IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社の特許一覧

特許7576134車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法
<>
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図1
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図2
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図3
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図4
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図5
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図6
  • 特許-車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】車両におけるネットワーク帯域幅管理のためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H04L12/28 200D
H04L12/28 100A
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125694
(22)【出願日】2023-08-01
(65)【公開番号】P2024095948
(43)【公開日】2024-07-11
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】18/091,787
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】沖野 直人
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038291(JP,A)
【文献】特開2021-093017(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090976(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113839847(CN,A)
【文献】特開2007-081628(JP,A)
【文献】特開2014-072673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うためのシステムであって、
第1命令と第2命令を格納している少なくとも1つのメモリと、
第1ECUと、
複数の第2ECUと、を備え、
前記第1ECUは、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成するための前記第1命令を実行するように構成されており、
前記複数の第2ECUのそれぞれは、
前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持し、
前記データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に前記キューにおけるデータ転送要求を転送するための、
前記第2命令を実行するように構成されており、
前記複数のフェーズの少なくとも2つは異なるサイズを有する、
システム。
【請求項2】
より高い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズは、より低い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズよりも大きい、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1ECUは、前記複数のフェーズの以前の構成を変更するための前記第1命令を実行するように更に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1ECUは、ネットワーク性能データおよび現在のネットワーク環境の少なくとも1つに基づいて、前記以前の構成を新しい構成に変更するための前記第1命令を実行するように更に構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1ECUは、緊急要求を優先するために、各フェーズに予め決定されている最大パーセンテージを割り当てるための前記第1命令を実行するように更に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うためのシステムであって、
第1命令と第2命令を格納している少なくとも1つのメモリと、
第1ECUと、
複数の第2ECUと、を備え、
前記第1ECUは、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成するための前記第1命令を実行するように構成されており、
前記複数の第2ECUのそれぞれは、
前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持し、
前記データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に前記キューにおけるデータ転送要求を転送し、
前記第1ECUに、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対する要求キューは空であるということを示し、
前記現在のフェーズに対応する前記優先順位レベルについてそれらのそれぞれの要求キューは空であることを示すすべての前記複数の第2ECUに基づいて、次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に前記次のフェーズに遷移させるように前記第1ECUによって制御するための、
前記第2命令を実行するように更に構成されている、
システム。
【請求項7】
車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法であって、
前記複数のECUの少なくとも1つのECUにより、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、前記キューにおけるデータ転送要求を転送することを備え、
前記複数のフェーズの少なくとも2つは異なるサイズを有する、
方法。
【請求項8】
より高い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズは、より低い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズよりも大きい、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記構成することは、前記少なくとも1つのECUにより、前記複数のフェーズの以前の構成を変更することを備えている、
請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記以前の構成を前記変更することは、ネットワーク性能データおよび現在のネットワーク環境の少なくとも1つに基づいて、前記以前の構成を新しい構成に変更することを備えている、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法であって、
前記複数のECUの少なくとも1つのECUにより、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、前記キューにおけるデータ転送要求を転送することを備え、
前記構成することは、緊急要求を優先するために、各フェーズに予め決定されている最大パーセンテージを割り当てることを備えている、
方法。
【請求項12】
車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法であって、
前記複数のECUの少なくとも1つのECUにより、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、前記キューにおけるデータ転送要求を転送することと、
ECUにより、前記少なくとも1つのECUに、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対する前記ECUの要求キューは空であるということを示すことと、
前記現在のフェーズに対応する前記優先順位レベルについてそれらのそれぞれの要求キューは空であることを示すすべての前記複数のECUに基づいて、次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に前記次のフェーズに遷移させるように前記少なくとも1つのECUによって制御することと、を備えている、
方法。
【請求項13】
命令を記録している少なくとも1つの非一時的コンピュータ読み取り可能記録媒体であって、前記命令は、車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)により実行可能であり、
前記複数のECUの少なくとも1つのECUにより、前記ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、前記複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持することと、
前記複数のECUのそれぞれにより、データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、前記キューにおけるデータ転送要求を転送することと、
を備えている、前記複数のECUに対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法を実行し、
前記複数のフェーズの少なくとも2つは異なるサイズを有する、
少なくとも1つの非一時的コンピュータ読み取り可能記録媒体。
【請求項14】
より高い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズは、より低い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズよりも大きい、
請求項13に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ読み取り可能記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例としての実施形態と整合するシステムと方法は、車両における通信ネットワークの帯域幅管理に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における通信に対する帯域幅と低遅延データ転送に対する必要性は、先進運転支援システム(ADAS)と自動化運転(つまり、支援された運転)(AD)が標準アプリケーションになるにつれて絶えず増大している。この傾向に伴い、イーサネットを使用する車両における通信ネットワークに接続される電子制御ユニット(ECU)の数、およびそれに付随するデータ通信量も増加し続けている。例えば、最新の車両は150ものECUを含むことができ、そのECUの幾つかは、各ECUにより占有される帯域幅を管理する中央オペレーティングシステムを共有することなく異なるオペレーティングシステムで作動することもあり得る。結果として、ネットワークデータ通信量、車両の通信ネットワーク接続の多様な品質、および車両における通信ネットワークの効率的な帯域幅管理がないために、各ECUからのデータの転送は常に保証されるというわけではない。
【発明の概要】
【0003】
実施形態によれば、ECUオペレーティングシステムとは無関係に、要求のそれぞれの優先順位に従って、各ECUによるデータ転送(入出力(I/O))要求のスケジューリングおよびそれらを同期するためのシステムと方法が提供される。この目的のために、システムと方法は、各ECUにおける異なるデータ転送I/O要求に異なる優先順位を割り当て、割り当てられた優先順位に基づいてネットワークを介するデータ転送I/O要求のスケジューリングを行うことにより、最も高い優先順位の要求がタイミングよく転送されることを確実にするために、車両のローカルネットワーク通信量(つまり、ネットワーク帯域幅)を効率よく管理する。
【0004】
実施形態によれば、車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うためのシステムは、第1命令と第2命令を格納している少なくとも1つのメモリ、第1ECU、および、複数の第2ECUを含み、第1ECUは、ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成するための第1命令を実行するように構成されており、複数の第2ECUのそれぞれは、複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持し、データ要求転送に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、キューにおけるデータ転送要求を転送するための第2命令を実行するように構成されている。
【0005】
複数のフェーズのそれぞれは同じサイズを有することができる。
【0006】
複数のフェーズの少なくとも2つは異なるサイズを有することができる。
【0007】
より高い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズは、より低い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズよりも大きくてよい。
【0008】
第1ECUは、複数のフェーズの以前の構成を変更するための第1命令を実行するように更に構成できる。
【0009】
第1ECUは、ネットワーク性能データおよび現在のネットワーク環境の少なくとも1つに基づいて、以前の構成を新しい構成に変更するための第1命令を実行するように更に構成できる。
【0010】
第1ECUは、緊急要求を優先するために、各フェーズに予め決定されている最大パーセンテージを割り当てるための命令を実行するように更に構成できる。
【0011】
複数の第2ECUのそれぞれは、第1ECUに、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対する要求キューは空であるということを示し、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対して、それらのそれぞれの要求キューは空であることを示すすべての複数の第2ECUに基づいて、次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に次のフェーズに遷移させるように第1ECUによって制御するための命令を実行するように更に構成できる。
【0012】
実施形態によれば、車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)に対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法は、複数のECUの少なくとも1つのECUにより、ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成すること、複数のECUのそれぞれにより、複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持すること、および、複数のECUのそれぞれにより、データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、キューにおけるデータ転送要求を転送することを含んでいる。
【0013】
複数のフェーズのそれぞれは同じサイズを有することができる。
【0014】
複数のフェーズの少なくとも2つは異なるサイズを有することができる。
【0015】
より高い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズは、より低い優先順位レベルに対応するフェーズのサイズよりも大きくてよい。
【0016】
構成することは、少なくとも1つのECUにより、複数のフェーズの以前の構成を変更することを含むことができる。
【0017】
以前の構成を変更することは、ネットワーク性能データおよび現在のネットワーク環境の少なくとも1つに基づいて、以前の構成を新しい構成に変更することを含むことができる。
【0018】
構成することは、緊急要求を優先するために、各フェーズに予め決定されている最大パーセンテージを割り当てることを含むことができる。
【0019】
方法は更に、ECUにより、少なくとも1つのECUに、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対するECUの要求キューは空であるということを示すこと、現在のフェーズに対応する優先順位レベルに対して、それらのそれぞれの要求キューは空であることを示すすべての複数のECUに基づいて、次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に次のフェーズに遷移させるように少なくとも1つのECUによって制御することを含むことができる
【0020】
実施形態によれば、少なくとも1つの非一時的コンピュータ読み取り可能記録媒体は命令を記録しており、この命令は、車両におけるネットワークに接続されている複数の電子制御ユニット(ECU)により実行可能で、複数のECUの少なくとも1つのECUにより、ネットワークを介してデータを転送するためのタイムスライスである複数のフェーズを構成すること、複数のECUのそれぞれにより、複数のフェーズにそれぞれ対応する複数の優先順位レベルに分割されたデータ転送要求キューを維持すること、および、複数のECUのそれぞれにより、データ転送要求に対する優先順位レベルに対応するフェーズの間に、キューにおけるデータ転送要求を転送することを含んでいる、複数のECUに対してデータ転送要求のスケジューリングを行うための方法を実行する。
【0021】
追加的態様は、下記の記述において部分的に記述され、記述から部分的に明白であり、または、開示の提示されている実施形態の実践により実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
開示のある例としての実施形態の特徴、態様、および利点は、付随する図面を参照して下記に記述され、図面においては、類似の参照番号は類似の要素を示している。
【0023】
図1図1は、1つの実施形態に係わる、車両におけるイーサネットネットワークへの複数のECUの接続性を例示している。
【0024】
図2図2は、1つの実施形態に係わる、ECUの要求キューを例示している。
【0025】
図3図3は、1つの実施形態に係わる、データ送信のための予め決定されているタイムスライスにおける複数のフェーズのスケジューリングを例示している。
【0026】
図4図4は、1つの実施形態に係わる、データ送信のためのフェーズの予め決定されているタイムスライスに対する、車両における通信ネットネットワーク内の少なくとも1つのECUの要求キューにおけるデータ転送I/O要求の割り当てを例示している。
【0027】
図5図5は、1つの実施形態に係わる、データ送信のための予め決定されているタイムスライスにおける複数のフェーズの構成可能なスケジューリングを例示している。
【0028】
図6図6は、1つの実施形態に係わる、緊急要求を優先するために各フェーズに対する予め決定されている最大パーセンテージの割り当てを例示している。
【0029】
図7図7は、1つの実施形態に係わる、データ送信のための予め決定されているタイムスライスにおける、次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に次のフェーズに遷移させるように制御することを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例としての実施形態の下記の詳細な記述は付随する図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定できる。
【0031】
前述の開示は例示と記述を提供するが、すべてを網羅することは意図されておらず、また、実現形態を開示されている正確な形状に制限することも意図されていない。上記の開示を考慮すれば、修正および変形は可能であり、または、実現形態の実践により取得できる。更に、1つの実施形態の1つ以上の特徴または構成要素は、他の実施形態(または、他の実施形態の1つ以上の特徴)に組み込むことができ、またはそれと組み合わせることができる。追加的に、下記に提供される動作のフローチャートと記述において、1つ以上の動作は省略でき、1つ以上の動作を追加でき、1つ以上の動作は、同時に実行ででき(少なくとも部分的には)、および1つ以上の動作の順序は切り替えることができるということは理解される。
【0032】
ここにおいて記述されているシステムおよび/または方法は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせの異なる形状において実現できるということは明白であろう。これらのシステムおよび/または方法を実現するために使用される実際の特殊化された制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは実現形態に対する制限ではない。そのため、システムおよび/または方法の動作と挙動は、ここにおいては、特定のソフトウェアコードを参照せずに記述されている。ソフトウェアとハードウェアは、ここにおける記述に基づいてシステムおよび/または方法を実現するために設計できるということは理解される。
【0033】
特徴の特別な組み合わせが特許請求の範囲において詳述され、および/または、明細書において開示されているが、これらの組み合わせは、可能な実現形態の開示を制限することは意図されていない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲において特定的に詳述されていない、および/または明細書において開示されていない方法で組み合わせることができる。下記に一覧で示される従属請求項は、1つの請求項のみに直接従属できるが、可能な実現形態の開示は、請求項のセットにおけるすべての他の請求項との組み合わせにおいてそれぞれの従属請求項を含んでいる。
【0034】
ここにおいて使用されている如何なる要素、動作、または命令は、そのように明示的に記述されない限り、決定的または本質的であると解釈されるべきでない。また、ここにおいて使用されているように、冠詞「ある」は、1つ以上の項目を含むことが意図されており、「1つ以上」と交換可能に使用できる。1つの項目のみが意図されているときは、「1つの」という用語、または類似の言語が使用される。また、ここにおいて使用されているように、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」などのような用語は、制限されない、開かれた用語であることが意図されている。更に、「基づいて」というフレーズは、そうでないと明示的に記述されない限り「少なくとも部分的には~に基づいて」を意味することが意図されている。更に、「[A]と[B]の少なくとも1つ」または「[A]または[B]の少なくとも1つ」などのような表現は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両者を含んでいるものとして理解されるべきである。
【0035】
本開示の例としての実施形態は、各ECUの要求キューにおける異なるデータ転送I/O要求に異なる優先順を割り当て、割り当てられた優先順位に基づいてネットワークを介してのデータ転送I/O要求のスケジューリングを行うことで、最も高い優先順位の要求がタイミングよく転送されることを確実にする方法とシステムを提供する。更に、上記のように割り当ておよびスケジューリングを行うことは、より低い優先順位のデータ転送I/O要求がそれぞれ考慮されることを確実にする。結果として、各ECUからのデータの転送を保証することができ、帯域幅管理を、高い優先順位の要求の遅延を削減するために最適化できる。
【0036】
図1は、1つの実施形態に係わる、車両におけるイーサネットネットワークへの複数のECUの接続性を例示している。図1を参照すると、ECUがデータを送受信するローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)を介して、複数のECUが接続されている。更にECUは、無線でデータを送受信するために(例えば、セルラー通信ネットワークを介して)、ローカルエリアネットワークを介してデータ通信モジュール(DCM)に接続されている。
【0037】
例えば、DCMは、自動車プロトコル(例えば、自動車イーサネット)間の通信/データ転送を管理でき、車両とクラウドとの間の通信/データ転送(例えば、セルラー通信ネットワークを介して)を管理できる。DCMは、異なるECU(種々のセンサおよびアクチュエータを制御している)間の物理的分離、およびデータを共有する、車両における機能ドメイン(例えば、パワートレイン(伝導機構)、シャーシと安全性、車体制御、インフォテインメント、テレマティクス(電話とコンピュータによる情報サービスシステム)、ADAS)間の信号の経路を決定するためのプロトコル移植性/変換を提供できる。この目的のために、DCMはルータとして動作でき、マルチプロトコルと、接続されたサービスとの間の通信を可能にし、または、異なるネットワーク(例えば、イーサネット、セルラー通信ネットワークなど)間でデータを相互接続および転送するハブとして動作できる。
【0038】
ECUのそれぞれは、車両における電気システムまたはサブシステムの1つ以上を制御する自動車電子機器において埋め込まれているシステムである。例えば、ECUは、他の役割(機能)の中で特に、下記の役割(機能)、つまり、エンジン制御モジュール(ECM)、パワートレイン制御モジュール(PCM)、トランスミッション制御モジュール(TCM)、制動制御モジュール(BCMまたはEBCM)、車体制御モジュール(BCM)、サスペンション制御モジュール(SCM)などの1つを有することができる。追加的に、ECUは機能ECU(例えば、すべてのADSA機能を実行するECU)に統合できる。実施形態においては、ECUはまた、DCM(例えば、マスターECU)の役割を引き継ぐことができ、前記ECUは、中央制御モジュール(CCM)、中央タイミングモジュール(CTM)などとして動作できる。
【0039】
図2は、1つの実施形態に係わるECUのデータ転送I/O要求キューを例示している。図2を参照すると、各ECUは、データ転送I/O要求に対する優先順位を定義または指定する。例えば、各ECUは、前記要求を3つの優先順位(つまり、優先順位P1、P2、P3)に分割および分類することにより、データ転送I/O要求に対して優先順位を定義または指定できる。
【0040】
優先順位(例えば、P1、P2、P3)は、優先順位レベル(例えば、低い優先順位、中間の優先順位、高い優先順位など)を指すことができる。優先順位の数(つまり、優先順位レベルの数)は、車両における通信ネットワーク内のすべて(または複数)のECU間で決定される(例えば、優先順位の数は、すべてのECUに対して予め決定できる)。代替的に、優先順位の数(つまり、優先順位レベルの数)は、DCMまたはマスターECUにより動的に調整できる。
【0041】
更に各ECUは、優先順位レベルを、ECUの役割に基づくECU特有の通信優先順位に対応付ける優先順位テーブルを維持できる。例えば各ECUは、優先順位レベルを、データが送られている、または受信されているアプリケーションのアプリケーションID、データ転送のタイプ(例えば、ネットワーク内対ネットワーク外)などの少なくとも1つに対応付ける優先順位テーブルを維持できる。
【0042】
更に、マスター優先順位テーブルはマスターECU(つまり、CCMとして動作するECUなど)により維持でき、すべてのECUで共有できる。
【0043】
逆に、各ECUまたはOSは、自身の優先順位テーブルを構成且つ維持できる。更に、複数の優先順位テーブルを作成且つ格納でき、例えば、第1優先順位テーブルを車両におけるネットワーク通信量用に(例えば、自動車イーサネットを介して)、および第2優先順位テーブルを外部通信データ用に(例えば、無線送信を介して)作成且つ格納できる。
【0044】
追加的に、複数の優先順位テーブルを、ECUの特別な役割(つまり、機能)によって、タイミング(遅延)制約、システムの重要な必要条件などに基づいて作成且つ格納できる。例えば、制動制御モジュール(例えば、BCMまたはEBCM)の優先順位テーブルは、パワーウィンドウなどのような電気装置を制御する一般電子モジュール(GEM)の優先順位テーブルとは異なっていてよい。
【0045】
図2を更に参照すると、要求キューにおける位置は、データ転送I/O要求が車両ネットワーク(例えば、イーサネット)を介していつ転送されるべきかを示している。例えば、要求キューの先頭における要求P1は、車両ネットワークを介して最初に送られ、一方、要求P2はキューにおいて2番目に、P3は3番目に送られることになる(つまり、転送されるシーケンス)。データ転送I/O要求(つまり、要求キューの先頭のデータ転送I/O要求)が転送されるタイミングは、図3において示されているように、データ送信に対する予め定義されているタイムスライスにおける複数のフェーズによりスケジューリングが行われる。
【0046】
図3は、1つの実施形態に係わる、データ送信に対する予め定義されているタイムスライスにおける複数のフェーズのスケジューリングを例示している。図3を参照すると、DCMまたはマスターECU(例えば、CTM)は、送信時間を複数のタイムスライスに分割する複数の時間帯を予め決定する(つまり、作成する)。複数のタイムスライスの各タイムスライスはフェーズに対応付けることができる。フェーズは、ある優先順位を有して要求の送信のために予め確保されている、ある時間帯(つまり、タイムスライス)である(例えば、フェーズP1は、優先順位P1で要求を送信するために予め確保されている)。例えば、図3の実施形態に係わるタイムラインによれば、DCM(またはマスターECU)は複数のタイムスライスを作成でき、それらを優先順位P1、P2、およびP3それぞれに対して予め確保されているフェーズP1、P2、P1、P3、P1、P2、P1、P2、P1、P3のシーケンスに対応付けることができる。タイムラインによれば、送信時間の間のフェーズのシーケンスは、優先順位P1の要求に対して予め確保されている5つのフェーズ、優先順位P2の要求に対して予め確保されている3つのフェーズ、および、優先順位P3の要求に対して予め確保されている2つのフェーズを含んでいる。P1が高い優先順位の要求に対応付けられ、P2が中間の優先順位の要求に対応付けられ、P3が低い優先順位の要求に対応付けられる場合、上記の例で記述されているようなシーケンスは、図3において例示されているように、送信時間内において、高い優先順位の要求を、車両における通信ネットワークを介して定期的に(つまり、P2またはP3のフェーズの何れかの後に一度)送信するために十分な時間を提供し、一方、中間の優先順位の要求(つまり、P2の優先順位の要求)は、2番目に多いタイムスライスを有していると考えられ、低い優先順位の要求は、3番目に多いタイムスライスを有していると考えられる。優先順位によるフェーズのこの割り当ておよびスケジューリングは、ECUの高い優先順位の要求は、他の(より低いレベルの)優先順位の要求よりも優先され、それにより、最も高い優先順位の要求がタイミングよく転送されることを確実にし、車両における通信ネットワーク内でのデータ送信の信頼性を最適化する。
【0047】
図4は、1つの実施形態に係わる、車両における通信ネットワーク内の少なくとも1つのECUの要求キューにおけるフェーズの、データ送信のための予め定義されているタイムスライスへの割り当てを例示している。
【0048】
図4を参照すると、第1例においては、図4の左側において、DCMと、すべてが要求(つまり、入力/出力要求)の同じ優先順位レベルP1を有している4つのECU(例えば、ECU1、ECU2、ECU3、ECU4)が例示されている。更に、第2例においては、図4の右側において、DCMと、すべてが要求(つまり、入力/出力要求)の同じ優先順位レベルP2を有している4つのECU(例えば、ECU1、ECU2、ECU3、ECU4)が例示されている。図4の右側と左側における各ECUは、現在のフェーズが、要求の優先順位と同じときのみに要求を転送するように構成されている。従って、第1例においては、P1の要求は、対応するP1のフェーズの間のみにネットワークを介して転送され、第2の例においては、P2の要求は、対応するP2のフェーズの間のみに転送される。
【0049】
図5は、1つの実施形態に係わる、データ送信のための予め定義されているタイムスライスにおける複数のフェーズの構成可能なスケジューリングを例示している。図5を参照すると、第1タイムラインは、フェーズのそれぞれが同じサイズ(例えば、図3におけるタイムラインと類似している)を有することができるタイムスライスを例示し、第2タイムラインは、フェーズのそれぞれが異なるサイズ(例えば、フェーズのサイズとフェーズのスケジューリングは構成可能)を有することができるタイムスライスを代替的に例示している。図5における実施形態によれば、フェーズは、予め確保している優先順位によって異なる時間帯を有するように構成できる(つまり、フェーズのタイムスライスは互いに異なってよい)。結果として、第1優先順位を有するデータ転送I/O要求に対して予め確保されている第1フェーズは、第2優先順位を有するデータ転送I/O要求に対して予め確保されている第2フェーズよりも長いことが可能である(例えば、P1の要求に対して予め確保されているフェーズP1は、P2に対して予め確保されているフェーズP2よりも長いことが可能であるなど)。優先順位レベルは、フェーズの長さに関連させなくてもよい(つまり、P1のフェーズはP2のフェーズよりも短いことが可能であるなど)。
【0050】
更に図5を参照すると、DCM(またはマスターECU)は、4つの異なる優先順位(つまり優先順位レベル)P1、P2、P3、P4に対して異なるサイズのフェーズを作成する。この例によれば、送信時間におけるフェーズP1、P2、P3、P4のシーケンスは、最も長いタイムスライスを有しているP1の要求に対して予め確保されている第1フェーズP1、2番目に長いタイムスライスを有しているP2の要求に対して予め確保されている第2フェーズP2、3番目に長いタイムスライスに対するP3の要求に対して予め確保されている第3フェーズP3、および4番目に長いタイムスライスを有しているP4の要求に対して予め確保されている第4フェーズP4を含むことができる。
【0051】
異なるサイズへのフェーズの構成に基づいて、それぞれのフェーズにおいて(つまり、要求のそれぞれの優先順位に対して予め確保されているフェーズにおいて)転送できる同じ優先順位のデータ転送I/O要求の数もまた構成可能である。例としての実施形態においては、DCMおよび/またはマスターECUは、異なるECUからの同じ優先順位のすべての要求(つまり、要求は、異なるECUの要求キューにおけるそれぞれの位置に従って転送されるようにスケジューリングされている)が、それらのそれぞれのフェーズのスケジューリングされている時間において転送できる(つまり、適合されたフェーズにより対応できる)ように、フェーズのサイズ(つまり、フェーズのタイムスライスの持続時間)を適合するように構成できる。
【0052】
この目的のために、例としての実施形態においては、DCMおよび/またはマスターECUは、フェーズのサイズ(つまり、フェーズのタイムスライスに対してどのくらいの時間が割り当てられるべきか)を決定するように構成できる。例えば、DCMおよび/またはマスターECUは、ネットワーク内の各ECUの要求キューの評価に基づいて、すべてのP1の要求に対応するために第1優先順位に対するP1のフェーズのサイズを決定するように構成できる。例えば、要求キューの第3番目の位置のP1の要求をそれぞれが有している5つの異なるECUがある場合、DCMまたはマスターECUは、前記5つのP1の要求が要求キューにおける先頭の位置に到達するときに、前記5つのP1要求に対応することができるP1のフェーズを作成できる(つまり、すべての5つのP1の要求が転送されるようにスケジューリングが行われる)。
【0053】
構成可能なフェーズサイズは、各ECUの要求キューにおける同じ位置の同じ優先順位を有するすべてのデータ転送I/O要求を、同じ優先順位の要求が転送されることを確実にするために考慮できるという利点を有している。この確実にされたデータの転送は、車両における通信ネットワーク内のデータ送信の信頼性を最適化する。
【0054】
更に、それぞれのECUの機能(役割)によっては、ECUは、あるデータ転送I/O要求に対しては、より長い送信時間を必要とする可能性がある。結果として、DCMまたはマスターECUは、最も高い優先順位の要求がタイミングよく転送されることを確実にし、車両における通信ネットワーク内のデータ送信の信頼性を最適化するために、ECUの必要条件に従って(つまり、各ECUの優先順位テーブルにおけるそれぞれの優先順位と対応付けられたアプリケーションに従って)フェーズサイズを構成できる。
【0055】
対象となる車両の環境によっては、種々のスケジューリング戦略があり得る。例えば、ECUの種々の役割(機能)および車両における通信ネットワークの種々の構成に関して、多数の異なるフェーズ(つまり、フェーズP1、P2、P3、…、Pnなど)の1つ、1つのシーケンスにおけるフェーズの反復頻度(つまり、図3において示されているような)、およびフェーズの構成可能なサイズ(例えば、図5において示されているような)の組み合わせを、車両における通信ネットワークの帯域幅を管理するために適用できる。
【0056】
更に、上述したように、種々の実施形態においては、フェーズのサイズおよび/またはスケジューリングは静的または構成可能であることができる。構成可能な場合、1つの指定されたECU(つまり、マスターECUまたはDCM)には、フェーズのサイズおよび/またはスケジューリングを構成するように担当させることができる。例えば、種々の構成を、指定されたECUのオペレーティングシステムまたはスケジューラにより(例えば、フィードバックデータ、現在のモニタされたネットワークパラメータ/性能/KPI、機械学習モデルなどに基づいて)、または、オペレーティングシステム/スケジューラへの無線による最新情報を介して適合的に実行できる。
【0057】
図6は、実施形態にかかわる、緊急要求を優先するための各フェーズへの予め決定されている最大パーセンテージの割り当てを例示している。図6を参照すると、1つ以上の実施形態においては、各フェーズの予め決定されている割り当て(例えば、20%)(例えば、ネットワーク帯域幅のパーセンテージ、要求の総数、時間など)を緊急要求に提供できる。予め決定されている割り当ては各フェーズに対して同じであってよく、またはフェーズ間で変わってもよい(例えば、緊急要求に対する割り当ては、例えば、フェーズP1などのより高い優先順位のフェーズに対してはより少なくてよく、および、例えば、フェーズP3などのより低い優先順位のフェーズに対してはより多くてよい)。そのため、緊急要求は、フェーズの優先順位に関係なく、各フェーズの予め決定されている割り当て(X%)まで転送できる。
【0058】
例えば、ECUの役割(機能)と、他のECUとのその関連に関する制約によっては、第1ECUの低い優先順位の要求は、第2ECUの高い優先順位の要求よりも車両の安全性に対してより重大な影響を有し得る。この場合、データ転送I/O要求への優先順位の割り当て以外の緊急要求は、スケジューリングされた転送のタイミングで対応されなければならない可能性がある。このタイプの緊急要求は、フェーズの優先順位に関係なく、各フェーズの予め決定されている割り当て(X%)まで転送できる。
【0059】
図7は、1つの実施形態に係わる、データ送信のための予め定義されているタイムスライスにおける次のフェーズのためのスケジューリング時間の前に次のフェーズへ遷移するように制御することを例示している。
【0060】
図7を参照すると、ネットワーク帯域幅をより効率的に利用するために、何れのECUからも、ある特別なフェーズに対応する要求がそれ以上ない場合は、その特別なフェーズは、そのスケジューリングされている遷移時間の前に終了させる(次のスケジューリングされているフェーズに遷移させる)ことができる。例えば、現在のフェーズに対応する優先順位に対するECUのキューが空のときは、ECUは、この状態をマスターECUに信号で知らせることができる(例えば、「フェーズをスキップ」を宣言できる)。すべてのECUが現在のフェーズに対して空のキューを信号で知らせる(例えば、すべてのECUが「フェーズをスキップ」を宣言する)場合、マスターECUは、次のフェーズを開始する遷移を強制できる。例えば、マスターECUは、スケジュールの前の次のフェーズを開始するための新しい時間を宣言できる。
【0061】
図1~7に対しては、ECU間の時間の不一致を回避するために、すべてのECUを定期的に(例えば、予め決定されているスケジュール、またはネットワーク故障またはシステムエラーなどのようなトリガ(誘発)事象に基づいて周期的に)時間同期させることができる。指定されたECU(例えば、中央制御モジュール(CCM)、中央タイミングモジュール(CTM)などのようなマスターECU)は、例えば、スケジューリングされているフェーズを開始するための時間を宣言することにより、各ECUとの時間同期を制御または実行するように構成できる。各ECUに対するシステムクロックはまた、マスターECUにより、または順次、またはデイジーチェーン方式で同期させることができる。
【0062】
例としての実施形態によれば、方法とシステムは、各ECUの要求キューにおける異なるデータ転送I/O要求に異なる優先順位を割り当てること、および、最も高い優先順位の要求がタイミングよく転送されることを確実にする、割り当てられた優先順位に基づくネットワークを介してのデータ転送I/O要求1のスケジューリングを実現する。更に、上記のような割り当てとスケジューリングは、より低い優先順位のデータ転送I/O要求がそれぞれ考慮されることを確実にする。結果として、各ECUからのデータの転送を保証することができ、帯域幅管理は、高い優先順位の要求の遅延を削減するために最適化できる。帯域幅管理におけるこの改良は、ADASおよびADシステムをより効率的にし、運転安全性と快適さを増大させる。
【0063】
上記の開示は例示と記述を提供するが、網羅的であることは意図されておらず、また、実現形態を開示されている正確な形状に制限することも意図されていない。上記の開示を考慮すれば修正と変形は可能であり、または実現形態の実践から取得できる。
【0064】
幾つかの実施形態は、統合の任意の可能な技術的詳細レベルにおいて、システム、方法、および/またはコンピュータ読み取り可能媒体に関することができる。更に、上述されている上記の構成要素の1つ以上は、コンピュータ読み取り可能媒体に格納され、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令として実現できる(および/または、少なくとも1つのプロセッサを含むことができる)。コンピュータ読み取り可能媒体は、プロセッサに動作を実行させるためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令を有しているコンピュータ読み取り可能非一時的格納媒体を含むことができる。
【0065】
コンピュータ読み取り可能格納媒体は、命令実行装置による使用のための命令を保持および格納できる実体的装置であることができる。コンピュータ読み取り可能格納媒体は、例えば、下記に制限されないが、電子格納装置、磁気格納装置、光格納装置、電磁格納装置、半導体格納装置、または上述の任意の適切な組み合わせであってよい。コンピュータ読み取り可能格納媒体のより具体的な例の、すべてを網羅しているわけではないリストには下記の、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能型プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、携帯型コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多目的ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは記録されている命令を有している溝における隆起構造などのような機械的に符号化されている装置、および上述の任意の適切な組み合わせが含まれる。ここにおいて使用されているようなコンピュータ読み取り可能媒体は、無線波、または、他の自由に伝播する電磁波、導波管または他の送信媒体を通して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通して送信される電気信号などのような、それ自体が一時的な信号として解釈されるべきではない。
【0066】
ここにおいて記述されているコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、コンピュータ読み取り可能格納媒体から各演算/処理装置にダウンロードでき、または外部コンピュータまたは外部格納装置に、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/または無線ネットワークなどのネットワークを介してダウンロードできる。ネットワークは、銅送信ケーブル、光送信ファイバ、無線送信、ルータ、ファイヤウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを備えることができる。各演算/処理装置におけるネットワークアダプタカードまたはネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ読み取り可能プログラム命令を受信し、各演算/処理装置内のコンピュータ読み取り可能格納媒体における格納のためにコンピュータ読み取り可能プログラム命令を転送する。
【0067】
動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラムコード/命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路に対する構成データ、または、Smalltalk、C++などのようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または類似のプログラム言語などのような手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせにおいて記述されているソースコードまたはオブジェクトコードの何れかであってよい。コンピュータ読み取り可能プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体を実行でき、ユーザのコンピュータ上で一部を実行でき、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で一部を実行でき、および、リモートコンピュータ上で一部を実行でき、または、リモートコンピュータまたはサーバ上で全体を実行できる。後者のシナリオにおいては、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続でき、または接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して)実行できる。幾つかの実施形態においては、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、態様または動作を実行するために、コンピュータ読み取り可能プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個人化することにより、コンピュータ読み取り可能プログラム命令を実行できる。
【0068】
これらのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、コンピュータのプロセッサ、または、他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定されている機能/動作を実現するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または、他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに機械を製作するために提供できる。これらのコンピュータ読み取り可能プログラム命令はまた、格納されている命令を有しているコンピュータ読み取り可能格納媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定されている機能/動作の態様を実現する命令を含んでいる製造品を備えるように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または、他の装置に特別な様式で機能するように命令できるコンピュータ読み取り可能格納媒体に格納できる。
【0069】
コンピュータ読み取り可能プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定されている機能/動作を実現するように、コンピュータにより実現されるプロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置上で一連の動作ステップが実行されるようにさせるために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置にロードできる。
【0070】
図面におけるフローチャートとブロック図は、種々の実施形態に係わる、システム、方法、およびコンピュータ読み取り可能媒体の可能な実現形態のアーキテクチャ、機能、および動作を例示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができ、それらは、特定された論理機能を実現するための1つ以上の実行可能命令を備えている。方法、コンピュータシステム、およびコンピュータ読み取り可能媒体は、追加的ブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または、図1において示されているのとは異なるように配置されているブロックを含むことができる。幾つかの代替の実現形態においては、ブロックにおいて示されている機能は、図において示されている順序とは異なる順序で起こることができる。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際は、同時に、または実質的に同時に実行でき、または、関与する機能によっては、ブロックを逆の順序で実行できることもある。ブロック図および/またはフローチャートの例示における各ブロック、および、ブロック図および/またはフローチャートの例示におけるブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行し、特殊目的ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する特殊目的のハードウェアに基づくシステムにより実現できるということにも気付くであろう。
【0071】
ここにおいて記述されているシステムおよび/または方法は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせの異なる形状において実現できる。これらのシステムおよび/または方法を実現するために使用された実際の特殊化された制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは実現形態を制限するものではない。そのため、システムおよび/または方法の動作と挙動は、特定のソフトウェアコードを参照しないでここにおいて記述されてきており、ソフトウェアとハードウェアは、ここにおける記述に基づいてシステムおよび/または方法を実現するように設計できるということは理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7