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特許7576072液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置
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  • 特許-液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 3/10 20060101AFI20241023BHJP
   D06B 23/20 20060101ALI20241023BHJP
   D06P 7/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
D06B3/10 B
D06B23/20
D06P7/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022177839
(22)【出願日】2022-11-07
(65)【公開番号】P2023071619
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】2021 2 2754349.2
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522434510
【氏名又は名称】南通帝人有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100228658
【弁理士】
【氏名又は名称】永原 彩子
(72)【発明者】
【氏名】陳徳余
(72)【発明者】
【氏名】王自鋼
(72)【発明者】
【氏名】趙亮
(72)【発明者】
【氏名】繆正
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007647(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0019629(KR,A)
【文献】登録実用新案第3216311(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
D06P 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータ(1)と、ポンプ本体(2)と、仕切板(11)と、混合タンク(3)と、戻り管(4)と、貯液タンク(5)と、再利用配管(51)とを含み、
前記混合タンク(3)は、パイプラインを介して前記ポンプ本体(2)に連通し、
前記ポンプ本体(2)は、前記ヒータ(1)の入力端に接続され、
前記ヒータ(1)の出力端は、前記戻り管(4)に連通し、
前記戻り管(4)の両端は、それぞれ前記混合タンク(3)の両端に連通し、
前記仕切板(11)は、前記ヒータ(1)内に設けられ、前記ヒータ(1)内を2つの部分に区画し、
前記貯液タンク(5)は、再利用配管(51)の一端に連通し、
前記再利用配管(51)の他端は、それぞれ前記ポンプ本体(2)の入力端に接続されて連通することを特徴とする液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項2】
両端がそれぞれ戻り管(4)及びヒータ(1)に連通する供給管(12)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項3】
両端がそれぞれ貯液タンク(5)及び供給管(12)に連通する回収配管(52)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項4】
前記混合タンク(3)内に設けられているロール軸(31)を更に含み、前記混合タンク(3)は、前記ロール軸(31)に転動可能に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項5】
前記ロール軸(31)に摺動可能に接続されるとともに、戻り管(4)と混合タンク(3)の間で往復摺動するロープ(32)を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項6】
前記貯液タンク(5)に設けられている点検マンホール(7)と、一端が前記点検マンホール(7)に連通するオーバーフローパイプライン(10)と、を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項7】
前記貯液タンク(5)に設けられている液面計(6)及び温度計(8)を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【請求項8】
前記再利用配管(51)に設けられている流量計(9)及び自動弁(13)を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績技術分野に関し、具体的には、液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液流染色機は、主にノズルにより染液流を吐出し、布を染色槽内に輸送して含浸させてから、染色槽の後部にある仕上げ機構により布を整然に並べながら順に染色槽の前方へ前進させ、更にクロスホイールにより上へ持ち上げ、布の進行方向を変更し、再度ノズルに入らせ、周期的に往復循環して稼働する。装置が稼働する時、染液により駆動されるため、染色工程における水消費が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、液流染色工程後の洗浄水の水質をサンプリングして分析することにより、液流染色の各段階における染色排水の化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質量(SS)、pH、温度などの分析結果に基づき、回収再利用の要件を満たす洗剤水を回収再利用し、従来の液流染色装置よりも30~40%の水を効果的に節水し、染色工場の水、蒸気、汚水処理の費用を大幅に削減し、また、絶対的な汚染物質排出量が大幅に減少するため、水資源を保護し、環境を保護する目的を達成する液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は、液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置を提案し、当該装置は、ヒータと、ポンプ本体と、仕切板と、混合タンクと、戻り管と、貯液タンクと、再利用配管とを含み、前記混合タンクは、パイプラインを介して前記ポンプ本体に連通し、前記ポンプ本体は、前記ヒータの入力端に接続され、前記ヒータの出力端は、前記戻り管に連通し、前記戻り管の両端は、それぞれ前記混合タンクの両端に連通し、前記仕切板は、前記ヒータ内に設けられ、前記ヒータ内を2つの部分に区画し、前記貯液タンクは、前記混合タンクの片側に設けられ、前記貯液タンクは、再利用配管の一端に連通し、前記再利用配管の他端は、それぞれ前記ポンプ本体の入力端に連通する。
【0005】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、両端がそれぞれ戻り管及びヒータに連通する供給管を更に含む。
【0006】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、両端がそれぞれ貯液タンク及び供給管に連通する回収配管を更に含む。
【0007】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、ロール軸が設けられているか又はロール軸が設けられていない装置を更に含み、前記ロール軸は、前記混合タンク内に設けられ、前記混合タンクは、前記ロール軸に転動可能に接続され、又はロール軸を設けずに直接接続されて通過する。
【0008】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、前記ロール軸に摺動可能に接続されるロープを更に含む。
【0009】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、前記貯液タンクに設けられている点検マンホールと、一端が前記点検マンホールに連通するオーバーフローパイプラインと、を更に含む。
【0010】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、前記貯液タンクに設けられている液面計及び温度計を更に含む。
【0011】
好ましくは、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、前記再利用配管に設けられている流量計及び自動弁を更に含む。
【0012】
好ましくは、点検ホールを設けることで、作業者が定期的に清掃と洗浄を行いやすく、回収水の水質を確保できる。オーバーフロー口を設けることで、回収過程における貯水タンクの安全を確保することができ、過剰に回収した場合、使用上の安全を確保できる。液面計を設けることで、使用中に、作業者が貯水タンクの貯水量を観察しやすくなる。温度計を設けることで、回収水の温度を記録して観察するために用いることができ、回収水の水温が異常になることを防止できる。流量計を設けることで、新鮮な水と回収水の水量を記録するために用いることができ、回収水の割合を確認して記録しやすくなる。自動弁を設けることで、回収・利用過程における染色水の流れ方向を制御するために用いることができ、回収・利用しやすい。前記コントローラは、それぞれ前記液面計、温度計及び流量計に接続され、コントローラを設けることで、液流染色の染色工程に合わせて、水回収と貯水タンクの動作を制御することができる。
【0013】
本発明において、貯水タンク本体を増設することで、染色機の排水時には、染色機自体に従来付くポンプを、回収可能な排水を貯水タンクに回収して貯蔵するために用いる。そして、染色過程で、染色工程の設定に合わせて、貯水タンクにおける回収水を再利用し、節水・排出削減、コスト削減の目的を達成できる。
【0014】
液流染色工程後の洗浄水の水質をサンプリングして分析することにより、液流染色の各段階における染色排水のCOD、SS、pH、温度などの分析結果に基づき、回収再利用の要件を満たす洗剤水を回収再利用し、従来の液流染色装置よりも30~40%の水を効果的に節水し、染色工場の水、蒸気、汚水処理の費用を大幅に削減し、また、絶対的な汚染物質排出量が大幅に減少するため、水資源を保護し、環境を保護する目的を達成する。
【0015】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術を説明するために使用する必要のある図面について簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労働をすることなく、更にこれらの図面に示される構造に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的の実現、機能特徴及び利点について、実施例に合わせて、図面を参照しながら更に説明する。
【0018】
以下、本発明の実施例における図面に合わせて、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的労働をすることなく得られた他の実施例は、全て本発明の請求範囲に属する。
【0019】
本発明の実施例において、上、下、左、右、前、後などの方向性指示に及んでいる場合、この方向性指示は、図示される所定の姿勢での各部材の間の相対的位置関係や動き状況などを解釈するためにのみ用いられ、この所定の姿勢が変化した場合、この方向性指示もそれに応じて変化することを説明しておく。
【0020】
また、本発明の実施例において、「第1」、「第2」などの記載に及んでいる場合、これらの「第1」、「第2」などの記載は、説明するためのものに過ぎず、その相対的重要性を指示又は示唆するか、又は指示される技術的特徴の数を暗示すると理解してはいけない。それにより、「第1」、「第2」で限定されている特徴については、少なくとも1つの当該特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。また、各実施例の間の技術案は、当業者が実現できる前提で、互いに組み合わせることができ、技術案の組み合わせに相互矛盾が発生するか又はそれが実現できない場合、このような技術案の組み合わせが存在しないと理解すべきであり、本発明で請求される保護範囲内に含まれるものでもない。
【0021】
以下、図1及び関連する実施例に合わせて本発明の技術案を更に説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明は、液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置を提案し、当該装置は、ヒータ1と、ポンプ本体2と、仕切板11と、混合タンク3と、戻り管4と、貯液タンク5と、再利用配管51とを含み、前記混合タンク3は、パイプラインを介して前記ポンプ本体2に連通し、前記ポンプ本体2は、前記ヒータ1の入力端に接続され、前記ヒータ1の出力端は、前記戻り管4に連通し、前記戻り管4の両端は、それぞれ前記混合タンク3の両端に連通し、前記仕切板11は、前記ヒータ1内に設けられ、前記ヒータ1内を2つの部分に区画し、前記貯液タンク5は、前記混合タンク3の片側に設けられ、前記貯液タンク5は、再利用配管51の一端に連通し、前記再利用配管51の他端は、前記ポンプ本体2の入力端に連通する。
【0023】
本発明において、貯水タンク本体を増設することで、染色機の排水時には、染色機自体に従来付いていたポンプを、回収可能な排水を貯水タンクに回収して貯蔵するために用いる。そして、染色過程で、染色工程の設定に合わせて、貯水タンクにおける回収水を再利用し、節水、排出量削減、コスト削減の目的を達成できる。染色工程における水質を分析したところ、液流染色後の浄水をリサイクリングする省エネルギー・排出削減装置(本装置)を導入した後、従来の液流染色装置よりも30~40%の水を効果的に節水し、染色工場の水、蒸気、汚水処理の費用を大幅に削減できる。
【0024】
図1に示すように、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、両端がそれぞれ戻り管4及びヒータ1に連通する供給管12を更に含んでもよい。両端がそれぞれ貯液タンク5及び供給管12に連通する回収配管52を更に含んでもよい。前記混合タンク3内に設けられているロール軸31を更に含むか又は含まず、前記混合タンク3は、前記ロール軸31に回動可能に接続されていてもよい。前記装置は、前記ロール軸31に摺動可能に接続されるロープ32を更に含んでもよい。
【0025】
図1に示すように、前記液流染色工程後の浄水をリサイクルする省エネルギー・排出削減装置は、前記貯液タンク5に設けられている点検マンホール7と、一端が前記点検マンホール7に連通するオーバーフローパイプライン10と、を更に含んでもよい。前記貯液タンク5に設けられている液面計6及び温度計8を更に含んでもよい。前記再利用配管51に設けられている流量計9及び自動弁13を更に含んでもよい。
【0026】
点検ホールを設けることで、作業者が定期的に清掃と洗浄を行いやすく、回収水の水質を確保できる。オーバーフロー口を設けることで、回収過程における貯水タンクの安全を確保することができ、過剰に回収した場合、使用上の安全を確保できる。液面計を設けることで、使用中に、作業者が貯水タンクの貯水量を観察しやすくなる。温度計を設けることで、回収水の温度を記録して観察するために用いることができ、回収水の水温が異常になることを防止できる。流量計を設けることで、新鮮な水と回収水の水量を記録するために用いることができ、回収水の割合を確認して記録しやすくなる。自動弁を設けることで、回収・利用過程における染色水の流れ方向を制御するために用いることができ、回収・利用しやすい。前記コントローラは、それぞれ前記液面計6、温度計8及び流量計9に接続され、コントローラを設けることで、液流染色の染色工程に合わせて、水回収と貯水タンクの動作を制御することができる。
【0027】
本発明において、貯水タンク本体を増設することで、染色機の排水時には、染色機自体に従来付くポンプを、回収可能な排水を貯水タンクに回収して貯蔵するために用いる。そして、染色過程で、染色工程の設定に合わせて、貯水タンクにおける回収水を再利用し、節水・排出削減、コスト削減の目的を達成できる。
【0028】
染色工程における水質を分析したところ、本装置を導入した後、従来の液流染色装置よりも30~40%の水を効果的に節水し、染色工場の水、蒸気、汚水処理の費用を大幅に削減する。
【0029】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、これによって本発明の請求範囲を制限するわけではなく、本発明の構想で、本発明の明細書及び図面の内容を利用してなされた同等の構造変換、又は他の関連する技術分野への直接/間接適用は、全て本発明の請求範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 ヒータ
2 ポンプ本体
11 仕切板
12 供給管
3 混合タンク
31 ロール軸
32 ロープ
4 戻り管
5 貯液タンク
51 再利用配管
52 回収配管
6 液面計
7 点検マンホール
8 温度計
9 流量計
10 オーバーフローパイプライン
13 自動弁
図1