(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】エネルギー変換装置及びその安全制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241023BHJP
【FI】
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2022574367
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2021098458
(87)【国際公開番号】W WO2021244649
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】202010501054.1
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲長▼久
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼海▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】武▲運▼峰
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051545(JP,A)
【文献】特開2000-324857(JP,A)
【文献】特開昭59-002576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチモジュールと、
第1のバス端子が電池の第1の端子に接続され、第2のバス端子が前記電池の第2の端子に接続されたモータインバータであって、前記第1のスイッチモジュールは、前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフ及び前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するモータインバータと、
第1の端子が前記モータインバータの中点端子に接続されたモータ巻線と、
直列接続され、直列接続された後に第1の端子が前記モータ巻線の第2の端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のスイッチモジュール及び第1のコンデンサと、
第1の端子が前記モータインバータの第1のバス端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のコンデンサと、
アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記モータインバータを制御することにより、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように構成されたコントローラと、を含
み、
前記コントローラは、更に、前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記第2のコンデンサ及び前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御し、かつ前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電することにより前記第1のコンデンサにより前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するように構成されることを特徴とする、エネルギー変換装置。
【請求項2】
エネルギー変換装置の安全制御方法であって、前記エネルギー変換装置は、
第1のスイッチモジュールと、
第1のバス端子が電池の第1の端子に接続され、第2のバス端子が前記電池の第2の端子に接続されたモータインバータであって、前記第1のスイッチモジュールは、前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフ及び前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するモータインバータと、
第1の端子が前記モータインバータの中点端子に接続されたモータ巻線と、
直列接続され、直列接続された後に第1の端子が前記モータ巻線の第2の端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のスイッチモジュール及び第1のコンデンサと、
第1の端子が前記モータインバータの第1のバス端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のコンデンサと、を含み、
前記方法は、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップを含
み、
前記方法は、前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記第2のコンデンサ及び前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御し、かつ前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電することにより前記第1のコンデンサにより前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップを更に含むことを特徴とする、エネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項3】
前記モータインバータは、上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを含み、
前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップは、
オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記下ブリッジアームを制御することにより、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うステップを含むことを特徴とする、請求項
2に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項4】
前記第1のコンデンサにより前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップは、
オンにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御することにより、前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電するステップと、
オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御することにより、充電後の前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うステップと、
前記第2のコンデンサの電圧が所定の電圧よりも低くなるまで、オンにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御するステップ、及び、オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御するステップを繰り返し実行するステップと、を含むことを特徴とする、請求項
3に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項5】
前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電する時間は、車両の車種、前記第1のコンデンサの容量値及び前記第2のコンデンサの容量値に基づいて較正されることを特徴とする、請求項
4に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項6】
前記下ブリッジアームを交互にオン/オフにすることは、
第1のデューティ比から第2のデューティ比まで徐々に増加させるように前記下ブリッジアームのデューティ比を制御し、その後に前記第2のデューティ比から前記第1のデューティ比まで徐々に減少させるように前記下ブリッジアームのデューティ比を制御することにより調整されることを特徴とする、請求項
3~5のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項7】
前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合には、
前記第2のスイッチモジュールが焼結されることと、
前記エネルギー変換装置を利用して前記電池への充電を完了した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記エネルギー変換装置を利用して前記電池の自己加熱を完了した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記エネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項
2~6のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項8】
前記第2のスイッチモジュールの焼結は、
オフにするように前記第2のスイッチモジュールを制御し、かつ前記電池が前記モータインバータと連通するように前記第1のスイッチモジュールを制御し、
オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの上ブリッジアームを制御し、
前記モータインバータに電流が流れる場合、前記第2のスイッチモジュールが焼結されることを決定することにより、決定されることを特徴とする、請求項
7に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【請求項9】
前記第2のスイッチモジュールの焼結は、
オンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御し、かつ前記電池が前記モータインバータと連通するように前記第1のスイッチモジュールを制御し、
オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池により前記第2のコンデンサを充電し、
オフにするように前記第2のスイッチモジュールを制御し、オフにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの下ブリッジアームを制御し、
前記モータインバータに電流が流れる場合、前記第2のスイッチモジュールが焼結されることを決定することにより、決定されることを特徴とする、請求項
7又は8に記載のエネルギー変換装置の安全制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年6月4日に提出した、名称が「エネルギー変換装置及びその安全制御方法」である中国特許出願第「202010501054.1」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、車両の分野に関し、具体的には、エネルギー変換装置及びその安全制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギーの広範な使用に伴い、電池は、動力源として様々な分野に適用することができる。電池が動力源として使用される環境が異なり、電池の性能も影響を受ける。例えば、低温環境下での電池の性能は、常温よりも大幅に低下する。例えば、ゼロ温度での電池の放電容量は、温度の低下に伴って低下する。-30℃の条件下で、電池の放電容量は、実質的に0となり、電池パックは使用できなくなる。低温環境下で電池を使用できるために、電池を加熱する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本願の目的は、エネルギー変換装置の安全制御を実現できるエネルギー変換装置及びその安全制御方法を提供することである。
【0005】
本願の第1の実施例に係るエネルギー変換装置は、
第1のスイッチモジュールと、
第1のバス端子が電池の第1の端子に接続され、第2のバス端子が前記電池の第2の端子に接続されたモータインバータであって、前記第1のスイッチモジュールは、前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフ及び前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するモータインバータと、
第1の端子が前記モータインバータの中点端子に接続されたモータ巻線と、
直列接続され、直列接続された後に第1の端子が前記モータ巻線の第2の端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のスイッチモジュール及び第1のコンデンサと、
アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記モータインバータを制御することにより、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように構成されたコントローラと、を含む。
【0006】
好ましくは、前記エネルギー変換装置は、第1の端子が前記モータインバータの第1のバス端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のコンデンサを更に含み、
前記コントローラは、更に、前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記第2のコンデンサ及び前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記モータインバータを制御することにより、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように構成される。
【0007】
本願の第2の実施例に係るエネルギー変換装置の安全制御方法において、前記エネルギー変換装置は、
第1のスイッチモジュールと、
第1のバス端子が電池の第1の端子に接続され、第2のバス端子が前記電池の第2の端子に接続されたモータインバータであって、前記第1のスイッチモジュールは、前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するか、又は前記モータインバータの第1のバス端子と前記電池の第1の端子とのオン/オフ及び前記モータインバータの第2のバス端子と前記電池の第2の端子とのオン/オフを制御するモータインバータと、
第1の端子が前記モータインバータの中点端子に接続されたモータ巻線と、
直列接続され、直列接続された後に第1の端子が前記モータ巻線の第2の端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のスイッチモジュール及び第1のコンデンサと、を含み、
前記方法は、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップを含む。
【0008】
好ましくは、前記エネルギー変換装置は、第1の端子が前記モータインバータの第1のバス端子に接続され、第2の端子が前記モータインバータの第2のバス端子に接続された第2のコンデンサを更に含み、
前記方法は、前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように前記第1のスイッチモジュールを制御することにより、前記電池と前記第2のコンデンサ及び前記モータインバータとの接続をオフにし、かつ前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、前記モータインバータを制御することにより、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うステップを更に含む。
【0009】
好ましくは、前記モータインバータを制御することにより、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサに対してエネルギー放電を行うステップは、
前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御し、かつ前記第1のコンデンサにより前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップを含む。
【0010】
好ましくは、前記モータインバータは、上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを含み、
前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップは、
オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記下ブリッジアームを制御することにより、前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うステップを含む。
【0011】
好ましくは、前記第1のコンデンサにより前記第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行うように前記モータインバータを制御するステップは、
オンにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御することにより、前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電するステップと、
オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御することにより、充電後の前記第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うステップと、
前記第2のコンデンサの電圧が所定の電圧よりも低くなるまで、オンにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御するステップ、及び、オフに保持するように前記上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御するステップを繰り返し実行するステップとを含む。
【0012】
好ましくは、前記第2のコンデンサが前記第1のコンデンサを充電する時間は、車両の車種、前記第1のコンデンサの容量値及び前記第2のコンデンサの容量値に基づいて較正される。
【0013】
好ましくは、前記下ブリッジアームを交互にオン/オフにすることは、第1のデューティ比から第2のデューティ比まで徐々に増加させるように前記下ブリッジアームのデューティ比を制御し、その後に前記第2のデューティ比から前記第1のデューティ比まで徐々に減少させるように前記下ブリッジアームのデューティ比を制御することにより調整される。
【0014】
好ましくは、前記第2のスイッチモジュールがオンになる場合には、
前記第2のスイッチモジュールが焼結されることと、
前記エネルギー変換装置を利用して前記電池への充電を完了した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記エネルギー変換装置を利用して前記電池の自己加熱を完了した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記エネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、前記第2のスイッチモジュールが焼結されず、かつ前記アキュムレータの放出を表す命令に基づいてオンにするように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、の少なくとも1つを含む。
【0015】
好ましくは、前記第2のスイッチモジュールの焼結は、オフにするように前記第2のスイッチモジュールを制御し、かつ前記電池が前記モータインバータと連通するように前記第1のスイッチモジュールを制御し、オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの上ブリッジアームを制御し、前記モータインバータに電流が流れる場合、前記第2のスイッチモジュールが焼結されることを決定することにより決定される。
【0016】
好ましくは、前記第2のスイッチモジュールの焼結は、前記第2のスイッチモジュールをオンにするように制御し、かつ前記電池が前記モータインバータと連通するように前記第1のスイッチモジュールを制御し、オフにするように前記モータインバータの下ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池により前記第2のコンデンサを充電し、オフにするように前記第2のスイッチモジュールを制御し、オフにするように前記モータインバータの上ブリッジアームを制御し、かつオンにするように前記モータインバータの少なくとも1つの下ブリッジアームを制御し、前記モータインバータに電流が流れる場合、前記第2のスイッチモジュールが焼結されることを決定することにより決定される。
【0017】
上記技術手段を用いることにより、以下の有益な効果を有する。
【0018】
(1)本願におけるエネルギー変換装置は、オフにするように第2のスイッチモジュールを制御することにより、モータの駆動機能を実現し、オンにするように第2のスイッチモジュールを制御することにより、電池の加熱機能を実現することができる。
【0019】
(2)エネルギー変換装置自体の部品の間の連動を利用して第1のコンデンサのエネルギー放出を実現することができ、さらなる部品を追加する必要がないため、車両全体のコストを低減することができる。
【0020】
(3)第1のスイッチモジュールが電池とモータインバータとの間の接続をオフにし、かつ第2のスイッチモジュールがオンになる場合に、モータインバータを制御することにより、第1のコンデンサに対してエネルギー放出を行うため、一方、第1のコンデンサのエネルギー放出期間に、電池による高圧安全問題を解決し、他方、
図1のトポロジー構造から分かるように、エネルギー放出期間に、第1のスイッチモジュールがオフ状態にあり、第2のスイッチモジュールがオン状態にあるため、第1のコンデンサのエネルギーは、モータインバータ、モータ巻線、第2のスイッチモジュール及び第1のコンデンサで構成された循環回路を利用して放出を行い、即ち、モータインバータの繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータのオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線での熱損失により、第1のコンデンサでの高圧エネルギーが消費され、それにより第1のコンデンサのエネルギー放出を実現する。また、該放出過程において、放出電流が大きくないため、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュールの仮焼又は第2のスイッチモジュール自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュールの本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュールに二次損傷を与えることを回避する。
【0021】
本願の他の特徴及び利点については、以下の具体的な実施形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は、本願のさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本願を説明するものであるが、本願を限定するものではない。
【0023】
【
図1】本願の実施例に係るエネルギー変換装置のトポロジー構造の概略図である。
【
図2】本願の実施例に係るエネルギー変換装置の他のトポロジー構造の概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の回路概略図である。
【
図4】本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の安全制御方法の流れ図である。
【
図5】本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の安全制御方法の他の流れ図である。
【
図6】モータインバータの下ブリッジアームの交互のオン/オフを調整することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態が本願を説明し解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0025】
図1は、本願の実施例に係るエネルギー変換装置のトポロジー構造の概略図である。
図1に示すように、該エネルギー変換装置は、第1のスイッチモジュール10、モータインバータ20、モータ巻線30、第2のスイッチモジュール40、第1のコンデンサ50及びコントローラ60を含む。
図1における破線は、コントローラ60が第1のスイッチモジュール10、モータインバータ20、第2のスイッチモジュール40などに制御信号を伝送することにより、第1のスイッチモジュール10、モータインバータ20及び第2のスイッチモジュール40の動作を制御することを指す。
【0026】
図1に示すように、モータインバータ20の第1のバス端子M1は、電池70の第1の端子に接続され、モータインバータ20の第2のバス端子M2は、電池70の第2の端子に接続され、第1のスイッチモジュール10は、モータインバータ20の第1のバス端子M1と電池70の第1の端子とのオン/オフを制御するか、又はモータインバータ20の第2のバス端子M2と電池70の第2の端子とのオン/オフを制御するか、又はモータインバータ20の第1のバス端子M1と電池70の第1の端子とのオン/オフ及びモータインバータ20の第2のバス端子M2と電池70の第2の端子とのオン/オフを制御する。
【0027】
モータ巻線30の第1の端子は、モータインバータ20の中点端子M3に接続される。第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50は、直列接続され、直列接続された後の第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50の第1の端子は、モータ巻線30の第2の端に接続され、直列接続された後の第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50の第2の端子は、モータインバータ20の第2のバス端子M2に接続される。
【0028】
コントローラ60は、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように第1のスイッチモジュール10を制御することにより、電池70とモータインバータ20との接続をオフにし、かつ第2のスイッチモジュール40がオンになる場合に、モータインバータ20を制御することにより、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うように構成される。
【0029】
上記エネルギー変換装置に基づいて、コントローラ60は、第1のスイッチモジュール10のオン、第2のスイッチモジュール40のオフ及びモータインバータ20のオン/オフ状態を制御することにより、電池70、第1のスイッチモジュール10、モータインバータ20及びモータ巻線30は、モータ駆動回路を形成する。コントローラ60は、第1のスイッチモジュール10のオン、第2のスイッチモジュール40のオン及びモータインバータ20のオン/オフ状態を制御することにより、電池70、第1のスイッチモジュール10、モータインバータ20、モータ巻線30、第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50は、電池加熱回路を形成する。電池加熱回路は、4つの段階を含み、具体的には、電池放電回路、モータ巻線の還流回路、モータ巻線のエネルギー貯蔵回路及び電池充電回路であり、電池70は、モータインバータ20の上ブリッジアーム、モータ巻線30及び第2のスイッチモジュール40により第1のコンデンサ50に放電して、上記電池放電回路を形成し、モータ巻線30は、第2のスイッチモジュール40、第1のコンデンサ50及びモータインバータ20の下ブリッジアームにより還流して、上記モータ巻線の還流回路を形成し、第1のコンデンサ50は、第2のスイッチモジュール40、モータインバータ20の下ブリッジアームによりモータ巻線30にエネルギーを貯蔵して、上記モータ巻線のエネルギー貯蔵回路を形成し、第1のコンデンサ50は、第2のスイッチモジュール40、モータ巻線30、及びモータインバータ20の上ブリッジアームにより上記電池に放電して、上記電池充電回路を形成する。
【0030】
本願では、第2のスイッチモジュール40がオンになる場合には、下記の少なくとも1つを含む。
【0031】
(1)第2のスイッチモジュール40が焼結される。第2のスイッチモジュール40が焼結される場合、第2のスイッチモジュール40は短絡状態に相当するため、この場合、第2のスイッチモジュール40がオンになると考えられる。
【0032】
(2)外部装置が本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70への充電を完了した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(外部装置が本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70への充電を完了した後、第1のコンデンサ50にエネルギーが残存しており、安全のために、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフは、依然として、コントローラ60により制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0033】
(3)本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70の自己加熱を完了した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70の自己加熱を完了した後、第1のコンデンサ50にエネルギーが残存しており、安全のために、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフは、依然として、コントローラ60により制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0034】
(4)本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、第2のコンデンサにエネルギーが残存しており、安全のために、第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフは、依然として、コントローラ60により制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0035】
上記技術手段を用いることにより、以下の有益な効果を有する。
【0036】
(1)本願におけるエネルギー変換装置は、オフにするように第2のスイッチモジュール40を制御することにより、モータの駆動機能を実現し、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御することにより、電池の加熱機能を実現することができる。
【0037】
(2)エネルギー変換装置自体の部品の間の連動を利用して第1のコンデンサのエネルギー放出を実現することができ、さらなる部品を追加する必要がないため、車両全体のコストを低減することができる。
【0038】
(3)第1のスイッチモジュール10が電池70とモータインバータ20との間の接続をオフにし、かつ第2のスイッチモジュール40がオンになる場合に、モータインバータ20を制御することにより、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うため、一方、第1のコンデンサ50のエネルギー放出期間に、電池70による高圧安全問題を解決し、他方、
図1のトポロジー構造から分かるように、エネルギー放出期間に、第1のスイッチモジュール10がオフ状態にあり、第2のスイッチモジュール40がオン状態にあるため、第1のコンデンサ50のエネルギーは、モータインバータ20、モータ巻線30、第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50で構成された循環回路を利用して放出を行い、即ち、モータインバータ20の繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータ20のオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線30での熱損失により、第1のコンデンサ50での高圧エネルギーが消費され、それにより第1のコンデンサ50のエネルギー放出を実現する。また、該放出過程において、放出電流が大きくないため、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュール40の仮焼又は第2のスイッチモジュール40自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュール40の本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュール40に二次損傷を与えることを回避する。
【0039】
図2は、本願の実施例に係るエネルギー変換装置の他のトポロジー構造の概略図である。
図2に示すように、該エネルギー変換装置は、第2のコンデンサ80を更に含み、第2のコンデンサ80の第1の端子がモータインバータ20の第1のバス端子M1に接続され、第2のコンデンサ80の第2の端子がモータインバータ20の第2のバス端子M2に接続される。
【0040】
コントローラ60は、更に、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように第1のスイッチモジュール10を制御することにより、電池70と第2のコンデンサ80及びモータインバータ20との接続をオフにし、かつ第2のスイッチモジュール40がオンになる場合に、モータインバータ20を制御することにより、第1のコンデンサ50及び第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行うように構成される。第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行う必要がある原因は、本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70を充電した後、電池70が自己加熱した後、駆動機能を実現した後、第2のコンデンサ80にも高圧エネルギーが残存するため、安全のために、第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行う必要があるからである。
【0041】
第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行うこともエネルギー変換装置自体の部品の間の連動を利用して実現され、さらなる部品を追加する必要がないため、車両全体のコストを低減することができる。また、第2のコンデンサ80に対するエネルギー放出原理は、上述したような第1のコンデンサ50に対するエネルギー放出原理と類似し、モータインバータ20の繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータ20のオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線30での熱損失を利用するため、放出過程において、放出電流が大きくなく、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュール40の仮焼又は第2のスイッチモジュール40自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュール40の本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュール40に二次損傷を与えることを回避する。
【0042】
図3は、本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の回路概略図である。
図3に示すように、モータインバータ20は、N相ブリッジアームを含み、モータ巻線30は、N個の巻線を含み、N個の巻線の第1の端子は、それぞれN相ブリッジアームの中点端子(即ち、
図3におけるA、B、Cに示す位置)に一対一に対応して接続され、ここで、N≧1である。
【0043】
引き続き
図3を参照する。第1のスイッチモジュール10は、電池70の第1の端子とモータインバータ20の第1のバス端子との間に接続された正極接触器K1を含み、電池70の第2の端子とモータインバータ20の第2のバス端子との間に接続された負極接触器K2を更に含む。正極接触器K1は、電池70の第1の端子とモータインバータ20の第1のバス端子をオフにすることができることにより、電池70とモータインバータとの接続をオフにする。負極接触器K2は、電池70の第2の端子とモータインバータ20の第2のバス端子をオフにすることができることにより、電池70とモータインバータとの接続をオフにする。当業者であれば、理解できるように、第1のスイッチモジュール10は、正極接触器K1のみを含むか、又は負極接触器K2のみを含むか、又は正極接触器K1及び負極接触器K2の両方を含んでもよい。
【0044】
また、当業者であれば、更に理解できるように、
図3に示すモータインバータ20の具体的な構造、モータ巻線30の具体的な構造、第1のスイッチモジュール10の具体的な構造は、単なる例示的なものであり、本願は、これらを限定しない。
【0045】
図4は、本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の安全制御方法の流れ図である。該方法は、
図1~3に示すエネルギー変換装置に対してエネルギー放出を行うために用いることができる。
図4に示すように、該方法は、以下のステップS41~S42を含む。
【0046】
ステップS41では、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように第1のスイッチモジュール10を制御することにより、電池70とモータインバータ20との接続をオフにする。
【0047】
ステップS42では、第2のスイッチモジュール40がオンになる場合、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うようにモータインバータ20を制御する。
【0048】
本願では、第2のスイッチモジュール40がオンになる場合には、下記の少なくとも1つを含む。
【0049】
(1)第2のスイッチモジュール40が焼結される。第2のスイッチモジュール40が焼結される場合、第2のスイッチモジュール40は短絡状態に相当するため、この場合、第2のスイッチモジュール40がオンになると考えられる。
【0050】
(2)外部装置が本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70への充電を完了した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(外部装置が本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70への充電を完了した後、第1のコンデンサ50にエネルギーが残存しており、安全のために、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフ動作は、依然として、制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0051】
(3)本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70の自己加熱を完了した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して電池70の自己加熱を完了した後、第1のコンデンサ50にエネルギーが残存しており、安全のために、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフは、依然として、制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0052】
(4)本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、第2のスイッチモジュール40が焼結されず、かつアキュムレータの放出を表す命令(本願の実施例に係るエネルギー変換装置を利用して駆動機能を実現した後、第2のコンデンサにエネルギーが残存しており、安全のために、第2のコンデンサに対してエネルギー放出を行う必要がある)に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する。この場合、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないため、そのオン/オフは、依然として、制御することができる。また、第1のコンデンサ50がエネルギーを放出する必要がある場合、第2のスイッチモジュール40は、オン状態にあるだけで、エネルギー放出回路を連通させることができる。したがって、この場合、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御する必要がある。
【0053】
上記技術手段を用いることにより、以下の有益な効果を有する。
【0054】
(1)エネルギー変換装置自体の部品の間の連動を利用して第1のコンデンサ50のエネルギー放出を実現することができ、さらなる部品を追加する必要がないため、車両全体のコストを低減することができる。
【0055】
(2)第1のスイッチモジュール10が電池70とモータインバータ20との間の接続をオフにし、かつ第2のスイッチモジュール40がオンになる場合に、モータインバータ20を制御することにより、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うため、一方、第1のコンデンサ50のエネルギー放出期間に、電池70による高圧安全問題を解決し、他方、
図1のトポロジー構造から分かるように、エネルギー放出期間に、第1のスイッチモジュール10がオフ状態にあり、第2のスイッチモジュール40がオン状態にあるため、第1のコンデンサ50のエネルギーは、モータインバータ20、モータ巻線30、第2のスイッチモジュール40及び第1のコンデンサ50で構成された循環回路を利用して放出を行い、即ち、モータインバータ20の繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータ20のオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線30での熱損失により、第1のコンデンサ50での高圧エネルギーが消費され、それにより第1のコンデンサ50のエネルギー放出を実現する。また、該放出過程において、放出電流が大きくないため、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュール40の仮焼又は第2のスイッチモジュール40自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュール40の本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュール40に二次損傷を与えることを回避する。
【0056】
図5は、本願の一実施例に係るエネルギー変換装置の安全制御方法の他の流れ図である。この流れは、
図2に示すエネルギー変換装置に対してエネルギー放出を行うことに適している。
図5に示すように、該方法は、以下のステップS51~S52を含む。
【0057】
ステップS51では、アキュムレータの放出を表す命令に基づいて、オフにするように第1のスイッチモジュール10を制御することにより、電池70と第2のコンデンサ80及びモータインバータ20との接続をオフにする。
【0058】
ステップS52では、第2のスイッチモジュール40がオンになる場合、モータインバータ20を制御することにより、第1のコンデンサ50及び第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行う。
【0059】
第2のスイッチモジュール40がオンになる場合については上記で説明されているため、説明を省略する。
【0060】
また、ステップS52は、以下のステップを含んでもよい。
【0061】
まず、ステップS52aでは、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うようにモータインバータ20を制御する。
【0062】
次に、ステップS52bでは、第1のコンデンサ50により第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行うようにモータインバータ20を制御する。
【0063】
例えば、まず、オンにするようにモータインバータ20の上ブリッジアームを制御することにより、第2のコンデンサ80は、第1のコンデンサ50を充電する。次に、オフに保持するようにモータインバータ20の上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするようにモータインバータ20の下ブリッジアームを制御することにより、充電後の第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行う。第2のコンデンサ80の電圧が所定の電圧(例えば60V又は他の所定の数値)よりも低くなるまで、オンにするようにモータインバータ20の上ブリッジアームを制御するステップ、及び、オフに保持するように上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするようにモータインバータ20の下ブリッジアームを制御するステップを繰り返し実行することにより、第2のコンデンサ80のエネルギー放出を実現する。
【0064】
モータインバータ20が複数のブリッジアームを含む場合、本願に言及された下ブリッジアームの交互のオン/オフは、少なくとも1つの下ブリッジアームの交互のオン/オフを指す。交互にオン/オフにする下ブリッジアームの数を制御することにより、放出電流の大きさを制御することができ、放出過程における第2のスイッチモジュール40の二次損傷を回避する。
【0065】
第2のコンデンサ80が第1のコンデンサ50を充電する時間は、車両の車種、第1のコンデンサ50の容量値及び第2のコンデンサ80の容量値に基づいて較正することができる。例えば、250ms、100ms又は他の数値であってもよい。
【0066】
該ステップS52では、まず、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行い、次に、第1のコンデンサ50により第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行うことにより、第1のコンデンサ50がモータインバータ20の制御不能なダイオードにより第2のコンデンサ80との間に衝撃電流を形成することを回避し、放出過程において第2のスイッチモジュール40に損傷を与えることを回避することができる。
【0067】
上記技術手段を用いることにより、第2のコンデンサ80に対してエネルギー放出を行うこともエネルギー変換装置自体の部品の間の連動を利用して実現され、さらなる部品を追加する必要がないため、車両全体のコストを低減することができる。また、第2のコンデンサ80に対するエネルギー放出原理は、上述したような第1のコンデンサ50に対するエネルギー放出原理と類似し、モータインバータ20の繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータ20のオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線30での熱損失を利用するため、放出過程において、放出電流が大きくなく、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュール40の仮焼又は第2のスイッチモジュール40自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュール40の本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュール40に二次損傷を与えることを回避する。
【0068】
一実施例では、前述のステップS42及びステップS52aに記載の第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うようにモータインバータ20を制御するステップは、オフに保持するようにモータインバータ20の上ブリッジアームを制御し、かつ交互にオン/オフにするようにモータインバータ20の下ブリッジアームを制御することにより、第1のコンデンサ50に対してエネルギー放出を行うことを含んでもよい。
【0069】
該技術手段により、モータインバータ20の下ブリッジアームの繰り返しスイッチング動作によるエネルギー損失、モータインバータ20の下ブリッジアームのオン状態でのエネルギー消費、及びモータ巻線30での熱損失を利用して、第1のコンデンサ50での高圧エネルギーを消費することができ、それにより第1のコンデンサ50のエネルギー放出を実現する。また、該放出過程において、放出電流が大きくないため、ソフトウェアbugによる第2のスイッチモジュール40の仮焼又は第2のスイッチモジュール40自体の原因による不完全焼結を第2のスイッチモジュール40の本焼に変換することを回避することができ、第2のスイッチモジュール40に二次損傷を与えることを回避する。
【0070】
図6は、モータインバータ20の下ブリッジアームの交互のオン/オフを調整することを示す概略図である。図から分かるように、下ブリッジアームの交互のオン/オフの調整方式は、まず、第1のデューティ比から第2のデューティ比まで徐々に増加させるように下ブリッジアームのデューティ比(即ち、同じ周期内に、下ブリッジアームがオンになる時間/(下ブリッジアームがオンになる時間+下ブリッジアームがオフになる時間))を制御し、その後に第2のデューティ比から第1のデューティ比まで徐々に減少させるように下ブリッジアームのデューティ比を制御することである。本願は、第1のデューティ比及び第2のデューティ比の具体的な数値を限定せず、異なるデューティ比で連続的に循環することを満たせばよく、例えば、第1のデューティ比は、20%又は他の数値であってもよく、第2のデューティ比は、80%であってもよい。また、本願は、第1のデューティ比から第2のデューティ比までの増加速度及び第2のデューティ比から第1のデューティ比までの減少速度を限定しない。
【0071】
第1のデューティ比と第2のデューティ比の連続的な循環により、第1のコンデンサ50及び第2のコンデンサ80内の残りのエネルギーを消費するという目的を達成する。また、このような放出方法により、第1のコンデンサ50及び第2のコンデンサ80内のエネルギーは、国家標準の要件を満たす時間内に放出を完了することができる。
【0072】
本願は、更に、第2のスイッチモジュール40が焼結されるか否かを判断する方法を提供する。
【0073】
第2のスイッチモジュール40が焼結されるか否かを判断する第1の方法は、以下のステップを含む。まず、自己検出するようにモータインバータ20を制御する。モータインバータ20の自己検出が正常である場合、オフにするように第2のスイッチモジュール40を制御し、かつ電池70がモータインバータ20と連通するように第1のスイッチモジュール10を制御する。次に、オフにするようにモータインバータ20の全ての下ブリッジアームを制御し、かつオンにするようにモータインバータ20の少なくとも1つの上ブリッジアームを制御する。そして、モータインバータ20に電流が流れるか否かを判断し、モータインバータ20に電流が流れる場合に、第2のスイッチモジュール40が焼結されることを決定し、電流が流れていない場合に、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないことを決定する。モータインバータ20における、既存のモータインバータの相電流を検出する電流センサを利用して、モータインバータ20に電流が流れるか否かを検出することができ、さらなる部品を追加する必要がなく、コストを低減する。
【0074】
第2のスイッチモジュール40が焼結されるか否かを判断する第2の方法は、以下のステップを含む。まず、自己検出するようにモータインバータ20を制御する。モータインバータ20の自己検出が正常である場合、オンにするように第2のスイッチモジュール40を制御し、かつ電池70がモータインバータ20と連通するように第1のスイッチモジュール10を制御する。次に、オフにするようにモータインバータ20の下ブリッジアームを制御し、かつオンにするようにモータインバータ20の少なくとも1つの上ブリッジアームを制御することにより、電池70により第2のコンデンサ80を充電する。そして、オフにするように第2のスイッチモジュール40を制御し、オフにするようにモータインバータ20の上ブリッジアームを制御し、かつオンにするようにモータインバータ20の少なくとも1つの下ブリッジアームを制御する。そして、モータインバータ20に電流が流れるか否かを判断し、モータインバータ20に電流が流れる場合に、第2のスイッチモジュール40が焼結されることを決定し、電流が流れていない場合に、第2のスイッチモジュール40が焼結されていないことを決定する。モータインバータ20における、既存のモータインバータの相電流を検出する電流センサを利用して、モータインバータ20に電流が流れるか否かを検出することができ、さらなる部品を追加する必要がなく、コストを低減する。
【0075】
上記第1の判断方法の利点は、制御方法が簡単であることである。上記第2の判断方法の利点は、その電流が制御可能であり、焼結検出過程において第2のスイッチモジュール40への二次損傷を回避できることである。
【0076】
以上、図面を参照しながら本願の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本願は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本願の技術的思想の範囲内に、本願の技術手段に対して様々な簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0077】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本願は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0078】
また、本願の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本願の思想から逸脱しない限り、同様に本願に開示されている内容と見なすべきである。