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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】PTP包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20241023BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20241023BHJP
   A61J 1/03 20230101ALI20241023BHJP
【FI】
B65D83/04 D
B65D75/34
A61J1/03 370
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022037956
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2016066835の分割
【原出願日】2016-03-29
(65)【公開番号】P2022075799
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596166690
【氏名又は名称】全星薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】樋崎 雅也
(72)【発明者】
【氏名】辻 琢也
(72)【発明者】
【氏名】氏原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】田辺 光徳
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-001655(JP,U)
【文献】特開2004-198175(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/140821(JP,A1)
【文献】特開2007-223625(JP,A)
【文献】特開2012-144288(JP,A)
【文献】国際公開第2005/120984(WO,A1)
【文献】特開2007-118978(JP,A)
【文献】特開昭52-076419(JP,A)
【文献】特開2017-178352(JP,A)
【文献】特開2012-025482(JP,A)
【文献】特開2011-219114(JP,A)
【文献】特表2001-509455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
B65D 75/34
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤として口腔内崩壊錠を収容するためのポケット部と、
前記ポケット部を封止する蓋部とを備え、
前記錠剤は、上面視において円形状の上面と上面視において円形状の下面と周壁面とを有する直径(2rt)=10mmの略円柱状の形状であり、
前記上面には、印刷によって情報が表示されており、
前記上面は、外側に凸になるように湾曲して曲面状に形成され、前記上面全体にわたって前記上面の半径(rt)の方向に沿った曲率半径(Rt1)=11.85mmが一定であり、
前記ポケット部は、最大深さ(H)=5.65mmを有し、前記錠剤が前記ポケット部に収容された時に少なくとも一部が前記錠剤の前記上面に対向する、前記錠剤の前記上面よりも大きい天面部分と、前記蓋部に接着される接着部と、前記天面部分と前記接着部との間に延びる、側面視において湾曲していない側壁部分とを有し、
前記天面部分は、第1の曲率半径(Rp1)=10.80mmの中心部分と、外側に凸になるように湾曲された第2の曲率半径(Rp2)=2.09mmの第1の曲部とから構成され、前記側壁部分は、前記第2の曲率半径(Rp2)の前記第1の曲部を介して配置され、前記側壁部分と前記接着部は内側に凸になるように湾曲された曲率半径(Rp3)=0.60mmの第2の曲部を介して配置され、前記側壁部分は前記ポケット部の内側において前記蓋部からθpの大きさの角度で立ち上がっており、前記θpの大きさは82°であり、
前記側壁部分は前記第1の曲部から前記第2の曲部に向かって上面視において次第に径が大きくなるように形成されており、
前記天面部分は、外側に凸になるように湾曲して曲面状に形成され、前記天面部分の中心から前記第1の曲部までの全体にわたって半径方向に沿った曲率半径(Rp1)=10.80mmが一定であり、
前記天面部分の第1の曲率半径(Rp1)は前記錠剤の前記上面の曲率半径(Rt1)よりも小さく
記天面部分の第2の曲率半径(Rp2)は前記錠剤の前記上面の曲率半径(Rt1)よりも小さく
記錠剤の前記上面の中心と前記下面の中心を通る中心線と前記天面部分の中心と前記ポケット部の開口の中心を通る中心線が一致し、かつ、前記錠剤の前記上面と前記周壁面との間の角部が前記天面部分に接触している状態では、前記錠剤の前記下面の中心と前記蓋部が接着されている前記接着部の下面の延長面との間に距離C1=0.45mmの隙間と、前記錠剤の前記上面と前記天面部分の中心との間に距離C2=0.20mmの隙間を生じ、錠剤の高さ(Ht)は(H-C1-C2)=5.00mmであり、(2rt/Ht)=2である、PTP包装体。
【請求項2】
錠剤として口腔内崩壊錠を収容するためのポケット部と、
前記ポケット部を封止する蓋部とを備え、
前記錠剤は、上面視において円形状の上面と上面視において円形状の下面と周壁面とを有する直径(2rt)=8mmの略円柱状の形状であり、
前記上面には、印刷によって情報が表示されており、
前記上面は、外側に凸になるように湾曲して曲面状に形成され、前記上面全体にわたって前記上面の半径(rt)の方向に沿った曲率半径(Rt1)=9.45mmが一定であり、
前記ポケット部は、最大深さ(H)=4.55mmを有し、前記錠剤が前記ポケット部に収容された時に少なくとも一部が前記錠剤の前記上面に対向する、前記錠剤の前記上面よりも大きい天面部分と、前記蓋部に接着される接着部と、前記天面部分と前記接着部との間に延びる、側面視において湾曲していない側壁部分とを有し、
前記天面部分は、第1の曲率半径(Rp1)=8.50mmの中心部分と、外側に凸になるように湾曲された第2の曲率半径(Rp2)=1.50mmの第1の曲部とから構成され、前記側壁部分は、前記第2の曲率半径(Rp2)の前記第1の曲部を介して配置され、前記側壁部分と前記接着部は内側に凸になるように湾曲された曲率半径(Rp3)=0.60mmの第2の曲部を介して配置され、前記側壁部分は前記ポケット部の内側において前記蓋部からθpの大きさの角度で立ち上がっており、前記θpの大きさは82°であり、
前記側壁部分は前記第1の曲部から前記第2の曲部に向かって上面視において次第に径が大きくなるように形成されており、
前記天面部分は、外側に凸になるように湾曲して曲面状に形成され、前記天面部分の中心から前記第1の曲部までの全体にわたって半径方向に沿った曲率半径(Rp1)=8.50mmが一定であり、
前記天面部分の第1の曲率半径(Rp1)は前記錠剤の前記上面の曲率半径(Rt1)よりも小さく
記天面部分の第2の曲率半径(Rp2)は前記錠剤の前記上面の曲率半径(Rt1)よりも小さく
記錠剤の前記上面の中心と前記下面の中心を通る中心線と前記天面部分の中心と前記ポケット部の開口の中心を通る中心線が一致し、かつ、前記錠剤の前記上面と前記周壁面との間の角部が前記天面部分に接触している状態では、前記錠剤の前記下面の中心と前記蓋部が接着されている前記接着部の下面の延長面との間に距離C1=0.35mmの隙間と、前記錠剤の前記上面と前記天面部分の中心との間に距離C2=0.20mmの隙間を生じ、錠剤の高さ(Ht)は(H-C1-C2)=4.00mmであり、(2rt/Ht)=2である、PTP包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤を収容するポケット部を備えたPTP包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
PTP(プレス・スルー・パック)包装は、医薬品等の包装に一般的に用いられており、包装される医薬品等を収容するためのポケット部が形成されたフィルムと、ポケット部を封止するためのカバーフィルムとから構成される。使用者は、医薬品等を取り出す際には、ポケット部に収容された医薬品等を、ポケット部側からカバーフィルム側に向かって押圧して、ポケット部に収容されていた医薬品等によってカバーフィルムを破る。
【0003】
ところで、PTP包装体に収容される錠剤の表面には、印刷または刻印によって、有効成分や分量等の情報が表示される場合がある。PTP包装のポケット部を透明または半透明の材質で形成することによって、使用者は、PTP包装のカバーフィルムを破って錠剤を取り出す前に、錠剤の情報を確認することができる。
【0004】
例えば特開2014-169089号公報(特許文献1)には、PTPシートとその製造方法が記載されている。特許文献1に記載のPTPシートは、シートを誤って落下させ、PTPシートがシート周縁部から床面等に衝突してしまった場合、ポケット部に収容されていた錠剤がポケット部の側壁部に2点で衝突するように構成されている。具体的には、例えば、錠剤の長径方向両端部の曲率半径よりも、ポケット部の湾曲壁部の曲率半径の方が小さく形成されている。このようにすることにより、錠剤の衝突時のポケット部の変形や亀裂を抑制し、PTPシートの外観及び品質の低下抑制を図ることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-169089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のPTPシートでは、錠剤の衝突時にポケット部の変形や亀裂が生じるほどの衝撃を低減することはできても、通常の使用時の軽い衝撃による外観や品質の低下まで抑制することはできない。すなわち、通常の輸送や持ち運びにおいても、PTP包装体のポケット部内で錠剤が動き、錠剤とPTP包装体のポケット部の内面とがこすれて、錠剤の成分がポケット部の内面に付着する場合がある。ポケット部が透明または半透明の材質で形成されている場合には、ポケット部が白濁し、錠剤の表面に印刷または刻印で表わされた情報を視認することが困難になる場合がある。特に、口腔内崩壊錠のような、脆い錠剤がPTP包装体に収容されている場合には、ポケット部に錠剤成分が付着しやすく、ポケット部の白濁が生じやすい。また、情報が印刷によって錠剤表面に表示されている場合には、フィルムコーティング錠のような比較的崩れにくい錠剤であっても、印刷部分がポケット部の内面に擦れると、情報を視認することが困難になる場合がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、錠剤に表示された情報の視認性を高めることが可能なPTP包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、通常の輸送や持ち運び時にポケット部内で錠剤が動く時、錠剤が脆くても、ポケット部の内面に錠剤の成分が付着しにくい構造を鋭意研究した。その結果、錠剤表面の曲率半径と、ポケット部において錠剤表面に対向する面の曲率半径とを所定の関係にすることによって、ポケット部の内面に錠剤の成分が付着しにくく、また、錠剤表面の情報表示部がポケット部の内面に擦れにくいことを見出した。
【0009】
以上の知見に基づいて、本発明に従ったPTP包装体は、情報が表示された情報表示部を有する錠剤を収容するためのポケット部と、ポケット部を封止する蓋部とを備える。ポケット部は、錠剤がポケット部に収容された時に錠剤の情報表示部に対向する天面部分を有し、天面部分は、少なくとも1つの方向に沿った曲率半径が、錠剤の情報表示部の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径以下の大きさである湾曲部分を有する。
【0010】
このようにすることにより、錠剤に表示された情報の視認性を高めることが可能なPTP包装体を提供することができる。
【0011】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分は、天面部分の全体にわたって形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分は、天面部分において蓋部からの距離が最も大きい位置に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の曲率半径よりも小さいことが好ましい。
【0014】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の曲率半径に等しいことが好ましい。
【0015】
本発明に従ったPTP包装体においては、情報表示部は曲面状に形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明に従ったPTP包装体においては、錠剤の情報表示部は円形状、または、楕円形状であることが好ましい。
【0017】
本発明に従ったPTP包装体においては、錠剤の情報表示部は楕円形状であり、湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の短径方向または長径方向の少なくともいずれか一方の曲率半径以下の大きさであることが好ましい。
【0018】
本発明に従ったPTP包装体においては、錠剤の情報表示部は別個に形成された第1の情報表示部と第2の情報表示部とを含むことが好ましい。
【0019】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分は、第1の曲率半径を有する第1の湾曲部分と第2の曲率半径を有する第2の湾曲部分とを含むことが好ましい。
【0020】
本発明に従ったPTP包装体においては、錠剤は素錠であることが好ましい。
【0021】
本発明に従ったPTP包装体においては、錠剤は口腔内崩壊錠であるであることが好ましい。
【0022】
本発明に従ったPTP包装体においては、情報表示部は印刷、または、刻印によって形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分は透明、または、半透明であることが好ましい。
【0024】
本発明に従ったPTP包装体においては、湾曲部分は着色されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態のPTP包装体と、PTP包装体に収容された錠剤とを示す側断面図(A)と平面図(B)である。
図2】錠剤が収容された状態の第2実施形態のPTP包装体の側断面を示す図である。
図3】錠剤が収容された状態の第3実施形態のPTP包装体の側断面を示す図である。
図4】錠剤が収容された状態の比較例1のPTP包装体の側断面を示す図である。
図5】錠剤が収容された状態の比較例2のPTP包装体の側断面を示す図である。
図6】振とう後のPTP包装体を、ポケット部の天面部分に垂直な方向から見たときの状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態のPTP包装体1は、主に、ポケット部100と、ポケット部100を封止する蓋部110とを備える。ポケット部100には錠剤20が収容される。
【0028】
ポケット部100は主に、蓋部110に対向する天面部分101と、側壁部102と、蓋部110に接着される接着部103とから構成され、天面部分101と蓋部110との間には空間が形成されている。天面部分101は全体的に外側が凸になるように湾曲して、曲率半径Rp1の湾曲部分を形成している。湾曲部分は、天面部分101において蓋部110からの距離が最も大きい位置に形成されている。側壁部102は、蓋部110からθpの大きさの角度で立ち上がってる。天面部分101と側壁部102とは曲率半径Rp2の外側に凸になるように形成された曲部104を介し、側壁部102と接着部103は、内側に凸になるように形成された曲率半径Rp3の曲部105を介し、全体が一体的に成形されている。ポケット部100は、透明または半透明の材質で形成されている。ポケット部100は着色されていてもよい。なお、PTP包装体が備えるポケット部100の個数は限定されない。以下、天面部分101側をPTP包装体1の上側、蓋部110側をPTP包装体1の下側とする。
【0029】
錠剤20は、略円柱状に形成され、錠剤20の上面、すなわち、天面部分101に対向する面と、下面、すなわち、蓋部110に対向する面は、上面視で円形状であり、外側に凸になるように、曲率半径Rt1をもって湾曲して、曲面状に形成されている。錠剤20の上面と下面には、例えば有効成分や分量といった情報が印刷または刻印または他の方法で表示される情報表示部21が形成されている。
【0030】
この実施形態においては、ポケット部100の天面部分(湾曲部分)101の曲率半径Rp1と錠剤20の情報表示部21の曲率半径Rt1は、同じ大きさである。本願において、情報表示部21は、錠剤20において情報が表示されている面全体を指す。情報表示部21は、この実施形態においては、錠剤20の上面と下面の両方に形成されているが、いずれか一方にのみ形成されていてもよい。また、情報は側面にも表示されていてもよい。
【0031】
錠剤20がポケット部100に収容されると、錠剤20の情報表示部21が湾曲部分である天面部分101に対向する。使用者はポケット部100に収容された錠剤20の情報表示部21を外部から視認することができる。
【0032】
また、ポケット部100の天面部分101の内面から蓋部110の内面までの距離Hは、錠剤20の上面と下面の間の高さよりも距離C1だけ大きい。また、ポケット部の半径rpは、錠剤の半径rtよりも大きい。このようにすることにより、錠剤20をポケット部101に容易に収容できる。
【0033】
以上のように、PTP包装体1は、情報が表示された情報表示部21を有する錠剤20を収容するためのポケット部100と、ポケット部100を封止する蓋部110とを備える。ポケット部100は、錠剤20がポケット部100に収容された時に錠剤20の情報表示部21に対向する天面部分101を有し、天面部分101は、少なくとも1つの方向に沿った曲率半径Rp1が、錠剤20の情報表示部21の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径Rt1の大きさである湾曲部分を有する。
【0034】
天面部分101の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径Rp1が、錠剤20の情報表示部21の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径Rt1と等しい大きさであるので、輸送時や持ち運び時にポケット部100内で錠剤20が動く時、錠剤20の情報表示部21の面全体が天面部分101の内面に接触する。
【0035】
このようにすることにより、錠剤20が、例えば口腔内崩壊錠や他の素錠のような、脆い剤形であっても、錠剤20の1点だけに衝撃が集中して錠剤20が崩れることを防ぎ、天面部分101に錠剤20の成分が付着してポケット部100を白濁させることを防ぐことができる。また、錠剤20がフィルムコーティング錠のように比較的崩れにくい錠剤であって、情報が錠剤20の表面に印刷で表示されている場合にも、印刷の一部だけに衝撃が集中して印刷が擦れることを防ぐことができる。このようにして、錠剤20に表示された情報の視認性を高めることが可能なPTP包装体1を提供することができる。
【0036】
なお、この実施形態においては、湾曲部分は天面部分101の全体にわたって形成されているが、情報表示部21の曲率半径Rt1と等しい曲率半径Rp1を有する湾曲部分は、天面部分101の一部にのみ形成されていてもよい。
【0037】
また、この実施形態においては、錠剤20において情報表示部21が形成されている面は円形状であるが、楕円形状または多角形や他の形状に形成されていてもよい。
【0038】
錠剤の情報表示部が楕円形状である場合には、湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の短径方向または長径方向の少なくともいずれか一方の曲率半径以下の大きさであればよい。
【0039】
また、例えば、錠剤20の上面の中央部に割線が入れられて、情報表示部21が不連続な複数の面に形成されて、別個に形成された第1表示部と第2表示部とを含んでいてもよい。
【0040】
(第2実施形態)
図2に示すように、本発明の第2実施形態のPTP包装体2は、第1実施形態のPTP包装体1(図1)と異なる点として、ポケット部200の外側に凸である天面部分201の曲率半径Rp1が錠剤20の情報表示部21の曲率半径Rt1よりも小さい。また、天面部分201と側壁部102とは曲率半径Rp2の曲部204を介して一体に成形されている。ポケット部100の天面部分101の内面から蓋部110の内面までの距離はHである。図1と同じ符号で示す部材と部分は第1実施形態と同じである。
【0041】
PTP包装体2のポケット部200に錠剤20を収容すると、錠剤20の下面と蓋部110との間に距離C1の隙間が生じるだけでなく、錠剤20の上面と天面部分201の内面との間に距離C2の隙間が生じる。
【0042】
このように、湾曲部分の曲率半径の大きさRp1が錠剤の情報表示部21の曲率半径Rt1よりも小さいことによって、錠剤20は、情報表示部21の1点で天面部分201と接触せず、情報表示部21の周囲全体で天面部分201に接触する。また、錠剤20と天面部分201の内面との間に距離C22の隙間ができる。このようにすることにより、PTP包装体2の輸送時や持ち運び時に、錠剤20が口腔内崩壊錠のように脆くても崩れにくく、錠剤成分が天面部分201の内面に付着しにくく、ポケット部200の白濁を防ぐことができる。また、錠剤20がフィルムコーティング錠のように比較的崩れにくい錠剤であって、情報が錠剤20の表面に印刷で表示されている場合にも、印刷の一部だけに衝撃が集中して印刷が擦れることを防ぐことができる。
【0043】
天面部分101の曲率半径Rp1は、錠剤20の情報表示部21の曲率半径Rt1の60%以上100%以下であることが好ましい。
【0044】
また、第2実施形態のPTP包装体2において、曲率半径Rp2の曲部204が情報表示部21に対向する部分にまで延在してもよい。この場合、情報表示部21に対向する天面部分201は、曲率半径Rp1の湾曲部分と曲率半径Rp2の湾曲部分とを含む、いわゆる2段Rを有する。天面部分および/または錠剤表面が複数の曲率半径を有する場合には、少なくとも1つの方向において、湾曲部分の曲率半径の1つが、情報表示部の曲率半径の1つ以下の大きさであればよい。
【0045】
第3実施形態で述べるように、錠剤20の上面または下面は、複数の曲率半径を有するように形成されていてもよいが、錠剤20の情報表示部21は、単一の曲率半径Rt1のみを有することが好ましく、錠剤20の上面または下面全体が単一の曲率半径Rt1のみを有するように形成されていることがより好ましい。
【0046】
第2実施形態のその他の構成と作用効果は第1実施形態と同様である。
【0047】
(第3実施形態)
図3に示すように、本発明の第3実施形態のPTP包装体3は、第1実施形態のPTP包装体1(図1)と異なる点として、ポケット部300の外側に凸である天面部分301の曲率半径Rp1が錠剤20の情報表示部21の曲率半径Rt1よりも小さい。また、天面部分301と側壁部102とは曲率半径Rp2の曲部304を介して一体に成形されている。ポケット部300の天面部分301の内面から蓋部110の内面までの距離はHである。ポケット部300に収容されている錠剤20の上面と下面は、それぞれ、曲率半径Rt1の部分と曲率半径Rt2の部分とを含む。
【0048】
錠剤20に係る情報は、例えば、曲率半径Rt1の部分に表示されており、曲率半径Rt1の部分が情報表示部21を形成している。図1と同じ符号で示す部材と部分は第1実施形態と同じである。
【0049】
PTP包装体3のポケット部300に錠剤30を収容すると、錠剤30の下面と蓋部110との間に距離C1の隙間が生じるだけでなく、錠剤30の上面と天面部分301の内面との間に距離C2の隙間が生じる。
【0050】
このように、湾曲部分の曲率半径の大きさRp31が錠剤の情報表示部21の曲率半径Rt1よりも小さいことによって、錠剤20は、情報表示部21の1点で天面部分301と接触せず、情報表示部21の周囲全体で天面部分301に接触する。また、錠剤20と天面部分301の内面との間に距離C2の隙間ができる。必要に応じて、天面部分301の曲率半径Rp1の大きさを小さくし、隙間の距離C2の大きさを調整してもよい。このようにすることにより、PTP包装体3の輸送時や持ち運び時に、錠剤20が口腔内崩壊錠のように脆くても崩れにくく、錠剤成分が天面部分301の内面に付着しにくく、ポケット部300の白濁を防ぐことができる。
【0051】
また、錠剤20に係る情報は、曲率半径Rt1と曲率半径Rt2の部分の両方に表示されていてもよい。この場合、情報表示部21は、曲率半径Rt1とRt2の2つの曲率を有する。このように情報表示部21が連続した面内で複数の曲率半径を有する場合には、少なくとも1つの方向において、ポケット部300の天面部分301の曲率半径が、情報表示部21の少なくとも1つの曲率半径以下の大きさであればよい。換言すれば、錠剤20の表面において、天面部分301の曲率半径よりも曲率半径が小さい部分にも情報が表示されていてもよい。
【0052】
第3実施形態のその他の構成と作用効果は第1実施形態と同様である。なお、この実施形態においては、錠剤20の上面と下面のいずれにも、曲率半径Rt1の部分と曲率半径Rt2の部分とが形成されているが、錠剤20の上面と下面のいずれか一方にのみ曲率半径Rt1の部分と曲率半径Rt2の部分とが形成され、錠剤20の上面と下面の他方には、曲率半径Rt1の部分のみが形成されていてもよい。
【実施例
【0053】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0054】
以下の実施例と比較例のPTP包装体を作製し、錠剤を収容して、後述するように、振とう機に固定して振とうさせた後に情報表示部の情報の視認性を確認した。
【0055】
(実施例1)
図1に示す第1実施形態のPTP包装体1を用いた。ポケット部100として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):11.85mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.65mm、Rp2は1mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0056】
(実施例2)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体1を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):9.0mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは6.12mm、C1は0.65mm、C2は0.47mm、Rp2は1mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0057】
(実施例3)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径:9.0mm(Rp1)及び11.85mm(Rp2))を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.88mm、C1は0.65mm、C2は0.23mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0058】
(実施例4)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):11.85mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.95mm、C1は0.65mm、C2は0.30mm、Rp2は3mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0059】
(実施例5)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):10.8mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.45mm、C2は0.20mm、Rp2は2.09mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0060】
(実施例6)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):11.7mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.55mm、C2は0.10mm、Rp2は1.95mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0061】
(実施例7)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):10.0mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.35mm、C2は0.30mm、Rp2は2.16mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0062】
(実施例8)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):10.8mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.45mm、C1は0.25mm、C2は0.20mm、Rp2は2.16mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0063】
(比較例1)
図4に示すPTP包装体91を用いた。図4に示すように、比較例1のPTP包装体91は、第1実施形態のPTP包装体1(図1)と異なる点として、ポケット部900の外側に凸である天面部分901の曲率半径Rp1が錠剤20の情報表示部21の曲率半径Rt1よりも大きい。また、天面部分901と側壁部102とは曲率半径Rp2の曲部904を介して一体に成形されている。図1と同じ符号で示す部材と部分は第1実施形態と同じである。
【0064】
PTP包装体91のポケット部900に錠剤20を収容すると、錠剤20の下面と蓋部110との間に距離C1の隙間が生じる。しかし、錠剤20の上面と天面部分9001の内面との間には隙間が生じない。錠剤20の上面と天面部分901の内面とは、錠剤20の頂部の一点において接触する。
【0065】
ポケット900として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):18.0mm)を有するシートを、真空成型法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度63N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み17μm、東洋アルミニウム株式会社製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.65mm、Rp2は1mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0066】
(実施例9)
図3に示す錠剤のように、いわゆる2段Rの錠剤を用いた。刻印にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径[2段R]:12.5mm(Rt1)及び4.4mm(Rt2)、硬度45N)を用いた以外は実施例1と同様にして、PTP包装体を作製した。情報表示部は曲率半径12.5mmの部分に形成された。
【0067】
(実施例10)
図3に示す錠剤のように、いわゆる2段Rの錠剤を用いた。刻印にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径[2段R]:12.5mm(Rt1)及び4.4mm(Rt2)、硬度45N)を用いた以外は実施例2と同様にして、PTP包装体を作製した。情報表示部は曲率半径12.5mmの部分に形成された。
【0068】
(実施例11)
図3に示す錠剤のように、いわゆる2段Rの錠剤を用いた。刻印にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径[2段R]:12.5mm(Rt1)及び4.4mm(Rt2)、硬度45N)を用いた以外は実施例3と同様にして、PTP包装体を作製した。情報表示部は曲率半径12.5mmの部分に形成された。
【0069】
(実施例12)
図3に示す錠剤のように、いわゆる2段Rの錠剤を用いた。刻印にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径[2段R]:12.5mm(Rt1)及び4.4mm(Rt2)、硬度45N)を用いた以外は実施例4と同様にして、PTP包装体を作製した。情報表示部は曲率半径12.5mmの部分に形成された。
【0070】
(比較例2)
図5に示すPTP包装体92を用いた。図5に示すように、比較例2のPTP包装体92は、比較例1のPTP包装体91(図4)と異なる点として、ポケット部900に収容される錠剤20の上面と下面は、曲率半径Rt1の部分と曲率半径Rt2の部分とを含む。錠剤20に係る情報は、曲率半径Rt1の部分に表示されており、曲率半径Rt1の部分が情報表示部21を形成している。図4と同じ符号で示す部材と部分は比較例1で説明した通りである。
【0071】
PTP包装体92のポケット部900に錠剤20を収容すると、錠剤20の下面と蓋部110との間に距離C1の隙間が生じる。しかし、錠剤20の上面と天面部分901の内面との間には隙間が生じない。錠剤20の上面と天面部分901の内面とは、錠剤20の頂部の一点において接触する。
【0072】
比較例2では、刻印にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径[2段R]:12.5mm及び4.4mm、硬度45N)を用いた以外は比較例1と同様にして、PTP包装体を作製した。情報表示部は曲率半径12.5mm(Rt1)の部分に形成された。
【0073】
(実施例13)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。ポケット部200として、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ10mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):10.8mm)を有するシートを、プラグアシスト圧空成形法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ10mm、曲率半径(Rt1):11.85mm、硬度61N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み20μm、UACJ製箔製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは5.65mm、C1は0.45mm、C2は0.20mm、Rp2は2.09mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0074】
(実施例14)
図2に示す第2実施形態のPTP包装体2を用いた。未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:厚み300μm、三菱樹脂製)を用い、φ8mmの円形錠用の収容部(天面部分の曲率半径(Rp1):8.5mm)を有するシートを、プラグアシスト圧空成形法を用いて形成した。そして、シートの収容部に、印刷にて情報表示を有した口腔内速崩壊錠(直径:φ8mm、曲率半径(Rt1):9.45mm、硬度60N)を入れ、蓋材(アルミ箔:厚み20μm、UACJ製箔製)をシートのシール部に重ね合わせて、加温加圧することにより、シール部と蓋材とを接着して、PTP包装体を作製した。Hは4.55mm、C1は0.35mm、C2は0.20mm、Rp2は1.50mm、Rp3は0.60mm、θpは82°であった。
【0075】
(実施例15)
未延伸ポリプロピレンフィルム(橙色CPP:厚み300μm、住友ベークライト製)を用いた以外は実施例1と同様にして、PTP包装体を作製した。
【0076】
(実施例16)
未延伸ポリプロピレンフィルム(橙色CPP:厚み300μm、住友ベークライト製)を用いた以外は実施例2と同様にして、PTP包装体を作製した。
【0077】
(比較例3)
未延伸ポリプロピレンフィルム(橙色CPP:厚み300μm、住友ベークライト製)を用いた以外は比較例1と同様にして、PTP包装体を作製した。
【0078】
(実施例17)
印刷にて情報表示を有したフィルムコーティング錠(直径:φ9mm、曲率半径(Rt1):12mm、硬度208N)を用いた以外は実施例1と同様にして、PTP包装体を作製した。
【0079】
(評価)
実施例1~17、比較例1~3で得られたPTP包装体を、振とう機(TAITEC RECIPRO SHAKER SR-20S:タイテック製)に固定し、毎分300回の振とう回数にて垂直方向、すなわち、蓋部の面に垂直な方向に3時間振とうさせた。振とう後、PTP包装体の錠剤に表示された情報の視認性を20代~60代の7名からなる被験者パネルによる官能試験(視覚)で行い、評価はビジュアルアナログ法(VAS)でスコアーの10が情報の視認性良好とし、0が視認性不良とした。評価結果を表1と図6に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
さらに本発明は以下の形態を包含する。
【0082】
[1]情報が表示された情報表示部を有する錠剤を収容するためのポケット部と、ポケット部を封止する蓋部とを備え、ポケット部は、錠剤がポケット部に収容された時に錠剤の情報表示部に対向する天面部分を有し、天面部分は、少なくとも1つの方向に沿った曲率半径が、錠剤の情報表示部の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径以下の大きさである湾曲部分を有する、PTP包装体。
【0083】
[2]湾曲部分は、天面部分の全体にわたって形成されている、上記[1]に記載のPTP包装体。
【0084】
[3]湾曲部分は、天面部分において蓋部からの距離が最も大きい位置に形成されている、上記[1]に記載のPTP包装体。
【0085】
[4]湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の曲率半径よりも小さい、上記[1]から[3]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0086】
[5]湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の曲率半径に等しい、上記[1]から[3]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0087】
[6]情報表示部は曲面状に形成されている、上記[1]から[5]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0088】
[7]錠剤の情報表示部は円形状、または、楕円形状である、上記[1]から[6]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0089】
[8]錠剤の情報表示部は楕円形状であり、湾曲部分の曲率半径の大きさは、錠剤の情報表示部の短径方向または長径方向の少なくともいずれか一方の曲率半径以下の大きさである、上記[7]に記載のPTP包装体。
【0090】
[9]錠剤の情報表示部は別個に形成された第1の情報表示部と第2の情報表示部とを含む、上記[1]から[6]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0091】
[10]湾曲部分は、第1の曲率半径を有する第1の湾曲部分と第2の曲率半径を有する第2の湾曲部分とを含む、上記[1]から[9]までのいずれか1項に記載のPTP包装体。
【0092】
[11]錠剤は素錠である、上記[1]から[10]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0093】
[12]錠剤は口腔内崩壊錠である、上記[11]に記載のPTP包装体。
【0094】
[13]情報表示部は印刷、または、刻印によって形成されている、上記[1]から[12]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0095】
[14]湾曲部分は透明、または、半透明である、上記[1]から[13]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0096】
[15]湾曲部分は着色されている、上記[1]から[14]までのいずれかに記載のPTP包装体。
【0097】
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6