(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ゼリー食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/20 20160101AFI20241023BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20241023BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20241023BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20241023BHJP
【FI】
A23L29/20
A23L3/00 101C
A23L33/15
A23L33/16
(21)【出願番号】P 2023196290
(22)【出願日】2023-11-17
【審査請求日】2023-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将洋
(72)【発明者】
【氏名】岩朝 義弘
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/261545(WO,A1)
【文献】特開2006-182767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質10質量%以上とマグネシウムを含み、
前記マグネシウムを、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、又は硫酸マグネシウムとして含み、
前記マグネシウムの含有量が食品100gあたり15mg以上であり、
前記タンパク質が、分解処理物であり、
品温20℃におけるpHが5~8であり、
品温20℃において、以下の方法で測定したときのゲル強度が5~6000gである、
ゼリー食品。
(方法)
レオメーターを使用し、直径10mmの円柱型プランジャー、進入速度60mm/分、進入深度15mm、最大荷重20Nの条件で測定する。
【請求項2】
前記マグネシウムの含有量が、食品100gあたり340mg以下である、
請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項3】
前記マグネシウムの含有量が、1食分相当量に含まれるマグネシウムの含有量が400mg以下である、
請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項4】
前記マグネシウムを難溶性の塩として含む、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項5】
前記タンパク質が、大豆タンパク質、ホエイタンパク質、コラーゲンペプチドからなる群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項6】
分子量10000~40000のタンパク質が、タンパク質全体に対し30%以下である、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項7】
前記ゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、少なくともビタミン11種類以上、マグネシウムを含むミネラル12種類以上、及び食物繊維を含み、
該1食分相当量に含まれる、前記ビタミン11種類以上、及びマグネシウムを含むミネラル12種類以上の含有量が、
それぞれ日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の所要量の3分の1を満たす、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項8】
レトルト加熱品である、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項9】
糖質の含有量が食品100gあたり12g以下であり、
脂質の含有量が食品100gあたり2g以下である、請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項10】
食品100gあたりのカロリーが130kcal以下である、請求項1に記載のゼリー食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を含有する中性域のゼリー食品に関する。
【背景技術】
【0002】
手軽にエネルギーを摂取することができる食品として、従来タンパク質を含有するゼリー食品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、3~4の範囲のpHを有するゲル状物であって、組成物全重量に対して、糖質5~20質量%、脂質0.1~5重量%、pH3~4で凝集しない蛋白質素材2.5~6重量%、酸成分0.2~1.5重量%、乳化剤0.01~0.5重量%、寒天0.1~1重量%、および水65~90重量%を含有することを特徴とする総合栄養補給用ゲル状飲料組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2004/010796号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術のように、タンパク質を含有し、pHが酸性のゼリー食品が従来ある中、新たな嗜好性をもったゼリー食品の更なる開発が求められていた。
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、タンパク質を含有し、pHが中性域にあるゼリー食品を提供することを課題とする。
また、本発明は、タンパク質を含有し、pHが中性域にある、品質のよいゼリー食品を提供することを課題とする。より具体的には、ゲル化の状態が良好であり、食感がなめらかなゼリー食品を提供することを課題とする。
また、一日に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)を総合的に摂取できる食品の開発にあたり、pHが中性域にあり、ゼリーの形態である食品は従来なかった。
上記課題に鑑みて、本発明は、一日に必要な前記栄養素を総合的に摂取できる、pHが中性域にあるゼリー食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、タンパク質を比較的高濃度で含有するゼリー食品において、pHを中性域とし、マグネシウムを添加することにより、新たな嗜好性を有するゼリー食品を提供できることを見出した。
具体的には、マグネシウムを添加することで、前記ゼリー食品のゲル化、なめらかさを良化できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、タンパク質8質量%以上とマグネシウムを含み、品温20℃におけるpHが5~8である、ゼリー食品である。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記マグネシウムの含有量が、食品100gあたり10mg以上である。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品は前記マグネシウムを難溶性の塩として含む。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記タンパク質が、大豆タンパク、ホエイタンパク質、コラーゲンペプチドからなる群から選ばれる1つ以上である。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記タンパク質が、分解処理物である。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品において、分子量10000~40000のタンパク質の含有量は、タンパク質全体に対し30%以下である。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、少なくともビタミン11種類以上、マグネシウムを含むミネラル12種類以上、及び食物繊維を含み、
該1食分相当量に含まれる、前記ビタミン11種類以上、及びマグネシウムを含むミネラル12種類以上の含有量が、
それぞれ日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の所要量の3分の1を満たす。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品はレトルト加熱品である。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品は、品温20℃において、以下の方法で測定したときのゲル強度が5~6000gである。
(方法)
レオメーターを使用し、直径10mmの円柱型プランジャー、進入速度60mm/分、進入深度15mm、最大荷重20Nの条件で測定する。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品は、
糖質の含有量が食品100gあたり12g以下であり、
脂質の含有量が食品100gあたり2g以下である。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記ゼリー食品は、食品100gあたりのカロリーが130kcal以下である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本発明は新規なゼリー食品を提供することができる。
具体的には、タンパク質を比較的高濃度で含有し、pHが中性域にあるゼリー食品を提供することができる。
また、タンパク質を比較的高濃度で含有し、pHが中性域にあり、かつ品質のよいゼリー食品を提供することができる。より具体的には、ゲル化が良好であり、食感がなめらかな前記ゼリー食品を提供することができる。
さらに、本発明によれば、一日に必要な栄養素を総合的に摂取できる、pHが中性域にあるゼリー食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜変更が可能である。
【0021】
<ゼリー食品>
本発明のゼリー食品は、多糖類やゼラチン等を含む高分子原料のネットワークに水が保持された組織を主とし、全体として弾力性及び保形性を有する。
【0022】
本発明のゼリー食品の包装形態は特に限定されず、例えば、本発明のゼリー食品1食分相当量をスパウト付きパウチ容器に包装した形態を好ましく挙げることができる。
前記スパウト付きパウチ容器に充填されている形態であることで、容器の外側から手で掴んだり押したりして飲み口からゼリー食品を吐出させ、飲用する感覚で喫食することができる。
前記スパウト付きパウチ容器に充填されている形態においては、食感は特にスパウトから吸い出す時の舌触りによって評価することができる。
また、ゲル強度を調整し、本発明のゼリー食品を棒状に成形したうえで、容器に包装した形態も好ましく挙げることができる。このような形態とする場合、前記容器は可撓性のあるものが好ましい。
【0023】
前記スパウト付きパウチ容器としては、例えば、プラスチックフィルムと金属箔とをラミネート加工してなる可撓性のシートからなる袋状の容器にストローが設けられた形態のものを挙げることができる(特許3663084号、特許3477396号、特許3659775号参照)。
【0024】
ここで、本発明のゼリー食品の1食分相当量は、好ましくは50~500g、より好ましくは60~400g、さらに好ましくは70~350g、より好ましくは80~300g、さらに好ましくは90~250g、特に好ましくは100~200gである。前記ゼリー食品の1食分相当量は適宜設定することが可能であるが、通常、目安として180g±20gとすることができる。
なお、前記スパウト付きパウチ容器の容量は、本発明のゼリー食品1食分相当量が充填可能であれば、特に限定されない。
【0025】
本発明のゼリー食品は、好ましくは品温20℃でのpHが5以上、より好ましくは5.4以上、より好ましくは5.8以上、より好ましくは6以上、より好ましくは6.1以上、より好ましくは6.5以上である。また、好ましくは品温20℃でのpHが8.5以下、より好ましくは8以下、より好ましくは7.8以下、より好ましくは7.5以下、より好ましくは7.3以下、また7以下であってもよい。
後述するが、本発明のゼリー食品に含まれるミネラルの、原料となる塩の溶解度の観点から、特に好ましくは5.4以上7.4以下の範囲である。
なお、前記pHは、ゲル化した状態での測定値である。また、前記pHは常法により測定することができる。
【0026】
本発明のゼリー食品のゲル強度は、以下の条件で測定した場合のゲル強度として定義され、例えば、スパウト付きパウチ容器に充填される形態の場合、好ましくは5g以上、より好ましくは6g以上、より好ましくは10g以上、より好ましくは11g以上、より好ましくは20g以上、より好ましくは24g以上、より好ましくは24.5g以上、より好ましくは25g以上、より好ましくは25.5g以上である。
また、本発明のゼリー食品のゲル強度は、例えば、スパウト付きパウチ容器に充填される形態の場合、好ましくは100g以下、より好ましくは50g以下、より好ましくは45g以下、より好ましくは43g以下、より好ましくは40g以下、より好ましくは39.5g以下、より好ましくは37.5g以下、より好ましくは35g以下、より好ましくは30.5g以下、より好ましくは28.5g以下、より好ましくは28g以下、より好ましくは27g以下、より好ましくは26.5g以下である。
また、本発明のゼリー食品のゲル強度は、例えば、棒状に成形したうえで、容器に包装した形態の場合、好ましくは300g以上、より好ましくは500g以上、より好ましくは1000g以上、より好ましくは1500g以上、より好ましくは3000g以上、より好ましくは4000g以上である。また、本発明のゼリー食品のゲル強度は、例えば、棒状に成形したうえで、容器に包装した形態の場合、好ましくは6000g以下、より好ましくは5000g以下、より好ましくは4500g以下である。
(ゲル強度の測定条件)
レオメーター(サン科学製:CR-500DX)を用い、直径10mmの円柱型プランジャー、進入速度60mm/分、進入深度15mm、最大荷重20Nの条件で測定する。測定は20℃で行う。進入深度15mm内で最大の荷重をゲル強度とすることができる。また、試料サイズはプランジャーの直径よりも大きく、高さも進入深度より大きい条件で測定する。例えば、試料を直径72mm×高さ26.7mmの容器に充填したものを用いることができる。
【0027】
<成分>
以下、本発明のゼリー食品に含まれる各成分について好ましい形態を説明する。
なお、本明細書における各成分の含有量(濃度)は、容器内に収容される組成物(可食部分)の質量を示し、容器の質量は含まないものとする。
また、本明細書における日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」とは、2020年版に記載の内容を意味する。
ゼリー食品に含まれる各成分の含有量は、本発明のゼリー食品中に含まれる栄養素量を、常法により測定し、算出することで確認することができる。また、ゼリー食品の原料の配合量から換算することもできる。
【0028】
・マグネシウム
本発明のゼリー食品はマグネシウムを含む。
本発明のゼリー食品のマグネシウムの含有量は、食品100gあたり好ましくは10mg以上、より好ましくは12mg以上、より好ましくは15mg以上、より好ましくは18mg以上、より好ましくは20mg以上、より好ましくは30mg以上、より好ましくは40mg以上、より好ましくは50mg以上、より好ましくは60mg以上、より好ましくは65mg以上である。また、マグネシウムの含有量の上限は、目安として340mg以下、300mg以下、200mg以下、120mg以下、117mg以下、113mg以下、100mg以下、85mg以下である。
【0029】
後段にて詳細に説明するが、本発明のゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、マグネシウムを、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の所要量(340mg)の3分の1を満たすように含むことができる。
本発明のゼリー食品1食分相当量に含まれる、マグネシウムの含有量は、好ましくは100mg以上、好ましくは113mg以上、より好ましくは115mg以上、より好ましくは117mg以上である。また、本発明のゼリー食品1食分相当量に含まれる、マグネシウムの含有量の上限は、好ましくは400mg以下、好ましくは340mg以下、より好ましくは300mg以下、より好ましくは250mg以下、より好ましくは200mg以下である。
【0030】
前記マグネシウムは、難溶性又は水溶性の塩として含まれていてもよい。本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質の液性(溶解性、粘性)を向上させる観点から、好ましくは難溶性の塩として含んでいてもよい。なお、ここでいう塩とは、酸化物や水酸化物を含む化合物も含む。
前記難溶性又は水溶性の塩として、マグネシウムの2価の塩が挙げられる
また前記難溶性の塩として、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウムが挙げられる。また、前記水溶性の塩として、硫酸マグネシウムが挙げられる。
本発明のゼリー食品は、マグネシウムを、好ましくは酸化マグネシウムとして含む。また、酸化マグネシウム及び硫酸マグネシウムを組み合わせて含む形態も好ましい。
【0031】
前記マグネシウムの原料は、食品用として通常市販されている、マグネシウムの難溶性又は水溶性の塩を使用することができる。
前記マグネシウムの原料は、上記の本発明のゼリー食品におけるマグネシウムの含有量を満たすように、配合することができる。
【0032】
・タンパク質
本発明のゼリー食品はタンパク質を含む。
本発明のゼリー食品のタンパク質の含有量は、食品100gあたり好ましくは5g以上、好ましくは10g以上、より好ましくは12g以上、特に好ましくは12.5g以上である。また、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、より好ましくは15g以下、より好ましくは13g以下である。
本発明において、タンパク質の含有量は、アミノ酸やペプチドを含む合計量として定義される。
【0033】
本発明のゼリー食品のタンパク質の含有量は、食品全体に対し、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、より好ましくは12.5質量%以上、特に好ましくは13質量%以上である。
タンパク質を複数種類含む場合、タンパク質の合計含有量は、食品全体に対し、好ましくは8質量%以上、より好ましくは9質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、より好ましくは12.5質量%以上、より好ましくは13質量%以上である。
【0034】
本発明のゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、タンパク質を、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量(65g)の3分の1を満たすように含むことができる。
本発明のゼリー食品1食分相当量に含まれる、タンパク質の含有量は、好ましくは10g以上、好ましくは15g以上、より好ましくは20g以上、より好ましくは21g以上である。また、本発明のゼリー食品1食分相当量に含まれる、タンパク質の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは40g以下、より好ましくは30g以下、より好ましくは25g以下である。
【0035】
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、原料として動物性由来、又は植物性由来のものを使用してもよい。例として、好ましくは大豆タンパク質、ホエイタンパク質、コラーゲンからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられる。好ましくは、大豆タンパク質又はホエイタンパク質を含む。また、大豆タンパク又はホエイタンパク質とコラーゲンを含む形態も好ましい。
【0036】
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、好ましくは前記原料の分解処理物である。例として、好ましくは酵素処理大豆タンパク質、ホエイタンパク加水分解物(WPH)、コラーゲンペプチドからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられる。
好ましくは、酵素処理大豆タンパク又はホエイタンパク加水分解物(WPH)を含む。また、酵素処理大豆タンパク又はホエイタンパク加水分解物(WPH)とコラーゲンペプチドを含む形態も好ましい。
前記分解処理物は、前記原料を、酵素処理により分解、低分子化して製造し使用してもよい。また、通常市販されているタンパク質の分解処理物を使用してもよい。
前記分解処理物を使用することで、ゼリー食品中のタンパク質の液性(溶解性、粘性)を向上させることができる。また、pHが中性のゼリー食品のゲル化及び食感を向上させることができる。
【0037】
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、大豆タンパク質及び/又はホエイタンパク質(それらの分解処理物を含む)の含有量が、タンパク質全体に対し、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また、好ましくは大豆タンパク質及び/又はホエイタンパク質の含有量が、タンパク質全体の100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
また、大豆タンパク質及び/又はホエイタンパク質(それらの分解処理物を含む)と、コラーゲン(それらの分解処理物を含む)を含む形態の場合、以下の形態も好ましく上げられる。
大豆タンパク質及び/又はホエイタンパク質(それらの分解処理物を含む)の合計質量を1とした場合、コラーゲン(それらの分解処理物を含む)が1.3以下、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、後述する栄養補給の観点から、合計のアミノ酸スコアが好ましくは65以上、より好ましくは70以上、より好ましくは75以上となるように含まれることが好ましい。
【0038】
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、好ましくは分子量が10000~40000のものを、タンパク質全体に対し30%以下、より好ましくは25%以下、より好ましくは23%以下含む。本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、好ましくは分子量が10000~40000のものを、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、より好ましくは19%以上含む。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質は、好ましくは上記の分子量となるように適度に分解されているものを使用することができる。
タンパク質の分子量を上記数値範囲とすることで、本発明のゼリー食品のゲル化を良好なものとすることができる。さらに、前記ゼリー食品の食感をなめらかなものにすることができる。
【0039】
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量1000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは13~30%、より好ましくは13~25%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量1000以上2500以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは15~30%、より好ましくは15~25%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量2500以上5000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは10~30%、より好ましくは12~30%、より好ましくは12~26%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量5000以上10000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは14~18%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量10000以上20000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは7~12%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量20000以上40000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは2~11%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量40000以上60000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは0.3~9%である。
本発明のゼリー食品に含まれるタンパク質において、分子量60000以上10000000以下のタンパク質の含有量は、タンパク質全量に対し、好ましくは0.1~6%である。
なお、上記各分子量のタンパク質について、含有量の割合は、後述する方法により検出された総面積値に対する、各分子量のタンパク質の面積値の割合として算出された値である。
なお、上記分子量の分布の測定方法は、常法により測定することができる。また、以下の方法により測定することができる。
<方法>
1. 各サンプルに対し、超純水を 1%(w/w)になるように添加し、ボルテックスミキサーを用いて混合する。
2. 遠心分離(20400G、20℃、5分間)を行い、上澄み液を移動相で 10 倍に希釈し(v/v)、ボルテックスミキサーで混合後、目開き 0.22μm のフィルターに通し、分析用サンプルとする。
3. 適当な濃度に調製した標準品および上記分析用サンプルを以下の条件のHPLCに供し、標準品を用いて作成した分子量校正曲線(3次式)から、各サンプルの分子量分布を算出する。
(HPLC条件)
移動相:25%アセトニトリル水(v/v)(高速液体クロマトグラフ用、富士フイルム和光純薬社製、型番015-08633)+0.1%トリフルオロ酢酸(トリフルオロ酢酸 和光特級、富士フイルム和光純薬社製、型番204-02743)(v/v)
流速:0.6 mL/min
検出波長:210nm
カラムオーブン:30℃
(使用カラム)
TSKgel guardcolumn SWXL 6.0 mm I.D. x 4 cm, 7μm及びTSKgel G2000SWXL 7.8 mm I.D. x 30 cm, 5μm(何れもTOSOH BIOSCIENCE社製)
【0040】
ここで、本発明のゼリー食品に含まれる、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、より好ましくは180以上、より好ましくは190以上である。また、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは350以下、好ましくは345以下、好ましくは200以下、好ましくは195以下である。
別の好ましい形態では、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは50以上、より好ましくは55以上、より好ましくは57以上である。また、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは120以下、より好ましくは115以下、より好ましくは100以下、より好ましくは90以下、より好ましくは89以下、より好ましくは88.5以下、より好ましくは70以下、より好ましくは60以下、より好ましくは59以下である。
マグネシウムとして硫酸マグネシウムを含む場合、本発明のゼリー食品に含まれる、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、より好ましくは18以上である。また、マグネシウムに対するタンパク質の質量比は、マグネシウム1に対して、好ましくは60以下、より好ましくは58以下である。
【0041】
・ビタミン
本発明のゼリー食品は、ビタミンを11種類以上含むことができる。
前記ビタミンの例として、脂溶性ビタミン及び水溶性ビタミンが挙げられる。
本発明のゼリー食品は、特に好ましくはビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンKからなる群から選ばれる11種類以上を含むことができる。
【0042】
本発明のゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、少なくとも前述のビタミンからなる群から選ばれる11種類以上を、それぞれ日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1を満たすように含むことができる。
前記ビタミンの、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取量の3分の1の目安は、以下の通りである。本発明のゼリー食品のビタミンの含有量は、以下の数値以上を目安とすることができる。
・ビタミンA(推奨量283.3μg)、ビタミンB1(推奨量0.47mg)、ビタミンB2(推奨量0.53mg)、ビタミンB6(推奨量0.47mg)、ビタミンB12(推奨量0.8μg)、ナイアシン(推奨量5mg)、ビタミンD(目安量2.8μg)、ビタミンE(目安量2μg)、葉酸(推奨量80μg)、パントテン酸(目安量1.67mg)、ビタミンC(推奨量33.3mg)、ビオチン(目安量16.7μg)、ビタミンK(目安量50μg)
【0043】
前記ビタミンの原料は、食品用として通常市販されている、ビタミンミックスなどを使用することができる。
前記ビタミンの原料は、上述の本発明のゼリー食品におけるビタミンの含有量を満たすように、配合することができる。
【0044】
・ミネラル
本発明のゼリー食品は、マグネシウムを含むミネラルを12種類以上含むことができる。
前記ミネラルとして、好ましくは「日本人の食事摂取基準」に記載のものが挙げられる。より好ましくは、「日本人の食事摂取基準」において、1日の推奨量や目安量が約100mg以上とされる多量ミネラル、及び1日の推奨量や目安量が約100mg以下とされる微量ミネラルが挙げられる。
前記多量ミネラルの例として、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンが挙げられる。
前記微量ミネラルの例として、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンが挙げられる。
本発明のゼリー食品は、特に好ましくはマグネシウムのほか、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リンを含むことができる。
【0045】
本発明のゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、少なくともマグネシウムを含む前記ミネラルを12種類以上、それぞれ日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1を満たすように含むことができる。
マグネシウムを含む前記ミネラルの、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1の目安は、以下の通りである。本発明のゼリー食品のマグネシウムを含むミネラルの含有量は、以下の数値を目安とすることができる。
・亜鉛(推奨量3.7mg)、カリウム(目安量833.3mg)、カルシウム(推奨量266.7mg)、クロム(目安量3.3μg)、セレン(推奨量10μg)、鉄(推奨量(女性月経あり)3.5mg)、銅(推奨量0.3mg)、マグネシウム(推奨量113.3mg)、マンガン(目安量1.3mg)、モリブデン(推奨量10μg)、ヨウ素(推奨量43.3μg)、リン(目安量333mg)
なお、本発明のゼリー食品における、ミネラルの含有量は、ミネラル原料由来のものに加え、それ以外の原料由来のもの、及びpH調整剤などの添加物由来のものを合計した値としてもよい。
【0046】
前記ミネラルは、難溶性又は水溶性の塩として含まれていてもよい。ゼリー食品の液性(溶解性、粘性)、を向上させる観点から、好ましくは難溶性の塩として含まれていてもよい。なお、ここでいう塩とは、酸化物や水酸化物を含む化合物も含む。
前記難溶性又は水溶性の塩として、上記ミネラルの1~2価の塩が挙げられる。例として、上記ミネラルのリン酸塩、乳酸塩、塩化物、ピロリン酸塩又はグルコン酸塩が挙げられる。
また、前記ミネラルは、酵母にミネラルを取り込ませた、ミネラル酵母として含まれていてもよい。ここで、多量ミネラルは、好ましくはリン酸塩、乳酸塩、又は塩化物として含んでいてもよい。また、微量ミネラルは、好ましくはピロリン酸塩、グルコン酸塩又はミネラル酵母として含んでいてもよい。
【0047】
各ミネラルの原料の配合量の目安は、以下の通りである。
多量ミネラルのうち、カルシウムについて、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられるが、好ましくはリン酸三カルシウム又は乳酸カルシウムとして含んでいてもよい。
リン酸三カルシウムとして含む場合、原料の配合量の目安は、食品全体に対し0.5~0.6質量%である。
乳酸カルシウムとして含む場合、原料の配合量の目安は、食品全体に対し0.2~0.3質量%である。
多量ミネラルのうち、カリウムについて、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三カリウム、乳酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられるが、好ましくは乳酸カリウム、塩化カリウムとして含んでいてもよい。
乳酸カリウムとして含む場合、原料の配合量の目安は、食品全体に対し、2~3質量%である。塩化カリウムとして含む場合、原料の配合量の目安は、食品全体に対し1~1.5質量%である。
【0048】
微量ミネラルのうち、亜鉛、銅、鉄について、好ましくはピロリン酸塩又はグルコン酸塩として含んでいてもよい。前記微量ミネラルを、ピロリン酸塩又はグルコン酸塩として含む場合、原料の配合量の目安は、好ましくは0.0001~0.05質量%である。
微量ミネラルのうち、マンガン、クロム、セレンについて、好ましくはミネラル酵母として含んでいてもよい。前記微量ミネラルを、ミネラル酵母として含む場合、原料の配合量の目安は、好ましくは0.0008~0.08質量%である。
【0049】
前記各ミネラルの原料は、食品用として通常市販されている、各ミネラルの塩、及び各ミネラル酵母などを使用することができる。
前記各ミネラルの原料は、上述の本発明のゼリー食品におけるミネラルの含有量を満たすように、配合することができる。
【0050】
・食物繊維
本発明のゼリー食品は、食物繊維を含むことができる。
前記食物繊維として、水溶性食物繊維が挙げられる。また、前記食物繊維は、好ましくは低分子食物繊維である。ここで低分子食物繊維とは、重量平均分子量3000以下のものとする。低分子食物繊維の例として、難消化性オリゴ糖、シクロニゲロシルニゲロース、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなどが挙げられる。特に好ましくはシクロニゲロシルニゲロース、マルトシルトレハロースである。
【0051】
本発明のゼリー食品は、1食分相当量を包装した形態中に、前記食物繊維を、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1(7g)を満たすように含むことができる。
本発明のゼリー食品の食物繊維の含有量は、食品100gあたり好ましくは2g以上、より好ましくは3g以上、より好ましくは5g以上、より好ましくは7g以上、より好ましくは9g以上である。
また、本発明のゼリー食品1食分相当量に含まれる、食物繊維の含有量は好ましくは7g以上、より好ましくは9g以上、より好ましくは10g以上、より好ましくは15g以上、より好ましくは20g以上である。
ここで、本発明のゼリー食品における、食物繊維の含有量は、原料として配合した食物繊維に加え、ゼリー食品に含まれる炭水化物、タンパク質及びゲル化剤由来の食物繊維を合計した値としてもよい。
【0052】
前記食物繊維は、原料として、通常市販されている食物繊維原料を使用することができる。
前記食物繊維原料は、上述の本発明のゼリー食品における食物繊維の含有量を満たすように、配合することができる。
前記食物繊維原料の配合量の目安は、食品全体に対し、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、より好ましくは9質量%以上である。
【0053】
<任意成分>
・ゲル化剤
本発明のゼリー食品は、ゲル化剤を含む。
ゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、カラギナン、ネイティブジェランガム、タマリンドガム、グアガム、ジェランガム、アルギン酸、ゼラチン及びペクチンから選ばれる1又は2以上を好ましく挙げることができる。特に好ましくは、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ネイティブジェランガムから選ばれる1又は2以上を挙げることができる。
【0054】
本発明のゼリー食品は、ゲル化剤として、好ましくは寒天を含む。
本発明のゼリー食品を、スパウト付きパウチ容器に充填される形態とする場合、前記寒天の含有量は、食品全体に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
また、前記寒天の含有量は、食品全体に対し、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、特に好ましくは0.12質量%以下である。
【0055】
本発明のゼリー食品を、棒状に成形したうえで、容器に包装した形態とする場合、前記寒天の含有量は、食品全体に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
また、前記寒天の含有量は、食品全体に対し、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、特に好ましくは0.12質量%以下である。
【0056】
本発明のゼリー食品を、スパウト付きパウチ容器に充填される形態とする場合、ゲル化剤を1種類以上含む際の合計含有量は、食品全体に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.16質量%以上、より好ましくは0.16質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.45質量%以上である。
また、ゲル化剤を1種類以上含む際の合計含有量は、食品全体に対し、より好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。ゲル化剤の配合量を上記範囲内とすることにより、好ましい食感のゼリー食品が得られる。
【0057】
本発明のゼリー食品を、棒状に成形したうえで、容器に包装した形態とする場合、ゲル化剤を1種類以上含む際の合計含有量は、食品全体に対し、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
また、ゲル化剤を1種類以上含む際の合計含有量は、食品全体に対し、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0058】
本発明のゼリー食品は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上述の成分を除き、通常ゼリー食品に用いられる他の成分を任意に配合することができる。かかる任意成分としては、例えば、ゼリー食品添加物、油脂、甘味料、酸化防止剤、酸化防止助剤等、安定剤、乳化剤などが挙げられる。
【0059】
本発明のゼリー食品は糖質を含んでいてもよい。
本発明のゼリー食品の糖質の含有量は、食品100gあたり、好ましくは20g以下、より好ましくは15g以下、より好ましくは13g以下、より好ましくは12g以下、より好ましくは11.5g以下である。
また、本発明のゼリー食品の糖質の含有量は、1食分相当量あたり、好ましくは30g以下、より好ましくは25g以下、より好ましくは23g以下、より好ましくは21g以下である。
また、本発明のゼリー食品の糖質の含有量は、食品全体に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、より好ましくは12質量%以下、より好ましくは11.5質量%以下である。
【0060】
本発明のゼリー食品は脂質を含んでいてもよい。
本発明のゼリー食品の脂質の含有量は、食品100gあたり、好ましくは5g以下、より好ましくは4.5g以下、より好ましくは3g以下、より好ましくは2.5g以下、より好ましくは2g以下である。
本発明のゼリー食品の脂質の含有量は、1食分相当量あたり、好ましくは1~10g、2~5g、より好ましくは2.4~4.5gである。
また、本発明のゼリー食品の脂質の含有量は、食品全体に対し、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
【0061】
・カロリー
本発明のゼリー食品は、100gあたりのカロリーが、好ましくは130kcal以下である。より好ましくは125kcal以下である。
本発明のゼリー食品は、1食分相当量あたりのカロリーが、好ましくは300kcal以下、より好ましくは250kcal以下、より好ましくは230kcal以下、より好ましくは225kcal以下、より好ましくは224kcal以下である。
【0062】
本発明のゼリー食品は、上記の通り、1食分相当量を包装した形態中に、日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1を満たすように、タンパク質、ビタミン、マグネシウムを含むミネラル、食物繊維を含むことができる。
このため、本発明のゼリー食品は、好ましくは1日の食事から不足したタンパク質、ビタミン、マグネシウムを含むミネラル、食物繊維などの補給のために使用することができる。
上記の理由から、本発明のゼリー食品に含まれる、糖質、脂質、及びカロリーは少ない形態が好ましい。
【0063】
<製造方法>
本発明のゼリー食品は、常法によって製造することができる。
好ましくは、タンパク質原料を混合するタンパク質成分調整工程と、前記タンパク質成分と他成分を混合しゼリーを調製する調製工程と、前記ゼリーを容器に充填する充填工程と、得られた容器入りゼリーを常法により加熱殺菌工程とを含む。加熱殺菌工程としては、加圧、加熱によるレトルト加熱工程が好ましい。
本発明のゼリー食品は、pHが中性であるため、特に、加熱、好ましくは加圧、加熱による殺菌が有用である。本発明のゼリー食品は、加熱、加圧してもゼリーのゲル化、食感が良好である。また、風味が劣化しにくい。
前記加熱の温度条件は、目安として、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、より好ましくは125℃以上である。また加熱時間の目安は、好ましくは10分以上、15分以上、20分以上、より好ましくは25分以上である。
【0064】
ここで、前記調製工程は、原料を加温、加熱する加熱工程を含んでいてもよい。
例えば、ゲル化剤以外の原料を、40~50℃程度に加温して、攪拌混合し、別途80~100℃程度で加熱したゲル化剤と混合する形態が挙げられる。
また、前記調製工程は、前記加熱工程後に、溶液に分散させたゲル化剤を混合し、攪拌するゲル化剤混合工程を含んでいてもよく、ゲル化剤を含めたすべての原料を攪拌混合し溶液に分散させた後、加熱する工程を含んでいてもよい。
【実施例】
【0065】
<製造例1>
表1に記載の原料を混合し、本発明のゼリー食品を調製した。
調整は以下の手順で行った。
A.タンパク溶液の調製
タンパク質が45質量%になるようにタンパク質、乳化剤、及び水を容器に入れ、ホモゲナイザーで均一化させた。
B.ゼリーの調製
(1)ステンレスビーカーに水を所定量(少量)入れ、撹拌機で混ぜながら、前記Aで作成したタンパク溶液、食物繊維、油脂、糖質、ビタミン、ミネラルを投入し、溶解させる。
(2)別のステンレスビーカーに水を所定量入れ、ゲル化剤を投入し、ゲル化剤20%溶液を作成し、攪拌して分散させる。
(3)(1)のビーカーを45℃まで加熱し、(2)のビーカーを93℃で1分加熱する。
(4)(1)のビーカーに(2)のゲル化剤分散液を投入し、よく攪拌する(手で混ぜる)。
(5)(4)を、レトルトカップに(60~70g)ずつ充填する。
(6)ゼリーを充填したパウチをレトルト殺菌(125℃、25分間)に供する。
【0066】
【0067】
得られたゼリー食品の栄養素量(100gあたり)を表2に示す。
得られたゼリー食品について、1食分相当に含まれるタンパク質、ビタミン11種類以上(ナイアシン、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸)、マグネシウムを含むミネラル12種類以上(マグネシウム、カルシウム、カリウム、マンガン、クロム、セレン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、ヨウ素、リン)、及び食物繊維の含有量は、それぞれ日本国厚生労働省発行の「日本人の食事摂取基準」における、成人の一日の摂取推奨量の3分の1を満たしていた。なお、食物繊維の数値は、食物繊維原料由来のもの、及び大豆タンパク質など、食物繊維原料以外の由来のものを含んだ値であった。
【0068】
【0069】
以降、各試験例について、ゼリー食品のゲル化と食感(なめらかさ)の評価を行った。評価は5名の専門パネルが行い、評価は5名が合議により決定した。
評価基準は以下の通りである。なお、ゲル化については4点以上を、食感については3点以上を合格点とした。なお、以降の各試験例は表1及び2に記載の、本発明のゼリー食品100gに含まれる、成分の配合及び栄養素量を基準として、適宜配合量を変更して試験を行った。
・ゲル化
5・・・全体が均一にゲル化している
4・・・一部液体状態またはゲルが分離しているが、大方良好なゲル化を示す
3・・・半分程度ゲル化している
2・・・ほぼ液体状態またはゲルが分離しており、ごく一部が均一にゲル化している
1・・・全て液体状態
・食感
5・・・なめらか
4・・・若干ざらついているが、良好
3・・・ややざらついているが許容範囲
2・・・ざらついている
1・・・粉っぽく、非常にざらついている
【0070】
また、以降、各表において、タンパク質等の数値は食品100gあたりの栄養素量を示す。
また、以降、各表において、製造したゼリー食品のカロリー、ビタミン、ミネラル、食物繊維の栄養素量は、表2の記載と同様であった。
また、以降各表中のミネラル9種類とは、マンガン、クロム、セレン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、ヨウ素、リンが、表2の栄養素量と同様となるよう含まれていたことを示す。
また、表中のビタミン11種類とは、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸が、表2の栄養素量と同様となるよう含まれていたことを示す。
また、各試験例において、製造したゼリー食品中に含まれるマグネシウムの含有量は、前記食品100gあたり10mg以上であった。
【0071】
さらに、各試験例において使用した各タンパク質(酵素処理タンパク質、コラーゲンペプチド、WPH)について、分子量10000~40000のタンパク質の含有量は以下の通りであった。
・酵素処理大豆タンパク質、19.7%
・コラーゲンペプチド、10.4%
・WPH、23.2%
【0072】
<試験例1>
pHがゼリー食品に与える影響を確認した。
上記表2(ビオチン、ビタミンB1除く)の栄養成分にてゼリー食品を製造した。組成と結果を表3(以降、各表において、表1と同様の原料を使用した場合、丸記号として表す。)に示す。
比較例1-1はリン酸にてpHを4.0になるように調整した。試験例1より、pHが低いとゲル化不良を起こすことが示された(比較例1-1はほぼ液体状態であり、食感の評価が得られなかった)。
【0073】
【0074】
<試験例2>
ミネラルの種類及び組み合わせがゼリー食品に与える影響を確認した。結果を表4に示す。試験例2よりマグネシウムを含んだ場合、ゼリーのゲル化及び食感が良好となることが示された。
【0075】
【0076】
<試験例3>
ミネラルの種類について、カルシウム、カリウム、マグネシウムをそれぞれ乳酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムに変更し、ゼリー食品に与える影響を確認した。結果を表5に示す。試験例3よりカルシウム、カリウム、マグネシウムをそれぞれ乳酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムなどの水溶性の塩に変更しても、ゲル化及び食感が良好なゼリー食品を得られることが示された。
【0077】
【0078】
<試験例4>
マグネシウムの必要量について試験を行った。マグネシウムの含有量を実施例4-1では表2の配合の1/3倍(21.7mg/ゼリー食品100gあたり)、実施例4-2では、表2の配合の1.3倍(84.5mg/ゼリー食品100gあたり)に変更して試験を行った。結果は表6の通りである。結果より、マグネシウムの含有量を100gあたり21.7~84.5mgの範囲としてもゲル化・食感が良好なゼリー食品が得られることが示された。また、試験例2及び4の結果より、タンパク質を高含有し、かつpHが中性のゼリーについて、マグネシウムが、ゼリー食品のゲル化及び食感の良化に寄与していると考察された。
【0079】
【0080】
<試験例5>
タンパクの原料の違いによるゼリー食品に与える影響を確認した。
結果は表7の通りである。タンパク質の種類を変更しても、ゼリーのゲル化・食感が良好となることが示された。大豆タンパク質又はWPH単体を使用してもゼリーのゲル化・食感が良好となることが示された。
【0081】
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、新規なゼリー食品を提供することができる。
【要約】
【課題】
タンパク質を高含有するゼリー食品について、pHが中性のものは従来なかった。また、タンパク質を高含有し、かつpHが中性のゼリーを製造するにあたって、ゲル化、食感が悪いという課題があった。
本発明は、新規なタンパク質を高含有し、かつpHが中性のゼリー食品を提供することを課題とする。
また、本発明はタンパク質に加え、ミネラル、ビタミン、食物繊維を含み、手軽に栄養補給が可能なpHが中性のゼリー食品を提供することを課題とする。
【解決手段】
タンパク質8質量%以上を含み、品温20℃におけるpHが5~8であるゼリー食品において、マグネシウムを同時に添加し上記課題を解決した。
【選択図】なし