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特許7576062表刷りインキ組成物、積層体、及び食品包装材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】表刷りインキ組成物、積層体、及び食品包装材
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20241023BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241023BHJP
   B65D 33/00 20060101ALN20241023BHJP
【FI】
C09D11/102
B32B27/00 Z
B65D33/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022103001
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2021071766の分割
【原出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166855
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 斉
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴匡
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043085(JP,A)
【文献】特開2018-053014(JP,A)
【文献】特開2019-059923(JP,A)
【文献】特開2021-008578(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016578(WO,A1)
【文献】特許第6108254(JP,B2)
【文献】特開2020-200441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/102
B32B 27/00
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、炭化水素ワックス、脂肪酸アミド、及び溶剤を含有し、
前記バインダー樹脂が、(i)ポリウレタン樹脂とセルロース樹脂との組み合わせであるとともに、スチレン-マレイン酸樹脂をさらに含有し、
前記炭化水素ワックスの針入度が12以上である表刷りインキ組成物。
【請求項2】
バインダー樹脂、炭化水素ワックス、脂肪酸アミド、及び溶剤を含有し、
前記バインダー樹脂が、(ii)ポリエステル樹脂、又は(iii)アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との組み合わせ、であり、
前記炭化水素ワックスの針入度が12以上である表刷りインキ組成物。
【請求項3】
前記炭化水素ワックスの針入度が13以上である請求項又はに記載の表刷りインキ組成物。
【請求項4】
前記炭化水素ワックスの平均粒子径が5μm以下である請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物。
【請求項5】
マレイン酸変性樹脂、ロジン変性樹脂、ケトン樹脂、及び塩素化ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の接着補助樹脂をさらに含有し、
前記バインダー樹脂100質量部に対する、前記接着補助樹脂の含有量が1~50質量部である請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物。
【請求項6】
キレート剤をさらに含有する請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物。
【請求項7】
可塑剤をさらに含有する請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物。
【請求項8】
トルエンを実質的に含有しない請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物。
【請求項9】
プラスチック基材と、前記プラスチック基材の表面上に配設される、請求項1~のいずれか一項に記載の表刷りインキ組成物で形成された印刷層と、を備える積層体。
【請求項10】
請求項に記載の積層体により形成された食品用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表刷りインキ組成物、積層体、及び食品包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム等の基材を用いて包装材料を製造する場合、基材の装飾や表面保護のために、グラビアインキ等の印刷インキによる印刷が施される。グラビア印刷は、高精細かつ高速で印刷することが可能であるため、大量生産に向いている。但し、作業環境改善等の観点から、トルエンを含有しないノントルエン系溶剤のインキの開発が要望されている。また、包装材の多様化及び包装技術の高度化に対応すべく、高品質な画像を印刷可能なインキが要望されている。
【0003】
フィルム状の基材に印刷するために用いるグラビアインキ等のインキに要求される特性としては、インキ自体の印刷適性とともに、インキにより形成される印刷層の皮膜特性が重要である。形成される印刷層の皮膜特性の向上を目的として、例えば、バインダー樹脂、炭化水素系ワックス、塩素化ポリオレフィン、及び脂肪酸アミドを含有する表刷り印刷用のグラビアインキが提案されている(特許文献1)。また、バインダー樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレンワックス、及び脂肪酸アミドを含有する、ラミネート用のグラビア印刷インキが提案されている(特許文献2)。さらに、バインダー樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、及び脂肪酸アミドを含有する、二つの基材同士の間に印刷層を形成するためのグラビアインキが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-59923号公報
【文献】特開2020-70396号公報
【文献】特開2018-184584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3で提案されたグラビアインキ等であっても、グラビア印刷機のガイドロールにインキや脱落したインキの塗膜が付着する、いわゆる「ガイドロール取られ」等の印刷不具合の発生を必ずしも十分に抑制できるものではなかった。また、形成されるインキ層の耐ブロッキング性については必ずしも十分であるとは言えず、さらなる改善の余地があった。さらに、従来のインキを、例えば表刷りインキとして用いて製造した米袋等の食品包装材を積み重ねると、滑りやすく、大量保管や輸送が困難になるといった課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、防滑性及び耐ブロッキング性に優れた印刷層を形成することが可能な、グラビア印刷に用いた場合にもガイドロール取られ等の印刷不具合が生じにくいインキ組成物を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、このインキ組成物を用いた積層体及び食品包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下に示す表刷りインキ組成物が提供される。
[1]バインダー樹脂、炭化水素ワックス、脂肪酸アミド、及び溶剤を含有し、前記バインダー樹脂が、(i)ポリウレタン樹脂とセルロース樹脂との組み合わせ、(ii)ポリエステル樹脂、又は(iii)アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との組み合わせ、であり、前記炭化水素ワックスの針入度が12以上である表刷りインキ組成物。
[2]前記炭化水素ワックスの針入度が13以上である前記[1]に記載の表刷りインキ組成物。
]前記炭化水素ワックスの平均粒子径が5μm以下である前記[1]又は[2]に記載の表刷りインキ組成物。
]マレイン酸変性樹脂、ロジン変性樹脂、ケトン樹脂、及び塩素化ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の接着補助樹脂をさらに含有し、前記バインダー樹脂100質量部に対する、前記接着補助樹脂の含有量が1~50質量部である前記[1]~[3]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
前記バインダー樹脂が、(i)ポリウレタン樹脂とセルロース樹脂との組み合わせであるとともに、スチレン-マレイン酸樹脂をさらに含有する前記[1]~[4]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
前記バインダー樹脂が、(ii)ポリエステル樹脂、又は(iii)アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との組み合わせ、である前記[1]~[4]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
]キレート剤をさらに含有する前記[1]~[]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
]可塑剤をさらに含有する前記[1]~[]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
]トルエンを実質的に含有しない前記[1]~[]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物。
【0008】
また、本発明によれば、以下に示す積層体及び食品用包装材が提供される。
10]プラスチック基材と、前記プラスチック基材の表面上に配設される、前記[1]~[]のいずれかに記載の表刷りインキ組成物で形成された印刷層と、を備える積層体。
11]前記[10]に記載の積層体により形成された食品用包装材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防滑性及び耐ブロッキング性に優れた印刷層を形成することが可能な、グラビア印刷に用いた場合にもガイドロール取られ等の印刷不具合が生じにくいインキ組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このインキ組成物を用いた積層体及び食品包装材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<インキ組成物>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の一実施形態であるインキ組成物(以下、単に「インキ」とも記す)は、バインダー樹脂、炭化水素ワックス、脂肪酸アミド、及び溶剤を含有する、例えばグラビア印刷用の表刷りインキとして好適なインキ組成物である。以下、本実施形態のインキ組成物の詳細について説明する。
【0011】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、基材に付与したインキによって形成される印刷層(画像)を構成するための結着樹脂として機能する成分である。本実施形態のインキ組成物は、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のバインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、二種以上の樹脂を含むことが好ましい。なかでも、バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂及びセルロース樹脂であることが好ましい。これら二種の樹脂を併用することで、形成される印刷層の防滑性をさらに高めることができるとともに、耐ブロッキング性及び耐擦傷性等の印刷層(インキ皮膜)の物性をより向上させることができる。インキ組成物中のバインダー樹脂の含有量は、インキ組成物全体を基準として、通常3~60質量%程度とすればよく、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0012】
ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオールに由来する構成単位を含むポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリオールに由来する構成単位を含むポリエステル系ポリオール等を挙げることができる。なかでも、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を用いると、版詰まり及び版カブリをより有効に抑制しうる点で好ましい。なお、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂中、ポリエーテルポリオールに由来する構成単位の含有量は、5~80質量%であることが好ましく、10~60質量%であることがさらに好ましく、10~50質量%であることが特に好ましい。また、ポリエステル系ポリウレタン樹脂中、ポリエステルポリオールに由来する構成単位の含有量は、5~80質量%であることが好ましく、10~60質量%であることがさらに好ましく、10~50質量%であることが特に好ましい。
【0013】
ポリウレタン樹脂は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、ポリオールとポリイソシアネートからなるポリウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、鎖延長剤とを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂等が好ましい。
【0014】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール等を挙げることができる。
【0015】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール等を挙げることができる。ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、200~5,000であることが好ましい。数平均分子量は、末端を水酸基した場合の水酸基価から算出される値である。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物等を挙げることができる。二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等を挙げることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等を挙げることができる。ポリエステルポリオールの数平均分子量は、200~5,000であることが好ましい。
【0017】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水素添加キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0018】
鎖延長剤としては、ジアミン系鎖延長剤及び多官能アミン系鎖延長剤等を挙げることができる。ジアミン系鎖延長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0019】
セルロース樹脂としては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル樹脂;ニトロセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース;カルボキシアルキルセルロース;等を挙げることができる。セルロースエステル樹脂は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基を有することが好ましい。セルロース樹脂としては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びニトロセルロース(硝化綿)が好ましく、ニトロセルロース(硝化綿)が特に好ましい。セルロース樹脂の重量平均分子量は、5,000~200,000であることが好ましく、10,000~50,000であることがさらに好ましい。
【0020】
ニトロセルロースは、通常、天然セルロースと硝酸を反応させて得られる、天然セルロース中の3個の水酸基を硝酸基に置換した硝酸エステルである。ニトロセルロースの平均重合度は、20~200であることが好ましく、30~150であることがさらに好ましい。ニトロセルロースの窒素分は、通常、10.5~12.5質量%程度である。
【0021】
また、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂を併用すると、PETボトル等のポリエステル製の成形品の表面への装着適正に優れた印刷層を形成することができるために好ましい。このため、セルロースエステル樹脂及びアクリル樹脂をバインダー樹脂として含有するインキ組成物は、PETボトル等の表面に配設されるシュリンクフィルム用の裏刷りインキとして好適である。
【0022】
(炭化水素ワックス)
インキ組成物は、JIS K 2207で規定される25℃における針入度(硬度)が7以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上の炭化水素ワックスを含有する。その針入度が上記範囲内にある炭化水素ワックスを含有させることで、形成される印刷層(インキ皮膜)の摩擦係数が上昇し、防滑性を高めることができる。
【0023】
炭化水素ワックスとしては、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、パラフィンワックス、マイクロスタリンワックス、ポリプロピレンワックス等を挙げることができる。なかでも、ポリエチレンワックス及びフィッシャー・トロプシュ・ワックスが好ましい。インキ組成物中の炭化水素ワックスの含有量は、インキ組成物全体を基準として、0.05~5質量%とすることが好ましく、0.1~3質量%とすることがさらに好ましく、0.15~2質量%とすることが特に好ましい。
【0024】
ポリエチレンワックスとしては、高密度重合ポリエチレン、低密度重合ポリエチレン、酸化ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、及び特殊モノマー変性ポリエチレン等を挙げることができる。また、フィッシャー・トロプシュ・ワックスは、一酸化炭素と水素を原料とし、フィッシャー・トロプシュ法により製造されたワックスであり、ほぼ飽和の、分枝を有しない直鎖の分子構造を有する。
【0025】
炭化水素ワックスの平均粒子径は、5μm以下であることが好ましく、0.5~5μmであることがさらに好ましく、1~4.5μmであることが特に好ましい。その平均粒子径が上記の範囲内にある炭化水素ワックスを用いることで、例えばグラデーション印刷した際に白抜け等のドット抜け生じにくくなる等の版調転移が良好になる。さらに、ヒートサイクルが負荷される等の条件下で保管したような場合であっても沈降物が生じにくく、インキ安定性を高めることができる。なお、炭化水素ワックスの平均粒子径は、レーザー回折・光散乱法によって測定される体積基準の累積50%粒子径(メジアン径(D50))である。
【0026】
(脂肪酸アミド)
インキ組成物は、脂肪酸アミドを含有する。脂肪酸アミドを含有させることで、形成される印刷層(インキ皮膜)の耐ブロッキング性を向上させることができる。脂肪酸アミドとしては、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基及びアミド基を有するものが好ましい。脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等を挙げることができる。インキ組成物中の脂肪酸アミドの含有量は、インキ組成物全体を基準として、0.1~2質量%とすることが好ましく、0.2~1.5質量%とすることがさらに好ましく、0.3~0.7質量%とすることが特に好ましい。
【0027】
(溶剤)
インキ組成物は、有機溶剤等の溶剤を含有する。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;等を用いることができる。
【0028】
なかでも、トルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤を実質的に含有しない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)が好ましい。すなわち、インキ組成物は、トルエンを実質的に含有しないノントルエン系のインキであることが環境面で好ましい。また、溶剤としては、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤を質量比50:50~90:10で含有する混合有機溶剤を用いることが好ましい。
【0029】
(接着補助樹脂)
インキ組成物は、マレイン酸変性樹脂、ロジン変性樹脂、ケトン樹脂、及び塩素化ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の接着補助樹脂をさらに含有することが好ましい。これらの接着補助樹脂を含有させることで、インキ組成物で形成される印刷層の各種基材への密着性を向上させることができる。なかでも、接着補助樹脂としては、マレイン酸変性樹脂、ロジン変性樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
【0030】
インキ組成物中の接着補助樹脂の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1~50質量部とすることが好ましく、5~45質量部とすることがさらに好ましく、7.5~40質量部とすることが特に好ましく、10~30質量部とすることが最も好ましい。接着補助樹脂の含有量を上記の範囲とすることで、各種基材への印刷層の密着性をさらに高めることができる。
【0031】
マレイン酸変性樹脂としては、スチレン-マレイン酸樹脂、ポリオレフィン-マレイン酸樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合樹脂等を挙げることができる。ロジン変性樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、ロジンフェノール、重合ロジン等を用いることが好ましい。なかでも、環球法により測定される軟化点が90~200℃であるロジン変性樹脂を用いると、印刷層の耐ブロッキング性をより向上させることができるために好ましい。また、ロジン変性樹脂はポリウレタン樹脂と併用することが好ましい。インキ組成物中のマレイン酸変性樹脂の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1~50質量部とすることが好ましく、5~35質量部とすることがさらに好ましく、7.5~25質量部とすることが特に好ましく、10~20質量部とすることが最も好ましい。
【0032】
塩素化ポリオレフィン樹脂は、水素原子の少なくとも一部が塩素原子で置換されたポリオレフィン樹脂である。塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量は5,000~100,000であることが、バインダー樹脂との相溶性及び炭化水素ワックスとの親和性が良好であるために好ましい。塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率が25~45質量%であると、基材に対する印刷層の密着性がさらに向上するために好ましい。塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率は、塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素原子の含有割合(質量%)である。インキ組成物中の塩素化ポリオレフィン樹脂の含有量は、耐ブロッキング性や基材に対する印刷層の密着性とのバランスの観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、0.5~20質量部とすることが好ましく、1.0~10質量部とすることがさらに好ましく、2.0~7.5質量部とすることが特に好ましく、3.0~5.0質量部とすることが最も好ましい。
【0033】
塩素化ポリオレフィン樹脂を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン系不飽和炭化水素の単独重合体又は共重合体が好ましく、ポリプロピレンがさらに好ましい。すなわち、塩素化ポリオレフィン樹脂としては、塩素化ポリプロピレンが好ましい。塩素化ポリプロピレンと炭化水素ワックスを併用することで、各種基材に対する印刷層の密着性を相乗的に向上させることができる。
【0034】
(樹脂ビーズ)
インキ組成物は、樹脂ビーズをさらに含有することが好ましい。樹脂ビーズを含有させることで、版調転移をより良好にすることができる。また、樹脂ビーズの平均粒子径は、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。平均粒子径がこの範囲内にある樹脂ビーズを含有させることで、版調転移をより良好にすることができるとともに、インキ安定性をさらに向上させることができる。樹脂ビーズの平均粒子径は、レーザー回折・光散乱法によって測定される体積基準の累積50%粒子径(メジアン径(D50))である。
【0035】
インキ組成物中の樹脂ビーズの含有量は、インキ組成物全体を基準として、通常0.05~0.5質量%であり、好ましくは0.07~0.2質量%である。樹脂ビーズとしては、例えば、アクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、シリコン樹脂ビーズ等を用いることができる。
【0036】
(顔料)
インキ組成物には、顔料を含有させることができる。なお、顔料等の色材を実質的に含有しない無色のインキ組成物としてもよい。
【0037】
顔料としては、体質顔料、無機顔料、及び有機顔料及び等を用いることができる。体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ等の白色無機顔料;カーボンブラック、鉄黒等の黒色無機顔料;アルミニウム粒子、マイカ、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化亜鉛等の各色無機顔料;等を挙げることができる。
【0038】
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系等の各系統の有機顔料を挙げることができる。
【0039】
インキ組成物中の顔料の含有量は、インキの着色力等を確保するのに十分な量に設定すればよい。具体的には、インキ組成物中の顔料の含有量は、インキ組成物全体を基準として、通常1~50質量%とすればよい。
【0040】
(添加剤)
インキ組成物には、各種の添加剤をさらに含有させることができる。添加剤としては、顔料誘導体、分散剤、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、キレート剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、前述の炭化水素ワックス以外のワックス成分、架橋剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
【0041】
インキ組成物にキレート剤を含有させることで、プラスチック基材等に対する密着性がさらに向上するとともに、強度が向上した印刷層を形成することができる。キレート剤としては、チタンキレートジを用いることが好ましい。チタンキレート剤としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタンアルコキシドの他;トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテトナート、チタニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシチタン、チタニウムエチルアセトアセテテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、n-ブチルリン酸エステルチタン、プロパンジオキスチタンビス(エチルアセチルアセテート)等を挙げることができる。
【0042】
インキ組成物中、キレート剤の含有量は、インキ組成物全体を基準として、0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~2質量%であることがさらに好ましい。キレート剤の含有量を上記の範囲とすることで、インキ安定性がさらに向上するとともに、形成される印刷層の耐熱性、耐油性、耐ブロッキング性をより高めることができる。
【0043】
(インキ組成物の製造)
インキ組成物は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、バインダー樹脂、炭化水素ワックス等を溶剤中に溶解又は分散させることによって製造することができる。インキ組成物の粘度等の物性は、分散機に用いるメディアのサイズや充填率、分散処理時間等を適宜制御することによって調整することができる。なお、炭化水素ワックスは、溶剤にあらかじめ微分散させておき、製造工程中に添加することが好ましい。分散機としては、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミル等を用いることができる。
【0044】
<積層体>
本発明の一実施形態である積層体は、プラスチック基材と、このプラスチック基材の表面上に配設される、前述のインキ組成物で形成された印刷層とを備える、いわゆる印刷物である。本実施形態の積層体は、例えば、プラスチック基材上にインキ組成物を用いて印刷した後、揮発成分を除去して印刷層を形成することで製造することができる。印刷方法としては、グラビア印刷、フレキ素印刷等を挙げることができる。なかでも、グラビア印刷によって印刷することが好ましい。グラビア印刷に適した粘度及び濃度となるようにインキ組成物を希釈溶剤で希釈した後、グラビア印刷機の印刷ユニットに供給され、プラスチックフィルム上に塗布される。その後、オーブン等によって乾燥させることで印刷層(皮膜)を形成して定着させることで、積層体を得ることができる。
【0045】
プラスチック基材としては、フィルム状又はシート状の基材を用いることができる。基材を構成するプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;セロハン;等を挙げることができる。
【0046】
プラスチック基材は、コロナ処理されていてもよいし、未処理であってもよい。また、プラスチック基材は延伸されていてもよいし、未延伸であってもよい。プラスチック基材には、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の金属又は金属酸化物が蒸着されていてもよく、蒸着面がポリビニルアルコール等の塗料でコーティングされていてもよい。
【0047】
<食品包装材>
本発明の一実施形態である食品用包装材は、上述の積層体により形成されたものである。本実施形態の食品用包装材を構成する積層体は、前述のインキ組成物で形成された、防滑性及び耐ブロッキング性に優れた印刷層がプラスチック基材の表面上に設けられた印刷物である。このため、本実施形態の食品用包装材は、大量に積み重ねて保管したり、輸送したりする場合が多い、米袋;菓子類、パン類、ボイル麺(ゆでうどん等)等の包装袋;等として好適である。
【実施例
【0048】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0049】
<各成分の準備>
以下に示す各成分を準備した。
(バインダー樹脂)
・硝化綿(ニトロセルロース):商品名「DHX30-50」、Nobel社製
・ポリエーテル系ポリウレタン樹脂:商品名「セイカボンドA-154」、大日精化工業社製
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂:商品名「セイカボンドE-263」、大日精化工業社製
・ポリエステル樹脂:商品名「バイロン200」、東洋紡社製
・アクリル樹脂:商品名「ダイヤナールBR-106」、三菱レイヨン社製
・セルロースエステル樹脂:セルロースアセテートブチレート、商品名「CAB-381-0.5」、イーストマンケミカル社製
【0050】
(接着補助樹脂)
・スチレン-マレイン酸樹脂:商品名「アラスター700」、荒川化学工業社製
・塩素化PP:塩素化ポリプロピレン、商品名「スーパークロン814HS」、日本製紙社製
・ロジン誘導体:商品名「フォーラルAXE」、山宗化学社製
【0051】
(炭化水素ワックス)
・ワックスA:低密度ポリエチレンワックス、商品名「ハイワックス220P」、三井化学社製、針入度13、平均粒子径2μm、4μm、6μm
・ワックスB:酸化ポリエチレンワックス、商品名「ハイワックス220MP」、三井化学社製、針入度14、平均粒子径2μm、6μm
・ワックスC:低密度ポリエチレンワックス、商品名「ハイワックス320P」、三井化学社製、針入度7、平均粒子径2μm
・ワックスD:高密度ポリエチレンワックス、商品名「ハイワックス400P」、三井化学社製、針入度<1、平均粒子径2μm、4μm
・ワックスE:酸化ポリエチレンワックス、商品名「ハイワックス310MP」、三井化学社製、針入度3、平均粒子径2μm
【0052】
(脂肪酸アミド)
・エルカ酸アミド:商品名「ニュートロンS」、日本精化社製
・ステアリン酸アミド:商品名「ニュートロン-2」、日本精化社製
【0053】
(樹脂ビーズ)
・アクリル樹脂ビーズA:商品名「MR-1HG」、綜研化学社製、平均粒子径1μm
・アクリル樹脂ビーズB:商品名「エポスターMA2001」、日本触媒社製、平均粒子径3μm
・アクリル樹脂ビーズC:商品名「テクポリマーMBX-5」、積水化成品工業社製、平均粒子径5μm
・ベンゾグアナミン樹脂ビーズ:商品名「エポスターMS」、日本触媒社製、平均粒子径2μm
・ウレタン樹脂ビーズ:商品名「ダイミックビーズUCN-5030D」、大日精化工業社製、平均粒子径3μm
【0054】
(顔料)
・酸化チタン:商品名「チタニックスJR-701」、テイカ社製
・銅フタロシアニンブルー:商品名「ZCA-350EP」、大日精化工業社製
【0055】
(その他の成分)
・可塑剤A:商品名「トップサイザー」、富士アミドケミカル社製
・可塑剤B:商品名「ATBC」、旭化成社製
・消泡剤:商品名「BYK-054」、BYK社製
・チタンキレート剤:商品名「オルガチックスTC-100」、マツモトファインケミカル社製
・高分子分散剤:商品名「ソルスパース」、ルーブリゾール社製
・シリコン:商品名「KP-357」、信越シリコン社製
・溶剤:酢酸エチル(EAC)、酢酸ノルマルプロピル(NPAC)、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルシクロヘキサン(MCH)(EAC/NPAC/IPA/MCH=50/30/15/5)
【0056】
<インキ組成物の調製>
(実施例1)
硝化綿4.4部、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂6.7部、スチレン-マレイン酸樹脂1.9部、ワックスA(2μm)0.2部、エルカ酸アミド0.4部、アクリル樹脂ビーズA0.1部、酸化チタン23.8部、塩素化PP0.5部、可塑剤A0.9部、可塑剤B1.4部、消泡剤0.02部、チタンキレート剤1.2部、及び溶剤58.5部を混合し、ペイントシェーカーを使用して十分に分散させて、インキ組成物(実施例1(白インキ))を得た。
【0057】
(実施例2~11、13、14、16、17、参考例12、15、比較例1~5)
表1-1、1-2、及び2に示す種類及び量の各成分を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、インキ組成物(実施例2~10及び13、14、16、参考例12、15(白インキ)、比較例1~4(白インキ)、実施例11(青インキ)、実施例17及び比較例5(無色インキ))を得た。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
<評価>
ヘリオ175線/inchグラビア彫刻版を備えたグラビア印刷機を使用し、以下に示す各基材に調製した各インキ組成物を付与して印刷物を製造した。
・OPP:片面をコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、厚さ25μm
・PET:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、厚さ12μm
・OPS:収縮二軸延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、厚さ30μm
【0062】
(基材密着性)
製造した印刷物の印刷面にセロファンテープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン社製、幅18mm)を貼り付けた後に剥離する密着性試験を行い、以下に示す評価基準にしたがって各基材への画像の密着性を評価した。結果を表3及び4に示す。
○:セロファンテープ側にインキ塗膜の取られなし
×:セロファンテープ側にインキ塗膜が全面取られ
【0063】
(版調転移)
OPPフィルムに白インキを付与してグラビア彫刻版175線にてベタ画像を印刷した後、さらに青インキを付与するグラビア彫刻版175線10~90%の諧調版にてグラデーション印刷を行った。青インキとしては、商品名「NB300 739藍」(大日精化工業製)を用いた。青インキを付与したハイライト箇所に生じたドット抜けの有無を目視にて確認し、以下に示す評価基準にしたがって版調転移を評価した。結果を表3及び4に示す。
◎:グラデーション20%箇所のセル抜けなし、10%箇所のセル抜けあり
○:グラデーション30%箇所のセル抜けなし、20%箇所のセル抜けあり
×:グラデーション40%箇所からセル抜けあり
【0064】
(摩擦係数)
OPPフィルムにインキ組成物(白インキ及び青インキ)を付与して製造した印刷物の印刷面同士を重ね、JIS K7125(200g荷重、100mm/分)にて滑らせることによって静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果を表3及び4に示す。
【0065】
(摩擦係数(OPS))
OPSフィルムにインキ組成物(無色インキ)を付与して製造した印刷物の印刷面にPETフィルムを重ね、JIS K7125(200g荷重、100mm/分)にて滑らせることによって静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果を表4に示す。
【0066】
(耐ブロッキング性)
OPPフィルムにインキ組成物を付与して製造した印刷物(実施例1~11、13、14、参考例12、比較例1~5)、PETフィルムにインキ組成物を付与して製造した印刷物(参考例15、比較例6)、及びOPSフィルムにインキ組成物を付与して製造した印刷物(実施例16、比較例7)のそれぞれの印刷直後の印刷面同士を重ね合わせた。
荷重7kg/cmで加圧した状態で40℃の恒温槽内に48時間保管した後、印刷面同士の付着の有無を確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキング性を評価した。結果を表4に示す。
◎:無抵抗で剥離可能
○:僅かな剥離抵抗はあるが反対面へのインキ取られなし
△:剥離抵抗あり
×:インキ取られあり
【0067】
(インキ安定性)
300mLの密閉容器にインキ組成物をそれぞれ充填した。0℃×12時間及び40℃12時間のヒートサイクルを2週間実施した後の沈降状態を目視、及び沈降状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがってインキ安定性を評価した。結果を表3及び4に示す。
○:分離、沈降なし
△:分離無し、沈降あり
×:分離あり、沈降あり
【0068】
(ガイドロール取られ)
印刷後のグラビア印刷機のガイドロールにおけるインキ又はインキ塗膜の付着の有無を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって「ガイドロール取られ」を評価した。結果を表3及び4に示す。
○:ガイドロール取られなし
×:ガイドロール取られあり
【0069】
(版詰まり)
グラビア彫刻版175線10~90%の諧調版にて印刷速度50m/分で印刷し、印刷開始~60分間印刷後のハイライト部分のインキ転移量を確認し、以下に示す評価基準にしたがって「版詰まり」を評価した。結果を表3に示す。
○:グラデーション10%箇所のインキ転移量が印刷開始時と60分後に変化なし
△:グラデーション20%箇所のインキ転移量が印刷開始時と60分後に変化なし
×:グラデーション30%箇所のインキ転移量が印刷開始時と60分後に変化なし
【0070】
(版カブリ)
製造した印刷物における非印刷部の汚れ具合を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって「版カブリ」を評価した。結果を表3に示す。
○:非画線部へのインキ転移なし
△:非画線部に僅かなインキ転移あり
×:非画線部にインキ転移あり
【0071】
【0072】
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のインキ組成物は、食品包装材等の各種包装材を構成するプラスチック基材(フィルム)に印刷するための表刷り用グラビアインキや裏刷り用グラビアインキとして好適である。