IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-免疫原性組成物を製造する方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】免疫原性組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20241023BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241023BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61K39/12 ZNA
A61K47/18
A61P31/20
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112941
(22)【出願日】2022-07-14
(62)【分割の表示】P 2020551455の分割
【原出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2022169505
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】18163918.8
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519064665
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ウィルムス レイ
(72)【発明者】
【氏名】クーンズ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ガッセル マイケル ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】オルベイヨン フランソワ-ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】テプファー カタリーナ ヘートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】バウティスタ エリダ
(72)【発明者】
【氏名】シュレージンガー キャシー
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503893(JP,A)
【文献】特表2016-531859(JP,A)
【文献】特表2017-506643(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109225(WO,A1)
【文献】特開平03-130082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 組換えPCV2 ORF2タンパク質であって、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
- 1.4~4.7μMのL-アルギニンおよび4.0~12.2μMのL-リジン
を含む、免疫原性組成物であって、
前記免疫原性組成物中のチオ硫酸ナトリウムの量が3μM未満であ且つ
前記組換えPCV2 ORF2タンパク質が免疫原性を有する、
免疫原性組成物。
【請求項2】
弱毒化生ウイルスをさらに含み、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、PCV2に対する防御免疫応答を誘導し、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスに対する防御免疫応答を誘導する、
請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の免疫原性組成物を含有する容器を含むキットであって、弱毒化生ウイルスからなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原を含有する少なくとも1つの追加の容器を含む
キット。
【請求項4】
医薬としての使用のための、請求項1または2に記載の免疫原性組成物、および/または請求項3に記載のキット。
【請求項5】
動物において、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する、
方法において使用するためのものである、
請求項1、2および4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、ならびに/または請求項3もしくは4に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫原性組成物を製造する方法、および低減された殺ウイルス活性を示すこのような免疫原性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブタサーコウイルス2型(PCV2)は小さな(直径17~22nm)二十面体の無エンベロープDNAウイルスであり、一本鎖環状ゲノムを含有する。PCV2は、ブタサーコウイルス1型(PCV1)とおよそ80%の配列同一性を共有する。しかしながら、一般に非病原性であるPCV1とは対照的に、PCV2に感染したブタは、通常、離乳後多臓器消耗症候群(PMWS)と呼ばれる症候群を示す。PMWSは、臨床的には、衰弱、皮膚の蒼白、発育不全、呼吸促迫、下痢、黄疸(icterus)および黄疸(jaundice)によって特徴付けられる。一部の罹患ブタにおいて、すべての症状の組み合わせが明白であるが、他のブタは、これらの症状の1つまたは2つのみを有する。剖検時には、顕微鏡的および肉眼的病変も、複数の組織および器官において明白であり、リンパ組織が最も一般的な病変部位である。PCV2核酸または抗原の量および顕微鏡的リンパ病変の重症度の間には強い相間が観察されている。PCV2に感染したブタについての死亡率は、80%に達し得る。PMWSに加えて、PCV2は、仮性狂犬病、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)、グラッサー病、連鎖球菌性髄膜炎、サルモネラ症、離乳後の大腸菌症、食餌性肝臓症および化膿性気管支肺炎を含む、いくつかの他の感染症と関連している。
【0003】
いくつかのワクチンが、ブタにおけるPCV2感染症の影響を低減するために利用可能である。米国特許6,703,023号は、PMWSに対するブタの予防のためのDNA系ワクチンを提供する。国際公開第03/049703号において、非病原性PCV1ウイルスを含むが、しかしながらORF2タンパク質が病原性PCV2のORF2タンパク質によって置き換えられた、生キメラワクチンの製造が記載されている。国際公開第99/18214号および国際公開第99/29717号は、いくつかのPCV2株およびPCV2死菌ワクチンの調製のための手順を提供している。サブユニットワクチンの調製は、国際公開第99/18214号および国際公開第99/29717号にも記載されている。有効なORF2系サブユニットワクチンは、国際公開第06/072065号に報告されている。さらなるORF2系サブユニットワクチンは、国際公開第07/28823号にも記載されている。
【0004】
SDS-PAGEゲルで行った場合におよそ30kDaの分子量を有するPCV2のオープンリーディングフレーム2(ORF2)タンパク質が、これまで、PCV2のための、ワクチンにおける抗原成分および免疫原性組成物として利用されている。このようなワクチンおよび組成物において使用するためのORF2を得る典型的な方法は、一般に、ORF2をコードするPCV2 DNAを増幅すること、ORF2タンパク質を宿主細胞内で発現させること、および細胞溶解によって宿主細胞からORF2タンパク質を抽出することからなる。次いで、回収されたORF2細胞溶解物は、免疫原性組成物またはワクチンの抗原部分として使用される。いくつかの場合において、ORF2を含有する細胞溶解物は、細胞残屑から分離される。
PCV2に対する免疫原性組成物および他の病原体に対する種々の免疫原性組成物は、多くの場合、他の抗原に対する殺ウイルス効果を有する。例えば、米国における現在の規制基準(9 CFR 113.35)は、多価組成物においてある程度の殺ウイルス活性を許容するが、この殺ウイルス活性は、免疫原性組成物の他の成分と組み合わせた場合に、0.7log/mLを超える生ウイルスの損失、または0.7log/mL CFU未満の生細菌の損失をもたらすものであってはならない。許容を超える殺ウイルス活性を有する組成物は、多価ワクチンを作出するために他の抗原と組み合わせることができない。
【発明の概要】
【0005】
この目的で、国際公開第11/28888号は、PCV2抗原を含む組成物の殺ウイルス活性を低減する方法、ならびに殺ウイルス活性が低減された、PCV2抗原を含む抗原性調製物および免疫原性組成物を提供する。より詳細には、国際公開第11/28888号は、このようなPCV2抗原性組成物を大スケールで製造する方法であって、方法が、
i)ORF2タンパク質のウイルス様粒子を含むPCV2抗原を含有する第1の液体を得るステップ、および
ii)第1の液体の少なくとも一部を、フィルターを利用する濾過ステップによって、ORF2タンパク質のウイルス様粒子を含むPCV2抗原から除去するステップであって、フィルターが、PCV2抗原よりも小さな平均孔径を有する半透膜を含み、それによって、半透膜の孔をPCV2抗原の少なくとも90%が通過することを防ぎ、フィルター内にPCV2抗原を保持するステップ
を含み、
第1の液体の一部が、第2の液体に対する第1の液体の一部の交換によってPCV2抗原から除去され、第2の液体が、第1の液体と異なり、
第1の液体の一部の第2の液体との交換が、
a)第2の液体を、PCV2抗原を含有する第1の液体に添加することを含む液体の添加のステップ、および
b)PCV2抗原を、第1および第2の液体の一部を除去することによって、第1の液体の体積と比較して、3倍~50倍濃縮するステップ
を含む、方法を教示する。
【0006】
しかしながら、第2の液体を好ましくは第1の液体に対して過剰体積で添加することを含む前記液体の添加のステップa)は、第1および第2の液体の生じた体積が、通常、第1の液体と比較して、濃縮ステップb)の前に、倍数で増加するので、総製造スケールの体積に関する制限をもたらし得る。
そのため、さらに大きなスケールで、さらに非常に大きなスケールで、殺ウイルス効果が低減された組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造するためのさらなる方法が望まれる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲によって特徴付けられた記載および実施形態によって達成される。
したがって、その異なる態様における本発明は、特許請求の範囲に従って実行される。
本発明は、組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法が、所望の目的に対して十分であるという驚くべき知見に基づいており、ここで、本方法は、好ましくは以下の順序で、
(a) - 第1の液体、ならびに
- 組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造
を含有する混合物を提供するステップ、
(b)ステップ(a)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、連続透析濾過によって、特に、第2の液体に対する連続透析濾過によって、処理するステップであって、第2の液体が、第1の液体と異なる、
からなるか、またはこれらのステップ
を含む。
本明細書で使用される場合、「第1の液体」という用語は、それぞれ、「最初の液体」または「液体(1)」という用語と等価であることが理解される。したがって、「第1の液体」という用語は、「液体(1)」という用語、または「最初の液体」という用語と互換可能である。
本明細書で使用される場合、「第2の液体」という用語は、それぞれ、「さらなる液体」または「液体(2)」という用語と等価であることがさらに理解される。したがって、「第2の液体」という用語は、「液体(2)」という用語、または「さらなる液体」という用語と互換可能である。
【0008】
1つの好ましい態様において、ステップ(a)の混合物は、前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを追加で含有し、前記ベクターは、不活性化剤によって不活性化されている。別の好ましい態様によれば、ステップ(a)の混合物は、中和剤によって中和されている不活性化剤を追加で含有する。
さらに別の好ましい態様において、ステップ(a)の混合物は、中和剤を追加で含有する。
本明細書で言及される場合、特に、「ステップ(a)の混合物」という用語は、「ステップ(a)において提供される混合物」と同義であることが理解される。本明細書で使用される場合、「ステップにおいて提供される」という用語は、特に、「ステップによって提供される」と等価であることが理解される。
本発明は、本明細書に記載の方法および/または特許請求の範囲に係る方法であって、上記のステップ(a)の混合物が、
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターであって、不活性化剤によって不活性化されているベクター、および/または
- 中和剤によって中和されている不活性化剤、および/または
- 中和剤
を追加で含有し、
好ましくは、ステップ(a)の混合物が、前記ベクター、前記中和された不活性化剤および中和剤を追加で含有する、方法にさらに関する。
【0009】
さらにまた、ステップ(c)において、ステップ(b)から得られる溶液は、好ましくは、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって処理される。
本発明の態様を記載する前に、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、対応する複数形を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「抗原(an antigen)」への言及は、複数の抗原を含み、「ウイルス(virus)」への言及は、1つまたは複数のウイルス(viruses)および当業者に公知のその等価物などへの言及である。他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法、デバイスおよび材料を、ここに記載する。本明細書で言及されたすべての刊行物は、本発明に関連して使用される可能性がある、刊行物に報告されている細胞株、ベクターおよび方法論を記載および開示する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。ここで、本発明が、以前の発明によって、そのような開示に先行する権利がないという自白として解釈されるべきではない。
【0010】
1つの態様において、本発明は、組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法であって、好ましくは、以下の順序で、
(a)(i) - 第1の液体、
- 組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造、ならびに
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクター
を含有する混合物を提供するステップ、
(ii)ベクターを、不活性化剤をステップ(i)の混合物に添加することによって、不活性化するステップ、
(iii)不活性化剤を、中和剤をステップ(ii)から得られる混合物に添加することによって、中和するステップ、
(b)ステップ(a)(iii)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって、処理するステップ
からなるか、あるいはこれらのステップを含む、方法に関する。
【0011】
特に、ステップ(c)の連続透析濾過は、第2の液体に対する連続透析濾過であり、第2の液体は、第1の液体と異なる。
本発明の文脈において、特に、「(i)」、「(ii)」および「(iii)」はステップ(a)のサブステップを表すか、あるいは、それぞれ、ステップ(a)が、サブステップ「(i)」、「(ii)」および「(iii)」からなるか、またはこれらのサブステップを含むこと、したがって、(i)が「(a)(i)」と等価であり、(ii)が「(a)(ii)」と等価であり、(iii)が「(a)(iii)」と等価であることが理解される。
本明細書で言及される場合、特に、「ステップ(i)の混合物」および「ステップ(a)(i)の混合物」という用語は、それぞれ、「ステップ(i)において提供される混合物」および「ステップ(a)(i)において提供される混合物」と、それぞれ同義であることが理解される。
【0012】
本発明の目的のために、「第1の液体」は、典型的には、細胞、抗原、免疫原性組成物、ワクチンなどと組み合わせて使用される、液体、水性または流動性媒地を指す。好ましくは、第1の液体は、抗原組成物由来の媒地を含み、より好ましくは、第1の液体は、培養された宿主細胞において組換えタンパク質の産生のために使用された細胞培養培地を含むか、または好ましくは、この細胞培養培地からなる。前記培養された宿主細胞は、細菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞および哺乳動物細胞であり得、昆虫および哺乳動物細胞が特に好ましい。したがって、第1の液体は、細菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞または哺乳動物細胞の培養ための媒地を含んでいてもよく、またはこれらの媒地からなってもよい。好ましくは、細胞培地は、無血清細胞培地であり、最も好ましくは、培養培地は、昆虫細胞が用いられる場合に、Excell 420無血清培地である。
【0013】
別の態様において、したがって、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、前記第1の液体が、細胞培養培地の一部を含むか、または細胞培養培地からなり、細胞培養培地は、好ましくは、昆虫細胞培養培地である、方法に関する。
本発明の目的のために、「一部」は、全量を包含しない任意の量を指す。例えば、液体の一部は、液体の体積の100%未満の量、例えば、液体の90%、液体の80%、液体の70%、および0%より多く100%未満のすべての量である。
本明細書で使用される場合、「組換えタンパク質」という用語は、特に、組換えDNA技法によって産生されるタンパク質を指し、一般に、発現タンパク質をコードするDNAを好適な発現ベクターに挿入し、次に、これを使用して、形質転換するか、またはウイルスベクターの場合には、宿主細胞に感染させて、異種タンパク質を産生させる。したがって、本明細書で使用される場合、「組換えタンパク質」という用語は、特に、組換えDNA分子から発現したタンパク質分子を指す。本明細書で使用される「組換えDNA分子」は、分子生物学的技法によって一緒に連結されたDNAのセグメントで構成されるDNA分子を指す。組換えタンパク質の産生のための好適な系としては、限定されるものではないが、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス)、原核細胞系(例えば、大腸菌)、酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)、ピキア・パストリス)、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣、HEK293)、植物(例えば、ベニバナ)、鳥類細胞、両生類細胞、魚類細胞、および無細胞系(例えば、ウサギ網状赤血球溶血液)が挙げられる。
【0014】
本発明の文脈において、組換えタンパク質は、好ましくは、組換えPCV2 ORF2タンパク質である。
本発明の文脈で使用される「四次構造」という用語は、特に、マルチサブユニット複合体中の複数の折り畳まれたタンパク質分子の集合体に関し、特に、ウイルス様粒子に関する。
本発明の目的のために、「複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造」は、複数の前記組換えタンパク質を含むウイルス様粒子などの複数の前記組換えタンパク質の三次元配置を指す。これに関して、特に、「複数の前記組換えタンパク質」という用語は、「複数の組換えタンパク質」と等価であることが理解される。特に、前記用語は、特定の組換えタンパク質、例えば、組換えPCV2 ORF2タンパク質のいくつかの分子を含むウイルス様粒子を意味することが理解される。本発明の文脈において、「ベクターを不活性化する」は、特に、通常複製能力があるベクターを、複製できなくすることを意味する。「不活性化」は、特に、ベクターを不活性化するプロセスを指す。
【0015】
本発明の目的のために、「不活性化剤」は、任意の従来の不活性化方法において使用することができる任意の剤を指す。不活性化は、当業者に公知の化学的処理およびまたは物理的処理によって行うことができる。好ましい不活性化剤としては、バイナリーエチレンイミン(BEI)に環化した、2-ブロモエチレンアミン臭化水素酸塩(BEA)の溶液を含む、環化バイナリーエチレンイミン(BEI)が挙げられる。好ましいさらなる化学的不活性化剤は、限定されるものではないが、Triton X-100、デオキシコール酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、β-プロピオラクトン、チメロサール、フェノールおよびホルムアルデヒド(ホルマリン)を含む。したがって、本明細書で使用される場合、「不活性化剤」という用語は、特に、ベクターが複製できなくなるような化学反応によってベクターを改変する能力がある化学剤に関する。
好ましくは、不活性化剤は、アジリジン化合物、特に、バイナリーエチレンイミン(BEI)であり、および/または不活性化剤は、ベクターに対してモル過剰で、特に、BEIと反応するベクターDNA塩基対の窒素塩基に対してモル過剰で添加される。
【0016】
本発明の目的のために、「中和剤」は、不活性化剤がもはやベクターを不活性化する能力がないように、本明細書に記載の不活性化剤を中和する能力がある任意の剤を指す。アジリジン化合物が不活性化のために使用される場合、その結果として、好ましくは、3員環を開環する求核剤が中和のために使用される。不活性化剤を中和する剤は、好ましくは、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどである。
特に、中和剤がチオ硫酸ナトリウムであること、および/または中和剤が不活性化剤に対してモル過剰で添加されることが好ましい。
本明細書に記載される場合、「中和された不活性化剤」は、特に、不活性化剤と中和剤の化学反応から生じる生成物または複数の生成物、例えば、BEIとチオ硫酸塩または他の求核剤の化学反応の複数の生成物に関する。
任意の従来の化学的不活性化方法を、ベクターを不活性化するために使用することができる。好ましい形態では、化学的処理のために、温度は、約32℃~42℃の間、より好ましくは、約34℃~40℃の間、最も好ましくは、約35℃~39℃の間にされる。好ましい不活性化方法は、好ましくは、約1~約20mM、好ましくは、約2~約10mM、さらにより好ましくは、約2~約8mM、さらにより好ましくは、約3~約7mM、最も好ましくは、約5mMの濃度での環化バイナリーエチレンイミン(BEI)の添加を含む。例えば、不活性化は、好ましくは、約0.4Mの2-ブロモエチレンアミン臭化水素酸塩(BEA)の溶液の添加を含み、これは、0.3NのNaOH中、0.2Mのバイナリーエチレンイミン(BEI)に環化されて、約5mMのBEIの最終濃度を流体に与える。好ましくは、流体は、次いで、連続して2~96時間撹拌される。不活性化が終了した後、チオ硫酸ナトリウム溶液、好ましくは1.0Mのチオ硫酸ナトリウム溶液が、任意の残留BEIを中和するために添加され、不活性化/中和された収集流体は、-40℃以下で凍結保管、または約1℃~7℃の間で保管され得る。好ましくは、チオ硫酸ナトリウムは、不活性化のために以前に添加されたBEIと比較して、当量で添加される。例えば、BEIが5mMの最終濃度で添加される場合において、1.0Mのチオ硫酸ナトリウム溶液が、任意の残留BEIを中和するために、5mMの最終最低濃度を与えるために添加される。
【0017】
したがって、ステップ(iii)において、中和剤は、好ましくは、ステップ(ii)において添加された不活性化剤の量と比較して、当量で添加される。範囲の文脈において、本明細書に記載される場合、特に、例えば、「0.1 ~ 1.0」は「0.1~1.0」と等価であるように、「y ~ z」は「y~z」と等価であり、両方とも「y~z(y to z)」とそれぞれ等価であることが理解される。
【0018】
本発明の目的のために、「ベクター」および「前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクター」は、適切な発現ベクター、好ましくは、バキュロウイルス発現ベクターを指し、次に、これを使用して、DNAによりコードされるタンパク質またはポリペプチドを産生するように、宿主細胞にトランスフェクトするか、またはバキュロウイルス発現ベクターの場合には、宿主細胞に感染させる。ベクター、ならびに発現のためのベクター(または組換え体)を作製および/または使用するための方法は、米国特許第4,603,112号、米国特許第4,769,330号、米国特許第5,174,993号、米国特許第5,505,941号、米国特許第5,338,683号、米国特許第5,494,807号、米国特許第4,722,848号、米国特許第5,942,235号、米国特許第5,364,773号、米国特許第5,762,938号、米国特許第5,770,212号、米国特許第5,942,235号、米国特許第382,425号、PCT公開の国際公開第94/16716号、国際公開第96/39491号、国際公開第95/30018号;Paoletti, "Applications of pox virus vectors to vaccination: An update, "PNAS USA 93: 11349-11353, October 1996;Moss, "Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expression, vaccination, and safety," PNAS USA 93: 11341-11348, October 1996;Smithら、米国特許第4,745,051号(組換えバキュロウイルス);Richardson, C. D. (Editor), Methods in Molecular Biology 39, "Baculovirus Expression Protocols" (1995 Humana Press Inc.);Smith et al., "Production of Human Beta Interferon in Insect Cells Infected with a Baculovirus Expression Vector", Molecular and Cellular Biology, December, 1983, Vol. 3, No. 12, p. 2156-2165;Pennock et al., "Strong and Regulated Expression of Escherichia coli B-Galactosidase in Infect Cells with a Baculovirus vector, "Molecular and Cellular Biology March 1984, Vol. 4, No. 3, p. 406;欧州特許出願第0370573号;1986年10月16日に出願された米国出願第920,197号;欧州特許出願公開第265785号;米国特許第4,769,331号(組換えヘルペスウイルス);Roizman, "The function of herpes simplex virus genes: A primer for genetic engineering of novel vectors," PNAS USA 93:11307-11312, October 1996; Andreansky et al., "The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors," PNAS USA 93: 11313-11318, October 1996; Robertson et al., "Epstein-Barr virus vectors for gene delivery to B lymphocytes", PNAS USA 93: 11334-11340, October 1996; Frolov et al., "Alphavirus-based expression vectors: Strategies and applications," PNAS USA 93: 11371-11377, October 1996; Kitson et al., J. Virol. 65, 3068-3075, 1991;米国特許第5,591,439号、米国特許第5,552,143号;国際公開第98/00166号;いずれも、1996年7月3日に出願され、認可された、米国出願第08/675,556号および米国出願第08/675,566号(組換えアデノウイルス);Grunhaus et al., 1992, "Adenovirus as cloning vectors," Seminars in Virology (Vol. 3) p. 237-52, 1993;;Ballay et al. EMBO Journal, vol. 4, p. 3861-65, Graham, Tibtech 8, 85-87, April, 1990;Prevec et al., J. Gen Virol. 70, 42434;PCTの国際公開第91/11525号;Felgner et al. (1994), J. Biol. Chem. 269, 2550-2561, Science, 259: 1745-49, 1993;およびMcClements et al., “Immunization with DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprotein B, alone or in combination, induces protective immunity in animal models of herpes simplex virus-2 disease”, PNAS USA 93: 11414-11420, October 1996;ならびに米国特許第5,591,639号、米国特許第5,589,466号および米国特許第5,580,859号、ならびに国際公開第90/11092号、国際公開第93/19183号、国際公開第94/21797号、国際公開第95/11307号、国際公開第95/20660号;とりわけ、DNA発現ベクターに関する、Tang et al., Nature, and Furth et al., Analytical Biochemistryにおいて開示されている方法によって、またはこれらに開示されている方法と類似の方法で行うことができる。また、国際公開第98/33510号;Ju et al., Diabetologia, 41: 736-739, 1998(レンチウイルス発現系);Sanfordら、米国特許第4,945,050号;Fischbach et al.(イントラセル);国際公開第90/01543号;Robinson et al., Seminars in Immunology vol. 9, pp. 271-283 (1997)(DNAベクター系);Szokaら、米国特許第4,394,448号(生細胞にDNAを挿入する方法);McCormickら、米国特許第5,677,178号(細胞変性ウイルスの使用);および米国特許第5,928,913号(遺伝子送達のためのベクター)、ならびに本明細書で引用される他の文献も参照されたい。
【0019】
好ましいウイルスベクターとしては、特に、産生細胞が、昆虫細胞であるのであれば、BaculoGold(BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA)などのバキュロウイルスが挙げられる。バキュロウイルス発現系が好ましいが、上記で記載した発現系を含む他の発現系が、本発明の目的のため、すなわち、組換えタンパク質の発現のために働くことは当業者に理解される。
【0020】
したがって、本発明の文脈において、「ベクター」は、好ましくは、組換えウイルス、好ましくは、バキュロウイルスであり、および/または「核酸配列」は、好ましくは、DNA配列である。
好ましくは、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法のステップ(b)において、前記混合物から第1の液体の一部を除去するステップは、少なくとも1つのフィルターで前記混合物を濾過することからなるか、またはこれを含み、前記少なくとも1つのフィルターは、好ましくは、フィルター膜を含む。
【0021】
別の好ましい態様によれば、ステップ(b)において、前記濃縮するステップは、
- 混合物を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することであって、少なくとも1つのフィルターが、バルク流中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む、こと、ならびに
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること、
を含む。
【0022】
さらに好ましい態様によれば、ステップ(c)において、前記連続透析濾過は、
- 溶液を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することであって、少なくとも1つのフィルターが、バルク流中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む、こと、
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること、ならびに
- 第2の液体を、透過物流と等しい速度でバルク流に添加することであって、第2の液体が、第1の液体と異なる、こと、
を含む。
【0023】
本発明の目的のために、「第2の液体」は、第1の液体とは異なる、細胞、抗原、免疫原性組成物、ワクチンなどと組み合わせて通常使用される任意の液体を指す。好ましくは、第2の液体は、水溶液、さらにより好ましくは、薬学的に許容される溶液、さらにより好ましくは、緩衝液、最も好ましくは、生理学的に許容される緩衝液、例えば、生理食塩水またはリン酸緩衝液など、例えば、P-生理食塩水またはPBSである。最も好ましくは、第2の液体は、生ウイルスまたは生細菌がこのような液体中で培養または保管される場合に、任意の生ウイルスまたは生細菌に対して殺ウイルス性ではないことによって特徴付けられる。
好ましくは、本明細書に記載の少なくとも1つのフィルターは、少なくとも1つのフラットシートフィルターおよび/または少なくとも1つの中空繊維フィルターであり、前記少なくとも1つのフィルターは、最も好ましくは、少なくとも1つのフラットシートフィルターである。少なくとも1つのフラットシートフィルターは、好ましくは、少なくとも1つのカセットフィルターである。
【0024】
特に、少なくとも1つのフィルターは、2~8フィルター、好ましくは、5~7フィルター、最も好ましくは、6フィルターであり、および/または少なくとも1つのフィルターのそれぞれは、特に、約16~26m2、好ましくは、約20~22m2、最も好ましくは、約21m2の総フィルター面積を有する。
本明細書に記載される場合、フィルター膜は、好ましくは、組換えタンパク質よりも小さい平均孔径および/または前記四次構造よりも小さい平均孔径を有し、ならびに/あるいは、フィルター膜は、好ましくは、約200kDa~約500kDaの間、特に約300kDaの分子量カットオフを有する。
【0025】
好ましくは、フィルター膜は、ポリエーテルスルホン、セルロース水和物、再生セルロース、安定化セルロース、架橋セルロース、架橋セルロース水和物、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなるか、またはこれらの材料を含み、
ならびに/あるいは、フィルター膜は、好ましくは、ポリエーテルスルホンからなるか、もしくはポリエーテルスルホンを含み、またはフィルター膜は、安定化セルロース系膜であってもよい。
本発明の別の好ましい態様によれば、ステップ(b)において、およびステップ(c)において、同じフィルターシステムが利用される。したがって、この好ましい態様によれば、単一のフィルターシステムが、ステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過の両方のために使用される。
好ましくは、ステップ(c)の後に残った混合物は、ステップ(iii)から得られる中和剤の濃度の1000倍未満の濃度の不活性化剤を含む。
【0026】
さらにまた、本発明の文脈において、
- ステップ(iii)が、第1の容器中で行われ、不活性化剤を中和するステップから得られる混合物が、第1の容器から、フィルターシステムと接続された第2の容器に移送され、混合物を、第1の容器から第2の容器に移送した後、第1の容器および第2の容器の間のバルブが閉鎖され、空の第1の容器が第2の液体で満たされ、
- ステップ(b)において、混合物が、濃縮が終了するまで、第2の容器およびフィルターシステムを通って循環され、ならびに
- ステップ(c)において、混合物が、フィルターシステムおよび第2の容器を通って循環している間に、第1および第2の容器の間のバルブが開放され、第2の液体が、第1の容器から第2の容器に連続的に導入される
ことが特に好ましいことを見出した。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、ステップ(a)から得られる混合物の体積が、1000L~10000L、好ましくは、2000L~8000L、最も好ましくは、3000L~5000Lである、方法に関する。
【0027】
本明細書で言及される場合、「ステップ(a)から得られる混合物の体積」は、特に、「前記濃縮する前のステップ(b)中の混合物の最初の体積」と等価であることが理解される。別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、ステップ(b)において、前記組換えタンパク質および/または前記四次構造が、ステップ(a)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも8倍、より好ましくは、9倍~11倍、最も好ましくは、約10倍に最終的に濃縮される。
本明細書で提供される方法の濃縮するステップ(b)は、組換えタンパク質、または前記四次構造が、それぞれ、ステップ(a)から得られる混合物の体積またはステップ(iii)から得られる混合物の体積と比較して、3倍~50倍に濃縮されるように、行うことができる。より好ましくは、前記濃縮するステップは、組換えタンパク質、または前記四次構造が、それぞれ、ステップ(a)から得られる混合物の体積またはステップ(iii)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも5倍、例えば、5倍~20倍に濃縮されるように、行うことができる。さらにより好ましくは、前記濃縮するステップは、組換えタンパク質、または前記四次構造が、それぞれ、ステップ(a)から得られる混合物の体積またはステップ(iii)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも8倍、例えば、8倍~14倍に濃縮されるように、行うことができる。最も好ましくは、前記濃縮するステップは、組換えタンパク質、または前記四次構造が、それぞれ、ステップ(a)から得られる混合物の体積またはステップ(iii)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも10倍、例えば、10倍~12倍に濃縮されるように、行われる。
【0028】
好ましくは、ステップ(c)において、バルク流に添加される第2の液体の総体積は、ステップ(b)から得られる溶液の体積の、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも7倍、より好ましくは、少なくとも9倍、最も好ましくは、少なくとも10倍であり、および/またはバルク流に添加される第2の液体の総体積は、最も好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物の体積とほぼ同じである。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、
(d)ステップ(c)の後に残った混合物を、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤、賦形剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分と混合するステップであって、前記混合するステップから得られる溶液中の組換えタンパク質の濃度および/または前記四次構造の濃度が、好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造の濃度とほぼ同じまたはそれ以下(例えば、0.2倍~0.5倍)である、ステップ
をさらに含む方法に関する。
【0029】
本明細書で言及される場合、「ステップ(a)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造の濃度」は、特に、「前記濃縮するステップの前に、ステップ(b)における混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造の最初の濃度」と等価であることが理解される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」としては、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤などが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される「アジュバント」としては、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、例えば、Quil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc.、Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals、Inc.、Birmingham、AL)、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョンを挙げることができる。エマルジョンは、特に、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方タイプ);スクアランまたはスクアレンなどのイソプレノイド油;アルケン、特に、イソブテンまたはデセンのオリゴマー化から得られる油;直鎖状アルキル基を含有する酸またはアルコールのエステル、より詳細には、植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ(カプリレート/カプレート)、またはプロピレングリコールジオレエート;分枝状脂肪酸またはアルコールのエステル、特に、イソステアリン酸エステルに基づくことができる。油は、乳化剤と組み合わせて使用して、エマルジョンが形成される。乳化剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤、特に、ソルビタン、マンニド(例えば、無水マンニトールオレエート)、グリコール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リノレン酸またはヒドロキシステアリン酸のエステルであって、エトキシル化されていてもよいエステル、ならびにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特に、Pluronic製品、特に、Pluronic L121である。Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.). JohnWiley and Sons, NY, pp 51-94 (1995)およびTodd et al., Vaccine 15:564-570 (1997)を参照されたい。例えば、"Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach" edited by M. Powell and M. Newman, Plenum Press, 1995の147頁に記載されているSPTエマルジョン、およびこの同じ書籍の183頁に記載されているエマルジョンMF59を使用することが可能である。さらに好適なアジュバントとしては、限定されるものではないが、多くの他のものの中で、RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx、Atlanta Ga)、SAF-M(Chiron、Emeryville Calif.)、モノホスホリスリピドA、アブリジン脂質-アミンアジュバント、大腸菌に由来する易熱性エンテロトキシン(組換えまたはその他)、コレラ毒素、IMS1314またはムラミルジペプチドが挙げられる。無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーの中には、無水マレイン酸およびエチレンのコポリマーである、コポリマーEMA(Monsanto)が含まれる。これらのポリマーの水への溶解は、免疫原性組成物、免疫学的組成物またはワクチン組成物自体に組み込まれるアジュバント溶液を与えるために、好ましくは、生理学的pHに中和される酸溶液をもたらす。
【0031】
アジュバントのさらなる例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー、および無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、特に、糖またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルで架橋された、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物は、カルボマーという用語によって公知である(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者は、少なくとも3つのヒドロキシルの水素原子が少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置き換えられた、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは、8を超えないヒドロキシル基を有する、ポリヒドロキシル化化合物で架橋されたこのようなアクリルポリマーを記載する米国特許第2,909,462号も参照することができる。好ましいラジカルは、2~4個の炭素原子、例えば、ビニル、アリルおよび他のエチレン系不飽和基を含有するものである。不飽和ラジカルは、それら自体が、メチルなどの他の置換基を含有していてもよい。Carbopolという名称で販売されている製品(BF Goodrich、Ohio、米国)が、特に、適切である。これらはアリルスクロースまたはアリルペンタエリトリトールで架橋されている。これらの中でも、Carbopol 974P、934Pおよび971Pが挙げられ得る。Carbopol 971Pの使用が最も好ましい。
【0032】
「希釈剤」としては、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを挙げることができる。
「等張剤」としては、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。
「安定化剤」としては、とりわけ、アルブミン、およびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が挙げられる。
本明細書で使用される「保存剤」は、例えば、ゲンタマイシン、メルチオレートなどの抗微生物活性剤などを指す。特に、保存剤の添加は、複数回投与組成物の調製のために最も好ましい。これらの抗微生物活性剤は、目的の組成物を、任意の微生物汚染について防止するか、または目的の組成物内での任意の微生物増殖の阻害のために有効な濃度で添加される。
【0033】
好ましくは、ステップ(d)において、前記さらなる成分は、アジュバント、水および塩化ナトリウムの組み合わせ、特に、アジュバント溶液およびP-生理食塩水の組み合わせであり、前記アジュバントは、好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー、さらにより好ましくは、カルボマーである。
本明細書で言及される場合、「P-生理食塩水」という用語は、特に、水に溶解され、pHが6.8~7.0に調整された、0.8~0.9%(w/v)のNaCl、例えば、0.85%(w/v)のNaClで構成される緩衝液に関する。
【0034】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、ステップ(a)のために使用される混合物が、
(1)前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターによる、培養中の感受性細胞の感染を可能にするステップであって、前記組換えタンパク質が前記ベクターによって発現される、ステップ
(2)その後、組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造を細胞培養から回収するステップであって、好ましくは、細胞残屑が、分離ステップ、好ましくは、少なくとも1つのフィルター、好ましくは2つのフィルターを通す精密濾過を含む分離ステップによって、組換えタンパク質および/または前記四次構造から分離され、少なくとも1つのフィルターが、好ましくは、組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含有する四次構造よりも大きな孔径を有し、特に、約1~約20μmおよび/または約0.1μm~約4μmの孔径を有する、ステップ
を含む手順によって得られる方法に関する。
好ましくは、前記方法において、分離ステップは、
- 約2μm~約15μmの孔径を有する1つもしくは複数のフィルターを通す精密濾過、および/または
- 約0.8μm~約1.0μmの孔径を有する1つもしくは複数のフィルターを通す精密濾過を含むか、あるいはこれらからなる。
【0035】
好ましい細胞は、組換えタンパク質のDNAを含有し、組換えタンパク質を発現する、適切な組換えウイルスベクターによる感染に対して感受性の細胞である。好ましくは、細胞は、昆虫細胞であり、より好ましくは、これらは、SF+昆虫細胞の商標で販売されている昆虫細胞(Protein Sciences Corporation、Meriden、CT)を含む。好ましい細胞培養は、約0.3~2.0×106細胞/mL、より好ましくは、約0.35~1.9×106細胞/mL、さらにより好ましくは、約0.4~1.8×106細胞/mL、よりさらに好ましくは、約0.45~1.7×106細胞/mL、最も好ましくは、約0.5~1.5×106細胞/mLの間の細胞カウントを有する。
前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターは、感受性細胞の感染のために使用される場合、約0.03~1.5、より好ましくは、約0.05~1.3、さらにより好ましくは、約0.09~1.1、最も好ましくは、約0.1~1.0の間の好ましい感染多重度(MOI)を有する。好ましくは、上記で言及したMOIは、1mLの細胞培養流体に対する。好ましくは、本明細書に記載の方法は、組換えタンパク質のDNAを含有し、約0.03~1.5、より好ましくは、約0.05~1.3、さらにより好ましくは、約0.09~1.1、最も好ましくは、約0.1~1.0の間のMOI(感染多重度)を有する組換えタンパク質を発現する組換えウイルスベクターによる、0.35~1.9×106細胞/mL、さらにより好ましくは、約0.4~1.8×106細胞/mL、またより好ましくは、約0.45~1.7×106細胞/mL、最も好ましくは、約0.5~1.5×106細胞/mLの感染を含む。
【0036】
適切な増殖培地はまた、当業者によって決定可能であり、好ましい増殖培地は、Excell 420(JRH Biosciences、Inc.、Lenexa、KS)などの無血清昆虫細胞培地である。
前記方法において、ステップ(1)における細胞培養が、好ましくは組換えタンパク質が前記ベクターによって発現される間、22~32℃、より好ましくは、約24~30℃、またより好ましくは、約25~29℃、さらにより好ましくは、26~28℃、最も好ましくは、27℃で維持されること、ならびに/あるいは、ステップ(2)における回収が、ベクターによる細胞の接種の後および/または細胞生存率が10%未満に減少した場合、5~8日目、最も好ましくは、8日目に発生することが好ましい。
【0037】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、前記組換えタンパク質が、
- 配列番号1もしくは配列番号2の配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を、好ましくは、含むか、あるいはこの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質
からなる群から選択される、方法に関する。
本明細書で使用される場合、「100%の配列同一性を有する」という用語は、「同一である」という用語と等価であると理解される。
配列同一性パーセントは、当技術分野で認識される意味を有し、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の同一性を測定するための多くの方法がある。例えば、Lesk, Ed., Computational Molecular Biology, Oxford University Press, New York, (1988);Smith, Ed., Biocomputing: Informatics And Genome Projects, Academic Press, New York, (1993);Griffin & Griffin, Eds., Computer Analysis Of Sequence Data, Part I, Humana Press, New Jersey, (1994);von Heinje, Sequence Analysis In Molecular Biology, Academic Press, (1987);およびGribskov & Devereux, Eds., Sequence Analysis Primer, M Stockton Press, New York, (1991)を参照されたい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを整列させるための方法は、コンピュータプログラムにおいてコード化され、GCCプログラムパッケージ(Devereux et al., Nuc. Acids Res. 12:387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J. Molec. Biol. 215:403 (1990))、およびSmith and Waterman(Adv. App. Math., 2:482-489 (1981))のローカル相同アルゴリズムを使用するBestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Unix用のバージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、575 Science Drive、Madison、Wis.53711)を含む。例えば、ギャップオープンペナルティ-12およびギャップ伸張ペナルティ-2によるアフィンギャップサーチを用いる、FASTAアルゴリズムを利用するコンピュータプログラムALIGNを使用することができる。本発明の目的のために、タンパク質/アミノ酸配列は、DNASTAR Inc.製のMegAlignソフトウェアのバージョン11.1.0(59),419におけるClustal W法を使用して、このプログラムにおけるデフォルトの複数の整列パラメーターセット(ギャップペナルティ=10.0、ギャップ長ペナルティ=0.2および遅延不一致配列(%)=30%を伴うGonnetの一連のタンパク質の重みの行列)を使用して、整列させる。
【0038】
本明細書で使用される場合、特に、「配列番号Xの配列との配列同一性」という用語は、それぞれ、「配列番号Xの長さ全体にわたる配列番号Xの配列との配列同一性」という用語、または「配列番号Xの全長におよぶ配列番号Xの配列との配列同一性」という用語と等価であることが理解される。この文脈において、「X」は、「配列番号X」が本明細書で言及される配列番号のいずれかを表すように、1~2から選択される任意の整数である。
【0039】
「配列からなる組換えタンパク質」という用語は、特に、ポリペプチドを発現する細胞によってもたらされる配列の任意の共翻訳および/または翻訳後の改変もしくは複数の改変にも関することがさらに理解される。したがって、本明細書に記載される場合、「配列からなる組換えタンパク質」という用語は、ポリペプチドを発現する細胞によってもたらされる1つまたは複数の改変、特に、好ましくは、グリコシル化、リン酸化およびアセチル化からなる群から選択される、タンパク質生合成ならびに/またはタンパク質プロセシングにおいてもたらされるアミノ酸残基の改変を有する配列も対象とする。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、複数の前記組換えタンパク質を含む前記四次構造が、複数の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むウイルス様粒子である、方法に関する。
【0040】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、前記方法から得られる混合物の殺ウイルス活性が、前記方法のステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない混合物と比較して、少なくとも20%低減され、ならびに/あるいは前記方法によって製造された免疫原性組成物が、生ウイルスが、免疫原性組成物と4時間以上、特に室温で混合される場合に、生ウイルスのmLあたり1log TCID50未満の損失の損失を引き起こす、方法に関する。本明細書で言及される場合、「室温」は、特に、20~25セルシウス度、より詳細には、(平均で)23℃に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、生ウイルスがブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスである、方法に関する。
【0041】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法であって、ステップ(c)および/またはステップ(d)の後に残った混合物を、少なくとも1つの追加の抗原と混合するステップをさらに含み、少なくとも1つの追加の抗原が、好ましくは、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスである、方法に関する。本発明の文脈において、特に、「ステップの後に残った」という用語は、「ステップから得られる」と等価であることが理解される。
本出願は、免疫原性組成物を製造する方法を提供するだけでなく、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造された免疫原性組成物にも関する。
別の態様において、したがって、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって得られる免疫原性組成物に関する。
特定の好ましい態様によれば、前記免疫原性組成物は、1~10μMのL-アルギニンおよび/または1~10μMのL-リジンを含む溶液であり、最も好ましくは、前記免疫原性組成物は、1~10μMのL-アルギニンおよび1~10μMのL-リジンを含む溶液である。
【0042】
したがって、本発明は、
- 好ましくは、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列からなるか、あるいはこれらの配列を含む、組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
- 1~10μMのLアルギニンおよび/または1~10μMのL-リジン
を含み、
任意に、中和された不活性化剤を実質的に含まないか、および/または中和剤を実質的に含まない、
免疫原性組成物も提供する。
本明細書で使用される場合、「1~10μM」は、特に、「1μMから最大で10μMまで」と等価であることが理解される。
特に、ステップ(d)から得られる免疫原性組成物または混合物は、mLあたり4~400μgの組換えPCV2 ORF2、好ましくはmLあたり8~200μgの組換えPCV2 ORF2タンパク質を含む。
【0043】
「中和剤を実質的に含まない」は、特に、免疫原性組成物が150nM未満の中和剤を含むことを意味すると理解される。したがって、例えば、「免疫原性組成物が、チオ硫酸ナトリウムを実質的に含まない」という指示は、特に、「免疫原性組成物が、150nM未満のチオ硫酸ナトリウムを含む」という仕様と等価であると理解される。
さらなる態様によれば、したがって、本発明は、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって得られる免疫原性組成物であって、ステップ(d)から得られる免疫原性組成物または混合物が、チオ硫酸ナトリウムを実質的に含まないか、または150nM未満のチオ硫酸ナトリウムを含む、免疫原性組成物に関する。
さらに、免疫原性組成物、特に、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって得られる、好ましくは、ステップ(d)を含む任意のこのような方法によって得られる免疫原性組成物であって、
配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を、好ましくは、含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
0.1~1μMのL-トリプトファン;および/または
0.1~3μMのL-グルタミン;および/または
0.2~4μMのL-メチオニン;および/または
1~10μMのL-アルギニン;および/または
1~10μMのL-トレオニン;および/または
1~15μMのL-リジン
を含む免疫原性組成物が提供される。
【0044】
好ましくは、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物は、
0.1~0.7μMのL-トリプトファン;および/または
0.7~2.4μMのL-グルタミン;および/または
0.5~3.2μMのL-メチオニン;および/または
1.4~4.7μMのL-アルギニン;および/または
1.6~8.0μMのL-トレオニン;および/または
4.0~12.2μMのL-リジン
を含む。
【0045】
より好ましくは、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物は、
0.2~0.6μMのL-トリプトファン;および/または
0.8~2.2μMのL-グルタミン;および/または
0.8~2.2μMのL-メチオニン;および/または
1.6~4.3μMのL-アルギニン;および/または
2.4~6.3μMのL-トレオニン;および/または
4.4~11.2μMのL-リジン
を含む。
特に好ましい態様によれば、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物は、0.7~2.4μMのL-グルタミン、および4.0~12.2μMのL-リジンを含むか、または好ましくは、0.8~2.2μMのL-グルタミン、および4.4~11.2μMのL-リジンを含む。
【0046】
好ましくは、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物は、チオ硫酸ナトリウムを実質的に含まない。
さらなる好ましい態様によれば、免疫原性組成物、特に、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって得られ得、好ましくは、ステップ(d)を含む任意のこのような方法によって得られる免疫原性組成物であって、二次元(2D)超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)に室温で付された場合に、0.2~0.4のピークAの面積のピークBの面積に対する比、および/または0.5~0.9のピークCの面積のピークBの面積に対する比を示し、2D UPLCが、
400μLのシステム体積を有する第一次元のクロマトグラフィーであって、
- 免疫原性組成物を含む試料が、ウイルス様粒子の結合のために好適な第4級アミン官能化材料で充填された、0.1mLのカラム体積を有する陰イオン交換カラムに注入され、ならびに
- 最初に、0分で100%の50mMのTris、pH8、1分で97.5%の50mMのTris、pH8および2.5%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8まで、最後に2分で10%の50mMのTris、pH8および90%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8の複数ステップのグラジエント方法を、0.6mL/分の流速で陰イオン交換カラムに通して行う、
第一次元のクロマトグラフィーを含み、
2.67分の保持時間で、第一次元のクロマトグラフィーから第二次元のクロマトグラフィーに切り替え、第一次元のクロマトグラフィーの50μLの溶出液を、0.3mL/分の流速で、450Åの孔径を有する1.75mLのカラム体積を有するサイズ排除カラムに通して行い、
クロマトグラムが、330nmの波長での蛍光発光および280nmの波長での励起を監視することによって記録され、
ピークAの面積が、クロマトグラムにおいて、0~1分の保持時間で最高ピークのピーク面積であり、
ピークBの面積が、クロマトグラムにおいて、7~8分の保持時間で最高ピークのピーク面積であり、
ピークCの面積が、クロマトグラムにおいて、8.5~9.5分の保持時間で最高ピークのピーク面積である、
免疫原性組成物が提供される。
【0047】
1つの好ましい態様によれば、前記試料は、50mMのTris、pH8で希釈された免疫原性組成物を含む。例えば、前記試料が、ステップ(c)の後に残った免疫原性組成物を含む場合において、次いで、試料は、好ましくは、50mMのTris、pH8で、1:10で希釈された免疫原性組成物を含むか、またはこの免疫原性組成物からなる。
ウイルス様粒子の結合のために好適な第4級アミン官能化材料は、好ましくは、大孔性材料および/または非多孔性材料である。
実施例5は、当業者によって使用され得るこのような2D UPLC方法を記載する。議論の余地がある結果の場合、および疑わしい任意の疑問がある場合において、本明細書で言及されるピーク面積の比は、実施例5に記載の方法によって推定される/推定することができる比を指す。
【0048】
「免疫原性組成物」という用語は、限定されないが、目的の抗原に対して宿主中で細胞性免疫応答および/または抗体媒介免疫応答を誘発する少なくとも1つの抗原を含む物質の組成物を意味する。通常、「免疫応答」としては、限定されないが、1つまたは複数の以下の効果:目的の組成物またはワクチンに含まれる抗原または複数の抗原に特異的に対する、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、ならびに/または細胞傷害性T細胞および/もしくはガンマ-デルタT細胞の産生または活性化が挙げられる。好ましくは、宿主は、新たな感染への抵抗性が増強され、および/または疾患の臨床重症度が軽減されるように、治療免疫応答または防御免疫応答のいずれかを提示する。このような場合において、免疫原性組成物は「ワクチン」である。このような防御は、感染した宿主が通常示す症状の低減または欠如、感染した宿主におけるより迅速な回復時間および/またはウイルス力価の低下のいずれかによって実証される。本明細書に記載の宿主は、特に、哺乳動物、好ましくは、ブタである。
【0049】
さらなる態様において、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物の殺ウイルス活性は、前記方法のステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない対応する免疫原性組成物と比較して、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%低減される。より好ましくは、免疫原性組成物の殺ウイルス活性は、ステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない対応する免疫原性組成物と比較して、少なくとも50%低減される。さらにより好ましくは、免疫原性組成物の殺ウイルス活性は、ステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない対応する免疫原性組成物と比較して、少なくとも70%低減される。またさらにより好ましくは、免疫原性組成物の殺ウイルス活性は、ステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない対応する免疫原性組成物と比較して、少なくとも90%低減される。
【0050】
本発明の目的のために、「殺ウイルス活性」という用語は、液体、流体、溶液、組成物などを、このような生ウイルスまたは生細菌と混合する場合に、前記液体、流体、溶液、組成物などが、生ウイルスまたは生細菌を、ある程度不活化または死滅させることを意味する。したがって、液体、流体、溶液、組成物などの殺ウイルス活性の少なくとも10%の低減は、生ウイルスまたは生細菌の生存率が、任意のこのような製造方法を受けていない、液体、流体、溶液、組成物などと比較して、本明細書に記載の任意の製造方法を受けた、液体、流体、溶液、組成物などにおいて、90%高いことを意味する。本文脈において、「生存率」は、特に、宿主において複製する能力を維持するウイルスまたは細菌のパーセンテージに関する。
【0051】
特定の好ましい態様によれば、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物は、生ウイルスまたは生細菌が、前記免疫原性組成物と混合され、少なくとも4時間インキュベートされる場合に、生ウイルスの1log TCID50未満または生細菌のmLあたり1log CFU未満の損失を引き起こす。より好ましくは、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物は、生ウイルスまたは生細菌が、前記免疫原性組成物と少なくとも4時間混合およびインキュベートされる場合に、生ウイルスのmLあたり0.9log TCID50未満または生細菌のmLあたり0.9log CFU未満の損失を引き起こす。さらにより好ましくは、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物は、生ウイルスまたは生細菌が、前記免疫原性組成物と少なくとも4時間混合およびインキュベートされる場合に、生ウイルスのmLあたり0.7log TCID50未満または生細菌のmLあたり0.7log CFU未満の損失を引き起こす。またより好ましくは、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物は、生ウイルスまたは生細菌が、前記免疫原性組成物と少なくとも4時間混合およびインキュベートされる場合に、生ウイルスのmLあたり0.5log TCID50未満または生細菌のmLあたり0.5log CFU未満の損失を引き起こす。さらにより好ましくは、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物は、生ウイルスまたは生細菌が、前記免疫原性組成物と少なくとも4時間混合およびインキュベートされる場合に、生ウイルスのmLあたり0.3log TCID50未満または生細菌のmLあたり0.3log CFU未満の損失を引き起こす。
【0052】
mLあたりのTCID50は、生ウイルスの量の推定を可能にするインビトロの力価アッセイにおける基準によって推定することができる。mLあたりのCFUは、生細菌の量の推定を可能にするインビトロの力価アッセイにおける基準によっても決定することができる。「mLあたり」という用語は、好ましくは、1mLの流体を指す。
さらにまた、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって得られる免疫原性組成物が特に安定であることを見出した。
特定の好ましい態様によれば、本明細書に記載の方法および特許請求の範囲に係る方法によって製造される免疫原性組成物の有効期間は、少なくとも2年、好ましくは、少なくとも3年であり、本明細書で使用される「有効期間」という用語は、製品を、品質がある特定の最低許容レベルを下回ることなく保管することができる期間を意味する。
特に、本発明は、免疫原性組成物の1用量の投与後に、好ましくは、ブタにおいて、組換えタンパク質のアミノ酸配列が由来する病原体に対する防御免疫応答を誘導し、病原体が、好ましくは、PCV2であり、前記投与が、好ましくは、ブタへの免疫原性組成物の1用量の投与である、免疫原性組成物に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物であって、弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス、または弱毒化生細菌をさらに含む免疫原性組成物に関する。
【0053】
本発明の目的のために、「生」ウイルスまたは「生」細菌は、宿主において複製する能力があるウイルスまたは細菌を指す。本発明の好ましい生ウイルスおよび好ましい生細菌は、それぞれ、PRRSウイルス(PRRSV)およびマイコプラズマ・ハイオニューモニエ菌である。しかしながら、生ウイルスまたは生細菌という用語は、それぞれ、PRRSVおよびマイコプラズマ・ハイオニューモニエに限定されない。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物であって、免疫原性組成物が、弱毒化ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスをさらに含む免疫原性組成物に関する。
「弱毒化」という用語は、特に、それらの病原性を低減し、それらをワクチンとしての使用のために好適にするための方法で培養されるウイルスまたは細菌に関する。したがって、より詳細に、「弱毒化」は、生きているが、好ましくは、このような特定の培養の手段による病原性または毒性の低減に起因して、もはや疾患を生じ得ない、ウイルスまたは細菌に関する。
【0054】
好ましくは、前記免疫原性組成物は、特に、ブタにおいて、免疫原性組成物の1用量の投与後にPRRSウイルスに対する防御免疫応答を誘導し、前記投与は、好ましくは、ブタへの免疫原性組成物の1用量の投与である。
より好ましくは、前記免疫原性組成物は、特に、ブタにおいて、免疫原性組成物の1用量の投与後にPCV2およびPRRSウイルスに対する防御免疫応答を誘導し、前記投与は、好ましくは、ブタへの免疫原性組成物の1用量の投与である。
別の態様において、本発明は、キットであって、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物を含有する容器を含み、好ましくは、弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化PRRSウイルス、および弱毒化生細菌からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原を含有する少なくとも1つの追加の容器をさらに含むキットも提供する。
さらなる態様によれば、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物を含有する容器を含むキットが提供される。
【0055】
本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物、ならびに/または本明細書に記載のキットおよび特許請求の範囲に係るキットは、少なくとも1つの追加の抗原、好ましくは、ウイルス抗原または細菌抗原、さらにより好ましくは、ブタにおいて疾患を引き起こす少なくとも1つの他の病原体由来のウイルス抗原または細菌抗原をさらに含んでいてもよい。追加の抗原は、国際特許出願の国際公開第2007/094893号(その内容および教示は、参照により本明細書に組み込まれる)において開示されている抗原のいずれか1つであり得る。簡潔には、追加の抗原は、ブタにおいて疾患を引き起こす任意の他の病原体の抗原であり得る。好ましくは、「ブタにおいて疾患を引き起こす任意の他の病原体」、またはブタにおいて疾患を引き起こす少なくとも1つの他の病原体は、アクチノバチルス・プルロニューモニア(1);アデノウイルス(2);東部ウマ脳炎ウイルスなどのアルファウイルス(3);気管支敗血症菌(4);ブラキスピラ属種(5)、好ましくは、B.ハイオディセンテリアエ(hyodysentheriae)(6);B.ピオシコリ(7);ブルセラ・スイス、好ましくは,次亜種1、2および3(8);従来の豚コレラウイルス(9);クロストリジウム種(10)、好ましくは、Cl.ディフィシル(11)、Cl.パーフリンゲンスA、BおよびC型(12)、Cl.ノーヴィ(13)、Cl.セプチクム(14)、Cl.テタニ(15);コロナウイルス(16)、好ましくは、ブタ呼吸器コロナウイルス(17);エペリスロゾーノシス・スイス(18);ブタ丹毒菌(19);大腸菌(20);ヘモフィルス・パラスイス、好ましくは、サブタイプ1、7および14(21);血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(22);日本脳炎ウイルス(23);ローソニア・イントラセルラーリス(24);レプトスピラ種(25)、好ましくは、レプトスピラ・アウストラリス(26);レプトスピラ・カニコラ(27);レプトスピラ・グリッポチフォサ((28);レプトスピラ・イクテロヘモラジカエ(29);およびレプトスピラ・インテロガンス(30);レプトスピラ・ポモナ(31);レプトスピラ・タラッソヴィ(32);マイコバクテリウム種(33)、好ましくは、M.アビウム(34)、M.イントラセルラーレ(35)およびM.ボビス(36);マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(37);パスツレラ・ムルトシダ(38);ブタサイトメガロウイルス(39);ブタパルボウイルス(40);ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス(41);仮性狂犬病ウイルス(42);ロタウイルス(43);サルモネラ種(44)、好ましくは、S.ティフィムリウム(45)およびS.コレラスイス(46);スタフィロコッカス・ヒイカス(47);スタフィロコッカス種(48)、好ましくは、ストレプトコッカス種(49)、好ましくは、ストレプトコッカス・スイス(50);ブタヘルペスウイルス(51);ブタインフルエンザウイルス(52);ブタポックスウイルス(53);ブタポックスウイルス(54);水疱性口内炎ウイルス(55);ブタの水疱疹ウイルス(56);レプトスピラ・ハルジョー(57);マイコプラズマ・ハイオシノビアエ(58)、ならびに/またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
最も好ましくは、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物、ならびに/または本明細書に記載のキットおよび特許請求の範囲に係るキットは、1つもしくは複数の弱毒化または不活性化非PRRSV病原体、あるいはその抗原性材料をさらに含む。
別の態様において、本発明は、医薬として、好ましくはワクチンとしての使用のための、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物、ならびに/または本明細書に記載のキットおよび特許請求の範囲に係るキットに関する。
【0057】
さらなる態様において、本発明は、動物、好ましくは、ブタにおいて、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体の感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する
方法において使用するための、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物、ならびに/または本明細書に記載のキットおよび特許請求の範囲に係るキットに関する。
本発明は、動物において、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体の感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する
方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物が、動物、特に、ブタに投与される、方法をさらに提供する。
【0058】
またさらなる態様によれば、本発明は、動物、好ましくは、ブタにおいて、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体の感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する
ための医薬の製造のための、本明細書に記載の免疫原性組成物および特許請求の範囲に係る免疫原性組成物の使用に関する。
好ましくは、少なくとも1つの病原体は、PCV2、PRRSV、非PRRSV病原体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本明細書で使用される場合、「非PRRSV病原体」という用語は、特に、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、仮性狂犬病ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ブタパルボウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、大腸菌、ブタ丹毒菌、気管支敗血症菌、サルモネラ・コレラスイス、ヘモフィルス・パラスイス、パスツレラ・ムルトシダ、ストレプトコッカス・スイスおよびアクチノバチルス・プルロニューモニアエから選択される病原体に関する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「1つまたは複数の臨床徴候を低減する」という用語は、特に、両方とも、免疫原性組成物中の免疫原性の活性成分が由来する病原体に感染するか、または負荷され、かつ対照群が、免疫原性組成物の投与を受けていない場合に、任意のこのような徴候が、「対照群」の動物と比較して、免疫原性組成物の投与を受けている動物における発生率または重症度において低減されることを意味するものとする。この文脈において、「低減される」という用語は、対照群と比較して、免疫原性組成物を受けている群における、少なくとも10%、好ましくは、25%、さらにより好ましくは、50%、最も好ましくは、100%の低減を意味する。
本明細書で使用される場合、「臨床徴候」は、症状などの生動物から直接観察可能な病原体に由来する感染の徴候を指すものとする。代表的な例は、選択された病原体に依存するが、鼻汁、倦怠感、咳、熱の上昇、体重増加の低減または体重減少、脱水、下痢、腫脹、跛行などのような事項を挙げることができる。
本明細書で使用される場合、「防御的免疫応答」は、このような徴候または症状の完全な予防を含む、目的の病原体由来の感染に一致する、臨床的、病理学的もしくは組織病理学的な徴候または症状の、発生率の低減または重症度の低減を指す。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法であって、
(a) - 第1の液体、ならびに
- 組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または複数の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むウイルス様粒子
を含有する混合物を提供するステップ、
(b)ステップ(a)から得られる混合物中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、連続透析濾過によって、処理するステップ
を含む方法。
〔2〕ステップ(a)の混合物が、
- 前記組換えPCV2 ORF2タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターであって、不活性化剤によって不活性化されているベクター、および/もしくは
- 中和剤によって中和されている不活性化剤、および/もしくは
- 中和剤
を追加で含有するか、またはさらに含み、
ならびに/あるいは、ステップ(c)において、ステップ(b)から得られる溶液が、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって処理される、
前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕(a)(i) - 第1の液体、
- 組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または複数の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むウイルス様粒子、ならびに
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクター
を含有する混合物を提供するステップ、
(ii)ベクターを、不活性化剤をステップ(i)の混合物に添加することによって、不活性化するステップ、
(iii)不活性化剤を、中和剤をステップ(ii)から得られる混合物に添加することによって、中和するステップ、
(b)ステップ(a)(iii)から得られる混合物中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって、処理するステップ
を含む、組換えPCV2 ORF2タンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法、特に、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕ステップ(b)において、前記混合物から第1の液体の一部を除去するステップが、少なくとも1つのフィルターで前記混合物を濾過することからなるか、またはこれを含み、前記少なくとも1つのフィルターが、好ましくは、フィルター膜を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕ステップ(b)において、前記濃縮するステップが、
- 混合物を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給すること(ここで、少なくとも1つのフィルターは、バルク流中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む)、
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること
を含み、
ならびに/あるいは、ステップ(c)において、前記連続透析濾過が、
- 溶液を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給すること(ここで、少なくとも1つのフィルターは、バルク流中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む)、
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること、
- 第2の液体を、透過物流と等しい速度でバルク流に添加すること(ここで、第2の液体は、第1の液体と異なる)、
を含む、前記〔2〕~〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕少なくとも1つのフィルターが、少なくとも1つのフラットシートフィルターおよび/または少なくとも1つの中空繊維フィルターであり、少なくとも1つのフラットシートフィルターが、好ましくは、少なくとも1つのカセットフィルターであり、
ならびに/あるいは、少なくとも1つのフィルターが、2~8フィルター、好ましくは、5~7フィルターであり、
ならびに/あるいは、少なくとも1つのフィルターのそれぞれが、約16~26m 2 、好ましくは、約20~22m 2 の総フィルター面積を有し、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、組換えPCV2 ORF2タンパク質および/もしくは前記ウイルス様粒子よりも小さい平均孔径を有し、および/またはフィルター膜が、約200kDa~約500kDaの間の分子量カットオフを有し、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、ポリエーテルスルホン、セルロース水和物、再生セルロース、安定化セルロース、架橋セルロース、架橋セルロース水和物、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなるか、またはこれらの材料を含み、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、好ましくは、ポリエーテルスルホンからなるか、もしくはポリエーテルスルホンを含み、またはフィルター膜が、安定化セルロース系膜であってもよい、前記〔4〕または〔5〕に記載の方法。
〔7〕ステップ(b)において、およびステップ(c)において、同じフィルターシステムが利用される、前記〔5〕または〔6〕に記載の方法。
〔8〕- ステップ(iii)が、第1の容器中で行われ、不活性化剤を中和するステップから得られる混合物が、第1の容器から、フィルターシステムと接続された第2の容器に移送され、混合物を、第1の容器から第2の容器に移送した後、第1の容器および第2の容器の間のバルブが閉鎖され、空の第1の容器が第2の液体で満たされ、
- ステップ(b)において、混合物が、濃縮が終了するまで、第2の容器およびフィルターシステムを通って循環され、
- ステップ(c)において、混合物が、フィルターシステムおよび第2の容器を通って循環している間に、第1および第2の容器の間のバルブが開放され、第2の液体が、第1の容器から第2の容器に連続的に導入される、
前記〔3〕~〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕前記第1の液体が、細胞培養培地の一部を含むか、または細胞培養培地からなり、細胞培養培地が、好ましくは、昆虫細胞培養培地であり、
ならびに/あるいは、ステップ(a)から得られる混合物の体積が、1000L~10000L、好ましくは、2000L~8000L、最も好ましくは、3000L~5000Lであり、
ならびに/あるいは、ステップ(b)において、前記組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子が、ステップ(a)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも8倍、より好ましくは、9倍~11倍に最終的に濃縮される、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕第2の液体が、緩衝液、好ましくは、P-生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)であり、
ならびに/あるいは、ステップ(c)において、バルク流に添加される第2の液体の総体積が、ステップ(b)から得られる溶液の体積の、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも7倍、より好ましくは、少なくとも9倍であり、および/またはバルク流に添加される第2の液体の総体積が、最も好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物の体積とほぼ同じである、前記〔5〕~〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕(d)ステップ(c)の後に残った混合物を、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤、賦形剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分と混合するステップあって、前記混合するステップから得られる溶液中の組換えPCV2 ORF2タンパク質の濃度ならびに/あるいは前記ウイルス様粒子構造の濃度が、好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物中のPCV2 ORF2組換えタンパク質および/または前記ウイルス様粒子の濃度とほぼ同じである、ステップ
をさらに含む、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕前記組換えPCV2 ORF2タンパク質が、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を含むか、あるいはこれらの配列からなる、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕ベクターが、組換えウイルス、好ましくは、バキュロウイルスであり、および/または核酸配列が、DNA配列であり、
ならびに/あるいは、不活性化剤が、アジリジン化合物、好ましくは、バイナリーエチレンイミン(BEI)であり、および/または不活性化剤が、ベクターに対して、モル過剰で添加され、
ならびに/あるいは、中和剤が、チオ硫酸ナトリウムであり、および/または中和剤が、不活性化剤に対して、モル過剰で添加される、
前記〔2〕~〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕前記方法から得られる免疫原性組成物の殺ウイルス活性が、前記方法のステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない免疫原性組成物の混合物と比較して、少なくとも20%低減され、ならびに/あるいは前記方法によって製造された免疫原性組成物が、生ウイルスが免疫原性組成物と4時間以上、特に、室温で混合される場合に、生ウイルスのmLあたり1log TCID 50 未満の損失、好ましくは、生ウイルスのmLあたり0.7log TCID 50 未満の損失を引き起こす、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕ステップ(c)および/またはステップ(d)の後に残った混合物を、少なくとも1つの追加の抗原と混合するステップをさらに含み、
ならびに/あるいは、少なくとも1つの追加の抗原が、好ましくは、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスである、
前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の方法によって得られる免疫原性組成物。
〔17〕- 組換えPCV2 ORF2タンパク質であって、好ましくは、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
- 1~10μMのLアルギニンおよび/または1~10μMのL-リジン
を含み、
好ましくは、中和された不活性化剤を実質的に含まないか、および/または中和剤を実質的に含まない、
免疫原性組成物、特に、前記〔16〕に記載の免疫原性組成物。
〔18〕弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス、または弱毒化生細菌をさらに含み、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、PCV2に対する防御免疫応答を誘導し、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、PRRSウイルスに対する防御免疫応答を誘導する、
前記〔16〕または〔17〕に記載の免疫原性組成物。
〔19〕前記〔16〕~〔18〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含有する容器を含むキットであって、好ましくは、
弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化PRRSウイルス、および弱毒化生細菌からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原を含有する少なくとも1つの追加の容器を含む
キット。
〔20〕医薬として、好ましくは、ワクチンとしての使用のための、前記〔16〕~〔18〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、および/または前記〔19〕に記載のキット。
〔21〕動物において、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する、
方法において使用するためのものであり、
少なくとも1つの病原体が、好ましくは、PCV2、PRRSV、非PRRSV病原体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、
前記〔16〕~〔18〕および〔20〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、ならびに/または前記〔19〕もしくは〔20〕に記載のキット。
【実施例
【0060】
(実施例1)
PCV2 ORF2タンパク質の製造 - 上流の処理
PCV2 ORF2タンパク質は、国際公開第2006/072065号の実施例1~3に記載のプロセスに対応するプロセスにおいて、バキュロウイルス感染SF+細胞において産生される。以下において、このプロセスを要約する。
PCV2 ORF2バキュロウイルスベクターをバイオリアクター中で作成する。事前滅菌または滅菌濾過された培地を、バイオリアクターに添加する。発現培養物が起源のSF+細胞を有する培地を添加する。細胞を、PCV2 ORF2種で植え付ける際に、同時に接種する(同時感染)。ウイルスが増殖する間の温度を、27±2℃で維持し、pHを監視する。溶存酸素(DO)を、浄化された圧縮空気および酸素(O2)をスパージングすることによって、制御する。収集ウィンドウは、ウイルス感染の6~8日後に起こり、収集基準の≦20%細胞生存率に達する。回収の時点で、PCV2 ORF2抗原流体を、2.0~15.0μm孔径の事前フィルターおよび0.8~1.0μm孔径の最終フィルターの2セットのフィルターを使用して、清澄化する。濾過された収集流体を、タンクに集める。バキュロウイルスの不活性化のために、5mMのBEIを、中和の前に最大で96時間まで添加する。残ったBEIの中和のために、5mMのチオ硫酸ナトリウムを、中和されたBEIに添加する。チオ硫酸ナトリウムの添加は、不活性化の72~96時間後に起こる。
【0061】
PCV2 ORF2タンパク質の製造 - 下流の処理
実験室スケール
上記に記載の上流プロセスから得られた3Lの試料を、実験室で採取し、体積に基づいて300mLに濃縮して、10倍濃縮に達した。濃縮後、次いで、抗原を、水に溶解した0.85%のNaClで構成され、pHが6.8~7.0に調整された緩衝液である3LのP-生理食塩水を使用して、透析濾過した。
実験室スケールの濃縮および連続透析濾過を、バイオセーフティーキャビネットまたはBSCにて、以下:1つのSartoslice Ultrafilter(UF)カセットフィルター(PES、200cm2の濾過面積、300kDのカットオフ)で構築されたTFF System Sartoflow Slice 200ベンチトップシステムで構成されるタンジェンシャルフローフィルター(TFF)システムを使用して、室温(27±2℃)で行った。
【0062】
限外濾過/透析濾過の前に、TFFシステムを、1MのNaOHですすぎ(少なくとも1時間)、カセットを、0.1MのNaOHを用いて終夜化学的に滅菌した。次いで、滅菌されたシステムおよびフィルターを、無菌で構築するために、BSCに配置し、入口、出口および透過物ラインを接続した。透過物ラインを廃棄物ボトルに接続しながら、入口ラインを濃縮される不活性化抗原に接続した。出口ラインは、濾過ユニットに端を発して、保持ボトルに戻った。フィルターを、滅菌PBS(フィルターあたり10L)を使用して平衡化した。
生成物を、体積に基づいて元の抗原体積の10倍まで、限外濾過によって濃縮した。フィルターを通る流速は、抗原が濃縮によって処理されるにつれて、変化した。小スケールレベルでは、流速は、範囲であり、システムに背圧をかけることによって保持した。透析濾過を、P-生理食塩水に対して10倍体積の限外濾過体積で行い、P-生理食塩水を、透過物流と等しい速度で添加した。最終濃縮および透析濾過された抗原を2~8℃で保管した。
【0063】
HPLC定量化方法を利用して、このプロセスが、任意の残留昆虫細胞培地(ExCell 420培地)の99%≧を取り除き、中和されたBEIおよび残留チオ硫酸ナトリウムを検出不可能なレベルに低減したことがわかった。
また、最初の実験は、本明細書に記載の免疫原性組成物の製造の文脈において、TFFシステムのためのフラットシートフィルターの使用が、中空繊維フィルターと比較して、より小さな保管バッグ/バレル(200L)が利用するために必要なので、保管コストが顕著に低減されるという有利な効果を有する。加えて、フラットシートフィルターを使用することによって、収集のための労働力だけでなく製造時間も顕著に減少することがわかった。
【0064】
操業スケール
操業スケールまたは大スケールの処理において(図1を参照)、上記に記載の上流プロセスから得られるおよそ4000Lを使用する。不活性化タンク中の抗原含有溶液が、不活性化タンクが空になるまで、連続供給速度で下流の処理(DSP)タンクに直接送ることができるように、システムを設計する。
DSPタンクは、プロセスにおける抗原のためおよび最終抗原調製物のための保存場所である。このタンクのプログラムされた質量は、ある特定のプログラムされた質量に達すると、プロセスが前に進むという点で、全システムを制御する。加えて、このタンクは、最終抗原生成物が制御され、保管のための200Lのバレルに収集される場所である。
DSPタンクは、精密濾過(MF)ユニットに接続される。DSPタンクからMFユニットに抗原含有溶液を送った後、抗原は濃縮され、残余分はDSPタンクに送り返されるが、透過物は廃棄物に移送される。
【0065】
プロセスは、上流の処理から得られる(中間)生成物を含有する不活性化タンクの質量を取得することによって開始する。10倍濃縮は、タンクの最初の質量に基づいて計算され、MFユニットのためのシステムの操業ユニットにプログラムされる。濃縮が開始したら、システムは、タンク質量に基づいて開放または閉鎖する、不活性化タンクおよびDSPタンクの間の移送ラインを始動する。不活性化タンクが空になると、システムは、DSPタンクへの移送ラインを閉鎖するようにタンクを始動する。不活性化タンクが空になった後、生理食塩水について、空にしたばかりの不活性化タンクに添加するために、別の移送ラインを作動する。DSPタンクに移送される生理食塩水の所望の量が取得された元の質量であり、濃縮の計算のために使用されるので、生理食塩水も質量によって監視する。残余分をさらに濃縮するために、残余分の質量が所望の濃度を示すプログラムされた値に減少するまで、残余分を、DSPタンクに戻して供給し、MFユニットを再びさらに通過させる。
【0066】
MFユニットは、これがマイクロフィルターカセットおよび限外濾過カセットの両方を支援することができるという点で特有のものである。この手順のために、合計で6つの限外濾過sartocube(立方体あたり21m2)をMFユニットに収容する。この表面積は、システムの拡大評価後に選択した。DSPタンクからMFユニットへの供給ライン、DSPタンクに戻って供給する残余分ライン、および透過物-廃棄物移送ラインが存在する。このユニットは、29psiの膜貫通圧(TMP)が目標で20~35psiの再循環を維持しながら、0psiの透過圧で稼働するようにプログラムされる。再循環ポンプは、保持モードが作動するまで、100%の能力で稼働する。これらのパラメーターは、濃縮および透析濾過プロセスの間の目標である。MFユニットは、DSPタンクが設定質量になると、作動して濃縮ステップを開始し、設定の10倍濃縮が達成されるまで、循環中に抗原を保つ。10倍濃縮が終了すると、不活性化タンクをP-生理食塩水で充填しながら、低下させた圧力およびスピードで抗原を循環させるために、MFユニットを保持モードに切り替える。P-生理食塩水が開始時の元の質量である不活性化タンク中の所望の体積に達した後、システムは、DSPタンクへのP-生理食塩水の流入を開始することによって透析濾過プロセスを開始し、MFユニットは増加して目標範囲まで戻る。
【0067】
不活性化タンクが空になると、不活性化タンクおよびDSPタンクの間のバルブを閉鎖し、抗原を、10倍透析濾過が達成されるまで、MFユニットを通してさらに処理する。濃縮および透析濾過された抗原はDSPタンク中にあり、最終保存場所のための抗原収集バレルにポンプで送り込まれる。これらのバレルは、ワクチンを配合するまで、4±2℃で保管される。
上記の上流および下流の処理から得られた生成物を、次いで、最終的にカルボマー溶液(アジュバント)および生理的食塩水(P-生理食塩水)と混合した。この研究動物用製品は、本明細書の以下で、それぞれ、研究動物用製品(IVP)No.1または「IVP1」とも称する。
結論として、本明細書に記載の新たなプロセスに関して、見られた特定の利点は、時間の節約、ハンドリングの低減、および冷却器の保管/スペースの節約であった。
【0068】
(実施例2)
使用における安定性研究
要旨
最適化されたプロトコールを利用して、実施例1の研究動物用製品(IVP)No.1(IVP1)を用いて復元した後、改変生PRRSウイルスを含む研究動物用製品(凍結乾燥物)(前記研究ワクチン製品は、本明細書の以下で「IVP2」とも称する)の使用中の安定性を調査するために、研究を設計した。
使用した研究動物用製品(IVP)の概要を表1に提示する。
評価は、2バッチのIVP1(1つは高効力で製造され、1つは通常/標準の放出効力で製造された)、ならびに2バッチのIVP2を含んでいた。
試験したすべての研究動物用製品(IVP)(表1を参照)を、研究のために使用するまで、5℃±3℃で保管した。
本研究において、それぞれのバッチのIVP2ワクチンをIVP1で復元し、PRRSウイルス力価を、復元の0、2および4時間後に試験した。
それぞれのIVP2バッチについて、時間0での復元後のPRRSウイルス力価は、凍結乾燥物が、WPBS(洗浄リン酸緩衝食塩水(=リン酸緩衝食塩水洗浄溶液))で復元されたか、またはIVP1で復元されたかに関わらず、および科学者に関わらず、同様であった。加えて、試験結果は、室温でのインキュベーションの2時間および4時間後、ウイルス力価における無視できない変化を示した。
【0069】
研究の結果は、IVP1とIVP2の関連した使用を裏付ける。
1.導入
IVP1で復元後のIVP2の使用中の安定性を実証するために、研究を設計した。IVP2は、凍結乾燥された改変生ワクチン(MLV)であり、IVP1は、上記に記載のようにして製造した。
以下において、IVP1で復元後のIVP2の使用中の安定性評価の結果を示す。
2.研究の目標/目的
この使用中の安定性研究の目標は、IVP1で復元後のIVP2ワクチンの安定性を調査することであった。
【0070】
3.材料
2バッチの評価される2つのワクチンのそれぞれ、および1バッチの研究において使用される希釈液対照を使用し、試験材料の組成物を表1に列挙する。

表1. 試験材料組成物
【表1】
【0071】
4.研究の設計
IVP2ワクチンのそれぞれのバッチを、サブユニットワクチン(IVP1)のそれぞれのバッチを用いて、すべての可能な組み合わせで試験した。表2.1は、この研究で評価されたすべての8つのワクチンの組み合わせを列挙する。

表2.1 評価されたIVPの組み合わせのリスト
【表2】
【0072】
試料を、完全な復元および時間ゼロ(T0)でのプールの直後に、PRRSウイルス力価について試験した。プールした試料を、暗所で室温で保管し、2時間(T2)および4時間(T4)で再び試験した。試料は試験と同じ日に調製した。それぞれの試料を、2回の異なるセッションで試験し、セッションは異なる日に行った。
試験は2人の科学者によって行った。科学者1は、IVP2バッチNo.1を用いる試料番号1~4を試験し、科学者2は、IVP2バッチNo.2を用いる試料番号5~8を試験した。それぞれの科学者は、2つの試料およびセッションあたり使用中の安定性対照を試験した。対照は、対応する試験試料について示されているものと同じ体積および時間間隔を使用して、滅菌洗浄リン酸緩衝食塩水(WPBS)で復元されたIVP2で構成された。
【0073】
5.方法
5.1 復元方法
それぞれの試料(表2.1に記載の通り)について、3つのバイアルのIVP2のそれぞれを、10mLのIVP1で復元した。それぞれの対照について、3つのバイアルのIVP2のそれぞれを、10mLのWPBSで復元した。復元が終了した後、上記に記載の3つのバイアルのそれぞれの内容物を、試験を開始する前にプールした。
【0074】
5.2 試験方法
-3日目
AK-MA104細胞の細胞培養懸濁物を、10%のFBSおよび硫酸ゲンタマイシンで補充されたMEM中で調製した。100μLの細胞培養物を、96ウェルマイクロタイタープレートのそれぞれのウェルに播種した。プレートの蓋を閉め、インキュベーター中で3日間保持した。
0日目
試料調製
IVP1および陽性対照の試料を、IVP2の凍結乾燥試料を再懸濁させるために使用した。3つのバイアルをプールし、プールを三反復で滴定した。
滴定
希釈培地として、2%のFBSおよび硫酸ゲンタマイシンで補充されたMEMを、試料を希釈するために使用した。
【0075】
接種
試料のウェルを100μLの希釈試料で接種し、陰性対照のウェルを100μLの培地で接種した。
インキュベーション
これをインキュベーター中で8日間インキュベートした。
+8日目
読み取りおよび計算
プレートの最終の細胞変性効果(CPE)の読み取りを、逆顕微鏡で行い、生データを1.0logを加算することによって、1mL用量あたりの力価に変換した。
【0076】
力価を、ReedおよびMuench法(Reed, L. J.; H. Muench, (1938). “A simple method of estimating fifty per cent endpoints.” Am. J. Hygiene, 27: 493 - 497)に従って計算し、1mL用量あたりのlog10 TCID50として表した。それぞれの試験間隔でのそれぞれの試料の力価を、セッションあたり3回の独立した滴定を伴う2つの連続した有効な試験セッションの独立した滴定の用量あたりの算術平均力価として報告した。
6.許容基準
WPBS希釈対照による復元の0時間(T0)、2時間(T2)および4時間(T4)後に得られたIVP2のウイルス力価は、所定の/以前に決定された最小免疫用量(MID)よりも高いか、または同等である。
【0077】
7.結果
それぞれのインキュベーション時間(T0、T2およびT4)での試験試料およびそれぞれの対照について得られた平均力価の要旨、および時間0に対する対応する力価の差(T0-T0、T2-T0、T4-T0)を、表3および表4にそれぞれ示す。

表3. 平均ウイルス力価
【表3】
【0078】
表4. 平均ウイルス力価のT0からの差
【表4】
【0079】
8.考察
この研究で得られたデータは、標準の希釈液(WPBS)で再水和されたIVP2のウイルス力価が、すべてMIDを上回り、室温で4時間のインキュベーションの間に安定なままであったことを実証した。これらの結果は、IVP2の既知の以前に決定された製品の特性と一致し、IVP1と関連する使用における改変生PRRSウイルスワクチンのIVP2のこの使用中の安定性評価の有効性を確認する。
【0080】
T0での2つのバッチのIVP1のいずれかを用いて試験された両方のバッチのIVP2について得られた結果は、それぞれの対照で得られた結果と同等のウイルス力価を示す。対照および試験試料の間で観察されたばらつきは、それぞれのアッセイバリデーション研究において見られたアッセイのばらつき内である。
T2およびT4での2つのバッチのIVP1のいずれかで復元後、両方のバッチのIVP2について得られた結果は、力価の最小の(≦0.12log10 TCID50)減少がない、安定したウイルス力価を示した。
9.結論
この研究の結果は、IVP1およびIVP2の関連する使用、およびIVP1と混合した場合にIVP2について4時間の使用中の安定性を裏付ける。
【0081】
(実施例3)
A)PRRSV負荷に対する免疫の発生
この研究の目標は、IVP1と関連して使用した場合に、ワクチン接種の3週間後にIVP2の免疫の発生が影響を受けるかを調査することであった。この目的のために、IVP2ワクチンを、高効力で製造されたIVP1で最小免疫用量(MID)に復元し、IVP1およびIVP2のこの組み合わせを以下で「IVP1/IVP2」ともいう。この研究は、ドイツの生産農場由来の52頭の3週齢の子ブタを含んでいた。研究の主要パラメーターは、負荷の10~12日後の剖検での肺病変であった。
PRRSVについて陽性の抗体または抗原を含む動物はなかった。PRRSVによる負荷まで(ワクチン接種の21日後)、対照群の動物は、抗体陽転を示さず、またはPRRSV抗原についての陽性を試験されなかった。
IVP1/IVP2でワクチン接種された動物は、対照群の動物と比較して、中位胚病変スコアが52.1%まで低減した。さらにまた、IVP1/IVP2ワクチン接種された動物は、対照群と比較して、負荷後、1日あたり164gの統計学的に有意に高いADWGを有していたので、ADWGの結果は、IVP1およびIVP2の組み合わせの有効性を裏付ける。
【0082】
IVP1/IVP2でワクチン接種された動物では、最初のPRRSV抗体が、ワクチン接種の14日後(D14)に検出された。PRRSV抗体陽性動物の数は、負荷1週間後に2群の間で統計学的に有意に相違しなかったが、抗体のレベルは、対照群と比較して、ワクチン接種群で有意に高かった。負荷の10~12日後、すべての動物は、PRRSV抗体について陽性であり、群の間で抗体のレベルの統計学的有意差はなかった。
結論として、ワクチン接種の3週間後のIVP2の免疫の発生は、IVP1と関連して使用した場合に、負の影響を受けなかったことを実証した。
B)PCV2負荷に対する免疫の発生
この研究の目標は、IVP2と関連して使用した場合に、IVP1に対する免疫の発生を評価することであった。この目的のために、IVP2ワクチンを、最小の効力を目標として製剤化されたIVP1を添加することによって、最大免疫用量を目標として復元し、IVP1およびIVP2のこの混合物は、本明細書の以下で「IVP2/IVP1」ともいう。
【0083】
この研究は、PCV2について血清陰性であった60頭の帝王切開由来の初乳欠乏(CDCD)ブタを含み、3週齢(すなわち、研究1日目(D0))で、そのうち30頭はIVP2/IVP1でワクチン接種され、30頭(対照群)は無菌希釈液(注射用水)を受け、続いて、D15で毒性のPCV2負荷を行った。
IVP2/IVP1によるワクチン接種は、PCV2血清学について陽性のブタにおいて、有意な増加をもたらした。負荷の1週間以内に、IVP2/IVP1群からの28頭のブタ(93%)は、陽性レベルに抗体陽転したが、対照群からの0/30(0%)のブタは陽性であった。対照群からの動物は、負荷の13日後に、陽性レベルへの抗体陽転を開始した。D21、D28およびD35において、IVP2/IVP1群は、対照群と比較して、有意に高い割合の、陽性PCV2力価を有するブタを有していた。D42まで、IVP2/IVP1群は、PCV2について100%の血清学的陽性であったが、対照群は92%の陽性であった。
主要な結果のパラメーターを評価において、IVP2/IVP1によるワクチン接種は、対照群と比較して、リンパの枯渇、リンパの炎症およびPCV2リンパへの定着を有意に低減した。さらにまた、組織学的病変の全体的なレベルは、リンパ病変の評価の少なくとも1つのカテゴリーにおいて、中等症~重症のスコアを有する23/30頭のブタ(76.7%)を有する対照群において、より重症であったが、ワクチン接種されたブタの2/30頭のブタ(6.7%)のみが中等症のリンパ病変スコアを有しており、重症であるものはなかった。
【0084】
結論として、最小効力で製剤化され、IVP2と関連して使用されたIVP1は、毒性PCV2で負荷された場合に、ワクチン接種の15日後に、3週齢のCDCDブタの有効な能動免疫を提供した。
加えて、さらなるワクチン接種-PCV2負荷研究において、一価IVP1を、実施例1に従って下流の処理に付されていないそれぞれの生成物と比較し(本明細書において、前記生成物を「IVP0」という)、IVP1が確立されたIVP0と少なくとも同じ程度に有効であったことがわかった。
C)PCV2負荷に対する免疫の期間
この研究の目標は、IVP2と関連して使用した場合に、IVP1の免疫の期間を評価することであった。この目的のために、IVP2ワクチンを、最小の効力を目標として製剤化されたIVP1を添加することによって、最大免疫用量を目標として復元した。上記で言及するように(B項)、IVP1およびIVP2のこの混合物は、本明細書において「IVP2/IVP1」ともいう。
【0085】
この研究は、PCV2について血清陰性であった60頭の帝王切開由来の初乳欠乏(CDCD)ブタを含み、3週齢(すなわち、研究1日目(D0))で、そのうち30頭はIVP2/IVP1でワクチン接種され、30頭(対照群)は無菌希釈液(注射用水)を受け、続いて、D119で毒性のPCV2負荷を行った(17週間の免疫の期間)。
結果として、IVP2/IVP1でワクチン接種された動物は、PCV2負荷後の対照動物と比較して、リンパの枯渇、リンパへの定着およびウイルス血症の頻度の有意な低減を有していた。加えて、IVP2/IVP1でワクチン接種された動物は、すべての試料採取日で有意に低減したPCV2ウイルス負荷を有し、ウイルスのレベルは、任意の試料採取ポイントで疾患を引き起こすウイルス血症とは考えられなかったが((rt-PCR)試験≧1.0×104PCV2ゲノム当量)、対照動物は、PCV2による負荷の中央値で28日後にウイルス血症であった。IVP2/IVP1によるワクチン接種は、ブタにおいて、ワクチン接種(D0)~D133(PCVによる負荷後2週間)でPCV2血清学について陽性の有意な増加をもたらし、これは歴史的に有効性の強力な指標である。対照群の大部分(81%)は、D140(PCV2による負荷の3週間後)まで、PCV2血清学について陽性ではなかった。
これらの結果は、ワクチン接種後の17週間のIVP1の免疫の期間が、IVP2と関連して使用した場合に、負の影響を受けないことを示す。
【0086】
D)PRRSV負荷に対する免疫の期間
この研究の目標は、IVP1と関連して使用した場合に、ワクチン接種の6か月後にIVP2の免疫の期間が影響を受けるかを調査することである。この目的のために、IVP2ワクチンを、高効力で製造されたIVP1で最小免疫用量(MID)に復元した。上記で言及するように(A項)、IVP1およびIVP2のこの混合物は、「IVP2/IVP1」ともいう。研究は、ドイツの生産農場由来の70頭の3週齢の子ブタを含んでおり、PRRSVについて陽性の抗体または抗原を含む動物はない。負荷をワクチン接種の182日後に行う(6か月の免疫の期間)。研究の主要パラメーターは、負荷の10~12日後の剖検での肺病変である。
結果として、IVP2/IVP1でワクチン接種された動物は、PRRSV2負荷後の対照群の動物と比較して、胚病変が低減し、これは、ワクチン接種後6か月のIVP2の免疫の期間が、IVP1と関連して使用した場合に、負の影響を受けないことを示す。
【0087】
(実施例4)
チオ硫酸塩濃度の分析
要旨
実施例1に記載したように、バイナリーエチレンイミンを、バキュロウイルス組換えワクチンの製造における不活性化剤として使用した。BEIによる不活性化の後、チオ硫酸ナトリウムを、残留BEIを中和するために添加する。
5mMのBEIによるPCV2抗原流体の不活性化の後、低濃度(典型的には、0.3mMのオーダー)のBEIが検出可能で残る。EU薬局方は、BEIが不活性化の後に抗原中に残っていてはならないことを記載している。EU薬局方は、不活性化の後の残留チオ硫酸ナトリウムの検出は、毒性レベルのBEIが抗原中に残っていないことを保証するために許容可能であること考慮する。したがって、5mMのBEIが不活性化ステップの開始時に最初に添加されるので、5mMのチオ硫酸塩が、活性化ステップにおいてBEIを中和するために利用された。不活性化の間にかなりの量のBEIが核酸との反応で消費されるので、ならびにチオ硫酸塩およびBEIが1:1の化学量論で反応するので、中和後、過剰の残留チオ硫酸塩が残る。
【0088】
チオ硫酸塩の試験を、下記に記載のようにして、実施例1に従って製造された抗原流体に対して行った。
この実験からのデータは、実施例1に記載の方法が、予想外にも、チオ硫酸塩のレベルを、10倍濃縮され透析濾過された抗原流体中で方法の検出限界を既に下回って低減させることを示す。
材料および方法
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による抗原流体中のチオ硫酸ナトリウムの定量的決定
A.試薬および材料
1.チオ硫酸ナトリウム五水和物、既知純度の試薬グレード
2.精製水 - 18MΩ以上の抵抗率が使用される
3.アセトニトリル(ACN)、HPLCグレード
4.氷酢酸、HPLCグレード
5.水酸化テトラブチルアンモニウム(TBA)、試薬グレード
6.HPLCカラム/ガード - Thermo Scientific、ODS-2 Hypersil、150×4.6mm、好適なガードを有する5μm、ODS-2 Hypersil-2、10×4.6mm、5μm、または同等物
【0089】
B.溶液
1.20%の酢酸溶液
10mLの氷酢酸および40mLの精製水を合わせて、十分に混合する。
2.溶出液
750mLの精製水および20mLのTBAを合わせて、十分に混合する。この溶液のpHを、20mLの20%の酢酸溶液を添加することによって、4.0~5.0に調整し、次いで、250mLのアセトニトリルと合わせる。十分に混合し、使用前に0.2μmのナイロンフィルターを通して濾過する。
3.希釈液
800mLの精製水および200mLのアセトニトリルを合わせ、十分に混合し、周囲条件で保管する。
C.チオ硫酸塩参照標準溶液
1.チオ硫酸ナトリウムのストック溶液(5mM)
1.2gのチオ硫酸ナトリウム五水和物の参照材料を秤量し、精製水を入れた1000mLのクラスAのメスフラスコに移し、反転によって十分に混合する。
2.100%の作業標準溶液(100%WA)
2mLのチオ硫酸ナトリウムストック溶液を、50mLのクラスAのメスフラスコに移す。希釈液で容積まで希釈し、反転によって十分に混合する。
3.50%の直線性標準溶液(50%LS)
1mLのチオ硫酸ナトリウムストック溶液を、50mLのクラスAのメスフラスコに移す。希釈液で容積まで希釈し、反転によって十分に混合する。
4.150%の直線性標準溶液(150%LS)
3mLのチオ硫酸ナトリウムストック溶液を、50mLのクラスAのメスフラスコに移す。希釈液で容積まで希釈し、反転によって十分に混合する。
5.定量限界溶液(LOQ)
1mLの50%LSを、20mLのクラスAのメスフラスコに移す。希釈液で容積まで希釈し、反転によって十分に混合する。
【0090】
D.PCV2不活性化抗原流体の試験溶液
500μLの不活性化抗原流体を、10mLのクラスAのメスフラスコに移す。希釈液で容積まで希釈し、反転によって十分に混合する。試料を、HPLCバイアルに0.2μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、最初の2~3mLを廃棄する。これが抗原流体の20倍希釈液である。
E.HPLCクロマトグラフィー装置および条件
1.流速:1.2mL/分
2.注入体積:10μL
3.カラム:Thermo Scientific、ODS-2 Hypersil、150×4.6mm、好適なガードを有する5μm、ODS-2 Hypersil-2、10×4.6mm、5μm
4.温度:
試料トレイ温度 20±2℃
カラムオーブン温度 25±2℃
5.検出:230nm
6.典型的な分析順序
- 廃棄物用希釈液
- 希釈液;1回注入
- ブランク:1回注入(ベースラインモニタリング、注入なし)
- 較正標準;100%WSの6回注入
- 直線性標準;50、100および150%溶液のそれぞれを2回注入
- LOQ標準;2回注入
- 試験溶液およびチェック標準;それぞれの試験溶液あたり2回注入、ならびに最大で16試料の注入および分析の終了時の間のチェック標準として、100%WSの2回注入
7.チオ硫酸塩の保持時間:約7分
【0091】
F.チオ硫酸ナトリウム含有量の計算 - mMとしてのチオ硫酸塩の含有量を以下の式を使用して計算する。
チオ硫酸塩(mM)=TS/WS×C×20
式中、
TS - 2回の試験溶液調製物の注入のチオ硫酸塩のピーク面積の平均;
WS - 6回の100%WS注入のチオ硫酸塩の面積の応答の平均;
C - 作業標準溶液の濃度、mM(0.2mM);
20 - 試験溶液の希釈係数。
【0092】
結果
実施例1に記載のようにして製造されたいくつかの抗原流体を分析し、ペアの試料を、
(i)チオ硫酸ナトリウムによるBEIの中和の後だが、下流の処理の前、および
(ii)下流の処理(すなわち、10倍濃縮および透析濾過)の後だが、アジュバントおよびP-生理食塩水と混合する前、
に採取し、チオ硫酸ナトリウムの濃度を決定した。
BEI中和の後だが下流の処理の前の採取した試料(i)は、依然としてミリモル濃度範囲のチオ硫酸ナトリウム濃度を有していたが、予想外にも、下流の処理の後だがアジュバントおよびP-生理食塩水と混合する前に採取された試料(ii)において、チオ硫酸ナトリウムは、出限界(3μM)又はそれを上回って検出可能ではなかったことを見出した。
【0093】
(実施例5)
二次元UPLCによる抗原流体の分析
陰イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーによる分離に基づく二次元UPLC方法を、実施例1に記載の処理から得られるウイルス様粒子(VLP)含有抗原流体の分析のために利用した。
使用される第1相のクロマトグラフィーは陰イオン交換クロマトグラフィーであり、負に帯電した種がカラムに結合し(クロマトグラムにおいて0~2.67分)、次いで、グラジエントで塩化ナトリウムの濃度を上昇させることによって流出させる。
使用される第2相のクロマトグラフィーはサイズ排除であり(クロマトグラムにおいて2.67~15分)、ここで、バルブを切り替え、陰イオン交換の第一次元からの注入をサイズ排除カラム上に行う。サイズ排除カラムは、陰イオン交換溶出液の混合物を溶出する。
【0094】
材料および方法
A.試薬および材料
1.水中の1MのTris、pH7.4、分子生物学グレード
2.水中の2.5MのNaCl、分子生物学グレード
3.精製水 - 18MΩ以上の抵抗率が使用される
4.陰イオン交換カラム - カラム体積0.1mL、VLPの結合のために好適な第4級アミン官能性を有する(大孔性材料または非多孔性材料)
5.サイズ排除カラム - カラム体積1.75mL、450Åの孔径
6.10NのNaOH、試薬グレード
B.溶液
1.50mMのTris、pH8:50mLの1MのTris、pH7.4を900mLの水と合わせる。10NのNaOHでpH8に調整し、1000mLに希釈し、0.22μmフィルターを通して濾過する。
2.50mMのTris、2MのNaCl、pH8:50mLの1MのTris、pH7.4および400mLの5MのNaClを300mLの水と合わせる。10NのNaOHでpH8に調整し、1000mLに希釈し、0.22μmフィルターを通して濾過する。
【0095】
C.プロセスの参照溶液中のPCV2
1.不活性化の前に得られた抗原流体を0.22μmのPESフィルターを通して濾過する。
D.PCV2不活性化前、または不活性化抗原流体の試験溶液
1.抗原流体を0.22μmのPESフィルターを通して濾過する。
E.2D-UPLCクロマトグラフィー装置および条件
1.第一次元のクロマトグラフィー
a.流速:0.6mL/分
b.注入体積:20μL
c.システム体積:400μL
d.カラム:0.1mLのカラム体積、第4級アミンカラム
e.温度:室温
f.検出:蛍光発光(励起280nmおよび発光330nm)
g.グラジエント:最初、0分で100%の50mMのTris、pH8から、1分で97.5%の50mMのTris、pH8および2.5%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8、ならびに最後に、2分で10%の50mMのTris、pH8および90%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8の複数ステップのグラジエント方法を、0.6mL/分の流速で、陰イオン交換カラムを通して行う。
【0096】
2.第二次元のクロマトグラフィー
a.流速:0.3mL/分
b.第一次元からの注入:50μL
c.カラム:1.75mLのカラム体積、450Åの孔径を有するサイズ排除カラム
d.検出:蛍光発光(励起280nmおよび発光330nm)
e.均一濃度グラジエント:95%の50mMのTris、pH8:5%の50mMのTris、pH8、2MのNaCl
3.典型的な分析順序
a.PCV2参照溶液の2倍連続希釈液を5回注入する
b.1回注入する - 15試料
c.PCV2参照溶液の2倍連続希釈液を5回注入する
4.第一次元から第二次元への切り替え時間:2.67分(この切り替え時間は、システムの体積に依存し、この場合は400μL)
5.下記に列挙するピーク比を、ピーク面積を統合し、前記ピーク面積の比を取得することによって計算した。
【0097】
バキュロウイルス発現系から得られるVLP(ORF2)生成物を分析するためにこのような二次元UPLCを使用して、異なる突出したピークが、得られるクロマトグラムにおいて見られた。
- pH8で陰イオン交換カラムに結合しない構成物質(すなわち、pH8で中性またはカチオン性の構成物質、例えば、正に帯電したタンパク質および/または細胞培養物の成分)を表す、クロマトグラムにおける0~1分のピーク、本明細書の以下で「ピークA」ともいう。
- 目的のVLP(ORF2)抗原を表す、クロマトグラムにおける7~8分のピーク、本明細書の以下で「ピークB」ともいう。
- サイズがIgG(150kDa)~ウラシル(0.1kDa)の範囲の構成物質を表す、クロマトグラムにおける8.5~9.5分のピーク、本明細書の以下で「ピークC」ともいう。
【0098】
実施例1に記載の下流の処理(すなわち、10倍濃縮および連続透析濾過)後に採取した試料の10倍希釈液は、上流のプロセスの試料と比較して、平均で、99.2%のピークAの減少および42%のピークCの減少を示したことを見出した。さらに、ピークAおよびピークCの減少が見出されたが、ピークBの増加が見られた。
驚くべきことに、実施例1に記載の下流の処理後に採取された試料のピーク比(ピークA/ピークBおよびピークC/ピークB)は、ピークA/ピークBについてわずか0.3(3反復について0.1の標準偏差)であり、ピークC/ピークBについて0.7(3反復について0.2の標準偏差)であることを見出した。
実施例1に記載の下流の処理(すなわち、10倍濃縮および連続透析濾過)後に採取した試料において、溶液中で大きなサイズの種の凝集または存在の増加はなかったことをさらに見出した。この観察は、凝集の濃度に対する依存性に起因して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)において、このような濃縮試料中でより大きな種の顕著な増加が見られると予想していたので、驚くべきことであった。
【0099】
(実施例6)
遊離アミノ酸の定量化
昆虫培養培地および消費後培養培地中の遊離アミノ酸を定量化するための従来の方法を、実施例1に記載のようにして製造された抗原流体中のアミノ酸の濃度を決定するために適用した。
簡潔には、試料中のタンパク質を、トリクロロ酢酸(TCA)を用いて沈殿させ、遠心分離で除去する。TCA沈殿物からの上清を水酸化ナトリウムで中和し、ノルバリンを内部標準として添加する。次いで、試料を、338nmでのUV吸収による定量化のために逆相カラム上に注入する前に、UHPLCの注入ループ中でo-フタルジアルデヒド(pthaldialdehyde)(OPA)およびメルカプトプロピオン酸(MPA)で誘導体化する。標準参照試料(外部標準)についてのクロマトグラムに基づいて、抗原流体に含まれる20個の一般的なアミノ酸(すなわち、20個の遺伝的にコードされるアミノ酸)の濃度を決定した。
【0100】
実施例1に記載の下流の処理(すなわち、10倍濃縮および連続透析濾過)後に採取したいくつかの試料のアミノ酸濃度を測定し、ならびにアジュバントおよびP-生理食塩水を添加することによって前記試料の通常のその後の希釈を考慮して、最終生成物(ワクチン)中の特定のアミノ酸の特徴的な濃度が以下の範囲:
トリプトファン:0.1~0.7μM;
グルタミン:0.7~2.4μM;
メチオニン:0.5~3.2μM;
アルギニン:1.4~4.7μM;
トレオニン:1.6~8.0μM;
リジン:4.0~12.2μM
であることを見出した/決定した。
【0101】
これに関して、最終生成物(ワクチン)中の前記アミノ酸の典型的な平均濃度が以下の範囲:
トリプトファン:0.2~0.6μM;
グルタミン:0.8~2.2μM;
メチオニン:0.8~2.2μM;
アルギニン:1.6~4.3μM;
トレオニン:2.4~6.3μM;
リジン:4.4~11.2μM
であることも決定した。
結論として、実施例4~6に記載の分析から得られた結果は、実施例1に記載の方法が、特定の固有の性質を有する生成物を提供し、このそれぞれが、実施例2および3に記載の試験および研究の有用な結果に寄与し得ることを示す。
【0102】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1図1は、本発明による例示的な方法の模式的概要を提供する。 配列表 配列番号1は、PCV2a ORF2タンパク質の配列に相当し、配列番号2は、PCV2b ORF2タンパク質の配列に相当し、本明細書で言及される「PCV2b ORF2タンパク質」は、特に、遺伝子型dに属するとも考えられる、いわゆる「変異PCV2b」のORF2タンパク質に関する。
【0104】
本開示は、とりわけ、以下の事項を含有する。
1.組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法であって、
(a) - 第1の液体、ならびに
- 組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造
を含有する混合物を提供するステップ、
(b)ステップ(a)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、連続透析濾過によって、処理するステップ
を含む方法。
2.前記連続透析濾過が、第2の液体に対する連続透析濾過であり、第2の液体が、第1の液体と異なる、項1に記載の方法。
3.ステップ(a)の混合物が、
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターであって、不活性化剤によって不活性化されているベクター、および/または
- 中和剤によって中和されている不活性化剤、および/または
- 中和剤
を追加で含有するか、またはさらに含む、項1または2に記載の方法。
4.ステップ(c)において、ステップ(b)から得られる溶液が、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって処理される、項3に記載の方法。
【0105】
5.(a)(i) - 第1の液体、
- 組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造、ならびに
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクター
を含有する混合物を提供するステップ、
(ii)ベクターを、不活性化剤をステップ(i)の混合物に添加することによって、不活性化するステップ、
(iii)不活性化剤を、中和剤をステップ(ii)から得られる混合物に添加することによって、中和するステップ、
(b)ステップ(a)(iii)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を、混合物から第1の液体の一部を除去することによって、濃縮するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られる溶液を、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって、処理するステップ
を含む、組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法、特に、項1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.ステップ(b)において、前記混合物から第1の液体の一部を除去するステップが、少なくとも1つのフィルターで前記混合物を濾過することからなるか、またはこれを含み、前記少なくとも1つのフィルターが、好ましくは、フィルター膜を含む、項1~5のいずれか1項に記載の方法。
7.ステップ(b)において、前記濃縮するステップが、
- 混合物を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することであって、バルク流中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を保持しながら、少なくとも1つのフィルターが、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む、こと、
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること、
を含む、項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
8.ステップ(c)において、前記連続透析濾過が、
- 溶液を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することであって、少なくとも1つのフィルターが、バルク流中の組換えタンパク質および/または前記四次構造を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む、こと、
- 中和された不活性化剤および/または中和剤を含む透過物を排出すること、
- 第2の液体を、透過物流と等しい速度でバルク流に添加することであって、第2の液体が、第1の液体と異なる、こと、
を含む、項3~7のいずれか1項に記載の方法。
9.少なくとも1つのフィルターが、少なくとも1つのフラットシートフィルターおよび/または少なくとも1つの中空繊維フィルターであり、少なくとも1つのフラットシートフィルターが、好ましくは、少なくとも1つのカセットフィルターである、項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
10.少なくとも1つのフィルターが、2~8フィルター、好ましくは、5~7フィルターであり、
および/または、少なくとも1つのフィルターのそれぞれが、約16~26m2、好ましくは、約20~22m2の総フィルター面積を有する、
項6~9のいずれか1項に記載の方法。
11.フィルター膜が、組換えタンパク質および/または前記四次構造よりも小さい平均孔径を有し、ならびに/あるいは、フィルター膜が、約200kDa~約500kDaの間の分子量カットオフを有する、項6~10のいずれか1項に記載の方法。
12.フィルター膜が、ポリエーテルスルホン、セルロース水和物、再生セルロース、安定化セルロース、架橋セルロース、架橋セルロース水和物、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなるか、またはこれらの材料を含み、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、好ましくは、ポリエーテルスルホンからなるか、もしくはポリエーテルスルホンを含み、またはフィルター膜が、安定化セルロース系膜であってもよい、
項6~11のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
13.ステップ(b)において、およびステップ(c)において、同じフィルターシステムが利用される、項7~12のいずれか1項に記載の方法。
14. - ステップ(iii)が、第1の容器中で行われ、不活性化剤を中和するステップから得られる混合物が、第1の容器から、フィルターシステムと接続された第2の容器に移送され、混合物を、第1の容器から第2の容器に移送した後、第1の容器および第2の容器の間のバルブが閉鎖され、空の第1の容器が第2の液体で満たされ、
- ステップ(b)において、混合物が、濃縮が終了するまで、第2の容器およびフィルターシステムを通って循環され、ならびに
- ステップ(c)において、混合物が、フィルターシステムおよび第2の容器を通って循環している間に、第1および第2の容器の間のバルブが開放され、第2の液体が、第1の容器から第2の容器に連続的に導入される、
項5~13のいずれか1項に記載の方法。
15.前記第1の液体が、細胞培養培地の一部を含むか、または細胞培養培地からなり、細胞培養培地が、好ましくは、昆虫細胞培養培地である、項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
16.ステップ(a)から得られる混合物の体積が、1000L~10000L、好ましくは、2000L~8000L、最も好ましくは、3000L~5000Lである、項1~15のいずれか1項に記載の方法。
17.ステップ(b)において、前記組換えタンパク質および/または前記四次構造が、ステップ(a)から得られる混合物の体積と比較して、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも8倍、より好ましくは、9倍~11倍に最終的に濃縮される、項1~15のいずれか1項に記載の方法。
18.第2の液体が、緩衝液、好ましくは、P-生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)である、項2~17のいずれか1項に記載の方法。
19.ステップ(c)において、バルク流に添加される第2の液体の総体積が、ステップ(b)から得られる溶液の体積の、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも7倍、より好ましくは、少なくとも9倍であり、および/またはバルク流に添加される第2の液体の総体積が、最も好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物の体積とほぼ同じである、項8~18のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
20.(d)ステップ(c)の後に残った混合物を、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤、賦形剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分と混合するステップであって、前記混合するステップから得られる溶液中の組換えタンパク質の濃度および/または前記四次構造の濃度が、好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物中の組換えタンパク質および/または前記四次構造の濃度とほぼ同じである、ステップ
をさらに含む、項1~19のいずれか1項に記載の方法。
21.ステップ(a)のために使用される混合物が、
(1)前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターによる、培養中の感受性細胞の感染を可能にするステップであって、前記組換えタンパク質が前記ベクターによって発現される、ステップ
(2)その後、組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含む四次構造を細胞培養から回収するステップであって、好ましくは、細胞残屑が、分離ステップ、好ましくは、少なくとも1つのフィルター、好ましくは2つのフィルターを通す精密濾過を含む分離ステップによって、組換えタンパク質および/または前記四次構造から分離され、少なくとも1つのフィルターが、好ましくは、組換えタンパク質および/または複数の前記組換えタンパク質を含有する四次構造よりも大きな孔径を有し、特に、約1~約20μmおよび/または約0.1μm~約4μmの孔径を有する、ステップ
を含む手順によって得られる、項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
22.分離ステップが、
- 約2μm~約15μmの孔径を有する1つもしくは複数のフィルターを通す精密濾過、および/または
- 約0.8μm~約1.0μmの孔径を有する1つもしくは複数のフィルターを通す精密濾過
を含むか、あるいはこれらからなる、項21に記載の方法。
23.ステップ(1)における細胞培養が、好ましくは組換えタンパク質が前記ベクターによって発現される間、22~32℃で維持され、および/または、ステップ(2)における回収が、ベクターによる細胞の接種の後、5~8日目、好ましくは、8日目に発生する、項21または22に記載の方法。
24.前記組換えタンパク質が、好ましくは、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を含むか、あるいはこれらの配列からなる、PCV2 ORF2タンパク質である、項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
25.四次構造がウイルス様粒子である、項1~24のいずれか1項に記載の方法。
26.ベクターが、組換えウイルス、好ましくは、バキュロウイルスであり、および/または核酸配列が、DNA配列である、項3~25のいずれか1項に記載の方法。
27.不活性化剤が、アジリジン化合物、好ましくは、バイナリーエチレンイミン(BEI)であり、および/または不活性化剤が、ベクターに対してモル過剰で添加される、項3~26のいずれか1項に記載の方法。
28.中和剤がチオ硫酸ナトリウムであり、および/または中和剤が不活性化剤に対してモル過剰で添加される、項3~27のいずれか1項に記載の方法。
29.ステップ(iii)において、中和剤が、ステップ(ii)において添加された不活性化剤の量と比較して当量で添加される、項5~28のいずれか1項に記載の方法。
30.ステップ(c)の後に残った混合物が、ステップ(iii)から得られる中和剤の濃度の1000倍未満の濃度の不活性化剤を含む、項5~29のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
31.前記方法から得られる免疫原性組成物の殺ウイルス活性が、前記方法のステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過を受けていない免疫原性組成物の混合物と比較して、少なくとも20%低減され、ならびに/あるいは前記方法によって製造された免疫原性組成物が、生ウイルスが免疫原性組成物と4時間以上、特に室温で混合される場合に、生ウイルスのmLあたり1log TCID50未満の損失、好ましくは、生ウイルスのmLあたり0.7log TCID50未満の損失を引き起こす、項1~30のいずれか1項に記載の方法。
32.ステップ(c)および/またはステップ(d)の後に残った混合物を、少なくとも1つの追加の抗原と混合するステップをさらに含む、項1~31のいずれか1項に記載の方法。
33.生ウイルスまたは少なくとも1つの追加の抗原が、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスである、項31または32に記載の方法。
【0114】
34.項1~33のいずれか1項に記載の方法によって得られる免疫原性組成物。
35.項28~33のいずれか1項に記載の方法によって得られ得、ステップ(c)の後に残った混合物が、3μM未満のチオ硫酸ナトリウムを含む、項34に記載の免疫原性組成物。
36.項28~33のいずれか1項に記載の方法によって得られ得、ステップ(d)から得られる免疫原性組成物が、チオ硫酸ナトリウムを実質的に含まない、項34に記載の免疫原性組成物。
37. - 配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を、好ましくは、含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
- 1~10μMのLアルギニンおよび/または1~10μMのL-リジン
を含み、
好ましくは、中和された不活性化剤を実質的に含まないか、および/または中和剤を実質的に含まない免疫原性組成物、特に、項34~36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0115】
38.配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を、好ましくは、含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、
ならびに
0.1~1μMのL-トリプトファン;および/または
0.1~3μMのL-グルタミン;および/または
0.2~4μMのL-メチオニン;および/または
1~10μMのL-アルギニン;および/または
1~10μMのL-トレオニン;および/または
1~15μMのL-リジン
を含む免疫原性組成物、特に、項34~37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、好ましくは、ステップ(d)を含む任意のこのような方法によって得られる免疫原性組成物。
【0116】
39.0.1~0.7μMのL-トリプトファン;および/または
0.7~2.4μMのL-グルタミン;および/または
0.5~3.2μMのL-メチオニン;および/または
1.4~4.7μMのL-アルギニン;および/または
1.6~8.0μMのL-トレオニン;および/または
4.0~12.2μMのL-リジン
を含む、項34~38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
40.0.2~0.6μMのL-トリプトファン;および/または
0.8~2.2μMのL-グルタミン;および/または
0.8~2.2μMのL-メチオニン;および/または
1.6~4.3μMのL-アルギニン;および/または
2.4~6.3μMのL-トレオニン;および/または
4.4~11.2μMのL-リジン
を含む、項39に記載の免疫原性組成物。
【0117】
41.0.7~2.4μMのL-グルタミン、および4.0~12.2μMのL-リジンを含む、
項34~40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
42.0.8~2.2μMのL-グルタミン、および4.4~11.2μMのL-リジンを含む、
項34~41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
43.免疫原性組成物が、二次元(2D)超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)に室温で付された場合に、0.2~0.4のピークAの面積のピークBの面積に対する比、および/または0.5~0.9のピークCの面積のピークBの面積に対する比を示し、2D UPLCが、
400μLのシステム体積を有する第一次元のクロマトグラフィーであって、
- 免疫原性組成物を含む試料が、ウイルス様粒子の結合のために好適な第4級アミン官能化材料で充填された、0.1mLのカラム体積を有する陰イオン交換カラムに注入され、ならびに
- 最初に、0分で100%の50mMのTris、pH8、1分で97.5%の50mMのTris、pH8および2.5%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8まで、最後に2分で10%の50mMのTris、pH8および90%の50mMのTris、2MのNaCl、pH8の複数ステップのグラジエント方法を0.6mL/分の流速で陰イオン交換カラムに通して行う、
第一次元のクロマトグラフィーを含み、
2.67分の保持時間で、第一次元のクロマトグラフィーから第二次元のクロマトグラフィーに切り替え、第一次元のクロマトグラフィーの50μLの溶出液を、0.3mL/分の流速で、450Åの孔径を有する1.75mLのカラム体積を有するサイズ排除カラムに通して行い、
クロマトグラムが、330nmの波長での蛍光発光および280nmの波長での励起を監視することによって記録され、
ピークAの面積が、クロマトグラムにおいて、0~1分の保持時間で最高ピークのピーク面積であり、
ピークBの面積が、クロマトグラムにおいて、7~8分の保持時間で最高ピークのピーク面積であり、
ピークCの面積が、クロマトグラムにおいて、8.5~9.5分の保持時間で最高ピークのピーク面積である、
免疫原性組成物、特に、項34~42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、好ましくは、ステップ(d)を含む任意のこのような方法によって得られる免疫原性組成物。
【0118】
44.中和剤を実質的に含まず、好ましくは、チオ硫酸ナトリウムを実質的に含まない、項34~43のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
45.弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス、または弱毒化生細菌をさらに含む、項34~44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
46.免疫原性組成物の1用量の投与後に、組換えタンパク質のアミノ酸配列が由来する病原体、好ましくは、PCV2に対する防御免疫応答を誘導する、項34~45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0119】
47.免疫原性組成物の1用量の投与後に、PRRSウイルスに対する防御免疫応答を誘導する、項45または46に記載の免疫原性組成物。
48.項34~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含有する容器を含む、キット。
49.項1~33のいずれか1項に記載の方法によって製造される免疫原性組成物を含有する容器を含む、キット。
50.弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化PRRSウイルス、および弱毒化生細菌からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原を含有する少なくとも1つの追加の容器をさらに含む、項48または49に記載のキット。
【0120】
51.1つまたは複数の弱毒化または不活性化非PRRSV病原体、またはその抗原性材料をさらに含む、項34~50のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、および/または項48~50のいずれか1項に記載のキット。
52.医薬として、好ましくは、ワクチンとしての使用のための、項34~47および51のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、ならびに/または項48~50のいずれか1項に記載のキット。
53.動物において、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する、
方法において使用するためのものであり、
少なくとも1つの病原体が、好ましくは、PCV2、PRRSV、非PRRSV病原体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項34~47および51~52のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、ならびに/または項48~52のいずれか1項に記載のキット。
【0121】
54.前記非PRRSV病原体が、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、仮性狂犬病ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ブタパルボウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、大腸菌、ブタ丹毒菌、気管支敗血症菌、サルモネラ・コレラスイス、ヘモフィルス・パラスイス、パスツレラ・ムルトシダ、ストレプトコッカス・スイスおよびアクチノバチルス・プルロニューモニアエから選択される、特に、項52または53に記載の使用のための、項51に記載の免疫原性組成物および/またはキット。
55.組換えタンパク質を含む免疫原性組成物を製造する方法であって、
(a) - 第1の液体、ならびに
- 組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または複数の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むウイルス様粒子
を含有する混合物を提供するステップ、
(b)ステップ(a)から得られる混合物中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を、混合物から第1の液体の一部を除去することにより濃縮することによって、バルク流溶液を形成するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られるバルク流溶液を、連続透析濾過により処理することによって、処理溶液を形成するステップ
を含む方法。
【0122】
56.ステップ(a)の混合物が、
- 前記組換えPCV2 ORF2タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターであって、不活性化剤によって不活性化されているベクター、および/もしくは
- 中和剤によって中和されている不活性化剤、および/もしくは
- 中和剤
を追加で含有するか、またはさらに含み、
ならびに/あるいは、ステップ(c)において、ステップ(b)から得られるバルク流溶液が、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過によって処理される、
項55に記載の方法。
【0123】
57.(a)(i) - 第1の液体、
- 組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または複数の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むウイルス様粒子、ならびに
- 前記組換えタンパク質をコードする核酸配列を含むベクター
を含有する混合物を提供するステップ、
(ii)ベクターを、不活性化剤をステップ(i)の混合物に添加することによって、不活性化するステップ、
(iii)不活性化剤を、中和剤をステップ(ii)から得られる混合物に添加することによって、中和するステップ、
(b)ステップ(a)(iii)から得られる混合物中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を、混合物から第1の液体の一部を除去することにより濃縮することによって、バルク流溶液を形成するステップ、ならびに
(c)ステップ(b)から得られるバルク流溶液を、中和された不活性化剤の濃度および/または中和剤の濃度が処理溶液中において減少するように、連続透析濾過により処理することによって、処理溶液を形成するステップ
を含む、項55または56に記載の方法。
【0124】
58.ステップ(b)において、前記混合物から第1の液体の一部を除去するステップが、少なくとも1つのフィルターで前記混合物を濾過することからなるか、またはこれを含み、前記少なくとも1つのフィルターが、好ましくは、フィルター膜を含む、項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【0125】
59.ステップ(a)の混合物が、
- 混合物を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することにより透過物を形成することであって、少なくとも1つのフィルターが、バルク流溶液中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含み、
- 透過物が、中和された不活性化剤および/または中和剤を含む、こと、
- 透過物を排出すること
によって濃縮され、
ならびに/あるいは、ステップ(c)の前記連続透析濾過が、
- ステップ(b)のバルク流溶液を、少なくとも1つのフィルターを含有するフィルターシステムに供給することによって透過物を形成することであって、少なくとも1つのフィルターが、バルク流溶液中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/または前記ウイルス様粒子を保持しながら、中和された不活性化剤および/または中和剤を通過させる膜孔径を有するフィルター膜を含む、こと
- 透過物が、中和された不活性化剤および/または中和剤を含む、こと、
- 透過物を排出すること、ならびに
- 第2の液体を、透過物を排出する速度と等しい速度でバルク流溶液に添加すること
を含み、
第2の液体が、第1の液体と異なる、
項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
60.少なくとも1つのフィルターが、少なくとも1つのフラットシートフィルターおよび/または少なくとも1つの中空繊維フィルターであり、少なくとも1つのフラットシートフィルターが、好ましくは、少なくとも1つのカセットフィルターであり、
ならびに/あるいは、少なくとも1つのフィルターが、2~8フィルター、好ましくは、5~7フィルターであり、
ならびに/あるいは、少なくとも1つのフィルターのそれぞれが、約16~26m2、好ましくは、約20~22m2の総フィルター面積を有し、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、組換えPCV2 ORF2タンパク質および/もしくは前記ウイルス様粒子よりも小さい平均孔径を有し、および/またはフィルター膜が、約200kDa~約500kDaの間の分子量カットオフを有し、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、ポリエーテルスルホン、セルロース水和物、再生セルロース、安定化セルロース、架橋セルロース、架橋セルロース水和物、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなるか、またはこれらの材料を含み、
ならびに/あるいは、フィルター膜が、好ましくは、ポリエーテルスルホンからなるか、もしくはポリエーテルスルホンを含み、またはフィルター膜が、安定化セルロース系膜であってもよい、
項58または59に記載の方法。
61.同じフィルターシステムが、ステップ(b)において、およびステップ(c)において、利用される、項59または60に記載の方法。
【0127】
62. - ステップ(iii)が、第1の容器中で行われ、不活性化剤を中和するステップから得られるステップ(a)の混合物が、第1の容器から、フィルターシステムと接続された第2の容器に移送され、ステップ(a)の混合物を、第1の容器から第2の容器に移送した後、第1の容器および第2の容器の間のバルブが閉鎖され、空の第1の容器が第2の液体で満たされ、
- ステップ(b)において、ステップ(a)の混合物が、ステップ(a)の混合物が濃縮されるまで、第2の容器およびフィルターシステムを通って循環され、それによって、ステップ(b)のバルク流溶液が形成され、ならびに
- ステップ(c)において、バルク流溶液が、フィルターシステムおよび第2の容器を通って循環している間に、処理溶液が形成されるまで、第1および第2の容器の間のバルブが開放され、第2の液体が、第1の容器から第2の容器に連続的に導入される、
項57~61のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
63.前記第1の液体が、細胞培養培地の一部を含むか、または細胞培養培地からなり、細胞培養培地が、好ましくは、昆虫細胞培養培地であり、
ならびに/あるいは、ステップ(a)から得られる混合物が体積を有し、混合物の体積が、1000L~10000L、好ましくは、2000L~8000L、最も好ましくは、3000L~5000Lであり、
ならびに/あるいは、ステップ(b)において、ステップ(a)の混合物が、バルク流溶液の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/またはウイルス様粒子が、ステップ(a)から得られる混合物の体積中の組換えPCV2 ORF2タンパク質および/またはウイルス様粒子の濃度と比較して、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも8倍、より好ましくは、9倍~11倍に濃縮されるまで、バルク流溶液に濃縮される、項55から62のいずれか1項に記載の方法。
64.第2の液体が、緩衝液、好ましくは、P-生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)であり、
ならびに/あるいは、ステップ(c)において、バルク流溶液に添加される第2の液体の総体積が、ステップ(b)から得られるバルク流溶液の体積の、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも7倍、より好ましくは、少なくとも9倍であり、および/またはバルク流溶液に添加される第2の液体の総体積が、最も好ましくは、濃縮されたステップ(a)から得られる混合物の体積とほぼ同じである、項59~63のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
65.(d)ステップ(c)の後に残った処理溶液を、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤、賦形剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分と混合することによって、溶液Dを形成するステップであって、
前記混合するステップから得られる溶液D中の組換えPCV2 ORF2タンパク質の濃度ならびに/あるいは前記ウイルス様粒子の濃度が、好ましくは、ステップ(a)から得られる混合物中のPCV2 ORF2組換えタンパク質および/または前記ウイルス様粒子の濃度とほぼ同じである、ステップ
をさらに含む、項55~64のいずれか1項に記載の方法。
66.前記組換えPCV2 ORF2タンパク質が、配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を含むか、あるいはこれらの配列からなる、項55~65のいずれか1項に記載の方法。
67.ベクターが、組換えウイルス、好ましくは、バキュロウイルスであり、および/または核酸配列が、DNA配列あり、
ならびに/あるいは、不活性化剤が、アジリジン化合物、好ましくは、バイナリーエチレンイミン(BEI)であり、および/または不活性化剤が、ベクターに対して、モル過剰で添加され、
ならびに/あるいは、中和剤が、チオ硫酸ナトリウムであり、および/または中和剤が、不活性化剤に対して、モル過剰で添加される、項56~66のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
68.溶液D中の免疫原性組成物が、殺ウイルス活性を有し、前記方法から得られる免疫原性組成物の殺ウイルス活性が、前記方法のステップ(b)の濃縮およびステップ(c)の連続透析濾過によって製造されていない免疫原性組成物と比較して、少なくとも20%低減され、ならびに/あるいは前記方法によって製造された免疫原性組成物が、生ウイルスが、免疫原性組成物と、4時間以上混合される場合に、生ウイルスのmLあたり1log TCID50未満の損失、好ましくは、生ウイルスのmLあたり0.7log TCID50未満の損失を引き起こす、項55~67のいずれか1項に記載の方法。
69.生ウイルスが、免疫原性組成物と室温で4時間以上混合される、項68に記載の方法。
【0131】
70.ステップ(c)の後に残った処理溶液および/またはステップ(d)の後に残った溶液Dを、少なくとも1つの追加の抗原と混合するステップをさらに含み、
ならびに/あるいは、少なくとも1つの追加の抗原が、好ましくは、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルスである、
項55~69のいずれか1項に記載の方法。
71.項55~70のいずれか1項に記載の方法によって製造される、免疫原性組成物。
72. - 配列番号1および/もしくは配列番号2の配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.5%または100%の配列同一性を有する配列を、好ましくは、含むか、あるいはこれらの配列からなる組換えPCV2 ORF2タンパク質、ならびに
- 1~10μMのLアルギニンおよび/または1~10μMのL-リジン
を含み、
好ましくは、中和された不活性化剤を実質的に含まないか、および/または中和剤を実質的に含まない、
項71に記載の免疫原性組成物。
【0132】
73.弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス、または弱毒化生細菌をさらに含み、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、PCV2に対する防御免疫応答を誘導し、
ならびに/あるいは、免疫原性組成物の1用量の投与後に、PRRSウイルスに対する防御免疫応答を誘導する、
項71または72に記載の免疫原性組成物。
74.好ましくは、
弱毒化生ウイルス、好ましくは、弱毒化PRRSウイルス、および弱毒化生細菌からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原を含有する少なくとも1つの追加の容器を含む、
項71~73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含有する容器を含むキット。
75.医薬として、好ましくは、ワクチンとしての使用のための、項71~73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、および/または項74に記載のキット。
【0133】
76.動物において、
- 少なくとも1つの病原体に対する防御免疫応答を誘導する、および/または
- 少なくとも1つの病原体感染の1つもしくは複数の臨床徴候を低減する、
方法において使用するためのものであり、
少なくとも1つの病原体が、好ましくは、PCV2、PRRSV、非PRRSV病原体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項71~73および75のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、ならびに/または項74または75に記載のキット。
図1
【配列表】
0007576063000001.app