(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】キャビティフィルタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01P 1/205 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H01P1/205 B
H01P1/205 J
(21)【出願番号】P 2023521703
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2021014118
(87)【国際公開番号】W WO2022080858
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0132382
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0135154
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘ キム
(72)【発明者】
【氏名】カン ナム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヘ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヘン ソク チェ
(72)【発明者】
【氏名】ソン チョン ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨン チョン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/200604(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/009312(WO,A1)
【文献】特表2015-510353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に所定の空間であるキャビティを有するフィルタボディと、
一側が開放された円筒形状に形成されかつ、開放された一側から他側に移動して前記フィルタボディの内側に閉鎖された他側が流入して位置するように、前記フィルタボディに設けられる少なくとも1つの共振バーと、を含み、
前記共振バーは、前記閉鎖された他側の先端面であって、前記キャビティ内の周波数チューニングのために前記フィルタボディの底面と平行に前記キャビティ側に突出した突出面である打刻部を形成すると共に、前記打刻部を貫通するチューニング修正ホールが形成され
、
前記チューニング修正ホールは、前記打刻部の中心に所定の直径を有するホール形状に形成される、キャビティフィルタ組立体。
【請求項2】
前記共振バーは、前記フィルタボディの外側から前記打刻部の打刻により前記キャビティ内の周波数チューニングが行われ、前記チューニング修正ホールを介して前記チューニングされた周波数の修正が
行われる、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項3】
前記キャビティ内の周波数チューニングは、前記フィルタボディの外側から前記共振バーの内側に挿入される打刻工具によって、前記共振バーの打刻部が前記キャビティの内部に打刻されて形状変形する動作によって行われる、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項4】
前記キャビティ内の周波数チューニングの修正は、前記フィルタボディの外側から前記共振バーの内側に挿入された後、前記チューニング修正ホールを介して前記キャビティの内部に挿入されるプリング工具によって、前記共振バーの打刻部が前記キャビティの外側に引かれて形状変形する動作によって行われる、請求項3に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項5】
前記フィルタボディの周縁部位端部に沿って結合され、前記フィルタボディと共に前記キャビティを形成するフィルタカバーをさらに含む、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項6】
前記フィルタボディには、前記共振バーの取付のための共振バー取付ホールが形成され、
前記共振バーには、前記共振バー取付ホールの周縁外面に密着結合される結合フランジが形成されている、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項7】
前記キャビティは、前記少なくとも1つの共振バーのうち隣接する共振バーの間を一部区画する隔壁、または前記隔壁の一部が切開された形態のウィンドウによって複数個備えられる、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項8】
前記キャビティは、
一側が開口した函体形状を有す
る前記フィルタボディと、
前記フィルタボディの開口した一側を覆
うフィルタカバーとによって定義される、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項9】
前記フィルタボディの開口した一側は、前記少なくとも1つの共振バーが設けられる他側に対向する部位である、請求項
8に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項10】
前記キャビティは、
平板形状を有す
る前記フィルタボディと、
前記フィルタボディの周縁端部に沿って結合されかつ、前記フィルタボディ側に相当する部位とが開口した函体形状を有す
るフィルタカバーとによって定義される、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項11】
前記キャビティは、
長手方向の一端部および他端部が開口す
る前記フィルタボディと、
前記フィルタボディの開口した長手方向の一端部および他端部を覆う一側端カバーおよび他側端カバーとによって定義される、請求項1に記載のキャビティフィルタ組立体。
【請求項12】
共振を起こすキャビテ
ィの少なくとも底面を形成し、内外部に貫通する少なくとも1つの共振バー取付ホールが形成されたフィルタボディと、
前記フィルタボディと共に前記キャビティを定義し、前記フィルタボディ中の開口した部位を遮蔽するフィルタカバーと、
前記フィルタボディの共振バー取付ホールを介して
、前記フィルタボディの外側から前記キャビティ内部の空間の一部を占めるように
取り付けられ、前記キャビティ内部の先端突出面の変形により周波数チューニングが行われる少なくとも1つの共振バーと、を含
み、
前記共振バーに、前記共振バー取付ホールの周縁外面に密着結合される結合フランジが形成されている、キャビティフィルタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビティフィルタ組立体(CAVITY FILTER ASSEMBLY)に関し、より詳しくは、アンテナ装置の全体重量を減少させ、コストを節減できるキャビティフィルタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アンテナ装置は、給電部品素子および複数のRFフィルタが実装されたメインボードと、メインボードと離隔して積層配置され、前面に放射素子の役割を果たす複数のアンテナ素子が実装され、複数のRFフィルタの前段部に積層配置されるアンテナボードとを含む。
【0003】
図1は、従来技術によるキャビティフィルタ組立体を示す分解斜視図、および組立てられた状態であってA-A線に沿う断面図である。複数のRFフィルタは、多様な種類があるが、特に、キャビティフィルタ(Cavity Filter)は、周波数チューニングおよびメインボードに対する組立が容易で、最近、最も多く使用しているRFフィルタの種類である。
図1に示されるように、キャビティフィルタ1は、長手方向に長く形成され、内部に所定の空間(以下、キャビティ(Cavity)と称する)Cを有する金属性の函体形状に形成されたフィルタボディ10と、フィルタボディ10のキャビティCの底面にそれぞれ離隔して備えられた複数の共振器取付ボス15と、共振器取付ボス15にそれぞれ設けられる複数の共振器20とを含む。
【0004】
また、キャビティフィルタ1は、
図1に示されるように、フィルタボディ10に形成されたキャビティCの開口した一側を覆う形態で結合され、周波数チューニング設計者の外部打刻方式によりキャビティC内部の周波数チューニングが容易となるように、チューニング打刻部31が形成されたフィルタカバー30をさらに含む。フィルタカバー30に形成されたチューニング打刻部31は、フィルタカバー30の外側面に加工形成されかつ、フィルタカバー30の厚さより相対的に薄く加工され、打刻部31の中間部分にはチューニング修正ホール35が形成されて、周波数チューニング設計者は手軽に誤って行われた打刻量を所定の挿入ツール(不図示)を用いて修正することができる。
【0005】
複数の共振器20は、共振バー21と、共振バー21の内側を通して共振器取付ボス15に対して共振バー21をねじ締結させ、後述のように、1次的な周波数チューニングを行うチューニングスクリュー23とを含む。
【0006】
ここで、キャビティフィルタ1の周波数チューニングは、1次的に共振バー21のチューニングスクリュー23を介して共振バー21のキャビティC内での高さの調整により周辺構成(例えば、フィルタカバー30)との距離を調整することにより周波数チューニングが行われ、2次的に各共振器20の上側に対応して位置したフィルタカバー30の打刻部31を、所定の打刻工具(不図示)を用いて外部から内側に打刻される打刻量に応じて周波数チューニングの細部調整が行われる。
【0007】
しかし、従来技術によるキャビティフィルタ1は、共振バー21の取付のために、必ず共振器取付ボス15がフィルタボディ10の内部に加工形成されることが必要なため、フィルタボディ10の製造方式において限界点がある一方、チューニングスクリュー23が必ず備えられなければならないという点で、全体的なアンテナ装置の重量を増加させ、部品費用の増加をもたらす問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、アンテナ装置の全体的な重量を減少させることができるキャビティフィルタ組立体を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、キャビティフィルタ組立体の部品の一部を削除することにより、費用を節減できるキャビティフィルタ組立体を提供することを他の目的とする。
【0010】
これとともに、本発明は、多様な製造方式で各部品の製造が可能で製品の生産性を向上させることができるキャビティフィルタ組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によるキャビティフィルタ組立体は、内部に所定の空間であるキャビティを有するフィルタボディと、一側が開放された円筒形状に形成されかつ、開放された一側から他側に移動して前記フィルタボディの内側に閉鎖された他側が流入して位置するように、前記フィルタボディに設けられる少なくとも1つの共振バーとを含み、前記共振バーは、前記閉鎖された他側の先端面であって、前記キャビティ内の周波数チューニングのために前記フィルタボディの底面と平行に前記キャビティ側に突出した突出面である打刻部を形成すると共に、前記打刻部を貫通するチューニング修正ホールが形成される。
【0013】
ここで、前記共振バーは、前記フィルタボディの外側から前記打刻部の打刻により前記キャビティ内の周波数チューニングが行われ、前記チューニング修正ホールを介して前記チューニングされた周波数の修正が可能である。
【0014】
また、前記キャビティ内の周波数チューニングは、前記フィルタボディの外側から前記共振バーの内側に挿入される打刻工具によって、前記共振バーの打刻部が前記キャビティの内部に打刻されて形状変形する動作で行われる。
【0015】
また、前記キャビティ内の周波数チューニングの修正は、前記フィルタボディの外側から前記共振バーの内側に挿入された後、前記チューニング修正ホールを介して前記キャビティの内部に挿入されるプリング工具によって、前記共振バーの打刻部が前記キャビティの外側に引かれて形状変形する動作で行われる。
【0016】
また、前記フィルタボディの周縁部位端部に沿って結合され、前記フィルタボディと共に前記キャビティを形成するフィルタカバーをさらに含むことができる。
【0017】
また、前記フィルタボディには、前記共振バーの取付のための共振バー取付ホールが形成され、前記共振バーには、前記共振バー取付ホールの周縁外面に密着結合される結合フランジが形成される。
【0018】
また、前記チューニング修正ホールは、前記打刻部の中心に所定の直径を有するホール形状に形成される。
【0019】
また、前記キャビティは、前記少なくとも1つの共振バーのうち隣接する共振バーの間を一部区画する隔壁、または前記隔壁の一部が切開された形態のウィンドウによって複数個で備えられる。
【0020】
また、前記キャビティは、一側が開口した函体形状を有するようにモールディング工法で製造された前記フィルタボディと、前記フィルタボディの開口した一側を覆うようにプレス工法で製造されたフィルタカバーとによって定義される。
【0021】
また、前記フィルタボディの開口した一側は、前記少なくとも1つの共振バーが設けられる他側に対向する部位であってもよい。
【0022】
また、前記キャビティは、平板形状を有するようにモールディング工法で製造された前記フィルタボディと、前記フィルタボディの周縁端部に沿って結合されかつ、前記フィルタボディ側に相当する部位が開口した函体形状を有するように深絞りプレス工法で製造されるフィルタカバーとによって定義される。
【0023】
また、前記キャビティは、長手方向の一端部および他端部が開口するように押出工法で製造された前記フィルタボディと、前記フィルタボディの開口した長手方向の一端部および他端部を覆う一側端カバーおよび他側端カバーとによって定義される。
【0024】
また、前記共振バーは、深絞りプレス工法で製造される。
【0025】
本発明の一実施例によるキャビティフィルタ組立体は、共振を起こすキャビティを定義すると共に、前記キャビティの少なくとも底面を形成し、内外部に貫通する少なくとも1つの共振バー取付ホールが形成されたフィルタボディと、前記フィルタボディと共に前記キャビティを定義し、前記フィルタボディ中の開口した部位を遮蔽するフィルタカバーと、前記フィルタボディの共振バー取付ホールを介して前記フィルタボディおよび前記フィルタカバーによって定義された前記キャビティ内部の空間の一部を占めるように設けられ、前記キャビティ内部の先端突出面の変形により周波数チューニングが行われる少なくとも1つの共振バーとを含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例によるキャビティフィルタ組立体によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0027】
第一、従来のキャビティフィルタの主要構成要素であった、固定スクリューおよび共振器取付ボスを削除可能なため、アンテナ装置の全体的な重量および部品費用を節減できる効果を有する。
【0028】
第二、フィルタボディの形態を簡素化可能なため、フィルタボディを含むフィルタカバーおよび共振器の製造方式の多様化を追求できることから、製品の生産性を向上させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術によるキャビティフィルタ組立体を示す分解斜視図、および組立てられた状態であってA-A線に沿った断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体を示す上方斜視図および下方斜視図である。
【
図3】
図2の構成のうち、フィルタカバーが分離された状態を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体によるカップリングの実現を説明するための分解斜視図である。
【
図5】
図4の構成のうち、入力側切欠きバーおよび出力側切欠きバーの作用を説明するための切開斜視図である。
【
図6A】
図2の構成のうち、フィルタカバーおよび共振バーが分離された状態を示す下方分解斜視図である。
【
図6B】
図2の構成のうち、フィルタカバーおよび共振バーが分離された状態を示す上方分解斜視図である。
【
図7】
図2の垂直断面図およびその一部拡大図である。
【
図8】
図2の垂直断面切開図およびその一部拡大図である。
【
図9A】本発明の第2実施例によるキャビティフィルタ組立体の各分解斜視図およびその断面図である。
【
図9B】本発明の第3実施例によるキャビティフィルタ組立体の各分解斜視図およびその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明によるキャビティフィルタ組立体の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0032】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0033】
図2は、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体を示す上方斜視図および下方斜視図であり、
図3は、
図2の構成のうち、フィルタカバーが分離された状態を示す分解斜視図であり、
図4は、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体によるカップリングの実現を説明するための分解斜視図であり、
図5は、
図4の構成のうち、入力側切欠きバーおよび出力側切欠きバーの作用を説明するための切開斜視図であり、
図6Aおよび
図6Bは、
図2の構成のうち、フィルタカバーおよび共振バーが分離された状態を示す下方分解斜視図および上方分解斜視図である。
【0034】
本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図2~
図6Bに示すように、内部に所定の空間であるキャビティ(Cavity、C)を有するフィルタボディ110と、フィルタボディ110のキャビティC内の周波数フィルタリングのために設けられた少なくとも1つの共振バー120とを含むことができる。
【0035】
少なくとも1つの共振バー120は、一側が開放された円筒形状に形成されかつ、フィルタボディ110の内側に閉鎖された他側が流入して位置するように、フィルタボディ110に設けられる。しかし、必ずしも共振バー120の外形が完全な円筒形状に限定されるものではなく、閉鎖された他側へいくほど次第に直径が小さくなる円筒形状を含む。この場合、共振バー120の開放された一側の直径が、閉鎖された他側(後述する打刻部124)の直径よりも大きい。
【0036】
一方、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図2~
図6Bに示すように、キャビティCを一側が開口した函体形状を有するようにモールディング工法で製造されたフィルタボディ110と、フィルタボディ110の開口した一側を覆うようにプレス工法で製造されたフィルタカバー130とによって定義される空間として理解することができる。しかし、キャビティCは、後述する第2実施例および第3実施例のように、上述した第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100とは異なって定義できることを予め明らかにする。
【0037】
キャビティCは、フィルタボディ110の内部に、通常、複数の共振バー120の個数に対応する個数に区画されるように複数個で備えられる。より詳しくは、
図3に示すように、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100において、共振バー120は、フィルタボディ110のキャビティCに7個備えられる。7個の共振バー120は、一側の入力コネクタ111aから供給される電気的な信号を隣接する共振バー120に伝達する過程中にカップリング特性を実現すると共に、他側の出力コネクタ111bを介して電気的な信号を出力するように備えられる。
【0038】
ここで、キャビティC内に各共振バー120間のカップリング特性の実現は、共振バー120の個数だけキャビティCを区画するように形成された隔壁113と、隔壁113の一部が切開された形態のウィンドウ114とによって、フィルタリングしようとする周波数帯域が精密に調整可能である。
【0039】
本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100において、フィルタボディ110は、
図3および
図4に示すように、長手方向に長く形成された直方体の外形を有するように備えられ、内部に一体に形成(または別途に製造されて設置)された隔壁113およびウィンドウ114によって7個のキャビティCを形成し、上述した7個の共振バー120(120a~120g)が区画された各キャビティC内に配置されて、7個の共振器としての機能を行う。
【0040】
このようなフィルタボディ110は、モールディング工法で製造される。フィルタボディ110のモールディング材質は、プラスチックなどの非導電性樹脂材質を含むことができる。ただし、フィルタボディ110は、キャビティC内での電気的な信号によるカップリング特性などが実現できるようにキャビティCを形成する内側面に金属材の被膜が塗布されることにより、キャビティCと外部との間の電磁波が完全に遮断されるように備えられる。
【0041】
一方、フィルタボディ110には、複数の共振バー120が開口した一側に対向するキャビティCの底面の外側からキャビティCの内部に挿設されるように、複数の共振バー取付ホール115が円形形状に加工形成される。複数の共振バー取付ホール115は、共振バー120の周縁部位が係止密着するように段付きに形成される。
【0042】
ここで、共振バー120の先端面は、
図3に示すように、キャビティC内の周波数チューニングのために、キャビティCのうち、フィルタボディ110の底面と平行にフィルタボディ110の底面からキャビティC側(より好ましくは、フィルタボディ110の開口した一側)に突出した突出面である打刻部124が形成される。
【0043】
共振バー120は、ほぼフィルタボディ110の外側(一側)に開口した円筒形状に形成され、フィルタボディ110の共振バー取付ホール115を介して挿入されると、中空の内部がキャビティCの内側に位置し、共振バー120の開口した側の周縁端部が段付きに形成された共振バー取付ホール115に密着結合される。
【0044】
このために、共振バー120には、段付きに形成された共振バー取付ホール115の周縁外面に密着結合されるように結合フランジ127が形成される。結合フランジ127と共振バー取付ホール115とは多様な方式で密着結合可能であり、代表的にボンディング材を用いたボンディング結合も可能であることは言うまでもない。
【0045】
打刻部124は、不図示の打刻工具を用いてフィルタボディ110の外側から共振バー120の中空の内部を通して挿入後、所定の外力で打刻させると、キャビティCの内部に打刻されて形状変形する動作でキャビティC内の周波数チューニングが行われる構成であってもよい。すなわち、打刻部124の打刻量に応じて、キャビティC内の2次的な周波数チューニングが行われる。
【0046】
一方、共振バー120は、
図3に示すように、打刻部124を貫通するチューニング修正ホール125がさらに形成される。チューニング修正ホール125は、打刻工具を用いて打刻部124をキャビティCの内側に打刻して形状変形させる時、周波数チューニングの修正が必要な場合、打刻工具と反対の概念のプリング(Pulling)工具(不図示)を用いて打刻量を調整することにより、チューニングされた周波数のチューニング状態を再度修正するように形成される。チューニング修正ホール125は、打刻部124の中心に所定の直径を有するホール形状に形成される。ここで、打刻部124の水平面積は、周波数チューニングに必要な最小限の面積が要求されるという点で、チューニング修正ホール125は、打刻部124の面積が前記最小限の面積より広く確保される限度の大きさを有することが好ましい。
【0047】
より詳しくは、不図示のプリング工具は、チューニング修正ホール125を介してキャビティC側に突出した後、チューニング修正ホール125のキャビティC側周縁部分に係止される構造で形成され、このように、チューニング修正ホール125の周縁部分に係止されたプリング工具を外部(すなわち、共振バー120の開放された一側方向)に引っ張ると、打刻工具によって打刻されてキャビティCの内側に形状変形した打刻部124が元の位置に引かれて打刻量を減少させる方向に修正しながら周波数チューニングの修正を行うことができる。
【0048】
一方、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、上述のように、フィルタボディ110の開口した一側(共振バー120を基準とする時、共振バー120の閉鎖された他側)を覆うように備えられたフィルタカバー130をさらに含むことができる。フィルタカバー130は、フィルタボディ110とは異なり、プレス工法で製造できる。このために、フィルタカバー130は、金属材質で備えられる。しかし、フィルタカバー130の製造工法がプレス工法により制限されるわけではない。フィルタカバー130は、フィルタボディ110と同じく、モールディング工法により製造されてもよく、この場合、プラスチック樹脂モールディング材を含み、プラスチック樹脂モールディング材で製造された場合、フィルタボディ110と同じく、キャビティC内と外部の電磁波遮断のために金属材の被膜が塗膜形成できることは言うまでもない。すなわち、フィルタカバー130は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、フィルタボディ110の開口した一側を覆うように結合されることにより、周波数特性(すなわち、カップリング特性)を実現するためのキャビティCである内部空間を定義し、フィルタボディ110と共に外部電磁波環境の影響が最小化されるように遮断する役割を果たす。
【0049】
入力コネクタ111aを介して入力された電気的な信号は、順次にフィルタボディ110の内部に一直線方向に離隔して備えられた複数の共振バー120a~120gを通過しながら周波数フィルタリングを行った後、出力コネクタ111bを介して出力される。
【0050】
ところが、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100と同様に、共振バー120a~120gが一方向に一直線に配列された場合、隣接する共振バー同士の隣接カップリングは円滑に実現できるのに対し、パスバンドの左右に特定の切欠き(Notch)の形成のためのクロスカップリングの実現は難しい問題点がある。これは、クロスカップリングは一般的に入力された電気的な信号が隣接する共振バー(またはキャビティ)を1つまたは2つ以上飛ばした共振バーに伝達しながら実現されるが、共振バー120a~120g(またはキャビティ)が一直線上に長く配置された場合には、このような構造設計が難しいからである。
【0051】
したがって、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図4および
図5に示すように、入力コネクタ111aの形成位置が初段共振器の第1共振バー120aとこれに隣接する第2共振バー120bとの間に位置するように設計され、出力コネクタ111bの形成位置が末端共振器の第7共振バー120gとこれに隣接する第6共振バー120fとの間に位置するように設計される。入力コネクタ111aおよび出力コネクタ111bの先端は、それぞれ入力ポートホール(図面符号不表記)および出力ポートホール(図面符号不表記)を介してキャビティCの内部に突出して露出できる。
【0052】
さらに、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図4および
図5に示すように、入力コネクタ111aと通電して連結され、一端は第1共振バー120aに相当するキャビティに位置し、他端は第2共振バー120bに相当するキャビティに位置した入力側金属切欠きバー141と、一端は第7共振バー120gに相当するキャビティに位置し、他端は第6共振バー120fに相当するキャビティに位置した出力側金属切欠きバー142とを含むことができる。
【0053】
入力側金属切欠きバー141は、入力コネクタ111aを介して入力された電気的な信号が第1共振バー120aを1個飛ばして第2共振バー120bに伝達しながらクロスカップリングを実現してパスバンドの右側端に特定の切欠き(より詳しくは、L-Notch)を形成し、出力側金属切欠きバー142は、第6共振バー120fを経由する電気的な信号が第7共振バー120gを1個飛ばして出力コネクタ111bに出力しながらクロスカップリングを実現してパスバンドの左側端に特定の切欠き(より詳しくは、C-Notch)を形成することができる。この時、入力側金属切欠きバー141は、キャビティC内の構造物と直接接するようにショート(short)していることから、上述のように、パスバンドの右側端にL-Notchを形成するのに対し、出力側金属切欠きバー142は、
図4および
図5に示すように、キャビティCの構造物と直接接するのを防止するように、誘電体材質で備えられたテフロン(登録商標)ブロック143を介在させてオープン(Open)されるように備えられることから、パスバンドの左側端にC-Notchを形成するのである。
【0054】
図7は、
図2の垂直断面図およびその一部拡大図であり、
図8は、
図2の垂直断面切開図およびその一部拡大図である。本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図7および
図8に示すように、フィルタボディ110とフィルタカバー130とによって定義されるキャビティCの内側に複数の共振バー120が挿設され、キャビティC内の周波数チューニングは、共振バー120の中空の内部空間を通して打刻工具を挿入して打刻部124の打刻量を調整することにより行われる。この時、複数の共振バー120は、フィルタボディ110に形成された複数の共振バー取付ホール115の外側周縁端部にそれぞれ結合フランジ127が当接して結合されるように設けられ、一側に開放された円筒形状に備えられることにより、開放された部位を通して打刻工具を用いて打刻部124を打刻させることができる。
【0055】
このような本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図1に示された従来技術によるキャビティフィルタ組立体1の打刻方向とは異なるものであって、共振バー120自体の形状変形によりキャビティC内の周波数チューニングが行われるように備えられる。これにより、従来技術に比べて共振バー(
図1の図面符号21参照)の取付のための共振バー取付ボス(
図1の図面符号15参照)を削除することができ、チューニングスクリュー23も削除可能なため、フィルタボディ110の製造方式の面で多様化を図ることができることはもちろん、全体的な製造単価を節減することができる。
【0056】
製造方式の面での利点をみると、例えば、
図1に示されるように、フィルタボディ10に共振バー取付ボス(
図1の図面符号15参照)が一体に備えられた場合には、フィルタボディ10の製造方式は、モールディング工法によるしかなく、共振バー取付ボス15の形状によって押出工法またはプレス工法の製造には限界があった。
【0057】
本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図1に示された従来技術によるキャビティフィルタ組立体1の構成のうち、フィルタカバー30にキャビティC内の周波数チューニングのための打刻部31が一体に形成されたものとは異なっている。具体的には、共振バー120に打刻部124を設け、フィルタカバー130とは全く無関係な共振バー120の打刻部124の形状変形により周波数チューニングを行うことができるという点で、フィルタカバー130の製造方式においても多様化を図っている。すなわち、フィルタカバー130は、周波数チューニングのための打刻部31が形成されず、単にキャビティCを遮蔽する機能のみを行うという点で、フィルタカバー130の形状を単純化することによりその製造方式を多様化することができるのである。
【0058】
より詳しくは、
図1に示されるように、フィルタカバー30に打刻部31が形成された場合には、モールディング工法による製造に限定されるのに対し、フィルタカバー30から打刻部31が削除された場合には、フィルタカバー130を押出(本発明の第3実施例参照)または深絞りプレス工法(一般的なプレス工法も含む)(本発明の第2実施例参照)で製造可能であることは言うまでもない。
【0059】
一方、本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図2~
図8に示すように、共振バー120は、深絞りプレス工法で製造できる。深絞りプレス工法は、すでによく知られているように、ダイス上に板材を据置し、パンチ器具を用いて一側のみ開放された円筒形状(または直方体形状)の成形物を製造するのに有利な工法である。
【0060】
図9Aおよび
図9Bは、本発明の第2実施例および第3実施例によるキャビティフィルタ組立体の各分解斜視図およびその断面図である。本発明の第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、
図2~
図8に示すように、実質的に周波数特性を実現するためのキャビティCがほぼ一側が開口した形態のフィルタボディ110と、フィルタボディ110の開口した一側を覆うように結合されるフィルタカバー130とによって定義されるものであるが、必ずしもキャビティCが第1実施例によって定義されるべきではない。
【0061】
すなわち、
図9Aに示された本発明の第2実施例を参照すれば、キャビティCは、平板形状を有するようにモールディング工法で製造されたフィルタボディ110aと、フィルタボディ110aの周縁端部に沿って結合されかつ、フィルタボディ110a側に相当する部位が開口した函体形状を有するように深絞りプレス工法で製造されるフィルタカバー130aとによって定義される。フィルタカバー130a自体を深絞りプレス工法で製造可能なため、製品の生産性を大きく向上させることができる。
【0062】
さらに、
図9Bに示された本発明の第3実施例を参照すれば、キャビティCは、長手方向の一端部および他端部が開口するように押出工法で製造されたフィルタボディ110bと、フィルタボディ110bの開口した長手方向の一端部および他端部を覆う一側端カバー110b-1および他側端カバー110b-2とによって定義される。第1実施例によるキャビティフィルタ組立体100と比較すれば、実質的にキャビティCの開口した一側を覆うフィルタカバー130自体を削除することができ、フィルタカバー110bを押出工法により手軽に製造可能なため、製品の生産性を大きく向上させることができる。
【0063】
また、上記のように構成される本発明の第1実施例~第3実施例によるキャビティフィルタ組立体100は、従来技術に比べて、共振バー21を別のチューニングスクリュー23を用いて固定させるたり、1次的な周波数チューニングが不必要なため、チューニングスクリュー23を最初から必要としないことから、部品構成を一部削除することができる。このように、部品構成の削除による部品費用の節減効果により製品の製造単価の節減効果も達成できることは言うまでもない。
【0064】
上述のような、本発明の第1実施例~第3実施例によるキャビティフィルタ組立体は、次のように定義される。
【0065】
すなわち、本発明の実施例によるキャビティフィルタ組立体は、共振を起こすキャビティCを定義すると共に、キャビティCの少なくとも底面を形成し、内外部に貫通する少なくとも1つの共振バー取付ホール115が形成されたフィルタボディ110と、フィルタボディ110と共にキャビティCを定義し、フィルタボディ110中の開口した部位を遮蔽するフィルタカバー130と、フィルタボディ110の共振バー取付ホール115を介してフィルタボディ110およびフィルタカバー130によって定義されたキャビティC内部の空間の一部を占めるように設けられ、キャビティC内部の先端突出面(仮に打刻部124)の変形により周波数チューニングが行われる少なくとも1つの共振バー120を含む構造体として定義することができる。
【0066】
ここで、従来技術によるキャビティフィルタ組立体(
図1および[背景技術]の欄参照)と比較すれば、従来技術の場合、キャビティC内の周波数チューニングのためにフィルタカバーに形成されたチューニング打刻部の形状およびチューニングスクリューを変更させることにより行われるが、本発明の実施例は、キャビティC内の周波数チューニングのために変更されるものは単に共振バー120の先端突出面(打刻部124)だけであって、従来技術との周波数チューニング方式の差異につながる。
【0067】
以上、本発明のキャビティフィルタ組立体の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、従来のキャビティフィルタの主要構成要素であった、固定スクリューおよび共振器取付ボスを削除して、アンテナ装置の全体的な重量および部品費用を節減し、フィルタボディの形態を簡素化することにより、フィルタボディを含むフィルタカバーおよび共振器の製造方式の多様化を追求して製品の生産性を向上させるキャビティフィルタ組立体を提供する。
【符号の説明】
【0069】
100:キャビティフィルタ組立体 110:フィルタボディ
111a:入力コネクタ 111b:出力コネクタ
113:隔壁 114:ウィンドウ
115:共振バー取付ホール 120:共振バー
124:打刻部 125:チューニング修正ホール
127:結合フランジ 130:フィルタカバー