(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】抗微生物ペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/46 20060101AFI20241023BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241023BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241023BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241023BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241023BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241023BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241023BHJP
C40B 30/04 20060101ALI20241023BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C07K14/46 ZNA
C12N15/63 Z
A61P31/00
A61P31/04
A61P35/00
A61P29/00
A61K38/17
C40B30/04
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2021533350
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 CA2019051778
(87)【国際公開番号】W WO2020118427
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521252900
【氏名又は名称】プロビンシャル ヘルス サービシズ オーソリティー
(73)【特許権者】
【識別番号】521253701
【氏名又は名称】ユーブイアイシー インダストリー パートナーシップス インコーポレテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビロル、イナック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルビング、カレン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド、スチュワート オースティン
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/039857(WO,A1)
【文献】米国特許第07862826(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00
CAplus/REGISTRY(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号46のアミノ酸配列
からなる抗微生物ペプチ
ド。
【請求項2】
請求項
1に記載の抗微生物ペプチド及び適切な賦形剤を含む組成物。
【請求項3】
疾患又は状態の処置又は予防における使用のための、請求項
2に記載の組成物。
【請求項4】
疾患又は状態が感染性である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
疾患又は状態が抗酸菌に起因するものである、請求項
3に記載の組成物。
【請求項6】
疾患又は状態が他の薬物に耐性を有する細菌に起因するものである、請求項
3に記載の組成物。
【請求項7】
疾患又は状態が固形腫瘍に起因するものである、請求項
3に記載の組成物。
【請求項8】
疾患又は状態が液性腫瘍に起因するものである、請求項
3に記載の組成物。
【請求項9】
経口送達用、注射送達用、経直腸送達用、局所送達用、経皮送達用、経鼻送達用又は経眼送達用として製剤化されている、請求項
2~
8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
凍結乾燥されている請求項2~
8のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
疾患又は状態の処置又は予防を必要としている対象における前記処置又は予防のための医薬品を調製するための、請求項
1に記載の抗微生物ペプチドの使用。
【請求項12】
疾患又は状態が感染性である、請求項
11に記載の使用。
【請求項13】
疾患又は状態がグラム陰性細菌に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項14】
疾患又は状態がグラム陽性細菌に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項15】
疾患又は状態が抗酸菌に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項16】
疾患又は状態が他の薬物に耐性を有する細菌に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項17】
疾患又は状態が固形腫瘍に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項18】
疾患又は状態が、液性腫瘍に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項19】
疾患又は状態が大腸菌、S.エンテリカ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿レンサ球菌、M.スメグマチス、MRSA、S.エンテリティディス又はS.ハイデルベルク細菌に起因するものである、請求項
11に記載の使用。
【請求項20】
対象がヒトである、請求項
11~
19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
対象が動物である、請求項
11~
19のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
それを必要とする対象に請求項
1に記載のペプチド又は請求項
2に記載の組成物の有効量を投与することを含む、疾患又は状態を処置又は予防する方法で用いるための、医薬組成物。
【請求項23】
疾患又は状態がグラム陰性細菌に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
疾患又は状態がグラム陽性細菌に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
疾患又は状態が抗酸菌に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
疾患又は状態が他の薬物に耐性を有する細菌に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項27】
疾患又は状態が固形腫瘍に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項28】
疾患又は状態が液性腫瘍に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項29】
疾患又は状態が大腸菌、S.エンテリカ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿レンサ球菌、M.スメグマチス、MRSA、S.エンテリティディス又はS.ハイデルベルク細菌に起因するものである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【請求項30】
対象がヒトである、請求項
22~
29のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項31】
対象が動物である、請求項
22~
29のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項32】
請求項
1に記載の抗微生物ペプチドを含む脂質小胞。
【請求項33】
請求項
1に記載の抗微生物ペプチドをコードする核酸分子。
【請求項34】
請求項
33に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項35】
以下を含む、感染因子と関連する標的分子を同定する方法、ただし前記標的分子は請求項
1に記載の抗微生物ペプチドに結合するものである:
前記感染因子と関連する候補標的分子のライブラリーのスクリーニングを、前記抗微生物ペプチドに結合する分子について行うステップ。
【請求項36】
感染因子がグラム陰性細菌である、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
感染因子がグラム陽性細菌である、請求項
35に記載の方法。
【請求項38】
感染因子が抗酸菌である、請求項
35に記載の方法。
【請求項39】
感染因子が他の薬物に耐性を有する細菌である、請求項
35に記載の方法。
【請求項40】
感染因子が大腸菌、S.エンテリカ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿レンサ球菌、M.スメグマチス、MRSA、S.エンテリティディス又はS.ハイデルベルク細菌である、請求項
35に記載の方法。
【請求項41】
以下を含む、生物学的活性をモジュレートするための標的分子を同定する方法、ただし前記標的分子は請求項
1に記載のペプチドに結合するものである:
候補標的分子のライブラリーのスクリーニングを、前記ペプチドに結合する分子について行うステップ。
【請求項42】
生物学的活性のモジュレートが、抗腫瘍作用、抗炎症作用又は炎症作用を含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
抗腫瘍作用が固形腫瘍に対してのものである、請求項
42に記載の方法。
【請求項44】
抗腫瘍作用が液性腫瘍に対してのものである、請求項
42に記載の方法。
【請求項45】
候補標的分子のライブラリーのスクリーニングがin silicoスクリーニングを含む、請求項
35~
44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
感染因子と関連する標的分子を同定するためのキットであって、請求項
1に記載の抗微生物ペプチドを、請求項
35~
40のいずれかに記載の方法を行うための指示書とともに含むもの。
【請求項47】
生物学的活性をモジュレートするための標的分子を同定するためのキットであって、請求項
1に記載のペプチドを、請求項
41~
45のいずれかに記載の方法を行うための指示書とともに含むもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月12日に出願された米国特許仮出願第62/778,450号の優先権の利益を主張し、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金助成を受けた研究又は開発に関する記述
【0002】
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号R01HG007182の下で米国政府支援により部分的に行われた。米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
本開示は一般に、疾患の処置又は緩和のための抗微生物ペプチドに関する。
【0004】
背景
微生物感染症の治療として又は微生物感染症の進行を遅くする若しくは抑える化学予防薬として有用なペプチド及びその医薬組成物のニーズが存在する。
【0005】
家畜における抗生物質の使用は、ヒト疾患に対処するための医学的使用に対して直接及び間接的な影響を有する場合がある。全産業における抗生物質の遍在的使用は、最も一般的な抗生物質に対して耐性を持つようになった超細菌の出現の一因となった。いくつかの系統は、多剤耐性を示し、これは世界的な懸念である。とはいえ、ヒトと動物両方の健康における難題に対処するために新たな抗生手法の探索が、本格的に続いている。
【0006】
潜在的な環境の影響、薬剤耐性の増大、及び抗生物質入り肉又は乳製品の摂取の可能性のため、消費者は、予防的抗生物質の使用を懸念している。これらの懸念に対処するために家畜における予防的抗生物質使用の制限が実施されてきたが、疾患負担の増大により動物の感染率が増大し生産性の低下を招くなどの下流の結果を有する。その後に抗生物質で処置される病気の動物は、潜在的な薬剤耐性を助長し続けることになる。狭い所で生産される家禽及びブタは、疾患の急速な蔓延の影響を特に受けやすい。家畜動物において感染性疾患を減少させる異なる手法が開発中であり、新たな抗生手法の調査及びワクチン開発を包含する。小分子薬物が、従来使用されてきたが、抗微生物ペプチド及びポリペプチド治療的手法も検討中である。
【0007】
したがって、新たな抗微生物手法を発見して、ヒト並びに動物において疾患の発生及び蔓延を減少させることが望ましい。
【0008】
概要
抗微生物特性を持つペプチド及び/又はアミノ酸配列が、本明細書に記載されている。効果を呈する配列から開始し、戦略的な修飾をそれに行うというバイオインフォマティクス手法により、抗微生物ペプチドの発見に至った。バイオインフォマティクス手法では、機能的同等性を可能にするために、配列間の充分な類似性が維持され得る。コンセンサスが得られる単離された配列と類似の配列も記載されている。そのような類似配列は、保存アミノ酸の置換及び限定された数の非保存的修飾を含有する。
【0009】
これまでの抗微生物手法のうちの少なくとも1つの短所を回避又は緩和し得る抗微生物ペプチドを提供することが本開示の目的である。
【0010】
配列番号1~配列番号166のうちのいずれか1つによるアミノ酸配列、又は配列番号1~配列番号166のいずれか1つと少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくはバリアントを含む抗微生物ペプチドが、本明細書に記載されている。
【0011】
更に、記載されている抗微生物ペプチドを適切な賦形剤と一緒に含む組成物が、本明細書に記載されている。
【0012】
記載されている抗微生物ペプチドを含む組成物は、感染性疾患などの疾患又は状態の処置又は予防における使用のための組成物であり得る。
【0013】
それを必要とする対象における疾患又は状態の処置又は予防のための抗微生物ペプチドの使用が提供される。更に、それを必要とする対象における疾患又は状態の処置又は予防のための医薬品を調製するための抗微生物ペプチドの使用も、本明細書に記載されている。加えて、それを必要とする対象に抗微生物ペプチド又はその組成物の有効量を投与することを含む、疾患又は状態を処置又は予防する方法が記載されている。疾患は、例えば、感染性疾患であってよい。対象は、ヒト又は家畜動物若しくは伴侶動物などの動物でよい。
【0014】
抗微生物ペプチドを含む脂質小胞が記載されている。抗微生物ペプチドをコードしている核酸分子も、そのような核酸分子を含むベクターとして提供される。
【0015】
感染因子と関連する標的分子を同定する方法が記載され、標的分子は、抗微生物ペプチドに結合する。本方法は、抗微生物ペプチドに結合する分子について、感染因子と関連する候補標的分子のライブラリーをスクリーニングすることを含む。感染因子と関連する標的分子を同定するためにそのような方法を行うためのキットについても記載され、キットは、本明細書に記載されている抗微生物ペプチドを指示書と一緒に含む。
【0016】
本開示の他の側面及び特徴は、添付の図と併せて特定の態様の以下の説明の総説により通常の熟練した当業者に明らかになるであろう。
【0017】
本開示の態様は、添付の図を参照して、例のためだけに、次に記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】推定のAMP前駆体配列とそれに最も近い公知のAMPとの一致のクラスタルオメガ整列化を示す図である。パネルAは、シューダクリス・レジラ(Pseudacris regilla)ラナツエリン-2PRc(配列番号15)とR.カテスベイアナ(R.catesbeiana)HP2(配列番号16)とを比較する。パネルBは、7つのラナツエリン前駆体配列(配列番号17~配列番号23)を整列させる。パネルCは、R.カテスベイアナ由来の3つのラナサイクリン(Ranacyclin)前駆体配列(配列番号24~配列番号26)を整列させる。パネルDは、R.カテスベイアナ由来のカテスベイアニン(Catesbeianin)-1前駆体配列(配列番号27及び配列番号28)を比較する。パネルEは、R.カテスベイアナ由来のパラストリン-Ca前駆体配列(配列番号29及び配列番号30)を整列させる。
【0019】
【
図2】パネルA-HP2;パネルB-HP3;及びパネルC-HP5の得られた成熟ペプチド対公知の成熟AMP配列間のSABLE二次構造予測の対比を示す図である。パネルDはSABLE予測の凡例として、指示されたアミノ酸(AA)位置を上段に、予測される二次構造を中段に及び相対的溶媒接触性(RSA)を下段に、提供している。
【0020】
【
図3】推定及び公知のAMPをコードしている転写産物が、R.カテスベイアナ変態前期のオタマジャクシの背部表皮(黒い棒)、肝臓(濃い灰色の棒)、嗅上皮(明るい灰色の棒)及び尾鰭(白色の棒)において差異的発現を示すことを例示する図である。
【0021】
【
図4】推定のAMP前駆体配列とそれに最も近い公知のAMPとの一致のクラスタルオメガ整列化を示す図である。パネルAは、アモロプス・ロロエンシス(Amolops loloensis)カテリシジン-AL配列(配列番号31)を対応するR.カテスベイアナ カテリシジン-AL配列(配列番号32)と比較する。パネルBは、ナノラナ・パーケリ(Nanorana parkeri)予測LEAP2配列(配列番号33)を対応するR.カテスベイアナLEAP2配列(配列番号34)と比較する。
【0022】
【
図5】指示された推定及び公知のAMPをコードしている転写産物を表すRNA-seqデータが、10nM T3に48時間曝露したオタマジャクシ(灰色の棒)と対比して、対照のオタマジャクシのパネルA-背部表皮;パネルB-肝臓;パネルC-嗅上皮;及びパネルD尾鰭(黒色の棒)について示される図である。
【0023】
【
図6】選択的にスプライスされる2つのエクソンを含有するラナツエリン-1及びラナツエリン-3RC遺伝子を示す図である。(パネルA)ラナツエリン-1及びラナツエリン-1(HP4)及び(パネルB)ラナツエリン-3RC及びラナツエリン-3RC(HP8)をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造、最上段の実例は、指示された尺度に描かれた遺伝子を表し、エクソン部分が黒色の長方形として図示され、イントロン領域が太い黒色の線で図示される。イントロン領域は、遺伝子の下の標識された転写産物においてスプライスされる細い線として示される。スプライスされた転写産物における灰色の長方形は、非翻訳領域を示し、斜線の長方形は、オープンリーディングフレームを示す。
【0024】
【
図7】3つのエクソンを有するラナツエリン-2PRc(HP2)、ラナツエリン-2RC及びラナツエリン-4遺伝子を示す図である。(パネルA)ラナツエリン-2PRc(HP2)、(パネルB)ラナツエリン-2RC、及び(パネルC)ラナツエリン-4をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が示される。
【0025】
【
図8】一方が3つのエクソン、他方が1つのエクソンを含むラナサイクリンをコードする2つの遺伝子を示す図である。(パネルA)ラナサイクリン-Ca及びラナサイクリン-Cc、及び(パネルB)ラナサイクリン-Ca(HP3)をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。
【0026】
【
図9】2つのエクソン遺伝子によってコードされるパラストリン-Ca、並びに単一のエクソン遺伝子によってコードされるパラストリン-Ca(HP9)及びHP5を示す図である。(パネルA)パラストリン-Ca、(パネルB)パラストリン-Ca(HP9)、及び(パネルC)HP5をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が示される。
【0027】
【
図10】4つのエクソンから得られるものとしてLEAP2及びカテリシジン-ALを例示する図である。R.カテスベイアナ(パネルA)LEAP2及び(パネルB)カテリシジン-ALをコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。
【0028】
詳細な説明
抗微生物特性を持つペプチド及び/又はアミノ酸配列が、本明細書に記載されている。効果を呈する配列から開始し、戦略的な修飾をそれに行うというバイオインフォマティクス手法により、抗微生物ペプチドの発見に至った。バイオインフォマティクス手法では、機能的同等性を可能にするために、配列間の充分な類似性が維持され得る。コンセンサスが得られる単離された配列と類似の配列も記載されている。そのような類似配列は、保存的アミノ酸置換を限定された数の、修飾又は欠失などの非保存的置換と一緒に含有してよいが、機能性をなお維持している。
【0029】
これらのペプチド及びその医薬組成物並びにその修飾物も、微生物感染症の治療として又は微生物感染症の進行を遅くする若しくは抑える化学予防薬として有用である。本明細書に記載されているペプチドの修飾は、それだけには限らないが、脂質小胞中にペプチド又はその修飾物を組み込んで、治療的送達及び他のADMET特性(吸収、分布、代謝、排出、毒性)のモジュレーションを増強することも同様に包含し得る。
【0030】
ペプチドの化学的修飾が記載され、その修飾が、安定性を増強させるのに有用であり、さもなければ所望の適用のためにペプチドをより薬物様且つ有用にさせることは、ペプチド化学の熟練した当業者に公知である。そのような修飾には、ペプチド環化及び反対の鏡像異性、いわゆるD-アミノ酸のアミノ酸の使用がある。そのような修飾は、選択的な骨格化学及び結合特異性を保持する新規側鎖も包含する。
【0031】
他の微生物標的に対するペプチドの適用及び当業技術者にとって明らかなペプチドの修飾も記載されている。ある型の感染症に有用で有効な抗微生物治療は、他の疾患において有用で有効であり得る。
【0032】
抗微生物ペプチドを生産する目的で開示されたペプチド及び/又はそのアミノ酸配列並びにコーディング核酸配列を組み込んだベクター構築物も記載されている。
【0033】
本明細書に記載されているペプチド、及びその修飾物は、感染性疾患又はがんなどの疾患の処置若しくは予防のための他の抗微生物剤と組み合わせても有用である。
【0034】
感染因子と関連するAMPの結合相手(標的分子)を単離及び同定する手順における、AMP単独か又はキット部分としてかいずれかの使用も記載されている。
【0035】
本明細書に記載されているペプチド及び/又はアミノ酸の配列は、選択的な抗微生物特性を有する。更なる側面及び利点は、様々な態様の続く説明に関する考察から明らかになるであろう。当技術に熟達した者は、他の態様、組み合わせ及び変形が可能であり、本明細書に記載されている詳細が、全て、全体の概念を逸脱することなくいくつかの点で改変され得ることを認識することになる。従って、以下の図面、説明及び例は、事実上例示的であり、制限的でないと考えられる。
【0036】
疾患又は状態の処置又は予防は、疾患又は状態の外的徴候又は症状が対象に見られる前後における処置を包含する。例えば、感染因子に曝露された対象は、症状を呈し得る又は呈し得ない。更に、疾患又は状態の予防又は予防は、部分的な予防、発病が起こる場合に重症度を減弱する、外的徴候若しくは症状の可能性を低下させる、又は重症度を検出不可能な若しくは無視できるほどに低く保つことによって感染症の蔓延を予防することを包含し得る。処置及び予防は、対象自身の防衛力が感染症などの疾患又は状態を撃退する程度まで対象の免疫系をモジュレートすることを含み得る。本明細書に記載されているペプチドの炎症性又は抗炎症性効果は、疾患又は状態の外的徴候又は症状をモジュレートし得る。
【0037】
固形腫瘍又は液性腫瘍に対するなど、抗がん活性は、本明細書に記載されているペプチドによってモジュレートされ得る。ペプチドによる免疫系に対する効果を介する本明細書に記載されているペプチドによるがん細胞への間接的攻撃は、がん性細胞の増殖を軽減し得る。
【0038】
配列番号1~配列番号166のうちのいずれか1つによるアミノ酸配列、又は配列番号1~配列番号166のいずれか1つと少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくはバリアントを含む抗微生物ペプチドが記載されている。バリアント又は断片に対するアミノ酸配列同一性の閾値は、任意に、配列番号1~配列番号166のいずれか1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のアミノ酸配列同一性でよい。
【0039】
抗微生物ペプチドは、修飾されてよく、又は保存的アミノ酸置換である修飾を含むバリアントでよい。当業者に公知であるそのようなアミノ酸配列には、以下の候補:Ala(Gly、Ser);Arg(Gly、Gln);Asn(Gln、His);Asp(Glu);Cys(Ser);Gln(Asn、Lys);Glu(Asp);Gly(Ala、Pro);His(Asn、Gln);Ile(Leu、Val);Leu(Ile、Val);Lys(Arg、Gln);Met(Leu、Ile);Phe(Met、Leu、Tyr);Ser(Thr、Gly);Thr(Ser;Val);Trp(Tyr);Tyr(Trp、Phe);及びVal(Ile、Leu)があり、置換可能な選択肢を括弧内に示す。更に、「機能的」バリアント、突然変異、挿入、又は欠失は、活性又は機能が、変更された配列が得られる参照配列と実質的に同じ配列を包含する。活性又は機能は、MIC又はMBCなど、本明細書に記載されているパラメーターにより試験されてよい。更に、例えばPEG化によって、ペプチドの抗原性を減少させることが望ましい場合があり、又はペプチドはD-アミノ酸を含んでよい。ペプチドは環化されてよい。
【0040】
抗微生物ペプチドは、長さ最大30アミノ酸であるペプチド又は断片でよい。例えば、それは長さ最大20アミノ酸のペプチド又は断片でよい。典型的な抗微生物ペプチドは、配列番号1~配列番号65のうちのいずれか1つによるアミノ酸配列を含む又はそれからなるものでよい。
【0041】
薬学的に許容可能な担体など、本明細書に記載されている抗微生物ペプチドを含む組成物が、適切な賦形剤と一緒に本明細書に記載されている。組成物は、感染性疾患、若しくは固形腫瘍若しくは液性腫瘍に起因し得る可能性があるようながんなどの疾患又は状態の処置又は予防における使用に適切なものでよい。
【0042】
組成物は、経口、注射可能、直腸、局所、経皮、経鼻又は眼送達用として製剤化されてよい。従って、そのような組成物は、局所的(散剤、軟膏又は目薬による);口内錠、カプセル剤、ゲル若しくは液剤;又は肛門座剤などあらゆる許容可能な経路によってそれを必要とする対象に投与され得る。送達の更なる様式には、粘膜、舌下、非経口、経腟、腹膜内、口腔(bucally)、眼又は鼻腔内的がある。
【0043】
液体製剤での経口使用又は投与のために製剤化される場合、賦形剤又は成分は、それだけには限らないが、医薬製剤の当業者に受け入れられるもの、例えば乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ及びエリキシルを包含し得る。液体剤形は、水又は他の溶媒、可溶化剤、乳化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、若しくはジメチルホルムアミドなどの不活性希釈剤を含有してよい。更に、液体製剤は、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、トウゴマ及びゴマ油などの油;グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル;並びにその混合物を含んでよい。不活性希釈剤に加えて、このような経口組成物は、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤並びに芳香剤などのアジュバントを包含することもできる。
【0044】
組成物は、凍結乾燥されるものでよい。組成物は、適切な保存剤を含んでよい。
【0045】
組成物は、ブタ又は家禽などの家畜を対象とする食餌中に均一に分布しているものでよい。そのような組成物は、粉砕若しくは粉末化された成分に噴霧又は混合され、その後より粗い動物飼料中に均一に混合されて、均一な分布を確実にされ得る。
【0046】
それを必要とする対象における感染性疾患などの疾患又は状態の処置又は予防のための、抗微生物ペプチドの使用が、本明細書で提供される。疾患又は状態は、固形腫瘍又は液性腫瘍などのがんでよい。
【0047】
更に、それを必要とする対象におけるそのような疾患又は状態の処置又は予防のための医薬品を調製するための使用が提供される。そのような疾患又は状態を処置又は予防する方法も本明細書に記載され、その方法は、それを必要とする対象に本明細書に記載されているペプチド又は組成物の有効量を投与することを含む。
【0048】
疾患又は状態は、グラム陰性細菌に起因し得るものでよく、又はグラム陽性細菌に起因し得る疾患又は状態でよい。疾患又は状態は、抗酸菌に起因し得るもの、又は他の薬物に耐性になった細菌に起因し得るものでよい。そのような疾患又は状態は、例えば、大腸菌(E.coli)、S.エンテリカ(S.enterica)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、緑膿菌(P.aeruginosa)、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)、M.スメグマチス(M.smegmatis)、MRSA、S.エンテリティディス(S.enteritidis)又はS.ハイデルベルク(S.Heidelberg)細菌に起因し得るものでよい。
【0049】
更に、疾患又は状態は、固形腫瘍又は液性腫瘍などのがんでよい。
【0050】
脂質小胞を使用して、本明細書に記載されている抗微生物ペプチドを送達してよい。記載されている抗微生物ペプチドをコードしている核酸分子も想定されている。核酸分子を含むベクターも包含される。
【0051】
感染因子と関連する標的分子を同定する方法が記載され、標的分子は、本明細書に記載されている抗微生物ペプチドに結合する。そのような方法は、抗微生物ペプチドに結合する分子について、感染因子と関連する候補標的分子のライブラリーをスクリーニングすることを含む。感染因子は、グラム陰性細菌でよく、又はグラム陽性細菌でよい。更に、感染因子は、抗酸菌、又は他の薬物に耐性になった細菌でよい。典型的な感染因子は、それだけには限らないが、大腸菌、S.エンテリカ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿レンサ球菌、M.スメグマチス、MRSA、S.エンテリティディス又はS.ハイデルベルク細菌を包含する。更に、生物学的活性をモジュレートするための標的分子を同定する方法が記載され、標的分子は、本明細書に記載されているペプチドに結合する。ペプチドに結合する分子について候補標的分子のライブラリーをスクリーニングすることを含む方法。生物学的活性のモジュレートは、抗腫瘍作用、抗炎症作用又は炎症作用を含み得る。標的を同定するそのような方法において、候補標的分子のライブラリーのスクリーニングは、in silicoスクリーニングを含んでよい。
【0052】
感染因子と関連する標的分子を同定するためのキットが、本明細書に包含される。そのようなキットは、本明細書に記載されている抗微生物ペプチドを、感染因子と関連する標的分子を同定するための本明細書に記載されている方法を行うための指示書と一緒に含む。任意に、追加の試薬が、キットと共に提供されてよい。生物学的活性をモジュレートするための標的分子を同定するためのキットも記載されている。そのようなキットは、本明細書に記載されているペプチドを、ペプチドに結合する分子のスクリーニング方法を行うための指示書と一緒に含む。
【0053】
例
以下の例は、典型的な態様及び/又はそれに関係して行われた研究を概説する。例は例示的なものであり、制限的であると見られるべきではない。
(例1)
【0054】
バイオインフォマティクス手法:R.カテスベイアナ転写産物由来抗微生物ペプチド
【0055】
概要。抗微生物ペプチド(AMP)は、広スペクトル抗微生物活性を呈し、新たな治療的薬剤としての将来性を有する。北アメリカウシガエル(ラナ[リトバテス]カテスベイアナ)(Rana[Lithobates]catesbeiana)の成体は、高効力のAMPの豊富な供給源であるが、水生オタマジャクシは、新たなAMP発見のために比較的利用されていない供給源を示す。ウシガエルゲノム及びトランスクリプトーム資源の最近の発表は、公知のAMPとバイオインフォマティクスによるAMPの発見の間の絶好の架け橋を提供する。本研究の目的は、バイオインフォマティクスとウェットラボの組み合わせに基づく手法を使用して治療的潜在性を持つ新規のAMPを同定することであった。本研究において、オタマジャクシにおいて発現される新規の7種のAMP前駆体コード転写産物が、同定された。それらのアミノ酸配列と公知のAMPとの比較から、プレプロ配列に変動はあるが、成熟ペプチド配列の保存の証拠が明らかになった。2つの成熟ペプチド配列が固有であり、マイコバクテリアに対する静菌及び殺菌作用が実証されたが、グラム陰性又はグラム陽性細菌に対しては実証されなかった。9種の公知の及び新規の7種のAMPコード転写産物が、変態前期のオタマジャクシ背部表皮、嗅上皮、肝臓及び/又は尾鰭に検出された。10nM 3,5,3’-トリヨードサイロニンによる48時間のオタマジャクシの処置は、背部表皮中の転写産物の存在量に影響を及ぼさず、他の3つの組織ではこれらの転写産物に対して限定的な影響があった。遺伝子マッピングから、AMPコード遺伝子のサイズ(1.6~15kbp)及びエクソン数(1~4個)には相当な多様性があり、プレプロと成熟アミノ酸配列の両方の多様性をもたらす選択的スプライシングの明確な証拠が明らかになった。これらの発見は、ウシガエルのゲノムアセンブリの精度及び有用性を検証し、バイオインフォマティクスに基づくAMPの発見の確固たる基盤を整えた。
【0056】
導入
流行性の世界的疾患を引き起こす細菌性病原体の中で抗生物質耐性は、今日、世界が直面する最も重大な公共の脅威の1つとして出現した1-3。疾病対策予防センターによって行われた分析によると、米国において毎年少なくとも23000名の死亡が、抗生物質耐性生物によって引き起こされる感染症に起因すると推定されている1。2015年に、世界保健機構は、抗微生物剤の使用の最適化及び抗微生物耐性に対抗するための持続可能な投資を包含する戦略目的による抗微生物耐性に対抗するための世界的行動計画を承認した4。従って、選択的な抗微生物性物質の発見及び開発は、世界的に切迫したニーズである。従来の抗生物質治療に代わるものとして、抗微生物ペプチド(AMP)が、潜在的治療法として関心を集めている5。AMPは、細菌、真菌及びウイルスを包含した広スペクトルの病原体に対する防御として全ての多細胞生物によって産生される多様なクラスのペプチドであり、自然免疫系の中心成分と考えられている6-8。
【0057】
全体のAMPが、注目に値する配列及び構造的多様性を呈するが、共通性は、100アミノ酸未満の典型的な長さ、正の正味電荷、並びに二次構造:β鎖、αらせん、拡張コイル及びループに基づく4つの固有の群のうちの1つの一員であること、を包含する。これらの群の中で、αらせんAMPが、最も研究されており、最も一般的である6、9、10。疎水性残基の分布に加えて、AMPの陽イオン性の性質は、これらのペプチドが病原体と相互作用し、中和することを可能にし、その全体の機能に寄与している6、11。
【0058】
AMPの構造は、系統樹の間で変動性を示し得る12。両生類のAMPは、N末端シグナルペプチド先行配列、AMPを不活性形態に維持するために機能する隣接するプロ配列及びC末端成熟ペプチド配列で一般に構成される。全ての真核生物AMPは、プロペプチド転換酵素によってタンパク質分解性にプロセシングされて活性な成熟ペプチドを生ずる前駆体として合成される8、13-15。AMPシグナルペプチド及びプロ配列は、ファミリー内で一般に保存されているが、成熟ペプチド配列はかなり変動しており、抗微生物ペプチドの機能的部分を構成している8。これらの特徴は、大きいデータセットから新規のAMPを同定し、特徴付けるために利用され得る10。更に、微生物膜の破壊16、巨大分子合成の阻害17及び免疫系のペプチド誘導型モジュレーション18など、AMPによって利用される抗微生物作用の多面的な機序のため、微生物は、従来通りの抗生物質よりこれらのペプチドに対して耐性を発症する可能性が低い。いくつかのAMPは、現在臨床背景において使用されており、より多くのAMPが、治療的潜在性を確かめるために臨床試験を受けている11。
【0059】
新たなAMPを単離するための主要な手法は、抗微生物アッセイ、ペプチド配列決定、並びにde novoペプチド合成と組み合わせた体液若しくは組織由来タンパク質サンプルのクロマトグラフィー及び/又は質量分析に基づく分析を含む。しかしながら、分析化学を利用する従来のAMP同定方法に伴うコンテキスト特異的タンパク質の発現、実施費用及び低スループットの実験が、AMP発見の進歩を妨げてきた。このことから、治療的潜在性を持つ新規AMPを同定するための代替手法を開発するニーズが強調されている。
【0060】
これらのペプチドを合成し、貯蔵する真皮内の特殊な顆粒腺のため、成体カエルの皮膚はAMPの豊富な供給源であり、そのペプチドは、傷害又は微生物チャレンジの最初の徴候で皮膚表面に分泌される6、9、19。進化的生存の観点から、カエル皮膚におけるAMPのこの豊かなレパートリーは、病原体が多い湿った泥だらけの環境に対する有益な適応である。これを書いている時点で、組織されているAntimicrobial Peptide Database(APD)19は、カエル皮膚を起源とする978種(1043種の両生類ペプチドのうち)の活性ペプチドの配列を含有する。これは、AMPデータベース大要の34%を表し、そのデータベースは、細菌、古細菌、原生生物、真菌、植物及び動物を包含する6つの界から得られるペプチド配列並びにいくつかの合成ペプチドを包含する(http://aps.unmc.edu/AP/main.php)。更に、潜在的治療法としていくつかのカエルAMPの有用性及び有効性が、これまでに実証されてきた20-22。
【0061】
AMP分泌は、両生類だけに限定されるものでなく、表皮又は特定の発達段階に限定されるものでもない。例えば、肝臓で発現される抗微生物ペプチド(LEAP)は、肝臓及び中腸内で非常に豊富であり、ヒト及び魚においては血液中に分泌される23-25。両生類として、ほとんどのカエルは、2つの固有の発生後形態:自由生息の水生幼生であるオタマジャクシ、及び空気呼吸する陸生のカエルとして生命を受ける。各環境に棲息している病原菌の型は、実質的に異なり得るので、自然免疫系に対する要求は異なる。従って、幼生段階に発現される新規のAMPを同定する機会が存在する。現在までに行われているオタマジャクシ特異的研究は、ノルエピネフリン中に浸漬又はそれを注射した後の異なる世代のオタマジャクシの混合物から採集される天然の皮膚分泌物の試験に焦点を合わせてきた。このことは、これらの皮膚分泌物が、寄生虫感染及び生存に対して防御し得ることを確立した26。質量分析を使用して、Woodhams及び共同研究者ら27は、17種のカエルのノルエピネフリン誘導される皮膚分泌物を比較し、ラナツエリン-2、-4、-6、-7、-8、及び-9、パラストリン-2CBa、ブラジキニン、テンポリン-1P並びにラナレキシンが、最も豊富なペプチドであることを見出した。一般に、オタマジャクシは、成体と比較してより低い割合のAMPを有したが、そのプロファイルは互いに異なっている27。これらのうち、ラナツエリン-2、-7、-8、-9及びラナレキシンは、ノルエピネフリン誘導がない場合にも見られた27。興味深い発見は、R.カテスベイアナなど幼生期間のより長いオタマジャクシが、幼生期間の短いオタマジャクシより強いAMP防御応答を生じ、これが、この水生発育相での自然免疫応答における差異的投資を示すことである27。
【0062】
本明細書において、ペプチド相同性に基づいて推定のAMPを同定及び特徴付けるためのバイオインフォマティクス手法の開発が、実証される。手作業で組織されたAMP配列データベースを使用して、北米ウシガエル、ラナ(リトバテス)カテスベイアナについて編集された豊富なゲノム資源を検索した28。確立されているマイクロタイター液体希釈法により抗微生物活性を実証した2種の新規のウシガエルAMPが、同定された29。トランスクリプトミクス並びにゲノムデータに適用されるコンピュータ方法によって、20種のAMPコード転写産物の発現プロファイル及び遺伝子構造が調べられ、そのうちの16種は、オタマジャクシ組織に見られた。
【0063】
結果
推定のAMPをコードしている転写産物の同定。Bullfrog Annotated Reference Transcriptome(BART28)データベースの系統的な段階的in silicoクエリーについては、方法の節に概説されており、結果として新規の前駆体AMPをコードしているR.カテスベイアナ転写産物(表1に示される)7種及び公知の前駆体AMP(表2に示される)11種を同定した。
【0064】
表1は、ウシガエルオタマジャクシRNA-seqデータのバイオインフォマティクス分析によって同定される推定のAMP配列の特徴を示す。各ペプチド配列は、プレプロ配列及び推定される成熟ペプチド配列に分離される。成熟ペプチドの正味電荷、分子量(MW)及び等電点(pI)のコンピュータ予測、並びに簡単な参照のためのペプチドIDが、示される。
【表1】
【0065】
翻訳された「新規の」前駆体AMPは、トリプシン切断部位(AMPにおいて一般的な転換酵素切断部位)を包含し、バリン(HP3)から始まる1つの配列を除いて、全てN末端にメチオニンを有する(表1)。更に、推定の成熟ペプチドは全て、中性pHで予測される正の正味電荷を保有し、長さ19~33AAであり、等電点(pI)8.0~10.9を有する(表1)。これらの物理化学的特性の全ては、公知のAMPと一致する19。
【0066】
表2は、本研究内で評価された20種の公知の並びに推定のAMPの転写産物、タンパク質及び遺伝子の特徴を示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0067】
推定のAMPタンパク質配列の考察。7つの転写産物のBlastx分析は、NCBI nrデータベースにおいて配列同一性49~77%のタンパク質配列の一致を同定し(表3)、1つの配列(HP5)は、いかなる公知のAMPとも顕著な一致を有さなかった。
【0068】
図1は、推定のAMP前駆体配列とそれに最も近い公知のAMPとの一致のクラスタルオメガ整列化を示す。パネルAは、シューダクリス・レジラ ラナツエリン-2PRc配列(上段)(配列番号15)とR.カテスベイアナ HP2配列(下段)(配列番号16)との比較を示す。パネルBは、R.カテスベイアナ由来の7種のラナツエリン前駆体配列(配列番号17~配列番号23)の整列化を示す。パネルCは、R.カテスベイアナ由来のラナサイクリン前駆体配列(配列番号24~配列番号26)の整列化を示す。パネルDは、R.カテスベイアナ由来のカテスベイアニン-1前駆体配列(配列番号27及び配列番号28)の整列化を示す。パネルEは、R.カテスベイアナ由来のパラストリン-Ca前駆体配列(配列番号29及び配列番号30)の整列化を示す。保存されているタンパク質分解性切断部位を、太字体で示し、下線を引く。この切断部位は、N末端プレプロ配列とC末端成熟配列の境界を示す。前駆体ペプチド長を、各配列の右側に示す。点は保存的アミノ酸置換を表し、星印は正確な一致を示す。ダッシュを、配列整列化を最大化するために導入した。NCBIアクセッション番号に関する更なる詳細は、表2にある。
【0069】
表3は、全配列にわたる(前駆体)、又はプレプロ配列若しくは成熟配列による、AMP候補と最もよく知られているAMPとのblastp一致の配列同一性(%)の比較を示す。いかなるAMPもHP5と一致しなかった。
【表3】
【0070】
ペプチド配列の綿密な考察から、予測された成熟ペプチドのうち4種(HP4、HP6、HP8、HP9)が公知のAMPと同一であり(表3及び
図1)、対応するプレプロ領域は、65~76%の範囲で同一性を呈することが明らかになった(表3及び
図1)。残りの2種の候補AMPペプチド(HP2及びHP3)は、その最もよく知られているAMP成熟ペプチド配列との一致に対して69%(HP2)及び68%(HP3)の同一性を呈した(表3)。HP2及びHP3プレプロ配列は、最もよく知られているAMPとの一致からの相当な相違も示す(それぞれ、77%及び49%のアミノ酸同一性;表3)。
【0071】
HP2配列は、シューダクリス・レジラ ラナツエリン-2PRc配列のR.カテスベイアナ相対物である(
図1、パネルA)。他の公知又は推定のAMP前駆体と比較した場合、ラナツエリン-2PRc(HP2)配列は、プレプロ配列において他のラナツエリンと合理的な程度の配列保存を呈するが、成熟ペプチドにおいては相当な相違を呈する(
図1、パネルB)。HP4及びHP8の推定成熟ペプチド配列は、ラナツエリン-1及びラナツエリン-3RCの成熟ペプチドとそれぞれ同一であるが、それぞれは、固有のプレプロ配列を有する(
図1、パネルB)。HP3の成熟ペプチド領域は、ラナサイクリン-Caと68%同一であり、プレプロ配列においては実質的な配列相違がある(同一性41%;
図1、パネルC)。HP6及びHP9の成熟ペプチド領域は、それぞれカテスベイアニン-1及びパラストリン-Caと同一であるが、プレプロ配列において異なるN末端終端部を有する(
図1、パネルD及びパネルE)。
【0072】
図2は、パネルA-HP2;パネルB-HP3;及びパネルC-HP5の得られた成熟ペプチド対公知の成熟AMP配列間のSABLE二次構造予測比較を示す。パネルDは、上段に指示されたアミノ酸(AA)位置、中段に予測された二次構造及び下段に相対的溶媒接触性(RSA)によるSABLE予測の凡例を示す。信頼予測は、予測される二次構造及びRSAより劣る。予測された二次構造について、赤色線、αらせん;緑色矢印、βシート;青色線、拡張コイルである。RSAを、黒色(0~9%RSA)~白色(90~100%RSA)のグレースケールによって示し、各箱は、アミノ酸を表す。
【0073】
推定の成熟HP2ペプチドの二次構造は、ラナツエリン-1及びラナツエリン-2RC二次構造の混合物に似ているαらせん、拡張コイル、β鎖の配置を含有する(
図2、パネルA)。推定の成熟HP3ペプチドは、ラナサイクリン-Caと類似の拡張コイルだけである(
図2、パネルB)が、推定の成熟HP5ペプチドは、小さい拡張コイルによって隔てられた2つのαらせんを含む(
図2、パネルC)。
【0074】
マイクロタイター液体希釈アッセイ。HP2、HP3及びHP5ペプチドは、AMP文献にまだ記載されていない新規の配列を含む。ペプチドの抗微生物活性を確立するための一般的な方法は、マイクロタイター液体アッセイを実行することである。マイクロタイター液体希釈方法を、最少阻害濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)の決定のために実行した。陽性対照としてHP3及びHP5を、ラナツエリン-1/HP4ペプチドに加えて試験した。複数回のペプチド合成の試みに失敗したので、HP2を試験することができなかった。ヒトカテリシジン、LL-3730を、追加の陽性対照として使用し、梅毒トレポネーマ(T.pallidum)タンパク質Tp0751由来の無関係な類似のサイズの陽イオン性ペプチドを、陰性対照として使用した。AMPに使用される主要な機序が、細胞壁/膜の標的化であることを踏まえて、潜在的AMPを、公知の細胞エンベロープの3つ全ての型(グラム陽性、陰性、並びに複雑で固有のミコバクテリウム細胞壁/エンベロープ)を代表する細菌に対して試験した。
【0075】
グラム陰性[大腸菌(Escherichia coli)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)]、グラム陽性[黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)]及びマイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)(真のグラム陽性ではなく、グラム陰性でもない)にわたる5つの菌種を試験した。ラナツエリン-1ペプチドは、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する活性を若干有し(それぞれ、MIC:48μM及び97μM)、それは、これまでに報告されているより高く31、若干の殺菌活性が、観察された(それぞれ、MBC:12~48μM及び97μM)。このペプチドは、化膿レンサ球菌又は緑膿菌に対して効果がなかった。HP3及びHP5は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌又は緑膿菌に対する阻害若しくは静菌活性に対する効果がなかった。
【0076】
表4は、最低5回(MIC)及び3回(MBC)の独立した実験により試験した公知の並びに推定のAMPについて、M.スメグマチスに対する最少阻害濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)をμMで示す。LL-37は、ヒトカテリシジン陽性対照であり、Tp0751は、梅毒トレポネーマ由来の陰性対照ペプチドである。「-」効果が観察されなかった。
【表4】
【0077】
陰性対照ペプチドを除いて、全てのペプチドは、M.スメグマチスに対する静菌作用を有した(表4)。ラナツエリン-1と比較して、HP3の静菌作用は、同程度であり(MIC:4~14対2~12μM;表4)、殺菌作用はより良好であった(MBC:7~14対3~48μM;表4)。HP5は、M.スメグマチスに対して弱い静菌及び殺菌活性を呈した(表4)。
【0078】
R.カテスベイアナオタマジャクシ組織におけるAMPコード転写産物の発現。20種のAMPコード転写産物(公知13種、上で新規に同定の7種;表2に挙げる)の存在量レベルを、以前の研究の標準化したRNA-seqデータを使用して変態前期のR.カテスベイアナオタマジャクシの背部表皮、肝臓、嗅上皮及び尾鰭において査定した28、32、33。
【0079】
図3は、推定及び公知のAMPをコードしている転写産物が、R.カテスベイアナ変態前期のオタマジャクシの背部表皮、肝臓、嗅上皮及び尾鰭において差異的発現を示すことを示す。指示された推定及び公知のAMPをコードしている転写産物を表すRNA-seqデータを、オタマジャクシ背部表皮(黒色の棒、n=3)、肝臓(濃い灰色の棒、n=15)、嗅上皮(明るい灰色の棒、n=15)、及び尾鰭(白色の棒、n=15)について示す。棒は、リード100万個当たりの標準化したリードカウントの中央値を表し、ひげは、絶対偏差の中央値を表す。ND、検出されなかった。
【0080】
図4は、推定のAMP前駆体配列とそれに最も近い公知のAMPとの一致のクラスタルオメガ整列化を示す。パネルAは、アモロプス・ロロエンシス カテリシジン-AL配列(NCBIアクセッション番号AEI69698;上段)と対応するR.カテスベイアナ カテリシジン-AL配列(下段)との比較を示す。パネルBは、ナノラナ・パーケリの予測LEAP2配列(NCBIアクセッション番号XP_018418722;上段)と対応するR.カテスベイアナLEAP2配列(下段)との比較を示す。保存されているタンパク質分解性切断部位は、太字体であり、下線を引く。この切断部位は、N末端プレプロ配列とC末端成熟配列の境界を示す。前駆体ペプチド長を、各配列の右側に示す。点は保存的アミノ酸置換を表し、星印は正確な一致を示す。ダッシュを、配列整列化を最大化するために導入した。NCBIアクセッション番号に関する更なる詳細は、表2にある。
【0081】
これらの転写産物のうち16種は、これらの組織の1つ又は2つ以上にある(
図3)。
図3に示した転写産物の全てを、カテリシジン-AL(アモロプス・ロロエンシス前駆体タンパク質と87%同一性;
図4)及びLEAP2(ナノラナ・パーケリ予測前駆体タンパク質と88%同一性;
図4)をコードしている転写産物を包含するR.カテスベイアナ コンティグから配列検証した。いくつかの場合において、RNA-seq由来配列は、GenBankで既に管理されている転写産物配列に比べて、長さに相当な改善を与えた(表2)。
【0082】
16種全ての転写産物が、オタマジャクシ背部表皮に存在し、11種は、肝臓及び嗅上皮に、12種は尾鰭に存在する(
図3)。最も豊富な転写産物は、背部表皮においてラナツエリン-4、ラナサイクリン-Cc、ラナツエリン-2RC及びラナツエリン-1(HP4);肝臓においてleap2、カテリシジン-AL、カテリシジン-RC2及びカテスベイアニン-1(HP6);嗅上皮においてleap2、カテリシジン-AL、カテスベイアニン-1(HP6)及びカテリシジン様2;並びに尾鰭においてカテリシジン-AL、カテスベイアニン-1(HP6)、leap2及びカテリシジン様2(
図3)である。注目すべきは、カテスベイアニン-1、ラナサイクリン-Ca、ラナツエリン-1及びパラストリン-Caなど、これらの変態前期のオタマジャクシ組織に存在しない転写産物である。カエル成体の皮膚内
31に検出されるこれらの転写産物は、カテスベイアニン-1(HP6)、ラナサイクリン-Ca(HP3)、ラナツエリン-1(HP4)、ラナツエリン-3RC(HP8)及びパラストリン-Ca(HP9)によって置き換えられる(
図3)。
【0083】
先行する研究は、いくつかのAMPをコードしているmRNAが、甲状腺ホルモン依存的な変態の結果としてオタマジャクシにおいて非常に低い又は検出不可能なレベルから、カエルにおいて高レベルに増大することを示した34-37。これらの決定は、オタマジャクシ全体のホモジェネート34、36又は皮膚35、37のいずれかで行われた。
【0084】
図5は、推定及び公知のAMPコード転写産物が、オタマジャクシの10nM T
3処理に対して一般に応答性でないことを示す。指示した推定及び公知のAMPをコードしている転写産物を表すRNA-seqデータを、媒体対照のオタマジャクシの(パネルA)背部表皮(n=3)、(パネルB)肝臓(n=5)、(パネルC)嗅上皮(n=5)及び(パネルD)尾鰭(n=5)(黒色の棒)又は10nM T
3に48時間曝露したオタマジャクシ(灰色の棒)について示す。棒は、リードカウントの中央値を表し、ひげは、絶対偏差の中央値を表す。星印は、p<0.05での処理の間の統計的有意性を示す。ND、検出されなかった。
【0085】
変態前期のオタマジャクシを、組織特異的遺伝子発現プログラムを変更することによって変態を早期に誘導する10nMトリヨードサイロニン(T
3)中に48時間浸漬し
28、32、33、AMPコード転写産物の存在量を決定した(
図5)。これらの転写産物のいずれも、背部表皮においてT
3に応答性でなかった(
図5、パネルA)。肝臓、嗅上皮及び尾鰭において転写産物の圧倒的多数も、T
3処理に応答性でなかった(
図5、パネルB~パネルD)が、ラナツエリン-3RC(HP8)転写産物は、肝臓及び嗅上皮に現れた(
図5、パネルB及びパネルC)。mRNA存在量の有意な増大は、肝臓においてカテリシジン-RC2(2倍);嗅上皮においてラナツエリン-2PRc(HP2)(2倍)及びパラストリン-Ca(HP9)(4倍);並びに尾鰭においてラナツエリン-4(2倍)観察された(
図5、パネルB~パネルD)。HP5転写産物においてわずかであるが、有意な減少(1.3倍)が嗅上皮に観察された(
図5、パネルC)。パラストリン-Ca(HP9)mRNAは、尾鰭においてT
3処理により消滅したが、これは、有意でなかった(
図5、パネルD)。
【0086】
ウシガエルゲノムにおけるAMPコード遺伝子構造。上記の転写産物の新たなバージョンは、選択的遺伝子スプライシングの産物であった可能性がある。最近公開されたウシガエルのドラフトゲノム28を使用して、gmap及びblastnを使用して、転写産物配列から遺伝子モデルを創出した。
【0087】
図6は、ラナツエリン-1及びラナツエリン-3RC遺伝子が2つのエクソンを含有し、選択的にスプライスされることを示す。パネルA-ラナツエリン-1及びラナツエリン-1(HP4)並びにパネルB-ラナツエリン-3RC及びラナツエリン-3RC(HP8)をコードしている遺伝子の構造及び得られる転写産物が、示される。最上段の実例は、指示された尺度に描かれた対応する遺伝子を表し、エクソン部分が黒色の長方形として図示され、イントロン領域が太い黒色の線で図示される。示した遺伝子に隣接する追加の非遺伝子配列は、指示した場合を除き全ての場合に存在した。ウシガエルゲノムのNCBI v3.0骨格識別子を、各骨格の左上に示す。複数の骨格が、線破断によって示される。イントロン領域は、遺伝子の下の標識された転写産物においてスプライスされる細い線として示される。スプライスされた転写産物における灰色の長方形は、非翻訳領域を示し、斜線の長方形は、オープンリーディングフレームを示す。
【0088】
1.6kbpの2-エクソン遺伝子は、選択的スプライシングによってラナツエリン-1及びラナツエリン-1(HP4)を生じ(
図6、パネルA)、類似の2-エクソン遺伝子構造は、選択的スプライシングによってラナツエリン-3RC及びラナツエリン-3RC(HP8)を生じる(
図6、パネルB)。対照的に、3つのラナツエリンであるラナツエリン-2PRc(HP2)、ラナツエリン-2RC及びラナツエリン-4は各々、非常に大きい固有の3-エクソン遺伝子から得られる(例えばラナツエリン-2PRc(HP2)の場合15kbp;
図7を参照のこと)。
【0089】
図7は、ラナツエリン-2PRc(HP2)、ラナツエリン-2RC及びラナツエリン-4遺伝子が、3つのエクソンを含むことを示す。パネルA-ラナツエリン-2PRc(HP2)、パネルB-ラナツエリン-2RC、及びパネルC-ラナツエリン-4をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。実例は、指示された尺度に描かれる。イタリック体の数字は、イントロン領域が大きかった場合の介在塩基対の数を示す。詳細な情報については
図6を参照のこと。
【0090】
図8は、一方が3つのエクソン、他方が1つのエクソンを含むラナサイクリンをコードする2つの遺伝子を示す。パネルA-ラナサイクリン-Ca及びラナサイクリン-Cc、及びパネルB-ラナサイクリン-Ca(HP3)をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。実例は、指示された尺度に描かれる。イタリック体の数字は、イントロン領域が大きかった場合の介在塩基対の数を示す。詳細な情報については
図6を参照のこと。「A」における点線は、骨格の5’末端が、利用可能な転写産物情報の前で終了したことを示す。
【0091】
ラナサイクリン-Ca(HP3)をコードしている遺伝子は、異なる骨格上の単一エクソンを含むのに対して、ラナサイクリン-Ca及びラナサイクリン-CCをコードしている転写産物は、同じ3-エクソン遺伝子からなる(
図8)。類似の関係は、パラストリン-Caの場合も起こる。ここでパラストリン-Ca転写産物は、2つのエクソン(
図8、パネルA)から得られ、パラストリン-Ca(HP9)は、同じ遺伝子の異なる単一のエクソン(
図8、パネルB)から得られる。
【0092】
図9は、2つのエクソン遺伝子によってコードされるパラストリン-Caを示し、パラストリン-Ca(HP9)及びHP5は、単一エクソン遺伝子によってコードされる。パネルA-パラストリン-Ca;パネルB-パラストリン-Ca(HP9);及びパネルC-HP5をコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。漫画は、示した尺度に対する実例である。イタリック体の数字は、イントロン領域が大きかった場合の介在塩基対の数を示す。詳細な情報については
図6を参照のこと。
【0093】
HP5をコードしている遺伝子は、単一エクソンを含む(
図9、パネルC)。最終的に、leap2及びカテリシジン-AL転写産物は、4つのエクソンのスプライシングから得られる例である(
図10)。上のアセンブルした転写産物配列の全てが、標準的なスプライス部位を持つ個別に得られたウシガエルゲノムと整列するという事実は、同定されたAMP転写産物配列の正当性を更に支持する。
【0094】
図10は、LEAP2とカテリシジン-ALの両方が、4つのエクソンから得られることを示す。R.カテスベイアナ パネルA-LEAP2及びパネルB-カテリシジン-ALをコードしている遺伝子並びに得られる転写産物の構造が、示される。実例は、指示された尺度に描かれる。イタリック体の数字は、イントロン領域が大きかった場合の介在塩基対の数を示す。
図6は、追加の情報を提供する。
【0095】
考察
経験的に検証されているペプチドからAMPの公知の配列相同性及び構造的特徴を利用することによって、バイオインフォマティクス手法をアセンブルしたウシガエルオタマジャクシ参照トランスクリプトームに適用し、推定の新規のAMPをコードしている転写産物を同定し、公知のAMPに利用可能な配列情報を増やした。歴史的に、カエルはAMPの豊かな供給源である。しかしながら、幼生オタマジャクシ段階における研究、特に遺伝子発現研究に関係する研究は、限られている。
【0096】
本研究は、微生物防備について自然免疫系に主に依存している生物として変態前期のオタマジャクシに焦点を合わせた。カエルにおいて観察されたものと同様に、オタマジャクシ組織はいくつかのAMPを発現し、背部表皮に最も高い濃度がある。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)における先行研究では、マゲイニンをコードしている転写産物並びに「アミノ末端グリシン及びカルボキシ末端ロイシンアミドを持つペプチド」(PGLa)は、変態クライマックスまで及びカエル段階において検出されないことを示した34。これらのmRNAの存在量は、早熟の変態を誘導する5nM T3中に7日間の長期間の浸漬によって変態前期のオタマジャクシ全部において増大する34。他の研究は、R.カテスベイアナ35においてラナレキシン、R.シルヴァティカ(R.sylvatica)36においてブレビニン-1SY及びR.オルナティヴェントリス(R.ornativentris)37においてプレプロテンポリンをコードしているmRNAが、甲状腺ホルモン依存的変態によってオタマジャクシにおける検出不可能な又は非常に低いレベルからカエルにおける高レベルへと一般に遷移することを確立した。2×10-9M T3によるR.オルナティヴェントリスの成体の注射に応じたプレプロテンポリンコードmRNAの誘導を観察した37。本研究において20種の公知及び推定のAMPコード転写産物の存在量レベルを調べ、そのうち16種は、4つの変態前期のオタマジャクシ組織のうち少なくとも1つにおいて発現されていた。AMPコード転写産物の圧倒的多数は、48時間後にT3処理による影響を受けず、いずれも背部表皮においてホルモン応答性でなかった。複数の理由:特定の組織ではなくオタマジャクシ全部のホモジェネートを使用した、及び/又はT3注射研究の場合にオタマジャクシの代わりに成体を使用した、のため現在の結果と以前の研究を比較することは困難である。より長時間のT3曝露は、より多くのAMPコード転写産物のモジュレーションをもたらし得るかもしれないが、これはまだ決定されていない。データは、AMP発現における変態依存的変化が、後期の間接的な甲状腺ホルモン依存的応答であり、生命遷移と同時に起こる自然免疫系のリセットをもたらし得ることを示唆する。
【0097】
カテスベイアニン-1、ラナサイクリン-Ca、ラナツエリン-1、ラナツエリン-3RC及びパラストリン-Caの抗微生物特性は、以前から知られていた6-8。この例は、選択的スプライシングの結果としてそれぞれのAMPの成熟ペプチド配列を保持しているが、そのプレプロ配列には多様性があり得るという発見を表す。興味深い可能性は、遺伝子スプライスバリアントが、発生後の発達の間に免疫系をリセットする一部として発達上調節され得ることである。この推移の結果は、それぞれのAMPの成熟ペプチドよりもむしろプレプロ配列における変化を具体化している。これは、まだ決定されていないペプチド局在化、プロセシング及び/又は活性化の調節結果を有する可能性があり、同様に発現された活性化プロテアーゼにおける発達推移をおそらく反映している可能性がある38。発達中及び異なる組織におけるスプライスバリアントの発現プロファイルの更なる考察が、必要とされる。
【0098】
多くの試みが、タンパク質レベルでのAMPの系統発生的比較に対して行われてきた(例えば
39、40)が、AMPコード転写産物を生じる遺伝子の構造については、ほとんど理解されていない。現在の研究は、カエルにおいて公知の抗微生物機能を持つAMPの第1の遺伝子構造情報を示し、AMP遺伝子構造の範囲が表されることが判明した。R.カテスベイアナ カテリシジンにおいて観察された4-エクソン遺伝子構造は、3番染色体上にあるヒトLL37カテリシジン遺伝子(NCBIアクセッション番号NM_004345.4)と保存されているが、R.カテスベイアナ leap2遺伝子は、魚及びヒトにおける3つと比較して4つのエクソンを有する
41。この明らかな相違は、非翻訳領域に完全に含まれる第4のエクソンによる可能性がある(
図10)。R.カテスベイアナ leap2遺伝子の構造は、現在2つの骨格で構成されているので、leap2転写産物が、アセンブリアーティファクトであり得るという可能性を明確に無視することはできないが、ウシガエルゲノムアセンブリに対する日常的な改善が、この非常に低い可能性を解決することになる。
【0099】
R.カテスベイアナにおいてラナツエリンコード遺伝子は、選択的スプライシングを受け、2つ又は3つのエクソンを保有し、ラナツエリンとラナサイクリンとの緊密な関係は、3-エクソン遺伝子構造の保持に反映される。更に、AMP成熟ペプチド配列の多様性は、先祖遺伝子からの遺伝子重複の結果であると示唆された42。本研究は、AMP多様性のための別の機序として選択的スプライシングに加えて遺伝子重複への支持を提供する。
【0100】
ラナツエリン-1に加えて、新たな2つの成熟AMP配列候補は、M.スメグマチスに対する抗微生物活性を実証した。特に注目すべきことに、HP3及び確立されたAMPであるラナツエリン-1は、ミコバクテリウムであるM.スメグマチスに対して類似の抗微生物活性を呈した。この種を使用して、本明細書に記載されている新規のAMPが、マイコバクテリアに対して活性であることを確立した。全てのマイコバクテリウム種が類似の細胞構造を有するので、古典的な非病原性種に対する活性を実証することは、今後の実験において病原性種に対する新規AMPの活性を次に査定するのに価値がある証拠を提供する。
【0101】
本明細書で示される活性の結果の中に多少の変動性はあるが、この例は、一貫性、再現性、安定性の改善及び活性の増強を呈する最適化されたAMPを設計するプロセスを明らかに例示している43。新たなAMP候補の配列分析は、AMPの組み合わせを増加させるプレプロ及び成熟ペプチド配列内の多様性を明らかにした。新たなプレプロ配列への公知のAMP配列の連結は、更なるAMP候補を発見するための新たな可能性を開く。本研究に使用されたバイオインフォマティクス方法によって同定されたAMPの機能的試験の成功は、バイオインフォマティクス手法を使用して本明細書に記載されているウシガエルゲノムを発掘することの価値を確約する。
【0102】
AMPは自然免疫において重大な役割を演ずるので6、44、その発現の状況及びその正常な機能を破壊する可能性のある因子の更なる考察は、保存の取り組みの情報を与える可能性がある。両生類は、感染性病原体のため、世界的に集団数の大幅な減少を受けている44、45。AMPと病原体との相互影響は、感染に対する宿主生存の重要な決定因子であり、一部の両生類のAMPが、例えば、ツボかび、バトラコキトリウム・デンドロバティディス(Batrachohytrium dendrobatidis)を死滅させることは公知である46、47。耐性は、両生類のAMPの機能を切断し、破壊するプロテアーゼの真菌による分泌によって付与され得ることから33、AMPの調節の機序並びに疾患防備及び病原体回避との関係の更なる調査のニーズが明らかになる。加えて、両生類によって産生される天然の抗菌性化合物の財産への継続的な調査はまた、主要な及び増大する抗生物質耐性の世界的な健康への脅威と戦うための有効な治療法の開発に至る可能性がある新規AMPの更なる発見を確実にもたらすことになる。
【0103】
配列有効性
NCBIを通じて利用できるようなアクセッション番号によって本明細書で参照される全ての生物学的配列は、あたかもその配列が、本文、図又は表の中でその全体が列挙されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
方法
本明細書で使用されている方法の更なる詳細を以下に提供する。引用は、更なる詳細を示すために提供され、本明細書において使用した方法に関連する参照文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
推定の抗微生物ペプチドのin silico予測及び特徴付け。7種の新規AMP候補が、以下の3つのことを使用してBullfrog Annotated Reference Transcriptome(BART バージョン3、NCBI TSAアクセッション番号GFBS01000000)28、33から最初に同定された。
【0106】
第1に、全てがTrans-ABySS48を用いて鎖特異的RNA-Seqライブラリー28からde novoアセンブルされたBART転写産物配列は、Transdecoder(-m 20 -S;バージョン2.0.1)(https://github.com/TransDecorder/TransDecorder)を使用してin silico翻訳され、長さ100アミノ酸までの予測された完全なオープンリーディングフレームを保持した。
【0107】
第2に、35個のタンパク質ファミリーに由来するAMPの顕著な特徴を表すヒドンマルコフモデル(HMM)を、Collection of Antimicrobial Peptideデータベース(http://www.camp.bicnirrh.res.in/pattern_hmm.php?q=HMM_fam)からダウンロードし、hmmer49を使用して、1つ又は2つ以上のHMMと類似性を持つBARTペプチド配列を同定した(初期設定、有意性は、E<0.001と見なした)。次いでこれらのヒットを、タンパク質ドメインHMMのPfamデータベース51(バージョン29.0)を用いてInterProScan50の初期設定を使用して更に洗練した。
【0108】
第3に、候補AMPは、以下の基準:1)推定オープンリーディングフレームが、Virtual Ribosome 2.052分析によって確認されたメチオニン又はバリン残基で始まる、及び2)タンパク質配列が、ExPASy Peptide Cutter(http://web.expasy.org/peptide_cutter)で決定される標準的なプロペプチド転換酵素切断部位Lys-Arg(KR)を含有する、を満たす必要があった。また、1つのAMP候補を除いて、全てのペプチド配列は、NCBI nrデータベースに対してblastx又はblastpを使用してE値スコア<10-4と定義された公知の前駆体AMPに対して強い整列化を有した。候補AMP配列が、90%を超える同一性及び陽性スコアでNCBI nrデータベース中の配列に対して完全な前駆体整列化を有した場合、その後配列を「公知」であると見なした。7種の「新規の」及び11種の「公知の」AMPコードR.カテスベイアナ転写産物の最終的な組は、オタマジャクシ組織から見つかった(表2)。成体カエルにおける以前の研究からNCBI nrデータベースに既に存在した追加の2種のAMP配列も、本研究において調べた(表2)。最終的なタンパク質整列化を、Clustal Omegaバージョン1.4.2(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo)53を使用して生成した。
【0109】
成熟AMPペプチドの二次構造を、SABLE Protein prediction(http://sable.cchmc.org/)を使用して査定した。成熟ペプチドの正味電荷、分子量及び等電点(pI)を、ExPASy ProtParam(https://web.expasy.org/protparam)を使用して決定した。
【0110】
遺伝子発現分析。AMPをコードするR.カテスベイアナ転写産物20種(表2)のレベルを、オタマジャクシ組織の以前の研究から得られるRNA-seqデータによって変態前期のR.カテスベイアナオタマジャクシの背部表皮、尾鰭、嗅上皮及び肝臓組織において決定した28、32、33。鎖特異的mRNAライブラリーを構築し、Illumina HiSeqによって配列決定し、BART参照トランスクリプトーム28に対して整列させてカウントを生成した。全てのRNA-seq実験は、同程度の配列決定深度を有し、サンプル当たりのリードの総数に対して標準化した。カウントを標準化するために、リードの数を対応するサンプルにおけるリードの総数によって除算し、100,000,000を乗算した。
【0111】
遺伝子構造の決定。AMPをコードするR.カテスベイアナ転写産物20種(表2)のそれぞれからの最も長いcDNA配列を使用して、gmap バージョン2017-04-13を使用してウシガエルの高品質ドラフトゲノム(NCBIアクセッション番号LIAG00000000、BioProject PRJNA285814)28に照会した。関連する骨格を、表2に示す。
【0112】
マイクロタイター液体希釈アッセイ。抗微生物活性について試験するために、HP3、HP4/ラナツエリン-1、及びHP5ペプチドをGenScript(Piscataway、New Jersey、米国)によって合成した。サービスプロバイダが複数回試みたにもかかわらずペプチドを合成できなかったので、HP2は試験されなかった。梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)タンパク質Tp075155由来の無関係な類似サイズのペプチドを、陰性対照として使用し、ヒトカテリシジン、LL-37を、陽性対照として包含した。ペプチドを、ろ過滅菌した超純水に溶解し、非選択的な寒天プレートに播き、その後37℃で48時間インキュベーションすることによって無菌性について試験した。各ペプチドの2倍段階希釈を調製して、10段階の必要な試験濃度(2560、1280、640、320、160、80、40、20、10及び5μg/mL)に相当する系列を得た29。
【0113】
陽イオン性AMPの場合にはR.E.W.Hancock Laboratory29、並びに希釈抗微生物性感受性試験の場合にはCLSI方法56から改作した手順を使用してマイクロタイター液体希釈法を実行して、4種の推定のAMP及び陰性対照ペプチドの最少阻害濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)を決定した。
【0114】
多様な範囲の菌種にわたって抗微生物活性を査定するために、凍結グリセロールストックからコロニーを、ミューラーヒントン寒天プレート(MHA;化膿レンサ球菌の場合+5%ヒツジ血液)56上で終夜培養した。試験した細菌は、グラム陰性桿菌(大腸菌:ATCC登録番号9723H;緑膿菌:ATCC登録番号10148)、グラム陽性球菌(黄色ブドウ球菌:ATCC登録番号6538P;化膿レンサ球菌:未知の系統、病院分離株)及びマイコバクテリウム・スメグマチス(MC2 155;グラム陽性でなく、グラム陰性でもないと分類される)を包含する。細菌懸濁液を、成長したプレートからの形態学的に類似したコロニー3~5個をミューラーヒントン培養液(MHB;化膿レンサ球菌の場合+5%溶解したウマ血液)562mLを含有する滅菌ガラス培養試験管に入れることによって調製した。細菌懸濁液の微生物接種物を、600nmで濁度0.08~0.1に分光光度調整して、0.5マクファーランド標準(1~2×108CFU/mL)29に等しい濁度を達成することによって調製した。標準化した細菌接種物をMHB中に次いで希釈して、およそ5.0×105CFU/mLの最終細胞密度を得た。
【0115】
96ウェルマイクロタイタープレート(Fisherカタログ番号CS003790;Nepean、Ontario、カナダ)を、1~11列の各ウェルに分注した大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌又はM.スメグマチス細菌懸濁液(5×105CFU/mL)100μLで調製した。4つ全てのペプチドの10×AMP希釈系列11μLを、全てのプレートにおいて列1(2560μg/mL)~列10(5μg/mL)の各ウェルに添加した。列11は、AMP非存在下での細菌増殖に対する陽性対照として機能した。各プレートの列12は、無菌対照としてMHB(化膿レンサ球菌の場合+5%溶解ウマ血液)56100μLを含有した。プレートを、接種物を添加して15分間以内に、37℃で16~24時間インキュベートした。
【0116】
MIC値を、AMPを含有するウェルにおける細菌増殖の量(濁度)をいかなる量のペプチドも含有しない対照ウェルにおける増殖と比較することによって視覚的に決定した。MBC値を、MICを表すペプチド/細菌混合物を含有するウェルの全内容物並びに2倍及び4倍濃度のAMP希釈液/細菌混合物を含有する前の2つのウェルの全内容物を非選択的MHAプレートへ播き、その後37℃で24時間インキュベーションすることによって決定した。
【0117】
(例2)
抗微生物ペプチド
本明細書に記載されている通り位置する以下のペプチド配列は、記載の通り抗微生物適用に使用されてよい。ペプチドは、下で概説した通りに調製及び試験された。
【0118】
群P1
XXXPXXXXXGGK(配列番号66)
FYFPXXXXXGGK(配列番号67)
XYFXXSRKXXXX(配列番号68)
FXFXVSRKXXXX(配列番号69)
XYFXXXXKFXXK(配列番号70)
XXXXXXXXFGGK(配列番号71)
FYXPVXRXFXXX(配列番号72)
【0119】
配列例P1_CCH、「天然」
FYFPVSRKFGGK(配列番号35)
【0120】
配列例P1_CCH_F9R_Y2P、「合成」
FPFPVSRKRGGK(配列番号36)
【0121】
群P2
FFPRXXXXXXXFLPTXXXXXXXSVGN(配列番号73)
XXXXVLPLANKXXXXIYCXXXXXXXX(配列番号74)
FFPXXLPLANXXLPXXXXXLPXXVGN(配列番号75)
XXPRVLXXXXXXXXXXXXXXPKSXXX(配列番号76)
FXXXXXXLANKXXXTIYCXXXXSVXX(配列番号77)
FFXXVLPXXXXXLXTXYCALPKXVXN(配列番号78)
XXXXXXXLANXFXPXIXXALPKXXGX(配列番号79)
【0122】
配列例P2_CCH、「天然」
FFPRVLPLANKFLPTIYCALPKSVGN(配列番号37)
【0123】
配列例P2_CCH_T15K_P7R、「合成」
FFPRVLRLANKFLPKIYCALPKSVGN(配列番号38)
【0124】
群P3
GLLXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXCPPSS(配列番号80)
XXXXXXKXXXKXXGXLMXXXXXXMXGXXPPXS(配列番号81)
GLLXIIXXXGXTTGILMXXLXXXMXGXXPPXX(配列番号82)
XLXXXXXXXXKXXXXXXXTLKCQMTXXCXXSS(配列番号83)
GLLXIIKXTGKTTGILMXXLKXXXXGXXXXXX(配列番号84)
GXLXIIKXTGXXTXIXMXTLKCQXTGRXPPSS(配列番号85)
GLLXXXKXTGKXTXIXXXTLKXQXTGRXXXXX(配列番号86)
XXXXIIXXTXXTXGXLXXTXXCQXTXRXXXXX(配列番号87)
【0125】
配列例P3_CCH、「天然」
GLLDIIKDTGKTTGILMDTLKCQMTGRCPPSS(配列番号39)
【0126】
配列例P3_CCH_D8K_Q23C、「合成」
GLLDIIKKTGKTTGILMDTLKCCMTGRCPPSS(配列番号40)
【0127】
群P4
GLLXIIXXXGXXXXXXILXXLXXXLAGGXXX(配列番号88)
GLLXXXKTTGKXFAVKILXNLXXXXXXXXPP(配列番号89)
XXXXIIKTXXXXFAVXXXXXXKCKLAGGXXX(配列番号90)
XXXXIIXXXXKXXXXKXXXNLKCKXXXXCPP(配列番号91)
GLLXXXKTTGXXXXXXXLXNLKCXXAXXCXX(配列番号92)
GLLXXXKXXXXXFAVXXLXXLXXXXXXXXPP(配列番号93)
【0128】
配列例P4_CCH、「天然」
GLLDIIKTTGKDFAVKILDNLKCKLAGGCPP(配列番号41)
【0129】
配列例P4_CCH_P31K、「合成」
GLLDIIKTTGKDFAVKILDNLKCKLAGGCPK(配列番号42)
【0130】
群P5
XXXXXXXLAAKXXXSLVXXXXKKC(配列番号94)
XFPIIAXLAAXVIPXLVXAVTXXX(配列番号95)
FFPXXAXXXXKXXPXXXXXXXXXX(配列番号96)
XXXXXXXLAAXVIPXLXXXXTXXX(配列番号97)
FFPIIAXXXXXXXXXXVCAVTKKC(配列番号98)
XXXIIXRXXXKVIXSXVCXVTKKC(配列番号99)
FFPIIARLAAXVIXSLXCAVXXXX(配列番号100)
【0131】
配列例P5_CCH、「天然」
FFPIIARLAAKVIPSLVCAVTKKC(配列番号43)
【0132】
配列例P5_CCH_A19K、「合成」
FFPIIARLAAKVIPSLVCKVTKKC(配列番号44)
【0133】
群P6
GLWETIKXXXKXXXXXXXXKXXXXXXGGCPP(配列番号101)
XXXXXXXTTGXXXXXXXXXXXKCKXXXXCXX(配列番号102)
XXXXTIXXXGXXIALXLLXXIXXXIAXXXPP(配列番号103)
GLWETXKTTXXSXXLNLLDKIXXKIAXXXPP(配列番号104)
XXXXXIKXXGKSIALXXXXKXKXKXXGGXXX(配列番号105)
XXXXXXXXXXKSIAXNLLXXIXCXIAGGXXX(配列番号106)
【0134】
配列例P6_CCH、「天然」
GLWETIKTTGKSIALNLLDKIKCKIAGGCPP(配列番号45)
【0135】
配列例P6_CCH_S12K、「合成」
GLWETIKTTGKKIALNLLDKIKCKIAGGCPP(配列番号46)
【0136】
群P7
ATAWXIXXXGMXXIIXIXIXXLXGXX(配列番号107)
【0137】
XXXWXIXXXGMQXXXXXXXXXXCGKQ(配列番号108)
XXXXXXPPPXXQPXXPXXXXPXXXXX(配列番号109)
ATAXXXPPPXXXPXXPXXXXPXCXKQ(配列番号110)
XXXWXIXXXGMXXXXXIXIXXLXGXX(配列番号111)
XXXXXXXXXXXXPXXPXXIXXLXGXX(配列番号112)
ATAXRXXXXXXQXIIXIRIRXLCXKQ(配列番号113)
【0138】
配列例P7_CCH、「天然」
ATAWRIPPPGMQPIIPIRIRPLCGKQ(配列番号47)
【0139】
配列例P7_CCH_P9R_R5M、「合成」
ATAWMIPPRGMQPIIPIRIRPLCGKQ(配列番号48)
【0140】
群P8
FPAIIXXXXXXX(配列番号114)
FXXXXCXXXKXC(配列番号115)
XXAIIXXVSKXX(配列番号116)
XPAXXCKXXXXX(配列番号117)
FPXXXXXVSKNC(配列番号118)
XXXIICKVSXNX(配列番号119)
【0141】
配列例P8_CCH、「天然」
FPAIICKVSKNC(配列番号49)
【0142】
配列例P8_CCH_N11K、「合成」
FPAIICKVSKKC(配列番号50)
【0143】
群P9
FLTFXGXXFGXXXGX(配列番号120)
XXXXPGMXFXXLLXX(配列番号121)
XXXXPGMXXXKXXXK(配列番号122)
FLTFXXXXXXXLLGX(配列番号123)
FXXFXXXTFGKXXXK(配列番号124)
XLTXXXXTFGKLLGK(配列番号125)
【0144】
配列例P9_CCH、「天然」
N/A
【0145】
配列例P9_CCH_2、「合成」
FLTKPGMTFGKLLGK(配列番号51)
【0146】
群P10
XXXXFFXVNIFXLXX(配列番号126)
SNXXXXXVXXXRXXX(配列番号127)
XXXXFFXXXIFXLCG(配列番号128)
SNXXXXKXXXXXLCG(配列番号129)
XXRXXXKVNIFXXCX(配列番号130)
SXXXFFXVXIXXXXG(配列番号131)
SXRDFFKXNXXRXCX(配列番号132)
【0147】
配列例P10_CCH、「天然」
SNRDFFKVNIFRLCG(配列番号52)
【0148】
配列例P10_CCH_2、「合成」
SNRKFFKVRIFRLCG(配列番号53)
【0149】
群P11
XXXXXIQKXXXXNTLKXXKXXLXXX(配列番号133)
ALVAKXXXFPVFXXXXLCXLXXXXX(配列番号134)
ALVAKIQKXXXXXXXXXXKLXXXII(配列番号135)
XXXXXXXKXPXXNTLKXCKXEXEXX(配列番号136)
XXXXXXQXFXVFXTLKLXKLXLXXX(配列番号137)
XLVAKIXXXPVXNXXXLXXXXLXII(配列番号138)
AXXAXIXXFXXFXXXXXCXXEXEII(配列番号139)
【0150】
配列例P11_CCH、「天然」
ALVAKIQKFPVFNTLKLCKLELEII(配列番号54)
【0151】
配列例P11_CCH_E21K_E23R、「合成」
ALVAKIQKFPVFNTLKLCKLKLRII(配列番号55)
【0152】
群P12
XXGQVXXXKXKXX(配列番号140)
IAXXXAAAXXXXX(配列番号141)
XXGXXXXXKXKHI(配列番号142)
IXXQVXXXKQKHI(配列番号143)
XXXQVXXXXQXHI(配列番号144)
配列例P12_CCH、「天然」
IAGQVAAAKQKHI(配列番号56)
配列例P12_CCH2、「合成」
IAGQKARAKQKHI(配列番号57)
【0153】
群P13
XXRXPXXXXXKLWKXXLXXX(配列番号145)
IQXXXVXXXLXXXXLXXXII(配列番号146)
XXXLXXXNMXXXWKXXXXXX(配列番号147)
XXXLPXINMXKLXXXXLXXX(配列番号148)
【0154】
配列例P13_CCH、「天然」
IQRLPVINMLKLWKLELEII(配列番号58)
【0155】
配列例P13_CCH_N8K_E18K、「合成」
IQRLPVIKMLKLWKLELKII(配列番号59)
【0156】
群P14
IQRLXXXXXXXSLYXXXCRTC(配列番号149)
XXXLPVXVXLPSLYXXXXXXX(配列番号150)
IQRXXXIVIXXXXXCVIXXXX(配列番号151)
XXXXPVXXXXPSLYXXXCRTC(配列番号152)
IQRLXVIXILXXXXCXXCXXC(配列番号153)
XXXLPXXXXXPXXXXVIXXTX(配列番号154)
XXXLXVIVILXSLYCVICRTC(配列番号155)
【0157】
配列例P14_CCH、「天然」
IQRLPVIVILPSLYCVICRTC(配列番号60)
【0158】
配列例P14_CCH_2、「合成」
IQRLPVIVILPSLYCVICRKK(配列番号61)
【0159】
群P15
LXXPXPXYXFXXGIGXXXXWXXXWLNAQQMXXXXX(配列番号156)
XXCPTPXXXFXXXXXNHLXXXIIWLXXXXMXXXXX(配列番号157)
LRCXXXXXXXENGXXXXXMWNXXXXXXXXXSYKNK(配列番号158)
XXXXTXHYNXENGIGNHLMXNXXXXNXQXXXXKXK(配列番号159)
LXCXXXHXNXXXXXGNHXXWXXXWLXXXXMSXXNX(配列番号160)
XRXPXPHXXFXXXXXXXXXXXIIXXXAXQXSYXXX(配列番号161)
【0160】
配列例P15_CCH、「天然」
LRCPTPHYNFENGIGNHLMWNIIWLNAQQMSYKNK(配列番号62)
【0161】
配列例P15_CCH_2、「合成」
LRCPTPHYRFENGIGNHLMWNIIWLNAQQMSYCNK(配列番号63)
【0162】
群P16
SNRXXXMXXXXGLXGPXXIMXXXXX(配列番号162)
XXXXFFMXXXXXXCXXFGXXXXKXX(配列番号163)
SNRDXXXXXIFGLXGPXXIMXRKRR(配列番号164)
SXXXXXXVNXXXXCXXFGXXEXXXX(配列番号165)
XXXXXXXVNIFXXXXPXXXXXRXRR(配列番号166)
【0163】
配列例P16_CCH、「天然」
SNRDFFMVNIFGLCGPFGIMERKRR(配列番号64)
【0164】
配列例P16_CCH_2、「合成」
SNRKFFMVNIFGLCGPFGIMKRKRR(配列番号65)
【0165】
方法
ペプチドを、最少阻害濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)決定として使用して活性について試験した。特定のペプチドについて、溶血性試験も行って、50%の赤血球を死滅させる抗微生物化合物の濃度に基づく溶血活性の指標であるHC50(μg/mL)を決定した。
【0166】
ペプチドを、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿レンサ球菌及びM.スメグマチスに対する活性について試験した。
【0167】
独立した実験を、ATCC大腸菌(大腸菌-ATCC25922「野生型」);ESBL大腸菌(大腸菌-広域スペクトルベータラクタマーゼ);CPO大腸菌(KPC)(大腸菌-カルバペネマーゼ産生生物;クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ);及びCPO大腸菌(NDM)(大腸菌-カルバペネマーゼ産生生物;ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ)を包含する4系統の大腸菌で行った。
【0168】
独立した実験を、黄色ブドウ球菌-ATCC 29213「野生型」;及び黄色ブドウ球菌-メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の異なる系統で行った。
【0169】
ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)系統を、Cedarlaneから入手した。多剤耐性(MDR)系統を、臨床分離株として、Linda Hoang博士の研究室から入手した。
【0170】
推定の抗微生物ペプチドを、GeneScriptによって合成した。A-リストの抗微生物ペプチドを、GeneScriptによって再合成した。P2_CCH、P5_CCH及びP5_CCH_A19Kを、2つの条件:TFAを使用する標準的な合成及び対イオンとして酢酸塩を使用するTFAを除去した他の合成、で各々合成した。陽イオン性抗微生物ペプチドによる使用に適応させたMIC方法を使用して、MIC抗微生物活性を評価した(Hancock、1999年)。
【0171】
結果
【0172】
MIC及びMBCの結果を、下表に提供する。特に明記しない限り、濃度の単位は、MIC及びMBCの場合μg/mLである。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0173】
以下のデータは、本明細書に記載されている特定の抗微生物ペプチドの活性(μg/mLでMIC/MBC)を指定された置換を有する修飾/合成バージョンと比較して示すために提示される。上の表に示されるデータは、再度示されてよく、又は下の表に提供されるデータ内に表されてよいが、そのような重複は、読者が比較に容易に気づくことを助けると考えられる。以下の表に記述される異なる実施番号は、異なる日に行われた実験を意味し、各実施は、複数のn値を反映する。
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0174】
表27は、最少阻害濃度(MIC)の測定基準のため、及び標準方法を使用して50%の赤血球を死滅させる抗微生物化合物の濃度に基づく溶血活性の指標であるHC
50(μg/mL)を決定するための溶血性試験による本明細書に記載されている選択ペプチドの活性試験を示す。表27において、名称P2、P2M、P3、P3M、P4、P4M、P5、P5M、P6及びP6Mは、上で定義した通りペプチドP2_CCH、P2_CCH_T15K_P7R、P3_CCH、P3_CCH_D8K_Q23C、P4_CCH、P4_CCH_P31K、P5_CCH、P5_CCH_A19K、P6_CCH及びP6_CCH_S12Kのことをそれぞれ指す。
【表27】
【0175】
表28は、本明細書に記載されている配列及び対応する配列番号の概要を提供する。「x」が、配列表中に示される場合、それは3文字コード「Xaa」と同等の物であり、あらゆる配列が存在し得ることを意味する。整列化を例示している表又は図が、ダッシュ「-」を示し得る場合、これは、示される比較可能な配列と可能な限り最良の整列化を維持するための位置に存在しない残基を示す。特に明記しない限り、配列は、合成される及び/又は北米ウシガエル、ラナ(リトバテス)カテスベイアナのBullfrog Annotated Reference Transcriptome(BART)から得られる。合成ペプチド、及び/又は単離した配列である。
【表28-1】
【表28-2】
【表28-3】
【表28-4】
【表28-5】
【表28-6】
【0176】
前の説明では、説明のために、多数の詳細が、態様の徹底的な理解を得るために述べられている。しかしながら、これらの特定の詳細が必要とされないことは、当業者に明らかになろう。
【0177】
上に記載の態様は、単に例を意図したものである。変更、改変及び変形が、当業技術者によって特定の態様に実施されてよい。特許請求の範囲は、本明細書で述べられる特定の態様によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する様式で解釈されるべきである。
【0178】
参照文献
以下の刊行物は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【配列表フリーテキスト】
【0179】
配列番号1:<223>北米ウシガエル、ラナ(リトバテス)カテスベイアナに関連する抗微生物ペプチド
配列番号2~14:<223>北米ウシガエル、ラナ(リトバテス)カテスベイアナに基づく抗微生物ペプチド
配列番号15:<223>シューダクリス・レジラ ラナツエリン-2PRcに基づく推定AMP前駆体
配列番号16:<223>R.カテスベイアナHP2に基づく推定AMP前駆体
配列番号17~23:<223>ラナツエリン前駆体配列
配列番号24~26:<223>R.カテスベイアナ由来ラナサイクリン前駆体配列
配列番号27、28:<223>R.カテスベイアナ由来カテスベイアニン-1前駆体配列
配列番号29、30:<223>R.カテスベイアナ由来パラストリン-Ca前駆体配列
配列番号31:<223>アモロプス・ロロエンシス カテリシジン-AL配列
配列番号32:<223>アモロプス・ロロエンシス カテリシジン-AL配列と整列化するR.カテスベイアナ カテリシジン-AL配列
配列番号33:<223>ナノラナ・パーケリ 予測LEAP2配列
配列番号34:<223>ナノラナ・パーケリ予測LEAP2配列と整列化するR.カテスベイアナ LEAP2配列
配列番号35:<223>P1_CCH、「天然」抗微生物ペプチド
配列番号36:<223>P1_CCH_F9R_Y2P、「合成」AMP
配列番号37:<223>P2_CCH、「天然」AMP
配列番号38:<223>P2_CCH_T15K_P7R、「合成」AMP
配列番号39:<223>P3_CCH、「天然」AMP
配列番号40:<223>P3_CCH_D8K_Q23C、「合成」AMP
配列番号41:<223>P4_CCH、「天然」AMP
配列番号42:<223>P4_CCH_P31K、「合成」AMP
配列番号43:<223>P5_CCH、「天然」AMP
配列番号44:<223>P5_CCH_A19K、「合成」AMP
配列番号45:<223>P6_CCH、「天然」AMP
配列番号46:<223>P6_CCH_S12K、「合成」AMP
配列番号47:<223>P7_CCH、「天然」AMP
配列番号48:<223>P7_CCH_P9R_R5M、「合成」AMP
配列番号49:<223>P8_CCH、「天然」AMP
配列番号50:<223>P8_CCH_N11K、「合成」AMP
配列番号51:<223>P9_CCH_2、「合成」AMP
配列番号52:<223>P10_CCH、「天然」AMP
配列番号53:<223>P10_CCH_2、「合成」AMP
配列番号54:<223>P11_CCH、「天然」AMP
配列番号55:<223>P11_CCH_E21K_E23R、「合成」AMP
配列番号56:<223>P12_CCH、「天然」AMP
配列番号57:<223>P12_CCH2、「合成」AMP
配列番号58:<223>P13_CCH、「天然」AMP
配列番号59:<223>P13_CCH_N8K_E18K、「合成」AMP
配列番号60:<223>P14_CCH、「天然」AMP
配列番号61:<223>P14_CCH_2、「合成」AMP
配列番号62:<223>P15_CCH、「天然」AMP
配列番号63:<223>P15_CCH_2、「合成」AMP
配列番号64:<223>P16_CCH、「天然」AMP
配列番号65:<223>P16_CCH_2、「合成」AMP
配列番号66:<223>P1バリアントAMP配列
配列番号66:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号67:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号67:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号68:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号68:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号69:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号69:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号70:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号70:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号71:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号71:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号72:<223>群P1バリアントAMP配列
配列番号72:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号73:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号73:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号74:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号74:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号75:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号75:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号76:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号76:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号77:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号77:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号78:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号78:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号79:<223>群P2バリアントAMP配列
配列番号79:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
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配列番号80:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号81:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号81:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号82:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号82:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号83:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号83:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号84:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号84:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号85:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号85:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号86:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号86:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号87:<223>群P3バリアントAMP配列
配列番号87:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号88:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号88:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号89:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号89:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号90:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号90:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号91:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号91:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号92:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号92:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号93:<223>群P4バリアントAMP配列
配列番号93:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号94:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号94:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号95:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号95:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号96:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号96:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号97:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号97:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号98:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号98:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号99:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号99:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号100:<223>群P5バリアントAMP配列
配列番号100:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号101:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号101:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号102:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号102:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号103:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号103:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号104:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号104:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号105:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号105:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号106:<223>群P6バリアントAMP配列
配列番号106:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号107:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号107:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号108:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号108:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号109:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号109:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号110:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号110:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号111:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号111:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号112:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号112:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号113:<223>群P7バリアントAMP配列
配列番号113:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号114:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号114:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号115:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号115:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号116:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号116:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号117:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号117:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号118:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号118:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号119:<223>群P8バリアントAMP配列
配列番号119:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号120:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号120:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号121:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号121:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号122:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号122:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号123:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号123:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号124:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号124:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号125:<223>群P9バリアントAMP配列
配列番号125:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号126:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号126:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号127:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号127:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号128:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号128:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号129:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号129:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号130:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号130:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号131:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号131:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号132:<223>群P10バリアントAMP配列
配列番号132:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号133:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号133:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号134:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号134:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号135:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号135:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号136:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号136:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号137:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号137:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号138:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号138:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号139:<223>群P11バリアントAMP配列
配列番号139:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号140:<223>群P12バリアントAMP配列
配列番号140:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号141:<223>群P12バリアントAMP配列
配列番号141:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号142:<223>群P12バリアントAMP配列
配列番号142:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号143:<223>群P12バリアントAMP配列
配列番号143:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号144:<223>群P12バリアントAMP配列
配列番号144:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号145:<223>群P13バリアントAMP配列
配列番号145:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号146:<223>群P13バリアントAMP配列
配列番号146:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号147:<223>群P13バリアントAMP配列
配列番号147:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号148:<223>群P13バリアントAMP配列
配列番号148:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号149:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号149:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号150:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号150:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号151:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号151:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号152:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号152:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号153:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号153:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号154:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号154:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号155:<223>群P14バリアントAMP配列
配列番号155:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号156:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号156:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号157:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号157:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号158:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号158:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号159:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号159:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号160:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号160:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号161:<223>群P15バリアントAMP配列
配列番号161:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号162:<223>群P16バリアントAMP配列
配列番号162:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号163:<223>群P16バリアントAMP配列
配列番号163:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号164:<223>群P16バリアントAMP配列
配列番号164:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号165:<223>群P16バリアントAMP配列
配列番号165:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号166:<223>群P16バリアントAMP配列
配列番号166:<223>Xaaは、任意のアミノ酸である
配列番号167:<223>抗微生物ペプチド
配列番号168:<223>抗微生物ペプチド
配列番号169:<223>抗微生物ペプチド
配列番号170:<223>抗微生物ペプチド
配列番号171:<223>抗微生物ペプチド
配列番号172:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号173:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号174:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号175:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号176:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号177:<223>抗微生物ペプチド前駆体
配列番号178:<223>抗微生物ペプチド前駆体
【配列表】