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特許7576011移動体制御装置、移動体制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/24 20110101AFI20241023BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20241023BHJP
【FI】
H04N21/24
G05D1/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021154394
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045810
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-194706(JP,A)
【文献】特開2007-336260(JP,A)
【文献】特開2009-213116(JP,A)
【文献】特開2015-095724(JP,A)
【文献】特開2017-200125(JP,A)
【文献】特開2018-056961(JP,A)
【文献】特開2018-074329(JP,A)
【文献】特開2021-034748(JP,A)
【文献】国際公開第2019/180700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、
原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え
前記許容品質判定部は、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示に基づいて前記移動体が遠隔操作される場合は、前記移動体が自律移動する場合よりも、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御装置。
【請求項2】
移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、
原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え
前記許容品質判定部は、前記移動体が移動する経路の道路幅が狭いほど、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御装置。
【請求項3】
移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、
原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え
前記許容品質判定部は、前記移動体が移動する区域の屋外人口密度が大きいほど、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御装置。
【請求項4】
移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、
原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、
前記移動体が非圧縮で原映像データを送信するときに必要な非圧縮必要帯域を算出する必要帯域算出部と、
前記移動体が前記無線通信ネットワークを介して通信するときに割当可能な通信帯域である割当可能帯域を算出する割当可能帯域算出部と、を備え、
前記映像非圧縮判断部は、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域以上である場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させると判断し、
前記映像非圧縮判断部は、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域未満である場合に、前記許容品質を満たし且つ前記移動体が原映像データを圧縮して送信するときに必要な圧縮必要帯域が前記割当可能帯域以下になるように、前記移動体の映像圧縮方法を判断する、
移動体制御装置。
【請求項5】
前記割当可能帯域算出部は、移動体の位置と通信実績とが関連付けられた移動通信実績情報に基づいて、算出対象の移動体の経路上の位置における前記割当可能帯域を算出する、
請求項に記載の移動体制御装置。
【請求項6】
移動体の無線通信の上りフレームで設定されたMCSを、当該移動体の位置に関連付けて取得するMCS取得部をさらに備え、
前記移動通信実績情報は、前記MCS取得部によって取得されたMCSに関する情報を含む、
請求項に記載の移動体制御装置。
【請求項7】
移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、
原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、
前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示を利用する利用者に対して、前記移動体の映像送信方法の変更を事前に通知する変更通知部と、
を備える移動体制御装置。
【請求項8】
前記許容品質は、原映像データが前記移動体で撮影されてから、当該原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信され前記外部装置で受信され当該圧縮映像データが伸長されて画面上に表示されるまで、に許容される遅延時間である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項9】
移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、
前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、
を含み、
前記許容品質判定ステップは、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示に基づいて前記移動体が遠隔操作される場合は、前記移動体が自律移動する場合よりも、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御方法。
【請求項10】
移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、
前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、
を含み、
前記許容品質判定ステップは、前記移動体が移動する経路の道路幅が狭いほど、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御方法。
【請求項11】
移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、
前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、
を含み、
前記許容品質判定ステップは、前記移動体が移動する区域の屋外人口密度が大きいほど、前記許容品質を厳しく判定する、
移動体制御方法。
【請求項12】
移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、
前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、
前記移動体制御装置が、前記移動体が非圧縮で原映像データを送信するときに必要な非圧縮必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
前記移動体制御装置が、前記移動体が前記無線通信ネットワークを介して通信するときに割当可能な通信帯域である割当可能帯域を算出する割当可能帯域算出ステップと、を含み、
前記映像非圧縮判断ステップは、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域以上である場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させると判断し、
前記映像非圧縮判断ステップは、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域未満である場合に、前記許容品質を満たし且つ前記移動体が原映像データを圧縮して送信するときに必要な圧縮必要帯域が前記割当可能帯域以下になるように、前記移動体の映像圧縮方法を判断する、
移動体制御方法。
【請求項13】
移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、
前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、
前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示を利用する利用者に対して、前記移動体の映像送信方法の変更を事前に通知する変更通知ステップと、
を含む移動体制御方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の移動体制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置移動体制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律的に移動するロボットや自動運転を行う車両(自動運転車両)等の移動体を無線通信により遠隔で操作するための技術が検討されている。
特許文献1に記載された技術は、移動体装置が、環境情報に基づいてクリティカルな状態であると判断した場合に、自己のカメラの撮像映像のデータを、マクロセルを提供可能な無線基地局を介して遠隔操作端末に送信している。
特許文献2に記載された技術は、自律走行・自律作業システムが、周波数チャネルの通信状態に基づいて、周波数チャネルにおける制御信号のデータ量と、自己の前方カメラ及び後方カメラの動画データのデータ量との比率を、動画データの比率を低下させるように変更可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-74329号公報
【文献】特開2017-200125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の技術では、例えば自律的に移動するロボットに対する遠隔操作が当該ロボットから送信される当該ロボットで撮影された映像データに基づいて行われる場合に、映像データの映像品質を適切に制御することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、自律的に移動するロボット等の移動体から送信される映像データの映像品質を適切に制御することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え、前記許容品質判定部は、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示に基づいて前記移動体が遠隔操作される場合は、前記移動体が自律移動する場合よりも、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え、前記許容品質判定部は、前記移動体が移動する経路の道路幅が狭いほど、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、を備え、前記許容品質判定部は、前記移動体が移動する区域の屋外人口密度が大きいほど、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、前記移動体が非圧縮で原映像データを送信するときに必要な非圧縮必要帯域を算出する必要帯域算出部と、前記移動体が前記無線通信ネットワークを介して通信するときに割当可能な通信帯域である割当可能帯域を算出する割当可能帯域算出部と、を備え、前記映像非圧縮判断部は、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域以上である場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させると判断し、前記映像非圧縮判断部は、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域未満である場合に、前記許容品質を満たし且つ前記移動体が原映像データを圧縮して送信するときに必要な圧縮必要帯域が前記割当可能帯域以下になるように、前記移動体の映像圧縮方法を判断する、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、上記の移動体制御装置において、前記割当可能帯域算出部は、移動体の位置と通信実績とが関連付けられた移動通信実績情報に基づいて、算出対象の移動体の経路上の位置における前記割当可能帯域を算出する、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、上記の移動体制御装置において、移動体の無線通信の上りフレームで設定されたMCSを、当該移動体の位置に関連付けて取得するMCS取得部をさらに備え、前記移動通信実績情報は、前記MCS取得部によって取得されたMCSに関する情報を含む、移動体制御装置である。
本発明の一態様は、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定部と、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断部と、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示を利用する利用者に対して、前記移動体の映像送信方法の変更を事前に通知する変更通知部と、を備える移動体制御装置である。
本発明の一態様は、上記の移動体制御装置において、前記許容品質は、原映像データが前記移動体で撮影されてから、当該原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信され前記外部装置で受信され当該圧縮映像データが伸長されて画面上に表示されるまで、に許容される遅延時間である、移動体制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記のいずれか1項に記載の移動体制御装置と、無線通信ネットワークを介して外部装置との間の通信を行う移動体と、を備え、前記移動体は、前記移動体制御装置からの映像送信方法の指示に従って映像データを送信する、移動体システムである。
本発明の一態様は、上記の移動体システムにおいて、前記移動体は、配送を行う移動体である、移動体システムである。
【0008】
本発明の一態様は、移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、を含み、前記許容品質判定ステップは、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示に基づいて前記移動体が遠隔操作される場合は、前記移動体が自律移動する場合よりも、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御方法である。
本発明の一態様は、移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、を含み、前記許容品質判定ステップは、前記移動体が移動する経路の道路幅が狭いほど、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御方法である。
本発明の一態様は、移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、を含み、前記許容品質判定ステップは、前記移動体が移動する区域の屋外人口密度が大きいほど、前記許容品質を厳しく判定する、移動体制御方法である。
本発明の一態様は、移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、前記移動体制御装置が、前記移動体が非圧縮で原映像データを送信するときに必要な非圧縮必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、前記移動体制御装置が、前記移動体が前記無線通信ネットワークを介して通信するときに割当可能な通信帯域である割当可能帯域を算出する割当可能帯域算出ステップと、を含み、前記映像非圧縮判断ステップは、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域以上である場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させると判断し、前記映像非圧縮判断ステップは、前記割当可能帯域が前記非圧縮必要帯域未満である場合に、前記許容品質を満たし且つ前記移動体が原映像データを圧縮して送信するときに必要な圧縮必要帯域が前記割当可能帯域以下になるように、前記移動体の映像圧縮方法を判断する、移動体制御方法である。
本発明の一態様は、移動体制御装置が、移動体の状況に基づいて、前記移動体から送信される映像データが無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときに許容される映像品質である許容品質を判定する許容品質判定ステップと、前記移動体制御装置が、原映像データが圧縮された圧縮映像データが前記移動体から送信されて前記無線通信ネットワークを介して外部装置へ伝送されるときの映像品質が前記許容品質を満たさない場合に、前記移動体に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する映像非圧縮判断ステップと、前記移動体から送信され前記外部装置で受信された映像データの画面表示を利用する利用者に対して、前記移動体の映像送信方法の変更を事前に通知する変更通知ステップと、を含む移動体制御方法である。
【0009】
本発明の一態様は、上記のいずれかの移動体制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自律的に移動するロボット等の移動体から送信される映像データの映像品質を適切に制御することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るロボットシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る割当可能帯域算出方法の手順の例を示すフローチャートである。
図3】一実施形態に係る映像非圧縮判断方法の手順の例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る移動ロボット制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、自律的に移動するロボット(以下、移動ロボットと称する)を使用して配送を行う配送サービスシステムにおけるロボットシステムを例に挙げて説明する。配送サービスシステムにおいて、移動ロボットは、配送サービス利用者が指定した目的地まで街中を移動し、商品等の荷物を配送する。
【0013】
図1は、一実施形態に係るロボットシステムの構成例を示すブロック図である。図1において、移動ロボット2は、無線通信ネットワークMNWを介して移動ロボット制御装置4と通信を行う。移動ロボット2は、移動体の一例である。移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2を制御する。移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2に対して映像送信方法を指示する。また、移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2の出発地から目的地までの経路を示す経路情報を提供する。また、移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2に対する遠隔監視機能及び遠隔操作機能を備える。
【0014】
移動ロボット制御装置4は、遠隔監視機能により、移動ロボット2を無線通信により遠隔で監視する。例えば、移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2が撮影する映像や収音する音を移動ロボット2から無線通信ネットワークMNWを介して受信し、受信した映像や音を表示や再生する。遠隔監視者が、当該映像や当該音を視聴することにより、リアルタイムで移動ロボット2の移動の状況を遠隔で監視する。また、遠隔操作者が、当該映像や当該音を視聴しながら、リアルタイムで移動ロボット2を遠隔で操作する。
【0015】
また、移動ロボット制御装置4は、遠隔操作機能により、移動ロボット2の動作モードを、自律モードから遠隔操作モードに切り替えたり又は遠隔操作モードから自律モードに切り替えたりする。自律モードでは、移動ロボット2が自律的に動作する。一方、遠隔操作モードでは、移動ロボット制御装置4が遠隔操作コマンドを移動ロボット2へ送信することにより、移動ロボット2の操作が遠隔で行われる。
【0016】
本実施形態に係る配送サービスシステムでは、遠隔監視者や遠隔操作者が、移動ロボット制御装置4が無線通信ネットワークMNWを介して移動ロボット2から受信する映像に基づいて、遠隔監視や遠隔操作を行う。このため、移動ロボット2から移動ロボット制御装置4へ送信される映像データの映像品質が適切に制御されることが好ましい。
【0017】
以下、図1を参照して本実施形態に係るロボットシステムの構成を詳細に説明する。
【0018】
[利用者端末]
利用者端末1は、本実施形態に係る配送サービスシステムの利用者(配送サービス利用者)が利用する端末である。配送サービス利用者は、荷物を配送する宛先である目的地を指定して配送を依頼する。利用者端末1は、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯通信端末装置であってもよく、又は据置き型の通信端末装置(例えば据置き型のパーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0019】
利用者端末1は、商品発注部101と、目的地情報入力部102とを備える。商品発注部101は、配送サービス利用者による操作に応じて、商品の選択及び選択した商品の発注を行う。
【0020】
なお、商品発注部101は、配送サービス利用者が所有する物品の残量をリアルタイムに管理し、物品の残量が予め設定された閾値以下になったときに、補充用の商品を自動的に発注してもよい。
【0021】
目的地情報入力部102は、商品発注部101が商品を発注する際に、住所等の目的地を示す目的地情報を入力する。目的地情報は、配送サービス利用者が毎回指定してもよく、又は目的地情報入力部102が過去に配送サービス利用者から指定された目的地情報を記録しておき当該記録の目的地情報を自動的に再利用してもよい。
【0022】
また、目的地情報入力部102は、利用者端末1が備えるGPS(Global Positioning System)による測位機能を用いて、GPSで取得した現在位置を目的地としてもよい。また、目的地情報入力部102は、利用者端末1のカメラで撮影した利用者端末1の周囲の景色の画像を目的地の参考情報として目的地情報に付加してもよい。
【0023】
[移動ロボット]
移動ロボット2は、自律走行可能なロボットである。移動ロボット2は、無線通信部201と、経路情報格納部202と、現在位置取得部203と、状態取得部204と、撮像部205と、動作計画部206と、動作制御部207と、遠隔操作切替部208と、遠隔操作部209と、映像非圧縮切替部210と、映像圧縮部211とを備える。
【0024】
無線通信部201は、無線通信ネットワークMNWを介して移動ロボット制御装置4との間で無線通信を行う。無線通信部201は、無線通信ネットワークMNWの基地局に無線接続して当該基地局との間の通信を確立する。無線通信部201は、例えば4G(第4世代移動通信システム)や5G(第5世代移動通信システム)等の無線通信方式に対応し、自己が対応する無線通信方式の基地局を介して無線通信を行う。なお、無線通信方式として、将来の実用化が見込まれる6G(第6世代移動通信システム)等が利用されてもよい。
【0025】
無線通信部201は、移動ロボット制御装置4の経路配信部406から送信された経路情報を受信して経路情報格納部202に格納する。経路情報格納部202に格納された経路情報は、移動ロボット2の出発地から目的地までの経路を示す経路情報であって、移動ロボット2の動作の判断に活用される。
【0026】
現在位置取得部203は、GPS等の測位システムによって、現在位置を示す位置情報を取得する。
状態取得部204は、移動ロボット2に備わる各種センサから、バッテリー残量や温度や移動速度等のデータ(状態情報)を取得する。
【0027】
撮像部205は、移動ロボット2の周辺を撮像する。撮像部205は、例えば移動ロボット2の進行方向を撮像する。撮像部205が撮影した映像データ(以下、原映像データと称する)は、映像圧縮部211又は無線通信部201へ出力される。
【0028】
動作計画部206は、移動ロボット2の動作を計画する。動作計画部206は、経路情報格納部202内の経路情報に示される経路を移動する際に、現在位置取得部203により取得した位置情報、状態取得部204により取得した状態情報及び撮像部205により撮像された撮像画像に基づいて、移動ロボット2の周囲の環境に応じた動作を計画する。例えば、動作計画部206は、経路情報に示される経路上において、位置情報に示される位置から進行方向の前方に、撮像画像の画像認識結果の障害物が存在する場合、障害物回避時の所定の速度で当該障害物を避ける経路を移動するように動作を計画する。
【0029】
動作制御部207は、自律モードにおいて、動作計画部206が計画した計画動作に従って移動ロボット2の動作を制御する。一方、動作制御部207は、遠隔操作モードにおいて、遠隔操作部209からの動作指示に従って移動ロボット2の動作を制御する。動作制御部207は、移動ロボット2の前進や後退や右左折等の走行種別及び走行速度、並びに撮像部205の撮像方向の変更等の走行以外の動作種別を制御する。
【0030】
遠隔操作切替部208は、移動ロボット2の動作モードを、自律モードから遠隔操作モードに切り替えたり又は遠隔操作モードから自律モードに切り替えたりする。自律モードから遠隔操作モードへの切替えの判断は、移動ロボット2が判断してもよく、移動ロボット制御装置4が判断してもよく、又は移動ロボット制御装置4により移動ロボット2を運用監視している遠隔監視者が判断してもよい。例えば、遠隔操作切替部208は、移動ロボット制御装置4の遠隔操作命令発出部408から発出された遠隔操作切替命令に従って、移動ロボット2の動作モードを、自律モードから遠隔操作モードに切り替えたり又は遠隔操作モードから自律モードに切り替えたりする。自律モードから遠隔操作モードへの切替えは、移動ロボット2が例えば人混みの中や狭い場所を通過する等、移動ロボット2自身の自律制御による走行が困難な環境であったり、又は移動ロボット2の自律制御機能に不具合が発生した場合などに行われる。
【0031】
遠隔操作部209は、遠隔操作モードにおいて、遠隔操作コマンドに応じた動作を動作制御部207へ指示する。遠隔操作コマンドは、遠隔操作者の操作に応じて移動ロボット制御装置4の遠隔操作命令発出部408から送信される。遠隔操作コマンドとして、例えば前進や後退や右折や左折等のコマンドがある。
【0032】
映像非圧縮切替部210は、移動ロボット制御装置4の映像非圧縮判断部417から送信された映像送信方法の指示に従って、撮像部205が撮影した原映像データを圧縮するか否かを切り替える。映像送信方法の指示は、原映像データを圧縮して送信するか、又は原映像データを圧縮しない(非圧縮)で送信するかを示す。
【0033】
原映像データを圧縮して送信する場合には、撮像部205は原映像データを映像圧縮部211へ出力する。映像圧縮部211は、撮像部205から出力された原映像データを圧縮した圧縮映像データを無線通信部201へ出力する。無線通信部201は、映像圧縮部211から出力された圧縮映像データを移動ロボット制御装置4へ送信する。
【0034】
一方、原映像データを非圧縮で送信する場合には、撮像部205は原映像データを無線通信部201へ出力する。無線通信部201は、撮像部205から出力された原映像データを移動ロボット制御装置4へ送信する。
【0035】
映像非圧縮切替部210は、移動ロボット制御装置4の映像非圧縮判断部417から送信された映像送信方法の指示が映像圧縮方法を含む場合に、当該映像圧縮方法を、撮像部205を介して映像圧縮部211へ通知する。映像圧縮方法は、映像圧縮方式や映像圧縮方式で使用されるパラメータ(例えば圧縮レベル等)などを示す。
【0036】
映像圧縮部211は、撮像部205から出力された原映像データを所定の映像圧縮方法で圧縮(エンコード)し、当該圧縮により得られた圧縮映像データを無線通信部201へ出力する。映像圧縮部211は、予め定められた映像圧縮方法(既定映像圧縮方法)を使用する。但し、映像圧縮部211は、映像非圧縮切替部210から撮像部205を介して映像圧縮方法が通知されると、当該通知された映像圧縮方法に変更する。
【0037】
無線通信部201は、現在位置取得部203が取得した位置情報、状態取得部204が取得した状態情報、動作計画部206が計画した計画動作等の各種の情報を移動ロボット制御装置4へ送信する。また、無線通信部201は、撮像部205から出力された原映像データ又は映像圧縮部211から出力された圧縮映像データを移動ロボット制御装置4へ送信する。
【0038】
[携帯端末]
携帯端末3は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯通信端末装置である。携帯端末3は、利用者端末1として利用されるものであってもよく、又は利用者端末1とは別個のものであってもよい。携帯端末3として、例えば、特定の無線通信キャリアに加入した加入者により当該無線通信キャリアとの間で位置情報取得の合意が取れている全ての加入者の携帯端末を対象としてもよい。
【0039】
携帯端末3は、現在位置(位置情報)を定期的に移動ロボット制御装置4へ報告する。
【0040】
[移動ロボット制御装置]
移動ロボット制御装置4は、一又は複数の移動ロボット2に対して、映像送信方法等の制御や、出発地から目的地までのナビゲーションや、運用監視や、遠隔操作などを行う。
【0041】
移動ロボット制御装置4は、運用監視部401と、オーダー情報格納部402と、目的地取得部403と、地図情報格納部404と、経路探索部405と、経路配信部406と、映像出力部407と、遠隔操作命令発出部408と、基地局通信量格納部409と、MCS取得部410と、位置・基地局ID・最大スループット格納部411と、割当可能帯域算出部412と、ロボット機器情報格納部413と、必要帯域・処理量算出部414と、屋外人口密度推計部415と、許容品質判定部416と、映像非圧縮判断部417と、変更通知部418と、を備える。
【0042】
移動ロボット制御装置4の各機能は、移動ロボット制御装置4がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、移動ロボット制御装置4として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、移動ロボット制御装置4は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、移動ロボット制御装置4の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、移動ロボット制御装置4は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は移動ロボット制御装置4の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、移動ロボット制御装置4として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0043】
運用監視部401は、一又は複数の移動ロボット2に対して運用監視を行う。運用監視部401は、移動ロボット2からリアルタイムに受信した位置情報や状態情報等を当該移動ロボット2の個体を識別する情報(移動ロボットID)と関連付けて、運用監視を行う。運用監視部401は、定期的に、例えば1秒間隔で更新される情報(位置情報や状態情報等)に基づいて運用監視する。運用監視部401は、移動ロボット2から受信した位置情報や状態情報等を解析し、移動ロボット2の障害を検出した場合には、例えば、監視者に対して警報を発出する。
【0044】
オーダー情報格納部402は、利用者端末1から商品発注のオーダー情報を受信し、受信したオーダー情報を格納する。オーダー情報格納部402は、購買システム(図示せず)と連携して購買処理を行い、商品配送計画を策定する。オーダー情報格納部402は、策定した商品配送計画により、移動ロボット2が商品を配送する出発地や目的地や時間帯等の予定配送情報を格納する。
【0045】
目的地取得部403は、オーダー情報格納部402に格納されたオーダー情報又は予定配送情報から目的地情報を取得する。
【0046】
地図情報格納部404は、全国の道路地図データや、それに付随する各種施設や店舗等の施設データ等を格納する。道路地図データは、例えば、地図上の道路を、交差点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有の識別子(リンクID)、リンク長、リンクの始点・終点(ノード)の位置情報(経度、緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。道路地図データは、移動ロボット2が通行可能なレーンを示すレーン情報を含んでもよい。また、地図情報格納部404は、さらに屋内地図データを格納してもよい。
【0047】
経路探索部405は、地図情報格納部404内の地図情報を使用して、移動ロボット2の出発地から目的地までの経路を探索する。
【0048】
移動ロボット2の目的地は、目的地取得部403が取得した目的地情報が示す場所である。移動ロボット2の出発地は、予め設定される。例えば、商品の配送拠点(例えば、商品が貯蔵されている物流倉庫や目的地の最寄りの配送取り扱い店舗等)が、移動ロボット2の出発地として予め設定される。また、移動ロボット2が車両により目的地付近まで運送される場合には、当該移動ロボット2の運送先の場所が当該移動ロボット2の出発地として予め設定される。
【0049】
経路探索部405が利用する経路探索方法として、例えば、ダイクストラ法やA*アルゴリズムや遺伝的アルゴリズム等が利用可能である。ここでは、経路探索方法の一例としてダイクストラ法を用いて経路探索を行う方法を説明する。
【0050】
経路探索部405は、出発地から目的地へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)のコストの計算(積算)を順次行なっていき、出発地から目的地までが最小コストとなる経路を選択する。各リンクのコストは、リンクの距離が短いほど、小さな値である。
【0051】
また、各リンクのコストに対して、安全性や無線通信品質等の観点から重み付けを行ってもよい。
【0052】
例えば、所定の閾値未満の道幅の道路のリンクは、移動ロボット2が安全に移動することが難しくなるので、当該リンクに対してコストを大きくする重み付けを行ってもよい。
【0053】
例えば、移動ロボット2がサイズや構造等により種類分けされる場合、移動ロボット2の種類によっては道路の段差を乗り越えることが難しくなることが考えられる。このため、当該種類の移動ロボット2の経路を探索する場合には、所定の閾値以上の段差が存在する道路のリンクに対してコストを大きくする重み付けを行ってもよい。
【0054】
例えば、移動ロボット2が利用可能な無線通信方式及び無線周波数帯により種類分けされる場合、移動ロボット2の種類によっては移動するエリアにおける無線通信品質にバラツキが生じることが考えられる。このため、当該種類の移動ロボット2の経路を探索する場合には、無線通信品質が劣化する可能性が高い道路のリンクに対してコストを大きくする重み付けを行ってもよい。
【0055】
経路配信部406は、経路探索部405が探索した結果の経路を示す経路情報を移動ロボット2へ送信する。
【0056】
映像出力部407は、移動ロボット2から送信された映像データを、運用監視部401を介して受信する。移動ロボット2から送信される映像データは、移動ロボット2の撮像部205が撮影したリアルタイムの映像データであって、原映像データ又は圧縮映像データである。映像出力部407は、運用監視部401を介して受信した映像データを出力する。
【0057】
なお、映像出力部407は、移動ロボット2の映像圧縮部211に対応するデコード機能を備えてもよい。映像出力部407がデコード機能を備える場合、映像出力部407は、運用監視部401を介して受信した映像データが圧縮映像データであるときには、圧縮映像データを伸長(解凍とも称される)してから出力する。映像出力部407は、運用監視部401を介して受信した映像データが原映像データであるときには、そのまま原映像データを出力する。
【0058】
映像出力部407から出力された映像データは、例えば、表示装置の画面上に表示される。遠隔監視者は、当該画面上に表示された映像を見ることにより、リアルタイムで移動ロボット2の移動の状況を遠隔で監視する。また、遠隔操作者が、当該画面上に表示された映像を見ながら、リアルタイムで移動ロボット2を遠隔で操作する。
【0059】
遠隔操作命令発出部408は、移動ロボット2に対して遠隔操作切替命令や遠隔操作コマンドを送信する。当該遠隔操作切替命令や当該遠隔操作コマンドは、例えば、遠隔操作者がコントローラ(図示せず)によって入力したものである。
【0060】
基地局通信量格納部409は、時間帯毎に且つ基地局毎に通信実績量を格納する。基地局通信量格納部409は、例えば、基地局毎に、1分間隔の各時間帯における上りスループット(bps)を格納する。
【0061】
なお、基地局通信量格納部409は、日付や曜日やイベント毎に、それぞれ設けられてもよい。例えば、各曜日の基地局通信量格納部409がそれぞれ設けられてもよい。例えば、平日(月曜から金曜まで)の基地局通信量格納部409と、休日(土曜、日曜及び祝日)の基地局通信量格納部409とがそれぞれ設けられてもよい。例えば、お正月やゴールデンウィークやお盆の期間の基地局通信量格納部409が設けられてもよい。
【0062】
MCS取得部410は、移動ロボット2の無線通信の上りフレームで設定されたMCS(Modulation and Coding Scheme)を、運用監視部401を介して、当該移動ロボット2の位置(位置情報)に関連付けて取得する。MCSは、変調方式と符号化率との組み合わせを示す値(インデックス)である。MCSの値が大きいほど、変調度が大きく符号化率も高くなるので、周波数利用効率(1Hzあたりで伝送できる情報ビット数)が高くなり、送信できるデータ量が多くなる。
【0063】
例えば、MCS「28」の周波数利用効率が「5.5547」である場合、システム帯域幅「100MHz」、UPlink率「40%」、データ送信に使用可能な無線リソース割合「97%」、オーバーヘッド「14%」の条件で、送信できるデータ量の指標として最大スループット値は、「5.5547×100M×0.4×0.97×(1―0.14)」=約185Mbps、と算出することができる。
【0064】
位置・基地局ID・最大スループット格納部411は、移動体の位置と通信実績とが関連付けられた移動通信実績情報を格納する。具体的には、位置・基地局ID・最大スループット格納部411は、移動ロボット2の位置情報と、基地局の識別情報(基地局ID)と、最大スループット値とを関連付けて格納する。当該基地局IDは、移動ロボット2が当該位置情報の位置で通信していた基地局の基地局IDである。当該最大スループット値は、MCS取得部410によって当該位置情報に関連付けて取得されたMCSから算出された値である。位置・基地局ID・最大スループット格納部411に格納された情報によって、各位置において、移動ロボット2が通信していた基地局(基地局ID)と最大スループット値との履歴が分かる。
【0065】
基地局IDは、各基地局を個体識別する識別情報である。基地局IDとして、例えば、CID(Cell ID)と呼ばれるものが挙げられる。なお、MCC(Mobile Country Code:国コード)、MNC(Mobile Network Code:ネットワークコード)、LAC(Location Area Code:エリアコード)、CID(Cell ID:基地局ID)を組合わせることにより、各国、各通信事業者の基地局を一意に特定することができる。また、CIDから、基地局の通信方式(例えば4Gや5G等)や利用周波数帯(例えば700MHz帯や28GHz帯等)を特定することができる。
【0066】
なお、位置・基地局ID・最大スループット格納部411は、移動ロボット2の位置情報や基地局IDに関連付けて、移動ロボット2の無線通信の上りスループットや上り遅延時間の実測値を格納してもよい。
【0067】
割当可能帯域算出部412は、移動ロボット2が無線通信ネットワークMNWを介して通信するときに割当可能な通信帯域である割当可能帯域を算出する。
【0068】
ここで、図2を参照して本実施形態に係る割当可能帯域算出方法を説明する。図2は、本実施形態に係る割当可能帯域算出方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0069】
(ステップS1) 割当可能帯域算出部412は、移動ロボット2の出発地から目的地までの経路を示す経路情報と、当該経路を移動するときにかかる移動時間の概算値(概算移動時間)と、移動ロボット2の現在位置を示す位置情報とに基づいて、今後、移動ロボット2がどの時間帯にどの位置を走行するかを予測した結果の走行予測データを算出する。当該経路情報及び当該概算移動時間は、経路探索部405によって求められる。当該位置情報は、移動ロボット2から送信された位置情報が運用監視部401を介して取得される。
【0070】
(ステップS2) 割当可能帯域算出部412は、ステップS1で算出された走行予測データと、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内に関連付けられている位置情報及び基地局IDとに基づいて、今後、移動ロボット2がどの時間帯にどの基地局と通信を行うかを予測した結果の基地局遷移予測データを算出する。
【0071】
(ステップS3) 割当可能帯域算出部412は、ステップS1で算出された走行予測データと、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内に関連付けられている位置情報及び最大スループット値とに基づいて、今後、移動ロボット2が走行する各位置において得られる最大スループット値を予測した結果の最大スループット値予測データを算出する。
【0072】
(ステップS4) 割当可能帯域算出部412は、ステップS2で算出された基地局遷移予測データと、ステップS3で算出された最大スループット値予測データとに基づいて、今後、移動ロボット2が走行する各位置において各時間帯で通信する基地局によって当該移動ロボット2に割当可能な通信帯域(割当可能帯域)を算出する。割当可能帯域算出部412は、基地局通信量格納部409内の対象基地局における各時間帯の通信実績量に基づいて対象基地局における各時間帯の通信帯域の使用状況を推測し、当該推測結果と該当の最大スループット値とに基づいて各時間帯の割当可能帯域(移動ロボット2で期待できるスループット値)を算出する。なお、対象基地局における各時間帯の通信帯域の使用状況は、対象基地局における通信帯域の現状の使用状況と、基地局通信量格納部409内の対象基地局における各時間帯の通信実績量との差を考慮して算出されてもよい。
【0073】
また、割当可能帯域算出部412は、より簡易な方法で、各位置における割当可能帯域を算出してもよい。
【0074】
例えば、位置・基地局ID・最大スループット格納部411に、移動ロボット2の位置情報に関連付けて移動ロボット2の無線通信の上りスループットの実測値を格納しておく。割当可能帯域算出部412は、位置・基地局ID・最大スループット格納部411から各位置の当該上りスループットの実測値を各位置の割当可能帯域として取得する。
【0075】
例えば、基地局が対応する無線通信方式や利用周波数帯の帯域幅によって、当該基地局が割当可能な帯域を予め設定しておく。割当可能帯域算出部412は、当該設定に基づいて、基地局が割当可能な帯域を一意に決定する。例えば、超広帯域幅の使用が見込まれるテラヘルツ波帯では、十分な割当可能な帯域が見込めるので、割当可能な帯域を大きな値に予め設定してもよい。
【0076】
以上が本実施形態に係る割当可能帯域算出方法の説明である。
【0077】
説明を図1に戻す。
ロボット機器情報格納部413は、移動ロボット2に搭載されている無線機器(無線通信部)や映像機器(撮像部、映像圧縮部)等のロボット搭載機器の情報を格納する。無線機器に関する情報は、例えば、当該無線機器が対応している無線通信方式や無線周波数帯などの情報である。映像機器に関する情報は、例えば、当該映像機器が対応している解像度やフレームレートや映像圧縮方式や圧縮レベルなどの情報である。
【0078】
必要帯域・処理量算出部414は、ロボット機器情報格納部413内の移動ロボット2の映像機器に関する情報に基づいて、映像データの送信に必要な通信帯域や映像データの圧縮や伸長にかかる処理時間などを算出する。具体的には、必要帯域・処理量算出部414は、移動ロボット2が非圧縮で原映像データを送信するときに必要な通信帯域である非圧縮必要帯域を算出する。また、必要帯域・処理量算出部414は、移動ロボット2が原映像データを圧縮して送信するときに必要な通信帯域である圧縮必要帯域を算出する。また、必要帯域・処理量算出部414は、原映像データを圧縮するときにかかる処理時間(圧縮処理時間)を算出する。また、必要帯域・処理量算出部414は、圧縮映像データを伸長するときにかかる処理時間(伸長処理時間)を算出する。
【0079】
必要帯域・処理量算出部414は、移動ロボット2の既定映像圧縮方法で映像データの送信に必要な通信帯域や映像データの圧縮や伸長にかかる処理時間などを算出する。また、必要帯域・処理量算出部414は、移動ロボット2の映像圧縮方法が既定映像圧縮方法から変更される場合に、変更後の映像圧縮方法で映像データの送信に必要な通信帯域や映像データの圧縮や伸長にかかる処理時間などを算出する。
【0080】
屋外人口密度推計部415は、各携帯端末3から報告された現在位置(位置情報)の履歴を保持する。屋外人口密度推計部415は、各携帯端末3の位置情報の履歴に基づいて各々の携帯端末3が屋内にいたか又は屋外にいたかを判定し、この判定結果に基づいて、予め設定された区域ごとに屋外人口密度を推計する。屋外人口密度は、屋外に存在する人の単位面積あたりの人数である。
【0081】
屋外人口密度推計部415は、例えば、ある携帯端末3について、位置情報の変化が一定未満であってほとんど変化がないと判断される場合には屋内にいたと判定し、当該位置情報の変化が一定以上であってある程度変化していると判断される場合には屋外にいたと判定する。
【0082】
また、屋外人口密度推計部415は、携帯端末3の移動速度に基づいて、当該携帯端末3の移動手段が歩行であるか又は車両であるかを判定してもよい。
【0083】
また、屋外人口密度推計部415は、月や曜日や時間帯ごとに、それぞれの屋外人口密度を推計してもよい。これは、同じエリアであっても、月や曜日や時間帯等によって屋外人口密度が大きく変化する場合があるからである。
【0084】
許容品質判定部416は、移動ロボット2の状況に基づいて、当該移動ロボット2に関する許容品質を判定する。許容品質は、移動ロボット2から送信される映像データが無線通信ネットワークMNWを介して移動ロボット制御装置4へ伝送されるときに許容される映像品質である。映像品質は、原映像データが撮影されてから画面上に表示されるまでにかかる遅延時間や、原映像データからの解像度の劣化度などである。本実施形態に係る許容品質の一例は、原映像データが移動ロボット2で撮影されてから、当該原映像データが圧縮された圧縮映像データが移動ロボット2から送信され移動ロボット制御装置4で受信され当該圧縮映像データが伸長されて画面上に表示されるまで、に許容される遅延時間である。
【0085】
許容品質判定部416は、移動ロボット2から送信され移動ロボット制御装置4で受信された映像データの画面表示に基づいて当該移動ロボット2が遠隔操作される場合は、当該移動ロボット2が自律移動する場合よりも、許容品質を厳しく判定する。これは、遠隔操作者が移動ロボット2から送信された映像データの画面表示を見ながらリアルタイムで当該移動ロボット2を遠隔で操作する場合には当該映像データの遅延時間が極力短い方が好ましい一方、移動ロボット2が遠隔操作によらず自律移動する場合には、遠隔操作される場合よりも当該映像データの許容される遅延時間が長くなるからである。
【0086】
許容品質判定部416は、移動ロボット2が移動する経路の道路幅が狭いほど、許容品質を厳しく判定する。これは、道路幅が狭いほど、移動ロボット2が人や車両等の障害物を避ける動作を行うために許容される時間が短くなるので、遠隔監視や遠隔操作に利用される映像データの遅延時間も短い方が好ましいからである。経路の道路幅は、地図情報格納部404内の道路地図データから取得される。
【0087】
許容品質判定部416は、移動ロボット2が移動する区域の屋外人口密度が大きいほど、許容品質を厳しく判定する。これは、人が密集している区域ほど、移動ロボット2が人や車両等の障害物を避ける動作を行うために許容される時間が短くなるので、遠隔監視や遠隔操作に利用される映像データの遅延時間も短い方が好ましいからである。区域ごとの屋外人口密度は、屋外人口密度推計部415が推計した結果が取得される。
【0088】
映像非圧縮判断部417は、原映像データが圧縮された圧縮映像データが移動ロボット2から送信されて無線通信ネットワークMNWを介して移動ロボット制御装置4へ伝送されるときの映像品質(対象品質)が許容品質を満たさない場合に、当該移動ロボット2に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する。
【0089】
ここで、図3を参照して本実施形態に係る映像非圧縮判断方法を説明する。図3は、本実施形態に係る映像非圧縮判断方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0090】
(ステップS11) 映像非圧縮判断部417は、対象品質が許容品質を満たすか否かを判定する。許容品質は、許容品質判定部416の判定結果が取得される。
【0091】
本実施形態に係る対象品質の一例は、原映像データが移動ロボット2で撮影されてから、当該原映像データが圧縮された圧縮映像データが移動ロボット2から送信され移動ロボット制御装置4で受信され当該圧縮映像データが伸長されて画面上に表示されるまでにかかる遅延時間(対象遅延時間)である。対象遅延時間は、圧縮処理時間と伸長処理時間と通信遅延時間とを合計した合計時間である。圧縮処理時間及び伸長処理時間は、必要帯域・処理量算出部414が算出した結果が取得される。通信遅延時間は、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内の移動通信実績情報から取得される。例えば、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内の移動ロボット2の無線通信の上り遅延時間の実測値が通信遅延時間として取得される。例えば、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内の移動ロボット2の無線通信の上りスループットの実測値から、通信遅延時間が算出される。例えば、位置・基地局ID・最大スループット格納部411内の最大スループット値から、通信遅延時間が推計される。
【0092】
対象遅延時間に対応する許容品質は、原映像データが移動ロボット2で撮影されてから、当該原映像データが圧縮された圧縮映像データが移動ロボット2から送信され移動ロボット制御装置4で受信され当該圧縮映像データが伸長されて画面上に表示されるまで、に許容される遅延時間(許容遅延時間)である。本実施形態に係る一例として、映像非圧縮判断部417は、対象遅延時間が許容遅延時間を満たすか否かを判定する。
【0093】
ステップS11の判定結果が、対象品質が許容品質を満たすである場合には(ステップS11、YES)、図3の処理を終了する。対象品質が許容品質を満たすである場合、移動ロボット2は原映像データを既定映像圧縮方法で圧縮してから移動ロボット制御装置4へ送信する。一方、対象品質が許容品質を満たさないである場合には(ステップS11、NO)、ステップS12へ進む。
【0094】
(ステップS12) 映像非圧縮判断部417は、割当可能帯域が非圧縮必要帯域以上であるか否かを判定する。割当可能帯域は、割当可能帯域算出部412が算出した結果が取得される。非圧縮必要帯域は、必要帯域・処理量算出部414が算出した結果が取得される。
【0095】
ステップS12の判定結果が、割当可能帯域が非圧縮必要帯域以上である場合には(ステップS12、YES)、ステップS13へ進む。この場合、移動ロボット2が原映像データを非圧縮で送信しても、通信帯域に余裕があることになる。一方、割当可能帯域が非圧縮必要帯域未満である場合には(ステップS12、NO)、ステップS14へ進む。
【0096】
(ステップS13) 映像非圧縮判断部417は、移動ロボット2に対して非圧縮で原映像データを送信させると判断する。これにより、映像非圧縮判断部417は、移動ロボット2に対して、原映像データを圧縮しない(非圧縮)で送信することを指示する。移動ロボット2の映像非圧縮切替部210は、当該指示に従って、撮像部205が撮影した原映像データを圧縮しないように(原映像データを非圧縮で送信するように)、映像送信方法の切り替えを行う。
【0097】
(ステップS14) 映像非圧縮判断部417は、許容品質を満たし且つ圧縮必要帯域が割当可能帯域以下になるように、移動ロボット2の映像圧縮方法(映像圧縮方式や映像圧縮方式で使用されるパラメータ(例えば圧縮レベル等))を判断する。割当可能帯域は、割当可能帯域算出部412が算出した結果が取得される。移動ロボット2の映像圧縮方法が既定映像圧縮方法から変更される場合の圧縮必要帯域は、必要帯域・処理量算出部414が算出した結果が取得される。
【0098】
なお、映像非圧縮判断部417は、許容品質を満たし且つ圧縮必要帯域が割当可能帯域以下になる映像圧縮方法が存在しない場合には、圧縮必要帯域が割当可能帯域以下になる映像圧縮方法のうち、最も許容品質を満たす映像圧縮方法に決定する。例えば、映像非圧縮判断部417は、許容遅延時間を満たし且つ圧縮必要帯域が割当可能帯域以下になる映像圧縮方法が存在しない場合には、圧縮必要帯域が割当可能帯域以下になる映像圧縮方法のうち、圧縮処理時間と伸長処理時間とを合計した合計時間が最も削減される映像圧縮方法に変更すると判断する。
【0099】
映像非圧縮判断部417は、ステップS14の判断結果の映像圧縮方法(映像圧縮方式や映像圧縮方式で使用されるパラメータ(例えば圧縮レベル等))を、移動ロボット2へ指示する。移動ロボット2の映像圧縮部211は、当該指示された映像圧縮方法で原映像データを圧縮する。これにより、当該指示された映像圧縮方法で圧縮された圧縮映像データが移動ロボット2から移動ロボット制御装置4へ送信される。
【0100】
以上が本実施形態に係る映像非圧縮判断方法の説明である。
【0101】
説明を図1に戻す。
変更通知部418は、移動ロボット2から送信され移動ロボット制御装置4で受信された映像データの画面表示を利用する利用者に対して、当該移動ロボット2の映像送信方法の変更を事前に通知する。利用者は、例えば、画面表示に基づいて移動ロボット2を遠隔操作する遠隔操作者や遠隔監視する遠隔監視者などである。変更通知部418が利用者に対して移動ロボット2の映像送信方法の変更を事前に通知することによって、当該映像送信方法の変更に起因する画面表示の乱れ等の変化による利用者の混乱を未然に防止することができる。
【0102】
なお、変更通知部418は、映像送信方法の変更後の映像品質(例えば、遅延時間など)を推測し、推測結果の映像品質を映像品質の見込み値として利用者に通知してもよい。例えば、映像送信方法(映像圧縮方法)の変更後の遅延時間は、通信遅延時間に、変更後の映像圧縮方法における圧縮処理時間と伸長処理時間とを加算した結果の合計時間として算出される。
【0103】
次に図4を参照して、本実施形態に係る移動ロボット制御方法を説明する。図4は、本実施形態に係る移動ロボット制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0104】
(ステップS101) 移動ロボット制御装置4は、出発地及び目的地を取得する。
【0105】
(ステップS102) 移動ロボット制御装置4は、ステップS1で取得された出発地から目的地までの経路を探索する。移動ロボット制御装置4は、当該探索の結果の経路を示す経路情報を移動ロボット2へ送信する。
【0106】
(ステップS103) 移動ロボット制御装置4は、移動ロボット2の状況に基づいて、当該移動ロボット2に関する許容品質を判定する。
【0107】
(ステップS104) 移動ロボット制御装置4は、対象品質が許容品質を満たさない場合に、移動ロボット2に対して非圧縮で原映像データを送信させるか否かを判断する。
【0108】
(ステップS105) 移動ロボット制御装置4は、ステップS104の判断の結果に基づいて、移動ロボット2に対して映像送信方法の制御を行う。
【0109】
(ステップS106) 移動ロボット制御が終了である場合には図4の処理を終了する。移動ロボット制御が継続である場合にはステップS103に戻る。
【0110】
上述した実施形態によれば、移動ロボット2から送信される映像データの映像品質を適切に制御することができるという効果が得られる。
【0111】
なお、これにより、例えば配送サービスシステムにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0112】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0113】
上述した実施形態では、ロボットシステムを、配送サービスシステムに適用したが、配送サービスシステム以外の他のシステムに適用してもよい。例えば、移動ロボットにより道路を検査する道路検査サービスシステムに、上述した実施形態に係るロボットシステムを適用してもよい。
【0114】
また、上述した実施形態では、移動体として移動ロボットを例に挙げたが、これに限定されない。移動体として、自動運転を行う車両(自動運転車両)や、ドローンと称される自律的に飛行する飛行体等を適用してもよい。
【0115】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0116】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…利用者端末、2…移動ロボット、3…携帯端末、4…移動ロボット制御装置、201…無線通信部、202…経路情報格納部、203…現在位置取得部、204…状態取得部、205…撮像部、206…動作計画部、207…動作制御部、208…遠隔操作切替部、209…遠隔操作部、210…映像非圧縮切替部、211…映像圧縮部、401…運用監視部、402…オーダー情報格納部、403…目的地取得部、404…地図情報格納部、405…経路探索部、406…経路配信部、407…映像出力部、408…遠隔操作命令発出部、409…基地局通信量格納部、410…MCS取得部、411…位置・基地局ID・最大スループット格納部、412…割当可能帯域算出部、413…ロボット機器情報格納部、414…必要帯域・処理量算出部、415…屋外人口密度推計部、416…許容品質判定部、417…映像非圧縮判断部、418…変更通知部
図1
図2
図3
図4