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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】検出装置及び輸液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20241023BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20241023BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20241023BHJP
   A61M 5/36 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/142 502
A61M5/172
A61M5/36 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022505908
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2021007200
(87)【国際公開番号】W WO2021182123
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2020042271
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝平
(72)【発明者】
【氏名】萩 浩司
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163959(JP,A)
【文献】特表2013-502979(JP,A)
【文献】国際公開第2017/111077(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0034994(KR,A)
【文献】特開2018-033957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0292866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
A61M 5/172
A61M 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液チューブに向けて赤外線を照射する照射部と、
前記照射部により赤外線が照射されている前記輸液チューブを撮像した撮像画像を生成可能な撮像部と、
前記輸液チューブを撮像した撮像画像における各画素の光強度を計測し、前記輸液チューブを撮像した撮像画像上の光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する制御部と、を備える、検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記輸液チューブを撮像した撮像画像上の光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの外径を計測し、前記輸液チューブの外径に基づいて、前記輸液チューブの閉塞を検出する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記輸液チューブを撮像した撮像画像上の光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの側壁を含む領域を特定し、前記輸液チューブの側壁を含む領域の幅に基づいて、前記輸液チューブ内の気泡を検出する、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記輸液チューブを撮像した撮像画像上の光強度分布において、所定の閾値以上の光強度値を有する高光強度領域をさらに特定して、前記輸液チューブの側壁を含む領域とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記輸液チューブの外径において、初期値からの変動量が所定閾値の範囲内にある場合に、前記輸液チューブは閉塞していないと判定する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記輸液チューブの側壁を含む領域の幅において、初期値からの変位が所定の範囲内にある場合に、前記輸液チューブ内に気泡が存在していないと判定する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項7】
前記照射部は、前記輸液チューブの径方向において互いに対向する方向から前記輸液チューブに向けて赤外線を照射する第1光源及び第2光源を含み、
前記制御部は、前記第1光源及び第2光源の両方から赤外線が照射された状態で前記輸液チューブを撮像した撮像画像に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する、請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記照射部は、前記輸液チューブに向けて互いに異なる方向から赤外線を照射する複数の光源を含み、
前記制御部は、異なる光源から赤外線が照射された状態で前記輸液チューブを撮像した複数の撮像画像に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する、請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記輸液チューブの延在方向に離間する2箇所で前記輸液チューブの径方向両側から前記輸液チューブに接触する接触部を更に備え、
前記制御部は、前記撮像画像に写された前記輸液チューブの延在方向における前記2箇所の間における光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する、請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置を備える、輸液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置及び輸液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸液ポンプにより患者に薬液を投与する際に輸液チューブの異常を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ホール素子を用いて輸液チューブの閉塞を検出する輸液ポンプが開示されている。特許文献2には、超音波センサを用いて輸液チューブ内の気泡を検出する輸液ポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5837318号公報
【文献】特開2011-206210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、輸液ポンプは、例えば、患者により携帯可能であると共に患者自らで投与調整可能なPCA(Patient Controlled Analgesia)ポンプなど、更なる小型化又は軽量化が求められている。そのために、特許文献1及び2に記載されているような輸液チューブの異常を検出する技術においても、依然として向上の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、輸液チューブの異常を検出する技術の有用性を向上させる、検出装置及び輸液ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る検出装置は、輸液チューブに向けて赤外線を照射する照射部と、前記照射部により赤外線が照射されている前記輸液チューブを撮像した撮像画像を生成可能な撮像部と、前記撮像画像における光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る検出装置では、前記制御部は、前記撮像画像に写された輸液チューブの外径に基づいて、前記輸液チューブの閉塞を検出する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る検出装置では、前記制御部は、前記撮像画像に写された輸液チューブの側壁を含む領域の幅に基づいて、前記輸液チューブ内の気泡を検出する。
【0009】
本開示の一実施形態に係る検出装置では、前記照射部は、前記輸液チューブの径方向において互いに対向する方向から前記輸液チューブに向けて赤外線を照射する第1光源及び第2光源を含み、前記制御部は、前記第1光源及び第2光源の両方から赤外線が照射された状態で前記輸液チューブを撮像した撮像画像に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る検出装置では、前記照射部は、前記輸液チューブに向けて互いに異なる方向から赤外線を照射する複数の光源を含み、前記制御部は、異なる光源から赤外線が照射された状態で前記輸液チューブを撮像した複数の撮像画像に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する。
【0011】
本開示の一実施形態に係る検出装置は、前記輸液チューブの延在方向に離間する2箇所で前記輸液チューブの径方向両側から前記輸液チューブに接触する接触部を更に備え、前記制御部は、前記撮像画像に写された前記輸液チューブの延在方向における前記2箇所の間における光強度分布に基づいて、前記輸液チューブの閉塞及び前記輸液チューブ内の気泡を検出する。
【0012】
本開示の一実施形態に係る輸液ポンプは、上述した検出装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る検出装置及び輸液ポンプによれば、輸液チューブの異常を検出する技術の有用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】輸液チューブの径方向外側から輸液チューブに向けて照射された赤外線の進路を示す、模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係る検出装置によって撮像された輸液チューブの撮像画像の一例である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る検出装置の概略構成を示す、概略図である。
図4図1に示す検出装置の第1筐体の斜視図である。
図5図1に示す検出装置による閉塞検出の動作を示すフローチャートである。
図6図1に示す検出装置による気泡検出の動作を示すフローチャートである。
図7】本開示の第2の実施形態に係る検出装置の概略構成を示す、概略図である。
図8】本開示の第3の実施形態に係る検出装置の概略構成を示す、概略図である。
図9】本開示の第4の実施形態に係る検出装置の概略構成を示す、概略図である。
図10】本開示の一実施形態に係る輸液ポンプの概略構成を示す、正面図である。
図11図10に示す輸液カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(検出装置)
以下、本開示の実施形態に係る検出装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0017】
はじめに、図1及び図2を参照して、本開示に係る検出装置による、輸液チューブの異常検出の動作の概要を説明する。
【0018】
本開示に係る検出装置は、詳細は後述するが、検出装置に取り付けられた輸液チューブに対して赤外線を照射し、輸液チューブで反射された赤外線を受光して、輸液チューブを撮像した撮像画像を生成する。検出装置は、生成された撮像画像に基づいて、輸液チューブの閉塞及び輸液チューブ内の気泡を検出する。
【0019】
図1は、輸液チューブの幅方向外側から輸液チューブに向けて照射された赤外線の進路を示す、模式図である。図1において、実線又は破線の矢印は赤外線を示しており、矢印の太さは赤外線の強度を示している。更に、実線の矢印が、輸液チューブに向けて照射された赤外線の入射光及び透過光を示しており、破線の矢印が、輸液チューブで反射された赤外線を示している。図1に示されるように、輸液チューブの幅方向外側から輸液チューブに向けて照射された赤外線は、輸液チューブ外の空気、輸液チューブの側壁、輸液チューブ内の液体又は気泡、輸液チューブの側壁、そして、輸液チューブ外の空気という順に進む。その際に、赤外線の一部は、屈折率が異なる物質の境界を透過し、赤外線の他の一部は、屈折率が異なる物質の境界で反射される。一例として、輸液チューブの側壁、輸液チューブ内の液体、及び気泡が、それぞれ塩化ビニル、水、及び空気であるものとする。その場合、輸液チューブの側壁、輸液チューブ内の液体、及び気泡の屈折率は、例えば、それぞれ1.54、1.33、及び1.0である。輸液チューブの側壁の屈折率が他の物質の屈折率より大きいことで、赤外線は、輸液チューブの側壁と他の物質との境界においてより多く反射される。
【0020】
図2は、検出装置によって撮像された輸液チューブの撮像画像の一例である。図2に示される撮像画像は、図面の上下方向に延在する輸液チューブに対して、図面の左右方向の左側から赤外線が照射された状態で撮像されたものである。本実施形態において、検出装置によって撮像された撮像画像は、受光した赤外線の強度が高い部分は明るく、反対に受光した赤外線の強度が低い部分は暗くなる。このため、撮像画像において、撮像された輸液チューブの延在方向に沿って、輸液チューブの両側壁を含む領域が明るく表示されている。
【0021】
検出装置は、例えば、エッジ検出処理等の画像処理により、撮像画像に含まれる各画素の光強度値を計測して、撮像画像における光強度分布に基づいて、所定の閾値以上の光強度値を有する高光強度領域Rを、撮像画像に写された輸液チューブの両側壁を含む領域として特定することができる。
【0022】
検出装置は、撮像画像における光強度分布に基づいて、輸液チューブの閉塞の有無を判定する。具体的には、輸液チューブに閉塞が生じると、輸液チューブ内を流れる液体の量が変化し、輸液チューブの太さが変化する。例えば、輸液チューブの撮像画像に写された部分よりも下流側で閉塞が生じると、当該部分の内圧が上昇し、撮像画像に写された輸液チューブは太くなる。一方で、輸液チューブの撮像画像に写された部分よりも上流側で閉塞が生じると、当該部分内を流れる液体の量が減少し、当該部分の内圧が低下することで、撮像画像に写された輸液チューブは細くなる。
【0023】
そのため、検出装置は、撮像画像に写された輸液チューブの外径Dに基づいて、輸液チューブの閉塞の有無を判定することができる。
【0024】
検出装置は、更に、撮像画像における光強度分布に基づいて、輸液チューブ内の気泡の有無を判定することができる。図2に示される撮像画像は、破線よりも上側には、輸液チューブの内部に気泡が存在しておらず、破線よりも下側には、輸液チューブの内部に気泡が存在している状態で撮像されたものである。輸液チューブにおいて、内部に気泡が存在する部分と、内部に気泡が存在しない部分とでは、水と空気との屈折率の違いにより、撮像画像における光強度分布が異なっている。具体的には、図1に示されるように、内部に気泡が存在する場合には、内部に気泡が存在しない場合に比べて、輸液チューブの側壁から輸液チューブの内部に赤外線が入射する際に、反射する赤外線の強度が増す。そのため、図2に示されるように、撮像画像において、内部に気泡が存在する部分では、輸液チューブの、赤外線の光源側の側壁を含む領域R1がより明るく、その幅W1がより太くなる。さらに、内部に気泡が存在する部分では、輸液チューブの側壁から輸液チューブの内部に赤外線が入射する際に、反射する赤外線の強度が増す一方で、透過する赤外線の強度が減る。このように、撮像画像において、内部に気泡が存在する部分では、輸液チューブの、光源とは反対側の側壁を含む領域R2がより暗く、その幅W2がより細くなる。
【0025】
そのため、検出装置は、撮像画像に写された輸液チューブの側壁を含む領域R1及びR2の少なくとも一方の幅W(W1、W2)に基づいて、輸液チューブ内の気泡の有無を判定することができる。
【0026】
本実施形態では、検出装置によって撮像された撮像画像は、受光した赤外線の強度が高い領域が明るく、受光した赤外線の強度が低い領域が暗くなるものとして説明する。そのため、検出装置は、撮像画像において、所定の閾値以上の光強度値を有する高光強度領域を、撮像画像に写された輸液チューブの両側壁を含む領域として特定する。しかしながら、撮像画像において、受光した赤外線の強度が高い領域が暗く、受光した赤外線の強度が低い領域が明るく表示されていてもよい。かかる場合、検出装置は、撮像画像において、所定の閾値以下の光強度値を有する低光強度領域を、撮像画像に写された輸液チューブの両側壁を含む領域として特定してもよい。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、本開示に係る検出装置の第1の実施形態である、検出装置1Aの構成について、詳細に説明する。図3は、本開示の第1の実施形態に係る検出装置1Aの概略構成を示す、概略図である。図4は、検出装置1Aの第1筐体11の斜視図である。図3において、検出装置1Aに取り付けられる輸液チューブ200は、二点鎖線で示されている。検出装置1Aは、受け板2、接触部3、照射部4、導光路5、撮像部6、出力部7、及び制御部8を備えている。本実施形態では、図3に示されるように、検出装置1Aは、輸液チューブ200が取り付けられる第1筐体11と、第1筐体11と輸液チューブ200を挟んで対向する第2筐体12とで構成されている。検出装置1Aでは、受け板2、接触部3、及び、導光路5が第1筐体11に設けられ、照射部4、撮像部6、出力部7、及び制御部8が第2筐体12に設けられている。
【0028】
受け板2は、板状部材により構成されている。受け板2の表面は、輸液チューブ200が検出装置1Aに取り付けられる際に、輸液チューブ200と当接する。本開示では、図3に示されるように、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200が延在する方向を、延在方向という。受け板2の表面において延在方向と直交する方向を、幅方向という。延在方向及び幅方向と直交する方向を、高さ方向という。更に、輸液チューブ200において、延在方向と直交する方向を径方向という。輸液チューブ200の径方向には、輸液チューブ200の幅方向及び高さ方向が含まれる。
【0029】
接触部3は、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200の延在方向に離間する2箇所で輸液チューブ200の径方向両側から輸液チューブ200に接触するように構成されている。図4に示されるように、接触部3は、第1接触部3A及び第2接触部3Bを含む。第1接触部3A及び第2接触部3Bは、受け板2の表面の、輸液チューブ200の延在方向に離間した位置に、受け板2から高さ方向に突出している。第1接触部3A及び第2接触部3Bの各々は、輸液チューブ200の幅方向両側から輸液チューブ200に接触するように対向する2つの突起で構成されている。これによって、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200は、第1接触部3A及び第2接触部3Bの各々と接触する2箇所の間において、内部を流れる輸液の量に応じて側壁の形状が変化しやすくなる。このため、検出装置1Aは、輸液チューブ200の第1接触部3A及び第2接触部3Bの各々と接触する2箇所の間を対象に異常検出を行うことで、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。以降、輸液チューブ200の「第1接触部3A及び第2接触部3Bの各々と接触する2箇所の間」を、輸液チューブ200の「対象区間」ともいう。
【0030】
再び図3を参照して、照射部4は、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200に向けて赤外線を照射するように構成されている。より具体的には、照射部4は、輸液チューブ200の対象区間に向けて赤外線を照射するように構成されている。照射部4は、1つ以上の光源を含む。光源は、例えば、赤外線LED(Light Emitting Diode)である。本実施形態では、照射部4は、第1筐体11に設けられた導光路5の入射面51に赤外線を照射可能な第2筐体12の位置に設けられている。
【0031】
導光路5は、照射部4から照射された赤外線を、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200に導くように構成されている。導光路5は、例えば、アクリル製の導光部材である。本実施形態では、導光路5は、照射部4から照射された赤外線を入射させる入射面51と、入射面51と高さ方向において反対側に位置する反射面52を有している。反射面52は、高さ方向に対して所定の傾斜を持つ傾斜面である。本実施形態では、導光路5は、第1筐体11の、延在方向において第1接触部3A及び第2接触部3Bの間に挟まれ、高さ方向において照射部4と対向する位置に設けられている。これによって、図3において矢印で示されるように、照射部4から高さ方向に照射された赤外線は、導光路5の入射面51から入射し、反射面52において反射して幅方向に進み、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に照射される。本実施形態では、照射部4から照射された赤外線は、導光路5を経由して、輸液チューブ200の幅方向から、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200の対象区間に照射される。
【0032】
第1筐体11に導光路5が設けられることで、照射部4を、輸液チューブ200が取り付けられる第1筐体11とは別の第2筐体12に設けることができる。本実施形態では、照射部4に加え、撮像部6、出力部7、及び制御部8等の比較的高価な部品を第2筐体12に設けることによって、例えば、輸液チューブ200が破損した場合等に、輸液チューブ200内の液体に汚染され得る第1筐体11のみを交換して、第2筐体12を継続して利用することができる。
【0033】
撮像部6は、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200を撮像した撮像画像を生成するように構成されている。より具体的には、撮像部6は、輸液チューブ200の対象区間を撮像した撮像画像を生成する。撮像部6は、照射部4によって照射され、輸液チューブ200により反射した赤外線を受光する。これによって、撮像部6は、照射部4により赤外線が照射されている輸液チューブ200を撮像した撮像画像を生成することができる。撮像部6は、イメージセンサを含む。イメージセンサは、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであるが、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサであってもよい。本実施形態では、撮像部6は、第2筐体12の、高さ方向において、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200と対向する位置に設けられている。
【0034】
出力部7は、音、振動、光又は画像等を出力するように構成されている。出力部7は、例えばスピーカ、振動子、ランプ又はディスプレイ等の出力装置を含む。
【0035】
制御部8は、例えば、メモリ81とプロセッサ82とを含む。
【0036】
メモリ81は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。メモリ81は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。メモリ81は、検出装置1Aの動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、メモリ81は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、又は組み込みソフトウェア等を記憶する。
【0037】
プロセッサ82は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ82は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を含んでもよい。
【0038】
制御部8は、照射部4、撮像部6、及び出力部7のそれぞれと、有線又は無線により通信可能に接続されている。これによって、制御部8は、照射部4、撮像部6、及び出力部7等の各部を制御する。
【0039】
制御部8は、撮像画像における光強度分布に基づいて、輸液チューブ200の閉塞及び輸液チューブ200内の気泡を検出する。図5及び図6を参照して、制御部8の制御による、本実施形態に係る検出装置1Aの動作を説明する。図5は、検出装置1Aによる閉塞検出の動作を示すフローチャートである。図6は、検出装置1Aによる気泡検出の動作を示すフローチャートである。これらの動作は、検出装置1Aが実行する検出方法に相当する。本動作は、輸液チューブ200が検出装置1Aに取り付けられた状態で実行されるものとして説明する。
【0040】
(閉塞検出)
はじめに、図5を参照して、検出装置1Aによる閉塞検出の動作を説明する。
【0041】
ステップS101:検出装置1Aは、輸液チューブ200を撮像する。
【0042】
具体的には、制御部8は、照射部4に、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に赤外線を照射させる。制御部8は、輸液チューブ200に赤外線が照射された状態で、撮像部6に、輸液チューブ200を撮像し、撮像画像を生成させる。制御部8は、撮像部6によって生成された撮像画像を記憶してもよい。
【0043】
ステップS102:検出装置1Aは、光強度分布に基づいて、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の少なくとも1点における、撮像画像に写された輸液チューブ200の外径Dを計測する。
【0044】
具体的には、制御部8は、エッジ検出処理により、撮像画像における所定の閾値以上の光強度値を有する高光強度領域R(図2参照)を特定する。高光強度領域Rは、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向に沿って分布する、第1領域R1と第2領域R2とを含む。第1領域R1は、撮像画像に写された輸液チューブ200の2つの側壁のうち一方の側壁を含む領域である。第2領域R2は、撮像画像に写された輸液チューブ200の2つの側壁のうち第1領域R1とは異なる側壁を含む領域である。本実施形態では、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向のある1点における、第1領域R1と第2領域R2との最遠端間の距離を計測する。制御部8は、計測された第1領域R1と第2領域R2との最遠端間の距離を、輸液チューブ200の外径Dとして記憶する。しかしながら、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の複数点における、第1領域R1と第2領域R2との最遠端間の距離を計測してもよい。かかる場合、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の複数点の各々における輸液チューブ200の外径の平均値、最大値、又は最小値等を輸液チューブ200の外径Dとしてもよい。更に、制御部8は、ステップS102を最初に実行して計測した輸液チューブ200の外径Dを初期値Dとして記憶する。
【0045】
ステップS103:検出装置1Aは、計測された輸液チューブ200の外径Dに基づいて、輸液チューブ200が閉塞しているか否かを判定する。
【0046】
具体的には、制御部8は、計測された輸液チューブ200の外径Dとその初期値Dとが、以下の式(1)を満たしているか否かを判定する。
<D-D<D 式(1)
ここで、D及びDは、閉塞検出の閾値である。D及びDのそれぞれは、計測された輸液チューブ200の外径Dの、初期値Dからの変位の上限値及び下限値である。本実施形態では、Dは負の定数であり、Dは正の定数である。
【0047】
制御部8は、計測された輸液チューブ200の外径Dが式(1)を満たしている場合、即ち、初期値Dからの外径Dの変位が所定の範囲内にある場合、輸液チューブ200が閉塞していないと判定する。制御部8は、輸液チューブ200が閉塞していないと判定した場合(ステップS103-No)、ステップS101からの処理を継続する。
【0048】
制御部8は、計測された輸液チューブ200の外径Dが式(1)を満たしていない場合、即ち、初期値Dからの外径Dの変位が所定の範囲内にない場合、輸液チューブ200が閉塞していると判定する。制御部8は、輸液チューブ200が閉塞していると判定した場合(ステップS103-Yes)、ステップS104の処理を実行する。
【0049】
ステップS104:検出装置1Aは、輸液チューブ200の閉塞を検出したことを出力する。
【0050】
具体的には、制御部8は、出力部7に、輸液チューブ200の閉塞を検出したことを出力させて、本処理を終了する。例えば、制御部8は、出力部7に含まれるディスプレイに「閉塞検出」と表示させてもよい。
【0051】
制御部8は、更に、検出した輸液チューブ200閉塞の状態に応じて、出力部7に出力させる出力内容を変更してもよい。
【0052】
例えば、制御部8は、D≧D-Dである場合、撮像画像に写された輸液チューブ200の外径Dが、初期値Dに比べて所定量以上狭くなっていると判定する。これは、撮像画像に写された輸液チューブ200よりも上流側で閉塞が生じたことで、撮像画像に写された輸液チューブ200内を流れる液体の量が減少したためであると考えられる。かかる場合、制御部8は、出力部7に、撮像画像に写された輸液チューブ200よりも上流側で閉塞が生じていることを出力させてもよい。
【0053】
一方で、制御部8は、D≦D-Dである場合、撮像画像に写された輸液チューブ200の外径Dが、初期値Dに比べて所定量以上広くなっていると判定する。これは、撮像画像に写された輸液チューブ200よりも下流側で閉塞が生じたことで、撮像画像に写された輸液チューブ200内を流れる液体の量が増加したためであると考えられる。かかる場合、制御部8は、出力部7に、撮像画像に写された輸液チューブ200よりも下流側で閉塞が生じていることを出力させてもよい。
【0054】
(気泡検出)
次に、図6を参照して、検出装置1Aによる気泡検出の動作を説明する。本実施形態では、検出装置1Aは、撮像画像に写された輸液チューブ200の側壁を含む領域の幅W1及びW2の両方を計測して、気泡検出を行う例を示す。しかしながら、検出装置1Aは、幅W1又はW2の一方を計測して、気泡検出を行ってもよい。かかる場合、以降のステップの説明において、計測されなかった他方の幅W1又はW2に関する処理は行われないものとする。
【0055】
ステップS201:検出装置1Aは、ステップS101で上述したように、輸液チューブ200を撮像する。
【0056】
具体的には、制御部8は、照射部4に、検出装置1Aに取り付けられた輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に赤外線を照射させる。制御部8は、輸液チューブ200に赤外線が照射された状態で、撮像部6に、輸液チューブ200を撮像し、撮像画像を生成させる。制御部8は、撮像部6によって生成された撮像画像を記憶してもよい。
【0057】
ステップS202:検出装置1Aは、光強度分布に基づいて、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の少なくとも1点における、撮像画像に写された輸液チューブ200の側壁を含む領域の幅Wを計測する。
【0058】
具体的には、制御部8は、エッジ検出処理により、撮像画像における所定の閾値以上の光強度値を有する高光強度領域Rを特定する。上述のとおり、高光強度領域Rには、輸液チューブ200の2つの側壁の各々を含む、第1領域R1と第2領域R2とが含まれる。本実施形態では、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向のある1点における、第1領域R1の幅W1及び第2領域R2の幅W2を計測する。しかしながら、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の複数点における、第1領域R1及び第2領域R2の幅を計測してもよい。かかる場合、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向の複数点の各々における第1領域R1及び第2領域R2の幅の平均値、最大値、又は最小値等を第1領域R1の幅W1及び第2領域R2の幅W2としてもよい。更に、制御部8は、ステップS202を最初に実行して計測した第1領域R1の幅W1及び第2領域R2の幅W2を初期値W1及びW2として記憶する。
【0059】
ステップS203:検出装置1Aは、計測された輸液チューブ200の側壁を含む領域の幅Wに基づいて、輸液チューブ200内に気泡が発生しているか否かを判定する。
【0060】
具体的には、制御部8は、計測された第1領域R1の幅W1と、その初期値W1とが、以下の式(2)を満たしているか否かを判定する。
W1-W1<W1 式(2)
ここで、W1は、気泡検出の閾値である。W1は、計測された輸液チューブ200の第1領域R1の幅Wの、初期値W1からの変位の上限値である。本実施形態では、W1は正の定数である。
【0061】
制御部8は、更に、計測された第2領域R2の幅W2と、その初期値W2とが、以下の式(3)を満たしているか否かを判定する。
W2-W2>W2 式(3)
ここで、W2は、気泡検出の閾値である。W2は、計測された輸液チューブ200の第2領域R2の幅Wの、初期値W2からの変位の下限値である。W2は負の定数である。
【0062】
制御部8は、計測された第1領域R1の幅W1が式(2)を満たし、且つ、第2領域R2の幅W2が式(3)を満たしている場合、即ち、初期値W1及びW2からの幅W1及びW2の変位が所定の範囲内にある場合、輸液チューブ200内に気泡が存在していないと判定する。制御部8は、輸液チューブ200内に気泡が存在していないと判定した場合(ステップS203-No)、ステップS201からの処理を継続する。
【0063】
制御部8は、計測された第1領域R1の幅W1が式(2)を満たしていない、或いは、第2領域R2の幅W2が式(3)を満たしていない場合、即ち、初期値W1及びW2からの幅W1及びW2の変位の少なくとも一方が所定の範囲内にない場合、輸液チューブ200内に気泡が存在していると判定する。制御部8は、輸液チューブ200内に気泡が存在していると判定した場合(ステップS203-Yes)、ステップS204の処理を実行する。
【0064】
ステップS204:検出装置1Aは、輸液チューブ200内の気泡を検出したことを出力する。
【0065】
具体的には、制御部8は、出力部7に、輸液チューブ200内の気泡を検出したことを出力させて、本処理を終了する。例えば、制御部8は、出力部7に含まれるディスプレイに「気泡検出」と表示させてもよい。
【0066】
本開示では、輸液チューブ200の閉塞を検出する処理と、輸液チューブ200内の気泡を検出する処理とを個別に説明したが、これらの処理は並行して実施されてもよい。具体的には、制御部8が、撮像部6に撮像された1つの撮像画像を対象に、輸液チューブ200の閉塞を検出する処理と、輸液チューブ200内の気泡を検出する処理を実施する。制御部8は、輸液チューブ200の閉塞が検出されず、且つ、輸液チューブ200内の気泡が検出されない場合、これらの処理を継続する。制御部8は、輸液チューブ200の閉塞が検出された場合、或いは輸液チューブ200内の気泡が検出された場合、出力部7に、その旨を出力させて、本処理を終了してもよい。
【0067】
(検出装置の第2の実施形態)
図7を参照して、本開示に係る検出装置の第2の実施形態である、検出装置1Bについて説明する。図7は、第2の実施形態に係る検出装置1Bの概略構成を示す概略図である。
【0068】
第2の実施形態では、検出装置1Bの照射部4が2つの光源(例えば第1光源4A及び第2光源4B)を含んでいる点で、第1の実施形態で上述した検出装置1Aと異なっている。更に、検出装置1Bは、2つの導光路5を備えている点で、検出装置1Aと異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0069】
図7に示されるように、検出装置1Bは、受け板2、接触部3、照射部4、導光路5、撮像部6、出力部7、及び制御部8を備えている。
【0070】
検出装置1Bにおいて、照射部4は、検出装置1Bに取り付けられた輸液チューブ200の径方向において互いに対向する方向から輸液チューブ200に向けて赤外線を照射する第1光源4A及び第2光源4Bを含んでいる。本実施形態では、照射部4の第1光源4A及び第2光源4Bの各々は、第1筐体11に設けられた2つの導光路5A及び5Bの各々の入射面51に赤外線を照射可能な第2筐体12の位置に設けられている。
【0071】
2つの導光路5A及び5Bは、第1の実施形態で上述した検出装置1Aの導光路5と同一の形状であってもよい。検出装置1Bにおいて、導光路5Aは、第1筐体11の、検出装置1Aで上述した導光路5と同一の位置に設けられている。導光路5Bは、第1筐体11の、検出装置1Bに取り付けられた輸液チューブ200を挟んで導光路5Aと対向する位置に設けられている。これによって、図7において矢印で示されるように、照射部4の第1光源4Aから高さ方向に照射された赤外線は、導光路5Aを経由して、輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に照射される。更に、照射部4の第2光源4Bから高さ方向に照射された赤外線は、導光路5Bを経由して、輸液チューブ200の幅方向において第1光源4Aから照射された赤外線と対向する方向から輸液チューブ200に照射される。
【0072】
検出装置1Bの制御部8は、照射部4に、第1光源4A及び第2光源4Bの両方から赤外線を照射させる。検出装置1Bの制御部8は、第1光源4A及び第2光源4Bの両方から赤外線が照射された状態で、撮像部6に、輸液チューブ200を撮像した撮像画像を撮像させる。検出装置1Bの制御部8は、撮像画像に基づいて、検出装置1Aで上述した方法と同様方法で、輸液チューブ200の閉塞を検出する処理及び輸液チューブ200内の気泡を検出する処理を実施する。検出装置1Bの制御部8は、撮像画像に基づいて、輸液チューブ200の閉塞又は輸液チューブ200内の気泡が検出された場合に、出力部7に、その旨を出力させる。
【0073】
かかる構成を有することで、検出装置1Bは、対向する2つの方向から輸液チューブ200に赤外線を照射して、1つの方向から輸液チューブ200に赤外線を照射する場合に比べて、輸液チューブ200をより鮮明に撮像することができる。これによって、検出装置1Bは、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。
【0074】
(検出装置の第3の実施形態)
図8を参照して、本開示に係る検出装置の第3の実施形態である、検出装置1Cについて説明する。図8は、第3の実施形態に係る検出装置1Cの概略構成を示す概略図である。
【0075】
第3の実施形態では、検出装置1Cの照射部4が複数の光源(例えば2つの光源4C及び4D)を備えている点で、第1の実施形態で上述した検出装置1Aと異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0076】
図8に示されるように、検出装置1Cは、受け板2、接触部3、照射部4、導光路5、撮像部6、出力部7、及び制御部8を備えている。
【0077】
検出装置1Cにおいて、照射部4は、輸液チューブ200に向けて互いに異なる方向から赤外線を照射する複数の光源4C及び4Dを含んでいる。本実施形態では、複数の光源の数は2つであるものとして説明するが、3つ以上であってもよい。本実施形態では、照射部4の光源4Cは、第2筐体12の、検出装置1Aで上述した照射部4の光源と同一の位置に設けられている。すなわち、光源4Cは、第1筐体11に設けられた導光路5を介して輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に赤外線を照射可能な第2筐体12の位置に設けられている。一方で、光源4Dは、第2筐体12の、検出装置1Cに取り付けられた輸液チューブ200に対して直接赤外線を照射可能な位置に設けられている。すなわち、光源4Dは、光源4Cとは異なる方向から輸液チューブ200に赤外線を照射可能な第2筐体12の位置に設けられている。これによって、図8において矢印で示されるように、検出装置1Cは、照射部4の光源4Cにより、輸液チューブ200の幅方向から輸液チューブ200に赤外線を照射することができる。また、検出装置1Cは、照射部4の光源4Dにより、光源4Cとは異なる方向から輸液チューブ200に赤外線を照射することができる。
【0078】
検出装置1Cの制御部8は、照射部4に、複数の光源4Cと4Dとから交互に赤外線を照射させる。検出装置1Cの制御部8は、光源4Cから赤外線が照射された状態で、撮像部6に、輸液チューブ200を撮像した第1撮像画像を撮像させる。検出装置1Cの制御部8は、例えば、光源4Dから赤外線が照射された状態で、撮像部6に、輸液チューブ200を撮像した第2撮像画像を撮像させる。検出装置1Cの制御部8は、第1撮像画像と第2撮像画像の各々に基づいて、検出装置1Aで上述した方法と同様方法で、輸液チューブ200の閉塞を検出する処理及び輸液チューブ200内の気泡を検出する処理を実施する。検出装置1Cの制御部8は、第1撮像画像及び第2撮像画の少なくとも1つに基づいて、輸液チューブ200の閉塞又は輸液チューブ200内の気泡が検出された場合に、出力部7に、その旨を出力させる。
【0079】
かかる構成を有することで、検出装置1Cは、様々な方向から輸液チューブ200に赤外線を照射して、輸液チューブ200を撮像することができる。これによって、検出装置1Cは、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。
【0080】
(検出装置の第4の実施形態)
図9を参照して、本開示に係る検出装置の第4の実施形態である、検出装置1Dについて説明する。図9は、第4の実施形態に係る検出装置1Dの概略構成を示す概略図である。
【0081】
第4の実施形態では、検出装置1Dの照射部4から照射された赤外線が、輸液チューブ200の高さ方向下部から撮像部6に向けて、輸液チューブ200に照射される点で、第1の実施形態で上述した検出装置1Aと異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0082】
図9に示されるように、検出装置1Dは、受け板2、接触部3、照射部4、導光路5、撮像部6、出力部7、及び制御部8を備えている。
【0083】
検出装置1Dにおいて、導光路5は、照射部4から照射された赤外線を入射させる入射面51と、入射面51と高さ方向において反対側に位置する第1反射面52Aと、第1反射面52Aに対して幅方向に設けられると共に輸液チューブ200の高さ方向下部に位置するように設けられた第2反射面52Bを有している。第1反射面52Aおよび第2反射面52Bは、いずれも高さ方向に対して所定の傾斜を持つ傾斜面である。これによって、図9において実線の矢印で示されるように、照射部4から高さ方向に照射された赤外線は、導光路5の入射面51から入射し、第1反射面52Aにおいて反射して幅方向に進み、第2反射面52Bにおいて反射して高さ方向に進み、検出装置1Dに取り付けられた輸液チューブ200の高さ方向下部から撮像部6に向けて、輸液チューブ200に照射される。これにより、撮像部6は、輸液チューブ200を介して撮像部6と対向する側から照射された赤外線の透過光(破線の矢印)を撮像可能である。
【0084】
制御部8は、撮像部6によって生成された撮像画像における輸液チューブ200の外径Dの変化を評価して、輸液チューブ200が閉塞しているか否かを判定することができる。更に、制御部8は、撮像部6によって生成された撮像画像における透過光の光強度分布の変化を評価して、輸液チューブ200内に気泡が発生しているか否かを判定することができる。具体的には、制御部8は、輸液チューブ200内が液体で満たされている場合と、気泡が含まれる場合との、撮像部6に到達する透過光の強度の違いから、輸液チューブ200内に気泡が発生しているか否かを判定することができる。したがって、輸液チューブ200の断面の一部に気泡が発生している場合であっても、輸液チューブ200内を通過して撮像部6に到達する透過光により気泡をより精度良く検出することが可能である。
【0085】
(輸液ポンプ)
図10及び図11を参照して、本開示の一実施形態に係る輸液ポンプ100の構成について、詳細に説明する。以降、上述した検出装置1A、1B、1C、及び1Dを特に区別しない場合、単に、検出装置1と総称する。図10は、本開示の一実施形態に係る輸液ポンプ100の概略構成を示す、正面図である。輸液ポンプ100は、本開示に係る検出装置1を備える。図10に示されるように、輸液ポンプ100は、ポンプ本体110と、ポンプ本体110に着脱可能な輸液カートリッジ120と、を備えていてもよい。これによって、輸液ポンプ100では、使い捨ての輸液カートリッジ120を取り替えることで、ポンプ本体110を再使用することができる。輸液ポンプ100は、例えば、PCAポンプとして、使用することができるが、使用用途については特に限定されない。
【0086】
図10に示されるように、ポンプ本体110の正面には、各種情報が表示される表示部111と、操作スイッチ類が配列された操作部112と、が配置されている。表示部111には、例えば、送液速度、積算投与量などが表示される。更に、表示部111には、検出装置1によって輸液チューブ200の閉塞又は輸液チューブ200内の気泡が検出されたことを示す情報が表示される。表示部111は、送液速度等を設定するタッチパネル付きの液晶画面であってもよい。操作部112には、1以上の操作スイッチが設けられている。操作部112に設けられている操作スイッチは、例えば、押圧されている間、設定された送液速度(mL/h)よりも高い送液速度での送液が可能となる早送りスイッチ、押圧されることで送液が開始される開始スイッチ、押圧されることで送液が強制停止される停止スイッチ、及びポンプ本体110の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチである。
【0087】
図11は、輸液ポンプ100の輸液カートリッジ120の斜視図である。輸液カートリッジ120は、輸液が充填された輸液パックを内部に収容するケース122を備えている。
【0088】
ケース122の、ポンプ本体110に装着された際にポンプ本体110と対向する側には、輸液チューブ200と、輸液チューブ200を受けて、ポンプ本体110との間で輸液チューブ200を挟み込む、管受け部121と、ケース122の内部に収容された輸液パックと接続される、充填口123と、が形成されている。本実施形態に係る管受け部121は、輸液チューブ200を嵌め込む溝を含む。充填口123には、ケース122の内側から輸液パックが接続され、ケース122の外側から輸液チューブ200が接続される。これによって、ケース122に収容された輸液パック内の輸液が輸液チューブ200を介して外部に送液可能になる。
【0089】
再び図10を参照して、ポンプ本体110は、装着される輸液カートリッジ120の管受け部121との間で、輸液カートリッジ120の輸液チューブ200を挟み込み、輸液チューブ200内の輸液を輸液チューブ200の上流側から輸液チューブ200の下流側に送液する送液部113を備えている。送液部113は、複数のフィンガと、これらフィンガを駆動する駆動部と、を備えている。複数のフィンガは、輸液カートリッジ120の側面に位置する管受け部121と対向する、ポンプ本体110の側面に配置されている。複数のフィンガは、輸液チューブ200の延在方向に沿って配列されている。各フィンガは、輸液カートリッジ120の管受け部121との対向方向に往復移動するように、駆動部により駆動される。各フィンガが輸液カートリッジ120に近接するように移動することで、輸液チューブ200は、各フィンガと管受け部121との間に挟み込まれる。これにより、輸液チューブ200は圧閉される。駆動部は、輸液チューブ200の延在方向で、輸液チューブ200の上流側から輸液チューブ200の下流側に向かってフィンガを順次駆動する。これにより、輸液チューブ200は、輸液チューブ200の上流側から輸液チューブ200の下流側に向かって順次圧閉され、蠕動運動する。そのため、輸液ポンプ100は、輸液チューブ200内の輸液を輸液チューブ200の上流側から輸液チューブ200の下流側に向かって送液することができる。
【0090】
輸液カートリッジ120には、検出装置1の第1筐体11が設けられている。ポンプ本体110には、輸液カートリッジ120に設けられている第1筐体11と対向する位置に、検出装置1の第2筐体12が設けられている。本実施形態では、第2筐体12は、送液部113よりも、輸液チューブ200の下流側の位置に設けられているが、送液部113よりも輸液チューブ200の上流側に設けられていてもよい。
【0091】
ポンプ本体110及び輸液カートリッジ120は、本実施形態の構成に限定されない。ポンプ本体110及び輸液カートリッジ120は、例えば、上述した部位とは異なる部位を備えていてもよい。また、本実施形態では、ポンプ本体110の送液部113は、上述のとおり、複数のフィンガにより輸液チューブ200を押圧する構成であるが、輸液チューブ200内の輸液を送液可能な構成であれば、異なる構成であってもよい。
【0092】
以上述べたように、本開示に係る検出装置1は、輸液チューブ200に向けて赤外線を照射する照射部4と、照射部4により赤外線が照射されている輸液チューブ200を撮像した撮像画像を生成可能な撮像部6と、撮像画像における光強度分布に基づいて、輸液チューブ200の閉塞及び輸液チューブ200内の気泡を検出する制御部8と、を備える。かかる構成によれば、検出装置1は、輸液チューブ200の閉塞と、輸液チューブ200内の気泡とを単一の機構により検出することができる。したがって、検出装置1は、輸液チューブ200の異常を検出する技術の有用性を向上させることができる。
【0093】
一実施形態としての検出装置1では、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の外径に基づいて、輸液チューブ200の閉塞を検出することができる。かかる構成によれば、検出装置1は、赤外線を照射して撮像された輸液チューブ200の撮像画像に基づいて、輸液チューブ200の閉塞を容易に検出することができる。
【0094】
一実施形態としての検出装置1では、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の側壁を含む領域の幅に基づいて、輸液チューブ200内の気泡を検出することができる。かかる構成によれば、検出装置1は、赤外線を照射して撮像された輸液チューブ200の撮像画像に基づいて、輸液チューブ200内の気泡を容易に検出することができる。
【0095】
一実施形態としての検出装置1では、照射部4は、輸液チューブ200の径方向において互いに対向する方向から輸液チューブ200に向けて赤外線を照射する第1光源4A及び第2光源4Bを含み、制御部8は、第1光源4A及び第2光源4Bの両方から赤外線が照射された状態で輸液チューブ200を撮像した撮像画像に基づいて、輸液チューブ200の閉塞及び輸液チューブ200内の気泡を検出することができる。かかる構成によれば、検出装置1は、対向する2つの方向から輸液チューブ200に赤外線を照射して、1つの方向から輸液チューブ200に赤外線を照射する場合に比べて、輸液チューブ200をより鮮明に撮像することができる。これによって、検出装置1は、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。
【0096】
一実施形態としての検出装置1では、照射部4は、輸液チューブ200に向けて互いに異なる方向から赤外線を照射する複数の光源を含み、制御部8は、異なる光源から赤外線が照射された状態で輸液チューブ200を撮像した複数の撮像画像に基づいて、輸液チューブ200の閉塞及び輸液チューブ200内の気泡を検出することができる。かかる構成によれば、検出装置1は、様々な方向から輸液チューブ200に赤外線を照射して、輸液チューブ200を撮像することができる。これによって、検出装置1は、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。
【0097】
一実施形態としての検出装置1は、輸液チューブ200の延在方向に離間する2箇所で輸液チューブ200の径方向両側から輸液チューブ200に接触する接触部3を更に備え、制御部8は、撮像画像に写された輸液チューブ200の延在方向における2箇所の間における光強度分布に基づいて、輸液チューブ200の閉塞及び輸液チューブ200内の気泡を検出することができる。かかる構成によれば、検出装置1は、輸液チューブ200の延在方向における接触部3と接触する2箇所の間において、輸液チューブ200の形状を変化させやすくすることができる。しがたって、検出装置1は、異常検出をより精度良く行うことができる。
【0098】
本開示に係る輸液ポンプ100は、上述の検出装置1を備える。かかる構成によれば、輸液ポンプ100は、輸液チューブ200の閉塞と、輸液チューブ200内の気泡とを単一の機構により検出することができる。したがって、輸液ポンプ100は、輸液チューブ200の異常を検出する技術の有用性を向上させることができる。
【0099】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0100】
例えば、上述した実施形態において、検出装置1は、第1筐体11と第2筐体12とを備え、受け板2、接触部3、及び、導光路5が第1筐体11に設けられ、照射部4、撮像部6、出力部7、及び制御部8が第2筐体12に設けられているものとして、説明した。しかしながら、検出装置1は、1つの筐体に上述した構成要素の全てが設けられていてもよい。これによって、検出装置1をより簡易な製造方法によって製造することが可能となり、製造コストを抑制することができる。或いは、第1筐体11又は第2筐体12に設けられるものとして説明した構成要素の少なくとも1つが、他の筐体に設けられていてもよい。
【0101】
或いは、上述した実施形態において、検出装置1は、導光路5を備えるものとして説明した。しかしながら、照射部4が検出装置1に取り付けられた輸液チューブ200に赤外線を直接照射可能な位置に設置されている場合には、導光路5は省略されてもよい。これによって、検出装置1をより簡易な製造方法によって製造することが可能となり、製造コストを抑制することができる。
【0102】
或いは、上述した実施形態において、検出装置1は、受け板2、接触部3、照射部4、導光路5、撮像部6、出力部7、及び制御部8を備えるものとして説明した。しかしながら、これらの構成要素の少なくとも1つは、検出装置1が搭載される輸液ポンプ100によって提供されていてもよい。つまり、本開示に係る検出装置1が、輸液ポンプ100自体であってもよい。例えば、検出装置1の制御部8は、輸液ポンプ100が備える制御装置であってもよい。具体的には、実施形態に係る検出装置1の制御部8が実行する処理内容を記述したプログラムを、輸液ポンプ100の制御装置のメモリに記憶させ、輸液ポンプ100の制御装置のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させることができる。或いは、検出装置1の出力部7は、輸液ポンプ100が備える表示部111であってもよい。
【0103】
或いは、上述した実施形態において、閉塞検出の閾値D及びDB、並びに気泡検出の閾値W1及びW2は、定数であるものとして説明した。しかしながら、これらの値は、検出装置1が使用される環境の温度に応じて可変な変数であってもよい。かかる場合、検出装置1の制御部8は、環境の温度と、閉塞検出の閾値及び気泡検出の閾値との対応関係を記憶しておき、異常検出を行う際に上述した閾値を設定してもよい。これによって、検出装置1は、輸液チューブ200の膨張率等の、環境の温度に応じて変化する要因を考慮して、輸液チューブ200の異常検出をより精度良く行うことができる。
【符号の説明】
【0104】
1(1A、1B、1C、1D) 検出装置
11 第1筐体
12 第2筐体
2 受け板
3 接触部
3A 第1接触部
3B 第2接触部
4(4A、4B、4C、4D) 照射部(光源)
5(5A、5B) 導光路
51 入射面
52(52A、52B) 反射面
6 撮像部
7 出力部
8 制御部
81 メモリ
82 プロセッサ
100 輸液ポンプ
110 ポンプ本体
111 表示部
112 操作部
113 送液部
120 輸液カートリッジ
121 管受け部
122 ケース
123 充填口
200 輸液チューブ
R(R1、R2) 高光強度領域
D(D) 外径
、D 閉塞検出の閾値
W(W1、W2、W1、W2) 幅
W1、W2 気泡検出の閾値
図1
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