(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)を含む物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/00 20060101AFI20241023BHJP
B29C 67/20 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C08J9/00 A CFH
B29C67/20 B
(21)【出願番号】P 2022560256
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021025034
(87)【国際公開番号】W WO2021202628
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ラビ グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ガイ エー.スブリグリア
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-253774(JP,A)
【文献】特開平09-059387(JP,A)
【文献】特開昭61-192323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00- 5/02、 5/12- 5/22
C08J 9/00- 9/42
B29C 44/00-44/60、55/00-55/30
B29C 61/00-61/10、67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
130℃~150℃の融点及びフィブリルによって相互接続されたノードの微細構造を有する、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜を含んでなり、前記フィブリルはそれぞれ伸長鎖結晶を含む、物品。
【請求項2】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは少なくとも70%の結晶化度を有する、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は30%を超える気孔率を有する、請求項1又は2記載の物品。
【請求項4】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に1MPa~50MPaのマトリックス引張強度をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項記載の物品。
【請求項5】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に100MPa~1000MPaのマトリックス弾性率を有する、請求項1~4のいずれか1項記載の物品。
【請求項6】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、350kDa~5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含む、請求項1~5のいずれか1項記載の物品。
【請求項7】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する、請求項1~6のいずれか1項記載の物品。
【請求項8】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのコモノマーを0.001モル%~10モル%の量でさらに含む、請求項1~7のいずれか1項記載の物品。
【請求項9】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのフィラー材料を含む、請求項1~8のいずれか1項の物品。
【請求項10】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、その中に生物活性部分を含む、請求項1~9のいずれか1項記載の物品。
【請求項11】
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、請求項1~10のいずれか1項記載の物品。
【請求項12】
前記フィブリルはポリマー鎖を含み、前記ポリマー鎖はフィブリル軸に沿って配向している、請求項1~11のいずれか1項記載の物品。
【請求項13】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、繊維、チューブ、テープ、シート又は三次元自立構造の形態である、請求項1~12のいずれか1項記載の物品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項記載のポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)物品を含む、複合材。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項記載のポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品又は請求項14記載の複合材を含む、ラミネート。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか1項記載の多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を含む、デバイス。
【請求項17】
基材上にポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液をキャストしてポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを乾燥させて乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、及び、
前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを前記基材から除去すること、
さらに
前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを延伸して、ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を形成すること
を含
み、前記フィブリルはそれぞれ伸長鎖結晶を含む、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法。
【請求項18】
乾燥は、空気乾燥、真空乾燥及びそれらの組み合わせを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー及び有機溶媒を含む、請求項17~19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記基材は多孔質又は非多孔質基材である、請求項17~20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記基材は非多孔質基材であり、前記非多孔質基材は、ガラス皿、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、請求項17~21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
延伸前に前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)キャストテープを所望のサイズに切断することをさらに含む、請求項17~22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する、請求項17~23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、30%を超える気孔率を有する、請求項17~24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に1MPa~50MPaのマトリックス引張強度を備える、請求項17~25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に100MPa~1000MPaのマトリックス弾性率を有する、請求項17~26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、請求項17~27のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)に関し、より具体的には、約130℃~約150℃の融点及びノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を含む多孔質物品に関する。ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含有する多孔質物品及び緻密物品の形成方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
微孔質フルオロポリマー膜が様々な用途に有用であることは、当該技術分野で知られている。微孔質フルオロポリマー膜から作られた物品は、靭性、衝撃強度、低摩擦係数、及び、溶媒及び腐食性化学物質による攻撃に対する耐性などの特性を備えている。微孔質フルオロポリマー膜に関連する好ましい特性のために、微孔質フルオロポリマー膜は、水ろ過、透析、電池セパレータ、ベント、脱塩及びガス分離などの様々な用途で利用されてきた。
【0003】
微孔質フルオロポリマー膜の物品は魅力的な特性を有し、多くの用途で使用されているが、フルオロケミカル化合物の使用から離れようとする最近の動きがある。したがって、フルオロポリマーが示す有望な特性を少なくとも示す非フルオロポリマー物品が当該技術分野で必要とされている。特に、融解温度未満で加工され、高強度、高気孔度及び高結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)物品の製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様(「態様1」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約130℃~約150℃の融点、少なくとも約70%の結晶化度、約30%を超える気孔率及びフィブリルによって相互接続されたノードの微細構造を含む。
【0005】
別の態様(「態様2」)によれば、態様1に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは少なくとも70%の結晶化度を有する。
【0006】
別の態様(「態様3」)によれば、態様1及び態様2に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は約30%を超える気孔率を有する。
【0007】
別の態様(「態様4」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を備える。
【0008】
別の態様(「態様5」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する。
【0009】
別の態様(「態様6」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含む。
【0010】
別の態様(「態様7」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する。
【0011】
別の態様(「態様8」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのコモノマーを約0.001モル%~約10モル%の量で含む。
【0012】
別の態様(「態様9」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのフィラー材料を含む。
【0013】
別の態様(「態様10」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、その中に生物活性部分を含む。
【0014】
別の態様(「態様11」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である。
【0015】
別の態様(「態様12」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記フィブリルはポリマー鎖を含み、前記ポリマー鎖はフィブリル軸に沿って配向している。
【0016】
別の態様(「態様13」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記フィブリルはそれぞれ伸長鎖結晶を含む。
【0017】
別の態様(「態様14」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、繊維、チューブ、テープ、シート又は三次元自立構造の形態である。
【0018】
別の態様(「態様15」)によれば、態様1~14のいずれか1つに加えて、複合材は前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)物品を含む。
【0019】
別の態様(「態様16」)によれば、態様1~14又は態様15のいずれか1つに加えて、ラミネートは、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を含む。
【0020】
別の態様(「態様17」)によれば、態様1~14のいずれか1つに加えて、デバイスは、多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を含む。
【0021】
1つの態様(「態様18」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法は、約130℃~約150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを潤滑化して、潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを形成すること、前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度で加圧してプリフォームを形成すること、及び60℃~140℃の温度で前記プリフォームを延伸させて、フィブリルによって相互接続されたノードの構造を有する多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することを含む。
【0022】
別の態様(「態様19」)によれば、態様18に加えて、前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度でカレンダ加工してプリフォームを形成すること、又は、前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度でラム押出してプリフォームを形成することを含む。
【0023】
別の態様(「態様20」)によれば、態様18及び態様19に加えて、延伸前に前記プリフォームから潤滑剤を除去することを含む。
【0024】
別の態様(「態様21」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する。
【0025】
別の態様(「態様22」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する。
【0026】
別の態様(「態様23」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を圧縮して緻密なポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することを含む。
【0027】
別の態様(「態様24」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーにフィラー材料及び生物活性部分の1つを添加することを含む。
【0028】
別の態様(「態様25」)によれば、上述の態様のいずれかに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である。
【0029】
1つの態様(「態様26」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法は、130℃~150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度で加圧及び加熱してプリフォーム物品を形成し、続いて60℃~140℃の温度で前記プリフォーム物品を延伸させて、多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することを含む。
【0030】
別の態様(「態様27」)によれば、態様26に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する。
【0031】
別の態様(「態様28」)によれば、態様26又は態様27に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する。
【0032】
別の態様(「態様29」)によれば、態様26~28に加えて、前記多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、約30%を超える気孔率を有する。
【0033】
別の態様(「態様30」)によれば、態様26~29に加えて、前記多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を圧縮して緻密なポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することを含む。
【0034】
1つの態様(「態様31」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法は、基材上にポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液をキャストしてポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープを乾燥させて乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、及び、微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを前記基材から除去することを含む。
【0035】
別の態様(「態様32」)によれば、態様31に加えて、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを延伸させて、ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を形成することを含む。
【0036】
別の態様(「態様33」)によれば、態様31又は態様32に加えて、乾燥は、空気乾燥、真空乾燥及びそれらの組み合わせを含む。
【0037】
別の態様(「態様34」)によれば、態様31~33のいずれか1つに加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である。
【0038】
別の態様(「態様35」)によれば、態様31~34に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー及び有機溶媒を含む。
【0039】
別の態様(「態様36」)によれば、態様31~35に加えて、前記基材は多孔質又は非多孔質基材である。
【0040】
別の態様(「態様37」)によれば、態様31~36に加えて、前記基材は非多孔質基材であり、前記非多孔質基材は、ガラス皿、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる。
【0041】
別の態様(「態様38」)によれば、態様31~37に加えて、延伸前に前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)キャストテープを所望のサイズに切断することを含む。
【0042】
別の態様(「態様39」)によれば、態様31~38に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する。
【0043】
別の態様(「態様40」)によれば、態様31~39に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約30%を超える気孔率を有する。
【0044】
別の態様(「態様41」)によれば、態様31~40に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を備える。
【0045】
別の態様(「態様42」)によれば、態様31~41に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する。
【0046】
別の態様(「態様43」)によれば、態様31~42に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する。
【0047】
1つの態様(「態様44」)によれば、緻密物品の製造方法は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末を2つのカレンダロールのニップに直接供給して、凝集性の緻密ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)テープを生成することを含む。
【0048】
1つの態様(「態様45」)によれば、方法は、基材上にポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液をキャストしてポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを溶媒誘起相分離のための非溶媒浴中に沈めること、前記基材から前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを除去すること、及び、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを乾燥させて微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成することを含む。
【0049】
別の態様(「態様46」)によれば、態様45に加えて、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを延伸させて、ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を形成することを含む。
【0050】
別の態様(「態様47」)によれば、態様45又は態様46に加えて、延伸前に乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを切断することを含む。
【0051】
別の態様(「態様48」)によれば、態様45~47に加えて、前記基材は多孔質又は非多孔質基材である。
【0052】
別の態様(「態様49」)によれば、態様45~48に加えて、前記基材は非多孔質基材であり、前記非多孔質基材は、ガラス皿、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる。
【0053】
別の態様(「態様50」)によれば、態様45~49に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する。
【0054】
別の態様(「態様51」)によれば、態様45~50に加えて、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である。
【0055】
別の態様(「態様52」)によれば、態様45~51に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約30%を超える気孔率を有する。
【0056】
別の態様(「態様53」)によれば、態様45~52に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を備える。
【0057】
別の態様(「態様54」)によれば、態様45~53に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する。
【0058】
別の態様(「態様55」)によれば、態様45~54に加えて、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含む。
【0059】
1つの態様(「態様56」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーから形成されたポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは、少なくとも約70%の結晶化度、1~5の多分散及び約350kDa~約5MDaの重量平均分子量を有する。
【0060】
別の態様(「態様57」)によれば、態様56に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは不透明である。
【0061】
別の態様(「態様58」)によれば、態様56又は態様57に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは、キャスト法、溶媒誘起キャスト法、ペーストカレンダ法又はペースト押出法を利用して形成されたものである。
【0062】
1つの態様(「態様59」)によれば、物品は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを含む。
【0063】
別の態様(「態様60」)によれば、態様59に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である。
【0064】
別の態様(「態様61」)によれば、態様59又は態様60に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する。
【0065】
別の態様(「態様62」)によれば、態様59~61に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する。
【0066】
1つの態様(「態様63」)によれば、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法は、約130℃~約150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを潤滑剤により潤滑化してポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)粉末/潤滑剤混合物を形成すること、及び、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)粉末/潤滑剤混合物をペースト押出して、凝集性PTMPSビーズ、テープ、チューブ又は三次元自立構造を形成することを含む。
【0067】
別の態様(「態様64」)によれば、態様63に加えて、ペースト押出前に前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末/油混合物をタンブリングすることを含む。
【0068】
別の態様(「態様65」)によれば、態様63又は態様64に加えて、ペースト押出前に前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末/油混合物を熱調整することを含む。
【0069】
別の態様(「態様66」)によれば、態様63~65に加えて、凝集性ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマービーズを延伸させて延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜を形成することを含む。
【0070】
別の態様(「態様67」)によれば、態様63~66に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する。
【0071】
別の態様(「態様68」)によれば、態様63~67に加えて、前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施形態を示し、記載と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0073】
【
図1A】
図1Aは、幾つかの実施形態によるPTMPSフィルムの空気側の細孔構造を示す、例3の乾燥キャストPTMPSフィルムの走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0074】
【
図1B】
図1Bは、幾つかの実施形態によるPTMPSフィルムのガラス側の細孔構造を示す、例3の乾燥キャストPTMPSの走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0075】
【
図1C】
図1Cは、幾つかの実施形態による例3の乾燥キャストPTMPSフィルムの断面図の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0076】
【
図2A】
図2Aは、例4の一軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、キャストPTMPS膜のガラス側にノードアンドフィブリル微細構造が存在することを示している。
【0077】
【
図2B】
図2Bは、例4の一軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態によるキャストPTMPS膜の空気側に微孔質ノードアンドフィブリル微細構造が存在することを示している。
【
図2C】
図2Cは、例4の一軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態によるキャストPTMPS膜の空気側に微孔質ノードアンドフィブリル微細構造が存在することを示している。
【0078】
【
図3A】
図3Aは、例5の二軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真であり、幾つかの実施形態によるキャストPTMPS膜のガラス側のノードアンドフィブリル微細構造の存在を示す。
【0079】
【
図3B】
図3Bは、例5の二軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態によるキャストPTMPS膜の空気側にノードアンドフィブリル微細構造が存在することを示している。
【
図3C】
図3Cは、例5の二軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態によるキャストPTMPS膜の空気側にノードアンドフィブリル微細構造が存在することを示している。
【0080】
【
図3D】
図3Dは、幾つかの実施形態による例5のPTMPS膜の断面図の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0081】
【
図4】
図4は、例8の一軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態によるノードアンドフィブリル微細構造を示している。
【0082】
【
図5】
図5は、例10のPTMPS膜の断面図の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態による微孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示している。
【0083】
【
図6】
図6は、例16の延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態による、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示す。
【0084】
【
図7】
図7は、例17の延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真であり、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示している。
【0085】
【
図8】
図8は、例18の二軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、幾つかの実施形態による、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示している。
【0086】
【
図9】
図9は、幾つかの実施形態による、127℃での沈殿したPTMPSポリマーの融点を示す示差走査熱量測定(DSC)である。
【0087】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、129℃でのPTMPS粉末の融点を示すDSCである。
【0088】
【
図11】
図11は、同時に二軸延伸されたPTMPS膜のSEMである。そして
【0089】
【
図12】
図12は、フィブリルに関連する伸長鎖結晶を示すDSCである。
【発明を実施するための形態】
【0090】
当業者は、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって、本開示の様々な態様を実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されていることがあり、その点で、図は限定と解釈されるべきではないことにも留意されたい。「溶融温度」、「融解温度」及び融点という用語は、本明細書で交換可能に使用できることを理解されたい。
【0091】
本開示は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)(PTMPS)膜、及びポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)の溶融温度未満で加工され、高強度、高気孔率及び高結晶化度を有する多孔質物品に関する。PTMPSポリマーの結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。さらに、PTMPS膜は、約130℃~約150℃の、PTMPSポリマーと比較してより高く、より広い溶融温度を有し、元のラメラ結晶が伸長鎖結晶に部分的に転化されたことを示す。さらに、PTMPS膜は非対称であることができ、これは、PTMPS膜の一方の側で観察される細孔構造が、PTMPS膜の反対側にある細孔構造とは異なることを意味する。幾つかの実施形態において、多孔質PTMPS膜サンプルの走査電子顕微鏡法(SEM)に基づいて、細孔サイズは、PTMPS膜の一方の側からPTMPS膜の反対側に向かって次第に大きくなる。
【0092】
PTMPSポリマー形成
PTMPSポリマーの形成において、1つの実施形態において、ジャケット付きガラス反応器中で例1(以下に記載)で生成された1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーに無水ベンゼンを添加して、反応混合物を形成する。反応混合物を高い還流温度に加熱しながら、テトラメチルグアニジニウムビス-2-エチルヘキサノエート触媒を反応器に加える。次いで、反応混合物を還流させる。還流後に、反応混合物を35℃に冷却し、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)(PTMPS)ポリマーをメタノール中で沈殿させる。PTMPSポリマーを真空下で乾燥させる。乾燥したPTMPSポリマーは、約460キロダルトン(kDa)の重量平均分子量及び1.8の多分散を有する。沈殿したPTMPSポリマーの融点は、示差走査熱量測定(DSC)に基づいて127℃である(
図9を参照されたい)。
【0093】
別の実施形態において、PTMPSポリマーは、例1で生成されたとおりの1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーに無水ベンゼンを反応器中で添加してスラリーを作製することによって形成されうる。反応混合物を高い還流温度に加熱しながら、テトラメチルグアニジニウムビス-2-エチルヘキサノエート触媒を反応器に加える。PTMPSポリマーを室温でメタノール中で沈殿させ、真空下で乾燥させる。乾燥したPTMPSポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して特性化される。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、1.7の多分散で356キロダルトン(kDa)であると決定される。
【0094】
さらなる実施形態において、PTMPSポリマーは、例11で調製されるとおりの1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーに無水トルエンを添加してスラリーを作製することによって作製されうる。次に、反応混合物を高い還流温度に加熱しながら、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン触媒を反応器に加える。PTMPSポリマーを室温でメタノール中で沈殿させ、真空下で乾燥させる。乾燥したPTMPSポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して特性化される。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、2の多分散で100万ダルトン(1MDa)であると決定される。
【0095】
さらに別の実施形態において、PTMPS粉末は、PTMPSポリマーから製造することができる。例えば、以下の例2で生成されるとおりのPTMPSポリマーは、ジャケット付きガラス反応器内で1,3,5-トリメチルベンゼン中に溶解されうる。反応器を80℃の温度で3時間維持した後に、反応器を冷却し、反応混合物を穏やかに攪拌する。24時間後に、PTMPSの結晶化粒子は反応器内に見える。PTMPS湿潤粉末を過剰のメタノールで洗浄し、乾燥してPTMPS粉末を得る。PTMPS粉末の融点は、DSCを使用して129℃である(
図10を参照されたい)。
【0096】
ペースト加工PTMPSポリマー粉末
1つの実施形態において、PTMPSポリマー粉末は、PTMPSポリマー粉末のペースト加工によって微孔質物品に形成されうる。PTMPSポリマー粉末から多孔質物品を形成するときに、PTMPSポリマー粉末は、最初に軽油などの潤滑剤と混合される。他の適切な潤滑剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられ、可燃性、蒸発速度及び経済的考慮事項に従って選択される。本明細書で使用されるときに、「潤滑剤」という用語は、プロセス条件でポリマーの溶媒ではない非圧縮性流体を含む(又はからなる)加工助剤を記載することを意図することを理解されたい。流体とポリマーの表面相互作用により、均一な混合物を作ることができる。潤滑剤の選択は特に限定されず、潤滑剤の選択は主に安全性と利便性の問題であることにも留意されたい。流体-ポリマー表面相互作用が均一な混合物を生成できるようなものである限り、本明細書に記載の潤滑剤のいずれも潤滑剤として利用できることを理解されたい。潤滑剤は、約1ml/100g~約100ml/100g、又は約10ml/100g~約70ml/100gの比でPTMPSポリマー粉末に添加されうる。
【0097】
少なくとも1つの実施形態において、PTMPSポリマー粉末及び潤滑剤は、混合物中に潤滑剤を均一又は実質的に均一に分布させるように混合される。本明細書で使用されるときに、「実質的に均一」とは、粉末の目に見える凝集が見られないように、粉末が可能な限り均一に分布していることを表すことを意味する。PTMPSポリマー粉末を潤滑剤中に分布させるために、様々な時間及び混合方法を使用できることを理解されたい。1つの実施形態において、潤滑化PTMPSポリマー粉末は、PTMPSポリマー粉末の融解温度より低く、かつPTMPSポリマーの固体/状態遷移である70℃より高い温度まで加熱される。粒子間結合を形成し、固体形状を作成するために、十分な圧力及びせん断を加えることができる。PTMPSポリマーの溶融温度を超えることなく形成されうる固体形態の非限定的な例としては、繊維、チューブ、テープ、シート及び三次元自立構造が挙げられる。圧力及びせん断を加える方法の非限定的な例としては、ペースト押出(例えば、ラム押出、カレンダ加工及びそれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0098】
1つの実施形態において、PTMPSポリマー粉末及び潤滑剤がブレンドされると、PTMPSポリマー粉末はカレンダ加工されて、凝集性可撓性テープが製造される。本明細書で使用されるときに、「凝集性」という用語は、さらなる加工のために十分に強いテープを記載することを意図する。カレンダ加工は、例えば約140℃以下、又は60℃~140℃、75℃~130℃、80℃~125℃、90℃~120℃、又は80℃~110℃など、PTMPSポリマーの融点未満の温度で行われる。形成されるテープの長さは不定で、厚さは100μm未満である。約10μm~約500μm、約15μm~約250μm、又は約25μm~約150μmの厚さを有するテープを形成することができる。別の実施形態において、潤滑化PTMPSポリマー粉末をラム押出して、凝集性PTMPSテープを製造することができる。
【0099】
次の工程において、潤滑剤をPTMPSテープから除去することができる。鉱油が潤滑剤として使用される場合において、潤滑剤は、メタノール、ヘキサン又は他の適切な溶媒でテープを洗浄することによって除去されうる。洗浄溶媒は、潤滑剤に対する優れた溶解性と、PTMPSポリマーの融点未満で除去されるのに十分な揮発性を有するように選択される。潤滑剤が十分な揮発性を有するならば、潤滑剤は洗浄工程なしで除去されることができ、又は、熱及び/又は真空によって除去されることができる。次いで、PTMPSテープは、場合により、乾燥させられ、典型的には空気乾燥によって乾燥させられる。しかしながら、PTMPSテープを加熱する温度がPTMPSポリマーの融点未満のままである限り、任意の従来の乾燥方法を使用することができる。
【0100】
テープは、乾燥すると、延伸のために適切なサイズに切断されうる。サンプルの延伸は、PTMPSポリマーの溶融温度より低い温度で起こる。幾つかの実施形態において、サンプルは、60℃~140℃、75℃~130℃、80℃~125℃、90℃~120℃、又は80℃~110℃の温度で延伸される。サンプルは、多孔質(例えば、微孔質)PTMPS膜を形成するために、1つ以上の方向(すなわち、一軸又は二軸)に延伸されうる。PTMPSテープの二軸延伸は、順次又は同時に発生することができる。一軸又は二軸のいずれかの延伸は、約0.1%/秒~約1000%/秒、約1%/秒~約500%/秒、又は約10%/秒~約100%/秒の速度で行うことができる。延伸した膜の多孔質微細構造は、延伸する温度及び速度の影響を受ける。ノードアンドフィブリルの幾何形状は、PTMPSポリマーの選択、延伸速度、延伸温度及び/又は延伸の総量によって制御できる。テープはまた、例えば多孔質PTMPS物品への連続加工にも適している。さらに、多孔質PTMPSポリマー膜を圧縮して、10%以下の気孔率を有する緻密なポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することができる。
【0101】
多孔質PTMPS物品を形成するためのキャスト方法
少なくとも1つの実施形態において、PTMPSポリマーは、キャスト法によって微孔質物品に形成されうる。幾つかの実施形態において、上記のように形成されたPTMPSポリマーを、p-キシレンなどの有機溶媒を含む溶液に入れ、所望のwt%のPTMPS溶液を作製する。1つの例として、p-キシレンをPTMPSポリマーに添加して、1%溶液、3%溶液、5%溶液、7%溶液、10%溶液、12%溶液、15%溶液、17%溶液又は20%溶液(「PTMPS溶液」)を作ることができる。本明細書で使用するのに適した有機溶媒の他の非限定的な例としては、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)及びキシレンが挙げられる。1つのキャスト法において、PTMPS溶液をガラス皿又は板などの非多孔質基材上にキャスト又は配置し、そして空気乾燥させることができる。空気乾燥したら、PTMPSキャストテープを非多孔質基材(例えば、ガラス皿)から剥離し、真空下でさらに乾燥させる。PTMPSキャストテープを形成するために使用できる他の適切な非多孔質基材としては、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0102】
1つの例として、上記のようなPTMPS溶液は、ガラス板などの非多孔質基材上、あるいは多孔質基材上にキャストして湿潤テープを形成することができる。次に、PTMPS湿潤テープをイソプロパノール(IPA)又はメタノールなどの非溶媒に沈めて、溶媒誘起相分離を行い、PTMPSキャストテープを形成する。PTMPS溶液を作製するために使用される溶媒と混和性であるPTMPSに対する任意の非溶媒が、キャスト法において使用されうることを理解されたい。溶媒誘起相分離の結果、不透明なPTMPSテープが得られ、それは多孔質又は非多孔質の基材(例えば、ガラス板)から剥がすことができる。次いで、PTMPSキャストテープを空気乾燥して残留溶媒を除去することができる。
【0103】
PTMPSキャストテープは、延伸に適したサイズに切断することができる。キャストテープの延伸は、PTMPSポリマーの溶融温度より低い温度で起こる。幾つかの実施形態において、PTMPSキャストテープは、60℃~140℃、75℃~130℃、80℃~125℃、90℃~120℃、又は80℃~110℃の温度で延伸される。PTMPSテープは、1つ以上の方向(すなわち、一軸又は二軸)に延伸させて、多孔質PTMPS膜を形成することができる。一軸又は二軸のいずれかの延伸は、約0.1%/秒~約1000%/秒、約1%/秒~約500%/秒、又は約10%/秒~約100%/秒の速度で行うことができる。二軸延伸は、順次に(すなわち、機械方向及び横断方向の延伸を別々に行う)又は同時に(すなわち、機械方向及び横断方向の延伸を同時に行う)行うことができる。PTMPSテープが延伸されると、延伸されたPTMPS膜はノードアンドフィブリル構造を有する。本明細書で規定されるとおりのノードは、少なくとも3つのフィブリルの接続点を記載することを意味する。延伸PTMPS膜の多孔質微細構造は、テープ形成プロセスの条件(例えば、使用する溶媒、テープを乾燥させる速度、溶液中のポリマーの濃度、使用する基材など)の影響を受ける。
【0104】
本明細書に記載の方法に従って製造される延伸PTMPSポリマー物品(例えば、延伸PTMPS膜)は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPa、約10MPa~約50MPa、約20MPa~約50MPa、約30MPa~約50MPa、又は約40MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を有する。さらに、延伸PTMPS物品は、少なくとも1つの方向において、約100MPaを超える、約250MPaを超える、又は約500MPaを超える、又は1000MPa以下のマトリックス弾性率を有する。延伸PTMPSポリマー物品のマトリックス弾性率は、約100MPa~約1000MPa、約200MPa~約1000MPa、約300MPa~約1000MPa、約400MPa~約1000MPa、約500MPa~約1000MPa、約600MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約800MPa~約1000MPa、又は約900MPa~約1000MPaの範囲であることができる。
【0105】
さらに、延伸PTMPSポリマー物品は、約30%を超え、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上の%気孔率を有する。幾つかの実施形態において、PTMPSポリマー物品は、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%又は約80%~約90%の気孔率を有することができる。
【0106】
PTMPSポリマーは高い結晶化度を有する。本明細書で使用されるときに、「高結晶化度」という語句は、DSCで測定して少なくとも70%の結晶化度を有するPTMPSポリマーを含むことを意味する。PTMPSポリマーは、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の結晶化度を有することができる。あるいは、PTMPSポリマーは、約70%~約95%、約80%~約95%、約85%~約95%又は約90%~約95%の結晶化度を有することができる。さらに、PTMPSポリマーは、約350kDa~約5MDa、約800,000kDa~約5MDa又は約1.5MDa~約5MDaの重量平均分子量を有する。
【0107】
本明細書で議論されるように、PTMPSポリマー物品はノードアンドフィブリル微細構造を有する。本明細書に記載のPTMPSポリマー及びPTMPS物品に関して、ノードは、より大きな体積のポリマーとして記載されることができ、ノードを通る同じフィブリルの明確な継続を伴わずにフィブリルが開始又は終了する場所である。ノードは、少なくとも3つのフィブリルの接続点でもある。少なくとも1つの実施形態において、PTMPSポリマー鎖はフィブリル軸に沿って配向される。PTMPS膜は融点が135℃~150℃と広く、元のラメラ結晶が伸長された鎖結晶に部分的に転化されていることを示している。PTMPSポリマーのより高い溶融温度(例えば、135℃~150℃)は、身長された鎖結晶を表す。さらに、各フィブリルは、
図12に示されるDSC曲線によって証明されるように、伸長された鎖結晶を含む。
【0108】
さらに、PTMPSポリマーは、少なくとも1つの追加のコモノマーを含有することができ、それによって変性PTMPSポリマーを形成することができる。PTMPSポリマーに含めることができる適切なコモノマーとしては、限定するわけではないが、m-ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、o-ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン又は式Iを有するコモノマーが挙げられる。コモノマーは、約0.001モル%を超える、約1モル%を超える、約5モル%を超える、約10モル%を超える、約15モル%を超える、又は約20モル%を超える量でコポリマー中に存在することができる。幾つかの実施形態において、コモノマーは、約0.001モル%~約30モル%、約0.001モル%~約25モル%、約0.001モル%~約20モル%、約0.001モル%~約15モル%、又は約0.001モル%~約10モル%、約0.01モル%~約5モル%又は約0.1モル%~約1モル%の量でコポリマー中に存在することができる。
【化1】
(上式中、R及びR’は、C
1~C
6アルキル又は芳香族基、例えば、フェニル環を含む芳香族基に属する)。
【0109】
さらなる実施形態において、緻密なPTMPSポリマー物品が提供される。緻密なPTMPS物品は、熱を加えて又は加えずに(ただし、PTMPSポリマーの融点未満のままで)、多孔質PTMPSポリマー膜を圧縮することによって形成することができる。圧力は、カレンダ加工又はプレートプレスによって加えることができる。別の実施形態において、PTMPSポリマー粉末を直接カレンダ加工して(すなわち、PTMPSポリマー粉末を2つのカレンダロールのニップに直接供給することができる)、凝集性緻密テープを製造することができる。形成される緻密テープの長さは不確定で、厚さは約1mm未満である。緻密テープは、連続的に処理することができ、又は、延伸に適したサイズに切断することができる。乾燥緻密テープの延伸は、PTMPSポリマーの溶融温度より低く、そしてPTMPSポリマーの固体/状態遷移である70℃より高い温度で起こる。一軸又は二軸のいずれかの延伸は、約0.1%/秒~約1000%/秒、約1%/秒~約500%/秒、又は約10%/秒~約100%/秒の速度で行うことができる。緻密化された物品を達成するために、様々な時間、温度及び圧力を利用することができることは、当業者に理解されるべきである。
【0110】
本明細書に記載のPTMPSポリマー物品の中又は上へのフィラー材料及び/又はコーティングの組み込みは、本発明の範囲内であると考えられる。例えば、フィラー材料は、カレンダ加工又はラム押出(及び場合により延伸)の前にPTMPSポリマーとブレンドすることができ、又はPTMPSポリマー物品上に配置し、適切なヒドロゲルで適所に固定することができる。適切なフィラー材料の非限定的な例としては、無機材料(例えば、シリカ)、カーボンブラック、エアロゲル、金属、半金属、セラミック、炭素/金属微粒子混合物、活性炭、ヒドロゲル材料、生物活性物質、硬化剤及びそれらの組み合わせが挙げられる。フィラー材料は、PTMPS物品の約1.0質量%~約80質量%、又は約20質量%~約60質量%、又は約1質量%~約30質量%の量で、PTMPSポリマー物品に組み込まれることができる。あるいは、適切な非反応性フィラー材料を、PTMPSポリマーの形成中にPTMPSポリマー物品に組み込むことができる。
【0111】
様々な成分を、PTMPS物品と共処理するか、又はその上及び/又は中に配置することができる。特に、成分(又は化学組成物)は、ポリマー合成中又は合成後のいずれかで、添加される成分がポリマー中で緊密に混合されるように、例えば、ブレンドで又はPTMPSポリマー鎖の共有結合成分として、PTMPSポリマーに添加されうる。添加される成分は、代替的に又は追加的に、延伸したPTMPSポリマーのフィブリルの表面上でポリマーの外側に配置されうる。さらに、その成分は、延伸PTMPS物品中のボイド空間(例えば、細孔)内又はフィブリル間に配置されうる。PTMPS物品に又はその中に添加される成分は、吸収性又は非吸収性であることができる。添加される組成物は、その中に放出可能に含まれる有用な物質を含むことができる。PTMPSポリマー又はPTMPS物品に添加され又は他の方法で含まれることができる成分の非限定的な例としては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体及び他の生物活性部分が挙げられる。
【0112】
本明細書に記載の多孔質PTMPS膜の利点としては、耐クリープ性、広範囲の温度、溶媒及び濃度での加工の容易さ、ならびに耐放射線性(例えば、ガンマ線)が挙げられる。さらに、PTMPS膜にはフルオロカーボンが含まれていない。他のタイプのシリコーン基材とは異なり、PTMPS膜は、架橋を必要とせずに高いマトリックス弾性率及びマトリックス引張強度を備えている。
【実施例】
【0113】
試験方法
特定の方法及び装置について以下に記載するが、当業者によって適切であると判断される他の方法又は装置を代わりに利用できることを理解されたい。以下の実施例は実験室規模で行われたが、連続又は半連続プロセスに容易に適応できることを理解されたい。
【0114】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータを、TA Instruments Discovery DSCを用いて、-50℃~160℃で10℃/分の加熱速度を用いて収集した。樹脂サンプルの場合に、約5mgの粉末を、TA Instrumentsから入手可能な標準的なパンアンドリッド組み合わせに入れた。膜のサンプルは、4mmのディスクを打ち抜くことにより調製した。4mmディスクをパンに平らに置き、リッドを圧着して、パンとリッドの間に膜ディスクを挟んだ。
【0115】
走査型電子顕微鏡写真(SEM)
SEMサンプルは、混合上部及び下部第二電子検出器を備えた日立SU8000電界放出走査型電子顕微鏡を使用して、1.0~10kVで撮像された。
【0116】
平均厚さ測定
ミユトヨ厚さ計(ミユトヨコーポレーション、川崎、日本)の2枚の板の間にサンプルを置くことによって厚さを測定した。3回の測定の平均を報告した。
【0117】
マトリックス引張強度及びマトリックス弾性率
マトリックス引張強度及びマトリックス弾性率は、動的機械分析器(DMA)(TA Instruments-Waters LLC、ニューキャッスル、デラウェア州、米国によって製造されたモデル:RSA-G2)上で軸試験を使用して、一定の一軸変位速度に対する応力応答を測定することによって測定された。膜の矩形試験片を幅4.7mmでダイカットした。DMAは、フィルム/ファイバー張力クランプが付属している。クランプのギャップは、室温の同じ試験条件で参照された。調製された試験片を、10mmのサンプル長さ/ギャップでDMAクランプに取り付けた。軸試験は、最大200秒間、0.1mm/秒の一定の変位速度を適用し、対応する一時的な軸力を測定することからなる。長手方向MTS測定では、サンプルの大きい方の寸法は、「機械方向」と呼ばれる延伸方向に向けられた。横断方向MTS測定では、サンプルの大きい方の寸法は、「横断方向」と呼ばれる延伸方向に対して垂直方向に向けられた。
【0118】
マトリックスの引張強度は、次の式を使用して計算された。
MTS=(最大応力/断面積)*(PTMPSの骨格密度)/サンプルの密度、
PTMPSの真/骨格密度は、ヘリウム比重計で測定して1.025g/ccであると考えられた。
【0119】
マトリックス弾性率を、次の式を使用して計算した。
マトリックス弾性率=(荷重-変位曲線の小さなひずみ勾配/断面積)*(PTMPSの骨格密度)/サンプルの密度
【0120】
ATEQを用いた空気流測定
PTMPS膜を通過する空気流は、ATEQ D570を使用して、圧力12mbar、サンプルポートサイズ2.99cm2で測定された。
【0121】
ヘリウム比重計を用いた気孔率測定
ヘリウム比重計(Micromeritics Instrument CorporationによるAccuPyc 1330 Pycnometer)を使用してPTMPSポリマーの真密度又は骨格密度を決定し、1.025g/cc(3回の測定の平均)であった。サンプルをダイカットして、9cm×5cmの矩形セクションを形成した。Mettler Toledo ML54 天びんを使用して各サンプルの重量を測定し、ミユトヨ厚さ計(ミユトヨコーポレーション、川崎、日本)を使用してサンプルの厚さを測定した。このデータを使用して、次の式でサンプルのかさ密度を計算できる。
【数1】
(上式中、
=かさ密度(g/cc)であり、
m=質量(g)であり、
w=幅(9cm)であり、
l=長さ(5cm)であり、
t=厚さ(cm)である)。
報告される結果は、少なくとも3回の計算の平均である。気孔率を次のように計算した。
【数2】
(上式中、P=%気孔率であり、
ρ
bulk =サンプルのかさ密度(g/cc)であり、
ρ=骨格密度である)。
【0122】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による平均の重量平均分子量
SECは、ShodexカラムKF-806L、KF-807L及びKF-803を備えたMalvern OMNISEC(登録商標)Reveal(Malvern PANanalytical、Westborough、MA)、0.8mL/分の流速でテトラヒドロフラン(Sigma-Aldrich、GPCグレード)溶媒、及び30℃で2~3mg/mLのPTMPS濃度で100μLの注入体積を用いて行った。
【0123】
結晶化度の測定
PTMPS結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)からの融解エンタルピーを使用して決定した。具体的には、PTMPSの融解エンタルピーは、10℃/分の速度で測定されたDSCデータを80℃~160℃で積分することによって決定した。結晶化度は、次の式で計算した。
【数3】
(上式中、ΔH(J/g)は上記のように計算されたPTMPS溶融エンタルピーであり、ΔH
0(J/g)は100%結晶性PTMPSの溶融エンタルピーである)。100%結晶性PTMPSについて、54J/gの値を使用した(参考文献:Gardellaら、J.Am.Chem.Soc.1983、105、4536~4541から取られた)。
【0124】
例1
テトラヒドロフランを用いた精製1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマー粉末の調製
29gの1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(Gelest Inc.、Tech-95、CAS番号2754-32-7)モノマーを125mLのテトラヒドロフラン(THF)(Sigma-Aldrich、CAS番号109-99-9)に溶解した。この溶液をWhatman(登録商標)グレード52ろ紙(Sigma-Aldrich、WHA1452090、硬化、低灰分)を通してろ過して、大きな不溶性不純物を除去した。1600mLのヘキサンで溶液を沈殿させることにより、モノマー粉末を再結晶化した(純度>=99%、Sigma-Aldrich)。再結晶したモノマー粉末をろ過し、真空下で室温(約22℃)で一晩乾燥させた。1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーの最終収率は70wt%であった。
【0125】
例2
ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)(PTMPS)ポリマーの調製
例1からの20gの精製1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマー粉末を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)撹拌ブレードを備えた125mLジャケット付きガラス反応器に添加した。ディーン・スターク凝縮器を反応器の出口の1つに接続して、反応副生成物として生成された水を収集した。ガラス器具を窒素で4時間パージした。その後、106gの無水ベンゼン(Sigma-Aldrich)を室温(約22℃)で反応器に添加して、モノマーを含むスラリーを作製した。反応混合物が還流温度(80℃)に達する間に、0.8wt%(モノマー重量に基づく)のテトラメチルグアニジニウムビス-2-エチルヘキサノエート触媒を反応器に添加した。反応物を4日間還流させた(80℃)。最後に、反応混合物を30℃に冷却することによって反応を停止し、メタノール(22℃)中でポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)(PTMPS)ポリマーを沈殿させ、次いで真空乾燥した。乾燥したPTMPSポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して特性化した。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、SECによって1.8の多分散で447キロダルトン(kDa)であると測定された。PTMPSポリマーの融点は、示差走査熱量測定に基づいて127℃であると決定された。PTMPSポリマーの結晶化度パーセントは、DSCからの溶融エンタルピーに基づいて68%であった。
【0126】
例3
1wt%溶液でのPTMPSキャストテープの調製
例2で調製したPTMPSポリマーを75℃でp-キシレン(Sigma-Aldrich)に溶解して、1wt%のp-キシレン溶液を作製した。溶液をガラスペトリ皿にキャストし、約22℃で乾燥させた。乾燥したPTMPSキャストテープをペトリ皿から剥がし、30℃で真空下でさらに乾燥させた。乾燥したPTMPSキャストテープは、ミツトヨデジマティックスナップゲージ(Mitutoyo America、Aurora、IL)を使用して、平均厚さが40μmであると測定された(3回の測定値の平均)。乾燥したPTMPSキャストテープの走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、テープの空気側(
図1A)からテープのガラス側(
図1B)までの細孔構造が非対称である多孔質形態を示した。
図1Cは、乾燥キャストPTMPSテープの断面図の走査型電子顕微鏡写真である。PTMPSテープの融点は、示差走査熱量測定(DSC)に基づいて126℃と測定された。PTMPSポリマーの%結晶化度は、DSCからの溶融エンタルピーに基づいて67%であった。
【0127】
例4
一軸延伸PTMPS膜の調製
例3で調製したPTMPSキャストテープからの長さ4インチ(約10.16cm)、幅1インチ(約2.54cm)の矩形サンプルを鋭利なカミソリの刃で切断し、2つの空気式グリップ(平面グリップ、「1124ポンド」(約5kN)のロードセル、及び、ビルトイン対流式オーブン(イリノイツールズワークス、マサチューセッツ州ノーウッド)を備えたInstron(登録商標)5965引張試験機)の間に拘束した。拘束されたPTMPSキャストテープを、120℃で20mmゲージ長で10分間、熱的に平衡化し、120℃で1.25%/秒の速度で元の長さの5倍まで一軸延伸して、一軸延伸PTMPS膜を形成した。一軸延伸PTMPS膜の走査型電子顕微鏡写真は、微孔質ノードアンドフィブリル微細構造の存在(ガラス側、
図2A、空気側、
図2B及び2C)を示した。一軸延伸PTMPS膜は、空気側からガラス側への観察された細孔構造に関して非対称であった。DSCを使用した熱分析は、融点がより高い温度にシフトし、135℃~150℃の広い融点が存在することを示し、元のラメラ結晶が伸長鎖結晶に部分的に転化したことを示した。
【0128】
例5
二軸延伸PTMPS膜の調製
長さ4インチ(約10.16cm)、幅1インチ(約2.54cm)の矩形サンプルを、例3で調製したPTMPSキャストテープから鋭利なカミソリの刃で切り取り、2つの空気式グリップ(ビルトイン対流式オーブンを備えたInstron(登録商標)5965引張試験機)の間に拘束した。PTMPSキャストテープの矩形サンプルを120℃で 10分間、ゲージ長20mmで熱的に平衡化し、120℃で元の面積の5倍の面積まで1%/秒の速度で二軸延伸して、二軸延伸PTMPS膜を形成した。二軸延伸PTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、微孔質ノードアンドフィブリル微細構造の存在を示した(ガラス側、
図3A、空気側、
図3B及び3C、断面図、
図3D)。二軸延伸膜は、空気側からガラス側まで観察された細孔構造に関して、非対称であった。
【0129】
例6
PTMPS微粉末の調製
例2で調製したとおりの2gのPTMPSポリマーを、ガラス撹拌棒を取り付けたガラスジャケット付き反応器内で、80℃で3時間、2リットルの1,3,5-トリメチルベンゼン(Sigma-Aldrich)中に溶解した。反応器を3℃に冷却し、次いで穏やかに撹拌しながら(100rpm)3℃で24時間維持した。24時間後に、反応器内にPTMPSの結晶化粒子が見えた。スターラを停止し、PTMPS粒子を粗いろ紙(VWR グレード 315; VWR International, Radnor, PA)を使用してろ過した。湿潤粉末を過剰のメタノール(純度>=99%、Sigma-Aldrich)で5回洗浄し、22℃で乾燥してPTMPSの微粉末を得た。PTMPS微粉末の融点は、DSCを使用して129℃であると決定した。PTMPSポリマーの%結晶化度は、DSCからの溶融エンタルピーに基づいて 85%であった(
図10)。
【0130】
例7
ペースト押出PTMPSテープの調製
例6で調製したPTMPS微粉末を、ガラスジャー内で鉱油(PTMPS微粉末100gに対して鉱油30g)と混合した。ガラスジャーに含まれるPTMPS粉末/鉱油混合物をジャーミル (U.S. Stoneware, East Palestine, OH)で1時間タンブリングさせ、室温(約22℃)で12時間静置した。次いで、PTMPS粉末/鉱油混合物を対流式オーブン内で50℃で30分間熱的に状態調整した。3フィート/分(約0.914m/分)の直線速度で移動する2つの共回転ローラの間に、熱的に調整された粉末を手で注いだ。ローラを120℃に設定し、ローラ間のギャップを25.4μmに設定して、厚さ約100μmの凝集性PTMPSテープを得た。凝集性PTMPSテープをヘキサン(純度>=99%、Sigma-Aldrich)で洗浄し、約22℃で鉱油を除去した。PTMPSテープの%結晶化度は、DSCからの融解エンタルピーに基づいて85%であった。
【0131】
例8
延伸PTMPS膜の調製
例7の凝集性PTMPSテープからの長さ4インチ(10.16cm)、幅1インチ(約2.54cm)の矩形サンプルを、鋭利なカミソリの刃を使用して切断し、サンプルを2つの空気式グリップ(ビルトイン対流式オーブンを備えたInstron(登録商標)5965引張試験機)の間に拘束した。拘束されたPTMPSテープサンプルは、ゲージ長10mmで10分間120℃で熱的に平衡化された後、1%/秒の速度で元の長さの2倍まで一軸延伸され、一軸延伸PTMPS膜が形成された。延伸PTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示した(
図4)。
【0132】
例9
テトラメチルグアニジニウムビス-2-エチルヘキサノエート触媒を使用したPTMPSポリマーの調製
例1からの16gの精製1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーを、PTFE攪拌ブレードを備えた125mLジャケット付きガラス反応器に添加した。ディーン・スターク凝縮器を反応器の出口の1つに取り付け、反応副生成物として生成される水を集めた。ガラス器具を窒素で数時間パージした。その後、85gの無水ベンゼン(Sigma-Aldrich)を約22℃で反応器に添加して、モノマーを含むスラリーを作製した。反応混合物が還流温度(80℃)に達する間に、0.84wt%(モノマー粉末の重量に基づく)のテトラメチルグアニジニウムビス-2-エチルヘキサノエート触媒(一般的な方法に記載のように調製)を反応器に添加した。反応を還流下(80℃)で3日間行った。3日目に、反応混合物を30℃に冷却することにより、反応を停止させ、室温(約22℃)でメタノール(Sigma-Aldrich、>99%)中でPTMPSポリマーを沈殿させ、次いで真空下で乾燥した。乾燥したPTMPSポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して特性化された。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、1.7の多分散で356キロダルトン(kDa)であると決定された。
【0133】
例10
PTMPSキャストテープの調製-メタノール相誘起分離-20wt%
例9で調製したPTMPSポリマーをp-キシレン(Sigma-Aldrich)に溶解して20wt%溶液を作った。この溶液を、3ミル(約76.2μm)のドローダウンバーを使用してガラス板にコーティングした。湿潤テープを、溶媒誘起相分離のために、すぐにメタノール(純度>99%、Sigma Aldrich)浴に沈めた。数分後、不透明なPTMPSキャストテープがガラス板から剥がされた。PTMPSキャストテープを約22℃で空気乾燥して余分な溶媒を除去した。乾燥したキャストPTMPSテープは、25~30μmの範囲の厚さを有することが決定された。0.25mLのメタノールを適用した後に、乾燥したPTMPSキャストテープがより透明になり、PTMPSキャストテープが微孔質であることを示していることが注目された(断面図、
図5)。微孔質PTMPSテープのマトリックス弾性率及びマトリックス引張強度は、動的機械分析器(Dynamic Mechanical Analyzer)(DMA、TA Instruments)を使用して測定した。PTMPSキャストテープは、212MPaのマトリックス弾性率及び6.5MPaのマトリックス引張強度を有することが決定された。PTMPSキャストテープは、ヘリウム比重計(Micromeritics AccuPyc 1330;Micromeritics Instrument Corp.、Norcross、GA)によって35%の気孔率を有することが決定された。PTMPSテープの%結晶化度は、DSCからの融解エンタルピーに基づいて71%であった。
【0134】
例11
ジクロロメタンを使用した精製1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーの調製
25gの1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマー(Gelest Inc.、Tech-95)を936mLのジクロロメタン(DCM、Sigma Aldrich)に溶解して、透明な溶液を調製した。この溶液をWHATMAN(登録商標)グレード52ろ紙を通してろ過して、大きな不溶性不純物を除去した。1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーは、溶液を-3℃で一晩冷蔵することによりろ過溶液から再結晶化した。再結晶した1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマー粉末を、粗いろ紙(VWRグレード315)を使用してろ過し、真空下で6時間(30℃で)乾燥させた。1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマー粉末の最終収率は70wt%であった。
【0135】
例12
1,1,3,3-テトラメチルグアニジン触媒を用いたPTMPS粉末の調製
例11からの9gの精製1,4ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼンモノマーを、PTFE撹拌ブレードを備えた125mLジャケット付きガラス反応器に添加した。ディーン・スターク凝縮器を反応器の出口の1つに取り付け、反応副生成物として生成される水を集めた。反応装置全体を窒素グローブボックスに入れた。その後、40gの無水トルエン(Sigma-Aldrich)を室温(約22℃)で反応器に添加して、スラリーを作製した。反応混合物が還流温度(115℃)に達する間に、0.24gの1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(Sigma-Aldrich、99%、カタログ241768-100ML)触媒を反応器に添加した。反応を還流下(115℃)で7日間行った。最後に、反応混合物を30℃に冷却することにより反応を停止した。PTMPSポリマーを室温(約22℃)のメタノール中に沈殿させ、次いで真空下で乾燥させた。乾燥したPTMPSポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して特性化した。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、2の多分散で100万ダルトン(1MDa)であると決定された。
【0136】
例13
相誘起分離のためのメタノールを使用したPTMPSキャストテープの調製-10wt%
例12で調製したPTMPSポリマーをp-キシレン(Sigma-Aldrich)に溶解して10wt%溶液を作製した。この溶液を、3ミル(約76.2μm)のドローダウンバーを使用してガラス板にコーティングした。湿潤テープを、溶媒誘起相分離のために、22℃のメタノール(Sigma-Aldrich)浴に直ちに沈めた。数分後に、不透明なPTMPSキャストテープをガラス板から剥がした。PTMPSキャストテープを空気中(約22℃)で乾燥させて、厚さ17μmを得た。0.25mLのメタノールを適用した後に、乾燥PTMPSキャストテープがより透明になり、PTMPSキャストテープが微孔質であることを示していることが注目された。PTMPSキャストテープの気孔率は、ヘリウム比重計(Micromeritics Accupyc 1330)によって決定して、34%であった。
【0137】
例14
相誘起分離のためにイソプロパノールを使用したPTMPSキャストテープの調製-10wt%
例12で調製したPTMPSポリマーをp-キシレン(Sigma-Aldrich)に溶解して10wt%溶液を作製した。この溶液を、3ミル(約76.2μm)のドローダウンバーを使用してガラス板にコーティングした。PTMPSキャストテープの溶媒誘起相分離のために、湿潤テープをすぐに22℃のイソプロパノール(IPA)(純度>=99%、Sigma-Aldrich)浴に沈めた。10分後に、不透明なPTMPSキャストテープがガラス板から剥がされた。PTMPSキャストテープを空気中(約22℃)で乾燥させて、厚さ30μmを得た。乾燥したPTMPSキャストテープは、0.25mLのメタノールを適用した後、より透明になり、PTMPSキャストテープが微孔質であることを示した。PTMPSキャストテープの気孔率は、ヘリウム比重計(Micromeritics Accupyc 1330)によって決定して、67%であった。
【0138】
例15
相誘起分離のためにイソプロパノールを使用したPTMPSキャストテープの調製-7wt%
例12で調製したPTMPSポリマーをp-キシレンに溶解して7wt%溶液を作製した。この溶液を、3ミル(約76.2μm)のドローダウンバーを使用してガラス板にコーティングした。PTMPSキャストテープの溶媒誘起相分離のために、湿潤テープをすぐにイソプロパノール(IPA)(Sigma-Aldrich)浴に沈めた。10分後に、不透明なPTMPSテープがガラス板から剥がされた。PTMPSキャストテープを空気中(約22℃)で乾燥させて、厚さ20μmを得た。乾燥したPTMPSキャストテープは、0.25 mLのメタノールを適用した後に、より透明になり、PTMPSキャストテープが微孔質であることを示した。PTMPSキャストテープの気孔率は、ヘリウム比重計で測定して、44%であった。
【0139】
例16
延伸PTMPS膜の調製
長さ4インチ(約10.16cm)、幅1インチ(約2.54cm)の矩形サンプルを、例14で調製したPTMPSキャストテープから鋭利なカミソリの刃を用いて切り取った。PTMPSテープのサンプルを、2つの空気式グリップ(ビルトイン対流式オーブンを備えたInstron(登録商標)5965引張試験機)の間で拘束した。拘束されたテープを120℃で10分間、ゲージ長20mmで熱的に平衡化した後に、10%/秒の速度で元の長さの2倍まで一軸延伸して、延伸PTMPS膜を形成した。延伸PTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、それが多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を含むことを示した(
図6)。0.25mLのメタノールを適用した後に、延伸PTMPS膜はより透明になった(これは、延伸PTMPS膜が微孔質であることを示している)。延伸PTMPS膜の気孔率は、ヘリウム比重計で測定して、87%であった。微孔質PTMPS膜の弾性率及びマトリックス引張強度は、動的機械分析器(Dynamic Mechanical Analyzer) (DMA、TA Instruments) を使用して決定した。延伸PTMPS膜は、278MPaの弾性率及び5MPaのマトリックス引張強度を有していた。
【0140】
例17
プレスされた膜からの延伸PTMPS膜の調製
長さ76mm、幅60mmのサイズを有する、例14で調製したPTMPSキャストテープからの矩形サンプルを、鋭利なカミソリの刃を使用して切断し、Kapton(登録商標)フィルム(DePont, de Nemours Inc.、ウィルミントン、デラウェア州から市販されているポリイミドフィルム)の間でプレスし、80℃で100psi(約689kPa)の圧力で5分間ホットプレス(Pasadena Hydraulics Inc.、City of Industry、CA)で同じ寸法の研磨された鋼板で覆った。長さ30mm、幅24mmのサンプルを、プレスされた PTMPSキャストテープから鋭いカミソリの刃を使用して切断し、2つの空気式グリップ(インビルト対流式オーブンを備えたInstron(登録商標)5965引張試験機) の間に拘束した。拘束されたPTMPSキャストテープを120℃で10分間、ゲージ長20mmで熱的に平衡化させた後に、120℃で元の長さの3.75倍まで10%/秒の速度で一軸延伸して、延伸PTMPS膜を形成した。延伸PTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、延伸PTMPS膜が多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を有することを示した(
図7)。ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸PTMPS膜は、0.25mLのメタノールを適用した後により透明になり、延伸PTMPS膜が微孔質であることを示した。延伸PTMPS膜の気孔率は、ヘリウム比重計で測定して60%であった。機械(一軸延伸方向に沿った)及び横断(一軸延伸方向に垂直)方向の両方で動的機械分析器(DMA、TA Instruments)を使用して、微孔質フィルムの弾性率及びマトリックス引張強度を決定した。微孔質PTMPS膜は、機械方向に795MPaのマトリックス弾性率及び33MPaのマトリックス引張強度、横断方向に沿って164MPaのマトリックス弾性率及び4MPaのマトリックス引張強度を有していた。
【0141】
例18
二軸延伸PTMPS膜の調製
PTMPSポリマーは、例12で概説した方法を使用して重合された。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、1.5の多分散で650(kDa)であると決定された。次いで、PTMPSポリマーをp-キシレンに溶解して10wt%溶液を作製した。この溶液を、10ミル(約254μm)のドローダウンバーを使用してガラス板上にコーティングしてキャストフィルムを形成した。PTMPSキャストテープの溶媒誘起相分離のために、湿潤テープをイソプロパノール(IPA)(Sigma-Aldrich)浴に直ちに沈めた。
【0142】
10分後に不透明なPTMPSテープをガラス板から剥がした。PTMPSキャストテープを空気中(約22℃)で乾燥させて、厚さ146μmを得た。ATEQ D570 を使用してPTMPSキャストテープを通る空気流を測定し、2.2L/時であると決定された。長さ3.2インチ(約8.1cm)、幅2.8インチ(約7.2cm)の矩形サンプルを、鋭利なカミソリの刃を使用してPTMPSキャストテープから切り取り、PTMPSテープサンプルを2つの空気式グリップ (ビルトイン対流式オーブンを備えたInstron(登録商標)5965引張試験機)の間に拘束した。拘束されたPTMPSキャストテープを111℃で5分間熱的に平衡化した後に、初期ゲージ長を20mmにして、100%/秒の速度で元の長さの3倍まで一軸方向に延伸し、延伸PTMPS膜を形成した。延伸された方向は機械方向(MD)と呼ばれ、MDから90°の方向は横断方向(TD)と呼ばれる。延伸PTMPS膜をグリップから取り出し、90°回転させ、TDがグリップの移動方向に沿うように2つの空気圧式グリップの間に再び拘束した。拘束されたPTMPS膜は、111℃で5分間熱的に平衡化され、その後、20mmの初期ゲージ長で100%/秒の速度で元の長さの2倍まで一軸延伸され、二軸延伸PTMPS膜を得た。二軸延伸PTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示した(
図8)。また、
図12は、フィブリルを構成するより高い融点の伸長鎖結晶の存在を示すDSC曲線を描写している。ATEQ D570を使用して二軸延伸PTMPS膜を通る空気流を測定し、45.3L/時であると決定した。
【0143】
例19
同時二軸延伸PTMPS膜の調製
PTMPSポリマーを、例12で概説した方法を使用して重合した。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、1.7の多分散で550(kDa)であると決定された。PTMPSポリマーをp-キシレンに溶解して10wt%溶液を作成した。PTMPSポリマー溶液を、10ミル(約254μm)のドローダウンバーを使用してガラス板上にコーティングし、キャストフィルムを形成した。PTMPSキャストテープの溶媒誘起相分離のために、湿潤テープをイソプロパノール(IPA)(Sigma-Aldrich)浴に直ちに沈めた。
【0144】
不透明なPTMPSテープを、10分後にガラス板から剥した。PTMPSキャストテープを空気中(約22℃)で乾燥させた。乾燥したPTMPSキャストテープをKapton(登録商標)フィルム(DuPont de Nemours Inc.、Wilmington、DEから市販されているポリイミドフィルム)の間で圧縮し、ホットプレス(Pasadena Hydraulics Inc.、City of Industry、CA)上で、80℃、10psi(約68.9kPa)の圧力で5分間、同じ寸法の研磨スチール板で覆った。PTMPSキャストテープの最終的な厚さは110μmであった。次に、圧縮されたPTMPSキャストテープをKaro IV 二軸延伸機 (Bruckner Group, GmbH から市販)に装填し、120℃で3分間熱的に平衡化した後に、PTMPSキャストテープを10%/秒で9の面積比に到達するまで同時に二軸延伸させた。同時に二軸延伸されたPTMPS膜のSEM顕微鏡写真は、多孔質ノードアンドフィブリル微細構造を示した(
図11)。同時に二軸延伸されたPTMPS膜の気孔率は、ヘリウム比重計で測定して、84%であった。同時に二軸延伸された多孔質PTMPS膜の弾性率及びマトリックス引張強度を、動的機械分析器(Dynamic Mechanical Analyzer)(DMA、TA Instruments)を使用してそれぞれ測定した。同時二軸延伸PTMPS膜は、187MPaの弾性率及び9.6MPaのマトリックス引張強度を有していた。
【0145】
例20
PTMPS微粉末のビーズへのペースト押出
PTMPSポリマーを、例12で概説した方法を使用して重合した。PTMPSポリマーの重量平均分子量は、1.6の多分散で680(kDa)であると決定された。PTMPSポリマーをジクロロメタン(Sigma Aldrich 純度>99.5%)に溶解して、5wt%溶液を作製した。PTMPS溶液を、プラスチック容器中の等質量部の水-界面活性剤溶液に添加した。この混合物を、IKA T50 Basicホモジナイザー(IKA(登録商標)-Works,Inc.、ノースカロライナ州ウィルミントン)を使用して、10,000rpmで10分間、25℃で乳化した。次いで、エマルションを250mLガラスジャケット付き反応器に移し、25℃で穏やかに撹拌することによりエマルションからジクロロメタンを除去して、水中のPTMPS粒子を得た。PTMPS粒子を、塩を添加することによって水相から沈殿させ、等体積の水で5回洗浄して過剰の界面活性剤及び塩を除去した。最後に、PTMPS粒子を粗いろ紙(VWR グレード 315)で水からろ過し、30℃で24時間真空乾燥してPTMPS微粉末を得た。
【0146】
PTMPS微粉末を、ガラスジャー内でIsopar(商標)V油(Exxon Mobile Chemicals)(PTMPS微粉末100gに対して油30g)と混合した。ガラスジャーに含まれるPTMPS粉末/油混合物をジャーミル (U.S. Stoneware, Eastpalestine, OH)で1時間タンブリングさせ、室温(約22℃)で12時間放置した。次いで、PTMPS粉末/油混合物を対流式オーブン内で50℃で30分間熱的に調整した。PTMPS粉末/オイル混合物を、出口に9:1の縮小ダイを備えたアルミニウムの筒形キャビティに注ぎ、123℃で5分間平衡化した。粉末/油混合物を、9:1縮小ダイを通して1mm/秒でペースト押出して、凝集PTMPS筒形ビーズを形成した。
【0147】
本出願の発明を一般的にも特定の実施形態に関しても上記に記載した。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。以下、本発明の態様を列挙する。
[態様1]
約130℃~約150℃の融点及びフィブリルによって相互接続されたノードの微細構造を有する、延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜を含む、物品。
[態様2]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは少なくとも70%の結晶化度を有する、態様1記載の物品。
[態様3]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は約30%を超える気孔率を有する、態様1又は2記載の物品。
[態様4]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度をさらに備える、態様1~3のいずれか1項記載の物品。
[態様5]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する、態様1~4のいずれか1項記載の物品。
[態様6]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含む、態様1~5のいずれか1項記載の物品。
[態様7]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する、態様1~6のいずれか1項記載の物品。
[態様8]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのコモノマーを約0.001モル%~約10モル%の量でさらに含む、態様1~7のいずれか1項記載の物品。
[態様9]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つのフィラー材料を含む、態様1~8のいずれか1項の物品。
[態様10]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、その中に生物活性部分を含む、態様1~9のいずれか1項記載の物品。
[態様11]
前記延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、態様1~10のいずれか1項記載の物品。
[態様12]
前記フィブリルはポリマー鎖を含み、前記ポリマー鎖はフィブリル軸に沿って配向している、態様1~11のいずれか1項記載の物品。
[態様13]
前記フィブリルはそれぞれ伸長鎖結晶を含む、態様1~12のいずれか1項記載の物品。
[態様14]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、繊維、チューブ、テープ、シート又は三次元自立構造の形態である、態様1~13のいずれか1項記載の物品。
[態様15]
態様1~14のいずれか1項記載のポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)物品を含む、複合材。
[態様16]
態様1~14のいずれか1項記載のポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品又は態様15記載の複合材を含む、ラミネート。
[態様17]
態様1~14のいずれか1項記載の多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を含む、デバイス。
[態様18]
約130℃~約150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを潤滑化して、潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを形成すること、
前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度で加圧してプリフォームを形成すること、及び、
60℃~140℃の温度で前記プリフォームを延伸して、フィブリルによって相互接続されたノードの構造を有する多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成すること、
を含む、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法。
[態様19]
前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度でカレンダ加工してプリフォームを形成すること、又は、前記潤滑化ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度でラム押出してプリフォームを形成することを含む、態様18記載の方法。
[態様20]
延伸前に前記プリフォームから潤滑剤を除去することをさらに態様18又は19記載の方法。
[態様21]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、態様18~20のいずれか1項記載の方法。
[態様22]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する、態様18~21のいずれか1項記載の方法。
[態様23]
前記多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を圧縮して緻密なポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することをさらに含む、態様18~22のいずれか1項記載の方法。
[態様24]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーにフィラー材料及び生物活性部分の1つを添加することをさらに含む、態様18~23のいずれか1項記載の方法。
[態様25]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、態様18~24のいずれか1項記載の方法。
[態様26]
130℃~150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを60℃~140℃の温度で加圧及び加熱してプリフォーム物品を形成し、続いて60℃~140℃の温度で前記プリフォーム物品を延伸して、多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することを含む、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法。
[態様27]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、態様26記載の方法。
[態様28]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する、態様26又は27記載の方法。
[態様29]
前記多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品は、約30%を超える気孔率を有する、態様26~28のいずれか1項記載の方法。
[態様30]
前記多孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を圧縮して緻密なポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品を形成することをさらに含む、態様26~29のいずれか1項記載の方法。
[態様31]
基材上にポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液をキャストしてポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを乾燥させて乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、及び、
前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを前記基材から除去すること、
を含む、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法。
[態様32]
前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープを延伸して、ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を形成することをさらに含む、態様31記載の方法。
[態様33]
乾燥は、空気乾燥、真空乾燥及びそれらの組み合わせを含む、態様31又は32記載の方法。
[態様34]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、態様31~33のいずれか1項記載の方法。
[態様35]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液は、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー及び有機溶媒を含む、態様31~34のいずれか1項記載の方法。
[態様36]
前記基材は多孔質又は非多孔質基材である、態様31~35のいずれか1項記載の方法。
[態様37]
前記基材は非多孔質基材であり、前記非多孔質基材は、ガラス皿、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、態様31~36のいずれか1項記載の方法。
[態様38]
延伸前に前記乾燥ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)キャストテープを所望のサイズに切断することをさらに含む、態様31~37のいずれか1項記載の方法。
[態様39]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する、態様31~38のいずれか1項記載の方法。
[態様40]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約30%を超える気孔率を有する、態様31~39のいずれか1項記載の方法。
[態様41]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を備える、態様31~40のいずれか1項記載の方法。
[態様42]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する、態様31~41のいずれか1項記載の方法。
[態様43]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、態様31~42のいずれか1項記載の方法。
[態様44]
ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末を2つのカレンダロールのニップに直接供給して、凝集性の緻密ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)テープを生成することを含む、緻密物品の製造方法。
[態様45]
基材上にポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー溶液をキャストしてポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを溶媒誘起相分離のための非溶媒浴中に沈めること、
前記基材から前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを除去すること、及び、
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープを乾燥させて微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを形成すること、
を含む、方法。
[態様46]
前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを延伸して、ノードアンドフィブリル微細構造を有する延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)膜を形成することをさらに含む、態様45記載の方法。
[態様47]
延伸前に前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを切断することをさらに含む、態様45又は態様46記載の方法。
[態様48]
前記基材は多孔質又は非多孔質基材である、態様45~47のいずれか1項記載の方法。
[態様49]
前記基材は非多孔質基材であり、前記非多孔質基材は、ガラス皿、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、態様45~48のいずれか1項記載の方法。
[態様50]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、少なくとも70%の結晶化度を有する、態様45~49のいずれか1項記載の方法。
[態様51]
前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープは、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、態様45~50のいずれか1項記載の方法。
[態様52]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約30%を超える気孔率を有する、態様45~51のいずれか1項記載の方法。
[態様53]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約1MPa~約50MPaのマトリックス引張強度を備える、態様45~52のいずれか1項記載の方法。
[態様54]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、少なくとも1つの方向に約100MPa~約1000MPaのマトリックス弾性率を有する、態様45~53のいずれか1項記載の方法。
[態様55]
延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜は、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを含む、態様45~54のいずれか1項記載の方法。
[態様56]
少なくとも約70%の結晶化度、1~5の多分散及び約350kDa~約5MDaの重量平均分子量を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーから形成されたポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープを含む、物品。
[態様57]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは不透明である、態様56記載の物品。
[態様58]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは、キャスト法、溶媒誘起キャスト法又はペースト押出法を利用して形成されたものである、態様56又は57記載の物品。
[態様59]
ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーキャストテープを含む、物品。
[態様60]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは少なくとも70%の結晶化度を有する、態様59記載の物品。
[態様61]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープは、前記微孔質ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーテープの第一の側から第二の側まで細孔サイズが非対称である、態様59又は60記載の物品。
[態様62]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、態様59~61のいずれか1項記載の物品。
[態様63]
約130℃~約150℃の融点及び少なくとも70%の結晶化度を有するポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーを潤滑剤により潤滑化してポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)粉末/潤滑剤混合物を形成すること、及び、
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)粉末/潤滑剤混合物をペースト押出して、凝集性PTMPSビーズ、テープ、チューブ又は三次元自立構造を形成すること、
を含む、ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー物品の製造方法。
[態様64]
ペースト押出前に前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末/油混合物をタンブリングすることをさらに含む、態様63記載の方法。
[態様65]
ペースト押出前に前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー粉末/油混合物を熱調整することをさらに含む、態様63又は態様64記載の方法。
[態様66]
前記凝集性PTMPSビーズを延伸させて延伸ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマー膜を形成することを含む、態様63~65のいずれか1項記載の方法。
[態様67]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、約350kDa~5MDaの重量平均分子量を有する、態様66記載の方法。
[態様68]
前記ポリ(テトラメチル-p-シルフェニレンシロキサン)ポリマーは、1~5の多分散を有する、態様63~67のいずれか1項記載の方法。