(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】車室前部構造
(51)【国際特許分類】
B60K 37/20 20240101AFI20241023BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B60K37/20
B60R7/06 Z
(21)【出願番号】P 2021087414
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守屋 善毅
(72)【発明者】
【氏名】高田 雄介
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-280789(JP,A)
【文献】特開2014-008863(JP,A)
【文献】特開2006-143093(JP,A)
【文献】特開2007-203959(JP,A)
【文献】特開2012-250593(JP,A)
【文献】国際公開第2002/096688(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 37/20
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドシールドガラスに面しながら前端部から車両後方に延設されるインパネアッパと、
前記インパネアッパに形成された収納開口を覆うボックスリッドと、
を備える、車室前部構造であって、
前記ボックスリッドには、前記インパネアッパよりも明色系の配色が施され、
前記インパネアッパには、車両前方から前記収納開口の前端縁に向かって下り傾斜角が徐々に減少するインパネ側下り傾斜部が形成され、
前記ボックスリッドは、その前端部が上方に延設する立壁部から構成され、さらに前記立壁部の上端であって前記収納開口の前記前端縁よりも上方から車両後方に延設する蓋板部を備え、
前記蓋板部には、車両後方に向かって上り傾斜角が徐々に増加するリッド側上り傾斜部が形成される、
車室前部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車室前部構造であって、
前記インパネアッパには、前記インパネ側下り傾斜部の後端から前記収納開口の前記前端縁まで延設される、インパネ側上り傾斜部が形成され、
前記蓋板部には、前記立壁部の前記上端から前記リッド側上り傾斜部の前端まで延設される、リッド側下り傾斜部が形成される、
車室前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車室前部構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
運転席及び助手席の前方には、計器類が設置されるインストルメントパネルが設けられる。インストルメントパネルは、車室前端のウインドシールドガラスに面するインパネアッパと呼ばれるパネル部材を備える。
【0003】
ウインドシールドガラスから車室内に入射した外部からの光、またはマップランプ等の室内灯からの光がインパネアッパで反射して、さらにウインドシールドガラスで反射し、車室後方に出射されることで、運転席または助手席から、ウインドシールドガラスにインパネアッパの像が視認される映り込みと呼ばれる現象が生じる。
【0004】
このような映り込みについて、特許文献1では、インパネアッパにヘッドアップディスプレイ用の照射開口が形成され、さらに照射開口には、縁取り部品であるベゼルが取り付けられる。このベゼルのウインドシールドガラスへの映り込みを抑制するために、ベゼルの上端部がインパネアッパで覆われる。さらに、真上から照射開口を見たときには、ベゼルの後壁部を目視可能となる一方で、ヘッドアップディスプレイの照射方向とは反対方向から照射開口を見たときにはベゼルが目視不可となるように、ベゼルの構造やインパネアッパへの取り付け方が定められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インパネアッパの一部に収納用の開口を設け、当該開口を蓋体であるボックスリッドにて覆う場合に、インパネアッパとボックスリッドとの境界線である、いわゆる見切り線がウインドシールドガラスに映り込むおそれがある。
【0007】
加えて、意匠的な観点から、ボックスリッドの色を、インパネアッパの色とは異なる配色とすることが考えられる。一般的にインパネアッパは車幅方向両端に亘って延在する長尺部材であり、ウインドシールドガラスへの映り込みを抑制するために、暗色系の配色が適用される。ボックスリッドの配色を、インパネアッパとの意匠的な対比を付けるために相対的に明色系の配色とすると、インパネアッパとボックスリッドとの境界線、つまり色の切り替わりのラインがウインドシールドガラスに映り込む。つまり見切り線が色の境界線となって強調されてウインドシールドガラスに強く映り込み、運転者に煩わしさを感じさせるおそれがある。
【0008】
そこで本明細書では、インパネアッパにこれとは配色の異なる部材を取り付ける際に、両部材の境界線であるとともに異なる色の境界線ともなる見切り線の、ウインドシールドガラスへの映り込みを抑制可能な、車室前部構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される車室前部構造は、インパネアッパ及びボックスリッドを備える。インパネアッパは、ウインドシールドガラスに面しながら前端部から車両後方に延設される。ボックスリッドは、インパネアッパに形成された収納開口を覆う。ボックスリッドには、インパネアッパよりも明色系の配色が施される。インパネアッパには、車両前方から収納開口の前端縁に向かって下り傾斜角が徐々に減少するインパネ側下り傾斜部が形成される。ボックスリッドは、その前端部が上方に延設する立壁部から構成され、さらに立壁部の上端であって収納開口の前端縁よりも上方から車両後方に延設する蓋板部を備える。蓋板部には、車両後方に向かって上り傾斜角が徐々に増加するリッド側上り傾斜部が形成される。
【0010】
上記構成によれば、ボックスリッドの前端部分に立壁部が設けられることで、ボックスリッドとその前方のインパネアッパとの間に段差構造が形成される。このような構成において、段差構造の隅部に見切り線を埋没させることが出来る。その結果、見切り線周辺に光が入りにくい構造となり、見切り線のウインドシールドガラスへの映り込みが抑制される。さらにインパネ側下り傾斜部とリッド側上り傾斜部とによって、側面視で傾斜角が徐々に変化しその底面が見切り線の周辺領域となる略すり鉢形状が構成される。これにより、色の境界線である見切り線の前後の明暗差がぼかされる。
【0011】
また上記構成において、インパネアッパには、インパネ側下り傾斜部の後端から収納開口の前端縁まで延設される、インパネ側上り傾斜部が形成されてよい。また蓋板部には、立壁部の上端からリッド側上り傾斜部の前端まで延設される、リッド側下り傾斜部が形成されてよい。
【0012】
上記構成によれば、相対的に暗色系のインパネアッパの後端部を上り傾斜とすることで反射光量が確保される一方で、相対的に明色系のボックスリッドの蓋板部の前端部を下り傾斜とすることで反射光量が抑制される。その結果、インパネアッパからボックスリッドに移行する際の反射光量の急変を抑制可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される車室前部構造によれば、インパネアッパにこれとは配色の異なる部材を取り付ける際に、両部材の境界線であるとともに異なる色の境界線ともなる見切り線の、ウインドシールドガラスへの映り込みを抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る車室前部構造が搭載された車室前方の様子を例示する図である。
【
図3】
図2から、インパネアッパとボックスリッドの断面を抜き出して拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る車室前部構造について説明する。なお
図1-
図3において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号RWで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。
【0016】
記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車室前部構造が説明される。
【0017】
<車室前部の構造概要>
図1には、運転席前方の、車室前部構造が例示される。ステアリング12の前方にはインストルメントパネル15が設けられる。インストルメントパネル15には計器14や空調機器の吹き出し口であるレジスタ16が取り付けられる。
【0018】
インストルメントパネル15は、その上部部材として、インパネアッパ20(インストルメントパネルアッパ)を備える。インパネアッパ20は例えば樹脂成型によって製造される。
図1のA-A断面が例示された
図2を参照して、インパネアッパ20の前端部28はウインドシールドガラス10の下端部11に接続される。ウインドシールドガラス10は、下端部11から車両後方かつ上方に延設される。
【0019】
インパネアッパ20は、インストルメントパネル15の天井部材を構成し、ウインドシールドガラス10と面しながら、前端部28から車両後方に延設される。またインパネアッパ20は、車室前方の車幅方向両端に亘って延設される。
【0020】
インパネアッパ20は、大部分に亘ってウインドシールドガラス10と面することから、映り込みを抑制するために暗色系の配色が施される。例えばインパネアッパ20の露出面(意匠面)には、光反射率が相対的に低い黒色やダークグレー等の配色が施される。
【0021】
図2を参照して、インパネアッパ20には、その厚さに亘って貫通された収納開口22が形成される。例えば収納開口22は平面視で矩形状の開口である。例えば
図1を参照して、インパネアッパ20の、運転席の前方領域に収納開口22が設けられる。
【0022】
図1、
図2を参照して、インパネアッパ20の収納開口22には、収納箱体であるインパネアッパボックス30が取り付けられる。インパネアッパボックス30(より正確にはインパネアッパボックス30のボックスリッド40)はインパネアッパ20と同様に、ウインドシールドガラスに面して(対向して)いる。
【0023】
例えばインパネアッパボックス30は、ボックス本体32及びボックスリッド40を備える。ボックス本体32は、収納開口22内に収容され、例えばインパネアッパボックス30に図示しないクリップ等の締結手段にて固定される。また、インパネアッパ20とボックス本体32は、樹脂材料を用いて一体成型されてもよい。
図2に例示されるように、ボックス本体32は、側面断面(UP-FR断面)がコの字形状であって、ボックス本体32の底面は、インパネアッパ20の露出面(または意匠面)よりも下方に窪むようにして配置される。
【0024】
ボックスリッド40はインパネアッパ20に形成された収納開口22を覆う蓋体である。ボックスリッド40は、側面断面が略コの字形状であって、
図2、
図3に例示されるように、車両前方から順に、前方立壁部46A、蓋板部42、及び後方立壁部46Bを備える。蓋板部42は、前方立壁部46Aの上端であって収納開口22の前端縁22Aよりも上方から車両後方に延設される。さらに蓋板部42の後端は、後方立壁部46Bの上端に接続され、収納開口22の後端縁22Bよりも上方に配置される。
【0025】
ボックスリッド40の前端部に、上方に延設される前方立壁部46Aが設けられることで、ボックスリッド40とその前方のインパネアッパ20との間に段差構造が形成される。このような構成において、段差構造の隅部に、インパネアッパ20とボックスリッド40との境界線である見切り線60Aを埋没させることが出来る。その結果、運転席から前方を見たときに見切り線60Aを隠すことが出来る。また段差構造によって見切り線60A周辺に光が入りにくい構造となり、見切り線60Aのウインドシールドガラス10への映り込みが抑制される。
【0026】
図2、
図3を参照して、例えばボックスリッド40は、前方立壁部46Aの下端部を回転中心として、
図2の破線で示されるように、車両後方から車両前方に跳ね上げられるように開放される。例えば前方立壁部46Aの下端部の、車幅方向両端には、更に車幅方向外側に張り出す突起(図示せず)が設けられ、一方でインパネアッパ20の収納開口22の、車幅方向両側辺には、上記突起を受ける窪み(図示せず)が設けられる。
【0027】
また、ボックスリッド40及びボックス本体32には、その開閉機構として、例えばマグネットキャッチ機構34が設けられる。マグネットキャッチ機構34は既知の機構であるため、ここでは説明が省略される。
【0028】
ボックスリッド40には、インパネアッパ20よりも明色系の配色が施される。このような色の切り替えにより、インパネアッパ20に対してボックスリッド40を目立たせることが出来る。例えばボックスリッド40の露出面(意匠面)には、オフホワイトまたはベージュといった、インパネアッパ20と比較して光反射率の高い配色が施される。
【0029】
<見切り線の映り込み抑制構造>
図3には、
図2からインパネアッパ20とボックスリッド40を抜き出した拡大断面図が例示される。図示されるように、インパネアッパ20及びボックスリッド40により、見切り線60Aの周辺を底とする略すり鉢形状が構成される。
【0030】
具体的には、インパネアッパ20には、車両前方から順に、前端部28、インパネ側下り傾斜部24、インパネ側上り傾斜部26が形成される。さらにその後方のボックスリッド40には、上述のように車両前方から順に前方立壁部46A、蓋板部42、及び後方立壁部46Bが形成される。蓋板部42には、リッド側下り傾斜部43、リッド側上り傾斜部44、及び後端部47が形成される。
【0031】
インパネアッパ20の前端部28は略水平に延設される。前端部28の後端にはインパネ側下り傾斜部24の前端が接続される。インパネ側下り傾斜部24は、車両前方から収納開口22(
図2参照)の前端縁22Aに向かって下り傾斜角が徐々に減少するような構造となっている。なお、下り傾斜角とは、車両後方に延設されるときの、水平面に対する角度(<0°)を指す。
【0032】
インパネ側下り傾斜部24は、車両前方から順にスロープ部24A,24B,24Cを備える。それぞれのスロープ部24A,24B,24Cの傾斜角α1,α2,α3はそれぞれ負の値を持ち、α1<α2<α3(または|α1| > |α2| > |α3|)となるように定められる。例えばα3=0°であってよい。また、スロープ部24A,24B,24Cの長さは、24A>24B>24Cであってよい。
【0033】
インパネ側下り傾斜部24の後端に、インパネ側上り傾斜部26の前端が接続される。インパネ側上り傾斜部26の後端は、収納開口22(
図2参照)の前端縁22Aに当接する。またインパネ側上り傾斜部26の後端は、ボックスリッド40の前方立壁部46Aの下端とともに、見切り線60Aを構成する。
【0034】
インパネ側上り傾斜部26の上り傾斜角α4は、例えば0°を超過し10°以下(0°<α4≦10°)となるように定められる、なお上り傾斜角とは、車両後方に延設されるときの、水平面に対する角度(>0°)を指す。またインパネ側上り傾斜部26の長さは、スロープ部24B,24Cと同程度であってよい。
【0035】
インパネ側上り傾斜部26の後端には、ボックスリッド40の前方立壁部46Aの下端が当接する。前方立壁部46Aは曲面加工されたR部45Aを経てその上端がリッド側下り傾斜部43に接続される。リッド側下り傾斜部43の下り傾斜角β1は、例えば-10°以上0°未満(-10°≦β<0°)となるように定められる。
【0036】
リッド側下り傾斜部43の後端はリッド側上り傾斜部44の前端に接続される。リッド側上り傾斜部44は、車両後方に向かって上り傾斜角が徐々に増加するように形成される。例えばリッド側上り傾斜部44には、車両前方から順に、スロープ部44A,44B,44Cが形成される。スロープ部44A,44B,44Cのそれぞれの上り傾斜角β2,β3,β4は、β2<β3<β4となるように定められる。
【0037】
リッド側上り傾斜部44の後端には、後端部47の前端が接続される。後端部47はわずかに上り傾斜となっており、その上り傾斜角β5は例えばスロープ部44Aの上り傾斜角β2以下となるように定められる。後端部47の後端はR部45Bを経て後方立壁部46Bの上端に接続される。さらに後方立壁部46Bの下端とインパネアッパ20とによって見切り線60Bが構成される。
【0038】
図2に例示されるように、ウインドシールドガラス10から車室内に入射した光L1は、インパネアッパ20またはボックスリッド40の露出面(意匠面)で反射光L2として反射する。さらに反射光L2はウインドシールドガラス10の内面(車室側面)でさらに反射光L3として反射して車室後方に出射される。これにより、車室内の運転席または助手席の乗員は、ウインドシールドガラス10上にインパネアッパ20及びボックスリッド40の像が視認される映り込みが生じる。特に車両の前方がトンネルの入り口等、暗い場合には、ウインドシールドガラス10への映り込みが顕著に視認されるおそれがある。
【0039】
このような映り込みの態様について、インパネ側下り傾斜部24は、その下り傾斜角により、ウインドシールドガラス10への反射光量が抑制される。具体的にはスロープ部24A,24B,24Cのうち、スロープ部24Aからの反射光量が最も抑え込まれ、スロープ部24B及びスロープ部24Cに移行するに連れて反射光量は漸増する。さらにインパネ側上り傾斜部26の上り傾斜により、ウインドシールドガラス10への反射光量はスロープ部24Cよりも増加される。したがってウインドシールドガラス10上では、スロープ部24A,24B,24C、及びインパネ側上り傾斜部26に移行するに連れてインパネアッパ20の露出面(意匠面)が明るく視認されるようになる。
【0040】
さらにボックスリッド40の前方立壁部46Aを経てリッド側下り傾斜部43に光が入射されると、その下り傾斜により、ウインドシールドガラス10への映り込み量は抑制される。つまり、本実施形態に係るインパネアッパ20及びボックスリッド40は、相対的に暗色のインパネアッパ20の後端部分を上り傾斜とすることで敢えてこれを明るめに写り込ませる一方で、相対的に明色のボックスリッド40の前端部分を下り傾斜とすることで映り込み量を抑制させる。その結果、映り込み像における両者の明るさの差が顕著に表れることが抑制される。これにより、色の切り替わりの境界線でもある見切り線60Aの前後のコントラストがぼかされてウインドシールドガラス上に映り込む。
【0041】
さらにリッド側下り傾斜部43からリッド側上り傾斜部44に移行して、その上り傾斜のために、ウインドシールドガラス10における映り込み量が漸増する。そして後端部47では、スロープ部44Cよりもウインドシールドガラス10への映り込み量が低下する。
【0042】
このように本実施形態に係る車室前部構造では、見切り線60Aの前後の露出面を、側面視略すり鉢形状とすることで、色の異なるインパネアッパ20とボックスリッド40の境界が明瞭に(高コントラストに)ウインドシールドガラス10に移り込まれることを抑制可能となる。
【0043】
またインパネ側上り傾斜部26、前方立壁部46A、及びリッド側下り傾斜部43による段差構造により、見切り線60Aを段差構造の隅部に埋没させることが出来る。その結果、見切り線60Aの周辺に光が入りにくい構造となり、見切り線60Aのウインドシールドガラス10への映り込みが抑制される。
【0044】
なお、ボックスリッド40の、特にリッド側上り傾斜部44では、その上り傾斜のため、及び、相対的に明色が施されるために、ウインドシールドガラス10への映り込み量が他のリッド側下り傾斜部43等と比較して増加する。しかしながら、リッド側上り傾斜部44はボックスリッド40の後方部材であって、ウインドシールドガラス10の上方にその像が映り込む。つまりウインドシールドガラス10において、運転者が注視する、ウインドシールドガラス10の下方領域から外れた領域に、リッド側上り傾斜部44の像が映り込む。したがって、リッド側上り傾斜部44の映り込みによる運転者への影響は軽減される。
【0045】
さらにはリッド側上り傾斜部44を設けることで、例えばリッド側下り傾斜部43の後端から水平に蓋板部42を延設させた場合と比較して、インパネアッパボックス30の容量が増加され、収納能力が向上する。
【符号の説明】
【0046】
10 ウインドシールドガラス、15 インストルメントパネル、20 インパネアッパ、22 収納開口、22A 収納開口の前端縁、22B 収納開口の後端縁、24 インパネ側下り傾斜部、24A~24C,44A~44C スロープ部、26 インパネ側上り傾斜部、28 インパネアッパの前端部、30 インパネアッパボックス、32 ボックス本体、40 ボックスリッド、42 蓋板部、43 リッド側下り傾斜部、44 リッド側上り傾斜部、46A 前方立壁部、46B 後方立壁部、47 ボックスリッドの後端部、60A,60B 見切り線。