(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】吸引装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20241023BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241023BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022556809
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2020039099
(87)【国際公開番号】W WO2022079897
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110693092(CN,A)
【文献】国際公開第2019/185747(WO,A1)
【文献】特表2014-519850(JP,A)
【文献】特表2020-521438(JP,A)
【文献】特開2019-193648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングである第1部材と、前記第1部材に対して着脱可能に構成されたパネルである第2部材とを備える吸引装置であって、
前記第1部材に設けられた作用部と、
前記第2部材に設けられ、前記作用部による作用に応じて状態を変化する被作用部と、
前記第1部材に設けられ、変化した前記被作用部の状態を検出するセンサ部と、
前記検出された状態に基づき、前記第1部材に前記第2部材が取り付けられたことを判定する制御部と、
を含
み、前記第1部材が、前記第2部材を取り付ける表面に操作ボタンを備え、
前記操作ボタンが、前記第1部材に前記第2部材が取り付けられたときに、前記第2部材によって覆われる、吸引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸引装置において、
前記作用部は、第1磁場を生成するように永久磁石により構成され、
前記被作用部は、前記第1磁場によって磁化されて第2磁場を生成するように、磁性体により構成され、
前記センサ部は、前記第2磁場に基づく磁力を検出するように、磁気センサにより構成される、吸引装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸引装置において、
前記被作用部の磁性体は、強磁性体又は常磁性体により構成される、吸引装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の吸引装置において、
前記第2部材は、前記第1部材に対して複数の保持構造によって保持されるように構成され、
前記複数の保持構造の少なくとも1つは、前記作用部及び前記被作用部によって構成される、吸引装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吸引装置において、
前記保持構造の少なくとも1つは、前記作用部と前記被作用部との磁気的引力により、前記第1部材に取り付けられた前記第2部材を保持するように構成される、吸引装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の吸引装置において、
前記第1部材において、前記作用部は前記センサ部から離間して配置されており、
前記離間された距離が、前記第1部材に前記第2部材が取り付けられた状態における前記被作用部と前記センサ部との間の距離よりも大きい、吸引装置。
【請求項7】
請求項6の何れか一項に記載の吸引装置において、
前記第2部材において、前記被作用部は、前記第1部材に前記第2部材が取り付けられたときに、前記作用部と前記センサ部の両方に対して位置合わせされるように配置される、吸引装置。
【請求項8】
請求項7に記載の吸引装置において、
前記被作用部は、基部と、前記基部から延びる脚部と、を含み、
前記第1部材に前記第2部材が取り付けられたときに、前記基部が前記作用部に対して位置合わせされ、前記脚部が前記センサ部に対して位置合わせされるように配置される、吸引装置。
【請求項9】
請求項8に記載の吸引装置において、
前記センサ部は、前記脚部の状態を検出する、吸引装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の吸引装置において、
前記離間された距離が、前記第1部材に前記第2部材が取り付けられた状態における前記脚部と前記センサ部との間の距離よりも大きい、吸引装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の吸引装置であって、
吸引成分源を加熱して吸引成分を生成する加熱部を更に備え、
前記第2部材を通じて前記操作ボタンが押圧された場合に、前記加熱部に対し電力の供給を許可するように構成される、吸引装置。
【請求項12】
吸引装置の本体ハウジングに対して着脱可能に構成されるパネルであって、
前記本体ハウジングが具備する磁石が印加した第1磁場の作用で磁化され、第2磁場を印加する磁性体により構成される磁場印加部を備え、
前記磁性体が印加した前記第2磁場に基づく磁力が、前記本体ハウジングが具備する磁気センサによって検出されることにより、当該パネルが前記本体ハウジングへ取り付けられていることが検出され
、
前記本体ハウジングが、当該パネルを取り付ける表面に操作ボタンを備え、
前記操作ボタンが、前記本体ハウジングに前記パネルが取り付けられたときに、当該パネルによって覆われる、パネル。
【請求項13】
請求項
12に記載のパネルにおいて、前記本体ハウジングの磁石と前記磁化された磁場印加部との磁気的引力により、前記パネルが前記本体ハウジングに保持される、パネル。
【請求項14】
吸引装置の本体ハウジングへのパネルの取り付けを検出する方法であって、
前記本体ハウジングに設けられた磁気センサが、磁場に基づく磁力を検出するステップであって、前記本体ハウジングが具備する磁石の作用によって前記パネルに設けられた磁性体が磁化されて、前記本体ハウジングに前記磁場を印加している、ステップと、
前記磁場に基づく磁力を検出したのに応じて、前記本体ハウジングに前記パネルが取り付けられたことを判定するステップと、
を含
み、前記本体ハウジングが、前記パネルを取り付ける表面に操作ボタンを備え、
前記操作ボタンが、前記本体ハウジングに前記パネルが取り付けられたときに、前記パネルによって覆われる、方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の方法において、前記本体ハウジングの磁石と前記磁化された磁性体との磁気的引力により、前記パネルが前記本体ハウジングに保持される、方法。
【請求項16】
請求項
14または
15に記載の方法であって、更に、
前記取り付けが検出されていない場合に、前記吸引装置を起動させないステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項
14から
16の何れか一項に記載の方法において、前記吸引装置が、吸引成分源を加熱して吸引成分を生成する加熱部
を備え、当該方法が、更に、
前記操作ボタンの押圧を受けるステップと、
前記検出された磁力の大きさが所定の範囲内の値である場合に、前記操作ボタンの押圧に応じて、前記加熱部への電力の供給を許可するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項
14から
17の何れか一項に記載の方法を前記吸引装置に実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項1~11の何れか一項に記載の吸引装置であって、更に、
吸引成分を生成するために吸引成分源を加熱する加熱部を備え、
前記制御部が、前記第2部材の前記第1部材への取り付けを検出した場合に、前記加熱部に対し電力の供給を許可するように構成され、
前記第2部材が、前記加熱部から生じる熱を断熱する、吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸引装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置の1つに、香味が付与されたエアロゾルのような吸引成分を生成する吸引装置が知られている。このような吸引装置では、通常、香味が付与された吸引物品が装着されて、ユーザは吸引動作を行う。
【0003】
このような吸引装置の中には、ユーザの嗜好に合わせて吸引装置をカスタマイズできるものが知られている。具体的には、ユーザの嗜好に合わせた操作性及び体験を提供するために、吸引装置の動作態様をユーザが設定可能とするものがある。これ以外にも、吸引装置をユーザの嗜好に合わせた外観とするために、ユーザが好みのパネル部材を選んで本体に着脱可能とするものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2012-513750号公報
【文献】国際公開2019-084161号パンフレット
【文献】国際公開2016-194882号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、吸引装置の動作態様をユーザが設定可能とするには、ボタン操作等への手動での入力操作を通じて実施する必要がある。より詳しくは、ユーザは、吸引装置の電源を投入する都度、操作内容に応じたボタン入力及び/又はコマンド入力を行う必要がある。例えば、ユーザは、所定の複数のボタンを所定回数にわたり所定の順序で押下することで、LED(light emitting diode:発光ダイオード)の発光態様を切り替えることができる。しかしながら、ユーザは、事前にマニュアル等を参照することを通じて、所望の設定に対応した操作内容を把握しておかなければならない。
【0006】
ところで、吸引装置は、吸引成分を生成するために吸引成分源を加熱するので、吸引装置発熱に対する安全性が配慮されるべきである。例えば、吸引装置がユーザの片手に収まるサイズに小型化される場合、吸引装置から漏れ出た熱でユーザがやけどをしないように、吸引装置の本体の外側にパネルを取り付けて断熱性を強化する等の対策が必要となる。
【0007】
本開示は、ユーザビリティを向上させることができ、ユーザの吸引装置に対する満足感及び安全性を向上させる吸引装置を提供することを目的とする。より詳しくは、煩雑な手動の入力操作をユーザに求めることなく、簡易で直感的な操作によってユーザの嗜好に合わせた設定内容で動作可能とする吸引装置を提供することを目的の1つとする。また、吸引装置の本体にパネルを取り付けることで発熱に対する安全性を配慮すると共に、適正なパネルの取り付けを検出可能な吸引装置を提供することを目的の1つとする。更に、パネルに応じて設定内容を異なるものとする吸引装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、第1観点において、第1部材と第1部材に対して着脱可能に構成された第2部材とを備える吸引装置が提供される。係る吸引装置は、第1部材に設けられた作用部と、第2部材に設けられ、作用部による作用に応じて状態を変化する被作用部と、第1部材に設けられ、変化した被作用部の状態を検出するセンサ部と、検出された状態に基づき、第1部材に第2部材が取り付けられたことを判定する制御部と、を含む。
【0009】
係る吸引装置によれば、第1部材に第2部材が装着されているか否かを判断するに際し、第1部材の作用部の影響による第2部材の被作用部の状態の変化を検知するという新規な手法を使用することができる。これにより、第1部材への第2部材の適正な取り付けを判定し、吸引装置の使用時の安全性を向上させることができる。
【0010】
第2観点の吸引装置は、第1観点の吸引装置において、作用部は、第1磁場を生成するように永久磁石により構成され、被作用部は、第1磁場によって磁化されて第2磁場を生成するように、磁性体により構成され、センサ部は、第2磁場に基づく磁力を検出するように、磁気センサにより構成される。
【0011】
第3観点の吸引装置は、第1観点又は第2観点の吸引装置において、被作用部の磁性体は、強磁性体又は常磁性体により構成される。
【0012】
第4観点の吸引装置は、第1観点から第3観点の何れかの吸引装置において、第2部材は、第1部材に対して複数の保持構造によって保持されるように構成され、複数の保持構造の少なくとも1つは、作用部及び被作用部によって構成される。
【0013】
第5観点の吸引装置は、第4観点の吸引装置において、保持構造の少なくとも1つは、作用部と被作用部との磁気的引力により、第1部材に取り付けられた第2部材を保持するように構成される。
【0014】
第6観点の吸引装置は、第1観点から第5観点の何れかの吸引装置において、第1部材において、作用部はセンサ部から離間して配置されており、離間された距離が、第1部材に第2部材が取り付けられた状態における被作用部とセンサ部との間の距離よりも大きい。
【0015】
第7観点の吸引装置は、第1観点から第6観点の何れかの吸引装置において、第2部材において、被作用部は、第1部材に第2部材が取り付けられたときに、作用部とセンサ部の両方に対して位置合わせされるように配置される。
【0016】
第8観点の吸引装置は、第7観点の吸引装置において、被作用部は、基部と、基部から延びる脚部と、を含み、第1部材に第2部材が取り付けられたときに、基部が作用部に対して位置合わせされ、脚部がセンサ部に対して位置合わせされるように配置される。
【0017】
第9観点の吸引装置は、第8観点の吸引装置において、センサ部は、脚部の状態を検出する。
【0018】
第10観点の吸引装置は、第8観点又は第9観点の吸引装置において、離間された距離が、第1部材に第2部材が取り付けられた状態における脚部とセンサ部との間の距離よりも大きい。
【0019】
第11観点の吸引装置は、第1観点から第10観点の何れかの吸引装置において、第1部材は、第2部材を取り付ける表面に操作ボタンを備え、操作ボタンは、第1部材に第2部材が取り付けられたときに、第2部材によって覆われる。
【0020】
第12観点の吸引装置は、第11観点の吸引装置であって、吸引成分源を加熱して吸引成分を生成する加熱部を更に備え、第2部材を通じて操作ボタンが押圧された場合に、加熱部への電力の供給を許可するように構成される。
【0021】
また、本開示によれば、第13観点において、吸引装置の本体ハウジングに対して着脱可能に構成されるパネルが提供される。係るパネルは、本体ハウジングが具備する磁石が印加した第1磁場の作用で磁化され、第2磁場を印加する磁性体により構成される磁場印加部を備え、磁性体が印加した第2磁場に基づく磁力が、本体ハウジングが具備する磁気センサによって検出されることにより、パネルが本体ハウジングへ取り付けられていることが検出される。
【0022】
係るパネルによれば、本体ハウジングにパネルが装着されているか否かを判断するに際し、本体ハウジングの磁石の作用によりパネルの磁性体の磁化を検知するという新規な手法を使用することができる。これにより、本体ハウジングへのパネルの適正な取り付けを判定し、吸引装置の使用時の安全性を向上させることができる。
【0023】
第14観点のパネルは、第13観点のパネルにおいて、本体ハウジングの磁石と磁化された磁場印加部との磁気的引力により、パネルが本体ハウジングに保持される。
【0024】
更に、本開示によれば、第15観点において、吸引装置の本体ハウジングへのパネルの取り付けを検出する方法が提供される。係る方法は、本体ハウジングに設けられた磁気センサが、磁場に基づく磁力を検出するステップであって、本体ハウジングが具備する磁石の作用によってパネルに設けられた磁性体が磁性化されて、本体ハウジングに磁場を印加している、ステップと、磁場に基づく磁力を検出したのに応じて、本体ハウジングにパネルが取り付けられたことを判定するステップと、を含む。
【0025】
係る方法によれば、本体ハウジングにパネルが装着されているか否かを判断するに際し、本体ハウジングの磁石の作用によりパネルの磁性体の磁化を検知するという新規な手法を使用することができる。これにより、本体ハウジングへのパネルの適正な取り付けを判定し、吸引装置の使用時の安全性を向上させることができる。
【0026】
第16観点の方法は、第15観点の方法において、本体ハウジングの磁石と磁化された磁性体との磁気的引力により、パネルが本体ハウジングに保持される。
【0027】
第17観点の方法は、第15観点又は第16観点の方法であって、更に、取り付けが検出されていない場合に、吸引装置を起動させないステップを含む。
【0028】
第18観点の方法は、第15観点から第17観点の何れかの方法において、吸引装置が、吸引成分源を加熱して吸引成分を生成する加熱部と、操作ボタンとを備え、当該方法が、更に、操作ボタンの押圧を受けるステップと、検出された磁力の大きさが所定の範囲内の値である場合に、操作ボタンの押圧に応じて、加熱部への電力の供給を許可するステップと、を含む。
【0029】
加えて、本開示によれば、第19観点において、第15観点から第18観点の何れかの方法を吸引装置に実行させるためのプログラムが提供される。
【0030】
更に、本開示によれば、第20観点において、第1部材と第1部材に対して着脱可能に構成された第2部材とを備える吸引装置が提供される。係る吸引装置は、第1部材が、吸引成分を生成するために吸引成分源を加熱する加熱部と、第2部材の第1部材への取り付けを検出した場合に、加熱部による加熱動作を可能な状態とする制御部と、を含み、第2部材が、加熱部から生じる熱を断熱する。
【0031】
係る吸引装置によれば、本体ハウジングへのパネルの適正な取り付けを判定すると共に、吸引装置の使用時の発熱の問題に対処し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】一実施形態に係る吸引装置の一例の構成を模式的に示す模式図である。
【
図1B】一実施形態に係る吸引装置の他の例の構成を模式的に示す模式図である。
【
図3A】
図1Bの吸引装置が備えるパネルの一例の概略外観図である。
【
図3B】
図1Bの吸引装置が備える本体ハウジングの一例の概略外観図である。
【
図4A】
図1Bの吸引装置が備えるパネルの他の例の概略外観図である。
【
図4B】
図1Bの吸引装置が備える本体ハウジングの他の例の概略外観図である。
【
図5A】一実施形態に係る吸引装置の動作の概略フロー図である。
【
図5B】一実施形態に係る吸引装置の動作の概略フロー図である。
【
図6】一例の加熱プロファイルに基づく温度遷移を示したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本開示の一実施形態に係る吸引装置について添付図面を参照して説明する。添付図面において、同一又は類似の要素には同一又は類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一又は類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。更に、図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることがある。
【0034】
本開示の実施形態の説明において、吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置であり、電子たばこやネブライザを含むが、これらに限定されない。特に、ユーザが吸引するエアロゾル又は香味が付与されたエアロゾルを生成するための様々な吸引装置を含み得る。また、生成される吸引成分は、エアロゾル以外にも、不可視の蒸気のような気体も含み得る。
【0035】
<<1.吸引装置の構成例>>
図1A及び
図1Bを参照して、一実施形態に係る吸引装置100(100A、100B)について説明する。以下では、吸引装置100により生成される物質がエアロゾルであり、加熱される吸引成分源がエアロゾル源であるものとして説明するが、これには限定されない。
【0036】
(1)第1の構成例
図1Aは、吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
図1Aに示すように、本構成例に係る吸引装置100Aは、電源ユニット110、カートリッジ120、及び香味付与カートリッジ130を含む。電源ユニット110は、電源部111A、センサ部112A、通知部113A、記憶部114A、通信部115A、及び制御部116Aを含む。カートリッジ120は、加熱部121A、液誘導部122、及び液貯蔵部123を含む。香味付与カートリッジ130は、香味源131、及びマウスピース124を含む。カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130には、空気流路180が形成される。
【0037】
電源部111Aは、電力を蓄積する。そして、電源部111Aは、制御部116Aによる制御に基づいて、吸引装置100Aの各構成要素に電力を供給する。電源部111Aは、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。
【0038】
センサ部112Aは、吸引装置100Aに関する各種情報を取得する。一例として、センサ部112Aは、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部112Aは、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0039】
一実施形態では、センサ部112Aは、パネルの本体ハウジングへの取り付けを検出し、パネルに関連付けられるデータを測定する(後述)。例えば、センサ部112Aは、磁気センサ(例えば、ホール効果を用いて磁気を検出するホール素子を用いたホールセンサ)によって構成される。そして、センサ部112Aは、磁気センサに対して磁場を印加する磁場印加部(例えば、磁石及び/又は磁性体)を備えるパネルがセンサ部112Aの近傍にあることを検出し、磁場印加部からの磁力を検出して、その大きさを測定する。つまり、測定されるデータは、磁気センサで検出される磁力の大きさに基づく情報を含む。
【0040】
通知部113Aは、情報をユーザに通知する。通知部113Aは、例えば、発光する発光装置(例えば、LED)、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0041】
記憶部114Aは、吸引装置100Aの動作のための各種情報を記憶する。記憶部114Aは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。また、記憶部114Aは、吸引装置100Aを動作させるためのコンピュータ実行可能命令に加えて、ファームウェアのようなプログラム等も格納する。
【0042】
一実施形態では、記憶部114Aは、複数の動作プロファイルを格納する。動作プロファイルは、通知部113Aの制御方法に係る通知プロファイルと、加熱部121Aの加熱プロファイルとを含む。より詳しくは、通知プロファイルは、吸引成分が生成されている期間と、吸引成分が生成されていない期間とのうちの少なくとも一方におけるLEDの発光色、発光周期、及び発光パターンを含む。また、加熱プロファイルは、加熱部121Aを加熱するために、加熱部121Aの温度遷移を規定する。
【0043】
通信部115Aは、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、無線通信の場合は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。また、有線通信の場合は、マイクロUSB等の外部接続端子を通じて、例えば、データ通信ケーブルを接続する。これにより、外部装置との間で吸引装置100Aの動作に関連するデータの入/出力を行う。
【0044】
制御部116Aは、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100A内の動作全般を制御する。制御部116Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0045】
一実施形態では、制御部116Aは、センサ部112Aで測定されるデータに関連付けられる動作プロファイルを特定する。そして、制御部116Aは、特定された動作プロファイルにしたがい吸引装置100Aを動作させる。
【0046】
液貯蔵部123は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源が霧化されることで、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。吸引装置100Aがネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。
【0047】
液誘導部122は、液貯蔵部123に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部123から誘導し、保持する。液誘導部122は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。その場合、液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源は、ウィックの毛細管効果により誘導される。
【0048】
加熱部121Aは、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。
図1Aに示した例では、加熱部121Aは、コイルとして構成され、液誘導部122に巻き付けられる。加熱部121Aが発熱すると、液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121Aは、電源部111Aから給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと、所定のユーザ入力操作を受け付けたこと、及び/又は所定の情報が入力されたことがセンサ部112Aにより検出された場合に、給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと、所定のユーザ入力操作を受け付けたこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、電力の供給が停止されてもよい。
【0049】
香味源131は、エアロゾルに香味成分を付与するための構成要素である。香味源131は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。
【0050】
空気流路180は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路180は、空気流路180内への空気の入り口である空気流入孔181と、空気流路180からの空気の出口である空気流出孔182と、を両端とする管状構造を有する。空気流路180の途中には、上流側(空気流入孔181に近い側)に液誘導部122が配置され、下流側(空気流出孔182に近い側)に香味源131が配置される。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔181から流入した空気は、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと混合され、矢印190Aに示すように、香味源131を通過して空気流出孔182へ輸送される。エアロゾルと空気との混合流体が香味源131を通過する際には、香味源131に含まれる香味成分がエアロゾルに付与される。
【0051】
マウスピース124は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。マウスピース124には、空気流出孔182が配置される。ユーザは、マウスピース124を咥えて吸引することで、エアロゾルと空気との混合流体を口腔内へ取り込むことができる。
【0052】
以上、吸引装置100Aの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Aの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0053】
一例として、吸引装置100Aは、香味付与カートリッジ130を含んでいなくてもよい。その場合、カートリッジ120にマウスピース124が設けられる。
【0054】
他の一例として、吸引装置100Aは、複数種類のエアロゾル源を含んでいてもよい。複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが空気流路180内で混合され化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。
【0055】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Aによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0056】
(2)第2の構成例
図1Bは、吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。吸引装置100Bでは、例えば、吸引成分源であるエアロゾル源及び香味源を含む充填物等の香味発生基材を有するスティック型基材150が挿入される。なお、本構成例において、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体であってもよい。挿入されたスティック型基材150は、その外周から加熱されることによって、香味を含むエアロゾルを生成する。
【0057】
図1Bに示すように、本構成例に係る吸引装置100Bは、電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、制御部116B、加熱部121B、保持部140、及び断熱部144を含む。
【0058】
電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、及び制御部116Bの各々は、第1の構成例に係る吸引装置100Aに含まれる対応する構成要素と実質的に同一である。
【0059】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。なお、本明細書において、スティック型基材150が基材部151に挿入される方向を、吸引装置100Bの長手方向とする。
【0060】
保持部140は、開口142を開閉するシャッター(不図示)を含む。より詳しくは、シャッターは、スライド機構を有し、開口142を閉塞する第1位置と、開口142を開放する第2位置との間を、外殻の表面に沿って移動可能とする。スティック型基材150は、開口142が開放された状態で開口142を介して基材部151に挿入され、内部空間141に受け入れられる。なお、開口142の開閉は、第1位置及び/又は第2位置の近傍にセンサ(不図示)を設けることにより、センサ部112Bによって検出可能である。例えば、シャッターには磁石が配置され、磁気センサによって開口142の開閉が検出される。
【0061】
なお、通信部113Bは、シャッターの開口142が開放されたことを契機として通信機能を活性化し、Bluetooth(登録商標)等を用いて、外部端末との通信を開始してもよい。また、シャッターの開口142が閉塞されたことを契機として、通信中の外部端末との通信を終了してもよい。通信部113Bと外部端末との間のBluetooth(登録商標)接続は、特に、BLE(Bluetooth Low Energy)による接続とするのがよい。
【0062】
保持部140は、内部空間141の内側の壁に、長手方向に沿って押圧部及び非押圧部(何れも不図示)が形成される。内部空間141がスティック型基材150を受け入れると、押圧部はスティック型基材150を長手方向の垂直方向に押圧する。そして、スティック型基材150は押圧部により押圧され変形されながら保持部140によって挟持される。その結果、スティック型基材150は、押圧されながら、加熱部121Bによって外周から加熱されることになる。
【0063】
一方、非押圧部とスティック型基材150との間には空隙(不図示)が形成される。これにより、空隙を通じて開口142及び底部143が連通される。
【0064】
保持部140は、スティック型基材150へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔191は開口142である。より正確には、空気流入孔191は、非押圧部とスティック型基材150との間の空隙である。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔191から流入した空気は、点線で示した矢印に沿って、スティック型基材150を通じて、流路からの空気の出口である空気流出孔192に輸送される。
【0065】
スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。基材部151は、エアロゾル源を含む。スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、基材部151の少なくとも一部は内部空間141に収容され、吸口部152の少なくとも一部は開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、空気流入孔191から内部空間141に空気が流入し、点線で示した矢印に沿って、底部143を介して吸口部152の空気流出孔192に輸送され、基材部151から発生するエアロゾルと共にユーザの口腔内に到達する。
【0066】
加熱部121Bは、第1の構成例に係る加熱部121Aと同様の構成を有する。ただし、
図1Bに示した例では、加熱部121Bは、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121Bが発熱すると、スティック型基材150の基材部151が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。
【0067】
断熱部144は、加熱部121Bから他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部144は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成される。
【0068】
以上、吸引装置100Bの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Bの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0069】
一例として、加熱部121Bは、ブレード状に構成され、保持部140の底部143から内部空間141に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部121Bは、スティック型基材150の基材部151に挿入され、スティック型基材150の基材部151を内部から加熱する。他の一例として、加熱部121Bは、保持部140の底部143を覆うように配置されてもよい。また、加熱部121Bは、保持部140の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状の第2の加熱部、及び保持部140の底部143を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0070】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Bによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0071】
また、吸引装置100Bは、第1の構成例に係る加熱部121A、液誘導部122、液貯蔵部123、及び空気流路180をさらに含んでいてもよく、空気流路180の空気流出孔182が内部空間141への空気流入孔を兼ねていてもよい。この場合、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと空気との混合流体は、内部空間141に流入して加熱部121Bにより生成されたエアロゾルとさらに混合され、ユーザの口腔内に到達する。
【0072】
<<2.吸引装置の外観構成例>>
一実施形態に係る吸引装置100の外観について説明する。以下では、
図1Bに示した第2の構成例に係る吸引装置100Bについて説明するが、これに限定されず、
図1Aの吸引装置100Aについても同様である。
【0073】
図2は、吸引装置100Bの全体斜視図である。吸引装置100Bは、パネル10と、パネル10を着脱可能な本体ハウジング20と、シャッター50とを備える。パネル10及び本体ハウジング20は別部材で構成される。パネル10は、その表面に透明な素材で構成される表示部18を備える。なお、パネル10は、パネルの種別毎に、外側表面が異なる模様及び色彩によるデザイン、並びに異なる素材等によって構成されるのがよい。例えば、「男性向けパネルa」の種別であれば、迷彩柄のデザインを有するパネルとし、「女性向けパネルb」の種別であれば、桃色に塗られたデザインを有するパネルとする等である。ユーザは自らの嗜好に合う種別のパネルを適宜選択すればよい。本体ハウジング20は、吸引装置100Bの本体30を収容する。本体30には、
図1Bに示した吸引装置100Bの各要素が収納される。
【0074】
パネル10が本体ハウジング20に対して取り付けられることにより、吸引装置100Bの最外のハウジング40を構成する。ユーザの嗜好に合ったデザインのパネル10を取り付けることにより、吸引装置100Bのファッション性を向上させることができる。また、吸引装置100Bは、パネル10を備えることにより、本体30が発熱した場合も外部に放出される熱を緩衝することができる。つまり、パネル10は、加熱部121Bから生じる熱を断熱するように機能する。更に、パネル10は、表面が略曲面となるように形成される。そして、本体ハウジング20に取り付けられると、パネル10は本体ハウジング20の表面と共に内部空間を画定する。
【0075】
ハウジング40は、ユーザの手に収まるようなサイズとするのがよい。ユーザは、指先をパネル10の表面に接触させながら、吸引装置100Bを片手で保持する。また、ユーザが指先でパネル10の表面を押し込むことにより、パネル10は、本体ハウジング20に向けて凹みを形成するように変形する。このようなパネル10の変形の結果、パネル10に設けた突起が、本体ハウジング20の表面に設けられた操作ボタンと接触することにより、操作ボタンが押下される(後述)。
【0076】
なお、ユーザがパネル10を変形させるには、例えば、複数の指を使って表面を同時に押し込む必要がある。例えば、ハウジングの表面に突出ように設けた単一のボタンをユーザが単一の指で押下するのと比較して、より大きな押圧力を必要とする。すなわち、一実施形態に係る吸引装置100Bは、鞄の中で誤って操作ボタンが押下されることをはじめ、ユーザによる意図しない誤操作を防止することができる点で有利である。また、吸引装置100Bの使用者としては適切でない子供の押圧力では、簡単にパネル10の表面を押し込むことができないため、いたずら防止(チャイルドレジスタンス)の点でも有利である。
【0077】
なお、
図2では、シャッター50は開口142を閉塞しているように示している。ユーザが指を掛けて側面に沿ってシャッター50をスライドさせることにより、開口142が開放される。開口142が開放される結果、ユーザはスティック型基材150を挿入することができる。そして、ユーザは、スティック型基材150を挿入した後に、パネル10の表面を指で押し込んで操作ボタンを押下することにより、吸引装置100Bの電源を投入することができる。
【0078】
<<3.パネル及び本体ハウジングの各外観構成例>>
図3Aから
図4Bを参照して、一実施形態に係る吸引装置100(100A、100B)が有する一組のパネル10及び本体ハウジング20の外観について説明する。なお、以下の説明では、
図1Bに示した吸引装置100Bに関して例示するが、これに限定されず、
図1Aの吸引装置100Aについても同様である。
【0079】
(1)パネル及び本体ハウジングの第1の構成例
図3A及び
図3Bは、吸引装置100Bの第1の構成例に係る一組のパネル10A及び本体ハウジング20Aを示している。
図3Aはパネル10Aの内側表面の外観図であり、
図3Bは本体ハウジング20Aの外側表面の外観図である。パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられる状態で、パネル10Aの内側表面と、本体ハウジング20Aの外側表面とが相互に対向する。
【0080】
図3Aに示すように、パネル10Aの内側表面には、磁石11A、突起12A、磁石13A、及び磁石14Aが長手方向に沿って配置されている。磁石11A及び磁石14Aは、パネル10Aを本体ハウジング20Aに取り付けると、それらの磁力(磁気的引力)により、本体ハウジング20Aに吸着させる。これによりパネル10Aが本体ハウジング20Aに保持される。突起12Aは、本体ハウジング20Aの表面に設けた操作ボタン22Aを押下する。磁石13Aは、本体30のセンサ部112Bに対する磁場印加部として構成される。つまり、磁石13Aから印加する磁場に対し、本体ハウジング20Aの磁気センサ23Aでその磁力を検出させることにより、パネル10Aを検出させる。
【0081】
図3Bに示すように、本体ハウジング20Aの外側表面には、磁石21A、表示窓25A、操作ボタン22A、及び磁石24Aが、シャッター50の側から長手方向に沿って配置されている。また、本体ハウジング20Aの内側表面(より正確には、内側表面に対して略ゼロ距離となる基板上)には、長手方向に沿って操作ボタン22Aと磁石24Aの間となる位置に磁気センサ23Aが配置されている。磁気センサ23Aにより、本体ハウジング20Aの外側表面には磁力検出領域(点線領域)26Aが形成される。本体ハウジング20Aの磁石21A、操作ボタン22A、磁気センサ23A、及び磁石24Aは、パネル10Aの磁石11A、突起12A、磁石13A、及び磁石14Aにそれぞれ対応する。つまり、パネル10Aを本体ハウジング20Aに取り付けたときに、それぞれに対して位置合わせされ、対向することになる。
【0082】
本体ハウジング20Aの磁石21A及び磁石24Aは、それらの磁力(磁気的引力)により、パネル10Aの磁石11A及び磁石14Aとそれぞれ吸着する。つまり、磁石11A及び磁石21Aと、磁石14A及び磁石24Aとが相互に引き合うことにより、パネル10Aを本体ハウジング20Aに取り付け可能に保持する。なお、パネル10Aの磁石11A及び磁石14A、並びに本体ハウジング20Aの磁石21A及び磁石24Aは、永久磁石によって構成されるのがよい。
【0083】
操作ボタン22Aは、パネル10Aを取り付ける表面に設けられる。つまり、操作ボタン22Aは、パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられたときに、パネル10Aによって覆われる。パネル10Aの突起12Aによって押下される。これにより、例えば、吸引装置100Bの電源オンと電源オフを切り替えることができる。
【0084】
磁気センサ23Aは、パネル10Aにおける磁石13Aから印加される磁場に基づく磁力を検出する。例えば、磁気センサ23Aは、ホール素子を用いて構成されるホールセンサとするのがよい。これにより、パネル10Aの本体ハウジング20Aへの取り付けを検出することができる。表示窓25Aは、本体30内に配置された1つ以上のLEDと位置合わせされた開口であり、LEDからの光を、パネル10Aの表示部18まで通過させる。これにより、ユーザは、パネル10Aの外側表面からその光を視認することができる。
【0085】
なお、LEDは通知部113Bとして構成され、特定された動作プロファイルにしたがい、所定の通知を行う。例えば、LEDは所定の発光態様により、吸引装置100Bの動作情報を通知する。具体的には、LEDは、吸引装置100Bが電源オンであるかの状態、予備加熱の進捗状況、吸引状況(吸引可能な残り時間等)、現在吸引装置100Bがどの動作モードにあるか(例えば、吸引モード及び/又は通信モード等)をユーザに提示するために発光を行う。
【0086】
本体ハウジング20Aの磁気センサ23Aは、パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられた状態で、本体ハウジング20Aの内側表面を介して、パネル10Aの磁石13Aに対向するように配置されている。つまり、パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられたときに、本体ハウジング20Aの磁気センサ23Aと、パネル10Aの磁石13Aとの距離は最小となる。
【0087】
また、本体ハウジング20Aの磁気センサ23Aは、本体ハウジング20Aの2つの磁石21A及び磁石24Aがそれぞれ生成する磁場を検知しないように構成される。具体的には、本体ハウジング20Aの内側表面において、本体ハウジング20Aの外側表面の2つの磁石21A及び磁石24Aから離間した位置に磁気センサ23Aを配置するのがよい。これにより、磁気センサ23Aにおいて、これら2つの磁石21A及び磁石24Aからの磁場の影響を略ゼロとすることができる。
【0088】
更に、本体ハウジング20Aにおいて磁気センサ23Aと磁石24A(又は磁石21A)との間の離間された距離が、パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられた状態の磁石13Aと磁気センサ23Aとの間の距離よりも大きくなるように構成するのがよい。これにより、パネル10Aの本体ハウジング20Aへの取り付けを検出する際に、磁気センサ23Aにおいて、磁石24Aの磁場の影響を考慮することなく、磁石13Aから印加される磁場の影響のみを適切に考慮することができる。
【0089】
一実施形態では、パネル10Aは、本体ハウジング20Aに取り付けられるときに、磁気センサ23Aで測定されるデータがパネル10Aの種別に応じて異なるように構成される。より詳しくは、パネル10Aは、本体ハウジング20Aの磁気センサ23Aで検出される、磁場印加部の磁石13Aに関する磁力の大きさが、パネルの種別に応じて異なるように構成される。
【0090】
例えば、パネル10Aが本体ハウジング20Aに取り付けられている状態で、磁場印加部の磁石13Aと、対向する磁気センサ23Aとの間の距離がパネル10Aの種別に応じて異なるように、パネル10Aを構成するのがよい。つまり、パネル10Aの内側表面の高さが種別に応じて異なるように、パネルの種別毎に曲面の形状を調整するのがよい。なお、一般的に、磁力の大きさは磁石からの距離に応じて異なる(具体的には、距離の2乗に反比例する)ことが当業者によって理解される。これにより、何れの種別のパネル10Aにおいても共通の磁石13Aを使用することができ、製造上有利である。
【0091】
他の例では、対面しているパネル10Aの内側表面に沿って、磁石13Aの位置がパネルの種別に応じて異なるようにずれて配置されてもよい。例えば、パネルの種別が「男性向けパネルa」と「女性用パネルb」とでは、磁石13Aが異なる位置となるようにパネル10Aの内側表面上ずらして磁石13Aを配置するのがよい。これにより、磁石13Aと磁気センサ23Aとの間の距離をパネル種別に応じて異なるものとすることができる。すなわち、磁気センサ23Aで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0092】
更なる他の例では、パネル10Aは、磁場印加部の磁石13Aの種類がパネルの種別に応じて異なるように構成されるのがよい。磁石13Aは永久磁石により構成されるのがよい。より詳しくは、パネルの種別に応じて、フェライト磁石、アルニコ磁石、コバルト磁石、及びネオジム磁石等を採用し得る。例えば、パネルの種別が「男性向けパネルa」であれば磁石13Aとしてフェライト磁石を採用し、「女性用パネルb」であればアルニコ磁石を採用することにより、磁石13Aの種類をパネルの種別に応じて異なるようにするのがよい。これにより、磁気センサ23Aで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0093】
加えて、パネルの種別に応じた磁石13Aの種類は、吸引装置100Bの本体30及び/又はパネル10Aの仕様に基づき、適切なものを採用するのがよい。例えば、磁石による磁力が吸引装置100Bの本体30の挙動に悪影響を及ぼす可能性がある場合は、磁力が弱いフェライト磁石を採用するのがよい。また、パネル10Aの温度が上がりやすい素材で形成されるような場合は、高温安定性が高いアルニコ磁石を採用するのがよい。これにより、パネル10Aには、吸引装置100Bの本体30の仕様に応じた適切な特性を有する磁石が設けられることになるので、吸引装置100Bの動作の安定性を向上させることができる。
【0094】
(2)パネル及び本体ハウジングの第2の構成例
図4A及び
図4Bは、吸引装置100Bの第2の構成例に係る一組のパネル10B及び本体ハウジング20Bを示している。
図4Aはパネル10Bの内側表面の外観図であり、
図4Bは本体ハウジング20Bの外側表面の外観図である。パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられる状態で、パネル10Bの内側表面と、本体ハウジング20Bの外側表面とが相互に対向する。
【0095】
図4Aに示すように、パネル10Bの内側表面には、磁性体13B、突起14B、及び磁石15Bが長手方向に沿って配置されている。また、磁性体13Bは、円形状の基部11Bと、基部11Bから略長手方向に直線状に延びる脚部12Bとを含む。
【0096】
磁性体13Bは、外部から磁場が印加されると、磁場の作用により、磁気を帯びて磁場を印加するような物質で構成される。磁性体13Bは、本体30のセンサ部112Bに対する磁場印加部として構成される。磁性体13Bは金属で構成されるのがよい。
【0097】
より詳しくは、磁性体13Bは、非永久磁石である強磁性体又は常磁性体により構成されるのがよい。ここで、強磁性とは、外部から磁場が印加されると、その磁場と同じ方向に強い磁気を帯び、外部からの磁界をゼロにしても強い磁気が残るような性質のことをいう。強磁性体の例は、鉄、コバルト、ニッケルである。また、常磁性とは、外部から磁場が印加されると、その磁場と同じ方向に弱い磁気を帯び、外部からの磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる性質のことをいう。常磁性の例は、アルミニウムである。
【0098】
磁性体13Bは、外部から印加される磁場の作用に応じて状態が変化する(つまり、磁化する)被作用部として構成される。加えて、磁性体13Bは、本体ハウジング20Bに対して磁場を印加する磁場印加部として構成される。
【0099】
具体的には、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられると、磁性体13Bは、本体ハウジング20Bの磁石21Bからの作用を受ける被作用部として機能する。その結果、磁性体13Bが磁化されて、今度は、本体ハウジング20Bの磁石21B及び磁気センサ22Bに対し磁場印加部として機能することになる。
【0100】
より詳しくは、磁性体13B(特に基部11B)で生成され、印加される磁場に基づく磁力により、パネル10Bを本体ハウジング20Bに吸着させ保持することができる。また、磁性体13B(特に脚部12B)で生成され、印加される磁場に対し、本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bに、脚部12Bの状態(つまり、脚部12Bからの磁場に基づく磁力)を検出させることができる。これにより、本体ハウジング20Bにパネル10Bの取り付けを検出させることができる。
【0101】
図4Bに示すように、本体ハウジング20Bの外側表面には、磁石21B、表示窓23B、操作ボタン24B、及び磁石25Bが、シャッター50の側から長手方向に沿って配置されている。また、本体ハウジング20Bの内側表面(より正確には、内側表面に対して略ゼロ距離となる基板上)には、同じく長手方向に沿って、磁石21Bと操作ボタン24Bの間となる位置であって、表示窓23Bと並んだ位置に磁気センサ22Bが配置されている。磁気センサ22Bにより、本体ハウジング20Aの外側表面には磁力検出領域(点線領域)26Bが形成される。
【0102】
本体ハウジング20Bの磁石21B、磁気センサ22B、操作ボタン24B、及び磁石25Bは、パネル10Bの磁性体13Bの基部11B、磁性体13Bの脚部12B、突起14B、及び磁石15Bにそれぞれ対応する。つまり、パネル10Bを本体ハウジング20Bに取り付けたときに、それぞれが位置合わせされ、対向することになる。
【0103】
具体的には、本体ハウジング20Bにパネル10Bが取り付けられたときに、本体ハウジング20Bの磁石21B及び磁気センサ22Bの両方に対してパネル10Bの磁性体13Bが位置合わせされるように配置される。より詳しくは、本体ハウジング20Bの磁石21Bに対してパネル10Bの磁性体13Bの基部11Bが位置合わせされると共に、本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bに対してパネル10Bの磁性体13Bの脚部12Bが位置合わせされるように配置される。特に、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられたときに、磁気センサ22Bが本体ハウジング20Bの内側表面を介して、磁性体13Bの脚部12Bに対向することにより、磁気センサ22Bと、磁性体13Bの脚部12Bとの距離は最小となる。
【0104】
本体ハウジング20Bの磁石21Bは、磁場を生成する作用部として構成される。そして、磁場に基づく磁力により、パネル10Bにおいて磁性体13Bを磁化させるように作用して、磁性体の基部11Bを吸着する。つまり、磁性体13Bの基部11B及び磁石21Bが、磁気的引力によって相互に引き合うことにより、パネル10Bを本体ハウジング20Bに取り付け可能に保持する。
【0105】
また、磁気センサ22Bは、パネル10Bにおいて磁化した磁性体13Bの脚部12Bの磁力を検出する。例えば、磁気センサ22Bは、磁気センサ23Aと同様に、ホール素子を用いて構成されるホールセンサとするのがよい。これにより、パネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付けを検出することができる。
【0106】
本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bは、本体ハウジング20Bの2つの磁石21B及び磁石25Bがそれぞれ生成する磁場を検知しないように構成するのがよい。具体的には、本体ハウジング20Bの内側表面において、本体ハウジング20Bの外側表面の2つの磁石21B及び磁石25Bから離間した位置に磁気センサ22Bを配置するのがよい。これにより、磁気センサ22Bにおいて、これら2つの磁石21B及び磁石25Bからの磁場の影響を略ゼロとすることができる。
【0107】
一実施形態では、本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bと磁石21B(又は磁石25B)との間の離間された距離が、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられた状態の磁性体13Bと磁気センサ22Bとの間の距離よりも大きくなるように構成されるのがよい。より詳しくは、本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bと磁石21Bとが離間された距離が、パネル10Bの磁性体13Bの脚部12Bと本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bとの間の距離よりも大きくなるように構成されるのがよい。これにより、パネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付けを検出する際に、磁気センサ22Bにおいて、2つの磁石21B及び磁石25Bの磁場の影響を考慮することなく、磁性体13Bの脚部12Bから印加される磁場のみを適切に考慮することができる。
【0108】
なお、パネル10Bの突起14B及び磁石15B、並びに、本体ハウジング20Bの表示窓23B、操作ボタン24B、及び磁石25Bの各構成は、パネル10Aの突起12A及び磁石14A、並びに、本体ハウジング20Aの表示窓25A、操作ボタン22A、及び磁石24Aの各々と同様である。特に、パネル10Bの磁石15Bは、本体ハウジング20Bの磁石25Bとの間で、磁気的引力によって相互に引き合うことにより、パネル10Bを本体ハウジング20Bに取り付け可能に保持することができる。
【0109】
一実施形態では、パネル10Bは、本体ハウジング20Bに取り付けられるときに、磁気センサ22Bで測定されるデータがパネル10Bの種別に応じて異なるように構成される。より詳しくは、パネル10Bは、本体ハウジング20Bの磁気センサ22Bで検出される磁化された磁性体13Bに関するデータ(つまり、磁気センサ22Bで検出される磁力の大きさ)が、パネルの種別に応じて異なるように構成される。
【0110】
例えば、パネルの種別が「男性向けパネルa」であれば磁性体13Bとして強磁性体である鉄を採用し、「女性用パネルb」であれば常磁性体であるアルミニウムを採用することにより、磁性体13Bの種類をパネルの種別に応じて異なるようにするのがよい。このように、磁性体13Bに採用される金属の種類がパネルの種別に応じて異なるように構成することにより、磁気センサ22Bで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0111】
また、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられている状態で、磁性体13Bの脚部12Bと、対向する磁気センサ22Bとの間の距離が、パネル10Bの種別に応じて異なるように、パネル10Bを構成するのがよい。つまり、パネル10Bの内側表面の高さが種別に応じて異なるように、パネルの種別毎に曲面の形状を調整するのがよい。なお、一般的に、磁力の大きさは磁石からの距離に応じて異なる(具体的には、距離の2乗に反比例する)ことが当業者によって理解される。これにより、何れの種別のパネル10Bにおいても共通の磁性体13Bを使用すればよく、製造上有利である。
【0112】
他の例では、対面しているパネル10Bの内側表面に沿って、磁性体13Bの位置がパネルの種別に応じて異なるようにずれて配置されてもよい。例えば、パネルの種別が「男性向けパネルa」と「女性用パネルb」とでは、磁性体13Bが異なる位置となるようにパネル10Aの内側表面上でずらして磁性体13Bを配置するのがよい。特に、磁性体13Bの脚部12Bが異なる位置となるように配置するのがよい。これにより、磁性体13Bと磁気センサ22Bとの間の距離をパネル種別に応じて異なるものとすることができる。すなわち、磁気センサ22Bで検出する磁力の大きさがパネルの種別に応じて異なるようにすることができる。
【0113】
<<4.吸引装置の動作例>>
図5A及び
図5Bを参照して、一実施形態に係る吸引装置100の概略の動作例について説明する。
図5Aは、吸引装置100の動作に関し、特に、パネル10が本体ハウジング20に取り付けられたか否かの判定動作に関する概略フロー図である。また、
図5Bは、吸引装置100の動作の全般に関する概略フロー図である。
【0114】
以下では、
図1Bに示した吸引装置100Bに関し、制御部116Bにより実行される動作を示すが、吸引装置100の動作はこれに限定されない。例えば、
図1Aに示した吸引装置100Aに対しても同様に適用可能である。また、吸引装置100Bとして、
図4A及び
図4Bに示したパネル10B及び本体ハウジング20Bを採用した例について示すが、吸引装置100の動作はこれに限定されない。例えば、
図3A及び
図3Bに示した吸引装置100Bのパネル10A及び本体ハウジング10Aに対しても同様に適用可能である。更に、
図5A及び
図5Bに示される各ステップは例示に過ぎず、任意の他のステップが含まれてもよいし、特に注記する場合を除き、各ステップの動作順序もこれらに限定されない。
【0115】
最初に、ユーザがパネル10Bを本体ハウジング20Bに取り付けることに関連し、制御部116Bは、センサ部112Bが取り付けを検出したかを判定する(S10)。前述のように、パネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付けが行われている場合には、本体ハウジング20Bが具備する磁石21Bによってパネル10Bに設けられた磁性体13Bが作用され、本体ハウジング20Bに対し磁場が印加された状態となっている。
【0116】
具体的には、制御部116Bは、本体ハウジング20Bに設けられた磁気センサ22Bに、印加されている磁場に基づく磁力を検出させる(S12)。パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられた場合には、本体ハウジング20Bに対し印加された磁場に基づく磁力が検出される(Yes)。他方、当該取り付けが行われていない場合には、このような磁場は検出されない(No)。つまり、磁力が検出される場合には、制御部116Bは、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられたものと判定する(S14)。
【0117】
センサ部112Bがパネル10Bの取り付けを検出した場合(S10:Yes)、吸引装置100Bは、ユーザによる電源の投入操作が可能な状態に遷移する。具体的には、吸引装置100Bは、操作ボタン24Bへの押下操作を受け付け可能な状態に遷移する。つまり、吸引装置100Bは、S10の結果、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給が可能な状態となり、加熱部121Bによる加熱動作を可能な状態とすることができる。
【0118】
なお、加熱部121Bによる加熱動作を可能な状態では、制御部116Bは、電力の供給のための要求を受けると、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給を許可することができる。このような要求には、例えば、ユーザの操作ボタン24Bの押下操作による要求、ユーザのシャッター50操作の結果、開口142が開放されたことに応じた要求、及び通信部115Bを介した外部装置からの要求が含まれる。
【0119】
引き続き、制御部116Bは、本体ハウジング20Bに取り付けられたパネル10Bに関連付けられるデータを、センサ部112Bに測定させる(S20)。具体的には、S10で検出した磁力の大きさを測定すればよい。
【0120】
他方、S10でパネル10Bの取り付けを検出していない場合(S10:No)、制御部116Bは、次のステップに進行させず、吸引装置100Bを起動させないようにするのがよい。つまり、吸引装置100Bは、ユーザが電源を投入することができない状態に維持するのがよい。何故ならば、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられていない状態で操作ボタン24Bが押下されることは正常な操作とはいえず、誤操作である可能性が高いからである。このような操作は安全性の面で適切でないことも想定されるので、操作ボタン24Bへの押下動作は許可されるべきではない。これにより、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給の動作を禁止することができる。
【0121】
S20で測定されたデータを用いて、パネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付が適正であるかについて判定するのがよい(不図示)。例えば、S10で検出した磁力の大きさが所定の閾値以上であるか、所定の範囲内にある場合には、当該取り付けが適正であると判定するのがよい。他方、磁力の大きさが所定の閾値未満であるか、所定の範囲内にはない場合には、当該取り付けは適正でないと判定するのがよい。そして、パネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付が適正でない場合には、やはり、安全性の面から、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給の動作を禁止するのがよい。このようにして、吸引装置100Bの安全性を向上させることができる。
【0122】
次いで、制御部116Bは、S20で測定されたデータに関連付けられる動作プロファイルを特定する(S30)。複数の動作プロファイルが記憶部114Bに予め格納されており、各動作プロファイルは、検出されることになる磁力の大きさに予め関連付けられている。例えば、S20で3.5kGから3.7kGの値の範囲の磁力が検出されたのであれば、第1動作プロファイルが特定される等である。一実施形態では、磁力の大きさはパネル10Bの種別に応じて異なるように構成される。また、特定される動作プロファイルは、加熱部121Bの加熱プロファイルが含まれる(後述)。
【0123】
その後、制御部116Bは、シャッター50により開口142が開放されたかをセンサ部112Bに検出させる(S40)。シャッター50が開口142を開放している場合、ユーザは、開口142を介してスティック型基材150を基材部151に挿入し、これを保持部140に保持させることができる。
【0124】
スティック型基材150が挿入された後、ユーザがパネル10Bを指で押し込むことによってパネル10Bを通じて操作ボタン(22A及び24B)を押下したのに応じて、制御部116Bは、センサ部112Bに操作ボタン24Bの押下を検知させる(S50)。これにより、吸引装置100Bが起動して、電源が投入された電源オンの状態に遷移する。なお、前述のように、パネル10Bが本体ハウジング20Bに取り付けられていなければ、操作ボタン24Bが押下された場合でも、誤操作防止の観点からこのような操作は受け入れられない。つまり、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給の動作は禁止されたままであり、許可されない。
【0125】
吸引装置100Bが電源オンの状態に遷移したのに応じて、制御部116Bは、電源部111Bに加熱部121Bへの電力の供給を開始させる(S60)。ステップS50でのユーザによる操作ボタン24Bの押下をトリガとしてS60を実行してよい。或いは、ユーザによる初回の吸引動作(パフ動作)をセンサ部112Bが検出したことをトリガとしてS60を実行してもよい。
【0126】
引き続き、制御部116Bは、S30で既に特定済みの動作プロファイルに基づいて、吸引装置100Bを動作させる(S70)。一実施形態では、吸引装置100Bは、次に説明する特定の加熱プロファイルに基づいてその動作が制御される。
【0127】
図6は、記憶部114Bに格納されている複数の加熱プロファイルに基づく吸引装置100Bの加熱部121Bの温度遷移を示したグラフ図である。グラフ上、縦軸は温度(摂氏℃)、横軸は時間(秒)を示している。ここでは、2つの加熱プロファイル#1及び#2の例がグラフに示されており、パネル10Bに関して測定されたデータに基づいて、何れかの加熱プロファイルが選択される。加熱プロファイル#1及び#2は例示に過ぎず、これらに限定されない。
【0128】
加熱プロファイル#1及び#2は何れも、温度上昇段階、高温加熱段階、温度降下段階、及び低温加熱段階で規定されている。加熱プロファイル#1は、何れの段階においても加熱プロファイル#2よりも加熱部121Bの温度が全体的に高くなるように規定されている。特に高温加熱段階の温度(最高温度)が高く、吸引装置100Bの動作は、ユーザにとっては吸いごたえのあるものとなる。他方、加熱プロファイル#2は、加熱プロファイル#1よりも温度が低く規定され、特に低温加熱段階の温度(最低温度)が低い一方、その持続時間が加熱プロファイル#1よりも長く、ユーザにとっては軽い吸いごたえで長い時間にわたり吸引を行うことができる。
【0129】
一実施形態では、取り付けられたパネル10Bの種別に応じて、加熱プロファイルが異なるものとなるように構成される。例えば、パネルの種別が「男性向けパネルa」であれば上記加熱プロファイル#1で動作するように、また、パネルの種別が「女性向けパネルb」であれば加熱プロファイル#2で動作するように、パネルの種別と加熱プロファイルを関連付けておくのがよい。
【0130】
つまり、一実施形態では、吸引装置100Bの動作において、ユーザがパネル10Bを取り付けるだけで、パネルの種別に応じた加熱プロファイルが自動的に設定されることになる。すなわち、ユーザは、吸引装置100Bの動作の設定のために、所定の設定操作を事前に把握して、電源を投入する都度設定操作を行う必要がなくなる。これにより、吸引装置100Bのユーザビリティを向上させることができ、ユーザの吸引装置100Bに対する満足感を向上させることができる。
【0131】
また、一般的に、吸引装置を使用するユーザが嗜好する設定は、大凡一意に決まるものと想定される。何故ならば、ユーザが吸引装置を保有している期間にわたり、ユーザによる喫味の好み等はあまり変わることがないと考えられるからである。すなわち、一実施形態に係る吸引装置100の構成によれば、本体ハウジング20Bに、ユーザの嗜好に応じた設定内容を有するパネル10Bを取り付けさえすれば、その期間は吸引装置100Bに対し、その設定内容をデフォルトのものとして維持させることができる。これにより、ユーザによる吸引装置100Bの設定操作に伴う種々の負担をユーザから低減させることができ、ユーザの吸引装置100Bに対する満足感を向上させることができる。なお、取り付けられるパネル10Bに関連付けられる吸引装置100Bの設定内容は、その後、ユーザの所定の入力操作を通じて更に変更可能とするのがよい。
【0132】
<<5.変更例>>
(1)吸引装置の構成に関する変更例1
吸引装置に関する上記説明においては、本体ハウジング20に磁気センサ(23A及び22B)を設け、パネル10に設けた磁場印加部(磁石13A及び磁性体13B)からの磁場を検出するものとした。本変形例では、このような磁気センサに限定されず、例えば、一対の発光素子及び受光素子を備える反射型フォトセンサを使用してもよい。具体的には、反射型フォトセンサを本体ハウジング20Bに設け、その発光素子からの光がパネル10に設けた反射光で反射されて、その反射光を受光素子で検出するようにしてもよい。
【0133】
(2)吸引装置の動作に関する変更例2
吸引装置の動作に関する上記説明においては、S10でパネル10Bの取り付けを検出しない場合(No)、制御部116Bは、次のステップに進行させず、吸引装置100Bを起動させないようにした。つまり、吸引装置100Bは、ユーザが電源を投入することができない状態に維持するものとした。
【0134】
本変形例では、これに加えて、或いはこれに代えて、吸引装置100Bの動作モードを遷移させないようにしてもよい。吸引装置100Bの動作モードには、動作異常時のエラーモード、一定時間動作がなされないときに自動的に移行されるスリープモード、及び加熱開始(S60)や無線通信等の通常動作を実行可能な通常動作モードが含まれる。つまり、S10でパネル10Bの取り付けを検出しない場合に、これら動作モード間の遷移が禁止される。
【0135】
吸引装置100Bをこのように構成するのは、主に安全性の観点に基づいている。吸引装置100Bは、加熱部121Bが発した熱を吸引装置100Bの外に漏らさないようにしなければならない。一実施形態に係る吸引装置100Bにおいても、少なくとも熱がパネル10Bの外に漏れてユーザがやけど等をすることのないよう、安全性に最大限配慮する必要がある。
【0136】
(3)吸引装置の動作に関する変更例3-1
上記吸引装置100Bの動作に関する上記変更例1にも関連し、吸引装置100Bの動作に関する上記説明においては、S10でパネル10Bが検出されていることを前提にして、S60で吸引装置100Bが電源オンの状態に遷移したのに応じて、制御部116Bは、S70で電源部111Bに加熱部121Bへの電力の供給を開始させるものとした。つまり、パネル10Bが検出されない限りは、吸引装置100Bは、電源オンの状態に遷移せず、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給の動作が許可されない(つまり、禁止される)。
【0137】
本変形例では、電源部111Bに加熱部121Bへの電力の供給の条件はこれに限定されない。具体的には、制御部116Bは、センサ部112Bで測定されるデータの値が所定の範囲内であり、且つ、パネル10Bの押し込みを通じて操作ボタン(22A及び24B)が押圧された場合に、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給を許可するように構成してもよい。例えば、磁気センサ(23A及び22B)で検出される磁力の大きさが3.5kGから5.0kGの範囲内にあるときに、パネル10Bを通じて操作ボタン(22A及び24B)が押圧された場合に、電力の供給を許可するのがよい。一方、検出される磁力の大きさが当該3.5kGから5.0kGの値の範囲内にない場合には、電力の供給が依然として許可されない。
【0138】
これにより、第三者によって模倣されたパネルの使用を排除することができる。また、劣化した磁石が設けられたパネルの使用を適切に制限することができ、吸引装置の安全性を向上させることができる。更に、ユーザの鞄等において、磁力を有する物体が本体ハウジングの近傍に偶然位置するような場合も、所定の範囲を予め規定しておくことで、吸引装置の誤作動を防止することができ、省電力性の点でも有利となる。
【0139】
(4)吸引装置の動作に関する変更例3-2
上記に代えて、制御部116Bは、S20でのパネル10Bの本体ハウジング20Bへの取り付けと、S40でのシャッター50による開口142の開放との両方がセンサ部112Bによって検出された場合に、電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給を許可するように構成してもよい。これにより、吸引装置の安全性を向上させることができる。
【0140】
(5)吸引装置の動作に関する変更例4
吸引装置100Bの動作に関する上記説明においては、S20でセンサ部112Bが測定したデータに基づいて、S30で動作プロファイル(特に、吸引装置100Bの加熱プロファイル)を特定するものとした。本変形例では、これに加えて、S20でセンサ部112Bが測定したデータに応じて、通信部115Bの動作を有効化又は無効化させるように制御部116Bが通信部115Bの動作を制御してもよい。
【0141】
吸引装置100Bは、通信部115Bによる外部装置との無線通信を通じて、記憶部114B内に記憶された吸引装置100Bの各種設定情報及び/又はファームウェアのアップデートが可能とされる。また、外部装置との間で、ユーザの情報及び/又はユーザの吸引情報を送受信することができる。特に、吸引装置100Bは、通信部115Bを介して接続された外部装置からの命令に基づいて、例えば、通知部113Bの制御態様(発光、発声、振動等)、及び吸引時の加熱プロファイルの一部(加熱時に許容される温度範囲、加熱時間、吸引回数等)に関する情報を書き換え可能とされるのがよい。
【0142】
通信部115Bの無線通信の動作は、吸引装置100Bへのボタンの操作によって有効化又は無効化されるように構成さえるのがよい。例えば、ユーザの誤操作によって無線通信の動作を有効化してしまうと、徒に電力を消費してしまう虞がある。このことに鑑み、制御部116Bでは、例えば、取り付けられたパネルの種別が「男性向けパネルa」であれば、対応する加熱プロファイル#1で加熱動作を実行する一方、通信部115Bの無線通信の動作を無効化するように構成されるのがよい。これに対し、パネルの種別が「女性向けパネルb」であれば、対応する加熱プロファイル#2で加熱動作を実行するのに加えて、通信部115Bの無線通信の動作を有効化するように構成されるのがよい。これにより、ユーザのボタンの誤操作等によって、徒に電力を消費することを防ぐことができる。
【0143】
(6)吸引装置の動作に関する変更例5
吸引装置100Bの動作に関する上記説明においては、S30で動作プロファイルが特定され、S70でその動作プロファイルに基づいて吸引装置100Bを動作させるものとした。ここでの動作プロファイルは、加熱部121Bの加熱プロファイルに関するものであった。本変形例では、これに加えて、或いはこれに代えて、動作プロファイルは、1つ以上のLEDを含む通知部113Bの発光プロファイルとしてもよい。
【0144】
具体的には、S30で、制御部116Bは、動作プロファイルとして、LEDの発光色、発光周期、及び発光パターン(赤色と青色を交互に発光する等)のうち1つ以上に関連付けられる発光プロファイルを特定するのがよい。そして、S70で、制御部116Bは、吸引装置100Bで吸引成分を生成している期間と、吸引成分を生成していない期間とのうちの少なくとも一方に対し、特定された発光プロファイルに基づいて吸引装置100Bを動作させるように構成されるのがよい。これにより、ユーザによる吸引装置100Bの設定操作に伴う種々の負担をユーザから低減させることができ、ユーザの吸引装置100Bに対する満足感を向上させることができる。
【0145】
(7)吸引装置の動作に関する変更例6-1
吸引装置100Bの動作に関する上記説明においては、S60で制御部116Bが電源部111Bに加熱部121Bへの電力の供給を開始させ、そして、S70で動作プロファイルに基づいて吸引装置100Bを動作させるものとした。
【0146】
本変形例では、これに加えて、S70で電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給が行われている途中でセンサ部112Bによってデータが測定されなくなった場合に、制御部116Bは電力の供給の動作を停止するように構成してもよい。具体的には、センサ部112Bによってデータが測定されなくなる場合とは、加熱の途中でパネル10Bが本体ハウジング20Bから取り外された場合のことが想定される。すなわち、安全性の観点から、電力の供給を強制的に停止すべきである。また、通信部115Aを通じて外部装置との間でデータの通信を行っている最中であるような場合も、制御部116Bは、通信部115Bの通信機能を強制的に無効化するのがよい。これにより、吸引装置100Bの安全性を更に向上させることができる。
【0147】
(8)吸引装置の動作に関する変更例6-2
これに加えて、S70で電源部111Bから加熱部121Bへの電力の供給が行われている途中で、センサ部112Bがシャッター50による開口142の閉塞を検出した場合も、制御部116Bは、電力の供給の動作を停止するように構成してもよい。電力の供給の途中で、シャッター50への操作がなされることは通常想定しにくいからである。これにより、吸引装置100Bの安全性をより一層向上させることができる。
【0148】
<他の実施形態>
上述の説明において、幾らかの実施形態に係る吸引装置及び方法が図面を参照して説明された。本開示は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、吸引装置を動作させる方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体としても実施され得ることが理解される。
【0149】
以上、本開示の実施形態が、その変更例及び適用態様と共に説明されたが、これらは例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良等を適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0150】
10,10A,10B…パネル、11A,13A,14A,15B,21A,21B,24A,25B…磁石、11B・・・基部、12B・・・脚部、12A,14B…突起、13B・・・磁性体、18・・・表示部、20,20A,20B…本体ハウジング、22A,24B・・・操作ボタン、22B,23A・・・磁気センサ、25A,23B・・・表示窓、26A,26B・・・磁力検出領域、30…本体、40…ハウジング、50…シャッター、100(100A、100B)…吸引装置、110…電源ユニット、111A,111B…電源部、112A,112B…センサ部、113A,113B…通知部、114A,114B…記憶部、115A,115B…通信部、116A,116B…制御部、120…カートリッジ、121A,121B…加熱部、122…液誘導部、123…液貯蔵部、124…マウスピース、130…香味付与カートリッジ、131…香味源、140…保持部、141…内部空間、142…開口、143…底部、144…断熱部、150…スティック型基材、151…基材部、152…吸口部、180…空気流路、181,191…空気流入孔、182,192…空気流出孔