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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】置換イミダゾキノリンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20241023BHJP
   A61P 37/04 20060101ALN20241023BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20241023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20241023BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALN20241023BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
A61P37/04
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K31/4745
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021552887
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020056047
(87)【国際公開番号】W WO2020178434
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/055793
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509146023
【氏名又は名称】バイオエヌテック エスエー
【氏名又は名称原語表記】BIONTECH SE
【住所又は居所原語表記】An der Goldgrube 12 55131 Mainz Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー, クリストフ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-515436(JP,A)
【文献】特表2013-512859(JP,A)
【文献】特表2003-501466(JP,A)
【文献】国際公開第2018/196823(WO,A1)
【文献】特表2010-526129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を合成する方法であって、
【化1】
前記方法は、
a)式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を提供するステップと、
【化2】
(R及びR は、以下の(i)~(iii)のいずれかであり、各々のアミノ保護基は独立して選択される。
(i)R は-Hであり、R はアミノ保護基である。
(ii)R はアミノ保護基であり、R は-Hである。
(iii)R はアミノ保護基であり、R はアミノ保護基である。
b)前記式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を1つ以上の試薬と反応させてR及びR位置の前記アミノ保護基を除去し、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップと、
【化3】
c)前記式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、(i)テトラヒドロピラニル基及び(ii)アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応させ、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップと、
【化4】
d)前記式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を酸化的アミノ化反応に供し、前記式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップと、を含む方法。
【請求項2】
(i)前記ステップc)の前に、前記式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させ、(ii)前記ステップd)の前に、前記式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させ、及び/又は(iii)前記ステップd)の後に、前記式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
及びRのそれぞれのアミノ保護基は、独立にtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トシレート(Ts)、ベンジル(Bn)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、トリチル(Trt)、ジメトキシトリチル(DMT)、及びモノメトキシトリチル(MMT)からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)は、式(1)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩をHOOC(CHOCH(式(2))又は前記式(2)の誘導体と反応させ、式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得ることを含
式(2)の前記誘導体が、カルボン酸ハロゲン化物、オルトエステル、及び1,1-ジアルコキシアルキルアルカノエートからなる群より選択されるか、または
式(2)の前記誘導体が、式(R 10 O) C(CH OCH を有するオルトエステルであり、各R 10 は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【化5】
【請求項5】
前記式(1)の化合物と前記式(2)の化合物又は前記式(2)の誘導体との反応は、(i)溶媒中、(ii)酸の存在下、(iii)0℃~120℃の反応温度及び/又は(iv)30分から10時間の反応時間、で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は芳香族溶媒であり、及び/又は、前記反応温度は前記溶媒の還流温度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップb)は、(i)溶媒中、(ii)0℃~40℃の反応温度、及び/又は(iii)30分から5時間の反応時間で行われる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は、前記ステップa)で使用される前記溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
及びRのそれぞれのアミノ保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)であり、前記ステップb)の前記アミノ保護基を除去する前記1つ以上の試薬は、トリフルオロ酢酸(TFA)、HCl、CHSOH、及び(HC)SiCl(TMSCl)からなる群より選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップb)は、前記式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を1つ以上の試薬と反応させて前記アミノ保護基を除去した後に、塩基を添加することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップc)のテトラヒドロピラニル基を導入するための前記1つ以上の試薬は、テトラヒドロピラノン及び還元剤である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記還元剤はホウ化水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップc)における、式(4)の前記化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための前記1つ以上の試薬との反応は、(i)溶媒中、(ii)酸の存在下、(iii)-20℃~40℃の反応温度、及び/又は(iv)5時間から24時間の反応時間で行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップc)のアセチル基を導入するための前記1つ以上の試薬は、無水酢酸及びハロゲン化酢酸から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップc)における、式(4)の前記化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための前記1つ以上の試薬との反応は、(i)溶媒中、(ii)0℃~50℃の反応温度、及び/又は(iii)6時間から48時間の反応時間で行われる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップd)は、式(5)の前記化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、まず(i)酸化剤と反応させ、次に(ii)アシル化剤及びアミノ化剤と反応させることを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化剤は、N-オキシドを形成することができる酸化剤から選択され、酸化反応は、()溶媒中、(ii)-10℃~40℃の反応温度、及び/又は(iii)30分から12時間の反応時間で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アシル化剤は、ハロゲン化アルキルスルホニル及びハロゲン化アリールスルホニルからなる群より選択され、前記アシル化剤との反応は、()溶媒中、(ii)-10℃~40℃の反応温度、及び/又は(iii)30分から12時間の反応時間で行われる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記アシル化剤は、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、又は塩化p-トルエンスルホニルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アミノ化剤は、アンモニア及びその塩からなる群より選択され、前記アミノ化剤の前記反応は、()溶媒中、(ii)-10℃~40℃の反応温度、及び/又は(iii)30分から12時間の反応時間で行われる、請求項1619のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒はハロゲン化有機溶媒である、請求項13、15、17、18および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、前記ステップd)の後に、アルコール溶媒から、式(I)の前記化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を結晶化することをさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップa)~d)の1つ以上は、クロマトグラフィーを使用しない方式で行われる、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
以下の化合物からなる群より選択される化合物、若しくはその溶媒和物又は塩。
【化6】
【請求項25】
請求項1に記載された式(I)の化合物を合成するための中間体としての請求項24に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、Toll様受容体アゴニスト、特に、特定のサイトカインの誘導を促進するTLR7のアゴニストとして有用なイミダゾキノリン誘導体を合成する方法に関する。さらに、本発明は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドの合成に有用な中間体も提供する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、Toll様受容体7アゴニスト及びそれらの合成中間体を調製するための有機合成技法分野に関する。現在、異なる特異性を有する13種類の受容体の遺伝子ファミリーを含み、そのうち11種類がヒトにおいて見出されるToll様受容体(TLR)は、様々な感染(細菌、ウイルス、菌類)に対する防御のために進化してきた細胞病原体パターン認識系の一部をなす。TLRの活性化は、例えば、インターフェロンの放出と特定の免疫細胞の活性化を伴うサイトカイン反応につながる。組織内の選択されたTLRの機能的発現は非常に様々である。例えば、上皮細胞上の(大腸菌リポ多糖LPSによって刺激される)TLR4、又は特定の免疫細胞におけるエンドソーム膜に位置するTLR3、7、8、及び9などの受容体の一部は、細胞表面に位置する。後者は、全て核酸によって活性化されるが、様々な種類の核酸を認識する。例えば、TLR9は、CpGサブシーケンスを含む一本鎖DNAによって活性化され、TLR7及び8は、一本鎖RNAによって活性化され、TLR3は二本鎖RNAによって活性化される。
【0003】
いくつかの低分子(SMOL、small-molecule)TLR7又はTLR8アゴニストは特定されている。これらのアゴニストは、7-チア-8-オキソグアノシン(TOG、イサトリビン)、又は、イミキモドのようなイミダゾキノリン系化合物などのプリン様分子に分類できる。イミキモドは、これまで唯一の認可された最も信頼の置けるTLR7アゴニストであり、5%クリームとして販売されている(Aldara(登録商標))。それは、世界中で最も頻繁に起こる癌である表在性基底細胞癌の約80%5年クリアランスを達成している。イミキモドはTLR7を活性化する。TLR7の機能的発現は、特定の免疫細胞に限定されているように現れ、すなわち、ヒトにおいて、形質細胞様樹状細胞、B細胞、及びおそらく好酸球がTLR7アゴニストによって活性化されることが知られている。
【0004】
数年前より、TLR7、8、又は9アゴニストによって誘導される強い免疫活性化を癌の治療に利用するために、世界中で多大な努力がなされてきた。しかしながら、癌免疫治療は長年にわたり失敗の歴史を経験してきた。それにもかかわらず、近年、癌免疫監視とそれによる免疫細胞のサブセットの機能に関する知識は劇的に改善された。TLR7、TLR8、又はTLR9アゴニストは、癌の単独療法又は併用療法のための、或いはワクチンアジュバントとしての臨床開発がされている。
【0005】
癌免疫治療のためのTLRアゴニストのアプローチは、例えば、サイトカイン、インターフェロン、又は1価ワクチン接種を用いる以前の努力とは異なる。TLRアゴニスト媒介免疫活性化は、自然免疫及び適応免疫反応を生成する特定の免疫細胞(主に、樹状細胞及びB細胞、並びに他の細胞)を通して多面的になる。さらに、1つのインターフェロンだけでなく、多くの異なるイソフォームが誘導され、I型(アルファ、ベータ)だけでなく、(間接的に)II型(ガンマ)も誘導される。少なくとも局所投与に関しては、Aldara(登録商標)は注目すべき概念実証が行われている。これは、抗原が腫瘍によって放出されること、及び免疫療法が原則として、さらには単剤療法においても癌の適応症に作用し得ることを示す。しかしながら、全身投与経路において、臨床概念実証はTLR7アゴニストについては保留されている。進行癌及び全身投与(特に、皮下(s.c.)又は静脈内(i.v.)投与経路)の場合、そのようなTLRアゴニストは他の治療的介入と組み合わせてより強力な、すなわち相乗的な有効性を提供し得ることが明らかであるように思われる。
【0006】
初期ステージの癌の場合には、状況は異なる可能性がある。腫瘍の転移は、主に転移が既に起こっているときには腫瘍の検出が遅すぎるため、患者における腫瘍発生の深刻な局面である。確立されている腫瘍治療は、概ね、かなり狭い治療範囲を持った細胞毒性薬剤を含む。従って、転移拡大の抑制がまだ可能であるかもしれない初期段階の腫瘍の治療のために、良好な認容性と安全性を有する新しい治療法の必要性が高い。
【0007】
免疫系の活性化、特にToll様受容体(TLR)シグナル伝達の活性化は、新たな有望なアプローチを提供する。H2006又はH1826などのTLR9アゴニスト性CpG-ODN、及びグアノシン誘導体イサトリビン又はイミキモド誘導体などのTLR7アゴニストを、マウスの腎癌細胞の肺転移(Renca lung metastasis)モデルにおいて試験した。試験した分子は全て良好な認容性を有し、肺転移の発生をほぼ完全に抑制した。これは、癌転移の抑制のためのそのような分子の臨床開発のための説得力のある合理性を提供し、そのような薬剤の全身投与の可能性を示す。しかしながら、SMOLタイプのTLR7アゴニストは、核酸タイプのTLR9アゴニストと比較すると、確立された費用効果の高い合成という利点があり、全身投与に加え、局所投与にも好適である。
【0008】
米国特許第6,573,273号は、尿素、チオ尿素、アシル尿素、スルホニル尿素、又はカルバメート官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。これらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0009】
米国特許第6,677,349号は、1-位にスルホンアミド官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。これらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0010】
米国特許出願公開第2003/0144283号及び国際公開第00/76505号は、1-位にアミド官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。これらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0011】
国際公開第2005/051324号は、1-位においてオキシム又は特殊なN-オキシド官能基によって置換されたイミダゾキノリン、ピリジン、及びナフチリジン環系を記載している。これらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0012】
国際公開第2009/118296号は、イミダゾキノリン化合物を記載している。これらの化合物は、Toll様受容体アゴニスト/TLR7活性化剤として説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第6,573,273号
【文献】米国特許第6,677,349号
【文献】米国特許公開第2003/0144283号
【文献】国際公開第00/76505号
【文献】国際公開第2005/051324号
【文献】国際公開第2009/118296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド及びその調製方法は、国際特許出願PCT/EP2018/073470に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本開示は、新規な中間体を採用する、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、若しくはその溶媒和物又は塩の調製のための新規な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1態様は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、若しくはその溶媒和物又は塩を合成するための方法を提供し、以下でさらに説明する。
上記の化合物は、TLR7のアゴニスト又は活性化剤であり、サイトカイン誘導物質として機能してもよい。上記の化合物は、以下の化学式(I)を有する。
【化1】
【0017】
第1態様の方法は、次のステップを含む。
a)式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を提供するステップ
【化2】
(R及びRのそれぞれは、独立に、-H及びアミノ保護基からなる群より選択され、R及びRの少なくとも1つは、アミノ保護基である。)
b)前記式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を1つ以上の試薬と反応させてR及びR位置の前記アミノ保護基を除去し、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
【化3】
c)前記式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、(i)テトラヒドロピラニル基及び(ii)アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応させ、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
【化4】
d)前記式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を酸化的アミノ化反応に供し、前記式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
第1態様の方法の好ましい実施形態は、以下、特許請求の範囲、及び図1A~1H、図2A~2D、図3A~3G、図4A~4H、図5A~5E、及び図6A~6Dのいずれか1つを参照し、以下で詳細に説明される。
【0018】
第2態様において、本発明は、以下からなる群より選択される化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を提供する。
【化5】
これらの化合物は、上記の第1態様の方法で有用な中間体である。
【0019】
第3態様において、本発明は、式(I)の化合物を合成するために上記の第2態様の化合物を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A-1H】図1A~1Hは、本発明の方法の好ましい実施形態を示す。図1A~1Hに記載の置換基(例えば、R、R、R10)及び略語(例えば、THP、PTSA)は、具体的に説明されているものと同じ意味を有する。
図2A-2D】図2A~2Dは、本発明の方法のステップa)の好ましい実施形態を示す。
図3A-3G】図3A~3Gは、本発明の方法のステップb)の好ましい実施形態を示す。
図4A-4H】図4A~4Hは、本発明の方法のステップc)の好ましい実施形態を示す。
図5A-5E】図5A~5Eは、本発明の方法のステップd)の好ましい実施形態を示す。
図6A-6D】図6A~6Dは、本発明の方法のステップd)の後に行われ得るステップ(沈殿及び/又は結晶化)の好ましい実施形態を示す。
図7図7は、本発明の方法によって得られるフマル酸付加塩としての式(4)の化合物のスペクトル(H NMR、DO、400MHz)を示す。
図8図8は、本発明の方法によって得られるフマル酸付加塩(SC 103439として指定)としての式(4)の化合物のクロマトグラム(HPLC)を示す。
図9図9は、本発明の方法によって得られる式(5)の化合物のスペクトル(H NMR、CDCl、500MHz)を示す。
図10図10は、本発明の方法によって得られる式(5)の化合物(SC 102714として指定)のクロマトグラム(HPLC)を示す。
図11図11は、本発明の方法のステップd)の直後に得られる粗型(すなわち、ステップdの後、式(I)の化合物に対して、沈殿及び/又は結晶化ステップが行われていない)の式(I)の化合物のスペクトル(H NMR、CDCl、500MHz)を示す。
図12図12は、本発明の方法のステップd)の直後に得られる粗型(すなわち、ステップdの後、式(I)の化合物に対して、沈殿及び/又は結晶化ステップが実行されていない)の式(I)の化合物のクロマトグラム(HPLC)を示す。式(I)の化合物は、図12においてSC100745として指定される。
図13図13は、本発明の方法の最終結晶化ステップの後に得られる式(I)の化合物のスペクトル(H NMR、ピリジン-d5、500MHz)を示す。
図14図14は、本発明の方法の最終結晶化ステップの後に得られる式(I)の化合物の質量スペクトル(ESI)を示す。
図15図15は、本発明の方法の最終結晶化ステップの後に得られる式(I)の化合物のスペクトル(HPLC)を示す。 式(I)の化合物は、図15においてSC100745として指定される。
図16図16は、クロマトグラフィー精製ステップを用いて、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドを合成するための比較方法Bの概要である。
図17図17は、比較方法Bを用いて得られる式(4)の化合物のクロマトグラム(HPLC)を示す。
図18図18は、比較方法Bを用いて得られる式(4)の化合物のTHP付加物のクロマトグラム(HPLC)を示す。
図19図19は、比較方法Bを用いて得られる式(5)の化合物のクロマトグラム(HPLC)を示す。
図20図20は、比較方法Bを用いて得られる式(I)の化合物のクロマトグラム(HPLC)を示す。図20において、式(I)の化合物は、SC100745として指定される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明をさらに詳細に説明するが、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル、及び試薬は変更可能であるため、本発明は、これらの特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されたい。特に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0022】
以下に、本発明の要素についてより詳細に説明する。これらの要素は、特定の実施形態とともに記載されているが、それらを任意の方法及び任意の数で組み合わせて追加の実施形態を作成してもよいことを理解されたい。様々に記載された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に記載された実施形態のみに限定すると解釈されるべきではない。この説明は、明示的に説明された実施形態を任意の数の開示された及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態をサポートし、包含すると理解されるべきである。さらに、本願で説明されている全ての要素の変形及び組み合わせは、特に文脈で表していない限り、本願の説明によって開示されていると見なされるべきである。例えば、本発明の方法の好ましい実施形態において、溶媒交換がステップd)の後に行われ、本発明の方法の他の好ましい実施形態において、結晶化ステップがステップd)の後に行われる場合、本発明の方法のさらに好ましい実施形態は、溶媒交換がステップd)の後に行われ、結晶化ステップがステップd)の後に行われる。
【0023】
好ましくは、本明細書で使用される用語は、「生物工学用語の多言語用語集:(IUPAC勧告)」、H.G.W. Leuenberger、B. Nagel、及びH.Kolbl編、Helvetica Chimica Acta、CH-4010バーゼル、スイス、(1995)に定義されている。
【0024】
本発明の実施は、特に示されていない限り、この分野の文献で説明されている従来の化学方法を採用する(例えば、Organikum、Deutscher Verlag der Wissenschaften、Berlin 1990;Streitwieser/Heathcook、「Organische Chemie」、VCH、1990;Beyer/Walter、「Lehrbuch der Organischen Chemie」、S. HirzelVerlag Stuttgart、1988;Carey/Sundberg、 「Organische Chemie」、VCH、1995;March、「Advanced Organic Chemistry」、John Wiley&Sons、1985;Rompp Chemie Lexikon、Falbe/Regitz(Hrsg.)、Georg Thieme Verlag Stuttgart、ニューヨーク、1989)。
【0025】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別途に必要とない限り、「含む」という単語、及び「含み」及び「含んで」などの変形は、記載された部材、整数、又はステップ、若しくは部材、整数、又はステップのグループを含むことを意味すると理解されるが、いずれの他の部材、整数、又はステップ、若しくは部材、整数、又はステップのグループを除外するものではない。「必須的に構成される」という用語は、いずれの重要な他の部材、整数、又はステップを除外することを意味する。「含む」という用語は、「必須的に構成される」という用語を包含し、これは、結果的に、「からなる」という用語を包含する。よって、本願で各用語が記載されるとき、「含む」という用語は、「必須的に構成される」又は「からなる」という用語に置き換えられる場合がある。同様に、本願で各用語が記載されるとき、「必須的に構成される」という用語は、「からなる」という用語に置き換えられる場合がある。
【0026】
本発明を説明する文脈で(特に特許請求の範囲で)単数で記載されたものは、本明細書に別途示されていない限り又は明らかに矛盾する文脈でない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における値の範囲は、その範囲にある個々の値を個別に言及することの代用を単に意図するものとして挙げられている。本明細書に別途示されていない限り、個々の値は個別に言及されたものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載された全ての方法は、本明細書に別途示されていない限り、又は明らかに矛盾する文脈でない限り、任意の好適な順序で実行できる。本明細書のある実施形態に関するいずれかの例又は全ての例や例示的な語(例えば「など」)は、本発明をより良く説明することを単に意図しているものであり、別の表現で請求されている本発明の範囲を制限するものではない。本明細書内のいずれの語も、特許請求されていないが本発明の実施に不可欠な構成要素を示すと解釈されるべきではない。
【0027】
本明細書で用いられる「及び/又は」は、2つの特定の特徴又は成分のそれぞれの、その他を含む、又は含まない具体的開示と捉えられなければならない。例えば、「X及び/又はY」は、それぞれが本明細書で独立的に設定されている場合、(i)X、(ii)Y、及び(iii)X及びYのそれぞれの特殊な開示内容としてとらなければならない。
【0028】
本発明の文脈において、「約」及び「およそ」という用語は、相互交換的に使用され、通常の技術者が問題の特徴の技術的効果を依然として保証するものと理解される精度の間隔を示す。当該用語は、典型的には、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.9%、±0.8%、±0.7%、±0.6%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、±0.05%、及び例えば±0.01%で表した数値からの誤差を示す。当業者に理解されるように、所定の技術的効果の数値についての具体的なこのような誤差は、技術的効果の性質に依存する。例えば、自然又は生物学的な技術的効果は、人工的又は工学的な技術的効果の場合よりも、一般的に、このような誤差が大きい場合がある。
【0029】
本明細書における値の範囲は、その範囲にある個々の値を個別に言及することの代用を単に意図するものとして挙げられている。本明細書に別途示されていない限り、個々の値は個別に言及されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0030】
本明細書のある実施形態に関するいずれかの例又は全ての例や例示的な語(例えば「など」)は、本発明をより良く説明することを単に意図しているものであり、別の表現で請求されている本発明の範囲を制限するものではない。本明細書内のいずれの語も、特許請求されていないが本発明の実施に不可欠な構成要素を示すと解釈されるべきではない。
【0031】
「アルキル」という用語は、飽和直鎖又は分岐炭化水素のモノラジカルを指す。好ましくは、アルキル基は、1~12個(例えば、1~10個)の炭素原子、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個の炭素原子(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の炭素原子)、より好ましくは1~8個の炭素原子、例えば1~6個又は1~4個の炭素原子を含む。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル(2-プロピル又は1-メチルエチルとも呼ばれる)、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチル-プロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、2-エチル-ヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルなどが挙げられる。「置換アルキル」とは、アルキル基の1個又は複数個の水素原子(例えばアルキル基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-OCH、-OCF、又は必要に応じて置換アリールなどの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。置換アルキルの例としては、トリフルオロメチル、2-ヒドロキシエチル、2-アミノエチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、アリールアルキル(「アラルキル」とも呼ばれる、例えば、ベンジル)、又はヘテロアリールアルキル(「ヘテロアラルキル」とも呼ばれる)が挙げられる。
【0032】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐炭化水素のモノラジカルを指す。一般に、アルケニル基中の炭素-炭素二重結合の最大数は、アルケニル基中の炭素原子の数を2で割り、アルケニル基中の炭素原子の数が奇数である場合、次いでその除算の結果を1つ下の整数に丸めることにより算出される整数と等しいものであることができる。例えば、9個の炭素原子を有するアルケニル基については、炭素-炭素二重結合の最大数は4である。好ましくは、アルケニル基は、1~6個(例えば、1~4個)、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個の炭素-炭素二重結合を有する。好ましくは、アルケニル基は、2~12個(例えば、2~10個)の炭素原子、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個の炭素原子(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の炭素原子)、より好ましくは2~8個の炭素原子、例えば2~6個の炭素原子又は2~4個の炭素原子を含む。よって、好ましい実施形態では、アルケニル基は、2~12個の炭素原子(例えば、2~10個)及び1個、2個、3個、4個、5個、又は6個(例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個)の炭素-炭素二重結合、より好ましくは、2~8個の炭素原子及び1個、2個、3個、又は4個の炭素-炭素二重結合、例えば、2~6個の炭素原子及び1個、2個、又は3個の炭素-炭素二重結合、又は2~4個の炭素原子及び1個又は2個の炭素-炭素二重結合を含む。炭素-炭素二重結合は、cis(Z)であってもよく、trans(E)であってもよい。例示的なアルケニル基には、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル(即ちアリル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、5-ヘプテニル、6-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、4-オクテニル、5-オクテニル、6-オクテニル、7-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、4-ノネニル、5-ノネニル、6-ノネニル、7-ノネニル、8-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニル、4-デセニル、5-デセニル、6-デセニル、7-デセニル、8-デセニル、9-デセニル、1-ウンデセニル、2-ウンデセニル、3-ウンデセニル、4-ウンデセニル、5-ウンデセニル、6-ウンデセニル、7-ウンデセニル、8-ウンデセニル、9-ウンデセニル、10-ウンデセニル、1-ドデセニル、2-ドデセニル、3- ドデセニル、4-ドデセニル、5-ドデセニル、6-ドデセニル、7-ドデセニル、8-ドデセニル、9-ドデセニル、10-ドデセニル、11-ドデセニルなどが挙げられる。アルケニル基が窒素原子と結合している場合、二重結合が窒素原子についてのアルファ位であることはできない。「置換アルケニル」とは、アルケニル基の1個又は複数個の水素原子(例えばアルケニル基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン又は必要に応じて置換アリールなどの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。置換アルケニルの例としては、スチリル(すなわち、2-フェニルビニル)が挙げられる。
【0033】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐炭化水素のモノラジカルを指す。一般に、アルキニル基中の炭素-炭素三重結合の最大数は、アルキニル基中の炭素原子の数を2で割り、アルキニル基中の炭素原子の数が奇数である場合、次いでその除算の結果を1つ下の整数に丸めることにより算出される整数と等しいものであることができる。例えば、9個の炭素原子を有するアルキニル基については、炭素-炭素三重結合の最大数は4である。好ましくは、アルキニル基は、1~6個(例えば、1~4個)、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個、より好ましくは1個又は2個の炭素-炭素三重結合を有する。好ましくは、アルキニル基は、2~12個(例えば、2~10個)の炭素原子(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の炭素原子)、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個の炭素原子、より好ましくは2~8個の炭素原子、例えば2~6個の炭素原子又は2~4個の炭素原子を含む。よって、好ましい実施形態では、アルキニル基は、2~12個(例えば、2~10個)の炭素原子及び1個、2個、3個、4個、5個、又は6個(例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個(好ましくは、1個、2個、又は3個))の炭素-炭素三重結合、より好ましくは、2~8個の炭素原子及び1個、2個、3個、又は4個(好ましくは1個又は2個)の炭素-炭素三重結合、例えば、2~6個の炭素原子及び1個、2個、又は3個の炭素-炭素三重結合、又は2~4個の炭素原子及び1個又は2個の炭素-炭素三重結合を含む。例示的なアルキニル基としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、3-ヘプチニル、4-ヘプチニル、5-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、3-オクチニル、4-オクチニル、5-オクチニル、6-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、3-ノニニル、4-ノニニル、5-ノニニル、6-ノニニル、7-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、 2-デシニル、3-デシニル、4-デシニル、5-デシニル、6-デシニル、7-デシニル、8-デシニル、9-デシニルなどが挙げられる。アルキニル基が窒素原子と結合している場合、三重結合が窒素原子についてのアルファ位であることはできない。「置換アルキニル」とは、アルキニル基の1個又は複数個の水素原子(例えばアルキニル基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン又は必要に応じて置換アリールなどの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。
【0034】
「アリール」又は「芳香環」という用語は、芳香族環状炭化水素のモノラジカルを指す。好ましくは、アリール基は、3~14個(例えば、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個、例えば5個、6個、又は10個)の炭素原子を含み、これらは1つの環(例えば、フェニル)又は2つ以上の縮合環(例えば、ナフチル)に配置され得る。例示的なアリール基としては、シクロプロペニリウム、シクロペンタジエニル、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、アントリル、及びフェナントリルが挙げられる。好ましくは、「アリール」は、6個の炭素原子を含む単環式環又は10個の炭素原子を含む芳香族二環式環系を指す。好ましい例としては、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリールはフラーレンを含まない。「置換アリール」とは、アリール基の1個又は複数個の水素原子(例えばアリール基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-OCH、-OCF、ニトロ、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、及びアルキニル(例えば、C2-6アルキニル)などの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。置換アリールの例としては、ビフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロ-6-メチルフェニル、アニリニル、3-ニトロフェニル、4-ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル(すなわち、2-、3-、又は4-メトキシフェニル)、及び4-エトキシフェニルが挙げられる。
【0035】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族環」という用語は、アリール基内の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、S、又はN)で置き換えられている、上記で定義されたアリール基を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは、5又は6員芳香族単環式環を指しており、1個、2個、又は3個の炭素原子は、O、N、又はSの同一又は異なるヘテロ原子で置換される。代替的に、これは、芳香族二環式又は三環式環系を意味し、1個、2個、3個、4個、又は5個の炭素原子は、O、N、又はSの同一又は異なるヘテロ原子で置換される。好ましくは、ヘテロアリール基のそれぞれの環において、O原子の最大数は1であり、S原子の最大数は1であり、O及びS原子の最大総数は2である。例えば、3~14員ヘテロアリールは、単環式ヘテロアリール(例えば、5又は6員ヘテロアリール)、二環式ヘテロアリール(例えば、9又は10員ヘテロアリール)、及び三環式ヘテロアリール(例えば、13又は14員ヘテロアリール)を含む。例示的なヘテロアリール基としては、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル(ピリジニルとも呼ばれる)、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジアジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾトリアジニル、ピリダジニル、フェノキサジニル、チアゾロピリジニル、ピロロチアゾリル、フェノチアジニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、ピロリジニル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、ピロロオキサゾリル、及びピロロピロリルが挙げられる。例示的な5又は6員ヘテロアリール基としては、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、及びピリダジニルが挙げられる。「置換ヘテロアリール」とは、ヘテロアリール基の1個又は複数個の水素原子(例えばヘテロアリール基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-OCH、-OCF、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、及びアルキニル(例えば、C2-6アルキニル)などの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。置換ヘテロアリールの例としては、2,4-ジメチルピリジン-3-イル、2-メチル-4-ブロモピリジン-3-イル、3-メチル-2-ピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メチルピリジン-4-イル、4-クロロ-2-メチルピリジン-3-イル、3,5-ジメチルピリジン-4-イル、2-メチルピリジン-3-イル、2-クロロ-4-メチル-チエン-3-イル、1,3,5-トリメチルピラゾール-4-イル、3,5-ジメチル-1,2-ジオキサゾール-4-イル、1,2,4-トリメチルピロール-3-イル、3-フェニルピロリル、2,3’-ビフリル、4-メチルピリジル、2-又は3-エチルインドリルが挙げられる。
【0036】
「シクロアルキル」又は「脂環式」という用語は、好ましくは3~14個の炭素原子、例えば、3~12個又は3~10個の炭素原子、すなわち、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の炭素原子(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の炭素原子)、より好ましくは3~7個の炭素原子を有する「アルキル」及び「アルケニル」の環状非芳香族形態を示す。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロノニル、シクロノネニル、シクロデシル、シクロデセニル、及びアダマンチルが挙げられる。「シクロアルキル」という用語はまた、その二環式及び三環式形態を含むことを意味する。二環式環が形成される場合、それぞれの環が2つの隣接する炭素原子で相互に接続されることが好ましいが、代替的に、2つの環は、同一の炭素原子を介して接続、すなわち、これらの2つの環は、スピロ環系を形成するか、又は「橋かけ環系」を形成する。シクロアルキルの好ましい例としては、C3-8-シクロアルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、スピロ[3,3]ヘプチル、スピロ[3,4]オクチル、スピロ[4,3]オクチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[3.2.0]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[5.1.0]オクチル、及びビシクロ[4.2.0]オクチルが挙げられる。シクロアルキルはフラーレンを含まない。「置換シクロアルキル」とは、シクロアルキル基の1個又は複数個の水素原子(例えばシクロアルキル基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-OCH、-OCF、=O、=S、=NH、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、及びアルキニル(例えば、C2-6アルキニル)などの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。置換シクロアルキルの例としては、オキソシクロヘキシル、オキソシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、及びオキソシクロヘキセニルが挙げられる。
【0037】
「ヘテロシクリル」又は「複素環」という用語は、上記で定義されたシクロアルキル基を意味し、シクロアルキル基内の1個、2個、3個、又は4個の環の炭素原子は、ヘテロ原子(例えば、O、S、S(O)、S(O)、N、B、Si、及びPからなる群より選択され、好ましくはO、S、S(O)、及びNからなる群より選択され、より好ましくはO、S、及びNからなる群より選択されたもの)に置き換えられる。ヘテロシクリル基の環が1種のヘテロ原子のみを含む場合、このヘテロシクリル基の環におけるヘテロ原子の最大数は、以下の通りであってもよい。2個のO原子(好ましくは1個のO原子);2個のS原子(好ましくは1個のS原子);4個のN原子(例えば1個、2個、又は3個のN原子);2個のB原子(好ましくは1個のB原子);1個のSi原子;及び/又は1個のP原子ヘテロシクリル基の環が2種以上のヘテロ原子を含む場合、このヘテロシクリル基の環におけるヘテロ原子の最大数は、以下の通りであってもよい。1個のO原子;1個のS原子;2個のN原子(好ましくは1個のN原子);1個のB原子;1個のSi原子;及び/又は1個のP原子、ここで、上記のヘテロシクリル基の環内のヘテロ原子の最大総数は4であり、上記のヘテロシクリル基の環内の各ヘテロ原子の最大総数は、以下の通りである。1個のO原子;1個のS原子;1個又は2個のN原子;1個のB原子(好ましくは0個のB原子);1個のSi原子(好ましくは0のSi原子);及び/又は1個のP原子(好ましくは0個のP原子)一実施形態において、ヘテロシクリル基のヘテロ原子は、O、S、及びNからなる群より選択される。この実施形態において、好ましくは、ヘテロシクリル基の各環において、O原子の最大数は1であり、S原子は1であり、O原子とS原子の最大総数は2である。例えば、3~14員ヘテロシクリルは、単環式ヘテロシクリル(例えば、3員、4員、5員、6員、又は7員、好ましくは4~7員ヘテロシクリル)、二環式ヘテロシクリル(例えば、8員、9員、又は10員ヘテロシクリル)、及び三環式ヘテロシクリル(例えば、12員、13員、又は14員ヘテロシクリル)を含む。ヘテロシクリル基が2つ以上の環を含む場合、これらの環は縮合するか(例えば、キノリニル又はプリニル)、スピロ部分、架橋構造、二重結合を介する結合、又はそれらの組み合わせのいずれかである。言い換えれば、非置換ヘテロシクリル基は、単結合を介して連結された2つのヘテロシクリル基を含まない。「ヘテロシクリル」という用語はまた、上記のヘテロアリール基の部分的に又は完全に水素化された形態(例えば、ジヒドロ、テトラヒドロ、ヘキサヒドロ、オクタヒドロ、デカヒドロ、ドデカヒドロなど、又はペルヒドロ形態)を含むことを意味する。例示的なヘテロシクリル基としては、アゼチジニル、モルフォリノ、イソクロマニル、クロマニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、トリアジニナニル;ピロリル、イミダゾリル、及びピラゾリルのジヒドロ形態;フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、及びトリアジニルのジヒドロ及びテトラヒドロ形態;ピリミジニル、ピリダジニル、ピロロチアゾリル、及びピロリジニルのジヒドロ、テトラヒドロ、及びヘキサヒドロ形態が挙げられる。「置換ヘテロシクリル」とは、ヘテロシクリル基の1個又は複数個の水素原子(例えばヘテロシクリル基に結合した1個~最大数、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個若しくは2個の水素原子)が水素以外の置換基で置き換えられている(1個以上の水素原子が置き換えられている場合、置換基は同じでもよく、異なっていてもよい)ことを意味する。好ましくは、水素以外の置換基は、ハロゲン、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-OCH、-OCF、=O、=S、=NH、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、及びアルキニル(例えば、C2-6アルキニル)などの、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。
【0038】
本明細書で使用される不飽和化合物又は基の表現である「部分的に水素化された形態」は、全ての不飽和部分を除去せず、形式上、水素を初期不飽和化合物又は基に加えることによって不飽和部分が除去されたものを意味する。不飽和化合物又は基の「完全に水素化された形態」という表現は、本明細書において、「ペルヒドロ」という用語と相互交換的に使用され、形式上、水素を初期不飽和化合物又は基に加えることによって、全ての不飽和が除去されたものを意味する。例えば、5員ヘテロアリール基が部分的に水素化された形態(環内に2つの二重結合を含有、例えば、フラン)は、上記の5員ヘテロアリール基にジヒドロ形態(例えば、2,3-ジヒドロフラン又は2,5-ジヒドロフラン)を含むが、上記の5員ヘテロアリール基のテトラヒドロ形態(例えば、テトラヒドロフラン、すなわち、THF)は、上記の5員ヘテロアリール基の完全水素化(又はペルヒドロ)形態である。同様に、環に3つの二重結合を有する6員ヘテロアリール基(例えば、ピリジル)の場合、部分的に水素化された形態には、ジヒドロ及びテトラヒドロ形態(例えば、ジヒドロピリジル及びテトラヒドロピリジル)が含まれるが、ヘキサヒドロ形態(例えば、ヘテロアリールピリジルの場合はピペリジニル)は、上記の6員ヘテロアリール基の完全に水素化された(又はペルヒドロ)誘導体である。結果として、アリール又はヘテロアリールのヘキサヒドロ形態は、アリール又はヘテロアリールが環原子間の二重結合及び三重結合からなる少なくとも4つの不飽和部分を含む場合にのみ、本発明に係る部分的に水素化された形態と見なすことができる。
【0039】
炭化水素の文脈で使用される「芳香族」という用語は、分子全体が芳香族でなければならないことを意味する。例えば、単環式アリールが(部分的又は完全に)水素化される場合、得られる水素化された環状構造は、本発明の目的のためにシクロアルキルとして分類される。同様に、二環式又は多環式アリール(ナフチルなど)が水素化される場合に得られる水素化された二環式又は多環式構造(1,2-ジヒドロナフチルなど)は、本発明の目的のためにシクロアルキルとして分類される(1つの環、例えば1,2-ジヒドロナフチルであっても、まだ芳香族である)。同様の区別が、本願内でヘテロアリールとヘテロシクリルとの間でなされている。例えば、インドリニル、すなわち、インドリルのジヒドロ変異体は、二環式構造の1つの環のみが芳香族であり、環原子の1つがヘテロ原子であるため、本発明の目的のためにヘテロシクリルとして分類される。
【0040】
本明細書で使用される「多環式」という用語は、構造が2個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個)、好ましくは2個、3個、4個、又は5個、より好ましくは、2個、3個、又は4個の環を有することを意味する。従って、本発明によると、「多環式」という用語は、構造が1つの環のみを含む単環式構造を包含しない。多環式基の例としては、縮合構造(例えばナフチルやアントリル)、スピロ化合物、単結合又は二重結合を介して結合した環(例えばビフェニル)、及び架橋構造(例えばボルニル)が挙げられる。例示的な多環式構造は、少なくとも2つの環を有する、上記で特定されたアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基である。
【0041】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0042】
「アジド」という用語は-Nを意味する。
【0043】
「N-オキシド」という用語は、官能基(R-O又は(R-OH、すなわち、N-O配位共有結合を含む化学的な化合物であるアミンオキシド又はアミン-N-オキシドを意味し、ここで、Rは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルからなる群より選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基のそれぞれは、1つ以上(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基に結合された水素原子の1~最大数、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば、1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1又は2個)の独立に選択されたR20で任意に置換され、R20は、好ましくは、本明細書で特定される第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は第3レベルの置換基である。
【0044】
「任意に置換され」という用語は、1つ以上(例えば、基に結合された水素原子の1個~最大数、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば、1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1又は2個)の水素原子が、水素原子とは異なる基(すなわち、第1レベルの置換基)、例えば、アルキル(好ましくには、C1-6アルキル)、アルケニル(好ましくは、C2-6アルケニル)、アルキニル(好ましくは、C2-6アルキニル)、アリール(好ましくは、6~14員アリール)、ヘテロアリール(好ましくは、3~14員ヘテロアリール)、シクロアルキル(好ましくは、3~14員シクロアルキル)、ヘテロシクリル(好ましくは、3~14員ヘテロシクリル)、ハロゲン、-CN、アジド、-NO、-OR71、-N(R72)(R73)、-S(O)0-271、-S(O)1-2OR71、-OS(O)1-271、-OS(O)1-2OR71、-S(O)1-2N(R72)(R73)、-OS(O)1-2N(R72)(R73)、-N(R71)S(O)1-271、-NR71S(O)1-2OR71、-NR71S(O)1-2N(R72)(R73)、-OP(O)(OR71、-C(=X)R71、‐C(=X)X71、-XC(=X)R71、及び-XC(=X)X71で置換されてもよく、及び/又はシクロアルキル又はヘテロシクリル基の同一の炭素原子に結合された任意の2つの第1レベルの置換基は、共に結合して=Xを形成することを示し、ここで第1レベルの置換基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、それら自体が、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、6~14員アリール、3~14員ヘテロアリール、3~14員シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OR81、-N(R82)(R83)、-S(O)0-281、-S(O)1-2OR81、-OS(O)1-281、-OS(O)1-2OR81、-S(O)1-2N(R82)(R83)、-OS(O)1-2N(R82)(R83)、-N(R81)S(O)1-281、-NR81S(O)1-2OR81、-NR81S(O)1-2N(R82)(R83)、-OP(O)(OR81、-C(=X)R81、-C(=X)X81、-XC(=X)R81、及び-XC(=X)X81からなる群より選択される1つ以上(例えば、1個、2個、又は3個)の置換基(すなわち、第2レベルの置換基)で置換されてもよく、及び/又は第1レベルの置換基であるシクロアルキル又はヘテロシクリル基の同一の炭素原子に結合された任意の2つの第2レベルの置換基は、共に結合して=Xを形成してもよく、ここで第2レベルの置換基のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、6~14員アリール、3~14員ヘテロアリール、3~14員シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル基のそれぞれは、独立に、C1-3アルキル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-OCF、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群(ここで、それぞれのzは独立に0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである)より選択された1つ以上(例えば、1個、2個、又は3個)の置換基(すなわち、第3レベルの置換基)で任意に置換されてもよく、及び/又は第2レベルの置換基である3~14員シクロアルキル又はヘテロシクリル基の同一の炭素原子に結合された任意の2つの第3レベルの置換基は、共に結合して=O、=S、=NH、又は=N(C1-3アルキル)を形成してもよく;
ここで、
71、R72、及びR73のそれぞれは、独立に、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、3~7員シクロアルキル、5又は6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、及び3~7員ヘテロシクリル基からなる群より選択され、ここでC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、3~7員シクロアルキル、5又は6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、及び3~7員ヘテロシクリル基のそれぞれは、独立に、C1-3アルキル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-OCF、=O、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)zからなる群より選択される1個、2個又は3個の置換基で任意に置換され、ここで、それぞれのzは、独立に0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであり;
81、R82、及びR83のそれぞれは、独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3~6員シクロアルキル、5又は6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、及び3~6員ヘテロシクリル基からなる群より選択され、ここでC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3~6員シクロアルキル、5又は6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、及び3~6員ヘテロシクリル基のそれぞれは、独立に、C1-3アルキル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-OCF、=O、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)zからなる群より選択される1個、2個又は3個の置換基で任意に置換され、ここで、それぞれのzは、独立に0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであり;及び
及びXのそれぞれは、独立に、O、S、及びN(R84)から選択され、ここで、R84は、H又はC1-3アルキルである。
【0045】
典型的な第1レベルの置換基は、好ましくは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、6~14員(例えば、6~10員)アリール、3~14員(例えば、5又は6員)ヘテロアリール、3~14員(例えば、3~7員)シクロアルキル、3~14員(例えば、3~7員)ヘテロシクリル、ハロゲン、-CN、アジド、-NO、-OR71、-N(R72)(R73)、-S(O)0-271、-S(O)1-2OR71、-OS(O)1-271、-OS(O)1-2OR71、-S(O)1-2N(R72)(R73)、-OS(O)1-2N(R72)(R73)、-N(R71)S(O)1-271、-NR71S(O)1-2OR71、-C(=X)R71、-C(=X)X71、-XC(=X)R71、及び-XC(=X)X71、例えば、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル、3~7員(例えば、5又は6員)ヘテロシクリル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群より選択され、ここで、それぞれのzは、独立に、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであり;Xは、独立に、O、S、NH及びN(CH)から選択され;R71、R72、及びR73のそれぞれは、独立に、上記で定義された、又は好ましくは、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、5又は6員シクロアルキル、5又は6員アリール、5又は6員ヘテロアリール、及び5又は6員ヘテロシクリル基からなる群より選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル基のそれぞれは、独立に、C1-3アルキル、ハロゲン、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群より選択される1個、2個、又は3個の置換基で任意に置換され、それぞれのzは、独立に、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。
【0046】
第1レベルの置換基の特定の例は、独立に、C1-3アルキル、フェニル、イミダゾリル、チアゾリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジヒドロチアゾリル、チアゾリジニル、ハロゲン、-CF、-CN、-OH、-O(C1-3アルキル)、‐S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH )NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群より選択され、ここでそれぞれのzは、独立に、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。特に好ましい第1レベルの置換基は、独立に、C1-3アルキル、フェニル、チアゾリジニル、ハロゲン(例えば、F、Cl、又はBr)、-NH、-NHS(O)(C1-3アルキル)、‐NHC(=O)(C1-3アルキル)、及び-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)からなる群より選択され、ここで、zは、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。
【0047】
典型的な第2レベルの置換基は、好ましくは、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、6又は10員アリール、5又は6員ヘテロアリール、5又は6員シクロアルキル、5又は6員ヘテロシクリル、ハロゲン、=O、=S、-CF、-CN、アジド、-NO、-OH、-O(C1-3アルキル)、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-S(O)NH2-z(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群より選択され、ここでそれぞれのzは、独立に、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。第2レベルの置換基の特定の例は、独立に、C1-3アルキル、フェニル、5又は6員ヘテロアリール、5又は6員シクロアルキル、5又は6員ヘテロシクリル、ハロゲン、=O、=S、-CF、-CN、-OH、-O(C1-3アルキル)、-S(C1-3アルキル)、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-NHS(O)(C1-3アルキル)、-C(=O)OH、-C(=O)O(C1-3アルキル)、-C(=O)NH2-z(C1-3アルキル)、-NHC(=O)(C1-3アルキル)、-NHC(=NH)NHz-2(C1-3アルキル)、及び-N(C1-3アルキル)C(=NH)NH2-z(C1-3アルキル)からなる群より選択され、ここでそれぞれのzは、独立に、0、1、又は2であり、それぞれのC1-3アルキルは、独立に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。特に好ましい第2レベルの置換基は、独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、=O、および=Sからなる群より選択される。
【0048】
典型的な第3レベルの置換基は、好ましくは、C1-3アルキル、フェニル、ハロゲン、-CF、-OH、-OCH、-SCH、-NH2-z(CH、-C(=O)OH、及び-C(=O)OCHからなる群より選択され、ここで、zは、0、1、又は2であり、C1-3アルキルは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。特に好ましい第3レベルの置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ハロゲン(例えば、F、Cl、又はBr)、及び-CF、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl、又はBr)、及び-CFからなる群より選択される。
【0049】
本明細書で使用される用語「任意の」又は「必要に応じて」は、実質的に記述された物事、状況、又は条件が発生するか、又は発生しない場合があり、これらの記載は、上記の物事、状況、又は条件が発生する例、又は発生しない例を含んでいる。
【0050】
「異性体」は、同じ分子式を有するが構造は異なる(「構造異性体」)、又は官能基及び/又は原子の幾何学的(空間)位置決めが異なる(「立体異性体」)化合物である。「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性体である。「ラセミ混合物」又は「ラセミ体」は、同量の一対の鏡像異性体を含有し、接頭辞(±)で表す。「ジアステレオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像ではない立体異性体である。「互変異性体」は、純粋な場合であっても、個々の原子又は原子群の移動により、自発的かつ可逆的に相互変換される同じ化学物質の構造異性体であり、すなわち、互変異性体は、互いに動的化学平衡状態にある。互変異性体の例としては、ケト-エノール-互変異性の異性体が挙げられる。「配座異性体」は、形式上に単結合を中心に回転するだけで相互変換できる立体異性体であり、特に(ヘテロ)サイクリック環の異なる三次元形状を導くもの、例えば、シクロヘキサンのいす、半いす、ボート、及びツイストボートの形態を含んでいる。
【0051】
本明細書で言及される「多形性」は、固体材料(例えば、化合物)が1つ以上の形態又は結晶構造、すなわち「多形修飾」又は「多形形態」で存在することができることを意味する。「多形修飾」、「多形形態」、及び「多形」という用語は、本発明において交換可能に使用される。本発明によると、これらの「多形修飾」には、結晶形、非晶形、溶媒和物、及び水和物が含まれる。主に、様々な多形が存在する理由は、結晶化プロセス中に、次のような様々な条件を使用するためである。
・溶媒効果(結晶の充填は極性溶媒と非極性溶媒とが異なる場合がある)
・成長パターンを阻害し、準安定多形の成長を促進する特定の不純物
・材料が結晶化する過飽和レベル(一般に、溶解度を超える濃度が高いほど、準安定形成の可能性が高くなる)
・結晶化が行われる温度
・共有結合の形状(立体配座多形につながる違い)
・攪拌条件の変更
【0052】
多形形態は、異なる化学的、物理的、及び/又は薬理学的特性、例えば、融点、X-線結晶と回折パターン、化学反応性、溶解性、溶解速度、蒸気圧、密度、吸湿性、流動性、安定性、圧縮性、及び生物学的利用能を有することができるが、これらに限定されない。多形形態は、特定の温度で準安定形態(不安定形態)から安定形態に自発的に変換してもよい。オストワルドの法則によると、一般に、最も安定しているものではないが最初に結晶化される、少なくとも安定な多形である。よって、化学的な化合物、例えば本発明の化合物の品質、有効性、安全性、加工性、及び/又は製造は、多型性によって影響を受ける可能性がある。多くの場合、化合物(例えば、本発明の化合物)の最も安定な多形体は、他の多形体への変換に対して最小の可能性によって選択される。しかしながら、最も安定な多形形態ではない多形形態は、安定性以外の理由、例えば溶解度、溶解速度、及び/又は生物学的利用能によって選択され得る。
【0053】
本明細書で使用される材料の「結晶形」という用語は、上記の材料の最小の成分(すなわち、原子、分子、又はイオン)が結晶構造を形成することを意味する。本明細書で言及される「結晶構造」は、結晶性液体又は固体中の原子又は分子の独特の三次元配置を意味し、特定の方法で配置された原子のパターン、セット、及び長距離秩序及び対称性を示す格子によって特徴付けられる。格子は、三次元で周期的に繰り返される点の配列であり、パターンは格子の点に位置する。格子のサブユニットはユニットセルである。格子定数は、ユニットセルの縁の長さとそれらの間の角度である。結晶の対称性は、その空間群内で具体化される。結晶構造を述べるためには、化学式、格子定数、空間群、原子の配位、及び点位置の占有数に対するパラメーターが必要である。
【0054】
本明細書で使用される材料の「非晶形」という用語は、上記の材料の最小成分(すなわち、原子、分子、又はイオン)が格子状に配置されておらず、ランダムに配置されていることを意味する。よって、短距離秩序(次の隣接原子までの一定距離)と長距離秩序(基本格子の周期的な繰り返し)が存在する結晶とは異なり、非晶形では短距離秩序のみが存在する。
【0055】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、溶媒(例えば、有機溶媒(例えば、脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール)、アセトン、アセトニトリル、エーテルなど)、水、又はこれらの2つ以上の液体の混合物)の中で溶解された材料の付加錯体を指しており、ここで、付加錯体は、結晶又は混合結晶の形態で存在する。付加錯体に含まれる溶媒の量は、化学量論的又は非化学量論的であり得る。「水和物」は、溶媒が水である溶媒和物である。
【0056】
同位元素で標識した化合物において、1つ以上の原子が、同じ数の陽子を有するが中性子の数は異なる対応する原子に置き換えられる。例えば、水素原子は重水素原子で置き換えられてもよい。本発明の化合物で使用され得る例示的な同位元素としては、重水素、11C、13C、14C、15N、18F、32P、32S、35S、36Cl、及び125Iが挙げられる。
【0057】
本発明の方法で使用され及び/又は合成され、塩基性官能基を含む化合物は、様々な無機酸又は有機酸と、塩、特に薬学的に許容される塩を形成し得る。本発明の方法で使用され及び/又は合成され、酸性官能基を含む化合物は、様々な無機塩又は有機塩と、塩、特に薬学的に許容される塩を形成し得る。これらの化合物の例示的な無機酸及び有機酸/無機塩基及び有機塩基、並びに例示的な酸/塩基付加塩を以下に示す。本発明の方法で使用され及び/又は合成され、塩基性及び酸性の両方の官能基を含む化合物は、塩基又は酸付加塩のいずれかに変換されてもよい。本発明の方法で使用され及び/又は合成される中性形態の化合物は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の方法で親化合物を分離することによって再生されてもよい。塩は、好ましくは、薬学的に許容される塩である。
【0058】
「薬学的に許容される」という用語は、医薬組成物の活性成分の(例えば、治療的)作用と相互作用しない非毒性材料を指す。
【0059】
「薬学的に許容される塩」は、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、又はリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成され得る酸付加塩を含む。さらに、化合物が酸性部分を有する場合、好適な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩);及び好適な有機配位子で形成された塩(例えば、アンモニウム、第四級アンモニウム、及び対アニオンを使用して形成されたアミンカチオン、例えばハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、アルキルスルホネート、及びアリールスルホネート)を含んでもよい。薬学的に許容される塩の例示的な例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、エデト酸カルシウム、カンフォレート、カンファースルホン酸塩、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、二塩酸塩 、ドデシル硫酸塩、エデテート、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ガラクテート、ガラクツロン酸塩、グルセプテート、グルコヘプトネート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロホスフェート、グリコリルサニレート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソ酪酸、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウレート、ラウリルサルフェート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ムケート、2-ナフタレンスルホン酸塩、ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、フタル酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スベレート、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシレート、トリエチオダイド、ウンデカノエート、バレレートなどが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Bergeら、”Pharmaceutical Salts”、J.Pharm.Sci.、66、pp.1~19(1977)を参照)。
【0060】
本明細書で反応混合物と併せて使用される「還流温度」という表現は、反応混合物に含まれる全ての液体の中で最も低い沸点を有する、反応混合物に含まれる液体の沸点を指す。
【0061】
本明細書の本文全体で、いくつかの文献が引用される。本明細書で引用された各文書(全ての特許、特許出願、科学公報、製造業者の仕様書、説明書などを含む)は、上記又は下記を問わず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明によって、これらの開示内容に先行する資格を与えられていないことを承認するものと考慮されない。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明の方法によって得られる生成物(特に式(I)の化合物)は、実質的に汚染物質を含まない。
【0063】
本発明の方法によって得られる生成物に関連して本明細書で使用される「実質的に汚染物質を含まない」という用語は、本発明の方法によって得られる生成物中の汚染物質の量が、その生成物の総重量に対して、最大5重量%(好ましくは最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.1重量%、最大0.05重量%、最大0.01重量%、最大0.005重量%、最大0.001重量%)であることを意味する。
【0064】
目的の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩、又は式(3)、(4)、及び(5)のいずれか1つの中間体)の合成の文脈において、本明細書で使用される「クロマトグラフィーを使用しない方式」という用語は、上記の合成の少なくとも1つのステップにおいて(好ましくは、上記の合成の全てのステップにおいて)、目的の化合物を他の化合物(例えば、汚染物質)から分離することは、クロマトグラフィー以外の方法で行われ、好ましくは、目的の化合物を沈殿させ、必要に応じて沈殿した目的の化合物を好適な溶媒(特に、目的の化合物が難溶性である溶媒)で洗浄し、必要に応じて沈殿した目的の化合物を乾燥させることによって達成される。しかしながら、目的の化合物の合成の文脈において、本明細書で使用される「クロマトグラフィーを使用しない方式」という用語は、合成中に得られたサンプルの分析がクロマトグラフィーを使用して行われることを意味しない。(すなわち、クロマトグラフィーを使用しない方式で実行される目的の化合物を合成する方法は、クロマトグラフィーを使用する調製ステップを含まないだけであり、クロマトグラフィーを使用する分析ステップを含まないことではない)。
【0065】
本明細書で使用される「同等の」という用語は、1モルの水素(すなわち、1.008gの水素)又は1モルの異なる元素(例えば、炭素の場合は12.011g又は酸素の場合は15.999g)を含む化合物の量を意味する。例えば、40g/lの濃度を有するNaOHの溶液は、(i)56.5g/lの濃度を有するKOHの溶液、(ii)36.5gの濃度を有するHClの溶液と同等であり;又は(iv)49 g/lの濃度のHSOの溶液と同等である。さらに、例えば、第1化合物と第2化合物との縮合反応の文脈において、第1及び第2化合物が1:1のモル比で反応する場合、「1当量」という用語は、xモル(例えば、x=2)の第1化合物及びxモルの第2化合物が使用されること、すなわち、第1化合物のモル量は、第2化合物のモル量とが同一であることを意味する。
【0066】
本明細書で使用される「難溶性」化合物及び「不溶性」化合物という用語は、溶媒との文脈で交換可能に使用され、標準条件下で、100重量部の溶媒に溶解される0.5重量部未満(好ましくは、0.4重量部未満、例えば、0.3重量部未満、0.2重量部未満、0.1重量部未満、0.09重量部未満、0.08重量部未満、0.07重量部未満、0.06重量部未満、0.05重量部未満、0.04重量部未満、0.03重量部未満、0.02重量部未満、0.01重量部未満、0.009重量部未満、0.005重量部未満、又は0.004重量部未満)の化合物を意味する。
【0067】
本明細書で使用される「標準条件」という用語は、25℃の温度及び101.325kPaの絶対圧力を指す。
【0068】
第1態様において、本発明は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、すなわち式(i)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を合成する方法に関する。本発明の文脈内で、新規中間体は、新規合成方法の一部として生成される。共に、本発明は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、その溶媒和物又は塩を合成するための改善された効率的な方法を提供する。
【0069】
より具体的には、本発明は、N-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミド、その溶媒和物又は塩を合成する方法に関し、この方法は以下のステップを含む。
a)式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を提供するステップ
【化6】
及びRのそれぞれは、独立に、-H及びアミノ保護基からなる群より選択され、R及びRの少なくとも1つは、アミノ保護基である。
b)前記式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を1つ以上の試薬と反応させてR及びR位置の前記アミノ保護基を除去し、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
【化7】
c)前記式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、(i)テトラヒドロピラニル基及び(ii)アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応させ、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
【化8】
d)前記式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を酸化的アミノ化反応に供し、前記式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得るステップ
【0070】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は(1)図2Aで特定されたステップa);及び/又は(2)図3A、3B、3C、3D、及び3Eのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法)の一実施形態において、R及びRのそれぞれは、独立に、-H、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トシレート(Ts)、ベンジル(Bn)、アリルオキシカルボニル(alloc)、トリチル(Trt)、ジメトキシトリチル(DMT)、及びモノメトキシトリチル(MMT)からなる群より選択される。好ましくは、R及びRの一方はHであり、他方はアミノ保護基であり、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トシレート(Ts)、ベンジル(Bn)、アリルオキシカルボニル(alloc)、トリチル(Trt)、ジメトキシトリチル(DMT)、及びモノメトキシトリチル(MMT)からなる群より選択され、より好ましくは、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びアリルオキシカルボニル(alloc)からなる群より選択される。第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は(1)(1)図2Aで特定されたステップa);及び/又は(2)図3A、3B、3C、3D、及び3Eのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法)の特に好ましい実施形態において、R及びRの一方はHであり、他方はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)である。
【0071】
第1態様の方法の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップa)は、式(1)の化合物、
【化9】
若しくはその溶媒和物又は塩をHOOC(CHOCH(式(2))又はその誘導体と反応させ、式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得てもよい。この実施形態において(例えば、図1A及び1Bのいずれか1つで特定された方法において)、上記の誘導体と、式(1)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩との縮合により式(3)の化合物が得られる限り、式2の任意の誘導体を使用することができる。式(2)の化合物の例示的な誘導体としては、カルボン酸ハロゲン化物、オルトエステル、及び1,1-ジアルコキシアルキルアルカノエートが挙げられるが、これらに限定されない。第1態様の方法の好ましい実施形態において、式(2)の誘導体は、オルトエステルであり、好ましくは式(R10O)C(CHOCHを有するオルトエステルであり(例えば、図1C、1D、1E、1F、2A、2B、及び2Cのいずれか1つを参照)、ここで、各R10は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、これらのいずれかは、独立に、R20から選択される1つ以上(例えば、上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル基に結合した水素原子の1~最大数、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は最大10個、例えば1~5個、1~4個、又は1~3個、又は1個又は2個)と必要に応じて置換され、R20は、好ましくは第1レベルの置換基、第2レベルの置換基、又は特定された第3レベルの置換基である。一実施形態において、各R10は、独立にC1-12アルキル、例えば、メチル、エチル、又はプロピルなどのC1-8アルキルからなる群より選択される。一実施形態において、式(2)の化合物又は式(1)の化合物との反応に使用されるその誘導体の量は、式(1)の化合物の1当量に対して、1~1.5当量(例えば、1.0~1.4当量、1.1~1.3当量、1.2~1.3当量)であってもよい。
【0072】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つに特定されたステップa)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、(i)溶媒中;(ii)酸の存在下;(iii)好適な温度;及び/又は(iv)十分な時間で実行されてもよい。
【0073】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2Aに特定されたステップa)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、芳香族溶媒、好ましくはトルエンなどの溶媒中で実行されてもよい。この反応に使用される溶媒の量は、式(1)の化合物の1重量部に対して、2~20体積部(例えば、3~18体積部、4~16体積部、6~14体積部、8~12体積部、9~10体積部)であってもよい。
【0074】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2Aに特定されたステップa)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、鉱酸又は有機酸、例えば、p-トルエンスルホン酸などの酸の存在下で実行されてもよい。この反応に使用される酸の量は、式(1)の化合物の1当量に対して、0.01~0.1当量(例えば、0.02~0.09当量、0.02~0.08当量、0.03~0.07当量、0.03~0.06当量、0.04~0.05当量)であってもよい。
【0075】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つに特定されたステップa)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、任意の好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上、例えば、式(1)の化合物、式(2)の化合物、及び/又は式(3)の化合物を含む反応混合物の還流温度)で実行されてもよい。例示的な温度範囲は、0℃~120℃の間、例えば、25℃と溶媒が存在する場合は溶媒の還流温度との間である。
【0076】
第1態様の方法の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つに特定されたステップa)を含む本発明の方法において)十分な時間、例えば、0.5~10時間、好ましくは1~9時間、より好ましくは1.5~8時間、より好ましくは2~7時間、より好ましくは2.5~6時間、より好ましくは3~5時間の範囲で実行されてもよい。或いは、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、実質的に式(1)の化合物の全初期量(例えば、初期量の99.0%以上)が消費されるまで実行されてもよい。
【0077】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つに特定されたステップa)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応が、十分な時間(例えば、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(1)の化合物の全初期量が実質的に消費されるまで)の間に実行された後、反応混合物は、式(1)の化合物と式(2)の化合物との反応で使用された最高温度よりも低い任意の温度、好ましくは次のステップが実行される温度又は温度範囲に冷却されてもよい。
【0078】
第1態様の方法のステップb)において、式(3)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を1つ以上の試薬と反応させてR及びR位置のアミノ保護基を除去し、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得る。
【化10】
よって、言い換えれば、ステップb)において、式(3)の化合物の保護された一級アミノ基は、遊離の一級アミノ基を有する式(4)の化合物を得るために脱保護される。
【0079】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)は、(i)溶媒中;(ii)好適な温度;及び/又は(iii)十分な時間で実行されてもよい。ステップb)の反応条件及び脱保護反応に使用される1つ以上の試薬は多様であり、主に、R及び/又はRの位置で使用される特定のアミノ保護基によって異なる。しかしながら、当業者は、保護技術に精通しており、よって、保護された一級アミノ基の脱保護のための(条件(例えば、温度、反応時間、溶媒など)及び試薬を含めて)好適な方法を知っており、例えば、「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、Peter G. M. Wuts(Ed.)、2014、John Wiley&Sons、Inc.を参照されたい。一般的なアミノ保護基Boc、Trt、Fmoc、Cbz、及びAllocを除去するための例示的な条件及び/又は試薬は以下の通りである。
(1)Boc:強酸(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA;例えば、DCM中で25~50%)、HCl(例えば、有機溶媒中で4~6M)、CHSOH(例えば、ジオキサン中で2M)、及び(HC)SiCl(TMSCl;例えば、DCM中で1MのTMSCl-フェノール)からなる群より選択される)の添加;
(2)Trt:強酸(例えば、TFA(例えば、DCM中の1%又は0.2%、DCM中の1%HO)、HOBt(例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール中の0.1M)、又はトリクロロ酢酸(TCA;例えば、DCM中の3%))の添加;
(3)Fmoc:塩基、特に第二級アミン(例えば、NH(例えば、液体で約10時間)、モルホリン又はピペリジン(数分以内)、ジエチルアミン(DEA;例えば、10%)、ジメチルアセトアミド(DMA;例えば、2時間)、又は有機溶媒中の高分子(シリカゲル又はポリスチレン)第二級アミン(すなわち、ピペラジン又はピペリジン)の添加;
(4)Cbz:触媒性水素化分解、又は強酸(例えば、HBr(例えば、酢酸中)、TFA(例えば、高温;TFA-チオアニソール)、HF(例えば、液体)、又はBBr)の添加;
(5)Alloc:アリル基のPd触媒による求核試薬又はスカベンジャーへの移動(例えば、Pd(PPh);スカベンジャー:有機溶媒中のHN・BH、MeNH・BH、又はPhSiH
【0080】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、及び3Eのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)では、R及びRのそれぞれは、独立に、-H及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)からなる群より選択されてもよく、ステップb)のアミノ保護基を除去する1つ以上の試薬は、トリフルオロ酢酸(TFA)、HCl、CHSOH、及び(HC)SiCl(TMSCl)からなる群より選択されてもよい。
【0081】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)は、芳香族溶媒、例えば、ステップa)で使用された溶媒、好ましくはトルエンなどの溶媒中で実行されてもよい。
【0082】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)は、ステップb)で使用した特定の脱保護反応に応じて、0℃~40℃の間など、任意の好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上、例えば、式(4)の化合物を含む反応混合物の還流温度、R及びR位置のアミノ保護基を除去するための1つ以上の試薬、及び/又は式(4)の化合物)で実行されてもよい。例えば、R及びRのそれぞれが、独立に、-H及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)(例えば、図1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3F及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法を参照)からなる群より選択される場合、ステップb)の脱保護反応の例示的な温度範囲は、0℃~30℃の間、例えば、10℃~25℃の間である。
【0083】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の一実施形態において、R及びR位置のアミノ保護基を除去するためにステップb)で使用される1つ以上の試薬の量は、式(3)の化合物の1当量に対して、1.5~10当量(例えば、2.0~9当量、2.5~8当量、3~7当量、3.5~7当量、4~6当量)であってもよい。
【0084】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)は、好ましくは、十分な時間の間で実行され、例えば、0.5~5時間の範囲、好ましくは1~4.5時間、より好ましくは1.5~4時間、より好ましくは2~3.5時間、より好ましくは2.5~3時間で実行される。或いは、ステップb)は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(3)の化合物の全初期量(例えば、初期量の99.0%以上)が実質的に消費されるまでに実行される。
【0085】
ステップb)で酸が添加される第1態様の方法の上記の実施形態のいずれかにおいて(特に、図1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法の実施形態において、又は図3F及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む第1態様の方法の実施形態において)、R及びR位置のアミノ保護基を除去するための式(3)の化合物と1つ以上の試薬との反応が十分な時間(例えば、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(3)の化合物の全初期量が実質的に消費されるまで)で実行された後、好ましくは酸を中和するために塩基が添加される。例えば、塩基は、脱プロトン化された一級アミノ基(すなわち、酸の存在下でプロトン化された基-NH の代わりの基-NH)を有する式(4)の化合物を生成する量で添加される。塩基は、一級プロトン化アミノ基を脱プロトン化するのに好適ないずれの塩基であってもよく、例示的な塩基としては、NaOH、KOH、炭酸塩(例えば、KCO又はCsCO)、有機アミン(例えば、環状アミン(例えば、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)))、アルコキシド(例えば、ナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシド)、アミン塩(例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)又はリチウムテトラメチルピペリジド(LiTMP))、又はシリコン系アミド(例えば、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)又はカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS))が挙げられるが、これらに限定されない。塩基との反応は、好適な温度(例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上))で実行され、例えば、0℃~40℃の間(例えば、0℃~35℃の間又は10℃~30℃の間);及び/又は十分な時間(例えば、0.5~5時間、好ましくは1~4.5時間、より好ましくは1.5~4時間、より好ましくは2~3.5時間、より好ましくは2.5~3時間の範囲で実行される。或いは、塩基の添加は、式(4)の化合物のプロトン化された一級アミノ基-NH の脱プロトン化が実質的に完了するまで、例えば、式(4)の化合物を含む反応混合物のpHが12以上になるまで継続される。
【0086】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図3A、3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)の後かつ塩基を添加する前に、本発明の方法は、溶媒交換を実行するステップをさらに含んでもよい。塩基を添加する前に溶媒交換を実行することは、本発明の方法の実施形態にとって特に好ましく、脱プロトン化された第一級アミン基を有する式(4)の化合物は、ステップb)で使用される溶媒(すなわち、溶媒交換前の溶媒)中よりも溶媒交換後の溶媒中によく溶解される。好ましい実施形態において、溶媒交換後の溶媒には、ハロゲン化有機溶媒(例えば、DCM)を含み、必要に応じて、水との混合物(例えば、5体積部のハロゲン化有機溶媒(例えば、DCM)と2体積部の水との混合物)が含まれる。一実施形態において、溶媒交換後、反応混合物は、ステップb)(すなわち、溶媒交換の前)で使用される溶媒を実質的に含まず、例えば、溶媒交換後、反応混合物は、ステップb)(すなわち、溶媒交換の前)で使用される溶媒を1.0重量%以下で含む。
【0087】
第1態様の方法(特に、図1Aに特定された本発明の方法又は図3Aに特定されたステップb)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップb)の後及びステップc)の前に、第1態様の方法は、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップをさらに含んでもよい。この実施形態(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図3B、3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップは、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩に酸を加えることで、式(4)の化合物の酸付加塩を沈殿させること達成してもよい。必要に応じて、式(4)の化合物の酸付加塩の沈殿を促進するために、酸の添加前又は後に溶媒交換を行う。溶媒交換後の溶媒は、脱プロトン化第一級アミン基を有する式(4)の化合物が溶解可能なものであることが好ましい。溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を実質的に含まないことが好ましく、例えば、溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を1.0重量%以下で含む。一実施形態において、式(4)の化合物の酸付加塩が沈殿するように式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩に添加される酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタリン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、又はグルタコン酸、好ましくはフマル酸などの有機酸、例えば、有機二酸である。一実施形態(特に、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法)において、溶媒交換後の溶媒は、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、又は2-プロパノール、好ましくはエタノールである。(特に、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法の一実施形態において)式(4)の化合物の酸付加塩の沈殿は、好適な温度(例えば、10℃~30℃の間又は15℃~25℃の間などの0℃~40℃の間)及び/又は十分な時間(例えば、2~20時間の範囲、好ましくは4~18時間、より好ましくは6~16時間、より好ましくは8~14時間、より好ましくは10~13時間)で実行される。一実施形態において(特に、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図3C、3D、3E、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb)を含む本発明の方法の一実施形態において)、式(4)の化合物の沈殿した酸付加塩を(例えば、濾過により)回収し、必要に応じて(例えば、式(4)の化合物の酸付加塩が難溶性又は不溶性である溶媒(例えば、tert-ブチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒)で)洗浄し、また必要に応じて(例えば、好適な温度(例えば、30℃~50℃の間、好ましくは40℃~45℃の間)、及び/又は十分な時間(4~20時間の範囲など、例えば6~18時間、8~16時間、8~15時間、又は10~13時間)で)乾燥し、必要に応じた洗浄及び/又は乾燥は、不活性雰囲気(例えば、窒素)下で実行されてもよい。
【0088】
第1態様の方法のステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、(i)テトラヒドロピラニル基及び(ii)アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応させ、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得る。
【化11】
よって、言い換えれば、ステップc)において、一級アミノ基は、テトラヒドロピラニル基及びアセチル基を有する三級アミノ基に変換される。
【0089】
第1態様の方法(特に、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物は酸付加塩の形態であり、テトラヒドロピラニル基及びアセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応させる前に、式(4)の化合物の酸付加塩を、脱プロトン化された第一級アミン基を有する式(4)の化合物に変換させることが好ましい。このために、酸付加塩の形態の式(4)の化合物は、酸付加塩が溶解可能な溶媒(例えば、DCMなどのハロゲン化有機溶媒)に溶解されてもよく、塩基水溶液(例えば、水性塩基)を添加し、脱プロトン化された第一級アミン基を有する式(4)の化合物を含む有機相を回収する。塩基は、一級プロトン化アミノ基を脱プロトン化するのに好適ないずれの塩基であってもよく、例示的な塩基としては、NaOH、KOH、炭酸塩(例えば、KCO又はCsCO)、有機アミン(例えば、環状アミン(例えば、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)))、アルコキシド(例えば、ナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシド)、アミン塩(例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)又はリチウムテトラメチルピペリジド(LiTMP))、又はシリコン系アミド(例えば、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)又はカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS))が挙げられるが、これらに限定されない。塩基との反応は、好適な温度(例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上))で実行され、例えば、0℃~40℃の間(例えば、0℃~35℃の間又は10℃~30℃の間);及び/又は十分な時間(例えば、0.5~5時間、好ましくは1~4.5時間、より好ましくは1.5~4時間、より好ましくは2~3.5時間、より好ましくは2.5~3時間の範囲)で実行される。或いは、塩基の添加は、式(4)の化合物のプロトン化された一級アミノ基-NH の脱プロトン化が実質的に完了するまで、例えば、式(4)の化合物を含む反応混合物のpHが12以上になるまで継続される。
【0090】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、及び4Fのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)においてテトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬は、テトラヒドロピラノン及び還元剤であってもよい。還元剤は、還元的アミノ化反応を実行するのに好適な任意の還元剤、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)などのホウ化水素であり得る。第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の一実施形態において、テトラヒドロピラノンの量は、式(4)の化合物の1当量に対して、0.90~1.5当量(例えば、0.95~1.4当量、1.00~1.3当量、1.05~1.25当量、1.1~1.20当量)である。還元剤の量は、式(4)の化合物の1当量に対して、1.0~2.5当量(例えば、1.1~2.4当量、1.2~2.3当量、1.3~2.2当量、1.4~2.1当量、1.5~2.0当量、1.6~1.9当量、1.7~1.8当量)の範囲であることが好ましい。
【0091】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、(i)溶媒中;(ii)酸の存在下;(iii)好適な温度;及び/又は(iv)十分な時間で実行されてもよい。
【0092】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、溶媒中、特に、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が溶解可能な溶媒(例えば、DCMなどのハロゲン化有機溶媒)中で実行されてもよいこの反応に使用される溶媒の量は、式(4)の化合物の1重量部に対して、2~20体積部(例えば、3~18体積部、4~16体積部、6~14体積部、8~12体積部、9~10体積部)であってもよい。
【0093】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、鉱酸又は有機酸、例えば酢酸などの酸の存在下で実行されてもよい。この反応に使用される酸の量は、式(4)の化合物の1当量に対して、0.85~1.4当量(例えば、0.90~1.3当量、0.95~1.2当量、1.00~1.1当量)であってもよい。
【0094】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上)で実行されてもよい。例示的な温度範囲は、-20℃~40℃の間(例えば、-15℃~30℃の間、又は-10℃~25℃の間)である。
【0095】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、十分な時間、例えば、5時間~24時間の範囲、例えば、7時間~23時間、9時間~21時間、11時間~20時間、13時間~19時間、又は15時間~18時間で実行されてもよい。或いは、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(4)の化合物の全初期量(例えば、初期量の99.5%以上)が実質的に消費されるまでに実行されてもよい。
【0096】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬とを反応させた後(例えば、上記の反応が実質的に完了した後)、塩基(例えば、塩基水溶液(NaOH水溶液など)を加えて反応をクエンチすることが好ましい。その後、有機相を水相から分離し、必要に応じて、洗浄し、固体乾燥剤(例えば、固体MgSO)を使用して乾燥し、及び/又は(例えば、減圧下で)濃縮してもよい。
【0097】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、及び4Gのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)におけるアセチル基を導入するための1つ以上の試薬は、無水酢酸及びハロゲン化酢酸から選択されてもよい。一実施形態において、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬の量は、式(4)の化合物の1当量に対して、0.80~1.5当量(例えば、0.85~1.4当量、0.90~1.3当量、0.95~1.2当量、1.00~1.1当量)である。
【0098】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、(i)溶媒中;(ii)好適な温度;及び/又は(iii)十分な時間で実行されてもよい。
【0099】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、溶媒中、特に、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が溶解可能な溶媒(例えば、テトラヒドロピラニル基を導入するための反応で使用される溶媒、例えば、DCMなどのハロゲン化有機溶媒)中で実行されてもよいこの反応に使用される溶媒の量は、式(4)の化合物の1重量部に対して、2~20体積部(例えば、3~18体積部、4~16体積部、6~14体積部、8~12体積部、9~10体積部)であってもよい。
【0100】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-10℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上)で実行されてもよい。例示的な温度範囲は、0℃~50℃の間(例えば、10℃~40℃の間、又は20℃~30℃の間)である。
【0101】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)において、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、十分な時間、例えば、6時間~48時間の範囲、例えば、8時間~46時間、10時間~44時間、12時間~42時間、14時間~40時間、16時間~38時間、18時間~36時間、20時間~34時間、22時間~32時間、又は24時間~30時間の間に実行されてもよい。或いは、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬との反応は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(4)の化合物の全初期量(例えば、初期量の99.5%以上)が実質的に消費されるまでに実行されてもよい。
【0102】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩は、まず、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬と反応した後、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応し得ることが理解されるべきである。或いは、第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩は、まず、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応した後、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬と反応してもよい。よって、第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかの一モードにおいて、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩は、まず、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応して、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬と反応する。しかしながら、第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかの代替的及び好ましいモードにおいて、式(4)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩は、まず、テトラヒドロピラニル基を導入するための1つ以上の試薬と反応した後、アセチル基を導入するための1つ以上の試薬と反応する。
【0103】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、好ましくは、ステップc)の後、塩基(好ましくは、塩基水溶液、例えば、炭酸塩の水溶液(例えば、NaCO、KCO、NaHCO、又はKHCO)を加え、有機相を水相から分離し、必要に応じて、洗浄し、固体乾燥剤(例えば、固体MgSO)を使用して乾燥、及び/又は濃縮(例えば、減圧下及び30℃以下の温度)してもよい。
【0104】
第1態様の方法(特に、図1Aに特定された本発明の方法又は図4Aに特定されたステップc)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップc)の後及びステップd)の前に、第1態様の方法は、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップをさらに含んでもよい。この実施形態(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップは、溶媒交換を行うことによって達成してもよい。溶媒交換後の溶媒は、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が難溶性又は不溶性であることが好ましい。溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を実質的に含まないことが好ましく、例えば、溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を10重量%以下(好ましくは、1.0重量%以下)で含む。一実施形態(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つに特定されたステップc)を含む本発明の方法)において、溶媒交換後の溶媒は、tert-ブチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒である。(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法の実施形態において、又は図4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つで特定されたステップc)を含む本発明の方法の実施形態において)式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の沈殿は、好適な温度(例えば、0℃~40℃の間、好ましくは10℃~30℃の間、又は15℃~25℃の間)及び/又は十分な時間(例えば、0.5時間~5時間の範囲、好ましくは1~4時間、より好ましくは2~3時間)で実行される。一実施形態において(特に、図1B、1C、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つで特定されたステップc)を含む本発明の方法の一実施形態において)、式(5)の沈殿した化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を(例えば、濾過により)回収し、必要に応じて(例えば、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の酸付加塩が難溶性又は不溶性である溶媒(例えば、tert-ブチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒)で)洗浄し、また必要に応じて(例えば、好適な温度(例えば、30℃~50℃の間、好ましくは40℃~45℃の間)、及び/又は十分な時間(4~20時間の範囲など、例えば6~18時間、8~16時間、8~15時間、又は10~13時間)で)乾燥し、必要に応じた洗浄及び/又は乾燥は、不活性雰囲気(例えば、窒素)下で実行されてもよい。
【0105】
第1態様の方法のステップd)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を酸化的アミノ化反応に供し、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得る。第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)は、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、まず(N-オキシド中間体を調製するために)第1酸化剤と反応させ、必要に応じて、(好ましくはN-オキシド中間体を脱プロトン化するために)塩基を添加し、次いでN-オキシド中間体をアシル化剤及びアミノ化剤と反応させることを含んでもよい。一実施形態において、酸化剤は、N-オキシドを形成することができる酸化剤(例えば、過酸化物)から選択される。好適な酸化剤の1つとしては、3-クロロペルオキシ安息香酸(mCPBAとも呼ばれる)がある。一実施形態(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)において、酸化剤の量は、式(5)の化合物の1当量に対して、1.0~2.0当量(例えば、1.1~1.9当量、1.2~1.8当量、1.3~1.7当量、1.4~1.6当量)の範囲である。
【0106】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、酸化剤との酸化反応は、(i)溶媒中;(ii)好適な温度;及び/又は(iii)十分な時間で実行されてもよい。
【0107】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、酸化剤との酸化反応は、溶媒中、特に、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が溶解可能な溶媒(例えば、DCMなどのハロゲン化有機溶媒)中で実行されてもよいこの反応に使用される溶媒の量は、式(5)の化合物の1重量部に対して、2~20体積部(例えば、3~18体積部、4~16体積部、6~14体積部、8~12体積部、9~10体積部)であってもよい。
【0108】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、酸化剤との酸化反応は、好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-20℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上)で実行されてもよい。例示的な温度範囲は、-10℃~40℃の間(例えば、0℃~30℃の間、又は10℃~25℃の間)である。
【0109】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、酸化剤との酸化反応は、十分な時間、例えば、0.5時間~12時間の範囲、例えば、1時間~11時間、2時間~10時間、3時間~9時間、4時間~8時間、又は5時間~7時間の間に実行されてもよい。或いは、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩と、酸化剤との酸化反応は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、式(5)の化合物の全初期量(例えば、初期量の96%以上)が実質的に消費されるまでに実行されてもよい。
【0110】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、及び5Cのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、アシル化剤は、ハロゲン化アルキルスルホニル及びハロゲン化アリールスルホニルからなる群より選択されてもよい。これに関して使用され得る例示的なアシル化剤としては、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、及び塩化p-トルエンスルホニルが挙げられる。一実施形態(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)において、使用されたアシル化剤の量は、式(5)の化合物のN-オキシド中間体の1当量に対して、1.0~2.0当量(例えば、1.1~1.9当量、1.2~1.8当量、1.3~1.7当量、1.4~1.6当量)の範囲である。
【0111】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、及び1Eのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、及び5Cのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、アミノ化剤は、アンモニアとその塩、例えば、NH水溶液、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、又はリン酸アンモニウムからなる群より選択されてもよい。一実施形態(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)において、使用されたアミノ化剤の量は、式(5)の化合物のN-オキシド中間体の1当量に対して、1.0~4.0当量(例えば、1.5~3.5当量、2.0~3.0当量)の範囲である。
【0112】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物のN-オキシド中間体と、アシル化剤及びアミノ化剤との反応は、(i)溶媒中;(ii)好適な温度;及び/又は(iii)十分な時間で実行されてもよい。
【0113】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物のN-オキシド中間体と、アシル化剤及びアミノ化剤との反応は、溶媒中、特に、式(5)の化合物のN-オキシド中間体が溶解可能な溶媒(例えば、DCMなどのハロゲン化有機溶媒)中で実行されてもよい。この反応に使用される溶媒の量は、式(5)の化合物の1重量部又は式(5)の化合物のN-オキシド中間体の1重量部に対して、2~20体積部(例えば、3~18体積部、4~16体積部、6~14体積部、8~12体積部、9~10体積部)であってもよい。
【0114】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物のN-オキシド中間体と、アシル化剤及びアミノ化剤との反応は、好適な温度、例えば、標準条件(例えば、25℃)、低温(例えば、-20℃~10℃)、又は高温(例えば、50℃以上)で実行されてもよい。例示的な温度範囲は、-10℃~40℃の間(例えば、0℃~30℃の間、又は10℃~25℃の間)である。
【0115】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)において、式(5)の化合物のN-オキシド中間体と、アシル化剤及びアミノ化剤との反応は、十分な時間、例えば、0.5時間~12時間の範囲の時間、例えば、1時間~11時間、2時間~10時間、3時間~9時間、4時間~8時間、又は5時間~7時間の間に実行されてもよい。或いは、式(5)の化合物のN-オキシド中間体とアシル化剤及びアミノ化剤との反応は、反応が実質的に完了するまで、すなわち、実質的に式(5)の化合物の全初期量(例えば、初期量の99.5%以上)、又は式(5)の化合物のN-オキシド中間体が消費されるまでに実行されてもよい。
【0116】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つに特定されたステップd)を含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)の後、すなわち、式(5)の化合物のN-オキシド中間体とアシル化剤及びアミノ化剤との反応が起こった後、式(I)の化合物を含む有機相を水相から分離し、必要に応じて、洗浄し、固体乾燥剤(例えば、固体MgSO)を使用して乾燥、及び/又は(例えば、減圧下で)濃縮してもよい。
【0117】
第1態様の方法(特に、図1Aに特定された本発明の方法又は図6Aに特定されたステップを含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、ステップd)の後、第1態様の方法は、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップをさらに含んでもよい。この実施形態(特に、図1B、1C、及び1Dのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図6B及び6Cのいずれか1つに特定されたステップを含む本発明の方法)において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を沈殿させるステップは、溶媒交換を行うことによって達成してもよい。(特に、図1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法の実施形態において、又は図6Dに特定されたステップを含む本発明の方法の実施形態において)溶媒交換後の溶媒は、式(I)の化合物、若しくは溶媒和物又は塩が難溶性又は不溶性であることが好ましい。(特に、図1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法の実施形態において、又は図6Dに特定されたステップを含む本発明の方法の実施形態において)溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を実質的に含まないことがさらに好ましく、例えば、溶媒交換後、反応混合物は、溶媒交換が行われる前に存在する溶媒を1.0重量%以下で含む。一実施形態(特に、図1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は図6Dに特定されたステップを含む本発明の方法)において、溶媒交換後の溶媒は、2-プロパノールなどのアルコール溶媒である。(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法の実施形態において、又は図6B、6C、及び6Dのいずれか1つで特定されたステップを含む本発明の方法の実施形態において)式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の沈殿は、好適な温度(例えば、10℃~30℃の間又は15℃~25℃の間などの0℃~40℃の間)及び/又は十分な時間(例えば、0.5時間~5時間の範囲、好ましくは1~4時間、より好ましくは2~3時間)で実行される。一実施形態において(特に、図1B、1C、図1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法、又は図6B、6C、及び6Dのいずれか1つで特定されたステップを含む本発明の方法の一実施形態において)、式(I)の沈殿した化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を(例えば、濾過により)回収し、必要に応じて(例えば、式(I)の沈殿した化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が難溶性又は不溶性である溶媒(例えば、tert-ブチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒)で)洗浄し、また必要に応じて(例えば、好適な温度(例えば、30℃~50℃の間、好ましくは40℃~45℃の間)、及び/又は十分な時間(4~20時間の範囲など、例えば6~18時間、8~16時間、8~15時間、又は10~13時間)で)乾燥し、必要に応じた洗浄及び/又は乾燥は、不活性雰囲気(例えば、窒素)下で実行されてもよい。
【0118】
第1態様の方法の上記の実施形態(特に、図1Aに特定された本発明の方法、又は図6Aに特定されたステップを含む本発明の方法の実施形態)のいずれかにおいて、ステップdの後又は式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の沈殿後、第1態様の方法は、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、例えば、アルコール溶媒、好ましくは水性アルコール溶媒から結晶化するステップをさらに含んでもよい。好ましくは、この結晶化ステップで使用されるアルコール溶媒、好ましくは水性アルコール溶媒は、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が、少なくとも高温(例えば、65℃~70℃の間などの60℃~80℃の間)で溶解され得る。このような目的のための例示的なアルコール溶媒、好ましくは水性アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、及びそれらの水、例えばエタノール中の5%の水との混合物からなる群より選択される。
【0119】
1つのモード(特に、図1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つで特定された本発明の方法の実施形態において、又は図6B、6C、及び6Dのいずれか1つで特定されたステップを含む本発明の方法の実施形態)において、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の結晶化は、ステップdから得られる式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、好適な温度(例えば、65℃~70℃の間などの60℃~80℃の間)で、アルコール溶媒、好ましくは水性アルコール溶媒中で溶解すること;好適な時間(例えば、2.5時間~3.5時間などの2時間~5時間)にわたって温度を(例えば、約20℃、好ましくは40℃~60℃の範囲、例えば45℃~50℃に)低下すること;必要に応じて、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の種結晶を加えること;必要に応じて、温度を(例えば、0℃~5℃など、-5℃~10℃の間の範囲に)低下すること;固体(すなわち、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩)を回収すること;必要に応じて、固体を好適な溶媒(例えば、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩が難溶性又は不溶性であるもの、エーテル溶媒など、例えば、tert-ブチルメチルエーテル)で洗浄することであって、この必要に応じた洗浄は、好ましくは、窒素雰囲気生成装置を使用することなく実行されること;必要に応じて乾燥(例えば、好適な温度(例えば、30℃~50℃の間、好ましくは、35℃~40℃の間)及び/又は十分な時間(例えば、4~70時間の範囲、例えば、6~60時間、8時間~50時間、10時間~40時間、又は12時間~30時間))すること;及び必要に応じて、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩の結晶化を繰り返すことを含む。
【0120】
第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は(1)図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つで特定されたステップa);(2)図3A、3B、3C、3D、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb);(3)図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つで特定されたステップc);(4)図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つで特定されたステップd);及び/又は(5)図6A、6B、6C、及び6Dのいずれか1つで特定されたステップを含む本発明の方法)の上記の実施形態のいずれかにおいて、1つ以上のステップa)~d)(例えば、ステップa)、ステップb)、ステップc)、又はステップd);又は、ステップa)及びb)、ステップa)及びc)、ステップa)及びd)、ステップb)及びc)、ステップb)及びd)、又はステップc)及びd);又は、ステップa)、b)、及びc)、ステップa)、b)、及びd)、又はステップb)、c)、及びd);又はステップa)、b)、c)、及びd))又は全てのステップ(すなわち、第1態様の全方法)は、クロマトグラフィーを使用しない方式で実行されることが好ましい。言い換えれば、第1態様の方法(特に、図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、及び1Hのいずれか1つに特定された本発明の方法、又は(1)図2A、2B、2C、及び2Dのいずれか1つで特定されたステップa);(2)図3A、3B、3C、3D、3F、及び3Gのいずれか1つで特定されたステップb);(3)図4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、及び4Hのいずれか1つで特定されたステップc);(4)図5A、5B、5C、5D、及び5Eのいずれか1つで特定されたステップd);及び/又は(5)図6A、6B、6C、及び6Dのいずれか1つで特定されたステップを含む本発明の方法)の1つ以上のステップa)~d)において、目的の化合物(すなわち、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩、又は式(3)、(4)、及び(5)のいずれか1つの中間体)を、他の化合物(例えば、汚染物質)から分離することは、クロマトグラフィーの以外のものによって達成され、好ましくは、目的の化合物を沈殿させ、必要に応じて、沈殿した目的の化合物を好適な溶媒(特に、目的の化合物が難溶性である溶媒)で洗浄し、必要に応じて沈殿した目的の化合物を乾燥させることによって達成される。よって、目的の化合物の調製のための第1態様の方法のこれらのステップ(すなわち、調製ステップ)は、クロマトグラフィーを使用せずに行われることが好ましいが、目的の化合物及び/又はその汚染物質の分析(すなわち、分析ステップ)のための、第1態様の方法の必要に応じて実行されるステップは、クロマトグラフィーを使用して行われてもよい。
【0121】
特に、本発明者らは、第1態様の方法の調製ステップでクロマトグラフィーの使用を回避することが可能であることを見出し、また、代替手段を使用することにより、特に目的の化合物(すなわち、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩、又は式(3)、(4)、及び(5)のいずれか1つの中間体)を沈殿させることにより、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、様々なクロマトグラフィー精製ステップを使用してN-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドを合成する比較方法によって達成されたものよりも、はるかに大規模で、より高い収率で、それと同様の純度で得ることができる。
【0122】
第2態様において、本発明は、以下からなる群より選択される化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を提供する。
【化12】
これらの化合物は、上記の第1態様の方法で有用な中間体である。
【0123】
第3態様において、本発明は、式(I)の化合物を合成するために上記の第2態様の化合物を使用する。これに関して、第1態様について上記で特定された実施形態は、第3態様にも等しく適用されることに留意されたい。よって、例えば、第3態様の一実施形態において、式(5)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を酸化アミノ化反応に供して式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を得て、必要に応じて、式(I)の化合物、若しくはその溶媒和物又は塩を、好ましくはアルコール溶媒から結晶化する。
【実施例
【0124】
略語
全体的な説明で次の略語が使用される。SM:それぞれの合成ステップの出発材料;IPC:工程内管理;DCM:ジクロロメタン;TBME:tert-ブチルメチルエーテル;MeOH:メタノール;EtOH:エタノール;HCl:塩酸;NaOH:水酸化ナトリウム;AcO:無水酢酸;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;LOD:乾燥による損失;IPA:2-プロパノール;pTSCl又はTsCl:塩化p-トルエンスルホニル;PTSA:p-トルエンスルホン酸;STAB:トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム;eq.:当量;vol.:体積;NMR:核磁気共鳴;ppm:百万分率;THP:テトラヒドロピラニル;AcO:無水酢酸;mCPBA:3-クロロペルオキシ安息香酸
実施例1-本発明の方法を使用したN-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドの合成
【0125】
ステップa):式(3)の化合物の作製
化合物1(1当量)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.05当量)及びトルエン(10体積)を反応器に投入した。1,1,1,3-テトラメトキシプロパン(1.2当量)を添加した後、反応器の内容物を約95℃で還流するように調整し、化合物1の含有量をHPLCを使用してモニターした。
【0126】
ステップb):式(4)の化合物の調製
化合物1の含有量が初期面積の1.0%以下の面積に低下したとき(HPLCで判定)、反応器の内容物を10℃~15℃に調整し、6N HCl(5体積)を約1時間にわって反応器に加え、それにより温度を25℃以下に維持した。反応器の内容物を20℃~25℃で少なくとも2時間攪拌し、反応完了をHPLCによってモニターした。所望の生成物を含む下部水層を回収し、上部有機層を排出し、所望の生成物を含む回収した水層を反応器に移し、DCM(5体積)を加え、反応混合物を15分間攪拌し、15分間静置した。下部有機層を排出し、水(2体積)を反応器に加え、反応器の内容物を0℃~5℃に調整した。温度を30℃以下に維持しながら、NaOH(11当量)を反応器に少量ずつ加えた。反応混合物のpHを12以上に調整した後、反応混合物の温度を20℃~25℃に上昇させ、DCM(5体積)を加え、反応混合物を15分間攪拌し、15分間静置した。所望の生成物を含む下部有機層を回収し、DCM(5体積)を加え、反応混合物を15分間攪拌し、15分間静置した。生成物を含む下部有機層を回収し、上部水層を排出し、回収した2つの有機層を反応器内で合わせた。反応混合物中のDCMの量が1%以下になるまで、エタノールへの溶媒交換を行った。化合物4の量を決定し、フマル酸(定めらえた化合物4の量に対して1当量)を加え、反応混合物を20℃~25℃で少なくとも12時間攪拌し、式(4)の化合物をフマル酸付加塩として沈殿させた。TBME(10体積)を少なくとも30分にわたって加え、反応混合物を20℃~25℃で1~2時間攪拌した。窒素下で濾過して沈殿物を回収し、反応器をTBME(2x3体積)で洗浄し、この洗浄液を使用して窒素下で沈殿物を洗浄した。回収した沈殿物を40℃~45℃で少なくとも12時間乾燥した。
【0127】
【表1】
【0128】
ステップc):式(5)の化合物の調製
ステップb)から得られたフマル酸付加塩(1当量)としての化合物4、DCM(5体積)、及び2M NaOH(10体積)を反応器に加え、反応混合物を15分間攪拌し、15分間静置した。化合物4を遊離塩基として含む下部有機層を回収し、水相をDCM(5体積)で抽出し、下部有機層を回収した。上部水層を排出した後、2つの有機層を反応器に投入し、MgSO(0.2重量%)を反応器に加え、反応混合物を5分間攪拌し、反応器の内容物を濾過してMgSOを除去した。濾液を新しいクリーンな反応器に投入し、テトラヒドロピラノン(1.1当量)及び酢酸(1当量)を加え、反応混合物の温度を-10℃~0℃に調整した。温度を0℃以下に維持しながら、STAB(1.8当量)を少量ずつ加えた。添加が完了した後、温度を20℃~25℃に上昇させ、反応混合物を少なくとも18時間攪拌し、反応完了をHPLCによってモニターした。化合物4ターゲットの含有量が初期面積の0.50%以下になると、反応混合物を10℃~15℃に冷却し、温度を25℃以下に維持しながら、2M NaOH(10体積)を添加して反応をゆっくりとクエンチした。NaOHの添加が完了した後、反応混合物を15分間攪拌し、15分間静置した。所望の生成物を含む下部有機層を回収し、上部水層をDCM(10体積)で抽出し、所望の生成物を含む下部有機層を回収し、上部水層を排出した。MgSO(0.2重量%)を反応器に加え、2つの有機層を反応器に投入し、反応混合物を少なくとも15分間攪拌した。MgSOを濾過により除去し、MgSOケーキをDCM(1体積)で洗浄した。濾液をクリーンな反応器で合わせ、35℃~40℃の減圧下で約10~12体積に低減した。反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、温度を20℃~30℃の間に維持しながら無水酢酸(1当量)をゆっくりと加えた。添加が完了した後、反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、反応混合物を少なくとも24時間攪拌し、テトラヒドロピラニル付加物及びSTABの含有量をHPLCを使用してモニターした。テトラヒドロピラニル付加物及びSTABのそれぞれの含有量が初期面積の0.50%以下になったら、5%のNaHCO溶液(10体積)を添加して反応をゆっくりとクエンチし反応物を15分間攪拌し、15分間静置した。所望の生成物を含む下部有機層を回収し、クリーンな反応器に投入した。MgSO(0.2重量%)を加え、反応混合物を少なくとも15分間攪拌し、濾過してMgSOを除去した。反応器をDCM(1体積)で洗浄し、この洗浄液を使用して、MgSOケーキを洗い流した。濾液をクリーンな反応器に再投入し、30℃以下の減圧下で、6~7体積に低減した。反応混合物中のDCMの含有量が10%以下になるまで、TBMEへの溶媒交換を行った。次に、TBME(3体積)を加え、反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、反応混合物を少なくとも1時間攪拌した。懸濁液を窒素下で濾過し、反応器及びフィルターケーキをTBME(2x2体積)で洗浄した。回収した沈殿物を35℃~40℃で少なくとも12時間乾燥した。
【0129】
【表2】
【0130】
ステップd):式(I)の化合物の調製
ステップc)から得られた化合物5(1当量)を反応器に投入し、DCM(10体積)を加え、反応混合物の温度を-10℃~0℃に調整した。温度を0℃以下に維持しながら、70%mCPBA(1.5当量)を反応器に少量ずつ加えた。添加が完了した後、反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、反応混合物を少なくとも2時間攪拌し、反応混合物中の化合物5の含有量をHPLCを使用してモニターした。反応混合物中の化合物5の含有量が初期量の4%以下になったら、反応混合物の温度を0℃~5℃に調整し、温度を20℃以下に維持しながら水酸化アンモニウム(10体積)を加えた。添加が完了した後、反応混合物の温度を0℃~5℃に調整し、温度を10℃以下に維持しながら、DCM(3体積)に溶解したpTsCl(1.5当量)を反応器にゆっくりと加えた。添加が完了した後、反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、反応混合物を少なくとも2時間攪拌し、反応混合物中のN-オキシド中間体の含有量をHPLCを使用してモニターした。反応混合物中のN-オキシド中間体の含有量が初期量の0.5%以下になったら、反応混合物の温度を30℃~35℃に調整し、反応混合物を少なくとも2時間攪拌した。反応混合物の温度を20℃~25℃に調整し、所望の生成物を含む下部有機層を回収し、クリーンな反応器に投入し、MgSO(0.2重量%)を加え、反応混合物を少なくとも15分間攪拌した。反応混合物を濾過してMgSOを除去し、反応器をDCM(1体積)で洗浄し、この洗浄液を使用してMgSOケーキを洗い流した。濾液をクリーンな反応器で合わせ、35℃~40℃の減圧下で、約10体積に低減し、得られた溶液中の式(I)の化合物の含有量を決定した。
【0131】
【表3】
【0132】
ステップe):式(I)の化合物の沈殿
ステップd)から得られた式(I)の化合物(1当量)の粗溶液を反応器に投入した。反応混合物中のDCMの含有量が1%以下になるまで、IPAへの溶媒交換を行った。次に、反応混合物の温度を5℃~10℃に調整し、反応混合物を少なくとも1時間攪拌した。懸濁液を濾過し、反応器をIPA(2体積)で洗浄し、洗浄液を5℃~10℃に冷却した後、フィルターケーキを洗い流すために使用した。反応器をTBME(2x5体積)で洗浄し、各洗浄液を使用してフィルターケーキを洗い流した。回収した沈殿物を35℃~40℃で少なくとも12時間乾燥した。
【0133】
【表4】
【0134】
ステップf):式(I)の化合物の結晶化
エタノール(10体積)中の5%水を反応器に投入し、ステップe)から得られた式(I)の化合物(1当量)を加えた。反応混合物の温度を65℃~70℃に調整し、30分~1時間保持した。式(I)の化合物が全て溶解したら、溶液を濾過し、濾液を65℃~70℃に予熱したクリーンな反応器に投入した。溶液の温度を3時間±30分にわたって45℃~50℃に調整した。式(I)の化合物の種結晶を加え、反応混合物の温度を少なくとも7時間にわたって0℃~5℃に調整し、反応混合物を少なくとも2時間にわたって0℃~5℃で攪拌した。懸濁液を濾過し、反応器をエタノール(2体積)中の5%水で洗浄し、洗浄液の温度を0℃~5℃に調整した後、フィルターケーキを洗い流すために使用した。反応器をTBME(2体積)で洗浄し、各洗浄液を使用してフィルターケーキを洗い流した。必要に応じて、結晶化ステップを繰り返した。
【0135】
【表5】
【0136】
本発明の方法の全体的な収率、上記の方法によって作製される式(I)の化合物の量、及び合成に必要な時間は、以下の表6に示されている。
実施例2-クロマトグラフィー精製ステップを使用したN-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドの比較合成(比較方法B)
【0137】
図11に記載の方法に従って、本発明の方法と同様であるが、3つのクロマトグラフィー精製ステップ(1つのステップはBoc保護基の除去後、1つのステップはテトラヒドロピラノンとの反応後、1つのステップは酸化的アミノ化反応の後)を使用したN-(4-(4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アセトアミドを調製した。比較方法Bの全体的な収率、上記の方法によって作製された式(I)の化合物の量、及び合成に必要な時間は、以下の表6に示されている。
【0138】
【表6】
【0139】
表6に提示された結果から分かるように、本発明の方法は、比較方法Bよりもはるかに高い収率を提供し、式(I)の化合物を、比較方法Bよりもはるかに大量(約1.2kg対約10g、すなわち、10を超える係数)で、かつ比較方法Bを使用することによって達成されるものと同等な純度で提供することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20