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▶ ジェイケイ−ホールディング ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】照射装置及び照射方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
A61N5/06 A
A61N5/06 B
A61N5/06 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021502762
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019069568
(87)【国際公開番号】W WO2020016436
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】18184512.4
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512069599
【氏名又は名称】ジェイケイ-ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルステンマイヤー, ユルゲン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-512169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215958(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02853291(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0088028(US,A1)
【文献】特開2017-148533(JP,A)
【文献】特開2006-289055(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070795(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV-A放射線、UV-B放射線、可視光線及び近赤外線からなる群から選択される方向付けられた化学放射線を対象(200)に適用するための装置(100)であって、
前記化学放射線に露光されるように前記対象(200)を囲むことが可能な露光トンネル(110)であり、前記対象(200)に適用される前記化学放射線に対して透過性がある材料から作製された1つの半円筒バレル形状の第1の面(120)と、前記対象(200)に適用される前記化学放射線に対して透過性がある前記材料から作製された少なくとも1つの第2の面(140)とから形成されている、露光トンネル(110)を具備し、前記少なくとも1つの第2の面(140)が、前記第1の面(120)と共に前記露光トンネル(110)を形成し、
前記露光トンネル(110)の前記第1の面(120)及び前記少なくとも1つの第2の面(140)が、前記対象(200)が前記化学放射線に露光される内部空間(130)と、前記第1の面(120)及び前記少なくとも1つの第2の面(140)を介して化学放射線を放出することが可能な複数の放射線源(170)が取り付けられた外部空間(150、160)とを隔てており、
前記外部空間(150、160)が、前記装置(100)のシャーシ(180、190)の少なくとも第1及び第2の部分に格納されていると共に、
前記複数の放射線源(170)を、固定的に保持し、電気的及び電子的に動作させるための手段と、
前記シャーシ(180、190)の前記少なくとも第1及び第2の部分に電力を供給するための手段(182、192)と、
前記装置(100)を換気、加熱、及び/又は冷却することが可能な手段(183、193)と、
処理ユニットを含む、前記装置(100)の動作のための手段(184、194)とを備え、
前記装置(100)の前記シャーシ(180、190)の前記第1及び第2の部分が、ヒンジ式に互いに離れるように又は向かうように移動するように構成されていることによって、前記装置(100)の外形を形成する際に互いに補完するように構成されており、
前記装置(100)が、
前記内部空間(130)から隔てられ、前記露光トンネル(110)の長手方向端部(111、112)のうちの一方又は両方に配置された、少なくとも1つのさらなる外部空間(300)であり、前記少なくとも1つのさらなる外部空間(300)が、前記装置(100)の長手方向軸線A-Aと鋭角を成す方向で前記対象(200)に向けて放射線を放出するように構成された、複数の追加の放射線源(310A、310B)を格納する、少なくとも1つのさらなる外部空間(300)をさらに具備する、装置(100)において、
前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの少なくとも1つが、LED(322)又は複数のLED(322)を備え
前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの反射器(320)又は複数の反射器(320)を備え、前記少なくとも1つの反射器(320)又は前記複数の反射器(320)が、前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つによって放出された放射線を平行化する、ことを特徴とする、装置(100)。
【請求項2】
前記装置(100)が、前記化学放射線に露光されるべき人間に前記化学放射線を照射するように構成され、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記露光トンネル(110)が、水平に配置された長手方向軸線(A-A)を有する、又は、前記露光トンネル(110)が、垂直に配置された長手方向軸線(A-A)を有する、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記露光トンネル(110)が、前記1つの半円筒バレル形状の第1の面(120)と、少なくとも1つの略平坦面(142)とから形成される、又は前記露光トンネル(110)が、前記1つの半円筒バレル形状の第1の面(120)と、第2の半円筒バレル形状面(141)とから形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのさらなる外部空間(300)が、前記露光トンネル(110)の頭側長手方向端部(111)に配置された1つのさらなる外部空間(300)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのさらなる外部空間(300)が、対象の頭皮(207)及び肩(210)に向けて放射線を放出することが可能な複数のLED(322)を格納する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置(100)が、前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つのための少なくとも1つの冷却手段をさらに備え、前記装置(100)が、前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つのための、少なくとも1つの狭空間冷却システム(500)をさらに備えることが好ましく、前記装置が、前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つのための、少なくとも1つの狭空間照明器具冷却システム(500)をさらに備えることがより好ましい、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記装置(100)が、前記複数の放射線源(170)及び/又は前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つを冷却するためのヒートパイプ(520)を備える、少なくとも1つの狭空間照明器具冷却システム(500)をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記装置(100)が、少なくとも1つの蛍光領域(342)を含む蛍光カバー(340)をさらに備え、染料を備えるか、染料と混合されるか、染料と合金化されるか、又は染料でコーティングされ、前記染料が、可視波長範囲の蛍光を放出するように、少なくとも1つの前記LED(322)又は前記複数のLED(322)によって放出される光によって励起可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの蛍光領域(342)が、少なくとも1つの反射鏡(332)の前縁部を覆う少なくとも1つの蛍光リング(342)を備える、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つによって放出される前記方向付けられた化学放射線が、280nm~315nmの波長範囲(UV(紫外線)-B)、及び/又は315nm~400nmの波長範囲(UV(紫外線)-A)である、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記複数の放射線源(170)及び前記複数の追加の放射線源(310A、310B)のうちの前記少なくとも1つによって放出される前記方向付けられた化学放射線が、400nm~850nm(IR)の波長範囲にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
UV-A放射線、UV-B放射線、可視光線及び近赤外線からなる群から選択される方向付けられた化学放射線を対象(200)に適用する装置(100)を動作させる方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(100)を用意するステップと、
前記装置の複数の化学線光放射発光源(170)及び複数の追加の化学線光放射発光源(310A、310B)のうちの少なくとも1つが、方向付けられた化学放射線を、前記装置(100)の長手方向軸線(A-A)と鋭角を成す方向で、前記装置(100)上又は中に収容されている対象(200)に向けて放出するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記方向付けられた放射線の、前記装置の長手方向軸線(A-A)との前記鋭角が、8~50度の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の化学線光放射発光源(170)及び/又は前記複数の追加の化学線光放射発光源(310A、310B)によって生成された熱が、少なくとも1つのヒートパイプ(520)によって、前記装置の、複数の化学線光放射発光源(170、310)の位置から離れた部分に配置されたヒートシンク(530)に伝達され、前記ヒートシンク(530)が、ファン(540)によって供給される空気によって冷却されることが可能である、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射装置に関する。特に、本発明は、照射する放射線を、対象、例えば人間の全身に方向付けることを可能にする装置に関し、さらにより詳細には、照射する放射線を、人間の身体の、従来の照射装置によって照射された前記放射線に全く露光されない又はわずかな程度にしか露光されない部分に方向付けることを可能にする装置に関する。人間の、従来の照射装置によって照射される放射線の標的とされない部分の非限定的な例は、頭皮、肩、腕と上半身との間の領域、及び脚の間の領域である。本明細書は、照射する放射線を、対象、例えば人間の肩に方向付ける照射装置について、本発明を限定することなく例示的に説明している。本発明はさらに、人間の身体の通常は照射されない部分に放射線を照射することを可能にする非治療的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を、対象に、例えば人間の身体に照射するための装置及び方法は、先行技術で知られており、いくつかの目的のために実際に使用されている。
【0003】
ヒトの身体の日焼け、すなわち、メラニン生成の活性化、及びヒトの皮膚に自然に存在する色素のメラニンの暗褐色(茶色)状への転換は、対象/人間の皮膚に、波長λが280~315nmの範囲内の放射線(UV(紫外線)-B放射線)、及び/又は波長が315~400nmの放射線(UV-A放射線)を照射することによってもたらされる。日焼けは、化粧品及び/又は医療の分野において目的を果たすことができる。用途の数は着実に増加している。
【0004】
さらに、波長が可視範囲及び近IR(赤外線)範囲(400nm又は望ましくは550nm超~850nm)の放射線は、ヒトの皮膚に照射されるとき、例えば欧州特許出願公開第2500060A1号、米国特許出願公開第2012/150,265A1号、及び国際公開第2010/070,277A1号から知られているような、ヒトの皮膚の滋養、若返り、及び再生に有益な化合物、例えばコラーゲン、エラスチン、ケラチン、及びヒアルロン酸の合成を活性化することが可能である。
【0005】
光線療法セッションの過程で、対象、例えば人間の身体の全体又は一部分にUV-B、UV-A、可視赤色光、及び近赤外線光を照射することが可能な装置は、UV-B、UV-A、並びに/又は可視赤色光及び近赤外線光を放出する光源が使用者保護具の外側に取り付けられている装置の周囲の垂直光透過性の(例えば、アクリル製の)使用者保護壁の内に立っている使用者、又は、UV-B、UV-A、並びに/又は可視赤色光及び近赤外線光を放出する光源が使用者支持具の下に取り付けられている装置の光透過性の(例えば、アクリル製の)使用者支持具の上に横になっている使用者に、有益な効果をもたらす。後者の装置は、光透過性保護層の上に取り付けられたUV-B、UV-A、並びに/又は可視赤色光及び近赤外線光のさらなる光源を収容している、ヒンジ接続されたキャノピも有することができ、以て、光源がUV-B、UV-A、並びに/又は可視赤色光及び近赤外線光を対象/使用者の顔及び背面に照射することを可能にする。
【0006】
独国特許出願公開第10233984A1号は、照射トンネルを形成し、使用者の顔を日焼けさせるためのUVランプ、及び任意選択でHPAランプが装着された2つの半円筒形ユニットを備える、ソラリウム(solarium)に関する。ソラリウムは、垂直位置と水平位置で交互に使用されることが可能である。
【0007】
独国特許出願公開第4314679A1号は、通常日焼けベッドでもたらされる肩の不十分な日焼けを改善するのに適していると開示された装置に関するものであり、したがって、太陽の下での自然な日焼けによく似た使用者の肩の日焼けを実現することが期待される。装置は、頭用枕に一体化された反射器を有し、この反射器は、使用者の顔を日焼けさせる高圧UV光源によって放出されるUV光を反射することによって、使用者の肩の皮膚領域全体に均一なUV放射を提供する。代替として、枕に配置された低圧又は高圧ランプが、使用者の肩に方向付けられた日焼けUV放射線を放出することができる。
【0008】
多くの使用者によって観察された欠点のうちの1つは、使用者の身体のすべての領域が、使用者の身体の他の領域が露光されたタイプ又は量の放射線を受けるとは限らないという事実であった。限定することなく、使用者の頭皮、肩、使用者の腕と上半身との間の領域、及び使用者の脚の間の領域。この事実は、例示的に、図1A及び図1Bによって示されている。照射装置100の照射/露光トンネル110で横になっている(図示していないが、同様に中で立っている)使用者200は、光源170によって照射された(点線の矢印によって例示されている)放射線を、自分の前側及び後側で受けることができるが、一方で、使用者の身体の(頭皮207及び肩210として示されている)特定の部分は、このような放射線にほとんど露光されない可能性がある。さらに、上記の独国特許出願公開第4314678A1号に開示されている装置のような日焼け装置は、日焼けベッド構造をより複雑にする。
【0009】
上記の欠点は、克服されるべきである。したがって、本発明の目的は、使用者の皮膚の(例えば、肩のような)そのような領域に有益な放射線を照射することを可能にする照射装置及び非治療的照射方法を提供することであった。
【0010】
独国実用新案第8701889U1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、対象を囲むことが可能であり、複数の放射線源を含む外部空間から隔てられた、前記対象が化学放射線に露光される内部空間を有する、露光トンネルを備え、前記内部空間から隔てられたさらなる外部空間が、露光トンネルの長手方向端部に配置され、さらなる外部空間は、対象に向けて化学放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源を備える。装置は、追加の放射線源からの光を約45°の角度で反射するミラーとして構成された反射器をさらに備える。
【0011】
米国特許出願公開第2004008028A1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、対象を囲むことが可能である、複数の放射線源を含む外部空間から隔てられた、前記対象が化学放射線に露光される内部空間を有する、露光トンネルを備え、前記内部空間から隔てられたさらなる外部空間が、露光トンネルの長手方向端部に配置され、さらなる外部空間は、対象に向けて化学放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源を備える。装置は、後方に放出された光を露光トンネルに反射するために追加の放射線源の背後にあるミラーとして構成された反射器をさらに備える。
【0012】
独国特許出願公開第19502983A1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、対象を囲むことが可能である、複数の放射線源を含む外部空間から隔てられた、前記対象が化学放射線に露光される内部空間を有する、露光トンネルを備え、前記内部空間から隔てられたさらなる外部空間が、露光トンネルの長手方向端部に配置され、さらなる外部空間は、対象に向けて化学放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源を備える。装置は、後方に放出された光を露光トンネルに反射するために追加の放射線源の背後にあるミラーとして構成された反射器をさらに備える。
【0013】
独国実用新案第29516572U1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、対象を囲むことが可能である、複数の放射線源を含む外部空間から隔てられた、前記対象が化学放射線に露光される内部空間を有する、露光トンネルを備え、前記内部空間から隔てられたさらなる外部空間が、露光トンネルの長手方向端部に配置され、さらなる外部空間は、対象に向けて化学放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源を備える。
【0014】
独国特許出願公開第19640118A1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、対象を囲むことが可能である、複数の放射線源を含む外部空間から隔てられた、前記対象が化学放射線に露光される内部空間を有する、露光トンネルを備え、前記内部空間から隔てられたさらなる外部空間が、露光トンネルの長手方向端部に配置され、さらなる外部空間は、対象に向けて化学放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源を備える。
【0015】
国際公開2010004500A1号は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置を説明しており、装置は、第1の波長を有する放射線源によって放出された光を異なる波長に変換するための手段を備え、異なる波長は可視波長スペクトル内にある。異なる波長は対象を照射する役目も果たす。変換するための手段は、蛍光色又は色の組合せでもよい。
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明は、方向付けられた化学放射線を対象に適用するための装置に関し、前記装置は、
前記化学放射線に露光されるように前記対象を囲むことが可能な露光トンネルであり、対象に適用される前記化学放射線に対して実質的に透過性がある材料から作製された1つの半円筒バレル形状の第1の面と、対象に適用される前記化学放射線に対して実質的に透過性がある前記材料から作製された少なくとも1つの第2の面とから形成されている、露光トンネルを具備し、前記少なくとも1つの第2の面が、前記露光トンネルを形成する際に第1の面を補完することが可能であり、
前記露光トンネルの前記面が、前記対象が前記化学放射線に露光される内部空間と、前記面を介して化学放射線を放出することが可能な複数の放射線源が取り付けられた外部空間とを隔てており、
前記外部空間が、前記装置のシャーシの少なくとも第1及び第2の部分に格納されており、前記複数の放射線源を、固定的に保持し、電気的及び電子的に動作させるための手段と、前記シャーシの前記少なくとも第1及び第2の部分に電力を供給するための手段と、装置を換気、加熱、及び/又は冷却することが可能な手段と、処理ユニットを含む、装置の動作のための手段とを備え、
前記装置の前記シャーシの前記第1及び第2の部分が、ヒンジ式に互いに離れるように又は向かうように移動するように構成されていることによって、前記装置の外形を形成する際に互いに補完するように構成されており、
前記装置は、
前記放射線透過性の第1及び第2の面のいずれによっても前記内部空間から隔てられておらず、前記露光トンネルの長手方向端部のうちの一方又は両方に配置された、少なくとも1つのさらなる外部空間をさらに具備し、前記少なくとも1つのさらなる外部空間は、前記装置の長手方向軸線A-Aと鋭角を成す方向で対象に向けて放射線を放出するように構成された、複数の追加の放射線源を格納する。
【0017】
(前記さらなる外部空間に配置された)前記追加の放射線源によって放出される(化学)放射線は、装置の長手方向軸線A-Aと鋭角を成すことが好ましく、一方(前記外部空間に配置された)前記放射線源によって放出される(化学)放射線は、装置の長手方向軸線A-Aと鈍角又は直角を成すことが理解されよう。
【0018】
好ましい態様によれば、放射線源及び追加の放射線源のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの反射器又は複数の反射器を備え、さらに、放射線源及び追加の放射線源のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのLED又は複数のLEDを備え、少なくとも1つの反射器又は複数の反射器は、放射線源及び追加の放射線源のうちの前記少なくとも1つによって放出された放射線を平行化する。
【0019】
好ましい態様によれば、装置は、放射線源及び追加の放射線源のうちの少なくとも1つのための、少なくとも1つの冷却手段を備え、さらに、放射線源及び追加の放射線源のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのLED又は複数のLEDを備え、装置は、放射線源及び追加の放射線源のうちの前記少なくとも1つを冷却するためのヒートパイプを備える少なくとも1つの狭空間照明器具冷却システムを備える。
【0020】
好ましい態様によれば、放射線源及び追加の放射線源のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのLED又は複数のLEDを備え、さらに、前記装置は、可視波長範囲の光を少なくとも1つの蛍光領域に放出させるために、前記少なくとも1つのLED又は前記複数のLEDによって放出される光によって励起可能な少なくとも1つの蛍光領域を含む、蛍光カバーを備える。
【0021】
装置のさらに好ましい実施形態は、従属請求項で特許請求されている。
【0022】
本発明はまた、方向付けられた化学放射線を対象に適用する装置を動作させる非治療的方法に関し、前記方法は、
本発明の詳細な説明において以下に詳細に説明されるような装置を用意するステップと、
装置の追加の化学線光放射発光源のうちの少なくとも1つが、方向付けられた化学放射線を、装置の長手方向軸線A-Aと鋭角を成す方向で、前記装置の上又は中に収容されている対象に向けて放出することを可能にすることによって、装置の追加の化学線光放射発光源のうちの少なくとも1つを動作させるステップとを含む。
【0023】
方法の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0024】
次に、本発明について図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】先行技術の放射線適用装置を頭部の立面図として示す図であり、使用者の身体(例えば、頭皮及び肩)のすべての領域が、使用者が露光される放射線を受けるとは限らない。
図1B】先行技術の放射線適用装置を側面(図1B)の立面図として示す図であり、使用者の身体(例えば、頭皮及び肩)のすべての領域が、使用者が露光される放射線を受けるとは限らない。
図2A】本発明の装置を図1Bの装置と同様に示す(ただし、本発明の装置を示す)側面図であり、使用者の背中を照射するように構成された露光トンネルの下部、及び使用者の顔及び胸部を照射するように構成されたヒンジ接続されたキャノピに収容されている照射光源と、装置の長手方向軸線Aと鋭角を成す方向で、例示的には露光トンネルの頭側長手方向端部から対象に向けて放射線を放出するように構成された追加の放射線源とを用いて、使用者が水平露光トンネルで横たわっている間に使用者に放射線を照射するように構成された装置が示されている。
図2B】本発明の装置を図2Aと同様に示す上面図である。
図2C図2A図2Bに示す装置の斜視全体図である。
図3】使用者が垂直露光トンネル(又は円筒)の中に立っている間に、使用者の周囲に配置された照射光源を用いて使用者に放射線を照射するように構成された本発明の装置を示す図である。
図4】本発明の装置の、例示的には露光トンネルの頭側長手方向端部から対象/使用者に向けて化学放射線を照射するように構成された追加の放射線源を、任意選択的な限定又は制限空間冷却システムと共に格納するように構成されたさらなる外部空間300に対応する部分を示す図である。
図5図4の追加の放射線源ハウジング300、具体的には、高圧ランプ、代替として低圧ランプを収容するための、ハウジングのLEDアレイ350及び追加のアレイの部分図である。
図6A】LED光が対象200に放出されたときにLED光を平行化するための、LEDアレイ350での動作に適した反射器アレイ360の正面図である。
図6B】LED光が対象200に放出されたときにLED光を平行化するための、LEDアレイ350での動作に適した反射器アレイ360の背面図である。
図7A】本発明の放射線適用装置100で動作可能な限定/制限空間冷却システムを示す図である。
図7B】本発明の放射線適用装置100で動作可能な限定/制限空間冷却システムを示す図である。
図7C】本発明の放射線適用装置100で動作可能な限定/制限空間冷却システムを示す図である。
図7D】本発明の放射線適用装置100で動作可能な限定/制限空間冷却システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、上記の図を参照して、広く定義された本発明、及び本発明の特定の部分的に好ましい実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、説明又は図のいずれかにおける好ましい実施形態への言及は、本発明を好ましい実施形態への限定として解釈されるべきではない。好ましい実施形態は、そのように説明に記載されている場合でも、又は1つ若しくは複数の図に示されている場合でも、その理解のさらなる理解のために本発明を例示的に実証する目的にのみ役立つ。本発明の範囲は、当業者によって特許請求の範囲から導き出され得る。さらに、本発明は、限定的ではないが、主に、図2Cに示す本発明の放射線適用装置に関して、すなわち、対象/使用者が横たわる位置で収容される装置に関して説明される。しかしながら、本発明は、装置の長手方向軸線が水平に配置されている装置の実施形態に限定されない。
【0027】
(定義)
本明細書及び特許請求の範囲、例えば請求項のうちのいずれかで使用される「備える(comprise)」、「備える(comprises)」又は「備える(comprising)」という用語は、本発明の装置が、例えば独立請求項に記載された(i)1つの手段を備えてもよい、若しくは(ii)2つ以上の手段を備えてもよいという意味、又は(iii)(以下でより具体的に定義される)さらなる構成要素、手段なども装置に備えられてもよいという意味を有する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」という用語は、本発明の方法が、例えば独立請求項に記載された(i)1つのステップを含んでもよい、若しくは(ii)2つ以上のステップを含んでもよいという意味、又は(iii)(以下でより具体的に定義される)さらなるステップなども方法に含まれてもよいという意味を有する。
【0028】
しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「備える/含む(comprise)」、「備える/含む(comprises)」又は「備える/含む(comprising)」という用語は、本発明の装置/方法が、任意選択で、当業者が本発明の目的を達成するためにこのような装置/方法に含めることができる任意の必要な構成要素、手段若しくはステップと共に、例えば独立請求項に記載された(i)少なくとも1つの手段/ステップで主として構成されるか、(ii)2つ以上の手段(若しくはステップ)を主として構成される場合も含むことができ、又は、本発明の装置/方法が、必ずではないが任意選択で、当業者が本発明の目的を達成するためにこのような装置/方法に含めることができる任意の必要な構成要素、手段若しくはステップなどと共に、(i)少なくとも手段若しくはステップで排他的に構成されるか、(ii)2つ以上の手段若しくはステップで排他的に構成される場合さえも含むことができる。特に、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「備える/含む(comprise)」、「備える/含む(comprises)」又は「備える/含む(comprising)」という用語が「で排他的に構成される」という意味を有し得る後者の場合において、本出願の下位請求項、及び明細書の対応する部分は、独立請求項及び説明の対応する部分の特徴と組み合わせて、特許請求された最も広い範囲で説明される本発明に属するように要約されている追加の指定された特徴を特徴とするさらに好ましい実施形態を、特許請求及び説明している場合がある。
【0029】
言い換えれば、「備える/含む(comprise)」、「備える/含む(comprises)」又は「備える/含む(comprising)」という用語は、要素/ステップの非網羅的な列挙を説明する意味を有することもあれば、或いは、要素/ステップの網羅的な列挙を説明する意味を有することもあり、後者の場合、追加の特徴を特徴とするさらに好ましい実施形態が除外されることはない。
【0030】
したがって、「備える/含む(comprise)」「備える/含む(comprises)」又は「備える/含む(comprising)」という用語によって、要素又は特徴又は方法ステップの非網羅的な列挙及び網羅的な列挙が本出願で開示されており、添付の特許請求の範囲で特許請求されている。
【0031】
好ましい実施形態に関連して記載された本明細書による特徴は、それぞれ単一の特徴として実現されてもよく、又は、1つのさらなる特徴と組み合わせて、若しくは本明細書で説明され特許請求の範囲で特許請求されている他の少数の特徴と共に又は他のいくつかの特徴と共に又はすべての特徴と共に実現されてもよい。2つ以上の特徴のこれらすべての組合せは、特許請求されるように本発明の対象とされる。
【0032】
次に、本発明の放射線適用装置100の好ましい実施形態を示す図2A図2Cを参照する。
【0033】
図2A図2Cに示すこのような装置100は、方向付けられた化学放射線を対象200に適用するのに役立つ。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「化学放射線」という用語は、(光生化学を含む)光化学の効果を有し、場合によっては自然起源又は人工起源の光/放射線を含む、電磁スペクトル全体の光又は(より広範な)放射線を意味すると理解される(「Rompp Chemie-Lexikon」、Thieme Publishers、Stuttgart、Germanyで与えられている定義を参照)。特許請求の範囲及び明細書において、「化学光」又は「化学放射線」は、限定的ではないが、主に、人工起源を有する光又は放射線、例えば、本発明の放射線適用装置100内の光源によって放出される光/放射線に使用される。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「方向付けられた化学放射線」という用語は、本発明によれば、対象、より好ましくはヒトの対象又はヒトの使用者、すなわち人間200である標的に対して、多少なりとも排他的ではないにしても好ましい焦点を合わせて照射される化学放射線という意味を有する。
【0035】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか、若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の装置100の好ましい一実施形態では、前記化学放射線は、波長又は波長範囲が本発明では全く限定されていない広い波長範囲の化学放射線であってもよい。好ましくもあるが代替として、前記化学放射線は、狭い波長範囲の化学放射線、又は非常に特定的な波長若しくはいくつかの特定的な波長の化学放射線でさえあってもよい。このことは、当業者には知られており、当業者は、特定の場合の要件に従って適用される1つ若しくは複数の波長、又は波長範囲若しくは波長帯域を選択してもよい。
【0036】
本発明の枠内で使用可能な波長を有する化学放射線の特定の例は、健康及び/若しくは化粧品及び/若しくは複数の医療の分野において目的を果たすことができる、メラニン生成の活性化、及びヒトの皮膚に自然に存在する色素のメラニンの暗褐色(茶色)状への転換のためにヒトの身体を日焼けさせるための、波長λが280~315nmの範囲内の化学放射線(UV-B放射線)、及び/若しくは波長λが315~400nmの範囲内の化学放射線(UV-A放射線)、ヒトの皮膚におけるビタミンD前駆体からのビタミンD生合成を促進するための、波長範囲がλ=297nm±10nmの短波長UV-B放射線の形態の化学放射線、又は、ヒトの皮膚に適用されるとき、例えばコラーゲン、エラスチン、ケラチン、及びヒアルロン酸のようなヒトの皮膚の滋養、若返り及び再生に有益な化合物の生合成を活性化することが可能な、波長λが可視範囲及び近IR(赤外線)範囲(400nm又はさらに望ましくは550nm超~850nm)の化学放射線である。しかしながら、これらの例は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「方向付けられた」と「化学放射線」とを組み合わせた用語は、化学放射線発光源によって放出され、光源から生じて、ある標的、例えば対象/使用者200の(全体的な)表面A若しくは(特定の)身体の表面に到達又は衝突する方向を有する化学放射線を意味すると理解される。これは、先行技術については図1A及び図1Bに、本発明については図2A及び図2Bに示されている。一例として、図2A図2B図4、及び図5は、反射器を備え、化学放射線を放出する光源を示す。本発明の枠内において、標的は、対象、特に人間であることが好ましい。方向付けられた放射線は、シャッタ及び/若しくは反射器及び/若しくはフィルタ及び/若しくは他の方向付け手段又はそれらの組合せが設けられた光源から放出されてもよい。
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「化学線発光源」又は単に「光源」という用語は、特定の波長又は多少なりとも広い波長帯域の光/放射線を放出する手段を意味すると理解される。本発明によれば、このようないずれの発光手段も、化学線発光源であると指定されてもよい。当業者は、上記の定義の枠内にある多数の様々な光源を知っている。このような化学線発光源の例示的な実施形態は、ガス放電低圧発光ランプ(若しくは管)(また低圧蛍光灯)、又は高圧発光ランプ(又は放射器)であり、これらは通常、比較的広い波長帯域の光を放出し、様々なタイプが当業者によく知られており、ここではこれ以上詳細に説明する必要はない。「化学線発光源」という用語は、通常非常に特定的な(通常は狭い)波長帯域の光を放出するLEDの光源も含む。当業者であれば以降の明細書及び特許請求の範囲から容易に分かるであろう、すべてのこのような化学放射線発光源を、本発明において使用することができる。
【0039】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「対象」という用語は、化学放射線が、方向付けられる方法で適用され得る任意の対象を意味すると理解される。当業者は、化学放射線が適用され得る(装置を含む)いくつかの対象を知っている。本発明の好ましい実施形態では、対象は人間であり、「ヒト」、「人間」、及び「対象」という用語は、本出願において同義語として使用されている。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「適用」及び「適用する」及び「適用すること」という用語は、「化学放射線」又は(より一般的には)「放射線」と組み合わされた場合、特定の光化学的又は光生化学的な効果を発揮することを目的として、化学放射線発光源から対象に化学放射線を照射するステップを意味すると理解される。
【0041】
本発明によれば、方向付けられた化学放射線を対象200に適用するための装置100は、以下で詳細に説明するいくつかの要素を備える。
【0042】
このような放射線適用装置100は、その装置の要素の大部分に関してよく知られている装置であってもよく、以下のように、図2A図2B図2C、及び図3、特に図2A図2B、及び図2Cを参照することによって、全体として、また装置の好ましい実施形態において、詳細に説明される。
【0043】
方向付けられた化学放射線を対象200に適用するための装置100は、いわゆる「露光トンネル」110を装置の中心要素として備える。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「露光トンネル」という用語は、対象200を受け入れることができる、すなわち、この露光トンネル110が前記対象200を囲むことが可能であり、前記対象200が、受け入れられると、方向付けられた化学放射線に露光されることができる、トンネル形状の空間110を意味すると理解される。このような露光トンネル110のサイズ及び形状は限定されず、特定の場合の要件に従って当業者によって選択されてもよい。いずれの場合でも、露光トンネル110は、少なくとも、対象200が露光トンネル110によって余裕をもって囲まれて、中で快適に横たわること又は立つことができるようなサイズ、すなわち、長手方向の長さ、並びに長手方向の長さに垂直な幅及び高さを有していなければならない。
【0044】
当業者は、本技術分野で公開されている一般技術から、化学放射線の適用のために対象を囲むことが可能な露光トンネル110のサイズ及び形状を知っている。本発明の好ましい実施形態では(先行技術のように)、露光トンネルは、対象を、簡便な(横になる、すなわち横臥、又は立つ、すなわち直立)位置に格納するのに適したサイズを有することができる。したがって、サイズは、前記対象の周囲の長さ200~220cm、幅/高さ90~120cmとすることができるが、本発明はこのようなサイズに限定されない。(本発明を限定しない)本発明のさらに好ましい実施形態では、露光トンネル110の形状は、(少なくとも略)円筒形である。
【0045】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか、若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の放射線適用装置100の好ましい一実施形態では、前記露光トンネル110は、長手方向軸線A-A、すなわち、水平に配置された円筒形の軸線と同一である、すなわち、動作中に装置100が配置されている地面に平行である軸線を有する。軸線が水平に配置された前記露光トンネル110を備える装置100は、対象200を横臥位置で受け入れる通常の露光「ベッド」である。装置100は、装置100のほとんどの使用者によって非常に簡便でリラックスできると評価されている。
【0046】
さらに、本発明によれば、対象/使用者の身体のうちの、装置100の放射線源170によって放出される放射線の標的となることが全くないか又はごくわずかである部分に、化学放射線が照射され得ることも有利である。
【0047】
このような装置100の一例を、図2A図2B、及び図2Cに示す。例示として図2Aから分かるように、装置100は、シャーシの第1の部分180と、シャーシの第2の部分190とを含み、対象/人200が装置100の中に、すなわち露光トンネル110内の露光ベッドの上に容易及び簡便な方法で入ることができるように、第1の(装置100の動作中、上方)部分180は、露光トンネル110の長手方向軸線A-Aに平行な軸線に沿って、第2の(動作中、下方)部分190から離れるように枢動することができる。
【0048】
本発明の装置100の代替の好ましい一実施形態では、前記露光トンネル110は、長手方向軸線、すなわち、垂直に配置された円筒形の軸線と同一である、すなわち、動作中に装置100が配置されている地面に対して直角である軸線を有する。軸線が垂直に配置された前記露光トンネル110を備える装置100は、対象200を直立位置又は立っている位置で受け入れる露光「キャビン」である。装置100は、装置100のほとんどの使用者によって、移動の際に非常に動的であると評価されている。さらに、このような装置100は、明らかに、非常に省空間である。
【0049】
さらに、本発明によれば、対象/使用者の身体のうちの、図1A及び図1Bに示すような先行技術の装置100の放射線源170によって放出される放射線の標的となることが全くないか又はごくわずかである部分に、化学放射線が照射され得ることも有利である。このような装置100の一例を、図3に示す。例示として図3から分かるように、装置100は、シャーシの第1の(又は前方)部分180と、シャーシの第2の(又は後方)部分190とを含み、対象/人200が装置100の中に、すなわち、露光トンネル110内の露光キャビンの中に容易及び簡便な方法で入ることができるように、第1の(装置100の動作中、前方)部分180は、露光トンネルの長手方向軸線A-Aに平行な軸線に沿って、ドアと同様の方法で第2の(動作中、後方)部分190から離れるように枢動することができる。
【0050】
装置100のタイプ(すなわち、対象を横臥位置で収容しているか、直立位置で収容しているか)に応じて、前記露光トンネル110は、1つの半円筒バレル形状の第1の面120と、少なくとも1つの第2の面140とから形成され、前記少なくとも1つの第2の面140は、前記露光トンネル110を形成する際に第1の面120を補完することが可能である。これは、本発明の装置100の特定の実施形態では、露光トンネル110の形状及びサイズが、前記第1の面120及び第2の面140によって完全に画定され得ることを意味する。
【0051】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の放射線適用装置100のより好ましい実施形態では、前記露光トンネル110は、前記1つの半円筒バレル形状面120と、少なくとも1つの略平坦面142とから形成される。この実施形態は、対象が、方向付けられた化学放射線に横臥位置で露光され得る、露光「ベッド」の形状をした装置100の実施形態であり、対象200は、この実施形態では水平方向にある前記略平坦面142の上に配置されることが好ましい。このような実施形態では、前記1つの半円筒バレル形状面120は、前記略平坦面142の上に配置され、通常、露光トンネル110が「開いて」対象200が化学放射線露光のために容易に入れるように、前記半円筒バレル形状面120を、前記平坦面142の一方の側縁部に平行な軸線を中心として枢動させることによって、前記平坦面142から離れるように移動することが可能である。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される、対象が横になる面142に関連する「略平坦」という用語は、実質的に窪み及び隆起のない水平面に延在する面を意味すると理解される。しかしながら、本技術分野では通常のように、対象100が化学放射線に露光されるために横になるこのような面は、全体的な平坦性から実質的に逸脱することなく、対象の頭205、背中、腕215、又は脚220の配置のための窪みを含むことができる。
【0053】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の装置100の同様に好ましい代替の実施形態では、前記露光トンネル110は、前記1つの半円筒バレル形状面120と、少なくとも1つのさらなる又は第2の半円筒バレル形状面141とから形成される。この実施形態は、対象200が、方向付けられた化学放射線に直立位置で露光され得る、露光「キャビン」の形状をした装置100の実施形態であり、対象200は、この実施形態では垂直に配置されている前記2つの半円筒バレル形状面120、141間に配置されることが好ましい。このような実施形態では、前記1つの半円筒バレル形状面120は、完全な円筒を形成するように、前記第2の半円筒バレル形状面141と横並びで配置される。露光トンネル110が「開いて」対象200が化学放射線露光のために容易に入れるように、前記円筒の一部分は通常、前記半円筒バレル形状面120を、前記第2の半円筒バレル形状面141の一方の垂直縁部に平行な少なくとも1本の軸線を中心として枢動させることによって、前記第2の半円筒バレル形状面141から離れるように移動することが可能である。対象200は、2つの半円筒バレル形状面120、141によって形成される円筒形の空間の実質的に中心に立ち、化学放射線に露光されている間、任意選択で、自分自身の垂直軸線を中心として回転している。
【0054】
本発明によれば、半円筒バレル形状の第1の面120、及び少なくとも1つの第2の面140もまた、対象200に適用される前記化学放射線に対して実質的に透過性がある材料から作製されている。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「前記化学放射線に対して実質的に透過性がある材料」という用語は、表面の材料が、少なくとも所望の光化学的効果又は光生化学的効果を与えるために光源によって放出される化学放射線の部分が、その化学放射線の実質的な量が表面材料によって吸収されることなく前記壁を通過することができるような性質のものであることを意味すると理解される。さらに、選択される材料は、横になっている使用者に耐えるのに十分な強度及び剛性を有することが必要とされる。本技術分野の当業者は、そのような材料を知っており、特定の場合の要件に従って、いくつかの材料からそのような材料を選択することができる。本発明の特に好ましい実施形態では、面120、140は、化学線光透過性ポリマー材料の群から選択される材料から作製されており、先行技術と同様に、アクリルポリマーが特に好ましい。また、方向付けられる実質的にすべての化学放射線の通過を可能にすることができる他の知られている先行技術の材料も、単独で又は組み合わせて使用されてもよい。
【0055】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、半円筒バレル形状の第1の面120及び少なくとも1つの第2の面140と同様に、追加の面143も、対象200に適用される前記化学放射線に対して実質的に透過性がある材料から作製されている。
【0056】
本発明によれば、方向付けられた化学放射線を対象200に適用するための装置100は、露光トンネル110の面120、140、及び任意選択で任意の追加の面143が、化学放射線に露光されるべき対象200が前記面によって囲まれて前記化学放射線に露光される内部空間130と、前記面120、140を介して化学放射線を放出することが可能な光源170が、前記光源が前記面120、140を介して対象200に向けて前記化学放射線を放出できるような方法で取り付けられている外部空間150、160とを区別するような形状をしている。このような外部空間150、160は、本発明をいかなる点でも限定することなく、とりわけ、前記光源170を収容するという目的に適していると当業者が考え得る任意の形状を有していてもよい。特に、前記外部空間150、160の形状は、使用される装置100のタイプに依存することがある。
【0057】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の装置100の好ましい実施形態では、図2A図2B、及び図2Cに示すように、前記露光トンネル110が、水平に配置された長手方向軸線A-Aを有する場合、前記面120を介して、前記略平坦面142上に横臥位置で横になっている対象200に対して下向きに化学放射線を放出することが可能な上部光源170uは、前記外部空間150の前記面120の上に取り付けられ、前記面140、141、142を介して、横臥位置で横になっている対象200に対して上向きに化学放射線を放出することが可能な下部光源170lは、前記外部空間160の前記面140、141、142の下に取り付けられている。この実施形態では、外部空間150、160は、上部空間及び下部空間であり、とりわけ、前記上部光源170u及び前記下部光源170lの収容のために使用される。外部空間150、160は、本発明に従って他の目的で使用されてもよく、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0058】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の装置100の代替の好ましい実施形態では、(図3に示すように)前記露光トンネル110が、垂直に配置された長手方向軸線A-Aを有する場合、前記面120を介して、前記面120、140によって囲まれた前記内部空間130に直立位置で立っている対象200に対して後方に化学放射線を放出することが可能な前側光源170fs、及び、前記面140を介して、立っている対象200に向けて化学放射線を放出することが可能な後側光源170bsは、前記外部空間150、160の前記面120、140の外側に取り付けられている。この代替の実施形態では、外部空間150、160は、前側外部空間及び後側外部空間であり、とりわけ、前記前側光源170fs及び前記後側光源170bsの収容のために使用される。外部空間150、160は、本発明に従って他の目的で使用されてもよく、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0059】
本発明によれば、前記外部空間150、160は、装置100のシャーシ180、190の少なくとも第1及び第2の部分に格納されていると共に、前記光源170を、固定的に保持し、電気的及び電子的に動作させるための手段181、191、及び/又は、シャーシ180、190の前記少なくとも第1及び第2の部分と、その中の構成要素、例えば対象200に化学放射線を放出する前記光線170とに電力を供給するための手段182、192、及び/又は、装置100を換気、加熱、及び/又は冷却することが可能な手段183、193、並びに、例えば、装置100の動作を制御するため、及び/又は外部の制御手段を接続することを可能にするための制御手段及び/又は少なくとも1つの処理ユニットのような、装置100のさらなる動作のための手段184、194を備える。先行技術の同様の装置から当業者に知られているさらなる手段も、シャーシの第1及び第2の部分180、190の外部空間150、160に単独で又は組み合わせて取り付けられてもよく、化学放射線露光に関連する限りにおいて、ごく一部の例を列挙すると、例えば、可動シャーシ部分180を開閉するためのハンドル、緊急時に装置100の動作を停止することが可能な緊急スイッチ、新鮮な空気、冷却用空気、若しくは加温用空気、又は液体スプレーの露光トンネル130へのアクセスを可能にするためのノズル(並びに、ノズルの動作チャネル及びポンプ)、装置100を動作させることが可能な中央処理ユニット194、化学放射線センサ、対象/使用者の皮膚状態を判断するための皮膚色/皮膚状態センサである。
【0060】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の好ましい実施形態では、対象200は、前記方向付けられた化学放射線に露光されるべき人間200である。前記方向付けられた化学放射線に露光されるべき人間200は、本明細書では、装置100の「使用者」と呼ばれることもある。
【0061】
すでに詳細に上述したように、本発明によれば、装置100のシャーシ180、190の第1及び第2の部分は、ヒンジ式に互いに離れるように又は向かうように移動することによって、装置100の外形を形成する際に互いに補完することが可能である。例示として図2A及び図2Cから分かるように、装置100は、シャーシの第1の部分180と第2の部分190とを含み、装置100の中に、すなわち露光トンネル110内の露光ベッドの上に容易及び簡便な方法で入ることができるように、第1の(装置100の動作中、上方)部分180は、露光トンネル110の長手方向軸線A-Aに平行な軸線に沿って、第2の(動作中、下方)部分190から離れるように枢動することができる。
【0062】
本発明によれば、図2A及び図2Bに示すように、装置100は、前記放射線透過性の第1及び第2の面120、140のいずれによっても前記内部空間130から隔てられておらず、長手方向端部、すなわち、露光トンネル110の長手方向の頭側端部111及び露光トンネル110の長手方向の脚側端部112のうちの一方又は両方に配置された、少なくとも1つのさらなる外部空間300をさらに備える。本発明によれば、前記少なくとも1つのさらなる外部空間300は、装置100の長手方向と鋭角を成す方向で対象200に向けて放射線を放出することが可能な複数の追加の放射線源310A、310Bを格納する。露光トンネル110の長手方向端部111、112のうちの1つ又は2つに配置され、装置100の長手方向と鋭角を成す方向で対象200に向けて放射線を放出することが可能な複数の追加の放射線源310A、310Bを収容するように適合及び構成された、1つのさらなる外部空間300が存在してもよく、又は2つ(又は、さらに多く、例えば3つ若しくは4つ)のさらなる外部空間300が存在してもよい。当業者は、単一の事例の要件に基づいて、さらなる外部空間300の数を選択することができる。
【0063】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのさらなる外部空間300は、露光トンネル110の頭側の長手方向端部111に配置された1つのさらなる外部空間300であり、前記1つのさらなる外部空間300は、限定されないが例えば対象の頭皮207及び肩210に向けて放射線を放出することが可能な複数の追加の放射線源310A、310Bを格納する。本発明のこの実施形態は、通常の照射装置100の照射光の標的とならない使用者の身体の領域が所望どおりに放射線を受けることができるという本発明の目的が容易に達成され得るので、特に有益であると考えられる。
【0064】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明の装置100は、使用者300に異なるタイプの放射線を照射することが可能である場合がある。
【0065】
好ましい一実施形態では、装置100は、日焼け放射線、例えば、280~315nmの波長範囲で使用者の身体を日焼けさせるのに適した強度の放射線(UV-B放射線)、及び/又は315~400nmの波長の放射線(UV-A放射線)を使用者200に照射する日焼け装置である。従来の日焼け装置は、技術的に単純な方法では、例えば使用者の肩210又は頭皮207の日焼けには影響を与えず、使用者の皮膚の均一な日焼けをほとんど実現することができなかった。本発明によれば、使用者の身体の、通常は日焼けのUV放射線によって標的とされない部分(例えば、肩210)も確実に日焼けさせることができ、以て、使用者の全身の均一な日焼けを実現することができる。
【0066】
別の好ましい実施形態では、装置100は、400nm~、又は望ましくは550nm超~850nmの範囲の波長の可視赤色光及び/又は近赤外線光を使用者の身体に照射し、以て、ヒトの皮膚の滋養、若返り及び再生に有益な化合物、例えばコラーゲン、エラスチン、ケラチン、及びヒアルロン酸の合成を活性化する装置である。
【0067】
これらの目的及び他の目的のために、別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明の好ましい実施形態では、複数の追加の放射線源310A、310Bが、高圧ランプ、中圧ランプ、ガス放電低圧ランプ、LED、及びそれらの組合せからなる群から選択される。複数の追加の放射線源310A、310Bは、高圧ランプ、LED、及びそれらの組合せからなる群から選択されることがさらに好ましい。
【0068】
本発明によれば、高圧ランプ又は低圧ランプを、本発明の装置100における単一の放射線放出源として、又は放射線放出源のうちの2つの対として、若しくは3つ以上の群として使用することができるが、1つのボード上で固定され、電気的に接続され、電子的に制御されるLEDを、例えば20個、30個、より少数、又はより多数のアレイで配置された複数のLEDとして使用できることが好ましい。
【0069】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、使用者の身体を日焼けさせるのに適した照射装置100の例について、これらの好ましい実施形態に限定はされないが、放射線を放出する追加の放射線源310A、310Bのいくつかの組合せが開発され、好適であることが見出された。
【0070】
本発明は、使用者の身体の、先行技術の日焼け装置を使用する場合に日焼け放射線を全く受けないか所望の日焼け結果には不十分であると評価された量の日焼け放射線しか受けない部分を、日焼け放射線の標的とするために、追加の放射線源310A、310BとしてLEDを使用することを提案しており、本発明によれば、適切な波長(範囲)の放射線を単独で又は考えられるそれぞれの組合せで放出する低圧蛍光灯、高圧放電ランプ又はLEDを用いて、対象/使用者の(本発明の例示的な実施形態のように)肩又は頭皮を照射することによって、肩、頭皮などの良好な日焼けも実現することができる。LEDと低圧蛍光灯の組合せ、又はLEDと高圧放電ランプの組合せが特に適しており、これらはすべて、関連するUV-A及びUV-B範囲の日焼けUV放射線を放出する。もちろん、当業者は、単一の事例の要件に従ってこのような関連するUV-A及びUV-B範囲を放出する放射線源を選択することを本発明によって制限されない。さらなる好ましい実施形態では、このようなUV放射線は、本発明によって課されるいかなる制限にも拘束されることなく、当業者であれば認識するような特定の目的のための可視及び/又はIR(赤外線)波長範囲の放射線と組み合わされてもよい。
【0071】
言い換えれば、別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、使用者の身体を日焼けさせるのに適した照射装置100の例の場合、通常の低圧(蛍光)ランプが、光/化学放射線源170として使用されてもよい。さらに、(本発明の他の好ましい実施形態として、)特定の目的のために、中圧又は高圧(放電)ランプをさらに(すなわち、低圧ランプと組み合わせて)使用することが可能であり、その理由は、当業者に知られているように、本発明の装置100のような日焼け装置では、使用者の身体の特定の部分、例えば使用者の顔を日焼けさせるために、高圧ランプ(放射器)が採用されることがあるからである。本発明のさらに好ましい装置100では、日焼け光波長の適切な放射線を放出するLEDを、単独で(すなわち、代わりに)、又は、他の放射線放出光源170、例えば、低圧(蛍光)ランプ、及び/若しくは、中圧若しくは高圧(放電)ランプと組み合わせて使用することができる。本発明の装置100の特に好ましい実施形態では、光/化学放射線発光源170は、低圧(蛍光)ランプ及び/又は高圧(放電)ランプであり、追加の光/放射線源310A及び310Bは、LEDと低圧ランプ及び/若しくは高圧ランプとLEDの組合せから、又は、LEDのみから選択される。当業者は、いかなる制限にも拘束されることなく、単一の事例の要件に基づいて、本発明の装置100の適切な光/放射線源170及び/又は310A/310B、並びにそれらの組合せを選択してもよい。
【0072】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、いくつかの特定の目的、例として、日焼け光源の日焼け効果を向上させること、及び/又はコラーゲン、ケラチン、若しくは他の生化学的に有益な化合物の生合成を刺激することを達成するために、装置100に、さらなるランプ/光源が設けられてもよい。このような刺激は、使用者の身体又はその一部分に、400nm(可視波長)~850nm(近赤外線波長)の波長範囲又はその部分的な範囲の光/放射線を放出することによって、(限定されることなく)開始されることが好ましい。次の表に、特定の波長の可視光/放射線を放出するLEDの非限定的な例を示す。
【0073】
【表1】

別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、装置100は、例えば、光源170及び/又は310A/310Bによって放出される光の有効性を高めるためのさらなる要素を備えてもよい。図2A図2B図4、及び図5を参照すると、本発明による化学放射線を放出する光源170及び/又は310A/310Bに、シャッタ及び/若しくは反射器及び/若しくはフィルタ及び/若しくは他の方向付け手段又はそれらの組合せが設けられてもよいことが、(本発明をそのような実施形態に限定することなく)例示されている。本発明の枠内では、標的は、対象、特に人間であることが好ましい。例えば本発明の追加の放射線放出光源310A及び310Bの場合において、LEDが採用される場合の本発明の特に好ましい実施形態では、多数のLED(限定ではなく例として、16個のLED、20個のLED、24個のLED、又は任意の他の好ましい数のLED)を備えたLEDアレイ、反射器の「アレイ」が設けられてもよい。本技術分野の当業者に知られているように、反射器がそれぞれ設けられた各LEDによって放出される放射線は、平行化されること、すなわち、標的の事前に決定可能な比較的小さい領域(ここでは、使用者の身体、又はその一部分)に集束及び方向付けされることが可能であり、以て、放射線の有効性が高まる。本発明の特に好ましい実施形態では、追加の光/放射線源310A、310Bとしての前記LEDによって放出される放射線を平行化することを目的として、少なくとも1つの反射器、さらにより好ましくはLEDごとに1つの反射器が使用される。反射器は、図4図5図6A、及び図6Bに示されている。同様に、対象/使用者の身体に適切な日焼け放射線を放出する、LED以外の光源にも、放出された放射線を、所望の標的、すなわち対象/使用者の身体、特に身体の一部分、より好ましくは先行技術の日焼け装置を使用するときに日焼け放射線を十分に受けない部分に平行化及び/又は集束するのに適した手段、例えば反射器が設けられてもよい。
【0074】
別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、装置100は、光源170及び/又は追加の光源310a/310bを冷却するための手段を備えてもよい。本技術分野の当業者によく知られているように、光源170及び/又は追加の光源310a/310bによって放出されるエネルギーのかなりの部分は、熱放射の形で放出される。特に高圧の「放電」ランプ及びLEDは、通常、それらが作り出すUV、可視及び/又はIR放射波長の放射線に加えて、熱放射を放出する。放出された熱は、(照射される対象が横たわっている又は立っている)放射トンネルの空気容積部、又は、照射装置100の少なくとも一部分、(限定ではないが)例えば、照射される対象/使用者が横たわっている光透過性保護層のいずれかを温めるために有益に使用されてもよい。一方、光源ランプの機能を低下させないため、及び光源ランプの耐用年数を短縮しないために、光源から放出される熱が放散されなければならないことを考慮する必要がある。光源によって発生及び放出された熱を放散することは、先行技術から当業者に知られている手段によって達成することができ、この点に関して、本発明において当業者に制限を課すことはない。したがって、適切な冷却手段は、単一の事例の状況に応じて当業者によって選択されてもよい。
【0075】
一方、本発明の放射線源170のランプ、すなわち、半円筒バレル形状の第1の面120の上/後ろに収容されており、対象/使用者の顔及び腹に放射線を放出するランプ、及び第2の面140の下/後ろ(半円筒バレル形状の第2の面141の下/後ろ、又は略平坦な第2の面142の下/後ろのいずれか)に収容されているランプのための冷却手段は、ランプの収容に利用可能な空間及び動作方法に関するいかなる制限もなしに、選択されることが可能である。したがって、このような冷却手段は、冷却のために放射線源に対して空気を吹き付ける通常のファンとすることができ、又は過剰な熱を放散するために(液体冷却流体を含む)冷却流体を使用する通常の冷却ジャケットとすることができる。しかしながら、放射線源自体を収容するための空間がすでに限定されている場合、例えば、1つの代替案として提案されているように、複数のLEDのアレイを使用するとき、以て冷却手段の(さらなる)収容のための空間がかなり制限される場合、このような通常の冷却手段を使用することができない。したがって、別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得る本発明のさらに好ましい実施形態では、装置100は、光源のランプによって生成/放出された、いかなる加熱目的にも必要とされない熱を放散するための冷却手段として、限定/制限空間冷却システム500を備えてもよい。本発明によれば、さらにより好ましく、任意選択で、別個に、又は本発明の1つ、2つ、いくつか若しくは他のすべての特徴と共に実現され得るものとして、本発明の装置100は、対象/使用者の頭皮207及び肩210に向けて放射線を放出するように構成された複数の追加の放射線源310A、310Bを冷却すること(以て、複数の追加の放射線源310A、310Bによって生成された熱を放散すること)を目的として、及びその目的のために、限定空間照明器具冷却システム500を備えてもよい。この文脈において、本明細書及び特許請求の範囲では、「狭空間」又は「限定空間」又は「制限空間」という用語は、交換可能又は同義的に使用されており、冷却対象の装置又は冷却対象の装置の構成要素によって課される要件に起因して、冷却対象の構成要素を、冷却作用をもたらす冷却システムと共に収容するには不十分な、狭い、限定された、又は制限された空間しか利用できないことを意味する。冷却対象の構成要素又は装置の近傍に完全な冷却器具を収容するための空間が不十分であることに起因して、冷却システムは、熱が発生する場所で熱を吸収する熱吸収構成要素と、熱発生領域から離れた場所で熱を放散する熱放散構成要素とに分割され、熱の「輸送」に追加のエネルギーを費やす必要なしに、熱は、熱発生領域から熱放散領域に効率的に輸送される。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲において、「近位」及び「遠位」という用語は、本発明と共に使用される限定空間冷却システム500について、一方の側の冷却対象の構成要素(及び、冷却対象の構成要素(複数可)の近傍に収容されている熱界面510)と、他方の側のヒートパイプ構成の残りの構成要素との間の短い(「近位」)及び長い(「遠位」)距離を示すために使用される用語である。
【0077】
本発明の放射線適用装置100における要素として、及び放射線適用装置100と組み合わせて使用可能な一般的な限定/制限冷却システムが、2018年7月19日に欧州特許庁に出願された「Restricted Space Cooling System and its Use」という名称の欧州特許出願第18184513.2号に開示されており、これは、参照として言及されており、図7Aに例示的に示されている。
【0078】
このような限定空間冷却システム500は、本発明の装置100において、1つの限定空間冷却システムとして、又は2つ以上(すなわち、複数の2つ又は3つ又はそれ以上)の限定空間冷却システムとして使用可能であり、図7Aに1つの限定空間冷却システム500として示されており、その主要構成要素として、
少なくとも1つの熱界面510に密接に隣り合う放熱器具から熱を吸収するように構成された少なくとも1つの熱界面510と、
熱界面510の近位にあるヒートパイプの端部521から、熱界面510の遠位にあるヒートパイプの端部522まで熱を伝達するように構成された少なくとも1つのヒートパイプ520と、
ヒートパイプ遠位端部522によって放たれた熱を放散するように構成された少なくとも1つの熱交換器530又はヒートシンク530と、任意選択で、
熱吸収媒体550に、熱交換器530から潜熱を取り込ませ、潜熱を環境へ放散させるように構成された、少なくとも1つの熱放散手段540と
を備えてもよい。
【0079】
本発明の提案によれば、限定空間冷却システム500の上記の主要構成要素は、各構成要素のうちの少なくとも1つとして、限定空間冷却システム500の一部とすることができる。本発明の他の実施形態では、構成要素のうちの1つ、2つ又はすべては、それらの2つ、3つ又はそれ以上として、限定空間冷却システム500の一部とすることができる。上記の本発明の代替として、構成要素のうちの1つ(限定されないが例えば、熱界面510)は、1つの熱界面510として存在してもよく、一方、他の構成要素のうちの1つ(さらには、限定空間冷却システム500の2つ又はすべての他の構成要素)は、構成要素のうちの2つ又は3つ、例えば、2つ、3つ、又は4つのヒートパイプ520、及び、1つ、2つ、又は3つの熱交換器530、及び、1つ(又は、2つ)の熱放散手段540として存在してもよい。当業者は、単一の事例の条件、状況及び要件に従って、本発明の限定空間冷却システム500の各構成要素の数を選択及び変更することができる。
【0080】
図7Aに示す限定空間冷却システム500の熱界面510は、少なくとも1つの熱界面510がその近傍に置かれる任意の放熱装置から熱を吸収するように構成されている限り、いかなる点においても限定されない。本説明及び特許請求の範囲の装置100の文脈において、「近傍」は、発熱装置310A、310B、すなわち、追加の放射線源310A、310Bと、図7Aに示す限定空間冷却システム500の熱界面510との間の最適化された熱伝導のために、接合面が互いに密接に接触している必要があることを意味すると理解される。これは、各表面が高い熱伝導係数を有する材料、好ましくは金属材料で作製されることを必要とし、材料は、理想的には精密な仕上げを有するべきであり、平坦であるべきか、互いに同一平面上にあるべきである。粗さ及び起伏という表面の差異がある場合、適切な界面材料及び/又は熱伝導パッド若しくは熱伝導ペーストを使用して、密着を実現することが推奨される。したがって、本発明の好ましい実施形態では、図7Aに示すように、熱伝導率の値が高い材料、特に、例えばアルミニウム、銅、鋼、及びそれらの合金などの金属材料の適切な材料、例えば鋼板で作製された熱界面510は、熱を吸収する放熱器具と嵌合するように構成された平板である。
【0081】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、さらに好ましい実施形態では、限定空間(照明器具)冷却システムの少なくとも1つの熱界面510は、特徴的なエネルギー放出スペクトルにより熱を放出する照明器具用の固定具の少なくとも1つのバッキングプレート321である。少なくとも1つの熱界面510が、LEDアレイ用の固定具の少なくとも1つのバッキングプレート321であることがさらに好ましい。LEDアレイは、固定具上の複数のLEDを収容することが知られており、LEDは互いの近傍にあり、通常は少なくとも1つの比較的狭い波長帯域の光を放出するだけでなく、(それらの動作モードによっては)かなりの量の熱も放出する。アレイ上のLEDは密接に隣り合って取り付けられているため、十分な冷却のための冷却システムを設けるための空間が限定/制限される。LEDアレイ固定具のバッキングプレートが少なくとも1つの熱界面510として使用される場合、LEDの動作から発生する熱をLEDアレイから放散し、以てLEDの動作を改善し、LEDの耐用性、並びに設置寿命及び動作寿命を大幅に延ばすことができる。
【0082】
図7Aに示すように、本発明の装置100で使用可能な限定空間冷却システム500の第2の構成要素は、少なくとも1つのヒートパイプ520である。少なくとも1つのヒートパイプ520、又は1つ、2つ、3つ若しくはそれ以上のヒートパイプ520は、少なくとも1つのヒートパイプの内部容積部に封入された流体の作用によって、少なくとも1つのヒートパイプ520を介して、少なくとも1つの熱界面510から少なくとも1つの熱交換器530まで、すなわち、任意の放熱器具、例えばLEDアレイとしての照明器具からの熱を取り込む熱界面510の近位にあるヒートパイプの端部521から、熱界面510の遠位にあるヒートパイプの端部522まで、熱を伝達するように構成される。熱界面510の近位にあるヒートパイプの端部521(すなわちヒートパイプの近位端部521)で、少なくとも1つの熱界面510から熱を受け取ると、液相の流体は、相転移を経て蒸気になり、流体の前記蒸気は、少なくとも1つの熱界面510から取り込まれる熱を誘導しながら生成される。前記蒸気は、少なくとも1つのヒートパイプ520内を「下へ」(そのような動きが重力の方向に対するものである場合でも、少なくとも1つのヒートパイプ520内の温度差ΔTに関して)、少なくとも熱界面510から遠位にある「より冷たい」ヒートパイプ端部、すなわちヒートパイプ遠位端部522まで移動する。ヒートパイプ遠位端部522では、ヒートパイプ遠位端部522での少なくとも1つの熱交換器530への潜熱放出下で、流体の気相から液相への相転移、すなわち蒸気を凝縮して流体の液相に戻すことによる相転移が行われる。次いで、凝縮された液相流体は、別の熱伝達サイクルのために、ヒートパイプ近位端部521まで「上へ」(そのような動きが重力の方向をもつものである場合でも、少なくとも1つのヒートパイプ520内の温度差ΔTに関して)、少なくとも熱界面510の近位にある「加熱された」ヒートパイプ端部、すなわちヒートパイプ近位端部521まで戻る。
【0083】
言い換えれば、少なくとも1つのヒートパイプの内容積部の中での気相でも液相でもない流体の動きは、熱負荷の適用される温度差ΔTのものを除いて、外部の動力を必要としない。さらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒートパイプの内容積部の中での流体の動きは、毛細管現象、遠心力、及び重力、並びにそれらの組合せからなる群から選択される力によって行われる。この力は、少なくとも1つのヒートパイプ520の内容積部の適切な構成、例えば、(非限定的な)一例のみを示すと、ヒートパイプの密閉された金属封体の内側に施された多孔質毛細管ライニングによって支援される。
【0084】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、有利な、したがって好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒートパイプの内容積部に封入される流体は、特定のヒートパイプ動作温度に必要な温度範囲で優れた吸熱特性を有する流体からなる群から選択され、水、アンモニア、メタノール、エタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。少なくとも1つのヒートパイプ520の内容積部を充填するための流体は、本発明では限定されず、当業者によって、要件に従って、特定の場合に観察される決定要因に応じて選択されてもよく、決定要因のうちの1つは、放散される熱量の温度範囲であり、この温度範囲は、少なくとも1つのヒートパイプ520の内容積部の流体の気化又は凝縮の温度と一致するべきである。本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、さらに好ましい例示的な実施形態では、限定空間冷却システム500は、2つ以上のヒートパイプ、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのヒートパイプ520を備える。本発明をこの実施形態に限定しないが、図7B及び図7Cにも示すように、1つの熱界面510あたり、及び1つの熱交換器530あたり、2つのヒートパイプ520が特に好ましい。
【0085】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、有利な、したがって好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒートパイプ520の形状又は2つ以上のヒートパイプ520の形状は、同一であるか、又は異なっている。より好ましい実施形態では、2つ以上のヒートパイプ520の形状は、直線であり、又は2つ以上のヒートパイプ520の形状は湾曲しており、又は2つ以上のヒートパイプ520の形状は、直線形状のヒートパイプ部分と湾曲形状のヒートパイプ部分との組合せである。
【0086】
ヒートパイプ520の形状に関して、本発明は、要件に従って、特定の場合に観察される決定要因に応じてヒートパイプ530の形状を選択するとき、当業者にいかなる制限も課さない。決定要因のうちの1つは、本発明の装置100で使用可能な狭空間冷却システム500に利用可能な空間とすることができる。同様に、1つ又は複数のヒートパイプ520の、(ヒートパイプ(複数可)520が熱界面510から出現する)その/それらの近位端部521から、(ヒートパイプ(複数可)520が熱交換器530に入る)その/それらの遠位端部までの長さに関しても、本発明は、要件に従って、特定の場合に観察される決定要因に応じてヒートパイプ530の長さを選択するとき、当業者にいかなる制限も課さない。決定要因のうちの1つは、本発明の限定空間冷却システム500のために利用可能な空間とすることができる。非限定的な例として、ヒートパイプの長さは、5~30cmの範囲、好ましくは10~20cmの範囲とすることができるが、ヒートパイプ(複数可)520の長さは、上記の範囲より上又は下の値であってもよい。さらに、(特定の場合の要件に従ってヒートパイプの長さを選択する際に当業者により良い柔軟性を与える)本発明の特定の実施形態では、使用するヒートパイプ520が2つ以上選択される場合、ヒートパイプの長さは異なっていてもよい。
【0087】
図7Aに例示的に示す限定空間冷却システム500の必須構成要素のうちの別の構成要素として、限定空間冷却システム500は、少なくとも1つの熱交換器530又はヒートシンク530を備える。少なくとも1つの熱交換器530、2つ、3つ若しくはそれ以上の熱交換器530又はヒートシンク530は、ヒートパイプ遠位端部522での蒸気凝縮によって放たれる潜熱を放散するように構成される。本発明の文脈において、熱交換器又はヒートシンク530に関して当業者に課せられる制限ははく、本発明の狭空間冷却システム500で使用される熱交換器又はヒートシンク530が、ヒートパイプ遠位端部522での蒸気凝縮によって放たれる潜熱を放散するように構成されている限り、熱を放散するという通常の特性を有する任意の知られている熱交換器(複数可)又はヒートシンク(複数可)530が使用されてもよい。
【0088】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明のさらに好ましい実施形態では、限定空間冷却システム500は、熱交換面を増加させる冷却フィン531を備える少なくとも1つの熱交換器又はヒートシンク530を備える。冷却フィン531は、熱交換器530の熱交換効率の向上に寄与することが有利であり、本発明の装置100で使用可能な限定空間冷却システム500による環境への熱放散を、より効率的に行うことができる。
【0089】
本発明によれば、図7Aに示すように、限定空間冷却システム500は、追加の構成要素及び任意選択的な構成要素として、少なくとも1つヒートパイプ520から放出される熱を少なくとも1つの熱交換器又はヒートシンク530を介して放散するのに特に適した、少なくとも1つの熱放散手段540を備えてもよい。少なくとも1つの熱放散手段540、特に1つ、2つ又はさらには3つの熱放散手段は、熱吸収媒体550に、少なくとも1つ、2つ、3つ又はそれ以上の熱交換器又はヒートシンク530から潜熱を取り込ませ、潜熱を限定空間冷却システム500の環境、例えば本発明の限定空間冷却システム500を取り巻く空気空間に放散させるように構成される。
【0090】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の装置100で使用可能なさらに好ましい実施形態では、限定空間冷却システム500は、例えば図7Aに示すように、熱吸収媒体550としての環境空気を、複数の熱交換面に沿って環境ガス空間に吹き付けるファン540を備える、少なくとも1つの熱放散手段540を備える。熱交換器の冷却フィン531に沿って空気550を吹き付けるファン540を設けることによって、冷却される限定空間において冷却作用を効果的に達成することができる。
【0091】
本発明の装置100で使用可能な好ましい実施形態による別の例として、少なくとも1つの熱交換器530は、少なくとも1つの熱交換器に沿って冷却流体を通過させ、以て熱放散媒体550としての冷却流体を、熱交換器530に沿って流れさせ、発熱器具10によって生成された熱の効率的な放散を行う、冷却ジャケットを備えてもよい。
【0092】
図7B図7C、及び図7Dは、本発明の装置100で使用可能な限定空間冷却システム500の他の実施形態を示す。図7B図7C、及び図7D、特に図7Dの分解図に示すように、本発明の装置100で使用可能な狭空間冷却システム500は、
方向付けられた化学放射線を対象に適用するための(発熱)装置10の一部としての少なくとも1つの光源アレイ320を備え、少なくとも1つの光源アレイ320は、少なくとも1つの波長の光を放出し、動作によって生成される熱をさらに放出する、少なくとも1つの光源310A、310Bを備え、前記冷却システム500は、
本発明のさらに好ましい実施形態ではLEDアレイ320用の固定具の少なくとも1つのバッキングプレートであり得る、少なくとも1つの熱界面510に密接に隣り合う前記放熱光源アレイ320から熱を吸収するように構成された、少なくとも1つの熱界面510と、
少なくとも1つのヒートパイプ520であり、ヒートパイプの内容積部に封入された流体の、ヒートパイプ近位端部521での液相から気相への相転移、及びヒートパイプ遠位端部522への前記蒸気の動きによって、少なくとも1つの光源アレイによって生成される熱を、熱界面510の近位にあるヒートパイプの端部521から、熱界面510の遠位にあるヒートパイプの端部522まで伝達するように構成され、流体の気相から液相への相転移が、ヒートパイプ遠位端部522での潜熱放出下での気相を液相に戻す凝縮、及び、凝縮された液相流体がヒートパイプ近位端部521へ戻ることによって行われる、少なくとも1つのヒートパイプ520と、
ヒートパイプ遠位端部522での蒸気凝縮によって放たれた潜熱を放散するように構成された少なくとも1つの熱交換器530又はヒートシンク530と、任意選択で、
熱吸収媒体550に、熱交換器530から潜熱を取り込ませ、潜熱を環境へ放散させるように構成された、少なくとも1つの熱放散手段540と
をさらに備える。
【0093】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明によって提供される限定空間冷却システム500は、少なくとも1つの通気孔560、より好ましくは2つ以上の通気孔560、例えば(図4に示すように)2つの通気孔560も備え、通気孔560を通して、少なくとも1つの熱放散手段540、好ましくはファン540が、熱交換器530から取り込まれた熱を環境に吹き出す。
【0094】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の装置100で使用可能なさらに好ましい実施形態では、特に図7Dに分解図と示す狭空間照明器具冷却システム500は、照明器具として、好ましくはLEDアレイ320の形のLED器具を備える。図7Dに示すように、LEDアレイ320は、少なくとも1つの波長の光を放出する少なくとも1つの追加の光源310A、310Bとして、少なくとも1つのLED322、又は複数のLED322を備える。少なくとも1つのLED322、又は複数のLED322は、その動作によって生成される熱をさらに放出する。当業者に知られているように、LED器具又はLEDアレイ320は、少なくとも1つの反射器332、好ましくは複数の反射器332を備える反射器アレイ330と協働することができる。LEDアレイ320と相関可能な、少なくとも1つの反射器332、又は複数の反射器332のアレイ330は、少なくとも1つのLED322、又は複数のLED322によって放出された光を、照射される対象又は人によって例示される標的に平行化する機能を有する。
【0095】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の装置100で使用可能なさらに好ましい実施形態では、限定空間照明器具冷却システム500、特に図7Dに分解図として示す限定空間照明器具冷却システム500は、蛍光カバー340をさらに備える。前記蛍光カバー340は、少なくとも1つの蛍光領域342を含み、対応する反射器332の円形開口部の場合、好ましくは、蛍光領域342として複数のリング342を含み、さらにより好ましくは、前記複数の蛍光領域又はリング342は、反射器アレイ330の複数の反射器332に対応し、少なくとも1つの反射器332の前縁部、好ましくは反射器アレイ330の各反射器332の前縁部を覆う。このような複数の蛍光領域342は、可視波長範囲の蛍光を放出するように、少なくとも1つのLED322又は複数のLED322によって放出される光によって励起可能な染色材料を備えた(例えば、混合されたものを含有する、又は合金化されたものを含有する)材料(例えば、ポリマー)で構成されるか、少なくとも1つのLED322又は複数のLED322によって放出される光によって励起可能な染料でコーティングされるかのいずれかである。後者の特徴により、(1つ又は複数の)LED322によって放出される光自体が、非可視波長範囲の波長を有する(例えば、LED322又は複数のLED322が放出するUV光である)、したがって見る人には識別できない場合でも、LED及び反射器アレイを見ている人は、複数のLED322を有するLEDアレイ320が動作していると認識することが可能になる。
【0096】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の装置100で使用可能な限定空間照明器具冷却システム500のいくつかのさらに好ましい実施形態では、特に図7Dに分解図として示す限定空間照明器具冷却システム500において、単独の1つの特徴、2つを合わせた特徴、又はすべてを合わせた特徴が、第1の実施形態の一般的な限定空間冷却システムに関連して上記で詳細に説明した特徴である、さらなる特徴を特徴とし、これらの特徴は上記で詳細に説明したものであり、したがって、ここでは2度目の詳細な説明は必要としない。さらに、前記限定空間照明器具冷却システム500の追加の実施形態、及び追加の場合の好ましい実施形態は、上記で詳細に説明されている。
【0097】
言い換えれば、方向付けられた化学放射線を対象/使用者200に適用するための放射線照射装置100に関する本発明は、上記で詳細に説明した、熱が発生する又は発生する可能性がある場所、及び効率の高い冷却システムを収容するために、限定/制限された空間しか利用できない場所での冷却を実現するための限定空間冷却システム500の使用も含む。
【0098】
同様に、方向付けられた化学放射線を対象/使用者200に適用するための装置100に関する本発明は、上記で詳細に説明した、照明器具320の光源322を冷却するため、好ましくは、同時に又は順次に動作する複数のLED322を含むLED器具320を冷却するため、特に、治療若しくは疾患予防の目的で、又は美容若しくは健康の目的で、ヒトの身体又はその一部分を照射するための装置100の、LEDアレイの1つ又は複数のLEDを含む光源を冷却するための、限定空間照明器具冷却システム500の使用も含む。
【0099】
さらなる態様において、本発明はまた、上記の放射線照射装置100を動作させる方法に関する。具体的には、本発明は、方向付けられた化学放射線を対象200に適用する装置100を動作させる方法に関し、前記方法は、
上記で詳細に説明及び/又は記載したような装置100を用意するステップと、
装置の追加の化学線光放射発光源310A、310Bのうちの少なくとも1つが、方向付けられた化学放射線を、装置100の長手方向軸線A-Aと鋭角を成す方向で、前記装置100の上又は中に収容されている対象200に向けて放出することを可能にすることによって、装置の追加の化学線光放射発光源310A、310Bのうちの少なくとも1つを動作させるステップとを含む。
【0100】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、上記の装置100の動作は、人間である対象に対して行われる。
【0101】
本発明の1つ、2つ又は他のすべての特徴で実現することができ、本発明を限定すると解釈されるべきではない、本発明の装置100で使用可能な方法の他のさらに好ましい実施形態では、装置の追加の化学線光放射発光源310A、310Bのうちの1つ、好ましくは複数の動作は、前記追加の光源によって放出された放射線を、装置100の長手方向軸線A-Aと8~50度(°)の範囲の角度を成す方向に方向付けることによって行われる。放射線を15~45度の角度で対象/使用者200に方向付けることによって、対象/使用者の身体の通常このような放射線の標的とされない領域に、所望の化学放射線を高効率で提供できることが、さらにより好ましい。したがって、所望の美容効果又は健康効果を達成することができ、例えば、物体/使用者の頭皮及び肩の日焼けは、使用者の全身の日焼けと同じ方法で行うことができる。
【0102】
本発明は、装置100に関する好ましい実施形態に関連して上記で説明されており、追加の光源310A、310Bは、前記追加の光源310A、310Bによって放出された光、放射線を平行化する少なくとも1つの反射器332又は複数の反射器332を有する少なくとも1つのLED322又は複数のLED322を備えるものとして具現化される。上部光源170u及び/又は下部光源170lもまた、追加の光源の構成と同様に又は独立して、追加の光源について上記で説明したように前記光源170u、170lによって放出された光、放射線を平行化する少なくとも1つの反射器又は複数の反射器を有する少なくとも1つのLED又は複数のLEDを備えるように構成され得ることを理解されなければならない。
【0103】
本発明は、狭空間照明器具冷却システム500に関する好ましい実施形態に関連して上記で説明されており、狭空間照明器具冷却システム500は、LED又は複数のLEDとして具現化された追加の光源310A、310Bに割り当てられた1つ又は複数のヒートパイプを備える。上部光源170u及び/又は下部光源170lもまた、追加の光源の構成と同様に又は独立して、前記上部光源170u及び/又は前記下部光源170lのうちの前記1つ又は複数に割り当てられた1つ又は複数のヒートパイプを備える同様の狭空間照明器具冷却システムを備えるように構成され得ることを理解されなければならない。
【0104】
本発明は、追加の光源310A、310Bに関する好ましい実施形態に関連して上記で説明されており、追加の光源310A、310Bは、蛍光カバー340が設けられる少なくとも1つのLED322又は複数のLED322を備え、蛍光カバー340は、前記少なくとも1つのLED322又は複数のLED322によって放出される非可視光によって励起可能な少なくとも1つの蛍光領域342を含み、蛍光領域342に可視波長範囲の蛍光を放出させる。上部光源170u及び/又は下部光源170lもまた、追加の光源の構成と同様に又は独立して、このような蛍光カバーが設けられ得ることを理解されなければならず、蛍光カバーは、上部光源170u及び/又は下部光源170lの少なくとも1つのLED又は複数のLEDによって放出される非可視光によって励起可能な少なくとも1つの蛍光領域を含み、蛍光領域に出て可視波長範囲の蛍光を放出させる。
【0105】
本発明について、その一般的な態様及びその好ましい態様に関連して上記で説明した。しかしながら、本発明は、好ましいものとして上記で詳細に説明した実施形態、したがって例示的な実施形態に限定されない。本発明の範囲は、同封の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0106】
100…方向付けられた化学放射線の適用のための装置、110…露光トンネル、111…露光トンネルの頭側長手方向端部、112…露光トンネルの脚側長手方向端部、120…半円筒バレル形状の第1の面、130…内部空間、140…第2の面、141…半円筒バレル形状の第2の面、142…略平坦(な第2の)面、143…追加の弓状又は略平坦面、150、160…外部空間、170…光源(複数可)、170u/170l…上部光源/下部光源、180、190…シャーシの第1の(上方)部分/第2の(下方)部分、182、192…第1/第2のシャーシ部分180、190に電力を供給するための手段、183、193…加熱/冷却手段、184、194…処理ユニットを含む装置動作手段、200…対象/使用者、205…使用者の頭、207…使用者の頭皮、210…使用者の肩(複数可)、215…使用者の腕(複数可)、220…使用者の脚(複数可)、300…追加の放射線源を格納するさらなる外部空間、310A、B…追加の放射線源、320…光源アレイ/LEDアレイ、321…光源アレイ(LEDアレイ)の固定具のバッキングプレート、322…LED/複数のLED、330…光源/LEDアレイに対応する反射器アレイ、332…反射器、340…蛍光カバー、342…蛍光領域、500…狭空間(照明器具)冷却システム、510…熱界面、520…ヒートパイプ(複数可)、521…ヒートパイプ近位端部、522…ヒートパイプ遠位端部、530…熱交換器、540…熱放散手段/ファン/冷却ジャケット、550…熱吸収媒体、560…通気孔、A…装置100の長手方向軸線。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D