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特許7576138バックコンタクト太陽光発電モジュール及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】バックコンタクト太陽光発電モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20241023BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H01L31/04 240
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023142572
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】202310458880.6
(32)【優先日】2023-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522171073
【氏名又は名称】晶科能源(海▲寧▼)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】陶 武松
(72)【発明者】
【氏名】王 路▲闖▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 世亮
(72)【発明者】
【氏名】郭 志球
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-050341(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0021464(KR,A)
【文献】特開2013-161980(JP,A)
【文献】国際公開第2008/096711(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0160531(US,A1)
【文献】中国実用新案第209804681(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックコンタクト太陽光発電モジュールであって、
前記バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、
前記ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、前記バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられ、前記透明支持層は、前記バックコンタクトソーラーセルの表面から突出し、前記透明支持層は、前記正面の一部の領域を覆っており、
前記透明支持層は、複数の透明バンプを含み、
前記透明バンプの高さは、0.5mm以下であり、
各前記透明バンプは、何れも前記バックコンタクトソーラーセルのエッジよりも内側に配置され、且つ前記透明バンプと前記バックコンタクトソーラーセルのエッジとの間には、隙間が形成されており、
前記正面に占める前記透明支持層の面積割合は、2%~30%であり、
前記上部接着フィルム層の前記バックコンタクトソーラーセルへ向かう側には、凹溝が設けられ、前記凹溝と前記透明支持層とは、互いに嵌合されており、前記透明支持層は、前記凹溝をちょうど満たすことにより、平坦な太陽光発電モジュール構造を形成可能であることを特徴とするバックコンタクト太陽光発電モジュール。
【請求項2】
前記透明バンプは、前記バックコンタクトソーラーセルの表面に均一に分布されていることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト太陽光発電モジュール。
【請求項3】
前記透明バンプの数は、9つ以上であり、又は、
隣接する前記透明バンプの間の間隔は、7cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト太陽光発電モジュール。
【請求項4】
前記バックコンタクトソーラーセルの表面における前記透明バンプの投影面積は、10mm2以下であることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト太陽光発電モジュール。
【請求項5】
前記透明支持層の材質は、絶縁性接着剤、ホットメルト接着剤、PET、EVA及びPOEのうちの何れか1種であることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載のバックコンタクト太陽光発電モジュール。
【請求項6】
バックコンタクト太陽光発電モジュールの製造方法であって、
前記バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、
前記ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、前記バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられ、前記透明支持層は、前記バックコンタクトソーラーセルの表面から突出し、前記透明支持層は、前記正面の一部の領域を覆い、
前記製造方法は、
前記バックコンタクトソーラーセルの正面を上向きにし、前記バックコンタクトソーラーセルの正面に透明支持層を作製する工程と、
透明支持層を硬化処理する工程と、
前記バックコンタクトソーラーセルを裏返して伝送する工程と、
前記バックコンタクトソーラーセルをパッケージ化してバックコンタクト太陽光発電モジュールを形成する工程と、を含み、
前記透明支持層は、複数の透明バンプを含み、
前記透明バンプの高さは、0.5mm以下であり、
各前記透明バンプは、何れも前記バックコンタクトソーラーセルのエッジよりも内側に配置され、且つ前記透明バンプと前記バックコンタクトソーラーセルのエッジとの間には、隙間が形成されており、
前記正面に占める前記透明支持層の面積割合は、2%~30%であり、
前記上部接着フィルム層の前記バックコンタクトソーラーセルへ向かう側には、凹溝が設けられ、前記凹溝と前記透明支持層とは、互いに嵌合されており、前記透明支持層は、前記凹溝をちょうど満たすことにより、平坦な太陽光発電モジュール構造を形成可能であることを特徴とするバックコンタクト太陽光発電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電生産技術分野、特にバックコンタクト太陽光発電モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バックコンタクトソーラーセルのPN接合及び電極は、電池の裏面に位置し、即ち、バックコンタクトソーラーセルのエミッタ領域及びベース領域の電極は、いずれも裏面に位置し、正面にグリッドラインによる遮蔽がなく、ソーラーセルの光電変換性能を顕著に向上させることができ、電池効率が高く、発展の潜在力が大きい。バックコンタクトソーラーセルの正面にグリッドラインによる遮蔽がなく、正面フィルム層が伝送台面に直接接触するため、バックコンタクトソーラーセルの伝送過程において、傷が付きやすく、ソーラーセルの外観に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、バックコンタクトソーラーセルの正面を保護してバックコンタクト太陽光発電モジュールに傷が付くリスクを低減することが可能であるバックコンタクト太陽光発電モジュール及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様は、バックコンタクト太陽光発電モジュールを提供する。当該バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、
前記ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、前記バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられ、前記透明支持層は、前記バックコンタクトソーラーセルの表面から突出し、前記透明支持層は、前記正面の一部の領域を覆っている。
【0005】
好ましくは、前記正面に占める前記透明支持層の面積割合は、1%~80%である。
【0006】
好ましくは、前記透明支持層は、複数の透明バンプを含む。
【0007】
好ましくは、前記透明バンプは、前記バックコンタクトソーラーセルの表面に均一に分布されている。
【0008】
好ましくは、前記透明バンプの数は、9つ以上であり、
又は、隣接する前記透明バンプの間の間隔は、7cm以下である。
【0009】
好ましくは、前記バックコンタクトソーラーセルの表面における前記透明バンプの投影面積は、10mm以下である。
【0010】
好ましくは、前記透明バンプの高さは、0.5mm以下である。
【0011】
好ましくは、前記透明バンプと前記バックコンタクトソーラーセルのエッジとの間には、隙間が形成されている。
【0012】
好ましくは、前記透明支持層の材質は、絶縁性接着剤、ホットメルト接着剤、PET、EVA及びPOEのうちの何れか1種である。
【0013】
好ましくは、前記上部接着フィルム層の前記バックコンタクトソーラーセルへ向かう側には、凹溝が設けられ、前記凹溝と前記透明支持層とは、互いに嵌合されている。
【0014】
本発明の第2態様は、バックコンタクト太陽光発電モジュールの製造方法を提供する。前記バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、
前記ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、前記バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられ、前記透明支持層は、前記バックコンタクトソーラーセルの表面から突出し、前記透明支持層は、前記正面の一部の領域を覆い、前記製造方法は、
前記バックコンタクトソーラーセルの正面を上向きにし、前記バックコンタクトソーラーセルの正面に透明支持層を作製する工程と、透明支持層を硬化処理する工程と、前記バックコンタクトソーラーセルを裏返して伝送する工程と、前記バックコンタクトソーラーセルをパッケージ化してバックコンタクト太陽光発電モジュールを形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る解決手段は、以下の有利な作用効果を奏することができる。
本発明に係るバックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられている。即ち、透明支持層は、透明材料で製造され、入射光線をスムーズに通過させることができ、透明支持層は、バックコンタクトソーラーセルの正面から突出することにより、バックコンタクトソーラーセルの正面を保護することができ、バックコンタクトソーラーセルの正面が伝送台面に直接接触することを回避し、それによってバックコンタクト太陽光発電モジュールに傷が付くリスクを低減し、また、透明支持層が正面の一部の領域を覆うことにより、透明支持層による入射光線の吸収を更に減少させ、太陽エネルギーの転換効率を向上させる。
【0016】
以上の一般的な記述及び後述する細部の記述が単に例示であり、本発明を製限できないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係るバックコンタクト太陽光発電モジュールの構造模式図である。
図2】本発明の実施例に係るバックコンタクトソーラーセルの構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係る透明支持層の構造模式図である。
図4】本発明の実施例に係る透明支持層の別の構造模式図である。
図5】本発明の実施例に係るバックコンタクトソーラーセルの正面構造模式図である。
図6】本発明の実施例に係る別のバックコンタクトソーラーセルの正面構造模式図である。
図7】本発明の実施例に係る透明バンプの分布構造模式図である。
図8】本発明の実施例に係る透明バンプの別の分布構造模式図である。
図9】本発明実施例における上部接着フィルム層と透明支持層との係合構造模式図である。
図10】本発明の実施例に係るバックコンタクト太陽光発電モジュールのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成し、本発明に合致する実施例を示し、明細書と共に本発明の仕組みを説明するために用いられる。
【0019】
本発明の目的、解決手段及びメリットがより明確になるように、以下では、図面及び実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。ここで記述される具体的な実施例が単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではないことは、理解されるべきである。
【0020】
本発明の記述において、明確な規定及び限定が別途存在しない限り、用語「第1」、「第2」は、記述の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するかヒントするものとして理解され得ない。明確な規定及び限定が別途存在しない限り、用語「複数」とは、2つ又は2つ以上を指し、用語「接続」、「固定」等は、何れも広義的に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定接続、取り外し可能な接続、一体的な接続又は電気的な接続であってもよく、直接接続又は中間媒介を介した間接接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解できる。
【0021】
本明細書の記述において、注意すべきことは、本発明の実施例に記載された「上」、「下」等の方位言葉は、図面に示された角度で記述され、本発明の実施例に対する限定として理解されるべきではない。また、コンテキストにおいて、更に注意すべきことは、1つの素子が他の素子の「上」または「下」に接続されることを言及する場合に、それは、他の素子の「上」または「下」に直接接続され得るだけでなく、中間素子を介して他の素子の「上」または「下」に間接的に接続されてもよい。
【0022】
図1図9に示すように、本発明の実施例は、バックコンタクト太陽光発電モジュールを提供する。当該バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板1、上部接着フィルム層2、ソーラーセル層3、下部接着フィルム層4及びバックボード5を備え、ガラス基板1及び上部接着フィルム層2は、ソーラーセル層3の正面(即ち、ソーラーセル層3の受光面)に設けられ、下部接着フィルム層4及びバックボード5は、ソーラーセル層3の裏面(即ち、ソーラーセル層3の背向面)に設けられ、上部接着フィルム層2及び下部接着フィルム層4は、同じ材料で製造されてもよく、異なる材料で製造されてもよく、選択可能な材料は、EVA、POE又はPVB等を含む。ガラス基板1、上部接着フィルム層2、ソーラーセル層3、下部接着フィルム層4及びバックボード5は、ラミネートによりパッケージ化され、屋外で長期間使用可能な太陽光発電モジュールを形成する。バックコンタクト太陽光発電モジュールは、ベゼル6及びジャンクションボックスを更に含んでもよく、ベゼル6は、バックコンタクト太陽光発電モジュールのエッジに設けられてモジュールの構造強度を向上させ、モジュールの耐用年数を延長し、モジュールの輸送及び取付固定を容易にし、ジャンクションボックスは、バックコンタクト太陽光発電モジュールの回路と外部負荷回路とを接続し、電気エネルギーの伝送を実施する。
【0023】
更に、ソーラーセル層3は、複数のバックコンタクトソーラーセル31を含み、バックコンタクトソーラーセル31は、背向する正面及び裏面を含み、裏面は、バックコンタクトソーラーセル31の、ゲートラインが設けられた面であり、正面は、バックコンタクトソーラーセル31の、ゲートラインがない面である。
【0024】
具体的には、図2を参照すると、バックコンタクトソーラーセル31は、ベース311を含み、ベース311の裏面には、ドープ層312、第1パッシベーション層313及び第1反射低減層314が順に設けられ、ベース311の正面には、第2パッシベーション層315及び第2反射低減層316が順に設けられ、第1反射低減層314は、バックコンタクトソーラーセル31の正面の表面を形成し、第2反射低減層316は、バックコンタクトソーラーセル31の裏面の表面を形成する。ドープ層312は、第1ドープ領域3121及び第2ドープ領域3122を含み、第1ドープ領域3121と第2ドープ領域3122とのドープタイプは、逆であり、例えば、第1ドープ領域3121は、N型ドープ領域であり、第2ドープ領域3122は、P型ドープ領域であり、第1ドープ領域3121には、第1電極317が接続され、第1電極317は、第1パッシベーション層313及び第1反射低減層314を通ってバックコンタクトソーラーセルの表面に露出し、第2ドープ領域3122には、第2電極318が接続され、第2電極318は、第1パッシベーション層313及び第1反射低減層314を通ってバックコンタクトソーラーセルの表面に露出する。幾つかの実施例において、ベース311とドープ層312との間にトンネル酸化層及びドープ多結晶シリコン層が設けられてもよく、ドープ多結晶シリコン層の数は、1つ又は複数である。
【0025】
図3図8を参照すると、更に、バックコンタクトソーラーセル31の正面には、透明支持層7が設けられている。つまり、透明支持層7がバックコンタクトソーラーセル31の正面の表面に付着し、バックコンタクトソーラーセル31の本来の構造及び生産プロセスを変更する必要がなく、使用過程(例えば、バックコンタクトソーラーセル31を用いて太陽光発電モジュールを作製する過程)において、バックコンタクトソーラーセル31の正面に透明支持層を作製すればよく、生産コストを効果的に低減することができる。
【0026】
更に、透明支持層7は、透明材料で製造され、入射光線をスムーズに通過させることができ、透明支持層7は、バックコンタクトソーラーセル31の正面の表面から突出し、バックコンタクトソーラーセル31の正面を下向きにして伝送する場合に、透明支持層7は、バックコンタクトソーラーセル31と伝送台面とを互いに離間し、透明支持層7は、伝送台面と接触し、バックコンタクトソーラーセル31の正面と伝送台面との間に間隔を形成することにより、透明支持層7がバックコンタクトソーラーセル31の正面を保護し、バックコンタクトソーラーセル31の表面が伝送台面に直接接触することを回避し、バックコンタクト太陽光発電モジュールに傷が付くリスクを低減する。
【0027】
更に、透明支持層7は、正面の一部の領域を覆っており、即ち、透明支持層7は、バックコンタクトソーラーセル31の正面を完全に被覆せず、例えば、正面に占める透明支持層7の面積割合が95%を超えず、透明支持層7による入射光線の吸収を更に低減し、太陽エネルギーの転換効率を向上させる。
【0028】
好ましくは、正面に占める透明支持層7の面積割合は、1%~80%であり、例えば、正面に占める透明支持層の面積割合は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%等であり、バックコンタクトソーラーセル31の正面を有効的に保護することができるとともに、バックコンタクトソーラーセル31の正面に十分な高い透過率を確保し、太陽エネルギーの転換効率を向上させることができる。正面に占める透明支持層7の面積割合が1%未満である場合に、透明支持層7の面積が小さすぎて、伝送台面に不均一性があること、バックコンタクトソーラーセル31自体に一定の曲げが存在すること、及び伝送過程で発生する振動やジッター等の要因の影響により、透明支持層7がバックコンタクトソーラーセル31の正面に対して効果的な保護を形成することができず、バックコンタクトソーラーセル31の正面の一部の領域が伝送台面に接触する可能性が依然として発生し、正面に占める透明支持層7の面積割合が80%より大きい場合に、透明支持層7の面積が大きすぎて、光線が透明支持層7を通過する際に発生する損失が大きく、透過率が低い。
【0029】
より好ましくは、正面に占める透明支持層7の面積割合は、2%~30%であり、例えば、正面に占める透明支持層7の面積割合は、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、18%、20%、23%、25%、28%又は30%等である。この範囲内では、バックコンタクトソーラーセル31の正面を確実に保護可能でありつつ、バックコンタクトソーラーセル31の正面に高い透過率を有することをできるだけ保証して太陽エネルギーの転換効率を向上させることができる。
【0030】
ただし、透明支持層7は、連続構造としてもよく、離散構造としてもよい。
【0031】
透明支持層7が連続構造として設けられる場合、透明支持層7は、矩形、円形、環状、折れ線状、曲線状又は、不規則形状等任意の適切な形状に設定され得る。好ましくは、透明支持層7は、矩形構造(図3を参照)又は、矩形環状構造(図4を参照)に設置され、透明支持層7は、バックコンタクトソーラーセル31の中央に設けられ、透明支持層7の縁とバックコンタクトソーラーセル31の縁との間に均一な間隔を形成し、これにより、透明支持層7は、バックコンタクトソーラーセル31に対して均一且つ安定した支持作用を提供することができる。
【0032】
透明支持層7が離散構造として設けられる場合、透明支持層7は、互いに間隔を開ける複数の支持部を含んでもよく、各支持部は、バックコンタクトソーラーセル31の表面から突出し、複数の支持部は、共同して透明支持層7を形成し、複数の支持部は、矩形アレイ又は環状アレイ等の方式でバックコンタクトソーラーセル31の表面に均一に分布されてもよく、複数の支持部は、バックコンタクトソーラーセル31の表面にランダム且つ不均一に分布されてもよい。理解できるように、各支持部は、矩形、円形、環状、折れ線状、曲線状又は不規則形状等の任意の適切な形状に設置されてもよい。
【0033】
図5図8を参照すると、更に、透明支持層7は、複数の透明バンプ71を含み、透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の表面から突出し、複数の透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の表面に間隔を開けて分布されている。透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の正面に複数の分散した小面積の遮蔽を形成することにより、光線が透明支持層7を通過する際に生じる損失を低減することができる。その一方、各透明バンプ71は、バックコンタクト電池に対して1つの支持点を形成することができ、複数の透明バンプ71は、バックコンタクト電池に対して複数の分散した支持点を形成することができ、これにより、バックコンタクト電池に安定した支持を提供し、バックコンタクトソーラーセル31の伝送過程におけるガタつきの発生を防止することができる。
【0034】
更に、透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の表面に均一に分布されている。均一に分布された透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の正面に均一な遮蔽を形成することにより、入射光線をバックコンタクトソーラーセル31の正面に均一に分布させることができる。その一方、均一に分布された透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の正面に対して均一な支持点を形成することができ、これにより、各透明バンプ71に均一に荷重をかけ、バックコンタクトソーラーセル31の応力が不均一になって局所的な損傷を生じることを回避する。理解できるように、透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の表面に不均一に分布されてもよく、例えば、複数の透明バンプ71は、バックコンタクトソーラーセル31の表面にランダム且つ不均一に分布されてもよい。
【0035】
好適な実施例において、図7を参照すると、透明バンプ71は、矩形アレイでバックコンタクトソーラーセル31の表面に均一に分布され、バックコンタクトソーラーセル31は、互いに垂直な2つの辺がそれぞれ矩形アレイの行及び列を形成することにより、透明バンプ71の配列形式がバックコンタクトソーラーセル31の構造に適合する。
【0036】
複数の透明バンプ71が矩形アレイで均一に分布される場合、透明バンプ71の数は、9つ以上である。9つの透明バンプ71を例として詳しく説明すると、9つの透明バンプ71は、3X3の矩形アレイ分布を呈し、即ち、バックコンタクトソーラーセル31の各辺に3つの透明バンプ71が設けられ、中央に1つの透明バンプ71が設けられることにより、バックコンタクトソーラーセル31のエッジ部位及び中央部位を支持し、バックコンタクトソーラーセル31の一部の領域が伝送台面に接触する可能性を効果的に回避する。
【0037】
他の好適な実施例において、図8を参照すると、バックコンタクトソーラーセル31のサイズが小さく、且つ透明バンプ71の数が9つ未満であり、例えば、3つであり、複数の透明バンプ71がバックコンタクトソーラーセル31の表面に不均一に分布され、各透明バンプ71ができるだけ大きな有効作用領域を形成し、バックコンタクトソーラーセル31の表面の透明バンプ71の数を減少させることにより、透明バンプ71が吸収する光線を減少させ、隣接する透明バンプ71の間の間隔Lが7cm以下であり、例えば、隣接する透明バンプ71の間の間隔が7cm、6.5cm、6cm、5.5cm、5cm、4.5cm、4cm、3.5cm、3cm、2.5cm、2cm、1.5cm、1cm又は0.5cm等であってもよく、隣接する2つの支持点の間に小さい間隔を持たせ、バックコンタクトソーラーセル31の一部の領域が伝送台面に接触する可能性を効果的に回避する。隣接する透明バンプ71の間隔が7cmより大きい場合、隣接する2つの支持点の間の距離が大き過ぎるため、バックコンタクトソーラーセル31が隣接する2つの支持点の間の部位において伝送台面と接触して局所的な損傷を生じやすい。
【0038】
更に、バックコンタクトソーラーセル31の表面に対する透明バンプ71の投影面積は、10mm以下であり、例えば、バックコンタクトソーラーセル31の表面における透明バンプ71の投影面積は、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、0.5mm等であってもよく、透明バンプ71による入射光線の吸収をできるだけ低減し、太陽エネルギーの転換効率を向上させる。
【0039】
更に、透明バンプ71の高さは、0.5mm以下であり、例えば、透明バンプ71の高さは、0.5mm、0.45mm、0.4mm、0.35mm、0.3mm、0.25mm、0.2mm、0.15mm、0.1mm又は0.05mm等であってもよく、透明バンプ71自体が高い構造強度を保持し、それにより、バックコンタクトソーラーセル31に対して安定した支持を提供する一方、透明バンプ71が太陽光発電モジュール内部に圧力点を形成して太陽光発電モジュール全体の荷重能力に影響を与えることを回避する。
【0040】
更に、図5図8を参照すると、透明バンプ71とバックコンタクトソーラーセル31のエッジとの間には、隙間が形成され(即ち、図面において、D1は、0よりも大きく、D2は、0よりも大きく)、バックコンタクトソーラーセル31がダイシングされる必要がある場合に、透明バンプ71が硬化した後で反りが生じることが回避されるように、透明バンプ71とバックコンタクトソーラーセル31の切断線32との間には、隙間(即ち、図面において、D3は、0よりも大きい)が形成されている。
【0041】
更に、透明支持層の材質は、絶縁性接着剤(シリコーン、エポキシ又はアクリル酸等の体系の何れか)、ホットメルト接着剤、PET、EVA及びPOEのうちの何れかであり、バックコンタクトソーラーセル31の表面に良好な接着を形成することができ、バックコンタクト太陽光発電モジュールのラミネート過程においてデラミネーション等の損傷が発生することを回避することができ、且つ光透過性が良く、且つ光学的な利得効果がなく、即ち、透明支持層は、光透過性のみを有し、光学利得効果が生じず、光線は、透明支持層を通過してバックコンタクトソーラーセル31の表面に照射され、バックコンタクトソーラーセル31の表面に直接照射される場合と明らかな区別がないため、透明支持層による入射光線への影響をできるだけ小さくし、バックコンタクトソーラーセル31の表面における入射光線の分布の均一性を保持することができる。理解できるように、透明支持層の材質は、PVB、EPE又はEP等の光学利得効果を有する材料を選択してもよく、選択された材質が高い付着力を有し、且つ高い透明性を有していればよい。
【0042】
更に、図9を参照すると、上部接着フィルム層2のバックコンタクトソーラーセル31へ向かう側には、凹溝21が設けられ、凹溝21と透明支持層とは、互いに嵌合される。つまり、上部接着フィルム層2における透明支持層に対応する位置には、凹溝21が設けられ、凹溝21の形状の大きさが透明支持層の形状の大きさに適合し、凹溝21の深さが透明支持層の高さに適合することにより、透明支持層が凹溝21内に入り込み可能であり、且つ透明支持層が溝21をちょうど満たすことができ、平坦な太陽光発電モジュール構造を形成することができる。また、凹溝21と透明支持層とが互いに嵌合されることにより、ソーラーセル層3と上部接着フィルム層2との間に位置決め作用を果たし、ラミネート過程におけるバックコンタクトソーラーセル31の滑りを防止することもできる。
【0043】
図10に示すように、本発明の実施例は、バックコンタクト太陽光発電モジュールの製造方法を提供する。バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、基板1、上部接着フィルム層2、ソーラーセル層3、下部接着フィルム層4及びバックボード5を含み、ソーラーセル層3は、複数のバックコンタクトソーラーセル31を含み、バックコンタクトソーラーセル31の正面には、透明支持層が設けられ、透明支持層は、バックコンタクトソーラーセル31の表面から突出し、透明支持層は、正面の一部の領域を覆い、製造方法は、バックコンタクトソーラーセル31の正面を上向きにしてバックコンタクトソーラーセル31の正面に透明支持層を作製する工程と、透明支持層を硬化処理する工程と、バックコンタクトソーラーセル31を裏返して伝送する工程と、バックコンタクトソーラーセル31をパッケージ化してバックコンタクト太陽光発電モジュールを形成する工程とを含む。
【0044】
バックコンタクトソーラーセル31の正面に透明支持層が設けられ、透明支持層が透明材料で製造されたため、入射光線をスムーズに通過させることができる。透明支持層がバックコンタクトソーラーセル31の表面から突出することにより、透明支持層がバックコンタクトソーラーセル31の正面を保護することができ、フリップチップ伝送過程においてバックコンタクトソーラーセル31の表面が伝送台面に接触することを回避する。これにより、バックコンタクト太陽光発電モジュールに傷が付くリスクを低減する。透明支持層が正面の一部の領域を覆い、即ち、透明支持層がバックコンタクトソーラーセル31の正面を完全に被覆せず、透明支持層による入射光線の吸収を更に減少させ、これによって太陽エネルギーの転換効率を向上させる。
【0045】
更に、バックコンタクトソーラーセル31の正面に透明支持層を作製することは、接着剤を用いて印刷する方式を採用してもよい。透明支持層を硬化処理することは、熱硬化と光硬化とのうちの何れか1種を採用してもよく、2種を併用してもよい。
【0046】
更に、バックコンタクトソーラーセル31をパッケージ化してバックコンタクト太陽光発電モジュールを形成することは、具体的に、バックコンタクトソーラーセル31の裏面絶縁材料の印刷及び硬化と、バックコンタクトソーラーセル31の裏面導電層の印刷及び硬化と、ダイシングと、シリーズ溶接と、レイアウトと、ラミネートとを含む。ラミネート後に、更にベゼル6とジャンクションボックスを取り付けてもよい。
【0047】
ここで、バックコンタクトソーラーセル31の裏面絶縁材料の印刷及び硬化は、正負の電極間の絶縁を実現し、溶接過程におけるタブ線の接触による短絡を防止する。バックコンタクトソーラーセル31の裏面導電層の印刷及び硬化は、バックコンタクトソーラーセル31の相互接続を実現し、ダイシングとは、シート全体を小片に切断することにより、モジュールシート内の電流伝送損失を低減することを意味する。
【0048】
上述したのは、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を製限するためのものではない。当業者にとって、本発明は、様々な変更や変化を有することができる。本発明の精神及び原則内でなされた如何なる修正、均等物による置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0049】
1 ガラス基板
2 上部接着フィルム層
21 凹溝
3 ソーラーセル層
31 バックコンタクトソーラーセル
311 基底
312 ドープ層
3121 第1ドープ領域
3122 第2ドープ領域
313 第1パッシベーション層
314 第1反射低減層
315 第2パッシベーション層
316 第2反射低減層
317 第1電極
318 第2電極
32 切断線
4 下部接着フィルム層
5 バックボード
6 ベゼル
7 透明支持層
71 透明バンプ
【要約】
【課題】本発明は、バックコンタクト太陽光発電モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】バックコンタクト太陽光発電モジュールは、上から下へ順に設けられる、ガラス基板と上部接着フィルム層とソーラーセル層と下部接着フィルム層とバックボードとを含み、前記ソーラーセル層は、複数のバックコンタクトソーラーセルを含み、前記バックコンタクトソーラーセルの正面には、透明支持層が設けられ、前記透明支持層は、前記バックコンタクトソーラーセルの表面から突出し、前記透明支持層は、前記正面の一部の領域を覆っている。本発明では、バックコンタクトソーラーセルの正面を保護可能であり、バックコンタクト太陽光発電モジュールに傷が付くリスクを低減することができる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10