係合するように前記ケース内に配置されており、ロッド軸方向から見たときに、前記駆動軸部は、前記モーターと前記ギヤとの間の部分が、前記ロッドに最も近接するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロッド軸方向から見たときに、駆動軸部は、モーターとギヤとの間の部分が、ロッドに最も近接するように構成されているので、ロッド軸方向から見たときに、ロックリテーナをロッドに近づけやすくなり、コンパクトなロッド伸縮装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るロッド伸縮装置の、一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】同ロッド伸縮装置において、第2本体部を外した状態の斜視図である。
【
図5】同ロッド伸縮装置において、第1本体部を外し、ロッドが筒状部の一端から突出した状態の要部拡大斜視図である。
【
図6】同ロッド伸縮装置において、第1本体部を外し、ロッドが筒状部の一端から引き込まれた状態の要部拡大斜視図である。
【
図7】同ロッド伸縮装置を構成する第1本体部の正面図である。
【
図8】同ロッド伸縮装置を構成する第2本体部の正面図である。
【
図9】同ロッド伸縮装置において、第2本体部を外した状態の正面図である。
【
図10】同ロッド伸縮装置において、第1本体部を外した状態の正面図である。
【
図11】
図3のA-A矢視線における断面図である。
【
図12】同ロッド伸縮装置において、ロッド、モーター、駆動軸、ロックリテーナを側方から見た場合の説明図である。
【
図13】同ロッド伸縮装置の適用箇所を平面方向から見た場合の説明図である。
【
図14】同ロッド伸縮装置において、ロッドの係合片が開閉体の係合溝に係合していない状態の平面図である。
【
図15】同回転式伸縮装置において、ロッドの係合片が開閉体の係合溝に係合した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ロッド伸縮装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るロッド伸縮装置の、一実施形態について説明する。
【0011】
このロッド伸縮装置は、例えば、
図1及び
図13に示すように、フューエルリッド等の開閉体の開閉構造に用いられるものである。
図1に示すように、車体1aの燃料給油口周縁には、略円筒箱状をなした固定部材1が固定されている。また、固定部材1の開口部2には、ヒンジ部3を介して開閉体(フューエルリッド)5が開閉可能に取付けられている。更に、固定部材1の開口部2の、ヒンジ部3とは周方向反対側には、凹部3aが設けられており、この凹部3aに、この実施形態のロッド伸縮装置10(以下、単に「伸縮装置10」ともいう)が配置されている。
【0012】
また、開閉体5の内面側には、係合部6が設けられている。この係合部6は、一対の側壁部7,7と、それらの一端部どうしを連結した連結壁8とからなり、門形枠状をなしている。なお、一対の側壁部7,7の間には、係合溝9が設けられている。
【0013】
なお、この実施形態のロッド伸縮装置10は、上記のようなフューエルリッド等の開閉体の開閉構造に利用されるが、例えば、自動車の小物入れの開閉構造や、押し込むことで開閉する構造の家具や日用品等に利用してもよく、使用態様や設置場所等は特に限定されない。
【0014】
そして、
図2及び
図3に示すように、この実施形態の伸縮装置10は、ケース11と、該ケース11内に配置され、同ケース11に対して出没移動可能に保持されると共に、外周に被係合部67を有するロッド60と、ケース11内に配置され、駆動軸部71を有するモーター70と、駆動軸部71の先端側に位置するギヤ83と、被係合部67に係脱するロック部97及びギヤ83に歯合する歯合部93(
図11参照)を有するロックリテーナ90とを有している。
【0015】
この実施形態のケース11は筒状部13を有しており、ロッド60は、筒状部13内に配置されると共に、同筒状部13に対して軸方向移動可能に保持される。具体的には、ロッド60は、筒状部13の一端から所定長さ突出すると共に、筒状部13の一端から所定長さ没入するようになっており、ロッド60がケース11の筒状部13から出没可能となっている。なお、本発明において、ロッドが「ケースに対して出没可能」とは、必ずしもケース内にロッドが完全に没入されることを意味するものではなく、ケース内にロッドの一部が没入することを含む意味である。
【0016】
また、
図5及び
図6に示すように、筒状部13には、ロッド60に設けたカム突部65が嵌入して、ロッド60を回転させつつ軸方向移動させる、一対のカム溝15が形成されている。
【0017】
更に、この伸縮装置10は、ロッド60を筒状部13の一端から突出する方向に付勢する、第1バネ部材S1と、ロックリテーナ90をモーター70に近接する方向に付勢する、第2バネ部材S2とを有している。両バネ部材S1,S2は、コイルバネとなっている。なお、第2バネ部材S2が、本発明における「付勢手段」をなしている。
【0018】
図2に示すように、前記ロッド60は略円筒形状をなしている。このロッド60の軸方向先端中央からは、細径の柱状部61が突設されており、その先端には、長手方向両端が円弧状をなした帯状の係合片63が連設されている。このロッド60内には前記第1バネ部材S1が挿入され、筒状部13の一端からロッド60が所定長さ突出するようになっている。なお、ロッド60の軸方向基端側には、テーパ面61aが形成されている(
図12参照)。
【0019】
また、
図14や
図15に示すように、ロッド60の係合片63は、ロッド60の回転に伴って回転して角度が変わって、開閉体5の係合部6に係脱するようになっている。この実施形態の場合、固定部材1の開口部2から開閉体5が開いたときに、開閉体5に設けた係合部6の係合溝9の溝方向に沿った方向となるように、係合片63の長手方向が配置されるようになっており(
図14参照)、一方、固定部材1の開口部2に対して開閉体5を閉じたときに、係合溝9の溝方向に対して直交するように、係合片63の長手方向の角度が変わるようになっている(
図15参照)。
【0020】
更に、ロッド60の軸方向外周であって、基端寄りの箇所には、一対のカム突部65,65が突設されている。各カム突部65は、その外周が円形状をなしている。これらのカム突部65,65が、筒状部13に形成した一対のカム溝15,15内に嵌入して、ロッド60の押し込み動作に応じて、ロッド60を回転及び軸方向移動させる。また、
図5に示すように、第1バネ部材S1に付勢されるロッド60は、その一対のカム突部65,65が、一対のカム溝15,15のロッド突出規制部15a,15aに嵌合するため、筒状部13の一端からロッド60全体が抜け出ないように、抜け止め保持されるようになっている。なお、この実施形態におけるカム突部65はロッド60と一体形成されているが、別体で形成してもよい。
【0021】
また、ロッド60の、一対のカム突部65,65よりも、軸方向基端側の外周であって、一対のカム突部65,65の突出方向に直交する位置には、四角孔状をなした被係合部67,67が形成されている。この被係合部67には、ロックリテーナ90のロック部97が挿脱し、ロッド60を押し込み状態にロックするか又はロック状態を解除するものとなっている。
【0022】
図2に示すように、駆動軸部71を有するモーター70は、この実施形態の場合、本体72と、この本体72から突出した軸73とを有している。本体72の外周は、径方向に対向配置された一対の円弧面72a,72aと、これらの一対の円弧面72a,72aに直交配置され互いに平行な一対の平坦面72b,72bとを有している。なお、軸73の外周の所定箇所にも、平坦面73aが形成されている。
【0023】
また、モーター70の軸73には、モーター70とは別体の軸部材80が回転規制された状態で装着されている。この軸部材80は、所定長さで延びた略円柱状をなしており、軸方向先端に位置する先端部81と、この先端部81の軸方向基端側に隣接配置され、外周に螺旋形突起を設けたギヤ83と、このギヤ83の軸方向基端側に隣接配置され、ギヤ83の外周よりも縮径した縮径部85とを有している。
図11に示すように、縮径部85は一定外径となっており、先端部81の外径よりも拡径している。また、
図9~11に示すように、ギヤ83の軸方向基端側と、縮径部85の軸方向先端側との間には、軸部材80の軸方向基端側に向けて次第に縮径するテーパ部87が設けられている。
【0024】
更に
図11に示すように、軸部材80の径方向中央部であって基端から先端側途中に至る範囲には、軸装着孔89が形成されている。この軸装着孔89の内面には、平坦面89aが形成されている。そして、この軸装着孔89の平坦面89aに、軸73の平坦面73bを位置合わせした状態で、軸装着孔89に軸73が挿入されることで、軸73に軸部材80が回転規制状態で装着される。これらの軸73及び軸部材80が、本発明の「駆動軸部71」をなしている。なお、モーター70の軸73と軸部材80とを別体とはせず、モーターの駆動軸の外周に、ギヤを直接設けた態様としてもよい。
【0025】
また、
図9~11に示すように、ロッド軸方向から見たときに(ロッド60を軸方向から見たときに)、軸73及び軸部材80からなる駆動軸部71は、モーター70とギヤとの間の部分が、ロッド60に最も近接するように構成されている。また、ロッド60を軸方向から見たときに、モーター70とギヤ83との間の部分で、ロッド60と駆動軸部71とが最も近接するように、ロッド60及び駆動軸部71がケース11に配置されている、とも言える。なお、このレイアウトについては、後で詳述する。
【0026】
前記ロックリテーナ90は、駆動軸部71の駆動によりロッド60に対して近接離反し、ロッド60に対して離反したときに、ロック部97が被係合部67から離脱し、ロッド60に対して近接方向に移動したときに、ロック部97がロッド60の被係合部67に係合するように、ケース11内において昇降可能に配置されている。ここでは、ケース11の長手方向L(
図3参照)に沿った方向に、ロックリテーナ90はスライド動作する。
【0027】
図2に示すように、この実施形態におけるロックリテーナ90は、その内周に歯合部93(
図11参照)を形成したリテーナ本体91を有している。歯合部93には、駆動軸部71の先端側に位置するギヤ83が歯合し、駆動軸部71の駆動に伴って、ロックリテーナ90がスライドする。また、リテーナ本体91の一側面からは、略L字状をなしたアーム95が延出しており、その先端には、ロッド60の被係合部67に係脱するロック部97が設けられている。
【0028】
更に、リテーナ本体91の、アーム95とは反対側の他側面からは、操作ノブ99が突出している。この操作ノブ99は、第2本体部40の長孔51a(
図8参照)から、ケース11の外方に挿出される。なお、この操作ノブ99は、モーター70の故障等によって駆動軸部71が駆動せず、ロックリテーナ90がスライド不能となった場合に、手動でロックリテーナ90をスライドさせて、ロック部97をロッド60の被係合部67から抜き外し可能とするものである。
【0029】
また、
図2や
図3に示すように、筒状部13の一端側には、ゴムや弾性エラストマー等からなる、キャップ17が装着されるようになっている。このキャップ17は、水等の流体や粉塵等の異物が、筒状部13内に侵入することを抑制する。
【0030】
また、
図2に示すように、伸縮装置10は、複数のバスバー75,76,77と、これらを束ねるバスバーブラケット78と、リミットスイッチ100と、該リミットスイッチ100を配置するためのスイッチブラケット110とを更に有している。
【0031】
上記リミットスイッチ100は、スイッチケース101と、該スイッチケース101の上端部に、配置された検出部103とを有している。この検出部103は、ロッド60の軸方向基端部が接離して、筒状部13に対するロッド60の押し込み状態を検出する。また、リミットスイッチ100の一側面に隣接配置されるスイッチブラケット110は、連結部111を介して、リミットスイッチ100に連結されるようになっている。
【0032】
前記バスバー75は、その一端がスイッチブラケット110に連結される。また、バスバー76は、二股状の分岐部を有しており、その一方がスイッチブラケット110に連結され、他方がモーター70に連結される。更に、バスバー77は、その一端がモーター70に連結される。そして、図示しない電力供給手段による電力が、バスバー76,77を介してモーター70に供給されると共に、バスバー75,76を介してリミットスイッチ100に供給されるようになっている。
【0033】
次に、ケース11の詳細な構造について説明する。
【0034】
この実施形態のケース11は、第1本体部20と、この第1本体部20に装着される第2本体部40とから構成されている。
【0035】
まず、
図2、
図4、
図7、及び
図9を参照して、第1本体部20について説明する。この実施形態の第1本体部20は、一方向に長く伸びるベース部21を有している。
【0036】
なお、
図2に示すように、ベース部21の長手方向に沿った方向Lとし、長手方向Lの一端(
図2の紙面において上方の端部)をL1とし、長手方向Lの他端(
図2の紙面において下方の端部)をL2とする。また、ベース部21の長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとし、その一端(
図2の紙面において左側の端部)をW1とし、他端(
図2の紙面において右側の端部)をW2とする。これらは、第2本体部40のベース部41や、ケース11の長手方向及び幅方向、更に伸縮装置全体の幅方向についても同様の意味である。
【0037】
ベース部21の外周23の一部には、所定高さで起立する壁23a,23b(
図4参照)が設けられている。また、ベース部21の、長手方向Lの両端L1,L2であって、幅方向W2側には、一対の取付孔21a,21bが形成されている。
【0038】
更に
図2や
図3に示すように、ベース部21の、長手方向Lの中央よりも一端L1寄りであって、幅方向Wの他端W2側からは、ベース部21の長手方向Lに直交するように、筒状壁25が設けられている。この筒状壁25は、ベース部21の外面側(第2本体部40との対向面と反対側)から突出すると共に、ベース部21の内面側からも突出している(
図4参照)。また、
図7に示すように、筒状壁25の内周には、カム形成筒部27が設けられている。
図5及び
図6には、第1本体部20について、カム形成筒部27のみが図示されているが、同図に示すように、カム形成筒部27には、カム溝15(
図5,6参照)を設けるための、カム溝形成部27aが形成されている。このカム溝形成部27aは、傾斜面状をなした溝及び軸方向に延びる溝からなる。
【0039】
なお、筒状壁25及びカム形成筒部27の内側には、ロッド60が収容配置される。すなわち、筒状壁25及びカム形成筒部27は、「筒状部13」の構成部分の一つとなっている。また、
図2に示すように、ベース部21の、筒状壁25に隣接した位置には、固定ピン挿入部21cが設けられており、その内周に固定ピン22が挿入されるようになっている。
【0040】
また、
図4や
図7に示すように、この第1本体部20は、軸配置部29と、リテーナ・バネ配置部31と、モーター配置部33と、スイッチ配置部35と、バスバー配置部37とを有している。ベース部21の外周23であって、軸配置部29に位置する箇所には、所定高さで起立する壁23aが設けられている(
図4参照)。また、ベース部21の外周23であって、モーター配置部33、スイッチ配置部35、バスバー配置部37に位置する箇所にも、所定高さで起立する壁23bが設けられており(
図4参照)、これらの配置部33,35,37は所定深さの凹状となっている。そして、この第1本体部20には、主として、ロックリテーナ90のロック部97や、バスバー75,76,77、バスバーブラケット78が収容配置される。
【0041】
図7に示すように、ベース部21の長手方向Lの中央よりも一端L1寄りの、幅方向Wの一端W1側には、軸配置部29が設けられている。この軸配置部29は、ロッド60を軸方向から見たときに、筒状壁25に対して、幅方向Wにおいて隣接し且つ並列するように位置している(
図7参照)。そして、この軸配置部29には、モーター70の駆動軸部71が駆動軸部71が整合するように配置されるが(
図4及び
図9参照)、同駆動軸部71は、第2本体部40側の後述する軸配置部49(
図10参照)内に収容配置される。
【0042】
また、軸配置部29に位置する壁23aの外表面には、同壁23aに対して長手方向Lの一端L1側に位置する外周23の縁部、及び、長手方向Lの他端L2に位置する壁23bよりも、ケース内方に向けて所定深さで凹んだ、凹部が形成されている。そして、壁23aの外表面に形成した凹部に、突起状をなした嵌合部39が突設されている。なお、ベース部21の外周23であって、幅方向W2の他端側W2にも、筒状壁25を挟んでその両側に一対の嵌合部39,39が設けられている(
図7参照)。
【0043】
更に
図7に示すように、ベース部21の、長手方向Lの一端L1側であって、幅方向Wの一端W1側には、前記軸配置部29よりも底浅の凹状をなした、リテーナ・バネ配置部31が設けられている。このリテーナ・バネ配置部31には、ロックリテーナ90のリテーナ本体91や第2バネ部材S2が整合するように配置されるが(
図4及び
図9参照)、これらは第2本体部40側の後述するリテーナ・バネ配置部51(
図10参照)内に収容配置される。なお、第2バネ部材S2は、ベース部21の長手方向Lの一端L1側の外周23と、ロックリテーナ90との間に配置される。
【0044】
また、
図2及び
図3に示すように、ベース部21のリテーナ・バネ配置部31には、ベース部21の外面側に向けて隆起した、リテーナロック配置部31aが設けられている。
図7に示すように、このリテーナロック配置部31aは、リテーナ・バネ配置部31よりも、ベース部21の幅方向Wの他端W2側に位置している。このリテーナロック配置部31a内に、ロックリテーナ90のロック部97が収容配置される。
【0045】
更に
図7に示すように、ベース部21の、前記軸配置部29よりも他端L2寄りであって、幅方向W1側には、モーター配置部33が設けられている。このモーター配置部33内には、モーター70の本体72の一部が収容配置される(
図4及び
図9参照)。
【0046】
また、
図7に示すように、ベース部21の、筒状壁25よりも他端L2寄りであって、幅方向W2側には、スイッチ配置部35が設けられている。このスイッチ配置部35内に、リミットスイッチ100及びスイッチブラケット110の一部が収容配置される(
図4及び
図9参照)。
【0047】
更に
図7に示すように、ベース部21の長手方向Lの他端L2側には、バスバー配置部37が設けられている。このバスバー配置部37内に、バスバーブラケット78、及び、同バスバーブラケット78によって束ねられた複数のバスバー75,76,77が収容配置される(
図4及び
図9参照)。
【0048】
次に、
図2、
図5、
図6、
図8、及び
図10を参照して、上記第1本体部20に装着される第2本体部40について説明する。
【0049】
この実施形態の第2本体部40は、第1本体部20と同様に、一方向に長く伸びるベース部41を有しており、その外周43の一部には、所定高さで起立する壁43a,43b(
図4参照)が設けられている。
【0050】
また、上述したように、前記第1本体部20は、主として、ロックリテーナ90のロック部97、バスバー75,76,77、バスバーブラケット78が収容配置されるのに対して、この第2本体部40は、全体として第1本体部20よりも底の深い凹部を有しており、主として、駆動軸部71や、ロックリテーナ90のリテーナ本体91、第2バネ部材S2、モーター70、リミットスイッチ100が収容配置されるものとなっている。
【0051】
また、ベース部41の、長手方向Lの両端L1,L2であって、幅方向W2側には、第1本体部20の一対の取付孔21a,21bに整合するように、一対の取付孔41a,41bが形成されている。これらの取付孔41a,41b、及び、第1本体部20の取付孔21a,21bを介して、ケース11が固定部材1に固定されるようになっている。
【0052】
更に
図2や
図3に示すように、ベース部41を挟んで、その外面側(第1本体部20との対向面と反対側)及び内面側(第1本体部20との対向面側)であって、長手方向Lの中央よりも一端L1寄りの、幅方向Wの他端W2側からは、第1本体部20の筒状壁25に軸心が整合するように、筒状壁45が突設されている。この筒状壁45の底部内面からは、細い円柱状をなしたバネ支持柱45aが突出しており、このバネ支持柱45aが第1バネ部材S1内に挿入された状態で、筒状壁45内に第1バネ部材S1が収容配置される。
【0053】
また、筒状壁45の、ベース部41の内面側から突出する部分45b(以下、「内側突出部45b」ともいう)は、ケース組付け時に、第1本体部20の筒状壁25の内側に挿入配置される。
図5及び
図6に示すように、この内側突出部45bの軸方向途中には、ロックリテーナ90のロック部97が挿入されてガイドする、ロック部ガイド孔46が形成されている。ロックリテーナ90のロック部97は、このロック部ガイド孔46を介して、ロッド60の被係合部67に係脱するようになっている。
【0054】
また、内側突出部45bの先端面に、カム溝15(
図5,6参照)を設けるための、カム溝形成部47が形成されている。この内側突出部45bは、「筒状部13」の構成部分の一つとなっている。また、
図2に示すように、ベース部41の、筒状壁45に隣接した位置には、固定ピン22が挿入される固定ピン挿入孔41cが形成されている。
【0055】
図5に示すように、この実施形態におけるカム溝15は、第2本体部40側の内側突出部45bのカム溝形成部47と、第1本体部20側のカム形成筒部27のカム溝形成部27aとで形成され、内側突出部45b及びカム形成筒部27の軸心に沿って延びるロッド突出規制部15aと、筒状部13の軸心に対して傾斜しつつ所定の周方向に湾曲して延びるロッドガイド部15bとからなる、略J字状をなした一対のものからなる。
【0056】
これらの一対のカム溝15,15に、ロッド60の一対のカム突部65,65が挿入されて、ロッド60が所定の回転動作及び軸方向移動(出没移動)がなされる。すなわち、ロッド60は、常時は第1付勢バネS1により筒状部13の一端から突出するように付勢されて、一対のカム突部65,65が、カム溝15,15のロッド突出規制部15a,15aに嵌合した状態となっている(
図5参照)。この状態で、ロッド60が第1付勢バネS1の付勢力に抗して押し込まれると、ロッドガイド部15b,15bにカム突部65,65がガイドされるので、ロッド60が押し込まれつつ回転するようになっている(
図6参照)。また、ロッド60が押し込まれて、筒状部13に対してロッド60が引き込まれた状態では、カム突部65はカム溝15のロッドガイド部15bの終端部に位置するが、この際に、ロックリテーナ90のロック部97が、ロック部ガイド孔46を介して、ロッド60の被係合部67に係合して、その引き込み状態が保持されるようになっている。
【0057】
そして、
図8に示すように、この第2本体部40は、軸配置部49と、リテーナ・バネ配置部51と、モーター配置部53と、スイッチ配置部55と、バスバー配置部57とを有している。ベース部41の外周43であって、軸配置部49に位置する箇所には、所定高さで起立する壁43aが設けられており(
図2参照)、軸配置部49は所定深さの凹状となっている。また、ベース部41の外周43であって、リテーナ・バネ配置部51、モーター配置部53、スイッチ配置部55、バスバー配置部57に位置する箇所にも、所定高さで起立する壁43bが設けられており(
図2参照)、これらの配置部51,53,55,57も所定深さの凹状となっている。
【0058】
図8に示すように、ベース部21の長手方向Lの中央よりも一端L1寄りの、幅方向Wの一端W1側には、第1本体部20の軸配置部29に整合するように、軸配置部49が設けられている。この軸配置部49は、ロッド60を軸方向から見たときに、内側突出部45bに対して、幅方向Wにおいて隣接し且つ並列するように位置している(
図8参照)。そして、この軸配置部49内に、モーター70の駆動軸部71が収容配置される(
図10参照)。
【0059】
また、軸配置部49に位置する壁43aの外表面には、長手方向Lの一端L1側に位置する壁43b、及び、長手方向Lの他端L2に位置する壁43bよりも、ケース内方に向けて所定深さで凹んだ、凹部が形成されている(
図8参照)。そして、壁43aの外表面に形成した凹部に、枠状をなした被嵌合部59が設けられており、該被嵌合部59に、第1本体部20側の嵌合部39が嵌合する。なお、ベース部41の外周43であって、幅方向W2の他端側W2にも、筒状壁45を挟んでその両側に、一対の被嵌合部59,59が設けられている(
図5参照)。
【0060】
更に
図8に示すように、ベース部41の、長手方向Lの一端L1側であって、幅方向Wの一端W1側には、第1本体部20のリテーナ・バネ配置部31に整合するように、リテーナ・バネ配置部51が設けられている。このリテーナ・バネ配置部51内に、ロックリテーナ90のリテーナ本体91や第2バネ部材S2が収容配置される(
図10参照)。なお、第2バネ部材S2は、ベース部41の長手方向Lの一端L1側の外周43と、ロックリテーナ90との間に配置される。また、リテーナ・バネ配置部51の底部側には、ベース部41の長手方向Lに沿って延びる長孔51aが形成されており、ロックリテーナ90の操作ノブ99が挿出されるようになっている。更に、このリテーナ・バネ配置部51内であって、ベース部41の長手方向Lの一端L1側の外周43の内側には、軸部材80の先端部81を回転可能に支持する、凹状をなした軸支持凹部51bが設けられている(
図8参照)。
【0061】
また、
図8に示すように、ベース部41の、前記軸配置部49よりも他端L2寄りであって、幅方向W1側には、モーター配置部53が設けられている。このモーター配置部53内に、モーター70の本体72の、第1本体部20のモーター配置部33では収容しきれなかった残りの部分が、収容配置される(
図10参照)。
【0062】
更に
図8に示すように、ベース部41の、筒状壁45の内側突出部45bよりも他端L2寄りであって、幅方向W2側には、スイッチ配置部55が設けられている。このスイッチ配置部35内に、リミットスイッチ100の、第1本体部20のスイッチ配置部35では収容しきれなかった残りの部分が、収容配置される(
図10参照)。
【0063】
また、
図8に示すように、ベース部41の長手方向Lの他端L2側には、バスバー配置部57が設けられている。
図2を併せて参照すると、このバスバー配置部57を構成する壁41bやベース部41は、第1本体部20側に向けて突出するように屈曲した形状をなしており、第1本体部20のバスバー配置部37を構成する壁23bやベース部21の内側に、一部が入り込む構造となっている(
図3参照)。そして、このバスバー配置部57内に、バスバーブラケット78、及び、同バスバーブラケット78によって束ねられた複数のバスバー75,76,77が収容配置される(
図10参照)。
【0064】
上記構成をなした第1本体部20及び第2本体部40を組付ける際には、各配置部29,31,33,35,37,49,51,53,55,57に、対応する部品(駆動軸部71、ロックリテーナ90、第2バネ部材S2、モーター70、複数のバスバー75,76,77及びバスバーブラケット78、リミットスイッチ100、スイッチブラケット110)を収容配置した後、第1本体部20の各嵌合部39を第2本体部40の対応する各被嵌合部59に嵌合させると共に、固定ピン22を第2本体部40の固定ピン挿入孔41c及び第1本体部20の固定ピン挿入部21cに挿入することで、第1本体部20に第2本体部40が装着されて一体化される(
図3参照)。
【0065】
それによって、
図11に示すように、軸配置部29,49に駆動軸部71に配置され、リテーナ・バネ配置部31,51にロックリテーナ90及び第2バネ部材S2が配置され、モーター配置部33,53にモーター70が配置され、スイッチ配置部35,55にリミットスイッチ100が配置され、バスバー配置部37,57にバスバー75,76,77及びバスバーブラケット78配置されて、各部品が両本体部20,40によって挟み込まれて抜け止め保持される。
【0066】
そして、上述したように、ロッド軸方向から見たときに、駆動軸部71は、モーター70とギヤ83との間の部分が、ロッド60に最も近接するように構成されている(
図9~11参照)。
【0067】
また、
図11に示すように、ロッド60を軸方向から見たときに、モーター70とギヤ83との間の部分において、ロッド60を軸方向移動可能に保持する筒状部13の一部(ここでは筒状部13を構成する筒状壁25,45)が重なるように(ここでは、駆動軸部71の軸心に平行で且つギヤ外周を通過する仮想線Kに、筒状壁45の一部が重なった状態が図示されている)、ロッド60が駆動軸部71に所定隙間を空けて近接して配置されている、とも言える。
【0068】
更に、
図12に示すように、ロッド60を側方から見たときに(ロッド60の軸方向に直交する方向からロッド60を見たときに)、モーター70とギヤ83との間を、ロッド60が通過するように(ロッド60の仮想線参照)、ロッド60がケース11に配置されている、とも言える。
【0069】
また、この実施形態においては、駆動軸部71の、モーター70とギヤ83との間の部分には、ギヤ83の外周よりも縮径した縮径部85が形成されており、この縮径部85が、ロッド60に最も近接するように配置されている。すなわち、この実施形態では、モーター70の軸73とは別体の軸部材80を有しているが、ロッド60を軸方向から見たときに、駆動軸部71をなす軸部材80の縮径部85が、ロッド60に最も近接するように配置されている。
【0070】
更に、
図2、
図4、及び
図11に示すように、この実施形態においては、モーター70は、本体72の一対の平坦面72b,72bを、両本体部20,40の起立する壁23b,43bに向けて、両本体部20,40のモーター配置部33,53内に収容配置されている(一対の平坦面72b,72bを、両本体部20,40のベース部21,41に対して直交する向きとなるように、モーター配置部33,35内に収容配置されている、とも言える)。
【0071】
また、
図11に示すように、リミットスイッチ100は、平坦面状をなした一側面を、モーター70の本体72の平坦面72aに当接させた状態で、両本体部20,40のスイッチ配置部35,55内に収容配置されている。なお、
図10及び
図11に示すように、第2バネ部材S2は、ロックリテーナ90のリテーナ本体91の歯合部93から挿出された、駆動軸部71を構成する軸部材80の先端部分の外周に配置されると共に、その一端が第2本体部40のリテーナ・バネ配置部51の内周に当接して支持され、他端がロックリテーナ90のリテーナ本体91に当接して支持されて、ケース11内において圧縮状態で配置されて、常時はロックリテーナ90をロッド60に近接する方向に付勢するようになっている。また、両本体部20,40を装着してなるケース11は、長手方向Lの他端L2側が開口しており、図示しない外部電源に接続されたコネクタを挿入可能となっている。
【0072】
以上説明したロッド伸縮装置を構成する各部材、すなわち、ケースや、第1本体部、第2本体部、ロッド、カム溝、モーター、駆動軸、ギヤ、ロックリテーナ、バスバー、リミットスイッチ等の形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。また、この実施形態のカム溝は、略J字状をなしており、ロッドは約90度の回転動作が往復してなされ、ロッドの突出状態はカム溝で規制され、ロッドの引き込み状態はロックリテーナのロック部で規制されるようになっているが、例えば、カム溝を筒状部の周方向全周に形成して、ロッドを360度回転可能とし、且つ、ロッドの突出状態及び引き込み状態を保持できるような部分を設けてもよい。
【0073】
更に、ケースに対する、ロッドや、駆動軸、モーター、ロックリテーナ、第2付勢バネ、バスバー、リミットスイッチ等のレイアウトは、少なくとも、ロッドを軸方向から見たときに、モーターとギヤとの間の部分で、ロッドと駆動軸とが最も近接するように、ロッド及び駆動軸がケースに配置されるようになっていれば、どのようなレイアウトであってもよい。
【0074】
(作用効果)
次に、上記構造からなる伸縮装置10の作用効果について説明する。
【0075】
図5に示すように、ロッド60のカム突部65が、筒状部13のカム溝15のロッド突出規制部15aに嵌合した状態では、筒状部13の一端からロッド60が所定長さ突出されている。
図14に示すように、この状態でのロッド60の係合片63は、係合部6の係合溝9を通過して、開閉体5の内面側に当接しており、開閉体5は固定部材1の開口部周縁に対して開閉可能となっている。この状態では、第2バネ部材S2に付勢されたロックリテーナ90は、そのロック部97が、ロッド60の最基端のテーパ面61a(
図2参照)に対向して配置されている。
【0076】
上記状態から開閉体5を閉じると、係合片63が押圧されて、ロッド60が第1バネ部材S1の付勢力に抗して、筒状部13の奥側に押し込まれると共に、そのテーパ面61aによって、第2バネ部材S2の付勢力に抗してロックリテーナ90が押し上げられつつ、ロッド60が押し込まれる。すると、カム溝15のロッド突出規制部15aに嵌合したカム突部65が、軸方向に所定距離移動した後、ロッドガイド部15bによってガイドされて、ロッド60が所定方向に回転しながら筒状部13内に徐々に引き込まれていくと共に、係合片63が回転していく。更にロッド60が押し込まれると、
図6に示すように、カム突部65がカム溝15のロッドガイド部15bの終端部に当接して、それ以上の押し込みが規制されると共に、第2バネ部材S2の付勢力によって付勢されたロックリテーナ90のロック部97が、ロッド60の被係合部67に入り込んで係合して、筒状部13の一端aから、ロッド60を所定長さ引き込んだ状態に保持することができる。
【0077】
それと共に、
図15に示すように、ロッド60の係合片63が、開閉体5の係合部6の係合溝9の溝方向に対して、係合片63の長手方向が直交するので、固定部材1の開口部周縁に対して開閉体5を閉じた状態にロックすることができる。
【0078】
上記状態から、例えば、車両内部に配置されたスイッチを操作することで、モーター70の駆動軸部71を駆動させると、ギヤ83を介して、第2バネ部材S2の付勢力に抗して、ロックリテーナ90が押し上げられて、そのロック部97がロッド60の被係合部67から抜き出される。すると、第1バネ部材S1の付勢力によってロッド60が押されて、カム突部65が、カム溝15のロッドガイド部15bによってガイドされて、ロッド60が、押し込み時の回転方向とは反対方向に回転しながら、筒状部13の一端から徐々に突出していく。そして、カム突部65が、カム溝15のロッド突出規制部15aに嵌合すると、ロッド60のそれ以上の突出が規制されると共に、
図14に示すように、係合片63が、開閉体5の係合部6の係合溝9の溝方向に沿った方向となるので、開閉体5の閉じ状態のロックが解除される。このとき、ロッド60によって開閉体5が押されて、固定部材1の開口部から開閉体5を所定高さ持ち上げるので(リフター動作)、開閉体5を手動で開くことができる。
【0079】
そして、このロッド伸縮装置10においては、
図9~11に示すように、ロッド軸方向から見たときに、駆動軸部71は、モーター70とギヤ83との間の部分が、ロッド60に最も近接するように構成されている。
【0080】
そのため、ロッド60を軸方向から見たときに、ロックリテーナ90をロッド60に近づけやすくなり、コンパクトな伸縮装置10を得ることができる。ここでは、ケース11の、モーター70の駆動軸部71に対して直交する幅H(
図11及び
図13参照)を、小さくすることができ、幅方向においてコンパクトなロッド伸縮装置10を得ることができる。
【0081】
なお、この実施形態においては、
図11に示すように、モーター70は、本体72の一対の平坦面72b,72bを、両本体部20,40の起立する壁23b,43bに向けて、ケース11内に配置されているので、本体72の一対の円弧面72a,72aを、両本体部20,40の起立する壁23b,43bに向けてケース11内に配置する場合よりも、ケース11の、モーター70の駆動軸部71に対して直交する幅Hを小さくすることができる。
【0082】
また、この実施形態においては、駆動軸部71の、モーター70とギヤ83との間の部分には、ギヤ83の外周よりも縮径した縮径部85が形成されており、この縮径部85が、ロッド60に最も近接するように配置されている(
図11参照)。
【0083】
この態様によれば、ロッド60を軸方向から見たときに、ケース11の、モーター70の駆動軸部71に対して直交する幅Hを、より小さくすることができる。
【0084】
更に、この実施形態においては、ケース11内であって、同ケース11の内面(ここでは第1本体部20の内面及び第2本体部40の内面)とロックリテーナ90との間には、ロックリテーナ90を、モーター70に近接する方向に付勢する付勢手段(ここでは第2バネ部材S2)が配置されている。
【0085】
この態様によれば、ロックリテーナ90の付勢手段のレイアウトの自由度を高めることができる。すなわち、一般的には、ロックリテーナを付勢する付勢手段は、ロックリテーナとモーターとの間に配置されることが多いが、この実施形態では、付勢手段である第2バネ部材S2が、ロックリテーナ90とモーター70との間ではなく、ケース11内面とロックリテーナ90との間に配置され、且つ、ロックリテーナ90をモーター70側に向けて付勢する構成となっているので、そのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0086】
また、この実施形態においては、ケース11は、第1本体部20と、この第1本体部20に装着される第2本体部40とを有しており、
図4~8に示すように、第1本体部20及び第2本体部40の外表面には、モーター70とギヤ83との間の部分に対応する位置に、凹部がそれぞれ形成され(ここでは壁23a,43аの外表面に凹部がそれぞれ形成)、第1本体部20側の凹部に嵌合部39が設けられており、第2本体部40側の凹部に、嵌合部39が嵌合する被嵌合部59が設けられている(
図5参照)。
【0087】
上記態様によれば、第1本体部20及び第2本体部40の外表面の、モーター70とギヤ83との間の部分に対応する位置にそれぞれ形成した凹部において、嵌合部39と被嵌合部59が嵌合するので、嵌合部39及び被嵌合部59を、第1本体部20及び第2本体部40の外表面から出っ張りにくくすることができ、ケース11の、モーター70の駆動軸部71に対して直交する幅Hを、更に小さくすることができる。なお、第2本体部側に嵌合部を設け、第1本体部側に被嵌合部を設けてもよく、この場合でも同様の作用効果が得られる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 ロッド伸縮装置(伸縮装置)
11 ケース
13 筒状部
15 カム溝
17 キャップ
20 第1本体部
21 外周
39 嵌合部
40 第2本体部
41 ベース部
43 外周
59 被嵌合部
60 ロッド
65 カム突部
67 被係合部
70 モーター
71 駆動軸部
73 軸
75,76,77 バスバー
78 バスバーブラケット
80 軸部材
81 先端部
83 ギヤ
85 縮径部
90 ロックリテーナ
93 歯合部
93 ロック部
97 ロック部
100 リミットスイッチ