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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20241023BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20241023BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H04B1/38
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023508539
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2021010106
(87)【国際公開番号】W WO2022035109
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0102772
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101104
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
(72)【発明者】
【氏名】オ ソク チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウン セオ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク ヤン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0048978(US,A1)
【文献】特表2019-519156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0120836(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射素子が前面に配置される少なくとも1つのアンテナ配置部と、
前記少なくとも1つのアンテナ配置部のうち隣接するアンテナ配置部の間に一体に形成され、外気に露出して後方で発生した熱を前方に伝達する放熱部とを含む前方放熱ハウジングと、
前記前方放熱ハウジングと結合し、内部にRF信号をフィルタリングするフィルタおよびRF素子が実装されるメインボードが備えられる後方放熱ハウジングと、を含み、
前記フィルタで発生した熱は、前記フィルタそのものを熱伝達媒体として前記前方放熱ハウジングの背面との接触により前記前方放熱ハウジングの前面に伝達される、アンテナ装置。
【請求項2】
直交する±45度偏波または垂直/水平偏波のいずれか1つの二重偏波を発生させる複数の放射素子と、
前記複数の放射素子がそれぞれ前面に配置されるように相互離隔して配置された複数のアンテナ配置部と、前記複数のアンテナ配置部のうち相互隣接するアンテナ配置部の間に一体に形成され、外気に露出して後方で発生した熱を前方に伝達する放熱部とを含む前方放熱ハウジングと、
前記前方放熱ハウジングと結合され、RF信号をフィルタリングするフィルタおよびRF素子が実装されるメインボードが収容される後方放熱ハウジングと、を含み、
前記放射素子は、
前記アンテナ配置部に配置される放射素子用印刷回路基板上に印刷形成されたアンテナパッチ回路部と、
導電性金属材質で形成されて、前記アンテナパッチ回路部と電気的に連結される放射用ディレクタと、を含む、アンテナ装置。
【請求項3】
前記放射素子は、
前記アンテナ配置部に配置される放射素子用印刷回路基板上に印刷形成されたアンテナパッチ回路部と、
導電性金属材質で形成されて、前記アンテナパッチ回路部と電気的に連結される放射用ディレクタと、を含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記放射用ディレクタは、放射ビームの方向を前方向に誘導すると同時に、前記放射素子用印刷回路基板の後方で発生した熱を熱伝導により前方に伝達する、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記後方放熱ハウジングの内部空間に前記メインボードと同一の高さに積層配置され、前面または後面のいずれか1つにPSU素子を含む複数の電装素子が実装配置されたPSU基板を含むPSUユニット、をさらに含み、
前記放射素子用印刷回路基板の後方で発生した熱は、前記フィルタおよび前記複数の電装素子から発生した熱である、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記放射用ディレクタは、熱伝導可能な熱伝導性材質からなる、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記放射素子用印刷回路基板の上面には、前記アンテナパッチ回路部に給電信号を供給する給電ラインが形成された、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記アンテナパッチ回路部と前記放射用ディレクタとは、1つのアンテナモジュールを形成し、
前記アンテナモジュールは、外気に露出した前記放射用ディレクタを除いた前記アンテナパッチ回路部を保護するように密閉させるアンテナモジュールカバー、をさらに含む、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記アンテナモジュールカバーの一面には貫通ホールが形成され、
前記放射用ディレクタは、前記アンテナモジュールカバーの前面の外気に露出するように結合されかつ、前記貫通ホールを介して前記アンテナパッチ回路部と電気的に連結される、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記アンテナモジュールカバーは、射出成形品であり、
前記アンテナモジュールカバーの一面には、前記放射用ディレクタの背面に型合わせられるディレクタ固定部が備えられかつ、前記ディレクタ固定部には、前記放射用ディレクタと結合可能な少なくとも1つのディレクタ固定突起部が前方に突出して形成され、
前記放射用ディレクタは、背面に前記少なくとも1つのディレクタ固定突起部と対応する位置に陥没して形成された少なくとも1つのディレクタ固定溝に圧入されて固定される、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記アンテナモジュールカバーは、射出成形品であり、
前記アンテナモジュールカバーには、前記フィルタとの結合のためのフィルタ固定ホールが貫通形成された、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記アンテナモジュールカバーは、射出成形品であり、
前記アンテナモジュールカバーには、前記放射素子用印刷回路基板との固定スクリューによるスクリュー締結のための少なくとも1つの基板固定ホールが貫通形成された、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記放射用ディレクタの背面には、前記基板固定ホールを貫通して前記アンテナモジュールカバーの背面に露出する少なくとも1つの固定ボスが形成され、
前記放射素子用印刷回路基板は、前記固定スクリューが前記固定ボスに締結される動作により、前記アンテナモジュールカバーの背面に固定される、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記固定スクリューは、後端面が前記フィルタの前面とマッチングされるように締結される皿頭スクリューで備えられた、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記アンテナモジュールカバーは、射出成形品であり、前記アンテナモジュールカバーの一面には、少なくとも1つの補強リブが一体に形成された、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記放射素子用印刷回路基板には、少なくとも4つの位置設定ホールが形成され、
前記放射素子用印刷回路基板は、前面をカバーリングするように備えられた前記アンテナモジュールカバーの背面に形成された少なくとも2つの位置設定突起が、前記4つの位置設定ホールのうち2つの位置設定ホールに圧入して挿入され、背面が密着するように備えられた前記前方放熱ハウジングの前面に形成された少なくとも2つの位置設定突起が、前記4つの位置設定ホールのうち2つの位置設定ホールに圧入して挿入される、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記フィルタと前記前方放熱ハウジングの背面との間にはサーマルパッド(Thermal Pad)が介在した、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記メインボードの上面にはFPGA(Field Programmable Gate Array)が配置され、前記FPGAで発生した熱は、前記前方放熱ハウジングの背面を通して前記前方放熱ハウジングの前面の放熱部に伝達される、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記FPGAで発生した熱は、前記FPGAと前記前方放熱ハウジングの背面とを連結するヒートパイプまたはベイパーチャンバのいずれか1つを介して伝達される、請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記フィルタは、後端部に信号遮断機能を行うクラムシェル(Clamshell)が一体に形成され、
前記クラムシェルによって遮蔽された前記フィルタの内側に生成された熱は、前記後方放熱ハウジングを通して後方放熱される、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記フィルタは、前記クラムシェルの端部に後方へ突出形成されかつ、内部の空いている形状の固定用パイプを介して前記メインボードに固定され、
前記メインボードには、前記固定用パイプと連通する熱排出ビアホールが形成された、請求項20に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記熱排出ビアホールは、熱伝導性材質のめっき膜を有する、請求項21に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
前記前方放熱ハウジングは、金属材質からなり、前記少なくとも1つのアンテナ配置部は、外気に露出するように配置され、
前記前方放熱ハウジングの後方であって、前記メインボードの前方に生成された熱のうち、一部は前記少なくとも1つの放射素子を介して前方放熱され、残りは前記前方放熱ハウジングを介して前方放熱され、
前記メインボードの後方に生成された熱は、前記後方放熱ハウジングを介して後方放熱される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置(ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、従来のアンテナ装置のレドームを除去し、放射素子をアンテナ装置の前方ハウジングに配置することにより、放熱性能を向上させ、スリム化製作が可能であり、製品の製造費用を節減できるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器をはじめとする基地局アンテナは、多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO)ベースのアンテナに対する高性能の要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、扇形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にめっきをし、PCB(印刷回路基板)などに半田付けにより結合する方式が広く用いられている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。従来技術によるアンテナ装置1は、図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に露出するように配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前端部に複数の放射素子35を挟んで装着される。より詳しくは、前面が開口した薄い直方体の矩形形状に備えられ、後面には複数の放熱フィン11が一体に形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0005】
メインボード20には、キャリブレーション給電制御のための複数の給電関連部品素子が実装され、給電過程で発生する素子の熱は、アンテナハウジング本体10の後方の複数の放熱フィン11を通して後方放熱される。そして、メインボード20の下側またはアンテナハウジング本体10の下側には、PSU(Power Supply Unit)素子が実装されたPSUボード40が積層または同一の高さに配置され、PSU素子から発生した熱も、アンテナハウジング本体10の後方に一体に備えられた前記複数の放熱フィン11、またはアンテナハウジング本体10とは別個に形成されて、アンテナハウジング本体10の背面に付着したPSUハウジング15のPSU放熱フィン16を通して後方放熱される。メインボード20の前面には、キャビティフィルタタイプで備えられた複数のRFフィルタ25が配置され、アンテナボード30の後面が複数のRFフィルタ25の前面に積層されるように配置される。
【0006】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプの放射素子またはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しながら放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。しかし、従来技術によるアンテナ装置の一例(1)は、アンテナハウジング本体10の前方部がレドーム50によって遮蔽されてレドーム50が有する面積だけ放熱面積が制限されるしかなく、放射素子35も、RF信号の送受信のみを行うように設計されて放射素子35から発生した熱が前方に放出できないことにより、アンテナハウジング本体10の内部で発生した熱を一律にアンテナハウジング本体10の後方に排出するしかなくて放熱効率が大きく低下する問題があり、このような問題を解決するための新たな放熱構造設計に対する要求が高まっている。
【0007】
また、従来技術によるアンテナ装置の一例(1)によれば、レドーム50の体積およびアンテナボード30の前面から放射素子35が離隔した配置構造の占める体積のため、ビル内(in-building)または5G陰影地域に要求されるスリムなサイズの基地局の実現が極めて難しい問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、レドームを削除し、放射素子がアンテナ装置の前方ハウジングに配置されることにより、アンテナ装置の前方ハウジングと後方ハウジングをすべて前後方放熱に用いることで放熱性能が大きく向上したアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、フィルタを熱伝達媒体として用いてアンテナハウジング内部の熱をアンテナ装置の前方に効率的に伝達できるアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
これとともに、本発明は、レドームを削除して従来のレドームの占める前後方向の体積を低減できることから、ビル内設置または5G陰影地域に要求されるスリムなサイズの基地局の実現が容易なアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるアンテナ装置は、少なくとも1つの放射素子が前面に配置されるアンテナ配置部と、前記少なくとも1つのアンテナ配置部のうち隣接するアンテナ配置部の間に一体に形成され、外気に露出して後方で発生した熱を前方に伝達する放熱部とを含む前方放熱ハウジングと、前記前方放熱ハウジングと結合し、内部にRF信号をフィルタリングするフィルタおよびRF素子が実装されるメインボードが備えられる後方放熱ハウジングとを含み、前記フィルタで発生した熱は、前記フィルタそのものを熱伝達媒体として前記前方放熱ハウジングの背面との接触により前記前方放熱ハウジングの前面に伝達される。
【0013】
また、本発明によるアンテナ装置は、二重偏波のうち一方の偏波を発生させる複数の放射素子と、前記複数の放射素子がそれぞれ前面に配置されるように相互離隔して配置された複数のアンテナ配置部と、前記複数のアンテナ配置部のうち相互隣接するアンテナ配置部の間に一体に形成され、外気に露出して後方で発生した熱を前方に伝達する放熱部とを含む前方放熱ハウジングと、前記前方放熱ハウジングと結合され、RF信号をフィルタリングするフィルタおよびRF素子が実装されるメインボードが収容される後方放熱ハウジングとを含む。
【0014】
また、前記放射素子は、前記アンテナ配置部に配置される放射素子用印刷回路基板上に印刷形成されたアンテナパッチ回路部と、導電性金属材質で形成されて、前記アンテナパッチ回路部と電気的に連結される放射用ディレクタとを含むことができる。
【0015】
また、前記放射用ディレクタは、放射ビームの方向を前方向に誘導すると同時に、前記放射素子用印刷回路基板の後方で発生した熱を熱伝導により前方に伝達することができる。
【0016】
また、前記後方放熱ハウジングの内部空間に前記メインボードと同一の高さに積層配置され、前面または後面のいずれか1つにPSU素子を含む複数の電装素子が実装配置されたPSU基板を含むPSUユニットをさらに含み、前記放射素子用印刷回路基板の後方で発生した熱は、前記フィルタおよび前記複数の電装素子から発生した熱と定義される。
【0017】
また、前記放射用ディレクタは、前記熱伝導可能な熱伝導性材質からなる。
【0018】
また、前記放射素子用印刷回路基板の上面には、前記アンテナパッチ回路部に給電信号を供給する給電ラインが形成される。
【0019】
また、少なくとも2つの前記アンテナパッチ回路部と前記放射用ディレクタとは、1つのアンテナモジュールを形成し、前記アンテナモジュールは、外気に露出した前記放射用ディレクタを除いた前記アンテナパッチ回路部を保護するように密閉させるアンテナモジュールカバーをさらに含むことができる。
【0020】
また、前記アンテナモジュールカバーの一面には貫通ホールが形成され、前記放射用ディレクタは、前記アンテナモジュールカバーの前面の外気に露出するように結合されかつ、前記貫通ホールを介して前記パッチ回路部と電気的に連結可能である。
【0021】
また、前記アンテナモジュールカバーは、射出成形され、前記アンテナモジュールカバーの一面には、前記放射用ディレクタの背面に型合わせられるディレクタ固定部が備えられかつ、前記ディレクタ固定部には、前記放射用ディレクタと結合可能な少なくとも1つのディレクタ固定突起部が前方に突出して形成され、前記放射用ディレクタは、背面に前記少なくとも1つのディレクタ固定突起部と対応する位置に陥没して形成された少なくとも1つのディレクタ固定溝に圧入されて固定される。
【0022】
また、前記アンテナモジュールカバーは、射出成形され、前記アンテナモジュールカバーには、前記フィルタとの結合のためのフィルタ固定ホールが貫通形成される。
【0023】
また、前記アンテナモジュールカバーは、射出成形され、前記アンテナモジュールカバーには、前記放射素子用印刷回路基板との固定スクリューによるスクリュー締結のための少なくとも1つの基板固定ホールが貫通形成される。
【0024】
また、前記放射用ディレクタの背面には、前記基板固定ホールを貫通して前記アンテナモジュールカバーの背面に露出する少なくとも1つの固定ボスが形成され、前記放射素子用印刷回路基板は、前記固定スクリューが前記固定ボスに締結される動作により、前記アンテナモジュールカバーの背面に固定される。
【0025】
また、前記固定スクリューは、後端面が前記フィルタの背面とマッチングされるように締結される皿頭スクリューで備えられる。
【0026】
また、前記アンテナモジュールカバーは、射出成形され、前記アンテナモジュールカバーの一面には、少なくとも1つの補強リブが一体に形成される。
【0027】
また、前記放射素子用印刷回路基板には、少なくとも4つの位置設定ホールが形成され、前記放射素子用印刷回路基板は、前面をカバーリングするように備えられた前記アンテナモジュールカバーの背面に形成された少なくとも2つの位置設定突起が、前記4つの位置設定ホールのうち2つの位置設定ホールに圧入して挿入され、背面が密着するように備えられた前記前方放熱ハウジングの前面に形成された少なくとも2つの位置設定突起が、前記4つの位置設定ホールのうち2つの位置設定ホールに圧入して挿入される。
【0028】
また、前記フィルタと前記前方放熱ハウジングの背面との間にはサーマルパッド(Thermal Pad)が介在できる。
【0029】
また、前記メインボードの上面にはFPGA(Field Programmable Gate Array)が配置され、前記FPGAで発生した熱は、前記前方放熱ハウジングの背面を通して前記前方放熱ハウジングの前面の放熱部に伝達される。
【0030】
また、前記FPGAで発生した熱は、前記FPGAと前記前方放熱ハウジングの背面とを連結するヒートパイプまたはベイパーチャンバのいずれか1つを介して伝達される。
【0031】
また、前記フィルタは、後端部に信号遮断機能を行うクラムシェル(Clamshell)が一体に形成され、前記クラムシェルによって遮蔽された前記フィルタの内側に生成された熱は、前記後方放熱ハウジングを通して後方放熱される。
【0032】
また、前記フィルタは、前記クラムシェルの端部に後方へ突出形成されかつ、内部の空いている形状の固定用パイプを介して前記メインボードに固定され、前記メインボードには、前記固定用パイプと連通する熱排出ビアホールが形成される。
【0033】
また、前記熱排出ビアホールは、熱伝導性材質でめっきされる。
【0034】
また、前記前方放熱ハウジングは、金属材質からなり、前記少なくとも1つのアンテナ配置部は、外気に露出するように配置され、前記前方放熱ハウジングの後方であって、前記メインボードの前方に生成された熱のうち、一部は前記少なくとも1つの放射素子を介して前方放熱され、残りは前記前方放熱ハウジングを介して前方放熱され、前記メインボードの後方に生成された熱は、前記後方放熱ハウジングを介して後方放熱される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によるアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0036】
第一、アンテナの前方放熱を妨げる要素であるレドームを除去し、放射素子がアンテナ装置の前方放熱ハウジングに外気に露出するように配置されることにより、アンテナ装置の前後方放熱が可能で放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0037】
第二、従来のアンテナ装置の必須構成であったレドームを除去可能なため、製品の製造単価を大きく節減する効果を有する。
【0038】
第三、レドームの削除によって増加する放熱カバーの面積だけアンテナハウジング本体内部のシステム熱を前方に放熱させることができるので、放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0039】
第四、前方への全面的な放熱が可能なため、後方放熱ハウジングの放熱フィンの長さを縮小できるので、全体として製品のスリム設計が容易な効果を有する。
【0040】
第五、アンテナモジュールのうち電磁波の放射機能を行う放射用ディレクタを介しても放熱可能なため、前方放熱ハウジングの放熱面積を最大化できる効果を有する。
【0041】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面部斜視図である。
図3A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面図である。
図3B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の背面図である。
図4図2に示されたアンテナ装置の内部空間を示す分解斜視図である。
図5図3AのA-A線に沿った断面図およびその部分拡大図である。
図6A図2の構成のうち、後方放熱ハウジングの内部空間に積層されるメインボードおよびフィルタを示す前方側分解斜視図である。
図6B図2の構成のうち、後方放熱ハウジングの内部空間に積層されるメインボードおよびフィルタを示す後方側分解斜視図である。
図7図2の構成のうち、後方放熱ハウジングを通した直接後方放熱構造を示す分解斜視図である。
図8A図2の構成のうち、メインボードに対するサブボードおよび遮蔽パネルの設置の様子を示す前方側分解斜視図である。
図8B図2の構成のうち、メインボードに対するサブボードおよび遮蔽パネルの設置の様子を示す後方側分解斜視図である。
図9図2の構成のうち、メインボードに対するPSUユニットの電気的連結の様子を説明するための分解斜視図である。
図10図2の構成のうち、メインボードに対するフィルタの結合の様子を説明するための分解斜視図である。
図11図2の構成のうち、フィルタから生成された熱の後方放熱ハウジングを介した放熱の様子を説明するための部分切開斜視図である。
図12A図2の構成のうち、後方放熱ハウジングに対する内部構成品の組立過程を示す前方側分解斜視図である。
図12B図2の構成のうち、後方放熱ハウジングに対する内部構成品の組立過程を示す後方側分解斜視図である。
図13図2の構成のうち、後方放熱ハウジングに対する外側部材の組立過程を説明するための分解斜視図である。
図14図2の構成のうち、前方放熱ハウジングに対するアンテナモジュールの設置の様子を説明するための前方側分解斜視図である。
図15図14の構成のうち、アンテナモジュールの前方放熱ハウジングの前面に対する設置の様子を示す前方側および後方側分解斜視図である。
図16図14の構成のうち、アンテナモジュールを示す斜視図である。
図17A図14の前面側分解斜視図である。
図17B図14の背面側分解斜視図である。
図18図14の構成のうち、アンテナモジュールの正面図およびB-B線に沿った断面図および切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0045】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0046】
図2は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面部斜視図であり、図3Aおよび図3Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面図および背面図であり、図4は、図2に示されたアンテナ装置の内部空間を示す分解斜視図であり、図5は、図3AのA-A線に沿った断面図およびその部分拡大図である。
【0047】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図2に示すように、アンテナ装置1の前方外観を形成する前方放熱ハウジング100と、アンテナ装置1の後方外観を形成する後方放熱ハウジング200とを含む。ここで、前方放熱ハウジング100は、少なくとも1つの放射素子116、117が前面に配置されるアンテナ配置部(後述する図14の図面符号「170」参照)と、外気に露出して後方で発生した熱を前方に伝達する放熱部105とを含む。特に、アンテナ配置部170は、少なくとも1つ以上が前方放熱ハウジング100の前面に一体に形成されて相互離隔するように配置され、放熱部105は、隣接するアンテナ配置部170の間を満たすように前方放熱ハウジング100の前面の全体面積に対して形成される。
【0048】
図2図5を参照すれば、前方放熱ハウジング100は、後述する後方放熱ハウジング200との間に生成された熱を直接前方に放熱できるように熱伝導性に優れた金属材質で備えられ、上述のように、前方放熱ハウジング100の前面は、外観上、大きく、アンテナ配置部170と、放熱部105とに区分される。
【0049】
ここで、アンテナ配置部170を除いた残りの空間は、放熱部105として機能を主に行い、放熱部105は、複数の放熱フィン形態であって、所定のパターン形状を有するように前方放熱ハウジング100と一体に形成され、前方放熱ハウジング100と後方放熱ハウジング200との間の内部空間で生成された熱は、前記複数の放熱フィン形態で備えられた放熱部150を通して速やかに前方に放熱される。
【0050】
すなわち、本発明によるアンテナ装置の一実施例(1)は、レドーム(raydome)を備えていた従来と比較して、アンテナ装置1の前方への放熱が制限されていた構造を改善して、アンテナ装置1の全方位を通して放熱される新しい概念の放熱構造を提案する。
【0051】
より詳しくは、本発明によるアンテナ装置の一実施例(1)は、前方放熱ハウジング100を導入することにより、既存のレドームが占めていた面積だけを熱放出面積に転換させることができる。
【0052】
前方放熱ハウジング100は、少なくとも後述するアンテナモジュール110の占める面積を除いた放熱部105の面積全部が熱放出可能な可用面積に転換される。これとともに、アンテナモジュール110の構成のうち、放射用ディレクタ117を熱伝導可能な金属材質で備えることで、より多い熱放出可用面積を確保することができる。
【0053】
前方放熱ハウジング100は、図3Aに示すように、後述する後方放熱ハウジング200の直方体矩形形状の前端部を覆う形状であって、略長方形の板体で備えられる。前方放熱ハウジング100の前面には、後述する複数のアンテナモジュール110が結合されるアンテナ配置部170が平らに形成される。
【0054】
複数のアンテナ配置部170は、複数のアンテナモジュール110の外形とマッチングされるように形成されるものであって、複数のアンテナモジュール110がそれぞれ上下方向に長く形成された長方形の板体で備えられ、それぞれのアンテナモジュール110が左右方向および上下方向に所定の距離離隔して行列配置されることから、複数のアンテナ配置部170も、これと同一の形状に前方放熱ハウジング100の前面に配置される。
【0055】
ここで、後述する後方放熱ハウジング200の内部空間のうち下側には、後述するPSUユニット400の複数のPSU素子417から発生した熱を、上述した放熱部105を通した直接前方放熱が容易となるように複数のアンテナ配置部170が形成されなくてもよい。
【0056】
前方放熱ハウジング100の前面のうち複数のアンテナ配置部170の占有しない残りの面積に相当する部分には、上述した放熱部105が複数の放熱フィン形態で満たされるように形成される。ここでの放熱部105は、後述する後方放熱ハウジング200に一体に形成された複数の後方放熱フィン201が放熱された後方熱の上昇気流の分散または速やかな排出のための形状の設計が考慮されたものとは異なり、前方放熱ハウジング100を通した放熱面積を増加させれば良い形状からなってもよい。すなわち、放熱部105は、必ずしも放熱された前方熱の上昇気流を分散または速やかな排出のための形状である必要はなく(ただし、そのような形状が放熱性能を増加させることは言うまでもない)、前方放熱ハウジング100の表面積を増加させる限度でいかなる形状の採用も可能であろう。
【0057】
一方、後方放熱ハウジング200は、前方放熱ハウジング100と結合して全体アンテナ装置1の後方外観を形成し、後方放熱ハウジング200には、RF信号をフィルタリングする複数のフィルタ350と、これに関わる複数のRF素子(図面符号不表記)などが実装されるメインボード310とが備えられる。後方放熱ハウジング200は、全体として熱伝導による放熱が有利となるように熱伝導性に優れた金属材質で備えられかつ、略前後方向の厚さが薄い直方体の矩形形状に形成され、前面が開口して形成されて、内部には複数のRFフィルタ350、各種RF素子およびFPGA(Field Programmable Gate Array)317などが実装されるメインボード310が設けられる内部空間200Sを形成することができる。
【0058】
図3Bを参照すれば、後方放熱ハウジング200の背面には、複数の後方放熱フィン201が所定のパターン形状を有するように後方放熱ハウジング200と一体に形成され、後方放熱ハウジング200の内部空間200Sのうち後方部側で生成された熱は、複数の後方放熱フィン201を通して後方に直接放熱される。
【0059】
複数の後方放熱フィン201は、左右幅の中間部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置されて(図3Bの図面符号201aおよび201b参照)、後方放熱ハウジング200の後方に放熱される熱がそれぞれ後方放熱ハウジング200の左側および右側方向に分散した上昇気流を形成してより速やかに熱が分散するように設計できるが、放熱フィン201の形状がこれに限定されない。仮に、図示しないが、後方放熱ハウジング200の背面側に送風ファンモジュール(図示せず)が備えられた場合には、送風ファンモジュールによって放熱された熱がより速やかに排出されるように、後方放熱フィンは、中間に配置された送風ファンモジュールでそれぞれ左側端および右側端に平行に形成されることが好まれる。
【0060】
また、図示しないが、複数の後方放熱フィン201の一部には、アンテナ装置1を支柱ポール(図示せず)に結合するためのクランピング装置(図示せず)が結合されるブラケットマウンティング部205が一体に形成される。ここで、クランピング装置は、その先端部に設けられた本発明の一実施例によるアンテナ装置1を左右方向にローテーティング回動させるか、上下方向にチルティング回動させて、アンテナ装置1の方向性を調整するための構成であってもよい。
【0061】
一方、前方放熱ハウジング100の背面と後方放熱ハウジング200との間の空間であって、複数のフィルタ350の周辺で発生した熱は、直接前方放熱ハウジング100を熱伝達媒体としたり、フィルタ350を熱伝達媒体として前方放熱ハウジング100の背面との接触により前方放熱ハウジング100の前面に伝達される。これとともに、複数のフィルタ350の内部で発生した熱の一部は、後方放熱ハウジング200を通して直接後方放熱される。これに関する具体的な説明は、後により詳しく説明する。
【0062】
後方放熱ハウジング200の前面には、複数のRFフィルタ350が外部の電磁波の遮断および干渉機能を行うクラムシェル(Clamshell)が一体型に形成されて、メインボード310の予め設定された位置に実装配列される。
【0063】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1において、複数のRFフィルタ350は、左右方向に計8個が隣接して配列されるとともに、このような複数のRFフィルタ350が上下方向にそれぞれ計4列配置されたものを採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、その配列位置およびRFフィルタ350の個数は多様に設計変形できることは言うまでもない。
【0064】
複数のRFフィルタ350は、図示しないが、それぞれ内部に複数のキャビティ(cavity)が備えられ、各キャビティの共振器を用いた周波数調整により入力信号に対する出力信号の周波数帯域をフィルタリングするキャビティフィルタで採用されて配置される。しかし、必ずしもRFフィルタ350がキャビティフィルタに限定されるものではなく、セラミック導波管フィルタ(Ceramic Waveguide Filter)を排除するものではない。
【0065】
RFフィルタ350は、前後方向の厚さが小さい方が、製品全体のスリム化を実現する設計において有利である。このような製品のスリム化設計の面から、RFフィルタ350は、前後方向の厚さの縮小設計が制限されるキャビティフィルタよりは、小型化設計が有利なセラミック導波管フィルタの採用が考慮される。しかし、5G周波数環境で要求される基地局アンテナの高出力性能を満足するためには、それに伴うアンテナ放熱の問題を必然的に解決しなければならず、アンテナの内部で発生した熱を効果的に放出するために、RFフィルタ350を熱伝達媒体として活用してフィルタ350で発生した熱を前方放熱ハウジング100の前面に伝達できるという点から、キャビティフィルタの採用が好まれる。
【0066】
このようなRFフィルタ350で発生した熱は、前方放熱ハウジング100の背面との接触により前方放熱ハウジング100の前面に伝達可能であり、フィルタ350と前方放熱ハウジング100の背面との間にはサーマルパッド(Thermal Pad)109が介在できる。サーマルパッド109は、フィルタ350で発生した熱を前方放熱ハウジング100との面接触により円滑に伝達する機能を行うだけでなく、フィルタ350と前方放熱ハウジング100との間の組立時の公差を解消する機能も併せて行う。
【0067】
一方、図4に示すように、後方放熱ハウジング200の内部空間200Sを形成する内側面は、メインボード310および後述するサブボード320の背面部位が型合わせられる形状に形成される。すなわち、メインボード310およびサブボード320の背面との熱接触面積を増大させて放熱性能を向上させることができる。
【0068】
後方放熱ハウジング200の左右両側には、現場で作業者が本発明の一実施例によるアンテナ装置1を運送したり、支柱ポール(図示せず)に対する装着が容易となるように把持可能な取っ手部160がさらに設けられる。これとともに、後方放熱ハウジング200の下端部外側には、図示しない基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材500が貫通して組立てられる。
【0069】
図6Aおよび図6Bは、図2の構成のうち、後方放熱ハウジングの内部空間に積層されるメインボードおよびフィルタを示す前方側および後方側分解斜視図であり、図7は、図2の構成のうち、後方放熱ハウジングを通した直接後方放熱構造を示す分解斜視図であり、図8Aおよび図8Bは、図2の構成のうち、メインボードに対するサブボードおよび遮蔽パネルの設置の様子を示す前方側および後方側分解斜視図であり、図9は、図2の構成のうち、メインボードに対するPSUユニットの電気的連結の様子を説明するための分解斜視図である。
【0070】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図6Aおよび図6Bに示すように、後方放熱ハウジング200の内部空間200Sに積層配置されるアンテナ積層アセンブリ300を含むことができる。
アンテナ積層アセンブリ300は、図6Aおよび図6Bに示すように、メインボード310を基準として前面に積層されるRFフィルタとして複数のフィルタ350と、メインボード310を基準として背面に積層されるサブボード320とを含むことができる。
【0071】
メインボード310は、図示しないが、複数のレイヤで積層具備され、内部または面に複数のフィルタ350に対する給電のための給電回路がパターン印刷される。特に、メインボード310の前面には、複数の給電部品のうちLNA素子312が実装され、複数のフィルタ350に対する給電連結のための複数の給電コネクタ360が挿入実装される。
【0072】
一方、サブボード320は、前面に、メインボード310と同様に、複数のフィルタ350に対する給電のための給電回路321が送信経路および受信経路としてそれぞれ一対ずつパターン印刷され、複数の給電部品のうちPA素子322が実装される。ここで、メインボード310には、その背面に積層されたサブボード320の構成のうち、その前面の給電回路321およびPA素子322が複数のフィルタ350の背面側に露出するように複数の貫通部312が加工形成される。
【0073】
また、複数のフィルタ350の後端部側には、上述のように、クラムシェル(図面符号不表記)が一体に形成されることから、複数のフィルタ350の後端部側とメインボード310およびサブボード320との間には所定のエアレイヤが形成され、代表的な発熱素子であるLNA素子312およびPA素子322から発生した熱を、メインボード310に形成された熱放出ビアホール(図11の図面符号「357a」参照)を通して後方放熱ハウジング200側に放熱させることができる。
【0074】
メインボード310の背面には、図7に示すように、発熱素子のうち代表的なものとして、複数のFPGA素子317aおよびRFIC素子317bが実装配置される。複数のFPGA素子317aおよび複数のRFIC素子317bは、その駆動時に多量の熱を放出する半導体素子であって、後方放熱ハウジング200の内部空間200Sの内側面に直接熱表面接触して後方放熱ハウジング200を通して後方放熱する構造で採用される。より詳しくは、後方放熱ハウジング200の内側面には、図7に示すように、複数のFPGA317aおよびRFIC素子317bの表面が直接熱接触する熱接触収容面203aが前方に突出して形成されるとともに、サブボード320の背面側に凸状にパターン印刷されるか、実装された複数の突出部品が収容される熱接触溝203bが後方に陥没して形成される。したがって、メインボード310およびサブボード320の背面全部が後方放熱ハウジング200の内側面に熱表面接触するので、放熱性能を大きく向上させるという利点を有する。
【0075】
一方、メインボード310の前面のうち複数のフィルタ350の占める部分を除いた残りの部分には、図8Aおよび図8Bに示すように、遮蔽パッド330が積層結合される。遮蔽パッド330は、メインボード310と前方放熱ハウジング100との間に配置されて、複数のフィルタ350を介した電気的信号ラインを除いた残りの部位の電装部品または外部電磁波による信号の影響を遮断することで、より安定的な信号性能を確保させる遮蔽部材である。
【0076】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、図6Aおよび図6B、そして図7に示すように、複数のフィルタ350およびアンテナモジュール110に給電するためのPSUユニット400をさらに含むことができる。
【0077】
PSUユニット400は、図6Aおよび図6B図7に示すように、メインボード310の下側にメインボード310と同一の高さに後方放熱ハウジング200の内部空間200Sに積層配置される。このようなPSUユニット400は、PSU基板410と、PSU基板410の前面または後面のいずれか1つに配置された複数のPSU素子417を含む複数の電装素子419とを含むことができる。PSUユニット400は、複数のバスバー340を介してメインボード310側に電源を分散供給するように備えられる。より詳しくは、複数のバスバー340は、図6Aおよび図6B、そして図9に示すように、それぞれPSU基板410およびメインボード310の左側端と右側端とを相互連結するように配置され、特に、複数のバスバー340は、メインボード310に予め形成された接続ホール319に挿入される動作により連結可能である。
【0078】
特に、PSUユニット400のうちPSU素子417および電装素子419は、駆動時に多量の熱を排出することから、図7に示すように、後方放熱ハウジング200の内部空間200SのうちPSU基板410の占める部位に、PSU素子417および電装素子419の形状に対応して熱接触収容部217が後方に陥没して形成される。したがって、PSUユニット400のPSU素子417および電装素子419から発生した熱は、後方放熱ハウジング200を熱伝達媒体として後方放熱される。しかし、必ずしもPSUユニット400で発生した熱が後方放熱ハウジング200を通して後方放熱されるように備えられる必要はなく、図示しないが、熱伝達媒体として別途に備えられるベイパーチャンバまたはヒートパイプ構造を介して前方放熱ハウジング100側に前方放熱されるように備えられることも可能であることは言うまでもない。これは、本発明の一実施例によるアンテナ装置1の場合、従来のレドームが備えられる場合とは異なり、前方放熱ハウジング100を通した前方放熱に有利な構造を有するからである。
【0079】
図10は、図2の構成のうち、メインボードに対するフィルタの結合の様子を説明するための分解斜視図であり、図11は、図2の構成のうち、フィルタから生成された熱の後方放熱ハウジングを介した放熱の様子を説明するための部分切開斜視図である。
【0080】
メインボード310の前面および背面について上述したように、遮蔽パッド330およびサブボード320をそれぞれ積層配置すれば、図10および図11に示すように、RFフィルタとして複数のフィルタ350をメインボード310の前面に実装配置する。この時、複数のフィルタ350は、それぞれの後端部にクラムシェルが一体型に備えられたキャビティフィルタであって、クラムシェルが形成された部位には、それぞれメインボード310に形成されたフィルタ組立ホール317に挿入されて組立てるためのフィルタ組立突起357が少なくとも1つ以上形成され、フィルタ組立突起357は、内部の空いているチューブ形状に形成される。したがって、複数のフィルタ350それぞれの後端部とメインボード310との間のエアレイヤにLNA素子312およびPA素子322から発生して捕集された熱は、チューブ形状のフィルタ組立突起357およびメインボード310に形成された熱放出ビアホール357aを通して後方放熱ハウジング200側に容易に放熱させることができる。
【0081】
一方、複数のフィルタ350の後端部には、メインボード310に実装された給電コネクタ360と電気的に接続されるメインボード側同軸コネクタ353aの一対が備えられ、複数のフィルタ350の前端部には、前方放熱ハウジング100の前面に配置されたアンテナモジュール110と電気的に接続されるアンテナ側同軸コネクタ353bの一対が備えられる。
【0082】
これとともに、複数のフィルタ350の前端部には、前方放熱ハウジング100の背面に対する熱伝達を媒介するサーマルパッド109が配置されて、複数のフィルタ350それぞれから発生した熱が前方放熱ハウジング100を熱伝達媒体としてより速やかに前方放熱できるようにする。また、複数のフィルタ350の前端部には、前方放熱ハウジング100に対する固定ねじ351を用いたねじ結合のためのスクリュー締結ホール359が形成され、固定ねじ351が前方放熱ハウジング100に形成されたスクリュー貫通ホール119を貫通してスクリュー締結ホール359に締結される動作により、複数のフィルタ350の前面に前方放熱ハウジング100が積層結合される。
【0083】
上記構成によれば、フィルタ350で発生した熱が直接的に前方放熱ハウジング100の背面またはアンテナモジュール110の構成のうち放射用ディレクタ117と直接接触して、フィルタ350の熱が従来より約14~16℃低くなる効果を確認することができた。これは、従来の放熱を妨げる要素であったレドームの削除による影響だけでなく、フィルタ350の熱を放熱に適した材質からなる前方放熱ハウジング100の背面および放射用ディレクタ117に対する直接的な熱伝達(熱伝導)により熱伝達性能が向上した影響であると理解される。
【0084】
図12Aおよび図12Bは、図2の構成のうち、後方放熱ハウジングに対する内部構成品の組立過程を示す前方側および後方側分解斜視図であり、図13は、図2の構成のうち、後方放熱ハウジングに対する外側部材の組立過程を説明するための分解斜視図である。
【0085】
図2図11に示すように、メインボード310に対する構成品の組立および後方放熱ハウジング200に対する積層アセンブリ300の組立が完了すれば、外側部材500を後方放熱ハウジング200の下端部に移動させて組立を完了する。ここでの後方放熱ハウジング200は、後述する前方放熱ハウジング100およびアンテナモジュール110の組立によって内部空間200Sが完全に遮蔽されて密封され、別のレドーム(radome)のような保護部材を必要としなくなる。
【0086】
図14は、図2の構成のうち、前方放熱ハウジングに対するアンテナモジュールの設置の様子を説明するための前方側分解斜視図であり、図15は、図14の構成のうち、アンテナモジュールの前方放熱ハウジングの前面に対する設置の様子を示す前方側および後方側分解斜視図であり、図16は、図14の構成のうち、アンテナモジュールを示す斜視図であり、図17Aおよび図17Bは、図14の前面側分解斜視図および背面側分解斜視図であり、図18は、図14の構成のうち、アンテナモジュールの正面図およびB-B線に沿った断面図および切開斜視図である。
【0087】
ビームフォーミング(Beamforming)の実現のためには、図14図18に示すように、配列アンテナ(Array antenna)として複数の放射素子が必要であり、複数の放射素子は、狭い方向性ビーム(narrow directional beam)を生成して指定された方向への電波の集中を増加させることができる。最近、複数の放射素子は、ダイポールタイプのダイポールアンテナ(Dipole antenna)またはパッチタイプのパッチアンテナ(Patch antenna)が最も高い頻度で活用されており、相互間の信号干渉が最小化されるように離隔して設計配置される。従来は、一般的にこのような複数の放射素子の配列設計が外部環境要因によって変更されないようにするために、複数の放射素子を外部から保護するレドーム(radome)を必須構成としていた。したがって、レドームが覆っている面積部分に限っては、複数の放射素子および複数の放射素子が設けられるアンテナボードが外気に露出せず、アンテナ装置1の動作によって発生するシステム熱を外部に放熱するに際して極めて制限されていた。
【0088】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1の放射素子116、117は、アンテナ配置部170に配置される放射素子用印刷回路基板115上に印刷形成されたアンテナパッチ回路部116と、導電性金属材質で形成されて、アンテナパッチ回路部116と電気的に連結される放射用ディレクタ117とを含む。放射素子用印刷回路基板115にはアンテナパッチ回路部116が印刷形成されており、直交する±45偏波または垂直/水平偏波のいずれか1つの二重偏波を発生させる二重偏波パッチ素子で備えられる。放射素子用印刷回路基板115の上面には、アンテナパッチ回路部116に給電信号を供給する給電ライン(図示せず)がアンテナパッチ回路部116それぞれを相互連結するようにパターン形成される。
【0089】
従来のアンテナ装置における給電ラインは、アンテナパッチ回路部が実装される印刷回路基板の下部で給電線路を形成しなければならないので、このために、複数の貫通ホールを備えるなど給電構造が複雑になり、給電構造が放射素子用印刷回路基板115の下部空間を占めるようになって、フィルタ350と放射素子用印刷回路基板115との間の直接表面熱接触を妨げる要素として作用する問題が発生するが、本発明の実施例による給電ラインは、アンテナパッチ回路部116がパターン印刷される放射素子用印刷回路基板115と同一の前面にパターン印刷形成されることにより、給電構造が極めて単純になるだけでなく、フィルタ350と放射素子用印刷回路基板115上の直接表面熱接触する結合空間を確保できるという利点がある。
【0090】
一方、放射用ディレクタ117は、熱伝導性または導電性金属材質で形成されて、アンテナパッチ回路部116と電気的に連結される。放射用ディレクタ117は、放射ビームの方向を前方向に誘導すると同時に、放射素子用印刷回路基板115の後方で発生した熱を熱伝導により前方に伝達する機能も併せて行うことができる。放射用ディレクタ117は、電波がよく流れる導電性材質の金属で構成されてもよいし、それぞれのアンテナパッチ回路部116の上部で離隔して設けられる。
【0091】
ここで、後述するアンテナモジュールカバー111に結合する放射用ディレクタ117の高さだけ、前方放熱ハウジング100の放熱部(105、放熱フィン)の高さを設定することができる。放射用ディレクタ117の高さを可変設計することで、それによる放熱部(105、放熱フィン)の高さを可変して放熱量を調整できることは言うまでもない。
【0092】
本発明の実施例では、アンテナパッチ回路部116および放射用ディレクタ117を用いた放射素子を説明したが、ダイポールアンテナを適用する場合、放射用ディレクタの構成を省略することができ、ダイポールアンテナの高さが相対的に高いだけ、放熱部(105、放熱フィン)の高さを高く設定して放熱量を増加させることができる。
【0093】
図14図18を参照すれば、放射用ディレクタ117は、背面に形成された突出部117aがアンテナモジュールカバー111の貫通ホール114aを介してアンテナパッチ回路部116と電気的に連結される。放射用ディレクタ117の全体的な大きさ、形態および設置位置などは、当該アンテナパッチ回路部116から放射される放射ビームの特性を測定して、実験的に、または当該特性をシミュレーションして適宜設計可能である。放射用ディレクタ117は、アンテナパッチ回路部116で発生する放射ビームの方向を前方向に誘導する役割をして、全体的なアンテナのビーム幅をより減らしつつ、サイドローブの特性も良好にする。それだけでなく、パッチ型アンテナによる損失を補償し、導電性材質の金属からなって放熱機能も併せて行うことができる。放射用ディレクタ117の形状は、放射ビームの方向を前方向に誘導するための適切な形態、仮に、無方向性を有する円形に形成されることが好ましいが、これに限らない。
【0094】
一方、少なくとも2つのアンテナパッチ回路部116と放射用ディレクタ117とは、1つのアンテナモジュール110を形成することができる。図14図18には、3つのアンテナパッチ回路部116と放射用ディレクタ117とが1つの単位アンテナモジュール110を形成した例が示されており、利得(gain)を高めるためのアンテナモジュールの最適な設計に応じて、アンテナパッチ回路部116および放射用ディレクタ117の数は可変できる。
【0095】
アンテナモジュール110は、アンテナモジュール110の構成のうち、放射素子用印刷回路基板115の少なくとも一面を密閉するアンテナモジュールカバー111をさらに含むことができる。アンテナモジュールカバー111および放射素子用印刷回路基板115には、それぞれ前後方向に貫通したカバー貫通ホール113および基板貫通ホール115bが形成され、固定ねじ351が前方放熱ハウジング100の外側へ順次にカバー貫通ホール113および基板貫通ホール115bを貫通した後、前方放熱ハウジング100のスクリュー貫通ホール119を貫通して、複数のフィルタ350の前端部に形成されたスクリュー締結ホール359に締結される動作により、アンテナモジュール110それぞれがアンテナ配置部170の前面に固定される。
【0096】
ここで、図15の(a)に示すように、アンテナ配置部170の縁部位には、少なくともアンテナモジュールカバー111の縁端部が収容される収容リブ178が形成され、アンテナモジュールカバー111は、アンテナ配置部170の収容リブ178に締まり嵌めされて気密または防水可能な程度の大きさに形成されることが好ましい。
【0097】
一方、図15に示すように、放射素子用印刷回路基板115には、四角形をなす角側の4箇所に前後方向に貫通する位置設定ホール115-1~115-4が形成され、アンテナ配置部170の前面には、放射素子用印刷回路基板115に形成された4つの位置設定ホール115-1~115-4のうち、対角線方向の2つの位置設定ホール115-1、115-2に圧入される2つの位置設定突起173a、173bが形成され、アンテナモジュールカバー111の背面には、放射素子用印刷回路基板115に形成された4つの位置設定ホール115-1~115-4のうち、アンテナ配置部170の前面に形成された前記2つの位置設定突起173a、173bが占めていない残りの2つの位置設定ホール115-3、115-4に圧入される2つの位置設定突起111-3、111-4が形成される。
【0098】
したがって、図15に示すように、アンテナモジュール110をアンテナ配置部170に設ける時、アンテナモジュールカバー111の背面側に放射素子用印刷回路基板115を移動させて、2つの位置設定突起111-3、111-4が2つの位置設定ホール115-3、115-4にアンテナモジュールカバー111の背面側に形成された2つの位置設定突起111-3、111-4を圧入して挿入する動作により固定させた後(図15の(b)参照)、放射素子用印刷回路基板115が結合されたアンテナモジュールカバー111を前方放熱ハウジング100の前面に形成されたアンテナ配置部170側に移動させて、2つの位置設定突起173a、173bを放射素子用印刷回路基板115の2つの位置設定ホール115-1、115-2に圧入して挿入する動作により臨時固定させることができる。
【0099】
すなわち、放射素子用印刷回路基板115は、前面をカバーリングするように備えられたアンテナモジュールカバー111の背面と背面とが密着するように備えられた前方放熱ハウジング100のアンテナ配置部170の前面にそれぞれ位置設定突起111-3、111-4、173a、173bが位置設定ホール115-1~115-4に圧入されて挿入されることにより、両者の間に安定的に配置できる。
【0100】
一方、図15に示すように、放射素子用印刷回路基板115の前面には上述したアンテナパッチ回路部116が印刷形成され、放射素子用印刷回路基板115の背面には導電性の接点パターン115cが印刷形成され、フィルタ350の前端に備えられたアンテナ側同軸コネクタ353bと接点パターン115cとの接点によってアンテナパッチ回路部116側に給電フィーディングが行われる。
【0101】
ここで、アンテナモジュールカバー111は、プラスチック素材で射出成形され、アンテナモジュールカバー111の一面には、図17Aに示すように、放射用ディレクタ117の背面に型合わせられるディレクタ固定部114が備えられかつ、ディレクタ固定部114には、放射用ディレクタ117と結合可能なディレクタ固定突起部114bが前方に突出して形成される。
【0102】
これとともに、図17Bに示すように、放射用ディレクタ117は、その背面に少なくとも1つのディレクタ固定突起部114bと対応する位置に陥没して形成された少なくとも1つのディレクタ固定溝117bに圧入されて固定される。また、アンテナモジュールカバー111には、フィルタ350との結合のためのフィルタ固定ホール113が貫通形成される。フィルタ固定ホール113を介してフィルタ固定ねじ(図示せず)がアンテナモジュールカバー111を貫通した後、放射素子用印刷回路基板115に形成された貫通ホール115bを貫通してフィルタ350に形成されたスクリュー締結ホール359に締結されると、フィルタ350の前面に前方放熱ハウジング100が強固に積層結合される。フィルタ固定ホール113は、図16に示すように、ホール遮蔽キャップ119を介して密閉されることが好ましい。
【0103】
ここで、アンテナモジュールカバー111には、放射素子用印刷回路基板115との固定スクリュー180によるスクリュー締結のための少なくとも1つの基板固定ホール114aが形成される。そして、放射用ディレクタ117の背面には、基板固定ホール114aを貫通してアンテナモジュールカバー111の背面に露出する少なくとも1つの固定ボス117aが形成される。放射素子用印刷回路基板115は、固定スクリュー180が前方放熱ハウジング100のアンテナ配置部170を前後方向に貫通するように形成されたディレクタ固定ホール178を貫通した後、固定ボス117aに締結される動作により、アンテナモジュールカバー111の背面に固定される。
【0104】
一方、固定スクリュー180は、後方に位置するフィルタ350の前面に後端部がマッチングされるように締結される皿頭スクリューで備えられることが好ましい。これは、皿頭スクリューで備えられた固定スクリュー180の後端面をフィルタ350の前面とできるだけ最大の面積で表面熱接触させるためである。固定スクリュー180および放射用ディレクタ117は、熱伝導性材質で備えられることから、フィルタ350が備えられた前方放熱ハウジング100とメインボード310およびPSUユニット400との間の内部空間200Sに放出された熱は、前方放熱ハウジング100自体の熱伝導または前記固定スクリュー180と放射用ディレクタ117を通した熱伝導方式により前方側に放熱される。
【0105】
また、アンテナモジュールカバー111の一面には、少なくとも1つの補強リブ111aが形成されてアンテナモジュールカバー111の外観を形成し、プラスチック素材のアンテナモジュールカバー111の強度を補強することができる。
【0106】
上記のように構成される本発明の一実施例によるアンテナ装置1の放熱の様子を簡略に説明すれば、次の通りである。
【0107】
メインボード310を基準として前方放熱ハウジング100の間に生成された熱と、その間の空間に相当するフィルタ350から生成された熱は、前方放熱ハウジング100の背面に直接表面熱接触またはフィルタ350と放射用ディレクタ117を介して前方放熱ハウジング100の前方に放熱される。この時、本発明の一実施例によるアンテナ装置1の場合、従来のレドームを削除する代わりにレドームの占める面積だけを放熱面積に転換することで、より優れた放熱性能を達成することができる。
【0108】
メインボード310を基準としかつ、メインボード310の背面側に生成された熱およびPSUユニット400の背面側に生成された熱は、後方放熱ハウジング200と直接表面熱接触して、後方放熱ハウジング200に一体に形成された複数の放熱フィン201を用いて速やかに後方に放熱される。この時、フィルタ350とメインボード310との間の空間であって、クラムシェルによって捕集された熱は、フィルタ350のフィルタ組立突起357およびメインボード310の熱放出ビアホール357aを通して後方放熱ハウジング200を熱伝達媒体として後方に放熱される。
【0109】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置1は、レドームの削除によって増加する前方放熱ハウジング100の面積だけ、アンテナ装置1内部のシステム熱を後方だけでなく前方を含む全方位に放出することができ、アンテナモジュール110がアンテナ装置1の前方放熱ハウジング100に配置されかつ、外気に露出するように配置されることにおり、アンテナ装置1の前後方放熱が可能で放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0110】
以上、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、レドームを削除し、放射素子がアンテナ装置の前方ハウジングに配置されることにより、アンテナ装置の前方ハウジングと後方ハウジングをすべて前後方放熱に用いることで放熱性能が大きく向上したアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0112】
1:アンテナ装置 100:前方放熱ハウジング
110:アンテナモジュール 115:印刷回路基板
117:ディレクタ 116:アンテナパッチ回路部
178:ディレクタ固定ホール
170:アンテナ配置部 150:放熱部
350:フィルタ 180:固定スクリュー
200:後方放熱ハウジング 201:後方放熱フィン
320:メインボード
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15(a)】
図15(b)】
図16
図17a
図17b
図18