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特許7576047ビットの回転磁場を識別する電動式外科用ドリル装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ビットの回転磁場を識別する電動式外科用ドリル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
A61B17/16
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021568327
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020033288
(87)【国際公開番号】W WO2020232413
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】62/848,029
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/848,038
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ランバート,トレヴァー・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】カルシロ,スティーブン・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,ラーフル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ブレンダン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/040381(WO,A1)
【文献】特表2000-507839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16―17/17
A61B 17/56―17/92
A61B 90/00―90/98
B23B 51/00―51/14
H01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ドリル装置に用いられるドリルビットアセンブリであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置されたスリーブであって、非磁性材料から構成される、スリーブと、
を備え、
前記スリーブは、前記切削チップ部分の構成を識別するための識別特徴部を備え、前記識別特徴部は、磁性材料から構成され、前記磁性材料は、前記スリーブのどの部分も他の部分よりも前記磁性材料が集中しないように、前記非磁性材料内に均一に分散されている、ドリルビットアセンブリ。
【請求項2】
前記スリーブは、前記ドリルビットアセンブリの前記シャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、請求項1に記載のドリルビットアセンブリ。
【請求項3】
前記磁性材料は、前記非磁性材料内に均一に分散されている、請求項1又は2に記載のドリルビットアセンブリ。
【請求項4】
前記磁性材料は、80℃以上の温度に加熱されると少なくとも部分に消磁される、請求項1-3のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
【請求項5】
前記磁性材料は、固体粒子又は薄片から構成される、請求項1-4のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
【請求項6】
前記スリーブによって生成された磁場の形状は、前記シャンクの前記軸に対して非対称である、請求項1-5のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
【請求項7】
前記スリーブによって生成された磁場の形状は、前記シャンクの前記軸に沿って非対称である、請求項1-5のいずれか1つに記載のドリルビットアッセンブリ。
【請求項8】
前記スリーブは、前記軸を中心とする第1の四分円、第2の四分円、第3の四分円、及び第4の四分円に分割され、前記第1の四分円によって生成された磁場は、大きさ、強度、極性、又はそれらの組合せにおいて、前記第2の四分円、前記第3の四分円、及び/又は前記第4の四分円によって生成された磁場と異なる、請求項1-6のいずれか1つに記載のドリルビット。
【請求項9】
外科用ドリルビットシステムであって、
第1のドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で第1の軸に沿って延びる第1のシャンクと、
前記第1のシャンクの前記遠位端に隣接する第1の切削チップ部分であって、第1の切削構成を有する、第1の切削チップ部分と、
前記第1のシャンクを少なくとも部分的に取り囲む第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記第1のシャンクの周りに配置された第1の構成の磁性材料を備え、前記第1の構成の磁性材料は、前記第1のスリーブのどの部分も他の部分よりも前記第1の構成の磁性材料が集中しないように、前記第1のスリーブの非磁性材料内に均一に分散され、前記第1の構成の磁性材料は、前記第1の切削チップ部分の前記第1の切削構成を識別するための第1のプログラミングを有する、第1のスリーブと、
を備える、第1のドリルビットと、
第2のドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で第2の軸に沿って延びる第2のシャンクと、
前記第2のシャンクの前記遠位端に隣接する第2の切削チップ部分であって、前記第1の切削構成と異なる第2の切削構成を有する、第2の切削チップ部分と、
前記第2のシャンクを少なくとも部分的に取り囲む第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、前記第2のシャンクの周りに配置された前記第1の構成の磁性材料と同一の第2の構成の磁性材料を備え、前記第2の構成の磁性材料は、前記第2の切削チップ部分の前記第2の切削構成を識別するための前記第1のプログラミングと異なる第2のプログラミングを有する、第2のスリーブと、
を備える、第2のドリルビットと、
を備える、外科用ドリルビットシステム。
【請求項10】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブは、各々、120℃以下のガラス遷移温度を有する非磁性材料から構成される、請求項9に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項11】
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブは、各々、非磁性材料から構成される、請求項9又は10に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、前記第1及び第2のスリーブの両方の前記非磁性材料内に分散されている、請求項11に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、前記第1及び第2のスリーブの両方の前記非磁性材料内に均一に分散されている、請求項11又は12に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項14】
前記第1の構成の磁性材料は、前記第1のシャンクの周りに周方向に配置された第1の磁石列と、前記第1のシャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の磁石列から軸方向に離間して配置された第2の磁石列とから構成される、請求項11-13のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項15】
前記第1の構成の磁性材料の前記第1のプログラミングは、第1の磁場を放出し、前記第2の構成の磁性材料の前記第2のプログラミングは、前記第1の磁場と異なる第2の磁場を放出する、請求項10-14のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項16】
前記第1の磁場は、強度、極性、又はそれらの組合せの1つにおいて、前記第2の磁場と異なる、請求項15に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、約80℃以上の温度で加熱されると少なくとも部分的に消磁される、請求項10-16のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項18】
前記第1のスリーブは、前記第1のドリルビットの前記第1のシャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、請求項10に記載の外科用ドリルビットシステム。
【請求項19】
前記第1の切削構成は、長さ、材料、直径、断面積、型式、切削効率、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの性能特徴において、前記第2の切削構成と異なる、請求項10-18のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、2019年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/848,029号及び2019年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/848,038号の優先権及び全ての利得を主張するものであり、それらの開示内容は、参照することによってそれらの全体がここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
整形外科手術に用いられる電動式外科用工具又は電動式外科用システムの一種として、外科用ドリル装置が挙げられる。この種の工具は、モータを含むハウジングを備えている。ドリル装置の一部でもある連結アセンブリ又は連結具が、ドリルビットをモータに離脱可能に保持し、これによって、モータの作動時にドリルビットが回転する。外科用ドリル装置は、その名前が示すように、ドリルビットが当てられる処置対象物、例えば組織、を穿孔する。穿孔する必要がある外科手術の一種としては、骨折した骨を修復するための外傷処置が挙げられる。この種の処置では、骨の複数の骨折区域を一緒に保持するために、髄内釘と呼ばれることもある細長ロッドが用いられる。髄内釘を適所に保持するために、1つ又は複数の孔が骨に穿たれる。これらの孔は、髄内釘に形成された相補的な孔と真っすぐに並ぶように位置決めされる。位置合せされた骨孔及び髄内釘孔のそれぞれに、スクリューが挿入される。これらのスクリューは、髄内釘を骨に対して適切な位置に保持する。
【0003】
他の種類の処置では、プレートとして知られる移植片又は加工品が、骨の複数の骨折区域における外面に固定され、これらの区域を一緒に保持する。スクリューは、プレートを骨のそれぞれの区域に保持する。プレートを保持するスクリューを骨に嵌合させるために、先ずは、スクリューを受け入れる孔を形成する必要がある。
【0004】
スクリューを受け入れる孔を骨に形成するために用いられる処置の一部として、その孔の端から端までの深さを知ることが望ましい。この情報によって、外科医は、穿孔内に嵌合されるスクリューの寸法を選択することが可能になる。もしもスクリューが短すぎるのであれば、そのスクリューは、該スクリューが適所に挿入される髄内釘を固定して保持することができないこととなる。もしもスクリューが長すぎるのであれば、そのスクリューは、骨の外に過剰に飛び出す可能性がある。もしもスクリューが骨の外に過剰に飛び出したのであれば、スクリューの露出端部が周囲組織を擦る可能性がある。もしもこのような状況が生じたのであれば、スクリューによって擦られた組織が損傷するおそれがある。従って、多くの骨穿孔処置において、穿孔の深さの測定が不可欠となっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、これらの課題のいくつかに対処するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】外科器具と、一構成によれば識別特徴部及びチップ保護具を有するドリルビットを備えるものとして示されるエンドエフェクタと、を備える外科用システムの斜視図である。
図2】外科器具が測定モジュール、駆動アセンブリ、及びハンドピース本体から離間した解除機構を有するものとして示され、エンドエフェクタが外科器具から取り外されてドリルビットの遠位側の切削チップ部分から離間したチップ保護具と共に示される、図1の外科用システムの部分分解斜視図である。
図3】アクチュエータアセンブリを示すために駆動アセンブリ及び解除機構がハンドピース本体の仮想輪郭線から離間して示される、図1―2の外科器具の一部の部分分解斜視図である。
図4】測定モジュール内に位置する識別特徴部及びセンサの構成を示す、図1の線4-4に沿って取られた部分等角断面図である。
図5】測定モジュール内に位置する識別特徴部及びセンサの構成を示す、図1-4の外科器具の長手方向に沿って取られた断面図である。
図6】識別特徴部を備える、図1-2及び図4-5のドリルビットアセンブリの斜視図である。
図6A】一構成による線6A-6Aに沿って取られた図6のドリルビットアセンブリの断面図である。
図6B】他の構成による図6のドリルビットアセンブリの断面図である。
図6C】他の構成による図6のドリルビットアセンブリの断面図である。
図6D】線6C-6Cに沿って取られた図6のドリルビットアセンブリの断面図である。
図7】スリーブに連結された識別特徴部を備える、図1,2のドリルビットアセンブリの斜視図である。
図7A】一構成による線7A-7Aに沿って取られた図7のドリルビットアセンブリの断面図である。
図7B】他の構成による図7のドリルビットアセンブリの断面図である。
図8】ハンドピース本体内に位置する識別特徴部及びセンサの構成を示す、図1の線8―8に沿って取られた部分等角断面図である。
図9】ハンドピース本体内に位置する識別特徴部及びセンサの構成を示す、図1の外科器具の長手方向に沿って取られた断面図である。
図10A図4,5のドリルビット、識別特徴部、ガイドブッシュ、測定挿管、及びセンサの部分概略図である。
図10B】測定挿管が十分な遠位位置にある、図4-5又は図8-9のドリルビット、識別特徴部、測定挿管、及びセンサの部分概略図である。
図10C】測定挿管が十分な遠位位置に対する近位位置にある、図4-5又は図8-9のドリルビット、識別特徴部、測定挿管、及びセンサの部分概略図である。
図11図6のドリルビットの遠位端の直径D1よりも大きい遠位端の直径D2を有する代替的構成によるドリルビットの斜視図である。
図11A】一構成による線11A-11Aに沿って取られた図11のドリルビットアセンブリの断面図である。
図11B】線11B-11Bに沿って取られた図11のドリルビットアセンブリの断面図である。
図12図6のドリルビットの遠位端のフルート設計と異なる遠位端のフルート設計を有する代替的構成によるドリルビットの斜視図である。
図12A】一構成による線12A-12Aに沿って取られた図12のドリルビットアセンブリの断面図である。
図12B】他の構成による線12B-12Bに沿って取られた図12のドリルビットアセンブリの断面図である。
図13】プログラミング治具及びドリルビットのスリーブの立面図である。
図14A】スリーブが第1の方位にある、線14A-14Aに沿って取られた図13のプログラミング治具のポールピース及びスリーブの断面図である。
図14B】スリーブが第2の方位にある、図14Aのポールピース及びスリーブの断面図である。
図14C】スリーブが第3の方位にある、図14A,14Bのポールピース及びスリーブの断面図である。
図14D】スリーブが第4の方位にある、図14A-14Dのポールピース及びスリーブの断面図である。
図15】ドリルビットと1つのスリーブに連結された磁性材料の複数列とを備えるドリルビットの構成を示す立面図である。
図16】2つのスリーブの各々に連結された磁性材料の列を有するドリルビットを備えるドリルビットアセンブリの構成を示す立面図である。
図17A】測定挿管及び第1の尖端長さを有するドリルビットを示す立面図である。
図17B】測定挿管及び第2の尖端長さを有するドリルビットを示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照すると、典型的には医学的及び/又は外科的処置に関連する手術機能を果たすための外科用システム又は外科用ドリルシステムが、図1-2において符号60によって示されている、なお、いくつかの図面を通して、同様の番号が同様の構造を示すために用いられている。いくつかの構成では、外科用ドリルシステム60は、外科用ハンドピースシステムと呼ばれることもある。本明細書に示される代表的な構成では、外科用ドリルシステム60は、処置対象物、例えば、患者の組織又は骨の穿孔を促進するために用いられる。別段の指示がない限り、本明細書において用いられる「処置対象物(workpiece)」という用語は、代替的に組織及び/又は骨を指すものと理解されたい。この目的を達成するために、外科用ドリルシステム60の図示の構成は、外科用ドリル装置61を備えている。外科用ドリル装置61は、代替的に手持ち式外科器具62とも呼ばれるハンドピース62と、ハンドピース62に連結された(総称的に符号64によって示される)エンドエフェクタとを備えている。エンドエフェクタ64は、1つ又は複数の交換可能なドリルビット66から構成されるドリルビットアセンブリ65を備え、チップ保護具68も備えている。本明細書に記載される特徴を有する外科用ドリル装置以外の装置、例えば、外科用ドライバが用いられてもよい。従って、エンドエフェクタ64は、スクリューのような外科用移植片を打ち込むように構成されたビットから構成されてもよい。更に代替的に、エンドエフェクタは、リーマーとして実装されてもよい。
【0008】
図2に最もよく示されるように、1つ又は複数のドリルビット66の各々は、ハンドピース66に連結されると、符号70によって総称的に示される切削チップ部分と符号72によって総称的に示される挿入部分との間で軸AX(すなわち、長軸AX又は軸AX)に沿って略長手方向に延びることとなる。なお、図2には、代表的に、単一のドリルビット66が示されている。切削チップ部分70は、処置対象物と係合するように構成され、挿入部分72は、ハンドピース62へのドリルビット66の取外し可能な取付けを容易にするように構成されている。ハンドピース62へのドリルビット66の連結を可能にするために、挿入部分の種々の構成、例えば、様々な溝、長孔、及び他の幾何学的形状が考えられる。挿入部分の1つの例示的な構成が、米国特許第10,159,495号に見い出される。なお、この文献は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。ハンドピース62へのドリルビット66の取付けを容易にするための他の構成も考えられる。
【0009】
図2にも示されるように、1つ又は複数のドリルビット66の各々は、軸AXに沿って近位端から遠位端に延びている。ドリルビット66の各々は、符号176によって総称的に示されるシャンクを備えている。シャンク176は、近位端178と遠位端180との間で軸AXに沿って延びている。シャンク176の遠位端180に隣接するシャンク176の遠位部分は、フルート溝182を画定している。フルート溝182は、軸AXを中心として螺旋状に配置され、組織のような処置対象物の穿孔を促進するためにドリルビット66の切削チップ部分70まで延びている。(図2参照)。図示の構成では、ドリルビット66は、近位端178と遠位端180との間でシャンク176に連結された軸受領域184も備えている。多くの構成では、軸受領域184は、シャンク176と一体である。軸受領域184は、(以下に更に詳細に検討される)ハンドピースに連結された測定モジュール128の測定挿管134内に受け入れられて該測定挿管134に対して回転するように寸法決めされている。ここでは、軸受領域184は、ドリルビット66の長さに沿った回転支持を与えるシャンク176の「段付き(stepped)」外側領域を画定し、図示の構成ではシャンク176の隣接する遠位領域及び近位領域よりも大きい直径を有している。しかしながら、ドリルビット66のシャンク176の軸受領域184は、本開示の範囲から逸脱することなく異なって構成されてもよいことを理解されたい。更に、本開示では、ドリルビット66として記載されているが、ドリルビット66は、同様の特徴を有する他の適切なエンドエフェクタ又は回転エンドエフェクタ、例えば、バー又はリーマとして構成されてもよいことも理解されたい。
【0010】
ドリルビット66の複数の構成は、外科用ハンドピース62に連結するように構成されている。複数のドリルビット66は、それぞれ、少なくとも1つの特徴又は特性において互いに異なっている(代表的なドリルビット66a,66b,66cが、図6,7,11,12に示されている)。これらの異なる性能特徴又は性能特性は、ドリルビット66がいかに用いられるかに依存して使用中に外科用ドリルシステム60の性能の変動をもたらすこととなる。換言すれば、図6A-6D、7-7B、11-11A、及び12-12Bに示される構成では、各ドリルビット66a,66b,66cは、独自の組合せの性能特徴又は性能特性を有している。具体的には、ドリルビット66は、使用中に骨内により大きい又はより小さい孔を形成することを可能にするために、遠位端180又はその近傍において異なる断面積又は直径を有している。例えば、図11のドリルビット66bは、その遠位端180に隣接する部分において、図6,6Cのドリルビット66aの直径D1よりも大きい直径D2を有している。更に、図12Bのドリルビット66cの直径D3は、ドリルビット66a,66bの直径D1,D2と異なっている。
【0011】
他の性能特徴は、螺旋状フルート溝182の配置である。螺旋状に配置されるフルート溝182は、切削効率を変化させる様々な螺旋構造又は螺旋溝深さを有している。図12に示される1つの構成では、ドリルビット66cは、図12,12Bに示される螺旋構造183Bを有している。螺旋構造183Bは、図6A,6Cのドリルビット66a及び図11のドリルビット66bの螺旋構造183Aと比較して、遠位端180における単位当たりの螺旋の数が多い。更なる性能特徴であるドリルビット66の長さは、外科用ドリルシステム66が用いられる骨の評価厚みに依存して異なる。更に他の性能特徴としてのドリルビット66自体の材料選択も種々異なる。具体的には、ある材料のドリルビット66の穿孔効率又は熱伝達が、他の材料のドリルビット66の穿孔効率又は熱伝達と比較して、外科用ドリルシステム60に対して悪影響を及ぼすことがある。他の性能特徴として、切削チップ部分70のすくい角又は尖端角が挙げられる。特に、各ドリルビット66がこれらの性能特徴及び性能特性の独自の組合せを含むことによって、外科用ドリルシステム60のオペレータは、処置対象物を穿孔するための多種多様な選択肢を得ることとなる。加えて、これらの性能特徴は、以下に更に記載されるように、操作中にいくつかの動作を行うハンドピース62によって識別されるとよい。
【0012】
どのドリルビット66がハンドピース62に連結されたかをオペレータが決定するのを支援するために、各ドリルビット66を識別する識別特徴部177がドリルビットアセンブリ65の各ドリルビット66に設けられるとよい。識別特徴部177は、ドリルビット66又はエンドエフェクタ64の各型式と関連する性能特徴に関連付けられるものである。例えば、(図6,6A,6Bに示される)識別特徴部177aに基づいて、外科用ドリル装置61は、ドリルビット66aが小さい骨の穿孔用に構成されていること、すなわち、ドリルビット66aの遠位部分が(足又は手等の小さい骨に用いられる)略2mm以下の直径を有することを決定することができる。一方、(図11,11Aに示される)識別特徴部177bに基づいて、外科用ドリル装置61は、ドリルビット66bが大きい骨の穿孔用に構成されていること、すなわち、ドリルビット66bの遠位部分が、(大腿のような大きい骨に用いられる)約3.2mm以上の直径を有すること、又は2mmから3.2mmの間の直径のドリルビットによって骨の穿孔を行うように構成されていることを決定することができる。更に、(図12A,12Bに示される)識別特徴部177cに基づいて、外科用ドリル装置61は、ドリルビット66の各直径を決定することに加えて、より正確に決定された穿孔輪郭を得るための遠位端180に隣接するフルート溝182に関連する螺旋構造を決定することもできる。この情報から、外科用ドリル装置60は、切削効率対温度のような因子の均衡をもたらし、(以下に説明するように)より正確に貫通深さを計算し、これによって、精度を改良することもできる。これに関連して、オペレータは、連結されたドリルビット66に関する識別特徴部177から得られた知識に基づいて穿孔するための外科用ドリル装置61の操作をより正確に制御することができる。
【0013】
図6,7,11,12に示されるように、種々の構成では、識別特徴部177は、ドリルビット66の近位端178と遠位端180との間でシャンク176の周りに配置された1つ又は複数の磁石181の形態にあるとよい。1つ又は複数の磁石181は、ドリルビット66のシャンク176を周方向に取り囲む磁石列から構成されている。他の種類の識別特徴部177、例えば、エンドエフェクタ64上の溝、貝殻状物、又は突起も考えられる。また、どの型式のエンドエフェクタ64が外科器具62に連結されたかを外科器具60が識別することを可能にするために、種々の形式の電子装置、例えば、RFID(無線周波数識別)、NOVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ)、等がエンドエフェクタ64上に配置されてもよい。更に、識別特徴部177は、レーザーエッチング、レーザープリント、又はラベルのような光学的特徴部177aの形態にあってもよく(図10A-10C参照)、この光学的特徴部は、ドリルビットの近位端178と遠位端180との間でシャンク176上に又はシャンク176内に配置されるとよい。
【0014】
識別特徴部177として磁石181を利用する構成では、このような磁石181は、シャンク176内に少なくとも部分的に埋設されてもよいし(図6A,11A,12A参照)、又はシャンク176の外面に直接連結されてもよい(図6A参照)。代替的に、磁石181は、近位端178と遠位端180との間でシャンク176の少なくとも一部の周りに配置されたスリーブ179内に埋設されてもよいし(図7A参照)、又は該スリーブ179の外面に連結されてもよい(図7B参照)。スリーブ179は、ドリルビット66のシャンク176を覆って配置されるように寸法決めされた管腔を備えているとよい。図7-7B及び図15,16に示されるスリーブ179は、ドリルビット66のシャンク176を取り囲む管状構造を備えているが、スリーブ179がドリルビット66のシャンク176を覆って配置される層から構成されることも考えられる。更に、スリーブ179は、ドリルビット66のシャンク176を部分的にのみ取り囲んでいてもよい。
【0015】
図6B,7Bの例では、見やすくするために、シャンク176の外面から半径方向外方への磁石181の拡がり(図6B)又はスリーブ179の外面から半径方向外方への磁石の拡がり(図7B)が誇張されているが、この拡がりは、磁石181がシャンク176又はスリーブ179の各外面から半径方向外方に拡がる相対的な大きさを表すことを意図するものではない。すなわち、磁石は、使用中のドリルビット66の回転に悪影響を及ぼさないために及びハンドピース62の駆動挿管116内への挿入を容易にするために、半径方向外方に大きく拡がらないことが好ましい。
【0016】
図6,7,11,12に示される各構成における1つ又は複数の磁石181の位置、大きさ、角距離、強度、極性、及び数は、ドリルビット66の各々に特有であり、ドリルビット66の各々をドリルビット66の他の1つと区別するように機能する。本明細書の図6,7,11,12の例では、ドリルビット66の軸AXを中心として互いに等角に離間して配置された互いに等しい大きさの磁石181の単一列は、外科用ドリル器具60に用いられる互いに等角に離間して配置された互いに等しい大きさの磁石181の単一列の代表的な構成として示されている。単一列における互いに等しい大きさの1つ又は複数の磁石181の数及び角距離は、種々のドリルビット66を区別するために用いられるとよい。図6の例では、4つの互いに角度的に離間して配置された互いに等しい大きさの磁石181の単一列が示されている。図7は、8つの互いに角度的に離間して配置された互いに等しい大きさの磁石181の単一列を示している。更に、図11は、2つの互いに角度的に離間して配置された互いに等しい磁石181の単一列を示し、図12は、3つの互いに角度的に離間して配置された互いに等しい磁石181の単一列を示している。他の構成では、1つ又は複数の磁石181は、シャンク176の周りに周方向に配置されると共に第1の磁石列から軸方向に離間して配置された第2の磁石列(図示せず)を構成してもよい。第1の磁石列と同様、第2の磁石列における各磁石は、位置、大きさ、角距離、強度、又は極性において、該磁石列における他の磁石と異なってもよいことも考えられる。更に各磁石列における磁石の数は、異なってもよいし又は同じであってもよい。更に、各磁石列におけるそれぞれの磁石181は、軸AXに沿った方向又は軸AXと平行の方向から見て、角度的に互いに真っすぐに並んでいるとよい。また、1つの磁石列の少なくとも1つの磁石181が、軸AXに沿った方向又は軸AXと平行の方向から見て、他の磁石列のある磁石と角度的に互いに真っすぐに並んでいなくてもよいことも考えられる。これらの例では、各図面におけるそれぞれの磁石181の大きさ及び磁気強度/磁気方向が互いに同じであってもよい。図6,7,11,12は、4つの特異なドリルビットアセンブリ65に対応する(単一列に置かれた多数の磁石181から成る)4つの特異な配置例を示しているが、磁石181の数、大きさ、角距離、強度、又は位置の変更も考えられ、それらの独自の組合せは、各々、更なる追加のドリルビット66及び対応するドリルビットアセンブリ65を区別するように機能するために、互いに異なるように構成されてもよい。
【0017】
磁石181は、各ドリルビット66に配置された磁石181の位置、大きさ、角距離、強度、及び数の独自の組合せに基づいて集合的にある一定の強度及び方向の磁場を生成する磁性材料から形成されている。
【0018】
図6Cに示される他の構成では、ドリルビット66のシャンク176の少なくとも一部が磁化され、外面208は、外面208と軸AXとの間の半径距離が軸AXを中心として変動するように軸AXと直交する平面上に非円形断面をもたらす1つ又は複数の凹部210を画定している。シャンク176は、軸AXを中心とするシャンク176の回転中に、軸AXに対する外面208の半径距離の変動に応じて磁場の変動をもたらすように構成されている。このようにして、1つ又は複数の凹部は、切削チップ部分70の1つ又は複数の性能特徴を識別するための識別特徴部を構成することとなる。センサ201は、ドリルビット66がハンドピース62に連結されて軸AXを中心として回転している間に変動する磁場に応じて信号を生成する磁気抵抗センサから構成されているとよい。多くの構成では、ドリルビット66のシャンク176の外面208と軸との間の変動する半径距離は、ドリルビット62を外科用ドリル装置又はハンドピース62に連結するために外科用ドリル装置又はハンドピース62に係合するように構成されたシャンクの近位側の連結部分の半径距離とは性質が異なっている。
【0019】
同様の構成について前述したように、切削チップ部分70の性能特徴は、ドリルビット66の長さ、ドリルビット66の材料、ドリルビット66のシャンク176の遠位端180の直径、ドリルビット66の断面積、ドリルビット66の型式、ドリルビット66のすくい角、ドリルビット66のフルート角、及び/又はドリルビット66の尖端角から選択されるとよい。
【0020】
シャンク176の1つ又は複数の凹部210は、シャンクの周りに周方向に配置された凹部の列として更に画定されてもよい。凹部列の1つの凹部は、深さ、円弧長さ、又はそれらの組合せにおいて、凹部列の少なくとも1つの他の凹部と異なっていてもよい。加えて、凹部列の第1の凹部と凹部列の第2凹部との間の角距離は、凹部列の第2の凹部と第3の凹部との間の角距離と異なっていてもよいし、又は同じであってもよい。
【0021】
他の構成では、1つ又は複数の凹部210は、シャンク176の周りに周方向に配置されると共に凹部210の第1の列から軸方向に離間して配置された(図示されない)凹部の第2の列を画定してもよい。凹部210の第1の列と同様、凹部210の第2の列における各凹部210は、深さ、円弧長さ、又はその組合せにおいて、凹部210の第2の列における他の凹部210と異なってもよいことも考えられる。更に、凹部210の各列における凹部210の数は、異なっていてもよいし、又は同じであってもよい。更に、凹部210のそれぞれの列における複数の凹部210は、軸AXに沿った方向又は軸AXと平行の方向から見て、角度的に互いに真っすぐに並んでいるとよい。また、凹部210の列の1つの少なくとも1つの凹部210は、軸AXに沿った方向又は軸AXと平行の方向から見て、他の列の凹部210と角度的に互いに真っすぐに並んでいなくてもよいことも考えられる。
【0022】
いくつかの構成では、磁石181(又は図6Cの磁化されたドリルビット66)の磁性材料は、好ましくは、温度感受性の磁性材料、すなわち、そのキュリー点を超える温度に加熱されるとその磁気の一部又は全てを失う磁性材料(すなわち、そのキュリー点を超える温度に加熱されると少なくとも部分的に消磁される磁性材料)である。磁石181に用いられるのに適する好ましい磁性材料は、外科用ドリルシステム60の通常の操作温度(例えば、手術室における室温)よりも高いが、ドリルビット66が使用後にオートクレーブ等によって浄化又は消毒される温度、例えば、80℃以上の温度よりも低い温度において少なくとも部分的に消磁される磁性材料である。
【0023】
ドリルビットアセンブリ65における磁石181の消磁は、各連結されたドリルビットアセンブリ65を識別するために用いられる特定強度及び特定方向の生成された磁場を変更又は消滅させるように機能する。これによって、オペレータは、(識別された磁場信号に基いて識別された)連結されたドリルビットアセンブリ65が、例えば、第1の使用後の浄化プロセス及び消毒プロセス中に消磁温度を超える温度に前もって加熱されていないという合理的なレベルの確信を得ることができる。
【0024】
逆に、もしもドリルビットアセンブリ65が識別された生成磁場に基いて識別されなかったならば、オペレータは、連結されたドリルビットアセンブリ65が(前述したような先の使用、すなわち、浄化及び消毒を暗示する)消磁温度を超える温度にすでに加熱されているか、又は本明細書に記載の識別特徴部を備えていないドリルビットアセンブリであると合理的に結論付けることができる。
【0025】
図7A,7Bの断面図に最もよく示されるスリーブ構成が用いられる場合、スリーブ179は、近位端178と遠位端180との間のシャンク176の一部に固定されてもよいし又は該シャンク176の一部を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。従って、スリーブ179及びスリーブ179に連結された磁石181は、使用中に連結されたドリルビット66が回転するにつれて回転する。
【0026】
ドリルビット66の軸受領域184と同様に、スリーブ179は、測定モジュール128の測定挿管134内に受け入れられて該測定挿管134に対して回転するように寸法決めされている。従って、シャンク176から半径方向に拡がるスリーブ179の厚さは、測定挿管134の内腔内に嵌合されるように可能な限り薄く設計されている。従って、スリーブ179の外面は、使用中、測定挿管134の内面を擦らないこととなる。
【0027】
スリーブ179の外面は、使用中にドリルビット66の回転に悪影響を与えないようにシャンク176の周りに一定の半径厚さで拡がるように設計されているとよい。図7,7A,7Bに示されるように、スリーブ179は、1つ又は複数の磁石181によって生成される磁場に干渉しない材料、代替的に本明細書において非磁性材料と呼ばれる材料から構成されている。いくつかの構成では、スリーブ179は、ポリマーから構成されている。いくつかの構成では、ポリマーは、外科用ドリルシステム60の通常の操作温度(例えば、手術室における室温)よりも高いが、ドリルビット66が使用後にオートクレーブ処理される温度、例えば、120℃以上よりも低い融点又はガラス遷移温度を有しているとよい。他の構成では、ポリマーは、130℃以上の融点又はガラス遷移温度を有していてもよい。更なる構成では、ポリマーは、140℃以上の融点又はガラス遷移温度を有していてもよい。更に他の構成では、ポリマーは、150℃以上の融点又はガラス遷移温度を有していてもよい。更に、ポリマーは、耐久性のある比較的硬いプラスチック材料から構成されているとよい。スリーブ179は、外科用ドリルシステム60の通常の操作温度(例えば、手術室における室温)よりも高いが、ドリルビットが使用後にオートクレーブ処理される温度、例えば、120℃以上よりも低い融点を有する他の材料から形成されてもよいことも考えられる。
【0028】
図13-16に示されるスリーブ179を備えるドリルビットアセンブリ65の他の構成では、スリーブ179は、非磁性材料と非磁性材料内に分散された磁性材料から構成されている。磁性材料は、スリーブ179のどの部分も他の部分よりも磁性材料がより強く集中しないように、非磁性材料中に均一に分散されているとよい。この構成における識別特徴部は、スリーブ179内の磁性材料である。磁性材料は、ドリルビット66の切削チップ部分70の構成を識別するようにプログラミング(すなわち、較正)されるとよい。磁性材料は、薄片、断片、及び/又は固体粒子から構成されているとよい。磁性材料は、ネオジム磁石及び/又はサマリウムコバルト磁石から構成されていてもよい。他の構成では、磁性材料は、鉄から構成されている。他の磁性材料も考えられる。
【0029】
このようなスリーブ179をプログラミングするための例示的な構成が、図13-14Dに示されている。図13は、スリーブ179のいくつかの位置において磁場216を集束させるためのポールピース210を備えるプログラミング治具212を示している。図14Aでは、ポールピース210は、スリーブ179上に第1の極性を有する磁場216を集束し始めている。図14Bでは、スリーブがポールピース210に対してある一定の角度だけ回転しながら、ポールピース210が第1の極性を有する磁場216を集束している。従って、磁場に晒された磁性材料は、ここで、ある円弧長さ部分218に対して第1の極性の磁場を放出する。この時点で、ポールピース214からの磁場216が遮断され、スリーブ179は、ポールピース214に対して図14Cに示される方位に向かって回転し続ける。図14Cでは、ポールピース214からの磁場216が放出されなかったことによって、スリーブ179のある円弧長さ部分は、中性極性であり、磁場を放出しない。次いで、図14Dに示されるある円弧長さ220部分に対して、第1の極性と反対の第2の極性を有する磁場216が印可される。図14Dは、軸を中心として互いに異なる円弧長さ及び極性を有するようにプログラミングされたスリーブの1つの構成を示している。センサは、スリーブ179がドリルビット66に連結されて軸を中心として回転する時にプログラミングによって選択的に磁化されたスリーブ179によって生成された変動する磁場に応じて信号を生成する磁気抵抗センサーから構成されているとよい。図14A-14Dは、磁気プログラミングシーケンスの1つの構成を示している。他の磁気プログラミングシーケンスによって、プログラミングパラメータ、例えば、スリーブ179への磁場印可のパルス周波数、位相オフセット、すなわち、スリーブ179の磁化部分の円弧長さと非磁化部分の円弧長さとの間の角距離の角度オフセット、(スリーブ179の磁性材料の一部をポールピース214からの磁場の多少によって飽和させることによって増減される)磁場強度、ポールピース214に対して回転するスリーブ179の回転速度、磁場の極性、及び/又はそれらの組合せが変更されてもよいことも考えられる。図14A-14Dに示されるスリーブ179は、選択的プログラミング中にスリーブ179に連結されたドリルビット66を含んでいないが、ドリルビット66は、いくつかの種類のプログラミング中にスリーブ179に連結されていてもよいことも考えられる。更に、前述のプログラミングプロセスは、ポールピース210に対してスリーブ179を回転させるステップを含んでいるが、スリーブ179の選択的プログラミングは、ポールピース214とスリーブ179との間の相対的な運動を容易にすることによって、他の方法によって達成されてもよいことも考えられる。プログラミングされたスリーブ179は、締り嵌め、成形、留め具、、接着剤等によってドリルビットのシャンク176に連結されるとよい。
【0030】
図14Dに示されるように、磁場の形状は、スリーブ179の軸に対して非対称であるとよい。スリーブ179は、軸を中心として4つの四分円、すなわち、第1の四分円、第2の四分円、第3の四分円、及び/又は第4の四分円に分割されるとよい。第1の四分円によって生成される磁場は、大きさ、強度、極性、又はそれらの組合せにおいて、第2の四分円、第3の四分円、及び/又は第4の四分円によって生成される磁場と異なっているとよい。スリーブ179の磁場の形状は、シャンク176の軸に沿って非対称であってもよい。
【0031】
スリーブをプログラミングすることによって得られる1つの利点は、2つ以上のスリーブを備えるドリルビットシステムが同じように製造され、これによって、異なる種類の部品の数及びそれらを製造するための機械の数を減らすことができることである。2つ以上のスリーブ179は、プログラミングするまで同一であるとよい。プログラミング後、各スリーブ179は、切削チップ部分70又はシャンク176のある構成に関連する独自のスリーブをもたらすこととなる。本明細書に記載される他の構成と同様、区別されるドリルビット66の異なる切削チップ部分70の切削構成は、ドリルビット66の長さ、ドリルビット66の材料、ドリルビット66のシャンク176の遠位端180の直径、ドリルビット66の断面積、ドリルビット66の型式、ドリルビット66のすくい角、ドリルビット66のフルート角、及び/又はドリルビット66の尖端角から選択されるとよい。
【0032】
図15に示されるように、スリーブ179は、プログラミングされた磁性材料の2つの構成を備えていてもよい。具体的には、スリーブ179は、シャンク176の周りに周方向に配置された第1の磁石列を備えている。他の構成は、第1の磁石列と異なってプログラミングされている。具体的には、シャンクの周りに周方向に配置された第2の磁石列は、第1の磁石列から軸方向に離間して配置されている。磁性材料の第1の構成の第1のプログラミングは、第1の磁場を放出する。磁性材料の第2の構成の第2のプログラミングは、第1の磁場とは異なる第2の磁場を放出する。
【0033】
図16に示される他の構成では、磁性材料の2つの異なってプログラミングされた列が示されている。この構成では、スリーブ179は、近位スリーブ部分179aと遠位スリーブ部分179bとに分割されている。これは、単一のスリーブ179に複数のプログラミングされた列を配置することなく、磁性材料の複数のプログラミングされた列を用いる他の方法である。ドリルビットアセンブリ65は、3つ以上のスリーブ部分179a,179bを備えてもよいことも考えられる。
【0034】
スリーブ179の他の構成と同様に、スリーブ179の非磁性材料は、120℃以下のガラス遷移温度又は溶融温度を有しているとよい。磁性材料は、80℃以上の温度に加熱されると少なくとも部分的に消磁されるものであるとよい。
【0035】
前述したように、スリーブ179は、ドリルビット66がオートクレーブ処理される温度よりも低い融点又はガラス遷移温度を有する材料から構成されているとよい。従って、スリーブ179を形成する材料は、高温におけるオートクレーブ処理又は洗浄/消毒プロセス中におけるような融点又はガラス遷移温度よりも高い温度に晒された時に溶融及び/又は変形するように構成されているとよい。すなわち、スリーブ材料の溶融及び変形によって、溶融又は変形後にスリーブ179内の磁石181の相対位置が変化することが意図されている。これが、スリーブ179内に連結された磁石181によって生成された磁場を変化させ、ドリルビットアセンブリ65のドリルビット66が識別されるのを妨げることとなる。光学的識別特徴部がスリーブに用いられる場合、同様に、スリーブ材料の溶融及び変形によって、溶融又は変形後の光学的特徴部の外観が変化することが意図されることとなる。例えば、もしもラベルが用いられたのであれば、ラベルが付着されたスリーブ179の変形によって、ラベルが損傷又は変形し、識別を妨げることとなる。他の例では、ラベルは、オートクレーブ処理中、又は120℃以上の温度に晒された時にそれ自体が変形するように構成された感熱ラベルであるとよい。
【0036】
前述の磁石181の消磁と同様、ドリルビットアセンブリ65内のスリーブ179の溶融及び変形の結果として、磁石181の位置のその後の移動が生じることもある。この場合、スリーブ179が溶融又は変形した時にこのような磁石181が消磁しなかったとしても、連結されたドリルビット66を識別するために用いられる連結された磁石181の特定の強度及び特定の方向の生成された磁場を変更し、又は場合によっては消滅させるように機能する。このようにして、オペレータは、識別された磁場信号に基づいて識別された連結されたドリルビットアセンブリ65が、例えば、第1の使用後の浄化及び消毒中にスリーブ材料の溶融温度を超える温度に前もって加熱されていないことを合理的なレベルで確信することができる。逆に、もしもドリルビットアセンブリ65が生成された磁場に基づいて識別されなかったならば、オペレータは、連結されたドリルビットアセンブリ65がスリーブ材料の(前述したような先の使用、すなわち、浄化及び消毒を暗示する)溶融温度を超える温度に前もって加熱されているか、又は本明細書に記載の識別特徴部を有するドリルビットアセンブリ65ではないことを合理的に結論付けることができる。
【0037】
ドリルビットアセンブリ65が磁石181の消磁温度及びスリーブ179のスリーブ材料の溶融温度の両方を超える特定の温度に前もって加熱されているいくつかの例では、磁石181の生成された磁場は、磁石181の消磁とスリーブ179のスリーブ材料の溶融及び変形に起因する磁石181の位置の変化の両方によって変更されることとなる。
【0038】
スリーブ179は、多くの方法によってドリルビット66に連結されるとよい。1つの構成では、スリーブ179は、ドリルビット66の近位端178又は遠位端180から摺動され、所望の位置においてシャンク176の外面の周りに締まり嵌めされるとよい。この構成では、スリーブ179は、(例えば、図6A,11A,12Aに示されるように)埋設された磁石181と共に予形成されてもよいし、又は磁石181がスリーブ179の設置後に(図示されない)接着剤又は留め具によってスリーブ179の外面に固定されてもよい。この構成では、(図示されない)接着剤が、スリーブ179をシャンク176に固定するために、スリーブ179とシャンク176との間に塗布されるとよい。
【0039】
更に、スリーブ179は、所望の位置においてドリルビット66上にオーバーモールドされてもよい。1つの構成では、磁石181がドリルビット66と一緒に金型内に導入され、図7Aに示されるような埋設された磁石181を有するスリーブ179を形成するために、スリーブ179を形成するためのポリマーがドリルビット66と磁石181との間の金型の空洞部分内に導入されるとよい。
【0040】
代替的に、ドリルビット66のみが型内に導入され、次いで、スリーブ179を形成するためのポリマーがドリルビット66の周りの金型の空洞部分内に導入されてもよい。得られた構造体が金型から取り出され、磁石181が、(図示されない)接着剤又は留め具によって又は成形ステップ後の締まり嵌めによって、スリーブ179の外面に固定されることとなる。
【0041】
図1図5を再び参照すると、本明細書に示される代表的な構成において、ハンドピース62は、ピストル型グリップ状のハンドピース本体74を有する手持ち式ドリル装置として具体化されている。ハンドピース本体74は、バッテリー76に離脱可能に取り付けられるようになっている(バッテリーへの取付けは、詳細に示されていない)。しかしながら、ハンドピース本体74がピストル型グリップの有無に関わらずどのような適切な形状を有してもよいことも考えられる。図示のハンドピース62は、ドリルビット66を回転させるために用いられる電力をハンドピース62に供給するために、ハンドピース本体74に離脱可能に取り付けることができるバッテリー76を用いている。しかしながら、ハンドピース62は、内部バッテリー(例えば、取外し不能なバッテリー)、外部コンソールへのテザー接続部、電源等のような他の形態を有するように構成されてもよいことを理解されたい。他の構成も考えられる。
【0042】
図示の構成では、バッテリー76又は他の電源は、(図5に概略的に示される)制御器78に電力を供給し、制御器78は、(図3にも示される)入力制御ボタン80及びアクチュエータアセンブリ82に連通して配置されている。入力制御ボタン80及びアクチュエータアセンブリ82は、それぞれ、ハンドピース本体74によって支持されている。制御器78は、概して、入力制御ボタン80の作動に応じてアクチュエータアセンブリ82の作動を促進するように構成されている。入力制御ボタン80は、図示の構成では、トリガー式の形態を有し、ユーザー(例えば、外科医)による作動に応答し、例えば、(前述の磁石以外の)磁石及びホール効果センサによって生じた電気信号を介して、制御器78に連通するようになっている。従って、オペレータがハンドピース62を操作するために入力制御ボタン80を作動させると、制御器78は、バッテリー76からアクチュエータアセンブリ82に電力を導き、アクチュエータアセンブリ82は、以下に詳述するように、ドリルビット66を回転させるのに用いられる回転トルクを生成する。ハンドピース本体74、バッテリー76、制御器78、及び入力制御ボタン80は、それぞれ、本開示の範囲から逸脱することなく多くの異なる方法によって回転トルクの生成を促進するように構成されてもよい。
【0043】
図3にも示されるように、アクチュエータアセンブリ82は、電動モータ84及び歯車組86を備えている。電動モータ84及び歯車組86は、それぞれ、ハンドピース本体74内に支持されている。モータ84は、制御器78から受信した指令、信号等に応じて回転トルクを選択的に生成するように構成されている。図5に最もよく示されるように、モータ84は、1対の軸受90によって軸AXを中心とする回転に対して支持されるローター挿管88を備えている。歯車組86に隣接して配置された駆動歯車が、ローター挿管に連結されて該ローター挿管88と同時に回転し、歯車組86に回転トルクを伝達するのに用いられる。この目的を達成するために、図示の形態では、歯車組86は、2段複合遊星機構として具体化され、概して、リング歯車ハウジング94を備えている。リング歯車ハウジング94は、とりわけ、軸受90、並びに1つ又は複数の保持クリップ98、ワッシャー100、及び/又はシール102を介して、出力ハブ96を回転可能に支持している。しかしながら、歯車組86の他の構成も考えられる。
【0044】
歯車組86の1つの構成の更なる詳細は、例えば、2018年2月2日に「手持ち式外科器具用ドリルビット」の標題で出願された米国特許出願第15/887,507号に記載されている。この特許文献は、モータ84の作動による駆動歯車の回転が出力ハブ96の同時回転をもたらすこと、及び出力ハブ96がドリルビット66と同時に回転することを記載している。なお、この特許文献の内容は、参照することによってその全体がここに含まれるものとする。アクチュエータアセンブリ82は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の態様を有するように構成されてもよい。非制限的な例では、図示されるアクチュエータアセンブリ82は、モータ84の駆動歯車と出力ハブ96との間における回転速度及びトルクを調整するために複合遊星機構を用いているが、いくつかの構成において他の形式の歯車組86が用いられてもよい。更に、図示されるアクチュエータアセンブリ82は、回転トルクを生成するために電動式ブラシレスDCモータを用いているが、他の形式の原動機が用いられてもよい。他の構成も考えられる。
【0045】
前述したように、モータ84によって生じた回転トルクは、出力ハブ96の回転をもたらし、出力ハブ96は、連結されたドリルビット66と同時に回転する。これを達成するために、図2図5に最もよく示されるように、ハンドピース62は、駆動アセンブリ114を更に備えている。駆動アセンブリ114は、概して、アクチュエータアセンブリ82の種々の挿管部品を貫通し、歯車組86の出力ハブ96とスプライン係合される。駆動アセンブリ114は、ドリルビット66とハンドピース62との間における離脱可能な取付けを促進するように構成されている。駆動アセンブリ114は、概して、駆動挿管116、駆動ヘッド118、及び駆動本体120を備えている。駆動本体120は、駆動挿管116と駆動ヘッド118との間に延び、それらと同時に回転する。駆動アセンブリ114は、駆動挿管116に隣接する出力ハブ96とのスプライン係合を介して、並びに駆動ヘッド118に隣接する軸受、ワッシャー、及びシールの配置構成を介して、ハンドピース本体74内において軸AXを中心として回転するように支持されている。ドリルビット66は、前述したのと異なる形態でトルクを受けるようにハンドピース62に取り付けられるように構成されることも考えられる。
【0046】
駆動アセンブリ114の更なる詳細は、例えば、米国特許出願第15/887,507号にも記載されている。この特許文献の内容も、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。図示の構成では、駆動アセンブリ114の駆動ヘッド118は、総称的に符号126によって示される連結具を備えている、連結具126は、ハンドピース62が本開示のドリルビット66を回転させる以外の用途に関連して利用される時に回転トルクの伝達を容易にするために設けられている。更に具体的には、図示される駆動アセンブリ114は、ハンドピース62が、(駆動挿管116の孔122又は駆動ヘッド118の連結具126のいずれかと係合して同時に回転するように構成可能な)多数の異なる種類の外科器具、工具、モジュール、エンドエフェクタ等を回転、駆動、又は作動させることができるように構成されている。この構成によって、同一のハンドピース62を多数の医学的及び/又は外科的処置に利用することが可能になることを理解されたい。しかしながら、駆動アセンブリ114は、いくつかの形態では、例えば、ハンドピース62が本開示のドリルビット66に専用に用いられる形態では、連結具126を有する駆動ヘッド118を省略するように異なって構成されてもよいことも考えられる。
【0047】
図1図3を再び参照すると、ハンドピース62の図示の構成は、ドリルビット66の取外しを容易にするように構成された総称的に符号150によって示される解除機構又は連結機構を更に備えている。連結機構150は、概して、解除サブアセンブリ152、保持具本体154、及びハウジングアダプタ156を備えている。保持具本体154及びハウジングアダプタ156は、それぞれ、解除サブアセンブリ152をアクチュエータアセンブリ82及びハンドピース本体74に固定するように構成されているが、多くの異なる構成によって具体化されてもよいし、いくつかの構成ではハンドピース62の他の部分に一体化されてもよい。
【0048】
前述したように、ドリルビット66は、概して、切削チップ部分70と挿入部分72との間で軸AXに沿って延び、ドリルビット66の境界面124と駆動アセンブリ114の駆動挿管116の孔122との間の係合を介して、本明細書に記載されかつ図面の全体を通して示されるようにハンドピース62に離脱可能に取り付けられるように構成されている。駆動挿管116は、アクチュエータアセンブリ82の歯車組86の出力ハブ96と連携し、軸AXを中心とするドリルビット66の回転を促進する。
【0049】
外科用ドリルシステム60の図示の構成は、総称的に符号128によって示される(代替的に測定ヘッドと呼ばれることもある)測定モジュールをさらに備えている。測定モジュール128は、使用中に外科医に測定機能をもたらすためにハンドピース62に離脱可能に取り付けられるように構成されている。この目的を達成するために、図4図5に最もよく示されるように、測定モジュール128は、概して、ハウジング130、ガイドブッシュ132、及び測定挿管134(すなわち、測定プローブ又は深さ測定延長部)を備えている。測定挿管134は、処理対象物62又は組織に対して配置されるように適合された遠位端134Aを備えている。測定モジュールの適切な例が、国際特許出願公開第2018/056251号に記載されている。なお、この文献の内容は、参照することによってその全体がここに含まれるものとする。ハウジング130は、ハンドピース62に離脱可能に取付け可能であり、概して、測定モジュール128の種々の構成部品を支持するようになっている。図示のハウジング130は、一緒に連結されるか又は一緒に取り付けられる1対のハウジング構成部品138として形成され、測定モジュール128の洗浄又は点検を容易にするために分解されるように構成されている。測定モジュール128は、ハンドピース52の一体構成部品として形成されてもよいし、又は測定モジュール128が使用後にハンドピース62から取外しできないようにハンドピース62に接着又は他の方法によって固定される構成部品の形態であってもよいことを理解されたい。
【0050】
図示の構成では、ハウジング構成部品138及びガイドブッシュ132は、互いに相補的に形作られた特徴部を備え、この特徴部は、例えば、ハウジング構成部品内に形成されたウエブ又はリブ内に嵌合するガイドブッシュ132に形成された(詳細に示されない)ノッチを介して、ハウジング構成部品138とガイドブッシュ132との間の相対的な軸方向移動及び回転移動を阻止するように配置されている。ガイドブッシュ132は、以下に詳細に説明するように窓142を更に備えている。
【0051】
測定挿管134は、ガイドブッシュ132内に配置され、ハンドピース62に対して軸AXに沿って平行移動するように支持されている。(図2に部分的に示される)細長の凹溝143が、測定挿管134に横断方向に形成され、長手方向に延びている。ここでは具体的に示されないが、細長の凹溝143は、移動停止要素を受け入れるように形作られかつ配置されている。移動停止要素は、ハウジング130によって支持され、同じようにガイドブッシュ132の側部に横断方向に形成された開口を貫通している。この構成は、測定挿管134が軸方向においてガイドブッシュ132及びハウジング130に対して前進又は後退し得る範囲を制限すると共に、測定挿管134が軸AXを中心として回転するのを妨ぐように機能する。しかしながら、測定モジュール128は、本開示の範囲から逸脱することなく他の方法によって測定挿管134の移動を制限又は阻止するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0052】
図示されるように、測定挿管134は、トランスデューサアセンブリ136の歯車146と螺合して配置されたラック歯144をさらに備えている。図5に示されるように、ガイドブッシュ132の窓142は、ラック歯144と歯車146との螺合を容易にするためにトランスデューサアセンブリ136に隣接して配置されている。歯車146は、共通歯車軸CAXに沿って延びるシャフト部分147を備えている。歯車146自体は、プローブ134がハウジング130に対して軸AXに沿って移動するにつれて、共通歯車軸CAXを中心として360°回転可能である。
【0053】
トランスデューサアセンブリ136は、軸AXに沿ったハウジング130に対する測定プローブ134の位置の変化を表す電気信号(すなわち、トランスデューサ信号)を生成するために、測定プローブ134の軸方向移動によって生じる歯車146の回転に応動する。測定プローブ134の位置の変化は、外科用ドリル装置61が処置対象物に対して配置された時のハウジング130に対する測定挿管134の遠位端134Aの相対的な位置に対応する。従って、トランスデューサアセンブリ136は、外科器具62に増強された機能性をもたらすことができることを理解されたい。例を挙げると、いくつかの構成では、トランスデューサアセンブリ136は、制御器78と連通するように配置されている。制御器78は、例えば、処置対象物内への特定の穿孔深さにおいてドリルビット66の回転を緩めるために、測定プローブ134の移動に基づきモータ84の駆動を中断又は調整するように構成されているとよい。また、トランスデューサアセンブリ136は、外科医に測定プローブ134の移動に関する情報をもたらすために、例えば、実時間穿孔深さ、記録された履歴上の最大穿孔深さ等を表示するために、出力装置148、例えば、表示画面、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)等と連通するように配置されているとよい。他の構成も考えられる。出力装置148は、取外し可能な測定モジュ―ルの一部であってもよい。更に、図4に示されるトランスデューサアセンブリ136及び測定挿管134は、協働して測定挿管134のラック歯144及びトランスデューサアセンブリ136の歯車146によってラック・ピニオン設計を構成しているが、トランスデューサアセンブリ136は、ハウジング130に対する測定挿管134の変位に応じてトランスデューサ信号を生成する1つ又は複数のセンサ、例えば、ポテンショメータ、光学センサ、及び線形可変差動変圧器から構成されてもよいことも考えられる。
【0054】
測定挿管134及びガイドブッシング132は、種々の材料、好ましくは、識別特徴部177/1つ又は複数の磁石181によって生成される信号/磁場特徴を変動させない材料、例えば、前述の非磁性材料から形成されているとよい。測定挿管134及びガイドブッシュ132を形成するのに用いられる例示的な非磁性材料として、硬くて耐久性のある所望の形状に成形又は他の方法によって形成され得るいくつかのポリマーが挙げられる。1つの構成では、このポリマーとして、硬質プラスチック材料が挙げられる。
【0055】
図4,5に示されるように、外科用ドリルシステム60は、識別特徴部177に応じて1つ又は複数の信号(例えば、識別信号)を生成するように構成されたセンサ201も備えている。例えば、センサ201は、外科用ドリルシステム60の操作中にドリルビットアセンブリ65が軸AXを中心として回転する時に連結されたドリルビットアセンブリ65の1つ又は複数の磁石181から生成された磁場又は磁気抵抗に応じて識別信号を生成するように構成されている。具体的には、図4,5に示されるように、センサ201は、各連結されたドリルドリルビット66に連結された識別特徴部177、例えば、各連結されたドリルビット66に連結された1つ又は複数の磁石181から生成された磁場又は磁気抵抗に応じて識別信号を生成するように、構成されている(すなわち、センサ201は、磁場センサ又はホール効果センサである)。センサ201は、ドリルビットアセンブリ65が軸AXを中心として回転している時に測定挿管134がセンサ201と識別特徴部177との間に位置していても識別信号を生成することができる。センサ201によって生成された識別信号は、受信された(ハンドピース62に連結された各ドリルビット66上の)生成された信号/磁場に対応する。制御器78は、識別信号を受信して解釈し、又は、磁場特徴の信号を受信しかつ解釈し、これによって、ドリルビットアセンブリ65の連結されたドリルビット66を識別するように構成されている。
【0056】
センサ201は、好ましくは、識別特徴部177、例えば、1つ又は複数の磁石181に対して位置決めされ、各ドリルビット66がハンドピース62に適切に連結されて軸AXを中心として回転している時に(例えば、オペレータが入力制御ボタン80を押している時に)、生成された信号/磁場を受信することができる。具体的には、センサ201は、ドリルビットアセンブリ65が軸AXを中心として回転している時に測定挿管134を通して及び任意選択的にガイドブッシュ132を通して生成された信号/磁場を受信するように位置決めされるとよい。
【0057】
1つの構成では、センサ201は、測定モジュール128に連結されるか又は測定モジュール128内に配置されるとよい。具体的には、センサ201は、ドリルビットアセンブリ65がハンドピース62に適切に連結された時に識別特徴部177、例えば、1つ又は複数の磁石181に近接する位置において、測定モジュール128のハウジング130に連結されるか又は該ハウジング130内に配置されるとよい。
【0058】
更に具体的には、図4,5の1つの構成に示されるように、センサ201は、ハウジング130内において、軸AXと直交する方向においてドリルビットアセンブリ65に対してトランスデューサアセンブリ136の歯車146の反対側又は裏側に位置決めされるとよい。このような構成では、センサ201は、軸AXと直交する方向においてガイドブッシュ132の窓142と真っすぐに並んで配置される。従って、センサ201は、図10Aに最もよく示されるように、ドリルビットアセンブリ65が軸AXを中心として回転すると、測定挿管134及びガイドブッシュ132の窓142を通して、識別特徴部177、例えば、1つ又は複数の磁石181又は光学的特徴部から生成された信号/磁場信号を受信することとなる。
【0059】
しかしながら、他の構成では、センサ201は、識別特徴部177/1つ又は複数の磁石181から生成された信号/磁場信号を受信することができる外科用ドリルシステム60の他の静止部分内に位置決めされてもよい。
【0060】
例えば、図8,9に示されるように、センサ201は、識別特徴部177/1つ又は複数の磁石181に近接する位置においてハンドピース本体74に連結されるか又は該ハンドピース本体74内に支持されてもよく、これによって、センサ201が測定モジュール128内に含まれる(図4,5に示される)前述の例におけるのと同じように、センサ201は、識別信号/磁場信号を検出することができる。図8,9に最もよく示されるように、識別特徴部177/1つ又は複数の磁石181は、軸AXと直交する方向においてハンドピース本体74内に支持されたセンサ201と真っすぐに並ぶように、図4,5におけるドリルビットアセンブリ65内の相対的な位置よりもドリルビットアセンブリ65の挿入部分72に近い位置において、ドリルビット66のシャンク176に沿って相対的に配置されるか又はスリーブ179内に相対的に配置されるとよい。いくつかの構成では、例えば、図8,9に示されるように、センサ201は、外科用ドリルシステム60の操作に依存して軸AXと直交する方向においてガイドブッシュ132と真っすぐに並ばない位置においてハンドピース本体74内に配置される。
【0061】
更に具体的には、図4,5におけるハウジング130内のセンサ201又は図8,9におけるハンドピース本体74内のセンサ201に対する測定挿管134の位置決めに依存して、測定挿管134の一部は、軸AXと直交する方向において、識別特徴部177とセンサ201との間に配置されてもよいし又は配置されなくてもよい。これらの例では、測定挿管134は、歯車136及び付勢部材(例えば、トーションバネ)によって前方に付勢される。従って、測定挿管134は、十分な遠位位置に付勢され、十分な遠位位置の近位側に位置する間も張力下にある。
【0062】
いくつかの構成では、センサー201は、測定挿管134が十分な遠位位置にある時に測定挿管134の近位端の近位側に位置するように、測定モジュール128内に配置される。図10Bに示されるように、センサ201が測定ヘッド128内に配置されて測定挿管134が十分な遠位位置の近位側にある構成では、センサ201は、測定挿管134がセンサ201と識別特徴部177との間にあるように配置される。更に、(測定挿管134が図10Bの測定挿管134の位置決めに対して遠位側に移動した状態を示す)図10Cに示されるように、測定挿管134が十分な遠位位置に戻されると、センサ201は、測定挿管134がセンサ201と識別特徴部177との間に位置しないように配置される。いずれの場合においても、ドリルビットアセンブリ65が軸AXを中心として360°回転すると、センサ201は、識別特徴部を検出することができる。
【0063】
従って、図10A-10Cに示される構成によって、測定挿管134又はガイドブッシュ302を通して検出することができない他の種類のセンサ201及び関連する識別特徴部177の使用が可能になる。例えば、図10A-10Cは、センサー201が光学センサー201aの形態にあると共に識別特徴部177がレーザーエッチングマーク、印刷マーク、又は他の光学マークの形態にある代替的な構成を示している(「1」の形状のレーザー印刷文字177aが図10A-10Cに示されている)。これらの構成では、ドリルビットアセンブリ65が静止しているか又は軸AXを中心として360°回転している時に光学センサ201aが個々のレーザー印刷文字177aを検出することができる。従って、図10A-10Cに示されるようなセンサ201の位置決めによって、測定挿管134が透明でない限り、ガイドブッシュ132又は測定挿管134がセンサと識別特徴部との間に配置された時に通常では利用することができない識別特徴部177a及びセンサ201aの使用が可能になる。光学的識別特徴部、例えば、レーザーエッチングマーク、印刷マーク、又は他のマークは、ドリルビットに連結される基材上に形成されるとよい。この基材は、感熱ラベルの形態を取ってもよい。基材は、接着剤によってドリルビットに接着されるとよい。磁石列と同様、光学的識別特徴部は、ドリルビット66又はドリルビットアセンブリ65の独自の識別をもたらすために、軸AXを中心とする方位において互いに真っすぐに並ぶ1つ又は複数の光学マーク列から構成されてもよい。
【0064】
もしも基材が感熱ラベルの形態を取るのであれば、いくつかの構成においてドリルビットが120℃を超える温度において滅菌された後に光学的特徴部がもはや見分けがつかなくなることが予期されるだろう。
【0065】
図10A-10Cに示されるように、光学センサ201aは、エミッター(すなわち、光源)及びレシーバーと、ドリルビットアセンブリ65の光学的識別特徴部177aによって反射された光を集束させる1つ又は複数のレンズとから構成されるとよい。いくつかの構成では、光学センサ201aは、協働してドリルビット66に光を放出して生じる光反射を測定する発光ダイオード(LED)及び光トランジスタから構成されてもよい。識別特徴部177aを含むドリルビット66の形状及びその反射特性に起因して、センサ201のエミッター及びレシーバーは、ドリルビット66と平行の同一平面上にあるように構成されるとよい。これらの構成では、識別特徴部177a(例えば、図10A-10Cに示されるレーザーマーク177a)は、意図的に光をレシーバーから散乱させ、その結果として、このような識別特徴部177aを備えないシャンク176に沿った光の強反射に対してより弱い信号をもたらすこととなる。
【0066】
フォトトランジスタに加えて、ドリルビット66からの反射光を検出する他の構成も考えられる。高解像度検出のために、カメラと同様の光学センサー201aを用いて、デジタル信号とは異なる識別特徴部177aの十分な画像を取得することができる。光学センサー201aを用いる光検出の他の考えられる方法として、可視光スペクトルLED又は垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)を用いる方法が挙げられる。特に、VCSELは、電力効率と光集束の点において追加的な利点をもたらすことができる。更に、光学センサ201aによる検出のために放射光を集束させるための他の解決策として、プラスチックブッシュに組み込まれたアパ―チャを設け、使用時にLEDの広い放射角度を縮小させる方法が挙げられる。
【0067】
制御器78は、メモリユニットを有する1つ又は複数のマイクロプロフェッサを備えている。マイクロプロフェッサは、指令を処理する、すなわち、本明細書に記載される機能を実行するためにメモリに記憶されたアルゴリズムを処理するためのものである。追加的又は代替的に、制御器78は、1つ又は複数のマイクロコントローラ、サブコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、システムオンチップ、ディスクリート回路、及び/又は本明細書に記載される機能を実行することができる他の適切なハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアを備えているとよい。例えば、制御器は、測定モジュール128内に配置され、第2の制御器(例えば、サブコントローラ、プロセッサ等)が、ハンドピース62内に配置されてもよい。第2の制御器は、ハンドピース62のモータを作動させる信号を生成するように構成されているとよい。更に具体的には、第2の制御器は、測定モジュール128内の第1の制御器78によって受信されたトランスデューサ信号及び識別信号に基づいて、モータによって生成されるトルクの相対的な大きさを制御するとよい。制御器78は、図5に示されるようにハンドピース本体74内に支持されてもよいし又は外科用ドリルシステム60内、例えば、測定ヘッド128上に配置されてもよいし、又は遠隔に配置されてもよい。メモリは、データ及びコンピュータ可読命令(すなわち、可読コード)の記憶に適するどのようなメモリであってもよい。例えば、メモリは、ローカルメモリ、外部メモリ、又はランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性RAM(NVRAM)、フラッシュメモリとして具体化されるクラウドベースドメモリ、又はどのような他の適切な種類のメモリであってもよい。
【0068】
いくつかの構成では、制御器78は、時間を追跡するための内部クロックを備えている。 例えば、内部クロックは、マイクロコントローラクロックであるとよい。 マイクロコントローラクロックとして、水晶共振器、セラミック共振子、抵抗器、コンデンサー(RC)発振器、又はシリコン発振器が挙げられる 本明細書に開示されるもの以外の他の内部クロックの例も十分に考えられる。内部クロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方の形態で実装されるとよい。いくつかの構成では、メモリ、マイクロプロセッサ、及びマイクロコントローラクロックは、連携して種々の構成部品に信号を送信し、所定の計時パラメータに応じて該構成部品を作動させることとなる。
【0069】
制御器78は、外科用ドリルシステム60の操作を制御するために、少なくとも入力制御ボタン80、アクチュエータアセンブリ82、駆動アセンブリ114、(トランスデューサアセンブリ136を含む)測定モジュール128、及びセンサ201のそれぞれに電気的に連結されている。
【0070】
具体的には、制御器78は、識別特徴部177によって生成された識別信号をセンサ201から受信するように構成されている。識別特徴部177は、各ドリルビットアセンブリ65が連結具26及びハウジング130に適切に連結されてドリルビット66が軸AXを中心として回転している時に、センサ201によって検出される。制御器78のマイクロプロセッサは、既知の識別信号のリストを含むアルゴリズムによって予めプログラム化されたメモリユニットを備えている。既知の識別信号のリストの各部分は、独自の識別特徴部177を有する1つ又は複数のドリルビット66又はドリルビットアセンブリ65の各1つに対応する。従って、受信した識別信号が既知の識別信号のリストと比較されると、一致しているものが確認され(従って、識別特徴部177又は磁石181の独自の構成を含むそれぞれのドリルビットアセンブリ65の1つが確実に識別され)、次いで、制御器78が、識別されたドリルビットアセンブリ65に基づいて外科用ドリルシステム60の操作を制御することとなる。
【0071】
例を挙げると、ユーザーがハンドピース62をドリルビット66が軸AXを中心として回転するように操作すると、アルゴリズムが、センサ201によって検出された識別特徴部によって生成された識別信号の変化を処理し、生成された信号パターンを解析するように、例えば、識別特徴部177の縁間の時間を測定するか又は極めて小さい時間間隔内の二次パターンを分析するように、設定される。アルゴリズムは、ドリルビット66の数回転の間の識別信号パターンを確認する。パターンが検出及び確認されたならば、アルゴリズムは、このパターン対既知の識別信号のリストを検証し、既知の識別信号のリスト内のこのパターンと一致するものに基いて各ドリルビットアセンブリ65を識別する。
【0072】
例えば、既知の識別信号に対する受信した識別信号の一致、すなわち、既知の磁場特徴信号(又は磁気抵抗特徴信号)に対する受信した磁場特徴信号の一致が、連結されたドリルビットアセンブリ65に基いて制御器78によって確認され、典型的には、オペレーターが視認するための出力装置148に表示された時、外科用ドリルシステム60のユーザーは、ハンドピース62に連結されたドリルビットアセンブリ65が適切に位置決めされて既知の望ましい1つ又は複数の識別可能な性能特徴を有すること(すなわち、ドリルビットアセンブリ65が識別特徴部177/磁石181を備え、長さ、直径、フルート設計、材料選択、及びそれらの組合せに基いて制御器78によって識別されたこと)を確信することができる。これは、信頼レベルを向上させると共に、穿孔操作の安全性を高めることとなる。
【0073】
代替的に、一致が制御器78によって確証されない場合、すなわち、適切に連結されたドリルビットアセンブリ65が、既知のドリルビットアセンブリ65に対応するものとしてセンサ201によって識別されなかった場合、一致の欠如が、オペレーターが視認するための出力装置148上に表示され、これによって、連結されたドリルビットアセンブリ65が、長さ、直径、フルート設計、材料の選択、及びそれらの組合せに基づいて制御器78によって識別されなかったことをオペレータに確かめさせることとなる。この確証の欠如は、連結されたドリルビットアセンブリ65が前もって用いられたものかどうかに関わらず、識別特徴部177を有するドリルビットアセンブリ65ではないことを示すこととなる。代替的に、この確証の欠如は、ドリルビット65が磁石181の形態にある識別特徴部177を有しているが、前もって使用され、(利用される時に)磁石181を消磁するのに十分な温度及び/又はスリーブ179を変形させるのに十分な温度にドリルビットアッセンブリ65を加熱することによって、その後の使用のための再処理がなされたことを示すこともある。これに基づき、オペレーターは、連結されているが識別されないドリルビットアセンブリ65を用いる骨穿孔操作を開始しないことを決定することができる。
【0074】
連結されたドリルビットアセンブリ65を識別することに加えて、制御器78は、ハウジング130に対する測定挿管134の遠位端134Aの相対的な位置決めに対応する(代替的に変位信号とも呼ばれることもある)トランスデューサ信号をトランスデューサアセンブリ136から受信するように構成されている。制御器78は、識別信号及び受信したトランスデューサ信号に基づき、ハンドピース62から連結されたドリルビットアセンブリ65及び処置対象物へのトルクの伝達を制御するように構成されている。
【0075】
具体的には、制御器78は、深さ測定延長部の移動に基づき、例えば、(本明細書に記載されるような)第1の時間間隔におけるある時間内に受信したトランスデューサ信号に対応する測定挿管134の遠位端134Aの移動に基づき、加速度信号を決定するように構成されていてもよい。制御器78は、決定された加速度信号に基づき、処置対象物を通る連結されたドリルビットアセンブリ65の貫通深さを決定するように更に構成されているとよい。具体的には、制御器78は、加速度信号に基づいて第1の時間間隔内における処置対象物を通るドリルビット66の貫通時間(Tb)を決定する。この情報から、受信したトランスデューサ信号及び受信した識別信号と併せて、制御器78は、アルゴリズムを用いて処置対象物内の穿孔の深さ、すなわち穿孔通路の深さを決定する。
【0076】
従って、制御器78は、処置対象物に所定の望ましい深さ及び直径の孔を正確に形成するように穿孔を制御するために、連結されてかつ識別された交換可能なドリルビットアセンブリ65へのトルクの伝達を制御するように更に構成されている。
【0077】
図17A,17Bに示される1つの構成では、制御器78は、ドリルビット66の識別を用いて、トランスデューサアセンブリ136から受信した1つ又は複数の信号から決定される、貫通深さに適用される位置ずれ(offset)を決定する。ドリルビット66の切削チップ部分70は、ドリルビット66の遠位端から軸AXに沿って近位側に延びるドリルビット尖端222を有している。ドリルビット尖端222は、ドリルビット66の遠位端からシャンク176の遠位端180に向かって軸から離れる方にテーパーが付され、シャンクの少なくとも遠位部分は、略円筒体から構成されている。ドリルビット尖端222は、ドリルビット66の遠位端とシャンク176の遠位端との間で軸AXに沿って延びる尖端長224a、224bを有している。ドリルビット尖端222及び対応する尖端長224a,224bは、ドリルビット66毎に異なっている。いくつかの構成では、シャンク176の遠位端180の直径が大きいほど、尖端長さ224a,224bが長くなる。多くの構成では、ドリルビットの貫通深さは、シャンク176の遠位端180が所望の媒体を貫通した時に決定される。互いに異なる尖端長さ224a,224bは、貫通深さが同一でなければならない時に、トランスデューサアセンブリ136によって生成される貫通深さに対する信号を異ならせることがある。1つの構成では、図17Aに示されるドリルビット66の尖端長224aは、図17Bに示されるドリルビット66の尖端長224bよりも短い。各ドリルビット66が穿孔媒体に対して配置されると、図17Bの構成における測定挿管134は、図17Aに示される測定挿管134よりも大きく変位する。何故なら、図17Bのドリルビット66は、シャンク176の遠位端180が貫通するために、より長い距離にわたって穿孔する必要があるからである。貫通深さの正確な値をもたらすために、トランスデューサ信号によって決定された測定挿管134の変位値に対して加算又は減算される位置ずれ値(offset value)が、制御器78によって用いられるとよい。
【0078】
例示的な構成では、センサ201は、ドリルビット66の識別特徴部177に応じて識別信号を生成し、これによって、ハンドピース62に連結されたドリルビット66の尖端長124a,124bを識別する。制御器78は、識別信号及びトランスデューサアセンブリ136からのトランスデューサ信号を受信し、ドリルビット66の尖端長さ224a,224bを識別し、ドリルビット66の尖端長さ224a,224b及び測定挿管134の変位に基づいて穿孔の貫通深さ又は穿孔通路の深さを決定する。出力装置148は、連結されたドリルビット66に関連する位置ずれ値、測定挿管145の変位値、及び/又は位置ずれ値及び変位値に基づいて制御器78によって決定された貫通深さを含む情報を表示する。
【0079】
他の構成では、外科用ハンドピースシステム60は、初期のスクリュー長さ又は変位値を補償することによって、骨プレートを用いる骨固定のための適切なスクリュー長さを決定するように構成されている。制御器78のメモリは、いくつかのドリルビット66に一般的に又は排他的に関連するいくつかの骨プレート厚みに関連する情報を記憶している。制御器78は、センサ201からの識別信号からドリルビット66を識別すると、この識別信号からある1つの骨プレートが連結されたドリルビット66に関連付けられることを決定する。制御器78は、トランスデューサアセンブリ136からトランスデューサ信号を受信し、連結されたドリルビット66に対応する骨プレートに関連する骨プレート厚み及び測定挿管134の変位に基いてスクリュー長さを決定する。出力装置148は、スクリュー長さ、骨プレート厚み、骨プレートの種類、測定挿管134の変位、及び/又は骨プレートの厚み及び測定挿管134の変位に基づく貫通深さ値を表示することができる。
【0080】
処置対象物内の予め決められた穿孔深さ及び穿孔直径によって、その後の形成された穿孔内に嵌合される適切な大きさのスクリュー又は他の固定装置の配置が可能になる。具体的には、穿孔の決定された深さ及び直径は、オペレータによって視認される出力装置148の表示画面上に示され、このような情報は、形成された穿孔に嵌合される適切な大きさのスクリューを決定するために、オペレータによって用いられることとなる。
【0081】
以上、いくつかの構成について検討してきた。しかしながら、本明細書において検討された構成は、排他的であることを意図するものではなく、又は本開示をどのような特定の形態に制限することを意図するものでもない。他の具体的な構成も考えられる。用いられた専門用語は、制限するためではなく、むしろ説明するためであることが意図されている。前述の示唆に照らして多くの修正及び変形が可能であり、本開示は、具体的に記載される以外の方法によって実施されてもよい。
【0082】
「備える(include, includes, including)」という用語は、「備える(comprise, comprises, comprising)」という用語と同じ意味を有することを更に理解されたい。また、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」等の用語は、明瞭さ及び一貫性をもたらす非限定的な例示の目的のためにいくつかの構造的特徴部及び構成要素を区別するために本明細書に用いられることも理解されたい。
【0083】
本開示は、独立請求項において規定されることが意図され、特定の特徴が従属請求項に開示されている。1つの独立請求項に従属する請求項の主題は、他の独立請求項と関連して実施されてもよい。
【0084】
本開示は、以下の条項も含み、特定の特徴が従属条項に開示されている。これらの特徴は、前述の構成及び図面を参照してより詳細に説明されたように具体的に実施されるとよい。
<条項>
【0085】
[条項I]
外科用ドリル装置に用いられるドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置されたスリーブであって、120℃以下のガラス遷移温度を有する材料から構成される、スリーブ、又は前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置された感熱ラベルと、
を備え、
前記スリーブ又は前記感熱ラベルは、前記切削チップ部分の構成を識別するための光学的識別特徴部を備える、ドリルビット。
【0086】
[条項II]
前記スリーブは、前記ドリルビットの前記シャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、条項Iに記載のドリルビット。
【0087】
[条項III]
前記光学的識別特徴部は、前記シャンクの周りに周方向に配置された光学マーク列から構成される、条項I又はIIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0088】
[条項IV]
前記光学マーク列の第1の光学マークは、大きさ、形状、角距離、又はそれらの組合せにおいて、前記光学マーク列の第2の光学マークと異なる、条項IIIに記載のドリルビット。
【0089】
[条項V]
前記光学マーク列の第1の光学マークと前記光学マーク列の第2の光学マークとの間の角距離は、前記光学マーク列の前記第2の光学マークと第3の光学マークとの間の角距離と同じである、条項III又はIVに記載のドリルビット。
【0090】
[条項VI]
前記光学マーク列の第1の光学マークと前記光学マーク列の第2の光学マークとの間の角距離は、前記光学マーク列の前記第2の光学マークと第3の光学マークとの間の角距離と異なる、条項III-Vのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0091】
[条項VII]
前記光学マーク列は、第1の光学マーク列として更に画定され、前記光学的識別特徴部は、前記シャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の光学マーク列から軸方向に離間して配置された第2の光学マーク列を備える、条項III-VIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0092】
[条項VIII]
前記第1の光学マーク列及び前記第2の光学マーク列の各々は、同数の光学マークを備える、条項VIIに記載のドリルビット。
【0093】
[条項IX]
前記第1の光学マーク列の少なくとも1つの光学マークは、前記シャンクの軸と平行の方向において前記第2の光学マーク列のある光学マークと角度的に真っすぐに並んでいる、条項VII又はVIIIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0094】
[条項X]
前記第1の光学マーク列の少なくとも1つの光学マークは、前記第2の光学マーク列の光学マークのいずれとも角度的に真っすぐに並んでいない、条項VII-IXに記載のドリルビット。
【0095】
[条項XI]
外科用ハンドピースに連結されるように構成され、かつ識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられるように構成された測定モジュ―ルであって、
ハウジングと、
非磁性材料から構成された測定挿管であって、前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結される時に前記ドリルビットを周方向に取り囲むように構成され、十分な遠位位置と近位位置との間で前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられ、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、測定挿管と、
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結されて軸を中心として回転する時に前記測定挿管を介して前記ドリルビットの前記識別特徴部の磁場又は磁気抵抗に応じて信号を生成するセンサと、
を備える、測定モジュール。
【0096】
[条項XII]
外科用ハンドピースに連結されるように構成され、かつ識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられるように構成された測定モジュ―ルであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して移動可能な深さ測定延長部と、
前記ハウジングに対する前記深さ測定延長部の遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記ドリルビットが軸を中心として回転する時に前記ドリルビットの前記識別特徴部に基いて識別信号を生成するためのセンサと、
前記生成されたトランスデュ―サ信号及び前記生成された識別信号の受信に基いてドリル通路の貫通深さを決定するように構成された制御器と、
を備える、測定モジュール。
【0097】
[条項XIII]
前記性能特徴は、長さ、材料、直径、断面積、型式、切削効率、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから成る群から選択される、条項XIIに記載の測定モジュール。
【0098】
[条項XIV]
外科用ハンドピースに連結されるように構成され、かつドリルビットと共に用いられるように構成された測定モジュールであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して移動可能な深さ測定延長部と、
前記ハウジングに対する前記深さ測定延長部の遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記生成されたトランスデュ―サ信号及び前記外科用ハンドピースと共に用いられる前記ドリルビットの性能特徴の受信に基いて穿孔通路の貫通深さを決定するように構成された制御器と、
を備える、測定モジュール。
【0099】
[条項XV]
前記性能特徴は、長さ、材料、直径、断面積、型式、切削効率、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから成る群から選択される、条項XIVに記載の測定モジュール。
【0100】
[条項XVI]
識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられる外科用ハンドピースシステムであって、
前記ドリルビットに連結し、前記連結されたドリルビットにトルクを伝達して前記ドリルビットを軸を中心として回転させるためのハンドピースと、
前記ハンドピースに連結された測定モジュールであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して十分な遠位位置及び近位位置に移動可能な測定挿管と、
前記測定挿管を前記十分な遠位位置に付勢するように構成された付勢部材と、
を備える、測定モジュールと、
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記連結されたドリルビットの識別特徴部に基いて識別信号を生成するためのセンサであって、前記測定挿管が前記十分な遠位位置にある時に前記センサが前記測定挿管の前記近位端の近位側にあるような前記ハウジング内の位置に配置される、センサと、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
【0101】
[条項XVII]
前記センサは、光学センサである、条項XVIに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0102】
[条項XVIII]
前記センサは、磁場センサ、ホール効果センサ、及び磁気抵抗センサから成る群から選択される、条項XVI又はXVIIのいずれ1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0103】
[条項XIX]
外科用ハンドピースに連結されるように構成され、かつ識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられるように構成された測定モジュ―ルであって、
ハウジングと、
十分な遠位位置及び近位位置に移動可能な測定挿管と、
前記測定挿管を前記十分な遠位位置に付勢するように構成された付勢部材と、
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデュ―サ信号を生成するためのトランスデュ―サアセンブリと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結されて前記連結されたドリルビットが軸を中心として回転する時に、前記ドリルビットの前記識別特徴部に基いて識別信号を生成するためのセンサであって、前記ハウジング内に配置され、前記測定挿管が前記十分な遠位位置にある時に前記測定挿管の近位端の近位側にあるように構成される、センサと、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
【0104】
[条項XX]
識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられる外科用ハンドピースシステムであって、
前記ドリルビットに連結し、前記ドリルビットにトルクを伝達するためのハンドピースであって、前記ドリルビットを軸を中心として回転させるように構成される、ハンドピースと、
前記ハンドピースに連結された測定モジュールであって、
ハウジングと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結される時に前記ドリルビットを周方向に少なくとも部分的に取り囲むように構成された測定挿管であって、十分な遠位位置と近位位置との間で前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられ、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、測定挿管と、
を備える、測定モジュールと、
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデュ―サ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結されて前記軸を中心として回転する時に前記測定挿管を通して前記ドリルビットの識別特徴部を検出するためのセンサと、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
【0105】
[条項XXI]
前記センサは、磁場センサ、ホール効果センサ、及び磁気抵抗センサから成る群から選択される、条項XXに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0106】
[条項XXII]
磁場の変動に応じて信号を生成するための磁気抵抗センサを有する外科用ドリル装置に用いられるドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクであって、前記シャンクは、前記軸を中心として回転するように構成され、前記シャンクは、前記軸と直交する平面上に非円形断面をもたらす1つ又は複数の凹部を画定する外面を有し、これによって、前記外面と前記軸との間の半径距離が前記軸を中心として変動し、前記シャンクは、前記シャンクの回転中に、前記軸に対する前記外面の前記半径距離の変動に応じて前記軸を中心とする磁場の変動をもたらすように構成される、シャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
を備え、
前記シャンクの前記外面の前記1つ又は複数の凹部は、前記切削チップ部分の1つ又は複数の性能特徴を識別するための識別特徴部を備える、ドリルビット。
【0107】
[条項XXIII]
前記シャンク及び前記切削チップ部分の近位側の連結部分を更に備え、前記連結部分は、前記外科用ドリル装置に係合して前記ドリルビットを前記外科用ドリル装置に連結するように構成される、条項XXIIに記載のドリルビット。
【0108】
[条項XXIV]
前記切削チップ部分の前記性能特徴は、長さ、材料、直径、断面積、型式、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから成る群から選択される、条項XXIIX又はXIIIに記載のドリルビット。
【0109】
[条項XXV]
前記シャンクの前記外面は、前記1つ又は複数の凹部を前記シャンクの周りに周方向に配置された外側凹部列として更に画定する、条項XXII-XXIVのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0110】
[条項XXVI]
前記凹部列の少なくとも1つの凹部は、深さ、円弧長さ、又はそれらの組合せにおいて、前記凹部列の少なくとも1つの他の凹部と異なる、条項XXVに記載のドリルビット。
【0111】
[条項XXVII]
前記凹部列の第1の凹部と前記凹部列の第2の凹部との間の角距離は、前記凹部列の前記第2の凹部と第3の凹部との間の角距離と同じである、条項XXV又はXXVIに記載のドリルビット。
【0112】
[条項XXVIII]
前記凹部列の第1の凹部と前記凹部列の第2の凹部との間の角距離は、前記凹部列の前記第2の凹部と第3の凹部との間の角距離と異なる、条項XXV-XXVIIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0113】
[条項XXIX]
前記凹部列の1つの凹部の大きさは、前記凹部列の1つ又は複数の他の凹部の大きさよりも大きい、条項XXV-XXVIIIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0114】
[条項XXX]
前記凹部列は、第1の凹部列として更に画定され、前記外面は、前記シャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の凹部列から軸方向に離間して配置された第2の凹部列を更に画定する、条項XXV-XXIXのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0115】
[条項XXXI]
前記第1の凹部列及び前記第2の凹部列の各々は、同数の凹部を画定する、条項XXXに記載のドリルビット。
【0116】
[条項XXXII]
前記第1の凹部列の少なくとも1つの凹部は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の凹部列のある凹部と角度的に真っすぐに並んでいる、条項XXX-XXXIのいずれか1つに記載のドリルビット。
【0117】
[条項XXXIII]
前記第1の凹部列の少なくとも1つの凹部は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の凹部列の前記凹部のいずれとも角度的に真っすぐに並んでいない、条項XXX-XXXIIに記載のドリルビット。
【0118】
[条項XXXIV]
磁気的識別特徴部を有するドリルビットアセンブリを作製する方法であって、
シャンク及び切削チップ部分を有するドリルビットを準備するステップであって、前記ドリルビットは、軸に沿って配置される、ステップと、
1つ又は複数の磁石を前記ドリルビットの前記シャンクに隣接して配置するステップと、
前記シャンクの少なくとも一部及び前記1つ又は複数の磁石の周りに非磁性材料を注型成形し、前記1つ又は複数の磁石を前記ドリルビットの前記シャンクに固定するステップと、
を含む、方法。
【0119】
[条項XXXV]
外科用ハンドピースシステムであって、
ハンドピースと、
前記ハンドピースに連結され、前記ハンドピースからトルクを受けて軸を中心として回転するように構成されたドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で前記軸に沿って延びるシャンクであって、前記シャンクは、前記軸を中心として回転するように構成され、前記シャンクは、1つ又は複数の凹部を画定する外面を有し、前記外面と前記軸との間の半径距離が前記軸を中心として変動するように前記軸と直交する平面上に非円形断面をもたらす、シャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
を備え、
前記シャンクの前記外面の前記1つ又は複数の凹部は、前記切削チップ部分の1つ又は複数の性能特徴を識別するための識別特徴部を構成する、
ドリルビットと、
前記ハンドピースに連結されるように構成された測定モジュールであって、
前記ハンドピースに連結されるように構成されたハウジングと、
十分な遠位位置と近位位置との間で前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられた測定挿管であって、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、測定挿管と、
を備える、測定モジュールと、
を備え、
前記測定モジュール及び前記ハンドピースの1つは、センサを備え、前記センサは、前記ドリルビットの前記切削チップ部分の前記構成を識別するために、前記軸を中心とする前記シャンクの回転中に、前記軸に対する前記外面の前記半径距離の変動の結果として得られる磁場の変動に応じて識別信号を生成する、外科用ハンドピースシステム。
【0120】
[条項XXXVI]
前記測定挿管は、非磁性材料から構成され、前記ハンドピースは、本体を備え、前記センサは、前記測定挿管が前記近位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置するように、及び前記測定挿管が前記十分な遠位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置しないように、前記ハンドピースの前記本体内に配置される、条項XXXVに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0121】
[条項XXXVII]
前記非磁性材料は、ポリマー材料から構成される、条項XXXV-XXXVIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0122】
[条項XXXVIII]
前記識別信号を受信し、前記受信した識別信号に対応する前記連結されたドリルビットを識別するように構成された制御器を更に備える、条項XXXV-XXXVIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0123】
[条項XXXIX]
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデュ―サ信号を生成するためのトランスデュ―サアセンブリを更に備える、条項XXXVIIIに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0124】
[条項XL]
前記制御器は、前記生成されたトランスデュ―サ信号を受信し、前記受信したトランスデュ―サ信号及び前記識別信号に基いて前記ドリルビットに伝達されるトルクの相対的な大きさを制御するように構成される、条項XXXIXに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0125】
[条項XLI]
前記制御器は、第1の制御器として構成され、前記外科用ハンドピースシステムは、第2の制御器を備え、前記第1の制御器は、前記測定モジュール内に配置され、前記第2の制御器は、前記ハンドピース内に配置され、前記ハンドピースは、トルクを生成するためのモータを更に備え、前記第2の制御器は、前記トランスデューサ信号及び前記識別信号に基いて前記モータによって生成されるトルクの相対的な大きさを制御するように構成される、条項XXXIX-XLのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0126】
[条項XLII]
前記測定モジュールは、前記測定挿管を周方向に取り囲むガイドブッシュを更に備え、前記ガイドブッシュは、窓を画定し、前記トランスデュ―サアセンブリは、前記窓を通して前記測定挿管に連結される、条項XXXIX-XLIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0127】
[条項XLIII]
前記制御器は、メモリユニットを有するマイクロプロセッサを備え、前記メモリユニットは、既知の識別信号のリストを含み、前記リストの前記既知の識別信号の各1つは、各1つの既知のドリルビットに対応し、前記マイクロプロセッサは、前記受信した識別信号を前記既知の識別信号の前記リストと比較することによって前記連結されたドリルビットを識別するように構成される、条項XXXVIII-XLIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0128】
[条項XLIV]
前記識別信号は、大きさ、極性、位相オフセット、強度、又はそれらの組合せに関して互いに異なる、条項XXXVIII-XLIIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0129】
[条項XLV]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースと一体である、条項XXXV-XLIVに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0130】
[条項XLVI]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースから取外し可能である、条項XXXV-XLVに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0131】
[条項XLVII]
独自の識別特徴部を有するドリルビットのための穿孔通路の貫通深さを決定するように構成された外科用ハンドピースシステムであって、
ハンドピースと、
近位端から遠位端に軸に沿って延びるドリルビットであって、前記ハンドピースに連結され、前記ハンドピースからトルクを受けて軸を中心として回転するように構成され、識別特徴部を有するシャンクを備える、ドリルビットと、
前記ハンドピースに連結されるように構成された測定モジュールであって、
前記ハンドピースに連結されるように構成されたハウジングと、
十分な遠位位置と近位位置との間で前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられた深さ測定延長部であって、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、深さ測定延長部と、
を備える測定モジュールと、
前記ハウジングに対する前記深さ測定延長部の遠位端の位置に基いてトランスデュ―サ信号を生成するためのトランスデュ―サアセンブリと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結された時に前記ドリルビットの前記識別特徴部に基いて識別信号を生成するためのセンサと、
前記トランスデュ―サ信号及び前記識別信号を受信し、前記生成されたトランスデュ―サ信号及び前記生成された識別信号の受信に基いて前記穿孔通路の前記貫通深さを決定するように構成された制御器と、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
【0132】
[条項XLVIII]
前記トランスデューサ信号は、使用中の初期変位位置に対する前記深さ測定延長部の直線状変位に応じて生じる、条項VLVIIに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0133】
[条項XLIX]
前記ドリルビットは、前記ドリルビットの前記遠位端から前記軸に沿って近位側に延びるドリルビット尖端を有する切削チップ部分を備え、前記ドリルビット尖端は、前記ドリルビットの前記遠位端から前記シャンクに向かって前記軸から離れる方にテーパが付され、前記ドリルビット尖端は、前記遠位端と前記シャンクとの間に前記軸に沿った尖端長さを有する、条項XLVII又はXLVIIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0134】
[条項L]
前記ドリルビットの前記シャンクは、前記ドリルビット尖端から前記ドリルビットの近位端に前記軸に沿って近位側に延び、前記ドリルビットの前記シャンクは、前記ドリルビット尖端から延びる前記シャンクの長さの少なくとも一部に沿って連続する直径を有する円筒状本体を備える、条項XLに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0135】
[条項LI]
前記識別信号は、前記ドリルビットの前記尖端長さに対応し、前記貫通深さは、前記ドリルビットの前記尖端長さに基づく、条項XLIX-Lのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0136】
[条項LII]
前記制御器は、メモリユニットを有するマイクロプロセッサを備え、前記メモリユニットは、既知の識別信号のリストを備え、前記リストの前記既知の識別信号の各1つは、既知の尖端長さを有する各1つの既知のドリルビットに対応し、前記マイクロプロセッサは、前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結された時に前記受信した識別信号を前記既知の識別信号の前記リストと比較することによって、前記ドリルビット及び前記尖端長さを識別するように構成される、条項XLIX-LIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0137】
[条項LIII]
前記深さ測定延長部は、前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結された時に前記ドリルビットを周方向に取り囲むように構成された測定挿管から構成される、条項XLVII-LIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0138】
[条項LIV]
前記センサは、前記測定モジュールの前記ハウジング内に配置される、条項XLVII-LIIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0139】
[条項LV]
前記センサは、前記ハンドピースの本体内に配置される、条項XLVII-LIVのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0140】
[条項VI]
前記センサは、光学センサ、磁場センサ、ホール効果センサ、及び磁気抵抗センサから成る群から選択される、条項XLVII-LVのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0141】
[条項LVII]
前記トランスデューサアセンブリは、ポテンシメータ、光学センサ、及び線形可変差動変圧器から成る群から選択される少なくとも1つのセンサを備える、条項XLVII-LVIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0142】
[条項LVIII]
前記制御器は、前記測定モジュールの前記ハウジング内に配置される、条項XLVII-LVIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0143】
[条項LVX]
測定モジュールは、ハンドピースと一体である、条項XLVII-LVIIIのいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0144】
[条項LX]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースから取外し可能である、条項XLVII-LIXに記載の外科用ハンドピースシステム。
【0145】
[条項LXI]
外科的穿孔中に穿孔通路の貫通深さを決定する方法であって、
深さ測定延長部を有する測定モジュールを備える外科用ハンドピースシステムを準備するステップと、
外科的穿孔操作中に前記深さ測定延長部の変位を決定するステップと、
前記外科用ハンドピースシステム内に配置されたセンサによって前記ドリルビットの識別特徴部を識別するステップと、
前記変位及び前記識別特徴部の受信に基いて前記穿孔通路の貫通深さを決定するステップと、
を含む、方法。
なお、上記の実施形態から把握し得る技術的思想について、上記の条項以外の態様を以下に記載する。
[態様1]
外科用ドリル装置に用いられるドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
前記切削チップ部分の構成を識別するために前記シャンクの周りに配置された識別特徴部であって、前記識別特徴部は、磁場を生成するように構成された磁性材料から構成され、前記磁性材料は、80℃以上の温度に加熱されると少なくとも部分的に消磁されるように構成される、識別特徴部と、
を備える、ドリルビット。
[態様2]
前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置されたスリーブを更に備え、前記スリーブは、非磁性材料から構成される、態様1に記載のドリルビット。
[態様3]
前記スリーブは、前記識別特徴部を備え、前記磁性材料は、前記非磁性材料内に分散されている、態様2に記載のドリルビット。
[態様4]
前記磁性材料は、前記非磁性材料内に均一に分散されている、態様3に記載のドリルビット。
[態様5]
前記磁性材料は、第1の磁石及び第2の磁石から構成され、前記第1及び第2の磁石は、前記スリーブに連結される、態様2-4のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様6]
前記磁性材料は、前記シャンクの周りに周方向に配置された磁石列から構成される、態様2-5のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様7]
前記磁石列の少なくとも1つの磁石は、大きさ、強度、極性、角距離、又はそれらの組合せにおいて、前記磁石列の少なくとも1つの他の磁石と異なる、態様6に記載のドリルビット。
[態様8]
前記磁石列の第1の磁石と前記磁石列の第2の磁石との間の角距離は、前記磁石列の前記第2の磁石と第3の磁石との間の角距離と同じである、態様6又は7に記載のドリルビット。
[態様9]
前記磁石列の第1の磁石と前記磁石列の第2の磁石との間の角距離は、前記磁石列の前記第2の磁石と第3の磁石との間の角距離と異なる、態様6又は7に記載のドリルビット。
[態様10]
前記磁石列の第1の磁石の大きさは、前記磁石列の第2の磁石の大きさよりも大きい、態様6-9のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様11]
前記磁石列の第1の磁石の強度は、前記磁石列の第2の磁石の強度よりも大きい、態様6-10のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様12]
前記磁石列は、第1の磁石列として更に画定され、前記磁性材料は、前記シャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の磁石列から軸方向に離間して配置された第2の磁石列を備える、態様6-11のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様13]
前記第1の磁石列及び前記第2の磁石列の各々は、同数の磁石を備える、態様12に記載のドリルビット。
[態様14]
前記第1の磁石列の少なくとも1つの磁石は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の磁石列のある磁石と角度的に真っすぐに並んで配置される、態様12又は13に記載のドリルビット。
[態様15]
前記第1の磁石列の少なくとも1つの磁石は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の磁石列の前記磁石のいずれとも角度的に真っすぐに並んで配置されない、態様12-14のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様16]
外科用ドリル装置に用いられるドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置されたスリーブであって、前記スリーブは、120℃以下のガラス遷移温度を有する非磁性材料から構成され、前記スリーブは、前記切削チップ部分の構成を識別するための識別特徴部を備え、前記識別特徴部は、磁性材料から構成される、スリーブと、
を備える、ドリルビット。
[態様17]
前記磁性材料は、前記非磁性材料内に分散されている、態様16に記載のドリルビット。
[態様18]
前記磁性材料は、前記非磁性材料内に均一に分散されている、態様16又は17に記載のドリルビット。
[態様19]
前記磁性材料は、前記シャンクの周りに周方向に分散された磁石列から構成される、態様16に記載のドリルビット。
[態様20]
前記磁石列の少なくとも1つの磁石は、大きさ、強度、極性、角距離、又はそれらの組合せにおいて、前記磁石列の少なくとも1つの他の磁石と異なる、態様19に記載のドリルビット。
[態様21]
前記磁石列の第1の磁石と前記磁石列の第2の磁石との間の角距離は、前記磁石列の前記第2の磁石と第3の磁石との間の角距離と同じである、態様19又は20に記載のドリルビット。
[態様22]
前記磁石列の第1の磁石と前記磁石列の第2の磁石との間の角距離は、前記磁石列の前記第2の磁石と第3の磁石との間の角距離と異なる、態様19―21のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様23]
前記磁石列の第1の磁石の大きさは、前記磁石列の第2の磁石の大きさよりも大きい、態様19-22のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様24]
前記磁石列の第1の磁石の強度は、前記磁石列の第2の磁石の強度よりも大きい、態様19-23のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様25]
前記磁石列は、第1の磁石列として更に画定され、前記磁性材料は、前記シャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の磁石列から軸方向に離間して配置された第2の磁石列を備える、態様19-24のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様26]
前記第1の磁石列及び前記第2の磁石列の各々は、同数の磁石を備える、態様25に記載のドリルビット。
[態様27]
前記第1の磁石列の少なくとも1つの磁石は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の磁石列の1つの磁石と角度的に真っすぐに並んで配置される、態様25又は26に記載のドリルビット。
[態様28]
前記第1の磁石列の少なくとも1つの磁石は、前記シャンクの前記軸と平行の方向において前記第2の磁石列の前記磁石のいずれとも角度的に真っすぐに並んで配置されない、態様25-27のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様29]
前記スリーブの前記磁性材料は、80℃以上の温度に加熱されると少なくとも部分的に消磁される、態様16-28のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様30]
前記スリーブは、前記ドリルビットの前記シャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、態様16-29のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様31]
外科用ドリル装置に用いられるドリルビットアセンブリであって、
近位端と遠位端との間で軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクの前記遠位端に隣接する切削チップ部分と、
前記シャンクの少なくとも一部の周りに配置されたスリーブであって、非磁性材料から構成される、スリーブと、
を備え、
前記スリーブは、前記切削チップ部分の構成を識別するための識別特徴部を備え、前記識別特徴部は、磁性材料から構成され、前記磁性材料は、前記非磁性材料内に分散されている、ドリルビットアセンブリ。
[態様32]
前記スリーブは、前記ドリルビットアセンブリの前記シャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、態様31に記載のドリルビットアセンブリ。
[態様33]
前記磁性材料は、前記非磁性材料内に均一に分散されている、態様31又は32に記載のドリルビットアセンブリ。
[態様34]
前記磁性材料は、80℃以上の温度に加熱されると少なくとも部分に消磁される、態様31-33のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
[態様35]
前記磁性材料は、固体粒子又は薄片から構成される、態様31-34のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
[態様36]
前記スリーブによって生成された磁場の形状は、前記シャンクの前記軸に対して非対称である、態様31-35のいずれか1つに記載のドリルビットアセンブリ。
[態様37]
前記スリーブによって生成された磁場の形状は、前記シャンクの前記軸に沿って非対称である、態様31-35のいずれか1つに記載のドリルビットアッセンブリ。
[態様38]
前記スリーブは、前記軸を中心とする第1の四分円、第2の四分円、第3の四分円、及び第4の四分円に分割され、前記第1の四分円によって生成された磁場は、大きさ、強度、極性、又はそれらの組合せにおいて、前記第2の四分円、前記第3の四分円、及び/又は前記第4の四分円によって生成された磁場と異なる、態様31-36のいずれか1つに記載のドリルビット。
[態様39]
磁性材料から構成される識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられる外科用ハンドピースシステムであって、
ドリルビットに連結し、トルクを前記ドリルビットに伝達して前記ドリルビットを軸を中心として回転させるためのハンドピースと、
前記ハンドピースに連結されるように構成された測定モジュールであって、
ハウジングと、
非磁性材料から構成される測定挿管であって、前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結された時に前記ドリルビットの周りを周方向に取り囲むように構成され、十分な遠位位置と近位位置との間で前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられ、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、測定挿管と、
を備える、測定モジュールと、
前記ハウジングに対する前記測定挿管の前記遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデューサアセンブリと、
前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結されて前記軸を中心として回転する時に前記測定挿管を通して前記ドリルビットの前記識別特徴部の磁場又は磁気抵抗に応じて識別信号を生成するためのセンサと、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
[態様40]
前記識別信号を受信し、前記受信した識別信号に対応する前記連結されたドリルビットを識別するように構成された制御器を更に備える、態様39に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様41]
前記制御器は、前記生成されたトランスデューサ信号を受信し、前記受信したトランスデューサ信号及び前記識別信号に基いて前記ドリルビットに伝達されるトルクの相対的な大きさを制御するように構成される、態様40に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様42]
前記制御器は、メモリユニットを有するマイクロプロセッサを備え、前記メモリユニットは、既知の識別信号のリストを備え、前記リストの前記既知の識別信号の各1つは、各1つの既知のドリルビットに対応し、前記マイクロプロセッサは、前記受信した識別信号を前記既知の識別信号のリストと比較することによって、前記連結されたドリルビットを識別するように構成される、態様39-41のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様43]
前記識別信号は、大きさ、極性、角距離、強度、又はそれらの組合せに関して互いに異なる、態様39―42のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様44]
前記センサは、前記測定モジュールの前記ハウジング内に配置される、態様39-43のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様45]
前記測定モジュールは、前記測定挿管を周方向に取り囲むガイドブッシュを更に備え、前記ガイドブッシュは、窓を画定し、前記トランスデュ―サアセンブリは、前記窓を通して前記測定挿管に連結される、態様39-44のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様46]
前記センサは、前記ハンドピースの本体内に配置される、態様39-45のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様47]
前記センサは、前記測定挿管が前記近位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置するように、及び前記測定挿管が前記十分な遠位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置しないように、前記ハンドピースの本体内に配置される、態様39-46のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様48]
前記非磁性材料は、ポリマー材料から成る、態様39-47のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様49]
前記制御器は、前記測定モジュール内に配置される、態様41-48のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様50]
前記制御器は、第1の制御器として更に画定され、前記外科用ハンドピースシステムは、第2の制御器を備え、前記第1の制御器は、前記測定モジュ―ル内に配置され、前記第2の制御器は、前記ハンドピース内に配置され、前記ハンドピースは、トルクを生成するためのモータを更に備え、前記第2の制御器は、前記トランスデュ―サ信号及び前記識別信号に基づいて前記モータによって生成されるトルクの相対的な大きさを制御するように構成される、態様40-49のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様51]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースと一体である、態様39-49のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様52]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースから取外し可能である、態様39-49のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様53]
穿孔通路の貫通深さを決定するための外科用ハンドピースシステムであって、識別特徴部を有するドリルビットと共に用いられるように構成される、外科用ハンドピースシステムにおいて、
前記ドリルビットに連結してトルクを前記ドリルビットに伝達するためのハンドピース本体を備えるハンドピースと、
前記ハンドピース本体に連結された測定モジュールであって、
前記ハンドピース本体に連結されたハウジングと、
十分な遠位位置と近位位置との間で軸に沿って前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられた深さ測定延長部と、
前記ハウジングに対する前記深さ測定延長部の遠位端の位置に基いてトランスデュ―サ信号を生成するためのトランスデュ―サアセンブリと、
を備える、測定モジュールと、
前記ドリルビットが前記ハンドピース本体に連結された時に前記ドリルビットの前記識別特徴部に基いて識別信号を生成するためのセンサと、
前記トランスデュ―サ信号及び前記識別信号を受信し、前記生成されたトランスデュ―サ信号及び前記生成された識別信号の受信に基いて前記穿孔経路の前記貫通深さを決定するように構成された制御器と、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
[態様54]
前記トランスデュ―サ信号は、使用中の初期の変位位置に対する前記深さ測定延長部の直線状変位に応動する、態様53に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様55]
前記貫通深さは、時間の経過に伴う前記トランスデュ―サ信号の変化によって決定される加速に基く、態様54に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様56]
前記測定モジュールは、ハウジングを備え、前記深さ測定延長部は、前記ドリルビットが前記ハンドピース本体に連結された時に前記ドリルビットの一部を周方向に取り囲むように構成された測定挿管から構成される、態様53-55のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様57]
前記センサは、前記測定モジュール内に配置される、態様53-56のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様58]
前記センサは、前記ハンドピース本体内に配置される、態様53-56のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様59]
前記センサは、光学センサ、磁場センサ、ホール効果センサ、及び磁気抵抗センサから成る群から選択される、態様53-58のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様60]
前記トランスデュ―サアセンブリは、ポテンショメータ、光学センサ、及び線形可変差動変圧器から成る群から選択される少なくとも1つを備える、態様53-59のいずれかに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様61]
前記センサは、前記測定挿管が前記近位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置するように、及び前記測定挿管が前記十分な遠位位置において前記軸と直交する方向において前記センサと前記識別特徴部との間に位置しないように、前記ハンドピース本体内に配置される、態様56に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様62]
前記制御器は、前記測定モジュール内に配置される、態様53-61のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様63]
前記制御器は、第1の制御器として更に画定され、前記ハンドピースは、前記ハンドピース本体に連結された第2の制御器を備え、前記第1の制御器は、前記測定モジュ―ル内に配置され、前記ハンドピースは、モータを更に備え、前記第2の制御器は、前記トランスデュ―サ信号及び前記識別信号に基づいて前記モータによって生成されるトルクの相対的な大きさを制御するように構成される、態様53-62のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様64]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースと一体である、態様53-61のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様65]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースから取外し可能である、態様53-63のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様66]
前記制御器は、メモリユニットを有するマイクロプロセッサを備え、前記メモリユニットは、既知の識別信号のリストを備え、前記リストの前記既知の識別信号の各1つは、各1つの既知のドリルビットに対応し、前記マイクロプロセッサは、前記ドリルビットが前記ハンドピースに連結された時に前記受信した識別信号を前記既知の識別信号の前記リストと比較することによって、前記ドリルビットを識別するように構成される、態様53-65のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様67]
前記識別信号は、前記既知のドリルビットの各1つの1つ又は複数の性能特徴に対応し、前記性能特徴は、長さ、材料、直径、断面積、型式、切削効率、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから選択される、態様66に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様68]
第1のドリルビット及び第2のドリルビットを更に備え、前記第1のドリルビットは、少なくとも1つの性能特徴において前記第2のドリルビットと異なり、前記第1のドリルビットは、第1の識別特徴部を備え、前記第2のドリルビットは、第2の識別特徴部を備え、前記第1の識別特徴部は、前記第2の識別特徴部と異なる、態様53-67のいずれか1つに記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様69]
外科用ドリルビットシステムであって、
第1のドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で第1の軸に沿って延びる第1のシャンクと、
前記第1のシャンクの前記遠位端に隣接する第1の切削チップ部分であって、第1の切削構成を有する、第1の切削チップ部分と、
前記第1のシャンクを少なくとも部分的に取り囲む第1のスリーブであって、前記第1のスリーブは、前記第1のシャンクの周りに配置された第1の構成の磁性材料を備え、前記第1の構成の磁性材料は、前記第1の切削チップ部分の前記第1の切削構成を識別するための第1のプログラミングを有する、第1のスリーブと、
を備える、第1のドリルビットと、
第2のドリルビットであって、
近位端と遠位端との間で第2の軸に沿って延びる第2のシャンクと、
前記第2のシャンクの前記遠位端に隣接する第2の切削チップ部分であって、前記第1の切削構成と異なる第2の切削構成を有する、第2の切削チップ部分と、
前記第2のシャンクを少なくとも部分的に取り囲む第2のスリーブであって、前記第2のスリーブは、前記第2のシャンクの周りに配置された前記第1の構成の磁性材料と同一の第2の構成の磁性材料を備え、前記第2の構成の磁性材料は、前記第2の切削チップ部分の前記第2の切削構成を識別するための前記第1のプログラミングと異なる第2のプログラミングを有する、第2のスリーブと、
を備える、第2のドリルビットと、
を備える、外科用ドリルビットシステム。
[態様70]
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブは、各々、120℃以下のガラス遷移温度を有する非磁性材料から構成される、態様69に記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様71]
前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブは、各々、非磁性材料から構成される、態様69又は70に記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様72]
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、前記第1及び第2のスリーブの両方の前記非磁性材料内に分散されている、態様71に記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様73]
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、前記第1及び第2のスリーブの両方の前記非磁性材料内に均一に分散されている、態様71又は72に記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様74]
前記第1の構成の磁性材料は、前記第1のシャンクの周りに周方向に配置された第1の磁石列と、前記第1のシャンクの周りに周方向に配置されると共に前記第1の磁石列から軸方向に離間して配置された第2の磁石列とから構成される、態様71-73のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様75]
前記第1の構成の磁性材料の前記第1のプログラミングは、第1の磁場を放出し、前記第2の構成の磁性材料の前記第2のプログラミングは、前記第1の磁場と異なる第2の磁場を放出する、態様70-74のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様76]
前記第1の磁場は、強度、極性、又はそれらの組合せの1つにおいて、前記第2の磁場と異なる、態様70―75のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様77]
前記第1及び第2の構成の磁性材料は、約80℃以上の温度で加熱されると少なくとも部分的に消磁される、態様70-76のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様78]
前記第1のスリーブは、前記第1のドリルビットの前記第1のシャンクを覆って配置されるように寸法決めされた管腔を画定する、態様70に記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様79]
前記第1の切削構成は、長さ、材料、直径、断面積、型式、切削効率、すくい角、フルート角、尖端角、及びそれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの性能特徴において、前記第2の切削構成と異なる、態様70-78のいずれか1つに記載の外科用ドリルビットシステム。
[態様80]
外科用ドリルビットのシステムをプログラミングする方法であって、
第1のドリルビット及び第2のドリルビットを準備するステップであって、前記第1のドリルビットは、少なくとも1つの性能特徴において前記第2のドリルビットと異なり、前記第1のドリルビットは、第1の構成の磁性材料を備える第1のスリーブを有し、前記第2のドリルビットは、前記第1の構成の磁性材料と同一の第2の構成の磁性材料を備える第2のスリーブを有する、ステップと、
第1の磁気プログラミングシーケンスによって前記第1の構成の磁性材料をプログラミングするステップと、
前記第2の構成の磁性材料が前記第1の構成の磁性材料と異なる磁場を放出するように、前記第1の磁気プログラミングシーケンスと異なる第2の磁気プログラミングシーケンスによって前記第2の構成の磁性材料をプログラミングするステップと、
を含む、方法。
[態様81]
前記第1の磁気プログラミングシーケンスは、パルス周波数、位相オフセット、磁場の強度、前記スリーブの相対的回転速度、極性、及びそれらの組合せの群から選択される少なくとも1つのプログラミングパラメータにおいて、前記第2のプログラミングシーケンスと異なる、態様80に記載の方法。
[態様82]
前記第1の構成の磁性材料をプログラミングする前記ステップの少なくとも一部において、前記第1のスリーブを回転させることを更に含む、態様80又は81に記載の方法。
[態様83]
初期変位値を補償する骨プレートによる骨固定のための適切なスクリュー長さを決定する外科用ハンドピースシステムであって、
ハンドピースと、
前記ハンドピースに連結され、前記ハンドピースからトルクを受け、軸を中心として回転するように構成されたドリルビットであって、識別特徴部を備える、ドリルビットと、
測定モジュールであって、
前記ハンドピースに連結されるように構成されたハウジングと、
前記ハウジングに対して前方又は後方に延びるように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられた深さ測定延長部であって、処置対象物に対して配置されるように適合された遠位端を有する、深さ測定延長部と、
前記ドリルビットの前記識別特徴部に応じて識別信号を生成するように構成されたセンサと、
を備える、測定モジュールと、
前記センサから前記識別信号を受信し、前記センサからの前記識別信号に基いて骨固定のための前記適切なスクリュー長さを決定するように構成された制御器と、
を備える、外科用ハンドピースシステム。
[態様84]
前記ハウジングに対する前記深さ測定延長部の遠位端の位置に基いてトランスデューサ信号を生成するためのトランスデュ―サアセンブリを更に備え、前記制御器は、前記トランスデューサアセンブリから前記識別信号を受信し、前記トランスデューサアセンブリからの前記トランスデュ―サ信号に基いて骨固定のための前記適切なスクリュー長さを決定するように構成される、態様83に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様85]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースと一体である、態様83又は84に記載の外科用ハンドピースシステム。
[態様86]
前記測定モジュールは、前記ハンドピースから取外し可能である、態様83又は84に記載の外科用ハンドピースシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図11A
図11B
図12
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17A
図17B