(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ダクト構造
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20241023BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241023BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241023BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241023BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20241023BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241023BHJP
H01M 50/207 20210101ALI20241023BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M50/204 401H
H01M50/207
(21)【出願番号】P 2023000830
(22)【出願日】2023-01-06
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-240322(JP,A)
【文献】特開2011-099367(JP,A)
【文献】特開2022-103498(JP,A)
【文献】特開2022-103529(JP,A)
【文献】特開2022-103534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/06
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 50/204
H01M 50/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリに冷却風を送風するファンに接続されるダクト構造であって、
不織布により形成されたダクト部材を備え、
前記ダクト部材は、前記ファンに連通し且つ前記ファンの回転軸方向に直交する方向に延在する流路を有し、
前記流路を区画する壁部のうち前記ファンに対向する壁部には、肉厚部が設けられており、
前記肉厚部は、前記ダクト部材を成形するときに、前記不織布の圧縮率を前記肉厚部の周囲の部分よりも低くすることにより形成され、又は、前記肉厚部部分を圧縮しないことにより形成され、
前記肉厚部における前記ダクト部材の厚さは、前記肉厚部の周囲における前記ダクト部材の厚さよりも大きい、
ダクト構造。
【請求項2】
請求項1に記載のダクト構造であって、
前記ダクト部材の前記肉厚部は、前記ダクト部材の外側に突出した凸形状を有する、
ダクト構造。
【請求項3】
請求項2に記載のダクト構造であって、
前記ダクト構造は、前記車両に搭載されるバッテリパックの内部に設けられ、該バッテリパックの吸気口と前記ファンとを接続し、
前記ダクト部材の前記流路は、前記ファンの上方に配置されて水平方向に延在する流路であり、
前記ダクト部材の上方には、他の部品が載置される板状のフレーム部材が設けられ、
前記フレーム部材は、前記バッテリパックのベースプレートに載置された前記ファンに対して前記ダクト部材を挟むようにして、前記ベースプレートに固定され、
前記フレーム部材には、凸形状の前記肉厚部が嵌め込まれる孔部が設けられている、
ダクト構造。
【請求項4】
請求項3に記載のダクト構造であって、
前記フレーム部材は、前記ファンに対して前記ダクト部材を押し付ける、
ダクト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布により形成されたダクト部材を備えるダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリが搭載される。バッテリは電力供給時や充電時に発熱するので、バッテリを冷却する必要がある。例えば、特許文献1には、自動車に搭載された電池に対して冷却風を送風して電池を冷却する構成が記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、電池ケースや送風ファンに接続され、冷却風を電池に送風するための通気ダクトが記載されている。特許文献1の通気ダクトは、プレス加工によって不織布が賦形された一対の半割れ体を組み合わせて一体化された部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不織布は吸音性能に優れており、特許文献1のように通気ダクトを不織布により形成することで、ファン等の駆動音の吸音を期待できる。不織布により形成されたダクト部材の吸音性能は優れているが、吸音性能をより高めるためのダクト部材の配置や構成について改善の余地があった。
【0007】
本発明は、不織布で形成されたダクト部材の吸音性能を向上させることができるダクト構造を提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
車両に搭載されるバッテリに冷却風を送風するファンに接続されるダクト構造であって、
不織布により形成されたダクト部材を備え、
前記ダクト部材は、前記ファンに連通し且つ前記ファンの回転軸方向に直交する方向に延在する流路を有し、
前記流路を区画する壁部のうち前記ファンに対向する壁部には、肉厚部が設けられており、
前記肉厚部は、前記ダクト部材を成形するときに、前記不織布の圧縮率を前記肉厚部の周囲の部分よりも低くすることにより形成され、又は、前記肉厚部部分を圧縮しないことにより形成され、
前記肉厚部における前記ダクト部材の厚さは、前記肉厚部の周囲における前記ダクト部材の厚さよりも大きい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不織布で形成されたダクト部材の吸音性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のダクト構造の一実施形態である吸気ダクト13が搭載されるバッテリパック1の斜視図である。
【
図3】ファン12に接続された吸気ダクト13の斜視図である。
【
図4】下流側ダクト部材40を下方から見た斜視図である。
【
図5】ベースプレート171に取り付けられたファン12、下流側ダクト部材40、及びブラケット60の斜視図である。
【
図6】
図5のA-A線断面図であり、下流側ダクト部材40の肉厚部46を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のダクト構造の一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0012】
[バッテリパック]
先ず、本発明のダクト構造の一実施形態である吸気ダクト13が搭載されるバッテリパック1について説明する。
図1に示すように、バッテリパック1は、車両Vに搭載されている。車両Vは、ハイブリッド車や電気自動車等の電動車両であって、バッテリパック1に蓄電された電力によってモータを駆動することで走行可能に構成される。バッテリパック1は、前後方向に沿って延びる左右一対の骨格フレーム部材3の間において、フロアパネル2に載置され、フロアパネル2に固定される。フロアパネル2は車室及び荷室の床部を構成し、バッテリパック1の上方には、後部座席(不図示)が配置される。
【0013】
図2に示すように、バッテリパック1は、バッテリモジュール11と、ファン12と、吸気ダクト13と、送風ダクト14と、バッテリECU(Electronic Control Unit)15と、ジャンクションボード16と、これらの部材を収容するバッテリケース17と、を備える。
【0014】
バッテリケース17は、ベースプレート171と、ベースプレート171を上方から覆うカバー172と、を有する。ベースプレート171には、バッテリモジュール11、ファン12、及び送風ダクト14が載置される。カバー172は、ベースプレート171を覆い、フロアパネル2に固定される。カバー172の前面には吸気口17aが形成されており、吸気口17aは通気可能なグリル18により覆われている。
【0015】
バッテリモジュール11は、車幅方向に長い略直方体形状を有し、ベースプレート171に固定されている。バッテリモジュール11は、車幅方向に積層された複数のバッテリセルを有する。隣り合うバッテリセルの間には、セル間流路(不図示)が形成されており、送風ダクト14から送出された冷却風がセル間流路を流れることで、バッテリモジュール11が冷却される。
【0016】
ファン12は、ベースプレート171に固定されている。ファン12は、例えばシロッコファンである。ファン12は、回転軸方向(本実施形態では上下方向)に設けられた吸込口12aから冷却風を吸い込んで、遠心方向に設けられた吹出口12bから冷却風を送風ダクト14へ吹き出す。
【0017】
吸気ダクト13は、
図2及び
図3に示すように、カバー172に設けられた吸気口17aとファン12の吸込口12aとを接続する。吸気ダクト13は、車室の空気を冷却風として、吸気口17aからファン12まで案内する。
【0018】
吸気ダクト13は、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とを備える。上流側ダクト部材30は、吸気口17aに接続され、バッテリモジュール11の上方に配置される。下流側ダクト部材40は、ファン12の吸込口12aに接続され、バッテリモジュール11の右側に配置される。吸気ダクト13の詳細については、後述する。
【0019】
送風ダクト14は、バッテリモジュール11とファン12の間に設けられ、ファン12の吹出口12bと連結している。送風ダクト14は、吹出口12bから吹き出された冷却風をバッテリモジュール11の下面に沿うように送出する。バッテリモジュール11の下方に送出された冷却風は、セル間流路を下方から上方に流れてバッテリモジュール11を冷却し、バッテリモジュール11の上面から排出される。その後、冷却風は、バッテリケース17内を流れ、
図1の矢印が示すように、バッテリケース17の外部に排出される。
【0020】
バッテリECU15は、バッテリモジュール11の充電及び放電を制御する。バッテリECU15は、バッテリモジュール11に取り付けられたブラケット19に載置されており、上流側ダクト部材30とバッテリモジュール11との間に配置されている。バッテリECU15は、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。
【0021】
ジャンクションボード16は、バッテリモジュール11と外部機器(不図示)とを電気的に接続し、バッテリモジュール11の充電電力及び放電電力が流れる配線部品を含む。ジャンクションボード16は、下流側ダクト部材40の上方、且つ上流側ダクト部材30の右側に配置される。ジャンクションボード16は、下流側ダクト部材40の上方に設けられたブラケット60に載置される。
【0022】
[吸気ダクト]
次に、吸気ダクト13の詳細について、
図3~
図6を参照して説明する。
【0023】
吸気ダクト13は、前述のとおり、車両Vに搭載されるバッテリパック1の内部に設けられている。吸気ダクト13は、バッテリパック1の吸気口17aとファン12とを接続する。
【0024】
図3に示すように、吸気ダクト13は上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とを備える。上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とは、上流側ダクト部材30の端部を下流側ダクト部材40の端部内に上方から挿入することで接続される。
【0025】
上流側ダクト部材30は、正面視で略L字形状のダクトである。上流側ダクト部材30は、例えば樹脂により形成される。上流側ダクト部材30には、前方に開口した吸気口接続部30aが設けられており、吸気口接続部30aは、カバー172の内側から吸気口17aに接続する。
【0026】
上流側ダクト部材30は、水平部31と、鉛直部32と、屈曲部33と、を有する。水平部31は、バッテリモジュール11の上面に沿って水平方向に延在する。鉛直部32は、バッテリモジュール11の右面に沿って鉛直方向に延在する。鉛直部32の下端は、下方に開口しており、下流側ダクト部材40に接続する。屈曲部33は、水平部31と鉛直部32とを接続する。屈曲部33は、水平部31内を流れる冷却風の進行方向を水平方向から鉛直方向に変更させて、冷却風を鉛直部32に案内する。
【0027】
下流側ダクト部材40は、正面視で略L字形状のダクトである。
図4に示すように、下流側ダクト部材40には、下方に開口した開口部40aが設けられており、開口部40aは、上方からファン12の吸込口12aと連通する。また、開口部40aには、下流側ダクト部材40内の流路を流れる冷却風を開口部40aに案内するガイド部70が設けられている。
【0028】
図3に戻り、下流側ダクト部材40は、上側部材40Aと下側部材40Bとにより構成される。下側部材40Bは、前述した開口部40aを有し、ファン12に接続される。上側部材40Aは、下側部材40Bに上方から取り付けられる。上側部材40Aと下側部材40Bとは、水平方向に延在する外縁部において当接し、接着剤等により接合され、ファン12に連通する流路を区画形成する。
【0029】
下流側ダクト部材40は、水平部41と、鉛直部42と、屈曲部43と、を有する。水平部41は、ファン12の上方で水平方向に延在する。鉛直部42は、バッテリモジュール11の右面に沿って鉛直方向に延在する。鉛直部42の上端は、上方に開口しており、上流側ダクト部材30に接続する。屈曲部43は、水平部41と鉛直部42とを接続する。屈曲部43は、鉛直部42内を流れる冷却風の進行方向を鉛直方向から水平方向に変更させて、冷却風を水平部41に案内する。以下では、水平部41の内部の流路を水平流路410とも称する。この水平流路410は、ファン12に連通し且つファン12の回転軸方向に直交する方向(本実施形態では水平方向)に延在する。水平流路410は、下流側ダクト部材40の上壁部411、側壁部412、及び底壁部413により区画形成されている(
図6参照)。
【0030】
下流側ダクト部材40の上側部材40A及び下側部材40Bの外縁部における当接部44には、3つの固定部13aが設けられている。固定部13aは、例えば、不図示のピン状のクリップのような締結手段が挿通可能な挿通孔を有する。下流側ダクト部材40は、固定部13aとベースプレート171に設けられた固定部(不図示)とにクリップを差し込むことで、ベースプレート171に固定される。なお、締結手段はボルト等でもよい。また、ベースプレート171に対する下流側ダクト部材40の固定は、これらに限られず、任意の固定方法を採用できる。
【0031】
図5に示すように、下流側ダクト部材40の上方にはブラケット60が設けられている。ブラケット60は、板状の部材であり、前述のとおりジャンクションボード16が載置される(
図2参照)。ブラケット60は、複数の(本実施形態では3つの)固定部61を有する。固定部61は、ボルト等の締結手段が挿通可能な挿通孔を有する。固定部61においてベースプレート171に固定される。このとき、下流側ダクト部材40は、ブラケット60とファン12との間に挟まれて配置される。
【0032】
ところで、下流側ダクト部材40は、不織布により形成される。具体的には、シート状の不織布をプレス加工して上側部材40A及び下側部材40Bを成形し、上側部材40A及び下側部材40Bを接合して下流側ダクト部材40が形成される。不織布は、吸音性能に優れており、ファン12が駆動する時に発生する駆動音や、冷却風が流れる時に発生する流体音の音響エネルギーを吸収する。ファン12に連通する下流側ダクト部材40を不織布により形成することで、ファン12の駆動音を吸音し、吸気ダクト13を伝って吸気口17aから車室に漏れる駆動音を低減できる。
【0033】
図6は、
図5のA-A線断面図であり、ファン12が設けられる位置における下流側ダクト部材40の断面を示す。本実施形態では、水平流路410を区画する下流側ダクト部材40の壁部のうちファン12に対向する上壁部411には、肉厚部46が設けられている。肉厚部46における下流側ダクト部材40の厚さは、肉厚部46の周囲における下流側ダクト部材40の厚さよりも大きい。ここで、肉厚部46の周囲とは、上壁部411のうち肉厚部46が設けられていない部分や、側壁部412、底壁部413を指す。例えば、不織布をプレス加工して下流側ダクト部材40を成形するときに、肉厚部46に対応する部分に対しては圧縮率を低くする(若しくは圧縮を行わない)ことで、下流側ダクト部材40に肉厚部46を設けることができる。
【0034】
ファン12に対向する上壁部411に肉厚部46が設けられているので、ファン12から伝わる駆動音(
図6中の黒矢印)を肉厚部46で直接受けることができ、吸気ダクト13の吸音性能を向上させることができる。
【0035】
肉厚部46は、下流側ダクト部材40の外側に突出した凸形状を有する。本実施形態では、凸形状の肉厚部46は、上面視で円形状に設けられている。肉厚部46の直径は、ファン12に連通する開口部40aの直径と略同一かそれ以上であることが好ましい。肉厚部46を下流側ダクト部材40の外側に突出した凸形状とすることで、肉厚部46が下流側ダクト部材40の内側(流路側)に突出した場合と比較して水平流路410を狭めない構成とすることができる。
【0036】
下流側ダクト部材40の上方に配置されるブラケット60には孔部62が設けられており、凸形状の肉厚部46は孔部62に嵌め込まれる。肉厚部46と孔部62は上面視で略同一の大きさを有している。ブラケット60を下流側ダクト部材40の上方に設けるとき、肉厚部46を孔部62に嵌め込むことでブラケット60を容易に位置決めすることができる。この嵌め込みによる位置決め後、固定部61においてブラケット60をベースプレート171に固定する。
【0037】
ブラケット60は、ファン12に対して下流側ダクト部材40を押し付けるようにして、ベースプレート171に固定される。このように、ジャンクションボード16が載置されるブラケット60を下流側ダクト部材40の固定にも用いることができ、部品点数を削減できる。
【0038】
なお、下流側ダクト部材40の上壁部411がブラケット60に押し付けられる構成では、上壁部411の上面の面精度が高く求められる。ここで、一般に、不織布部材を肉厚に形成すると面精度が低くなるので、本実施形態の上壁部411の肉厚部46は面精度が低い。しかしながら、本実施形態では、凸形状の肉厚部46はブラケット60の孔部62に嵌め込まれるので、肉厚部46はブラケット60に押し付けられず、肉厚部46の面精度は問題とならない。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0040】
例えば、前述した実施形態では、吸気ダクト13をバッテリパック1の内部に配置したがこれに限られない。例えば、吸気ダクト13をバッテリパック1の外部に配置した構成であってもよい。
【0041】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0042】
(1) 車両(車両V)に搭載されるバッテリ(バッテリモジュール11)に冷却風を送風するファン(ファン12)に接続されるダクト構造(吸気ダクト13)であって、
不織布により形成されたダクト部材(下流側ダクト部材40)を備え、
前記ダクト部材は、前記ファンに連通し且つ前記ファンの回転軸方向に直交する方向に延在する流路(水平流路410)を有し、
前記流路を区画する壁部のうち前記ファンに対向する壁部(上壁部411)には、肉厚部(肉厚部46)が設けられており、
前記肉厚部における前記ダクト部材の厚さは、前記肉厚部の周囲における前記ダクト部材の厚さよりも大きい、
ダクト構造。
【0043】
(1)によれば、ダクト部材の壁部のうちファンに対向する上壁部に肉厚部が設けられているので、ファンから伝わる駆動音を肉厚部で直接受けることができ、吸音効果を向上させることができる。
【0044】
(2) (1)に記載のダクト構造であって、
前記ダクト部材の前記肉厚部は、前記ダクト部材の外側に突出した凸形状を有する、
ダクト構造。
【0045】
(2)によれば、肉厚部をダクト部材の外側に突出した凸形状とすることで、肉厚部がダクト内部の流路を狭めない構成とすることができる。
【0046】
(3) (2)に記載のダクト構造であって、
前記ダクト構造は、前記車両に搭載されるバッテリパック(バッテリパック1)の内部に設けられ、該バッテリパックの吸気口(吸気口17a)と前記ファンとを接続し、
前記ダクト部材の前記流路は、前記ファンの上方に配置されて水平方向に延在する流路であり、
前記ダクト部材の上方には、他の部品(ジャンクションボード16)が載置される板状のフレーム部材(ブラケット60)が設けられ、
前記フレーム部材は、前記バッテリパックのベースプレート(ベースプレート171)に載置された前記ファンに対して前記ダクト部材を挟むようにして、前記ベースプレートに固定され、
前記フレーム部材には、凸形状の前記肉厚部が嵌め込まれる孔部(孔部62)が設けられている、
ダクト構造。
【0047】
(3)によれば、肉厚部が嵌め込まれる孔部をフレーム部材に設けることにより、フレーム部材の取り付け時の位置決めを行うことができる。
【0048】
(4) (3)に記載のダクト構造であって、
前記フレーム部材は、前記ファンに対して前記ダクト部材を押し付ける、
ダクト構造。
【0049】
(4)によれば、他の部品が載置されるフレーム部材をダクト部材の固定に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 バッテリパック
11 バッテリモジュール(バッテリ)
12 ファン
13 吸気ダクト(ダクト構造)
16 ジャンクションボード(他の部品)
17a 吸気口
171 ベースプレート
40 下流側ダクト部材(ダクト部材)
410 水平流路(流路)
411 上壁部(壁部)
46 肉厚部
60 ブラケット(フレーム部材)
62 孔部
V 車両