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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】表示ドライバ、表示装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3208 20160101AFI20241023BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G09G3/3208
G09G3/20 623A
G09G3/20 632B
G09G3/20 641P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022160289
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2019545260の分割
【原出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2022180620
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】62/462,586
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/594,327
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/594,203
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲット ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】降旗 弘史
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ ジョセフ カース
(72)【発明者】
【氏名】能勢 崇
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-31461(JP,A)
【文献】特開2011-133578(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0079378(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0335964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路を備える表示パネルを駆動するための表示ドライバであって、
少なくとも3つの制御点を選択し、前記3つの制御点の少なくとも一の中点を決定することによって、前記複数の画素回路のうちの第1画素回路についての入力階調値から電圧データ値を算出するように構成された電圧データ生成回路と、
前記電圧データ値に少なくとも部分的に基づいて前記表示パネルを駆動するように構成された駆動回路部と
を備え、
前記電圧データ生成回路が、入力階調値と電圧データ値との間の所定の対応関係を指定する複数の基本制御点のそれぞれの第1座標及び第2座標を保持するように構成され、
前記少なくとも3つの制御点のそれぞれが、前記入力階調値と前記電圧データ値との間の対応関係を指定しており、かつ、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標を第1の複数の補正値のそれぞれに基づいて補正し、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標を第2の複数の補正値のそれぞれに基づいて補正することによって生成され、
前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標と前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標とが互いに独立に補正され、
前記第1の複数の補正値のうちの第1のものが、前記第1の複数の補正値のうちの第2のものと異な
表示ドライバ。
【請求項2】
前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標及び前記第2座標は、それぞれ、座標系の第1座標軸及び第2座標軸に沿うものであり、
前記第1座標軸が前記入力階調値に対応しており、前記第2座標軸が前記電圧データ値に対応している
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記電圧データ生成回路が、更に、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標及び前記第2座標と、前記第1の複数の補正値と、前記第2の複数の補正値とに基づいて、前記少なくとも3つの制御点のそれぞれの第3及び第4座標を互いに独立に算出するように構成された
請求項2に記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記第1画素回路に対応する前記少なくとも3つの制御点のそれぞれの前記第3座標が、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標と前記第1の複数の補正値のうちの第1補正値との積に少なくとも部分的に基づいて算出され、
前記第1画素回路に対応する前記少なくとも3つの制御点のそれぞれの前記第4座標が、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標と前記第2の複数の補正値のうちの第2補正値との和に少なくとも部分的に基づいて算出される
請求項3に記載の表示ドライバ。
【請求項5】
前記第1補正値が前記第1画素回路に対応する前記少なくとも3つの制御点のそれぞれのための第1補正データから算出され、
前記第2補正値が前記第1画素回路に対応する前記少なくとも3つの制御点のそれぞれのための第2補正データから算出される
請求項4に記載の表示ドライバ。
【請求項6】
前記複数の画素回路のそれぞれが有機発光ダイオード(OLED)素子を備え、
前記第1補正値が前記OLED素子の電流-電圧特性における変動を補償するように決定されている
請求項4に記載の表示ドライバ。
【請求項7】
前記複数の画素回路のそれぞれが有機発光ダイオード(OLED)素子と前記OLED素子を駆動するように構成された駆動トランジスタとを備え、
前記第2補正値が前記駆動トランジスタの閾値電圧における変動を補償するように決定されている
請求項4に記載の表示ドライバ。
【請求項8】
前記複数の画素回路のそれぞれが、有機発光ダイオード(OLED)素子を備え、
前記電圧データ生成回路が、更に、
前記入力階調値と前記少なくとも3つの制御点と前記表示パネルに表示されるスクリーンの輝度レベルを指定する輝度データとに基づいて、前記輝度データによって指定される前記スクリーンの前記輝度レベルについての前記入力階調値と前記電圧データ値との対応関係を指定する輝度補正後制御点を決定し、
前記輝度補正後制御点によって指定された前記対応関係に従って前記入力階調値から前記電圧データ値を算出するように構成され、
前記輝度補正後制御点の前記第1座標軸に沿った位置を指定する第5座標が、前記少なくとも3つの制御点の前記第3座標と前記輝度データとに基づいて算出され、
前記輝度補正後制御点の前記第2座標軸に沿った位置を指定する第6座標が、前記少なくとも3つの制御点の前記第4座標に基づいて算出される
請求項3に記載の表示ドライバ。
【請求項9】
複数の画素回路を備える表示パネルと、
前記表示パネルを駆動するように構成された表示ドライバと、
を備え、
前記表示ドライバが、
少なくとも3つの制御点を選択し、前記3つの制御点の少なくとも一の中点を決定することによって前記複数の画素回路のうちの第1画素回路についての入力階調値から電圧データ値を算出するように構成された電圧データ生成回路と、
前記電圧データ値に少なくとも部分的に基づいて前記表示パネルを駆動するように構成された駆動回路部と、
を備え、
前記電圧データ生成回路が、入力階調値と電圧データ値との間の所定の対応関係を指定する複数の基本制御点のそれぞれの第1座標及び第2座標を保持するように構成され、
前記少なくとも3つの制御点のそれぞれが、前記入力階調値と前記電圧データ値との間の関係を指定しており、かつ、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標を第1の複数の補正値のそれぞれに基づいて補正し、前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標を第2の複数の補正値のそれぞれに基づいて補正することによって生成され、
前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標と前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標とが互いに独立に補正され、
前記第1の複数の補正値のうちの第1のものが、前記第1の複数の補正値のうちの第2のものと異な
表示装置。
【請求項10】
複数の画素回路を備える表示パネルを駆動するための駆動方法であって、前記方法が、
前記複数の画素回路のうちの第1画素回路についての入力階調値から電圧データ値を算出することと、
前記電圧データ値に少なくとも部分的に基づいて前記表示パネルを駆動することと、
を含み、
前記電圧データ値を算出することが、
力階調値と圧データ値との間の所定の対応関係を指定する複数の基本制御点のそれぞれの第1座標及び第2座標を含む基本制御点データを保持回路に用意することと、
第1の複数の補正値と第2の複数の補正値とを備える補正データを前記複数の画素回路のそれぞれについて用意することと、
前記第1の複数の補正値のそれぞれに基づいて前記数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標を補正し、前記第2の複数の補正値のそれぞれに基づいて前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標を補正することによって前記第1画素回路に対応する制御点データを生成することと、
前記制御点データの少なくとも3つの制御点を選択することと、
前記3つの制御点の少なくとも一の中点を決定することと、
前記3つの制御点の少なくとも一の中点に少なくとも部分的に基づいて前記入力階調値と前記電圧データ値との対応関係に基づいて前記入力階調値から前記電圧データ値を算出することと、
を含み、
前記制御点データが、前記入力階調値と前記電圧データ値との間の関係を指定しており、
前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第1座標と前記複数の基本制御点のそれぞれの前記第2座標とが互いに独立に補正され、
前記第1の複数の補正値のうちの第1のものが、前記第1の複数の補正値のうちの第2のものと異なる
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概略的には表示装置に関している。
【背景技術】
【0002】
表示装置の製造における生産バラツキは、しばしば、表示装置の表示パネルに画像を表示する際に画質の低下を生じさせる。ムラ除去補正は、このような画質の問題を最小にし、又は、訂正するために用いられることがある。ムラ除去補正情報は、製造バラツキに起因する画素間のベキ法則に従うバラツキを訂正し得る。ムラ除去補正情報は、表示ドライバのメモリに格納されることがある。しかしながら、表示ドライバメモリは高価であり、表示ドライバのコストを増大させる。ムラ除去補正情報は、格納に必要なメモリの量を低減するために圧縮されることがあるが、圧縮されたムラ除去補正情報を格納するために必要なメモリの量を更に低減する要望がある。
【0003】
したがって、ムラ除去補正情報の格納に必要なメモリの量を低減するための改良された技術のニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
一以上の実施形態では、表示装置のためのムラ除去キャリブレーション情報をエンコードする方法が、表示色情報に基づいてムラ除去補正係数を生成することと、前記ムラ除去補正係数からコヒーレント成分を分離して残余情報を生成することと、第1エンコード技術を用いて前記残余情報をエンコードすることとを備えている。
【0005】
一以上の実施形態では、表示装置が、画素の副画素を備える表示パネルと、ホスト装置と、表示ドライバとを備えている。ホスト装置は、前記画素の前記副画素にそれぞれに対応する元データをデータストリームに分割し、前記データストリームから圧縮データストリームを生成し、前記圧縮データストリームのそれぞれをブロックに分割し、前記ブロックの並び替えを行うように構成されている。前記表示ドライバは、表示パネルを駆動するように構成されている。前記表示ドライバは、前記ホスト装置から順次に受け取った前記並び替えされたブロックを格納するように構成されたメモリと、前記ブロックに展開処理を行って展開データを生成するように構成された展開回路部と、前記展開データに基づいて前記画素の前記副画素を駆動するように構成された駆動回路部とを備えている。
【0006】
一以上の実施形態では、表示パネルを駆動するための表示ドライバが、複数の画素回路と、電圧データ生成器と、駆動回路部とを備えている。電圧データ生成回路は、複数の画素回路の第1画素回路について、入力階調値から電圧データ値を計算するように構成されている。電圧データ生成回路は、前記入力階調値と前記電圧データ値との間の基本対応関係を指定する基本制御点データを格納するように構成された基本制御点データ格納回路と、前記複数の画素回路のそれぞれについて補正情報を保持するように構成された補正データメモリと、前記第1画素回路に対応する前記補正データに基づいて前記基本制御点データを補正することにより、前記第1画素回路に対応する制御点データを生成するように構成された制御点算出回路と、前記制御点データによって指定された対応関係に基づいて前記入力階調値から前記電圧データ値を算出するように構成されたデータ補正回路とを備えている。前記駆動回路部は、前記電圧データ値に基づいて前記表示パネルを駆動するように構成されている。
【0007】
本開示の上記された特徴が詳細に理解されるような態様で、上記に簡潔に要約された開示のより具体的な記載が、実施形態を参照しながら提供され得る。実施形態の一部は添付図面に図示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、よって、技術的範囲を限定するものとして考えるべきでないことに留意されたい。なぜなら、開示は、他の同等に有効な実施形態を認め得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一以上の実施形態による画像取得装置の例を示している。
【0009】
図2図2は、一以上の実施形態によるムラ除去補正情報を圧縮する方法を示している。
【0010】
図3図3は、一以上の実施形態による光度カーブを示している。
【0011】
図4図4は、一以上の実施形態によるガンマカーブを示している。
【0012】
図5図5は、一以上の実施形態による光度決定の例を示している。
【0013】
図6図6は、一以上の実施形態によるベースラインの例を示している。
【0014】
図7図7は、一以上の実施形態による、二値画像に含まれる情報の例を示している。
【0015】
図8図8は、ハフマン符号化における符号割り当ての例を示している。
【0016】
図9図9は、一以上の実施形態による、ハフマン符号化によって生成された圧縮データの展開処理の例を示している。
【0017】
図10図10は、展開処理が並列で行われるアーキテクチャの例を示すブロック図である。
【0018】
図11図11は、展開処理が並列で行われるアーキテクチャの他の例を示すブロック図である。
【0019】
図12図12は、一実施形態における表示システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図13図13は、表示パネルの画素の構成を示している。
【0021】
図14図14は、一実施形態における表示ドライバの構成を示すブロック図である。
【0022】
図15図15は、一実施形態における補正データ展開回路部の構成を示すブロック図である。
【0023】
図16図16は、圧縮補正データを生成し、該圧縮補正データを固定長ブロックに格納して表示ドライバに送信するホスト装置の動作を示す図である。
【0024】
図17図17は、一実施形態における、補正データ展開回路部において実行される展開処理を示す図である。
【0025】
図18図18は、一以上の実施形態による表示システムの構成を示すブロック図である。
【0026】
図19図19は、一実施形態における画像展開回路部の構成を示すブロック図である。
【0027】
図20図20は、圧縮画像データを生成し、該圧縮画像データを固定長ブロックに格納して表示ドライバに送信するホスト装置の動作を示す図である。
【0028】
図21図21は、一以上の実施形態による、画像展開回路部において行われる展開処理を示す図である。
【0029】
図22図22は、一以上の実施形態による表示システムの構成を示すブロック図である。
【0030】
図23図23は、一実施形態における表示システムの動作を示すブロック図である。
【0031】
図24図24は、一実施形態における表示システムの動作を示すブロック図である。
【0032】
図25図25は、画像データに記述された副画素の階調値と電圧データの値との間の対応関係の一例を示すグラフである。
【0033】
図26図26は、入力画像データを補正して補正後画像データを生成し補正後画像データから電圧データを生成する回路構成の一例を示している。
【0034】
図27図27は、入力画像データの階調値が許容最大又は最小階調値に近いときに適正な補正が行われない問題を示す図である。
【0035】
図28図28は、一実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【0036】
図29図29は、画素回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図30図30は、一以上の実施形態による、表示ドライバの構成を概略的に示すブロック図である。
【0038】
図31図31は、一以上の実施形態による、電圧データ生成回路の構成を示すブロック図である。
【0039】
図32図32は、基本制御点データと該基本制御点データによって指定された対応関係のカーブを概略的に示すグラフである。
【0040】
図33図33は、補正値α0~αmに基づく補正の効果を示すグラフである。
【0041】
図34図34は、補正値β0~βmに基づく補正の効果を示すグラフである。
【0042】
図35図35は、一以上の実施形態による電圧データ生成回路の動作を示すフローチャートである。
【0043】
図36図36は、一以上の実施形態による、ベジェ演算回路において行われる演算アルゴリズムを示す図である。
【0044】
図37図37は、ベジェ演算回路において行われる演算の手順を示すフローチャートである。
【0045】
図38図38は、ベジェ演算回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図39図39は、各単位演算ユニットの構成を示す回路図である。
【0047】
図40図40は、ベジェ演算回路において行われる、改良した演算アルゴリズムを示す図である。
【0048】
図41図41は、ハードウェアで平行移動及び中点演算を行うベジェ演算回路の構成を示すブロック図である。
【0049】
図42図42は、初段演算ユニットと単位演算ユニットの構成を示す回路図である。
【0050】
図43図43は、n=3のとき(即ち、3次ベジェカーブが電圧データ値の算出に用いられる場合)の中点演算を示す図である。
【0051】
図44図44は、画面の各輝度レベルについて指定された、入力階調値と電圧データ値との対応関係の一例を示すグラフである。
【0052】
図45図45は、第2の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
図46図46は、一実施形態による電圧データ生成回路の構成を示すブロック図である。
【0053】
図47図47は、一以上の実施形態による、制御点データの間の関係を示す図である。
【0054】
図48図48は、一以上の実施形態による、電圧データ生成回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
理解を容易にするために、可能である限りにおいて、図に共通な同一要素を示すために同一の参照符号が用いられている。一実施形態に開示されている要素は、特に言及しなくとも他の実施形態に役立つように利用され得ると検討されている。
【0056】
ムラ除去キャリブレーション及びエンコード
図1は、ディスプレイ製造ライン110のための光学検査システム100を示している。一実施形態では、光学検査システム100が、ディスプレイ製造ライン110において表示装置130の表示パネルを撮像するカメラ装置120を備えている。表示装置は、一又は複数のメモリ要素(図示されない)を備えていてもよく、光学検査システム100は、表示装置130の該一又は複数のメモリ要素と通信するように構成される。一以上の実施形態では、カメラ装置120が、表示パネル全体を撮像して各表示パネルの各副画素の光度を得るように構成された少なくとも一の高解像度カメラを備えている。一具体例では、元の1画素あたり4×4個の等価のカメラ画素が用いられる。このような実施形態では、表示パネルのキャリブレーションは、対応する色チャネルそれぞれのための撮像を含んでいてもよい。例えば、赤、緑及び青の副画素(赤チャネル、緑チャネル及び青チャネル)を備える表示パネルについては、各色の様々なレベルの画像がカメラ装置120によって取得されてもよい。他の実施形態では、表示パネルが異なる副画素配置を有していてもよく、よって、各副画素のタイプの画像が異なるレベルで取得されてもよい。例えば、表示パネルは4又はそれ以上の副画素を有する画素を備えていてもよい。一の具体的な実施形態では、各画素は、赤副画素と、緑副画素と、青副画素と、白副画素、黄副画素及び他の青副画素のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0057】
更に、幾つかの実施形態では、複数のカメラを有するカメラ装置120が表示パネルの様々な画像を取得するために用いられてもよく、該画像が組み合わされて表示パネルの1枚の画像を生成してもよい。一実施形態では、これらの画像のそれぞれが、それらを組み合わせずに表示パネルのキャリブレーションに個別に用いられてもよい。カメラ装置120は、一以上のCCDカメラ、色彩計などを備えていてもよい。一以上の実施形態では、カメラ装置120による画像の取得時間が、画面のリフレッシュ時間に基づいて設定される。例えば、結果として抽出された画像にローリングリフレッシュに起因する暗い領域が存在しないようにするために、該取得時間が、画面のリフレッシュ時間の整数部の少なくとも近くに設定されている。
【0058】
表示データは、異なる副画素タイプに対応する一以上のストリームに分割されてもよい。例えば、第1データストリームは赤データチャネルに対応し、第2データストリームは緑データストリームに対応し、第3データストリームは青データストリームに対応する。他の実施形態では、表示パネルが、3より多い副画素タイプを備えており、よって、3より多いデータストリームを備えていてもよい。例えば、追加の緑データチャネル、黄データチャネル及び又は白データチャネルが存在してもよい。更に、様々な実施形態において、各データのストリームは、一以上の圧縮技術に基づいてエンコードされてもよい。
【0059】
一実施形態では、第1副画素データは、第1技術でエンコードされ、第2副画素データは第2技術でエンコードされてもよい。ただし、第1技術と第2技術とは異なっている。更に、第1副画素データ及び第2副画素データが第1エンコード技術でエンコードされ、第3副画素データが第1エンコード技術とは異なる第2エンコード技術でエンコードされてもよい。一実施形態では、青副画素データが緑副画素データよりも高い圧縮率で圧縮されてもよい。更に、赤副画素データが、緑副画素データよりも高い圧縮率で圧縮されてもよい。一実施形態では、緑副画素データが、白又は黄副画素データよりも高い圧縮率で圧縮されてもよい。更に、各副画素の色に適用される圧縮が可変であってもよい。
【0060】
図2は、ムラ除去キャリブレーション情報をエンコードするための方法200を示すフローチャートを示している。ムラ除去キャリブレーション情報は、表示パネルの各副画素について様々な輝度レベルに基づいて生成される。一実施形態では、ムラ除去キャリブレーション情報は、一以上のエンコード方法を用いてエンコードされ、表示装置の表示ドライバのメモリに格納される。
【0061】
方法200のステップ210では、ムラ除去補正係数が生成される。一実施形態では、ムラ除去補正係数を生成することは、副画素データを取得することと、表示パネルの各副画素タイプについて画素輝度応答を構築することを含んでいる。画素輝度応答は、測定ベースの画素応答であってもよい。更に、一実施形態では、画素輝度応答は各副画素タイプについてパラメータマップを含んでいてもよい。一実施形態では、各副画素タイプについて複数の輝度レベルがカメラ装置120のような画像取得装置によって取得される。各副画素タイプは、各輝度レベルを表示するように一又は複数の輝度コードに従って駆動されてもよい。一実施形態では、輝度レベルは8レベルを含んでいる。他の実施形態では、8より多いレベルが用いられてもよく、8より少ないレベルが用いられてもよい。
【0062】
上述のように、副画素タイプは一以上の色の副画素を含んでいてもよい。例えば、副画素タイプは、少なくとも赤、緑及び青の副画素を含んでいてもよい。他の実施形態では、副画素タイプは、追加的に白副画素、第2の緑副画素及び/又は黄副画素を含んでいてもよい。取得される画像の数は、表示パネルの副画素タイプの数及び輝度レベルの数に基づいて変更してもよい。一実施形態では、表示パネルは3つの異なる副画素タイプを備えており、各副画素は、8レベルで駆動され、トータルとしては24画像である。
【0063】
一以上の実施形態では、画素輝度応答は3点法を用いて生成されてもよい。更に、画素輝度応答は副画素タイプのそれぞれについて生成された光度マップに基づいて補正画像を生成するために用いられてもよい。画素輝度応答は、キャリブレーション中の表示パネルの表示ドライバの能力に対応する構成となっていてもよい。例えば、各副画素が1、2、3又はそれ以上のパラメータを用いて表現されてもよく、パラメータの数は、対応する表示ドライバの能力に基づいて選択されてもよい。一以上の実施形態では、モデルパラメータが、画素輝度応答が構築された後に抽出されてもよい。例えば、3点法がモデルパラメータの抽出に用いられてもよい。様々な実施形態において、モデルパラメータが抽出された後、各副画素についてモデルパラメータマップが生成されてもよい。
【0064】
一実施形態では、画素輝度応答を生成することが、一以上の画素輝度応答画像を生成することを含む。画素輝度応答画像は、表示パネルに表示されたときに完全に均一に見えるように構成されたビットマップ画像であってもよい。例えば、画素輝度応答画像は、各画素が、選択されたコードについて目標カーブの略同一の光度を表示するように構成されるように選択されてもよい。図3のグラフ310は、特定のタイプの副画素について、入力コードinCodes又はCin(カーブ312上のIn1, In2, and In3)と、補正後コードoutCodes 又はCout(カーブ314上のOut1, Out2, and Out3)とを図示している。カーブ312は、目標光度を表しており、カーブ314は、ムラ除去キャリブレーションを行った後の出力光度を表している。一実施形態では、各画素が異なるベキであるので、出力されるコードが要求されたコードに適合するようにコードが変更される。例えば、もし第1副画素が第1輝度を出力するように要求されたとき、該第1副画素に対応する補正後のコードは、該第1画素によって該第1輝度が出力されるようにする。実際の輝度は期待される輝度とは異なっているので、補正されたコードは、各副画素について測定された輝度レベルに基づいて要求される輝度の値を増大及び/又は減少させ、これにより、副画素が駆動されたときに、該副画素が、期待された輝度レベルを、又は、期待された輝度レベルの閾値で輝度レベルを出力するようにする。
【0065】
画素輝度応答は、この“in”から“out”へのコード変換によって表される。様々な実施形態において、カメラ装置120のような画像取得装置によって、少数の画像しか取得されず(例えば、グラフ310のカーブ314上の測定点X、Y、Z)、正確な“in”及び“out”コード値が測定されないことがある。従って、画素輝度応答画像を抽出するために両者のカーブの内挿及び/又は外挿が用いられてもよい。
【0066】
グラフ310は、Log-Log空間に移行する前の画素光度、即ち、元のコードと光度空間を図示しており、グラフ320は、カーブをLog-Log空間に変換した後の画素光度を示している。図に示すように、グラフ310の目標光度(カーブ312)及び画素光度(カーブ314)は、グラフ320においては線形であり(カーブ322及びカーブ324)、直線が、カーブ上の点の間を内挿するために、又は、最初の点の前又は最後の点の後を外挿するために用いられてもよい。一以上の実施形態では、カーブ上の任意の2点、例えば、カーブ312及びカーブ314上のIn2及びOut2に対して内挿が行われる。一以上の実施形態では、カーブ上の最初の点又は最低点、例えば、カーブ314上の測定点X又はカーブ312上の目標点X’について外挿が行われてもよい。外挿は、カーブ上の最後の点又は最高点、例えば、カーブ314上の測定点Z又はカーブ312上の目標点Z’について行われてもよい。一以上の実施形態では、内挿及び外挿のための他の手法が、Log-Log空間に変換する前又はLog-Log空間における画素カーブ及び目標カーブの両方を用いてCinからCoutを計算するために用いることが可能である。
【0067】
副画素モデルパラメータのそれぞれは、表示パネルの各画素について完全なムラ除去補正を表している画素輝度応答表現から抽出されてもよい。しかしながら、表示パネルの表示ドライバにあるメモリ空間は、しばしば、変更しない形での完全な画素輝度応答表現を格納するためには小さすぎることがある。表示ドライバにおける限定されたメモリ空間に対応するために、画素輝度応答表現が近似され、画素輝度応答表現を格納するために必要なメモリ空間の量を低減してもよい。
【0068】
一実施形態では、画素輝度応答表現は、”code in”又は”inCodes”(Cin)から”code out”又は”outCodes”(Cout)へのカーブを表す多項式を用いて近似されてもよい。このような実施形態では、利用可能な多項式の係数の数が増大するので、モデルによる予想が、計算されたカーブをより正確に追随し、モデルによる予想の正確性が増大する。
【0069】
例えば、単一の係数 (Offset) については、Coutは、Cout (Cin) = Cin + Offsetに基づいて決定されてもよい。2つの係数 (Scale及びOffset) については、Coutは、Cout(Cin) = Cin + Offsetに基づいて決定されてもよい。2つの係数 (Quadratic and Scale) については、Coutは、Cout(Cin) = Quadratic * Cin 2 + Scale * Cinに基づいて決定されてもよい。更に、3つの係数(完全二次)については、Coutは、Cout(Cin) = Quadratic * Cin 2 + Scale * Cin + Offsetに基づいて決定されてもよい。他の実施形態では、3より多い係数が用いられてもよい。様々な実施形態において、係数の数は、表示ドライバにおけるメモリのサイズに基づいていてもよい。大きいメモリを有する表示ドライバについては、更に多い係数が用いられてもよい。幾つかの実施形態では、最小二乗法又は重み付け法がパラメータを決定するために用いられてもよい。
【0070】
様々な実施形態において、均一な表示画面を実現するために目標画素光度が計算され、目標画素光度が更に表示パネルの全ての画素応答を変更するためのテンプレートとして用いられてもよい。一実施形態では、目標画素光度が、輝度画像から計算されてもよい。他の実施形態では、目標画素光度が理論上のカーブに設定されてもよい。各色の中心領域の平均に基づいて相対強度(α)が抽出されてもよい。例えば、式(1)が目標画素光度を決定するために用いられてもよい。
【数1】
【0071】
式(1)において、2.2は、選択したガンマカーブを表している。異なるガンマカーブが選択される他の実施形態では、2.2を変更してもよい。
【0072】
しかしながら、様々な実施形態において、ガンマ及びホワイトポイントの調整を行った後においても、個別の画素光度関数が、正確な指数カーブに従わないことがある。例えば、表示パネルのホワイトポイントが正確なガンマカーブに設定される一方で、個々の色は少し異なったカーブに従うことがある。図4に示すように、グラフ410は、理論上完璧な画素関数を示している。しかしながら、コードが変化すると、個々の色は少し異なるカーブに従うことがある。異なる色の副画素に対応する異なるカーブが、図4のグラフ420に示されている。このような実施形態では、個々の色のカーブがカメラ装置120のような画像取得装置によって取得された画像から抽出され得るので、ムラ除去補償法により、カーブのそれぞれにおける均一性について補正する。
【0073】
一実施形態では、目標カーブを抽出するために、全ての画素について単一のカーブが決定されてもよい。図5に示すように、当該カーブは、表示パネルの少なくとも一部分(例えば、パネルガンマが装置により製造目的に合うように調整される位置)の中央値又は平均値に基づいて決定されてもよい。例えば、図5に示すように、ムラ除去キャリブレーションの前にガンマが設定される中央領域510が用いられてもよい。図5には中央領域が図示されているが、他の実施形態では、表示パネルの他の部分が、ディスプレイの各行(水平ライン)に目標値を与えるために用いられてもよい。一以上の実施形態では、表示パネルの全領域が用いられてもよい。更に他の実施形態では、複数の目標カーブが、表示パネルの様々な異なる部分から決定されてもよい。一実施形態では、異なる目標輝度が副画素の位置(例えば水平ライン)に依存してもよい。一以上の実施形態では、ある水平ラインの各画素が、水平方向の局所的な目標を表す画素を中心とする水平方向の帯状領域に対応する局所カーブに従う。
【0074】
図2に戻り、方法200のステップ220において、モデル係数マップのコヒーレントな空間成分が、ムラ除去係数マップの高空間周波数部分から分離される。高空間周波数部分は、ムラ除去係数マップの局所的な特徴(例えば、単一の副画素)であり得る。一実施形態では、コヒーレント成分の分離は、モデル係数マップの一以上のベースラインを分離することを含んでいる。他の実施形態では、コヒーレント成分の分離は、モデル係数マップの第1及び第2プロファイル(例えば、画素の行及び/又は列)を分離することを含んでいる。ある実施形態では、コヒーレント成分の分離は、1以上のベースラインを分離することと、モデル係数マップのプロファイルを分離することとを含んでいる。コヒーレント成分を分離することで、残余の高周波情報が生成される。残余情報は、ベースラインモデルの予測誤差ということがある。
【0075】
一以上の実施形態では、ベースラインは、空間的に平均化されたベースラインである。更に、モデル係数マップのベースラインを分離することは、局所平均係数を除去することを含んでいる。一実施形態では、ベースラインを分離することは、係数空間マップにおける2つの成分を分離することを含む。例えば、画面全体に渡る低周波(大きな特徴)変化(ベースラインと呼ばれる)と、分離して圧縮され格納可能な各個別の画素レベルに対応するランダムに近い“砂/白色”ノイズである。
【0076】
一実施形態では、ベースラインは圧縮されずに格納されてよい。他の実施形態では、ベースラインは、コヒーレント成分から分離された後でエンコードされてもよい。一以上の実施形態では、ベースラインは、ピッチ格子及び内挿を用いてエンコードされてもよい。一実施形態では、ピッチ格子の大きさは、4×4画素から32×32画素であってもよい。ピッチ格子が大きくなるほどベースラインが大きく圧縮される。
【0077】
上述のように、コヒーレント成分をモデルパラメータから分離することで残余情報を生成する。図6は、ベースライン602の一例と、ベースラインが除去された後の残余の度数604とを示している。ベースライン602は、モデルパラメータから“滑らかさ”を除去し、予測誤差を生成する。この予測誤差は、残余情報と呼ばれることがある。一以上の実施形態では、ベースライン変動は小さい。例えば、ベースライン変動は、約5カウントであってもよい。更に、画素の99.0%について、残余情報は-4から+4の範囲にある。
【0078】
一実施形態では、ベースラインを分離するために、格子の個々によって占められる領域に渡る平均又は中央値が用いられてもよい。一実施形態では、任意の異常値によって誘起された任意の偽情報を除去するために空間フィルタが適用されてもよい。更に、ムラ除去補正画像のサイズを制限するために様々な内挿法が用いられてもよい。例えば、内挿法としては、最近接値、バイリニア内挿、バイキュービック内挿、スプライン内挿が挙げられる。
【0079】
一以上の実施形態では、表示パネルのソース線及び/又はゲート線における変動が検知され(例えば、ラインについて平均化することで)、行または列プロファイル(例えば、ライン又はソースムラ)として格納されてもよい。ゲート線及びソースは、典型的には、垂直及び水平方向に沿って設けられるので、これらのプロファイルは、垂直及び水平プロファイルと呼ばれることがある。しかしながら、繰り返しノイズの方向によっては、異なる方向に沿ったプロファイルが決定されてもよい。一実施形態では、検出される特徴は、表示パネルのソース線及びゲート線における変化によって生成された垂直及び水平方向の線である。しかしながら、画素値要求に応じて大きさが変化する繰り返しノイズを特定し、残余の変動をエンコードする前にそれらの空間成分を除去することができる。
【0080】
特定され、抽出されたノイズから決定されたプロファイルは、格納され、画素の元の値に依存して全ての画素に適用される。一実施形態では、該プロファイルは、圧縮されずに格納されてもよい。他の実施形態では、該プロファイルは格納される前にエンコードされてもよい。
【0081】
一実施形態では、ベースラインとプロファイルの両方が、モデルパラメータから分離されてもよい。このような実施形態では、ベースラインが分離された後にプロファイルが分離されてもよい。例えば、ベースラインがモデル特性から除去された後に、コヒーレントな高周波の特徴が残存し得るが、これは効率的にエンコードすることが難しい場合がある。プロファイルは、これらの特徴をモデルパラメータから分離するために用いられる。他の実施形態では、ベースラインとプロファイルの一方しか用いられなくてもよい。
【0082】
一実施形態では、異なるベースラインが各副画素タイプに適用されてもよい。例えば、第1ベースラインが赤副画素に適用され、第2ベースラインが緑副画素に適用され、第3ベースラインが青副画素に適用されてもよい。一実施形態では、少なくとも2つのベースラインは類似しているかもしれない。ベースラインが類似している場合、ダイナミックレンジを低減し、圧縮率又は圧縮精度を向上するために、副画素の或る集合のベースラインが、他の集合からの差として格納されてもよい。
【0083】
図2に戻り、更に、ステップ230では、残余情報がコヒーレント成分のエンコードに用いられるものと異なるエンコード手法を用いてエンコードされる。例えば、残余情報は、非可逆的な圧縮手法を用いてエンコードされてもよい。一実施形態では、全ての残余情報が、共有の圧縮手法を用いて圧縮される。他の実施形態では、残余情報の少なくとも一部が、残余情報の他の部分と異なる圧縮手法を用いて圧縮される。
【0084】
様々な実施形態において、ハフマン木符号化が用いられ得る。他の実施形態では、他の種類のエンコード手法が用いられ得る。一以上の実施形態において、ランレングス符号化(RLE)が、ハフマン木符号化に代えて、又は、加えて用いられ得る。例えば、マルチシンボルタンストール符号や(例えば、保存した状態を用いる)算術符号化のような他の符号化方法が用いられてもよい。
【0085】
瞬時2値画像が、エンコードされた残余情報及びベースライン及び/又はプロファイルから構築される。一実施形態では、瞬時2値画像は、ベースラインデータ、垂直及び水平プロファイルデータ、及び、利用可能であるならば、エンコードされた残余情報(例えば、予測誤差)に基づいて形成される。一実施形態では、ハフマン木構成が、瞬時2値画像を構築するために用いられ得る。
【0086】
二値画像は、カメラ装置120のような画像取得装置から各表示装置130の表示ドライバに通信される。一実施形態では、各表示ドライバは、キャリブレーションの間、画像取得装置に通信可能に接続される。このような構成は、二値画像を表示ドライバに転送するために、画像取得装置と各表示装置130の表示ドライバとの間に通信経路を提供する。
【0087】
図7は、二値画像における圧縮データの例を示している。図示された実施形態では、赤、緑、青の副画素タイプについて圧縮データが、示されている。しかしながら、他の実施形態では、一以上の追加の副画素タイプが含まれてもよい。赤、緑、及び、青副画素のそれぞれについて、モデルパラメータA、B及びCが図示されている。符号702によって示されているように、各副画素タイプについて、3つの異なるベースラインがモデルパラメータから分離され得る。例えば、赤副画素について、第1ベースラインがAパラメータから分離され、第2ベースラインがBパラメータから分離され、Cパラメータから第3ベースラインが分離されてもよい(例えば、緑及び青についても同様である)。更に、異なるベースラインが各副画素タイプの各パラメータに適用されてもよい。
【0088】
更に図7の符号704で示されているように、プロファイルが各副画素タイプの各モデルパラメータから除去される。該プロファイルは、上述された通りであってもよい。例えば、垂直及び水平プロファイルが、ベースラインが除去された後にモデルパラメータから分離されてもよい。部分706に示すように、一以上のモデルパラメータの残余が、あるエンコード手法でエンコードされてもよい。このエンコード手法は、ハフマン符号化や上述された類似のエンコード手法のうちの1つであってもよい。図示されているように、緑副画素の“A”モデルパラメータの残余は、赤及び青副画素の対応するモデルパラメータの残余と比較してあまり圧縮されない(例えば、誤差を小さくして向上した精度)。更に、青副画素の“A”モデルパラメータの残余は、赤副画素の対応するモデルパラメータの残余と比較してあまり圧縮されない。図7に示されているように、モデルパラメータの残余のそれぞれについて対応する長方形のサイズが、エンコードされた当該情報の“バイトサイズ”に対応している。更に、“A”モデルパラメータの残余のみが圧縮されているとして図示されているが、他の実施形態では、モデルパラメータの残余の任意の組み合わせが圧縮されてもよい。
【0089】
ベースライン、プロファイル及びエンコードされたパラメータの残余は、表示装置の表示ドライバに格納するために、組み合わされて二値画像に組み込まれてもよい。例えば、ベースラインデータ、プロファイルデータ及び各副画素タイプのエンコードされたデータは、組み合わされて二値画像を形成する。
【0090】
一実施形態では、二値画像は、エンコード値、ルックアップテーブル、及び、対応するデータの構成を示すヘッダを含んでいる。更に、圧縮データは、ベースラインデータ及び圧縮されたビットストリームを含んでいてもよい。一具体例では、ヘッダは、ハフマン木の値と、ルックアップテーブルと、ムラブロック構成とを示していてもよい。圧縮データは、ベースラインと、混合され、並び替えられたハフマンビットストリームを含んでいてもよい。各デコーダに対応する語は、ジャストインタイム(JIT)手法を用いて提供されてもよい。様々な実施形態において、各色チャネルは異なるビットレート値を有していることがあるので、次の語は、ファイル生成時に決定されてもよい。
【0091】
圧縮画像データの伝送
表示パネルを含む表示システムでは、各画素の副画素に対応するデータが、表示パネルを駆動する表示ドライバに転送される。このデータとしては、例えば、各画素の各副画素の階調値を指定する画像データや各画素の各副画素に対応する補正データが挙げられ得る。ここでいう補正データは、画質を向上させるために画像データの補正演算に用いられるデータである。表示ドライバによって駆動される表示パネルの画素の数が増大するに伴い、該表示ドライバに供給すべきデータの量が増大することがある。データ量が増大すると、表示ドライバへのデータ転送に必要なボーレートや電力消費も増大し得る。
【0092】
データの増大に対応する一つのアプローチは、表示ドライバへの送信の前に元のデータに対してデータ圧縮を行って圧縮データを生成することである。該圧縮データは、表示ドライバによって展開され、更に、表示パネルに駆動される。
【0093】
しかしながら、表示ドライバのハードウェアの制約は、圧縮データの伝送に影響し得る。大量の圧縮データを扱う表示ドライバは、高速に圧縮データを展開することを強いられることがあり、表示ドライバのハードウエアの制約は、表示ドライバがどれくらい高速に圧縮データを展開できるかを制限することがある。
【0094】
一実施形態では、例えば長い符号長を用いる可変長圧縮がデータ圧縮に用いられる場合、圧縮データの展開は、各符号の末尾と各符号の値とを特定するビットサーチを含む。しかしながら、表示ドライバには、各クロックサイクルでビットサーチを実行可能なビット数の制限がある。これは、可変長圧縮で生成された圧縮データを高速に展開することの制約になり得る。
【0095】
従って、圧縮データを表示ドライバに転送するように構成されたパネル表示システムの表示ドライバにおいて、圧縮データを高速に展開することには技術的なニーズがある。
【0096】
一以上の実施形態では、データ圧縮は、可変長圧縮、例えばハフマン符号化によって行われる。
【0097】
図8は、ハフマン符号化における符号割り当ての例を示している。図8の例では、各記号は、各副画素に対応づけられたデータ、例えば、補正データ又は画像データである。図8に示す符号割り当てにおいては、各記号は符号付き8ビットデータとして定義されており、-127~127の値を取る。各記号に対してハフマン符号が定義されている。ハフマン符号の符号長は可変である。図8の例では、ハフマン符号の符号長は1~13ビットの範囲である。
【0098】
図9は、図8に図示されている符号割り当てに基づくハフマン符号化によって生成された圧縮データの展開処理の例を示している。図9の例では、6個の副画素に対応する圧縮データが展開回路901によって展開される。一実施形態では、6個の副画素に対応する圧縮データの最小のビット数は6ビットであり、最大のビット数は78ビットである。よって、このように構成された圧縮データを展開する場合、最大で78ビットのビットサーチが用いられる。よって、6個の副画素を単位として圧縮データを展開する場合、非常に高速に動作する処理回路が必要な場合がある。
【0099】
一実施形態では、圧縮データの処理速度を向上するために並列化が用いられる。実効的な処理速度は、表示ドライバに複数の展開回路を用意し、該複数の展開回路によって展開処理を並列で行うことによって向上される。
【0100】
一実施形態では、図10に示すように、可変長圧縮によって生成された圧縮データが複数の展開回路1003に分配されるとき、各展開回路1003に分配される圧縮データに含まれる符号の長さが相違し得るので、圧縮データは個々のタイミングで転送される。このような構成では、メモリは、ランダムアクセス又は複数アドレスへの同時アクセスを含む。
【0101】
他の実施形態では、図11に示すように、個々にアクセス可能な複数のメモリブロック1104aを含むメモリ1104が用意され、メモリブロック1104aが、複数の展開回路1003にそれぞれに割り当てられる。しかしながら、この構成は、メモリ1104が複雑な回路構成になる。加えて、一度メモリブロック1104aの一つが圧縮データで一杯になると、圧縮データを更にメモリ1104に供給することができなくなる。一以上の実施形態では、これは、メモリ1104への圧縮データの送信効率に影響する。
【0102】
一以上の実施形態では、表示ドライバにおいて、展開処理のスピードの向上が並列化によって行われる。
【0103】
図12は、一実施形態による表示システム1210の構成を示すブロック図である。図12に示す表示システム1210は、表示パネル1201と、ホスト装置1202と、表示ドライバ1203とを備えている。例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示パネルや液晶表示パネルが、表示パネル1201として使用され得る。
【0104】
表示パネル1201は、走査線1204とデータ線1205と画素回路1206とスキャンドライバ回路1207とを備えている。画素回路1206のそれぞれは、走査線1204とデータ線1205とが交差する位置に設けられており、赤、緑、青から選択されたいずれかの色を表示するように構成されている。赤を表示する画素回路1206は、R副画素として用いられる。同様に、緑を表示する画素回路1206はG副画素として用いられ、青を表示する画素回路1206はB副画素として用いられる。表示パネル1201としてOLED表示パネルが用いられる場合、赤を表示する画素回路1206が赤色の光を発光するOLED素子を備えており、緑を表示する画素回路1206が緑色の光を発光するOLED素子を備えており、青を表示する画素回路1206が青色の光を発光するOLED素子を備えている。なお、表示パネル1としてOLED表示パネルが用いられる場合、各画素回路1206の発光素子を動作させるための他の信号線、例えば、各画素回路1206の発光素子の発光を制御するために用いられるエミッションラインが設けられることがある。
【0105】
図13に示すように、表示パネル1201の各画素1208は、1つのR副画素、1つのG副画素及び1つのB副画素を含む。図13では、R副画素(赤を表示する画素回路1206)は、符号“1206R”によって参照されている。同様に、G副画素(緑を表示する画素回路1206)は、符号“1206G”によって参照され、B副画素(青を表示する画素回路1206)は、符号“1206B”によって参照されている。
【0106】
図12に戻り、スキャンドライバ回路1207は、表示ドライバ1203から受け取ったスキャン制御信号1209に応答して走査線1204を駆動する。一実施形態では、一対のスキャンドライバ回路1207が設けられており、一方のスキャンドライバ回路1207は、奇数番目の走査線1204を駆動し、他方のスキャンドライバ回路1207は、偶数番目の走査線4を駆動する。一以上の実施形態では、スキャンドライバ回路1207が、GIP(gate-in-panel)技術を用いて表示パネル1201に集積化されている。このように構成されたスキャンドライバ回路1207は、GIP回路と呼ばれることがある。
【0107】
ホスト装置1202は、表示ドライバ1203に画像データ1241と制御データ1242とを供給する。画像データ1241は、表示画像について、画素8の各副画素(R副画素1206R、G副画素1206G、B副画素1206B)の階調値を記述している。制御データ1242は、表示ドライバ1203を制御するためのコマンド及びパラメータを含んでいる。
【0108】
ホスト装置2は、プロセッサ1211と記憶装置1212を備えている。プロセッサ1211は、記憶装置1212にインストールされているソフトウェアを実行し、表示ドライバ1203に画像データ1241と制御データ1242とを供給する。本実施形態では、記憶装置1212にインストールされているソフトウェアが圧縮ソフトウェア1213を含んでいる。アプリケーションプロセッサ、CPU(central processing unit)、DSP(digital signal processor)などが、プロセッサ1211として使用され得る。一以上の実施形態では、記憶装置1212がホスト装置1202から分離され、例えば、シリアルフラッシュデバイスであり得る。また、更に他の実施形態では、表示ドライバ1203は、該分離した記憶装置から圧縮補正データ1244を直接読み出してもよい。データ1244の記憶装置1212からの読み出しは、表示ドライバ1203のデフォルト動作(例えば、ホスト装置1202からのコマンドを必要としない)であってもよい。
【0109】
一以上の実施形態では、表示ドライバ1203に供給される制御データ1242が、圧縮補正データ1244を含んでいる。圧縮補正データは、各画素8の副画素のそれぞれについて用意されている補正データを、圧縮ソフトウェア1213によって圧縮することで生成されている。圧縮補正データ1244は、固定長ブロックに格納され(固定レート)又は可変長ブロックに格納され(可変レート)、その後、表示ドライバ1203に供給される。
【0110】
様々な実施形態において、制御データ1242は、副画素の各タイプについて別々に送信された圧縮補正データを含んでいる。例えば、制御データ1242は、R副画素のための圧縮補正データ、G副画素のための圧縮補正データ及びB副画素のための圧縮補正データを含んでいてもよい。ここでRは、赤副画素を表し、Gは緑副画素データを表し、Bは青副画素データを表している。他の実施形態では、制御データ1242は、追加的に又は代替的に、W副画素のための白副画素のための圧縮補正データを含んでいてもよい。また、制御データ1242は、異なる副画素の色についての副画素データを含んでいてもよい。
【0111】
制御データ1242は、一以上の副画素の補正データを含んでいてもよい。一実施形態では、各副画素タイプは、共通の補正係数を有していてもよい。他の実施形態では、各副画素タイプが異なる補正係数を有していてもよい。補正係数は、制御データ1242に含まれていてもよく、制御データ1242とは別に通信されてもよく、また、表示ドライバ1203に格納されていてもよい。
【0112】
表示ドライバ1203は、ホスト装置1202から受け取った画像データ1241及び制御データ1242に応じて表示パネル1201を駆動して表示パネル1201に画像を表示する。図14は、一実施形態における表示ドライバ1203の構成を示すブロック図である。
【0113】
表示ドライバ1203は、命令制御回路1221と、補正演算回路部1222と、データドライバ回路1223と、メモリ1224と、補正データ展開回路部1225と、階調電圧生成回路1226と、タイミング制御回路1227と、パネルインタフェース回路1228とを備えている。
【0114】
命令制御回路1221は、ホスト装置1202から受け取った画像データ1241を補正演算回路部1222に転送する。加えて、命令制御回路1221は、制御データ1242に含まれる制御パラメータ及びコマンドに応答して表示ドライバ1203の各回路を制御する。一以上の実施形態では、制御データ1242が圧縮補正データを含む場合、命令制御回路1221は、その圧縮補正データをメモリ1224に供給して格納する。図14において、命令制御回路1221からメモリ1224に供給される圧縮補正データは、符号“1244”によって示されている。
【0115】
一実施形態では、ホスト装置1202は、圧縮補正データ1244を固定長ブロックに格納し、該固定長ブロックを表示ドライバ1203の命令制御回路1221に順次に供給する。命令制御回路1221は、該固定長ブロックを順次にメモリ1224に格納する。これにより、圧縮補正データ1244は、固定長ブロックのデータとしてメモリ1224に格納されることになる。
【0116】
補正演算回路部1222は、命令制御回路1221から受け取った画像データ1241に対して補正演算を行って表示パネル1201の駆動に用いられる補正後画像データ1243を生成する。一実施形態では、補正後画像データ1243は、各画素8の各副画素の階調値を記述している。
【0117】
一実施形態では、補正演算を行うことは、一又は複数の補正係数を、画像データの副画素データに適用することを含んでいる。補正係数は、画像データの副画素データに適用され得る一以上のオフセット値を含んでいてもよい。
【0118】
データドライバ回路1223は、補正後画像データ1243に記述されている階調値に対応する階調電圧で各データ線を駆動する駆動回路部として動作する。一以上の実施形態では、データドライバ回路1223は、各データ線2605について、階調電圧生成回路1226から供給された階調電圧V0~VMのうちから補正後画像データ1243に記述された階調値に対応する階調電圧を選択し、各データ線1205を選択した階調電圧に駆動する。
【0119】
メモリ1224は、命令制御回路1221から圧縮補正データ1244を受け取り、受け取った圧縮補正データ1244を格納する。メモリ1224に格納されている圧縮補正データ1244は、必要に応じてメモリ1224から読み出され、補正データ展開回路部1225に供給される。
【0120】
一実施形態では、メモリ1224が、固定長ブロックを、それらを受け取った順で補正データ展開回路部1225に出力する。この動作は、メモリ1224のアクセス制御を容易化し、メモリ1224の回路規模の低減に有効である。
【0121】
補正データ展開回路部1225は、メモリ1224から読み出された圧縮補正データ1244を展開し、展開補正データ1245を生成する。展開補正データ1245は、ホスト装置1202に用意された元の補正データと同一であり、各画素8の各副画素に対応づけられている。展開補正データ1245は、補正演算回路部1222に供給され、補正演算回路部1222における補正演算に用いられる。一実施形態では、展開補正データは、一以上の補正係数を含んでいる。ある画素1208のある副画素タイプ(R副画素1206R、G副画素1206G又はB副画素1206B)に対応する画像データ1241について行われる補正演算は、該画素1208の該副画素に対応する展開補正データ1245に応じて行われる。図15は3個の展開回路部を図示しているが、他の実施形態では、3より多い展開回路が用いられてもよい。展開回路部の数は、異なる副画素タイプの数と同一であってもよい。
【0122】
階調電圧生成回路1226は、補正後画像データ1243に記述されている階調値がとり得る値のそれぞれに対応する一組の階調電圧V0~VMを生成する。生成された階調電圧V0~VMは、データドライバ回路1223に供給され、データドライバ回路1223によるデータ線1205の駆動に用いられる。
【0123】
タイミング制御回路1227は、命令制御回路1221から受け取った制御信号に応じて表示ドライバ1203の各回路のタイミング制御を行う。
【0124】
パネルインタフェース(IF)回路1228は、スキャン制御信号1209を表示パネル1201のスキャンドライバ回路1207に供給し、これにより、スキャンドライバ回路2607を制御する。
【0125】
一以上の実施形態では、補正データ展開回路部1225が、並列処理によって圧縮補正データ1244を展開して展開補正データ1245を生成するように構成されている。図15は、一実施形態による補正データ展開回路部1225の構成を示すブロック図である。
【0126】
補正データ展開回路部1225は、ステートコントローラ1251と3つの処理回路1252~1252とを備えている。ステートコントローラ1251は、メモリ1224から圧縮補正データ1244を格納しているブロックを読み出し、読み出したブロックを、処理回路1252~1252に分配する。処理回路1252~1252は、受け取ったブロックに格納された圧縮補正データ1244に対して展開処理を行い、元の補正データに対応する展開補正データ1245を生成する。圧縮補正データ1204は、固定長ブロックを含んでいてもよく、可変長ブロックを含んでいてもよい。
【0127】
一以上の実施形態では、展開補正データ1245は、複数の処理回路1252~1252を用いた並列処理によって生成される。処理回路1252~1252は、それぞれが受け取った圧縮補正データ1244に対して展開処理を行い、それぞれ、処理後補正データ12451~453を生成する。展開補正データ1245は、処理回路1252~1252によって生成された処理後補正データ1245~1245から構成される。図15は3つの処理回路を図示しているが、他の実施形態では、3より多い処理回路が存在してもよい。更に、一以上の実施形態では、処理回路の数が副画素のタイプの数と同一であってもよい。
【0128】
一実施形態では、処理回路1252、1252、1252は、それぞれ、圧縮補正データ1244の送信を要求する要求信号1256、1256、1256をステートコントローラ1251に供給するように構成されている。ステートコントローラ1251は、要求信号561によって圧縮補正データ1244の送信が要求されると、処理回路1252に送信すべき各圧縮データをメモリ1224から読み出し、該圧縮データを処理回路1252に送信する。同様に、ステートコントローラ1251は、要求信号1256によって圧縮データの送信が要求されると、処理回路1252に送信すべき圧縮データをメモリ1224から読み出し、該圧縮データを処理回路1252に送信する。更に、ステートコントローラ1251は、要求信号1256によって圧縮データの送信が要求されると、処理回路1252に送信すべき圧縮データをメモリ1224から読み出し、該圧縮データを処理回路1252に送信する。
【0129】
一以上の実施形態では、処理回路1252~1252が、それぞれ、FIFO1254~1254と展開回路1255~1255とを備えている。FIFO1254~1254のそれぞれは、2つのブロックを格納する容量を有している。他の実施形態では、異なる容量を有するFIFOが用いられてもよい。FIFO1254~1254は、ステートコントローラ1251から分配された圧縮データのブロックを一時的に格納する。FIFO1254~1254は、それぞれに供給されたデータを一時的に格納し、該データを受け取った順序で出力するように構成されてもよい。加えて、FIFO1254~1254は、それぞれ、圧縮補正データ1244をそれぞれ展開回路1255~1255に出力するときに要求信号1256~1256を活性化し、これにより、圧縮補正データ1244の送信を要求するように構成されてもよい。展開回路1255~1255は、それぞれFIFO1254~1254から圧縮補正データ1244を格納した圧縮ブロックを受け取り、受け取った固定長ブロックに格納された圧縮補正データ1244を展開して処理後補正データ1245~1245を生成する。補正データ展開回路部1225から出力すべき展開補正データ1245は、処理後補正データ1245~1245から構成されている。
【0130】
一以上の実施形態では、圧縮補正データ1244がホスト装置1202から表示ドライバ1203に供給され、供給された圧縮補正データ1244がメモリ1224に書き込まれる。一実施形態では、ホスト装置1202において、表示パネル1201の各画素8の各副画素について補正データが用意され、該補正データを圧縮ソフトウェア1213によって圧縮することで圧縮補正データ1244が生成される。圧縮補正データ1244は、固定長ブロック又は可変長ブロックに格納され、制御データ1242の一部として表示ドライバ1203に送信される。表示ドライバ1203に転送された圧縮ブロックは、メモリ1224に書き込まれる。圧縮補正データ1244を格納する圧縮ブロックは、表示システム1210の起動直後に書き込まれてもよく、また、表示システム1210が動作を開始した後の適宜のタイミングで書き込まれてもよい。
【0131】
画像を表示パネル1201に表示する場合、該画像に対する画像データ1241がホスト装置1202から表示ドライバ1203に供給される。表示ドライバ1203に供給された画像データ1241は、補正演算回路部1222に供給される。
【0132】
その一方で、メモリ1224から圧縮補正データ1244が読み出されて補正データ展開回路部1225に供給される。補正データ展開回路部1225は、供給された圧縮ブロックに格納されている圧縮補正データ1244を展開して展開補正データ1245を生成する。展開補正データ1245は、表示パネルの各副画素について生成される。
【0133】
補正演算回路部1222は、補正データ展開回路部1225から受け取った展開補正データ1245に応じて画像データ1241を補正し、補正後画像データ1243を生成する。一以上の実施形態では、演算回路1222が展開補正データ1245に従って一又は複数の補正係数を適用して画像データ1241を補正する。補正係数は、各副画素タイプについて共通でもよく、各副画素タイプによって異なっていてもよい。一実施形態では、展開補正データが補正係数に基づいて決定された後、補正後画像データが生成されてもよい。例えば、展開係数データがCX+BX+Aに適用されてもよい。ここで、C、B、Aは補正係数であり、Xは展開後の圧縮データである。
【0134】
ある画素1208のある副画素に対応する画像データ1241の補正においては、該画素1208の該副画素に対応する展開補正データ1245が用いられ、これにより、各画素の各副画素に対応する補正後画像データ1243が生成される。このようにして生成された補正後画像データ1243がデータドライバ回路1223に送られ、各副画素の駆動に用いられる。
【0135】
一実施形態では、メモリ1224が、圧縮補正データ1244を格納する圧縮ブロックを順次に受け取ったとき、該圧縮ブロックを受け取った順で補正データ展開回路部1225に出力するように動作する。このような動作は、メモリ1224のアクセス制御を容易化し、メモリ1224の回路規模を低減するのに有効である。
【0136】
図16は、一実施形態によるホスト装置1202の動作を示している。当該動作は、圧縮補正データ1244を生成し、生成した圧縮補正データ1244を固定長ブロックに格納して表示ドライバ1203に送信する動作を含んでいる。図16の動作は、ホスト装置1202のプロセッサ1211が圧縮ソフトウェア1213を実行することにより実行される。
【0137】
図16の実施形態では、ホスト装置1202において、表示パネル1201の各画素8の各副画素について補正データが用意される。
該補正データは、例えば、記憶装置1212に格納されてもよい。
【0138】
用意された補正データが、複数のストリームデータに分割される。ストリームデータの数は、処理回路1252~1252と同一である。ここで、処理回路1252~1252は、表示ドライバ1203の補正データ展開回路部1225において、並列処理によって展開処理を行う。3つのストリームと3つの処理回路が図示されているが、他の実施形態では、3より多いストリーム及び処理回路が用いられ得る。更に、一以上の実施形態では、処理回路の数とストリームの数は、副画素のタイプの数と同一である。
【0139】
図17に示すように、一実施形態では、処理回路1252~1252の数が3であり、よって、補正データが、ストリームデータ#1~#3に分割される。ストリームデータの数が3である一実施形態では、ストリームデータが、対応する副画素の色に基づいて補正データを分割することで生成されてもよい。一実施形態では、ストリームデータ#1は、各画素8のR(赤)副画素1206Rに対応する補正データを含み、ストリームデータ#2は、各画素8のG(緑)副画素1206Gに対応する補正データを含み、ストリームデータ#3は、各画素8のB(青)副画素1206Bに対応する補正データを含んでいる。このようにして生成されたストリームデータ#1~#3は、ホスト装置1202の記憶装置1212に格納される。他の実施形態では、一以上の追加のストリームが他のタイプの副画素に対応する補正データを含んでいてもよい。例えば、或るストリームが、(W)白副画素に対応する補正データを含んでいてもよい。
【0140】
様々な実施形態において、補正データは、副画素の色に基づいては分割されない。例えば、処理回路1252の数が4であり、3つの副画素タイプが存在する場合、補正データが、処理回路1252にそれぞれに対応する4つのストリームに分割されてもよい。
【0141】
ストリームデータ#1~#3が、可変長圧縮によって個別に圧縮され、これにより、圧縮ストリームデータ#1~#3が生成される。圧縮ストリームデータ#1は、ストリームデータ#1に対して可変長圧縮を行うことにより生成される。同様に、圧縮ストリームデータ#2は、ストリームデータ#2に対して可変長圧縮を行うことにより生成され、圧縮ストリームデータ#3は、ストリームデータ#3に対して可変長圧縮を行うことにより生成される。他の実施形態では、固定長圧縮が用いられてもよい。
【0142】
様々な実施形態において、圧縮ストリームデータ#1~#3のそれぞれは、個別に固定長ブロックに分割される。一実施形態では、圧縮ストリームデータ#1~#3のそれぞれが96ビットの固定長ブロックに分割される。
【0143】
圧縮ストリームデータ#1~#3を分割することによって得られた固定長ブロックは、並べ替えられて表示ドライバ1203に送られる。一実施形態においては、ホスト装置1202において固定長ブロックが並び替えられる順序が、メモリ1224のアクセス制御の容易化のために重要である。一実施形態では、固定長ブロックは、順次に表示ドライバ1203に送られ、メモリ1224に順次に格納される。
【0144】
メモリ1224に格納されている固定長ブロックに格納されている圧縮補正データ1244は、画像データ1241に対して補正演算を行う際に用いられる。ある画素1208のある副画素の画像データ1241に対して補正演算を行う場合、その補正演算に間に合うように、対応する圧縮補正データ1244を補正データ展開回路部1225によって展開することで該画素1208の該副画素に対応する展開補正データ1245が生成される。
【0145】
図17は、一実施形態による、補正データ展開回路部1225において行われる展開処理を説明する図である。ステートコントローラ1251は、圧縮補正データ1244を格納するブロックをメモリ1224から読み出し、処理回路1252~1252から受け取った要求信号1256~1256に応じて、該ブロックを処理回路1252~1252に分配する。
【0146】
詳細には、あるフレーム期間において行われる補正演算においては、まず、ステートコントローラ1251によって6つのブロックが順次に読み出され、2つのブロックの圧縮補正データ1244が、処理回路1252~1252のFIFO1254~1254のそれぞれに格納される。
【0147】
続いて、処理回路1252~1252において、圧縮補正データ1244が、FIFO1254~1254から展開回路1255~1255に順次に送られ、展開回路1255~1255は、FIFO1254~1254から受け取った圧縮補正データ1244に対して順次に展開処理を行って、それぞれ、処理後補正データ1245、1245、1245を生成する。上述のように、展開補正データ1245は、処理後補正データ1245、1245、1245から構成されている。
【0148】
一実施形態では、処理後補正データ1245、1245、1245は、それぞれ、ストリームデータ#1、#2、#3を再生したものであり、即ち、本実施形態では、R副画素1206R、G副画素1206G、B副画素1206Bに対応する補正データである。図17においては、R副画素1206Rに対応する補正データが記号CR0、CR1・・・により示されており、G副画素1206Gに対応する補正データが記号CG0、CG1・・・により示されており、B副画素1206Bに対応する補正データが記号CB0、CB1・・・により示されている。補正演算回路部1222では、R副画素1206Rに対応する画像データ1241が該R副画素1206Rに対応する補正データCRiに基づいて補正され、G副画素1206Gに対応する画像データ1241が該G副画素1206Gに対応する補正データCGiに基づいて補正され、B副画素1206Bに対応する画像データ1241が該B副画素1206Bに対応する補正データCBiに基づいて補正される。赤、緑、青副画素が図示されているが、他の実施形態では、例えば白のような追加の副画素が用いられ得る。
【0149】
上記の動作において、処理回路1252のFIFO1254は、1つの固定長ブロックの圧縮補正データ1244を展開回路1251に送る毎に、要求信号1256を活性化する。一実施形態では、要求信号1256が活性化されてブロックの読み出しが要求されると、ステートコントローラ1251は、1つのブロックをメモリ1224から読み出し、読み出したブロックをFIFO1254に供給する。
【0150】
処理回路1252、1252についても同様である。処理回路1252のFIFO1254は、1つの固定長ブロックの圧縮補正データ1244を展開回路1255に送る毎に、要求信号1256を活性化する。固定長ブロックの読み出しを要求するために要求信号1256が活性化されることがあり、ステートコントローラ1251は、1つの固定長ブロックをメモリ1224から読み出し、該固定長ブロックをFIFO1254に供給する。更に、処理回路1252のFIFO1254は、1つの固定長ブロックの圧縮補正データ1244を展開回路1255に送る毎に、要求信号1256を活性化する。固定長ブロックの読み出しを要求するために要求信号1256が活性化され、ステートコントローラ1251は、1つの固定長ブロックをメモリ1224から読み出し、読み出した固定長ブロックをFIFO1254に供給する。
【0151】
圧縮補正データ1244は、可変長圧縮によって圧縮されているので、展開回路1255~1255が、1クロック周期あたり同一数の副画素に対応する処理後補正データ12451~12453を生成しても、FIFO1254~1254から展開回路1255~1255に送られる圧縮補正データ1244の符号長が相違し得る。これは、FIFO1254~1254が固定長ブロックの読み出しをステートコントローラ1251に要求する順序が、展開回路1255~1255における展開処理において用いられる圧縮補正データ1244の符号長に依存することを意味している。
【0152】
一以上の実施形態では、このような状況に対処してメモリ1224のアクセス制御を容易にするために、本実施形態では、ホスト装置1202が、圧縮補正データ1244を格納するブロックを、該固定長ブロックが補正データ展開回路部1225の処理回路521~523によって要求される順序に並び替え、並び替えられたブロックを表示ドライバ1203に供給してメモリ1224に格納する。
【0153】
幾つかの実施形態では、補正データ展開回路部1252~1252によって行われる展開処理の内容が補正演算回路部1222において行われる補正処理に基づいて決定されるので、ブロックが処理回路1252~1252に供給される順序は予め決定されている。これは、ホスト装置1202が圧縮補正データ1244を格納するブロックを並び替えるべき順序が、予め利用可能であり得ることを意味している。ホスト装置1202は、処理回路1252~1252に基づくブロックの順序で並び替え、並び替えられた固定長ブロックを表示ドライバ1203に供給するように構成されてもよい。
【0154】
処理回路1252にブロックが供給される順序を正しく特定するために、ホスト装置1202が、圧縮補正データ1244を格納するブロックを表示ドライバ1203に実際に送信する前に、ステートコントローラ1251及び処理回路1252~1252によってブロックに対して行われる処理と同一の処理をソフトウェアで実行してもよい。一実施形態では、ホスト装置1202は、ステートコントローラ1251及び処理回路1252~1252によってブロックに対して行われる処理をソフトウェアでシミュレートすることによって、ブロックを並び替えるべき順序を特定してもよい。この場合、ホスト装置1202の記憶装置1212にインストールされている圧縮ソフトウェアは、ステートコントローラ1251及び処理回路1252~1252によってブロックに対して行われる処理と同一の処理をシミュレートするソフトウェアモジュールを含んでいてもよい。
【0155】
以上に説明されているように、一実施形態の表示システム120では、ホスト装置1202が、圧縮補正データ1244を格納するブロックを、補正データ展開回路部1225の処理回路1252~1252によって要求される順序に並び替え、並び替えたブロックを表示ドライバ1203に供給してメモリ1224に格納するように構成されている。これにより、ステートコントローラ1251が処理回路1252~1252からの要求に応じてメモリ1224からブロックを読み出す順序を、メモリ1224にブロックが格納される順序と一致させることができる。この動作は、メモリ1224のアクセス制御を容易化するために有効である。例えば、本実施形態の動作によれば、メモリ1224に対してランダムアクセスを行う必要性がなくなる。これは、メモリ1224の回路規模の低減に有効である。
【0156】
図18は、本開示の他の実施形態における表示システム1210Aの構成、特に、表示ドライバ1203Aの構成を示すブロック図である。図示した実施形態の表示システム1210Aの構成は、前述の実施形態の表示システム1210の構成と類似している。図示した実施形態では、補正演算回路部22、メモリ1224及び補正データ展開回路部1225の代わりに、メモリ61及び画像展開回路部1262が表示ドライバ1203Aに設けられる。
【0157】
図18に図示した実施形態の表示システム1210Aは、ホスト装置1202が、表示パネル1201に表示すべき画像に対応する画像データを圧縮して圧縮画像データ1246を生成し、圧縮画像データ1246を表示ドライバ1203Aに供給するように構成されている。ホスト装置1202が、画像データを圧縮して圧縮画像データ1246を生成する圧縮処理は、補正データの代わりに画像データを圧縮する点を除けば、第1の実施形態においてホスト装置1202が、補正データを圧縮して圧縮補正データ1244を生成する圧縮処理と同一である。圧縮画像データ1246は、格納されて表示ドライバ1203Aに供給される。圧縮画像データ1246を生成する圧縮処理の詳細については、後に詳述する。
【0158】
表示ドライバ1203Aは、圧縮画像データ1246を格納するブロックを受け取り、受け取ったブロックをメモリ61に格納し、メモリ1261から読み出したブロックを画像展開回路部1262に供給し、画像展開回路部1262によって該ブロックに格納された圧縮画像データ1246に対して展開処理を行うように構成されている。画像展開回路部1262による展開処理によって生成された展開画像データ1247がデータドライバ回路1223に供給され、データドライバ回路1223は、展開画像データ1247に記述されている階調値に対応する階調電圧で各データ線1205を駆動する。一以上の実施形態では、補正データが、該補正データで画像データを決定するために用いられ得る一又は複数の補正係数を含んでいる。補正係数は、補正データに“重み”やオフセットを付加してもよい。更に、補正係数は、各副画素タイプについて同一であってもよく、各副画素タイプについて異なっていてもよい。
【0159】
図19は、一実施形態による、画像展開回路部1262の構成を示すブロック図である。画像展開回路部1262は、並列処理によって圧縮画像データ1246を展開して展開画像データ1247を生成するように構成されている。画像展開回路部1262の構成は、圧縮補正データ1244の代わりに圧縮画像データ1246が画像展開回路部1262に供給されることを除けば、図15に図示されている補正データ展開回路部1225の構成と類似している。
【0160】
一以上の実施形態では、画像展開回路部1262は、ステートコントローラ163と3つの処理回路1264~1264とを備えている。他の実施形態では、処理回路の数は、副画素タイプの数と同一である。ステートコントローラ1263は、メモリ61から圧縮画像データ1246を格納しているブロックを読み出し、読み出したブロックを処理回路1264~1264に分配する。処理回路1264~1264は、受け取った固定長ブロックに格納された圧縮画像データ1246に対して順次に展開処理を行い、元の画像データに対応する展開画像データ1247を生成する。
【0161】
一以上の実施形態では、展開画像データ1247は、複数の処理回路1264~1264を用いた並列処理によって生成される。処理回路1264~1264の各々は、それが受け取ったブロックに格納された圧縮画像データに対して展開処理を行い、それぞれ、処理後画像データ1247~47を生成する。展開画像データ1247は、処理回路1264~1264によって生成された処理後画像データ1247~1247から構成される。
【0162】
処理回路1264、1264、1264は、圧縮画像データ1246を格納したブロックの送信を要求する要求信号1256、1256、1256をステートコントローラ1263に供給するように構成されている。ステートコントローラ1263は、要求信号1267によって圧縮画像データ1246を格納するブロックの送信が要求されると、処理回路1264に送信すべきブロックを読み出し、処理回路1264に送信する。同様に、ステートコントローラ1263は、要求信号1267によってブロックの送信が要求されると、処理回路1264に送信すべきブロックを読み出し、処理回路1264に送信する。更に、ステートコントローラ1263は、要求信号1267によってブロックの送信が要求されると、処理回路1264に送信すべきブロックをメモリ1261から読み出し、処理回路1264に送信する。
【0163】
より具体的には、処理回路1264~1264は、それぞれ、FIFO1265~1265と展開回路1266~1266とを備えている。FIFO1265~1265のそれぞれは、2つのブロックを格納する容量を有している。FIFO1265~1265は、ステートコントローラ1263から分配されたブロックを一時的に保持する。FIFO1265~1265は、それぞれに供給されたデータを一時的に保持し、供給された順序で出力するように構成されている。加えて、FIFO1265~1265は、それぞれ、1つのブロックに格納された圧縮画像データ1246をそれぞれ展開回路1266~1266に出力する毎に、要求信号1267~1267を活性化して圧縮画像データ1246の送信を要求する。展開回路1266~1266は、それぞれFIFO1265~1265から圧縮画像データ46を格納したブロックを受け取り、受け取ったブロックに格納された圧縮画像データ1246を展開し、それぞれ、処理後画像データ1247~1247を生成する。画像展開回路部1262から出力すべき展開画像データ1247は、処理後画像データ1247~1247から構成されている。
【0164】
図20は、一実施形態によるホスト装置1202の動作を示している。この動作では、圧縮画像データ1246を生成し、生成した圧縮画像データ1246をブロックに格納して表示ドライバ1203Aに送信している。図20の動作は、ホスト装置1202のプロセッサ1211によって圧縮ソフトウェア1213を実行することにより実行される。
【0165】
一以上の実施形態では、表示パネル1201の各画素8の各副画素の階調値を記述した画像データがホスト装置1202において用意される。該画像データは、例えば、記憶装置1212に格納されてもよい
【0166】
用意された画像データが、複数のストリームデータに分割される。ストリームデータの数は、表示ドライバ1203Aの画像展開回路部1262において、並列処理によって展開処理を行う処理回路1264~1264の数と同一である。一実施形態では、処理回路1264~1264の数が3であり、画像データが、ストリームデータ#1~#3に分割される。一実施形態では、ストリームデータの数が3であり、ストリームデータが、対応する副画素の色に基づいて画像データを分割することで生成されてもよい。この場合、ストリームデータ#1は、各画素1208のR副画素1206Rに対応する画像データを含み、ストリームデータ#2は、各画素1208のG副画素1206Gに対応する画像データを含み、ストリームデータ#3は、各画素8のB副画素1206Bに対応する画像データを含んでいる。このようにして生成されたストリームデータ#1~#3は、ホスト装置1202の記憶装置1212に格納される。他の実施形態では、3以上の色及び3以上の圧縮データのストリームが存在してもよい。
【0167】
様々な実施形態では、例えば、処理回路64の数が4であれば、画像データは、処理回路1264にそれぞれに対応する4つのストリームデータに分割される。
【0168】
ストリームデータ#1~#3が、個別に可変長圧縮によって圧縮され、これにより、圧縮ストリームデータ#1~#3が生成される。圧縮ストリームデータ#1は、ストリームデータ#1に対して可変長圧縮を行うことにより生成される。同様に、圧縮ストリームデータ#2は、ストリームデータ#2に対して可変長圧縮を行うことにより生成され、圧縮ストリームデータ#3は、ストリームデータ#3に対して可変長圧縮を行うことにより生成される。可変長圧縮技術が言及されているが、他の実施形態では、他の種類の圧縮が用いられてもよい。
【0169】
圧縮ストリームデータ#1~#3のそれぞれは、個別に固定長ブロックに分割される。本実施形態では、圧縮ストリームデータ#1~#3のそれぞれが96ビットの固定長ブロックに分割される。
【0170】
圧縮ストリームデータ#1~#3を分割して得られたブロックは、並べ替えられて表示ドライバ1203Aに送られる。一実施形態では、ホスト装置1202が、圧縮画像データ1246を格納するブロックを、該ブロックが画像展開回路部1262の処理回路1264~1264によって要求される順序に並び替え、並び替えたブロックを表示ドライバ1203Aに供給してメモリ61に格納する。
【0171】
図21は、一実施形態による、画像展開回路部1262において行われる展開処理を示す図である。ステートコントローラ1263は、圧縮画像データ1246を格納するブロックをメモリ1224から読み出し、処理回路1264~1264から受け取った要求信号1267~1267に応じて処理回路1264~1264に分配する。
【0172】
一実施形態では、ある特定のフレーム期間において行われる画像表示においては、まず、ステートコントローラ1263によって6つの固定長ブロックが順次に読み出され、2つの固定長ブロックの圧縮画像データ1246が、処理回路1264~1264のFIFO1265~1265のそれぞれに格納される。
【0173】
続いて、処理回路1264~1264において、FIFO1265~1265から展開回路1266~1266に圧縮画像データ1246が順次に送られ、展開回路1266~1266が、FIFO1265~1265から受け取った圧縮画像データ1246に対して順次に展開処理を行って、それぞれ、処理後画像データ1247、1247、1247を生成する。上述のように、展開画像データ1247は、処理後画像データ1247、1247、1247から構成されている。
【0174】
図21の図示した実施形態では、処理後画像データ1247、1247、1247は、それぞれ、ストリームデータ#1、#2、#3を再生したもの、即ち、本実施形態では、R副画素1206R、G副画素1206G、B副画素1206Bに対応する画像データである。4以上の副画素タイプ(色)を有する実施形態では、4以上のデータのストリームが存在し得る。図21では、R副画素1206Rに対応する補正データが記号DR0、DR1・・・により示されており、G副画素1206Gに対応する補正データが記号DG0、DG1・・・により示されており、B副画素6Bに対応する補正データが記号DB0、DB1・・・により示されている。表示パネル1201のR副画素1206Rは、対応する画像データDRiに応答して駆動され、表示パネル1201のG副画素1206Gは、対応する画像データDGiに応答して駆動され、表示パネル1201のB副画素1206Bは、対応する画像データDBiに応答して駆動される。
【0175】
上記の動作では、処理回路1264のFIFO1265は、1つの固定長ブロックの圧縮画像データ1246を展開回路1266に送る毎に、要求信号1267を活性化する。一実施形態では、要求信号1267が活性化されて固定長ブロックの読み出しが要求されると、ステートコントローラ1263は、1つのブロックをメモリ1261から読み出し、読み出したブロックをFIFO1265に供給する。
【0176】
処理回路1264、1264は、処理回路1264と同様に機能する。一実施形態では、処理回路1264のFIFO1265は、1つの固定長ブロックの圧縮画像データ1246を展開回路1266に送る毎に、要求信号1267を活性化する。要求信号1267は、ブロックの読み出しの要求を指示しており、ステートコントローラ1263は、1つのブロックをメモリ1261から読み出し、読み出したブロックをFIFO1265に供給する。一以上の実施形態では、処理回路1264のFIFO65は、1つの固定長ブロックの圧縮画像データ1246を展開回路1266に送る毎に、要求信号1267を活性化する。更に、ブロックを要求するために要求信号1267が活性化されると、ステートコントローラ1260は、1つのブロックをメモリ1261から読み出し、読み出したブロックをFIFO1265に供給する。
【0177】
様々な実施形態において、展開回路1266~1266が1クロック周期あたり同一数の副画素に対応する処理後画像データ1247~1247を生成するにも関わらず、FIFO1265~1265から展開回路1266~1266に送られる圧縮画像データ1246の符号長は互いに相違し得る。これは、FIFO1265~1265がステートコントローラ1263の読み出しを要求する順序が、展開回路1266~1266における展開処理において用いられる圧縮画像データ1246の符号長に依存することを意味している。
【0178】
一以上の実施形態では、このような状況に対処してメモリ1261のアクセス制御を容易にするために、一実施形態では、ホスト装置1202が、圧縮画像データ1246を格納するブロックを、当該ブロックが処理回路1264~1264によって要求される順序に並び替え、並び替えたブロックを表示ドライバ1203Aに供給してメモリ1261に格納する。
【0179】
いくつかの実施形態では、処理回路1264~1264によって行われる展開処理の内容は予め決定されているので、画像展開回路部1262の処理回路1264~1264がブロックを要求する順序が予め決定されている。従って、ホスト装置1202が圧縮画像データ1246を格納するブロックを並び替える順序は、予め利用可能である。ホスト装置1202は、ブロックを、当該ブロックが画像展開回路部1262の処理回路1264~1264によって要求される順序に並び替えてもよく、並び替えたブロックを表示ドライバ1203Aに供給する。
【0180】
ホスト装置が、ステートコントローラ1263及び処理回路1264~1264によって固定長ブロックに対して行われる処理と同一の処理をソフトウェアで実行するとき、処理回路1264~1264が固定長ブロックの供給を要求する順序は、ホスト装置1202によって決定されてもよい。一実施形態では、ホスト装置1202が圧縮画像データ1246を格納するブロックを表示ドライバ1203Aに送信する前に、ホストはブロックを並び替える順序を決定してもよい。例えば、ホスト装置1202は、ステートコントローラ1263及び処理回路1264~1264によって固定長ブロックに対して行われる処理をソフトウェアでシミュレートすることにより、ブロックを並び替えるべき順序を決定してもよい。更に、ホスト装置1202の記憶装置1212にインストールされている圧縮ソフトウェアは、ステートコントローラ1263及び処理回路1264~1264によってブロックに対して行われる処理と同一の処理をシミュレートするソフトウェアモジュールを含んでいてもよい。
【0181】
上述のように、一実施形態の表示システム1210では、ホスト装置1202が、圧縮画像データ1246を格納するブロックを、該ブロックが画像展開回路部1262の処理回路641~1264に供給される順序に並び替えるように構成されている。ホスト装置は、更に、並び替えたブロックを表示ドライバ1203Aに供給してメモリ1261に格納するように構成されてもよい。これにより、ステートコントローラ1263が処理回路1264~1264からの要求に応じてメモリ1261からブロックを読み出す順序を、メモリ1261に該固定長ブロックが格納される順序に合わせることができる。このような動作は、メモリ1261のアクセス制御を容易化するために有効である。例えば、本実施形態の動作によれば、メモリ1261に対してランダムアクセスを行う必要性がなくなる。これは、メモリ1261の回路規模の低減に有効である。
【0182】
図22は、他の実施形態における表示システム1210Bの構成、特に、表示ドライバ1203Bの構成を示すブロック図である。図示した実施形態の表示システム1210Bの構成は、前述の実施形態の表示システム1210及び表示システム1210Aの構成と類似している。図22の実施形態の表示システム1210Bは、前述の実施形態の表示システム1210及び表示システム1210Aの動作の両方に対応するように構成されている。表示システム1210Bは、動作モードの設定に応じて、前述の実施形態の動作から選択された動作を選択的に実行するように構成されてもよい。
【0183】
図22の実施形態では、表示ドライバ1203Bが、補正演算回路部1222と、補正データ展開回路部1225と、画像展開回路部1262と、メモリ1271と、セレクタ1272とを備えている。一実施形態では、メモリ1271が、圧縮補正データ1244及び圧縮画像データ1246の両方を格納するために用いられる。
【0184】
補正演算回路部1222及び補正データ展開回路部1225の構成及び動作は、上述の実施形態で述べられているとおりである。補正データ展開回路部1225は、メモリ1271から圧縮補正データ1244を受け取り、受け取った圧縮補正データ1244に対して展開処理を行って展開補正データ1245を生成する。補正演算回路部1222は、展開補正データ1245に基づいて画像データを補正して補正後画像データ1243を生成する。
【0185】
更に、画像展開回路部1262の構成及び動作は、上述の実施形態の一又は複数で述べられているとおりである。画像展開回路部1262は、メモリ1271から圧縮画像データ1246を受け取り、受け取った圧縮画像データ1246に対して展開処理を行って展開画像データ1247を生成する。
【0186】
セレクタ1272は、動作モードに応じて補正演算回路部1222と画像展開回路部1262とのいずれかを選択し、選択した一方の回路部の出力をデータドライバ回路1223に接続する。セレクタ1272の動作により、図22の実施形態の表示システム1210Bは、前述の実施形態の動作を選択的に実行可能である。
【0187】
図23は、表示システム1210Bが第1動作モードに設定された場合の、一実施形態の表示システム1210Bの動作を示すブロック図である。第1動作モードに設定された場合、表示システム1210Bは、前述の実施形態の表示システム1210と類似の動作を行う。セレクタ1272は、補正演算回路部1222を選択し、補正演算回路部1222から受け取った補正後画像データ1243をデータドライバ回路1223に供給する。より具体的には、第1動作モードに設定された場合、表示システム1210Bは、下記のように動作する。
【0188】
一実施形態では、画像の表示の前に、圧縮補正データ1244がホスト装置1202から表示ドライバ1203Bに供給され、メモリ1271に書き込まれる。その後、画像が表示パネル1201に表示される場合、該画像に対する画像データ1241がホスト装置1202から表示ドライバ1203Bに供給される。表示ドライバ1203Bに供給された画像データ1241は、補正演算回路部1222に供給される。
【0189】
更に、メモリ1271から圧縮補正データ1244が読み出されて補正データ展開回路部1225に供給される。補正データ展開回路部1225は、圧縮補正データ1244を展開して展開補正データ1245を生成する。展開補正データ1245は、表示パネル1201の画素8の各副画素(R副画素1206R、G副画素1206G、B副画素1206B)について生成される。
【0190】
補正演算回路部1222は、補正データ展開回路部1225から受け取った展開補正データ1245に応じて画像データ1241を補正し、補正後画像データ1243を生成する。ある画素1208のある副画素に対応する画像データ1241の補正においては、該画素1208の該副画素に対応する展開補正データ1245が用いられ、これにより、該画素1208の該副画素に対応する補正後画像データ1243を生成する。このようにして生成された補正後画像データ1243がデータドライバ回路1223に送られ、表示パネル1201の各画素8の各副画素の駆動に用いられる。
【0191】
図24は、表示システム1210Bが第2動作モードに設定される実施形態における表示システム1210Bの動作を示すブロック図である。第2動作モードに設定された場合、表示システム1210Bは、表示システム1210Aと同様の動作を行う。一実施形態では、セレクタ1272は、画像展開回路部1262を選択し、画像展開回路部1262から受け取った展開画像データ1247をデータドライバ回路1223に供給する。このようにして生成された展開画像データ1247がデータドライバ回路1223に送られ、表示パネル1201の各画素8の各副画素の駆動に用いられる。
【0192】
表示システム1210Bは、前述の実施形態の動作の両方に対応している。表示システム1210Bは、メモリ1271が、前述の実施形態に記述された動作の両方に用いられるので、回路規模の増大を抑制することができる。
【0193】
画像データ処理
有機発光ダイオード(OLED)表示パネルや液晶表示パネルのような表示パネルを駆動する表示ドライバにおいて、表示パネルに供給すべき駆動電圧に対応する電圧データは、画像データに記述されている各画素の各副画素の階調値から生成されることがある。
【0194】
図25は、画像データに記述されている副画素の階調値と電圧データの値の間の例示的な対応関係を示すグラフである。図25では、表示パネルの駆動における画像データの処理に関連して、電圧データの値に比例した電圧が表示パネルの各画素の各副画素にプログラミングされるものとして階調値と電圧データの値の対応関係のグラフが図示されている。例えば、ある副画素の階調値が“0”である場合、該副画素に対応する電圧データの値が“1023”に設定される。この場合、図25に示す例では、対象の副画素が、電圧データの値“1023”に対応する駆動電圧、即ち、5Vの駆動電圧でプログラミングされる。電圧プログラミングによって表示パネルが駆動される場合、駆動電圧が低いほど輝度が増大する。様々な実施形態において、画像データに記述されている副画素の階調値と、電圧データの値の対応関係は、表示パネルの種類にも依存している。例えば、液晶表示パネルの駆動においては、一般に、副画素の階調値が大きいほど共通電極の電圧(共通電位)と駆動電圧との差を増大させるように駆動電圧が生成されるように副画素の階調値と電圧データの値の対応関係が決定される。
【0195】
一以上の実施形態では、表示パネルに表示される画像の画質の向上のために、画像データに対して補正が行われることがある。例えば、OLED表示パネルを備えた表示装置では、各副画素(各画素回路)に含まれるOLED発光素子の特性にバラツキが存在し、この特性バラツキは、表示ムラを含む画質の劣化を生じさせ得る。このような場合、OLED表示パネルの各画素の各副画素について補正データを用意し、用意された該補正データに応じて各画素回路に対応する画像データを補正することで、表示ムラを抑制することができる。
【0196】
図26は、入力画像データを補正することで補正画像データが生成され、その補正画像データから電圧データが生成される回路構成の一例を示している。図26に図示された構成では、補正回路2701が入力画像データを補正することにより補正後画像データ2704を生成し、電圧データ生成回路2702が補正後画像データ2704から電圧データ2705を生成する。一実施形態では、入力画像データ2703及び補正後画像データ2704が、いずれも、各副画素の階調値を8ビットで記述する。
【0197】
一以上の実施形態では、補正回路2701に供給される入力画像データ2703の階調値が、許容される最大階調値又は許容される最小階調値に近いことがある。図27に示すように、補正回路2701が階調値を増大させる補正を行う場合、補正後画像データ2704の階調値が、許容される最大階調値に飽和することがある。電圧データの値も飽和し、画質に影響を及ぼすことがある。同様に、補正回路2701は階調値を減少する補正を行うことがあり、許容される最小階調値に近い階調値を有する入力画像データ2703が補正回路2701に供給される場合、階調値が飽和することがある。
【0198】
一以上の実施形態では、電圧データ生成回路2702に供給される補正後画像データ2704のビット幅を増大させることは、画像データの更なる補正を可能にするかもしれない。しかしながら、補正後画像データのビット幅を増大させることは、電圧データ生成回路2702の回路規模を増大させ得る。
【0199】
更に他の実施形態では、表示パネルの副画素の電圧オフセットが、電圧データの値に比例する駆動電圧を生成するように構成された表示ドライバにおける補正によってキャンセルされ、該電圧データが、電圧オフセットをキャンセルするように補正されることがある。図26の回路構成では、入力画像データ2703を補正することにより、間接的に電圧データ2705の値を補正することしかできない。入力画像データ2703に対する補正の結果として得られる電圧データ2705の値は、電圧データ2705を直接的に補正して得られる値と等価ではない。これは、画質に影響し得る。
【0200】
以上に議論されているように、画像データに記述されている各画素の各副画素の階調値から表示パネルに供給すべき駆動電圧に対応する電圧データを生成する構成の表示ドライバにおいて画像データの補正を行う場合に、画質の劣化を抑制することには技術的ニーズが存在する。
【0201】
図28は、一以上の実施形態による表示装置2610の構成を示すブロック図である。図28の表示装置2610は、表示パネル2601と表示ドライバ2602とを備えている。例えば、OLED表示パネルや液晶表示パネルが表示パネル2601として使用され得る。表示ドライバ2602は、ホスト2603から受け取った入力画像データDINと制御データDCTRLとに応答して表示パネル2601を駆動する。入力画像データDINは、表示すべき画像の各画素の各副画素(R(赤)副画素、G(緑)副画素、B(青)副画素及び/又はW(白)副画素)の階調値を記述している。一実施形態では、入力画像データDINは、各画素の各副画素の階調値を8ビットで記述している。制御データDCTRLは、表示ドライバ2602を制御するためのコマンド及びパラメータを含んでいる。
【0202】
更に、表示パネル2601は、走査線2604とデータ線2605と画素回路2606とスキャンドライバ回路2607とを備えている。
【0203】
一以上の実施形態では、画素回路2606のそれぞれは、走査線2604とデータ線2605とが交差する位置に設けられており、赤、緑、青のいずれかの色を表示するように構成されている。赤を表示する画素回路2606は、R副画素として用いられる。同様に、緑を表示する画素回路2606はG副画素として用いられ、青を表示する画素回路2606はB副画素として用いられる。更に、幾つかの実施形態では、他の色を表示する画素回路2606が、対応する副画素と共に用いされる。表示パネル2601としてOLED表示パネルが用いられる場合、一実施形態では、赤を表示する画素回路2606が赤色の光を発光するOLED素子を備え、緑を表示する画素回路2606が緑色の光を発光するOLED素子を備え、青を表示する画素回路2606が青色の光を発光するOLED素子を備えることがある。様々な実施形態は、赤、緑、青以外の色を発するOLED素子を使用し得る。その代わりに、各画素回路2606が白色の光を発光するOLED素子を備えており、各画素回路6が表示する色(赤、緑、青又は他の色)がカラーフィルタによって設定されてもよい。複数の実施形態では、OLED表示パネルが表示パネル2601として用いられる場合、各画素回路2606の発光素子を動作させるための他の信号線、例えば、各画素回路2606の発光素子の発光を制御するために用いられるエミッションライン等が設けられ得る。
【0204】
スキャンドライバ回路2607は、表示ドライバ2602から受け取ったスキャン制御信号2608に応答して走査線4を駆動してもよい。一実施形態では、一対のスキャンドライバ回路2607が設けられる。該スキャンドライバ回路2607の一方が偶数番目の走査線2604を駆動し、他方が奇数番目の走査線4を駆動する。一実施形態では、スキャンドライバ回路2607が、GIP(gate-in-panel)技術を用いて表示パネル2601に集積化される。このような構成のスキャンドライバ回路2607は、GIP回路と呼ばれることがある。
【0205】
図29は、一実施形態による、OLED表示パネルが表示パネル2601として用いられる場合の画素回路2606の構成の例を示している。図において、記号SL[i]は、データ電圧がi行目に位置している画素回路2606に書き込まれる水平同期期間において活性化される走査線2604を示している。同様に、記号SL[i-1]は、駆動電圧がi-1行目に位置している画素回路2606に書き込まれる水平同期期間において活性化される走査線2604を示している。一方で、記号EM[i]は、i行目に位置している画素回路2606のOLED素子に発光を許可するために活性化されるエミッションラインを示しており、DL[j]は、j列目に位置している画素回路2606に接続されているデータ線2605を示している。
【0206】
図29には、各画素回路2606が、いわゆる“6T1C”構成で構成されている場合の各画素回路2606の回路構成の一実施形態が示されている。各画素回路2606は、OLED素子2681と、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、閾値補償トランジスタT3と、リセットトランジスタT4と、選択トランジスタT5、T6、T7と、保持キャパシタCSTとを備えている。符号2682は、内部電源電圧Vintに保持されている電源ラインを示しており、符号2683は、電源電圧ELVDDに保持されている電源ラインを示しており、符号2684は、接地ラインを示している。図29に図示されている構成では、画素回路2606に供給される駆動電圧に対応する電圧が保持キャパシタCSTに保持されることがあり、駆動トランジスタT1は、保持キャパシタCSTに保持されている電圧に応じてOLED素子2681を駆動する。
【0207】
図28に戻り、表示ドライバ2602は、ホスト2603から受け取った入力画像データDINと制御データDCTRLとに応答してデータ線2605を駆動し、更に、スキャン制御信号2608を表示パネル2601のスキャンドライバ回路2607に供給する。
【0208】
図30は、一実施形態による、表示ドライバ2602のうちのデータ線2605の駆動に関連する部分の構成を概略的に示すブロック図であり、表示ドライバ2602は、命令制御回路2611と、電圧データ生成回路2612と、ラッチ回路2613と、リニアDAC(digital-analog converter)14と、出力アンプ回路2615とを備えている。
【0209】
一実施形態では、命令制御回路2611は、ホスト2603から受け取った入力画像データDINをデータ補正回路2624Aに転送する。加えて、命令制御回路2611は、制御データDCTRLに含まれる様々な制御パラメータ及びコマンドに応答して表示ドライバ2602の各回路を制御する。
【0210】
電圧データ生成回路2612は、命令制御回路2611から受け取った入力画像データDINから電圧データDVOUTを生成する。電圧データDVOUTは、表示パネル2601のデータ線2605に供給すべき駆動電圧(即ち、選択された走査線2604に接続された画素回路2606に供給すべき駆動電圧)の電圧レベルを指定するデータである。本実施形態では、電圧データ生成回路2612は、表示パネル2601の各画素回路6に対応する、即ち、表示パネル2601の各画素の各副画素(R副画素、G副画素、B副画素)に対応する補正データを保持しており、電圧データDVOUTの生成において、各画素回路2606のための該補正データに応じた補正演算を行うように構成されている。
【0211】
ラッチ回路2613は、電圧データ生成回路2612から電圧データDVOUTを順次に受け取り、各データ線2605に対応する電圧データDVOUTを保持するように構成されている。
【0212】
リニアDAC2614は、ラッチ回路2613に保持されている電圧データDVOUTのそれぞれに対応するアナログ電圧を生成する。本実施形態では、リニアDAC2614が、対応する電圧データDVOUTの値に比例する電圧レベルを有するアナログ電圧を生成する。
【0213】
出力アンプ回路2615は、リニアDAC2614によって生成されるアナログ電圧に対応する駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を対応するデータ線2605に供給する。一以上の実施形態では、出力アンプ回路2615は、インピーダンス変換を行い、リニアDAC2614によって生成されたアナログ電圧と同一の電圧レベルを有する駆動電圧を生成するように構成されている。
【0214】
様々な実施形態において、各データ線2605に供給される駆動電圧が、電圧データDVOUTの値に比例する電圧レベルを有しており、入力画像データDINに対して行うべきデータ処理(例えば、補正演算)が、電圧データ生成回路2612によって行われる。
【0215】
図31は、一実施形態による電圧データ生成回路2612の構成を示すブロック図であり、電圧データ生成回路2612が、基本制御点データレジスタ2621と、補正データメモリ2622と、制御点演算回路2623と、データ補正回路2624とを備えている。
【0216】
一実施形態では、基本制御点データレジスタ2621は、基本制御点データCP0_0~CPm_0を保持する保持回路として動作する。ここでいう基本制御点データCP0_0~CPm_0は、入力画像データDINの階調値と電圧データDVOUTの値との間の基本の対応関係を規定するデータである。
【0217】
図32は、基本制御点データCP0_0~CPm_0及びそれによって規定される対応関係のカーブを概略的に示すグラフである。基本制御点データCP0_0~CPm_0は、X軸が入力画像データDINに記述されている階調値(以下、「入力階調値X_IN」という。)に対応し、Y軸が電圧データDVOUTの値(以下、「電圧データ値Y_OUT」という。)に対応するXY座標系において、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの間の基本の対応関係を規定する基本制御点の座標を指定する一組のデータである。以下では、基本制御点データCPi_0によって座標が指定される基本制御点についても、基本制御点CPi_0と記載することがある。図32は、入力階調値X_INが8ビットの値、電圧データ値Y_OUTが10ビットの値である場合の対応関係のカーブを示している。
【0218】
基本制御点データCPi_0は、XY座標系における基本制御点CPi_0の座標(XCPi_0,YCPi_0)を含むデータである。ここで、iは、0以上m以下の整数であり、XCPi_0は、基本制御点CPi_0のX座標(即ち、X軸方向に沿った方向における位置を示す座標)であり、YCPi_0は、基本制御点CPi_0のY座標(即ち、Y軸方向に沿った方向における位置を示す座標)である。ここで、基本制御点CPi_0のX座標XCPiは、下記の式(2)を満たしている:
XCP0_0 < XCP1_0 < … < XCPi_0 < … < XCP(m-1)_0 < XCPm_0,V (2)
式(2)において、基本制御点CP0_0のX座標XCP0_0は、入力階調値X_INの許容最小値(即ち、“0”)であり、制御点CPm_0のX座標XCPm_0は、入力階調値X_INの許容最大値(即ち、“255”)である。
【0219】
図31を再度に参照して、補正データメモリ2622は、表示パネル1の各画素回路2606について(即ち、各画素の各副画素について)補正データα、βを保持している。補正データα、βは、基本制御点データCP0_0~CPm_0の補正に用いられる。後に詳細に説明するように、補正データαは、基本制御点データCP0_0~CPm_0に記述されている基本制御点のX座標XCP0_0~XCPm_0の補正に用いられ、補正データβは、基本制御点データCP0_0~CPm_0に記述されている基本制御点のY座標YCP0_0~YCPm_0の補正に用いられる。ある画素回路2606に対応する電圧データDVOUTの値を算出する場合、当該画素回路2606に対応する表示アドレスが補正データメモリ2622に与えられ、該表示アドレスによって指定された補正データα、β(即ち、当該画素回路2606に対応する補正データα、β)が読み出されて基本制御点データCP0_0~CPm_0の補正に用いられる。表示アドレスは、例えば、命令制御回路2611から供給されてもよい(図30参照)。
【0220】
制御点演算回路2623は、補正データメモリ2622から受け取った補正データα、βに応じて基本制御点データCP0_0~CPm_0を補正して制御点データCP0~CPmを生成する。制御点データCP0~CPmは、データ補正回路2624による電圧データ値Y_OUTの算出における入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係を指定する一組のデータである。制御点データCPiは、XY座標系における制御点CPiの座標(XCPi, YCPi)を含んでいる。制御点演算回路2623の構成及び動作については、後に詳細に説明する。
【0221】
データ補正回路2624は、制御点演算回路2623から受け取った制御点データCP0~CPmに応じて、入力画像データDINから電圧データDVOUTを生成する。ある画素回路6についての電圧データDVOUTを生成するとき、データ補正回路2624は、当該画素回路6に対応する制御点データCP0~CPmによって指定された対応関係に従って、入力画像データDINに記述されている入力階調値X_INから、電圧データDVOUTに記述すべき電圧データ値Y_OUTを算出する。本実施形態では、データ補正回路2624は、制御点データCP0~CPmによって規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INに等しい点のY座標を算出し、算出したY座標を電圧データ値Y_OUTとして出力する。ここで、nは、2以上の整数である。
【0222】
様々な実施形態において、補正データは、ガンマ値に適用される。ガンマ値が補正された後、制御点データは、各副画素に印加する電圧を決定するために用いられてもよい。更に、補正データは、階調電圧値が決定されたあとに、階調電圧値に適用されてもよい。
【0223】
より具体的には、様々な実施形態において、データ補正回路2624は、セレクタ2625とベジェ演算回路2626とを備えている。
【0224】
セレクタ2625は、制御点データCP0~CPmのうちから(n+1)個の制御点に対応する制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。以下では、セレクタ2625で選択された制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)と記載することがある。選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)は、下記の式(3)を満足するように選ばれる。
XCP(k×n) ≦ X_IN ≦ XCP((k+1)×n) (3)
【0225】
式(3)において、XCP(k×n)は、制御点CP(k×n)のX座標であり、XCP((k+1)×n)は、制御点CP((k+1)×n)のX座標である。
【0226】
ベジェ演算回路2626は、選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)に基づいて、入力階調値X_INに対応する電圧データ値Y_OUTを算出する。一実施形態では、電圧データ値が、補正データで補正されてもよい。他の実施形態では、制御点データが補正データで補正される。電圧データ値Y_OUTは、選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)に記述された(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)で規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INに等しい点のY座標として算出される。n次ベジェ曲線が、(n+1)個の制御点によって規定されることに留意されたい。
【0227】
LUT270~27mは、補正データα、βから、基本制御点データCP0_0~CPm_0の補正に用いられる補正値α0~αm、β0~βmを算出する補正値算出回路として動作する。ここで、補正値α0~αmは、補正データαから算出される値であり、基本制御点データCP0_0~CPm_0に記述されている基本制御点のX座標XCP0_0~XCPm_0の補正に用いられる。一方、補正値β0~βmは、補正データβから算出される値であり、基本制御点データCP0_0~CPm_0に記述されている基本制御点のY座標YCP0_0~YCPm_0の補正に用いられる。
【0228】
一実施形態では、LUT27iは、基本制御点データCPi_0の補正に用いられる補正値αiを補正データαからテーブルルックアップによって決定し、基本制御点データCPi_0の補正に用いられる補正値βiを補正データβからテーブルルックアップによって決定する。ただし、iは、0以上m以下の任意の整数である。このような構成では、補正データαが補正値α0~αmの算出に共通に用いられ、補正データβが、補正値β0~βmの算出に共通に用いられることに留意されたい。
【0229】
制御点補正回路2628~2628は、補正値α0~αm、β0~βmに基づいて基本制御点データCP0_0~CPm_0を補正することにより制御点データCP0~CPmを算出する。より具体的には、制御点補正回路2628iは、補正値αi、βiに基づいて基本制御点データCPi_0を補正することにより、制御点データCPiを算出する。上述のように、補正値αiは、基本制御点データCPi_0に記述された基本制御点CPi_0のX座標XCPi_0の補正、即ち、制御点CPiのX座標XCPiの算出に用いられ、補正値βiは、基本制御点データCPi_0に記述された基本制御点CPi_0のY座標YCPi_0の補正、即ち、制御点CPiのY座標YCPiの算出に用いられる。
【0230】
一実施形態では、制御点データCPiに記述されている制御点CPiのX座標XCPi、Y座標YCPiは、下記式(4)、(5)に従って算出される。
XCPi = αi × XCPi_0 (4)
YCPi = YCPi_0 + βi (5)
【0231】
即ち、制御点CPiのX座標XCPiは、基本制御点CPi_0のX座標XCPi_0と補正値αiとの積に依存して(本実施形態では、一致するように)算出され、制御点CPiのY座標YCPiは、基本制御点CPi_0のY座標YCPi_0と補正値βiとの和に依存して(本実施形態では、一致するように)算出される。
【0232】
データ補正回路2624は、このようにして算出された制御点データCP0~CPmによって規定された入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの対応関係に従って、入力画像データDINから電圧データDVOUTを生成する。
【0233】
各画素回路6に対応する補正データα、βに基づいて基本制御点データCP0_0~CPm_0を補正して制御点データCP0~CPmを算出し、制御点データCP0~CPmによって規定される対応関係に従って入力階調値X_INから電圧データ値Y_OUTを算出する一実施形態の電圧データ生成回路2612の構成は、画質の劣化を抑制することを助ける。図31の構成では、補正後画像データの階調値は許容される最大又は最小値に飽和しない。
【0234】
加えて、図31の実施形態は、基本制御点CPi_0のY座標YCPi_0を補正して制御点CPiのY座標YCPiを算出する演算を通じて、実質的に、駆動電圧の補正を実現している。制御点CPiのY座標YCPiの補正は、電圧データ値Y_OUTを補正すること、即ち、駆動電圧を補正することと等価である。よって、制御点CPiのY座標YCPiの算出に用いられる補正値β0~βm又は補正データβを適切に設定することで、表示パネル2601の各画素回路2606の電圧オフセットをキャンセルするように電圧データ値Y_OUT、即ち、駆動電圧を設定することができる。
【0235】
式(3)、(4)に従って行われる上記の補正は、表示パネル1の各画素回路2606がOLED素子を組み込んでいる場合に画素回路2606の特性のバラツキを補償するために特に好適である。図33は、補正値α0~αmに基づく補正の効果を示すグラフであり、図34は、補正値β0~βmに基づく補正の効果を示すグラフである。
【0236】
表示パネル2601がOLED表示パネルとして構成されている一以上の実施形態では、画素回路2606の特性にバラツキが存在し得る。このようなバラツキの原因は、画素回路2606に含まれているOLED素子の電流-電圧特性のバラツキ、及び、画素回路2606に含まれている駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを含み得る。OLED素子の電流-電圧特性のバラツキの原因は、例えば、OLED素子の面積のバラツキを含み得る。表示パネル2601の画質の向上のためには、上記のバラツキを適正に補償することが望ましい。
【0237】
図33を参照して、制御点CPiのX座標XCPiを、基本制御点CPi_0のX座標XCPi_0と補正値αiとの積に依存するように算出することは、電流-電圧特性のバラツキを補償するために有効である。制御点CPiのX座標XCPiを基本制御点CPi_0のX座標XCPi_0と補正値αiとの積に依存して算出する演算は、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係のカーブをX軸方向に拡大し、又は、縮小することと等価であり、言い換えれば、入力階調値X_INと補正値の積を算出する演算と等価である。これは、電流-電圧特性のバラツキを補償するために有効である。
【0238】
一方、図34を参照して、制御点CPiのY座標YCPiを、基本制御点CPi_0のY座標YCPi_0と補正値βiとの和に依存して算出することは、画素回路2606に含まれている駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを補償するために有効である。制御点CPiのY座標YCPiを、基本制御点CPi_0のY座標YCPi_0と補正値βiとの和に依存して算出する演算は、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係のカーブをY軸方向にシフトすることに対応しており、言い換えれば、電圧データ値Y_OUTと補正値の和を算出する演算と等価である。これは、画素回路2606に含まれている駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを補償するために有効である。
【0239】
図35は、一以上の実施形態における電圧データ生成回路2612の動作を示すフローチャートである。ある画素回路2606に供給すべき駆動電圧を指定する電圧データ値Y_OUTを算出する場合、該画素回路2606に対応する入力階調値X_INが、電圧データ生成回路2612に入力される(ステップS01)。以下では、入力階調値X_INが8ビットの値であり、電圧データ値Y_OUTが10ビットの値であるとして説明する。
【0240】
入力階調値X_INの電圧データ生成回路2612への入力に同期して、対象の画素回路6に対応する表示アドレスが補正データメモリ2622に供給され、該表示アドレスに対応する補正データα、β(即ち、対象の画素回路2606に対応する補正データα、β)が読み出される(ステップS02)。
【0241】
補正データメモリ2622から読み出された補正データα、βを用いて基本制御点データCP0_0~CPm_0を補正することにより、電圧データ値Y_OUTの算出に実際に用いられる制御点データCP0~CPmが算出される(ステップS03)。
制御点データCP0~CPmの算出は、以下のようにして行われてもよい。
【0242】
まず、一以上の実施形態では、LUT27~27を用いて、補正データαから補正値α~αmが算出され、補正データβから補正値β~βが算出される。補正値αは、補正データαに応じてLUT27に対してテーブルルックアップを行うことにより算出され、補正値βは、補正データβに応じてLUT27に対してテーブルルックアップを行うことにより算出される。
【0243】
続いて、補正値α~α、β~βに基づいて基本制御点データCP0_0~CPm_0が制御点補正回路28~28によって補正され、これにより制御点データCP0~CPmを算出する。上述のように、様々な実施形態において、制御点データCPiに記述されている制御点CPiのX座標XCPiは、上記の式(3)に従って算出され、制御点CPiのY座標YCPiは、上記の式(4)に従って算出される。
【0244】
その後、入力階調値X_INに基づいて、制御点CP0~CPmのうちから(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する(ステップS04)。(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)は、セレクタ25によって選択される。
【0245】
一実施形態では、下記のようにして(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)が選択されてもよい。
【0246】
基本制御点CP0_0~CPm_0が、m=p×nを満足するように規定される。ここで、pは、所定の自然数である。この場合、基本制御点CP0_0~CPm_0の数、及び、制御点CP0~CPmの数は、m+1個である。該n次ベジェ曲線は、m+1個の制御点CP0~CPmのうち、制御点CP0、CPn、CP(2n)、・・・、CP(p×n)を通過する。他の制御点は、該n次ベジェ曲線の形状を規定するが、当該n次ベジェ曲線の上にあるとは限らない。
【0247】
セレクタ2625は、n次ベジェ曲線が通過する制御点それぞれのX座標と入力階調値X_INとを比較し、その比較の結果に応じて(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。
【0248】
より具体的には、入力階調値X_INが、制御点CP0のX座標より大きく、制御点CPnのX座標より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CP0~CPnを選択する。また、入力階調値X_INが、制御点CPnのX座標より大きく、制御点CP(2n)のX座標より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CPn~CP(2n)を選択する。一般に、入力階調値X_INが、制御点CP(k×n)のX座標XCP(k×n)より大きく、制御点CP((k+1)×n)のX座標XCP((k+1)×n)より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。ただし、kは、0以上p以下の整数である。
【0249】
入力階調値X_INが、制御点CP(k×n)のX座標XCP(k×n)に一致する場合、一実施形態では、セレクタ2625が、制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。この場合、入力階調値X_INが、制御点CP(p×n)に一致するときには、セレクタ2625は、制御点CP((p-1)×n)~CP(p×n)を選択する。
【0250】
その代わりに、セレクタ2625が、入力階調値X_INが制御点CP((k+1)×n)のX座標XCP((k+1)×n)に一致する場合に、制御点CP(k×n)~((k+1)×n)を選択してもよい。この場合、入力階調値X_INが、制御点CP0に一致するときには、セレクタ2625は、制御点CP0~CPnを選択する。
【0251】
このようにして選択された制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)の制御点データ、即ち、制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のX座標、Y座標が、ベジェ演算回路2626に供給され、ベジェ演算回路2626により、入力階調値X_INに対応する電圧データ値Y_OUTが算出される(ステップS05)。電圧データ値Y_OUTは、(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)で規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INに同一である点のY座標として算出される。
【0252】
一以上の実施形態では、電圧データ値Y_OUTの算出に使用されるベジェ曲線の次数nは特定の数に限定されず、必要とする精度に応じて次数nが選択され得る。しかしながら、様々な実施形態において、2次ベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTを算出することは、好適にも、簡略なベジェ演算回路2626の構成で正確な電圧データ値Y_OUTを算出することを可能にする。以下では、2次ベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTが算出される場合のベジェ演算回路2626の構成及び動作について説明する。このような実施形態では、2次ベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTを算出する場合、3つの制御点CP(2k)、CP(2k+1)、CP(2k+2)に対応する制御点データCP(2k)、CP(2k+1)、CP(2k+2)、即ち、該3つの制御点CP(2k)、CP(2k+1)、CP(2k+2)のX座標、Y座標がベジェ演算回路2626の入力に与えられる。
【0253】
図36は、ベジェ演算回路2626において行われる演算アルゴリズムを示す概念図であり、図37は、一実施形態による、当該演算の手順を示すフローチャートである。
【0254】
図37に図示されているように、初期設定として、3つの制御点CP(2k)~CP(2k+2)のX座標及びY座標が、ベジェ演算回路2626に設定される(ステップS11)。記載を簡潔にするために、以下では、ベジェ演算回路2626に設定される制御点CP(2k)、CP(2k+1)、CP(2k+2)を、それぞれ、制御点A0、B0、C0と記載する。図36を参照して、制御点A0、B0、C0の座標A0(AX0, AY0)、B0(BX0, BY0)、C0(CX0, CY0)は、それぞれ、次のように表わされる:
A0 (AX0, AY0) = (XCP(2k), YCP(2k)) (6)
B0 (BX0, BY0) = (XCP(2k+1), YCP(2k+1)) (7)
C0 (CX0, CY0) = (XCP(2k+2), YCP(2k+2)) (8)
【0255】
図36を参照して、電圧データ値Y_OUTは、以下に述べられるように、中点を求める演算を繰り返すことによって算出される。この繰り返し演算の1単位を、以下では、“中点演算”と呼ぶことにする。3つの制御点の隣接する2つの制御点の中点を1次中点と呼び、該2つの1次中点の中点を2次中点と呼ぶことがある。
【0256】
1回目の中点演算では、初期的に与えられる制御点A、B、C(即ち、3つの制御点CP(2k)、CP(2k+1)、CP(2k+2))に関し、制御点Aと制御点Bの中点である1次中点dと、制御点Bと制御点Cの中点である1次中点eとが算出され、更に、1次中点dと1次中点eの中点である2次中点fが算出される。2次中点fは、3つの制御点A、B、Cで規定される2次ベジェ曲線の上に位置する。このとき、2次中点fの座標(Xf0, Yf0)は、下記式で表わされる:
Xf0 = (AX0 + 2BX0 + CX0)/4 (9)
Yf0 = (AY0 + 2BY0 + CY0)/4 (10)
【0257】
様々な実施形態において、次の中点演算(2回目の中点演算)に使用される3つの制御点A1、B1、C1は、制御点A0、1次中点d0、2次中点f、1次中点e、及び、制御点B0のうちから、入力階調値X_INと2次中点fのX座標Xf0との比較の結果に応じて選択される。より具体的には、下記のようにして制御点A1、B1、C1が選択される:
(A)Xf0 ≧ X_INである実施形態
【0258】
このような実施形態では、X座標が小さい3点(左側の3点):制御点A、1次中点d、2次中点fが、制御点A、B、Cとして選択される。即ち、
=A,B=d及びC=f (11)
(B)Xf0 < X_INである実施形態
【0259】
このような実施形態では、この場合、X座標が大きい3点(右側の3点):2次中点f0、1次中点e0、制御点C0が、制御点A1、B1、C1として選択される。即ち、
=f,B=e及びC=C (12)
【0260】
同様の手順により、2回目の中点演算が行われてもよい。制御点A1、B1、C1に関し、制御点A1と制御点B1の1次中点d1と、制御点B1と制御点C1の1次中点e1とが算出され、更に、1次中点d1と1次中点e1の2次中点f1が算出される。2次中点f1は、所望の2次ベジェ曲線上の点である。続いて、次の中点演算(3回目の中点演算)に使用される3つの制御点A2、B2、C2が制御点A1、1次中点d1、2次中点f1、1次中点e1、制御点B1のうちから、入力階調値X_INと2次中点f1のX座標Xf1との比較の結果に応じて選択される。
【0261】
更に、図36に示すように、i回目の中点演算では、下記のような演算が行われる(ステップS12~S14)。
(A)(AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4 ≧ X_INである実施形態
Axi = AXi-1 (13)
BXi = (AXi-1 + BXi-1)/2 (14)
CXi = (AXi-1+2BXi-1+CXi-1)/4 (15)
AYi = AYi-1 (16)
BYi = (AYi-1 + BYi-1)/2 (17)
CYi = (AYi-1 + 2BYi-1+CYi-1)/4 (18)
(B)(AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4 < X_INである実施形態
AXi = (AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4 (19)
BXi = (BXi-1 + CXi-1)/2 (20)
CXi = CXi-1 (21)
AYi = (AYi-1 + 2BYi-1 + CYi-1)/4 (22)
BYi = (BYi-1 + CYi-1)/2 (23)
CYi = CYi-1 (24)
【0262】
条件(A)、(B)に関し、等号は、条件(A)、(B)のいずれの不等号に付せられてもよい。
【0263】
中点演算は、同様の手順により、所望の回数だけ繰り返される(ステップS15)。
【0264】
各中点演算は、制御点Ai、Bi、Ciを2次ベジェ曲線に近づけ、また、制御点Ai、Bi、CiのX座標を入力階調値X_INに近づける。N回目の中点演算によって得られた制御点AN、BN、CNの少なくとも一つのY座標から、最終的に算出すべき電圧データ値Y_OUTの値が得られる。例えば、制御点AN、BN、CNのうちから任意に選択された一点のY座標が、電圧データ値Y_OUTとして選ばれてもよい。その代わりに、制御点AN、BN、CNのY座標の平均値が電圧データ値Y_OUTとして選ばれてもよい。
【0265】
中点演算が行われる回数Nが比較的少ない範囲では、中点演算が行われる回数Nが多いほど、電圧データ値Y_OUTの精度が向上する。様々な実施形態において、中点演算が行われる回数Nが電圧データ値Y_OUTのビット数に一度到達すると、電圧データ値Y_OUTの精度は、それ以上は向上しない。よって、様々な実施形態において、中点演算の回数Nは、電圧データ値Y_OUTのビット数と同一である。電圧データ値Y_OUTが10ビットデータである幾つかの実施形態では、中点演算の回数Nは、10である。
【0266】
上記のように、電圧データ値Y_OUTは、中点演算の繰り返しによって算出されるので、ベジェ演算回路2626は、直列に接続された、それぞれが中点演算を行うように構成された複数の演算回路として構成され得る。図38は、一実施形態による、ベジェ演算回路2626の構成の一例を示すブロック図である。
【0267】
ベジェ演算回路2626は、N個の単位演算ユニット2630~2630と、出力段2640とを備えている。単位演算ユニット2630~30のそれぞれは、上記の中点演算を行うように構成されている。言い換えれば、単位演算ユニット2630iは、上記の式に従った演算により、制御点Ai-1、Bi-1、Ci-1のX座標、Y座標から制御点Ai、Bi、CiのX座標、Y座標を算出するように構成されている。出力段2640は、単位演算ユニット2630から出力される制御点A、B、Cから選択された少なくとも一つの制御点のY座標(即ち、AY、BY及びCYのうちの少なくとも一)に基づいて電圧データ値Y_OUTを出力する。出力段2640は、制御点A、B、Cのうちの選択された一の制御点のY座標を電圧データ値Y_OUTとして出力してもよい。
【0268】
図39は、一実施形態による、各単位演算ユニット2630iの構成を示す回路図である。各単位演算ユニット2630は、加算器2631~2633と、セレクタ2634~2636と、比較器2637と、加算器2641~2643と、セレクタ2644~2646とを備えている。加算器2631~2633とセレクタ2634~2636とは、制御点Ai-1、Bi-1、Ci-1のX座標について演算を行い、加算器2641~2643とセレクタ2644~2646とは、制御点Ai-1、Bi-1、Ci-1のY座標について演算を行う。
【0269】
様々な実施形態において、各単位演算ユニット2630は、7つの入力端を有しており、そのうちの一つは入力階調値X_INを受け取り、残りの6つは、それぞれ、制御点Ai-1、Bi-1、Ci-1のX座標AXi-1、BXi-1、CXi-1、及び、Y座標AYi-1、BYi-1、CYi-1を受け取る。加算器2631は、AXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、BXi-1が供給される入力端に接続される第2入力とを有している。加算器2632は、BXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、CXi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。加算器2633は、加算器2631の出力に接続された第1入力と、加算器2632の出力に接続された第2入力とを有している。
【0270】
同様に、加算器2641は、AYi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、BYi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。加算器2642は、BYi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、CYi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。加算器2643は、加算器41の出力に接続された第1入力と、加算器2642の出力に接続された第2入力とを有している。
【0271】
比較器2637は、入力階調値X_INが供給される第1入力と、加算器2633の出力に接続された第2入力とを有している。
【0272】
セレクタ2634は、AXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と加算器2633の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2634の出力は、AXiを出力する出力端に接続されている。同様に、セレクタ2635は、加算器2631の出力に接続された第1入力と加算器2632の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2635の出力は、BXiを出力する出力端に接続されている。更に、セレクタ36は、加算器2633の出力に接続された第1入力とCi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2636の出力は、CXを出力する出力端に接続されている。
【0273】
一以上の実施形態では、セレクタ2644は、AYi-1が供給される入力端に接続された第1入力と加算器2643の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2644の出力は、AYiを出力する出力端に接続されている。同様に、セレクタ2645は、加算器41の出力に接続された第1入力と加算器2642の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2645の出力は、BYiを出力する出力端に接続されている。更に、セレクタ2646は、加算器43の出力に接続された第1入力とCYi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有しており、比較器2637の出力値に応答して第1入力又は第2入力を選択する。セレクタ2646の出力は、CYiを出力する出力端に接続されている。
【0274】
加算器2631は上述された式に従った演算を行い、加算器2632は上述された式に従った演算を行い、加算器2633は、加算器2631、2632からの出力値を用いて上記の式に従った演算を行う。同様に、加算器2641は上記の式に従った演算を行い、加算器2642は、上記の式に従った演算を行い、加算器2643は、加算器2641、2642からの出力値を用いて上記の式に従った演算を行う。比較器2637は、加算器2633の出力値を入力階調値X_INと比較し、セレクタ2634~2636、2644~2646のそれぞれに供給された2つの入力値のいずれを出力値として出力すべきかを指示する。
【0275】
一以上の実施形態では、入力階調値X_INが(AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4よりも小さい場合、セレクタ2634がAXi-1を選択し、セレクタ2635が加算器2631の出力値を選択し、セレクタ2636が加算器2633の出力値を選択し、セレクタ2644がAYi-1を選択し、セレクタ2645が加算器41の出力値を選択し、セレクタ46が加算器2643の出力値を選択する。入力階調値X_INが(AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4よりも大きい場合、セレクタ2634が加算器2633の出力値を選択し、セレクタ2635が加算器2632の出力値を選択し、セレクタ2636がCXi-1を選択し、セレクタ2644が加算器2643の出力値を選択し、セレクタ2645が加算器2642の出力値を選択し、セレクタ2646がCYi-1を選択する。セレクタ2634~2636、2644~2646によって選択された値が、それぞれ、AXi、BXi、CXi、AYi、BYi、CYiとして、次段の単位演算ユニット2630に供給される。
【0276】
様々な実施形態では、上記の式に含まれている除算は、下位ビットを切り捨てることで実現できる。最も簡便には、加算器2631~2633、2641~2643の出力の下位ビットを切り捨てることで所望の演算を実現できる。この場合、加算器31~2633、2641~2643の出力端のそれぞれから1ビットを切り捨ててもよい。幾つかの実施形態では、回路において下位ビットが切り捨てられる場所は、上記の式と等価な演算が行われる限り、適宜に変更可能である。例えば、加算器2631~2633、加算器2641~2643の入力端において下位ビットが切り捨てられてもよいし、比較器2637、セレクタ2634~2636、2644~2646の入力端において下位ビットが切り捨てられてもよい。
【0277】
一実施形態では、電圧データ値Y_OUTは、このように構成された単位演算ユニット2630~2630の最終段の単位演算ユニット2630から出力されるAY、BY、CYの少なくともいずれか一つから得られてもよい。
【0278】
図40は、一実施形態による、電圧データ値Y_OUTの算出に2次ベジェ曲線を用いる場合において電圧データ値Y_OUTを算出する算出アルゴリズムの改良を示す概念図である。図40に図示されているアルゴリズムでは、第1に、i回目の中点演算において、制御点Ai-1、Bi-1、Ci-1を制御点Bi-1が原点になるように平行移動した後に1次中点di-1、1次中点ei-1、2次中点fi-1が演算される。第2に、2次中点fi-1が第i+1回目の中点演算に使用される制御点Ciとして常に選択される。このような平行移動及び中点演算を繰り返すことは、演算器の数を低減し、各演算器において処理される値のビット数を有効に低減する。以下では、図40に図示されているアルゴリズムを詳細に説明する。
【0279】
1回目の平行移動及び中点演算では、制御点AO、BO、COが、移動後に制御点B0が原点になるように平行移動される。平行移動後の制御点AO、BO、COをそれぞれ、制御点AO’、BO’、CO’と表記する。制御点BO’は、原点に一致する。このとき、制御点AO’、制御点CO’の座標は、それぞれ、次のように表わされる:
AO’(AXO’, AYO’) = (AXO - BXO, AYO - BYO) (25)
CO’(CXO’, CYO’) = (CXO - BXO, CYO - BYO) (26)
【0280】
同時に、演算対象階調値X_IN0から、X軸方向の平行移動量BXOが減じられて演算対象階調値X_IN1が算出される。
【0281】
続いて、制御点AO’と制御点BO’の1次中点dO’と、制御点BO’と制御点CO’の1次中点eO’とが算出され、更に、1次中点dO’と1次中点eO’の2次中点fO’が算出される。2次中点fO’は、制御点Biが原点になるように平行移動した後の2次ベジェ曲線(即ち、3つの制御点AO’、BO’、CO’で規定される2次ベジェ曲線)の上にある。
【0282】
一以上の実施形態では、2次中点fO’の座標(XfO’, YfO’)は、下記式で表わされる:
【数2】
【0283】
次の平行移動及び中点演算(2回目の平行移動及び中点演算)に使用され得る3つの制御点A1、B1、C1は、制御点AO’、1次中点dO’、2次中点fO’、1次中点eO’、制御点CO’のうちから、演算対象階調値X_IN1と2次中点fO’のX座標値XfO’との比較の結果に応じて選択される。この選択において、2次中点fO’が制御点C1として常に選択される一方、制御点A1、B1は、次のようにして選択される。
(A)Xfo’ ≧ X_IN1である実施形態
【0284】
このような実施形態では、X座標値が小さい2点(左側の2点)、即ち、制御点A’及び1次中点d’が、それぞれ、制御点A、Bとして選択される。
言い換えれば、
A1=A’,B=d’及びC=f’ (28)
(B)XfO < X_IN1である実施形態
【0285】
このような実施形態では、X座標値が大きい2点(右側の2点):制御点CO’、1次中点eO’が、それぞれ、制御点A1、B1として選択される。言い換えれば、
=C’,B=e’及びC=f’ (29)
【0286】
全体としては、第1平行移動及び中点演算では、下記の演算が行われる。
X_IN1 = X_IN0 - BX0 (30)
Xf0= (AX0 - 2BX0 + CX0)/4 (31)
(A)XfO' ≧ X_IN1である実施形態では、
AX1 = AX0 - BX0 (32)
BX1 = (AX0 - BX0)/2 (33)
CX1 = Xf0’ = (AX0 - 2BX0 + CX0)/4 (34)
AY1 = AY0 - BY0 (35)
BY1 = (AY0 - BY0)/2 (36)
CY1 = Yf0= (AY0 - 2BY0 + CY0)/4 (37)
(B)XfO' < X_INである実施形態では、
AX1 = CX0 - BX0 (38)
BX1 = (CX0 - BX0)/2 (39)
CX1 = (AY0 - 2BY0 + CY0)/4 (40)
AY1 = CY0 - BY0 (41)
BY1 = (CY0 - BY0)/2 (42)
CY1 = (AY0 - 2BY0 + CY0)/4 (43)
【0287】
条件(A)、(B)に関し、等号は条件(A)、(B)のいずれの不等号に付せられてもよい。
【0288】
上記式から理解されるように、条件(A)、(B)のいずれが満たされる場合であっても、下記の関係が成立する。
AX1 = 2BX1 (44)
AY1 = 2BY1 (45)
【0289】
これは、上記の演算を実際に実行する際には、制御点A1、B1の座標を重複して計算し、又は格納する必要がないことを意味している。このことは、図40に図示されているように、制御点B1が制御点A1と原点Oの中点に位置することからも理解されよう。以下では、制御点B1の座標が計算される実施形態を説明するが、制御点A1の座標を計算する演算は、制御点B1の座標を計算する演算と等価である。
【0290】
2回目の平行移動及び中点演算でも、同様の演算が行われる。まず、制御点A1、B1、C1が、移動後に制御点B1が原点になるように平行移動される。平行移動後の制御点A1、B1、C1をそれぞれ、制御点A1’、B1’、C1’と表記する。加えて、演算対象階調値X_IN1から、X軸方向の平行移動量BX1が減じられて演算対象階調値X_IN2が算出される。続いて、制御点A1’と制御点B1’の1次中点d1’と、制御点B1’と制御点C1’の1次中点e1’とが算出され、更に、更に、1次中点d1’と1次中点e1’の2次中点f1’が算出される。
【0291】
上記の式と同様に、下記式が得られる。
X_IN2 = X_IN1 - BX1 (46)
Xf1’ = (AX1 - 2BX1 + CX1)/4 (47)
(A)Xf1' ≧ X_IN2である実施形態では、
AX2 = AX1 - BX1 (48)
BX2 = (AX1 - BX1)/2 (49)
CX2 = Xf1’, = (AX1 -2BX1 + CX1)/4 (50)
AY2 = AY1 -BY1 (51)
BY2 = (AY1 - BY1)/2 (52)
CY2 = Yf1’, = (AY1 - 2BY1 + CY1)/4 (53)
(B)Xf1' < X_IN2である実施形態では、
AX2 = CX1 - BX1 (54)
BX2 = (CX1 - BX1)/2 (55)
CX2 = (AY1 - 2BY1 + CY1)/4 (56)
AY2 = CY1 - BY1 (57)
BY2 = (CY1 - BY1)/2 (58)
CY2 = (AY1 - 2BY1 + CY1)/4 (59)
【0292】
一以上の実施形態では、上記の式に代入することで、下記の式が得られる。
BX2 = BX1/2, (for CX1 ≧ X_IN2) (60)
= (CX1 - BX1)/2, (for CX1 < X_IN2) (61)
CX2 = CX1/4 (62)
BY2 = BY1/2, (for CX1 ≧ X_IN2) (63)
= (CY1 - BY1)/2, (for CX1 < X_IN2) (64)
CY2 = CY1/4 (65)
【0293】
式の場合と同様に下記関係が成立するので、制御点A2のX座標値AX2及びY座標AY2を冗長的に計算し、又は、格納する必要はない。
AX2 = 2BX2 (66)
AY2 = 2BY2 (67)
【0294】
3回目以降の平行移動及び中点演算についても、同様な演算が行われる。2回目の平行移動及び中点演算と同様に、i回目の平行移動及び中点演算(i≧2)において行われる演算が下記の式で表わされることが理解されよう。
X_INi = X_INi-1 - BXi-1 (68)
BXi = BXi-1/2, (for CXi-1 ≧ X_INi) (69)
= (CXi-1 - BXi-1)/2, (for CXi-1 < X_INi) (70)
CXi = CXi-1/4 (71)
BYi = BYi-1/2, (for CXi-1 ≧ X_INi) (72)
= (CYi-1 - BYi-1)/2, (for CXi-1 < X_INi) (73)
CYi = CYi-1/4 (74)
【0295】
上記式に関し、一以上の実施形態では、等号は、上記の式のいずれの不等号に付せられてもよい。
【0296】
ここで、上記の式の意味するところは、制御点C1は、原点Oと制御点Ci-1とを結ぶ線分上にあり、制御点Ciと点Oとの間の距離が、線分OCi-1の長さの4分の1であるということである。即ち、平行移動及び中点演算を繰り返すと、制御点Ciは、原点Oに近づいていく。このような関係が制御点C1の座標の計算の容易化を可能にしていることは容易に理解されよう。上記の式は、制御点Ai、Ai-1の座標を含んでいないから、2回目以降の平行移動及び中点演算において制御点A2~ANの座標を計算し、又は、格納する必要はないことにも留意されたい。
【0297】
平行移動及び中点演算をN回繰り返した後に最終的に得るべき電圧データ値Y_OUTは、全ての平行移動をキャンセルした制御点BNのY座標(これは、図28における制御点BNのY座標と同一である)として得ることができる。即ち、電圧データ値Y_OUTは、下記式:
Y_OUT = BY0 + BY1 + … + BYi-1 (75)
で算出可能である。
【0298】
このような演算は、i回目の平行移動及び中点演算において下記の演算を行えうことで実現可能である。
Y_OUT1 = BY0 (for i=1) (76)
Y_OUTi = Y_OUTi-1 + BYi-1 (for i ≧ 2) (77)
この場合、目的の電圧データ値Y_OUTは、Y_OUTNとして得られる。
【0299】
図41は、以上に説明された平行移動及び中点演算がハードウェアによって実行される一実施形態による、ベジェ演算回路2626の構成を示す回路図である。図41に示すベジェ演算回路2626は、初段演算ユニット2650と、初段演算ユニット2650の出力に直列に接続された複数の単位演算ユニット2650~2650とを備えている。初段演算ユニット2650は、1回目の平行移動及び中点演算を行う機能を有しており、上記の式に従った演算を行うように構成されている。単位演算ユニット2650~2650は、2回目以降の平行移動及び中点演算を行う機能を有しており、上記の式の演算を行うように構成されている。
【0300】
図42は、一以上の実施形態による、初段演算ユニット501と単位演算ユニット2650~2650の構成を示す回路図である。初段演算ユニット2650は、減算器2651~2653と、加算器2654と、セレクタ2655と、比較器2656と、減算器62、63と、加算器2664と、セレクタ2665とを備えている。初段演算ユニット2650は、7つの入力端を有している。入力端の一つには入力階調値X_INが入力され、他の6つの入力端には、それぞれ、制御点AO、BO、COのX座標値AXO、BXO、CXO、及び、Y座標AYO、BYO、CYOが供給される。
【0301】
減算器2651は、入力階調値X_INが供給される第1入力とBXOが供給される入力端に接続された第2入力とを有している。減算器2652は、AXOが供給される入力端に接続された第1入力と、BXOが供給される入力端に接続された第2入力とを有している。減算器2653は、CXOが供給される入力端に接続された第1入力と、BXOが供給される入力端に接続された第2入力とを有している。加算器2654は、減算器2652の出力に接続された第1入力と減算器53の出力に接続された第2入力とを有している。
【0302】
同様に、減算器2662は、AYOが供給される入力端に接続された第1入力と、BYOが供給される入力端に接続された第2入力とを有している。減算器2663は、CYOが供給される入力端に接続された第1入力とBYOが供給される入力端に接続された第2入力とを有している。加算器2664は、減算器2662の出力に接続された第1入力と、減算器2663の出力に接続された第2入力とを有している。
【0303】
比較器2656は、減算器2651の出力に接続された第1入力と加算器2654の出力に接続された第2入力とを有している。セレクタ2655は、減算器2652の出力に接続された第1入力と減算器2653の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2656の出力値SEL1に応答して第1入力と第2入力のいずれかを選択する。また、セレクタ2665は、減算器2662の出力に接続された第1入力と減算器2663の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2656の出力値SEL1に応答して第1入力と第2入力のいずれかを選択する。
【0304】
演算対象階調値X_IN1を出力する出力端は、減算器2651の出力に接続される。また、BX1を出力する出力端はセレクタ2655の出力に接続され、CX1を出力する出力端は、加算器2654の出力に接続されている。更に、BY1を出力する出力端はセレクタ2665の出力に接続され、CY1を出力する出力端は、加算器2664の出力に接続されている。
【0305】
減算器2651は、上記の式に従った演算を行い、減算器2652は、上記の式のうちの一又は複数に従った演算を行う。減算器2653は、上記の式の一又は複数に従った演算を行い、加算器2654は、減算器2652、2653の出力値に基づいて上記の式のうちの一又は複数に従った演算を行う。同様に、減算器2662は、上記の式の一又は複数に従った演算を行う。減算器2663は、上記の式の一又は複数に従った演算を行い、加算器2664は、減算器2662、2663の出力値に基づいて上記の式の一又は複数に従った演算を行う。比較器2656は、減算器2651の出力値(即ち、X_INO - BXO)を加算器2654の出力値と比較し、セレクタ2655、2665が、各々の2つの入力値のいずれを出力値として出力すべきかを指示する。X_IN1が(AX0 - 2BX0 + CX0)/4以下の場合には、セレクタ2655が減算器2652の出力値を選択し、セレクタ2665が減算器2662の出力値を選択する。X_IN0 - BX0が(AX0 - 2BX0 + CX0)/4よりも大きい場合には、セレクタ55が減算器2653の出力値を選択し、セレクタ2665が減算器2663の出力値を選択する。セレクタ2655、2665によって選択された値が、それぞれBX1、BY1として、単位演算ユニット2650に供給される。更に、加算器2654、2664の出力値が、それぞれCX1、CY1として単位演算ユニット2650に供給される。
【0306】
様々な実施形態において、上記の式の一又は複数に記述されている除算は、下位ビットを切り捨てることによって実現可能である。回路において下位ビットの切り捨てを行う場所は、上記の式の一又は複数と等価な演算が行われる限り、適宜に変更されてもよい。図42の初段演算ユニット2650は、セレクタ2655、2665の出力において最下位の1ビットを切り捨て、加算器2654、2664の出力において最下位の2ビットが切り捨てるように構成されている。
【0307】
一方、単位演算ユニット2650~2650は、同一の構成を有しており、減算器2671、2672、セレクタ2673、比較器2674、減算器2675、セレクタ2676、及び加算器2677を備えている。
【0308】
以下では、i回目の平行移動及び中点演算を行う単位演算ユニット50iについて説明する。ここで、iは、2以上N以下の整数である。減算器2671は、演算対象階調値X_INi-1が供給される入力端に接続された第1入力とBXi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。減算器2672は、BXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、CXi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。減算器2675は、BYi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、CYi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。
【0309】
比較器2674は、減算器2671の出力に接続された第1入力とCXi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを有している。
【0310】
セレクタ2673は、BXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と減算器72の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2674の出力値SELiに応答して第1入力と第2入力のいずれかを選択する。同様に、セレクタ2676は、BYi-1が供給される入力端に接続された第1入力と減算器2675の出力に接続された第2入力とを有しており、比較器2674の出力値に応答して第1入力と第2入力のいずれかを選択する。
【0311】
演算対象階調値X_INiは、減算器2671の出力に接続された出力端から出力される。BXiは、セレクタ2673の出力に接続された出力端から出力され、CXiは、CXiが供給された入力端に配線を介して接続された出力端から出力される。この過程で、CXiの下位2ビットが切り捨てられる。更に、BYiが、セレクタ2673の出力に接続された出力端から出力され、CYiが、CYi-1が供給された入力端に配線を介して接続された出力端から出力される。この過程で、CYi-1の下位2ビットが切り捨てられる。
【0312】
一方、加算器2677は、BXi-1が供給される入力端に接続された第1入力と、Y_OUTi-1が供給される入力端に接続された第2入力とを備えている。ここで、2回目の平行移動及び中点演算を行う単位演算ユニット2650については、単位演算ユニット2650に入力されるY_OUT1がBY0に一致することに留意されたい。Y_OUTiは、加算器2677の出力から出力される。
【0313】
減算器2671は、上記の式に従った演算を行い、減算器2672は、上記の式に従った演算を行う。減算器2675は、上記の式に従った演算を行い、加算器2677は、上記の式に従った演算を行う。比較器2674は、減算器2671の出力値X_INi(=X_INi-1 - BXi-1)をCXi-1と比較し、セレクタ2673、2676に、それぞれの2つの入力値のいずれを出力値として出力するかを指示する。一以上の実施形態では、X_INiがCXi-1以下である場合には、セレクタ2673がBXi-1を選択し、セレクタ2676がBYi-1を選択する。一方、X_INiがCXi-1よりも大きい実施形態では、セレクタ2673が減算器2672の出力値を選択し、セレクタ2676が減算器2675の出力値を選択する。セレクタ73、2676によって選択された値が、それぞれBXi、BYiとして、次段の単位演算ユニット50i+1に供給される。更に、CXi-1、CYi-1の下位2ビットを切り捨てることで得られる値が、CXi、CYiとして次段の単位演算ユニット50i+1に供給される。
【0314】
いくつかの実施形態では、上記の式に記述されている除算は、下位ビットを切り捨てることで実現可能である。回路において下位ビットの切り捨てを行う場所は、上記の式のいずれかと等価な演算が行われる限り、適宜に変更されてもよい。図42に図示されている単位演算ユニット2650iは、セレクタ2673、2676の出力において下位1ビットを切り捨て、CXi-1、CYi-1を受け取る配線において下位2ビットが切り捨てるように構成されている。
【0315】
演算器の数の減少の効果は、図42に図示されている単位演算ユニット2650~2650の構成を図39に図示されている単位演算ユニット2630~2630の構成と比較することで理解できよう。加えて、図42に示すような平行移動及び中点演算に対応した構成では、単位演算ユニット2650~2650のそれぞれが下位ビットを切り捨てるように構成されており、取り扱うべきデータのビット数が、単位演算ユニット2650~2650の後段のものになるほど少なくなる。以上に議論したように、図42に図示したような平行移動及び中点演算を行う構成では、ハードウェアを削減しながら電圧データ値Y_OUTを計算できる。
【0316】
上記の実施形態は、3つの制御点で規定された形状の2次ベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTを算出する場合を記述しているが、代替的に、3次以上のベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTを算出してもよい。n次ベジェ曲線を用いられる場合、(n+1)個の制御点のX座標及びY座標が初期的に与えられ、該(n+1)個の制御点に対して同様の中点演算が行われて電圧データ値Y_OUTを算出する。
【0317】
より具体的には、(n+1)個の制御点が与えられる場合、中点演算は、以下のようにして行われる。1次中点が、(n+1)個の制御点の隣接する2つの制御点の中点として算出される。1次中点の数は、n個である。更に、2次中点が、それぞれ、n個の1次中点の隣接する2つの中点として算出される。2次中点の数は、n-1個である。同様に、(n-k)個の(k+1)次中点が、(n-k+1)個のk次中点の隣接する2つの中点として算出される。この手順を、単一のn次中点が算出されるまで繰り返して行う。ここで、(n+1)個の制御点のうち、X座標が最小の制御点を最小制御点といい、X座標が最大の制御点を最大制御点という。同様に、k次中点のうちX座標が最小のものをk次最小中点といい、X座標が最大のものをk次最大中点という。n次中点のX座標が入力階調値X_INより小さい場合、最小制御点、1次~(n-1)次最小中点、及びn次中点が、次のステップの(n+1)個の制御点として選択される。n次中点のX座標が入力階調値X_INより大きい場合、n次中点、1次~(n-1)次最大中点、及び最大制御点が、次の中点演算の(n+1)個の制御点として選択される。電圧データ値Y_OUTは、N回の中点演算によって得られた(n+1)個の制御点のうちの少なくとも一の制御点のY座標に基づいて算出される。
【0318】
一以上の実施形態では、4つの制御点CP(3k)~CP(3k+3)がベジェ演算回路2626に設定される。以下では、4つの制御点CP(3k)、CP(3k+1)、CP(3k+2)、CP(3k+3)を、単に、制御点A0、B0、C0、D0と記載し、また、制御点AO、BO、CO、DOの座標を、それぞれ、(AX0, AY0)、(BX0, BY0)、(CX0, CY0)、(DX0, DY0)と記載する。制御点AO、BO、CO、DOの座標A0(AX0, AY0)、B0(BX0, BY0)、C0(CX0, CY0)、D0(DX0, DY0)は、それぞれ、次のように表わされる:
A0(AX0, AY0) = (XCP(3k), YCP(3k)) (78)
B0(BX0, BY0) = (XCP(3k+1), YCP(3k+1)) (79)
C0(CX0, CY0) = (XCP(3k+2), YCP(3k+2)) (80)
D0(DX0, DY0) = (XCP(3k+3), YCP(3k+3)) (81)
【0319】
図43は、n=3の場合(即ち、3次ベジェ曲線が電圧データ値Y_OUTの算出に使用される場合)についての中点演算を説明する図である。初期的に、4つの制御点A、B、C、DOが与えられる。ここで、制御点Aが最小制御点であり、点DOが最大制御点である。最初の中点演算では、制御点Aと制御点Bの中点である1次中点dと、制御点Bと制御点Cの中点である1次中点eと、制御点Cと点Dの中点である1次中点fが算出される。
【0320】
様々な実施形態では、1次最小中点及びfOは、1次最大中点である。更に、1次中点d、eの中点である2次中点gと、1次中点e、fの中点である2次中点hOとが算出される。ここで、中点gは、2次最小中点であり、hは、2次最大中点である。更に、2次中点g、hの中点である3次中点iが算出される。3次中点iは、4つの制御点A、B、C、Dによって規定される3次ベジェ曲線の上の点であり、3次中点iの座標(XiO, YiO)は、下記式で表わされる:
Xi0 = (AX0 + 3BX0 + 3CX0 + DX0)/8 (82)
Yi0 = (AY0 + 3BY0 + 3CY0 + DY0)/8 (83)
【0321】
次の中点演算(2回目の中点演算)に使用される4つの制御点:点A1、B1、C1、D1は、入力階調値X_INと3次中点iのX座標XiOとの比較の結果に応じて選択される。より具体的には、XiO≧X_INの場合、最小制御点A、最小1次中点d、最小2次中点f、及び3次中点eが、それぞれ、点A、B、C、Dとして選択される。一方、XiO<X_INの場合には、3次中点e、最大2次中点h、最大1次中点f、及び最大制御点Dが、それぞれ、点A、B、C、Dとして選択される。
【0322】
2回目以降の中点演算も、上記したものと同様の手順で行われる。一般的に、i回目の中点演算では、下記のような演算が行われる。
(A)(AXi-1 + 3BXi-1 + 3CXi-1 + DXi-1)/8 ≧ X_INである実施形態
AXi = AXi-1 (84)
BXi = (AXi-1 + BXi-1)/2 (85)
CXi = (AXi-1 + 2BXi-1 + CXi-1)/4 (86)
DXi = (AXi-1 + 3BXi-1 + 3CXi-1 + DXi-1)/8 (87)
AYi = AYi-1 (88)
BYi = (AYi-1 + BYi-1)/2 (89)
CYi = (AYi-1 + 2BYi-1 + CYi-1)/4 (90)
DYi = (AYi-1 + 3BYi-1 + 3CYi-1 + DYi-1)/8 (91)
(B)(AXi-1 + 3BXi-1 + 3CXi-1 + DXi-1)/8 < X_INである実施形態
AXi = (AXi-1 + 3BXi-1 + 3CXi-1 + DXi-1)/8 (92)
BXi = (BXi-1 + 2CXi-1 + DXi-1)/4 (93)
CXi = (CXi-1 + DXi-1)/2 (94)
DXi = DXi-1 (95)
AXi = (AXi-1 + 3BXi-1 + 3CXi-1 + DXi-1)/8 (96)
BYi = (BYi-1 + 2CYi-1 + DYi-1)/4 (97)
CYi = (CYi-1 + DYi-1)/2 (98)
DYi = DYi-1 (99)
【0323】
様々な実施形態において、等号は、条件(A)、(B)のいずれに記載されている不等号に付せられてもよい。
【0324】
中点演算が行われる毎に、制御点Ai、Bi、Ci,Diが3次ベジェ曲線に近づいていくと共に、制御点Ai、Bi、Ci,DiのX座標が入力階調値X_INに近づいていく。N回目の中点演算によって得られた制御点AN、BN、CN,DNの少なくとも一つのY座標から、最終的に算出すべき電圧データ値Y_OUTの値が得られる。例えば、制御点AN、BN、CN、DNのうちから任意に選択された一の制御点のY座標が、電圧データ値Y_OUTとして決定されてもよい。その代わりに、制御点AN、BN、CN、DNのY座標の平均値が電圧データ値Y_OUTとして決定されてもよい。
【0325】
中点演算が行われる回数Nが比較的少ない範囲では、中点演算の回数Nが多いほど、電圧データ値Y_OUTの精度を向上させることができる。しかしながら、電圧データ値Y_OUTの精度は、中点演算の回数Nが電圧データ値Y_OUTのビット数に一度到達すると、それ以上は向上しない。様々な実施形態において、中点演算が行われる回数Nは、電圧データ値Y_OUTのビット数に一致する。電圧データ値Y_OUTが10ビットデータである一以上の実施形態では、中点演算が行われる回数Nは、10である
【0326】
一以上の実施形態では、n次ベジェ曲線を用いて電圧データ値Y_OUTを算出するときに、2次ベジェ曲線を用いる場合と同様に、中間に位置する制御点のいずれかが原点Oになるように平行移動したうえで中点演算を行ってもよい。更に、例えば3次ベジェ曲線でガンマカーブを表現する場合、制御点Bi-1又はCi-1が原点Oになるように制御点を平行移動したうえで1次~n次中点が算出される。平行移動後の制御点Ai-1’、1次最小中点、2次最小中点、及び3次中点の組み合わせ、又は、3次中点、2次最大中点、1次最大中点、及び制御点Di-1’の組み合わせのいずれかが、次の制御点Ai、Bi、Ci、Diとして選ばれる。この場合も、各演算器において処理される値のビット数が有効に低減される。
【0327】
一以上の実施形態において、OLED(organic light emitting diode)表示パネルのような自発光表示パネルの駆動において、電圧データDVOUTの生成において、画面の輝度を制御するデータ演算が行われてもよい。表示装置は、画面の輝度(即ち、表示される画像全体の輝度)を調節する機能を有することがある。表示装置は、ユーザが明るい画像の表示を希望する場合に、マニュアル操作に応じて画面の輝度を増大する機能を有していることがある。液晶表示パネルのようなバックライトを有する表示デバイスについては、画面の輝度を制御するデータ演算は必須ではない。なぜなら、画面の輝度をバックライトの輝度によって調節可能でないことがあるからである。OLED表示パネルのような自発光表示パネルの駆動においては、所望の画面の輝度レベルに応じて電圧データDVOUTを生成するようにデータ演算を行うことがある。
【0328】
画面の輝度を制御する演算を行って電圧データDVOUTを生成することがあり、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの間の対応関係が、画面の輝度に依存して修正されてもよい。
【0329】
図44は、画面の各輝度について規定された、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの間の対応関係の一例を示すグラフである。図44は、電圧プログラミングによってOLED表示パネルを駆動する場合における、各輝度についての入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの間の対応関係を示している。図44では、電圧データ値Y_OUTが10ビットであり、電圧データ値Y_OUTに比例した電圧で、OLED表示パネルの各画素の各副画素がプログラミングされるものとして入出力特性のグラフが描かれている。一以上の実施形態では、電圧データ値Y_OUTが“1023”であり、対象の副画素が5Vの電圧でプログラミングされる。
【0330】
図45は、一実施形態による表示装置2610Aの構成を示すブロック図である。表示装置2610Aは、OLED表示パネル261Aと、表示ドライバ2602Aとを備えるOLED表示装置として構成されている。OLED表示パネルは、図29に図示されているように構成されてもよく、このとき、各画素回路2606が、電流駆動素子、より具体的にはOLED素子を含んでいる。表示ドライバ2602Aは、ホスト2603から受け取った入力画像データDIN及び制御データDCTRLに応じてOLED表示パネル2601Aを駆動してOLED表示パネル2601Aに画像を表示する。
【0331】
図45の表示ドライバ2602Aの構成は、図30の表示ドライバ2602の電圧データ生成回路部2612と異なる構成の電圧データ生成回路2612Aを備えている。加えて、図45の実施形態の命令制御回路2611は、OLED表示パネル2601Aの画面の輝度(即ち、OLED表示パネル2601Aに表示される画像全体の輝度)を指定する輝度データを供給する。一実施形態では、ホスト2603から受け取った制御データDCTRLが輝度データDBRTを含んでいてもよく、命令制御回路2611は、制御データDCTRLに含まれる輝度データDBRTを電圧データ生成回路2612Aに供給してもよい。
【0332】
図46は、一実施形態による電圧データ生成回路2612Aの構成を示すブロック図である。図46の電圧データ生成回路2612Aの構成は、一以上の実施形態により用いられる電圧データ生成回路2612の構成とほぼ同様である。図46の実施形態では、基本制御点データCP0_0~CPm_0として、画面の輝度が許容される最大輝度である場合の入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係を規定するような基本制御点CP0_0~CPm_0の座標が記述される。
【0333】
一以上の実施形態では、データ補正回路2624Aが、セレクタ2625とベジェ演算回路2626に加え、乗算回路2629a、2629bを備えている。
【0334】
乗算回路29aは、入力階調値X_INを1/A倍して得られる値を、制御点選択用階調値Pixel_INとして出力する。値Aについては、後に詳細に説明する。
【0335】
セレクタ2625は、制御点選択用階調値Pixel_INに基づいて、制御点データCP0~CPmのうちから(n+1)個の制御点に対応する選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)は、下記の式を満足するように選ばれる。
XCP(k×n) ≦ Pixel_IN ≦ XCP((k+1)×n) (100)
【0336】
乗算回路29bは、選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)から輝度データDBRTに応じて輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’を得るために用いられる。ここで、輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’は、ベジェ演算回路2626において入力階調値X_INから電圧データ値Y_OUTを算出するために用いられる輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’の座標を示すデータである。乗算回路29bは、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のX座標XCP0~XCPmをA倍することにより、輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のX座標をそれぞれ算出する。輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のY座標は、それぞれ、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のY座標と同一である。
【0337】
一以上の実施形態では、輝度補正後制御点CPi’の座標Cpi’(XCPi’, YCPi’)は、選択制御点CPiの座標CPi(XCPi, YCPi)に基づき下記式を用いて得られる。
XCPi’ = A・XCpi (101)
YCPi’ = YCpi (102)
【0338】
ベジェ演算回路2626は、輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’に基づいて、入力階調値X_INに対応する電圧データ値Y_OUTを算出する。電圧データ値Y_OUTは、輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’に記述された(n+1)個の輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’で規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INと同一である点のY座標として算出される。
【0339】
様々な実施形態において、入力画像データDINとして、演算対象の副画素の入力階調値X_INがデータ補正回路2624Aの入力に与えられると、データ補正回路2624Aが当該副画素に対応する電圧データDVOUTのデータ値として電圧データ値Y_OUTを出力する。以下における本実施形態の説明では、入力階調値X_INが8ビットデータであり、電圧データ値Y_OUTが10ビットデータであるとする。
【0340】
上述のように、一以上の実施形態では、入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係が、輝度データDBRTに基づいて制御される。更に、データ補正回路2624Aで行われる電圧データ値Y_OUTの算出において、該関係が制御点データCP0~CPmに基づいていてもよい。例えば、制御点データCP0~CPmから選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)が選択され、その選択制御点データCP(k×n)~CP((k+1)×n)と輝度データDBRTとから、式(56a)、(56b)に従って輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’が算出される。
【0341】
一以上の実施形態では、電圧データ値Y_OUTは、このようにして得られた輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’で規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INに等しい点のY座標として算出される。
【0342】
図47は、一実施形態による、制御点データCP0~CPmと、輝度補正後制御点データCP(k×n)’~CP((k+1)×n)’との関係を示す図である。
【0343】
制御点CP0~CPmは、画面の輝度が許容される最大輝度である場合、即ち、輝度データDBRTにより許容される最大輝度が指定されている場合の入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの対応関係を指定するために用いられる。画面の輝度が許容される最大輝度である場合(即ち、輝度データDBRTにより許容される最大輝度が指定されている場合)、データ補正回路2624Aは、制御点CP0~CPmによって規定される曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INである点のY座標として、電圧データ値Y_OUTを算出する。
【0344】
一実施形態では、データ補正回路2624Aは、制御点CP0~CPmによって規定されるn次ベジェ曲線を用いて入力階調値X_INに対応する電圧データ値Y_OUTを算出する。
【0345】
輝度データDBRTによって最大輝度以外の輝度が指定されてもよく、データ補正回路2624Aは、当該指定された輝度についての入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTとの間の対応関係が、制御点CP0~CPmで規定される曲線をX軸方向にA倍に拡大して得られる曲線で表されるとして電圧データ値Y_OUTを算出する。このような実施形態では、Aは、輝度データDBRTによって指定されている輝度の許容される最大輝度に対する比qに依存する係数であり、下記式で得られる。
A = 1/q(1/γ) (103)
【0346】
式(57)は、表示装置2610のガンマ値がγである場合、係数Aが下記式を満足すべきであるという考察に基づいて得られ得る。
(X_IN/A)γ = q・(X_IN)γ (104)
【0347】
例えば、ガンマ値γが2.2であり、qが0.5である場合(即ち、画面の輝度が許容される最大輝度の0.5倍である場合)、Aは、下記式で得られる:
A = 1/(0.5)1/2.2 = 255/186 (105)
【0348】
データ補正回路2624Aは、制御点CP0~CPmで規定されるベジェ曲線をX軸方向にA倍に拡大して得られるベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INに等しい点のY座標として、電圧データ値Y_OUTを算出する。言い換えれば、画面の輝度が許容される最大輝度である場合における入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの対応関係が、下記式
Y_OUT = fMAX(X_IN) (106)
で表されるとき、画面の輝度が最大輝度のq倍である場合の入力階調値X_INと電圧データ値Y_OUTの対応関係が、下記式
Y_OUT = fMAX(X_IN/A) (107)
で表されるものとして、電圧データ値Y_OUTが算出される。
【0349】
式“Y_OUT = fMAX(X_IN/A)”で表されるベジェ曲線は、制御点CP0~CPmのX座標をA倍して得られる制御点によって規定することができる。よって、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のX座標XCP0~XCPmをA倍することによって得られる輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’は、式“Y_OUT = fMAX(X_IN/A)”で表されるベジェ曲線を表している。輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’で規定されるベジェ曲線に従って電圧データ値Y_OUTを算出することにより、画面の輝度が許容される最大輝度のq倍である場合の電圧データ値Y_OUTを算出することができる。
【0350】
図48は、図26に示された電圧データ生成回路2612Aの動作を示すフローチャートである。ある副画素(即ち、ある画素回路2606)に供給すべき駆動電圧を指定する電圧データ値Y_OUTを算出する場合、該副画素に対応する入力階調値X_INが、電圧データ生成回路2612に入力される(ステップS21)。
【0351】
入力階調値X_INの電圧データ生成回路2612Aへの入力に同期して、該副画素に対応する表示アドレスが補正データメモリ2622に供給され、該表示アドレスに対応する補正データα、β(即ち、該副画素に対応する補正データα、β)が読み出される(ステップS22)。
【0352】
補正データメモリ2622から読み出された補正データα、βを用いて基本制御点データCP0_0~CPm_0を補正することにより、電圧データ値Y_OUTの算出に実際に用いられる制御点データCP0~CPmが算出される(ステップS23)。制御点データCP0~CPmの算出方法は、第1の実施形態において説明されているとおりである。
【0353】
更に、乗算回路2629aにより、制御点選択用階調値Pixel_INが入力階調値X_INから算出される(ステップS24)。上述のように、制御点選択用階調値Pixel_INは、入力階調値X_INに係数Aの逆数1/A(即ち、q(1/γ))を乗ずることで得られる。
【0354】
更に、制御点選択用階調値Pixel_INに基づいて、制御点CP0~CPmのうちから(n+1)個の選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)が選択される(ステップS25)。(n+1)個の選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)の選択は、セレクタ2625によって行われる。入力階調値X_INを1/A倍して得られる制御点選択用階調値Pixel_INに基づいて制御点CP0~CPmのうちから(n+1)個の選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する動作は、入力階調値X_INに基づいて、制御点CP0~CPmのX座標をA倍して得られる制御点のうちから(n+1)個の制御点を選択する動作と等価であることに留意されたい。
【0355】
一以上の実施形態では、下記のようにして(n+1)個の選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)が選択されてもよい。
【0356】
m(=p×n)個の制御点CP0~CPmのうち、制御点CP0、CPn、CP(2n)、・・・、CP(p×n)は、n次ベジェ曲線の上にある。他の制御点は、該n次ベジェ曲線の形状を決めるが、当該n次ベジェ曲線の上にあるとは限らない。セレクタ2625は、制御点選択用階調値Pixel_INをn次ベジェ曲線の上にある制御点それぞれのX座標とを比較し、その比較の結果に応じて(n+1)個の制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。
【0357】
一以上の実施形態では、制御点選択用階調値Pixel_INが、制御点CP0のX座標より大きく、制御点CPnのX座標より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CP0~CPnを選択する。制御点選択用階調値Pixel_INが、制御点CPnのX座標より大きく、制御点CP2nのX座標より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CPn~CP(2n)を選択する。一般に、制御点選択用階調値Pixel_INが、制御点CP(k×n)のX座標XCP((k-1)×n)より大きく、制御点CP((k+1)×n)のX座標XCP(k×n)より小さい場合、セレクタ2625は、制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。ただし、kは、0以上p以下の整数である。
【0358】
制御点選択用階調値Pixel_INが制御点CP(k×n)のX座標XCP(k×n)に一致する場合、一実施形態では、セレクタ2625は、制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択する。この場合、制御点選択用階調値Pixel_INが制御点CP(p×n)に一致するときには、セレクタ2625は、制御点CP((p-1)×n)~CP(p×n)を選択する。
【0359】
その代わりに、幾つかの実施形態では、制御点選択用階調値Pixel_INが制御点CP((k+1)×n)のX座標XCP((k+1)×n)に一致する場合に、セレクタ2625が制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)を選択してもよい。このような実施形態では、制御点選択用階調値Pixel_INが制御点CP0に一致するときに、セレクタ2625は、制御点CP0~CPnを選択する。
【0360】
輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’の決定(ステップS26)が、セレクタ2625が制御点CP0~CPnを選択した後で行われてもよい。例えば、輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のX座標XCP(k×n)’~XCP((k+1)×n)’は、乗算回路2629bにより、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のX座標XCP(k×n)~XCP((k+1)×n)と係数Aとの積として算出される。言い換えれば、乗算回路29bは、輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のX座標XCP(k×n)’~XCP((k+1)×n)’を下記式に従って算出する。
XCP(k×n)’ = A・XCP(k×n) (108)
XCP((k×n)+1)’ = A・XCP((k×n)+1)

XCP((k+1)×n)’ = A・XCP((k+1)×n).
【0361】
輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のY座標YCP(k×n)’~YCP((k+1)×n)’は、それぞれ、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)のY座標YCP(k×n)~YCP((k+1)×n)と同一に決定される。言い換えれば、輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のY座標YCP(k×n)’~YCP((k+1)×n)’は、下記式で表される:
YCP(k×n)’ = YCP(k×n) (109)
YCP((k×n)+1)’ = YCP((k×n)+1)

YCP((k+1)×n)’ = YCP((k+1)×n)
【0362】
このようにして決定された輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’のX座標、Y座標が、ベジェ演算回路2626に供給され、ベジェ演算回路2626により、入力階調値X_INに対応する電圧データ値Y_OUTが算出される(ステップS27)。電圧データ値Y_OUTは、(n+1)個の輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’で規定されるn次ベジェ曲線上に位置し、且つ、X座標が入力階調値X_INと同一である点のY座標として算出される。ベジェ演算回路2626において行われる演算は、選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)の代わりに輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’が用いられることを除けば、他の実施形態と同様である。
【0363】
一以上の実施形態の表示装置2610Aは、輝度データDBRTに応じて選択制御点CP(k×n)~CP((k+1)×n)から輝度補正後制御点CP(k×n)’~CP((k+1)×n)’を算出するように構成されており、これにより、所望の画面の輝度を実現するような電圧データDVOUT(即ち、電圧データ値Y_OUT)を算出することができる。
【0364】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
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