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特許7575992人力駆動車用制御装置、人力駆動車用制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置、人力駆動車用制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241023BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20241023BHJP
   B62J 45/20 20200101ALI20241023BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20241023BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J43/13
B62J45/20
B62M6/90
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021072689
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2022167121
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】竹下 裕章
(72)【発明者】
【氏名】道川 慧太
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137104(JP,A)
【文献】特開2015-231764(JP,A)
【文献】特開2018-103688(JP,A)
【文献】特開2019-009897(JP,A)
【文献】特開2019-172213(JP,A)
【文献】特開2019-202735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001442(US,A1)
【文献】特開2011-112479(JP,A)
【文献】特開2017-100541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/00 - 6/90
B62J 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイス、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイス、および前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、
前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、
を含む制御状態を有し、
前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、
人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記制御状態は、少なくとも前記第1デバイスに対する通信を停止して待機状態となる第3モードをさらに含む、
請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御状態が前記第3モードにある場合、前記第2デバイスから電力を受け取ることにより前記待機状態を解除し、
前記制御部は、さらに前記共通バッテリと通信することにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、
請求項2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記制御部が電源オフ状態にある場合、前記第2デバイスから電力を受け取ることにより前記制御部が起動し、
前記制御部は、さらに前記共通バッテリと通信することにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1モードを経由してから、前記制御状態を第2モードに遷移させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電し、
前記固有バッテリの残量が第1閾値を満足した場合、前記制御部は、前記制御状態を前記第3モードに遷移させる、
請求項2または3に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電し、
前記固有バッテリの残量が第1閾値を満足した場合、前記制御部は、前記電源オフ状態に遷移する、
請求項4に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記第2モードであることを前記人力駆動車のユーザに報知する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリの少なくとも1つに設けられる報知部において、前記第2モードであることを前記ユーザに報知する、
請求項9に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリ以外の第3デバイスと通信可能に構成され、
前記第3デバイスに設けられる報知部において、前記第2モードであることを前記ユーザに報知する、
請求項9または10に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリの少なくとも1つに設けられる報知部において、報知をオフにする、
請求項1から8のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記共通バッテリの残量が第2閾値以下になった場合、前記第2デバイスに通知する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記共通バッテリの残量が第2閾値以下になった場合、前記人力駆動車のユーザに報知する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、PLC(Power Line Communication)およびCAN(Controller Area Network)通信の少なくとも1つによって前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリと通信する、
前記請求項1から14のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、第1通信方式によって前記第1デバイスと通信し、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって前記第2デバイスと通信する、
前記請求項1から15のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、通信方式を変換する変換器を介して前記第2デバイスと通信する、
請求項1から16のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項18】
前記第1デバイスは、前記人力駆動車の走行時に前記人力駆動車に常時取り付けられる標準デバイスであり、前記第2デバイスは、前記人力駆動車に随時取り付けられるオプションデバイスである
請求項1から17のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項19】
前記第1デバイスは、前記人力駆動車の駆動に関するデバイスであり、前記第2デバイスは、前記人力駆動車のユーザ向けのサービスに関するデバイスである
請求項1から18のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項20】
前記第1デバイスは、アシスト装置、変速装置、ブレーキ装置、サスペンション、シートポスト、および操作装置の少なくとも1つを含む、
請求項19に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項21】
前記第2デバイスは、サイクルコンピュータ、情報通信端末、盗難防止デバイス、GPS受信機、ナビゲーションデバイス、およびヘルスケアデバイスの少なくとも1つである、
請求項19または20に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項22】
人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイスと、
前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイスと、
前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、
前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、
を含む制御状態を有し、
前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、
人力駆動車用制御システム。
【請求項23】
前記制御装置は、前記人力駆動車に搭載される前記第1デバイスを制御するドライブユニット内部に配置される、
請求項22に記載の人力駆動車用制御システム。
【請求項24】
人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイスと、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイスと、前記人力駆動車に搭載される共通バッテリとを制御する制御方法であって、
前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、
前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、のいずれかの制御状態で制御し、
前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、制御状態を前記第2モードに遷移させる、
制御方法。
【請求項25】
人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイス、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイス、および前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを備えるコンピュータに、
前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、
前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、のいずれかの制御状態で制御し、
前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置、人力駆動車用制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車などの人力駆動車に搭載される種々のデバイスが流通している。例えば、特許文献1には、自転車に使用可能なパーソナルナビゲーションデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-112479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなデバイスを使用するためには電源が必要であり、長時間デバイスを使用するために効率的な電力管理が求められる。
【0005】
本発明は、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に用いる人力駆動車用制御装置、人力駆動車用制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイス、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイス、および前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、を含む制御状態を有し、前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる。
【0007】
上記第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に搭載される第1デバイスの動作を制限しつつ第2デバイスへ電力を供給するように共通バッテリを制御することができる。第2デバイスの動作が必要な場合に、第1デバイスも含めた全デバイスが動作する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0008】
本発明の第2側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御状態は、少なくとも前記第1デバイスに対する通信を停止して待機状態となる第3モードをさらに含む。
【0009】
上記第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスに対する通信が停止して待機状態となる第3モードへ遷移が可能である。これにより、人力駆動車用制御装置における消費電力を抑制し、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0010】
本発明の第3側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記制御状態が前記第3モードにある場合、前記第2デバイスから電力を受け取ることにより前記待機状態を解除し、前記制御部は、さらに前記共通バッテリと通信することにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる。
【0011】
上記第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、待機状態である場合に、第2デバイスの固有バッテリからの電力供給で待機状態から起動し、第1デバイスの動作を制限して共通バッテリから第2デバイスへ給電することが可能である。人力駆動車に搭載されるデバイス全てが起動する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0012】
本発明の第4側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第3側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部が電源オフ状態にある場合、前記第2デバイスから電力を受け取ることにより前記制御部が起動し、前記制御部は、さらに前記共通バッテリと通信することにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる。
【0013】
上記第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、電源オフ状態である場合に、第2デバイスの固有バッテリからの電力供給で待機状態から起動し、第1デバイスの動作を制限して共通バッテリから第2デバイスへ給電することが可能である。人力駆動車に搭載されるデバイス全てが起動する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0014】
本発明の第5側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第4側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1モードを経由してから、前記制御状態を第2モードに遷移させる。
【0015】
上記第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスの動作が許容される第1モードを経てから、第1デバイスの動作を制限する第2モードへ遷移する。これにより、電源オフ状態からであっても、適切に第2デバイスへ給電でき、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に制御できる。
【0016】
本発明の第6側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第5側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置にて、前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電する。
【0017】
上記第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスの動作が制限された状態で、第2デバイスの固有バッテリへの充電が可能になる。これにより、適切に電源管理がされ、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に制御できる。
【0018】
本発明の第7側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第2側面または第3側面の人力駆動車用制御装置にて、前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電し、前記固有バッテリの残量が第1閾値を満足した場合、前記制御部は、前記制御状態を前記第3モードに遷移させる。
【0019】
上記第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、第2デバイスの固有バッテリの電力残量が低下した場合、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスの固有バッテリへの充電がされ、充電が十分にされると待機状態へ遷移する。これにより、適切に電源管理がされ、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に制御できる。
【0020】
本発明の第8側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第4側面の人力駆動車用制御装置にて、前記第2モードにおいて、前記共通バッテリから供給された電力により前記固有バッテリを充電し、前記固有バッテリの残量が第1閾値を満足した場合、前記制御部は、前記電源オフ状態に遷移する。
【0021】
上記第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスの固有バッテリへの充電がされ、充電が十分にされると電源オフ状態へ遷移する。これにより、適切に電源管理がされ、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に制御できる。
【0022】
本発明の第9側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第8側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記第2モードであることを前記人力駆動車のユーザに報知する。
【0023】
上記第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスへの給電がされることをユーザが認識できる。
【0024】
本発明の第10側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリの少なくとも1つに設けられる報知部において、前記第2モードであることを前記ユーザに報知する。
【0025】
上記第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリのいずれか1つから、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスへの給電がされることをユーザが認識できる。
【0026】
本発明の第11側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第9側面または第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリ以外の第3デバイスと通信可能に構成され、前記第3デバイスに設けられる報知部において、前記第2モードであることを前記ユーザに報知する。
【0027】
上記第11側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1デバイスおよび第2デバイス以外の第3デバイスによって、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスへの給電がされることをユーザが認識できる。
【0028】
本発明の第12側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第8側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリの少なくとも1つに設けられる報知部において、報知をオフにする。
【0029】
上記第12側面の人力駆動車用制御装置によれば、待機状態または電源オフ状態から、第1デバイスの動作が制限されつつ第2デバイスが動作する第2モードとなっていることをユーザに意識させることなく、自動的に、第1デバイスおよび第2デバイスを適切に制御できる。
【0030】
本発明の第13側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第12側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記共通バッテリの残量が第2閾値以下になった場合、前記第2デバイスに通知する。
【0031】
上記第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、共通バッテリにおける電力残量が少ない場合、第2デバイスは電力供給が十分にされないことを認識でき、第2デバイスは状況に応じた好適な制御が可能になる。
【0032】
本発明の第14側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第13側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記制御状態が前記第2モードにある場合、前記共通バッテリの残量が第2閾値以下になった場合、前記人力駆動車のユーザに報知する。
【0033】
上記第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、共通バッテリにおける電力残量が少ない場合、ユーザに認識させ、共通バッテリの充電または交換を促すことができる。
【0034】
本発明の第15側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第14側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、PLC(Power Line Communication)およびCAN(Controller Area Network)通信の少なくとも1つによって前記第1デバイス、前記第2デバイス、および前記共通バッテリと通信する。
【0035】
上記第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、PLCおよびCAN通信のいずれにも対応して、第1デバイスおよび第2デバイスを好適に制御できる。
【0036】
本発明の第16側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第15側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、第1通信方式によって前記第1デバイスと通信し、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって前記第2デバイスと通信する。
【0037】
上記第16側面の人力駆動車用制御装置によれば、異なる通信方式で通信する第1デバイスおよび第2デバイスを好適に制御できる。
【0038】
本発明の第17側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第16側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、通信方式を変換する変換器を介して前記第2デバイスと通信する。
【0039】
上記第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、異なる通信方式で通信する第1デバイスおよび第2デバイスを好適に制御できる。
【0040】
本発明の第18側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第17側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記第1デバイスは、前記人力駆動車の走行時に前記人力駆動車に常時取り付けられる標準デバイスであり、前記第2デバイスは、前記人力駆動車に随時取り付けられるオプションデバイスである。
【0041】
上記第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の組立時から常時的に搭載される標準デバイスに対し、事後的に加えられるオプションデバイスが、人力駆動車が走行していない間に適宜給電が必要なコンポーネントであっても、消費電力を抑制して好適に制御できる。
【0042】
本発明の第19側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第18側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車の駆動に関するデバイスであり、前記第2デバイスは、前記人力駆動車のユーザ向けのサービスに関するデバイスである。
【0043】
上記第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の組立時から常時的に搭載される駆動に関するデバイスに対し、間欠的に給電を必要とする、ユーザ向けのサービスに関するデバイスが追加搭載されても、これらのデバイスを好適に制御できる。
【0044】
本発明の第20側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第19側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1デバイスは、アシスト装置、変速装置、ブレーキ装置、サスペンション、シートポスト、および操作装置の少なくとも1つを含む。
【0045】
上記第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車が走行していない間には動作が制限されてもよいデバイスについては動作を制限しながら、必要なデバイスへの給電を可能とし、好適に制御できる。
【0046】
本発明の第21側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第18側面または第20側面の人力駆動車用制御装置において、前記第2デバイスは、サイクルコンピュータ、情報通信端末、盗難防止デバイス、GPS受信機、ナビゲーションデバイス、およびヘルスケアデバイスの少なくとも1つである。
【0047】
上記第21側面の人力駆動車用制御装置によれば、ユーザ向けのサービスに関するデバイスとして、サイクルコンピュータ、情報通信端末、盗難防止デバイス、GPS受信機、ナビゲーションデバイス、およびヘルスケアデバイスの少なくとも1つを用いてもよい。これらの人力駆動車が走行していない間も動作するデバイスへの給電をしつつ、他のデバイスにおける消費電力を抑制して好適に制御できる。
【0048】
本発明の第22側面に従う人力駆動車用制御システムは、人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイスと、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイスと、前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、を含む制御状態を有し、前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる。
【0049】
上記第22側面の人力駆動車用制御システムによれば、人力駆動車に搭載される第1デバイスの動作を制限しつつ第2デバイスへ電力を供給するように共通バッテリを制御することができる。第2デバイスの動作が必要な場合に、第1デバイスも含めた全デバイスが動作する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0050】
本発明の第23側面に従う人力駆動車用制御システムは、上記第22側面の人力駆動車用制御システムにおいて、前記制御装置は、前記人力駆動車に搭載される前記第1デバイスを制御するドライブユニット内部に配置される。
【0051】
上記第23側面の人力駆動車用制御システムによれば、制御装置は、ドライブユニットに配置され、追加搭載されるデバイスを含む複数のデバイスを好適に制御できる。
【0052】
本発明の第24側面に従う人力駆動車の制御方法は、人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイスと、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイスと、前記人力駆動車に搭載される共通バッテリとを制御する制御方法であって、前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、のいずれかの制御状態で制御し、前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、制御状態を前記第2モードに遷移させる。
【0053】
上記第24側面の人力駆動車の制御方法によれば、人力駆動車に搭載される第1デバイスの動作を制限しつつ第2デバイスへ電力を供給するように共通バッテリを制御することができる。第2デバイスの動作が必要な場合に、第1デバイスも含めた全デバイスが動作する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【0054】
本発明の第25側面に従うコンピュータプログラムは、人力駆動車に搭載される少なくとも1つの第1デバイス、前記人力駆動車に搭載され、固有バッテリを含む少なくとも1つの第2デバイス、および前記人力駆動車に搭載される共通バッテリを備えるコンピュータに、前記第1デバイスの動作を許容し、少なくとも前記第1デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第1モードと、前記第1デバイスの動作を制限し、前記第2デバイスに電力を供給するように前記共通バッテリを制御する第2モードと、のいずれかの制御状態で制御し、前記固有バッテリの残量低下を検出することにより、または、前記第2デバイスから給電要求を受けることにより、前記制御状態を前記第2モードに遷移させる、処理を実行させる。
【0055】
上記第25側面のコンピュータプログラムによれば、人力駆動車に搭載される第1デバイスの動作を制限しつつ第2デバイスへ電力を供給するように共通バッテリを制御することができる。第2デバイスの動作が必要な場合に、第1デバイスも含めた全デバイスが動作する必要はない。これにより、複数のデバイスを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、人力駆動車に搭載される複数のデバイスを好適に制御し、複数のデバイスを含む制御システムの電力消費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】第1実施形態における制御装置が適用される人力駆動車の側面図である。
図2】制御装置の構成を説明するブロック図である。
図3】第1実施形態における制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態における制御装置の状態遷移図である。
図5】第2実施形態における制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態における制御装置の状態遷移図である。
図7】第3実施形態の制御装置の構成を説明するブロック図である。
図8】第4実施形態の制御装置100の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下の各実施形態に関する説明は、本発明に関する人力駆動車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する人力駆動車用制御装置は、各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態等のように各実施形態とは異なる形態を取り得る。
【0059】
以下の各実施形態に関する説明において、前、後、前方、後方、左、右、横、上、および、下等の方向を表す言葉は、ユーザが人力駆動車のサドルに着座した状態における方向を基準として用いられる。
【0060】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における制御装置100が適用される人力駆動車1の側面図である。人力駆動車1は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両である。内燃機関または電動機のみを原動力に用いる車両は、本実施形態の人力駆動車1から除外される。人力駆動車1は、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイク、シティサイクル、電動アシストバイク(e-bike)等を含む自転車である。
【0061】
人力駆動車1は、車両本体11、ハンドルバー12、前輪13、後輪14、シート15を備える。人力駆動車1は、駆動機構20、第1デバイス30(31~36)、第2デバイス40、共通バッテリ60、および、制御装置100を備える。人力駆動車1は、更に、電動サスペンションを備えてもよい。人力駆動車1は、図示しないセンサ(速度センサ、ジャイロセンサ等)を各所に備える。
【0062】
制御装置100は、第1デバイス30、第2デバイス40、共通バッテリ60と接続されている。制御装置100の制御部110は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60を制御する。接続態様および制御装置100の詳細は後述する。(なお、本明細書において、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60を含め、制御装置100の制御対象となるものを単に、「制御対象」と呼ぶことがある。)
【0063】
車両本体11は、フレーム11A、およびフロントフォーク11Bを備える。前輪13は、フロントフォーク11Bに回転可能に支持される。後輪14は、フレーム11Aに回転可能に支持される。ハンドルバー12は、前輪13の進行方向を変更できるようにフレーム11Aに支持される。
【0064】
駆動機構20は、人力駆動力を後輪14へ伝達する。駆動機構20は、クランク21、第1スプロケットアセンブリ22、第2スプロケットアセンブリ23、チェーン24、および、一対のペダル25を含む。
【0065】
クランク21は、クランク軸21A、右クランク21B、および左クランク21Cを含む。クランク軸21Aは、フレーム11Aに回転可能に支持される。右クランク21Bおよび左クランク21Cは、それぞれクランク軸21Aに連結される。一対のペダル25の一方は、右クランク21Bに回転可能に支持される。一対のペダル25の他方は、左クランク21Cに回転可能に支持される。
【0066】
第1スプロケットアセンブリ22は、クランク軸21Aと一体回転可能に連結されている。第1スプロケットアセンブリ22は、1または複数のスプロケット22Aを含む。第1スプロケットアセンブリ22は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット22Aを含む。
【0067】
第2スプロケットアセンブリ23は、後輪14のリアハブに回転可能に支持される。第2スプロケットアセンブリ23は、1または複数のスプロケット23Aを含む。第2スプロケットアセンブリ23は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット23Aを含む。
【0068】
チェーン24は、第1スプロケットアセンブリ22のいずれかのスプロケット22A、および第2スプロケットアセンブリ23のいずれかのスプロケット23Aに巻き掛けられる。ペダル25に加えられる人力駆動力によってクランク21が前転すると、第1スプロケットアセンブリ22がクランク21とともに前転し、第1スプロケットアセンブリ22の回転がチェーン24を介して第2スプロケットアセンブリ23に伝達し、この回転が後輪14を回転させる。チェーン24の代わりに、ベルトまたはシャフトが用いられてもよい。
【0069】
人力駆動車1は、共通バッテリ60から供給される電力によって動作し、制御装置100によって制御される第1デバイス30および第2デバイス40を備える。第1デバイス30は、アシスト装置31、変速装置32、ブレーキ装置33、サスペンション34、シートポスト35、および操作装置36の少なくとも1つを含む。第1デバイス30は、人力駆動車1の駆動に関するデバイスである。第1デバイス30は、人力駆動車1の走行時に人力駆動車1に常時取り付けられる標準コンポーネントである。
【0070】
第1デバイス30は、基本的に、操作装置36における操作に従った制御装置100による制御によって動作する。第1デバイス30は、制御装置100と通信するための制御部を含むことが好ましい。制御部は、CPU(Central Processing Unit )を用いたプロセッサ(例えば、マイクロコンピュータなど)を含むことが好ましい。第1デバイス30は、各種センサの検出値に基づいた制御装置100による制御(自動制御)によって動作する場合もある。
【0071】
第1デバイス30は、固有バッテリを備えていてもよい。固有バッテリは一次電池でも二次電池でもよい。
【0072】
第1デバイス30は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60の動作状態または制御状態を報知する報知部を含んでいてもよい。報知部は、例えば、LED(Light Emitting Diode)などのインジケータの点灯または消灯により、第1デバイス30がオンまたはオフであるかを示す。報知部は、LEDの点滅により第1デバイス30の充電が必要であることを示してもよい。報知は、第1デバイス30に設けられるディスプレイに表示された文字および画像の少なくとも1つにより行なわれてもよい。報知は、第1デバイス30に設けられるブザーまたはスピーカーから出力される音声により行なわれてもよい。
【0073】
アシスト装置31は、人力駆動車1の推進をアシストするための駆動回路および電動アクチュエータを備える。(本発明において、電動アクチュエータとは、モータを含む。)駆動回路は、制御装置100からの制御信号によって、電動アクチュエータを駆動する。電動アクチュエータの駆動力は、人力駆動車1の走行を補助する補助駆動力として出力される。アシスト装置31の制御状態は、アシストレベルが異なる複数のアシストモードを含む。アシスト装置31は、人力駆動車1を制動する回生ブレーキ装置としても機能するように構成されてもよい。一例では、アシスト装置31は、クランク軸21Aおよびフレーム11Aとの間に設けられる。一例では、アシスト装置31は、クランク21近傍に設けられるドライブユニット(図示せず)内部に配置される。
【0074】
変速装置32は、クランク21の回転数に対する後輪14の回転数の比率、すなわち、人力駆動車1の変速比を変更する。第1例では、変速装置32は、第2スプロケットアセンブリ23とチェーン24との連結状態を変更する外装変速機(リアディレーラ)である。第2例では、変速装置32は、第1スプロケットアセンブリ22とチェーン24との連結の状態を変更する外装変速機(フロントディレーラ)である。第3例では、後輪14のハブに設けられる内装変速機である。変速装置32は、無段変速機であってもよい。
【0075】
ブレーキ装置33は、第1例では、前輪13および後輪14に設けられるリムブレーキである。第2例では、ブレーキ装置33はディスクブレーキである。ブレーキ装置33は、ハンドルバー12に設けられるブレーキ操作バーに接続されてもよい。ブレーキ装置33は、制御装置100からの制御、または、ブレーキ操作バーの操作に応じて、電動アクチュエータを駆動してブレーキパッドを前輪13および後輪14それぞれに接触させ、前輪13および後輪14の回転力を減衰させる。
【0076】
サスペンション34は、電動アクチュエータの駆動によって、前輪13に加えられた衝撃を減衰するフロントサスペンションである。サスペンション34は、制御装置100によって減衰率、ストローク量、およびロックアウト状態を制御する。サスペンション34は、後輪14に加えられた衝撃を減衰するリアサスペンションであってもよい。
【0077】
シートポスト35は、フレーム11Aに取り付けられる。シートポスト35は、シート15をフレーム11Aに対して上昇および下降させる電動アクチュエータを含む。シートポスト35は、制御装置100からの制御によって、フレーム11Aに対するシート15の支持位置を設定する。
【0078】
操作装置36は、ハンドルバー12に設けられる。操作装置36は、例えば、ユーザの指によって操作される操作スイッチを含む。操作装置36は、ブレーキ操作バーを含んでもよい。操作スイッチは、アシスト装置31、変速装置32、ブレーキ装置33、サスペンション34、および、シートポスト35の少なくとも1つの制御状態を切り替えるためのスイッチである。操作装置36は、例えば、人力駆動車1に設けられるサイクルコンピュータであってもよい。
【0079】
人力駆動車1に搭載される操作装置36の数は1つである必要はなく、複数であってもよい。操作装置36のスイッチの数は1つである必要はなく、複数であってもよい。操作装置36は、スイッチに限定されず、操作レバーまたは操作ダイヤル等であってもよい。
【0080】
操作装置36は、制御装置100に接続されており、操作スイッチの操作に応じた操作信号を制御装置100へ与える。
【0081】
操作装置36は操作スイッチにて、アシスト装置31のモード(エコモード、ノーマルモード、ハイモード等)の切り替え、第1デバイス30または第2デバイス40の制御について指示操作を受け付ける。操作装置36は、操作スイッチの操作に応じた信号を、他の第1デバイス30へ送信できるように、他の第1デバイス30と通信接続される。第1例では、操作装置36は、通信線、またはPLC(Power Line Communication)が可能な電線によって第1デバイス30および制御装置100と通信する。第2例では、操作装置36は、無線通信によって第1デバイス30および制御装置100と通信する。
【0082】
第2デバイス40は、サイクルコンピュータ、情報通信端末(スマートフォンを含む)、盗難防止デバイス、GPS(Global Positioning System )受信機、ナビゲーションデバイス、およびヘルスケアデバイスの少なくとも1つを含む。第2デバイス40は、人力駆動車1のユーザ向けのサービスに関するデバイスである。第2デバイス40は、人力駆動車1に随時取り付けられるオプションデバイスである。第2デバイス40は、フレーム11A、ハンドルバー12、およびシート15の少なくとも1つに取り付けられる。
【0083】
第1デバイス30にサイクルコンピュータが含まれる場合、第2デバイス40にはサイクルコンピュータは含まれない、もしくは別のサイクルコンピュータが含まれる。盗難防止デバイスとは、GPSアンテナと通信モジュールとを含み、人力駆動車1が盗難された場合に人力駆動車1の位置を追跡してユーザに通知したり、盗難車に対して警告を発報したりすることが可能なデバイスである。ヘルスケアデバイスとは、ユーザの心拍数、脈拍数などを計測可能なデバイスである。
【0084】
第2デバイス40は、固有バッテリ41を含む。固有バッテリ41は充電可能な二次電池であることが好ましい。固有バッテリ41の残量低下は、第2デバイス40または制御装置100により検出可能である。例えば、第2デバイス40の電源回路において分圧回路を設けるなどして電圧降下を検出することにより、固有バッテリ41の残量低下を検出することができる。第2デバイス40は、固有バッテリ41の残量低下に応じて制御装置100に給電要求を送信する。
【0085】
第2デバイス40は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60の動作状態または制御状態を報知する報知部を含んでいてもよい。報知部は、例えば、LEDなどのインジケータの点灯または消灯により、第2デバイス40がオンまたはオフであるかを示す。報知部は、LEDの点滅により第2デバイス40の充電が必要であることを示してもよい。報知は、第2デバイス40に設けられるディスプレイに表示された文字および画像の少なくとも1つにより行なわれてもよい。報知は、第2デバイス40に設けられるブザーまたはスピーカーから出力される音声により行なわれてもよい。
【0086】
第2デバイス40は、人力駆動車1およびユーザの少なくとも1つの情報を取得、記憶、処理、送受信、または表示する。情報は、人力駆動車1の仕様、ステータス、走行情報、走行環境、走行履歴、および位置情報の少なくとも1つを含み、ユーザの個人情報および生体情報の少なくとも1つを含むことが好ましい。第2デバイス40は、情報を取得するためのインターフェースおよびセンサの少なくとも1つを含むことが好ましい。第2デバイス40は、情報を記憶するためのメモリを含むことが好ましい。第2デバイス40は、情報を送受信するための通信モジュール(有線または無線)を含むことが好ましい。第2デバイス40は、情報を処理するためのCPUを用いたプロセッサを含むことが好ましい。第2デバイス40は、情報を表示するためのディスプレイを含むことが好ましい。
【0087】
共通バッテリ60は、バッテリ本体61およびバッテリホルダ62を含む。共通バッテリ60は、1または複数のバッテリセルを含む蓄電池である。バッテリホルダ62は、人力駆動車1のフレーム11Aに固定される。共通バッテリ60は、バッテリホルダ62に着脱可能である。共通バッテリ60は、第1デバイス30、第2デバイス40、各種センサ、および制御装置100に電気的に接続され、必要に応じて電力を供給する。共通バッテリ60は、制御装置100と通信するための制御部を含むことが好ましい。制御部は、CPUを用いたプロセッサを含むことが好ましい。
【0088】
共通バッテリ60には、共通バッテリ60の残量または制御状態を報知する報知部を含んでいてもよい。報報知部は、例えば、LEDなどのインジケータの点灯または消灯により、共通バッテリ60がオンまたはオフであるかを示す。報知部は、LEDの色により共通バッテリ60の状態を示してもよい。報知部は、LEDの点灯数により共通バッテリ60の残量を示してもよい。報知部は、LEDの点滅により共通バッテリ60の充電が必要であることを示してもよい。
【0089】
制御装置100は、操作装置36から得られる操作信号、および、人力駆動車1の運転状態に応じて、人力駆動車1に搭載される第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60を制御するコンピュータである。第1例では、制御装置100は、クランク21近傍に設けられるドライブユニット内部に配置される。第2例では、制御装置100は、共通バッテリ60内部に配置されてもよい。第3例では、制御装置100は、ハンドルバー12に設けられたサイクルコンピュータ内部に配置されてもよい。
【0090】
図2は、制御装置100の構成を説明するブロック図である。制御装置100は、制御部110、および記憶部112を備える。
【0091】
制御部110は、CPUを用いたプロセッサである。制御部110は、内蔵するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリを用いる。制御部110は、後述する制御プログラムP1に従って、人力駆動車1に搭載される第1デバイス30の動作と、第2デバイス40に対する給電および通信とを制御する。
【0092】
記憶部112は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部112は、制御プログラムP1を記憶する。制御プログラムP1は、記録媒体200に記憶された制御プログラムP2を、制御部110が読み出して記憶部112に複製したものであってもよい。
【0093】
制御部110は、制御対象と通信を行なう。この場合、制御部110自体が通信部(図示せず)を有してもよいし、制御部110が制御装置100内部に設けられる通信部と接続されていてもよい。制御部110は、制御対象または通信部と通信を行なうための接続部を有することが好ましい。
【0094】
制御部110は、PLC(Power Line Communication)およびCAN(Controller Area Network)通信の少なくとも1つによって制御対象と通信を行なうことが好ましい。制御部110は、同一の通信方式(例えば、PLC又はCAN通信)によって第1デバイス30および第2デバイス40と通信してもよいし、第1通信方式(例えばPLC)によって第1デバイス30と通信し、第1通信方式とは異なる第2通信方式(例えば、CAN通信)によって第2デバイス40と通信してもよい。
【0095】
制御部110が行なう通信は、有線通信に限らず、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの無線通信でもよい。この場合、制御部110が備える、または接続される通信部は、アンテナを有する無線モジュールによって構成され、制御対象にも同様に無線通信可能な通信部が設けられる。
【0096】
制御装置100は、第2デバイス40の固有バッテリ41の残量低下を検出する検出部(図示せず)を備えていてもよい。例えば、検出部は、第2デバイス40内部の電圧降下を検出することにより、固有バッテリ41の残量低下を検出することができる。
【0097】
制御部110は、第1モードおよび第2モードを含む複数の制御状態を有する。本実施形態において、第1モードを通常モード、第2モードをオンデマンド給電モード、とそれぞれ呼ぶことがある。
【0098】
制御部110は、第1モードにおいて、第1デバイス30の動作を許容し、少なくとも第1デバイス30に電力を供給するように共通バッテリ60を制御する。第1モードは、例えば、人力駆動車1の使用時において制御装置100および第1デバイス30が起動・動作している状態に対応する。第2デバイス40は、必ずしも制御装置100に接続されていなくてもよい。共通バッテリ60は、制御装置100に対して電力を供給する。共通バッテリ60は、制御装置100に第2デバイス40が接続されている場合、第2デバイス40に対して電力を供給してもよい。制御装置100の制御部110は、制御対象と通信可能である。
【0099】
制御部110は、第2モードにおいて、第1デバイス30の動作を制限し、第2デバイス40に電力を供給するように共通バッテリ60を制御する。第2モードにおいて制御部110は、第1デバイス30の動作を停止させてもよい。第2モードは、例えば、人力駆動車1の駐車時において第2デバイス40を充電する状態に対応する。第2デバイスは、制御装置100および共通バッテリ60に接続される。共通バッテリ60は、制御装置100および第1デバイス30に対して電力を供給する。共通バッテリ60は、第2デバイス40に対して優先的に電力を供給する。第2モードにおいて、共通バッテリ60は、第2デバイス40の固有バッテリ41を充電することが好ましい。制御装置100の制御部110は、制御対象と通信可能である。第1デバイス30から外部に対する通信(送信)は制限され得る、もしくは停止され得るが、外部から第1デバイス30に対する通信(受信)は可能である。共通バッテリ60は、外部と通信可能である。
【0100】
第1モードおよび第2モードにおいて、制御部110は、共通バッテリ60から電力を供給されている電源オンの状態であり、制御動作および外部との通信を行なう。一方、制御部110は、共通バッテリ60から電力を供給されていない電源オフの状態を有する。制御部110は、操作装置36に含まれる電源スイッチや、共通バッテリ60に付帯する電源スイッチを押下することにより、電源オンの状態となり起動する。もしくは、制御部110は、第2デバイス40から電力を受け取ることにより、電源オンの状態となり起動する。
【0101】
制御部110は、第2モードにおいて、共通バッテリ60から供給された電力により固有バッテリ41を充電し、固有バッテリ41の残量が第1閾値を満足した場合、電源オフ状態に遷移してもよい。(遷移の詳細については後述する。)第1閾値を満足する場合は、例えば、充電が完了した場合である。もしくは、第1閾値を90%以上の値としてもよい。第1閾値は、ユーザにより設定可能としてもよい。
【0102】
制御部110は、制御状態が第2モードにある場合、第2モードであることを人力駆動車1のユーザに報知するように構成されていてもよい。報知は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60の少なくとも1つに設けられる報知部において行われることが好ましい。制御部110は、例えば、第1デバイス30に設けられるディスプレイにおいて、「オンデマンド給電モード」という文字情報を表示させてもよい。制御部110は、例えば、共通バッテリ60に設けられるインジケータのLEDを通常モードと異なる色にしたり、LEDを長い周期で点滅させたりするなど、他の状態と識別できるような態様で報知してもよい。
【0103】
制御部110は、制御状態が第2モードにある場合、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60の少なくとも1つに設けられる報知部において、報知をオフ(例えば、LED消灯)にしてもよい。特に、制御状態がオフ状態から第1モードを経由して第2モードに遷移する場合、制御部110は、報知部における報知をオフのままにしておくことが好ましい。第2モードは、第2デバイス40に電力を供給することに特徴を有するが、その他の挙動は、後述する電源オフの状態や第3モード(プラグインスタンバイモード)に類似している。後述するように、第2モードには、一旦第1モードを経由してから遷移することがあるが、通常の第1モードであれば、各報知部は第1モードの動作状態または制御状態を報知する可能性がある。しかし、この場合、第1モードへの遷移は過渡的なものであるため、仮に第1モードを経由する場合であっても、第2モードに遷移する場合、制御部110は報知をオフにしておくことが好ましい。
【0104】
制御部110は、制御状態が第2モードにある場合、共通バッテリ60の残量が第2閾値以下になった場合、第2デバイス40に通知してもよく、人力駆動車1のユーザに通知してもよい。第2デバイス40は、通知を受けて第2モードを解除し、電源オフ状態または第3モードに遷移するよう、制御部110に要求してもよい。ユーザへの通知は、第1デバイス30、第2デバイス40、後述する第3デバイス、および共通バッテリ60の少なくとも1つに設けられる報知部において行うことができる。第2閾値は、例えば、20%以下、または10%以下の値に設定することができる。第2閾値は、ユーザにより設定可能としてもよい。
【0105】
図3は、第1実施形態における制御装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。オフ状態の制御装置100は、以下の処理を繰り返し実行する。
【0106】
制御部110は、操作装置36の電源ボタン押下、または、第2デバイス40の固有バッテリ41からの電力供給により、人力駆動車1を電源オフ状態から電源オン状態となり起動する(ステップS101)。制御状態は第1モード(通常モード)へ遷移する(ステップS102)。
【0107】
通常モードにおいて、制御部110は、電源ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103の判断は、共通バッテリ60からの放電が停止したか否かを判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0108】
ステップS103で電源ボタンが押下されていないと判断された場合(S103:NO)、制御部110は、第2デバイス40から給電要求を受信したか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104の判断は、第2デバイス40の固有バッテリ41の残量低下を検出したか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0109】
給電要求を受信していないと判断された場合(S104:NO)、処理はステップS102へ戻り、制御状態は、通常モードに維持される。
【0110】
給電要求を受信したと判断された場合(S104:YES)、制御状態は第2モード(オンデマンド給電モード)へ遷移する(ステップS105)。制御部110は、第1モードを経由してから、制御状態を第2モードに遷移させ得る。
【0111】
オンデマンド給電モードにおける制御部110は、再度電源ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106の判断は、第3デバイスが接続されたか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0112】
電源ボタンが押下されたと判断された場合(S106:YES)、処理はステップS102へ戻り、制御状態は通常モードへ遷移する。
【0113】
電源ボタンが押下されていないと判断された場合(S106:NO)、制御部110は、第2デバイス40の固有バッテリ41への充電が完了したか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107の判断は、共通バッテリ60からの放電停止がされたか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0114】
充電が完了していないと判断された場合(S107:NO)、制御部110は処理をステップS105へ戻し、オンデマンド給電モードが維持される。
【0115】
充電が完了したと判断された場合(S107:YES)、制御状態は、オフ状態へ遷移し(ステップS108)、処理は終了する。
【0116】
ステップS103において通常モードの状態で電源ボタンが押下されたと判断された場合(S103:YES)、処理はステップS108へ進み、制御状態はオフ状態へ遷移し、処理を終了する。
【0117】
図4は、第1実施形態における制御部110の状態遷移図である。状態には、「オフ」、「通常モード」および「オンデマンド給電モード」が含まれる。図4において、黒い丸はオフ状態を示す。オフ状態で操作装置36の電源ボタンが押下されると、制御状態は、オフ状態から起動して通常モードへ遷移する。または、制御状態は、第2デバイス40から電力を受け取ることにより、オフ状態から通常モードへ遷移する。
【0118】
通常モードでは、第1デバイス30、第2デバイス40および共通バッテリ60の少なくとも1つの報知部において報知を行なってもよく、例えばLEDを点灯させる。通常モードで、操作装置36の電源ボタンが押下されると、制御状態は、通常モードからオフ状態へ遷移する。電源ボタンは、共通バッテリ60自体に設けられた電源ボタンでもよく、サイクルコンピュータなど共通バッテリ60から離れたデバイスに設けられるサテライト電源ボタンでもよい。または、制御状態は、共通バッテリ60の放電停止時にも通常モードからオフ状態へ遷移する。制御状態がオフ状態へ遷移すると、報知部における報知がオフとなり、例えば、LEDを消灯させる。
【0119】
制御状態は、第2デバイス40からの給電要求を受信した場合、通常モードからオンデマンド給電モードへ遷移する。
【0120】
オンデマンド給電モードにて、固有バッテリ41への充電が完了した場合、制御状態はオフ状態へ遷移する。また、制御状態は、共通バッテリ60の放電停止時にもオンデマンド給電モードからオフ状態へ遷移する。オンデマンド給電モードにて、充電が完了する前に、操作装置36の電源ボタンやサテライト電源ボタンが押下されると、制御状態は、オンデマンド給電モードから通常モードへ遷移する。制御状態は、後述する第3デバイスが接続された場合、オンデマンド給電モードから通常モードへ遷移し得る。
【0121】
第1実施形態に示した制御装置100により第2デバイス40に対して効率的に電力を供給できる。
【0122】
(第2実施形態)
第2実施形態における制御装置100の構成は、後述する複数のモードに基づく制御処理以外の構成は第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0123】
第2実施形態の制御装置100の制御部110は、第1モード、および第2モードの制御状態を有する。第2実施形態の制御部110は、第3モードの制御状態をさらに含む。第3モードは、プラグインスタンバイモード(PISモード)と呼ぶことがある。
【0124】
制御部110は、第3モードにおいて、少なくとも第1デバイス30に対する通信(送信)を停止して待機状態となり、第2デバイス40または共通バッテリ60に対する通信(送信)も停止し得る。外部から制御部110に対する通信(受信)は可能である。
【0125】
第3モードにおいて、制御部110から通信が行なわれないため、第1デバイス30の動作は制限される、もしくは停止される。第3モードは、例えば、人力駆動車1の駐車時に対応する。共通バッテリ60は、制御装置100および第1デバイス30に対して電力を供給する。第3モードにおいて、第2デバイス40が接続されている場合、第2デバイス40は固有バッテリ41から供給される電力により動作し得る。このとき、共通バッテリ60は、第2デバイス40に対して電力を供給しないことが好ましい。第1デバイス30から外部に対する通信(送信)は制限され得る、もしくは停止され得るが、外部から第1デバイス30に対する通信(受信)は可能である。共通バッテリ60から外部に対する通信(送信)は制限され得る、もしくは停止され得るが、外部から共通バッテリ60に対する通信(受信)は可能である。
【0126】
制御部110は、第3モードにある場合、第2デバイス40から電力を受け取ることにより待機状態を解除し、さらに共通バッテリ60と通信することにより、制御状態を第2モードに遷移させてもよい。
【0127】
制御部110は、制御状態が第3モードにある場合、第3モードであることを人力駆動車1のユーザに報知するように構成されていてもよい。報知は、第1デバイス30、第2デバイス40、後述する第3デバイス、および共通バッテリ60の少なくとも1つに設けられる報知部において行なうことができる。例えば、第3デバイスに設けられるディスプレイにおいて、「スタンバイモード」という文字情報を表示させてもよい。制御部110は、制御状態が第3モードにある場合、報知部における報知をオフにしてもよい。
【0128】
図5は、第2実施形態における制御装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。オフ状態の制御装置100は、以下の処理を繰り返し実行する。
【0129】
制御装置100に電力が供給されると、制御状態は、オフ状態から第1モード(通常モード)に遷移する。制御部110は、通常モードにおいて初期化処理を行なった後、制御状態を第3モード(PISモード)へ遷移させる(ステップS201)。
【0130】
PISモードにおいて制御部110は、電源ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202の判断は、第3デバイスが接続されたか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0131】
電源ボタンが押下されたと判断された場合(S202:YES)、制御状態は通常モードへ遷移する(ステップS203)。
【0132】
通常モードにおいて制御部110は、電源ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204の判断は、第3デバイスの接続が解除されたか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。ステップS204で電源ボタンが押下されていないと判断された場合(S204:NO)、制御部110は、第2デバイス40から給電要求を受信したか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205の判断は、第2デバイス40の固有バッテリ41の残量低下を検出したか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0133】
給電要求を受信していないと判断された場合(S205:NO)、制御部110は、共通バッテリ60からの放電が停止したか否かを判断する(ステップS206)。
【0134】
放電が停止していないと判断された場合(S206:NO)、制御部110は処理をステップS203へ戻す。
【0135】
放電が停止したと判断された場合(S206:YES)、制御状態は、電源オフ状態へ遷移し(ステップS207)、処理は終了する。
【0136】
ステップ202で、PISモードで電源ボタンが押下されないと判断された場合(S202:NO)、制御部110は、共通バッテリ60からの放電が停止したか否かを判断する(ステップS208)。
【0137】
放電が停止していないと判断された場合(S208:NO)、制御部110は、処理をステップS201へ戻し、PISモードが維持される。
【0138】
放電が停止したと判断された場合(S208:YES)、制御状態は、電源オフ状態へ遷移し(S207)、処理は終了する。
【0139】
ステップS204において通常モードの状態で電源ボタンが押下されたと判断された場合(S204:YES)、制御部110は、処理をステップS201へ戻し、制御状態はPISモードへ遷移する(S201)。
【0140】
ステップS205で給電要求を受信したと判断された場合(S205:YES)、制御状態は第2モード(オンデマンド給電モード)へ遷移する(ステップS209)。
【0141】
オンデマンド給電モードにおいて、制御部110は、電源ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS210)。ステップS210の判断は、第3デバイスが接続されたか否かの判断に代替、または組み合わされてもよい。
【0142】
電源ボタンが押下されたと判断された場合(S210:YES)、処理はステップS203へ戻り、制御状態は通常モードへ遷移する。
【0143】
オンデマンド給電モードにおいて電源ボタンが押下されていないと判断された場合(S210:NO)、制御部110は、第2デバイス40から第3モード(PISモード)への遷移通知を受信したか否かを判断する(ステップS211)。ステップS211の判断は、第2デバイス40の固有バッテリ41の残量が第1閾値を満足したか否かの判断に代替されるか、組み合わされてもよい。または、共通バッテリ60からの放電停止がされたか否かの判断に代替されるか、組み合わされてもよい。
【0144】
PISモードへの遷移通知を受信しないと判断された場合(S211:NO)、制御部110は処理をステップS209へ戻し、オンデマンド給電モードが維持される。
【0145】
PISモードへの遷移通知を受信したと判断された場合(S211:YES)、処理はステップS201へ戻し、制御状態はPISモードへ遷移する。
【0146】
図6は、第2実施形態における制御装置100の状態遷移図である。状態には、「オフ」、「通常モード(第1モード)」、「オンデマンド給電モード(第2モード)」および「PISモード(第3モード)」が含まれる。第2実施形態では主にPISモードについて説明し、その他の状態遷移などについては、第1実施形態と同じであるから詳細な説明を省略する。
【0147】
オフ状態にて制御装置100に電力が供給されると、制御状態は、オフ状態から通常モードへ遷移する。制御部110が初期化処理を行なった後、制御状態は通常モードからPISモードへ遷移する。
【0148】
PISモードで、操作装置36の電源ボタンが押下されると、制御状態は通常モードに遷移する。第2デバイス40からの給電要求を受信した場合、制御状態はPISモードから通常モードへ遷移し得る。後述する第3デバイスが接続された場合、制御状態はPISモードから通常モードへ遷移し得る。共通バッテリ60の放電停止時、制御状態は通常モードからオフ状態へ遷移する。
【0149】
通常モードで、電源ボタンが押下されると、制御状態は、通常モードからPISモードへ遷移する。後述する第3デバイスの接続が解除された場合に、制御状態はPISモードへ遷移し得る。制御状態がPISモードへ遷移すると、報知部における報知がオフとなり、例えば、LEDを消灯させる。
【0150】
第2デバイス40からの給電要求が受信された場合、制御状態は通常モードからオンデマンド給電モードへ遷移する。制御状態がPISモードから通常モードを経由してオンデマンド給電モードに遷移する場合、報知部における報知をオフのままにしておくことが好ましい。
【0151】
オンデマンド給電モードにて、固有バッテリ41への充電が完了した場合、制御装置100は、PISモードへの遷移の通知を受信し、制御状態はPISモードへ遷移する。オンデマンド給電モードにて、充電が完了する前に、操作装置36の電源ボタンが押下されると、制御状態は通常モードへ遷移する。この場合、固有バッテリ41への充電を続行してもよい。
【0152】
第2実施形態に示した制御装置100により、第1実施形態同様、第2デバイス40に対して効率的に電力を供給できるとともに、PISモードの併用により、消費電力を低減できる。
【0153】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の制御装置の構成を説明するブロック図である。第3実施形態では、制御装置100の制御部110は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60以外の第3デバイス70と通信可能に構成される。第3デバイス70は、共通バッテリ60の電力系統からは独立したデバイスであり、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどの情報通信端末である。
【0154】
第3デバイス70は、第1デバイス30、第2デバイス40、および共通バッテリ60の動作状態または制御状態を報知する報知部を含んでいてもよい。報知は、第3デバイス70に設けられるディスプレイに表示された文字および画像の少なくとも1つにより行われてもよい。報知は、第3デバイス70に設けられるブザーまたはスピーカーから出力される音声により行われてもよい。
【0155】
第3実施形態において制御状態は、操作装置36における操作(電源ボタン)以外に、第3デバイス70との接続をきっかけに、オンデマンド給電モードまたはPISモードから通常モードへ遷移する。制御部110は、ステップS106、ステップS202、およびステップS210において、第3デバイス70と通信接続がされたか否かを判断する。
【0156】
第3実施形態において制御状態は、操作装置36における操作(電源ボタン)以外に、第3デバイス70との接続解除をきっかけに、通常モードからPISモードへ遷移する。制御部110は、ステップS204において、第3デバイス70との接続が解除されたか否かを判断する。
【0157】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態の制御装置100の構成を説明するブロック図である。第4実施形態の制御装置100では、標準デバイスである第1デバイス30と、オプションデバイスである第2デバイス40とでは通信方式が異なる。第2実施形態の制御装置100は、第1通信方式(例えばPLC)によって通信する。制御部110は、第1通信方式によって通信する第1デバイス30とは直接的に接続される。制御部110は、第2通信方式によって通信する第2デバイス40と通信方式を変換する変換器114を介して通信する。変換器114は、第1通信方式と第2通信方式との間で通信データを変換する。第4実施形態において、共通バッテリ60から第2デバイス40への給電は、変換器114を介して行なわれる。
【符号の説明】
【0158】
1…人力駆動車、11…車両本体、11A…フレーム、11B…フロントフォーク、12…ハンドルバー、13…前輪、14…後輪、15…シート、20…駆動機構、21…クランク、21A…クランク軸、21B…右クランク、21C…左クランク、22…第1スプロケットアセンブリ、22A…スプロケット、23…第2スプロケットアセンブリ、23A…スプロケット、24…チェーン、25…ペダル、30…第1デバイス、31…アシスト装置、32…変速装置、33…ブレーキ装置、34…サスペンション、35…シートポスト、36…操作装置、40…第2デバイス、60…共通バッテリ、70…第3デバイス、100…制御装置、110…制御部、112…記憶部、114…変換器、P1…制御プログラム、P2…制御プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8