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特許7576168可撓性ポリウレタンフォームおよびその配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】可撓性ポリウレタンフォームおよびその配合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20241023BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20241023BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20241023BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241023BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20241023BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20241023BHJP
【FI】
C08G18/00 K
C08G18/00 H
C08G18/40
C08G18/42
C08G18/48
C08G18/18
C08G101:00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023519973
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021052545
(87)【国際公開番号】W WO2022072420
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】63/086,252
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン エヌ.ステップ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ケー.フォスター
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム センディジャレビク
(72)【発明者】
【氏名】バヒド センディジャレビク
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-077100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085197(US,A1)
【文献】特開2000-080267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ポリウレタンフォームの製造方法であって、
少なくとも第1のポリオールと、2~10質量%の、50~150m /gの表面積を有するヒュームドシリカとを含むポリオール組成物を提供すること、前記第1のポリールは3000~6000の質量平均分子量、および2.5~3.5の官能価を有し、ならびに前記ヒュームドシリカはその表面にC1~C3アルキルシリル基を有している、
前記ポリオール組成物、1.8~2.5の官能価を有するポリイソシアネート、水、および第3級アミン触媒を混合して、プレポリマー組成物を形成すること、ならびに、
前記プレポリマー組成物を重合させて、29~64kg/m 1.8~4pcfの密度と、a)40%~70%のボール跳ね返り(ASTM D3574、試験H)による復元力、およびb)3%~15%の乾式圧縮永久歪の一方もしくは両方とを有する開放気泡フォーム構造を形成すること、
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記可撓性ポリウレタンフォームが、29~48kg/m 1.8~3pcfの密度または32~64kg/m 2~4pcfの密度を示す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物、またはこれらの2種もしくは3種以上の混合物を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のポリオールが、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオール組成物が、第2のポリオールを更に含み、前記第2のポリオールが、2000~10000の質量平均分子量を有する、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ヒュームドシリカが、50~150m/gまたは50~100m/gのBET表面積を有する、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記プレポリマー組成物を重合させて開放気泡フォーム構造を形成することが、前記プレポリマー組成物を、一方の側が大気に開放された型中に充填することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記可撓性ポリウレタンフォームが、29~48kg/m 1.8~3pcfの密度を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記プレポリマー組成物を重合させて開放気泡フォーム構造を形成することが、前記プレポリマー組成物を型中に充填し、そして前記型を閉鎖することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記可撓性ポリウレタンフォームが、32~64kg/m 2~4pcfの密度を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記C1~C3アルキルシリル基が、トリメチルシリルまたはジメチルシリルである、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記可撓性ポリウレタンフォームが、同じ方法によってではあるが、しかしながらシリカが等しい質量部の前記第1のポリオールで置き換えられて生成された可撓性ポリウレタンフォームに対して、30%~155%向上した、ASTM D3574によって測定された、50%における圧縮力撓みを有する、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
50~150m/gの表面積を有する、2~10質量%のヒュームドシリカを含む可撓性ポリウレタンフォームであって、前記ヒュームドシリカがその表面にC1~C3アルキルシリルを有し、前記可撓性ポリウレタンフォームが、40%~70%のボール跳ね返り(ASTM D3574、試験H)による復元力、3%~15%の乾式圧縮永久歪、またはその両方を有する、可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
前記ヒュームドシリカが、50~150m/gまたは50~100m/gのBET表面積を有する、請求項13記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
前記C1~C3アルキルシリル基がトリメチルシリルまたはジメチルシリルである、請求項13または14記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記フォームが、モールドフォームまたはフリーライズフォームである、請求項1315のいずれか1項記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項17】
前記ポリウレタンが、ポリエーテルポリウレタンまたはポリエステルポリウレタンを含む、請求項1316のいずれか1項記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項18】
29~64kg/m 1.8~4pcfの密度を有する、請求項1317のいずれか1項記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【請求項19】
同じ組成を有するが、しかしながらシリカがポリオールで置き換えられた可撓性ポリウレタンフォームよりも、30%~155%大きな、ASTM D3574によって測定された、50%における圧縮力撓みを有する、請求項1318のいずれか1項記載の可撓性ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性ポリウレタンフォームのための配合物およりそれで作られるポリマーフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「ポリウレタン」は、広範囲なポリマー組成物を表現している。それらのポリマー組成物のそれぞれは、その繰り返し単位が(-N-CO-O-)結合を含むポリマーを含んでいる。更に、ポリウレタンは、ユリア(-N-CO-N-)結合もまた含むことができる。しかしながら、それらのウレタンとユリア結合の間の分子鎖の組成およびそのポリマーの製造方法もまた、最終的な性質に影響を与える。従って、異なる組成を含み、および/または異なる方法によって作られたポリウレタンは、接着剤から、コーティング、エラストマー、異なるタイプのフォームまで、種々の用途で用いられている。通常は、ポリウレタンは、ポリイソシアネートの、ポリオール(またはポリアミンとのポリウリアを生成する)との反応によって生成される。2種の異なるポリオールを、ブロック共重合体を生成するのに用いることができる。例えば、低分子量のグリコールとジアミンは、短鎖の形成をもたらし、それが水素結合を伴って結晶性ドメインを形成する。第2の「軟質」ブロックが、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールの使用で形成されることができ、それがアモルファスドメインをもたらす。そのようなブロック共重合体組成物が、典型的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を形成するのに用いられる。このポリマーの引張特性は、結晶ドメイン中の水素結合を、引張応力がどのように妨げるかによって定められる。
【0003】
あるいは、ポリウレタンフォームは、典型的にはジイソシアネートと、ポリオールおよびポリアミンとの、起泡剤の存在での反応によって形成される。結晶性ドメインを利用するのでなく、機械的性質は、部分的には、剛性のユリア結合とより可撓性のウレタン結合との間の対照によって定められる。起泡剤は、補助剤、例えば揮発性有機化合物であることができ、またはインサイチュで発生されることができる。反応混合物への水の添加は、イソシアネートと水との間の反応による2つの競争反応、重縮合と二酸化炭素の発生をもたらす。ポリオールとイソシアネートの官能価を増加させることで、重合の早期の間の架橋密度を増加させ、セル壁を強化し、そして二酸化炭素圧が増加してセル壁が破壊することを大幅に防止し、それによってフォームの剛性を増加させる。剛性(独立気泡)のポリウレタンフォームは、典型的には断熱に用いられ、一方で可撓性(開放気泡)のポリウレタンフォームは、緩衝および防音用に用いられる。
【0004】
種々の充填剤が、ポリウレタンに通常用いられて、それらの機械的、電気的、そして他の性質を改質する。それらの充填剤は、重合された材料と、例えば溶融混合によって混合される、またはインサイチュプロセスでの重縮合の前のプレポリマー組成物中へ混合されることができる。インサイチュプロセスで用いられる充填剤は、2つの機能を有していなければならない。それらは、最終製品に所望の性質を与える必要があるだけではなく、それらはまたその製品を生成させる重合プロセスおよび発泡プロセスを妨害してはならない。
【0005】
ヒュームドシリカは、ポリウレタンフォームのチクソトロピーと細孔サイズを制御するのにしばしば用いられる。日本特許第04850574号では、ヒュームドシリカが重合されたポリウレタン組成物中に溶融混合され、それに続いて二酸化炭素が細孔を生成させるために注入される。同様に、ヒュームドシリカが、フォーム安定剤として米国特許出願公開第2008/0153935号明細書中で用いられている。更に、ヒュームドシリカを、インサイチュプロセスで可撓性ポリウレタンフォーム中に混合することが望ましく、その中で、ヒュームドシリカは、重縮合の前に前駆体材料と混合されて、そしてシリカが、最終的な材料の機械的性質に貢献することを可能にさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第3級アミン触媒と組み合わせた、トリメチルシリル基を表面に有する低表面積シリカの使用は、インサイチュの重合プロセスを可能とさせて、有益な性質を有する可撓性のポリウレタンフォームをもたらす。
【0007】
1つの態様では、可撓性ポリウレタンフォームを製造する方法は、
少なくとも第1のポリオール、および10質量%以下の、50~150m/gの表面積を有するヒュームドシリカを含むポリオール組成物を提供すること、第1のポリオールは3000~6000の質量平均分子量および2.5~3.5の官能価を有しており、ヒュームドシリカはその表面にC1~C3アルキルシリル基を有している、
前記ポリオール組成物、1.8~2.5の官能価を有するポリイソシアネート、水および第3級アミン触媒を混合して、プレポリマー組成物を形成すること、
前記プレポリマー組成物を重合させて、1.8~4pcfの密度、ならびにa)少なくとも40%、例えば40%~70%の復元力、b)15%以下、例えば3%~15%の乾式圧縮永久歪、もしくはその両方、を有する開放気泡フォーム構造を形成すること、
を含んでいる。この可撓性ポリウレタンフォームは、1.8~3pcfの密度、または2~4pcfの密度を示すことができる。
【0008】
ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物、又はこれらの2種もしくは3種以上の混合物を含むことができる。第1のポリオールは、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含むことができる。ポリオール組成物は、第2のポリオールを更に含むことができ、第2のポリオールは、2000~10000の質量平均分子量を有している。ヒュームドシリカは、50~150m/gまたは50~100m/gのBET表面積を有することができる。C1~C3アルキルシリル基は、トリメチルシリルまたはジメチルシリルであることができる。
【0009】
前記プレポリマー組成物を重合させて開放気泡フォーム構造を形成する工程は、プレポリマー組成物を片面が大気に開放された型中に充填することを含むことができ、そして結果として得られる可撓性ポリウレタンフォームは、1.8~3pcfの密度を有することができる。あるいは、プレポリマー組成物を、型中に充填し、そしてその型を閉鎖し、そして結果として得られる可撓性ポリウレタンフォームは、2~4pcfの密度を有することができる。
【0010】
この可撓性ポリウレタンフォームは、同じ方法によって製造されたが、しかしながらシリカが同じ質量部の第1のポリオールと置換された可撓性ポリウレタンフォームに対して、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも70%、または30%~155%改善された、ASTM D3574によって測定された、50%での圧縮力撓みを有することができる。
【0011】
他の態様では、可撓性ポリウレタンフォームは、50~150m/gの表面積を有する10質量%以下のヒュームドシリカを含んでおり、このヒュームドシリカはその表面にC1~C3アルキルシリル基を有しており、この可撓性ポリウレタンフォームは、少なくとも40%、例えば40%~70%の復元力、15%以下の、例えば3%~15%の乾式圧縮永久歪、またはその両方を示す。このヒュームドシリカは、50~150m/gまたは50~100m/gのBET表面積を有することができる。C1~C3アルキルシリル基は、トリメチルシリルまたはジメチルシリルであることができる。この可撓性ポリウレタンフォームは、モールドフォームまたはフリーライズフォームであることができる。このポリウレタンフォームは、ポリエーテルポリウレタンまたはポリエステルポリウレタンを含むことができる。可撓性ポリウレタンフォームは、1.8~4pcfの密度、例えば1.8~3pcfの密度、または2~4pcfの密度を有することができる。
【0012】
この可撓性ポリウレタンフォームは、同じ組成を有するが、しかしながらシリカをポリオールで置換する可撓性ポリウレタンよりも、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも70%、または30%~155%大きな、ASTM D3574によって測定された、50%での圧縮力撓みを有することができる。
【0013】
前述の包括的な記載および以下の詳細な説明の両方が、単に例示的で、そして説明的なものであり、特許請求された本発明の更なる説明を与えることが意図されたものであることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明が、図面のいくつかの図を参照して説明される。
【0015】
図1図1には、異なる表面化学を有するヒュームドシリカで調製されたポリオール分散液の粘度が示されている。
【0016】
図2図2には、異なる表面積を有するヒュームドシリカで調製されたポリオール分散液の粘度が示されている。
【0017】
図3図3には、疎水性および親水性の(未処理の)ヒュームドシリカで調製されたポリオール分散液の粘度が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1つの態様では、可撓性ポリウレタンフォームを製造する方法は、
少なくとも第1のポリール、50~150m/gの表面積を有する10質量%以下のヒュームドシリカを含むポリオール組成物を提供すること、第1のポリオールは、3000~6000の質量平均分子量および2.5~3.5の官能価を有し、ヒュームドシリカは、その表面にC1~C3アルキルシリル基を有しており、
前記ポリオール組成物、1.8~2.5、例えば1.8~2.25の官能価を有するポリイソシアネート、水、および第3級アミン触媒を混合してプレポリマー組成物を形成すること、ならびに、
そのプレポリマー組成物を、1.8~4pcfの密度を有する開放気泡構造が形成される条件の下で重合させること、
を含んでいる。
【0019】
可撓性ポリウレタンフォームは、典型的にはジイソシアネートのポリオールおよびポリアミンとの、起泡剤の存在での反応によって形成される。可撓性の、開放気泡フォームのためには、ポリオールは、典型的には2.5~3.5の官能価を有しているが、しかしながらいくつかの例では、より高い官能価のポリオールを用いることができる。このことは、ポリオール官能価が有意により高い、例えば4.5~5である剛性フォームにおけるよりもより少ない架橋をもたらす。同様に、2.5以下の官能価を有するポリイソシアネート、例えばジイソシアネートまたは1.8~2.25の官能価を有するポリイソシアネートの使用はまた、イソシアネート官能価が典型的には約2.7以上である剛性フォームに比較して、架橋密度を低減させる。
【0020】
ここで提供される配合物およびプロセスに用いられる適切なイソシアネートとしては、ポリウレタンフォームに用いられるいずれかの有機イソシアネートが挙げられる。芳香族イソシアネートが好ましいが、しかしながら脂肪族、脂環式、および芳香脂肪族イソシアネートもまた用いられることができる。例示的なイソシアネート、例えばm-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートまたはそれらとMDIの混合物、水素化ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、および4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、またはこれらの混合物。トリイソシアネートは、十分なジイソシアネートとの混合物で好ましく用いられて、2~2.25の全官能価をもたらす。
【0021】
ここで提供される配合物およびプロセスに用いられる適切なポリマーポリオールとしては、当業者に知られているポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールの両方および他のポリマーポリオールが挙げられる。好適なポリオールは、典型的には、好ましくは3000~6000の質量平均分子量の分子量を有している。開放気泡フォームに用いられる適切なポリマーポリオールは、2.5~3.5、例えば2.5~3のヒドロキシル価を有している。ポリオール混合物もまた用いられることができる。例えば、より低いまたはより高い分子量を有するポリオールが混合されることができて、所望の平均ポリオール分子量を与える。従って、2000~10000の質量平均分子量を有する1種もしくは2種以上の更なるポリオールが、第1のポリオールと混合されることができる。
【0022】
ポリエーテルポリオールは、小さい分子のポリオールとアルキレンオキシドを反応させてポリエーテルポリオールを形成させることによって得ることができる。例示的な小さい分子のポリオールとしては、限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、スクロース、およびビスフェノールAが挙げられる。例示的なポリエーテルとしては、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびポリテトラメチレンオキシドが挙げられる。あるいは、もしくは、加えて、ポリマーポリオールは、ビニルポリマー、例えばスチレンまたはアクリロニトリルとポリオールとの共重合によって製造されることができる。
【0023】
ポリエステルポリオールは、小さい分子のポリオール、例えば上記のものをポリエステルと反応させることによって得ることができる。例示的なポリエステルとしては、可撓性ポリウレタンフォームに用いるために当業者に知られているいずれかのポリエステルが挙げられ、そして有機ジカルボキシル酸、例えば末端がカルボキシル酸基のC2~C12非分岐の脂肪族鎖と、ジ-もしくはトリ-官能性アルコール、例えばC2~C12アルキレングリコールまたはポリエーテルアルコールから製造されることができる。
【0024】
ポリマーポリオールの混合物もまた用いられることができる。例示的なポリマーポリオールとしては、米国特許出願公開第201800223030号明細書、米国特許第9034936号明細書および米国特許第10119002号明細書に開示されたものが挙げられ、それらの全体の内容が参照することによって本願の内容とされるが、但し、ポリオールの配合物(1種もしくは2種以上のポリオール)は、2.5~3の全体の官能価(すなわち、分子当たりのヒドロキシル基の数)を有しなければならない。
【0025】
第3級アミン触媒は、ヒュームドシリカとポリオールの間の触媒の競合を減らすために、金属および低級アミン触媒よりも好ましい。例示的な第3級アミン触媒としては、ポリウレタンフォームの製造に好適であると当業者に知られているいずれかの第3級アミン触媒が挙げられ、限定するものではないが、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサメチルジアミン(tetramethylhexamethylediamine)、およびジメチルシクロヘキシルアミンが挙げられる。
【0026】
開放気泡ポリウレタンフォームに用いられるための当業者に知られた更なる成分もまた、用いられることができる。例としては、界面活性剤、粘度調整剤、架橋剤、連鎖延長剤、顔料、難燃剤、補助的ゲル化触媒、補助的発泡触媒、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。また、更なるポリオールが、ポリウレタンに異なる共重合体または機能、例えばセル形成の促進またはセルの開放、を導入するために用いられることができる。更なる充填剤、例えばスチレンアクリロニトリルビーズ、硫酸バリウム、または炭酸カルシウムを、ここで与えられるヒュームドシリカと組み合わせて用いることができる。
【0027】
ヒュームドシリカは、典型的には熱分解プロセスによって生成され、そこでは、燃料、例えばメタンもしくは水素、酸素、および揮発性ケイ素化合物を含む気体状の供給原料がバーナー中に供給される。酸素中での燃料の燃焼によって形成された水が、液体もしくは気体の形態のいずれかの揮発性ケイ素化合物と反応して、二酸化ケイ素粒子を生成する。それらの粒子は、融着および凝集してヒュームドシリカを形成する。
【0028】
ポリウレタンフォームの形成の間に、二酸化炭素気泡の成長とポリオール成分の架橋を調整するように配合物の性質を平衡させることが望ましい。もしも配合物が粘稠過ぎる場合には、水のイソシアネートとの反応によって形成される二酸化炭素の拡散が減速される。更に、膨張性ガスは、液体配合物を押しのけるような圧力を与えずに、適切なサイズの気泡を形成する。液体系中に分散されたシリカは、2つの異なる相互作用によってそのレオロジー特性に影響を与える。第1は、個々のシリカ粒子の間の引力である。ヒュームドシリカの凝集した構造は、それが鎖状のネットワーク形成することを可能にさせるが、ネットワークは撹拌もしくはせん断の下で中断される可能性があり、ヒュームドシリを有効なチキソトロープとさせる。それらのネットワークの形成は、高表面積(小さい一次粒子)シリカの系において好ましい。従って、好ましい態様では、ここで用いられるヒュームドシリカは、150m/g以下の、例えば130m/g以下の、または100m/g以下の、窒素吸着(ASTM D1993)によって測定される表面積を有している。第2の相互作用は、液体マトリックスとシリカ表面の間の相互作用である。親水性のポリオール系では、高度に疎水性で、ポリオールに対して低い親和性を有する表面処理されたシリカが、強力な粒子-粒子相互作用を有し、そして高い降伏応力を促進することが期待される。対照的に、表面処理されていないシリカは、液体、例えば水もしくはメタノール中に良好に分散され、そして有意には粘度を変化させない。従って、複雑な配合物においては、シリカ表面の注意深い改質が、系のレオロジーに劇的な効果を有する可能性がある。
【0029】
生成されたままのヒュームドシリカは親水性であり、表面上に多数のSi-OH基を有している。それらのシラノール基は、アルコールと水素結合によって、そしてポリエーテルのオキシアルキレン基と酸-塩基相互作用によって、相互作用することができる。従って、未反応のシリカは、ポリオールの粘度に小さな影響を有することが予想される。しかしながら、シリカのヒドロキシル基は、重合中に、ポリオールのヒドロキシル基と競争する可能性がある。シリカの疎水化は、シラノール基の一部を閉じる。しかしながら、疎水化はまた、シリカと、プレポリマー配合物と最終的なポリマーの両方との間の界面の相互作用を変化させ、プレポリマー配合物の粘度挙動および/または可撓性ポリウレタンフォームの機械的性質を変化させる可能性がある。更には、疎水化処理は、好ましくは重合反応を妨害しない。
【0030】
表面上に短鎖のアルキルシリル基を残す試薬でのヒュームドシリカの疎水化は、望ましくない粘度の増加なしに、シリカとポリマーポリオールとの競争を低減させることが、予想外に見出された。対照的に、表面上のより大きなアルキルもしくはシロキシル鎖での表面処理は、過剰に疎水性であり、そして気泡の成長に悪影響を与える。好ましくは表面によって、表面上にC1~C3アルキルシリル基、例えばトリメチルシリル、ジメチルシリル、エチルシリル、またはメチルエチルシリル基が残される。シリル基は、ヒュームドシリカの表面に、1つ、2つ、もしくは3つのシロキサン結合によって結合されるか、または1つもしくは2つの隣接するアルキルシラン基とシロキサン結合によって結合される可能性がある。
【0031】
従って、ヒュームドシリカは、シラザン、例えばヘキサメチルジシラザンまたはアルキルシラン、例えばジメチルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、エチルメチルジクロロシラン、ならびに他のC1-C3直鎖および分岐アルキルシランで疎水化されることができる。
【0032】
ヒュームドシリカの高い表面積および分岐構造はまた、取り囲むポリマーマトリックスとの、その表面相互作用を促進する。この相互作用によって、シリカがポリマーフォームを、ゾル-ゲルまたは沈降シリカよりもより効果的に補強することを可能にさせる。従って、シリカが、補強を与えるためには、十分な表面積、例えば少なくとも50または60m/gを有することが望ましい。
【0033】
ポリウレタンの成分は、当業者に知られているいずれかの方法を用いて混合され、そして重合されることができる。好ましくは、ヒュームドシリカは、当業者に知られている方法に従ってポリオール中に分散され、それが次いで、ポリイソシアネートと混合され、そして重合される前に、1種もしくは2種以上のポリウレタンの残りのイソシアネートでない成分と混合される。ポリウレタンフォームは、重合が大気圧に開放された容器中で起こるフリーライズフォーム、または重合が閉鎖された型中で起こるモールドフォームであることができる。重合されていない材料を型中に充填した後に型を閉鎖することで、ポリウレタンフォームの膨張のための制約された空間が生成される。従って、そのフォームの密度は、閉鎖された型中の材料の量を変化させることによって部分的に制御されることができ、一方で、フリーライズフォームの密度は、配合物を調整して、二酸化炭素の発生ならびに重合と二酸化炭素の形成の相対的速度を制御することによって制御されることができる。典型的なフリーライズフォームの密度は、1.8~3pcfであり、一方で、典型的なモールドフォームの密度は2~4pcfである。
【0034】
フリーライズまたはモールドフォームのいずれでも、ここで記載したシリカの使用が、フォームの開放気泡構造によって与えられる可撓性を劇的に低減させることなしに、フォームに補強を与える。好ましくは、ポリウレタンフォームは、少なくとも40%、例えば40%~70%の復元力を有している。あるいは、もしくは更には、ポリウレタンフォームは、15%以下の、例えば3%~15%の乾式圧縮永久歪を有している。あるいは、もしくは更には、ここに記載したヒュームドシリカの添加は、圧縮力撓みを改善させる。例えば、ASTM D3574、試験Cによって測定された50%におけるCFDは、シリカを含まない配合物に対して、少なくとも30%だけ、例えば少なくとも50%、少なくとも70%、または30%~155%だけ改善される可能性がある。
【実施例
【0035】
本発明は、以下の例によって更に明らかとされるが、これらの例はもとより例示のためだけであることが意図されている。
【0036】
例1
85m/gのBET表面積と表面にトリメチルシリル基を有するCAB-O-SIL TG-6110疎水性ヒュームドシリカ(Cabot Corporation)をPluracol 2090ポリオールトリオール(BASF)中に分散させて、15質量%の分散液を形成させた。シリカ分散液は、SpeedMixer (Flackteck,Landrum,SC)、続いてplenary mixer (PC Laborsystem Labotop)を用いて、350gのバッチで生成させた。ポリオールは、600gのプラスチック容器中に計量し、そしてシリカが全ての材料が混合された段階まで加えられた。この材料は、次いで2350rpmで5分間混合され、そして室温まで冷却された。この混合手順が、更に3回、混合の全体が20分間となるように繰り返されて、完全な混合を確実にさせた。2バッチ分が混合されて、そして1バールの真空下で15分間に亘ってplenary mixer中で脱気された。表1-1中に示されているように、適切な量の分散液と更なるPluracol 2090ポリオールが、表1-2中に列挙された量の更なる成分とともに、400mLのポリエチレンビーカ中に充填されて、ポリオール成分の全質量に対して、0%、2%、4%、6%、8%、および10%のヒュームドシリカを有するポリオール成分配合物が調製された。このシリカ-ポリオール分散液は、ポリオール成分中に所望のヒュームドシリカ濃度を得るように、質量基準で等量のニートのポリオールに対する落し込みの代替として用いられた。シリカを含まない対照のポリオール成分が、97gのPluracol 2090ポリオールと表1-2中に列挙された量の更なる原材料で調製された。このポリオール成分は、表1-3(イソシアネートインデックス=90)中に示された量でポリイソシアネート(Suprasec 7007 ポリイソシアネート;Huntsman)と、400mLの3注(tri-pour)カップ中で7秒間、高トルクミキサー(CRAFSTMAN 10-Inch Drill Press, Model No. 137.219000)を用いて、3100rpmで、周囲温度で混合され、そして次いでポリエチレンライニングの箱(6インチ×6インチ×3インチ;15.24×15.24×7.62cm)中に移された。フォームライズの完結に続いて、全てのフォームが、70℃に予熱された空気循環オーブン中に30分間置かれて完全に硬化された。それぞれの配合物について3種の試料が調製された。
【0037】
【表1-1】
【0038】
【表1-2】
【0039】
【表1-3】
【0040】
矩形のフォームが、フォーム密度(ASTM D3574、試験A)、ボール跳ね返りによる復元率(ASTM D3574、試験H)、破断引張強度(ASTM D3574、試験E)、破断時伸び(ASTM D3574、試験E)、25%、50%、および65%における圧縮力撓み(ASTM D3574、試験C)、引裂き強度(ASTM D-624、Die C)、および平均の気泡サイズ(ASTM D3576)によって特徴付けられた。
【0041】
全ポリオール成分を基にして、2%および4%のヒュームドシリカ(全フォーム質量を基にして、それぞれ1.3%と2.5%)を有するフォームの実際の気泡構造は均一であり、そして気泡サイズは、対照のフォームと比較してヒュームドシリカによって有意には影響されなかった(表1-4)。しかしながら、全ポリオール成分を基にして6%のヒュームドシリカ(全フォーム質量を基にして3.8%)を有するフォームは、若干粗い気泡構造を示した。気泡構造は、配合物中のヒュームドシリカの量が更に増加するに連れて、より粗くなった。
【0042】
【表1-4】
【0043】
密度、復元力、引張強度および伸びは、全フォーム質量を基準として1.3%と2.5%のヒュームドシリカの導入によっては、有意には影響されなかった(表1-4)。しかしながら、引裂き強度と圧縮力撓み(CFD)値は、ヒュームドシリカのそのような少量の導入に伴って有意に増加した(表1-4)。
【0044】
フォームの全質量に基づいて、3.8%、5.1%および6.4%のヒュームド シリカで生成されたフォーム(6%、8%および10%のヒュームドシリカを有するポリオール成分を用いる)のフォームライズの間に、ガス放出が観察された。気泡構造もまたより粗かった。このことは、ヒュームドシリカの気泡開放効果からもたらされることが仮定される。しかしながら、それらの試料は、50%でそれぞれ3.29±0.21,3.86±0.20,および4.21±0.46のCFDを示し、シリカが、フォームに対してなお補強を与えることを示している。
【0045】
例2
気泡構造を最適化するために、上記の方法と下記の表2-1に示した配合物を用いて、10%のヒュームドシリカを有するポリオール成分を用いて、更なるフォームが調製されたが、表2-1中で、界面活性剤(Tegostab B 4690 界面活性剤)および気泡開放ポリオール(Lumulse POE 26 ポリオール)濃度が調製され、そしてプロピレンカーボネート(1,2プロパンジオール環状カーボネート99.7%,Sigma-Aldrich)が、いくつかの配合物のポリオール成分に粘度を低下させるように加えられた。概ね半分のポリオール成分(表2-1に示された量)が、400mLの3注(tri-pour)ポリエチレンカップ中で、イソシアネートインデックス90のために十分なイソシアネートと混合され(表2-1中に正確な量)、例1に記載したように7秒間混合され、1000mLのポリエチレン3注(tri-pour)ビーカ中に注ぎいれられて、そしてフリーライズさせられた。
【0046】
【表2-1】
【0047】
表2-1に示されているように、界面活性剤濃度が増加された場合には、気泡構造は向上しなかった(例2-1および2-2)。しかしながら、気泡開放ポリオールの量が減少された場合には、気泡構造は有意に向上された(例2-3および2-4)。粘度はまた起泡プロセスに影響する可能性があり、プロピレンカーボネートの添加はまた、特には減少された量の気泡開放ポリオールとの組み合わせで、気泡構造の粗さを低下させた(例2-5、2-6、2-7)。
【0048】
例3
開放気泡ポリウレタンフォームが、下記に示された量のイソシアネートと混合された、表3-1中に示されたポリオール成分配合物(例2-6と同様)中の、0%(比較)、6%、8%、および10%のCAB-O-SIL TG-6110ヒュームドシリカを有するポリオール成分で、例1に記載された方法(イソシアネートインデックスが90)を用いて生成され、そして6インチ×6インチ×3インチのポリエチレンライニングの箱中に分配され、そして例1に記載されているようにフリーライズされた。結果として得られたフォームは、0%、3.8%、5.1%、および6.4%のヒュームドシリカを有していた。すべてのフォールの気泡構造は均一であった。それぞれの配合物について、3種の試料が調製された。
【0049】
【表3-1】
【0050】
気泡サイズの測定および機械的試験(例1に記載されているように行われた)の結果が表3-2に与えられている。3.8%のヒュームドシリカを有するフォームの気泡サイズは、比較のフォームの気泡サイズよりも有意に小さかった。気泡サイズはヒュームドシリカの充填量とともに増加したが、しかしながら比較のフォームの気泡サイズより一貫して小さかった。復元力と破断時伸びは、配合物中のFSの量が増加するにつれて減少した。FSありで調製されたフォームの引張強度、引裂き強度およびCFD値は、同じ密度で、対照のフォームと比較して、有意に高かった。
【0051】
【表3-2】
【0052】
例4
シリカを含まない(比較の)ポリオール成分および例1の配合に従った2%、4%、6%、8%、および10%のヒュームドシリカを含むポリオール成分が、密閉されたキャビネット中に周囲温度で密閉され、そして熟成された。2週間の後に、2%のヒュームドシリカを有するポリオール成分は、濃厚な液体であり、そしてゆっくりと流れるだけであり、一方で、より高いヒュームドシリカ濃度を有する残りの試料は、ペースト状の外観を有しており、そして上下を逆さにした場合にも流れなかった。対照的に、対照の組成物は流体のままであった。
【0053】
更なるポリオール成分配合物が、下記の表4-1中に示されたように10%のヒュームドシリカで調製されたが、周囲温度で種々の時間に亘って熟成されたそれらの配合物の粘度もまた示されている(矢印は、粘度が、測定がなされた時に、なお上昇していたことを示している)。粘度は、ASTM D-4878に従ってブルックフィールド粘度計、Model LVFで測定された。
【0054】
【表4-1】
【0055】
Dabco 33LV触媒なしで、そしていずれかのジエタノールアミン(DEA)なしで、調製されたポリオール成分の粘度は、経時で変化しなかった(例4-3)。それらの2種の製品(Dabco 33LVまたはDEA)のいずれか1種を含むポリオール成分の粘度は、経時で増加した(例4-2および4-4)。DEAありで、そしてDabco 33LVなしで調製されたポリオール成分は、わずか3日間後に、ペーストの粘稠性を有していた。Dabco 33LVありで、そしてDEAなしで調製されたポリオール成分は、6日間後に非常に粘性の液体に変化した。
【0056】
DEAの代わりにトリエタノールアミン(TEOA)を用い、そしてまたDabco 33LVなしで調製されたポリオール成分の粘度は、6日間の保存の後に、変化したとしてもほんのわずかにしか変化しなかった(例4-6)。TEOAおよびDabco 33LVありで調製されたポリオール成分の粘度における変化は、Dabco 33LVありで、いずれかのアミン鎖延長剤なしで調製されたポリオール成分の粘度変化に匹敵していた(例4-2および4-5)。それらの結果は、ヒュームドシリカが、第3級アミンとよりも、第2級アミンとより相互作用することを明確に示している。更には、アミン鎖延長剤または架橋剤の使用は、ヒュームドシリカを用いた開放気泡PU系に必須ではない可能性がある。
【0057】
例5
CAB-O-SIL TG-6110疎水性ヒュームドシリカ(Cabot Corporation)が上記のように、Pluracol 2090ポリエーテルトリオール(BASF)中に分散されて、15質量%分散液を形成させた。この分散液は、下記の表5-1中に示された比率で、Poly-G 85-29、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールトリオール(Monument Chemical)を含む更なる成分と混合されて、ポリオール成分を形成させた。例1と同様に、このシリカ-ポリオール分散液は、質量基準で等量のニートのポリオールに対する落し込みの代替として用いられて、0%、2%、4%、6%、8%、および10%.のシリカ濃度を有するポリオール成分を調製した。全体で223.34gのポリオール成分が、131.52gのSuprasec 7007ポリイソシアネートと(90のイソシアネートインデックスを得るように)、1000mLの3注(tri-pour)ポリエチレンカップ中で、7秒間に亘って、高トルク混合機(CRAFSTMAN 10-Inch Drill Press, Model No.137.219000)を用いて、3100rpmで、周囲温度で混合され、そして次いで、その液体混合物が濁って、そして膨張し始める前に、70℃に予熱された12インチ×12インチ×2インチ(30cm×30cm×5cm)のアルミニウム型中に注がれた。注ぎ込みの後に、この型は密閉され、そして型が開放され、そしてフォームが型から取り出される前に、260秒間に亘って硬化された。全てのモールドフォームは、周囲大気中で、試験の前に少なくとも1週間に亘って養生された。フォームパッドは、型からの取り出しの直後に手で粉砕された(すなわち、手で圧縮されて気泡ウィンドウが開放される)。例1に記載された試験に加えて、フォームは、ASTM D-3574に従って下記の試験、乾式一定たわみ圧縮永久ひずみ(試験D)、湿式老化圧縮永久ひずみ(試験Lの湿式熱老化を伴う試験D)、湿式老化荷重(CFD)低下(試験Lの湿式熱老化、55℃および95%の相対湿度で22時間、を伴う試験C、そしてまた試験J2、スチームオードクレーブ老化、120℃で5時間、を伴う試験C)
によって特徴付けられた。また、モールドフォームは、例1に記載されているように、25%、50%、および65%の撓みで、しかしながら60秒間の保持時間で、CFDについて評価された。2種のフォーム試料が、それぞれの配合物を用いて測定された。
【0058】
【表5-1】
【0059】
全フォーム質量を基準として0%、1.3%、2.5%、3.8%のFS(全ポリオール成分を基準として、それぞれ0%、2%、4%、および6%のFS)で調製されたモールドフォームは、均一な表面(スキン)および均一な外観上の気泡構造を示した。全ホーム質量を基準として5.1%と6.3%のヒュームドシリカ(全ポリオール成分を基準として、それぞれ8%と10%のFS)で調製されたフォームではスキン上に幾つかの欠陥が観察された。しかしながら、それらのフォームの気泡構造は、わずかなスキンの欠陥にかかわらず、均一であった。結果として得られたフォームの機械的性質が、表5-2中に列挙されている。モールドフォームの復元力は、ヒュームドシリカの濃度が増加するに連れて低下した。
【0060】
【表5-2】
【0061】
例6
CAB-O-SIL TG-6110(例6-x)とCT1221(例6-Cx)シリカ(Cabot Corporation、CT1221シリカは180~250m/gのBET表面積および、表面にトリメチルシリル基を有している)の15%分散液が、例1に記載されているようにJeffol G 31-28、グリセリン系のエチレンオキシドでキャップされたトリオール(Huntsman)中で調製された。ポリオール成分は、例1に記載されているように、表6-1中に示された配合物(Voranol-Voractiv 6340ポリエーテルポリオール(Dow)、Dabco NE300発泡触媒(Evonik)、Dabco NE1091ゲル化触媒(Evonik)、Dabco DC193界面活性剤(Evonik)、プロピレンカーボネート(例2を参照)、およびジエタノールアミンLF 85%(Webb Chemical))を用いて調製された。ポリオール成分は、Lupranate T80イソシアネート(2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、Huntsman)と、表6-2中に明記された量(90のイソシアネートインデックス)で混合され、そして例1に記載されているようにポリエチレンライニングされた箱中に注ぎ込まれた(「フリーライズフォーム」)。フリーライズフォームが、繰り返して調製された。表6―2中に明記されたポリウレタン配合物は、例6-C1では250%まで、そして例6-1と6-2では257%までスケールアップされて、例5で示された方法に従ってモールドフォームが調製された。モールドフォームは繰り返して調製された。フォームは、上記で説明されたように評価された。
【0062】
【表6-1a】
【0063】
【表6-1b】
【0064】
【表6-2】
【0065】
表6-2には、安定なフォームがより小さい表面積のTG-6110シリカで調製されたことを示している。シリカの気泡開放性が、配合物中に気泡開放ポリオールのないことを補うことが仮定される。しかしながら、気泡開放ポリオールがない場合でも、より大きな表面積のCT-1221シリカを有するフォームは崩壊した。フォームの安定性は、界面活性剤濃度の変化、Tegostab分散剤の代替の分散剤、Dabco DC 193界面活性剤での部分的な置き換え、プロピレンカーボネートの添加、またはシリカ濃度の低減では向上されなかった。
【0066】
上記の試験に加えて、フォームは、ASTM D-3574(手順B-CFDヒステリシス損失)に従って、ヒステリシス損失について特徴付けられた。表6-3には、TG-6110シリカを含むモールドフォームの機械的性質および他の性質が、シリカを含まない対照と比較して示されている。TG-6110シリカの導入は、CFDを増加させ、そしてフリーライズフォームの復元力に有意には影響を与えなかった。モールドフォームでは、TG-6110シリカの導入は、CFDおよび引裂き強度を増加したが、しかしながら引張強度には有意には影響を与えなかった。
【0067】
【表6-3】
【0068】
例7
CAB-O-SIL TG-6110およびCT 1221シリカの15%分散液が、上記のように、Jeffol G 31-28、グリセリン系のエチレンオキシドでキャップされたトリオール(Huntsman)中で調製された。6質量%のシリカを有するポリオール成分が、例1に記載されたように、表7-1中に示された配合(Lumulse POE 26エトキシル化グリセリン、Tegostab B 4690界面活性剤、ジエタノールアミン LF 85%架橋剤、Dabco 33 LVトリエチレンジアミン、およびToyocat ETビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルを含む)を用いて調製された。ポリオール成分が、例1に記載されているように、表7-1中に列挙された量で、Suprasec 7007イソシアネートと混合され、そhして例1に記載されているように、ポリエチレンライニングされた箱中に注ぎ込まれて(「フリーライズフォーム」)3.8質量%のシリカを有するフォームを形成した。フォームの外観が目視で評価された。
【0069】
【表7-1】
【0070】
シリカを含まずに生成されたフォームおよびより小さい表面積のTG-6110シリカで生成された2種のフォームは、全てが均一で微細な気泡構造を示した。より大きな表面積のCT-1221シリカおよびLumulse POE気泡開放ポリオールで生成されたフォームは、部分的なフォームの崩壊を示し、一方でCT-1221シリカで、気泡開放ポリオールなしで生成されたフォームは、フォームの芯において粗い気泡を示した。
【0071】
例8
ヒュームドシリカ(下記の表8-1を参照、全てのシリカはCabot Corporationから)が、Voranol 220-046ポリエーテルポリオール(Dow)と、6質量%の充填量で、Hauschild Speedmixer DAC-150中で、ヘグマン粉砕値5が得られるまで、混合された。分散液は、TA Instruments AR2000 Rheometer中で、25℃で、4cmの平行平板形状と500ミクロンの間隙で評価された。粘度データが図1に示されている。このデータは、オクチルシリル基またはシロキサンポリマーで処理されたヒュームドシリカが、3個もしくは2個以下の炭素を有するアルキルシリル基で処理されたヒュームドシリカと比較して、劇的に粘度を増加させることを示している。
【0072】
【表8-1】
【0073】
例9
CAB-O-SIL TG-6110(丸)およびCT-1221(三角)シリカを、Voranol 6340(閉じた記号)およびJeffol G 31-28f(白抜き記号)ポリオールと、例1に記載したように、15%の充填量で混合された。粘度は、例8のように測定され、そしてせん断速度に対してプロットされた。それらの結果が、図2に示されており、そしてより大きな表面積CT-1221シリカもまた粘度の劇的な増加を招くことを示している。
【0074】
例10
CAB-O-SIL TG-6110(丸)およびL90(三角)シリカが、Voranol 232-034(閉じた記号)ポリオールと、例1に記載されているように、10%の充填量で混合された。粘度が、例8のように測定され、そしてせん断速度に対してプロットされた。疎水性のTG-6110シのリカおよび処理されていない親水性L90シリカとアミン触媒との相互作用が、この試料に1質量%のトリエタノールアミンを加え、30秒間に亘ってSpeedMixer(Flackteck,Landrum,SC)中で混合して、その試料を30分間に亘って周囲温度でインキュベートし、そして次いで粘度を再度測定する(白抜き記号)ことによって評価された。それらの結果が図3に示されており、そして処理されていないL90シリカがポリオールの粘度に劇的な増加をもたらすことを示している。重合系においては、粘度のそのような増加は、フォーム内の気泡の相応な発生を妨げる可能性がある。
【0075】
本発明の好ましい態様の上記の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することは意図されてはいない。修正および変更が、上記の教示に照らして可能であり、または本発明の実施から得ることができる。実施態様は、当業者が本発明を種々の実施態様において、そして意図された特有の用途に適合するような種々の変更と伴って、使用することが可能となるように、本発明の原理およびその実際の適用を説明するために選択され、そして説明された。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、およびそれらの等価物によって規定されることが意図されている。
図1
図2
図3