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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】半導体素子の積層構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241023BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241023BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20241023BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241023BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20241023BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20241023BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/40 D
H01L23/02 Z
H01L23/04 D
H02M1/00
H02M7/48 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021096664
(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公開番号】P2022188545
(43)【公開日】2022-12-21
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】山川 智之
(72)【発明者】
【氏名】花岡 勇
(72)【発明者】
【氏名】柏木 航平
(72)【発明者】
【氏名】市倉 優太
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150696(JP,A)
【文献】特開2016-157819(JP,A)
【文献】特開2020-202254(JP,A)
【文献】国際公開第2020/070899(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/40
H01L 23/02
H01L 23/04
H02M 1/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヒートシンクと、前記複数のヒートシンクのそれぞれの間に設けられた複数の半導体素子と、を有する積層体と、
前記積層体を支持する支持部と、
前記積層体の前記複数のヒートシンク及び前記複数の半導体素子の積層方向から見た時に、前記積層体を囲むように並べて設けられた複数のカバーと、
を備え、
前記複数の半導体素子は、パッケージ部と、前記パッケージ部の内部に設けられた半導体チップと、を有する圧接型の半導体素子であり、
前記複数のカバーは、前記積層方向の中央部が、前記積層方向の両端部よりも前記積層体に近付くように曲がっている半導体素子の積層構造体。
【請求項2】
前記複数のカバーは、前記積層体と対向する内側面と、前記内側面と反対側の外側面と、を有し、
前記支持部は、前記複数のカバーの前記外側面側から前記複数のカバーの前記積層方向の中央部を支持する支持部材を有する請求項1記載の半導体素子の積層構造体。
【請求項3】
前記複数のカバーは、前記積層方向に延びた形状を有し、前記積層方向の両端部で前記支持部に取り付けられている請求項1又は2に記載の半導体素子の積層構造体。
【請求項4】
複数のヒートシンクと、前記複数のヒートシンクのそれぞれの間に設けられた複数の半導体素子と、を有する積層体と、
前記積層体を支持する支持部と、
前記積層体の前記複数のヒートシンク及び前記複数の半導体素子の積層方向から見た時に、前記積層体を囲むように並べて設けられた複数のカバーと、
前記複数のカバーを前記支持部に取り付けるための複数の取付部材と、
を備え、
前記複数の半導体素子は、パッケージ部と、前記パッケージ部の内部に設けられた半導体チップと、を有する圧接型の半導体素子であり、
前記複数の取付部材は、前記複数の半導体素子のそれぞれに対応して前記積層方向に並べて設けられ、前記複数のカバーを前記支持部に取り付ける半導体素子の積層構造体。
【請求項5】
前記複数のカバーのそれぞれは、前記積層方向と直交する第1方向において、前記積層体と並び、
前記複数の取付部材は、前記複数のカバーの前記積層方向及び前記第1方向と直交する第2方向の両端部において、前記複数の半導体素子のそれぞれに対応して前記積層方向に並べて設けられることにより、前記複数のカバーの前記第2方向の両端部を前記支持部に取り付ける請求項4記載の半導体素子の積層構造体。
【請求項6】
前記複数の取付部材のそれぞれの少なくとも一部の前記積層方向の位置は、前記複数のヒートシンクのそれぞれの少なくとも一部の前記積層方向の位置と同じである請求項4又は5に記載の半導体素子の積層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体素子の積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の圧接型の半導体素子と、複数のヒートシンクと、を交互に積層して構成した半導体素子の積層構造体がある。複数の半導体素子は、複数のヒートシンクのそれぞれの間に設けられる。複数のヒートシンクは、半導体素子を挟むように半導体素子の両側に設けられることにより、複数の半導体素子の放熱を行う。こうした積層構造体は、例えば、比較的大きな電力を扱う電力変換装置などに用いられている。
【0003】
圧接型の半導体素子は、パッケージ部と、パッケージ部の内部に設けられた半導体チップと、を有する。パッケージ部は、一対の電極板と、一対の電極板の間の空間を囲む絶縁性の外囲器と、を有する。半導体素子は、一対の電極板を一対のヒートシンクで挟んだ状態で積層される。
【0004】
このような圧接型の半導体素子では、半導体チップに短絡故障などが発生した場合に、パッケージ部の内圧が上昇してパッケージ部が膨らみ、パッケージ部が破損してしまう可能性がある。そして、このように内圧の上昇にともなってパッケージ部が破損してしまうと、パッケージ部の破損個所から素子の一部が飛散物となって飛散し、周辺機器へ二次被害を与えてしまう可能性がある。
【0005】
このため、半導体素子の周囲をカバーで覆うことにより、パッケージ部の破損時に生じる飛散物から周辺機器を保護することが提案されている。半導体チップの短絡故障にともなうパッケージ部の破損は、複数の半導体素子及び複数のヒートシンクの積層方向と直交する方向におけるパッケージ部の側面部(外囲器の側面部)において、どの位置で発生するか分からない。換言すれば、パッケージ部の破損時に生じる飛散物は、パッケージ部の側面部からどの方向に飛散するか分からない。従って、カバーは、パッケージ部の側面部の全周を囲むように配置する必要がある。
【0006】
例えば、パッケージ部の側面部の全周を囲むように複数のカバーを配置することが考えられる。しかしながら、パッケージ部の破損にともなう圧力上昇は、非常に大きい。このため、複数のカバーが、パッケージ部の破損にともなう圧力上昇に応じて外側に膨らみ、複数のカバーの間に隙間が生じてしまう可能性がある。このように、複数のカバーの間に隙間が生じると、飛散物が隙間からカバーの外側に飛散してしまう可能性が生じる。
【0007】
このため、圧接型の半導体素子を用いた半導体素子の積層構造体においては、圧接型の半導体素子のパッケージ部の破損時に生じる飛散物から周辺機器をより適切に保護できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-47591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、圧接型の半導体素子のパッケージ部の破損時に生じる飛散物から周辺機器をより適切に保護できる半導体素子の積層構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、複数のヒートシンクと、前記複数のヒートシンクのそれぞれの間に設けられた複数の半導体素子と、を有する積層体と、前記積層体を支持する支持部と、前記積層体の前記複数のヒートシンク及び前記複数の半導体素子の積層方向から見た時に、前記積層体を囲むように並べて設けられた複数のカバーと、を備え、前記複数の半導体素子は、パッケージ部と、前記パッケージ部の内部に設けられた半導体チップと、を有する圧接型の半導体素子であり、前記複数のカバーは、前記積層方向の中央部が、前記積層方向の両端部よりも前記積層体に近付くように曲がっている半導体素子の積層構造体が提供される。
【発明の効果】
【0011】
圧接型の半導体素子のパッケージ部の破損時に生じる飛散物から周辺機器をより適切に保護できる半導体素子の積層構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す平面図及び断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、半導体素子を模式的に表す平面図および一部断面を有する側面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、参考の積層構造体を模式的に表す斜視図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第2の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す平面図及び断面図である。
図5】第2の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す正面図である。
【0013】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す平面図及び断面図である。
図1(b)は、図1(a)のA1-A2線断面を模式的に表す。
図1(a)及び図1(b)に表したように、半導体素子の積層構造体10は、積層体12と、支持部14と、複数のカバー16と、を備える。
【0015】
積層体12は、複数のヒートシンク20と、複数の半導体素子22と、を有する。複数の半導体素子22は、圧接型の半導体素子である。複数の半導体素子22は、複数のヒートシンク20のそれぞれの間に設けられる。換言すれば、複数のヒートシンク20及び複数の半導体素子22は、交互に積層して設けられる。
【0016】
積層構造体10は、例えば、MMC(Modular Multilevel Converter)方式の電力変換装置など、比較的大きな電力を扱う電力変換装置などに用いられる。但し、積層構造体10の用途は、これに限定されるものではない。積層構造体10の用途は、複数のヒートシンク20と、複数の圧接型の半導体素子22と、を積層して使用する必要のある任意の用途でよい。
【0017】
上記のように、複数の半導体素子22は、複数のヒートシンク20のそれぞれの間に設けられる。従って、複数のヒートシンク20の数は、複数の半導体素子22の数よりも1つ多くなる。この例において、複数のヒートシンク20の数は、5つであり、複数の半導体素子22の数は、4つである。但し、複数のヒートシンク20の数、及び複数の半導体素子22の数は、上記に限ることなく、任意の数でよい。より詳しくは、複数の半導体素子22の数は、2つ以上の任意の数でよい。複数のヒートシンク20の数は、複数の半導体素子22の数よりも1つ多い、3つ以上の任意の数でよい。
【0018】
積層体12(複数のヒートシンク20及び複数の半導体素子22)の積層方向は、例えば、上下方向である。複数のヒートシンク20及び複数の半導体素子22は、上下方向に交互に積層して設けられる。但し、積層体12の積層方向は、上下方向に限ることなく、任意の方向でよい。
【0019】
複数のヒートシンク20は、間に設けられた半導体素子22と接触し、半導体素子22と電気的に接続される。より詳しくは、複数のヒートシンク20のそれぞれは、複数の半導体素子22のうちの間に設けられた1つの半導体素子22と電気的に接続される。複数のヒートシンク20は、複数の半導体素子22の放熱に用いられるとともに、複数の半導体素子22の電気的な接続にも用いられる。複数のヒートシンク20には、例えば、高い熱伝導率と高い導電性とを有する金属材料などが用いられる。
【0020】
図2(a)及び図2(b)は、半導体素子を模式的に表す平面図および一部断面を有する側面図である。
図2(a)及び図2(b)に表したように、圧接型の半導体素子22は、パッケージ部31と、パッケージ部31の内部に設けられた半導体チップ32と、を有する。パッケージ部31は、例えば、一対の電極板33、34と、外囲器35と、を有する。
【0021】
電極板33は、例えば、円形の板状体である。電極板34は、例えば、電極板33とほぼ平行に設けられ、電極板33とほぼ同一形状の円形の板状体である。半導体素子22は、例えば、円板状である。半導体素子22を上方から見た形状は、例えば、円形である。但し、半導体素子22の形状は、これに限ることなく、任意の形状でよい。半導体素子22を上方から見た形状は、例えば、多角形状などでもよい。一対の電極板33、34、及び外囲器35の形状は、任意の形状でよい。電極板34は、半導体チップ32が設けられている側に、凸部を有する。電極板34は、この凸部を介して半導体チップ32と電気的に接続される。これらの電極板33、34は、例えば、高導電率かつ高熱伝導率を有する金属材料によって形成される。金属材料は、例えば、銅(Cu)やCuを含む合金などである。
【0022】
半導体チップ32は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等である。半導体チップ32は、例えば、一対の主端子と制御端子とを有する。なお、半導体チップ32は、例えば、ファーストリカバリダイオード等の2端子の素子でもよい。半導体チップ32は、例えば、一対の主端子のみを有する構成でもよい。
【0023】
半導体チップ32は、電極板33、34の間に設けられている。半導体チップ32の一方の主端子は、電極板33と対向する面に設けられる。半導体チップ32の他方の主端子は、電極板34と対向する面に設けられる。半導体チップ32の一方の主端子は、電極板33と電気的に接続される。半導体チップ32の他方の主端子は、電極板34の凸部を介して電極板34と電気的に接続される。これにより、電極板33は、半導体素子22の一方の主端子となり、電極板34は、半導体素子22の他方の主端子となる。
【0024】
電極板33は、半導体素子22を挟む一対のヒートシンク20の一方と電気的に接続される。電極板34は、半導体素子22を挟む一対のヒートシンク20の他方と電気的に接続される。これにより、積層体12では、例えば、複数の半導体素子22が直列に接続される。
【0025】
ヒートシンク20は、例えば、略矩形の平板状である。ヒートシンク20の外形形状は、電極板33、34の外形形状よりも大きい。ヒートシンク20は、電極板33、34の全面と接する。これにより、半導体素子22の放熱性を向上させることができる。但し、ヒートシンク20の外形形状は、必ずしも電極板33、34の外形形状よりも大きくなくてもよい。ヒートシンク20の大きさ及び形状は、半導体素子22の放熱を適切に行うことができる任意の大きさ及び形状でよい。
【0026】
半導体素子22は、例えば、複数の半導体チップ32を有する。複数の半導体チップ32は、電極板33、34の間において、積層方向と直交する面内に、格子状(行列状)に並べて設けられる。複数の半導体チップ32は、例えば、電極板33の電極板34と対向する面に並べて設けられる。複数の半導体チップ32は、それぞれ電極板33、34に接続されることにより、並列に接続される。
【0027】
なお、半導体素子22は、単一種類の半導体チップ32を搭載する場合に限らず、複数種類の半導体チップ32を搭載してもよい。複数種類の半導体チップ32は、たとえばIGBTおよびファーストリカバリダイオード等である。また、半導体素子22は、複数の半導体チップ32を有するものに限定されるものではない。半導体素子22は、例えば、ウエハを内蔵する圧接型の半導体素子などでもよい。半導体素子22に設けられる半導体チップ32の数は、1つでもよい。
【0028】
半導体チップ32の制御端子は、配線基板36に接続されている。配線基板36は、電極板34の凸部を貫通するような開口を有する絶縁性の基板である。並列に接続された各半導体チップ32の制御端子は、配線基板36によって、外部に引き出すための端子に接続される。
【0029】
外囲器35は、一対の電極板33、34の間に空く空間の側方を塞ぐ。半導体チップ32は、換言すれば、電極板33、34と外囲器35とで囲まれた空間内に設けられる。外囲器35は、半導体チップ32を気密封止し、外部環境から半導体チップ32を遮断する。外囲器35は、セラミック等の絶縁材料によって形成され、電極板33、34の間を電気的に絶縁する。
【0030】
パッケージ部31は、例えば、緩衝部材37、38をさらに有する。緩衝部材37、38は、中空円板状の部材である。緩衝部材37、38は、ほぼ平行に配置されている。緩衝部材37、38は、中空の開口部分で、電極板33、34の円周の外縁にそれぞれ接続されている。緩衝部材37、38は、例えば、電極板33、34の径方向(積層方向と直交する方向)に向かって延伸し、積層方向に屈曲した後、再度径方向に屈曲して延伸する。
【0031】
緩衝部材37、38は、外囲器35を保持する。外囲器35は、緩衝部材37、38に挟み込まれるようにして固定されている。外囲器35は、緩衝部材37、38に挟まれることにより、電極板33、34の間に空く空間の側方を塞ぐ。例えば、緩衝部材37、38が、電極板33、34に密着するとともに、外囲器35に密着する。これにより、パッケージ部31の内部の空間が、気密封止される。
【0032】
緩衝部材37、38は、圧接型の半導体素子22の通常の動作において、電極板33、34が温度変化によって膨張又は収縮した場合に、電極板33、34の形状の変化を吸収する。これにより、電極板33、34および外囲器35の膨張係数の相違による半導体素子22の耐湿性の劣化等を抑制することができる。
【0033】
図1に戻って、支持部14は、積層体12を支持する。支持部14は、一対の支持板40を有する。一対の支持板40の一方は、積層体12の積層方向の一端側に設けられる。一対の支持板40の他方は、積層体12の積層方向の他端側に設けられる。一対の支持板40は、積層方向において積層体12を挟む。換言すれば、積層体12は、積層方向において一対の支持板40の間に設けられる。
【0034】
支持部14は、例えば、積層体12の積層方向に延びるボルトと、このボルトに噛み合うナットと、をさらに有する(いずれも図示は省略)。支持部14は、ボルト及びナットによって一対の支持板40の両側から積層体12を締め付けることにより、積層体12を支持する。これにより、複数の半導体素子22は、複数のヒートシンク20の間に挟み込まれた状態で固定される。支持部14は、一対の支持板40の間に積層体12を挟み込んだ状態で固定することにより、積層体12を支持する。
【0035】
一対の支持板40は、例えば、略矩形の平板状である。但し、一対の支持板40のそれぞれの形状は、必ずしも同じでなくてもよい。一対の支持板40の積層方向から見た外形形状は、積層体12(ヒートシンク20及び半導体素子22)の積層方向から見た外形形状よりも大きい。
【0036】
図1(a)に表したように、積層体12は、積層方向から見た時に、一対の支持板40の外縁よりも側方に出ない。例えば、積層方向が上下方向である場合には、積層体12は、上方又は下方から見た時に、一対の支持板40の外縁よりも側方に出ない。換言すれば、積層体12の全体は、積層方向から見た時に、一対の支持板40と重なる。
【0037】
複数のカバー16は、積層体12の積層方向から見た時に、積層体12を囲むように並べて設けられる。複数のカバー16は、積層方向と直交する方向において、積層体12の全体と対面する。換言すれば、複数のカバー16は、積層体12の側方全体と対面する。
【0038】
また、複数のカバー16は、積層方向を軸とする軸周りに隙間が空かないように設けられる。複数のカバー16のそれぞれは、例えば、積層方向を軸とする軸周りの方向において、隣り合う別のカバー16と接することにより、軸周りの方向において隣り合う別のカバー16との間に隙間が空くことを抑制する。
【0039】
複数のカバー16は、支持部14に取り付けられる。各カバー16は、例えば、支持部14の一対の支持板40に取り付けられる。積層構造体10は、例えば、複数のカバー16を支持部14に取り付けるための複数の取付部材18を、さらに備える。各カバー16は、例えば、ネジなどの取付部材18を介して積層方向の一端を一方の支持板40に取り付けられるとともに、取付部材18を介して積層方向の他端を他方の支持板40に取り付けられることにより、支持部14に取り付けられる。換言すれば、各カバー16は、積層方向の両端を一対の支持板40にネジ止めされることにより、支持部14に取り付けられる。
【0040】
各カバー16は、例えば、積層方向の一端側及び他端側にそれぞれ3つずつ、合計6つの取付部材18によって取り付けられる。積層方向の一端側の3つの取付部材18は、例えば、各カバー16の幅方向の中央部及び両端部に設けられる。
【0041】
但し、各カバー16の取付方法は、上記に限ることなく、各カバー16を適切に取り付け可能な任意の方法でよい。1つのカバー16に対する取付部材18の数は、6つに限定されるものではない。1つのカバー16は、例えば、四隅に配置された4つの取付部材18で支持部14に取り付けてもよい。1つのカバー16に対する取付部材18の数は、任意の数でよい。
【0042】
この例において、積層構造体10は、4つのカバー16を有する。各カバー16は、例えば、略矩形の平板状である。各カバー16は、略矩形状の支持板40の4つの辺のそれぞれに取り付けられる。各カバー16の幅は、支持板40の1つの辺の長さと実質的に同じである。これにより、各カバー16は、積層方向を軸とする軸周りの方向において、隣り合う別のカバー16と接し、軸周りの方向において隣り合う別のカバー16との間に隙間が空くことを抑制する。換言すれば、各カバー16は、一対の支持板40に取り付けられることにより、一対の支持板40とともに、積層体12を密閉する。各カバー16は、一対の支持板40とともに、積層体12を密閉した空間を形成する。
【0043】
各カバー16の積層方向の長さは、各カバー16の幅方向の長さよりも長い。積層方向は、換言すれば、各カバー16の長手方向である。なお、複数のカバー16の数、形状、及び取付方法などは、上記に限定されるものではなく、例えば、一対の支持板40の形状など、支持部14の構成などに応じて任意に設定すればよい。
【0044】
圧接型の半導体素子22では、半導体チップ32に短絡故障などが発生した場合に、パッケージ部31の内圧が上昇してパッケージ部31が膨らみ、パッケージ部31が破損してしまう可能性がある。そして、このように内圧の上昇にともなってパッケージ部31が破損してしまうと、パッケージ部31の破損個所から半導体素子22の一部が飛散物となって噴出してしまう可能性が生じる。
【0045】
複数のカバー16は、上記のように、積層方向を軸とする軸周りに隙間が空かないように、積層体12を囲むことにより、パッケージ部31の破損時に生じる飛散物から周辺機器を保護する。
【0046】
複数のカバー16は、例えば、絶縁性である。これにより、例えば、半導体素子22とカバー16との間にアークが発生してしまうなど、カバー16が、半導体素子22の通常の動作に影響を与えてしまうことを抑制することができる。複数のカバー16には、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics)などの絶縁性と高い強度とを有する材料が用いられる。これにより、例えば、カバー16が半導体素子22の通常の動作に影響を与えてしまうことを抑制できるとともに、飛散物がカバー16を突き抜けて周辺機器に影響を与えてしまうことを抑制することができる。
【0047】
複数のカバー16は、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がっている。換言すれば、複数のカバー16は、長手方向の中央部が、長手方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がっている。複数のカバー16は、積層体12と対向する内側面16aと、内側面16aと反対側の外側面16bと、を有する。複数のカバー16において、少なくとも内側面16aは、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がっている。この例では、外側面16bも同様に、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がっている。
【0048】
支持部14は、例えば、支持部材42をさらに有する。支持部材42は、複数のカバー16の外側面16b側から複数のカバー16の積層方向の中央部を支持する。支持部14は、このように、複数のカバー16の外側面16b側から複数のカバー16を支持することにより、複数のカバー16の積層方向の中央部を積層体12側にたわませる。支持部材42を取り付けていない状態においては、複数のカバー16は、例えば、曲がっていない平板状である。なお、複数のカバー16の積層方向の中央部は、厳密にカバー16の積層方向の中央でなくてもよい。複数のカバー16の積層方向の中央部とは、例えば、カバー16を積層方向に三等分した時の中央の部分である。
【0049】
支持部材42は、積層方向を軸とする軸周りに延びる略矩形の枠状である。支持部材42は、例えば、図示を省略した柱状の部材などを介して一対の支持板40と一体に設けられることにより、外側面16b側から複数のカバー16を支持する。
【0050】
積層構造体10においては、複数のカバー16を一対の支持板40に取り付けた後、支持部材42を取り付けることにより、複数のカバー16の積層方向の中央部を積層体12側にたわませる。これにより、図1(b)に表したように、複数のカバー16の積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように、複数のカバー16を曲げることができる。この場合、複数のカバー16は、支持部材42と接する部分を中心にたわみ、曲面状に曲がることにより、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がる。
【0051】
なお、複数のカバー16は、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がった状態において、隣り合う別のカバー16と接することなどにより、軸周りの方向において隣り合う別のカバー16との間に隙間が空くことを抑制する。
【0052】
また、複数のカバー16において、曲がった状態のカバー16の頂点部分(最も積層体12に近付いた部分)は、必ずしも厳密に積層方向の中央に無くてもよい。複数のカバー16は、少なくとも積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がった状態で、支持部14に取り付けられていればよい。
【0053】
図3(a)及び図3(b)は、参考の積層構造体を模式的に表す斜視図である。
図3(a)に表したように、参考の積層構造体10aでは、複数のカバー16が、平面状に支持部14に取り付けられている。なお、図3(a)及び図3(b)では、便宜的に、半導体素子22を矩形状に図示している。
【0054】
図3(b)は、例えば、半導体素子22に大電流が流れ、パッケージ部31が膨らみ、パッケージ部31が破損してしまった状態を模式的に表している。パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇は、非常に大きい。このため、図3(b)に表したように、複数のカバー16が、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に応じて外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまう可能性がある。このように、複数のカバー16の間に隙間が生じると、飛散物が隙間からカバー16の外側に飛散してしまう可能性が生じる。
【0055】
これに対して、本実施形態に係る半導体素子の積層構造体10では、図1(b)に表したように、複数のカバー16は、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がっている。これにより、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に対する強度を高め、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことを抑制することができる。
【0056】
例えば、複数のカバー16の形状が、積層方向に延びた形状(例えば長方形状)であり、かつ、複数のカバー16の積層方向(長手方向)の両端部で複数のカバー16を支持部14に取り付けた場合においても、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことを抑制することができる。
【0057】
従って、本実施形態に係る半導体素子の積層構造体10では、圧接型の半導体素子22のパッケージ部31の破損時に生じる飛散物から周辺機器をより適切に保護することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る半導体素子の積層構造体10では、支持部14が、複数のカバー16の外側面16b側から複数のカバー16を支持することにより、複数のカバー16の積層方向の中央部を積層体12側にたわませる支持部材42を有する。これにより、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に対する強度をより高めることができる。パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0059】
なお、積層構造体10は、必ずしも支持部材42を有していなくてもよい。支持部材42などの取り付けによって平板状に形成された各カバー16を曲げる構成に限ることなく、初めから曲がった形状に形成された各カバー16を取り付けるようにしてもよい。
【0060】
曲がった形状に形成された各カバー16を取り付ける場合、各カバー16の形状は、湾曲した曲面状に限ることなく、例えば、平板を屈曲させるように曲げた屈曲面状の形状や、半球面状に曲がった形状などでもよい。各カバー16の形状は、少なくとも積層方向と直交する方向の中央部分(幅方向の中央部分)において、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように曲がった任意の形状でよい。なお、支持部材42を設ける構成において、各カバー16を初めから曲がった形状としても、もちろんよい。
【0061】
(第2の実施形態)
図4(a)及び図4(b)は、第2の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す平面図及び断面図である。
図5は、第2の実施形態に係る半導体素子の積層構造体を模式的に表す正面図である。
図4(b)は、図4(a)のB1-B2線断面を模式的に表す。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図4(a)、図4(b)、及び図5に表したように、この例の半導体素子の積層構造体100は、積層体12の複数の半導体素子22のそれぞれに対応して設けられた複数の取付部材18を有する。複数の取付部材18は、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられ、複数のカバー16を支持部14に取り付ける。
【0063】
この積層構造体100において、複数のカバー16は、例えば、略矩形の平板状である。複数のカバー16は、支持部14に取り付けられた状態において、平板状である。複数のカバー16のそれぞれは、積層方向と直交する第1方向において、積層体12と並ぶ。複数の取付部材18は、カバー16の積層方向及び第1方向と直交する第2方向の両端部に設けられる。複数の取付部材18は、カバー16の第2方向の両端部において、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられることにより、カバー16の第2方向の両端部を支持部14に取り付ける。
【0064】
例えば、積層方向が上下方向である場合には、第1方向は、前後方向であり、第2方向は、左右方向である。複数の取付部材18は、1つのカバー16を前方側から見た場合に、カバー16の左右方向の両端部において、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して上下方向に並べて設けられ、カバー16の左右方向の両端部を支持部14に取り付ける。第2方向は、換言すれば、略矩形の平板状のカバー16の幅方向である。複数の取付部材18は、カバー16の幅方向の両端部を支持部14に取り付ける。
【0065】
各カバー16の積層方向の長さは、例えば、各カバー16の第2方向の長さよりも長い。換言すれば、各カバー16の上下方向の長さは、例えば、各カバー16の左右方向の長さよりも長い。積層方向は、換言すれば、各カバー16の長手方向である。各カバー16は、例えば、積層方向に延びた長方形状である。
【0066】
積層方向に並ぶ複数の取付部材18において、複数の取付部材18のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置は、例えば、複数のヒートシンク20のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置と同じである。例えば、積層方向が上下方向である場合、複数の取付部材18のそれぞれの少なくとも一部の高さは、前方側から見た時に、複数のヒートシンク20のそれぞれの少なくとも一部の高さと同じである。
【0067】
すなわち、積層方向に並ぶ複数の取付部材18は、積層方向に並ぶ複数のヒートシンク20のそれぞれに対して1つずつ設けられる。この例では、複数の取付部材18は、カバー16の第2方向の両端部に設けられる。1つのカバー16において、複数の取付部材18は、複数のヒートシンク20のそれぞれに対し、第2方向の両端部に1つずつ、合計2つずつ設けられる。
【0068】
積層構造体100において、支持部14は、複数の支柱44をさらに有する。複数の支柱44は、積層方向に延び、一対の支持板40を支持する。複数の支柱44は、積層方向を軸とする軸周りに積層体12を囲むように並べて設けられる。複数の支柱44は、例えば、積層方向を軸とする軸周りに積層体12を囲むように、矩形状の各支持板40の四隅に設けられる。複数の支柱44は、例えば、平板を略90度に折り曲げて形成した、いわゆる山形鋼である。
【0069】
複数の取付部材18は、例えば、ネジである。複数の取付部材18は、例えば、金属製のネジである。複数の支柱44は、例えば、複数の取付部材18のそれぞれに対応する位置にネジ孔(雌ネジ)を有する。複数のカバー16は、例えば、複数の取付部材18のそれぞれに対応する位置に貫通孔を有する。複数の取付部材18は、複数のカバー16の貫通孔に外側から挿通され、複数の支柱44のネジ孔と螺合することにより、複数のカバー16を支持部14に取り付ける。
【0070】
なお、複数の取付部材18は、必ずしもネジに限定されるものではない。例えば、各支柱44に雄ネジが設けられている場合には、複数の取付部材18を雄ネジと螺合するナットとしてもよい。複数の取付部材18は、複数のカバー16を適切に支持部14に取り付けることができる任意の部材でよい。また、複数の取付部材18の材料は、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に耐え得る任意の材料でよい。
【0071】
また、このように、支持部14が、複数の支柱44を有する場合には、複数の支柱44によって、軸周りの方向において隣り合う2つのカバー16の間に隙間が空くことを抑制してもよい。換言すれば、軸周りの方向において隣り合う2つのカバー16の間に空く隙間を、複数の支柱44など、支持部14の一部で塞ぐようにしてもよい。軸周りの方向において隣り合う2つのカバー16は、必ずしも隙間が空かないように接していなくてもよい。支持部14の構成及び複数のカバー16の構成は、支持部14と複数のカバー16とで積層体12を密閉した空間を形成可能な任意の構成でよい。
【0072】
このように、本実施形態に係る半導体素子の積層構造体100は、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられ、複数のカバー16を支持部14に取り付ける複数の取付部材18を有する。カバー16の内部圧力上昇は、パッケージ部31の破損によって生じることから、半導体素子22の周囲が、最も圧力上昇の影響を受けやすい。従って、上記のように、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられた複数の取付部材18によって複数のカバー16を支持部14に取り付けることにより、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に対する強度を高め、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことを抑制することができる。
【0073】
例えば、複数のカバー16の形状が、積層方向に延びた形状(例えば長方形状)である場合においても、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことを抑制することができる。
【0074】
従って、本実施形態に係る半導体素子の積層構造体100においても、上記第1の実施形態と同様に、圧接型の半導体素子22のパッケージ部31の破損時に生じる飛散物から周辺機器をより適切に保護することができる。
【0075】
また、積層構造体100では、複数の取付部材18が、カバー16の第2方向の両端部において、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられることにより、カバー16の第2方向の両端部を支持部14に取り付ける。これにより、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に対する強度をより高め、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0076】
さらに、この例では、積層方向に並ぶ複数の取付部材18において、複数の取付部材18のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置が、複数のヒートシンク20のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置と同じである。
【0077】
これにより、1つの半導体素子22のパッケージ部31の破損によって生じる圧力上昇を、当該半導体素子22に隣接する一対のヒートシンク20のそれぞれに対応する2つの取付部材18で受けることが可能になる。この例では、第2方向の両端部に設けられた合計4つの取付部材18で、1つの半導体素子22のパッケージ部31の破損によって生じる圧力上昇を受けることができる。
【0078】
これにより、例えば、パッケージ部31の破損によって生じる圧力上昇を1つの取付部材18で受ける場合と比べて、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇に対する強度をより高めることができる。例えば、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、取付部材18が破損してしまうことを抑制することができる。
【0079】
但し、複数の取付部材18のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置は、上記に限ることなく、例えば、複数の半導体素子22のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置と同じとしてもよい。すなわち、1つの半導体素子22のパッケージ部31の破損によって生じる圧力上昇を、当該半導体素子22に対応する1つの取付部材18で受ける構成としてもよい。
【0080】
あるいは、複数の取付部材18のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置は、例えば、複数のヒートシンク20のそれぞれの少なくとも一部、及び複数の半導体素子22のそれぞれの少なくとも一部の積層方向の位置と同じとしてもよい。すなわち、1つの半導体素子22のパッケージ部31の破損によって生じる圧力上昇を、当該半導体素子22及び隣接する一対のヒートシンク20のそれぞれに対応する3つの取付部材18で受ける構成としてもよい。
【0081】
なお、複数の取付部材18の数や配置などは、上記に限ることなく、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇を適切に受けることができるように、任意に設定すればよい。
【0082】
また、本実施形態に係る積層構造体100のように、複数の半導体素子22のそれぞれに対応して積層方向に並べて設けられ、複数のカバー16を支持部14に取り付ける複数の取付部材18を有する構成において、さらに、上記第1の実施形態のように、積層方向の中央部が、積層方向の両端部よりも積層体12に近付くように複数のカバー16を曲げた構成としてもよい。これにより、パッケージ部31の破損にともなう圧力上昇により、複数のカバー16が、外側に膨らむようにたわんで曲がり、複数のカバー16の間に隙間が生じてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10、10a、100…積層構造体、 12…積層体、 14…支持部、 16…カバー、 18…取付部材、 20…ヒートシンク、 22…半導体素子、 31…パッケージ部、 32…半導体チップ、 33、34…電極板、 35…外囲器、 36…配線基板、 37、38…緩衝部材、 40…支持板、 42…支持部材、 44…支柱
図1
図2
図3
図4
図5